JP5141310B2 - 陽極酸化法により製造した二酸化チタン - Google Patents
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Description
こうした活性を有する二酸化チタンを、チタンまたはチタン合金の表面に担持せしめるための従来技術としては、蒸着法とゾルゲル法が多用されている。ゾルゲル法はディップコートやスピンコートで行う簡便な方法で、異型基材への担持が可能であるが、量産性に劣るという問題を有している。特にスピンコートでは膜の均一性が悪く平板基板にしか担持できないという短所がある。一方、蒸着法は成膜材の緻密性や均一性に優れているものの、特殊装置を用いることからコストが高く、膜厚が厚いことから剥離の可能性が高いという欠点がある。
特開2005-240139号公報〔特許文献1〕では、陽極酸化の際に高電圧を印加して成膜す
るが、印加電圧は「通常100V以上、好ましくは150V以上」として、200Vを上限にしている。メチレンブルーの分解性能がもっとも優れた陽極酸化膜は、6時間の紫外線照射で分解率が約15%である。一方、特開平8-246192号公報〔特許文献2〕では化成電圧は「50〜150V、より好ましくは70〜110Vの範囲」とし、この電圧より高い場合には、「ルチル型酸化物」となりアナタース型酸化チタンが得られにくいとしている。さらに、特許第3370290
号〔特許文献3〕においては、化成電圧は「好ましくは10〜200V」としている。メチレンブルーの分解性能がもっとも優れた陽極酸化膜は、8時間の紫外線照射で分解率が約75%である。
こうした中1で、陽極酸化法で成膜した二酸化チタンの超親水性を報告した文献はまっ
たく報告されていない。
した。
アナタース構造の結晶性を向上させると、紫外線照射により酸素空孔が形成され易くなるために、酸素空孔への水酸基の吸着が促進され超親水性が改善される。
一方、光触媒性能はルチル相に比べアナタース相のほうが優れていることから、アナタース結晶性の向上が効果的である。結晶性を高めるには平衡熱処理を行うことが望ましが、熱処理は条件が適切でない場合、高温で安定なルチル相が出現する。高い化成電圧で作成した陽極酸化膜や高い電流密度条件下に作成した陽極酸化膜は、熱処理を施す以前にすでに結晶性が高く、高化成電圧による陽極酸化という方法自体や高い電流密度条件下の陽極酸化という方法自体が結晶性の向上に寄与している。
以上のように結晶性を高める手法である高化成電圧で作成した陽極酸化膜や高い電流密度条件下に作成した陽極酸化膜に所定の熱処理を施すことで、超親水性と酸化分解性能の二つの機能を同時に満たす膜の製造が可能となる。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
〔1〕チタンまたはチタン合金からなる基材の表面に、0.08wt%〜1.0wt%の濃度の硫酸水溶液中で、(i)225V以上の電圧を印加して陽極酸化を施すあるいは(ii)25mA/cm 2 以上の電流密度条件下に陽極酸化を施すことにより、結晶性に優れたアナタース型二酸化チタンを製造する方法。
〔2〕陽極酸化が2分間又はそれを超える期間行われるものであることを特徴とする上記〔1〕に記載の方法。
〔3〕陽極酸化が2.2時間又はそれを超える期間行われるものであることを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔4〕チタンまたはチタン合金からなる基材の表面に0.08wt%〜1.0wt%の濃度の硫酸水溶液中で、(i)225V以上の電圧を印加して陽極酸化を施すあるいは(ii)25mA/cm 2 以上の電流密度条件下に陽極酸化を施すことにより作製した膜に、大気中で熱処理を施すことで、結晶性に優れたアナタース型二酸化チタンを製造する方法。
〔5〕熱処理が、400℃〜600℃の温度で行われることを特徴とする上記〔4〕に記載の方法。
〔6〕熱処理が、4時間又はそれを超える期間行われるものであることを特徴とする上記〔4〕又は〔5〕に記載の方法。
〔7〕該結晶性に優れたアナタース型二酸化チタンがX線回折におけるアナタース101回折線の半価幅が0.4未満のアナタース型二酸化チタンを90%以上含有する二酸化チタン皮膜であることを特徴とする上記〔4〕〜〔6〕のいずれか一に記載の方法。
〔8〕上記〔4〕〜〔6〕に記載の方法で製造されたチタンまたはチタン合金からなる基材の表面に形成されている二酸化チタンであって、X線回折におけるアナタース101回折線の半価幅が0.4未満のアナタース型二酸化チタンを90%以上含有することを特徴とする二酸化チタン。
本発明の技術で得られるチタンまたはチタン合金基材の表面にアナタース型二酸化チタン層を持つ材料は、優れた光触媒活性と共に優れた超親水性を持っており、脱臭、防黴、防汚性、殺菌作用等に優れた材料で、該アナタース型二酸化チタン層は基材との密着性においても非常に優れたものであって、取扱い過程での皮膜の剥離・損傷抵抗も大きいので、防黴、防汚などの効果を有する建築材、空調機器、浄水設備等に用いられる各種部材として有効に活用することができる。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
本発明は、アナタース構造の結晶性を向上させると、紫外線照射により酸素空孔が形成
され易くなるために、酸素空孔への水酸基の吸着が促進され、超親水性が改善されるとの知見を基礎としたものである。また、一方で、光触媒性能はルチル相に比べアナタース相のほうが優れていることから、アナタース結晶性の向上が効果的であるとの知見も利用している。結晶性を高めるには平衡熱処理を行うことが望ましが、熱処理は条件が適切でない場合、高温で安定なルチル相が出現する。本発明に従い高い化成電圧で作成した陽極酸化膜や高い電流密度条件下に作成した陽極酸化膜は、熱処理を施す以前にすでに結晶性が高く、さらに、高化成電圧による陽極酸化という方法自体や高い電流密度条件下の陽極酸化という方法自体が結晶性の向上に寄与している。かくして、以上のように結晶性を高める手法である高化成電圧で作成した陽極酸化膜や高電流密度条件下の陽極酸化法により作製した膜に、所定の熱処理を施すことで、超親水性と酸化分解性能の二つの機能を同時に満たす膜の製造が可能となるのである。
1-1)化成電圧を高める、
1-2)電流密度を高める、
1-3)酸濃度を高める、
1-4)陽極酸化時間を長くする
ことが有効である。化成電圧は160V以上で、好ましくは200V以上、さらに好ましくは225V以上が望ましい。電流密度は、25mA/cm2以上で、好ましくは30mA/cm2以上、さらに好ましくは50mA/cm2以上、より好ましくは70mA/cm2以上が望ましい。酸濃度は硫酸溶液の場合、硫酸濃度が0.1wt.%以上で好ましくは0.2wt.%以上が望ましい。また陽極酸化時間は10分以上で、好ましくは30分以上が望ましい。電流密度を、25mA/cm2以上の高い値で行う場合には、化成電圧は、120V以上、好ましくは180V以上であってよく、さらに、陽極酸化時間は2分以上であればよく、好ましくは9分以上であってよい。そうした場合、硫酸濃度が2.0wt%以上、例えば、5.0wt%以上であってもよい。
一方、酸化膜形成後の熱エネルギー付与の手段としては、
2-1)熱処理を施す
ことが有効である。熱処理は大気中にて、300℃以上、好ましくは450℃以上であるが、600℃以上ではルチル相への相変態の頻度が高まり光触媒活性の低下を引き起こすために、
上限は600℃とする。熱処理時間は低温ほど長く、高温ほど短く、目安としては300℃では6時間以上、450℃で2時間以上が望ましい。
こうしたことを基礎に、本発明が提供できる。
ここで該「実質的に」とは、本発明の効果を損なわない程度の不純物、混合物の存在を包含する意味を有するものであってよい。純チタンとしては、例えば、JIS1種、JIS2種、JIS3種、JIS4種、ASTM G1、ASTM G2、ASTM G3、ASTM G4、AMS4902、AMS4900、AMS4901、AMS4921などが挙げられる。典型的な場合では、得られる金属材料の光触媒性能並びに超親水性能の観点から、成膜部分(表面並びにその近傍など)では基体に使用される合金全体におけるチタン含有量は90%以上であることが好ましい。
チタン合金としては、例えば、チタン基合金が挙げられ、5族元素(5A族元素)、6族元素(6A族元素)、7族元素(7A族元素)、鉄族元素、白金族元素、11族元素(1B族元素)、14族元素(4B族元素)、3族元素(3A族元素、ランタノイド、アクチノイド、ミッシュメタルを
包含する)よりなる群から選択される元素の少なくとも1種を含有するもの、チタンとの金属間化合物を形成する元素の少なくとも1種を含有するものなどが挙げられる。
ど、6族元素では、例えば、Cr, Mo, Wなど、7族元素では、例えば、Mn, Reなど、鉄族
元素では、例えば、Fe, Co, Niなど、白金族元素では、例えば、Ru, Rh, Pd, Os, Ir, Ptなど、11族元素では、例えば、Cu, Ag, Auなど、14族元素では、例えば、Si, Sn, Pbなど、3族元素では、Y, La, Ce, Nd, Sm, Tb, Er, Yb, Acなどが挙げられ、それらは単独あ
るいは複数のものをTiに対して配合されているものでよい。典型的な場合、本発明で用いる好ましいチタン合金としては、例えばMo, Nb, Ta, V, Ag, Co, Cr, Cu, Fe, Mn, Ni, Pb, Si, Wの元素の少なくとも1種を合金元素として含有するチタン合金が挙げられる。
金、Ti-Al-Sn-Zr-Mo合金、Ti-Al-Mo-V-Fe-Si-C合金、Ti-V-Cr-Sn-Al合金、Ti-Mo-Zr-Al合金、Ti-Mo-Ni合金、Ti-Ta合金、Ti-Al-Sn合金、Ti-Al-Mo-V合金、Ti-Al-Sn-Zn-Mo-Si-C-Ta合金、Ti-Al-Nb-Ta合金、Ti-Al-V-Sn合金、Ti-Al-Sn-Zr-Cr-Mo合金、Ti-V-Fe-Al合金、Ti-V-Cr-Al合金、Ti-V-Sn-Al-Nb合金、Ti-Al-Nb合金、Ti-Al-V-S合金などが挙げられる。
例えば、Ti-5Al-2.5Sn合金、Ti-6Al-4V合金、Ti-15Mo-5Zr-3Al合金等の如きチタン合金を使用することができる。
、さらに好ましくは0.15〜0.5重量%、もっと好ましくは0.2〜0.5重量%で行なうのがよい
。別の態様では、希硫酸水溶液における硫酸の濃度としては、0.08〜0.55重量%(wt%)、あるいは、0.01〜0.25重量%(wt%)、より好ましくは0.1〜0.15重量%で行なうのがよく、さらに好ましくは0.15〜0.10重量%、もっと好ましくは0.2〜0.85重量%で行なうのがよい。
っと好ましくは225〜300Vの電位で行なうものであってよい。該陽極酸化処理は、240〜400V、より好ましくは240〜350Vの電位で行なうことがよい場合もあり、さらには、好まし
くは240〜375V、もっと好ましくは240〜300Vの電位で行なうものであってよい。
行なうのがよく、さらに好ましくは0.01〜0.2A、もっと好ましくは0.05〜0.9Aで行なうのがよい。ある場合には、該陽極酸化処理は、0.1〜1.0A、より好ましくは0.12〜0.9Aで行
なうのがよく、別の態様では、0.15〜0.5A、もっと好ましくは0.2〜0.5Aで行なうもので
あってよい。本陽極酸化処理は、1〜100時間、好ましくは1〜48時間、さらに好ましく
は1〜12時間行うものであってよく、さらには1.5〜5時間あるいは1.5〜3時間行うものであってよい。
は、化成電圧を、例えば、120〜500Vとすることができるし、さらに、180〜500Vとしてもよく、また225〜500Vの電位で行なってよいし、さらには、好ましくは230〜500V、もっと好ましくは240〜450Vの電位で行なってもよい。本態様では、該陽極酸化処理は、1分間
〜100時間、好ましくは2分間〜48時間、さらに好ましくは3分間〜12時間行うものであ
ってよく、さらには9分間〜5時間あるいは10分間〜3時間行うものであってよいし、さらには20分間〜3時間行うものであってよい。
本陽極酸化処理によれば、微細で均一な表面酸化が可能なため、複雑な形状の金属材料も、均一で、且つ、すぐれた光触媒機能や超親水性能を持つものに簡単に加工することができる。酸化電圧をコントロールすることにより、形成される陽極酸化膜の膜厚を様々に制御することもできる。また、酸化時の電流密度をコントロールすることにより、形成される陽極酸化膜の膜厚を様々に制御することもできる。本陽極酸化処理は、非常に簡便な方法であり、且つ、大面積を有する表面への成膜が容易であり、便利である。しかも、複雑な形状の基板に対しても成膜が可能であり、工業的に有用な方法である。
℃、より好ましくは400〜550℃の温度範囲で行なうことが望ましい。該温度域における好ましい保持時間は30分間〜10時間程度であるが、好ましくは、熱処理が300℃程度で行わ
れる場合、6〜10時間程度で。熱処理が450℃程度で行われる場合、2〜5時間程度である。酸化性雰囲気は、特に限定されないが、典型的には酸素が存在する雰囲気であり、通常は大気雰囲気が挙げられる。本熱処理で、金属材料基体の表面に形成された陽極酸化膜を固定化し、強度、密着性を向上させ、且つ、光触媒特性や超親水性の特性を向上させるることができる。本発明によると、基材の種類や形状、陽極酸化条件および熱処理条件を適宜変更することによって、種々の特徴を有する超親水性を有する光触媒材料を製造することが可能である。
膜に約400℃〜約600℃までの温度で、約4時間〜約20時間の間熱処理を施して、結晶性に
優れたアナタース型二酸化チタンを製造する方法が提供される。
また、本発明の別の代表的な態様では、上記したようなチタンまたはチタン合金からなる基材は、約0.85wt%〜約1.0wt%までの濃度の硫酸水溶液中で、その表面に約100V〜約500Vまでの高電圧を約0.25時間〜約5時間の間印加して陽極酸化を施し、次に得られた該基材上成膜に約400℃〜約600℃までの温度で、約4時間〜約20時間の間熱処理を施して、結晶
性に優れたアナタース型二酸化チタンを製造する方法が提供される。
、0.08wt%又はそれ以上から1.0wt%までの濃度の硫酸水溶液中で行われ、熱処理が、400℃又はそれ以上の温度から600℃までの温度で、4時間又はそれを超える期間行われるものであるものである。
の濃度の硫酸水溶液中で行われ、熱処理が、350℃〜500℃の温度で、3時間〜6時間の間行われるものであるものである。本発明の態様のさらに別の一つでは、上記の条件に加えて、100mA及びそれを超える電流下に行われるものである。本発明の典型的な態様の別の一
つでは、上記の条件に加えて、150mA又はそれを超える電流下に行われるものである。さ
らに、本発明の典型的な態様の別の一つでは、上記の条件に加えて、150mA〜400mAの電流下に行われるものである。
上の電流密度条件下、例えば、30mA/cm2以上の電流密度条件下(50mA/cm2以上の電流密度条件下あるいは70mA/cm2以上の電流密度条件下であってもよいし、100mA/cm2以上の電流
密度条件下でもよい)、約120V〜約500Vまでの電圧を約2分間〜約5時間の間印加して陽極酸化を施し、次に得られた該基材上成膜に約400℃〜約600℃までの温度で、約4時間〜約20時間の間熱処理を施して、結晶性に優れたアナタース型二酸化チタンを製造する方法が
提供される。
を有し、さらに、特定の優れた光触媒活性並びに超親水性を有する材料を提供する。当該材料は、図1〜8に示されたデータをその材料の特性値として有するアナタース型二酸化チタン被膜をもつ基材である。当該材料の特性値としては、光触媒能試験で得られるMB分解率(MB degradation rate)及び/又は超親水性性能試験で得られる接触角などであって
よい。本発明で得られる上記結晶性に優れたアナタース型二酸化チタンとは、X線回折におけるアナタース101回折線の半価幅が0.4未満のアナタース型二酸化チタンを少なくとも65%以上、好ましくは少なくとも75%以上、更に好ましくは少なくとも85%以上、より好ましくは少なくとも90%以上、もっと好ましくは少なくとも95%以上含有するものである。典型的な場合、本発明で得られる当該基体上の上記アナタース型二酸化チタンとは、X線回折におけるアナタース101回折線の半価幅が0.4未満のアナタース型二酸化チタンを90%以上含有する二酸化チタン皮膜である。
本発明の金属材料の使用方法としては、金属タイルや、内装材としてそのまま使用するほか、本発明の構造を有する金属材料の薄板を作製し、既存の建築材料であるセラミックス、モルタル、硝子、鉄板、アルミ板等に接合して、複合材料として使用することもできる。このように、既存材料の上に接合して用いる方法によれば、光触媒活性を有する金属材料の使用量の低減が可能となり、優れた防臭、殺菌機能等の光触媒活性を有する種々の複合材料を安価に提供できる。
本発明の方法で得られた光触媒活性を有しかつ優れた超親水性を有するアナタース型二酸化チタン薄膜を有する材は、水浄化に使用できる。、当該アナタース型二酸化チタン薄膜によりクリーンな光エネルギーを利用して、水中の希薄な有機物の除去をするといった浄化法を可能とする。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。
全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
温で行った。陽極酸化後はメタノールにて洗浄後乾燥させたものをサンプル1とする。この基材を450℃において、5時間の大気酸化を施したものをサンプル7とする。
ンプル8とする。
ンプル9とする。
のをサンプル10とする。
のをサンプル11とする。
のをサンプル12とする。
をサンプル14とする。
25ppmメチレンブルー水溶液を満たした石英製セルにサンプルを浸漬し、所定の時間(
1、2、6、21時間)、365nmの紫外線を照射した。一定時間照射後に石英セルからメチ
レンブルー水溶液を採取し、分光光度計にて664nmのメチレンブルー吸光度変化から、メ
チレンブルー分解率を算出した。得られた結果のうち、熱処理を施す前のサンプル1〜6と13を、図1に、熱処理を施した後のサンプル7〜12と14を、図2に示す。
この結果から、化成電圧が高いほど、また陽極酸化時間が長いほどメチレンブルーの分解率が高いことがわかる。また熱処理を施すことで、どの陽極酸化条件において作成したサンプルもメチレンブルーの分解率が向上することがわかる。更にサンプル2と13、あるいは8と14の比較から、陽極酸化処理における浴の硫酸の濃度を高くすることでメチレンブルーの分解率が向上することがわかる。
サンプルに365nmの紫外線を0.2 mW/cm2の強度で、所定の時間(0.5、1、1.5、2、2.5、3時間)照射した。一定時間照射後に0.1μLの蒸留水を滴下し、θ/2法にて接触角を測定した。得られた結果のうち、熱処理を施す前のサンプル1〜6を図3に、熱処理を施した後のサンプル7〜12を図4に示す。
この結果から、化成電圧が高いほど、また陽極酸化時間が長いほど接触角は低下し超親
水性に優れていることがわかる。また熱処理を施すことで、どの陽極酸化条件において作成したサンプルも超親水性が改善せしめられることがわかる。更にサンプル2と13、あるいは8と14の比較から、陽極酸化処理における浴の硫酸の濃度を高くすることで超親水性が改善することがわかる。
サンプルの薄膜の結晶構造をX線回折により測定した。熱処理を施す前のサンプル1〜6と13のX線回折プロファイルを図5に、熱処理を施した後のサンプル7〜12と14のX線回折プロファイルに図6に示す。
この結果から、化成電圧が高いほど、また陽極酸化時間が長いほどアナタース101の回
折線強度が増加すると同時に、回折線の半値幅は低下していることがわかる。熱処理を施すことで、この傾向は更に助長され、アナタースの結晶性が増加していることがわかる。更にサンプル2と13、あるいは8と14の比較から、陽極酸化処理における浴の硫酸の濃度を高くすることでこの傾向は助長することがわかるが、濃度の増加はルチル110の回折線
強度が増加することから、ルチル相の形成を促進していることがわかる。本発明の方法で得られた結晶性に優れた二酸化チタン皮膜は、X線回折におけるアナタース101回折線の
半価幅が0.4未満のアナタース型二酸化チタンを90%以上含有するものと評価されるもの
であった。
図1〜4の結果から、超親水性に優れているサンプルは光触媒性能にも優れていることが明らかである。さらにこのような試料ではアナタース相の形成が促進されると共に結晶性の増加が確認できる。
%硫酸水溶液中にて、電流を200mAとして、化成電圧を(a)220V、(b)230V、(c)240Vに上げ、3時間の陽極酸化処理を施した。陽極酸化処理は室温で行った。陽極酸化後はメタノールにて洗浄後乾燥させたものをサンプル(a)、(b)、及び(c)とする。この基材を450℃において、5時間の大気酸化を施したものをサンプル(d)、(e)、及び(f)とする。実施例9と
同様にして超親水性性能試験を行った。結果を図7に示す。図7中、asは、陽極酸化処理を施して得られた二酸化チタン被膜を有する基材を、anは、陽極酸化処理を施した後、熱処理を施して得られた二酸化チタン被膜を有する基材を示す。この結果から、化成電圧が高いほど、接触角は低下し超親水性に優れていることがわかる。また熱処理を施すことで、どの陽極酸化条件において作成したサンプルも超親水性が改善せしめられることがわかる。
、電流を100mAとして、化成電圧を30〜240V、処理時間0.5〜3時間〔(g) 0.5時間、(h)1.0時間、(i)2.0時間、及び(j)3.0時間〕の陽極酸化に供した。陽極酸化処理は室温で行った。陽極酸化後はメタノールにて洗浄後乾燥させたものをサンプル(g)、(h)、(i)、及び(j)とする。この基材を450℃において、5時間の大気酸化を施したものをサンプル(k)、(l)
、(m)、及び(n)とする。また、電流を100mAに代えて200mAとして処理時間3時間の陽極酸
化に供する以外は、上記と同様に処理して得られたものをサンプル(o)とする。この基材
を上記と同様に大気酸化を施したものをサンプル(p)とする。実施例8と同様にして光触
媒能試験を行った。結果を図8に示す。図8中、電圧(V)は、陽極酸化の際の化成電圧で
あり、asは、陽極酸化処理を施して得られた二酸化チタン被膜を有する基材を、anは、陽極酸化処理を施した後、熱処理を施して得られた二酸化チタン被膜を有する基材を示す。この結果から、化成電圧が高いほど、光触媒活性が高くなり、優れていることがわかる。また熱処理を施すことで、どの陽極酸化条件において作成したサンプルも光触媒能が改善せしめられることがわかる。
(1) 0.5% H2SO4水溶液、30mA/cm2、120V、10min、メチレンブルーの分解率72.71%
(2) 0.5% H2SO4水溶液、50mA/cm2、130V、2min、メチレンブルーの分解率64.69%
(3) 0.5% H2SO4水溶液、70mA/cm2、180V、9min、メチレンブルーの分解率91.11%
(4) 0.5% H2SO4水溶液、100mA/cm2、200V、20min、メチレンブルーの分解率87.31%
以上の結果より、印加する電圧が120V程度であっても、試料にかける電流密度を大きくすることで光触媒活性が高くなり、優れていることがわかる。また熱処理を施すことで、作成したサンプルの光触媒能が改善せしめられる。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
Claims (8)
- チタンまたはチタン合金からなる基材の表面に、0.08wt%〜1.0wt%の濃度の硫酸水溶液中で、(i)225V以上の電圧を印加して陽極酸化を施すあるいは(ii)25mA/cm 2 以上の電流密度条件下に陽極酸化を施すことにより、結晶性に優れたアナタース型二酸化チタンを製造する方法。
- 陽極酸化が2分間又はそれを超える期間行われるものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 陽極酸化が2.2時間又はそれを超える期間行われるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
- チタンまたはチタン合金からなる基材の表面に、0.08wt%〜1.0wt%の濃度の硫酸水溶液中で、(i)225V以上の電圧を印加して陽極酸化を施すあるいは(ii)25mA/cm 2 以上の電流密度条件下に陽極酸化を施すことにより作製した膜に、大気中で熱処理を施すことで、結晶性に優れたアナタース型二酸化チタンを製造する方法。
- 熱処理が、400℃〜600℃の温度で行われることを特徴とする請求項4に記載の方法。
- 熱処理が、4時間又はそれを超える期間行われるものであることを特徴とする請求項4又は5に記載の方法。
- 該結晶性に優れたアナタース型二酸化チタンがX線回折におけるアナタース101回折線の半価幅が0.4未満のアナタース型二酸化チタンを90%以上含有する二酸化チタン皮膜であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一に記載の方法。
- 請求項4〜6に記載の方法で製造されたチタンまたはチタン合金からなる基材の表面に形成されている二酸化チタンであって、X線回折におけるアナタース101回折線の半価幅が0.4未満のアナタース型二酸化チタンを90%以上含有することを特徴とする二酸化チタン。
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