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JP5119459B2 - 燃料電池 - Google Patents

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JP5119459B2
JP5119459B2 JP2001301937A JP2001301937A JP5119459B2 JP 5119459 B2 JP5119459 B2 JP 5119459B2 JP 2001301937 A JP2001301937 A JP 2001301937A JP 2001301937 A JP2001301937 A JP 2001301937A JP 5119459 B2 JP5119459 B2 JP 5119459B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池に関し、特に、触媒層中で水が凝集しやすい条件下で作動する、例えば固体高分子形燃料電池等の燃料電池において、触媒層を改良した燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な固体高分子形燃料電池は、高分子電解質膜を挟んで、一方に正極、もう一方に負極となる触媒層が接合されており、さらに、これらを挟んで両極に撥水処理されたカーボンペーパー等がガス拡散層として接しているような基本構造をとっている。
【0003】
このような基本構造の燃料電池から電流を取り出すためには、正極側に酸素あるいは空気等の酸化性ガス、負極側には水素等の還元性ガスを、外部からガス拡散層を介してそれぞれ供給する。例えば水素ガスと酸素ガスを利用する場合、負極の触媒上で起こる
【0004】
【化1】
Figure 0005119459
【0005】
の化学反応と、正極の触媒上で起こる
【0006】
【化2】
Figure 0005119459
【0007】
の化学反応のエネルギー差を利用して電流を取り出すこととなる。このためには、触媒層内部の触媒まで酸素ガスあるいは水素ガスを供給できるガス拡散経路や、負極触媒上で発生したプロトンと電子をそれぞれ正極の触媒まで伝達できるプロトン伝導経路と電子伝達経路が、少なくとも触媒層内で分断されることなく連なっていないと、電流を取り出すことができない。触媒層内部では、一般に、ガス拡散経路として材料の間隙に形成される気孔、プロトン伝導経路として電解質材料、及び電子伝導経路として炭素材料が、それぞれのネットワークを機能させて成り立っている。
【0008】
特に、プロトン伝導経路には、高分子電解質材料としてパーフルオロスルホン酸ポリマーやスチレンジビニルベンゼンスルホン酸等のイオン交換樹脂が用いられている。これら一般に用いられるイオン交換樹脂は、湿潤環境下で初めて高いプロトン伝導性を発現し、乾燥環境下ではプロトン導電性が低下してしまう。これは、プロトンの移動に水分子の介在や随伴が必須であるためと考えられている。従って、効率良く燃料電池を作動させるためには、常に電解質材料が湿潤状態であることが必須であり、両極に供給するガスとともに、常に水蒸気を供給する必要がある。
【0009】
一般には、電解質材料へ水を供給する目的で、セルに供給するガスを加湿し、露点以下でセルを作動する方法が採用されている。この方法によると、セル内に供給された水蒸気は一部凝集し、凝集水の液滴を形成する。また、上述した正極反応により、正極触媒上では水が生成する。セルの運転条件にもよるが、生成した水は、触媒層内の水蒸気が過飽和になった時点で凝集し、凝集水の液滴となる。
【0010】
これら反応によって生成した水が凝集したり、加湿するために供給された水蒸気が触媒層内で凝集してできた液滴は、ガス拡散経路を遮断する。この現象は、フラッディングと呼ばれ、大電流放電時に水が大量に生成する正極で顕著であり、極度の電圧低下を招く。
【0011】
このように、安定して燃料電池を作動させるためには、触媒層内を十分に加湿しつつ、凝集水は速やかに系外に排出するといった相反する要求を満たす必要がある。このために従来から、触媒層に使われる炭素材料等をポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと称する)やシランカップリング剤等を用いて、触媒層内部を撥水処理する工夫が提案されてきた。
【0012】
特開平5−36418号公報ではPTFE粉末を、特開平4−264367号公報ではPTFEコロイドを、特開平7−183035号公報ではPTFEにより撥水処理した炭素粉末を、特開2000−243404号公報ではシランカップリング剤で撥水処理した炭素材を触媒層内に含有させることによって、触媒層内部の撥水性を高め、凝集水を速やかに系外に排出する工夫が提案されてきた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従来提案された触媒層では、PTFEやシランカップリング剤といった触媒層の電子伝導経路を分断する化合物を用いるため、電池性能低下を招くといった性能上の課題や、工程が複雑化したり、比較的高価な化合物を使用するため、製造コストが増加するといった課題があった。
【0014】
また、これらシランカップリング剤やPTFEのような撥水性物質の撥水性が極めて高いため、これらの化合物を使用した触媒層内部では電解質材料に好適な湿潤環境が保たれなくなり、従来の触媒層は必ずしも効率的な電池特性を実現できなかった。従って、従来では、電解質材料に好適な湿潤環境を保つ材料の提案が無いばかりか、触媒層設計のために有用な好適な湿潤環境を保つ材料の水和性に関して定量的な指標が明確に示されていなかった。
【0015】
そこで、本発明は、燃料電池の触媒層中の電子伝導経路を分断することなく好適な湿潤環境を保ち、極めて効率的な電池性能を発現できる燃料電池を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、検討を重ねた結果、触媒層の主成分のひとつである炭素材料の水和性に適正な範囲が存在すること、触媒層の主成分である炭素材料を、触媒成分を担持した炭素材料(以下、触媒担持炭素材料)と触媒成分を担持していない炭素材料(以下、ガス拡散炭素材料)とに分けて、触媒層に含有させると、凝集水によるガス拡散経路の閉塞を防ぐことができ、特に、大電流放電時の電池特性を大幅に改善できること、さらに、ガス拡散炭素材料の含有比率に最適な範囲が存在すること、また、ガス拡散炭素材料の水和性に好適な範囲が存在すること、等を見出し、本発明に至った。
【0017】
すなわち、本発明の要旨とするところは、以下の通りである。
【0018】
(1)プロトン伝導性電解質膜を挟んだ一対の触媒層を含む燃料電池であって、前記一対の触媒層が、触媒成分と、電解質材料と、炭素材料とからなり、前記炭素材料は、前記触媒成分を担持した触媒担持炭素材料および前記触媒成分を担持していないガス拡散炭素材料を構成し、前記ガス拡散炭素材料は触媒層中に5質量%以上50質量%以下含まれ、前記炭素材料の25℃、相対湿度90%における水蒸気吸着量が100ml/g以下であることを特徴とする燃料電池。
【0020】
)前記ガス拡散炭素材料は、25℃、相対湿度90%における水蒸気吸着量が1ml/g以上100ml/g以下である炭素材料の1種類以上からなることを特徴とする()に記載の燃料電池。
【0021】
)前記ガス拡散炭素材料は、25℃、相対湿度90%における水蒸気吸着量が1ml/g以上50ml/g以下である炭素材料の1種類以上からなることを特徴とする()に記載の燃料電池。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の燃料電池は、触媒成分と、炭素材料と、電解質材料とを含む触媒層を有し、かつ、触媒層の主成分の一つである炭素材料の25℃、相対湿度90%における水蒸気吸着量が100ml/g以下であることを特徴とする。
【0023】
指標となる25℃、相対湿度90%における水蒸気吸着量の測定は、市販の水蒸気吸着量測定装置を用いて測定することができる。あるいは、25℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽に乾燥した炭素材料を十分な時間静置し、質量変化から測定することもできる。なお、触媒層中に複数の炭素材料を用いる場合は、それら炭素材料の含有率で混合して得られた混合物の水蒸気吸着量を測定するものとする。
【0024】
炭素材料の25℃、相対湿度90%における水蒸気吸着量が100ml/g以下であれば、大電流放電時のガス拡散経路の閉塞を抑制でき、安定した電流を取り出すことができる。100ml/g超であると触媒層中に凝集水が滞り、ガス拡散経路が遮断されやすくなり、大電流放電時の電圧挙動が不安定になる。
【0025】
25℃、相対湿度90%における水蒸気吸着量が、100ml/g以下の炭素材料は、一般に存在する炭素材料中から水蒸気吸着量を指標に選択できる。あるいは、水蒸気吸着量が多すぎる炭素材料である場合においても、不活性雰囲気下で焼成する事によって、水蒸気吸着量を好適な範囲にまで低下させることができる。特に条件を限定するものではないが、アルゴン、窒素、ヘリウム、真空等の雰囲気下で加熱処理することによって、水蒸気吸着量を所望の範囲まで低下させることができる。
【0026】
本発明の燃料電池に含まれる触媒層に使用される炭素材料の種類は、一般的に存在する電子伝導性を有する炭素材料であれば、特に限定するものではないが、本来求められる反応以外の化学反応を起こしたり、凝集水との接触によって炭素材料を構成する物質が溶出するような材料は好ましくなく、化学的に安定な炭素材料が好ましい。また、炭素材料の一次粒子径は1μm以下が好ましく、これより大きな炭素材料は粉砕して用いることができる。一次粒子径が1μm超であると、ガス拡散経路やプロトン伝導経路を分断する恐れが高くなるほか、触媒層中の炭素材料の分布が不均一になり易く好ましくない。好ましい炭素材料としては、カーボンブラックをあげることができる。
【0027】
本発明の燃料電池に含まれる触媒層の主成分の一つである炭素材料は、触媒担持炭素材料およびガス拡散炭素材料を構成することが好ましい。触媒成分が担持されていない炭素材料、即ち、ガス拡散炭素材料を触媒層中に含ませることによって、触媒層中にガスが拡散できる経路を発達でき、負極であれば水素あるいは水素を主体とした混合ガス、正極であれば酸素あるいは空気等が、触媒層中に拡散しやすくなり、多くの触媒表面と接触できる。そのため、効率的に触媒層での反応を進行させ、高い電池性能が得られるものである。
【0028】
さらに、ガス拡散炭素材料の触媒層中における含有率が、5質量%以上50質量%以下の範囲内にあると、より好ましい。5質量%未満では、ガス拡散経路を十分拡大することができず、ガス拡散炭素材料を含ませる効果が不明確になる。50質量%超では、プロトン伝導経路が貧弱になり、IRドロップが大きくなるため電池性能が低下する。使用する炭素材料の種類や形態にもよるが、10質量%〜40質量%がもっとも好ましい。この範囲にあると、プロトン伝導経路と電子伝導経路を損なうことなく、ガス拡散経路を発達させることができる。
【0029】
さらに高い効果を得るためには、表面の水和性、すなわち、水蒸気吸着量が適切な範囲にあるガス拡散炭素材料を用いる。具体的には、25℃、相対湿度90%における水蒸気吸着量が1ml/g以上100ml/g以下である炭素材料を、ガス拡散炭素材料として選択することである。25℃、相対湿度90%における水蒸気吸着量が1ml/g未満であると、撥水性が強くなりすぎて、触媒層中に共存する電解質材料が湿潤状態を維持しづらくなり、プロトン伝導性が低下する恐れがあるため、ガス拡散炭素材料を添加する効果が低くなることがある。25℃、相対湿度90%における水蒸気吸着量が1ml/g以上であれば、触媒層中に共存する電解質材料に好適な湿潤状態を維持できるため、プロトン伝導性を損なうこと無く、ガス拡散経路を拡大することができる。また、25℃、相対湿度90%における水蒸気吸着量が1ml/g以上である炭素材料であれば、2種類以上の炭素材料を混合してガス拡散炭素材料として使用することもできる。一方、25℃、相対湿度90%における水蒸気吸着量が100ml/g超になると、大電流放電時に触媒層内部で生成する水の排出が追いつかず、ガス拡散経路を遮断してしまう恐れがあるため、ガス拡散炭素材料を添加する効果が低くなることがある。
【0030】
また、ガス拡散炭素材料の25℃、相対湿度90%における水蒸気吸着量が1ml/g以上50ml/g以下であると、さらに好ましい。この範囲内であると、正極の内部で生成する水が少ない小電流放電時においても、正極中の電解質材料の乾燥を防ぎ、好適な湿潤状態を維持でき、かつ、大電流放電時にも、触媒層内部で生成する水を効率よく触媒層外へ拡散することができるため、低負荷から高負荷まで負荷条件によらず、全域にわたって効率の良い電池を得ることができる。25℃、相対湿度90%における水蒸気吸着量が50ml/g超になると、大電流放電時に触媒層内部で生成する水の排出が追いつかず、ガス拡散経路を遮断してしまう恐れがあるため、ガス拡散炭素材料を添加する効果が低くなることがある。
【0031】
ガス拡散炭素材料表面の水和性の制御は、一般に存在する炭素材料中から水蒸気吸着量を指標に選択することによって達成できる。あるいは、好適な範囲より少ない水蒸気吸着量を持つ炭素材料である場合においても、炭素材料を酸や塩基等で炭素材料表面を処理したり、酸化雰囲気環境に曝したりすることによって、水蒸気吸着量を好適な範囲にまで増加させることができる。特に条件を限定するものでは無いが、例えば、加温した濃硝酸中で処理したり、過酸化水素水溶液中に浸漬したり、アンモニア気流中で熱処理したり、加温した水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したり、希薄酸素や希薄NO、あるいはNO2中で加熱処理したりすることによって、水蒸気吸着量を増加させることができる。逆に、水蒸気吸着量が多すぎる場合、前述のように、不活性雰囲気下で焼成することによって、水蒸気吸着量を好適な範囲にまで低下させることもできる。特に限定するものではないが、アルゴン、窒素、ヘリウム、真空等の雰囲気下で加熱処理することによって、水蒸気吸着量を低下させることができる。
【0032】
本発明の燃料電池に含まれる触媒層は、使用される電解質膜、電解質材料の種類や形態によらず効果を発揮するものであって、これらに特に限定されるものではない。
【0033】
本発明の燃料電池に含まれる触媒層がもっとも効果を発揮する燃料電池は、触媒層中で水が凝集しやすい条件下で作動する燃料電池であり、電解質膜の種類や形態などに本発明の触媒層の効果が依存されるものではない。例えば、固体高分子形燃料電池等に使用されることが好ましい。
【0034】
本発明の燃料電池に使用される電解質膜や触媒層中に使用される電解質材料は、リン酸基、スルホン酸基等を導入した高分子、例えばパーフルオロスルホン酸ポリマーやベンゼンスルホン酸が導入されたポリマー等をあげることができるが、高分子に限定するものではなく、無機系、無機−有機ハイブリッド系等の電解質膜を使用した燃料電池に使用しても差し支えない。特に好適な作動温度範囲を例示するならば、室温〜150℃の範囲内で作動する燃料電池が好ましい。また、触媒担持炭素材料と電解質材料との触媒層中での質量比は1:2〜5:1が好ましい。1:2より触媒担持炭素材料が少ないと、過度に触媒表面が電解質材料に覆われてしまい、反応ガスが触媒成分と接触できる面積が小さくなるため好ましくなく、5:1より過剰に触媒担持炭素材料が含有すると電解質材料のネットワークが貧弱になり、プロトン伝導性が低くなるため好ましくない。
【0035】
本発明の触媒層に使用される触媒担持炭素材料は、供給されるガスの種類に対して効果的な触媒成分が担持されており電子伝導性が良好な炭素材料であれば、触媒成分や炭素材料の種類を限定するものではない。触媒成分の例としては、白金、パラジウム、ルテニウム、金、ロジウム、オスミウム、イリジウム等の貴金属、これらの貴金属を2種類以上複合化した貴金属の複合体や合金、貴金属と有機化合物や無機化合物との錯体、遷移金属、遷移金属と有機化合物や無機化合物との錯体等をあげることができる。これら触媒成分の触媒担持炭素材料への担持量は、それぞれ固有の適切な範囲を有しているため一概には言えないが、例えば、白金の場合、炭素材料に対し白金換算で5〜60質量%の範囲で担持されることが好ましい。また、これらの2種類以上を複合したもの等も用いることもできる。なお、このような触媒成分の触媒担持炭素材料への担持方法は、当業界周知の任意の方法を用いることができ特には限定されないが、炭素材料や触媒成分に応じて適宜選択されるべきである。
【0036】
触媒を担持する炭素材料の例としては、カーボンブラックがもっとも一般的であるが、そのほかにも黒鉛、炭素繊維等やこれらの粉砕物、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ等の炭素化合物等が使用できる。また、これらの2種類以上を使用することもできる。
【0037】
本発明の燃料電池に含まれる触媒層の作成方法は、特に限定はしない。例えば、触媒担持炭素材料とガス拡散炭素材料を混合し、これにパーフルオロスルホン酸ポリマーのような電解質を溶解あるいは分散した溶液を加え、必要に応じて水や有機溶媒を加えてインクを作成する。このインクを膜状に乾燥し触媒層として用いることができる。
【0038】
ただし、本発明の燃料電池に含まれる触媒層を効果的に機能させるためには、ガス拡散炭素材料表面にできるだけ電解質材料が接触しないように作成する方法を選択することが好ましい。特に、好ましい触媒層作成方法を以下に述べる。
【0039】
A)触媒担持炭素材料と電解質材料とを電解質材料の良溶媒中で粉砕混合した後に電解質材料の貧溶媒を加え電解質材料と触媒担持炭素材料とをヘテロ凝集させて得られるA液と、触媒成分を担持していないガス拡散炭素材料を電解質材料の貧溶媒中で粉砕して得られるB液を作成し、A液とB液とを混合して得られるC液を膜状に乾燥して触媒層とする。
【0040】
この方法では、触媒担持炭素材料を電解質材料とともに電解質材料の良溶媒中で粉砕混合すると、大きな凝集体であった触媒担持炭素材料が微細な凝集体に粉砕され、その表面近傍に電解質材料が溶解して存在している状態になる。これに電解質材料の貧溶媒を加え電解質材料を凝集させると、触媒担持粒子と電解質材料粒子がヘテロ凝集を起こし、電解質材料が触媒担持炭素材料表面に固定される。さらにこの溶液に微細なガス拡散炭素材料が添加されると、電解質材料は触媒担持炭素材料表面に固定されているため、ガス拡散炭素材料表面が電解質材料によって覆われにくく、ガス拡散炭素材料の表面が本来持ち合わせている表面性状を活かすことができる。特に、表面の水和性を制御したガス拡散炭素材料を使用する場合、この方法は有効である。
【0041】
B)触媒担持炭素材料と電解質材料とを電解質材料の良溶媒中で粉砕混合した後に乾燥によって固化し、これに電解質材料の貧溶媒を加え得られた固形物を粉砕して得られるA液と、触媒成分を担持していないガス拡散炭素材料を電解質材料の貧溶媒中で粉砕して得られるB液を作成し、A液とB液を混合して得られるC液を膜状に乾燥して触媒層とする。
【0042】
この方法でも、触媒担持炭素材料を電解質材料とともに電解質材料の良溶媒中で粉砕混合した後に乾燥すると、電解質材料が触媒担持炭素材料表面に膜状に固定される。これを電解質材料の貧溶媒中で粉砕すると、ほとんどの電解質材料が触媒担持炭素材料に固定されたまま微粒化する。さらに、この溶液に微細なガス拡散炭素材料が添加されると、Aの方法と同様に電解質材料は触媒担持炭素材料表面に固定されているため、ガス拡散炭素材料表面が電解質材料によって覆われにくく、ガス拡散炭素材料の表面が本来持ち合わせている表面性状を活かすことができる。この方法も特に表面の水和性を制御したガス拡散炭素材料を使用する場合に有効である。
【0043】
これらの触媒層作成方法で使用する電解質材料の良溶媒とは、実質的に使用する電解質材料を溶解する溶媒のことであり、電解質材料の種類や分子量によるため限定はできない。具体例を例示すれば、市販されているアルドリッチ社製5%ナフィオン溶液に含まれるパーフルオロスルホン酸ポリマーの良溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどをあげることができる。
【0044】
また、これらの好ましい触媒層作成方法で使用する電解質材料の貧溶媒とは、実質的に使用する電解質材料を溶解しない溶媒のことであり、電解質材料の種類や分子量により、溶媒が異なるため特定することはできない。例えば、市販されているアルドリッチ社製5%ナフィオン溶液に含まれるパーフルオロスルホン酸ポリマーの貧溶媒を例示するならば、ヘキサン、トルエン、ベンゼン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどをあげることができる。
【0045】
上述したA)あるいはB)の好ましい触媒層作成方法の中で粉砕あるいは粉砕混合する方法としては、大きな凝集体となっている触媒担持炭素材料やガス拡散炭素材料を粉砕し、少なくとも1μm以下の凝集体に粉砕する目的を果たすことができれば、手段は限定しない。一般的な手法としては例を挙げるならば、超音波を利用する方法、ボールミルやガラスビーズ等を用いて機械的に粉砕する方法などをあげることができる。
【0046】
インクを膜状に乾燥する場合、一般に提案されている方法が適用でき、特に限定しないが、例えば、ガス拡散層であるカーボンペーパー上に塗布し乾燥した後、パーフルオロスルホン酸ポリマーのような電解質膜にホットプレス等で圧着する方法、パーフルオロスルホン酸ポリマーのような電解質膜に塗布後、乾燥する方法、一度テフロン(登録商標)シート等に塗布後、乾燥し、これをパーフルオロスルホン酸ポリマーのような電解質膜にホットプレスなどで転写する方法、等があげられる。このようにして本発明の燃料電池を作成することができる。
【0047】
【実施例】
<ガス拡散炭素材料の水蒸気吸着量測定>
触媒層に含有させる炭素材料として、水蒸気吸着量が異なるカーボンブラックA、B、C、D、E、F、G、Hの計8種類を用意した。C及びGは市販のカーボンブラックで、AはCをアルゴン中で加熱処理したもの、D及びHは、それぞれC及びGを加温した濃硝酸中で処理し、水洗・乾燥したもの、B、E及びFは、Gをアルゴン中で加熱処理し、温度や加熱時間を変化させたもの、とした。これらカーボンブラックの水蒸気吸着量測定は、水蒸気量を定容量式水蒸気吸着装置(日本ベル社製、BELSORPIS)を用いて測定し、120℃、1Pa以下で2時間脱気前処理を行った試料を25℃の恒温中に保持し、徐々に水蒸気分圧を高めたときの試料に吸着した水蒸気量を測定した。得られた測定結果から吸着等温線図を描き、図から相対湿度90%の時の水蒸気吸着量を読みとった。その結果を表1に示した。
【0048】
【表1】
Figure 0005119459
【0049】
<触媒担持炭素材料の調製>
塩化白金酸水溶液中にカーボンブラックGを分散し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を減圧乾固して得た触媒前駆体を10%水素−90%Ar気流中、300℃で3時間、還元処理を行い、白金換算で白金担持率20質量%の触媒担持炭素材料α、白金換算で白金担持率30質量%の触媒担持炭素材料βを得た。カーボンブラックCとHについても同様の手順によって、白金換算で白金担持率20質量%の触媒担持炭素材料γ及びδを得た。
【0050】
また、塩化白金酸水溶液中にカーボンブラックGを分散し、50℃に保温し、撹拌しながら過酸化水素水を加え、次いで、Na224水溶液を添加して触媒前駆体を得た。この触媒前駆体を濾過、水洗、乾燥した後に100%H2気流中、300℃で3時間、還元処理を行い、白金換算で白金担持率20質量%の触媒担持炭素材料εを得た。
【0051】
透過型電子顕微鏡で調製した触媒担持炭素材料を観察し、担持された白金の粒子径を比較すると、α、β、γ、δの白金粒子径分布はいずれも2〜50nm程度と広かったが、εの白金粒子径分布は2〜6nm程度であり、α、β、γ、δと比較すると、細かく均一な粒子径分布であった。
【0052】
<触媒電解質混合溶液の作成>
触媒担持炭素材料αを容器に取り、これに5%ナフィオン溶液(アルドリッチ社製)を触媒担持炭素材料とナフィオンの質量比が1/1となるように加え、さらに、炭素材料を粉砕する目的でガラスビーズを加えて、撹拌により粉砕混合し、触媒担持炭素材料とナフィオンを合わせた固形分濃度が6質量%となるようにエタノールを加え、さらに撹拌し、触媒電解質混合溶液α1を得た。同様の方法で、触媒担持炭素材料β、γ、δ、εを用いて触媒電解質混合溶液β1、γ1、δ1、ε1を得た。
【0053】
<ガス拡散炭素材料溶液の調製>
カーボンブラックCを容器に取り、これにエタノールを加え、炭素材料を粉砕する目的でガラスビーズを加えて、撹拌により粉砕混合し、触媒成分を担持していないカーボンブラックCを6質量%含んだガス拡散炭素材料溶液C1を得た。
【0054】
また、カーボンブラックAを容器に取り、これに酢酸ブチルを加え、炭素材料を粉砕する目的でガラスビーズを加えて、撹拌により粉砕混合し、触媒成分を担持していないカーボンブラックAを6質量%含んだガス拡散炭素材料溶液A2を得た。同様の方法でカーボンブラックB、C、D、E、F、G、Hを用いて、ガス拡散炭素材料溶液B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2を得た。
【0055】
さらに、カーボンブラックCを容器に取り、これにヘキサンを加え、炭素材料を粉砕する目的でガラスビーズを加えて、撹拌により粉砕混合し、触媒成分を担持していないカーボンブラックCを6質量%含んだガス拡散炭素材料溶液C3を得た。
【0056】
<インクの調製>
触媒電解質混合溶液とガス拡散炭素材料溶液を下記表2に示した比率で撹拌混合し、インクを調製した。
【0057】
【表2】
Figure 0005119459
【0058】
例えば、インク4は、3.2gの触媒電解質混合溶液α1を容器に取り、撹拌しながら、溶媒として5gのエタノールを加え、十分に撹拌後、撹拌しながら0.8gのガス拡散炭素材料溶液C1を加えて調製した。インク1〜3、14〜16も同様の手順で作成した。なお、インク1〜3、14には、ガス拡散炭素材料溶液を加えなかった。
【0059】
また、インク6は、3.8gの触媒電解質混合溶液α1を容器に取り、撹拌しながら、電解質の貧溶媒である5gの酢酸ブチルを加えて、24時間以上撹拌し、触媒炭素材料と電解質材料をヘテロ凝集させた後、撹拌しながら0.2gのガス拡散炭素材料溶液C2を加えて調製した。インク5、7〜13、17〜32、37、38も同様にして作成した。なお、インク18、25の調製時に加える貧溶媒にはヘキサンを使用した。また、インク5、17、18、37には、ガス拡散炭素材料溶液を加えなかった。
【0060】
さらに、インク35は、2.8gの触媒電解質混合溶液β1を容器に取り、100℃で一晩乾燥した後に、電解質材料の貧溶媒である7.6gの酢酸ブチルとガラスビーズを投入し、撹拌により十分に粉砕混合し、撹拌しながら1.2gのガス拡散炭素材料溶液C2を加えて調製した。インク33、34、36も、同様に作成した。なお、インク34と36の調製時に加える貧溶媒にはヘキサンを使用した。また、インク33、34には、ガス拡散炭素材料溶液を加えなかった。
【0061】
<触媒層の調製と性能評価(その1)>
まず、水蒸気吸着量が異なるカーボンブラックを用いて調製した触媒担持炭素材料を含有する触媒層をそれぞれ調製し、電池性能を比較した。インクは、溶媒として電解質材料の良溶媒を使用したインク1〜4を用いた。下記表3に、負極及び正極それぞれに用いたインクの種類と、出来上がった触媒層中に含有する触媒担持炭素材料の種類と、ガス拡散炭素材料の種類と含有率を、電池性能評価結果とともに示した。
【0062】
電極の作成方法と評価方法を以下に述べる。
【0063】
予めPTFEで撥水処理されたカーボンペーパーを2.5cm×2.5cmの正方形に切断し、この上にインクを塗布・乾燥を繰り返して、カーボンペーパーに接合した触媒層を作成した。このとき、塗布前後のカーボンペーパーの質量変化測定と使用したインクの組成により、白金含有量を求め、0.5mg/cm2となるように条件を調整した。このカーボンペーパーに接合した触媒層2枚を用いて電解質膜(ナフィオン112)をはさみ、140℃、100kg/cm2の条件でホットプレスを5分間行い、カーボンペーパー−触媒層−電解質膜−触媒層−カーボンペーパーの接合体を得た。
【0064】
さらに、得られた接合体を燃料電池測定装置に組み込み、電池性能測定を行った。電池性能測定は、開放電圧(通常0.9〜1.0V程度)から0.2Vまで段階的に電圧を変化させ、0.5Vの時に流れる電流密度を測定した。なお、電極面積は6.25cm2とした。ガスは、正極に純酸素、負極に純水素を、利用率がそれぞれ50%と80%となるように供給し、それぞれのガスはセル下流に設けられた背圧弁で圧力調整し、0.1MPaに設定した。セル温度は80℃に設定し、供給する純酸素と純水素は、それぞれ75℃と85℃に保温された蒸留水中でバブリングを行い、加湿した。
【0065】
【表3】
Figure 0005119459
【0066】
表3に示すように、25℃、相対湿度90%における水蒸気吸着量が100ml/g以下である炭素材料を使用した実施例1〜3の電池性能が、100ml/g超の炭素材料を使用した比較例1よりも優れていた。また、ガス拡散炭素材料Cを触媒層中に20%含有させた実施例3の電池性能が、特に優れていた。
【0067】
<触媒層の調製と性能評価(その2)>
次に、触媒担持炭素材料をαに固定し、ガス拡散炭素材料の種類や触媒層中の含有量を変化させた触媒層をそれぞれ調製し、電池性能を比較した。すなわちインクは、触媒担持炭素材料としてαを含み、かつ溶媒として電解質材料の貧溶媒を使用したインク5〜13を用いた。下記表4に、負極及び正極それぞれに用いたインクの種類と、出来上がった触媒層中に含有する触媒担持炭素材料の種類と、ガス拡散炭素材料の種類と含有率を、電池性能評価結果とともに示した。
【0068】
電極の作成方法と評価方法は、<触媒層の調製と性能評価(その1)>と同様の手順で行った。
【0069】
【表4】
Figure 0005119459
【0070】
表4に示すように、ガス拡散炭素材料を触媒層中に5質量%以上50質量%以下含有させた実施例5〜11の電池性能が、特に優れていた。ガス拡散炭素材料を50質量%超含有する実施例12では、電池性能がやや劣る結果となった。電池性能測定中にカレントインターラプト法によって電池の抵抗を測定したところ、実施例4〜11の抵抗値より実施例12の抵抗値が大きかったことから、ガス拡散炭素材料が過剰となって電解質材料のネットワークが分断され、プロトン伝導性が低くなったため、電池性能が低下したものと考えられる。
【0071】
また、ガス拡散炭素材料の含有率が20質量%である実施例7〜10の中で比較すると、25℃、相対湿度90%の時の水蒸気吸着量が1ml/g以上100ml/g以下であるガス拡散炭素材料C及びGを含有した実施例9及び10が特に優れており、25℃、相対湿度90%の時の水蒸気吸着量が1ml/g以上50ml/g以下であるガス拡散炭素材料Cを含有した実施例9が最も優れていた。
【0072】
<触媒層の調製と性能評価(その3)>
次に、触媒担持炭素材料をβに固定し、ガス拡散炭素材料の種類を変化させた触媒層をそれぞれ調製し、少なくとも片方の極に配した時の電池性能を比較した。すなわちインクは、触媒担持炭素材料としてβを含み、かつ、溶媒として電解質材料の良溶媒を使用したインク14〜16を用いた。下記表5に、負極及び正極それぞれに用いたインクの種類と、出来上がった触媒層中に含有する触媒担持炭素材料の種類と、ガス拡散炭素材料の種類と含有率を、電池性能評価結果とともに示した。
【0073】
また、電極の評価方法は、<触媒層の調製と性能評価(その1)>と同様の手順で行ったが、電極の作成方法は、以下の手順に従い行った。
【0074】
インクを薄いテフロン(登録商標)シートに塗布・乾燥を繰り返し、これを2.5cm×2.5cmの正方形に切断し、触媒層−テフロン(登録商標)シート接合体を作成した。作成した触媒層−テフロン(登録商標)シート接合体2枚を用いて電解質膜(ナフィオン112)をはさみ、140℃、100kg/cm2の条件でホットプレスを3分間行った後に、テフロン(登録商標)シートのみを剥がし、触媒層−電解質膜−触媒層の接合体を作成した。このとき、触媒層−テフロン(登録商標)シート接合体の質量と剥がしたテフロン(登録商標)シートの質量差により、電解質膜に転写された触媒層の質量を決定し、これとインクの組成により白金含有量を求め、白金含有量が、白金換算で0.05mg/cm2となるように塗布量と塗布回数を調整した。さらに、予めPTFEで撥水処理されたカーボンペーパーを2.5cm×2.5cmの正方形に切断し、2枚を用いて触媒層−電解質膜−触媒層接合体を挟み、140℃、100kg/cm2の条件でさらにホットプレスを3分間行い、カーボンペーパー−触媒層−電解質膜−触媒層−カーボンペーパーの接合体を得た。
【0075】
【表5】
Figure 0005119459
【0076】
表5に示すように、少なくとも片側の触媒層にガス拡散炭素材料を触媒層中に含有させた実施例14〜16の電池性能が特に優れていた。
【0077】
<触媒層の調製と性能評価(その4)>
次に、触媒担持炭素材料をβに固定し、ガス拡散炭素材料の種類や触媒層中の含有量を変化させた触媒層をそれぞれ調製し、電池性能を比較した。すなわちインクは、触媒担持炭素材料としてβを含み、かつ、基本的に溶媒として電解質材料の貧溶媒を使用したインク17〜32を用い、一部良溶媒を使用したインク14を使用した。下記表6に、負極及び正極それぞれに用いたインクの種類と、出来上がった触媒層中に含有する触媒担持炭素材料の種類と、ガス拡散炭素材料の種類と含有率を、電池性能評価結果とともに示した。
電極の作成方法と評価方法は、<触媒層の調製と性能評価(その3)>と同様の手順で行った。
【0078】
【表6】
Figure 0005119459
【0079】
表6に示すように、25℃、相対湿度90%における水蒸気吸着量が100ml/g以下である炭素材料を使用した実施例17〜34の電池性能が、100ml/g超の炭素材料を使用した実施例30よりも優れていた。また、少なくとも片側の触媒層にガス拡散炭素材料を5質量%以上50質量%以下含有させた実施例19〜33の電池性能が優れていることが分かった。
【0080】
また、ガス拡散炭素材料の含有率が30質量%である実施例22〜29の中で比較すると、25℃、相対湿度90%の時の水蒸気吸着量が1ml/g以上100ml/g以下であるガス拡散炭素材料C、D、E、F、Gを含有した実施例24〜29が優れており、その中でも25℃、相対湿度90%の時の水蒸気吸着量が1ml/g以上50ml/g以下であるガス拡散炭素材料C、D、E、Fを含有した実施例24〜28が特に優れていることが分かった。
【0081】
<触媒層の調製と性能評価(その5)>
次に、触媒担持炭素材料上に薄い電解質材料の膜を形成させるように調製したインク34〜37を用いて電極を作成し、電池性能を比較した。下記表7に、負極及び正極それぞれに用いたインクの種類と、出来上がった触媒層中に含有する触媒担持炭素材料の種類と、ガス拡散炭素材料の種類と含有率を、電池性能評価結果とともに示した。
【0082】
また、電極の作成方法及び評価方法は、<触媒層の調製と性能評価(その3)>と同様の手順で行った。
【0083】
【表7】
Figure 0005119459
【0084】
表7に示すように、触媒担持炭素材料上に薄い電解質材料の膜を形成させるように調製したインクを用いて触媒層を作成した場合においても、触媒層にガス拡散炭素材料を含有させた実施例37及び38の電池性能が特に優れていることが分かった。
【0085】
<触媒層の調製と性能評価(その6)>
ここでは、微細な白金が担持された触媒担持炭素材料εを含有したインク37及び38を用いて電極を作成し、電池性能を比較した。下記表8に、負極及び正極それぞれに用いたインクの種類と、出来上がった触媒層中に含有する触媒担持炭素材料の種類と、ガス拡散炭素材料の種類と含有率を、電池性能評価結果とともに示した。
【0086】
また、電極の作成方法および評価方法は、<触媒層の調製と性能評価(その3)>と同様の手順で行った。
【0087】
【表8】
Figure 0005119459
【0088】
表8に示すように、微細な白金が担持された触媒担持炭素材料を用いた場合においても、触媒層にガス拡散炭素材料を含有させた実施例40の電池性能が、特に優れていることが分かった。
【0089】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の燃料電池は、触媒層中にPTFEやシランカップリング剤といった化合物を用いないため、電子伝導経路を分断することなく、電解質材料に好適な湿潤環境を保つことが可能であり、極めて効率的な電池性能を発現できる。また、PTFEやシランカップリング剤といった化合物を用いないため、触媒層製造コストを低減し、安価で高性能な触媒層を安定して供給できる。

Claims (3)

  1. プロトン伝導性電解質膜を挟んだ一対の触媒層を含む燃料電池であって、前記一対の触媒層が、触媒成分と、電解質材料と、炭素材料とからなり、前記炭素材料は、前記触媒成分を担持した触媒担持炭素材料および前記触媒成分を担持していないガス拡散炭素材料を構成し、前記ガス拡散炭素材料は触媒層中に5質量%以上50質量%以下含まれ、前記炭素材料の25℃、相対湿度90%における水蒸気吸着量が100ml/g以下であることを特徴とする燃料電池。
  2. 前記ガス拡散炭素材料は、25℃、相対湿度90%における水蒸気吸着量が1ml/g以上100ml/g以下である炭素材料の1種類以上からなることを特徴とする請求項に記載の燃料電池。
  3. 前記ガス拡散炭素材料は、25℃、相対湿度90%における水蒸気吸着量が1ml/g以上50ml/g以下である炭素材料の1種類以上からなることを特徴とする請求項に記載の燃料電池。
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