JP5145308B2 - 案内軌条式車両の案内輪装置 - Google Patents

Description

本発明は、走行軌道などを走行する案内軌条式車両の案内輪装置に関する。

近年、交通車両が軌道上や路面等の設定された経路を走行する新交通システムにおいて、案内軌条式車両の操向機構には案内輪装置が設けられている。この案内輪装置は、図１３に示すように、走行軌道５１の左右両側に設置される案内レール５２に対して、車両の前後台車に取付けられた案内輪５３が案内レール５２に接して転動することによって、走行する車両が走行軌道５１に沿って案内されるようになっている。

また、案内レール５２は、走行軌道５１に沿って両側に設置される主案内レール５２ａと、走行軌道５１の分岐箇所に設置される分岐案内レール５２ｂとから構成されている。そのため、案内輪５３は、車幅方向へ延在する前後の案内横梁（図示せず）の左右両端部にそれぞれ回転可能に設けられており、軸心が偏芯した状態で輪軸５４の上下部に回転自在に取付けられた主案内輪５３ａと分岐案内輪５３ｂとから構成されている。そして、主案内輪５３ａは主案内レール５２ａに接し、分岐案内輪５３ｂは分岐案内レール５２ｂに接するようになっている。

ところで、このような主案内輪５３ａ及び分岐案内輪５３ｂを有する側方案内の案内軌条式車両の案内輪装置においては、主案内輪５３ａと分岐案内輪５３ｂの案内レール５２ａ，５２ｂへの接触速度及び接触頻度の違いから、主案内輪５３ａの摩耗速度は、分岐案内輪５３ｂに比較して数倍早いことが知られている。また、分岐案内レール５２ｂとの位置関係から、主案内輪５３ａの外幅と分岐案内輪５３ｂの外幅の寸法には制約が設けられているため、主案内輪５３ａの回転中心は輪軸５４の軸芯に対して偏芯しており、この偏芯を利用して分岐案内輪５３ｂの位置を変えずに主案内輪５３ａのみを外側へ出し主案内レール５２ａ側に変位させ、摩耗調整する必要がある。

そこで従来から、案内輪の摩耗調整が可能な構造の案内輪装置が提案されている（例えば、特許文献１）。この案内輪装置は、レバーを案内輪受に各摩耗調整位置に合わせてボルト止めする構造となっており、図１４に示すように、案内アーム６１の前後両端部に回転自在に支持された案内輪６２が摩耗し、案内軌条のレールと案内輪６２との間に所定以上の隙間が生じたような場合に、案内輪軸６３にキー６４で相対回動阻止して固定された回動レバー６５を案内アーム６１に固定しているボルト６６を緩めて案内アーム６１のねじ孔６７から取り外した後、回動レバー６５の操作端部６５ａを操作する。
すると、この回動操作に応じて案内輪軸６３が回動し、支持軸６８の軸中心Ｃ１より距離ｅだけ偏芯した案内輪軸６３の軸中心Ｃ２が軸中心Ｃ１の周りの変更中心まで移動し、軸中心Ｃ２に対する変更中心の案内アーム６１の左右方向における変位量相当分、案内輪６２が案内アーム６１から外側に移動調整される。この移動調整で案内軌条と案内輪６２の外周面との隙間が適度となれば、ボルト６６を中間部のねじ孔６７に螺合させて締め付けて回動レバー６５を固定することによって、案内輪６２の摩耗調整が完了することになる。
なお、支持軸６８の大径案内軸部６８ａは案内アーム６１の上方に配置され、小径取付軸部６８ｂは案内アーム６１の取付孔６１ａに挿通され、下端側の分岐輪軸部６８ｃには分岐輪６９が支持されている。

特許第４１２５５０８号公報

しかしながら、上述した従来の案内輪装置において、案内輪６２を摩耗調整するためには、案内輪６２の２重軸構造が回動レバー６５により軽く廻るように各部の連結がルーズになっている必要がある。このため、従来の案内輪装置では、各部に摺動摩耗や雨水侵入による錆が発生し、固渋やガタ付きに起因する各種問題を生じるおそれがあった。
また、従来の案内輪装置は、構造が複雑であるため、保守点検の際に行う分解整備作業が難しく、保守管理費が高くなるという問題があった。

本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、構造が簡単であり、コストダウンが図れるとともに、保守作業が容易で保守管理費も低減可能であり、かつ走行中の振動により摩耗調整位置が変わることがない案内軌条式車両の案内輪装置を提供することにある。

上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明は、軸受に回動可能に支持される輪軸と、該輪軸の上下部に回転自在に取付けられた主案内輪及び分岐案内輪とを備えた案内軌条式車両の案内輪装置において、前記主案内輪は、その回転中心が前記輪軸の軸芯に対し偏芯し、前記輪軸の外周面には、円周方向に並んで配置された複数の被嵌合部が設けられ、前記軸受には、前記被嵌合部に嵌合する嵌合体が設けられ、該嵌合体を前記輪軸側へ向かって前記被嵌合部に押圧し、または前記嵌合体の押圧を解除可能な嵌合調整手段が設けられている。

この発明において、前記嵌合調整手段は、前記嵌合体を前記輪軸側へ押圧する押圧バネと、該押圧バネを前記嵌合体側に押圧する押圧部材とを備え、該押圧部材は、ネジ構造によって押圧方向に進退するように構成されている。

また、本発明において、前記被嵌合部がＶ溝、円弧溝、円錐穴のいずれかであり、前記嵌合体が前記Ｖ溝、円弧溝、円錐穴と嵌合可能な球体、砲弾状体、円錐体のいずれかである。

さらに、本発明において、前記Ｖ溝、円弧溝、円錐穴の各々の壁面のうち、前記輪軸の回動方向に臨む前記嵌合体が押される側の壁面の傾斜角が、その反対側の壁面の傾斜角よりも小さい。

上述の如く、本発明に係る案内軌条式車両の案内輪装置は、軸受に回動可能に支持される輪軸と、該輪軸の上下部に回転自在に取付けられた主案内輪及び分岐案内輪とを備えたものであって、前記主案内輪は、その回転中心が前記輪軸の軸芯に対し偏芯し、前記輪軸の外周面には、円周方向に並んで配置された複数の被嵌合部が設けられ、前記軸受には、前記被嵌合部に嵌合する嵌合体が設けられ、該嵌合体を前記輪軸側へ向かって前記被嵌合部に押圧し、または前記嵌合体の押圧を解除可能な嵌合調整手段が設けられているので、嵌合調整手段の操作によって主案内輪を所望の位置に簡単に変位させることが可能となり、主案内輪の摩耗調整作業時間を大幅に減少させることができる。しかも、調整後は走行中の振動で調整位置が変わることなく、その位置を保持できる。また、装置の構造は簡単で保守作業も容易であるため、装置コストの低減化を図ることができるとともに、保守管理費も低減できる。

また、本発明において、前記嵌合調整手段は、前記嵌合体を前記輪軸側へ押圧する押圧バネと、該押圧バネを前記嵌合体側に押圧する押圧部材とを備え、該押圧部材は、ネジ構造によって押圧方向に進退するように構成されているので、嵌合体と被嵌合部との嵌合及び嵌合解除を確実にかつ迅速に行うことができる。

さらに、本発明において、前記被嵌合部がＶ溝、円弧溝、円錐穴のいずれかであり、前記嵌合体が前記Ｖ溝、円弧溝、円錐穴と嵌合可能な球体、砲弾状体、円錐体のいずれかであるので、高い精度は不要であり、加工コストを低減できるとともに、応力集中を小さくでき、軸強度を向上させることができる。

そして、本発明において、前記Ｖ溝、円弧溝、円錐穴の各々の壁面のうち、前記輪軸の回動方向に臨む前記嵌合体が押される側の壁面の傾斜角が、その反対側の壁面の傾斜角よりも小さいので、摩耗調整方向と逆の方向に輪軸を回動させることがなくなり、誤調整を防止できる。

本発明の第１実施形態に係る案内軌条式車両の案内輪装置を示す横断面図である。 図１の案内輪装置において、嵌合調整手段により嵌合体を被嵌合部に嵌合させている状態を示す拡大横断面図である。 図１の案内輪装置において、嵌合調整手段により嵌合体を被嵌合部から離脱させて嵌合解除させる状態を示す拡大横断面図である。 図１の案内輪装置において、軸回動調整治具を用いて輪軸を回動させる状態を示す概略正面図である。 図１の案内輪装置において、主案内輪が初期の位置にある状態を示す概略平面図である。 図１の案内輪装置において、輪軸を回動させることにより主案内輪が次の摩耗調整位置にある状態を示す概略平面図である。 図１の案内輪装置において、輪軸をさらに回動させることにより主案内輪が最終の摩耗調整位置にある状態を示す概略平面図である。 本発明の第２実施形態に係る案内軌条式車両の案内輪装置おいて、軸回動調整治具を用いて輪軸を回動させる状態を示す概略正面図である。 図８の案内輪装置において、主案内輪が初期の位置にある状態を示す概略平面図である。 図８の案内輪装置において、輪軸を正方向に回動させることにより主案内輪が次の摩耗調整位置にある状態を示す概略平面図である。 図８の案内輪装置において、輪軸を逆方向に回動させることにより主案内輪が最終の摩耗調整位置にある状態を示す概略平面図である。 本発明の実施形態の変形例に係る案内軌条式車両の案内輪装置において、嵌合調整手段により嵌合体を被嵌合部から離脱させて嵌合解除させる状態を示す拡大横断面図である。 従来の案内軌条式車両の案内輪装置を示す概略正面図である。 他の従来の案内軌条式車両の案内輪装置を示す縦断面図である。

以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。

［第１実施形態］
図１〜図７は、新交通システムなどに適用する本発明の第１実施形態に係る案内軌条式車両の案内輪装置を示すものであり、図１はその横断面図、図２は嵌合調整手段により嵌合体を被嵌合部に嵌合させている状態の拡大横断面図、図３は嵌合調整手段により嵌合体を被嵌合部から離脱させて嵌合解除させる状態の拡大横断面図、図４は軸回動調整治具を用いて輪軸を回動させる状態の概略正面図、図５は主案内輪が初期の位置にある状態の概略平面図、図６は輪軸を回動させることにより主案内輪が次の摩耗調整位置にある状態の概略平面図、図７は輪軸をさらに回動させることにより主案内輪が最終の摩耗調整位置にある状態の概略平面図である。

本発明の第１実施形態に係る案内軌条式車両の案内輪装置は、新交通システムの経路となる走行軌道（案内軌条）に沿ってその左右両側にそれぞれ設置される案内レールに対して、案内軌条式車両の前後台車にそれぞれ取付けられる案内輪とを備え、当該案内輪が案内レールに接して転動することにより、案内軌条式車両は、走行軌道に沿って側方案内されながら走行するようになっている。
案内レールは、走行軌道において、関連を持たせて設置される２種類の主案内レールと分岐案内レールとから構成されており、主案内レールは、走行軌道に沿って左右両側に設置され、分岐案内レールは、走行軌道の途中に位置して別の走行軌道へ導くための分岐箇所に設置されている。

このような案内輪装置は、図１〜図４に示すように、案内軌条式車両の車幅方向へ延在する前後の案内横梁１の左右両端部にそれぞれ取付けられ、当該車両の走行方向を操舵する案内アーム２を備えており、この案内アーム２の先端部には、案内輪３が輪軸４を介して回転自在に設けられている。
案内輪３は、輪軸４の上下端部に回転自在に取付けられる主案内輪３１と分岐案内輪３２とから構成されている。主案内輪３１は、分岐案内輪３２の上方に位置して主案内レールの側面に接するように配置されており、主案内レールに当接すると、主案内輪３１には、外側の主案内レールから内方へ向かう横方向の荷重が加わるようになっている。また、分岐案内輪３２は、主案内輪３１の下方に位置して分岐案内レールの側面に接するように配置されており、分岐案内レールに当接すると、分岐案内輪３２には、内側の分岐案内レールから外方へ向かう横方向の荷重が加わるようになっている。このように、主案内輪３１または分岐案内輪３２が主案内レールまたは分岐案内レールから横方向の荷重を受けることによって、案内軌条式車両が所定の運行ルートの走行軌道上を走行することが可能となる。

本発明の第１実施形態に係る案内輪装置は、主案内輪３１の摩耗調整が可能な構造となっており、主案内輪３１は、その回転中心Ｃ１が輪軸４の軸芯Ｃ２に対し偏芯して配置されている。このため、輪軸４は、上下中間部分を途中で折り曲げたクランク形状に形成されており、その中間部分は、案内アーム２の先端部に取付けた軸受２１に回動可能に支持されている。すなわち、本実施形態の案内輪装置では、軸受２１の内輪部と輪軸４の中間部分とが直接組付けられるクランク軸方式が採用されている。なお、分岐案内輪３２の回転中心は、輪軸４の軸芯Ｃ２と同一位置に配置されている。

輪軸４の外周面には、図１〜図４に示すように、円周方向に所定の間隔を開けて配置された複数（本実施形態では３つ）の被嵌合部１１，１２，１３が設けられている。これら３つの被嵌合部１１，１２，１３は、調整作業の混乱を避けるため、主案内輪３１の摩耗調整量の位置（第１〜第３）に対応した同じ方向の順番であって、回動させる輪軸４の固定する部分に並べて配置されており、輪軸４の軸方向（上下方向）に沿って延在している。
さらに、被嵌合部１１，１２，１３は、後述する嵌合体の一部が入る深さに形成されたＶ溝であり、各被嵌合部１１，１２，１３のＶ溝の対向する壁面のうち、主案内輪３１の摩耗調整回動方向である輪軸４の回動方向Ｗに臨む側に位置し、後述の嵌合体が押される側の壁面１１ａ，１２ａ，１３ａの傾斜角は、その反対側の壁面１１ｂ，１２ｂ，１３ｂの傾斜角よりもそれぞれ小さく設定されている。このように、Ｖ溝の対向する壁面を異なる傾斜角に設定するのは、第１の被嵌合部１１、第２の被嵌合部１２、第３の被嵌合部１３の順に輪軸４を回動し易くし、逆方向へ回動し難くする構造とするためであり、これによって誤調整を防止している。

また、主案内輪３１と軸受２１との上下間に位置する輪軸４の外周部には、図４に示すように、穴付き軸回動用フランジ４１が設けられている。このフランジ４１には、複数の治具嵌合穴４１ａが円周方向に所定のピッチで配設されており、これら治具嵌合穴４１ａに軸回動調整治具４２の先端部を嵌入するようになっている。したがって、軸回動調整治具４２の基端部側を持って、治具嵌合穴４１ａの１つに当該軸回動調整治具４２の先端部を嵌入して輪軸４を回動方向Ｗへ廻すと、あるいは治具嵌合穴４１ａへの当該軸回動調整治具４２の先端部の嵌入と離脱を繰り返しながら輪軸４を回動方向Ｗへ廻すと、輪軸４は、所望の被嵌合部１１，１２，１３の位置まで回動されることになる。

一方、本実施形態の軸受２１は、ネジ穴２２ａを有する軸受本体２２と、ボルト孔２３ａを有する軸受蓋２３とを締結ボルト２４で締結して組立てることにより構成されており、その内輪部によって、輪軸４の中間部分を回動可能に支持するようになっている。締結ボルト２４は、軸受蓋２３のボルト孔２３ａに挿通して軸受本体２２のネジ穴２２ａと螺合して締付けることが可能な長さに形成されている。
また、軸受蓋２３の中央部の上下２箇所（２箇所以上でも良い）には、輪軸４の外周面に設けた被嵌合部１１，１２，１３に嵌合する嵌合体２５と、該嵌合体２５を輪軸４側へ向かって被嵌合部１１，１２，１３に押圧し、または嵌合体２５の押圧を解除可能な嵌合調整手段２６が設けられている。嵌合体２５は、輪軸４側の被嵌合部１１，１２，１３のＶ溝と嵌合可能な大きさ及び形状の球体（例えば、鋼球）である。

嵌合調整手段２６は、嵌合体２５を輪軸４側へ押圧する押圧バネ２７と、該押圧バネ２７を嵌合体２５側に押圧する押圧部材２８と、これら押圧バネ２７及び押圧部材２８間に位置するバネ座部材２９とを備えており、該押圧部材２８は、ネジ構造によって押圧方向に進退するように構成されている。そのため、軸受蓋２３の中央部の上下２箇所には、押圧部材２８の先端側の雄ネジ部と螺合する雌ネジを形成した貫通路２３ｂがそれぞれ穿設されており、各貫通路２３ｂ内には、嵌合体２５、押圧バネ２７、バネ座部材２９、及び押圧部材２８の先端側が移動可能に配置されている。しかも、嵌合体２５の一部は、貫通路２３ｂを設けた箇所の軸受蓋２３の内周面に対して出没するように配置され、押圧部材２８の基端頭部側は軸受蓋２３の外周面から突出した状態で配置されている。

このように構成された本発明の第１実施形態に係る案内軌条式車両の案内輪装置において、案内軌条式車両の走行により主案内レールに接触する主案内輪３１が摩耗し、主案内レールと主案内輪３１との間に所定以上の隙間が生じたような場合には、まず、軸受蓋２３を軸受本体２２から外すことなく締結ボルト２４を緩め、輪軸４の外周面と軸受蓋２３の内周面との間にわずかな隙間を空ける。そして、嵌合調整手段２６の押圧部材２８を少し緩めて、図１〜図３及び図５に示す初期位置にある第１被嵌合部１１のＶ溝を嵌合体２５が乗り越えるのに必要な撓み代を押圧バネ２７に与え、嵌合体２５を軸受蓋２３側に戻す。
次いで、軸回動調整治具４２の先端部を、図４に示すように、穴付き軸回動用フランジ４１の治具嵌合穴４１ａに差し込み、輪軸４を回動方向Ｗへ廻す。これに伴い、嵌合体２５は第１被嵌合部１１のＶ溝を乗り越え、次の摩耗調整位置の第２被嵌合部１２のＶ溝まで来ると、押圧バネ２７の弾撥力により嵌合体２５の一部が当該第２被嵌合部１２のＶ溝内に入り込んで嵌合し、摩耗調整位置が決定する。しかる後、軸受蓋２３の締結ボルト２４を締付けて軸受本体２２に固定するとともに、押圧部材２８を締込んでロックすれば、輪軸４の位置が固定された状態で、主案内輪３１が偏芯量相当分の距離だけ主案内レール側に移動し、主案内輪３１の外周面と主案内レールとの隙間が適度となり、主案内輪３１の摩耗調整が完了することになる（図６参照）。
なお、図６に示す第２被嵌合部１２の位置から、図７に示す更に次の摩耗調整位置の第３被嵌合部１３に変位させる場合も、上記と同様の手順で操作すれば、主案内輪３１の摩耗調整を行うことが可能である。

本発明の第１実施形態に係る案内軌条式車両の案内輪装置においては、軸受２１の軸受蓋２３を軸受本体２２から外す等の作業が不要で、締結ボルト２４を緩めるだけで調整作業を行うことができる。また、嵌合調整手段２６などの操作によって輪軸４を所望位置の被嵌合部１１，１２，１３に回動させてロックすることが可能であり、主案内輪３１の摩耗調整を簡単に行うことができる。さらに、主案内輪３１の摩耗調整後は、押圧部材２８で押圧された押圧バネ２７の弾撥力により嵌合体２５が被嵌合部１２，１３のＶ溝内に入り込んで嵌合しているため、車両走行中の振動によって調整位置が変わることも起こらない。

［第２実施形態］
図８〜図１１は、新交通システムに適用する本発明の第２実施形態に係る案内軌条式車両の案内輪装置を示すものであり、図８は軸回動調整治具を用いて輪軸を回動させる状態の概略正面図、図９は主案内輪が初期の位置にある状態の概略平面図、図１０は輪軸を正方向に回動させることにより主案内輪が次の摩耗調整位置にある状態の概略平面図、図１１は輪軸を逆方向に回動させることにより主案内輪が最終の摩耗調整位置にある状態の概略平面図である。
この第２実施形態においては、上記第１実施形態と異なり、図８〜図１１に示すように、輪軸４に設けられる初期位置の第１被嵌合部１１に対して、次の摩耗調整位置の第２被嵌合部１２と最終摩耗調整位置の第３被嵌合部１３とが正逆回動方向に配置されている。また、被嵌合部１１，１２，１３のＶ溝を形成する両側の壁面１１ａ，１２ａ，１３ａ，１１ｂ，１２ｂ，１３ｂの傾斜角は同じである。
その他の構成は上記第１実施形態と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示している。また、第２実施形態における主案内輪３１の摩耗調整操作手順も、輪軸４の回動方向Ｗを正逆方向へ回動させる以外、上記第１実施形態と同様である。

かかる第２実施形態の案内輪装置においては、輪軸４に設けられる初期位置の第１被嵌合部１１に対して、次の摩耗調整位置の第２被嵌合部１２と最終摩耗調整位置の第３被嵌合部１３とが正逆回動方向に配置されているため、上記第１実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、主案内輪３１の摩耗調整量を大きく取ることができる。

以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。

例えば、既述の実施の形態では、輪軸４の被嵌合部１１，１２，１３をＶ溝とし、嵌合体２５を球体としたが、両者の嵌合及び離脱が確実かつ円滑に行うことが可能であれば、円弧溝や円錐穴のいずれかの被嵌合部１１，１２，１３でも良く、また球体の嵌合体２５の代わりに、図１２に示す砲弾状体の嵌合体２５ａや円錐体の嵌合体のいずれかでも良い。また、既述の実施の形態では、軸受２１を軸受本体２２と軸受蓋２３との分割構造としたが、本発明の案内輪装置は、軸受蓋がない一体構造の軸受にも適用することが可能である。さらに、既述の実施形態の案内輪装置では、輪軸４がクランク軸方式となっているが、本発明の案内輪装置は、図１４に示すような一軸芯方式に対しても適用することが可能である。

１ 案内横梁
２ 案内アーム
３ 案内輪
４ 輪軸
１１，１２，１３ 被嵌合部
２１ 軸受
２２ 軸受本体
２３ 軸受蓋
２４ 締結ボルト
２５，２５ａ 嵌合体
２６ 嵌合調整手段
２７ 押圧バネ
２８ 押圧部材
３１ 主案内輪
３２ 分岐案内輪
４１ 穴付き軸回動用フランジ
４１ａ 治具嵌合穴
４２ 軸回動調整治具
Ｃ１ 主案内輪の回転中心
Ｃ２ 輪軸の軸芯
５１ 走行軌道
５２ 案内レール
５２ａ 主案内レール
５２ｂ 分岐案内レール
５３ 案内輪
５３ａ 主案内輪
５３ｂ 分岐案内輪
５４ 輪軸
６１ 案内アーム
６２ 案内輪
６３ 案内輪軸
６４ キー
６５ 回動レバー
６６ ボルト
６７ ネジ孔
６８ 支持軸
６９ 分岐輪

Claims (4)

1. 軸受に回動可能に支持される輪軸と、該輪軸の上下部に回転自在に取付けられた主案内輪及び分岐案内輪とを備えた案内軌条式車両の案内輪装置において、
   前記主案内輪は、その回転中心が前記輪軸の軸芯に対し偏芯し、前記輪軸の外周面には、円周方向に並んで配置された複数の被嵌合部が設けられ、前記軸受には、前記被嵌合部に嵌合する嵌合体が設けられ、該嵌合体を前記輪軸側へ向かって前記被嵌合部に押圧し、または前記嵌合体の押圧を解除可能な嵌合調整手段が設けられていることを特徴とする案内軌条式車両の案内輪装置。
2. 前記嵌合調整手段は、前記嵌合体を前記輪軸側へ押圧する押圧バネと、該押圧バネを前記嵌合体側に押圧する押圧部材とを備え、該押圧部材は、ネジ構造によって押圧方向に進退するように構成されていることを特徴とする請求項１に記載の案内軌条式車両の案内輪装置。
3. 前記被嵌合部がＶ溝、円弧溝、円錐穴のいずれかであり、前記嵌合体が前記Ｖ溝、円弧溝、円錐穴と嵌合可能な球体、砲弾状体、円錐体のいずれかであることを特徴とする請求項１または２に記載の案内軌条式車両の案内輪装置。
4. 前記Ｖ溝、円弧溝、円錐穴の各々の壁面のうち、前記輪軸の回動方向に臨む前記嵌合体が押される側の壁面の傾斜角が、その反対側の壁面の傾斜角よりも小さいことを特徴とする請求項３に記載の案内軌条式車両の案内輪装置。

Images