以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の黒色樹脂組成物は、少なくとも遮光材、樹脂および溶媒を含み、遮光材として少なくともチタン窒化物粒子とチタン炭化物粒子を含有することが必要であり、以下にその望ましい特性を示す。
本発明の黒色樹脂組成物は、印刷インク、インクジェットインク、フォトマスク作製材料、印刷用プルーフ作製用材料、エッチングレジスト、ソルダーレジスト、プラズマディスプレイパネル(PDP)の隔壁、誘電体パターン、電極(導体回路)パターン、電子部品の配線パターン、導電ペースト、導電フィルム、ブラックマトリックス等の遮光画像等の作製に用いることができる。好ましくは、カラー液晶表示装置等に用いるカラーフィルタの表示特性向上のために、着色パターンの間隔部、周辺部分、及びTFTの外光側等に遮光画像(ブラックマトリックスを含む。)を設けるために好適に用いることができる。
特に好ましくは、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、無機ELを備えたEL表示装置、CRT表示装置などの表示装置の周辺部に設けられた黒色の縁や、赤、青、緑の着色画素間の格子状やストライプ状の黒色の部分、更に好ましくはTFT遮光のためのドット状や線状の黒色パターン等のブラックマトリックスとして好適に用いられる。
本発明において、遮光材としてチタン窒化物粒子とチタン炭化物粒子を使用し、そのチタン窒化物粒子とチタン炭化物粒子の重量組成比を80/20〜20/80の範囲とすることが重要であり、本発明の樹脂組成物を用いて形成した樹脂ブラックマトリクスは、無彩色あるいは準無彩色で高OD値かつ高抵抗値を有することとなる。その結果、本発明の樹脂ブラックマトリクスを用いた液晶表示装置は黒らしい黒表示が可能となり、表示品位が向上する。また、本発明の樹脂ブラックマトリクスは、膜厚当たりのOD値が高いため、実用的なOD値(4.0)で膜厚は1.0μm以下となる。その結果、樹脂ブラックマトリクスを用いた場合でも、保護膜無しで平坦性に実用上の問題のないカラーフィルターを得ることができる。
ここで、チタン窒化物粒子とは、主成分として窒化チタンを含み、副成分として酸化チタンTiO2、TinO2n−1(1≦n≦20)で表せる低次酸化チタン及びTiNxOy(0<x<2.0,0.1<y<2.0)で表せる酸窒化チタンを含有するものである。また、チタン炭化物粒子とは、主として炭化チタンからなり、副成分として酸化チタンTiO2、TinO2n−1(1≦n≦20)で表せる低次酸化チタンおよび、場合により前記チタン窒化物を含有するものである。
また、無彩色とは、標準C光源からの光がブラックマトリクスを透過あるいは反射した後に有する色度座標x、yがJIS Z8110(1995年)の参考図で示される色度図上での白色の範囲(主に、[x=0.27、y=0.27]〜[x=0.37、y=0.37]の略楕円状の領域)にあることをいう。また、同様に準無彩色とは、標準C光源からの光がブラックマトリクスを透過あるいは反射した後に有する色度座標x、yがJIS Z8110の参考図で示される色度図上での紫みの白、青みの白、緑みのあるいは黄みの白の範囲(主に、[x=0.22、y=0.22]〜[x=0.42、y=0.42]の略楕円状の領域からピンクを除いた領域)にあることをいう。
以下に本発明におけるチタン窒化物の望ましい特性について詳述する。
チタン化合物のX線回折スペクトルはCuKα線をX線源とした場合、最も強度の強いピークとしてTiNは(200)面に由来するピークが2θ=42.5°近傍に、TiOは(200)面に由来するピークが2θ=43.4°近傍にみられる。一方、最も強度の強いピークではないがアナターゼ型TiO2は(200)面に由来するピークは2θ=48.1°近傍に、ルチル型TiO2は(200)面に由来するピークは2θ=39.2°近傍に観測される。よって、窒素原子及び酸素原子を有する結晶構造をとるチタン化合物は回折角2θが42.5°から43.4°の範囲において最も強度の強いピークがみられ、酸素原子を多く含有する結晶状態であるほどピーク位置は42.5°に対して高角度側にシフトする。
本発明の効果を顕著なものとするために、前記チタン窒化物粒子の(200)面に由来するピークの回折角2θが42.5°以上43.2°以下であることが好ましく、更には42.5°以上42.8°以下であることが、更には42.5°以上42.7°未満であることが好ましい。酸化チタンを窒化して得られるチタン窒化物は、酸窒化チタンを主として含み、酸素原子を多く含む結晶状態となるため、回折角2θとして42.9°から43.2°に最も強度の強いピークが確認される(特開2006−209102号公報)。また、副成分として酸化チタンTiO2を含有する場合、最も強度の強いピークとしてアナターゼ型TiO2(101)に由来するピークが2θ=25.3°近傍に、ルチル型TiO2(110)に由来するピークが2θ=27.4°近傍に見られる。しかし、TiO2は白色でありブラックマトリクスの遮光性を低下させる要因となるため、ピークとして観察されない程度に低減されていることが好ましい。
X線回折ピークの半値幅よりチタン窒化物粒子を構成する結晶子サイズを求めることができ、下式(1)、(2)に示すシェラーの式を用いて算出される。
ここで、K=0.9、λ(0.15418 nm)、βe:回折ピークの半値幅、βo:半値幅の補正値(0.12°)である。但し、β、βe及びβoはラジアンで計算される。
本発明の効果を顕著なものとするためには、結晶子サイズとしては50nm以下であることが好ましく、更には15nm以上50nm以下であることが好ましい。結晶子サイズが50nmよりも大きいと十分な遮光性が得られなかったり、分散時に粒子が沈降する問題が生じるため好ましくない。
本発明で用いられるチタン窒化物粒子は、その合成時における酸素の混入や、特に粒子径が小さい場合に顕著となるが、粒子表面の酸化などにより、一部酸素原子を含有している。含有する酸素量が少ない方がより高いOD値が得られるため好ましく、とりわけ副成分としてTiO2を含有しないことが好ましい。その酸素原子の含有量としては12重量%以下であり、8重量%以下であることがより好ましい。
チタン原子の含有量はICP発光分光分析法により分析し、窒素原子の含有量は不活性ガス融解−熱伝導度法により分析し、酸素原子の含有量は不活性ガス融解−赤外線吸収法により分析することができる。
窒化チタンの合成には一般的に気相反応法が用いられ、電気炉法や熱プラズマ法等が挙げられるが、不純物の混入が少なく、粒子径が揃いやすく、また生産性も高い熱プラズマ法による合成が好ましい。熱プラズマを発生させる方法としては、直流アーク放電、多層アーク放電、高周波(RF)プラズマ、ハイブリッドプラズマ等が挙げられ、電極からの不純物の混入が少ない高周波プラズマがより好ましい。熱プラズマ法による窒化チタン微粒子の具体的な製造方法としては、プラズマ炎中で四塩化チタンとアンモニアガスを反応させる方法(特開平2−22110号公報)や、チタン粉末を高周波熱プラズマにより蒸発させ窒素をキャリアーガスとして導入し冷却過程にて窒化させ合成する方法(特開昭61−11140号公報)や、プラズマの周縁部にアンモニアガスを吹き込む方法(特開昭63−85007号)等が挙げられるがこれらに限定されるものではなく、所望とする物性を有するチタン窒化物粒子にできれば製造方法は問わない。なお、チタン窒化物粒子は種々のものが市販されており、本発明で規定される上記回折角及び結晶子サイズ、さらには、上記した好ましい上記酸素原子量を満足するものも複数市販されている。本発明において、それらの市販品を好ましく用いることができる。
以下に本発明におけるチタン炭化物粒子の望ましい特性について詳述する。
X線回折スペクトルはCuKα線をX線源とした場合、最も強度の強いピークとしてTiCは(200)面に由来するピークが2θ=41.5°近傍にみられ、酸素原子および窒素原子を多く含有する結晶状態であるほどピーク位置は41.5°に対して高角度側にシフトする。
本発明の効果を顕著なものとするために、前記チタン炭化物粒子の(200)面に由来するピークの回折角2θが41.5°以上42.5°未満であることが好ましく、更には41.5°以上42.1°以下であることが好ましい。
また、本発明におけるチタン炭化物は副成分としてTiO2を含まないことが好ましい。上記範囲を外れたチタン炭化物では十分な可視光遮光性が得られないため好ましくない。
更には、本発明の効果を顕著なものとするためには、結晶子サイズとしては50nm以下であることが好ましく、更には15nm以上40nm以下であることが好ましい。結晶子サイズが50nmよりも大きいと十分な遮光性が得られなかったり、分散時に粒子が沈降する問題が生じるため好ましくない。
チタン炭化物は一般的に固相反応法で合成されているが、これを機械粉砕により微粒子化しても、最大粒子径をサブミクロン以下にすることは困難である。一方、チタン炭化物微粒子の合成方法としては、大きく分けて気相反応法と液相反応法があり、気相反応法としては電気炉法や熱プラズマ法等が挙げられるが、不純物の混入が少なく、粒子径が揃いやすく、また生産性も高い熱プラズマ法による合成が好ましい。熱プラズマを発生させる方法としては、直流アーク放電、多層アーク放電、高周波(RF)プラズマ、ハイブリッドプラズマ等が挙げられ、電極からの不純物の混入が少ない高周波プラズマがより好ましい。気相法によるチタン炭化物微粒子の製造方法としては、プラズマ炎中でハロゲン化チタンとメタンガス、エチレンガス等の炭化物ガスを反応させる方法(”Journal of the Ceramic society, Japan”, OKABE et al, vol.86, No.999, 1978 )が挙げられる。液相反応法によるチタン炭化物微粒子の製造方法としては、チタンアルコキシドとチタンアルコキシドと配位結合する有機化合物とを用いた方法(福岡県工業技術センター研究報告 No.17(2007))等が挙げられるがこれらに限定されるものではなく、所望とする物性を有するチタン炭化物粒子にできれば製造方法は問わない。なお、チタン炭化物粒子は種々のものが市販されており、本発明で規定される上記した好ましい回折角及び結晶子サイズを満足するものも複数市販されている。本発明において、それらの市販品を好ましく用いることができる。
本発明において、遮光材におけるチタン窒化物粒子とチタン炭化物粒子の重量組成比を80/20〜20/80の範囲とすることが重要であるが、この範囲においてチタン窒化物粒子かつチタン炭化物粒子を混合することにより、樹脂組成物を用いて形成した樹脂ブラックマトリクスは無彩色あるいは準無彩色となる。
本発明において、黒色被膜の色度調整のために、OD値が低下しない範囲でチタン窒化物およびチタン炭化物の一部を他の顔料に変えることが可能である。チタン窒化物およびチタン炭化物以外の顔料としては、黒色有機顔料、混色有機顔料、および無機顔料等から用いることができる。黒色有機顔料としては、カーボンブラック、樹脂被覆カーボンブラック、ペリレンブラック、アニリンブラック等が、混色有機顔料としては、赤、青、緑、紫、黄色、マゼンダ、シアン等から選ばれる少なくとも2種類以上の顔料を混合して疑似黒色化されたものが、無機顔料としては、グラファイト、およびチタン、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属微粒子、金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属窒化物、金属炭化物等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。なかでも、カーボンブラックを使用すれば、黒色被膜のOD値の低下を最小限に抑えられるとともに、黒色被膜の抵抗値、色度などを調整することができる。すなわち、チタン窒化物粒子は高抵抗体であるのに対して、カーボンブラックは低抵抗であるため、両者の混合比率により黒色被膜の抵抗値をコントロールできることになる。また、カーボンブラックとして、表面処理されたものを使用すれば、さらに黒色被膜の抵抗値コントロールの幅が広がることになる。カーボンブラックを使用する場合、その含有量は適宜選択することができ、特に限定されないが、通常、全遮光材の重量に対して5〜75重量%程度である。
本発明に用いられる樹脂としては、感光性、非感光性のいずれも使用でき、具体的にはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シロキサンポリマ系樹脂、ポリイミド樹脂などが好ましく用いられる。とくに、アクリル樹脂またはポリイミド樹脂が塗膜の耐熱性、黒色樹脂組成物の貯蔵安定性などの面で優れており、好適に用いられる。
ポリイミド樹脂は非感光性樹脂として使用される場合が多く、前駆体としてのポリアミック酸を加熱開環イミド化することによって形成される。ポリアミック酸は、一般に酸無水酸物基を有する化合物とジアミン化合物を40〜100℃下において付加重合反応せしめて得られ、通常下記一般式(3)で表される構造単位の繰り返し単位であらわされる。該ポリイミド前駆体の構造は、下記一般式(4)で示されるアミック酸構造と、該アミック酸構造が一部イミド閉環してなる下記一般式(5)および全てイミド閉環してなる下記一般式(6)で示されるイミド構造の両構造を有するポリイミド前駆体である。
ここで、上記一般式(3)〜(6)において、R1は炭素数2〜22の3価または4価の有機基、R2は炭素数1〜22の2価の有機基、nは1または2である。
ポリイミド前駆体をイミド化して得られるブラックマトリクス用樹脂としては耐熱性および絶縁性が要求されることから、一般に芳香族系のジアミン及び/または酸二無水物が好ましく用いられる。
芳香族系ジアミンの例としては以下の通りである。パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルサルファイド、4,4’−ジアミノジフェニルサルファイド、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン4,4´−ジアミノジフェニルアミン、3,4´−ジアミノジフェニルアミン、3,3´−ジアミノジフェニルアミン、2,4’−ジアミノジフェニルアミン、4,4´−ジアミノジベンジルアミン、2,2´−ジアミノジベンジルアミン、3,4´−ジアミノジベンジルアミン、3,3´−ジアミノジベンジルアミン、N,N´−ビス−(4−アミノ−3−メチルフェニル)エチレンジアミン、4,4´−ジアミノベンズアニリド、3,4´−ジアミノベンズアニリド、3,3´−ジアミノベンズアニリド、4,3´−ジアミノベンズアニリド、2,4’−ジアミノベンズアニリド、N,N´−p−フェニレンビス−p−アミノベンズアミド、N,N´−p−フェニレンビス−m−アミノベンズアミド、N,N´−m−フェニレンビス−p−アミノベンズアミド、N,N´−m−フェニレンビス−m−アミノベンズアミド、N,N´−ジメチル−N,N´−p−フェニレンビス−p−アミノベンズアミド、N,N´−ジメチル−N,N´−p−フェニレンビス−m−アミノベンズアミド、N,N´−ジフェニル−N,N´−p−フェニレンビス−p−アミノベンズアミド、N,N´−ジフェニル−N,N´−p−フェニレンビス−m−アミノベンズアミド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を併用して使用することができる。さらに好ましくは、ジアミン成分の少なくとも一部がパラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4′−ジアミノベンズアニリドから選ばれた1種または2種以上の混合物であることが好ましい。
一方、芳香族テトラカルボン酸の例としては、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−パラターフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−メタターフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。さらに好ましくは、4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、またはピロメリット酸二無水物が挙げられる。また、フッ素系のテトラカルボン酸二無水物を用いると、短波長領域での透明性が良好なポリイミドに変換しうるポリイミド前駆体組成物を得ることができる。その具体的な例としては、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物などが好ましく挙げられる。これらの芳香族テトラカルボン酸二無水物の1種または2種以上を併用して使用することができる。
さらに、必要に応じて、末端封止剤として、無水マレイン酸や無水フタル酸などの酸無水物を添加しても何ら差し支えない。また、ガラス板、シリコンウエハーなどの無機物との接着性を向上させる目的で、芳香族系化合物以外に、Si系酸無水物および/またはジアミンが好ましく用いられる。特に、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサンに代表されるシロキサンジアミンを用いると、無機基板との接着性を良好にすることができる。シロキサンジアミンは、通常、全ジアミン中の1〜20モル%量用いる。シロキサンジアミンの量が少なすぎれば接着性向上効果が発揮されず、多すぎれば耐熱性が低下したり、フォトリソ加工する際の乾燥塗膜としての基板との密着性が強くなりすぎ、アルカリ現像できずに基板上に残膜するといった問題が生じる。
また、低複屈折性などの光学特性を改良するために酸二無水物および/またはジアミンの一部に脂環式化合物を用いることは本発明を何ら妨げるものではない。脂環式化合物は公知のものでよい。具体例としては、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−エンド−3−エンド−5−エクソ−6−エクソ−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−エクソ−3−エクソ−5−エクソ−6−エクソ−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、デカハイドロ−ジメタノナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ビス[2−(3−アミノプロポキシ)エチル]エーテル、1,4−ブタンジオール−ビス(3−アミノプロピル)エ−テル、3、9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ−5,5−ウンデカン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、トリエチレングリコール−ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ポリエチレングリコール−ビス(3−アミノプロピル)エーテル、3、9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ−5,5−ウンデカン、1,4−ブタンジオール−ビス(3−アミノプロピル)エ−テル等が用いられる。
ポリイミド前駆体の合成は、極性有機溶媒中でテトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させることにより行うのが一般的である。この時、テトラカルボン酸二無水物とジアミンの混合比により得られるポリアミック酸の重合度を調節することができる。溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系極性溶媒が使用されるほか、遮光材である顔料の分散効果を高めるため、ラクトン類が主成分もしくはラクトン類単独からなる溶媒も好ましい。ここでラクトン類を主成分とする溶媒とは、混合溶媒であって該混合溶媒中のラクトン類溶媒の合計量の全溶媒中に占める重量比が最大である溶媒をいう。ラクトン類とは脂肪族環状エステルで炭素数3〜12の化合物をいう。具体的な例として、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトンなどが挙げられるがこれらに限定されない。とくにポリイミド前駆体の溶解性の点で、γ−ブチロラクトンが好ましい。また、ラクトン類以外の溶媒としては上記アミド系極性溶媒の他に例えば3−メチル−3−メトキシブタノ−ル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテ−ト、プロピレングリコ−ル−モノ−メチルエ−テル、プロピレングリコ−ル−モノ−メチルエ−テルアセテ−ト、ジプロピレングリコ−ル−モノ−メチルエ−テル、トリプロピレングリコ−ル−モノ−メチルエ−テル、プロピレングリコ−ル−モノ−3級−ブチルエ−テル、イソブチルアルコ−ル、イソアミルアルコ−ル、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテ−ト、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテ−ト、メチルカルビト−ル、メチルカルビト−ルアセテ−ト、エチルカルビト−ル、エチルカルビト−ルアセテ−ト等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
アクリル樹脂は感光性樹脂として使用される場合が多く、少なくとも、アクリル系ポリマー、光重合性モノマー、光重合開始剤から構成されるものである。これらの量比は、通常、アクリル系ポリマーと光重合性モノマーの重量組成比として10/90〜90/10であり、光重合開始剤の添加量としてポリマーとモノマーの重量和に対して1〜20重量%程度である。
アクリル系ポリマーとしては、カルボキシル基を有するアクリル系ポリマーが好ましく用いられる。カルボキシル基を有するアクリル系ポリマーとしては、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物の共重合体を好ましく用いることができる。不飽和カルボン酸の例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸などがあげられる。
これらは単独で用いても良いが、他の共重合可能なエチレン性不飽和化合物と組み合わせて用いても良い。共重合可能なエチレン性不飽和化合物としては、具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸イソ−ブチル、メタクリル酸イソ−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ペンチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、アミノエチルアクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、1,3−ブタジエン、イソプレンなどの脂肪族共役ジエン、それぞれ末端にアクリロイル基、あるいはメタクリロイル基を有するポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレートなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。とくにメタクリル酸およびまたはアクリル酸とメタクリル酸メチル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレンから選ばれた2〜4元共重合体で平均分子量Mw2千〜10万、酸価70〜150(mgKOH/g)のポリマーがアルカリ現像液に対する溶解性の観点から好ましい。この範囲をはずれると、アルカリ現像液に対する溶解速度が低下または速くなりすぎ好ましくない。
また、側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系ポリマーを用いると、露光、現像の際の感度がよくなるので好ましく用いることができる。エチレン性不飽和基としては、アクリル基、メタクリル基が好ましい。このようなアクリル系ポリマーは、カルボキシル基を有するアクリル系(共)重合体のカルボキシル基に、グリシジル基あるいは脂環式エポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物を付加反応させ得ることができる。
側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系ポリマーの具体例としては、特許第3120476号公報、特開平8−262221号公報に記載されている共重合体、あるいは市販のアクリル系ポリマーである光硬化性樹脂「サイクロマー(登録商標)P」(ダイセル化学工業(株))、アルカリ可溶性カルド樹脂などが挙げられる。とくに、側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系ポリマーで平均分子量(Mw)2千〜10万(テトラヒドロフランをキャリヤーとしてゲルパーミェーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレンによる検量線を用いて換算したもの)、酸価70〜150(mgKOH/g)のポリマーが感光特性、エステル系溶媒に対する溶解性、アルカリ現像液に対する溶解性の各観点から最も好ましい。
モノマーとしては、多官能、単官能のアクリル系モノマーあるいはオリゴマーを用いることができる。多官能モノマーとしては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレートカルバメート、変性ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、アジピン酸1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリル酸エステル、無水フタル酸プロピレンオキサイド(メタ)アクリル酸エステル、トリメリット酸ジエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、ロジン変性エポキシジ(メタ)アクリレート、アルキッド変性(メタ)アクリレート、特許第3621533号公報や特開平8−278630号公報に記載されているようなフルオレンジアクリレート系オリゴマー、あるいはトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]エーテル、4,4′−ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]シクロヘキサン、9,9−ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3−メチル−4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3−クロロ−4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジメタアクリレート、ビスクレゾールフルオレンジアクリレート、ビスクレゾールフルオレンジメタアクリレートなどがあげられる。これらは単独または混合して用いることができる。
これらの多官能モノマーやオリゴマーの選択と組み合わせにより、レジストの感度や加工性の特性をコントロールすることが可能である。とくに感度を上げるためには、官能基が3以上、より好ましくは5以上ある化合物の使用が望ましく、とくにジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。樹脂BMのように光架橋に有効な紫外線を吸収する顔料を使用する場合には、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートに加え、分子中に芳香環を多く含み撥水性が高いフルオレン環を有する(メタ)アクリレートの併用が現像時にパターンを望ましい形状にコントロールできるのでより好ましい。ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよび/またはジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート10〜60重量部とフルオレン環を有する(メタ)アクリレート90〜40重量部の混合物をモノマーとして用いることが好ましい。
光重合開始剤としては、特に限定はなく、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、オキサントン系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、オキシムエステル化合物、カルバゾール系化合物、トリアジン系化合物、リン系化合物あるいはチタネート等の無機系光重合開始剤など公知のものが使用できる。例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン、チバ・スペシャルティ・ケミカル(株)“イルガキュア(登録商標)”369である2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、チバ・スペシャルティ・ケミカル(株)CGI−113である2−[4−メチルベンジル]−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、チバ・スペシャルティ・ケミカル(株)“イルガキュア(登録商標)”OXE01である1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、チバ・スペシャルティ・ケミカル(株)CGI−242であるエタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、4−(p−メトキシフェニル)−2,6−ジ−(トリクロロメチル)−s−トリアジン、旭電化工業(株)製のカルバゾール系化合物である“アデカ(登録商標)オプトマー”N−1818、N−1919などがあげられる。これらの光重合開始剤は2種類以上を併用して用いることもでき、とくにN,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノンとチバ・スペシャルティ・ケミカル(株)“イルガキュア(登録商標)”369またはチバ・スペシャルティ・ケミカル(株)CGI−113および旭電化工業(株)“アデカ(登録商標)オプトマー”N−1818,N−1919またはチバ・スペシャルティ・ケミカル(株)CGI−242のようなカルバゾール系化合物の3種類を併用すると高感度でパターン形状が良好な特性を有する感光性樹脂組成物が得られるので好ましい。
ポリイミド樹脂、アクリル樹脂のいずれの樹脂を用いた場合でも、ガラス板、シリコンウエハーなどの無機物との接着性を向上させる目的で密着性改良剤を加えることができる。密着性改良剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤を使用することができる。密着性改良剤の添加量は、通常、ポリイミド樹脂又はアクリル樹脂の重量を基準として0.2〜20重量%程度である。
また、本発明の黒色組成物において、遮光材の分散安定性を向上させる目的で高分子分散剤を加えることができる。高分子分散剤としては、ポリエチレンイミン系高分子分散剤、ポリウレタン系高分子分散剤、ポリアリルアミン系高分子分散剤等を好適に用いることができる。これらの高分子分散剤は感光性や密着性を低下させない程度に添加することが望ましく、その添加量としては、通常、遮光材に対して1〜40重量%程度である。
本発明の黒色組成物において、遮光材/樹脂成分の重量組成比は、75/25〜40/60の範囲であることが、高抵抗かつ高OD値の黒色被膜を得るために好ましい。また、遮光材/樹脂成分の重量組成比が75/25〜60/40の範囲であることが、密着性、パターン加工性およびOD値のバランスの点でより好ましい。ここで、樹脂成分とは、ポリマー、モノマーあるいはオリゴマーと高分子分散剤の合計とする。樹脂成分の量が少なすぎると、黒色被膜の基板との密着性が不良となり、逆に遮光材の量が少なすぎると厚み当たりの光学濃度(OD値/μm)が低くなり問題となる。
本発明の黒色樹脂組成物に用いられる溶媒としては特に限定はなく、分散する顔料の分散安定性および添加する樹脂等の溶解性に併せて、水および有機溶剤を用いることができる。有機溶剤としては、特に限定されるものではなく、エステル類、あるいは、脂肪族アルコール類、あるいは、(ポリ)アルキレングリコールエーテル系溶剤、ケトン類、アミド系極性溶媒、ラクトン系極性溶媒等を用いることができ、これらの単独、あるいは2種類以上の混合溶媒も好ましく用いることができる。またこれら以外の溶剤との混合も好ましく用いられる。
前述の通りに、本発明における樹脂としては特にポリイミド系、あるいはアクリル系樹脂の使用が好ましく、従って、溶剤としてはこれら樹脂を溶解する溶剤を用いることが好ましい。具体的には、特に樹脂がポリイミド系である場合には、その前駆体であるポリアミック酸を溶解する溶剤、すなわち、N―メチル―2―ピロリドン(沸点202℃)、N,N―ジメチルアセトアミド(沸点165℃)、N,N―ジメチルホルムアミド(沸点153℃)などのアミド系極性溶媒、β―プロピオラクトン(沸点155℃)、γ―ブチロラクトン(沸点204℃)、γ―バレロラクトン(沸点207℃)、δ―バレロラクトン(沸点58℃)、γ―カプロラクトン(沸点100℃)、ε―カプロラクトン(沸点96℃)などのラクトン類などを好ましく使用できる。
具体的なエステル類としては、ベンジルアセテート(沸点214℃)、エチルベンゾエート(沸点213℃)、メチルベンゾエート(沸点200℃)、マロン酸ジエチル(沸点199℃)、2−エチルヘキシルアセテート(沸点199℃)、2−ブトキシエチルアセテート(沸点192℃)、3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート(沸点188℃)、シュウ酸ジエチル(沸点185℃)、アセト酢酸エチル(沸点181℃)、シクロヘキシルアセテート(沸点174℃)、3−メトキシ−ブチルアセテート(沸点173℃)、アセト酢酸メチル(沸点172℃)、エチル−3−エトキシプロピオネート(沸点170℃)、2−エチルブチルアセテート(沸点162℃)、イソペンチルプロピオネート(沸点160℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート(沸点160℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点158℃)、酢酸ペンチル(沸点150℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)などが挙げられるがこれらに限定されない。
また、上記以外の溶媒として、エチレングリコールモノメチルエーテル(沸点124℃)、エチレングリコールモノエチルエーテル(沸点135℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(沸点133℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点193℃)、モノエチルエーテル(沸点135℃)、メチルカルビトール(沸点194℃)、エチルカルビトール(202℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点120℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(沸点133℃)、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル(沸点153℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点188℃)などの(ポリ)アルキレングリコールエーテル系溶剤、上記以外の脂肪族エステル類、例えば、酢酸エチル(沸点77℃)、酢酸ブチル(沸点126℃)、酢酸イソペンチル(沸点142℃)、あるいは、ブタノール(沸点118℃)、3−メチル−2−ブタノール(沸点112℃)、3―メチル―3―メトキシブタノール(沸点174℃)などの脂肪族アルコール類、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、キシレン(沸点144℃)、エチルベンゼン(沸点136℃)、ソルベントナフサ(石油留分:沸点165〜178℃)などの溶媒を併用することも可能である。
さらに基板の大型化に伴いダイコーティング装置による塗布が主流になってきているので、適度の揮発性、乾燥性を実現するためにも、2成分以上の混合溶媒から構成するのが好ましい。該混合溶媒を構成する全ての溶媒の沸点が150℃以下の場合、膜厚の均一性が得られない、塗布終了部の膜厚が厚くなる、塗液をスリットから吐出する口金部に顔料の凝集物が生じ、塗膜にスジが発生するという多くの問題を生じる。一方、該混合溶媒の沸点が200℃以上の溶媒を多く含む場合、塗膜表面が粘着性となり、スティッキングを生じる。したがって沸点が150℃以上200℃の溶媒を30〜75質量%含有する混合溶媒が望ましい。
また、本発明の黒色樹脂組成物には、塗布性、着色被膜の平滑性やベナードセルを防止する目的で、界面活性剤を添加することもできる。界面活性剤の添加量は通常、顔料の0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%である。添加量が少なすぎると塗布性、着色被膜の平滑性やベナードセルを防止効果がなく、多すぎると逆に塗膜物性が不良となる場合がある。界面活性剤の具体例としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどの陰イオン界面活性剤、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの陽イオン界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタインなどの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ソルビタンモノステアレートなどの非イオン界面活性剤、ポリジメチルシロキサンなどを主骨格とするシリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。本発明では、これらに限定されずに、界面活性剤を1種または2種以上用いることができる。
本発明の黒色樹脂組成物において樹脂成分(モノマーやオリゴマー、光重合開始剤等の添加剤も含む)と遮光材をあわせた固形分濃度としては、塗工性・乾燥性の観点から2%以上30%以下が好ましく、更には5%以上20%以下であることが好ましい。従って、本発明の黒色組成物は、好ましくは、溶媒と、樹脂成分と遮光材とから本質的に成り、樹脂成分と遮光材との合計量が好ましくは2%以上30%以下、さらに好ましくは5%以上20%以下であり、残部が溶媒である。上記のとおり、界面活性剤をさらに上記した濃度で含有していてもよい。
本発明での黒色樹脂組成物では、分散機を用いて樹脂溶液中に直接顔料を分散させる方法や、分散機を用いて水または有機溶媒中に顔料を分散して顔料分散液を作製し、その後樹脂溶液と混合する方法などにより製造される。顔料の分散方法には特に限定はなく、ボールミル、サンドグラインダー、3本ロールミル、高速度衝撃ミルなど、種々の方法をとりうるが、分散効率と微分散化からビーズミルが好ましい。ビーズミルとしては、コボールミル、バスケットミル、ピンミル、ダイノーミルなどを用いることができる。ビーズミルのビーズとしては、チタニアビーズ、ジルコニアビーズ、ジルコンビーズなどを用いるのが好ましい。分散に用いるビーズ径としては0.01mm以上5.0mm以下が好ましく、更に好ましくは0.03mm以上1.0mm以下である。顔料の一次粒子径及び一次粒子が凝集して形成された二次粒子の粒子径が小さい場合には、0.03mm以上0.10mm以下といった微小な分散ビーズを用いる事が好ましい。この場合、微小な分散ビーズと分散液とを分離することが可能な遠心分離方式によるセパレーターを有するビーズミルを用いて分散することが好ましい。一方、サブミクロン程度の粗大な粒子を含む顔料を分散させる際には、0.10mm以上の分散ビーズを用いる事により十分な粉砕力が得られ顔料を微細に分散できるため好ましい。
本発明の樹脂ブラックマトリクスの製法例を以下に示す。
黒色樹脂組成物を基板上に塗布する方法としては、ディップ法、ロールコータ法、スピナー法、ダイコーティング法、ワイヤーバーによる方法で基板に塗布する方法、基板を溶液中に浸漬する方法、溶液を基板に噴霧するなど種々の方法を用いることができる。基板としては特に限定されるものでなく、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラスなどの無機ガラス類、有機プラスチックのフィルムまたはシートなどが好ましく用いられる。なお、基板上に塗布する場合、シランカップリング剤、アルミニウムキレート剤、チタニウムキレート剤などの接着助剤で基板表面を処理しておくと、ブラックマトリクス被膜と基板との接着力を向上させることができる。
黒色樹脂脂組成物を前記のような方法で透明基板に塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより加熱乾燥および硬化を行い、乾燥被膜を形成する。被膜を形成する際の乾燥ムラや搬送ムラを抑制するため、塗液を塗布した基板を加熱装置を備えた減圧乾燥機で減圧乾燥した後、加熱硬化することが好ましい。
こうして得られた塗布膜は、通常、フォトリソグラフィーなどの方法を用いてパターン加工される。すなわち、樹脂が非感光性の樹脂である場合には、その上にフォトレジストの被膜を形成した後に、また、樹脂が感光性の樹脂である場合は、そのままかあるいは酸素遮断膜を形成した後に露光現像を行い所望のパターンにする。その後、必要に応じて、フォトレジストまたは酸素遮断膜を除去した後、加熱し硬化させることで樹脂ブラックマトリクスが得られる。熱硬化条件は、樹脂により異なるが、ポリイミド前駆体からポリイミド系樹脂を得る場合には、通常、200〜350℃で1〜60分加熱するのが一般的である。
本発明の黒色樹脂組成物から得られた樹脂ブラックマトリクスの膜厚としては、ブラックマトリクスとして使用可能な範囲であれば特に限定されない。
本発明の黒色樹脂組成物から得られた樹脂ブラックマトリクスの光学濃度(optical density、OD値)としては、波長380〜700nmの可視光域において膜厚1.0μmあたり4.0以上であることが好ましく、より好ましくは4.5以上、更には5.0以上であることが好ましい。なお、OD値は顕微分光器(大塚電子製MCPD2000)を用いて測定を行い、下記の関係式(7)より求めることができる。
OD値 = log10 (I0 /I) (7)
ここで、I0;入射光強度、I;透過光強度となる。
本発明の黒色樹脂組成物から得られた樹脂ブラックマトリクスの体積抵抗値ρ(Ω・cm)としては、106(Ω・cm)以上が好ましく、更には108(Ω・cm)以上であることが好ましい。体積抵抗値はガードリング付きの3端子法により測定を行い、下記の関係式(8)により求めることができる。
体積抵抗値ρ(Ω・cm) = (V/I)×(s/d) (8)
ここで、V;印可した電圧(V)、I;流れた電流(A)、s;電極面積(cm2)、d;塗膜厚(μm)となる。
本発明の黒色樹脂組成物から得られた樹脂ブラックマトリクスと基板との密着強度としては、基板との接触面積が5mm2のときの密着強度は6.0MPa以上であることが好ましく、更には8.0MPa以上であることが好ましい。基板との密着強度が6.0MPaよりも小さいと、樹脂ブラックマトリクスがガラスから剥がれるという問題が生じる。
本発明においては、前述の樹脂ブラックマトリクスを使用して液晶表示用カラーフィルターを製造することができる。すなわち、本発明は、上記本発明の樹脂ブラックマトリクスを具備することを特徴とするカラーフィルターをも提供する。該カラーフィルターは、透明基板と、該透明基板の一部領域上に形成された樹脂ブラックマトリクスと、前記透明基板上の、前記樹脂ブラックマトリックスが形成されていない領域に形成された画素を少なくとも具備するカラーフィルターであって、前記樹脂ブラックマトリックスが、上記本発明の樹脂ブラックマトリックスであるものである。
本発明の樹脂ブラックマトリクスを液晶表示用カラーフィルターに用いる場合、通常の製造工程としては、例えば特公平2−1311号公報に示されているように、まず透明基板上にブラックマトリクス、次いで赤(R)、緑(G)、青(B)の色選択性を有する画素を形成させ、この上に必要に応じてオーバーコート膜形成させるものである。なお、画素の具体的な材質としては、任意の光のみを透過するように膜厚制御された無機膜や、染色、染料分散あるいは顔料分散された着色樹脂膜などがある。また、画素の形成順は必要に応じて任意に変更可能である。さらに、必要に応じて、3原色の着色層を形成後または、3原色の着色層の上にオーバーコート膜を形成後に透明導電膜を形成することができる。透明導電膜としてはITOなどの酸化物薄膜が採用され、通常0.1μm程度のITO膜がスパッタリング法や真空蒸着法などで作成される。
本発明のカラーフィルターの画素に用いられる顔料には特に制限はないが、耐光性、耐熱性、耐薬品性に優れた物が望ましい。代表的な顔料の具体的な例をカラーインデックス(CI)ナンバーで示すと、次のようなものが好ましく使用されるが、いずれもこれらに限定されるものではない。
赤色顔料の例としては、ピグメントレッド(以下PRと略す)9、PR48、PR97、PR122、PR123、PR144、PR149、PR166、PR168、PR177、PR179、PR180、PR190、PR192、PR209、PR215、PR216、PR217、PR220、PR223、PR224、PR226、PR227、PR228、PR240、PR254などが使用される。
オレンジ色顔料の例としては、ピグメントオレンジ(以下POと略す)13、PO31、PO36、PO38、PO40、PO42、PO43、PO51、PO55、PO59、PO61、PO64、PO65、PO71などが使用される。
黄色顔料の例としては、ピグメントイエロー(以下PYと略す)PY12、PY13、PY14、PY17、PY20、PY24、PY83、PY86、PY93、PY94、PY95、PY109、PY110、PY117、PY125、PY129、PY137、PY138、PY139、PY147、PY148、PY150、PY153、PY154、PY166、PY168、PY173、PY180、PY185などが使用される。
また、紫色顔料の例としては、ピグメントバイオレット(以下PVと略す)19、PV23、PV29、PV30、PV32、PV36、PV37、PV38、PV40、PV50などが使用される。
また、青色顔料の例としては、ピグメントブルー(以下PBと略す)15、PB15:3、PB15:4、PB15:6、PB22、PB60、PB64などが使用される。
また、緑色顔料の例としては、ピグメントグリーン(以下PGと略す)7、PG10、PG36、などが使用される。
これらの顔料は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性処理などの表面処理がされていてもかまわず、分散剤として顔料誘導体を添加することもできる。
本発明のカラーフィルターの画素に用いられるマトリクス樹脂には特に制限は無いが、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミドなどを使用することができる。製造プロセスの簡便さや、耐熱性、耐光性などの面から画素としては顔料分散された樹脂膜を用いることが好ましい。パターン形成の容易さの点からは顔料分散された感光性のアクリル樹脂を用いることが好ましい。しかし、耐熱性、耐薬品性の面からは、顔料分散されたポリイミド膜を用いることが好ましい。
本発明の液晶表示装置用基板カラーフィルターでは、画素間にブラックマトリクスが配置される。また、画素の額縁部にもブラックマトリクスが配置される。ブラックマトリクスの配置により、液晶表示装置のコントラストを向上させることができることに加え、光による液晶表示装置の駆動素子の誤作動を防止することができる。
本発明の液晶表示装置用カラーフィルター上に固定されたスペーサーを形成してもよい。固定されたスペーサーとは、特開平4−318816号公報に示されるように液晶表示装置用基板の特定の場所に固定され、液晶表示装置を作製した際に対向基板と接するものである。これにより対向基板との間に、一定のギャップが保持され、このギャップ間に液晶が注入される。固定されたスペーサーを配することにより、液晶表示装置の製造工程において球状スペーサーを散布する行程や、シール剤内にロッド状のスペーサーを混練りする工程を省略することができる。
固定されたスペーサーの形成は、フォトリソグラフィーや印刷、電着などの方法でよって行われる。スペーサーを容易に設計通りの位置に形成できるので、フォトリソグラフィーによって形成することが好ましい。また、該スペーサーはR、G、B画素の作製と同時に積層構造で形成してもR、G、B画素作製後に形成しても良い。
本発明においては、上述のとおり樹脂ブラックマトリクスを薄膜に形成する事が可能なため、ブラックマトリクス上に乗り上げた色画素高さが低くなり、オーバーコート膜を形成しなくても平坦性の高いカラーフィルターを作製することが可能となる。しかし、より高い平坦性が求められる場合や、色画素に加工された穴や段差を平坦化する場合、また色画素に含有される成分の液晶層への溶出を防ぐ目的としてはオーバーコート膜を形成することが好ましい。オーバーコート膜の材質としては、エポキシ膜、アクリルエポキシ膜、アクリル膜、シロキサンポリマ系の膜、ポリイミド膜、ケイ素含有ポリイミド膜、ポリイミドシロキサン膜等が挙げられる。オーバーコート膜の形成は樹脂ブラックマトリクス形成後、あるいは画素形成後、あるいは固定されたスペーサー配置後のいずれであっても良い。加熱硬化後の該オーバーコートの厚みは、凹凸のある基板上に塗布された場合、オーバーコート剤のレベリング性により、凹部(周囲より低い部分)では厚く、凸部(周囲より高い部分)では薄くなる傾向がある。本発明においてのオーバーコートの厚みには、特に制限がないが、0.01〜5μm、好ましくは0.03〜4μm、さらに好ましくは0.04〜3μmである。
本発明はさらに、上記本発明のカラーフィルターを具備することを特徴とする液晶表示装置をも提供する。本発明の液晶表示装置は、上記本発明のカラーフィルターと、該カラーフィルターに対向して配置される電極基板と、該カラーフィルター及び該電極基板上にそれぞれ設けられた液晶配向膜と、これらの液晶配向膜間に空間を確保するスペーサーと、該空間内に充填された液晶とを具備する。
このカラーフィルターを用いて作成した上記液晶表示装置の一例について述べる。上記カラーフィルターと電極基板とを、さらにそれらの基板上に設けられた液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜、およびセルギャップ保持のためのスペーサーを介して、対向させて貼りあわせる。なお、電極基板上には、薄膜トランジスタ(TFT)素子や薄膜ダイオード(TFD)素子、および走査線、信号線などを設け、TFT液晶表示装置やTFD液晶表示装置を作成することができる。次に、シール部に設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封止する。次に、ICドライバー等を実装することにより液晶表示装置が完成する。
以下、実施例および比較例を用いて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<評価方法>
「X線回折」
X線回折は粉末試料をアルミ製標準試料ホルダーに詰め、広角X線回折法(理学電機社製 RU−200R)により測定した。測定条件としては、X線源はCuKα線とし、出力は50kV/200mA、スリット系は1°−1°−0.15mm−0.45mm、測定ステップ(2θ)は0.02°、スキャン速度は2°/分とした。
回折角2θ=46°付近に観察される(200)面に由来するピークの回折角を測定した。更に、この(200)面に由来するピークの半値幅より、前述の式(1)、(2)のシェラーの式を用いて、粒子を構成する結晶子サイズを求めた。
「比表面積」
顔料の比表面積は、日本ベル(株)製高精度全自動ガス吸着装置(“BELSORP”36)を用い、100℃で真空脱気後、N2ガスの液体窒素温度(77K)における吸着等温線を測定し、この等温線をBET法で解析し比表面積を求めた。
「組成分析」
チタン原子の含有量はICP発光分光分析法(セイコーインスツルメンツ社製 ICP発光分光分析装置SPS3000)により測定した。
酸素原子及び窒素原子の含有量は(堀場製作所製 酸素・窒素分析装置 EMGA−620W/C)用いて測定し、不活性ガス融解−赤外線吸収法により酸素原子を、不活性ガス融解−熱伝導度法により窒素原子を求めた。
[OD値]
無アルカリガラス上に膜厚1.0μmの樹脂ブラックマトリクスを形成させ、顕微分光器(大塚電子製MCPD2000)を用いて上述の式(7)より求めた。
[透過光の色度]
無アルカリガラス上にOD値が2.5となるよう樹脂ブラックマトリクスを形成させ、顕微分光器(大塚電子製MCPD2000)を用いて測定した。
[反射光の色度]
無アルカリガラス上に膜厚1.0μmの樹脂ブラックマトリクスを形成させ、顕微分光器(大塚電子製MCPD2000)を用いて測定した。この際、リファレンスガラスとしてBk7を用いて測定を行い、絶対反射率を求めた。
「抵抗値」
体積抵抗値ρ(Ω・cm)は、絶縁抵抗計(ケースレーインスツルメンツ((株))製、6517A)を用いて測定した。アルミニウム基板上に形成した膜厚1.0μm或いは0.8μmの樹脂ブラックマトリクスをテストフィクスチェア(ケースレーインスツルメンツ(株)製、8090)にセットし、数V程度の交番電圧をかけて塗膜を流れるリーク電流の測定を行い、体積抵抗を求めた。
「体積比」
仕込み重量比から、比重を以下の値として算出した。
カーボンブラック比重:1.7(g/cm3)
酸窒化チタン比重:4.3(g/cm3)
窒化チタン粒子比重:5.2(g/cm3)
チタン炭化物粒子比重:4.9(g/cm3)
ポリイミドポリマー比重:1.4(g/cm3)
アクリルポリマー比重:1.2(g/cm3)。
ポリアミック酸の合成
4,4′−ジアミノフェニルエーテル(0.30モル当量)、パラフェニレンジアミン(0.65モル当量)、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(0.05モル当量)をγ−ブチロラクトン850g、N−メチル−2−ピロリドン850gと共に仕込み、3,3′,4,4′−オキシジフタルカルボン酸二無水物(0.9975モル当量)を添加し、80℃で3時間反応させた。無水マレイン酸(0.02モル当量)を添加し、更に80℃で1時間反応させ、ポリアミック酸A−1(ポリマー濃度20重量%)溶液を得た。
4,4′−ジアミノフェニルエーテル(0.95モル当量)、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(0.05モル当量)をγ−ブチロラクトン1700g(100%)と共に仕込み、ピロメリット酸二無水物(0.49モル当量)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(0.50モル当量)を添加し、80℃で3時間反応させた。無水マレイン酸(0.02モル当量)を添加し、更に80℃で1時間反応させ、ポリアミック酸A−2(ポリマー濃度20重量%)溶液を得た。
アクリルポリマーの合成
特許第3120476号公報の実施例1に記載の方法により、メチルメタクリレート/メタクリル酸/スチレン共重合体(重量組成比30/40/30)を合成後、グリシジルメタクリレート40重量部を付加させ、精製水で再沈、濾過、乾燥することにより、平均分子量(Mw)40,000、酸価110(mgKOH/g)の特性を有するアクリルポリマー(P−1)粉末を得た。
密着改良剤の合成
1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン24.8g(0.1モル)とグリシジルメタクリレート56.9g(0.4モル)と重合禁止剤ハイドロキノンモノメチルエーテル0.08gをフラスコに仕込み、撹拌しながら55℃で4時間反応させた後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート81.7gを添加、濃度50質量%に希釈し、さらに55℃で2時間反応させ、密着性改良剤の溶液(AP−1)を得た。
顔料分散液の作成
熱プラズマ法により製造したチタン窒化物粒子(試料1、日清エンジニアリング(株)製、TiN UFP Lot13307412)の(200)面に由来するピークの回折角2θは42.65°、このピークの半値幅より求めた結晶子サイズは17.0nm、BET比表面積は105.8m2/gであった。また組成分析を行ったところ、チタン含有量は69.9重量%、窒素含有量は19.1重量%、酸素含有量は9.94重量%であった。また、TiO2に起因するX線回折ピークは全く見られなかった。
この試料1(96g)にポリアミック酸溶液A−1(120g)、γ−ブチロラクトン(114g)、N−メチル−2ピロリドン(538g)、3メチル−3メトキシブチルアセテート(132g)をタンクに仕込み、ホモミキサー(特殊機化製)で1時間撹拌し、予備分散液1を得た。その後、0.05mmφジルコニアビーズ(ニッカトー製、YTZボール)を70%充填した遠心分離セパレーターを具備したウルトラアペックスミル(寿工業製)に予備分散液1を供給し、回転速度8m/sで2時間分散を行い、固形分濃度12重量%、顔料/樹脂(重量比)=80/20の顔料分散液Bk1を得た。
熱プラズマ法により製造したチタン窒化物粒子(試料2、日清エンジニアリング(株)製、TiN UFP Lot13307215)のTiN(200)面に由来するピークの回折角2θは42.62°、このピークの半値幅より求めた結晶子サイズは29.4nm、BET比表面積は36.0m2/gであった。また組成分析を行ったところ、チタン含有量は72.2重量%、窒素含有量は19.4重量%、酸素含有量は6.37重量%であった。また、TiO2に起因するX線回折ピークは全く見られなかった。
使用する顔料として試料1の代わりに試料2を用いた以外は予備分散液1と同様にして、予備分散液2、ならびに顔料分散液Bk2を得た。
市販の窒化チタン試薬(試料3、和光純薬工業(株)製、窒化チタン50nm)の(200)面に由来するピークの回折角2θは42.57°、このピークの半値幅より求めた結晶子サイズは44.6nm、BET比表面積は12.4m2/gであった。また組成分析を行ったところ、チタン含有量は74.3重量%、窒素含有量は20.3重量%、酸素含有量は2.94重量%であった。また、TiO2に起因するX線回折ピークは全く見られなかった。
使用する顔料として試料1の代わりに試料3を用いた以外は予備分散液1と同様にして、予備分散液3を得た。その後、0.40mmφジルコニアビーズ(東レ(株)製、トレセラムビーズ)を85%充填したダイノーミルKDL(シンマルエンタープライゼス製)に予備分散液3を供給し、回転速度11m/sで4時間分散を行い、固形分濃度12重量%、顔料/樹脂(重量比)=80/20の顔料分散液Bk3を得た。
市販の窒化チタン試薬(試料4、和光純薬工業(株)製、窒化チタン平均粒径1.0〜1.5μm)のTiN(200)面に由来するピークの回折角2θは42.51°、このピークの半値幅より求めた結晶子サイズは67.7nm、BET比表面積2.0m2/gであった。また組成分析を行ったところ、チタン含有量は76.2重量%、窒素含有量は20.3重量%、酸素含有量は1.43重量%であった。また、TiO2に起因するX線回折ピークは全く見られなかった。
使用する顔料として試料3の代わりに試料4を用いた以外は予備分散液3と同様にして、予備分散液4、ならびに顔料分散液Bk4を得た。
熱プラズマ法により製造したチタン炭化物粒子(試料5、日清エンジニアリング(株)製、TiCナノ粉末 Lot1330709111)のTiC(200)面に由来するピークの回折角2θは41.67°、このピークの半値幅より求めた結晶子サイズは17.5nm、BET比表面積は100.2m2/gであった。また組成分析を行ったところ、チタン含有量は71.5重量%、炭素含有量は24.4重量%、酸素含有量は1.39重量%であった。また、TiO2に起因するX線回折ピークは全く見られなかった。
使用する顔料として試料1の代わりに試料5を用いた以外は予備分散液1と同様にして、予備分散液5、ならびに顔料分散液Bk5を得た。
熱プラズマ法により製造したチタン炭化物粒子(試料6、Hefei Kai‘er製、TiCナノ粉末 Lot071225231)のTiC(200)面に由来するピークの回折角2θは41.86°、このピークの半値幅より求めた結晶子サイズは23.7nm、BET比表面積は21.8m2/gであった。また組成分析を行ったところ、チタン含有量は75.4重量%、炭素含有量は15.5重量%、酸素含有量は3.38重量%であった。また、TiO2に起因するX線回折ピークは僅かに見られた。
使用する顔料として試料1の代わりに試料6を用いた以外は予備分散液1と同様にして、予備分散液6、ならびに顔料分散液Bk6を得た。
市販の炭化チタン試薬(試料7、和光純薬工業(株)製、炭化チタン平均粒径0.9〜1.5μm)のTiC(200)面に由来するピークの回折角2θは41.74°、このピークの半値幅より求めた結晶子サイズは56.5nm、BET比表面積は3.4m2/gであった。また組成分析を行ったところ、チタン含有量は77.6重量%、窒素含有量は18.3重量%、酸素含有量は1.59重量%であった。また、TiO2に起因するX線回折ピークは全く見られなかった。
使用する顔料として試料3の代わりに試料7を用いた以外は予備分散液3と同様にして予備分散液7、ならびに顔料分散液Bk7を得た。
酸窒化チタン粒子の合成
平均一次粒径が40nmの二酸化チタン粉末(4.0kg)を反応炉に投入した後、アンモニアガスを炉内線速度3cm/secで流し、炉内温度750℃で6時間の反応を行い、酸窒化チタン(3.2kg、試料8)を得た。
酸窒化チタン粒子(試料8)のTiN(200)面に由来するピークの回折角2θは43.01°、このピークの半値幅より求めた結晶子サイズは28.8nm、BET比表面積は20.7m2/gであった。また組成分析を行ったところ、チタン含有量は70.6重量%、窒素含有量は18.8重量%、酸素含有量は8.64重量%であった。また、TiO2に起因するX線回折ピークが25.30°及び27.42°に見られた。
使用する顔料として試料1の代わりに試料8を用いた以外は予備分散液1と同様にして、予備分散液8、ならびに顔料分散液Bk8を得た。
カーボンブラック(試料9、“MA100”三菱化成製、96g)に、ポリアミック酸溶液A−1(120g)、γ−ブチロラクトン(114g)、N−メチル−2ピロリドン(538g)、3メチル−3メトキシブチルアセテート(132g)をタンクに仕込み、ホモミキサー(特殊機化製)で1時間撹拌し、予備分散液9を得た。その後、0.05mmφジルコニアビーズ(ニッカトー製、YTZボール)を70%充填した遠心分離セパレーターを具備したウルトラアペックスミル(寿工業製)に予備分散液9を供給し、回転速度8m/sで2時間分散を行い、固形分濃度12重量%、顔料/樹脂(重量比)=80/20の顔料分散液Bk9を得た。
実施例1
顔料分散液Bk1(364g)と顔料分散液Bk6(364g)を混合した後に、ポリアミック酸A−1(63g)、γ−ブチロラクトン(82g)、N−メチル−2−ピロリドン(87g)、3メチル−3メトキシブチルアセテート(39g)、界面活性剤LC951(楠本化成製、1g)を添加し、全固形分濃度10重量%、顔料/樹脂(重量比)=70/30の黒色樹脂組成物1を得た。
この黒色樹脂組成物1を無アルカリガラス(コーニング製“1737材”)基板上にカーテンフローコーターで塗布し、80℃、10−1Torrで2分真空乾燥した。この後、140℃で20分間セミキュアし、ポジ型フォトレジスト(シプレー社製“SRC−100”)をリバースロールコーターで塗布、ホットプレートで120℃、5分間プリベークし、大日本スクリーン(株)製露光機“XG−5000”を用い、フォトマスクを介して露光し、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いてポジ型レジストの現像およびポリイミド前駆体のエッチングを同時に行なった後、ポジ型レジストをメチルセルソルブアセテートで剥離した。さらに、300℃で30分間キュアした。このようにして、厚さ1.0μmのブラックマトリクス1を作成した。
実施例2
使用する顔料分散液としてBk1の代わりに顔料分散液Bk2を用いた以外は実施例1と同様にして黒色樹脂組成物2を得た。また、黒色樹脂組成物2を用いて実施例1と同様にブラックマトリクス2を作成した。
実施例3
使用する顔料分散液としてBk1の代わりに顔料分散液Bk3を用いた以外は実施例1と同様にして黒色樹脂組成物3を得た。また、黒色樹脂組成物3を用いて実施例1と同様にブラックマトリクス3を作成した。
実施例4
使用する顔料分散液としてBk1の代わりに顔料分散液Bk4を用いた以外は実施例1と同様にして黒色樹脂組成物4を得た。また、黒色樹脂組成物4を用いて実施例1と同様にブラックマトリクス4を作成した。
実施例5
使用する顔料分散液としてBk1の代わり顔料分散液Bk8を用いた以外は実施例1と同様にして黒色樹脂組成物5を得た。また、黒色樹脂組成物5を用いて実施例1と同様にブラックマトリクス5を作成した。
実施例6
使用する顔料分散液としてBk6の代わり顔料分散液Bk5を用いた以外は実施例2と同様にして黒色樹脂組成物6を得た。また、黒色樹脂組成物6を用いて実施例2と同様にブラックマトリクス6を作成した。
実施例7
使用する顔料分散液としてBk6の代わり顔料分散液Bk7を用いた以外は実施例2と同様にして黒色樹脂組成物7を得た。また、黒色樹脂組成物7を用いて実施例2と同様にブラックマトリクス7を作成した。
実施例8
試料2(100g)、試料6(100g)、アクリルポリマー(P−1)の3―メチル―3―メトキシブタノール45重量%溶液(100g)、およびプロピレングリコールターシャリーブチルエーテル(700g)をタンクに仕込み、ホモミキサー(特殊機化製)で1時間撹拌し、予備分散液10を得た。その後、0.05mmφジルコニアビーズ(ニッカトー製、YTZボール)を70%充填した遠心分離セパレーターを具備したウルトラアペックスミル(寿工業製)に予備分散液10を供給し、回転速度8m/sで2時間分散を行い、固形分濃度24.5重量%、顔料/樹脂(重量比)=82/18の顔料分散液Bk10を得た。
この顔料分散液Bk10(569.9g)にビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレートのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50重量%溶液(18.7g)、多官能モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製DHPA)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50重量%溶液(18.7g)、光重合開始剤として“イルガキュア”369(12.9g)、旭電化工業(株)“アデカ(登録商標)オプトマー”N−1919 (3.5g)およびN,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(1.3g)、密着性改良剤としてAP−1(50重量%溶液)7.2g、シリコーン系界面活性剤のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10重量%溶液(3.6g)を3―メチル―3−メトキシ−ブチルアセテート(341.5g)およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(22.7g)に溶解した溶液を添加し、全固形分濃度18重量%、顔料/樹脂(重量比)=72/28の黒色樹脂組成物8を得た。
この黒色樹脂組成物8を無アルカリガラス(コーニング製“1737材”)基板上にカーテンフローコーターで塗布し、80℃、10−1Torrで2分真空乾燥した。この後、90℃で2分間プリベイクし、大日本スクリーン(株)製露光機“XG−5000”を用い、フォトマスクを介して露光(200mJ/cm2)し、0.04質量%KOH水溶液を用いて現像し、続いて純水洗浄することにより、パターンニング基板を得た。さらに、230℃で30分間キュアした。このようにして、厚み0.8μmのブラックマトリクス8を作成した。
実施例9
使用する顔料分散液として顔料分散液Bk2を546g、顔料分散液Bk6を182gとした以外は実施例2と同様にして黒色樹脂組成物9を得た。また、黒色樹脂組成物9を用いて実施例2と同様にブラックマトリクス9を作成した。
実施例10
使用する顔料分散液として顔料分散液Bk2を182g、顔料分散液Bk6を546gとした以外は実施例2と同様にして黒色樹脂組成物10を得た。また、黒色樹脂組成物10を用いて実施例2と同様にブラックマトリクス10を作成した。
比較例1
使用する顔料分散液として顔料分散液Bk2(728g)のみを使用した以外は実施例2と同様にして黒色樹脂組成物11を得た。また、黒色樹脂組成物11を用いて実施例2と同様にブラックマトリクス11を作成した。
比較例2
使用する顔料分散液として顔料分散液Bk6(728g)のみを使用した以外は実施例2と同様にして黒色樹脂組成物12を得た。また、黒色樹脂組成物12を用いて実施例2と同様にブラックマトリクス12を作成した。
比較例3
使用する顔料分散液として顔料分散液Bk2を655g、顔料分散液Bk6を73gとした以外は実施例2と同様にして黒色樹脂組成物13を得た。また、黒色樹脂組成物13を用いて実施例2と同様にブラックマトリクス13を作成した。
比較例4
使用する顔料分散液として顔料分散液Bk2を73g、顔料分散液Bk6を655gとした以外は実施例2と同様にして黒色樹脂組成物14を得た。また、黒色樹脂組成物14を用いて実施例2と同様にブラックマトリクス14を作成した。
比較例5
顔料分散液Bk8(276g)にカーボンブラック分散液Bk9(276g)を混合、撹拌した後、ポリアミック酸A−1(169g)、γ−ブチロラクトン(68g)、N−メチル−2−ピロリドン(148g)、3メチル−3メトキシブチルアセテート(62g)、界面活性剤LC951(楠本化成製、1g)を添加し、全固形分濃度10重量%、顔料/樹脂(重量比)=53/47の黒色樹脂組成物15を得た。また、黒色樹脂組成物15を用いて実施例2と同様にブラックマトリクス15を作成した。
比較例6
顔料分散液Bk2(281)gにカーボンブラック分散液Bk9(281g)を混合、撹拌した後、ポリアミック酸A−1(163g)、γ−ブチロラクトン(69g)、N−メチル−2−ピロリドン(145g)、3メチル−3メトキシブチルアセテート(61g)、界面活性剤LC951(楠本化成製、1g)を添加し、全固形分濃度10重量%、顔料/樹脂(重量比)=54/46の黒色樹脂組成物16を得た。また、黒色樹脂組成物16を用いて実施例2と同様にブラックマトリクス16を作成した。
比較例7
使用する顔料分散液として顔料分散液Bk6を281g、カーボンブラック分散液Bk9を281gとした以外は比較例6と同様にして黒色樹脂組成物17を得た。また、黒色樹脂組成物17を用いて実施例2と同様にブラックマトリクス17を作成した。
実施例1〜10及び比較例1〜7で使用したチタン窒化物粒子或いはチタン炭化物粒子の物性について表1に、黒色樹脂組成物の組成及び黒色樹脂組成物を用いて作成した樹脂ブラックマトリクスの評価結果を表2に示す。
実施例に示すチタン窒化物粒子かつチタン炭化物粒子を用いて作成した樹脂ブラックマトリクスはいずれも無彩色あるいは準無彩色であり、かつOD値ならびに体積抵抗値が高いことがわかる。
実施例11
着色樹脂組成物の作製
緑顔料(Pigment Green 36);44g、黄顔料(Pigment Yellow 138);19g、ポリアミック酸A−2;47g、γ−ブチロラクトン;890gをタンクに仕込み、ホモミキサー(特殊機化製)で1時間撹拌し、G顔料予備分散液G1を得た。その後、0.40mmφジルコニアビーズ(東レ(株)製、トレセラムビーズ)を85%充填したダイノーミルKDL(シンマルエンタープライゼス製)に予備分散液G1を供給し、回転速度11m/sで3時間分散を行い、固形分濃度7重量%、顔料/ポリマー(重量比)=90/10のG分散液G1を得た。G分散液G1をポリアミック酸A−2及び溶媒で希釈し、緑色樹脂組成物を得た。
同様に緑顔料および黄顔料の代わりに赤顔料(Pigment Red 254);63gを仕込み、固形分濃度7重量%、顔料/ポリマー(重量比)=90/10のR顔料分散液R1を得た。更に、ポリアミック酸A−2及び溶媒で希釈し、赤色樹脂組成物を得た。
同様に緑顔料および黄顔料の代わりに青顔料(Pigment Red 15:6);63gを仕込み、固形分濃度7重量%、顔料/ポリマー(重量比)=90/10のB顔料分散液B1を得た。更に、ポリアミック酸A−2及び溶媒で希釈し、青色樹脂組成物を得た。
実施例8で加工した樹脂ブラックマトリクス8上に赤色ペーストを乾燥後膜厚が2.0μmとなるように塗布し、プリベークを行い、ポリイミド前駆体赤色着色膜を形成した。ポジ型フォトレジストを用い、前記と同様な手段により、赤色画素を形成し、290℃に加熱して熱硬化を行った。同様に緑色ペーストを塗布し、緑画素を形成し、290℃に加熱して熱硬化を行った。引き続き、青色ペーストを塗布し、青画素を形成し、290℃に加熱して熱硬化を行った。
このようにして得られたカラーフィルターについて、額縁の樹脂ブラックマトリクスのOD値は4.40と高く、カラーフィルターの表面画素段差も最大0.15μm以下と平坦性に優れているカラーフィルター1が得られた。
液晶表示装置の作製
得られたカラーフィルター1を中性洗剤で洗浄した後、ポリイミド樹脂からなる配向膜を印刷法により塗布し、ホットプレートで250℃の温度で10分間加熱した。膜厚は0.07μmであった。この後、カラーフィルター基板をラビング処理し、シール剤をディスペンス法により塗布、ホットプレートで90℃、10分間加熱した。一方、ガラス上にTFTアレイを形成した基板も同様に洗浄した後、配向膜を塗布し、加熱した。その後、直径5.5μmの球状スペーサーを散布し、シール剤を塗布したカラーフィルター基板と重ね合わせ、オーブン中で加圧しながら160℃の温度で90分間加熱して、シール剤を硬化させた。このセルを120℃の温度、13.3Paの圧力下で4時間放置し、続いて、窒素中で0.5時間放置した後に、再度真空下において液晶注入を行った。液晶注入は、セルをチャンバーに入れて、室温で13.3Paの圧力まで減圧した後、液晶注入口を液晶に漬けて、窒素を用いて常圧に戻すことにより行った。液晶注入後、紫外線硬化樹脂により、液晶注入口を封口した。次に、偏光板をセルの2枚のガラス基板の外側に貼り付け、セルを完成させた。さらに、得られたセルをモジュール化して、液晶表示装置1を完成させた。得られた液晶表示装置を観察した結果、樹脂ブラックマトリクスがニュートラルブラックであるため、黒表示が黒らしくなり表示品位が高く、更に樹脂ブラックマトリクスの遮光性が高いため、コントラストが良好であった。