JP5133979B2 - ネジの頭部ならびにそれに用いる工具 - Google Patents

Description

本発明は一般的に、ヘクサロビュラーの頭部を有するネジを用いるためのシステムと、そのネジに用いるための工具、ならびにそのシステムで用いるためのネジに関するものである。
とりわけ、本発明は、工具とネジとの間に十分な「嵌合とフィット」を実現するシステムに関するものである。

この技術の背景は、弊社の（本出願の出願人が所有する）米国特許第６９５１１５８号明細書に記載されているため、ここで再度説明はしない。
米国特許第６９５１１５８号明細書は、ネジの頭部と係合する工具を示している。
この構成は、ネジのぐらつきを抑え、そして、ドリルビットが、そのネジ凹部から外れないようにする利点を有する。
しかしながら、その工具とネジの頭部の相互作用は、ネジが脱落することなく工具に維持されることを実現する適度な「嵌合とフィット」について、満足のいくようなものではなかった。
炭素鋼製のネジについては、支持具としてのマグネットホルダーに挿入してビットを保持することが知られているが、このような方法は不安定であり、多くのユーザーにとっては満足できるものではない。

更に問題なのは、骨折治療に用いられるネジに広く用いられているチタンやビルの建設に用いられるステンレス鋼製のネジのような非磁性の素材には、磁着によるフィットを実現することができないことである。
提案するシステムでは、どのようなネジでも、安定した「嵌合とフィット」を実現することができる。

この提案されたシステムは、一般的にはゆるいネジを挿入する場合に、特に、磁気的支持装置を用いる可能性がなく、片手での作業でしかネジを挿入することができない場合に有利である。
このような「嵌合とフィット」の形状の設計により、凹部は、脱落させることなくネジを工具に保持することを可能にする。
更には、圧迫による接触は、ネジが、チタンおよびまたは、多くのネジの用途において主流であるステンレス鋼などの非磁性の材料である場合でも、「嵌合とフィット」を可能にする。

「嵌合とフィット」という表現は、十字穴付きネジに関連する米国特許第４０８４４７８号明細書の第２段落、１行目から２９行目によく説明されている。
しかしながら、その明細書に記載されているのは、十字穴が円錐形であることから、それゆえ、挿入されている間に上向き接続される、異なる種の「嵌合とフィット」の課題についてである。
それゆえ、「嵌合とフィット」は、ネジを挿入して設置する場合に、ネジが安定性のある満足のいくトルクを得ることが可能であるのであれば、強度のあるものでなくてはならない。

本発明で提案される「嵌合とフィット」法は、特定の用途での必要性に応じて、「嵌合とフィット」がしっかりとしたものでなくてはならないというユーザーの意向によって進歩している。
「嵌合とフィット」は、堅くあるべきだが堅すぎてもいけない。
ここで提案する円錐形での圧迫による接触は、ユーザーが「嵌合とフィット」の強度を決定することを可能にするが、それは、銅やプラスチック、アルミやチタンのような柔らかい材質のネジには特に重要なことである。

米国特許第４２６９２４６号明細書に示されている「横断面が多角形の凹部のドライブソケットを有するドライバー」は、この発明の背景となっている米国特許第６９５１１５８号明細書に説明されている第１の凹部に類似のものである。

米国特許第４２６９２４６号明細書では、ドライバービットは「軸方向に先細になっており、頭部の先端に向かって収斂していく」。
しかし、先細りの度合いが高いことから（２と１／２から３と１／２度）、凹部の深さも、ぐらつきの防止に必要とされる深さにいたらない。
更に、この明細書は、そのような先細りの尖端は、係合の度合いを高めるためには、垂直にマウントしなければならないことを示している。
しかしながら、手作業については、そして特に片手での作業では、ネジを挿入するのにぐらついたり、不安定になる。
米国特許第６９５１１５８号明細書 米国特許第４０８４４７８号明細書 米国特許第４２６９２４６号明細書

本発明で新しく提案したことのもう一つの有利な点は、安定した「嵌合とフィット」の実現が可能になるよう、円錐形での圧迫による接触がトレランスを吸収することである。
安定した「嵌合とフィット」を得るのが難しいのは、製造過程におけるトレランスの変動と、ドライバーや凹部形成具などが次第に磨耗していくからである。
しかしながら、本発明による方法は、大量生産での機能も品質も可能にし、そして円錐形での圧迫による接触が広いトレランスを有することから、大量生産における費用対効果を可能にするが、それは、最後のネジに「嵌合とフィット」を含ませることなく、工具の寿命を長くすることが可能だからである。

先行技術においては、工具はネジの頭部を、その表面が互いに直接平行な、ヘクサロビュラー状の挿入穴に係合する。

本発明は、頭部の上部表面にヘクサロビュラーの挿入口と、ネジの軸と平行あるいはほぼ平行な、ネジの頭部の下方へ延びるヘクサロビュラーの平面の上部周壁を有するネジと、それに対応する工具と、上部周壁の下縁に対して下方かつ内部へと延びて傾斜する移行表面と、傾斜する移行表面の下縁から下方へと延びる先細りの中央凹部とから成る、ネジを締めるためのシステムを提供するものである。
これにおいて、ネジの頭部は、上部係合面ならびに下部係合面となる中心部を有する工具に係合されるような寸法を有している。
上部係合面は、ネジの軸に対して工具が係合される角度で下方へと先細りになっており、下部係合面となる中心部は、先細りの中央凹部の表面との間に「嵌合とフィット」が実現されるよう、そして傾斜する移行表面との間に係合がないよう、下方へと先細りになっている。

上部係合面は、０．１から２．５度の角度、更に好ましくは、０．５から１．５度の間の角度で先細りになっていてもよい。

好ましくは、工具の下部係合面である中心部において、工具がネジと圧迫による接触で「嵌合とフィット」が実現されるよう、工具はネジの中央凹部と同じ角度で先細りになっている。

更に好ましくは、工具の上部係合面と下部係合面の中心部との間に、工具がネジと接触しない移行部がある。

より一層好ましくは、工具の上部係合面において、その工具は、ネジの周壁よりもやや鋭い角度で、先細りになっている。

好ましくは、先細りは、平面が円形状である。

好ましくは、上部係合面の、上部周壁の上縁との嵌り具合はきつく、また、上部周壁の下縁との嵌り具合はゆるい。
この上部係合面は、下部先細り係合面を安定させて支えるためだけのものである。
それにより、「嵌合とフィット」は先細りの下部係合面である中心部と先細りの中央凹部との間にしか生じない。

本発明は、以上に説明したシステムの一部として用いる工具も提供する。

本発明は、以上に説明したシステムの一部として用いるネジも提供する。

本発明は、以上に説明したシステムの一部として用いる、工具を製造する際に用いる頭部を作る工具も提供する。

一例として、本発明の具体的な実施例を、添付図面を参照しつつ、これから説明する。

図１は、ドライビングツールの縦断面図である。
図２は、ネジの頭部と係合している工具の縦断面図である。
図３は、挿入口の配置を示すネジの頭部の平面図である。

図２に示すように、ネジの頭部１には挿入口２を有する。
その挿入口２は、ネジの頭部に凹部３として形成されており、六つの突起４の付いた星型をしている。
図３に示すように、星の突起は先端が丸めてあり、挿入口２は、ヘクサロビュラー挿入口という用語で呼ばれることになる。
ヘクサロビュラー挿入口は、ＩＳＯ１０６６４に記載されており、内側に向かって締め付ける特性を有する。
「歯形凹部」や「星型凹部」として知られている。
回転方向に従い、工具６は、それぞれの突起４のどちらかの側にある表面７または表面８と係合する。

図２は、ネジの頭部１を貫く縦断面を示している。
凹部３は、ネジの頭部１の内部の下方へと延びている。
凹部３の上部周壁９は、ほぼ直線状である。
凹部３の縦断面は、ネジの頭部１の内部の下方へと延びている直線状の壁のある部分にわたって、六つの突起の付いた星の形状を保っている。
凹部３の深さは、その凹部３の底の近くで最低限許される壁の厚み１０によって制限される。

挿入口２は、六つの突起の付いた凹部３の底に、更にもう一つの中央凹部１１を有する。
中央凹部１１は、ネジの軸と整列しているので、軸の中心に位置付けられる。
この中央凹部１１は、円形の横断面と、凹部３よりも小さな直径を有している。
中央凹部１１の壁１２はわずかに傾いているため、中央凹部１１の底１３は、中央凹部１１の上部１４よりもやや小さい直径を有する。

下方へと傾斜する移行表面１５は、中央凹部１１の上部１４とその六つの突起の付いた凹部３の上部周壁９との間に形成される。

工具６は、上部係合面１６を有しており、該上部係合面は、凹部３の中に嵌まるように設計されている。
上部係合面１６の表面の形状は、凹部３の形状と合致するものである。
しかしながら、上部係合面１６の直径は均一であってもよいし、その下端に向かって内向きにわずかに先細りになっていてもよい。
その先細りの角度は、典型的には０．５から１．５度であってよい。
上部係合面１６の直径は、凹部３への挿入が可能となるような大きさにする。

工具６もまた、横断面が円形の中心部１７を有する。
中心部１７の直径は、中央凹部１１の直径よりもわずかに大きい。
工具６の表面１８は、中心部１７から上部係合面１６へと、外向き、かつ、上向きに延びている。
表面１８の傾斜角度は、移行表面１５の角度よりも小さい。
したがって、工具６を挿入口２に挿入する際に、移行表面１５と表面１８との間に、空間１９が形成される。
空間１９の深さは、中心部１７に向かって分岐する。
工具６の上部係合面１６は、工具が挿入口２に入ると、凹部３の上部周壁９の上縁とほぼ係合する。

更に、表面処理が施されたネジの場合に、空間１９は、工具と挿入口との間の係合を妨げることはなく、いかなる余剰被覆も、空間１９に納めることを可能にする。
一切の空間が設けられていなかった場合には、余剰の被覆が、中央凹部１１の移行表面１５や底１３に定着して、工具６と挿入口２との間の十分な係合を妨げる恐れがある。

中心部１７と中央凹部１１との間の圧迫による係合は、工具の係合面１６と上部周壁９の上縁とによって支えられ、摩擦力により、ネジが脱落することなく、工具に保持されることを保証する。
この係合の態様は、特に工具６とネジの頭部１との間の角運動を制限するという点で効果的である。
圧迫による係合により、ネジの工具への保持は、機械工具でも、手動工具でも、そしてとりわけチタンや、ステンレス鋼等のような磁気を帯びていない素材でできたネジで、片手で作業する際には、特に役に立つものである。

中心部１７の長さは、工具６の上部係合面１６を凹部３に入れることができるよう、凹部３の高さより短くてもよい。

工具の中心部１７とネジの頭部の先細部である中央凹部１１との間に圧迫による接触を形成することにより、ネジが脱落せずに、工具にとどまることを可能にする。
この利点は、ネジの「ぐらつき」を抑える米国特許第６９５１１５８号明細書の特徴にはなかったものである。
工具６とネジの頭部１との圧迫嵌めによる組み合わせは、ネジを工具に維持するものであり、骨折治療用ネジに広く用いられるチタンやビルの建設に用いられるステンレス鋼のような磁気を帯びていない素材についても同様である。
そのような設計により、あらゆる挿入口とネジの用途において安定した「嵌合とフィット」を可能にする。

ドライビングツールの縦断面図 ネジの頭部と係合している工具の縦断面図 挿入口の配置を示すネジの頭部の平面図

符号の説明

１ ネジの頭部
２ 挿入口
３ 凹部
４ 突起
６ 工具
７ 表面
８ 表面
９ 上部周壁
１０ 壁の厚み
１１ 中央凹部
１２ 壁
１３ 底
１４ 上部
１５ 移行表面
１６ 上部係合面
１７ 中心部
１８ 表面
１９ 空間

Claims (9)

1. 頭部の上部表面にヘクサロビュラーの挿入口（２）と、ネジの軸と平行あるいはほぼ平行な、ネジの頭部の下方へ延びるヘクサロビュラーの平面の上部周壁（９）を有するネジと、
   それに対応する工具と、
   上部周壁（９）の下縁に対して、下方かつ内部へと延びて傾斜する移行表面（１５）と、傾斜する移行表面（１５）の下縁から下方へと延びる先細りの中央凹部（１１）とから成る、ネジを締めるためのシステムであり、
   ネジの頭部は、上部係合面（１６）ならびに下部係合面となる中心部（１７）を有する工具（６）に係合される寸法を有しており、
   上部係合面（１６）は、ネジの軸に対して工具が係合される角度であって、ネジの上部周壁（９）よりもやや鋭い角度で、下方へと先細りになっており、
   下部係合面となる中心部（１７）は、先細りの中央凹部（１１）の表面との間に「締まり嵌め」が実現されるよう、そして傾斜する移行表面（１５）との間に係合がないよう、ネジの中央凹部と同じ角度で、下方へと先細りであることを特徴とする、ヘクサロビュラーねじと工具による、ネジ締めシステム。
2. 上部係合面（１６）が、０．１から２．５度の間の角度で先細りになる、請求項１に記載のシステム。
3. 上部係合面（１６）が、０．５から１．５度の間の角度で先細りになる、請求項１に記載のシステム。
4. 工具の上部係合面と下部係合面との間に、工具がネジと接触しない空間（１９）がある、請求項１から３のいずれか一つに記載のシステム。
5. 中央凹部（１１）は、横断面が円形状である、請求項１から４のいずれか一つに記載のシステム。
6. 上部係合面（１６）の、上部周壁（９）の上縁との嵌り具合はきつく、上部周壁の下縁との嵌り具合はゆるい、請求項１から５のいずれか一つに記載のシステム。
7. 請求項１から６のいずれか一つに記載のシステムの一部として用いるための工具。
8. 請求項１から６のいずれか一つに記載のシステムの一部として用いるためのネジ。
9. 請求項１から６のいずれか一つに記載のシステムの一部として用いるための工具を製造する際に用いるための頭部を作る工具。

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