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JP5132927B2 - 吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、吸水性樹脂の表面架橋方法に関するものであって、特に、物性が良好な吸水性樹脂を工業スケールで製造するのに適した吸水性樹脂の表面架橋方法に関するものである。また、本発明は、吸水性樹脂の製造方法に関するものであり、より詳細には、改質工程および/または冷却工程を特定構造の攪拌装置を用いて行うことにより、微粉量の少ない高品質の吸水性樹脂を製造する方法に関する。
吸水性樹脂は、大量の水を吸収させる特性を有し、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パット等の衛生用品を構成する材料、土壌保水剤、止水剤、結露防止剤、鮮度保持剤、溶剤脱水剤および食品等のドリップシートなどに使用されている。このように吸水性樹脂は産業上幅広い用途があるため、ますます需要が高まっている。
特に、紙おむつ等の衛生用品の用途では、製品の薄型化のために、パルプ量を減らして吸水性樹脂の使用量を増加させている傾向にあり、世界的なおむつの普及に伴い、その需要はますます増加している。
吸水性樹脂は、従来、親水性重合体を僅かに架橋(通常は重合時に架橋)することで水不溶性水膨潤性という機能を付与され、通常、粉末状の粒子形態として製造される。吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、澱粉−アクリロニトリル共重合体の加水分解物、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の中和物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体の鹸化物、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物またはこれらの架橋体、カルボキシメチルセルロース架橋体、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)の共重合架橋体、ポリエチレンオキサイド架橋体、ポリアリルアミン架橋体、ポリエチレンイミン架橋体等が知られている。しかし、近年、おむつの高性能化に伴い、吸水性樹脂の高機能性が求められているため、吸水性樹脂の製造方法についても、様々な改良がなされている。例えば、粉末内部の架橋に加えて、さらに重合後の樹脂を表面架橋(二次架橋)することによって、内部と表面とに架橋密度勾配を付与し、吸水性樹脂に対して吸水速度や通液性、さらに加圧下吸収倍率の改善がなされている。
そして、上記紙おむつ等の衛生用品用途では、製品の薄型化のために加圧下吸収倍率の高い吸水性樹脂が望まれている。一般的に吸水性樹脂は150μm以下の粒径を有する微粉の含有量が少ない程好ましい。微粉末はおむつなどの吸水性物品中で目詰まりによって通液性が低下する要因となるからである。このような微粉は吸湿しやすく、おむつの製造工程における詰まりの原因となっているだけでなく、使用者にとって安全衛生上好ましくないものとなっている。
微粉末が少なく、且つ加圧下吸収倍率等に優れた吸水性樹脂の製造方法として、乾燥した吸水性樹脂粉末に架橋剤を添加して、粉砕しながらその表面近傍を架橋する際に、重量平均粒子径が200〜1000μmの吸水性樹脂の粗粒を使用する方法がある(特許文献1)。該発明は、吸水性樹脂が小さな粒子径に形成される場合には、水性液体との接触により吸水性樹脂はママコを形成し吸収速度が低下するため、表面架橋前の吸水性樹脂粉末の粒子径を大きい粗粒に制御し、さらに粒子の少なくとも一部を粉砕しながら表面近傍を架橋して、微粉が少なく高い加圧下吸収倍率や加圧下通液性を示す吸水剤を得る、というものである。
また、吸水性樹脂の表面架橋を行う際に、水平撹拌乾燥機、ロータリー乾燥機、ディスク乾燥機、混和乾燥機、流動層乾燥機、通気乾燥機、赤外線乾燥機などを使用して、温度90〜250℃で架橋反応を完結させることを特徴とした吸水性樹脂の製造方法(特許文献2)や、篩分けで150〜850μmに調製された内部架橋ポリマーに表面架橋剤を添加しパドルミキサーで加熱して表面架橋を行うことを特徴とした吸水性樹脂の製造方法(特許文献3)もある。
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載の技術では、吸水性樹脂中に粗粒(吸水性樹脂の凝集物)が多く残存するという問題がある。上記粗粒が吸水性樹脂中に含まれたままではオムツ等の製品の使用感を損ねるため、除去する必要があるが、除去するためには分級操作等の手間がかかる。また、分級した粗粒を廃棄すると経済的に不利である。一方、上記粗粒を砕くと微粉が発生してしまう。
そこで、吸水性樹脂と表面架橋剤含有水性溶液との混合物を加熱して表面架橋を完成させる工程において、かきあげ羽根を具備した攪拌盤を有する攪拌乾燥装置や攪拌盤と攪拌盤との間に解砕手段を設けた攪拌乾燥装置を使用して加熱することにより、粗粒の発生を抑制しながら表面架橋を行う方法が開示されている(特許文献4)。
また、攪拌盤を備えた攪拌装置を用いて吸水性樹脂の表面架橋処理を行う方法としては、工業スケールで表面架橋による物性改良効果を十分に発揮することを目的として、攪拌盤を備えた攪拌冷却装置を用い、加熱処理後の吸水性樹脂を気流下で攪拌冷却することを特徴とする吸水性樹脂の製造方法も開示されている(特許文献5)。
さらに特許文献6において、単量体の重合、加熱乾燥、冷却、粉砕などの工程を経て得られた吸水性樹脂粉末に対し、更に表面架橋剤などを含む水性液を添加、加熱、乾燥により表面架橋する方法が開示されている。
また、特許文献7には、フリーの水吸収を遅らせるべく、表面処理を施した吸水性樹脂に、さらに複数回、熱を作用させる方法が開示されている。また、特許文献8には、表面処理剤含有液を、吸水性樹脂に混合して加熱するという工程を2回繰り返すことにより、加圧下における膨張強度を高めることができることが開示されている。
特開平11−302391号公報(平成11(1999)年11月2日公開)) 特開平4−214734号公報(平成4(1992)年8月5日公開)) 特表2002−515079号公報(平成14(2002)年5月21日公開)) 特開2004−352941号公報(平成16(2004)年12月16日公開)) 特開2004−300425号公報(平成16(2004)年10月28日公開)) 特開2002−121291号公報(平成14(2002)年4月23日公開)) 特表2003−503554号公報(平成15(2003)年1月28日公表) 特許第2847113号(平成10(1998)年11月6日登録、公表番号:特表平9−502221号公報(平成9(1997)年3月4日公表))
上記特許文献4,5に記載されているように、従来、吸水性樹脂の機能性を表面処理によって改良する場合は、混合性を向上させる観点から、攪拌盤を備えた攪拌乾燥装置や、攪拌冷却装置等の攪拌装置を用いることが有効であると考えられてきた。一方、上記特許文献4,5に記載された技術のように、攪拌装置を用いる場合、依然として表面架橋処理中に微粉が多く発生してしまうという問題点が確認されている。微粉が多く発生すると、表面架橋層が破壊される傾向があるため、吸水性樹脂の物性にも悪影響を与えてしまう。
上記問題点は、攪拌盤の形状が親水性架橋重合体の攪拌にとって適切な形状となっていないことに起因すると考えられる。すなわち、従来技術では、攪拌盤は混合性を向上させるために用いられ、混合性の向上という観点から形状が決められており、攪拌盤を微粉発生抑制のために用いるという発想は従来なされていない。つまり、攪拌盤の形状は、微粉の発生抑制という観点に基づいて決められているものではない。
例えば、従来技術で用いられている攪拌盤は、攪拌盤の最大厚さと最少厚さとの差が大きいため、親水性架橋重合体の粉体に食い込む際に粉体に過大な圧力を加えてしまい、粉体が圧縮された結果、粉体の密度が上昇し、表面架橋処理時に吸水性樹脂に機械的なダメージが与えられ、その結果微粉量が増えてしまうと考えられるという問題がある。
また、吸水性樹脂の高機能化の一方で、近年の高まる吸水性樹脂の需要に対応するべく、いかにして効率よくかつ性能を落とさずに吸水性樹脂を大量生産するかという課題も生じてきた。しかしながら、上記特許文献7および8のように、機能性を表面処理によって改良する方法は提案されているが、吸水性樹脂製造のスケールアップ時に懸念される、撹拌翼を備えた加熱処理装置による吸水性樹脂へのダメージ等による物性の低下について、これまで表面処理の観点から検討されてこなかった。
ここで、吸水性樹脂の生産量を増大させる方法として、現行の加熱処理装置を単純に大型化した加熱処理装置を用いることが考えられるが、単純に大型化した装置では、有効容積に対する伝熱面積が小さくなる。したがって、吸水性樹脂の温度を一定範囲の温度に保ち、所望の表面架橋反応を起こすためには、上記装置内における吸水性樹脂の滞留時間を長くする必要がある。そして、表面架橋処理時に吸水性樹脂が攪拌盤によって攪拌される時間が長くなると、その分吸水性樹脂に機械的なダメージが与えられてしまう。その結果微粉量が増えてしまい、吸水性樹脂の物性を低下させてしまうという問題が発生する。
すなわち、どのような攪拌装置を用いれば、微粉の発生を抑制し、高性能な吸水性樹脂を製造することができるのかということに関する知見は従来存在していない。
装置の大型化による微粉の発生、およびそれに由来して物性が低下するという問題を回避するためには、単純には小さな加熱処理装置を並列に複数台並べればよい。しかしながら、複数台の加熱処理装置を並べると、前後の付帯装置数や配管数が増えるため、大きなコストアップとなる。また、複数台の加熱処理装置を制御する手間がかかり、効率が悪くなる。
そこで、工業スケールでの吸水性樹脂の大量生産を効率よく行い、かつ性能が維持される吸水性樹脂の表面架橋方法の開発が求められている。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、その目的は、微粉量の少ない良好な物性を持つ吸水性樹脂を製造するために、改質工程および/または冷却工程を特定構造の攪拌装置を用いた吸水性樹脂の製造方法を提供すること、および、微粉量の少ない良好な物性を持つ吸水性樹脂を製造するために、吸水性樹脂製造のスケールアップを行った際に、熱処理での処理時間を短縮した吸水性樹脂の表面架橋方法を提供することである。
本発明者らは、吸水性樹脂の表面架橋処理に用いられる攪拌装置の構造に着目し鋭意研究を行った結果、改質工程および/または冷却工程を特定構造の攪拌装置を用いて行うことと、吸水性樹脂の表面架橋を行うにあたり、上記改質工程に含まれる撹拌乾燥工程と表面架橋工程とを異なる工程として行うことで、各工程における撹拌条件や温度条件を最適化することが可能となるため、熱処理の処理時間を短縮することができること、そしてその結果、吸水性樹脂へのダメージが軽減され、生産量を落とすことなく、微粉量の少ない吸水性樹脂を製造可能であることとを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液との混合物を加熱することによって上記親水性架橋重合体の表面を架橋せしめる工程である改質工程、および表面架橋された上記親水性架橋重合体を冷却する冷却工程を含み、上記改質工程および/または冷却工程は、複数の攪拌盤を備えた回転軸を有する攪拌手段を用いて行われ、上記回転軸の長軸長さ方向と平行な方向をy方向、上記y方向と直交する方向であって、上記回転軸の軸径方向と平行な方向をx方向、上記x方向およびy方向と直交する方向をz方向とした場合に、上記攪拌盤は、上記攪拌手段をy−z平面で切断した断面において、最大厚さの最小厚さに対する比が5以下であることを特徴としている。
上記構成によれば、最大厚さの最小厚さに対する比が5以下という比較的厚みが均一な複数の攪拌盤を用いるので、上記親水性架橋重合体に加えられる攪拌盤の断面積あたりの圧力を非常に少なくすることができ、攪拌盤と上記親水性架橋重合体との間に生じる摩擦を小さくすることができるため、上記親水性架橋重合体に与える機械的なダメージを小さくしつつ、均一に攪拌することができる。したがって、微粉量の少ない吸水性樹脂を製造することができる。
また、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液との混合物を加熱することによって上記親水性架橋重合体の表面を架橋せしめる工程である改質工程、および表面架橋された上記親水性架橋重合体を冷却する冷却工程を含み、上記改質工程および/または冷却工程は、かきあげ羽根を具備する複数の攪拌盤を備えた回転軸を有する攪拌手段を用いて行われ、上記回転軸の長軸長さ方向と平行な方向をy方向、上記y方向と直交する方向であって、上記回転軸の軸径方向と平行な方向をx方向、上記x方向およびy方向と直交する方向をz方向とした場合に、上記攪拌手段をy−z平面で切断した断面における上記かきあげ羽根の断面積が、上記かきあげ羽根を突出させている一つの攪拌盤と、当該攪拌盤と相対して配置される他の攪拌盤との攪拌盤間面積の10%以上50%未満を占め、かつ、上記y−z平面で切断した断面における上記かきあげ羽根のy方向の長さが、上記一つの攪拌盤と上記他の攪拌盤との攪拌盤間距離の50%以上であることを特徴としている。
従来技術で用いられている攪拌乾燥装置や攪拌冷却装置を用いる場合は、上記親水性架橋重合体の攪拌を継続するに連れて上記親水性架橋重合体が過度に圧縮され、上記親水性架橋重合体が機械的ダメージを受け、微粉が発生してしまうという問題があるが、上記構成によれば、攪拌盤に設けられたかきあげ羽根の断面積と長さが、上記範囲に調整されているため、上記親水性架橋重合体を過度に圧縮せずに浮遊状態で攪拌することができ、親水性架橋重合体の凝集および圧迫を防止できるので、親水性架橋重合体と水性溶液との混合物を均一に攪拌することができ、微粉の発生を抑制することができる。
したがって微粉量の少ない吸水性樹脂を製造することができる。また、上記親水性架橋重合体に圧力をかかりにくくし、上記親水性架橋重合体の圧縮度を減少させることができるため、少ない攪拌動力で上記親水性架橋重合体を攪拌することができ、製造効率を向上させることができる。
また、本発明に係る吸水性樹脂の表面架橋方法は、表面架橋剤を含む溶液と吸水性樹脂前駆体とを混合し、湿潤混合物を得る工程(1)と、上記湿潤混合物を、撹拌乾燥し、表面架橋剤を含む乾燥粒子状組成物を得る工程(2)と、上記乾燥粒子状組成物を加熱処理して表面架橋反応させる工程(3)とを含み、上記工程(2)で得られる乾燥粒子状組成物の80重量%以上は、目開き10mmの篩を通過する粒子であり、上記工程(2)および工程(3)のそれぞれの工程を、少なくとも1台以上の処理装置を用いて行い、上記工程(2)に用いる処理装置と、上記工程(3)に用いる処理装置とが、直列に連結されていることを特徴としている。
上記構成によれば、上記湿潤混合物を処理する際に起こる粒子の凝集を抑えるべく、撹拌乾燥することで、得られる乾燥粒子状組成物は流動性のよい粉体となる。よって、上記表面架橋反応させる工程においては、弱い撹拌もしくは撹拌翼のない装置でも表面架橋を所望の程度まで行うことができる。それゆえ、物性の良好な吸水性樹脂を安定して製造できるという効果を奏する。
また、本発明に係る吸水性樹脂の表面架橋方法においては、上記工程(2)に用いる処理装置と、上記工程(3)に用いる処理装置とが、種類および/または有効容積が異なる処理装置であることが好ましい。
上記構成によれば、製造する吸水性樹脂の性質に最適な処理装置および/または、上記工程(2)と上記工程(3)との各工程にそれぞれ最適な態様の処理装置を選択することができる。
すなわち、例えば、上記工程(2)では、伝熱面積/有効容積が大きい処理装置であって、攪拌力を大きくするために多軸で、該軸に複数の攪拌盤を有するものを用いることができる。また、例えば、上記工程(3)では、伝熱面積/有効容積が小さい処理装置であって、攪拌盤を備えていないことで穏やかな攪拌力であるものを用いることができる。
その結果、上記工程(2)において、攪拌効率の向上や平均昇温速度が速くなり、上記湿潤混合物の迅速な攪拌乾燥を実現することができる。また、上記工程(3)では、穏やかに攪拌によって吸水性樹脂が受けるダメージも減少し、平均昇温速度を遅くすることで、吸水性樹脂の微粉化を防ぐことや、表面架橋密度をコントロールすることができる。それゆえ、物性の良好な吸水性樹脂を安定して製造できる。
また、上記吸水性樹脂の表面架橋方法においては、上記工程(2)に用いる処理装置と、上記工程(3)に用いる処理装置とを、異なる加熱条件および/または異なる撹拌条件で運転させることが好ましい。
上記構成によれば、加熱条件および/または撹拌条件を、製造する吸水性樹脂の性質に見合った値および/または、上記工程(2)と上記工程(3)との各工程にそれぞれ見合った値に最適に調節することができる。
すなわち、例えば、上記工程(2)では、用いられる処理装置の、熱原の仕様や設定温度を平均昇温速度が速くなるように調節することや、攪拌盤を攪拌力の強いものに調節する。また、例えば、上記工程(3)では、用いられる処理装置を、熱原の仕様や設定温度を平均昇温速度が遅くなるように調節することや、攪拌盤を攪拌力の小さいものに調節する。
その結果、上記工程(2)において、攪拌効率の向上や平均昇温速度が速くなり、上記湿潤混合物の迅速な攪拌乾燥を実現することができる。また、上記工程(3)では、穏やかに攪拌によって吸水性樹脂が受けるダメージも減少し、平均昇温速度を遅くすることで、吸水性樹脂の微粉化を防ぐことや、表面架橋密度をコントロールすることができる。それゆえ、物性の良好な吸水性樹脂を安定して製造できる。
また、本発明にかかる吸水性樹脂の表面架橋方法は、上記課題を解決するために、表面架橋剤を含む溶液と吸水性樹脂前駆体とを混合し、湿潤混合物を得る工程(1)と、上記湿潤混合物を、撹拌乾燥し、表面架橋剤を含む乾燥粒子状組成物を得る工程(2)と、上記乾燥粒子状組成物を加熱処理して表面架橋反応させる工程(3)とを含み、上記工程(2)で得られる乾燥粒子状組成物の80重量%以上は、目開き10mmの篩を通過する粒子であり、上記工程(2)および工程(3)を1台の処理装置内で行い、上記工程(2)および工程(3)を、異なる加熱条件および/または異なる撹拌条件で行うことを特徴としている。
上記構成によれば、上記工程(2)および上記工程(3)を、粉体の性状に見合った攪拌条件、および温度設定することが可能となる。その結果、熱処理の処理時間を短縮することができる。それ故、吸水性樹脂へのダメージが軽減され、生産量を落とすことなく、物性の良好な吸水性樹脂が得られるという効果を奏する。
また、上記工程(2)および上記工程(3)を1台の処理装置内で行うことにより、装置数の増加によるコストの増加やスペース拡大というような問題を回避することができる。
また、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液との混合物を加熱することによって上記親水性架橋重合体の表面を架橋せしめる工程であって、上記混合物を、撹拌乾燥し、表面架橋剤を含む乾燥粒子状組成物を得る工程(2)と、上記乾燥粒子状組成物を加熱処理して表面架橋反応させる工程(3)とを含む改質工程、および表面架橋された上記親水性架橋重合体を冷却する冷却工程を含み、上記工程(2)、工程(3)および冷却工程のうち少なくとも1工程以上は、複数の攪拌盤を備えた回転軸を有する攪拌手段を具備する処理装置を用いて行われ、上記回転軸の長軸長さ方向と平行な方向をy方向、上記y方向と直交する方向であって、上記回転軸の軸径方向と平行な方向をx方向、上記x方向およびy方向と直交する方向をz方向とした場合に、上記攪拌盤は、上記攪拌手段をy−z平面で切断した断面において、最大厚さの最小厚さに対する比が5以下であり、上記混合物は、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液とを混合する工程(1)によって製造される湿潤混合物であり、上記工程(2)で得られる乾燥粒子状組成物の80重量%以上は、目開き10mmの篩を通過する粒子であり、上記工程(2)および工程(3)のそれぞれの工程を、少なくとも1台以上の処理装置を用いて行い、上記工程(2)に用いる処理装置と、工程(3)に用いる上記処理装置とが、直列に連結されていることを特徴としている。
上記構成によれば、上記工程(2)、工程(3)および冷却工程の中で少なくとも1工程以上に、上記形状の攪拌盤を備えた回転軸を有する攪拌手段を用いることができる。
そのため、上記改質工程および/または冷却工程の過程においては、上記親水性架橋重合体に与える機械的なダメージを小さくしつつ、均一に攪拌することができる。さらに、上記工程(2)では、上記湿潤混合物を処理する際に起こる粒子の凝集を抑えるべく、撹拌乾燥することで、得られる乾燥粒子状組成物は流動性のよい粉体となる。そして、上記工程(3)では、弱い撹拌もしくは撹拌翼のない装置でも表面架橋を所望の程度まで行うことができる。
その結果、機械的なダメージの軽減と熱処理時間の短縮とを実現することができる。
したがって、微粉量の少ない良好な性質を有する吸水性樹脂を効率よく製造することができる。
また、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液との混合物を加熱することによって上記親水性架橋重合体の表面を架橋せしめる工程であって、上記混合物を、撹拌乾燥し、表面架橋剤を含む乾燥粒子状組成物を得る工程(2)と、上記乾燥粒子状組成物を加熱処理して表面架橋反応させる工程(3)とを含む改質工程、および表面架橋された上記親水性架橋重合体を冷却する冷却工程を含み、上記工程(2)、工程(3)および冷却工程のうち少なくとも1工程以上は、かきあげ羽根を具備する複数の攪拌盤を備えた回転軸を有する攪拌手段を具備する処理装置を用いて行われ、上記回転軸の長軸長さ方向と平行な方向をy方向、上記y方向と直交する方向であって、上記回転軸の軸径方向と平行な方向をx方向、上記x方向およびy方向と直交する方向をz方向とした場合に、上記攪拌手段をy−z平面で切断した断面における上記かきあげ羽根の断面積が、上記かきあげ羽根を突出させている一つの攪拌盤と、当該攪拌盤と相対して配置される他の攪拌盤との間の上記y−z平面における面積の10%以上50%未満を占め、かつ、上記y−z平面で切断した断面における上記かきあげ羽根のy方向の長さが、上記一つの攪拌盤と上記他の攪拌盤との間の上記y−z平面における距離の50%以上であって、上記混合物は、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液とを混合する工程(1)によって製造される湿潤混合物であり、上記工程(2)で得られる乾燥粒子状組成物の80重量%以上は、目開き10mmの篩を通過する粒子であり、上記工程(2)および工程(3)のそれぞれの工程を、少なくとも1台以上の処理装置を用いて行い、上記工程(2)に用いる上記処理装置と、工程(3)に用いる処理装置とが、直列に連結されていることを特徴としている。
上記構成によれば、上記工程(2)、工程(3)および冷却工程の中で少なくとも1工程以上に、上記形状のかきあげ羽根を具備する複数の攪拌盤を備えた回転軸を有する攪拌手段を用いることができる。そのため、上記改質工程および/または冷却工程の過程においては、上記親水性架橋重合体および/または上記吸水性樹脂を均一に浮遊状態で攪拌することができる。さらに、上記工程(2)では、上記湿潤混合物を処理する際に起こる粒子の凝集を抑えるべく、撹拌乾燥することで、得られる乾燥粒子状組成物は流動性のよい粉体となる。そして、上記工程(3)では、弱い撹拌もしくは撹拌翼のない装置でも表面架橋を所望の程度まで行うことができる。
その結果、機械的なダメージの軽減と、攪拌動力の省エネルギー化と、熱処理時間の短縮とを実現することができる。したがって、微粉量の少ない良好な性質を有する吸水性樹脂を効率よく製造することができる。
また、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液との混合物を加熱することによって上記親水性架橋重合体の表面を架橋せしめる工程である改質工程、および表面架橋された上記親水性架橋重合体を冷却する冷却工程を含み、上記改質工程および/または冷却工程は、複数の攪拌盤を備えた回転軸を有する攪拌手段を具備した処理装置を用いて行われ、上記回転軸の長軸長さ方向と平行な方向をy方向、上記y方向と直交する方向であって、上記回転軸の軸径方向と平行な方向をx方向、上記x方向およびy方向と直交する方向をz方向とした場合に、上記攪拌盤は、上記攪拌手段をy−z平面で切断した断面において、最大厚さの最小厚さに対する比が5以下であって、上記混合物は、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液とを混合する工程(1)によって製造される湿潤混合物であり、上記改質工程は上記湿潤混合物を、撹拌乾燥し、表面架橋剤を含む乾燥粒子状組成物を得る工程(2)と、上記乾燥粒子状組成物を加熱処理して表面架橋反応させる工程(3)とを含み、上記工程(2)で得られる乾燥粒子状組成物の80重量%以上は、目開き10mmの篩を通過する粒子であり、上記工程(2)および工程(3)を1台の処理装置内で行い、上記工程(2)および工程(3)を、異なる加熱条件および/または異なる撹拌条件で行うことを特徴としている。
上記構成によれば、上記改質工程および/または冷却工程は、上記形状の攪拌盤を備えた回転軸を有する攪拌手段を用いて行われ、上記改質工程に含まれる上記工程(2)と上記工程(3)とを1台の処理装置で行うことができる。また、上記工程(2)と上記工程(3)とに係る攪拌条件および/または温度条件を、それぞれ各工程に最適なように設定することができる。
そのため、上記改質工程および/または冷却工程の過程においては、上記親水性架橋重合体に与える機械的なダメージを小さくしつつ、均一に攪拌することができる。さらに、上記工程(2)および上記工程(3)を、粉体の性状に見合った攪拌条件、および温度設定することが可能となる。
その結果、機械的なダメージの軽減と熱処理の処理時間の短縮とを実現することができる。それ故、物性の良好な吸水性樹脂が得られるという効果を奏する。
また、1台の処理装置内で行うことにより、装置数の増加に係るコストの増加やスペース拡大というような問題を回避することができる。
また、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液との混合物を加熱することによって上記親水性架橋重合体の表面を架橋せしめる工程である改質工程、および表面架橋された上記親水性架橋重合体を冷却する冷却工程を含み、上記改質工程および/または冷却工程は、かきあげ羽根を具備する複数の攪拌盤を備えた回転軸を有する攪拌手段を具備した処理装置を用いて行われ、上記回転軸の長軸長さ方向と平行な方向をy方向、上記y方向と直交する方向であって、上記回転軸の軸径方向と平行な方向をx方向、上記x方向およびy方向と直交する方向をz方向とした場合に、上記攪拌手段をy−z平面で切断した断面における上記かきあげ羽根の断面積が、上記かきあげ羽根を突出させている一つの攪拌盤と、当該攪拌盤と相対して配置される他の攪拌盤との間の上記y−z平面における面積の10%以上50%未満を占め、かつ、上記y−z平面で切断した断面における上記かきあげ羽根のy方向の長さが、上記一つの攪拌盤と上記他の攪拌盤との間の上記y−z平面における距離の50%以上であることと、上記混合物は、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液とを混合する工程(1)によって製造される湿潤混合物であり、上記改質工程は上記湿潤混合物を、撹拌乾燥し、表面架橋剤を含む乾燥粒子状組成物を得る工程(2)と、上記乾燥粒子状組成物を加熱処理して表面架橋反応させる工程(3)とを含み、上記工程(2)で得られる乾燥粒子状組成物の80重量%以上は、目開き10mmの篩を通過する粒子であり、上記工程(2)および工程(3)を1台の処理装置内で行い、上記工程(2)および工程(3)を、異なる加熱条件および/または異なる撹拌条件で行うことを特徴としている。
上記構成によれば、上記改質工程および/または冷却工程は、上記形状のかきあげ羽根を具備する複数の攪拌盤を備えた回転軸を有する攪拌手段を具備した処理装置を用いて行われ、上記改質工程に含まれる上記工程(2)と上記工程(3)とを1台の処理装置で行うことができる。また、上記工程(2)と上記工程(3)とに係る攪拌条件および/または温度条件を、それぞれ各工程に最適なように設定することができる。
そのため、上記改質工程および/または冷却工程の過程においては、上記親水性架橋重合体および/または上記吸水性樹脂を均一に浮遊状態で攪拌することができる。さらに、上記工程(2)および上記工程(3)を、文体の正常に見合った攪拌条件、および温度設定することが可能となる。
その結果、機械的なダメージの軽減と、攪拌動力の省エネルギー化と、熱処理時間の短縮とを実現することができる。したがって、微粉量の少ない良好な性質を有する吸水性樹脂を効率よく製造することができる。
また、1台の処理装置内で行うことにより、装置数の増加に係るコストの増加やスペース拡大というような問題を回避することができる。
また、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、上記工程(2)に用いる処理装置と、上記工程(3)に用いる処理装置とが、種類および/または有効容積が異なる処理装置であることが好ましい。
上記構成によれば、該攪拌手段の攪拌力および/または加える温度、伝熱面積/有効容積の値が各工程に見合ったものである処理装置を選択することができる。
従って、上記工程(2)における攪拌乾燥効率および/または上記工程(3)における表面架橋効率を向上させることができる。その結果、各工程における親水性架橋重合体および/または、吸水性樹脂へのダメージを軽減と、上記各工程に係る時間の短縮とを実現することができ、良質の吸水性樹脂を製造することができる。
また、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、上記工程(2)に用いる処理装置と、上記工程(3)に用いる処理装置とを、異なる加熱条件および/または異なる撹拌条件で運転させることが好ましい。
上記構成によれば、該攪拌手段の攪拌力および/または加える温度、伝熱面積/有効容積の値が各工程に見合ったものに設定することができる。
従って、上記工程(2)における攪拌乾燥効率および/または上記工程(3)における表面架橋効率を向上させることができる。その結果、各工程における親水性架橋重合体および/または、吸水性樹脂へのダメージを軽減と、上記各工程に係る時間の短縮とを実現することができ、良質の吸水背樹脂を製造することができる。
また、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法では、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液との混合物を加熱することによって上記親水性架橋重合体の表面を架橋せしめる工程である改質工程、および表面架橋された上記親水性架橋重合体を冷却する冷却工程を含み、上記改質工程および/または冷却工程は、かきあげ羽根を具備する攪拌盤を備えた回転軸を有する攪拌手段を用いて行われ、上記回転軸の長軸長さ方向と平行な方向をy方向、上記y方向と直交する方向であって、上記回転軸の軸径方向と平行な方向をx方向、上記x方向およびy方向と直交する方向をz方向とした場合に、上記攪拌手段をy−z平面で切断した断面における上記かきあげ羽根の断面積が、上記かきあげ羽根を突出させている一つの攪拌盤と、当該攪拌盤と相対して配置される他の攪拌盤との間の上記y−z平面における面積の10%以上50%未満を占め、かつ、上記y−z平面で切断した断面における上記かきあげ羽根のy方向の長さが、上記一つの攪拌盤と上記他の攪拌盤との間の上記y−z平面における距離の50%以上で上記攪拌盤は、上記攪拌手段をy−z平面で切断した断面において、最大厚さの最小厚さに対する比が5以下であることが好ましい。
上記構成によれば、攪拌盤に設けられたかきあげ羽根の断面積と長さが、上記範囲に調整されているため、上記親水性架橋重合体を過度に圧縮せずに浮遊状態で攪拌することができ、親水性架橋重合体の凝集と圧迫を防止できる。したがって、微粉の発生を抑制することができる。さらに、最大厚さの最小厚さに対する比が5以下という比較的厚みが均一な攪拌盤を用いるので、攪拌盤の断面積あたりの上記親水性架橋重合体に加えられる圧縮および解放を非常に少なくすることができ、上記親水性架橋重合体に与える機械的なダメージを減少させることができる。したがって、より一層微粉量の少ない吸水性樹脂を製造することができる。
また、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法では、かきあげ羽根が、複数の攪拌盤に跨っており、上記かきあげ羽根のうち、隣接する位置に存在するかきあげ羽根同士は、上記攪拌手段をy−z平面で切断した断面において、上記回転軸を挟んで互い違いに配置または平行に連結されることが好ましい。
上記構成によれば、かきあげ羽根の断面積を、上記かきあげ羽根を突出または連結させている一つの攪拌盤と、当該攪拌盤と相対して配置される他の攪拌盤との間の上記y−z平面における面積(以下「攪拌盤間面積」という)に対して大きくすることや、かきあげ羽根の長さを長くすることができる。
また、かきあげ羽根が攪拌盤に強固に固定されるため、かきあげ羽根の耐久性を増すことができる。そのため、攪拌効率や粉体搬送性を向上させることができ、均一な表面架橋を施すことができる。したがって、より一層微粉量の少ない吸水性樹脂を製造することができる。
また、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法では、上記攪拌盤が円盤状または一部が欠落した円盤状であることが好ましい。
上記構成によれば、例えば攪拌盤が楔形である場合に比べて、親水性架橋重合体を攪拌する際に親水性架橋重合体に加わる圧力を減少させることができるので、親水性架橋重合体の粉体密度を低減することができる。したがって、より効率的に微粉量の少ない吸水性樹脂を製造することができる。
また、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法では、上記攪拌手段が、伝熱手段としても作用することが好ましい。
上記親水性架橋重合体の表面を架橋せしめるためには、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液との混合物を加熱する必要がある。
上記構成によれば、攪拌手段が上記親水性架橋重合体に機械的ダメージを与えずに攪拌することや、均一に攪拌することが可能な構成となっているところ、さらに伝熱手段としても作用するため、微粉の発生を抑制しつつ、上記混合物に対して、架橋反応に必要な熱を均一に伝導することができる。したがって、架橋反応を効率的に行うことができるとともに、改質時間の短縮を図ることができるため、微粉量の少ない吸水性樹脂を効率よく製造することができる。
また、攪拌盤が円盤状または一部が欠落した円盤状である場合は、例えば攪拌盤が楔形である場合に比べて、伝熱面積を大きくすることができるので、架橋反応の効率を向上させることができる。
さらに、伝熱手段を別途設ける必要がないため、吸水性樹脂製造装置の小型化に寄与することができる。
また、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法では、上記攪拌手段が冷却手段としても作用することが好ましい。
上記構成によれば、攪拌手段が、表面架橋された親水性架橋重合体に機械的ダメージを与えずに、均一に攪拌しながら冷却することができるので、冷却工程における微粉の発生を抑制することができるとともに、上記親水性架橋重合体の全体を均一に冷却することができる。したがって、表面架橋を過剰に進行させることなく、微粉量の少ない吸水性樹脂を製造することができる。また、冷却手段を別途設ける必要がないため、吸水性樹脂製造装置の小型化に寄与することができる。
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、以上のように、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液との混合物を加熱することによって上記親水性架橋重合体の表面を架橋せしめる工程である改質工程、および表面架橋された上記親水性架橋重合体を冷却する冷却工程を含み、上記改質工程および/または冷却工程は、複数の攪拌盤を備えた回転軸を有する攪拌手段を用いて行われ、上記回転軸の長軸長さ方向と平行な方向をy方向、上記y方向と直交する方向であって、上記回転軸の軸径方向と平行な方向をx方向、上記x方向およびy方向と直交する方向をz方向とした場合に、上記攪拌盤は、上記攪拌手段をy−z平面で切断した断面において、最大厚さの最小厚さに対する比が5以下である、という構成である。
それゆえ、攪拌盤の断面積あたりの上記親水性架橋重合体に加えられる圧縮および解放を非常に少なくすることができ、上記親水性架橋重合体に与える機械的なダメージを小さくしつつ、均一に攪拌することができるので、微粉量の少ない吸水性樹脂を製造することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、以上のように、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液との混合物を加熱することによって上記親水性架橋重合体の表面を架橋せしめる工程である改質工程、および表面架橋された上記親水性架橋重合体を冷却する冷却工程を含み、上記改質工程および/または冷却工程は、かきあげ羽根を具備する複数の攪拌盤を備えた回転軸を有する攪拌手段を用いて行われ、上記回転軸の長軸長さ方向と平行な方向をy方向、上記y方向と直交する方向であって、上記回転軸の軸径方向と平行な方向をx方向、上記x方向およびy方向と直交する方向をz方向とした場合に、上記攪拌手段をy−z平面で切断した断面における上記かきあげ羽根の断面積が、上記かきあげ羽根を突出させている一つの攪拌盤と、当該攪拌盤と相対して配置される他の攪拌盤との間の上記y−z平面における面積の10%以上50%未満を占め、かつ、上記y−z平面で切断した断面における上記かきあげ羽根のy方向の長さが、上記一つの攪拌盤と上記他の攪拌盤との間の上記y−z平面における距離の50%以上であるという構成である。
それゆえ、上記親水性架橋重合体を過度に圧縮せずに均一に攪拌することができ、改質工程で発生しやすい、微粉の発生を効率的に防止できるため、微粉量の少ない吸水性樹脂を製造することができるという効果を奏する。
また、本発明にかかる吸水性樹脂の表面架橋方法は、表面架橋剤を含む溶液と吸水性樹脂前駆体とを混合し、湿潤混合物を得る工程(1)と、上記湿潤混合物を、撹拌乾燥し、表面架橋剤を含む乾燥粒子状組成物を得る工程(2)と、上記乾燥粒子状組成物を加熱処理して表面架橋反応させる工程(3)とを含み、上記工程(2)で得られる乾燥粒子状組成物の80重量%以上は、目開き10mmの篩を通過する粒子であり、上記工程(2)および工程(3)のそれぞれの工程を、少なくとも1台以上の処理装置を用いて行い、上記工程(2)に用いる処理装置と、上記工程(3)に用いる処理装置とが、直列に連結されている、という構成である。
上記湿潤混合物を処理する際に起こる粒子の凝集を抑えるべく、撹拌乾燥することで、得られる乾燥粒子状組成物は流動性のよい粉体となる。よって、上記表面架橋反応させる工程においては、弱い撹拌もしくは撹拌翼のない装置でも表面架橋を所望の程度まで行うことができる。それゆえ、本発明にかかる吸水性樹脂の表面架橋方法は、物性の良好な吸水性樹脂を安定して製造できるという効果を奏する。
また、本発明にかかる吸水性樹脂の表面架橋方法は、各工程において効率のよい加熱条件および/または撹拌条件を選択できるため、加熱処理装置内での滞留時間が短くなる。それゆえ、吸水性樹脂の生産性を向上させるという効果を奏する。
また、本発明にかかる吸水性樹脂の表面架橋方法は、表面架橋剤を含む溶液と吸水性樹脂前駆体とを混合し、湿潤混合物を得る工程(1)と、上記湿潤混合物を、撹拌乾燥し、表面架橋剤を含む乾燥粒子状組成物を得る工程(2)と、上記乾燥粒子状組成物を加熱処理して表面架橋反応させる工程(3)とを含み、上記工程(2)で得られる乾燥粒子状組成物の80重量%以上は、目開き10mmの篩を通過する粒子であり、上記工程(2)および工程(3)を1台の処理装置内で行い、上記工程(2)および工程(3)を、異なる加熱条件および/または異なる撹拌条件で行うという構成である。
上記湿潤混合物を処理する際に起こる粒子の凝集を抑えるべく、撹拌乾燥することで、得られる乾燥粒子状組成物は流動性のよい粉体となる。よって、上記表面架橋反応させる工程においては、弱い撹拌もしくは撹拌翼のない装置でも表面架橋を所望の程度まで行うことができる。それゆえ、本発明にかかる吸水性樹脂の表面架橋方法は、物性の良好な吸水性樹脂を安定して製造できるという効果を奏する。
また、上記工程(2)および上記工程(3)を、粉体の性状に見合った攪拌条件、および温度設定することが可能となる。その結果、熱処理の処理時間を短縮することができる。それ故、吸水性樹脂へのダメージが軽減され、生産量を落とすことなく、物性の良好な吸水性樹脂が得られるという効果を奏する。
また、上記工程(2)および上記工程(3)を1台の処理装置内で行うことにより、装置数の増加によるコストの増加やスペース拡大というような問題を回避することができる。
また、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液との混合物を加熱することによって上記親水性架橋重合体の表面を架橋せしめる工程であって、上記混合物を、撹拌乾燥し、表面架橋剤を含む乾燥粒子状組成物を得る工程(2)と、上記乾燥粒子状組成物を加熱処理して表面架橋反応させる工程(3)とを含む改質工程、および表面架橋された上記親水性架橋重合体を冷却する冷却工程を含み、上記工程(2)、工程(3)および冷却工程のうち少なくとも1工程以上は、複数の攪拌盤を備えた回転軸を有する攪拌手段を具備する処理装置を用いて行われ、上記回転軸の長軸長さ方向と平行な方向をy方向、上記y方向と直交する方向であって、上記回転軸の軸径方向と平行な方向をx方向、上記x方向およびy方向と直交する方向をz方向とした場合に、上記攪拌盤は、上記攪拌手段をy−z平面で切断した断面において、最大厚さの最小厚さに対する比が5以下であり、上記混合物は、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液とを混合する工程(1)によって製造される湿潤混合物であり、上記工程(2)で得られる乾燥粒子状組成物の80重量%以上は、目開き10mmの篩を通過する粒子であり、上記工程(2)および工程(3)のそれぞれの工程を、少なくとも1台以上の処理装置を用いて行い、上記工程(2)に用いる処理装置と、工程(3)に用いる上記処理装置とが、直列に連結されている、という構成である。
上記構成によれば、上記工程(2)、工程(3)および冷却工程の中で少なくとも1工程以上に、上記形状の攪拌盤を備えた回転軸を有する攪拌手段を用いることができる。
そのため、上記改質工程および/または冷却工程の過程においては、上記親水性架橋重合体に与える機械的なダメージを小さくしつつ、均一に攪拌することができる。さらに、上記工程(2)では、上記湿潤混合物を処理する際に起こる粒子の凝集を抑えるべく、撹拌乾燥することで、得られる乾燥粒子状組成物は流動性のよい粉体となる。そして、上記工程(3)では、弱い撹拌もしくは撹拌翼のない装置でも表面架橋を所望の程度まで行うことができる。
その結果、機械的なダメージの軽減と熱処理時間の短縮とを実現することができる。
したがって、微粉量の少ない良好な性質を有する吸水性樹脂を効率よく製造することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液との混合物を加熱することによって上記親水性架橋重合体の表面を架橋せしめる工程であって、上記混合物を、撹拌乾燥し、表面架橋剤を含む乾燥粒子状組成物を得る工程(2)と、上記乾燥粒子状組成物を加熱処理して表面架橋反応させる工程(3)とを含む改質工程、および表面架橋された上記親水性架橋重合体を冷却する冷却工程を含み、上記工程(2)、工程(3)および冷却工程のうち少なくとも1工程以上は、かきあげ羽根を具備する複数の攪拌盤を備えた回転軸を有する攪拌手段を具備する処理装置を用いて行われ、上記回転軸の長軸長さ方向と平行な方向をy方向、上記y方向と直交する方向であって、上記回転軸の軸径方向と平行な方向をx方向、上記x方向およびy方向と直交する方向をz方向とした場合に、上記攪拌手段をy−z平面で切断した断面における上記かきあげ羽根の断面積が、上記かきあげ羽根を突出させている一つの攪拌盤と、当該攪拌盤と相対して配置される他の攪拌盤との間の上記y−z平面における面積の10%以上50%未満を占め、かつ、上記y−z平面で切断した断面における上記かきあげ羽根のy方向の長さが、上記一つの攪拌盤と上記他の攪拌盤との間の上記y−z平面における距離の50%以上であって、上記混合物は、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液とを混合する工程(1)によって製造される湿潤混合物であり、上記工程(2)で得られる乾燥粒子状組成物の80重量%以上は、目開き10mmの篩を通過する粒子であり、上記工程(2)および工程(3)のそれぞれの工程を、少なくとも1台以上の処理装置を用いて行い、上記工程(2)に用いる上記処理装置と、工程(3)に用いる処理装置とが、直列に連結されているという構成である。
上記構成によれば、上記工程(2)、工程(3)および冷却工程の中で少なくとも1工程以上に、上記形状のかきあげ羽根を具備する複数の攪拌盤を備えた回転軸を有する攪拌手段を用いることができる。そのため、上記改質工程および/または冷却工程の過程においては、上記親水性架橋重合体および/または上記吸水性樹脂を均一に浮遊状態で攪拌することができる。さらに、上記工程(2)では、上記湿潤混合物を処理する際に起こる粒子の凝集を抑えるべく、撹拌乾燥することで、得られる乾燥粒子状組成物は流動性のよい粉体となる。そして、上記工程(3)では、弱い撹拌もしくは撹拌翼のない装置でも表面架橋を所望の程度まで行うことができる。
その結果、機械的なダメージの軽減と、攪拌動力の省エネルギー化と、熱処理時間の短縮とを実現することができる。したがって、微粉量の少ない良好な性質を有する吸水性樹脂を効率よく製造することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液との混合物を加熱することによって上記親水性架橋重合体の表面を架橋せしめる工程である改質工程、および表面架橋された上記親水性架橋重合体を冷却する冷却工程を含み、上記改質工程および/または冷却工程は、複数の攪拌盤を備えた回転軸を有する攪拌手段を具備した処理装置を用いて行われ、上記回転軸の長軸長さ方向と平行な方向をy方向、上記y方向と直交する方向であって、上記回転軸の軸径方向と平行な方向をx方向、上記x方向およびy方向と直交する方向をz方向とした場合に、上記攪拌盤は、上記攪拌手段をy−z平面で切断した断面において、最大厚さの最小厚さに対する比が5以下であって、上記混合物は、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液とを混合する工程(1)によって製造される湿潤混合物であり、上記改質工程は上記湿潤混合物を、撹拌乾燥し、表面架橋剤を含む乾燥粒子状組成物を得る工程(2)と、上記乾燥粒子状組成物を加熱処理して表面架橋反応させる工程(3)とを含み、上記工程(2)で得られる乾燥粒子状組成物の80重量%以上は、目開き10mmの篩を通過する粒子であり、上記工程(2)および工程(3)を1台の処理装置内で行い、上記工程(2)および工程(3)を、異なる加熱条件および/または異なる撹拌条件で行う、という構成である。
上記構成によれば、上記改質工程および/または冷却工程は、上記形状の攪拌盤を備えた回転軸を有する攪拌手段を用いて行われ、上記改質工程に含まれる上記工程(2)と上記工程(3)とを1台の処理装置で行うことができる。また、上記工程(2)と上記工程(3)とに係る攪拌条件および/または温度条件を、それぞれ各工程に最適なように設定することができる。
そのため、上記改質工程および/または冷却工程の過程においては、上記親水性架橋重合体に与える機械的なダメージを小さくしつつ、均一に攪拌することができる。さらに、上記工程(2)および上記工程(3)を、粉体の性状に見合った攪拌条件、および温度設定することが可能となる。
その結果、機械的なダメージの軽減と熱処理の処理時間の短縮とを実現することができる。それ故、物性の良好な吸水性樹脂が得られるという効果を奏する。
また、1台の処理装置内で行うことにより、装置数の増加に係るコストの増加やスペース拡大というような問題を回避することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液との混合物を加熱することによって上記親水性架橋重合体の表面を架橋せしめる工程である改質工程、および表面架橋された上記親水性架橋重合体を冷却する冷却工程を含み、上記改質工程および/または冷却工程は、かきあげ羽根を具備する複数の攪拌盤を備えた回転軸を有する攪拌手段を具備した処理装置を用いて行われ、上記回転軸の長軸長さ方向と平行な方向をy方向、上記y方向と直交する方向であって、上記回転軸の軸径方向と平行な方向をx方向、上記x方向およびy方向と直交する方向をz方向とした場合に、上記攪拌手段をy−z平面で切断した断面における上記かきあげ羽根の断面積が、上記かきあげ羽根を突出させている一つの攪拌盤と、当該攪拌盤と相対して配置される他の攪拌盤との間の上記y−z平面における面積の10%以上50%未満を占め、かつ、上記y−z平面で切断した断面における上記かきあげ羽根のy方向の長さが、上記一つの攪拌盤と上記他の攪拌盤との間の上記y−z平面における距離の50%以上であることと、上記混合物は、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液とを混合する工程(1)によって製造される湿潤混合物であり、上記改質工程は上記湿潤混合物を、撹拌乾燥し、表面架橋剤を含む乾燥粒子状組成物を得る工程(2)と、上記乾燥粒子状組成物を加熱処理して表面架橋反応させる工程(3)とを含み、上記工程(2)で得られる乾燥粒子状組成物の80重量%以上は、目開き10mmの篩を通過する粒子であり、上記工程(2)および工程(3)を1台の処理装置内で行い、上記工程(2)および工程(3)を、異なる加熱条件および/または異なる撹拌条件で行う、という構成である。
上記構成によれば、上記改質工程および/または冷却工程は、上記形状のかきあげ羽根を具備する複数の攪拌盤を備えた回転軸を有する攪拌手段を具備した処理装置を用いて行われ、上記改質工程に含まれる上記工程(2)と上記工程(3)とを1台の処理装置で行うことができる。また、上記工程(2)と上記工程(3)とに係る攪拌条件および/または温度条件を、それぞれ各工程に最適なように設定することができる。
そのため、上記改質工程および/または冷却工程の過程においては、上記親水性架橋重合体および/または上記吸水性樹脂を均一に浮遊状態で攪拌することができる。さらに、上記工程(2)および上記工程(3)を、文体の正常に見合った攪拌条件、および温度設定することが可能となる。
その結果、機械的なダメージの軽減と、攪拌動力の省エネルギー化と、熱処理時間の短縮とを実現することができる。したがって、微粉量の少ない良好な性質を有する吸水性樹脂を効率よく製造することができるという効果を奏する。
また、1台の処理装置内で行うことにより、装置数の増加に係るコストの増加やスペース拡大というような問題を回避することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態について説明すると、以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔本発明に係る吸水性樹脂の製造方法において、改質工程及び/または冷却工程で用いられる攪拌装置(攪拌手段)の態様〕
<攪拌盤の厚さ>
一実施形態において、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液との混合物を加熱することによって上記親水性架橋重合体の表面を架橋せしめる工程である改質工程、および表面架橋された上記親水性架橋重合体を冷却する冷却工程を含み、上記改質工程および/または冷却工程は、複数の攪拌盤を備えた回転軸を有する攪拌手段を用いて行われ、上記回転軸の長軸長さ方向と平行な方向をy方向、上記y方向と直交する方向であって、上記回転軸の軸径方向と平行な方向をx方向、上記x方向およびy方向と直交する方向をz方向とした場合に、上記攪拌盤は、上記攪拌手段をy−z平面で切断した断面において、最大厚さの最小厚さに対する比が5以下である。
本実施形態では、攪拌盤の厚さが所定の範囲にある攪拌手段を用い、改質工程および/または冷却工程を行う。
図1は、本実施の形態において用いられる攪拌装置(攪拌手段)100の構成の一例を示す断面図である。また、本明細書において、攪拌盤と攪拌翼とは同義である。
図1に示すように、攪拌装置100は、駆動装置10、横型ドラム20、原料供給口30、熱媒および冷媒入口40,40´、熱媒および冷媒出口45、45´、吸水性樹脂排出口50およびキャリアーガス導入口81、排気口85を有し、横型ドラム20内部には、駆動装置10によって回転する回転軸70に攪拌盤80が配設され、攪拌盤80にはかきあげ羽根90が配設される。
なお、図1では、攪拌盤80にかきあげ羽根90が配設されているが、本実施の形態においては、攪拌盤80はかきあげ羽根90を有していても有していなくても良い。かきあげ羽根の詳細については後述する。
攪拌盤80の形状は、原料供給口30から横型ドラム20に供給された上記混合物を攪拌することが可能であれば特に限定されるものではない。例えば、円盤状であってもよいし、一部が欠落した円盤状であってもよい。また、円盤状の攪拌盤の一部を欠く扇形であってもよい。ただし、親水性架橋重合体の粉体密度を低減するという観点からは、円盤状、特に平面円盤状であることが好ましい。「円盤状」とは、攪拌盤をx−z平面において切断したときの断面形状が円形であることを言うが、必ずしも完全な円形である必要はない。「平面円盤状」とは、円盤状の攪拌盤の表面が平面となっている状態をいう。また、「一部が欠落した円盤状」とは、攪拌盤をx−z平面において切断したときの断面形状が円形でかつ、その一部が欠落した状態をいう。上記の欠落部位は、特に限定されることはなく、例えば、円盤状の外周でも良いし円盤状の内部でもよい。円盤状の内部が欠落している場合は、例えば、欠落が攪拌盤を貫通して攪拌盤に穴が空いた状態も含む。
扇形の攪拌盤を用いる場合、扇の内角は15〜75°であることが好ましく、より好ましくは30〜60°である。15°を下回る場合および75°を超える場合は微粉発生抑制効果が少なくなる。
図2(A)は、攪拌盤が楔形である攪拌盤80aを用いた場合において、y−z平面で切断した攪拌装置(攪拌手段)100の断面図、図2(B)は、攪拌盤が楔形である攪拌盤80aを用いた場合において、x−z平面で切断した攪拌装置(攪拌手段)100の断面図を表す。
また、図3(A)は、攪拌盤が平面円盤状(扇形)である攪拌盤80bを用いた場合において、y−z平面で切断した攪拌装置(攪拌手段)100の断面図、図3(B)は、攪拌盤が平面円盤状(扇形)である攪拌盤80bを用いた場合において、x−z平面で切断した攪拌装置(攪拌手段)100の断面図を表す。なお、図2、3においては、攪拌盤80a,80b、回転軸70、かきあげ羽根90a,90bのみを表し、その他の部材は省略している。
攪拌盤80は、上記攪拌装置(攪拌手段)100をy−z平面で切断した断面において、最大厚さの最小厚さに対する比が5以下であることが必要である。最大厚さの最小厚さに対する比とは、上記攪拌手段をy−z平面で切断した断面における攪拌盤の厚さの最大値と最小値との比を意味する。例えば図2(A)において、上記比はT/Tで表すことができ、図3(A)において上記比はT´/T´で表すことができる。
最大厚さの最小厚さに対する比が5以下とすることにより、攪拌盤80の厚さが比較的均一となるので、上記親水性架橋重合体に加えられる攪拌盤80の断面積あたりの圧力を非常に少なくすることができ、攪拌盤80と上記親水性架橋重合体との間に生じる摩擦を小さくすることができる。そのため、上記親水性架橋重合体に与える機械的なダメージを小さくしつつ、均一に攪拌することができ、微粉の発生を抑制することができる。上記最大厚さの最小厚さに対する比は、5以下であれば特に限定されるものではないが、4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましく、2以下であることがさらに好ましく、1であることが最も好ましい。また、粉体層への切り込みを良くする為に、攪拌盤80は、先端部にRを有していても良い。
これまでにも、例えば特許文献4のように、攪拌盤を用いた攪拌手段については開示されているが、攪拌盤の厚さに関する検討は全くなされておらず、微粉の発生を十分に抑制することはできていなかった。本発明は、微粉量の抑制に最適な攪拌盤の厚さについて鋭意検討の結果完成されたものである。
攪拌盤80の最大厚さの最小厚さに対する比が1に近づくほど、最大厚さと最小厚さの差が小さくなる。すなわち、上記攪拌装置(攪拌手段)100をy−z平面で切断した断面における攪拌盤80の傾斜が小さくなるため、攪拌時に上記親水性架橋重合体に加わる圧力や摩擦力がより小さくなり、微粉が発生するのを抑制できる。反対に、攪拌盤80の最大厚さの最小厚さに対する比が5を上回ると攪拌盤80の傾斜が大きくなり、攪拌時に上記親水性架橋重合体に加わる圧力や摩擦力が大きくなる。その結果、上記親水性架橋重合体が圧縮されて粉体密度が上昇し、破壊されやすくなるため、微粉化を抑制することが困難となる。
上記攪拌盤80は、上記親水性架橋重合体を十分に攪拌し、表面架橋を効率的に行うため複数備えられている。ただし、複数であれば攪拌盤80の数は特に限定されるものではなく、攪拌装置(攪拌手段)100の大きさや、製造スケールに応じて適宜設定すればよい。上記最大厚さの最小厚さに対する比は、全ての攪拌盤において5以下であることが必要であるが、5以下であれば、各攪拌盤の厚さは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
また、攪拌盤80の大きさは、上記最大厚さの最小厚さに対する比が5以下であれば特に限定されるものではなく、攪拌装置(攪拌手段)100の大きさに応じて適宜設定すればよい。また、攪拌盤の直径は9.0cm以上であることが好ましく、40cm以上であることがより好ましく、60cm以上であることが特に好ましい。
<かきあげ羽根>
一実施形態において、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液との混合物を加熱することによって上記親水性架橋重合体の表面を架橋せしめる工程である改質工程、および表面架橋された上記親水性架橋重合体を冷却する冷却工程を含み、上記改質工程および/または冷却工程は、かきあげ羽根を具備する複数の攪拌盤を備えた回転軸を有する攪拌手段を用いて行われ、上記回転軸の長軸長さ方向と平行な方向をy方向、上記y方向と直交する方向であって、上記回転軸の軸径方向と平行な方向をx方向、上記x方向およびy方向と直交する方向をz方向とした場合に、上記攪拌手段をy−z平面で切断した断面における上記かきあげ羽根の断面積が、上記かきあげ羽根を突出させている一つの攪拌盤と、当該攪拌盤と相対して配置される他の攪拌盤との間の上記y−z平面における面積の10%以上50%未満を占め、かつ、上記y−z平面で切断した断面における上記かきあげ羽根のy方向の長さが、上記一つの攪拌盤と上記他の攪拌盤との間の上記y−z平面における距離の50%以上である。
かきあげ羽根とは、攪拌盤に固定された盤状体である。その材質は特に限定されるものではない。これまでにも、例えば特許文献4のように、かきあげ羽根を用いた攪拌手段については開示されているが、微粉発生を抑制するためのかきあげ羽根の形状について詳細な検討はなされていない。例えば、特許文献4においても、かきあげ羽根の攪拌盤からの突出幅について記載されているだけである。
本発明者は、かきあげ羽根の面積および長さを最適な範囲に調整することにより、上記親水性架橋重合体を過度に圧縮せずに浮遊状態で攪拌することができ、親水性架橋重合体の凝集と圧迫とを防止できるので、親水性架橋重合体を均一に攪拌することができ、微粉の発生を抑制することができることを見出し、本発明を完成させたものである。
かきあげ羽根は、y−z平面において攪拌盤から突出するように攪拌盤に配設される。「攪拌盤から突出する」とは、換言すれば、y−z平面において、攪拌盤と交わるように配設されることである。例えば、図2(A)においては、y−z平面において、かきあげ羽根90aは攪拌盤80aと直角に交わるように攪拌盤から突出して配設されている。また、例えば図3(A)においては、y−z平面において、かきあげ羽根90bは攪拌盤80bと直角に交わるように攪拌盤から突出して配設されている。ただし、図2(A)、図3(A)はあくまで例示であり、角度は直角に限定されるものではない。
かきあげ羽根は、y−z平面において攪拌盤から突出していれば、攪拌盤とは別個部材で取り付けられていてもよい。すなわち、かきあげ羽根が攪拌盤とは別個部材で構成され、攪拌盤に連結されていてもかまわない。また、その機能を損なわない限り、攪拌盤と一体成形されていてもよい。
かきあげ羽根の形状は、上記断面積と上記長さが上記範囲内にあるものであれば特に限定されるものではない。また、かきあげ羽根の数も特に限定されるものではなく、1個以上備えられていればよい。
「当該攪拌盤と相対して配置される他の攪拌盤」とは、上記かきあげ羽根を突出させている一つの攪拌盤とy方向において隣接する他の攪拌盤のことである。また、「上記かきあげ羽根を突出させている一つの攪拌盤と、当該攪拌盤と相対して配置される他の攪拌盤との間の上記y−z平面における面積」(攪拌盤間面積)とは、y−z平面においてこれらの攪拌盤に挟まれる領域の面積のことである。例えば、図2(A)においてT×Tとして求められる面積であり、図3(A)においてT´×T´として求められる面積である。
上記かきあげ羽根の断面積は、攪拌盤間面積の10%以上50%未満を占める。好ましくは10%以上40%未満であり、さらに好ましくは15%以上40%未満であり、最も好ましくは20%以上40%未満である。上記かきあげ羽根の断面積が、上記攪拌盤間面積の10%を下回ると攪拌効率や粉体搬送性が悪くなり、親水性架橋重合体の凝集を改善することができないため微粉化を抑制することは困難である。また、上記かきあげ羽根の断面積が上記攪拌盤間面積の50%以上の場合は、かきあげ羽根が大きすぎて動力に負荷がかかるため、攪拌速度が低下し、攪拌が不均一となって親水性架橋重合体の層に不均一性をもたらすため好ましくない。
なお、上記かきあげ羽根は、一つの攪拌盤から突出していればよく、必ずしも他の攪拌盤に跨っている必要はないが、例えば図3(A)に示すように、複数の攪拌盤に跨っており、上記かきあげ羽根のうち、隣接する位置に存在するかきあげ羽根同士は、上記攪拌手段をy−z平面で切断した断面において、上記回転軸を挟んで互い違いに配置または平行に連結されることが好ましい。かきあげ羽根の断面積とは、例えば、攪拌盤間面積中のかきあげ羽根の面積であり、図2(A)において(T×T)÷2×4枚で表される面積や、図3(A)においてT´×T´で表される面積を例として挙げる事ができる。
これにより、かきあげ羽根の断面積を、攪拌盤間面積に対して大きくすることや、かきあげ羽根の長さを長くすることができる。また、かきあげ羽根が攪拌盤に強固に固定される。さらに、粉体層の進行性を高めるべく任意な角度設定も可能となる。そのため、攪拌効率や粉体搬送性を向上させることができ、均一な表面架橋を施すことができる。
上記「複数の攪拌盤に跨って」とは、必ずしも図3(A)に示すように2つの攪拌盤に跨っている場合だけでなく、3以上の攪拌盤に跨っている場合も含む。上記「隣接する位置に存在するかきあげ羽根同士」とは、上記攪拌手段をy−z平面で切断した断面において、y方向において隣り合う一つのかきあげ羽根と他のかきあげ羽根とをいう。
また、上記「上記攪拌手段をy−z平面で切断した断面において、上記回転軸を挟んで互い違いに配置される」とは、上記かきあげ羽根同士が、y−z平面において、回転軸を挟んでz方向に見た場合にそれぞれ反対側に位置することをいう。
さらに、「上記攪拌手段をy−z平面で切断した断面において、平行に連結される」とは、上記かきあげ羽根同士がy−z平面において回転軸を挟んで、2枚配置され、かきあげ羽根は傾斜角度を有することをいう。
また、上記のかきあげ羽根は攪拌盤にかきあげ羽根が連結される範囲内で、x−y平面内及び/または、x−z平面内及び/または、y−z平面内で、任意の角度で傾いた状態で取り付けることができる。上記傾斜角度とは、上記任意の角度のことであるが好ましくは0°以上45°未満、より好ましくは0.5°以上10°未満、さらに好ましくは1°以上7°未満、最も好ましくは3°以上7°未満である。
上記y−z平面で切断した断面における上記かきあげ羽根のy方向の長さは、上記一つの攪拌盤と上記他の攪拌盤との間の上記y−z平面における距離の50%以上を占め、好ましくは80%以上を占め、最も好ましくは100%である。かきあげ羽根の上記長さが攪拌盤間距離の50%未満であると、親水性架橋重合体と水性溶液との混合物を攪拌するための十分な攪拌力が得られないため樹脂表面が不均一に架橋されることになり、吸水性樹脂の攪拌装置に適していない。
一方、上記かきあげ羽根のy方向の長さの上限は特に限定されるものではなく、攪拌効率と粉体搬送性を低下させない限りにおいて、かきあげ羽根の上記長さは、攪拌盤間距離の100%を超えても構わない。
「上記かきあげ羽根のy方向の長さ」とは、例えば、図2(A)においてT(T÷2×2)で表される長さであり、図3(A)において、T´で表される長さである。また、「上記一つの攪拌盤と上記他の攪拌盤との間の上記y−z平面における距離」とは、例えば、図2(A)においてTで表される長さであり、図3(A)において、T´で表される長さである。
また、「上記一つの攪拌盤と上記他の攪拌盤との間の上記y−z平面における距離」は、工業的スケールにおいては、5cm以上40cm以下であることが好ましく、10cm以上40cm以下であることがより好ましく、10cm以上30cm以下であることがさらに好ましく、15cm以上25cm以下であることが特に好ましい。
本実施形態においては、上記かきあげ羽根の断面積と上記かきあげ羽根のy方向の長さとを上記範囲内に設定することによって、上記親水性架橋重合体を過度に圧縮せずに浮遊状態で攪拌することができ、親水性架橋重合体の凝集と圧迫を防止でき、粉体密度を低下させることができるので、親水性架橋重合体と水性溶液との混合物を均一に攪拌することができ、微粉の発生を抑制することができる。
また、一実施形態において、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、上記かきあげ羽根の断面積と上記かきあげ羽根のy方向の長さとを上記範囲内に設定し、かつ、上記攪拌盤は、上記攪拌手段をy−z平面で切断した断面において、最大厚さの最小厚さに対する比が5以下に設定されていることが好ましい。これによって、かきあげ羽根の形状と攪拌盤の厚さとが最適な範囲に設定されるため、高い微粉発生抑制効果を得ることができる。
<攪拌盤の態様>
上記攪拌盤は、伝熱手段としても作用することが好ましい。上述のように、上記親水性架橋重合体の表面架橋は、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液との混合物を加熱することによって行われる。この場合、加熱手段としては、上記混合物を均一に加熱することができる手段であれば特に限定されるものではない。例えば、上記混合物を均一に加熱できる限りにおいて、加熱手段として、蒸気、熱媒油、電気エネルギー、温風等を用いてもよい。
しかしながら、上述のように、本発明においては、攪拌盤の厚さが制御され、均一な攪拌が可能となっているので、上記攪拌盤が伝熱手段を兼ねることが好ましい。これにより、上記混合物を均一に加熱することができ、表面架橋反応を均一に進行させることができる。
上記攪拌盤が伝熱手段を兼ねる場合としては、例えば、上記攪拌盤の内部または表面に熱媒が循環可能な流路を設け、当該流路に熱媒を導入して、上記攪拌盤表面を伝熱面として利用し、当該表面の温度を表面架橋に必要な温度に設定する場合等を挙げることができる。熱媒の温度は、従来公知の温度制御装置を用いて、表面架橋に必要な温度に適宜調整すればよい。熱媒の効率的な利用のため、回転軸にも上記流路を設け、各攪拌盤に熱媒が循環するような構成にすることもできる。また、同様にかきあげ羽根にも上記流路を設け、熱媒を導入可能な構成としてもよい。
また、上記攪拌盤は、冷却手段としても作用することが好ましい。所望の表面架橋が終了した後は、表面架橋を速やかに終了させるため、上記混合物を直ちに均一に冷却することが好ましい。この場合、冷却手段としては、上記混合物を均一に冷却することができる手段であれば特に限定されるものではない。例えば、従来公知の冷却機を用いることができる。冷媒としては、上記混合物を均一に冷却できる限りにおいて、特に限定されるものではなく、水、冷水、風、通気、気流等を用いても良い。
しかしながら、上述のように、本発明においては、攪拌盤の厚さが制御され、均一な攪拌が可能となっているので、上記攪拌盤が冷却手段を兼ねることが好ましい。これにより、上記混合物を均一に冷却することができ、表面架橋反応を均一に停止させることができる。
上記攪拌盤が冷却手段を兼ねる場合としては、例えば、上記攪拌盤の内部または表面に例えば水などの冷媒が循環可能な流路を設け、当該流路に冷媒を導入して、上記攪拌盤表面を冷却面として利用し、当該表面の温度を、表面架橋を終了させるために必要な温度に設定する場合等を挙げることができる。冷媒の温度は、従来公知の温度制御装置を用いて、表面架橋を終了させるために必要な温度に適宜調整すればよい。冷媒の効率的な利用のため、回転軸にも上記流路を設け、各攪拌盤に冷媒が循環するような構成にすることもできる。また、同様にかきあげ羽根にも上記流路を設け、冷媒を導入可能な構成としてもよい。
〔吸水性樹脂の製造〕
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体(なお、本明細書では、「吸水性樹脂前駆体」ともいう。)の製造工程(以下、「吸水性樹脂前駆体製造工程」ともいう)と、該重合体とカルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液(以下「水性溶液」という)とを混合し、湿潤混合物を得る工程(1)(以下、「湿潤混合物調製工程」ともいう)と、上記湿潤混合物を、撹拌乾燥し、表面架橋剤を含む乾燥粒子状組成物を得る工程(2)(以下、「撹拌乾燥工程」ともいう)と、上記乾燥粒子状組成物を加熱処理して表面架橋反応させる工程(3)(以下、「表面架橋工程」ともいう)と、表面架橋された上記親水性架橋重合体を冷却する「冷却工程」とを含んでいる。
ここで、本明細書で用いられている「表面架橋方法」とは、上記工程(1)と上記工程(2)と上記工程(3)とを含む方法である。また、改質工程とは、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液との混合物を加熱することによって上記親水性架橋重合体の表面を架橋せしめる工程であって、上記工程(2)と上記工程(3)とを含む。
次に、図1および図5を参照しながら、まず、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法における改質工程と冷却工程とについて説明し、その後、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法の全体について説明する。
(1.改質工程)
上記改質工程の一実施形態を、図1を参照に説明する。すなわち、攪拌装置(攪拌手段)100において、湿潤混合物調製工程を経て、原料供給口30から供給された親水性架橋重合体とカルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液との混合物は、駆動装置10の回転に対応して回転する撹拌盤80および該撹拌盤に設けられたかきあげ羽根90の回転によって浮遊され、熱媒を内蔵する撹拌盤80と接触することで加熱、乾燥される(撹拌乾燥工程)。
該混合物は当初湿潤しているが、撹拌盤80によって、攪拌および加熱され、親水性架橋重合体が表面架橋される(表面架橋工程)。該混合物は、ドラム20内を移動しつつ、原料供給口30から排出口50に移行する。加熱中に発生した水蒸気は、キャリアーガス導入口81から導入されたわずかな量の空気、不活性ガスなどのキャリアーガスにより加熱撹拌層の上面を流れて排気口85から排出される。連続的に供給される該混合物は、撹拌盤80の回転によって混合、加熱される。そして、排出口50に移動し、排出される。
図1において、攪拌装置(攪拌手段)に取り付けられている回転軸70の数は1本であるが、回転軸70の数は特に限定されるものではなく、有効容積に対する攪拌効率を考えると回転軸70は複数本であるのが好ましい。例えば、回転軸70が複数本攪拌装置(攪拌手段)に取り付けられている場合は、x−y平面において互いに平行に取り付けられていることが好ましい。回転軸70が複数存在する場合、異なる回転軸70に配設された複数の攪拌盤80は、互いにオーバーラップし、かみ合うように構成されていてもよいし、互いに独立し、かみ合わないものであってもよい。
図1に示すように、熱媒および冷媒入口40および熱媒および冷媒出口45は、中空の回転軸70の両末端に設けられており、該熱媒は、熱媒および冷媒入口40から熱媒および冷媒出口45へと回転軸の中空を移動しつつ撹拌盤80内にも流入するため撹拌盤80の表面も熱媒によって加熱されている。なお、熱媒および冷媒の流れは、装置内の材料の流れに対して向流または並流のどちらに設定してもよい。図1においては、該撹拌盤80は、熱媒が導入されてその表面が伝熱面となっているが、上述のように、必ずしも熱媒が攪拌盤80に流入する構造でなくてもよい。なお、図1において、羽根付き矢印は撹拌盤80の回転方向を示す。図1に示す攪拌装置(攪拌手段)100としては、例えばマルチフィンプロセッサー(奈良機械製作所製;NFP−1.6W)等を用いることができる。
吸水性樹脂は、用途も広範であり、大量生産が要求される凡用樹脂である。従って短時間に均一に加熱して表面架橋を完成させることができ、しかも連続稼動が達成できる必要がある。攪拌装置(攪拌手段)100の内容積に対する上記混合物の充填量には特に制限はないが、一定量以上の大規模な生産、そして特に連続生産に適するものであることが好ましい。例えば、撹拌装置(攪拌手段)100に投入時の吸水性樹脂と表面架橋剤含有水性溶液との混合物の質量を基準として、内容積当たりの充填量が150〜700kg/m、特には200〜600kg/mであることが好ましい。
上記混合物を攪拌及び加熱し、親水性架橋重合体を表面架橋することによって、吸水性樹脂を得ることができる。本明細書では、改質工程による表面架橋を終了した親水性架橋重合体を吸水性樹脂と称する。吸水性樹脂は乾燥によって収縮するため、経時的に撹拌装置内での充填率が変化する。150kg/m未満では粉化が起きる場合がある。一方、700kg/mを超えると表面架橋が不充分となる場合がある。
本実施形態において上記混合物の混合時間、すなわち装置内の滞留時間は、回転軸70の数、撹拌盤80にかきあげ羽根90がついているか、撹拌盤80は欠損部を有するか否か、攪拌装置(攪拌手段)100の内容積等によって自由に選択できるが、一般に10〜120分、好ましくは20〜90分である。この滞留時間は、原料供給量を調整することで制御することができる。
また撹拌盤80の回転数は特に限定されるものではないが、2〜40rpmであることが好ましくより好ましくは5〜30rpmであり、滞留時間や、凝集物の発生の有無に応じて適宜選択することができる。
また、上記改質工程の別の一実施形態について、図5を参照して説明する。すなわち、本実施形態の場合、吸水性樹脂の製造装置は、図5に示すように、第1処理装置2と、第2処理装置3とを備えている。上記第1処理装置2および第2処理装置3は、それぞれ駆動装置10、横型ドラム20、原料供給口30、熱媒入口40、40’、熱媒出口45、45’、吸水性樹脂排出口50およびキャリアーガス導入口81、排気口85を有する(図5を参照)。
なお、上記第1処理装置2と第2処理装置3とは、第1処理装置2の吸水性樹脂排出口と第2処理装置3の原料供給口とで連結される。
吸水性樹脂の図5に示す装置の具体的な動作としては、以下の通りである。第1処理装置2に備えられた原料供給口30から供給された吸水性樹脂前駆体と表面架橋剤を含む溶液とからなる湿潤混合物(原料)は、駆動装置10の回転に対応して回転する撹拌盤80の回転によって浮遊され、熱媒を内蔵する撹拌盤80と接触することで加熱、乾燥される。原料供給口30から投入された上記湿潤混合物は、当初湿潤しているが、ドラム20内を撹拌盤80の欠損部(図示せず)を通過しつつ、第2処理装置3に移動する。加熱中に発生した水蒸気は、キャリアーガス導入口81から導入されたわずかな量の空気、不活性ガスなどのキャリアーガスにより加熱撹拌層の上面を流れて排気口85から排出される。撹拌および加熱によって該湿潤混合物同士が結合し凝集物が発生しても、上記撹拌盤80の回転によってこのような凝集物がほぐされる。連続的に供給される上記混合物は、同様に、撹拌盤80の回転によって混合、加熱されつつ、第2処理装置3に移動する。
第2処理装置3に移動した乾燥粒子状組成物(粉末)は、第1処理装置2内を該湿潤混合物が移動するのと同じ様式で移動する。そして、最終的には、物性が良好な吸水性樹脂を吸水性樹脂排出口50から排出する。
図5に示す実施形態においては、上記第1処理装置2および第2処理装置3は、ともに2軸溝型撹拌乾燥装置であるが、別の実施形態として、上記第1処理装置2および第2処理装置3は他の従来公知の処理装置および加熱処理装置を用いることもできる。例えば、上記処理装置および加熱処理装置としては、一般的に粉体混合用として使用させる混合機を使用することができる。これらの装置は、加熱を必要とする場合には、処理装置に熱源を作用させることができる。例えば、加圧水蒸気、熱媒油などを熱媒循環装置内に循環させることで加熱する様式、電熱線、マイクロ波、電磁誘導による加熱等がある。上記熱媒循環装置、加熱装置は、処理装置に取り付けることができるジャケットや、撹拌翼内部などあらゆる場所に取り付けることができる。使用する表面架橋剤の種類や、加熱処理装置の種類によって熱源の種類、熱源装置の仕様、熱源の設定温度、熱源の単位時間あたりの供給量を適宜設定することができる。
一般に粉体用として使用される混合機を粉体に与える機械作用の種類によって分類すると、容器回転式、撹拌翼内蔵型容器回転式と呼ばれる容器自体が回転、振動、揺動するもの、容器は固定され、撹拌翼等で混合される回転軸が水平型機械撹拌式、回転軸が垂直型機械撹拌式等の機械撹拌型と呼ばれるもの、空気、ガスによって撹拌する流動撹拌式と呼ばれるもの、重力流動と分岐板や管によって流路を分割するものに大別される。その他高速せん断式、衝撃式等が挙げられる。各分類での混合機形式は、容器回転式では水平円筒型、傾斜円筒型、V型、二重円錐型、連続V型等があり、撹拌翼内臓型容器回転式としては、水平円筒型、傾斜円筒型、V型、二重円錐型等があり、回転軸が水平型機械撹拌式としては、リボン型、スクリュー型、ロットまたはピン型、パドル型等があり、回転軸が垂直型機械撹拌式としては、リボン型、スクリュー型、円錐形スクリュー型、高速流動型、回転円板型、マラー型等があり、流動撹拌式としては、流動床型、旋回流動型、ジェットポンプ型等がある。
これらの機器の処理形態としては、バッチ式および連続処理式に分類されるが、本発明では、特に限定されない。市販されている混合機で目的にあったものを使用すればよく、上記例示したもの以外でも、本発明の目的に使用できる混合機を使用することができる。
また、別の実施形態において、上記第1処理装置2および第2処理装置3は、別の種類の加熱処理装置であっても、同一の種類の加熱処理装置であってもよい。また、別の実施形態として、加熱処理装置が3つ以上連結された吸水性樹脂の製造装置である場合、それらの加熱処理装置は、一部が同一の加熱処理装置であって、その他は異なる種類の加熱処理装置であるといったように、あらゆる組合せであってもよい。
上記第1処理装置2は、撹拌乾燥工程に使用されるので、強い撹拌を行う装置であることが好ましい。処理装置の種類では、例えば、上記例示した中でも、撹拌翼を備えた処理装置であることが好ましい。例えば、奈良機械製作所製パドルドライヤー、奈良機械製作所製シングルパドルドライヤー等が挙げられる。一方、第2処理装置3は、表面架橋工程において使用されるため、第1処理装置2より撹拌が弱いものであることが好ましい。処理装置の種類では、例えば、上記例示した中でも、撹拌翼を備えた加熱処理装置であれば撹拌によるシェアがかからないような撹拌翼の形状であるものが好ましく、また、撹拌翼のない加熱処理装置であってもよい。撹拌によるダメージの少ない撹拌翼を備えた処理装置では、例えば、奈良機械製作所製マルチフィンプロセッサー、撹拌翼のない処理装置では、例えば、奈良機械製作所製タワードドライヤーが挙げられる。
さらに、本実施形態にかかる吸水性樹脂の図5に示す装置では、第2処理装置3は、撹拌盤80が配設された2軸溝型撹拌乾燥装置であるが、他の実施形態として、第2処理装置3は、上記撹拌盤80を備えていない乾燥装置であってもよい。
吸水性樹脂の図5に示す装置の撹拌翼の形状については、特に限定されるものではなく、従来公知のものを任意に用いることができる。例えば、上述の<攪拌盤の厚さ>の項で説示したような形状であってもよい。また、<かきあげ羽根>の項で説示したような撹拌を効率よく行うべく撹拌盤80にかきあげ羽根90が設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。
撹拌翼の形状については、第1処理装置2では、粉体がより効率よく撹拌されるように、例えば、多軸であるものが好ましく、また、かきあげ羽根を備えているもの、撹拌翼の粉体への接触面積が大きいものが好ましい。第2処理装置3では、例えば、粉体にシェアがかからないように軸に対して垂直に板状の撹拌翼であることが好ましい。撹拌軸の単位長さあたりの撹拌翼の枚数については撹拌翼の形状にもよるが、数が多いほど撹拌の効率は上がる。
なお、本明細書において攪拌軸は、回転軸と同義である。
また、撹拌翼の径は、特に限定されるのではないが、第1処理装置2では、第2処理装置3でよりも強く撹拌する必要があるため、第1処理装置2の撹拌翼と第2処理装置3の撹拌翼との回転数を同じとするのであれば、第1処理装置2の撹拌翼の径を、第2処理装置3の撹拌翼の径よりも大きくすることが好ましい。
また、第1処理装置2の撹拌翼と第2処理装置3の撹拌翼との径を同じとするのであれば、第1処理装置2の撹拌翼の回転数は、第2処理装置3の撹拌翼の回転数よりも大きく設定することが好ましい。なお、第1処理装置2および第2処理装置3の撹拌条件は、上述の条件を満たすことが好ましいが、具体的な数値は特に限定されるものではない。
一般的には、第1処理装置2において、撹拌翼の回転数は、5〜300rpmの範囲内であることが好ましく、10〜300rpmの範囲内であることがより好ましく、20〜300rpmの範囲内であることがさらに好ましい。また、撹拌翼の周速は、0.15〜10m/sであることが好ましく、0.3〜10m/sであることがより好ましく、0.5〜10m/sであることがさらに好ましい。
第2処理装置3においては、撹拌翼の回転数は、0〜30rpmであることが好ましく、0〜20rpmであることがより好ましく、0〜10rpmであることがさらに好ましい。また、撹拌翼の周速は、2m/s以下であることが好ましく、1m/s以下であることがより好ましく、0.3m/s以下であることがさらに好ましい。
吸水性樹脂の図5に示す装置において、排出口は下向きの傾斜をもっていることが好ましい。上記構成では、排出時の強制撹拌が必要でないため、製造された吸水性樹脂へのダメージを低減することができる。上記下向きの傾斜は、装置内部に設けてもよいが、装置の設置時に装置を傾けることにより、実現することもできる。上記下向きの傾斜は、通常、わずかな傾斜であるため、装置の設置時に装置を傾けたとしても、装置の動作や装置の設置に関して特に問題はない。なお、上記下向きの傾斜は、必ずしも形成されていなくてもよい。特に送り羽をもつ加熱処理装置では、上記下向きの傾斜を必要としないこともある。
また、本実施形態にかかる吸水性樹脂の図5に示す装置は、図5に示すように、吸水性樹脂排出口50が下向きに備えられている。上記構成によれば、吸水性樹脂粉体を輸送するときに、重力のみで下向きに排出できるので、製造された吸水性樹脂へのダメージを低減することができる。
さらに、吸水性樹脂の図5に示す装置は、第1処理装置2および第2処理装置3を階層方式で連結している。それゆえ、第1処理装置2から第2処理装置3への樹脂粉体の輸送に特別な動力を必要としない。
上記キャリアーガス導入口81および排気口85は、キャリアーガスによって通気するためのものである。上記キャリアーガスは、特に限定されるものではないが、例えば、蒸気、空気、窒素などが挙げられる。また、キャリアーガスの供給量は、特に限定されるものではなく、適宜決定すればよい。さらに、上記キャリアーガスは、加熱処理装置内の温度を下げることがないように加温されていることが好ましい。
上記構成によれば、反応中に生成される水蒸気が効率よく除去されるため、短時間で、吸水性樹脂を乾燥させることができる。
また、第1処理装置2および/または第2処理装置3は、上記キャリアーガスを減圧または加圧するための手段を備えていてもよい。さらに、上記キャリアーガスを加熱または冷却する手段を備えていてもよい。具体的には、第1処理装置2および/または第2処理装置3は、室温付近(例えば、0〜50℃)のキャリアーガス(例えば、空気)を、実質常圧(1.013×10Pa(1気圧)±10%、好ましくは±5%、より好ましくは±1%)で供給できることが好ましい。
なお、本実施形態においては、上記キャリアーガス導入口81および排気口85が備えられているが、別の実施形態として、上記キャリアーガス導入口81および排気口85を有さないものであってもよい。
また、第2処理装置3の加熱能力は、吸水性樹脂排出口50から排出される吸水性樹脂粉体の温度が180℃〜250℃となるように加熱できることが好ましく、180℃〜230℃となるように加熱できることがより好ましく、190℃〜210℃となるように加熱できることがさらに好ましい。これにより、上述の吸水性樹脂の表面架橋方法における表面架橋工程を、効率よく行うことができる。
(2.冷却工程)
表面架橋を完成させた親水性架橋重合体(以下「吸水性樹脂」ともいう)は、冷却工程に供される。上記冷却を行うための手段は上記混合物を均一に冷却することができる手段であれば特に限定されるものではない。例えば、攪拌装置(攪拌手段)100に連結されうる従来公知の冷却機を用いることができる。冷却工程では、上記吸水性樹脂を攪拌してもよいし、攪拌しなくてもよいが、冷却効率を向上させるという観点からは攪拌することが好ましい。冷媒としては、上述のように特に限定されるものではないため、水、冷水、風等を用いればよく、攪拌装置100のような各攪拌盤80に冷媒が循環するような構成をとることのできる装置が好ましい。また、表面架橋された吸水性樹脂は、室温〜100℃程度に冷却することが好ましい。冷却工程に使用される冷却機は、例えば、上記表面架橋を行った後、表面架橋された吸水性樹脂を冷却するために、攪拌装置(攪拌手段)100に連結して使用される。
冷却工程を開始するタイミングとしては、表面架橋後、攪拌装置(攪拌手段)100から取り出した吸水性樹脂が好ましくは1分以内、さらには30秒以内に冷却されることが好ましい。また、物性面および生産性から、冷却開始時の吸水性樹脂の温度が150〜250℃であることが好ましく、冷却後の吸水性樹脂の温度が40℃〜100℃であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましく、70℃以下であることが特に好ましい。
上記冷却機内において、吸水性樹脂は温度勾配を有する。冷却機入口付近では表面処理温度あるいはそれに近い温度を示し、出口付近では冷却予定温度に近い温度を有する。出口温度を支配する因子は、冷媒温度、冷却機伝熱面積、冷却機内滞在時間であるが、所望する出口温度となるように適宜設定すればよい。
また、前述の冷却機は吸水性樹脂が装置内に連続的にフィードされるように配置されることが好ましく、配置としては縦置き(吸水性樹脂は上から下へフィード)でもよく、横置き(吸水性樹脂は横方向へフィード)でもよいが、特に横向きの場合に冷却機は水平に設置されるのでなく、好ましくは、下向きの傾斜を有するように設置されることが好ましい。傾斜を有しない場合は、加熱された吸水性樹脂の粉体特性として、安定的なフィードが困難であるため、吸水性樹脂の物性が低下したり、安定しない場合がある。係る下向きの傾斜は適宜決定されるが、好ましくは0.1〜30°、さらに好ましくは1〜20°、より好ましくは3〜15°程度の下向き傾斜を有することが好ましい。
さらに、改質工程において、下向きの傾斜を有する攪拌装置(攪拌手段)100を用いることが好ましい。すなわち、上述の傾斜を有する冷却機のみならず、冷却前の改質工程にも同様の傾斜が好ましく適用され、本発明の吸水性樹脂の物性工程を図ることが可能となる。攪拌装置(攪拌手段)100が下向き傾斜を有することにより、粉体の連続運転のピストンフロー性を向上することができ、また、製品変更時に、製品の切り替えを容易にすることができる。
上記ピストンフロー(押し出し流れ、PLUG FLOWともいう)とは、理想的には、装置内を流通する物質が装置入口から出口へ向かって流れと直角方向には一様な速度分布を持って、しかも流れ方向に混合も拡散もなく移動する流れと定義される。
吸水性樹脂粉末のピストンフロー性が向上することによって、攪拌装置(攪拌手段)100あるいは冷却機内での吸水性樹脂粉末の滞留時間が安定し、安定した改質工程/冷却工程がなされるようになり、高物性の吸水性樹脂粉末が安定製造できるとともに、部分的な長時間滞留がなくなることで、吸水性樹脂の粉化が起こりにくくなり、微粉の発生を抑制することが可能となる。
また、後述する水性液添加において、ピストンフロー性が向上することで、冷却機内粉層における必須の特定温度域の場(ゾーン)の形成がより明確になり、水性液の添加をより容易にするものである。
ピストンフロー性が低い場合、攪拌装置(攪拌手段)100あるいは冷却機内における吸水性樹脂粉末の滞留時間のばらつきが大きくなり、物性が不安定になったり、低物性で、微粉量の多い製品となったりする。また、次に述べる水性液添加に必須の特定温度領域の場の形成が不明瞭になり、水性液の添加が困難になったりする。
また、上記の冷却工程において、特許文献5に記載のように水性液の添加を行うことも好ましい。改質工程後の冷却時に、水ないし水を主成分とする水性液(以降、合わせて水性液という)を吸水性樹脂粉末の温度が40〜100℃の場で添加することにより、微粉末及び発塵の低減が可能となり、通常の造粒工程を必要とせずに、吸水性樹脂粉末の造粒相当の形態を得ることができる。
すなわち、上記水性液の添加により吸水性樹脂粉末を造粒することができる。即ち、高コストの造粒専用の設備を使用することなく、造粒を容易に行うことができる。尚、この場合、冷却工程の条件は、冷却工程開始時において、通常、吸水性樹脂粉末の温度が100℃を超えており、冷却工程後に、好ましくは70℃以下に冷却されるものである。
吸水性樹脂への水の添加は通常は吸熱ではなく、発熱を伴うものである。吸水性樹脂粉末への水性液の添加により、水和熱で発熱反応が起こり、吸水性樹脂が発熱するが、同時に冷却機中で強制冷却されているので、吸水性樹脂の表面特性が変化してさらに物性の優れたものが得られ、また、微粉末の発生が抑制され、樹脂粉末の形態も良好になるものと考えられる。
また、水性液の添加によって吸水性樹脂の吸湿流動性がさらに改善され、また、吸水性樹脂の微粉末量が低減され、且つその後のプロセスでの吸水性樹脂の表面破壊も防ぐことができる。このように、水性液を吸水性樹脂粉末の温度が40〜100℃の場で添加することにより、質量平均粒子径200〜600μm、好ましくは300〜500μmで、150μm以下の微粉末が5質量%、好ましくは3質量%、さらには1質量%以下に制御された吸水性樹脂粉末を得ることができる。
冷却機への水性液の添加は、吸水性樹脂粉末の温度が40〜100℃であり、好ましくは50〜90℃、さらに好ましくは60〜80℃である場で行う。ここでいう場とは、例えば連続フローの吸水性樹脂で連続して温度が変化(低下)している場合、その特定の温度を有する領域(ゾーン)をさす。40℃以下の場で水性液を添加した場合、吸水性樹脂はダマ(塊状物のこと)になって冷却機出口を閉塞したり、冷却機の伝熱面へ吸水性樹脂が付着して、伝熱効率をさげて、実質的に冷却効率が低下したり、ダマが破壊される際に、ダマを構成する吸水性樹脂自身がダメージを受けて物性が低下することもある。
また、100℃以上の場で水性液を添加した場合、添加した水性液中の低沸点成分、例えば水が気散し、水性液が吸水性樹脂に有効に添加されないばかりか、例えば気散した水によって冷却機内が結露し、その結露水によってダマが発生したり、ダマにより冷却機出口が閉塞されて安定した運転ができなくなったり、冷却機の伝熱面へ吸水性樹脂が付着して、伝熱効率を下げて、実質的に冷却効率が低下したり、吸水性樹脂の物性が低下したりする。冷却工程で水性液を添加する場合、上記に記載した温度場で水性液の添加を行うことが必須である。これら好ましい温度領域を冷却機内で見いだす手法は、例えば設定運転条件下で実際に測定を行うか、あるいは、冷却機入口、出口の吸水性樹脂温度、吸水性樹脂比熱、供給速度、冷媒の入口、出口温度等から、向流あるいは並流接触式の熱交換機を仮定し、総括伝熱係数を算出し、伝熱面積を流れ方向の距離の関数とし、数値解析により温度を見いだせばよい。添加される水性液の温度は、通常0℃以上沸点未満、好ましくは10〜50℃である。水性液の添加量は、吸水性樹脂粉末100質量部に対して、通常0.01〜50質量部、好ましくは0.01〜30質量部、より好ましくは0.1〜10質量部である。
水性液を添加するための水噴霧装置については、目的にかなう噴霧装置であれば特に限定されないが、水性液を狭い面積に、均一に噴霧できる装置が望ましい。好ましくは、フラットスプレー、ホローコーン、フルコーンのスプレーパターンを有する一流体型あるいは2流体型スプレーが挙げられ、さらに好ましくは、狭い領域に噴霧するために、狭角のスプレーが挙げられる。
噴霧する液滴サイズは、特に限定されないが、平均10〜1000μmであることが好ましい。液滴サイズがあまりに大きいと吸水性樹脂の含水率が不均一になり、多量に吸水した粒子がだまとなって装置の閉塞を起こすことがある。また、10μm未満の場合、噴霧した水が吸水性樹脂に有効に付着せず、飛沫として装置内から外部に排気されたり、結露水となり問題を起こす。最適な液滴サイズは50〜500μmである。一般的傾向としては、装置内での気流が緩やかであれば、液滴サイズは小さくてもよく、気流が早い場合は飛沫として逃げることを抑止するため、大きい液滴で実施することが肝要である。水性液が吸水性樹脂以外に接しないように水性液を添加することが好ましいが、添加水性液が吸水性樹脂粉体以外の装置内部分に接する可能性がある場合は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)等の付着防止剤を含有させることが好ましい。
添加水性液の中に、付加機能を発現させるための各種添加剤を溶解又は分散させても良い。このような添加剤として、金属塩、酸、アルカリ、消臭剤、着色剤、無機或いは有機性抗菌剤、界面活性剤等を挙げることができる。より具体的には、例えば、残存モノマー低減のための亜硫酸水素ナトリウム(SBS)などの亜硫酸塩、吸水速度を調節するための有機または無機塩基、有機酸または無機酸、一価金属塩または多価金属塩(例えば硫酸アルミニウム)、消臭機能を付与するための消臭剤、ビジュアルな価値を付与するための着色料、耐尿性を向上させるための各種キレート剤等を含有させることができる。水性液における各種添加剤の濃度は、総量として、通常0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは1〜30質量%である。
上記改質工程および冷却工程に用いる攪拌装置は特に限定されるものではなく、本明細書において例示している攪拌装置を用いることができる。
例えば、微粉の発生を抑制することができるという理由から、上記改質工程および冷却工程において、改質工程または冷却工程の一方のみを、上記説明した攪拌装置(攪拌手段)100を用いて行ってもよい。この場合、他方の工程は、従来公知の加熱攪拌装置や攪拌冷却装置を用いて行うことができる。当該従来公知の装置としては、例えば、特許文献4に記載の二軸溝型攪拌装置等を用いることができる。
また、表面架橋反応および冷却を均一に行うことができる結果、微粉の発生をさらに抑制することができるので、改質工程および冷却工程の双方を、上記説明した攪拌装置(攪拌手段)100を用いて行うことがより好ましい。
(3.吸水性樹脂の製造の詳細)
以下に、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法を詳細に説明する。
(a−吸水性樹脂)
本発明にかかる吸水性樹脂は、特に限定されるものではなく、カルボキシル基を有する親水性架橋重合体(吸水性樹脂前駆体)の表面を、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤で架橋したものであればよい。
なお、本明細書においては、吸水性樹脂は吸水性樹脂前駆体に表面架橋したものを指す。逆に言えば、本明細書においては、吸水性樹脂前駆体とは、表面架橋が施されていない吸水性樹脂を指す。
すなわち、本明細書において、親水性架橋重合体と吸水性樹脂前駆体とは同義である。
また、本明細書において、「吸水性樹脂」とは、粒子または粉体である。また、「粉体」とは、粒子の集合体を指し、流動性等のバルクの性状を表すときには粉体と表記する。すなわち、本明細書において、吸水性樹脂粒子と吸水性樹脂粉体とは同義である。
本発明にかかる吸水性樹脂の形状は、特に限定されるものではなく、球状、鱗片状、不定形破砕状、繊維状、顆粒状、棒状、略球状、偏平状等の種々の形状であってもよい。
また、本発明にかかる吸水性樹脂は、粉砕、分級され、所定のサイズの粒子状吸水性樹脂であってもよい。その場合、粒子サイズは2mm以下であることが好ましく、10μm〜1mmであることがより好ましい。重量平均粒径は、用いる用途によっても異なるが、通常、100μm〜1000μmであることが好ましく、150μm〜800μmであることがより好ましく、300μm〜600μmであることがさらに好ましい。また、目開き150μmのふるいを通過する粒子の割合は、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明にかかる吸水性樹脂は、後述する実施例で採用した測定方法による吸収倍率(以下、「CRC」ともいう)が、10〜60g/gであることが好ましく、20〜55g/gであることがより好ましく、25〜50g/gであることがさらに好ましい。更には、後述する実施例で採用した測定方法による加圧下吸収倍率(以下、「AAP」ともいう)が、10g/g以上であることが好ましく、15g/g以上であることがより好ましく、20g/g以上であることがさらに好ましい。
上記吸水性樹脂前駆体を製造する工程(以下、「吸水性樹脂前駆体製造工程」ともいう)は特に限定されず、例えば、以下の工程を用いることができる
(I.吸水性樹脂前駆体製造工程)
吸水性樹脂前駆体製造工程では、本発明において使用できるカルボキシル基を有する表面架橋前の吸水性樹脂前駆体を製造する。上記吸水性樹脂前駆体としては、例えば、アクリル酸および/またはその塩を主成分とする親水性不飽和単量体を重合させることによって得られ、イオン交換水中において50倍から1000倍という多量の水を吸収し、水膨潤性かつ水不溶性の親水性架橋重合体を形成する従来公知の樹脂が挙げられる。
また、上記吸水性樹脂前駆体は、その製造時に内部架橋剤を用いることにより、内部に架橋構造が導入されることが好ましい。
以下に、上記親水性不飽和単量体、親水性架橋重合体、内部架橋剤、および親水性不飽和単量体の重合方法について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<親水性不飽和単量体>
上記の親水性不飽和単量体としては、アクリル酸および/またはその塩を主成分とする親水性不飽和単量体が例示できる。また、親水性不飽和単量体は、必要に応じて、アクリル酸またはその塩以外の不飽和単量体を含有していてもよい。他の不飽和単量体としては、例えば、メタクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、および2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸等のアニオン性不飽和単量体並びにその塩;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン、およびN−アクリロイルピロリジン等のノニオン性の親水基含有不飽和単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、およびN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、並びにこれらの四級塩等のカチオン性不飽和単量体等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら他の不飽和単量体を併用する場合の使用量は、親水性不飽和単量体全体の30モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましい。
<親水性架橋重合体>
親水性架橋重合体は、本明細書においては、吸水性樹脂前駆体と同義であって、多量の水を吸収し、水膨潤性かつ水不溶性であればよく、特に限定されるものではない。また、親水性架橋重合体において、該架橋重合体中の酸基は、例えば、アルカリ金属塩やアンモニウム塩、アミン塩等によって中和されていることがより好ましい。また、該架橋重合体中の酸基が中和されている割合は、30モル%〜100モル%であることが好ましく、50モル%〜90モル%であることがより好ましく、60モル%〜80モル%であることが特に好ましい。したがって、本明細書において、「カルボキシル基を有する吸水性樹脂前駆体」は、「カルボキシル基および/またはその塩を有する吸水性樹脂前駆体」も含む。この酸基の中和は、(a)該架橋重合体を得る前の親水性不飽和単量体を調製する段階、(b)親水性不飽和単量体の重合中、および(c)親水性不飽和単量体の重合反応が終了し、該架橋重合体が得られた段階のいずれの段階で行ってもよい。また、上記(a)〜(c)の複数の段階で行ってもよい。
<内部架橋剤>
上記内部架橋剤は、重合性不飽和基および/またはカルボキシル基と反応し得る反応性基を1分子中に複数有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。つまり、内部架橋剤は、親水性不飽和単量体と共重合する、および/またはカルボキシル基と反応する置換基を1分子中に複数有する化合物であればよい。なお、親水性不飽和単量体は、内部架橋剤を用いなくとも架橋構造が形成される自己架橋型の化合物からなっていてもよい。
内部架橋剤としては、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの内部架橋剤は、1種類のみを用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。そして、上記例示の内部架橋剤のうち、重合性不飽和基を1分子中に複数有する内部架橋剤を用いることにより、得られる吸水性樹脂の吸収特性等をより一層向上させることができる。
内部架橋剤の使用量は、親水性不飽和単量体に対して、0.005〜3モル%の範囲内であることが好ましく、親水性不飽和単量体を重合させて吸水性樹脂前駆体(親水性不飽和重合体)を得る際には、反応系に、デンプン、デンプンの誘導体、セルロース、セルロースの誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体等の親水性高分子;次亜リン酸(塩)等の連鎖移動剤;水溶性もしくは水分散性の界面活性剤等を添加してもよい。
<親水性不飽和単量体の重合方法>
親水性不飽和単量体の重合方法は、特に限定されるものではなく、例えば、水溶液重合、逆相懸濁重合、バルク重合、沈殿重合等の公知の方法を採用することができる。また、反応温度や反応時間等の反応条件は、用いる親水性不飽和単量体成分の組成等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
親水性不飽和単量体を重合させる際には、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩等のラジカル重合開始剤;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等のラジカル系光重合開始剤;紫外線や電子線等の活性エネルギー線等を用いることができる。また、酸化性ラジカル重合開始剤を用いる場合には、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、L−アスコルビン酸等の還元剤を併用して、レドックス重合を行ってもよい。これら重合開始剤の使用量は、0.001モル%〜2モル%の範囲内であることが好ましく、0.01モル%〜0.5モル%の範囲内であることがより好ましい。
上述した工程によって得られた吸水性樹脂前駆体(親水性架橋重合体)を下記の吸水性樹脂の表面架橋方法を用いて表面架橋することにより、本発明に係る吸水性樹脂を得ることができる。
(b−吸水性樹脂の表面架橋方法)
本発明に係る吸水性樹脂の表面架橋方法は、工業スケールで大量生産するのに適している。従来の単一の処理装置を使用して加熱処理する方法では、処理装置が大きくなるにつれて滞留時間が長くなり、吸水性樹脂がダメージを受け、物性が低下するという問題があった。
従来は、得られる吸水性樹脂の物性の向上と、生産性の向上とを両立させることが困難であった。そこで、本発明者らは、得られる吸水性樹脂の物性の向上と、生産性の向上とを両立させるためには、吸水性樹脂の表面架橋過程において、表面架橋剤を含む溶液と吸水性樹脂前駆体とからなる湿潤混合物の撹拌乾燥することによる乾燥粒子状組成物の取得と、所望の架橋密度を得るための当該乾燥粒子状組成物の加熱とを別々の工程として行うことが有効であることを独自に見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明に係る吸水性樹脂の表面架橋方法は、表面架橋剤を含む溶液と吸水性樹脂前駆体とを混合し、湿潤混合物を得る工程(1)(以下、「湿潤混合物調製工程」ともいう)と、上記湿潤混合物を、撹拌乾燥し、表面架橋剤を含む乾燥粒子状組成物を得る工程(2)(以下、「撹拌乾燥工程」ともいう)と、上記乾燥粒子状組成物を加熱処理して表面架橋反応させる工程(3)(以下、「表面架橋工程」ともいう)とを含んでいる。さらに、上記撹拌乾燥工程で得られる乾燥粒子状組成物の80重量%以上は、目開き10mmの篩を通過する粒子であり、上記撹拌乾燥工程および表面架橋工程のそれぞれの工程を、少なくとも1台以上の処理装置を用いて行い、上記撹拌乾燥工程に用いる処理装置と、上記表面架橋工程に用いる処理装置とが、直列に連結されている。
つまり、上記吸水性樹脂の表面架橋方法では、上記湿潤混合物調製工程で表面架橋剤を含む溶液と吸水性樹脂前駆体とが混合され、湿潤混合物を得る。当該湿潤混合物は、処理装置に投入される。上記湿潤混合物は、水分が蒸発する際に凝集物が生成しやすいが、上記撹拌乾燥工程において、撹拌が行われ、乾燥が進んでいくにつれ、凝集はほぐされ、上記湿潤混合物は分散し、目開き10mmの篩を通過する粒子が80重量%以上を占める粉体の流動性が高い乾燥粒子状組成物となる。このように、加熱処理装置内部においては、経過時間によって上記湿潤混合物の性状は異なるが、従来の吸水性樹脂の表面架橋方法では、単一の処理装置で単一の撹拌、加熱を行っていた。すなわち、上記撹拌乾燥工程と表面架橋工程とを区別することなく、同一の条件で処理を行っていた。
それに対して、本発明では、上記撹拌乾燥工程および表面架橋工程のそれぞれの工程を、少なくとも1台以上の処理装置を用いて行い、撹拌乾燥工程に用いる処理装置と、表面架橋工程に用いる処理装置とが、直列に連結されているので、上記両工程を、粉体の性状に見合った撹拌条件、および温度設定することが可能となる。その結果、熱処理の時間を短縮することができ、吸水性樹脂へのダメージが軽減され、生産量を落とすことなく、物性の良好な吸水性樹脂が得られるという効果を奏する。
すなわち、本発明にかかる吸水性樹脂の表面架橋方法は、表面架橋剤を含む溶液と吸水性樹脂前駆体が混合されて加熱処理装置に投入され、水分が蒸発する際の凝集物の生成が多く、流動性が低い状態の湿潤混合物に対しては、撹拌を強くして凝集をほぐし、さらには、湿潤混合物の平均昇温速度を速くすることで、より速く吸水性樹脂粒子の含水率を減らすことにより、短時間で凝集状態をほぐすことができる。さらに、一旦、凝集がほぐされ、粒子が分散し、流動性が高まった乾燥粒子状組成物に対しては、比較的弱い撹拌、または撹拌翼がない加熱処理装置を使用することができ、さらには、乾燥粒子状組成物の平均昇温速度を遅くし、製品である吸水性樹脂の表面架橋密度をよりコントロールしやすくすることができる。
撹拌を強くし、平均昇温速度を速くすることのみでも、短時間で加熱処理することはできるが、生産量が多くなると、平均昇温速度が速くなれば、架橋密度のコントロールはより難しくなる。そこで、製品の表面架橋密度をよりコントロールしやすくするために平均昇温速度が比較的遅い工程が必要となるのである。
本発明にかかる吸水性樹脂の表面架橋方法において、上記撹拌乾燥工程と表面架橋工程とは連続して行うことが好ましい。これにより、短時間で物性の良好な吸水性樹脂を製造することができる。
さらに、上記撹拌乾燥工程に用いる処理装置と、上記表面架橋工程に用いる処理装置とは種類および/または有効容積が異なる処理装置であることが好ましい。また、撹拌乾燥工程に用いる処理装置と、表面架橋工程に用いる処理装置とは、異なる加熱条件および/または異なる撹拌条件で運転されることが好ましい。これにより、各工程に最適な加熱条件および/または撹拌条件を選択することができ、良好な物性を示す吸水性樹脂を効率よく製造することができる。
なお、上記「種類が異なる処理装置」とは、処理装置の形状が異なる処理装置を意味する。また、上記「有効容積が異なる処理装置」とは、処理装置の有効容積値が異なる処理装置を意味する。上記「異なる加熱条件」とは、処理装置に取り付けることのできる熱源の種類、処理装置に取り付けることのできる熱源装置の仕様、処理装置に取り付けることのできる熱源の設定温度、処理装置に取り付けることのできる熱源の単位時間あたりの供給量のうち、少なくとも1つ以上が異なる加熱条件を意味する。さらに、上記「異なる撹拌条件」とは、撹拌翼の形状、撹拌翼径の大きさ、撹拌軸の単位長さあたりの撹拌翼の枚数、および撹拌翼の回転数の少なくとも1つ以上が異なる撹拌条件を意味する。
また、本発明にかかる吸水性樹脂の表面架橋方法の別の形態として、上記撹拌乾燥工程および表面架橋工程を1台の処理装置内で行い、上記撹拌乾燥工程および表面架橋工程を異なる処理条件で行うことができる。
上記構成によれば、上記撹拌乾燥工程および表面架橋工程を、粉体の性状に見合った撹拌条件、および温度設定することが可能となる。その結果、熱処理の処理時間を短縮することができる。それゆえ、吸水性樹脂へのダメージが軽減され、生産量を落とすことなく、物性の良好な吸水性樹脂が得られるという効果を奏する。
上記吸水性樹脂の表面架橋方法において、撹拌乾燥工程と表面架橋工程とは、それぞれ複数の工程に分けることができる。すなわち、撹拌乾燥工程において、粒子の性状に応じて工程をさらに分割することができる。また、同様に表面架橋工程においても粒子の性状に応じて工程をさらに分割することができる。
以下、上記各工程について、詳細に述べる。
(I.湿潤混合物調製工程)
湿潤混合物調製工程では、表面架橋剤を含む溶液と上述の吸水性樹脂前駆体とを混合して、湿潤混合物を得ることができればよく、その具体的な構成については特に限定されるものではない。また、上記湿潤混合物には、表面架橋剤を含む溶液および吸水性樹脂前駆体の他に、本発明に適した添加剤が含まれていてもよい。以下、上記表面架橋剤、使用可能な添加剤、並びに、表面架橋剤を含む溶液と上述の吸水性樹脂前駆体との混合方法およびそれに用いる混合装置について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<表面架橋剤>
本発明で使用する表面架橋剤は、吸水性樹脂前駆体が有する2つ以上のカルボキシル基と反応可能な官能基を1分子中に複数有し、架橋反応によって共有結合が形成される化合物であれば、特に限定されるものではない。上記の表面架橋剤の好適な例としては、オキサゾリン化合物(米国特許6297319号)、ビニルエーテル化合物(米国特許6372852号)、エポキシ化合物(米国特許625488号)、オキセタン化合物(米国特許6809158号)、多価アルコール化合物(米国特許4734478号)、ポリアミドポリアミン−エピハロ付加物(米国特許4755562号および同4824901号)、ヒドロキシアクリルアミド化合物(米国特許6239230号)、オキサゾリジノン化合物(米国特許6559239号)、ビスまたはポリーオキサゾリジノン化合物(米国特許6472478号)、2−オキソテトラヒドロ-1,3−オキサゾリジン化合物(米国特許6657015号)、およびアルキレンカーボネート化合物(米国特許5672633号)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいが、2種以上を併用してもよい。
また、かかる表面架橋剤に、アルミニウム塩などの水溶性カチオン(米国特許6605673号、6620899号)を添加してもよいし、アルカリ(米国特許2004−106745号)、有機酸や無機酸(米国特許5610208号)などを併用してもよい。
具体的な表面架橋剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール;エチレンカーボネート(1,3−ジオキソラン−2−オン)、プロピレンカーボネート(4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン等のカーボネート化合物;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の多価アミン化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等の多価グリシジル化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、エチレンカーボネート(1,3−ジオキソラン−2−オン)、プロピレンカーボネート(4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、(ポリ、ジ、ないしモノ)2−オキサゾリジノン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、ジグリコールシリケート、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]等の多価アジリジン化合物等を用いることができる。また、これらの表面架橋剤も、単独で用いてもよいが、2種類以上を併用してもよい。中でも、少なくとも1種類は多価アルコール、カーボネート化合物、多価アミン化合物、多価グリシジル化合物、ポリ2−オキサゾリジノン、ビス2−オキサゾリジノン、モノ2−オキサゾリジノンの中から選ばれる表面架橋剤であることが好ましく、少なくとも1種類は多価アルコール、カーボネート化合物、または多価アミン化合物を含む表面架橋剤であることがより好ましい。
上記表面架橋剤の使用量は、用いる表面架橋剤やそれらの組合せ等により適宜設定すればよい。一般的には、上記表面架橋剤の使用量は、吸水性樹脂前駆体の固形分100質量部に対して、0.001〜5質量部の範囲内であることが好ましく、0.005〜2質量部の範囲内であることがより好ましい。表面架橋剤の使用量が、上記範囲を超える場合には、不経済となるばかりか、吸水性樹脂における最適な架橋構造を形成する上で、表面架橋剤の量が過剰となるため、好ましくない。また、表面架橋剤の使用量が、上記範囲よりも少ない場合には、加圧下吸収倍率が高い表面架橋された吸水性樹脂を得ることが困難になる傾向がある。
表面架橋剤を溶解するには、溶媒として水を用いることが好ましい。また、上記溶媒の使用量は、吸水性樹脂前駆体の種類や粒径等により適宜変更することができる。一般的には、吸水性樹脂前駆体の固形分100質量部に対して、0を超え、20質量部以下であることが好ましく、0.5〜10質量部の範囲内であることがより好ましい。
本発明において使用される表面架橋剤を含む溶液の組成としては、多価アルコール、アルキレンカーボネート等のエステル化反応により吸水性樹脂前駆体のカルボキシル基と反応する表面架橋剤を含む水溶液が好ましい。
なお、本明細書においては、上記表面架橋剤を溶媒に溶解した溶液を、「表面架橋剤を含む溶液」という。
また、本発明においては、吸水性樹脂前駆体の表面でモノマーの重合を行い、表面架橋(米国特許2005−48221号)とすることもできる。
<その他の添加剤>
本発明にかかる表面架橋剤を含む溶液には、表面架橋剤に加えて、更に分散剤として界面活性剤や混合効果を高めるための粒子、変性剤として金属錯体、その他添加剤として抗菌剤、消臭剤、香料、食品添加物、酸化剤、還元剤、キレート剤、酸化防止剤、ラジカル禁止剤、および色素等を添加することができる。これらの添加剤は、必要により溶媒に溶かしたり、分散して水性溶液としたりして添加することができる。また、別途のノズルで添加してもよい。
分散剤として使用できる界面活性剤としては、特表2002−527547号に記載の非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性でHLB値が3以上の界面活性剤を例示することができる。また、その使用量は、吸水性樹脂前駆体に対して、0〜5質量%の範囲内であることが好ましい。
上記の混合効果を高めるための粒子としては、特開平4−214734号公報に記載されるカーボンブラック等の無機粒子を例示することができる。また、その使用量は、吸水性樹脂前駆体100質量部に対して、0〜10質量部の範囲内であることが好ましい。
変性剤として使用する上記金属錯体としては、特表2002−527547号公報に記載の2価または多価の金属塩溶液を例示することができる。
上記抗菌剤は、特に限定されるものではなく、従来公知の抗菌性を有する抗菌剤を用いることができる。例えば、特開平11−267500号公報に記載の抗菌剤が挙げられる。
上記消臭剤は、特に限定されるものではなく、メルカプタン、硫化水素、アンモニアといった人尿の不快臭成分を消臭する従来公知の消臭剤を用いることができる。例えば、フラバノール類やフラボノール類を消臭成分とする椿科植物抽出物等が挙げられる。
吸水性樹脂に付加機能を持たせる添加剤の添加量は、添加の目的、添加剤の種類に応じて適宜変更可能である。一般的には、吸水性樹脂前駆体100質量部に対して、0.001〜10質量部であることが好ましく、0.01〜5質量部であることがより好ましく、0.05〜1質量部であることがさらに好ましい。
<混合方法および混合装置>
上記の条件を満たすように、吸水性樹脂前駆体と表面架橋剤を含む溶液とを混合装置に投入し、混合する。より具体的には、本発明においては、上記吸水性樹脂前駆体に対して、表面架橋剤を含む溶液をノズルより添加することによって、吸水性樹脂前駆体と表面架橋剤を含む溶液とを混合することができる。混合時間は、混合装置の形状、大きさ、表面架橋剤を含む溶液の使用量により適宜調整される。通常の工業スケールにおいては、5秒〜10分の間である。
また、吸水性樹脂前駆体と表面架橋剤を含む溶液とを混合する際には、必要に応じて、溶媒として親水性有機溶媒を用いることができる。上記の親水性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の低級アルコール類;アセトン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、アルコキシポリエチレングリコール等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類などが挙げられる。上記親水性有機溶媒の使用量は、吸水性樹脂前駆体の種類や粒径等にもよるが、吸水性樹脂前駆体の固形分100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、0〜10質量部であることがより好ましく、0〜5質量部であることがさらに好ましく、0〜1質量部であることが特に好ましい。
表面架橋剤を含む溶液を添加する前の吸水性樹脂前駆体の温度は、35〜80℃であることが好ましく、35〜70℃であることがより好ましく、35〜50℃であることがさらに好ましい。吸水性樹脂前駆体の温度が上記範囲に調整された後、表面架橋剤を含む溶液と混合されることが好ましい。表面架橋剤を含む溶液添加前の吸水性樹脂前駆体の温度が上記範囲よりも高いと、表面架橋剤を含む溶液との混合性が悪くなる傾向がある。また、上記範囲よりも低い温度に調整するには、吸水性樹脂前駆体の強制冷却や放冷に時間がかかるのみならず、放冷した吸水性樹脂前駆体の粉末の凝集が見られ、再加熱の際のエネルギーロスが大きくなることがある。
また、表面架橋剤を含む溶液の液温は、吸水性樹脂前駆体の温度より低いことが好ましい。具体的には、吸水性樹脂前駆体の温度よりも10℃以上低いことが好ましく、20℃以上低いことがより好ましく、30℃以上低いことが特に好ましい。なお、表面架橋剤を含む溶液は、上述したように、ノズルから噴霧することができるが、その場合、その液温は凝固点以上であるべきである。また、表面架橋剤を含む溶液の液温があまりに高いと、吸水性樹脂前駆体への吸液スピードが速くなり、均一な混合を阻害する場合がある。
ノズルから噴霧するときの表面架橋剤を含む溶液の液滴としては、その平均粒径が吸水性樹脂前駆体の平均粒径より小さいことが好ましい。具体的には、300μm以下であることが好ましく、250μm以下であることがさらに好ましい。
また、ノズルからの噴霧角度は、最大噴霧角度が50°以上であることが好ましい。これにより、上記表面架橋剤を含む溶液を、特開2002−201290号に記載されるように、スプレーパターンが環状を示す空円錐形状で該ノズルより噴霧したり、または、スプレーパターンが両凸レンズ状を示す楕円錐形状で該ノズルより噴霧したりすることができる。一方、上記噴霧角度が50°より小さいと、混合装置内に噴霧された表面架橋剤を含む溶液の拡散状態として、過剰に表面架橋剤を含む溶液が拡散している部分と、低密度で拡散している部分とが発生し、吸水性樹脂前駆体と表面架橋剤を含む溶液との混合状態に偏りが生じる場合がある。なお、ノズルの構造上、最大噴霧角度は180°以下となる。
さらに、ノズルから表面架橋剤を含む溶液が上記の所定噴霧角度となるように噴霧された際に、混合装置の軸方向に垂直かつ該ノズルの噴射点を含む断面積に、該水性溶液の噴霧拡散状態を投影した面積が、混合装置の軸方向に垂直な断面積の70%以上100%以下であることが好ましく、80%以上100%以下であることがより好ましく、90%以上100%以下であることがさらに好ましい。該断面積が70%未満である場合には、吸水性樹脂前駆体と表面架橋剤を含む溶液との混合状態に偏りが生じることがある。
混合装置に備え付けられているノズルは、1つのみであってもよいし、また2つ以上であってもよいが、前記の該ノズルの噴射点を含む混合装置の断面積に噴霧拡散状態を投影した面積を大きくするためには、2つ以上であることが好ましい。吸水性樹脂前駆体と表面架橋剤を含む溶液とを混合する際に用いられる混合装置は、両者を均一且つ確実に混合するために、大きな混合力を備えていることが好ましく、吸水性樹脂前駆体は、撹拌もしくは気流で流動していることが好ましい。
上記混合装置としては、鋤型混合装置、円筒型混合機、二重壁円錐型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、流動型炉ロータリーディスク型混合機、気流型混合機、双椀型ニーダー、内部混合機、粉砕型ニーダー、回転式混合機、スクリュー型押出機、レーディゲ撹拌装置、およびタービュライザー撹拌装置等が挙げられる。また、複数の撹拌盤を備えた撹拌軸を有する高速撹拌型混合機、鋤型混合装置、鋸歯型混合装置等も好適に用いることができる。ここでいう「高速撹拌混合機」とは、複数の撹拌盤を備えた撹拌軸が回転することで、混合力を発生する混合機を指す。また、上記撹拌軸の回転数は、通常100rpm〜5000rpmであるが、200rpm〜4000rpmであることが好ましく、500rpm〜3000rpmであることがより好ましい。
また、上記混合装置の内壁は、吸水性樹脂前駆体と表面架橋剤を含む溶液とからなる湿潤混合物が付着し、凝集物を形成するのを防止するために、水に対する接触角が60°以上で熱変形温度が70℃以上の基材で形成された内壁を有することが好ましい。このような基材としては、例えば、特開平4−214734号公報に記載されるいずれかの基材を用いることができる。
該混合装置の内壁温度は、室温を超える温度を有していることが好ましい。具体的には、混合装置の内壁温度は、40℃以上に保たれていることが好ましく、さらには50℃〜100℃以上に保たれていることがより好ましい。また、混合装置の内壁温度は、吸水性樹脂前駆体の温度より高温であることが好ましい。具体的には、40℃以下の温度差であることが好ましく、20℃以下の温度差であることがさらに好ましい。混合装置の内壁温度が室温以下である場合、表面架橋剤を含む溶液と吸水性樹脂前駆体とを混合する際に、吸水性樹脂前駆体と表面架橋剤を含む溶液とからなる湿潤混合物が内壁に付着し、凝集物を形成する場合がある。
(II.撹拌乾燥工程)
撹拌乾燥工程では、上記湿潤混合物を、撹拌乾燥することによって、表面架橋剤を含み、目開き10mmを通過する粒子が80重量%以上を占める乾燥粒子状組成物を得ることができればよく、使用装置や乾燥条件などその他の具体的な構成は特に限定されるものではない。上記撹拌乾燥工程は、言い換えれば、表面架橋剤を含む溶液と吸水性樹脂前駆体とからなる湿潤混合物が凝集状態にあり、流動性が低い状態であるのを、撹拌と乾燥とにより凝集状態をほぐし、流動性の高い分散状態である乾燥粒子状組成物にする工程である。なお、本明細書において「乾燥」とは、凝集した吸水性樹脂粒子の水分含有量を低下させることを意味する。
上記撹拌乾燥工程では、上記湿潤混合物が凝集した状態では均一な乾燥が効率よく行われないため、このような凝集した状態をできるだけ速く解消することが好ましい。それにより、吸水性樹脂をより効率的に製造できる。
上記撹拌乾燥工程においては、表面架橋剤を含む溶液と吸水性樹脂前駆体とからなる湿潤混合物を、目開き10mmの篩を通過できる粒子径を有する粒子にすることが好ましい。より具体的には、上記粒子径は、10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましく、2mm以下であることがさらに好ましく、1mm以下であることが特に好ましい。このような粒子は、十分に分散されており、粉体の流動性は高く、後述の表面架橋工程において加熱効率がよくなるという効果がある。
また、上記の粒子径を有する粒子は、上記撹拌乾燥工程において得られる粒子の80重量%以上を占めることが好ましい。上記の粒子径を有する粒子が上記範囲内であれば、後述の表面架橋工程において、吸水性樹脂粒子を均一に加熱処理することができる。
なお、目開き10mmの篩を通過する粒子を測定する方法は、吸水性樹脂粒子をJIS標準篩で測定する粒度測定方法に準じて行うことができる。具体的には、吸水性樹脂粒子を目開き10mmのJIS標準篩(The IIDA TESTING SIEVE:内径80mm)に仕込み、ロータップ型ふるい振盪機(株式会社飯田製作所製、ES−65型ふるい振盪機)により1分間分級し、通過した粒子の重量を測定することにより行う。目開き5mm、2mm、および1mmの篩を通過する粒子を測定する方法も上記に準ずる。
上記撹拌乾燥工程では、表面架橋剤を含む溶液と吸水性樹脂前駆体とからなり、粒子が凝集した状態の湿潤混合物は、乾燥により含有水分率が低下する。撹拌乾燥工程において、上記湿潤混合物の含有水分率が低下するほど、上記粒子の凝集は少なくなり、流動性の高い粉体を得ることができる。
撹拌乾燥工程後の吸水性樹脂粉末の含有水分率は、特に限定されるものではないが、目的とする架橋反応、および/または用いる表面架橋剤の種類により適宜変更すればよい。また、撹拌乾燥工程における上記湿潤混合物の含有水分率の低下率は特に限定されるものではないが、通常、20〜90%であることが好ましく、30〜90%であることがより好ましく、40〜90%であることがさらに好ましく、50〜80%であることが特に好ましい。
なお、本明細書における上記含有水分率の測定方法は、以下の通りである。
重量0.8gのアルミカップに測定試料である吸水性樹脂粉体約1.0gを入れ、180℃に加熱されたオーブンで3時間乾燥させた後、直ちにデシケータ中に入れ、室温付近まで冷却後、秤量する。含有水分率は以下の式を用いて算出することができる。
含有水分率(%)=(乾燥前の測定試料重量−乾燥後の測定試料重量)÷(乾燥前の測定試料重量)×100
また、上記撹拌乾燥工程における乾燥による湿潤混合物の含有水分率の低下率は、以下の式を用いて算出することができる。
湿潤混合物の含有水分率の低下率(%)=(湿潤混合物の含有水分率(%)−撹拌乾燥工程後の吸水性樹脂粉体含有水分率(%))÷(湿潤混合物の含有水分率(%))×100
撹拌乾燥工程においては、撹拌翼を備えた処理装置を用いることが好ましい。後述の表面架橋工程と、同じ形状、同じ大きさの撹拌翼を備えた処理装置を用いる場合、撹拌乾燥工程での撹拌翼の回転数は、表面架橋工程における撹拌翼の回転数より大きいことが好ましい。撹拌乾燥工程においては、通常の生産スケールでは、上記回転数は、5〜300rpmの範囲内であることが好ましく、10〜300rpmであることがより好ましく、20〜300rpmであることがさらに好ましい。
撹拌乾燥工程と表面架橋工程とで異なる大きさの撹拌翼を用いる場合、両工程における撹拌翼を比較するには、撹拌翼の径と撹拌翼の回転数とで表されるパラメーターである周速を用いることができる。上記周速は、以下の式で表されるパラメーターである。
V=2πrn/60
(式中、Vは周速(m/s)、rは撹拌翼の径(m)、nは撹拌翼の回転数(rpm)を表す。)
撹拌乾燥工程での撹拌翼の周速は、表面架橋工程における撹拌翼の周速よりも大きいことが好ましい。撹拌乾燥工程において好ましい周速の範囲は、装置の大きさにもよるが、0.15〜10(m/s)であることが好ましく、0.3〜10(m/s)であることがより好ましく、0.5〜10(m/s)であることがさらに好ましい。
上述のように、撹拌翼の回転数、および撹拌翼の周速が大きければ、撹拌乾燥工程にかかる時間を短縮することができる。
上記撹拌翼の形状には、様々な種類があるが、本発明においては特に限定されない。撹拌軸単位長さあたりの撹拌翼の枚数については、撹拌翼の形状にもよるが、枚数が多いほど強い撹拌を行うことができるので好ましい。
一般的に、吸水性樹脂粉体の平均昇温速度が速くなるにつれて表面架橋剤の反応速度は速くなるので、吸水性樹脂の生産性を向上させる観点から、撹拌乾燥工程での吸水性樹脂粉体の平均昇温速度は速いことが好ましい。また、本発明においては、撹拌乾燥工程における吸水性樹脂粉体の平均昇温速度を速くすることは、表面架橋剤の反応速度が速くなるのみならず、表面架橋剤を含む溶液と吸水性樹脂前駆体とからなる湿潤混合物に含まれる水分を速く蒸発させることになる。その結果、凝集状態が解消され、流動性の高い粉体を短時間で得ることができる。上記撹拌乾燥工程において、このような流動性のよい粉体が得られれば、後述する表面架橋工程において、撹拌乾燥工程より弱い撹拌で、または撹拌翼のない加熱処理装置を使用して、必要な表面架橋密度まで反応させることができる。その結果、最終的に得られる吸水性樹脂へのダメージを低減でき、物性の良好な吸水性樹脂を得ることができる。
上記撹拌乾燥工程では、平均昇温速度は特に限定されるものではなく、目的とする架橋反応、および/または用いる表面架橋剤の種類により適宜変更すればよい。なお、上記「平均昇温速度」とは、加熱処理装置内部での入口から出口までの吸水性樹脂の温度プロファイルのうち、ある一定時間において上昇した吸水性樹脂粉体温度の平均値を示す。通常の生産スケールでは、撹拌乾燥工程の開始から5分間の平均昇温速度を10℃/min以上とすることが好ましく、15℃/min以上とすることがより好ましく、20℃/min以上とすることがさらに好ましい。また、撹拌乾燥工程の開始後5分から15分の間の平均昇温速度は、3℃/min以上とすることが好ましく、5℃/min以上とすることがより好ましく、7℃/min以上とすることがさらに好ましい。さらに、撹拌乾燥工程の開始から15分経過後の平均昇温速度は3℃/min以上とすることが好ましい。これによれば、上記湿潤混合物を短時間のうちに高温にさらすことになり、その結果、表面架橋剤を含む溶液と吸水性樹脂前駆体とからなる湿潤混合物に含まれる水分が短時間で蒸発し、短時間で流動性の高い粒子を得ることができる。
しかし、上記撹拌乾燥工程における平均昇温速度があまりにも速いと、表面架橋反応が進行しすぎ、最終的に得られる吸水性樹脂に求められる重要な物性の1つであるCRC(生理食塩水の遠心分離機保持容量)が小さくなりすぎる傾向がある。特に、この傾向は、表面架橋剤として、反応性の高いものを用いる場合には顕著である。したがって、上記撹拌乾燥工程における平均昇温速度は、所望のCRCが得られる範囲内とすることが好ましい。
加熱処理装置の昇温速度を決める要因として、伝熱面積と容積との比がある。容積に対する伝熱面積が比較的大きい加熱処理装置を用いれば、本発明において好ましいと記載したより高い昇温速度を実現することができる。上記撹拌乾燥工程は、従来公知の加熱処理装置を用いて行うことができるが、用いる加熱処理装置は、吸水性樹脂の生産スケールに応じて、伝熱面積と有効容積との比(伝熱面積/有効容積)が適切な装置を選択することが好ましい。具体的には、上記伝熱面積/有効容積は、10m−1以上であることが好ましく、15m−1以上であることがより好ましい。同種類の処理装置では、有効容積が小さいほど、(伝熱面積/有効容積)が大きい値となる。
また、上述した好ましい平均昇温速度の範囲内にするには、加熱処理装置に熱源を作用させて加熱温度を上げることでも達成することができる。熱源の種類は特に限定されるものではないが、例えば、加圧水蒸気、熱媒油などを熱媒循環装置内に循環させることで加熱する様式、電熱線、マイクロ波、電磁誘導による加熱等がある。上記熱媒循環装置、加熱装置は、処理装置に取り付けることができるジャケットや、撹拌翼内部などあらゆる場所に取り付けることができる。使用する表面架橋剤の種類や、加熱処理装置の種類によって熱源の種類、熱源装置の仕様、熱源の設定温度、熱源の単位時間あたりの供給量は適宜設定することができる。
また、上記撹拌乾燥工程の処理時間は、処理装置により変化するが、上記処理時間は10〜60分間であることが好ましく、10〜40分間であることがより好ましく、10〜30分間であることがさらに好ましい。処理時間が短くなれば、吸水性樹脂の生産性を向上させることができる。
上記撹拌乾燥工程に用いる処理装置は特に限定されるものではなく、従来公知の処理装置、加熱処理装置を用いることができる。例えば、表面架橋剤を含む溶液と吸水性樹脂前駆体とからなる湿潤混合物を、2軸溝型撹拌乾燥装置に投入し、加熱することにより、表面架橋剤と吸水性樹脂前駆体とからなる湿潤混合物を撹拌乾燥することができる。上記撹拌乾燥工程において、粒子の性状に応じて工程をさらに分割することができる。
また、上記撹拌乾燥工程は、温度や露点を調整するためのキャリアーガスを供給しながら行うことが好ましい。乾燥には、必ずしも加熱を必要としない。また、キャリアーガスの導入によって所定の状態まで乾燥することもできる。上記キャリアーガスとしては、蒸気、空気、窒素などが挙げられる。また、キャリアーガスの供給量は、特に限定されるものではなく、適宜決定すればよい。上記キャリアーガスを供給することにより、上記撹拌乾燥工程において、反応中に生成される水蒸気を効率よく除去される。これにより、短時間で、上記湿潤混合物を乾燥させることができる。
さらに、上記キャリアーガスは、適宜減圧されても加圧されてもよい。また、適宜加熱されても冷却されてもよい。一般的には、室温付近(例えば、0〜50℃)の空気を、実質常圧(1.013×10Pa(1気圧)±10%、好ましくは±5%、より好ましくは±1%)で供給することが好ましい。
また、撹拌乾燥工程において、伝熱面に接していない表面架橋剤を含む溶液と吸水性樹脂前駆体とからなる湿潤混合物の上部空間があるときは、特定温度・特定露点に制御すればよい。
また、撹拌乾燥工程に供する上記の表面架橋剤を含む溶液と吸水性樹脂前駆体とからなる湿潤混合物は、常温、または粉体が扱いやすい程度に予め加熱されていてもよい。しかし、加熱しすぎると表面架橋剤が反応するので、好ましくは室温〜100℃、より好ましくは室温〜80℃、さらに好ましくは室温〜40℃の範囲内の温度となるように加熱することが好ましい。
また、1台の処理装置内で撹拌乾燥工程と表面架橋工程との両方を行う場合においても、撹拌乾燥工程においては、上記条件を満たすような加熱条件および/または撹拌条件を1台の処理装置内の前段部分に設けることができる。
(III.表面架橋工程)
表面架橋工程では、上記乾燥粒子状組成物を加熱処理して所望の表面架橋反応させることができればよく、使用装置、反応条件など、その他の構成は特に限定されるものではない。上記表面架橋工程は、より具体的には、所望の架橋密度を得るために、上述の表面架橋剤を含む溶液と吸水性樹脂前駆体とからなる湿潤混合物を撹拌乾燥して得た、流動性の高い乾燥粒子状組成物を加熱し、所望の架橋反応を進行させる工程である。
上記乾燥粒子状組成物は、凝集がほぐされ、粒子が分散し、流動性が高いので、上記表面架橋工程では、撹拌は弱くてもよく、または撹拌翼がない加熱処理装置を使用してもよい。さらには、吸水性樹脂粉体の平均昇温速度を遅くすることができ、製品の表面架橋密度をよりコントロールしやすくすることができる。
上記「所望の架橋密度」とは、具体的には、後述する実施例で採用した測定方法によるCRCおよびAAPが以下の範囲内であることを意味する。すなわち、CRCは、10〜60g/gであることが好ましく、20〜55g/gであることがより好ましく、25〜50g/gであることがさらに好ましい。また、AAPは、10g/g以上であることが好ましく、15g/g以上であることがより好ましく、20g/g以上であることがさらに好ましい。
上記表面架橋工程における平均昇温速度は、特に限定されるものではなく、上述の撹拌乾燥工程における平均昇温速度、目的とする架橋反応、および/または表面架橋剤の種類によって適宜変更することができる。すでに述べた撹拌乾燥工程のみでも、撹拌を強くし、平均昇温速度を速くすることで、処理時間を短くすることができ、さらには、処理時間も短いために、粉体へのダメージを抑えることができる。しかし、加熱処理を上述の撹拌乾燥工程のみで行うと、平均昇温速度が速いために、表面架橋密度のコントロールはより難しくなる。そこで、本発明では、表面架橋工程において、平均昇温速度を比較的遅くすることにより、製品の表面架橋密度をよりコントロールしやすくすることができる。具体的には、10℃/min以下とすることが好ましく、5℃/min以下とすることがより好ましく、3℃/min以下とすることがさらに好ましく、1℃/min以下とすることが特に好ましい。このように、表面架橋工程は、撹拌乾燥工程と比較して昇温を必要としないため、(伝熱面積/有効容積)は撹拌乾燥工程より小さい値でよい。このような理由で撹拌乾燥工程と表面架橋工程で同種類の装置を使用するとき、昇温に関しては、撹拌乾燥工程に使用する処理装置は表面架橋工程に用いる処理装置より有効容積が小さいことが好ましい。
さらに、表面架橋工程においても、上記平均昇温速度の範囲内とすることは、加熱処理装置に熱源を作用させて加熱温度を上げることによっても達成することができる。上記熱源の種類は特に限定されるものではないが、例えば、加圧水蒸気、熱媒油などを熱媒循環装置内に循環させることで加熱する様式、電熱線、マイクロ波、電磁誘導による加熱等がある。上記熱媒循環装置、加熱装置は、処理装置に取り付けることができるジャケットや、撹拌翼内部などあらゆる場所に取り付けることができる。使用する表面架橋剤の種類や、加熱処理装置の種類によって熱源の種類、熱源装置の仕様、熱源の設定温度、熱源の単位時間あたりの供給量は適宜設定することができる。
表面架橋剤として多価アルコール、カーボネート化合物等を使用し、エステル化反応により表面架橋が行われる場合、例えば、米国特許第4734478号の多価アルコールによるエステル化架橋反応で記載されているエステル化が十分行われるような吸水性樹脂粉体温度である190℃以上を経由する温度プロファイルとすることが好ましい。
また、表面架橋工程では、上記乾燥粒子状組成物を撹拌してもよいし、撹拌しなくてもよい。乾燥粒子状組成物を撹拌する場合、上記撹拌乾燥工程において凝集がほぐされているので、上記撹拌乾燥工程に比べて撹拌は弱くてもよい。具体的には、表面架橋工程においては、撹拌翼の回転数、撹拌翼の周速は、撹拌乾燥工程におけるそれらよりも小さいことが好ましい。撹拌翼の回転数は、0〜30rpmの範囲内であることが好ましく、0〜20rpmの範囲内であることがより好ましく、0〜10rpmの範囲内であることがさらに好ましい。さらに、撹拌翼の周速は、2m/s以下であることが好ましく、1m/s以下であることがより好ましく、0.3m/s以下であることがさらに好ましい。撹拌軸単位長さあたりの撹拌翼の枚数については、撹拌翼の形状にもよるが、枚数が少ないほど弱い撹拌となるので好ましい。
上記表面架橋工程に用いる装置は特に限定されるものではなく、上記撹拌乾燥工程で用いうる装置を同様に用いることができる。なお、表面架橋工程では、上記混合物を撹拌しなくてもよいため、撹拌翼を備えない装置を用いることもできる。上記表面架橋工程においては、粒子の性状に応じて工程をさらに分割することができる。
また、1台の処理装置内で撹拌乾燥工程と表面架橋工程との両方を行う場合においても、表面架橋工程においては、上記条件を満たすような加熱条件および/または撹拌条件を1台の処理装置内の後段部分に設けることができる。
また、本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法では、上記表面架橋工程が終了後、吸水性樹脂を冷却することが好ましい。
前記した本発明の表面架橋方法を用いた場合は、上記工程(2)および/または、上記工程(3)および/または、上記冷却工程では、〔本発明に係る吸水性樹脂の製造方法において、改質工程及び/または冷却工程で用いられる攪拌装置(攪拌手段)の態様〕の項で説明した攪拌手段を具備した処理装置として好適に用いることができる。
この場合、上記工程(2)と上記工程(3)と、上記冷却工程との内の少なくとも1工程を、上述の攪拌手段を具備した処理装置を用いることができるが、表面架橋反応および冷却を均一に行うことができるので、上記工程(2)と上記工程(3)と、上記冷却工程とのすべての工程を、上述の攪拌手段を具備した処理装置を用いて行うことが好ましい。
なお、上記工程(2)と上記工程(3)と、上記冷却工程との内の少なくとも1工程を、上述の攪拌手段を具備した処理装置を用いて行う場合も、上述の攪拌手段を具備した処理装置による微粉発生抑制効果を得ることは可能である。この場合、他方の工程は、(1.改質工程)に記載の処理装置および加熱処理装置を用いることができる。
また、上記工程(2)と上記工程(3)と、上記冷却工程とで用いられる上述の処理装置はそれぞれ、種類および/または有効容積が異なる処理装置であることが好ましい。また、上記工程(2)と上記工程(3)と、上記冷却工程とで用いられる上述の処理装置はそれぞれ、異なる加熱条件および/または異なる撹拌条件で運転されることが好ましい。これにより、各工程に最適な加熱条件および/または撹拌条件を選択することができ、良好な物性を示す吸水性樹脂を効率よく製造することができる。
なお、上記「種類が異なる処理装置」とは、処理装置の形状が異なる処理装置を意味する。また、上記「有効容積が異なる処理装置」とは、処理装置の有効容積値が異なる処理装置を意味する。
上記「異なる加熱条件」とは、処理装置に取り付けることのできる熱源の種類、処理装置に取り付けることのできる熱源装置の仕様、処理装置に取り付けることのできる熱源の設定温度、処理装置に取り付けることのできる熱源の単位時間あたりの供給量、および攪拌盤または回転軸、かきあげ羽根に備えられた上記伝熱手段うち、少なくとも1つ以上が異なる加熱条件を意味する。
さらに、上記「異なる撹拌条件」とは、攪拌盤の最大厚さの最小厚さに対する比、攪拌盤の形状、攪拌盤径の大きさ、回転軸の単位長さあたりの攪拌盤の枚数、攪拌盤の回転数、かきあげ羽根の断面積、かきあげ羽根のy方向の長さ、および攪拌盤に取り付けられたかきあげ羽根の枚数、の少なくとも1つ以上が異なる撹拌条件を意味する。
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下に、実施例及び比較例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、吸水性樹脂ないし吸水性樹脂の諸性質は以下の方法で測定した。
なお、衛生材料などの最終製品として使用された吸水性樹脂は、吸水性樹脂は吸湿しているので、適宜、吸水性樹脂を最終製品から分離して減圧低温乾燥(例えば、1mmHg以下の圧力で、60℃12時間乾燥)した後に測定すればよい。また、本発明の実施例および比較例において使用された吸水性樹脂の含水率は、すべて6質量%以下であった。
当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、及び改変を行うことができる。なお、以下の実施例及び比較例におけるCRC (Centrifuge Retention Capacity;遠心分離機保持容量)、AAP (Absorbancy Against Pressure;4.83kPaの圧力に対する吸収力)、SFC (Saline Flow Conductivity;食塩水流れ誘導性)、及び粒度測定は次のようにして評価した。
<CRC測定>
CRCは、0.90質量%生理食塩水に対する無加圧下で30分の吸収倍率で評価した。具体的には、室温(20〜25℃)、湿度50RH%条件下で、吸水性樹脂0.20gを不織布製の袋(60mm×60mm)に均一に入れてシールした後、室温で0.9質量%生理食塩水中に浸漬した。30分後に袋を引き上げ、遠心分離機(株式会社コクサン社製遠心機:型式H−122)を用いて250Gで3分間水切りを行った後、袋の質量W1(g)を測定した。また、同様の操作を吸水性樹脂を用いずに行い、その時の質量W0(g)を測定した。そして、これらW1、W0から、下記式(1)に従って吸収倍率(g/g)を算出した。
吸収倍率(g/g)
=(W1(g)−W0(g))/吸水性樹脂の質量(g)・・・(1)
<AAP測定>
AAPは、0.90質量%生理食塩水に対する4.83kPaで60分の加圧下吸収倍率で評価した。具体的には、内径60mmのプラスチックの支持円筒の底に、ステンレス製400メッシュの金網(目の大きさ38μm)を融着させ、室温(20〜25℃)、湿度50RH%の条件下で、該網上に吸水性樹脂0.90gを均一に散布し、その上に、吸水性樹脂に対して4.83kPa(0.7psi)の荷重を均一に加えることができるよう調整された、外径が60mmよりわずかに小さく支持円筒との隙間が生じず、かつ上下の動きが妨げられないピストンと荷重とをこの順に載置し、この測定装置一式の質量Wa(g)を測定した。
直径150mmのペトリ皿の内側に直径90mmのガラスフィルター(株式会社相互理化学硝子製作所社製、細孔直径:100〜120μm)を置き、0.90質量%生理食塩水(20〜25℃)をガラスフィルターの上面と同じレベルになるように加えた。その上に、直径90mmの濾紙1枚(ADVANTEC東洋株式会社、品名:(JIS P 3801、No.2)、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を載せ、表面が全て濡れるようにし、かつ過剰の液を除いた。
上記測定装置一式を前記湿った濾紙上に載せ、液を荷重下で吸収させた。1時間後、測定装置一式を持ち上げ、その質量Wb(g)を測定した。そして、Wa、Wbから、下記式(2)に従って加圧下吸収倍率(g/g)を算出した。
加圧下吸収倍率(g/g)
=(Wa(g)−Wb(g))/吸水性樹脂の質量(0.9g)・・・(2)
<SFC測定>
食塩水流れ誘導性(SFC)は吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂組成物の膨潤時の液透過性を示す値である。SFCの値が大きいほど高い液透過性を有することを示している。
特表平9−509591号公報に記載の食塩水流れ誘導性(SFC)試験に準じて行った。
図4に示す装置を用い、容器400に均一に入れた吸水性樹脂(吸水性樹脂組成物)(0.900g)を人工尿(1)中で0.3psi(2.07kPa)の加圧下、60分間膨潤させ、ゲル440のゲル層の高さを記録し、次に0.3psi(2.07kPa)の加圧下、0.69質量%食塩水330を、一定の静水圧でタンク310から膨潤したゲル層を通液させた。このSFC試験は室温(20〜25℃)で行った。
コンピューターと天秤を用い、時間の関数として20秒間隔でゲル層を通過する液体量を10分間記録した。膨潤したゲル440(の主に粒子間)を通過する流速Fs(T)は増加質量(g)を増加時間(s)で割ることによりg/sの単位で決定した。
一定の静水圧と安定した流速が得られた時間をTsとし、Tsと10分間の間に得たデータだけを流速計算に使用して、Tsと10分間の間に得た流速を使用してFs(T=0)の値、つまりゲル層を通る最初の流速を計算した。Fs(T=0)はFs(T)対時間の最小2乗法の結果をT=0に外挿することにより計算した。
食塩水流れ誘導性(SFC)
=(Fs(t=0)×L0)/(ρ×A×ΔP)
=(Fs(t=0)×L0)/139506
ここで、
Fs(t=0):g/sで表した流速
L0:cmで表したゲル層の高さ
ρ:NaCl溶液の密度(1.003g/cm
A:セル410中のゲル層上側の面積(28.27cm
ΔP:ゲル層にかかる静水圧(4920dyne/cm
およびSFC値の単位は(10−7・cm・s・g−1)である。
図4に示す装置としては、タンク310には、ガラス管320が挿入されており、ガラス管320の下端は、0.69質量%食塩水330をセル410中の膨潤ゲル440の底部から、5cm上の高さに維持できるように配置した。タンク310中の0.69質量%食塩水330は、コック付きL字管340を通じてセル410へ供給された。セル410の下には、通過した液を補集する容器480が配置されており、補集容器480は上皿天秤490の上に設置されていた。セル410の内径は6cmであり、下部の底面にはNo.400ステンレス製金網(目開き38μm)420が設置されていた。
ピストン460の下部には液が通過するのに十分な穴470があり、底部には吸水性樹脂粒子あるいはその膨潤ゲルが、穴470へ入り込まないように透過性の良いガラスフィルター450が取り付けてあった。セル410は、セルを乗せるための台の上に置かれ、セルと接する台の面は、液の透過を妨げないステンレス製の金網430の上に設置した。
人工尿(1)は、塩化カルシウムの2水和物0.25g、塩化カリウム2.0g、塩化マグネシウムの6水和物0.50g、硫酸ナトリウム2.0g、リン酸2水素アンモニウム0.85g、リン酸水素2アンモニウム0.15g、および、純水994.25gを加えたものを用いた。
<粒度測定>
吸水性樹脂粒子を、目開きがそれぞれ850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、106μm、および45μmのJIS標準篩で分級篩い分けし、粒子径150μm未満の重量百分率を実測するとともに、各粒度の残留百分率Rを対数確率紙にプロットした。これにより、R=50重量%に相当する粒径を重量平均粒子径(D50)として読み取った。
なお、分級篩い分けは、吸水性樹脂10.00gを上記目開きのJIS標準篩(The IIDA TESTING SIEVE:内径80mm)に仕込み、ロータップ型ふるい振盪機(株式会社飯田製作所、ES−65型ふるい振盪機)により5分間分級した。なお、質量平均粒子径(D50)とは、米国特許5051259号公報などにあるように一定の目開きの標準篩で粒子全体の50質量%に対応する標準篩の粒子径のことである。
<製造例:吸水性樹脂前駆体の製造>
2本のシグマ型ブレードを備えたニーダーに、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸及び水からなるモノマー濃度38質量%、中和率70mol%のモノマー水溶液を調整し、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(平均エチレングリコールユニット数:9)0.03mol%(対モノマー)となるよう溶解させた。
次いで、該モノマー水溶液に窒素ガスを吹き込みモノマー水溶液中の溶存酸素を低減するとともに反応容器内全体を窒素置換した。引き続き、2本のシグマ型ブレードを回転させながら、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.12g/mol(対モノマー)、L−アスコルビン酸0.005g/mol(対モノマー)となるように添加して、該ニーダー内で攪拌下重合を行い、約40分後に平均粒子径約2mmの親水性架橋重合体を得た。
得られた親水性架橋重合体を、下記の実施例1〜4および比較例1〜4で用いる場合は、170℃で55分間、一方、下記の実施例5〜6および比較例5〜6で用いる場合は、170℃で60分間、熱風乾燥機にて乾燥した。乾燥物をロールミル粉砕機にて粉砕し、目開き850μmと105μmの篩で分級し、含水量5%、重量平均粒度478μm、粒子径150μm未満の重量百分率が0.8%の吸水性樹脂前駆体(A)を得た。
<実施例1>
製造例で得た吸水性樹脂前駆体(A)100重量部に対して、1,4−ブタンジオール(以下、「1,4−BD」ともいう)0.34質量部、プロピレングリコール(以下「PG」ともいう)0.56質量部、純水3質量部からなる表面架橋剤含有水性溶液3.9質量部を、連続式高速攪拌混合機(ホソカワミクロン株式会社タービュライザー)にて噴霧混合し加湿物とした。当該加湿物を、パドル(攪拌盤)径170mmφ、伝熱面積1.5m、有効容積0.089mである伝導伝熱型溝型攪拌乾燥機(奈良機械製作所製、マルチフィンプロセッサー;NFP−1.6W型)を用いて加熱処理した。
上記伝導伝熱型溝型攪拌乾燥機は、かきあげ羽根を有する平面円盤状(扇形)の攪拌盤(y−z平面で切断した断面において、攪拌盤の最大厚さの最小厚さに対する比=4mm/4mm=1、y−z平面で切断した断面におけるかきあげ羽根の断面積:120mm×30mm=3600mm、攪拌盤間面積16366mm)がそれぞれ回転軸当たり15枚(計30枚)設けられ、回転軸が互いに平行に配列し合った2軸の溝型攪拌乾燥機である。2軸の回転軸に取り付けられた攪拌盤は非オーバーラップして、平行に配列される。「オーバーラップ」とは、伝導伝熱型溝型攪拌乾燥機に複数の回転軸がある場合に、異なる回転軸に配設された複数の攪拌盤が互いにかみ合うように構成されていることを意味する。
上記攪拌乾燥機の内壁、攪拌盤、回転軸には加熱された水蒸気が注入され、内壁、攪拌盤、回転軸の表面温度は210℃であった。処理量は45kg/h、平均滞留時間は60分であった。加熱処理後、表面架橋された吸水性樹脂は、上記攪拌乾燥機に直列に連結されている冷却機(大河原製作所、加熱管入横型連続流動層乾燥機;FCA−2型)に供された。冷却機冷却として、熱管内に常温の水道水を循環させ、床面0.3mに対して0.5m/sの室温風にて当該吸水性樹脂を冷却した。当該吸水性樹脂を目開き850μmの篩で篩い、改質された吸水性樹脂(吸水性樹脂1)を得た。150μmの篩通過物は、上記表面架橋された吸水性樹脂全重量の1.0%であった。改質された吸水性樹脂のCRCは29(g/g)、AAPは26(g/g)、平均粒子径は480μmであった。上記結果を、表1に示した。
<実施例2>
製造例で得た吸水性樹脂前駆体(A)100重量部に対して、1,4−ブタンジオール0.34質量部、プロピレングリコール0.56質量部、純水3質量部からなる表面架橋剤含有水性溶液3.9質量部を、連続式高速攪拌混合機(ホソカワミクロン株式会社製タービュライザー)にて噴霧混合し加湿物とした。
当該加湿物を、伝導伝熱型溝型攪拌乾燥機(奈良機械製作所、パドルドライヤー;NPD−1.6W型)にて処理量40kg/hで連続処理した。上記攪拌乾燥機は、冷却機(奈良機械製作所製、マルチフィンプロセッサー;NFP−1.6W型)に直列に連結した。各装置のパドル(攪拌盤)の回転数は、攪拌乾燥機は30rpm、冷却機は30rpmに設定した。熱媒体は、松村石油製バーレルサーム400を使用し、上記攪拌乾燥機のパドル内部に循環させ、冷却機には常温の水道水をジャケットとパドル内部とに循環させた。上記伝導伝熱型溝型攪拌乾燥機の回転軸は2軸であって、取り付けられた攪拌盤はオーバーラップし、交互にかみ合うように配列される。
上記攪拌乾燥機の原料供給口における吸水性樹脂の粉体温度は40℃であり、吸水性樹脂排出口における吸水性樹脂の粉体温度は210℃であった。直列につながった上記攪拌装置と冷却機との間はステンレス配管でつながれている。改質工程によって表面架橋された吸水性樹脂は、直ちに冷却機に搬送され、冷却工程に供した。このようにして得られた表面架橋された吸水性樹脂を目開き850μmのJIS標準篩を用いて篩い分けし、改質された吸水性樹脂(吸水性樹脂2)を得た。
滞留時間は改質工程60分、冷却工程64.5分であった。150μmの篩通過物は上記表面架橋された吸水性樹脂全重量の2.1%であった。改質された吸水樹脂のCRCは28(g/g)、AAPは25(g/g)、平均粒子径は455μmであった。
<実施例3>
実施例1において得られた改質された吸水性樹脂(吸水性樹脂1)を目開き850μm−150μmのJIS標準篩を用いて分級し、粒度調整した吸水性樹脂を得た。尚、粒度調整した吸水性樹脂の平均粒子径は480μm、150μmの篩通過物(150Pass量)は1.0%であった。
上記の粒度調整した吸水性樹脂を用いて、吸水性樹脂排出口を閉鎖したバッチ式冷却機(奈良機械製作所製、マルチフィンプロセッサー;NFP−1.6W型)にて混合を実施した。上記バッチ式冷却機のパドル(攪拌盤)の回転数は30rpm、上記バッチ式冷却機の内壁、攪拌盤、回転軸には常温の水道水が注入され、冷却容器内における粒度調整した吸水性樹脂の滞留量は50kgであった。
上記回転数30rpmにて、所定時間毎(混合開始時から30、60、120分)にサンプリングし吸水性樹脂(3−1〜3−3)を得た。150Pass量は吸水性樹脂3−1が1.0%、吸水性樹脂3−2が1.1%、吸水性樹脂3−3が1.3%であった。
<比較例1>
製造例で得た吸水性樹脂前駆体(A)100重量部に対して、1,4−ブタンジオール0.34質量部、プロピレングリコール0.56質量部、純水3質量部からなる表面架橋剤含有水性溶液3.9質量部を、連続式高速攪拌混合機(ホソカワミクロン株式会社タービュライザー)にて噴霧混合し加湿物とした。当該加湿物を、パドル径160mmφ、伝熱面積2.5m、有効容積0.065mである伝導伝熱型溝型攪拌乾燥機(奈良機械製作所、NPD−1.6W型)を用いて加熱処理した。
上記伝導伝熱型溝型攪拌乾燥機は、かきあげ羽根が17枚と、欠損部を有する攪拌盤が16枚設けられており、y−z平面で切断した断面において、攪拌盤の最大厚さの最小厚さに対する比=26mm/3mm、y−z平面で切断した断面におけるかきあげ羽根の断面積:39mm×25mm×2枚=1950mm、攪拌盤間面積15190mmである。また、攪拌盤が互いに重なり合った2軸の溝型攪拌乾燥機である。2軸の回転軸に取り付けられた攪拌盤はオーバーラップし、交互にかみ合うように配列される。
上記攪拌乾燥機の内壁、攪拌盤、回転軸には加熱された水蒸気が注入され、内壁、攪拌盤、回転軸の表面温度は210℃であった。平均滞留時間は60分、処理量は40kg/hであった。表面架橋された吸水性樹脂は、SUS容器に取り出し冷却した。当該吸水性樹脂を目開き850μmの篩で篩い、比較吸水性樹脂1を得た。150μmの篩通過物は上記表面架橋された吸水性樹脂全重量の2.0%であった。比較吸水性樹脂1のCRCは29(g/g)、AAPは25(g/g)、平均粒子径は460μmであった。
<比較例2>
製造例で得た吸水性樹脂前駆体(A)100重量部に対して、1,4−ブタンジオール0.34質量部、プロピレングリコール0.56質量部、純水3質量部からなる表面架橋剤含有水性溶液3.9質量部を、連続式高速攪拌混合機(ホソカワミクロン株式会社タービュライザー)にて噴霧混合し加湿物とした。
当該加湿物を、伝導伝熱型溝型攪拌乾燥機(奈良機械製作所、パドルドライヤー;NPD−1.6W型)、にて処理量40kg/hで連続処理した。上記攪拌乾燥機は、冷却機(奈良機械製作所、パドルドライヤー;NPD−1.6W型)に直列に連結した。各装置のパドル(攪拌盤)の回転数は攪拌乾燥機は30rpm、冷却機は30rpmに設定した。熱媒体は、松村石油製バーレルサーム400を使用し、上記攪拌乾燥機のパドル内部に循環させ、冷却機には常温の水道水をジャケットとパドル内部とに循環させた。上記伝導伝熱型溝型攪拌乾燥機の回転軸は2軸であって、取り付けられた攪拌盤はオーバーラップし、交互にかみ合うように配列される。
上記攪拌乾燥機の原料供給口における吸水性樹脂の粉体温度は40℃、吸水性樹脂排出口における吸水性樹脂の粉体温度は、210℃であった。直列につながった上記攪拌装置と冷却機との間はステンレス配管でつながれている。改質工程によって表面架橋された吸水性樹脂は、直ちに冷却機に搬送され、冷却工程に供した。このようにして得られた表面架橋された吸水性樹脂を目開き850μmのJIS標準篩を通過させ、比較吸水性樹脂2を得た。
滞留時間は改質工程64分、冷却工程74分であった。150μmの篩通過物は上記表面架橋された吸水性樹脂全重量の4.0%であった。比較吸水性樹脂2のCRCは28.5(g/g)、AAPは25(g/g)、平均粒子径は412μmであった。
<比較例3>
実施例1において得られた改質された吸水性樹脂(吸水性樹脂1)を目開き850μm−150μmJIS標準篩を用いて分級し、粒度調整した吸水性樹脂を得た。尚、粒度調整した吸水性樹脂の平均粒子径は480μm、150Pass量は1.0%であった。
上記の粒度調整した吸水性樹脂を用いて、吸水性樹脂排出口を閉鎖したバッチ式冷却機(奈良機械製作所、NPD−1.6W型)にて混合を実施した。上記バッチ式冷却機のパドル(攪拌盤)の回転数は30rpm、上記バッチ式冷却機の内壁、攪拌盤、回転軸には常温の水道水が注入され、冷却容器内における粒度調整した吸水性樹脂の滞留量は40kgであった。
上記回転数30rpmにて、所定時間毎(混合開始時から30、60、120分)にサンプリングし比較吸水性樹脂(3−1〜3−3)を得た。150Pass量は比較吸水性樹脂3−1が1.30%、比較吸水性樹脂3−2が1.7%、比較吸水性樹脂3−3が2.2%であった。
<実施例4>
製造例で得た吸水性樹脂前駆体(A)100重量部に対して、1,4−ブタンジオール0.34質量部、プロピレングリコール0.56質量部、純水3質量部からなる表面架橋剤含有水性溶液3.9質量部を、連続式高速攪拌混合機(ホソカワミクロン株式会社製タービュライザー)にて噴霧混合し加湿物とした。
当該加湿物を、伝導伝熱型溝型攪拌乾燥機(奈良機械製作所製、マルチフィンプロセッサー;NFP−1.6W型)にて処理量40kg/hで連続処理した。上記攪拌乾燥機は、冷却機(奈良機械製作所製、マルチフィンプロセッサー;NFP−1.6W型)に直列に連結した。各装置のパドル(攪拌盤)の回転数は、攪拌乾燥機は30rpm、冷却機は30rpmに設定した。熱媒体は、松村石油製バーレルサーム400を使用し、上記攪拌乾燥機のパドル内部に循環させ、冷却機には常温の水道水をジャケットとパドル内部とに循環させた。上記伝導伝熱型溝型攪拌乾燥機の2軸の回転軸に取り付けられた攪拌盤は非オーバーラップして、平行に配列される。
上記攪拌乾燥機の原料供給口における吸水性樹脂の粉体温度は40℃であり、吸水性樹脂排出口における吸水性樹脂の粉体温度は210℃であった。直列につながった上記攪拌装置と冷却機との間はステンレス配管でつながれている。改質工程によって表面架橋された吸水性樹脂は、直ちに冷却機に搬送され、冷却工程に供した。このようにして得られた表面架橋された吸水性樹脂を目開き850μmのJIS標準篩を用いて篩い分けし、改質された吸水性樹脂(吸水性樹脂4)を得た。
滞留時間は改質工程60分、冷却工程64.5分であった。150μmの篩通過物は上記表面架橋された吸水性樹脂全重量の2.1%であった。改質された吸水樹脂のCRCは29(g/g)、AAPは26(g/g)、平均粒子径は478μmであった。
<比較例4>
製造例で得た吸水性樹脂前駆体(A)100重量部に対して1,4−ブタンジオール0.34質量部、プロピレングリコール0.56質量部、純水3質量部からなる表面架橋剤含有水性溶液3.9質量部を、連続式高速攪拌混合機(ホソカワミクロン株式会社製タービュライザー)にて噴霧混合した。
加湿物を、パドル(攪拌盤)径80mmφ、伝熱面積0.35m、有効容積0.046mである伝導伝熱型溝型攪拌乾燥機(栗本鉄工所製、型番CD−80,攪拌盤変換タイプ)を用いて加熱処理した。
上記攪拌乾燥機は、かきあげ羽根14枚と、欠損部を有する攪拌盤が14枚設けられており、y−z平面で切断した断面において、攪拌盤の最大厚さの最小厚さに対する比=15mm/2.5mm、y−z平面で切断した断面におけるかきあげ羽根の断面積:20mm×10mm=200mm、攪拌盤間面積2400mm)である。また、2軸の回転軸に取り付けられた攪拌盤はオーバーラップし、交互にかみ合うように配列された2軸の溝型攪拌乾燥機である。
上記攪拌乾燥機の内壁、攪拌盤、回転軸には加熱された水蒸気が注入され、内壁、攪拌盤、回転軸の表面温度は220℃であった。平均滞留時間は35分、処理量は7kg/hであった。表面架橋された吸水性樹脂は、SUS容器に取り出し冷却した。当該吸水性樹脂を目開き850μmの篩で篩い、改質された吸水性樹脂を得た(比較吸水性樹脂4)。150μmの篩通過物は1.5%であった。比較吸水性樹脂4のCRCは27(g/g)、AAPは24(g/g)、平均粒子径は475μmであった。
以上の実施例および比較例における実験条件と、改質された吸水性樹脂の諸物性とを、表1および表2に記載した。表中における「羽根ピッチ」とは、y−z平面において、隣り合う攪拌盤間のy方向の距離を意味する。例えば、図2(A)におけるT,図3(A)におけるT´である。また、表中における「羽根長さ」とは、y−z平面におけるかきあげ羽根のy方向の長さを意味する。例えば、図2(A)におけるT,図3(A)におけるT´である。さらに、表中における「かきあげ羽根(mm)」とは、y−z平面におけるかきあげ羽根のz方向およびy方向の寸法(T×T)を意味する。一方、表中における「かきあげ羽根の断面積(%)」とはとは、例えば、攪拌盤間面積に対するかきあげ羽根の面積であり、例えば、図2(A)において(T×T×2)÷(T×T)×100である。また、「かきあげ羽根の距離(%)」とは攪拌盤間面積に対するかきあげ羽根の長さであり、例えば、図2(A)において(T)÷(T×T)×100である。
Figure 0005132927
Figure 0005132927
<実施例5>
製造例で得た吸水性樹脂前駆体(A)100質量部に対して、1,4−ブタンジオール(以下、「1,4−BD」ともいう)を0.34質量部、プロピレングリコール(以下、「PG」ともいう)を0.56質量部、純水を3質量部加えて、室温にて混合した加湿物500質量部を、オイルバスに白絞油を使用し、オイルバスの設定温度を230℃にして加温した西日本試験機製作所製5Lモルタル熱処理装置(処理器)に投入し、高速攪拌(自転運動280rpm、公転運動125rpm)で撹拌し、15分間熱処理を行った後直ちに、同様に白絞油オイルバスの設定温度210℃に加温した西日本試験機製作所製5Lモルタル熱処理装置(処理器)に投入し、低速撹拌(自転運動140rpm、公転運動62rpm)で撹拌し、さらに5分間熱処理を行った(表3を参照)。このようにして得られた混合物を目開き850μmのJIS標準篩を通過させ、吸水性樹脂(1)を得た。
Figure 0005132927
上記の方法で得られた吸水性樹脂組成物(1)について、その物性を評価した。その結果を表4に示す。
Figure 0005132927
表3および4に示すように、下記の比較例5とほぼ同じ表面架橋密度(言い換えれば、同等のCRC値)まで熱処理するための処理時間が、30分から20分に短縮した。
<実施例6>
製造例で得た吸水性樹脂前駆体(A)100質量部に対して、1,4−BDを0.34質量部、PGを0.56質量部、純水を3質量部加えて混合した加湿物を、パドル径160mmφ、伝熱面積2.5m、有効容積0.065mである伝導伝熱型溝型攪拌乾燥機(奈良機械製作所製、NPD1.6W型)を3台直列に連結した装置にて処理量50kg/hで連続処理した(表5を参照)。1台目の処理装置は、上述の撹拌乾燥工程に、2台目の処理装置は、上述の表面架橋工程に、3台目の処理装置は、冷却工程に使用した。各処理装置のパドルの回転数は撹拌乾燥工程が30rpm、表面架橋工程が5rpm、冷却工程が5rpmに設定した。1台目と2台目との装置内部排出堰高さを60%(攪拌翼上面を100%とした場合)に設定した。熱媒体は、松村石油製バーレルサーム400を使用し、1台目と2台目とは伝導伝熱型溝型撹拌乾燥機のパドル内部に熱媒体を循環させ、3台目は常温の水道水をジャケットとパドル内部とを循環させた。1台目の伝導伝熱型溝型撹拌乾燥機装置の処理装置入口の吸水性樹脂粉体温度は40℃、処理装置出口の吸水性樹脂粉体温度は、190℃となり、2台目の伝導伝熱型溝型撹拌乾燥機の処理装置入口の吸水性樹脂粉体温度は190℃、処理装置出口の吸水性樹脂粉体温度は200℃となった(表5を参照)。1台目と2台目との直列につながった装置間は保温されたステンレス配管でつながっており、2台目と3台目とは保温されていないステンレス配管でつながっている。撹拌乾燥工程を終えた吸水性樹脂組成物は、直ちに表面架橋工程で処理され(表5を参照)、その後直ちに冷却工程で室温まで冷却された。このようにして得られた混合物を目開き850μmのJIS標準篩を通過させ、吸水性樹脂(2)を得た。
Figure 0005132927
上記の方法で得られた吸水性樹脂組成物(2)について、その物性を評価した。その結果を表6に示す。
Figure 0005132927
表5および6に示すように、下記の比較例6の場合よりも、表面架橋工程における乾燥粒子状組成物単位重量あたりの撹拌に要する動力が小さいため、150pass以下の微粉量が抑えられ、その結果、AAPおよびSFCの値が向上した。
<比較例5>
製造例で得た吸水性樹脂前駆体(A)100質量部に対して、1,4−BDを0.34質量部、PGを0.56質量部、純水を3質量部加えて、室温にて混合した加湿物500質量部を、オイルバスに白絞油を使用し、オイルバスの設定温度を230℃にして加温した西日本試験機製作所製5Lモルタル熱処理装置(処理器)に投入し、低速撹拌(自転運動140rpm、公転運動62rpm)で撹拌し、30分間熱処理を行った(表3を参照)。このようにして得られた混合物を目開き850μmのJIS標準篩を通過させ、吸水性樹脂(3)を得た。
上記の方法で得られた吸水性樹脂組成物(2)について、その物性を評価した。その結果を表4に示す。
<比較例6>
製造例1で得た吸水性樹脂前駆体(A)100質量部に対して、1,4−BDを0.34質量部、PGを0.56質量部、純水を3質量部加えて混合した加湿物を、パドル径160mmφ、伝熱面積2.5m、有効容積0.065mである伝導伝熱型溝型攪拌乾燥機(奈良機械製作所製、NPD1.6W型)を2台用い、処理量25kg/hにて連続処理をした(表5を参照)。各処理装置のパドルの回転数のついて、1台目の伝導伝熱型溝型攪拌乾燥機のパドルの回転数は、30rpmに設定し、2台目の伝導伝熱型溝型攪拌乾燥機のパドルの回転数は、5rpmに設定した。1台目は熱媒体に松村石油製パーレルサーム400を使用し、伝導伝熱型溝型撹拌乾燥機のパドル内部に熱媒体を循環させ、2代目は常温の水道水をジャケットとパドル内部を循環させた。1台目の処理装置入口の吸水性樹脂粉体温度は40℃となり、処理装置出口の吸水性樹脂粉体温度は200℃となった(表5を参照)。1台目と2台目とは、保温されていないステンレス配管でつながっている。このようにして得られた混合物を目開き850μmのJIS標準篩を通過させ、吸水性樹脂(4)を得た。
このようにして得られた吸水性樹脂組成物(4)について、その物性を評価した。その結果を表6に示す。
なお、本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
以上のように、本発明では、撹拌乾燥工程および表面架橋工程の2段に分けて処理を行うため、効率よく物性のよい吸水性樹脂を大量生産することができる。
また、吸水性樹脂の表面架橋処理において、所定の厚さを有する攪拌盤および/または所定の断面積および長さを有するかきあげ羽根を備えた攪拌手段を使用することによって、微粉の発生を効率的に防止できる。
従って、本発明にかかる製造方法は、物性の良好な吸水性樹脂の効率的な製造に大きく寄与することができるので、使い捨ておむつ、使い捨て成人向け失禁用衣類、使い捨て生理用ナプキンおよび使い捨て包帯などの各種吸水性樹脂の製造に関する分野において広範に利用することができる。
また、食品等のドリップシート等の包装関連製品の製造にも用いることができる。
さらには、水中トンネルの壁を構成するコンクリートブロック間のシーリング複合物、光ファイバケーブルおよび送電ケーブルの水ブロック用テープ、土壌保水剤、並びに、殺虫剤、農薬および/または除草剤の搬送体などのように、使用する樹脂に吸水性や保水性が求められる分野にも広く用いることができる。
図1は、本実施の形態において用いられる攪拌装置(攪拌手段)の構成の一例を示す断面図である。 図2(A)は、攪拌盤が楔形である攪拌盤を用いた場合において、y−z平面で切断した攪拌装置(攪拌手段)の断面図、図2(B)は、攪拌盤が楔形である攪拌盤を用いた場合において、x−z平面で切断した攪拌装置(攪拌手段)の断面図である。 図3(A)は、攪拌盤が平面円盤状(扇形)である攪拌盤を用いた場合において、y−z平面で切断した攪拌装置(攪拌手段)の断面図、図3(B)は、攪拌盤が平面円盤状(扇形)である攪拌盤を用いた場合において、x−z平面で切断した攪拌装置(攪拌手段)の断面図である。 図4は、SFC測定装置の概略図である。 図5は、本実施形態にかかる吸水性樹脂の製造装置の縦断面の模式図である。
符号の説明
1 吸水性樹脂の製造装置
2 第1処理装置(第1処理手段)
3 第2処理装置(第2処理手段)
10 駆動装置
20 横型ドラム
30 原料供給口
40 熱媒入口
40’ 熱媒入口
45’ 熱媒出口
50 吸水性樹脂排出口
70 回転軸
80 攪拌盤
80a 攪拌盤
80b 攪拌盤
81 キャリアーガス導入口
85 排気口
90 かきあげ羽根
90a かきあげ羽根
90b かきあげ羽根
100 攪拌装置(攪拌手段)

Claims (4)

  1. カルボキシル基を有する親水性架橋重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を2つ以上有する表面架橋剤を含有する水性溶液との混合物を加熱することによって上記親水性架橋重合体の表面を架橋せしめる工程である改質工程、および表面架橋された上記親水性架橋重合体を冷却する冷却工程を含み、上記改質工程および/または冷却工程は、かきあげ羽根を具備する複数の撹拌盤を備えた回転軸を有する撹拌手段を用いて行われ、
    上記回転軸の長軸長さ方向と平行な方向をy方向、上記y方向と直交する方向であって、上記回転軸の軸径方向と平行な方向をx方向、上記x方向およびy方向と直交する方向をz方向とした場合に、
    上記撹拌盤は、上記撹拌手段をy−z平面で切断した断面において、最大厚さの最小厚さに対する比が5以下であり、
    上記撹拌手段をy−z平面で切断した断面における上記かきあげ羽根の断面積が、上記かきあげ羽根を突出させている一つの撹拌盤と、当該撹拌盤と相対して配置される他の撹拌盤との間の上記y−z平面における面積の10%以上、50%未満を占め、かつ、上記y−z平面で切断した断面における上記かきあげ羽根のy方向の長さが、上記一つの撹拌盤と上記他の撹拌盤との間の上記y−z平面における距離の50%以上であり、
    上記かきあげ羽根が、複数の撹拌盤に跨っており、上記かきあげ羽根のうち、隣接する位置に存在するかきあげ羽根同士は、上記撹拌手段をy−z平面で切断した断面において、上記回転軸を挟んで互い違いに配置または平行に連結されることを特徴とする吸水性樹脂の製造方法。
  2. 上記撹拌盤が円盤状または一部が欠落した円盤状であることを特徴とする請求項1に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  3. 上記撹拌盤が伝熱手段としても作用することを特徴とする請求項1または2に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  4. 上記撹拌盤が冷却手段としても作用することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
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