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JP5144957B2 - 多分岐シクロデキストリン化合物、その製造方法、および標的指向性薬物送達システム用の薬物送達剤 - Google Patents

多分岐シクロデキストリン化合物、その製造方法、および標的指向性薬物送達システム用の薬物送達剤 Download PDF

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JP5144957B2 JP2007131026A JP2007131026A JP5144957B2 JP 5144957 B2 JP5144957 B2 JP 5144957B2 JP 2007131026 A JP2007131026 A JP 2007131026A JP 2007131026 A JP2007131026 A JP 2007131026A JP 5144957 B2 JP5144957 B2 JP 5144957B2
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Description

本発明は、標的指向性薬物送達システム(TDDS)用の薬物送達剤として用いられる多分岐シクロデキストリン化合物、及びその製造方法に関し、詳しくは、シクロデキストリンを構成するグルコピラノースの6位の第1級水酸基が標的タンパク質に認識される基で置換された多分岐シクロデキストリン化合物、煩雑な工程を要することがない前記多分岐シクロデキストリン化合物の製造方法、及び前記多分岐シクロデキストリン化合物からなる薬物送達剤に関する。
下記式で表されるβ−シクロデキストリンに代表されるシクロデキストリン(以下、単に「CD」ということもある。)は薬物包接能を有することから薬物送達システムに広く用いられている。
Figure 0005144957
CDを構成するグルコピラノースの6位には、第1級水酸基が存在し、例えば、CDを構成するグルコピラノースが6個の場合には、CD中6個の第1級水酸基が存在する。下記一般式aで表されるような、CD中に複数存在する前記第1級水酸基を、それぞれ、糖鎖を結合してなる糖鎖アームで置換したCD化合物(以下、「多分岐CD化合物」という。)の製造が試みられている。
Figure 0005144957
一般式a中置換基Aは糖鎖アームを表す。
しかし、従来、CD中に複数存在する前記第1級水酸基全て(例えば、β−CDであれば7つ全て)が糖鎖アームで置換された多分岐CD化合物は、製造中間体の単離の困難性、立体障害等により製造が困難であった。また、前記第1級水酸基全てに糖鎖アームが置換されることなく、中間体の反応性置換基が残存したままの不完全に置換された多分岐CD化合物は毒性を有するおそれがあった。
以前、卵白オバルミンから分離・精製したマンノース含有天然糖鎖アームをβ−CDに結合させることを行った(例えば、非特許文献1参照。)。上記得られた多分岐CD化合物は、医薬ともレクチンとも非常に高い会合能、いわゆる二重認識能を有しているが、マンノース含有天然糖鎖の分離精製が非常に困難であるため、大量合成に向いていなかった。天然糖鎖をミミックし、レクチン認識に重要ないくつかの単糖部分だけを残して、大量合成に適するように設計したスペーサーアームの構築が望まれていた。
特に、マンノース又はガラクトース含有スペーサーアームの構築について、工程が煩雑ではない大量合成に適した製造方法が望まれていた(例えば、特許文献1、非特許文献2及び3参照。)。また、従来の製造方法では、多分岐CD化合物をアセチル基などの保護基を使用することにより製造しているので工程が煩雑であった。
さらに、従来は、製造されたCD化合物の薬物送達剤としての評価は、動物実験、臨床試験のプロセスを経て行われていたが、薬物および標的タンパクとの会合定数を求めることにより優れた薬物送達剤を探査する方法が望まれていた。
WO2004/085487A1公報 服部憲治郎および稲津敏行、「糖鎖クラスターシクロデキストリンの合成及びレクチンタンパクと医薬品に対する二重認識について」、有機合成化学協会誌(2001)59巻742頁〜754頁。 H.Abe,A.Kenmoku,N.Yamaguchi,K.Hattori,J.Inclusion Phenom.Macrocyclic Chem.52,39−47(2002) K.Hattori,A.Kenmoku,T.Mizuguchi,D.Ikeda,M.Mizuno,T.Inazu,J.Inclusion Phenom.Macrocyclic Chemistry,56,9−16(2006)
本発明の目的は、上記のような問題点を解消するため、CDを構成するグルコピラノースの6位の第1級水酸基が標的タンパク質に認識される基で置換された多分岐CD化合物、煩雑な操作を要することなく、大量製造に適した前記多分岐CD化合物の製造方法、及び前記多分岐シクロデキストリン化合物からなる薬物送達剤を提供することにある。
上記課題は下記の手段により達成された。
すなわち、本発明は、
(1) シクロデキストリンを構成するグルコピラノースの6位の第1級水酸基が下記一般式1で表される置換基で置換されてなる多分岐シクロデキストリン化合物、
Figure 0005144957
一般式1中、α−グリコシルは、アノマー位で酸素原子を介してα結合するグリコシル基を表し、Cはシクロデキストリンを構成するグルコピラノースの6位炭素原子との結合位置を表す。また、nは0〜2の整数を表し、nが0の場合、カルボニル炭素原子とアミノ窒素原子を結ぶ単結合を表す、
(2) 前記α−グリコシルが、α−D−マンノシル、α−D−ガラクトシル、α−L−フコシル又はα−D−グルコシルである、(1)に記載の多分岐シクロデキストリン化合物、
(3) 前記シクロデキストリンが、β−シクロデキストリンである、(1)又は(2)に記載の多分岐シクロデキストリン化合物、
(4) ヘプタキス−6−(1−α−グリコシル−オキシプロピルチオエチルアミド)−β−シクロデキストリン、ヘプタキス−6−(1−α−グリコシル−オキシプロピルチオエチルアミドヘキサノイルアミド)−β−シクロデキストリン又はヘプタキス−6−(1−α−グリコシル−オキシプロピルチオエチルアミドヘキサノイルアミドヘキサノイルアミド)−β−シクロデキストリンであることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の多分岐シクロデキストリン化合物、
(5) シクロデキストリン環を構成する各グルコピラノース分子の6位の第1級水酸基に、アミノ基又はアミノオリゴカプロン酸アミド基を有するシクロデキストリンと、1−α−グリコシル−オキシプロピルチオ脂肪酸とを縮合させることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の多分岐シクロデキストリン化合物の製造方法、及び
(6) 前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の多分岐シクロデキストリン化合物からなる標的指向性薬物送達剤を提供するものである。
本発明の多分岐シクロデキストリン化合物は、それが有するCD部分によって薬物を包接会合することができる一方で、CDを構成するグルコピラノースの6位の第1級水酸基が標的タンパク質と会合する置換基で置換されたことによる糖クラスター効果(例えば、Y.C.Lee and R.T.Acc.Chem.Res,1995,28参照。)により指数関数的に増大された前記標的タンパク質に対する標的指向性を奏する。
本発明の多分岐シクロデキストリン化合物は、標的タンパク質との認識能を高めるために認識部位間の距離を調節するためのアミノカプロン酸からなるスペーサーアームを有することができ、また、前記スペーサーアームは大量製造に適する。
本発明の多分岐シクロデキストリン化合物の製造方法は、アセチル基などの保護基を使用する煩雑な保護・脱保護工程を経ることなく、出発原料の単糖をマンノース、グルコース、ガラクトース、フコース、シアル酸などから選択することにより、マンノースおよびグルコースではマクロファージを介した癌、ガラクトースでは肝癌、フコースでは大腸癌、シアル酸ではインフルエンザ等の疾患に対するTDDS用の薬物送達剤を製造できる。
本発明の標的指向性薬物送達剤は、前記多分岐CD化合物からなるので、マクロファージを介した癌、肝癌、大腸癌、インフルエンザ等の疾患に対するTDDSに好適に用いることができる。
まず、本発明の多分岐シクロデキストリン化合物について説明する。
本発明の多分岐シクロデキストリン化合物は、シクロデキストリン(以下、単に「CD」ということもある。)を構成するグルコピラノースの6位の第1級水酸基が実質的に全て、下記一般式1で表される置換基で置換されてなる。
Figure 0005144957
一般式1中、α−グリコシルは、アノマー位(1位)で酸素原子を介してα結合するグリコシル基を表し、Cはシクロデキストリンを構成するグルコピラノースの6位炭素原子との結合位置を表す。また、nは0〜2の整数を表す。
本発明において、前記α−グリコシルが、α−D−マンノシル、α−D−ガラクトシル、α−L−フコシル又はα−D−グルコシルであることが好ましい。
一般式1中、下記式で表される部分は、後述するようにスペーサーアームとしてのアミノカプロン酸に由来する繰り返しユニットである。
Figure 0005144957
よって、本明細書において、以下、単に、前記式で表される部分を「cap」で表すこともある。したがって、前記一般式1は下記のように表すこともできる。
Figure 0005144957
前記一般式1中の、α−グリコシル、C、及びnは前述のとおりである。
本明細書において、nが2の場合、単にcap2といい、nが1の場合、単にcap1ということもある。
なお、nが0の場合、capは式中のカルボニル炭素原子とアミノ窒素原子を結ぶ単結合を表す。
前記CDとしては、β−CDが好ましく、その場合、本発明の多分岐CD化合物は下記一般式aで表されることが好ましい。
Figure 0005144957
前記一般式a中置換基Aは、前記一般式1で表される置換基を表す。
本明細書において、前記一般式aで表される本発明の多分岐CD化合物のβ−CD部位は、以下、単に下記一般式bで表す。
Figure 0005144957
前記一般式b中、置換基Aは、前記一般式1で表される置換基を表す。
この場合、本発明の多分岐CD化合物は下記一般式cで表すことができる。
Figure 0005144957
前記一般式c中、α−グリコシル、cap及びnは前述のとおりである。
本発明の多分岐シクロデキストリン化合物としては、ヘプタキス−6−(1−α−グリコシル−オキシプロピルチオエチルアミド)−β−シクロデキストリン、ヘプタキス−6−(1−α−グリコシル−オキシプロピルチオエチルアミドヘキサノイルアミド)−β−シクロデキストリン又はヘプタキス−6−(1−α−グリコシル−オキシプロピルチオエチルアミドヘキサノイルアミドヘキサノイルアミド)−β−シクロデキストリンであることが好ましい。
本発明の多分岐シクロデキストリン化合物の具体例として下記例示化合物1〜9を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005144957
Figure 0005144957
次に、本発明に原料として用いられるCDについて説明する。
本発明に原料として用いられるCDは、シクロデキストリンの基本骨格を有している限り、特に制限はないが、α−CD、β−CDおよびγ−CDが挙げられる。これらのCDは環を構成しているグルコピラノースの数が異なり(α:6個;β:7個;γ:8個)、したがってその空洞径も異なる(α:0.45nm;β:0.70nm;γ:0.85nm)。たとえば、α−CDは、ベンゼン環が充分に入る大きさであり、トリクレン、パークレン等を包接することができる。また、β−CDは、ナフタレン環が入る大きさであり、γ−CDはアントラセンやナフタレン環2個が入る大きさである。したがって、包接すべき薬物の分子サイズを考慮して最適の空洞径を有するCDを当業者が適宜選択することができる。
また、薬物の包接能の点からは、糖鎖分岐の数、すなわちCD構成グルコピラノース分子の数が多い方が好ましい。
次に、本発明の多分岐CD化合物の製造方法について説明する。
本発明の多分岐CD化合物の製造方法は、
(1)糖を含有する糖アームユニットと、CD環を構成する各グルコピラノース分子の6位の第1級水酸基全てに官能基を有するCDとを、縮合剤の存在下または非存在下で反応させる、又は
(2)前記糖アームユニットと、CD環を構成する各グルコピラノース分子の6位の第1級水酸基全てに、スペーサーアームを有するCDとを、縮合剤の存在下または非存在下で反応させることを特徴とする。
前記糖アームユニットは、1個以上の糖ないしは糖鎖を有する。
前記糖アームユニットを構成する糖は、特定の標的タンパク質によって特異的に認識されるものであれば、特に制限されない。糖は、単糖であってもよく、糖が2個以上連結して糖鎖を形成したものであってもよい。前記糖は、未修飾であっても修飾されていてもよい。前記糖ないしは糖鎖は、マンノース、ガラクトース、フコース、グルコース、シアル酸、ガラクトサミン、グルコサミン、マンノサミンなどから選択されてなることが好ましい。合成の容易さの観点から、マンノース、ガラクトース、フコース、グルコースまたはシアル酸がより好ましく、マンノース、ガラクトースまたはフコースがさらに好ましい。糖鎖が2個以上の糖を含む場合、それらの糖は同じ種類であっても異なる種類であってもよい。また、糖鎖は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。
入手の容易性および合成の容易性の点から、好ましくは糖1〜6個の糖ないしは糖鎖であり、さらに好ましくは糖1〜4個の糖ないしは糖鎖であり、より好ましくは糖1〜4個の直鎖状の糖ないしは糖鎖であり、特に好ましくは単糖、すなわち、TDDSの疾患の目的に合わせて、マンノシル基、ガラクトシル基、グルコシル基およびフコシル基等であることが好ましい。
次に、前記糖アームユニットの構築について説明する。
糖アームユニットは、グリコシドがマンノシドの場合を例にすると下記反応スキームのように構築できる。
Figure 0005144957
糖アームユニットは、酸触媒存在下、アリルアルコールによる糖ないしは糖鎖のオキシプロペン化、炭素数2〜7のメルカプト脂肪酸を用いて光付加反応することにより構築できる。前記メルカプト脂肪酸としては、3−メルカプトプロピオン酸、4−メルカプト酪酸等が好ましい。
具体的には、糖ないしは糖鎖をアリルアルコールに溶解し、酸触媒を加えて窒素気流下97℃で還流してアリルグリコシドが合成できる。得られたアリルグリコシドに、3−メルカプトプロピオン酸等のメルカプト脂肪酸を光付加反応することにより糖アームユニットを構築できる。
前記アリルグリコシドとメルカプト脂肪酸との反応は、窒素、アルゴン等の不活性気体雰囲気で紫外線を照射することで進行する。
照射する紫外線は200nm〜400nmの範囲で用いられるが、340〜380nmが好ましい。照射時間は1〜20時間が用いられるが、3〜7時間が好ましい。反応スケール、反応装置に応じて適宜変えられる。反応溶媒はDMF、メタノール、水等が用いられる。
生成物はイオン交換樹脂で生成物を吸着させたのち、アンモニア水で生成物を脱離させて精製できる。吸着に用いるイオン交換樹脂はDEAE−Sephadex、Dowex1−X8が用いられる。
次に、前記官能基を有するCDについて説明する。
本発明において、官能基を有するCDは、CD環を構成する各グルコピラノース分子の6位の第1級水酸基全てが、官能基で置換されてなることが好ましい。CDへの前記官能基の導入は、任意の方法によって行うことができる。
CD環を構成する各グルコピラノース分子の6位の第1級水酸基に官能基を有するCDの官能基は、アミノ基、エーテル基、チオエーテル基、カルボキシル基、アジド基、p−トルエンスルホニル基、エポキシド基、不飽和基、チオール基、アセトキシ基、フェノキシ基、およびヨウ素、臭素および塩素のハロゲン基等が挙げられ、アミノ基がより好ましい。
具体例として、CD環を構成する各グルコピラノース分子の6位の第1級水酸基全てを、アミノ基で置換したヘプタキス−6−アミノ−β−シクロデキストリン(下記式1)(以下、単に「パーアミノ化CD」ということもある。)は、当業界における任意の方法で、各グルコピラノース分子の6位の第1級水酸基全てをクロロ化(いわゆるパークロロ化)し、パーアジド化した後にパーアミノ化することにより得られる。
次に、前述のCD環を構成する各グルコピラノース分子の6位の第1級水酸基全てにスペーサーアームを有するCDについて説明する。
前記スペーサーアームを有するCDは、前記CD環を構成する各グルコピラノース分子の6位の第1級水酸基全てに官能基を有するCDに、スペーサーアームとして1又は2以上(好ましくは1又は2)のアミノカプロン酸を縮合反応することにより構築することができる。
前記縮合反応は下記スキームのように表される。
Figure 0005144957
具体的には、メタノール/水の混合溶媒等の反応溶媒中、へプタキス−6−アミノ−β−CD(前記式1)に対し、アミノ基がテトラ−ブチルオキシカルボニル(Boc)基で保護されたアミノカプロン酸8〜40当量を室温(20℃)で2時間〜150時間(好ましくは2時間〜24時間)縮合反応させた後、任意の脱保護(脱Boc化)反応することが好ましい。縮合剤の選択および反応溶媒の選択は、すべて当業者が適宜行うことができるが、縮合剤としては、後述する4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリドが好ましく、反応溶媒としては、トリエチルアミン(TEA)あるいはN−メチルモルホリン(NMM)等の塩基性化合物が存在するメタノール/水の混合溶媒が好ましい。
前記縮合反応と脱保護反応とをn回繰り返すことにより、CD環を構成する各グルコピラノース分子の6位の第1級水酸基全てに、スペーサーアームとしてのアミノカプロン酸をn個有するCDを構築することができる。後述のようにnは1又は2であることが好ましい。
以下、n=1の場合の上記式2で表されるβ−CDは、単に「へプタキス−6−アミノ−cap1−β−CD」ということもあり、n=2の場合の上記式3で表されるβ−CDは、単に「へプタキス−6−アミノ−cap2−β−CD」ということもある。
本発明の製造方法において、前記スペーサーアームにより煩雑な操作を要することなく分離精製が困難で入手が困難な天然糖鎖をミミックすることができる。ここで、「天然糖鎖をミミックする」とは、天然糖鎖のうち、レクチン等の標的タンパク質による認識に最も関わる特定の糖だけを前記糖鎖アームユニットに含ませ、前記認識に強く関わらない部分についてはスペーサーアームとしてミミックし、大量合成を可能とすることをいう。
前記スペーサーアームは、天然糖鎖をミミックするのに充分な長さおよび構造を有する観点からnは1又は2であることが好ましい。前記スペーサーアームは、末端に縮合反応のための官能基を有する。
本発明の製造方法において、前記パーアミノ化CD(式1)、前記へプタキス−6−アミノ−cap1−β−CD(式2)又は前記へプタキス−6−アミノ−cap2−β−CD(式3)と、上記の糖アームユニットとを一緒にして縮合反応により結合させ、目的の多分岐CD化合物を製造することができる。
前記縮合反応は、糖アームユニットのグリコシドがマンノシドの場合を例にすると下記スキームのように表される。
Figure 0005144957
具体的には、前記パーアミノ化CD(式1)、前記へプタキス−6−アミノ−cap1−β−CD(式2)又は前記へプタキス−6−アミノ−cap2−β−CD(式3)に対し、8〜40当量の糖アームユニット(式4)を反応溶媒に溶解し、トリエチルアミン(TEA)あるいはN−メチルモルホリン(NMM)等の塩基性化合物存在下、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリドとパーアミノ化CDとの反応を室温(20℃)で2時間〜150時間行うことが好ましく、2時間〜24時間行うことがより好ましい。
反応溶媒としては、化合物の溶解性に応じて、ジメチルホルムアミド(DMF)、水、メタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、N−メチルピロリジノン(NMP)等を使用することができる。縮合剤の選択および反応溶媒の選択は、すべて当業者が適宜行うことができる。
上記縮合反応において使用しうる縮合剤としては、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(以下「DMT−MM」という)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(以下「DCC」という)、水溶性カルボジイミド(以下「WSC」という)等の当業界で任意の縮合剤が挙げられる。当業者は、選択した官能基や反応溶媒の種類に応じて適切な縮合剤を選択することができる。たとえば、上記縮合反応において糖アームユニットの側鎖の末端の官能基がカルボキシル基であり、CD上の官能基がアミノ基である場合のように、カルボキシル基とアミノ基とを反応させる場合、前記縮合剤DMT−MMを用いることが効率の点で好ましい。
DMT−MMは、カルボン酸と反応して活性エステルを生成し、その後アミンと反応してアミド結合を生成する。反応もエタノール、メタノール、i−プロパノール、水等の様々な溶媒中で進行し、かつ定量的に反応が進行するという報告があり、注目されている(例えば、M.Kunishima,C.Kawachi,J.Morita,K.Terao,F.Iwasaki,S.Tani,Tetrahedron,55,13159‐13170(1999)参照。)。
たとえば、反応溶媒としてカルボン酸と等しいモル当量のトリエチルアミンを使用し、縮合剤として5倍モル当量のDMT−MMを使用することができる。
生成物はDEAE−Sepahdexイオン交換樹脂による未反応物の除去のあと、GPCクロマトグラムにより生成物を精製・単離することが好ましい。
GPCに用いるゲルは、Sephadex、TOSO−PW gel、Bio gel(いずれも商品名)などが用いられるが、分離精製能の観点から、Bio gelが好ましい。
また、上記縮合反応は、縮合剤の非存在下で行うことができる。たとえば、糖アームユニットに官能基としてチオール基を導入し、CDにヨウ素のようなハロゲン基を導入して、両者をアルカリ雰囲気中で反応させることができる。
製造された目的の多分岐CD化合物の構造確認は、当業界で任意の方法によって行うことができる。
次に、本発明の標的指向性薬物送達剤について説明する。
本発明の標的指向性薬物送達剤は、前記多分岐シクロデキストリン化合物からなるTDDS用の薬物送達剤である。
ここで、標的指向性薬物送達システム(TDDS)とは、薬物の投与形態を工夫することで薬物の体内動態を精密に制御することにより、薬物を標的細胞に選択的かつ局所的に投与することをいう。
本発明の標的指向性薬物送達剤は、前記一般式1中の前記α−グリコシル基が、マンノシル又はグルコシルである多分岐CD化合物の場合には、マクロファージを介して癌疾患に対して用いられる。
また、前記一般式1中の前記α−グリコシル基がガラクトシルである多分岐CD化合物の場合には、肝実質細胞表面を標的とすることができ、肝癌疾患に対して用いられる。
また、前記α−グリコシル基がフコシルである多分岐CD化合物の場合には、大腸表面細胞を標的とすることができ、大腸癌疾患に対して用いられる。また、前記α−グリコシル基がシアル酸基である多分岐CD化合物の場合には、インフルエンザウイルス疾患に対して用いられる。
次に、薬物および標的タンパクとの会合評価について説明する。
前記多分岐CD化合物の二重認識能を評価する方法としては、表面プラズモン共鳴法により得られた、前記多分岐CD化合物の薬物に対する包接会合定数、及び前記多分岐CD化合物の標的タンパク質に対する認識会合定数からなる二次元プロットを用いてなることが好ましい。
ここで、「二重認識」とは、本発明の多分岐CD化合物が、その糖鎖部分によって標的タンパク質に会合する一方、CD部分によって薬物を包接会合することをいう。
前記包接される薬物としては、制癌医薬品ドキソルビシン(DXR)等が挙げられる。
標的タンパク質としては、コンカナバリンA等のレクチン、細胞表面等に存在するレセプタータンパク質等が挙げられる。
DXR等の薬物、またはレクチン等の標的タンパク質を固定化したSPR光学バイオセンサーを用いて、各会合定数を求め、二次元プロットすることにより、前記標的指向性薬物送達剤として有望な多分岐CD化合物をスクリーニングできる。
前述の二重認識能を評価する方法において、動物実験や臨床実験を経ずして、医薬品および対応するレクチンタンパクまたは対応する細胞表面のレセプタータンパクとの会合定数を、それぞれ求め、各対数を横軸、縦軸にプロットして二重認識を評価し、右上に上がれば上がるほど、薬剤包接能及び標的タンパク質との会合能いずれにも優れるTDDS用の薬物送達剤ということができる。
次に、SPR光学バイオセンサーの原理について説明する。
SPR光学バイオセンサー(例えば、IAsys)を用いた表面プラズモン共鳴(SPR)法は、生体高分子の分子間相互作用を測定することができる。
本発明の多分岐CD化合物の、標的タンパク質に対する会合測定、及び薬剤包接会合測定はいずれも、SPR法により行うことができる。
具体的には、リガンド(例えば、コンカナバリンA)をキュベット上に固定化し、緩衝溶液に溶解させたアナライト(例えば、本発明の多分岐CD化合物)を前記キュベットに注入する。そして、プリズムに全反射角以下の入射角でレーザーを入射するときに生じるエバネッセント波と表面プラズモン波が表面プラズモン共鳴(SPR)を起こすときの入射角を測定する。600nmのエバネッセントフィールド内の質量に応じて、SPRを生じる入射角が変化する。その変化量を観測でき、このときの変化量をレスポンス(R)という。この入射角が会合した分子の質量に比例する。すなわち、これらの質量変化から会合解離相互作用を観測できる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
参考例1 へプタキス−6−アミノ−β−CD(前記式1)の製造
(1)へプタキス−6−クロロ−β−CDの製造
二口フラスコにβ−CD3.0274g入れ、エタノールにて4回共沸させ脱水後、真空乾燥(40℃)を20時間行った。真空乾燥後、フラスコ内をN置換してから取り出し、β−CD2.75g(2.42×10−3mol)を得た。これに、予めCaHで脱水したDMF23mlを入れて溶解させ、N気流下に置いた。さらに、メタンスルホニルクロライド2.9ml(37×10−3mol)を穏やかに滴下した。その後、油浴温度80℃で4時間30分反応させた。室温まで冷ました後、反応を停止させるためにエタノール5mlを入れて30分攪拌し、ナトリウムメトキシド28%メタノール溶液約12mlで中和させて(pH7〜8)、16時間20分攪拌した。
これをエバポレーターにて濃縮乾固し、ブフナー漏斗に移してメタノールおよび水により生成物を洗浄した。真空乾燥(40℃)24時間20分後、収量2.5886g、収率85%を得た。生成物はTLCおよびレーザーイオン化飛行時間型質量分析装置(MALDI−TOF MS)にて確認した。TLCは、展開溶媒1−ブタノール:エタノール:水=5:4:3、呈色試薬アニスアルデヒドを用い、R値0.83を示した。
(2)へプタキス−6−アジド−β−CDの製造
ナスフラスコ中、へプタキス−6−クロロ−β−CD1.2630g(9.9930×10−4mol)をDMAc(ジメチルアセトアミド):水=60ml:8mlで溶解し、アジ化ナトリウム1.4232g(218.9×10−4mol)を加えた。油浴温度110℃で24時間反応後、反応溶液が室温に下がるまで1時間攪拌した。溶液を約700mlの水にピペットを用いて滴下し、生成物を沈殿化させ、不純物である濾液を除去した。濾物は、ブフナー漏斗に移して水により洗浄した。真空乾燥(40℃)13時間後、収量1.1562g、収率88%を得た。生成物はTLCおよびMALDI−TOF MSにて確認した。TLCは、展開溶媒1−ブタノール:エタノール:水=5:4:3、呈色試薬アニスアルデヒドを用い、Rf値0.77を示した。
(3)へプタキス−6−アミノ−β−CD(前記式1)の製造
ナスフラスコ中、へプタキス−6−アジド−β−CD1.0015g(7.6446×10−4mol)、トリフェニルホスフィン3.1962g(121.86×10−4mol)をDMAc73mlで溶解させ、室温にて1時間反応後、25%アンモニア水30ml(4000×10−4mol)を加えて22時間30分攪拌した。反応後、エバポレーターにて濃縮し、エタノール500mlを加えて生成物を沈殿化させ不純物である濾液を除去した。濾物は、ブフナー漏斗に移してエタノールにより洗浄した。真空乾燥(40℃)19時間50分後、収量0.8321g、収率96%を得た。生成物はTLCおよびMALDI−TOF MSにて確認した。TLCは、展開溶媒1−ブタノール:エタノール:水=5:4:3、呈色試薬アニスアルデヒドおよびニンヒドリンを用いた。
参考例2 へプタキス−6−アミノ−cap1−β−CD(前記式2)の製造
へプタキス−6−アミノ−β−CD(前記式1)(1.71g)へアミノカプロン酸を導入するため、アミノ基がBoc基で保護されたアミノカプロン酸(10当量,3.51g)を用いて、メタノール/水混合溶媒(1:1v/v,20ml:20ml)中でNMM(10当量,1.67ml)を加えた後、DMT−MM(10当量,4.2g)を一気に加え、室温で48時間反応させた。反応後エバポレーターにて濃縮し、純水により生成物を再沈させた。ろ液を除去後、メタノールへ溶解させ、ろ物を乾固してヘプタキス−6−Boc−アミノ−cap1−β−CDを得た。
へプタキス−6−Boc−アミノ−cap1−β−CDへ4M−HCl/ジオキサン溶液約4mlを加えて、氷冷下で3時間撹拌し、脱Boc化を行い、へプタキス−6−アミノ−cap1−β−CD(前記式2)を得た。収量2.17g、収率74.6%であった。生成物の確認はMALDI−TOF MSを用いた。
MALDI−TOF MS: Calcd. 1920.55[M],1943.54[M+Na],1959.65[M+K] ;Found m/z 1919.50,1956.81
参考例3 へプタキス−6−アミノ−cap2−β−CD(前記式3)の製造
前記へプタキス−6−アミノ−cap1−β−CD(1.0g)へ更にアミノカプロン酸を導入するためアミノ基がBoc基で保護されたアミノカプロン酸(20当量,2.4g)を用いて、メタノール溶媒(100ml)中でNMM(20当量,1.15ml)を加えた後、DMT−MM(20当量,2.88g)を一気に加え、室温で48時間反応させた。反応後エバポレーターにて濃縮し、純水により生成物を再沈させた。ろ液を除去後、メタノールへ溶解させ、ろ物を乾固してヘプタキス−6−Boc−アミノ−cap2−β−CDを得た。
へプタキス−6−Boc−アミノ−cap2−β−CDへ4M−HCl/ジオキサン溶液約4mlを加えて、氷冷下で3時間撹拌し、脱Boc化を行い、へプタキス−6−アミノ−cap2−β−CD(前記式3)を得た。収量1.46g、収率103.4%であった。生成物の確認はMALDI−TOF MSを用いた。
MALDI−TOF MS: Calcd.2712.3[M],2735.29[M+Na],2751.4[M+K] ;Found m/z 2711.45,2732.78,2748.80
実施例1 例示化合物1「ヘプタキス−6−(1−α−D−マンノシル−オキシプロピルチオエチルアミド)−β−CD」の製造
(1)1−α−D−マンノシル−オキシプロペンの製造
二口フラスコにマンノース1.0073g(5.5942×10−3mol)を入れ、エタノールにて4回共沸させ脱水後、真空乾燥(40℃)を139時間17分行った。真空乾燥後、フラスコ内をN置換してから取り出し、アリルアルコール10ml;150×10−3molを入れて溶解させ、N気流下に置いた。これに、Dowex 50W−X8 0.6560gを酸触媒として加え、油浴温度125℃で2時間還流した。その後、吸引濾過によりDowex 50W−X8を除き、二口フラスコに移して(吸引瓶内の残りを二口フラスコに移す際はメタノールで)濃縮乾固した。さらに、メタノールを加え濃縮乾固という操作を3回行い、凍結乾燥44時間24分後、収量1.2602g、収率100%で生成物を得た。生成物はTLCおよびMALDI−TOF MSにて確認した。TLCは、展開溶媒1−ブタノール:エタノール:水=5:4:3、呈色試薬アニスアルデヒドを用い、Rf値0.75を示した。
(2)1−α−D−マンノシル−オキシプロピルチオエチルカルボン酸(前記式4)の製造
二口フラスコ中、1−α−D−マンノシル−オキシプロペン1.2938g(5.879×10−3mol)をメタノール5mlに溶解し、20分間アルゴン気流下においた。その後、3−メルカプトプロピオン酸0.5ml(6×10−3mol)を加え、アルゴン気流を止めて蓋を付け、撹拌しながら紫外線(波長365nm)照射を5時間行った。
濃縮乾固、凍結乾燥後、精製は弱陰イオン交換樹脂DEAE−Sephadexおよび強陰イオン交換樹脂Dowex1−X8にて行った。
まず、DEAE−Sephadex(30g)にてバッチ処理10時間を行い、生成物のカルボン酸基を吸着させ、吸引濾過を行った。さらに、濾液を濃縮乾固して凍結乾燥し、3分割してDEAE−Sephadexでカラム処理を行った。その濾液を濃縮乾固して、水15ml、Dowex1−X8 11.35gを加え16時間15分バッチ処理後、吸引濾過した。濾液に約18gのDowex1−X8を加え(pH4→pH6.5になるまで)2時間バッチ処理後吸引濾過した。生成物を吸着させたDEAE−Sephadex、Dowex1−X8をそれぞれ、1Mアンモニア水(樹脂の交換容量の5倍以上のモル数を含む量)にて30分〜1時間バッチ処理し、生成物を脱離、吸引濾過、1Mアンモニア水で洗浄。この操作を3回〜6回行い、濾液を濃縮した。混入した樹脂を再度濾別して凍結乾燥した。収量1.6744g、収率87%を得た。
生成物はTLC、MALDI−TOF MSおよびNMRにて確認した。TLCは、展開溶媒1−ブタノール:エタノール:水=5:4:3、呈色試薬アニスアルデヒドおよびブロモクレゾールグリーンを用い、Rf値0.47を示した。
(3)例示化合物1「ヘプタキス−6−(1−α−D−マンノシル−オキシプロピルチオエチルアミド)−β−CD」の製造
へプタキス−6−アミノ−β−CD(前記式1)44.3gと、前記1−α−D−マンノシル‐オキシプロピルチオエチルカルボン酸(前記式4)591mg(へプタキス−6−アミノ−β−CDに対し40当量)を水2ml、メタノール2ml(1:1)で溶解し、縮合剤であるDMT−MMを510.2g(へプタキス−6−アミノ−β−CDに対し40当量)加え、常温で24時間攪拌し反応させた。
MALDI−TOF MSで生成物の確認後、10倍量のアセトンに溶液をパスツールピペットを用いて、少量ずつ加えていき、生成物を析出させた。
一晩おき、アセトンを取り除いた後固体を水で溶解し、サンプル瓶に移し、凍結乾燥した。
この粗生成物を、Sephadex G−25にてカラム精製し、ヘプタキス−6−(1−α−D−マンノシル−オキシプロピルチオエチルアミド)−β−CD(前記例示化合物1)を収量29.2g、収率23%で白色の固体を得た。
確認は、H NMR、MALDI−TOF MS、TLCにて行った。
H NMR(500 MHz,重水、80℃)δ(ppm):2.28(14H,s) 2.98(14H,s) 3.04(14H,s) 3.22(14H,s) 5.23(7H,s) 5.48(7H,s)
MALDI−TOF MS: Calcd. 3309.52[M+Na]、3325.63[M+K] ;Found 3309.24[M+Na]、3324.89[M+K]
TLC Rf値:0.77 展開溶媒:1−ブタノール:水:DMF:エタノール:酢酸=10:10:3:1:1 呈色溶液:アニスアルデヒド
実施例2 例示化合物2「ヘプタキス−6−(1−α−D−マンノシル−オキシプロピルチオエチルアミド−cap1)−β−CD」の製造
前記へプタキス−6−アミノ−cap1−β−CD5.1gと、前記1−α−D−マンノシル‐オキシプロピルチオエチルカルボン酸(前記式4)59.8g(前記へプタキス−6−アミノ−cap1−β−CDに対し30当量)をメタノール3mlで溶解し、脱塩剤NMM20.0μl(前記へプタキス−6−アミノ−cap1−β−CDに対し30当量)を加えた後、縮合剤DMT−MMを49.5g(前記へプタキス−6−アミノ−cap1−β−CDに対し30当量)加え、油浴温度30℃で24時間攪拌し反応させた。
MALDI−TOF MSで生成物の確認後、10倍量のアセトンに溶液をパスツールピペットを用いて、少量ずつ加えていき、生成物を析出させた。
一晩おき、アセトンを取り除いた後固体を水で溶解させ、サンプル瓶に移し、凍結乾燥した。
粗生成物を、Bio Gel P−4でカラム精製し、収量2.97g、収率13%で無色で透明なアメ状のヘプタキス−6−(1−α−D−マンノシル−オキシプロピルチオエチルアミド−cap1)−β−CD(例示化合物2)を得た。
確認は、H NMR、MALDI−TOF MS、および TLCにて行った。
H NMR(500MHz,重水、70℃)δ(ppm):1.59〜1.65 (14H,m) 1.78〜1.85(14H,m) 1.85〜1.91(14H,m) 2.17〜2.22(14H,m) 2.54〜2.58(14H,t,J=8.25Hz) 2.80〜2.83(14H,t,J=7.03Hz) 2.94〜2.97(14H,t,J=7.15Hz) 3.09〜3.12(14H,t,J=6.85Hz) 3.47〜3.50(14H,t,J=6.55Hz) 5.16(7H,s) 5.35(7H,s)
MALDI−TOF MS:Calcd. 4102.07[M+Na] ;Found 4101.43[M+Na]
TLC Rf値:0.88 展開溶媒:1‐ブタノール:DMF:水=1:1:1
呈色溶液:アニスアルデヒド
実施例3 例示化合物3「ヘプタキス−6−(1−α−D−マンノシル−オキシプロピルチオエチルアミド−cap2)−β−CD」の製造
メタノール6ml中、脱塩酸剤NMM53μl存在下で、へプタキス−6−アミノ−cap2−β−CD43.2mgを1−α−D−マンノシル−オキシプロピルチオエチルカルボン酸(前記式4)164.6mgとDMT−MM140.5mgにより室温で8時間反応させた。アセトンにて再沈、吸引濾過した。アセトン洗浄し、メタノールで濾紙中の生成物を溶かし出して濃縮乾固した。凍結乾燥後、精製は、Bio−Gel P−4(φ3cm×64.5cm、溶出速度0.06ml/分、sample size 34mg/ml(水))を用いて、GPCにより行い、収量22.8mg、収率29%でヘプタキス−6−(1−α−D−マンノシル−オキシプロピルチオエチルアミド−cap2)−β−CD(例示化合物3)を得た。また、TLC Rf値:0.78 展開溶媒:1‐ブタノール:DMF:水=1:1:1 呈色溶液:アニスアルデヒド)、MALDI−TOF MS:([M+Na];Calcd.4893.72,Found4896.11,[M+K];Calcd.4909.83,Found 4912.21)、1H NMRにて生成物を確認した。
H NMR:(500MHz,重水、70℃)δ(ppm):1.60〜1.66 (28H,m) 1.78〜1.85(28H,m) 1.85〜1.91(28H,m) 2.15〜2.21(14H,m) 2.50〜2.53(28H,t,J=7.33Hz) 2.80〜2.82(14H,t,J=6.43Hz) 2.94〜2.96(14H,t,J=6.70Hz) 3.08〜3.11(14H,t,J=6.70Hz) 3.47〜3.50(28H,t,J=7.03Hz) 5.15(7H,s) 5.35(7H,s)
実施例4 例示化合物4「ヘプタキス−6−(1−α−L−フコシル−オキシプロピルチオエチルアミド)−β−CD」の製造
実施例1において前述した1−α−D−マンノシル−オキシプロピルチオエチルカルボン酸(前記式4)の製造と同様な手順により1−α−L−フコシル−オキシプロピルチオエチルカルボン酸を製造した。
Calcd: 333.35[M+Na]、349.46[M+K];Found:332.21[M+Na]、348.20[M+K]
次に、前記1−α−L−フコシル−オキシプロピルチオエチルカルボン酸と、前記へプタキス−6−アミノ−β−CDを縮合反応させた、新規化合物ヘプタキス−6−(1−α−L−フコシル−オキシプロピルチオエチルアミド)−β−CD(例示化合物4)の製造を行った。
前記1−α−L−フコシル−オキシプロピルチオエチルカルボン酸812.2mg、2.66×10−3mol(30当量)と、前記へプタキス−6−アミノ−β−CD 102.0mg、8.86×10−5molを三角フラスコに入れ、メタノール2.0ml、水2.0mlで溶解した。次に縮合剤としてDMT−MMを736.9mg加えて溶解させ、室温で約24時間攪拌し、反応させた。
その後、反応溶液にアセトンを加え沈殿化させ、凍結乾燥を行った。反応物を286.4mgを得た。精製はSephadex G25によるGPCで行った。
生成物はTLC及びMALDI−TOF−MS、H NMRにて確認を行った。
TLCの展開溶媒は、1−ブタノール:水:DMF:メタノール:酢酸=10:10:3:1:1、呈色試薬はアニスアルデヒドを用いて、Rf値0.65の単一スポットを得た。
MALDI−TOF MS: Calcd.:3197.53[M+Na]、3213.63[M+K];Found:3197.68[M+Na]、3213.63[M+K]
H NMR(500MHz,重水、25℃)δ(ppm):1.10〜1.13(21H,d) 1.35(14H,s) 2.43(14H,s) 2.50(14H,s) 2.70(14H,s) 4.71(7H,s) 4.98(7H,s)
実施例5 例示化合物5「へプタキス−6−(1−α−L−フコシル−オキシプロピルチオエチルアミド−cap1)−β−CD」の製造
参考例2で製造したヘプタキス−6−アミノ−cap1−β−CD(前記式2)に前記1−α−L−フコシル−オキシプロピルチオエチルカルボン酸を縮合反応させ、新規化合物ヘプタキス−6−(1−α−L−フコシル−オキシプロピルチオエチルアミド−cap1)−β−CD(例示化合物5)の製造を行った。三角フラスコにヘプタキス−6−アミノ−cap1−β−CD(0.1g)と前記1−α−L−フコシル−オキシプロピルチオエチルカルボン酸(30当量,0.49g)を加え、メタノール(50ml)で溶解させた後、NMM(30当量,175μl)、DMT−MM(30当量,0.44g)を一気に加え、24時間反応させた。そして、アセトン再沈、吸引ろ過、凍結乾燥後、へプタキス−6−(1−α−L−フコシル−オキシプロピルチオエチルアミド−cap1)−β−CD(例示化合物5)を得た。粗収量0.211g、粗収率101.35%であった。その後Sephadex G25およびBio−Gel P4によるカラムクロマトグラフィーによって精製を行った。精製収量9.4mg、精製収率2.1%であった。生成物の確認はMALDI−TOF MS及びTLC、H NMRを用いた。
H NMR(500MHz,重水、70℃)δ(ppm):1.51〜1.63(14H,m) 1.80〜1.83(14H,m) 1.88〜1.91(14H,m) 2.19〜2.20(14H,m) 2.53〜2.55(14H,m) 2.80〜2.83(14H,t) 2.95〜2.98(14H,t) 3.09〜3.12(14H,t) 3.48〜3.50(14H,m) 5.16〜5.17(7H,d) 5.35〜5.34(7H,d)
MALDI−TOF MS: Calcd.3966.63[M],3989.96[M+Na],4006.06[M+K] Found m/z3991.29,4007.90
TLC: Rf値0.86 展開溶媒1−ブタノール:DMF:水=1:1:1 呈色溶液:アニスアルデヒド
実施例6 例示化合物6「へプタキス−6−(1−α−L−フコシル−オキシプロピルチオエチルアミド−cap2)−β−CD」の製造
参考例3で製造したヘプタキス−6−アミノ−cap2−β−CD(前記式3)に糖鎖ユニットである前記1−α−L−フコシル−オキシプロピルチオエチルカルボン酸を縮合反応させ、新規化合物ヘプタキス−6−(1−α−L−フコシル−オキシプロピルチオエチルアミド−cap2)−β−CD(例示化合物6)の製造を行った。三角フラスコにヘプタキス−6−アミノ−cap2−β−CD(前記式3)(30当量,78.1mg)と前記1−α−L−フコシル−オキシプロピルチオエチルカルボン酸(30当量,0.27g)を加え、メタノール(20ml)で溶解させた後、NMM(30当量,96μl)、DMT−MM(30当量,0.24g)を一気に加え、24時間反応させた。そして、アセトン再沈、吸引ろ過、凍結乾燥後、ヘプタキス−6−(1−α−L−フコシル−オキシプロピルチオエチルアミド−cap2)−β−CDを得た。粗収量76.9mg、粗収率56.12%であった。その後Sephadex G25によるカラムクロマトグラフィーによって精製を行った。精製収量7.6mg、精製収率12%であった。生成物の確認はMALDI−TOF MSおよびTLC、H NMRを用いた。
H NMR(500MHz,重水、70℃)δ(ppm):1.06〜1.11(28H,m) 1.16〜1.19(28H,m) 1.33〜1.43(28H,m) 1.44〜1.45(14H,m) 2.04〜2.07(28H,t) 2.34〜2.37(14H,t) 2.50〜2.53(14H,t) 2.63〜2.65(14H,t) 3.01〜3.04(28H,t) 4.71(5H,d) 4.80(2H,d) 4.88(7H,s)
MALDI−TOF MS: Calcd.4781.73[M+Na],4797.84[M+K] Found m/z 4785.03,4801.62
TLC: Rf値0.81 展開溶媒1−ブタノール:DMF:水=1:1:1 呈色溶液:アニスアルデヒド
実施例7 例示化合物7「ヘプタキス−6−(1−α−D−ガラクトシル−オキシプロピルチオエチルアミド)−β−CD」の製造
実施例1において前述した1−α−D−マンノシル−オキシプロピルチオエチルカルボン酸(前記式4)の製造と同様な手順により1−α−D−ガラクトシル−オキシプロピルチオエチルカルボン酸を製造した。
Calcd.:349.35[M+Na]、365.46[M+K];Found:349.02,365.00
次に、1−α−D−ガラクトシル−オキシプロピルチオエチルカルボン酸(1.59g)、へプタキス−6−アミノ−β−CD(前記式1)(0.105g)、DMT−MM(1.23g)をメタノール中室温で44時間撹拌し、アセトンによる再沈殿後、GPCにより精製を施しヘプタキス−6−(1−α−D−ガラクトシル−オキシプロピルチオエチルアミド)−β−CDを収率0.08%で得た。生成物の確認はMALDI−TOF MS及び、TLCによって行った。(展開溶媒 1−ブタノール:エタノール:水=5:4:3,呈色試薬 アニスアルデヒド,Rf値0.06)
GPC条件:φ3cm×119cm、溶出速度0.20/分、濃度10.6mg/ml(水)
MALDI−TOF MS:Calcd.:3309.52[M+Na]、Found:3309.82[M+Na]
実施例8 例示化合物8「ヘプタキス−6−(1−α−D−ガラクトシル−オキシプロピルチオエチルアミド−cap1)−β−CD」の製造
1−α−D−ガラクトシル−オキシプロピルチオエチルカルボン酸(184mg)、前記へプタキス−6−アミノ−cap1−β−CD(37mg)、DMT−MM(155mg)、NMM(62μl)をメタノール中室温で3時間撹拌し、アセトンによる再沈殿後、GPCにより精製を施しヘプタキス−6−(1−α−D−ガラクトシル−オキシプロピルチオエチルアミド−cap1)−β−CD(例示化合物8)を収率25%で得た。生成物の確認はMALDI−TOF MS、TLC及び、H NMRによって行った。
TLC: (展開溶媒 1−ブタノール:エタノール:水=5:4:3、呈色試薬 アニスアルデヒド,Rf値0.06)。
GPC条件:φ3cm×63cm、溶出速度0.10/分
MALDI−TOF MS: Calcd.:4101.62[M+Na]、4117.72[M+K]、Found:4103.64[M+Na]、4118.96[M+K]
H NMR(500MHz,重水、80℃)δ(ppm): 1.71〜1.72(14H,m) 1.89〜1.92(14H,m) 1.97〜2.00(14H,m) 2.26〜2.29(14H,m) 2.62〜2.64(14H,t,J=8.55Hz) 2.89〜2.92(14H,t,J=7.00Hz) 3.03〜3.06(14H,t,J=6.50Hz) 3.18〜3.21(14H,t,J=7.05Hz) 3.57〜3.58(14H,t,J=7.90Hz) 5.37(7H,s) 5.43〜5.44(7H,s)
実施例9 例示化合物9「ヘプタキス−6−(1−α−D−ガラクトシル−オキシプロピルチオエチルアミド−cap2)−β−CD」の製造
1−α−D−ガラクトシル−オキシプロピルチオエチルカルボン酸(183mg)、へプタキス−6−アミノ−cap2−β−CD(51mg)、DMT−MM(156mg)、NMM(60μl)をメタノール中室温で3時間撹拌し、アセトンによる再沈殿後、GPCにより精製を施しヘプタキス−6−(1−α−D−ガラクトシル−オキシプロピルチオエチルアミド−cap2)−β−CDを収率4%で得た。生成物の確認はMALDI−TOF MS、TLC及び、H NMRによって行った。
TLC:(展開溶媒 1−ブタノール:エタノール:水=5:4:3、呈色試薬 アニスアルデヒド,Rf値0.06)。
GPC条件:φ3cm×63cm、溶出速度0.08/分
MALDI−TOF MS: Calcd.:4893.91[M+Na]、4910.02[M+K]、Found:4897.98[M+Na]、4914.82[M+K]
H NMR(500MHz,重水、80℃)δ(ppm):1.70〜1.74(28H,m) 1.87〜1.92(28H,m) 1.97〜1.99(28H,m) 2.26〜2.28(14H,m) 2.59〜2.61(14H,m) 2.88〜2.91(28H,t,J=6.98Hz) 3.02〜3.05(14H,t,J=6.40Hz) 3.17〜3.20(14H,t,J=6.88Hz) 3.55〜3.58(14H,t,J=6.85Hz) 5.37(7H,s) 5.43(7H,s)
実施例10 例示化合物1〜3の標的タンパク質(コンカナバリンA)及びDXRに対する認識会合能の評価
試験1. コンカナバリンAに対する認識会合能の測定
<コンカナバリンAの固定化>
固定化に用いた試薬類は下記のようにして得た。
・10mMリン酸緩衝溶液(pH7.7):10mMリン酸二水素カリウム溶液と10mMリン酸水素二ナトリウム溶液をそれぞれ調製し、pH7.7になるように混合して得た。
・1mM BS溶液:ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS) 2.9mgを上記の10mMリン酸緩衝溶液(pH7.7)5mlに溶かして得た。
・10mM酢酸緩衝溶液(pH5.3):10mM酢酸溶液と10mM酢酸ナトリウム溶液をそれぞれ調製し、pH5.3になるように混合してえた。
・コンカナバリンA固定溶液:コンカナバリンA2.5mgを上記の10mM酢酸緩衝溶液(pH5.3)1mlに溶かして得た。
・1Mエタノールアミン溶液:エタノールアミン210μlを上記の10mM酢酸緩衝溶液(pH5.3)5mlに溶かして得た。
前記IAsysを用いて下記(1)〜(10)の方法でコンカナバリンAを固定化した。
各注入量はコンカナバリンAについては200μlを1回、その他の液については200μlを3回注入した。
(1)まず、10mMリン酸緩衝溶液(pH7.7)を0.5〜2時間間隔でSPR光学バイオセンサーキュベットに何度か加え、レスポンスを安定した。
(2)前記キュベット表面上のアミノシラン基にレクチンタンパクのアミノ基と反応させるためのリンカー剤として、前記1mM BS溶液を注入し予め反応させ、レスポンスが平衡するまで15分ほど放置した。
(3)10mMリン酸緩衝溶液(pH7.7)を前記キュベットに注入しレスポンスが安定するまで待った。
(4)前記(2)、(3)をレスポンスが変化しにくくなるまで複数回(例えば、4回)繰り返した。
(5)未反応のアミノシラン基を不活性化させ、ブロッキングする為、無水酢酸‐酢酸溶液(混合体積比1:1)をキュベットに注入した。
(6)洗浄のため、前記10mMリン酸緩衝溶液(pH7.7)を注入し、その後10mM酢酸緩衝溶液(pH5.3)を注入して溶媒置換した。
(7)前記コンカナバリンA固定溶液を注入し、反応させ、平衡になるまで放置した。
(8)10mM酢酸緩衝溶液(pH5.3)を注入して安定するまで待った。
(9)未反応のBS末端のコハク酸アミドエステル基を不活性化させ、ブロッキングするため、前記1Mエタノールアミン溶液を注入し5分間ほど放置した。
(10)10mM酢酸緩衝溶液(pH5.3)を注入して洗浄した。
なお、以上得られたキュベットの保存には、0.1%アジ化ナトリウム水溶液を添加して保存した。
固定化量に対応するレスポンス(R)が(7)の注入時に測定され、2000arc secであった。
<固定化率の計算>
下記のように固定化率を計算した。
ここで、固定化率とは、キュベット表面上の全アミノシラン基に対して固定化された固定化物の個数を百分率として表した値をいう。
用いたアミノシランキュベットでは、レスポンス(R)600arc secは固定化量1ng/mmに相当するので、固定化量は、R/600[ng/mm]となる。
前記固定化量を固定化物のモル数に換算し、アボガドロ数を考慮し、さらに、キュベット表面上のアミノシラン基が100Åに1本存在することを考慮すれば、固定化の割合は、
6.02R×1014/600M[固定化物の個数/1×1014]/アミノシラン基1本/100Å=602R/600M[固定化物の個数/アミノシラン基1本]
で表され、求める固定化率は、百分率として、602R/6M[%]で表される。
ここで、Rは、固定化のレスポンス[arc sec]、Mは固定化物の分子量を表す。
pH5.3において二量体となるコンカナバリンAの分子量は約53000である。したがって、コンカナバリンAの固定化率は下記のように3.79%と算出された。
602×2000/6×53000=3.79 %
<コンカナバリンAに対する前記例示化合物1〜3の会合評価>
コンカナバリンAを固定化したキュベットに、10mM酢酸緩衝溶液(pH5.3;1mM MnCl,1mM CaCl,100mM NaCl含有)に溶解したヘキサキス−6−(1−α−D−マンノシル−オキシプロピルチオエチルカルボキシアミド)−β−CD(前記例示化合物1)(1.9×10−6M)を200μl注入したところ、図1に示した飽和曲線が得られた。図1は、前記例示化合物1とコンカナバリンAとの認識会合を表すSPR測定結果を示す図である。
測定温度は25.0℃であり、所要時間はレスポンスが飽和に達するまでの5〜15分であった。
これにより、コンカナバリンAに対して前記例示化合物1が会合したことを確認した。
さらに、コンカナバリンAに対する会合定数を求めるため、10mM酢酸緩衝溶液(pH5.3)中に、0.1×10−5〜1.3×10−5Mの範囲で6点の濃度に変化させた前記例示化合物1を含む溶液200μLを、コンカナバリンAを固定化したキュベットに注入して、SPR測定を行った。図2aに得られた結果を示す。図2aは、コンカナバリンAに対する速度論的会合挙動を示す直線プロットである。
図2aに示した直線プロットから、前記例示化合物1のコンカナバリンAに対する会合定数は3.6×10−1であった。
例示化合物2、3についても例示化合物1と同様な手法によりコンカナバリンAに対する会合定数を測定したところ、前記例示化合物2、3のコンカナバリンAに対する会合定数は、それぞれ、4.1×10−1、1.4×1010−1であった。
試験2. 薬物の包接能の測定
薬物として制癌抗生物質であるドキソルビシン(Doxorubicin;以下「DXR」という。)を用い、試験例1と同様の方法で本発明により製造されるCD化合物の包接能を評価した。
1)DXRの固定化
DXRの光学バイオセンサーキュベット表面への固定化は、薬物を溶解させる緩衝溶液としてpHの異なるものを用いたことを除き、上述したレクチンの固定化と同様の操作方法で行った。
キュベット表面のアミノシラン基にDXRのアミノ基と反応させるためのリンカー剤として、1mM BS溶液/10mMリン酸緩衝溶液、pH6.5を反応させた。これを、光学バイオセンサーのレスポンスが変化しなくなるまで数回繰り返し、無水酢酸−酢酸溶液(混合体積比1:1)を加えることで未反応のアミノシラン基を不活性化させ、ブロッキングした。
ブロッキング後、pH5.3の10mM−酢酸緩衝溶液に置換し、DXR溶液(2mg DXR/10mM−酢酸緩衝溶液、pH5.3)を加え、反応させた。その後、キュベット上のバックグラウンドの影響を考慮し、1Mエタノールアミン水溶液、pH8.5でコハク酸アミドエステル基のブロッキングを行った。
DXRの固定化率は、前述のコンカナバリンAの固定化率と同様に算出できる。
DXRのレスポンスの変化量は186.1arc secであったので、R=600arc secのとき1ng/mmで1nmあたり1本のアミノシラン基が存在しているものとして、固定化率はアミノシラン基の32.1%と算出された。
2)測定
上記で作製したDXR固定化キュベットを用い、試験1と同様にして前記例示化合物1とDXRとの速度論的会合挙動を測定した。但し、前記例示化合物1の濃度は、0.5×10−5〜4.0×10−5Mの範囲であった。図2bに得られた結果を示す。図2bは、DXRに対する速度論的会合挙動を示す直線プロットである。
また、同様にして制癌医薬品DXRを固定化したSPRセンサーの測定で得られた図2bに示した直線プロットから、例示化合物1のDXRに対する包接会合定数は1.5×10−1であった。
例示化合物2、3についても例示化合物1と同様な手法によりDXRに対する会合定数を測定したところ、前記例示化合物2、3のDXRに対する会合定数は、それぞれ、1.2×10−1、3.0×1010−1であった。
試験3. 二次元プロットによる例示化合物1〜3の二重認識の評価
前述のように測定された、例示化合物1〜3のコンカナバリンAに対する認識会合定数及びDXRに対する包接会合定数について、それぞれ対数に変換したものを二次元マップにプロットした。
図3は、例示化合物1〜3のDXRおよびコンカナバリンAとの会合定数の2次元プロットを示す図である。
図3において、比較例として未修飾のβ−CD、本発明者らがこれまで製造した下記TDDS用薬物送達剤I、IIについても同様に、二次元マップ上にプロットした。
Figure 0005144957
図3から、下記のように、修飾CD化合物の構造と二重認識能の相関が分かる。
図3中、比較例として未修飾のβ−CD(「III」)は、薬剤に対するlog Kaは3.5程度であるが、糖を有さないためレクチンに対しては0である。
図3中に示したI、IIを結ぶ折れ線は、スペーサーアームが長ければ長いほど、二重認識能に優れることを示している。
図3から明らかなように、本発明の例示化合物1、2及び3は、これまでに得られた他のTDDS用薬物送達剤I、IIに匹敵する高い二重認識能を示し、例示化合物1から2、2から3に行くほど指数関数的に二重認識能が増加し、特に例示化合物3はTDDS用薬物送達剤として有望であることが分かった。
実施例11 例示化合物4〜6のAAL及びDXRに対する認識会合能の評価
フコース残基が特異的会合性を示す大腸表面細胞のモデル物質として、大腸表面細胞のレセプターモデルであるAleuria aurantia lectin(以下AALという。)を用いて、糖鎖認識相互作用を評価した。なお、AALはα−L−フコース含有糖鎖に対し、強く結合することが知られている。
試験1. AALに対する認識会合能の測定
コンカナバリンA固定溶液の代わりにAAL固定溶液としてAAL2.12mg/ml溶液(リン酸緩衝溶液、pH7.2+0.02%NaN)を用いた以外は、実施例10の<コンカナバリンAの固定化>と同様な手順によりAALの固定化を行い(固定化率1.84%)、実施例10と同様な手順によりAALに対する会合定数を測定した。
試験2. DXRの包接能の測定
実施例10で作製したDXR固定化キュベットを用いDXRとの速度論的会合挙動を測定した。
図4に試験1及び2で得られた結果を示す。図4aは、AALに対する速度論的会合挙動を示す直線プロットである。図4bは、DXRに対する速度論的会合挙動を示す直線プロットである。
図4a及びbから明らかなように、AAL及びDXRとの会合測定の結果、例示化合物4では2.0×10−1、および2.1×10−1となり、例示化合物5では2.8×10−1、および1.5×10−1となり、例示化合物6では3.4×10−1、および1.3×10−1となった。
次に、例示化合物4〜6のDXRおよびAALとの会合定数の2次元プロットを作成して二重認識を評価した。
図5は、例示化合物4〜6のDXRおよびAALとの会合定数の2次元プロットを示す図である。
図5から明らかなように、例示化合物4〜6はレクチンに対する会合能は例示化合物4から5、5から6の順に若干の向上したことがわかる。しかし、薬物に対する会合能は同程度であった。
図5中にも示した前記TDDS用薬物送達剤IIと比較すると約100倍の会合定数という結果になった。これはフコース基が疎水性のメチル基を有しているために、DXRを包接したときに、イソギンチャク効果(K.Hattori,A.Kenmoku,T.Mizuguchi,D.Ikeda,M.Mizuno,T.Inazu,J.Inclusion Phenom.Macrocyclic Chemistry,56,9−16(2006)参照。)が強く作用したためと考えられる。
以上の結果より例示化合物4〜6はTDDSの送達剤として応用できることがわかった。
実施例12 例示化合物7〜9の標的タンパク質(PNA)及びDXRに対する認識会合能の評価
肝実質細胞表面に存在する、β−ガラクトース残基へ特異認識を示すアシアロ糖タンパク質レセプターのモデルレクチンであるPNAに対する会合挙動、及び制癌剤DXRに対する包接会合を評価した。
コンカナバリンA固定溶液の代わりにPNA固定溶液を用いた以外は、実施例10の<コンカナバリンAの固定化>と同様な手順によりPNA固定化キュベットを作製した。
さらに、PNAに対する会合定数を求めるため、各例示化合物7〜9について、様々な濃度に変化させた溶液を、PNAを固定化したキュベットに注入して、SPR測定を行い、PNAに対する速度論的会合挙動を示す直線プロットを作成した。
同様に、実施例10で作製したDXR固定化キュベットを用いDXRとの速度論的会合挙動を示す直線プロットを作成した。
上記手順により得られた、各例示化合物7〜9についてのPNA及びDXRに対する会合定数を表1に示す。
Figure 0005144957
表1から明らかなように、ガラクトシド−CD間の距離の増加に伴うレクチン及び薬物への会合能の向上がみられた。また、ガラクトシド−CD間の距離の増加に伴う会合能の向上は一定の増加率を示し、例示化合物7から8、8から9への会合能の向上はそれぞれ約10倍であった。このことから、ガラクトシド−CD間をアミド結合を含むアルキル鎖スペーサーアームで約0.7nm伸張すると、レクチン及び薬物に対する会合が約10倍程度向上することが分かる。
また、スペーサーアームの伸長に伴う疎水性度の増加により薬物への会合能が向上したことがわかる。
図6は例示化合物7〜9のDXRおよびPNAとの会合定数の2次元プロットを示す図である。
図6から明らかなように、例示化合物7から8、8から9の順にレクチン及び薬物いずれにも対する会合能が向上していることがわかる。
実施例13 本発明の多分岐シクロデキストリン化合物からなる標的指向性薬物送達剤のフローサイトメトリーによる細胞内取り込み試験
血液中に存在する通常の糖タンパク質は側鎖末端部にシアル酸末端、ガラクトシル基と続く複雑なマルチアンテナ型のオリゴ糖鎖構造を有し複雑な階層構造をなす複合体を形成している。それらが古くなり寿命が尽きるとともにアンテナ糖側鎖の最先端に位置するシアル酸が切れ、プレ末端基のガラクトシル基が露出したアシアロ糖タンパク質になる。肝実質細胞表面にはアシアロ糖タンパク質レセプターが存在し、その末端構造の変化を識別しながら取り込み、細胞内で消化する機能を有している。
イン ビトロでのヒト肝癌細胞であるHepG2細胞(アシアロ糖タンパク質レセプター発現細胞)内への例示化合物7の取り込み評価を、フローサイトメトリーによって行った。
すなわち、35mmディッシュの一定のウェルで24時間培養したHepG2細胞(2×10細胞数/ウェル)へテトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)でCDの水酸基と反応させ、チオウレタン結合を形成させて蛍光標識したβ−CD、例示化合物7をそれぞれ細胞へ40mM添加し、ウシ胎仔血清なしの培地で1時間培養した後フローサイトメトリー(商品名FACSCalibur;Becton Dickinson社製)を行った。洗浄等には10mM等張リン酸緩衝液(pH7.4)を用いた。
図7は、細胞内取り込みについて得られた結果を示すフローサイトメトリーによる、蛍光強度に対する細胞数のヒストグラムである。
図7中aのピークはコントロールとして何も添加しないHepG2細胞のヒストグラムであり、bのピークは比較例として無修飾β−CDを添加したHepG2細胞のヒストグラムであり、cのピークは本発明の多分岐シクロデキストリン化合物(例示化合物7)を添加したHepG2細胞のヒストグラムである。
無修飾β−CDのピークbの蛍光強度は何も添加していないコントロールaと大差がない。これに対し、本発明の多分岐シクロデキストリン化合物を添加したピークcは、蛍光強度が増加している。これにより、HepG2細胞に本発明の多分岐シクロデキストリン化合物が取り込まれ、その標識であるTRITCによる蛍光に由来して蛍光強度が増加したといえる。
この結果から、本発明の多分岐シクロデキストリン化合物が標的細胞に対し指向的に薬物を送達できることが分かる。
実施例14 共焦点レーザー顕微鏡による細胞内挙動の評価
HepG2細胞に取り込まれた本発明の多分岐シクロデキストリン化合物からなる標的指向性薬物送達剤の細胞内挙動を共焦点レーザー顕微鏡により評価した。
すなわち、35mmディッシュの一定のウェルで24時間培養したHepG2細胞(2×10細胞数/ウェル)へTRITCで蛍光標識したβ−CD、例示化合物7をそれぞれ細胞へ40mM添加し、ウシ胎仔血清なしでの培地で1時間培養した後、メタノールにより定着させ共焦点レーザー顕微鏡(商品名LSM−410;Carl Zeiss社製)により観察を行った。コントロールとして共焦点レーザー微分干渉顕微鏡でも観察を行った。
TRITCで蛍光標識した無修飾β-CDは全くHepG2細胞に全く取り込まれず、HepG2細胞内で蛍光が発せられることは観察されなかった。これに対し、本発明の多分岐シクロデキストリン化合物(例示化合物7)からなる標的指向性薬物送達剤はHepG2細胞に取り込まれ、本発明の多分岐シクロデキストリン化合物を標識したTRITCに由来する蛍光がHepG2細胞全体の各器官から発せられていた。
この結果から、本発明の多分岐シクロデキストリン化合物が標的細胞に指向的に薬物を送達できることが分かる。
図1は、本発明の例示化合物1とコンカナバリンAとの認識会合を表すSPR測定結果を示す図である。 図2aは、例示化合物1のコンカナバリンAに対する速度論的会合挙動を示す直線プロットである。図2bは、例示化合物1のDXRに対する速度論的会合挙動を示す直線プロットである。 図3は、例示化合物1〜3のDXRおよびコンカナバリンAとの会合定数の2次元プロットを示す図である。 図4aは、例示化合物4のAALに対する速度論的会合挙動を示す直線プロットである。図4bは、例示化合物4のDXRに対する速度論的会合挙動を示す直線プロットである。 図5は、例示化合物4〜6のDXRおよびAALとの会合定数の2次元プロットを示す図である。 図6は例示化合物7〜9のDXRおよびPNAとの会合定数の2次元プロットを示す図である。 図7は、本発明の多分岐CD化合物(例示化合物7)からなる標的指向性薬物送達剤の細胞内取り込みを示すフローサイトメトリーによるヒストグラムを示す。

Claims (3)

  1. ヘプタキス−6−(1−α−グリコシル−オキシプロピルチオエチルアミド)−β−シクロデキストリン、ヘプタキス−6−(1−α−グリコシル−オキシプロピルチオエチルアミドヘキサノイルアミド)−β−シクロデキストリン、及びヘプタキス−6−(1−α−グリコシル−オキシプロピルチオエチルアミドヘキサノイルアミドヘキサノイルアミド)−β−シクロデキストリンからなる群より選ばれる、多分岐シクロデキストリン化合物。
  2. シクロデキストリン環を構成する各グルコピラノース分子の6位の第1級水酸基に、アミノ基又はアミノオリゴカプロン酸アミド基を有するシクロデキストリンと、1−α−グリコシル−オキシプロピルチオ脂肪酸とを縮合させることを特徴とする、請求項記載の多分岐シクロデキストリン化合物の製造方法。
  3. 請求項記載の多分岐シクロデキストリン化合物からなる標的指向性薬物送達剤。
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