JP5078618B2 - 燃料電池カソード用合金触媒 - Google Patents
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Description
この燃料電池は、使用される電解質などの違いにより数種類に分類され、溶融炭酸塩型(MCFC)、リン酸型(PAFC)、固体酸化物型(SOFC)、固体高分子型(PEFC)等がある。これらの中で、PEFCは他の方式に比べて低温での駆動が可能で、かつ小型、軽量、簡便性などの利点を有するので、自動車用や家庭用定置型コジェネレーションシステム、及び、携帯電話やノートPCなどの電子端末機器用小型電源等への実用化に向けた検討が試されている。
PEFCで用いる燃料源には色々なものがあり、水素やアルコールなどが燃料源として挙げられる。比較的安価で取り扱いの容易なメタノールを燃料に用いる直接メタノール型PEFCはDMFCと呼ばれ、小型化や軽量化が容易であり、携帯電話やノートPC等の携帯機器用電源として注目されている。
これらのPEFCのカソード(空気極)では、以下のような酸素還元反応(ORR)がおきている。
カソード(空気極):O2 + 4H+ + 4e− → 2H2O
この反応に使用される触媒として実用化されているのは、白金(Pt)をカーボン粒子に担持させたものである。しかし、白金はコストが高く、埋蔵資源量が少ないので、例えば燃料電池車を世界規模で普及させるだけの白金量が地球上に存在しないという致命的な問題がある。
しかし、本発明者等のその後の検討により、従来報告されているPd−Co系合金は、初期性能は高いものの、経時的な性能低下が生じるため、耐久性の面で改善が必要であることが判明した。
1.固体高分子型燃料電池における酸素還元反応のための合金触媒であって、Pd,Co,Auからなり、かつ、Pdが20原子%≦Pd<70原子%、Coが30原子%≦Co<70原子%、Auが0原子%<Au≦30原子%からなる上記合金触媒に、更にTi、Fe、及びNiからなる群から選択される1種以上を合金中のモル比率が25%以下となるよう添加してなる合金触媒。
2.炭素を含有する担体上に、上記1に記載の合金触媒を担持して成る固体高分子型燃料電池用カソード触媒。
3.プロトン電解質膜、アノード触媒層および上記2に記載のカソード触媒を含有するカソード触媒層を含んで成る固体高分子型燃料電池用の膜/電極接合体。
4.上記3に記載の膜/電極接合体を含んで成る固体高分子型燃料電池。
5.Pd溶液に炭素粉末を分散させた後、還元剤を滴下して得られる、炭素粉末上にPdを担持しているPd担持体を製造する工程(1)と、次いで、該Pd担持体を、Co溶液に分散させた後、溶媒を除去して得られたPdCo担持体、或いは、該Pd担持体を、Co溶液に分散させた後、更に還元剤又はpH調整剤を滴下し、それから濾過をして得られたPdCo担持体を、水素ガス又は水素ガス含有不活性ガス雰囲気下で第一回目の焼成を行い、引き続き、不活性ガス雰囲気下で第二回目の焼成を行って、PdCo合金を炭素粉末上に担持しているPdCo合金担持体を製造する工程(2)と、次いで、該PdCo合金担持体を、Au溶液に分散させた後、溶媒を除去して得られたPdCoAu担持体、或いは、該PdCo合金担持体を、Au溶液に分散させた後、更に還元剤を滴下し、それから濾過をして得られたPdCoAu担持体を、不活性ガス雰囲気下で第三回目の焼成を行って、PdCoAu合金を炭素粉末上に担持しているPdCoAu合金担持体を製造する工程(3)を含んで成る、上記2に記載の固体高分子型燃料電池用カソード触媒の製造方法。
6.ミセル内部に少なくともPd水溶液、Co水溶液、Au水溶液を含む有機溶媒中の逆ミセル溶液(A)と、ミセル内部に少なくとも逆ミセル溶液(A)中の全金属イオンに対して10当量〜150当量の還元剤を含有する有機溶媒中の逆ミセル溶液(B)とを逆ミセル溶液(A)及び(B)の混合後の逆ミセル内部のpHが、9〜13の状態となるように、該有機溶媒を含んだまま混合撹拌して、Pd、Au金属単体及び、Coの水酸化物を析出させ、引き続き、反応系内に炭素粉末を添加撹拌して、得られたPd、Au金属単体及び、Coの水酸化物を担持した炭素粉末の担持体を得て、その後、反応系内からろ別した該炭素粉末の担持体を、焼成することを含んで成る、上記2に記載の固体高分子型燃料電池用カソード触媒の製造方法。
また、本発明で特定された製造方法により、炭素粉末担体上に合金微粒子を高分散担持することができ、実用に適した燃料電池用触媒を提供することができる。
本発明の合金は、プロトン電解質膜(PEM)を用いた固体高分子型燃料電池のカソードに使用することを目的に開発された。ここで、PEMは高分子固体電解質膜、特にフッ素系高分子固体電解質膜を指す。
合金は、少なくともPd、CoおよびAuからなり、その3元素の組成比が、20原子%≦Pd<70原子%、30原子%≦Co<70原子%、および0原子%<Au≦30原子%の範囲にある場合に触媒として特に効果的である。
最も好ましくは、組成PdCoAuの触媒は、添付図面の図10に表す三成分図に示す境界曲線上にあるか、または図10の境界曲線とPdCo軸との間で囲まれた内部にあることが望ましい。
Auが30原子%を超えると、安定性はさらに向上するが、ORR活性は低下する。触媒活性と燃料電池安定性の両方の観点から、より好ましいAuの量は最大で20原子%である。
本発明によるPd、CoおよびAuを含む合金触媒は必要に応じて他の金属をさらに含むことができる。その含有の態様としては、PdCoAu合金に他の元素を合金化させてもよいし、又はPdCoAu合金以外の物質を混在させてもよい。前者の場合、金属又は非金属のいずれでもよいが、PdCoAu合金あるいはPd,Co,Auのいずれかと合金化できるものに限る。但し、Ptを選択した場合は、本発明の目的から外れないように、できるだけ少量とする。合金化できる元素としては、Ti、Fe、Ni、Nb、Mo、Ta、及びWが好ましく、中でもTi、Fe、及びNiが好ましい。又、他の元素の数は、合金化できる範囲ならば特に制限はない。他の元素の添加量の上限は、PdCoAu合金の触媒としての性能を阻害しないといった観点から、合金中のモル比率が25%以下とし、下限は、添加する元素の効果を発揮できる最小限の量とすればよい。他方、PdCoAu合金以外の物質を混在させる場合、混在させることの出来る物質としては、例えば、金属、合金、ペロブスカイト型、ブロンズ型、パイロクロア型などの金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、配位高分子型錯体、大環状金属錯体などが挙げられる。但し、Ptを選択した場合は、本発明の目的から外れないように、できるだけ少量とする。その混在割合は、PdCoAu合金の触媒としての性能が十分に発現できるためには、好ましくは、本発明のPdCoAu合金が、全触媒の70質量%以上になるのが良く、更に好ましくは、全触媒の80質量%以上になるのが良い。
本発明のPdCoAu合金は、いかなる形態であってもよいが、PdCoAu合金を触媒として有効に働かせるといった観点から、粒子状であることが好ましい。又、粒子サイズは、同様な理由から高比表面積となり得るものが良いので、平均粒子径の上限値は、好ましくは1μm以下、より好ましくは100nm以下、更に好ましくは10nm以下である。平均粒子径の下限値は特に制限されるものではないが、物理的安定性の見地から1nm程度以上とすれば良い。ここで述べている「平均粒子径」とは、触媒担体を除いた実質的な触媒有効成分を透過型顕微鏡(TEM)により観察し、任意に選んだ100個の粒子径の算術平均値である。
次に、PdCoAu合金と担体である炭素粉末との比率について説明する。
PdCoAu合金に対して、炭素粉末が多すぎると、合金の触媒としての性能が十分に発現できない恐れがあり、逆に炭素粉末が少なすぎると、電子伝導の役割を十分に発現できない恐れがあるので、適度な比率が必要である。よって、PdCoAu/Cの全質量に対して、PdCoAu合金が5質量%〜80質量%になるのが好ましい。
本発明により得られた合金担持体の組成、構造決定は、粉末X線回折法(XRD)、蛍光X線分析法(XRF)、X線光電子分光分析法(XPS)、誘導結合高周波プラズマ発光分光分析法(ICP発光法)等を用いて決定することができる。
本発明に用いる炭素粉末は、導電性担体として用いられる限り特に限定はないが、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、グラファイト、活性炭等が挙げられる。粒子サイズは、上限は、好ましくは1μm以下、より好ましくは100nm以下であり、下限は、好ましくは10nm以上、より好ましくは30nm以上である。そして、炭素粒子の比表面積は、好ましくは20m2/g〜1400m2/g、より好ましくは400m2/g〜1000m2/g、最も好ましくは600m2/g〜900m2/gである。特に本発明の触媒を燃料電池用電極の触媒に用いる場合は、カーボンブラックが、電池性能が向上するといった観点から好ましく、中でもケッチェンブラック(登録商標、ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製)を用いるのが好ましい。
本発明の燃料電池としては、本発明の触媒をカソード電極に有する必要があるが、その構造は従来公知のものと同様でよい。又、アノード電極および固体高分子型電解質も、従来公知のものと同様でよい。例えば、アノード電極に使用する触媒としては、白金、白金−ルテニウム合金などを使用することができ、固体高分子型電解質としては、アシプレックス、ナフィオンなどの商標名で市販されているものを使用することができる。
本発明の触媒を用いて電極を形成するには、本発明の触媒にバインダーを添加して固体高分子型電解質のカソード側に触媒層を形成し、アノード側にも同様に公知の触媒をバインダーに添加して触媒層とすればよい。必要に応じて、拡散層や集電体をホットプレスなどにより一体化して、電極接合体とする。
別の態様として、本発明のPdCoAu合金を、プロトン電解質膜(PEM)の表面上に直接堆積させてもよい。
本発明は、炭素粉末の担体上にPdCoAu合金の微粒子が担持された触媒の好ましい製造方法として、次の二つの方法を提供する。これら二つの製造方法を便宜上それぞれ製法Aおよび製法Bと呼ぶこととし、これらの触媒製造方法について、以下に詳しく説明する。
製法Aは、Pd担持体を製造する工程(1)と、PdCo合金担持体を製造する工程(2)と、PdCoAu合金担持体を製造する工程(3)からなることを特徴とする。
先ず、Pd担持体(以下、Pd/Cとする)を製造する工程(1)について詳細を説明する。
上記工程(1)は、Pd溶液に炭素粉末を分散させた後、還元剤を滴下して炭素粉末上にPdを担持するものを製造する工程である。
製法Aに用いるPd溶液とは、PdイオンまたはPdを含有する錯体イオンが溶媒に溶解した状態のものを示し、例えば、Pd源としては、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、ジニトロジアミンパラジウムなどを用い、溶媒には、Pd源を溶解できるものならば特に制限はないが、Pd源に金属塩を用いる場合には、水、アルコールなどの極性溶媒が好ましい。Pd溶液中のPd源の質量%は、均一な溶液が作製できる範囲かつ、後に分散させる炭素粉末が高分散できる範囲であれば、特に制限はないが、好ましくは、0.1質量%〜2質量%である。又、均一なPd溶液を作製するために、必要があれば、酸、アルカリなどの添加物を加えてもよい。
Pd溶液に炭素粉末を分散させる工程は、限定されないが、より微分散をさせることを目的として、ペイントシェーカー、ボールミル、ホモジナイザー等の混合攪拌機、超音波ホモジナイザー等を使用できる。好ましくは超音波ホモジナイザーによる分散であり、その際には、10分以上分散を行うことが好ましい。また、炭素粉末を予め乳鉢等によって十分に粉砕し溶解しやすくしておくことも有効な手段である。
Pd溶液に滴下する還元剤は、Pd金属へ還元させ析出できるものであれば、限定はされないが、例えば、NaBH4、LiAlH4、ヒドラジン、KOH、NaOH、エタノールなどが挙げられる。
還元剤をPd溶液に滴下する工程に関しては、Pdができるだけ微粒子かつ高分散で炭素粉末へ担持できるようにするために、できるだけ長時間をかけてゆっくりと滴下した方が好ましい。例えば、溶液内のpH変化速度を規定するなどして、条件を調整する。
上記方法に従って作製されたPd/Cは、吸引濾過などにより取り出し、精製水、アルコール、アセトンなどで十分に洗浄した後、乾燥する。乾燥工程としては、例えば、真空乾燥、上限80℃程度の加熱乾燥などが挙げられる。このようにして、Pd/Cの製造が完了する。
製造条件によっては必要のない副生成物が混在する触媒担持体が製造される場合がある。その際には、得られた触媒を酸やアルカリで洗浄し、副生成物を溶解させることにより除去できる。酸やアルカリは、Pd/Cが安定に存在できるものであれば制限はないが、例えば、シュウ酸水溶液等が挙げられる。
上記工程(2)は、Co溶液に該Pd担持体を分散させた後、溶媒を除去して得られたPdCo担持体、或いは、該Pd担持体を、Co溶液に分散させた後、更に還元剤又はpH調整剤を滴下した後、濾過をして得られたPdCo担持体を、水素ガス又は水素ガス含有不活性ガス雰囲気下で第一回目の焼成を行い、引き続き、不活性ガス雰囲気下で第二回目の焼成を行って、PdCo/Cを得ることを特徴とする。
Co溶液とは、CoイオンまたはCoを含有する錯体イオンが溶媒に溶解した状態のものを示し、例えば、Co源としては、塩化物塩、臭化物塩及びヨウ化物塩といったコバルトのハロゲン化塩、硝酸塩、硫酸塩、アンモニア塩、過塩素酸塩、テトラフルオロボレート塩といったコバルトの無機塩、酢酸塩、シュウ酸塩、アセチルアセトン塩、カルボニル塩、炭酸塩といったコバルトの有機塩を用いた。溶媒は、Co源を溶解できるものならば特に制限はないが、Co源に金属塩を用いる場合には、水、アルコールなどの極性溶媒が好ましい。Co溶液中のCo源の質量%は、均一な溶液が作製できる範囲かつ、後に分散させるPd/Cが高分散できる範囲であれば、特に制限はないが、好ましくは、0.1質量%〜2質量%である。又、均一なCo溶液を作製するために、必要があれば、酸、アルカリなどの添加物を加えてもよい。
Co溶液にPd/Cを分散させる工程は、先述したPd溶液に炭素粉末を分散させる工程と同様な操作である。
溶媒を除去し乾固体とする場合は、その方法には限定はないが、仕込んだCoが均一にPd/C上へ付着した状態で固体化できるように、できるだけ短時間で溶媒を除去することが好ましい。溶媒を除去し乾固体とする方法としては、例えば、ロータリーエバポレーターによる真空下で除去する方法、ホットプレート上へ噴霧して除去する方法等が挙げられる。除去の際の温度は、100℃以下、より好ましくは60℃以下とするのが副反応が生じにくいので好ましい。
還元剤やpH調整剤を滴下した後、濾過をしてPdCo担持体を得る場合は、仕込んだCoが全て沈殿し、Pd/C上へ付着できれば、その方法には限定はない。Coの沈殿法としては、還元剤により還元されて金属単体として沈殿させてもよいし、pH調整剤によりpHを調整することにより、例えば水酸化物などの化合物として沈殿させてもよい。又、還元剤やpH調整剤の選択は、例えば、NaBH4、LiAlH4、ヒドラジン、KOH、NaOHなどが挙げられる。更に、滴下する工程に関しては、Co金属やCo化合物ができるだけ高分散でPd/Cへ担持できるようにするために、できるだけ長時間をかけてゆっくりと滴下した方が好ましい。例えば、pH調整剤を用いる場合には、溶液内のpH変化速度を規定するなどして、条件を調整する。上記方法に従って作製したPdCo担持体は、吸引濾過などにより取り出し、精製水、アルコール、アセトンなどで十分に洗浄した後、乾燥する。乾燥工程は、例えば、真空乾燥、上限80℃程度の加熱乾燥などが挙げられる。
焼成温度は制限されないが、下限は、先に述べた、本焼成工程の役目であるCoの金属化や酸化防止が可能である温度以上にすることが望ましく、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上である。上限の温度は、あまり高温にすると、水素ガスによるPdとの反応性、又は水素ガスとPdが混在することによる担体の炭素粒子への腐食などの悪影響が考えられるので、好ましくは500℃以下、より好ましくは350℃以下である。
焼成時間も制限はないが、上記記載の焼成による効果を十分とするために、好ましくは30分以上、3時間以下である。
第二回目の焼成は、不活性ガス雰囲気下で行う。本焼成工程の役目は、PdとCoの合金化を促進することであると考えられる。用いる不活性ガスは、窒素ガス又はアルゴンガスのどちらでもよい。
焼成温度は制限されないが、下限は、先に述べた、本焼成工程の役目であるPdとCoの合金化を促進することが可能である温度以上にすることが望ましく、好ましくは400℃以上、より好ましくは500℃以上である。上限の温度は、あまり高温にすると、シンタリングによる粒子サイズの増大により、比表面積が小さくなる恐れがあるため、好ましくは900℃以下、より好ましくは750℃以下である。
焼成時間も制限はないが、上記記載の焼成による効果を十分とするために、好ましくは1時間以上、8時間以下である。
以上の工程により、PdCo/Cの製造が完了する。
製造条件によっては必要のない副生成物が混在する触媒担持体が製造される場合がある。その際には、先述したPd/Cの洗浄と同様な工程を施せばよい。
上記工程(3)は、該PdCo合金担持体を、Au溶液に分散させた後、溶媒を除去して得られたPdCoAu担持体、或いは、該PdCo合金担持体をAu溶液に分散させた後、更に還元剤を滴下した後、濾過をして得られたPdCoAu担持体を、不活性ガス雰囲気下で第三回目の焼成を行って、PdCoAu合金が炭素粉末上に担持してなるPdCoAu合金担持体を製造するものである。
製法Aに用いるAu溶液とは、AuイオンまたはAuを含有する錯体イオンが溶媒に溶解した状態のものを示し、例えば、Au源としては、塩化金などを用い、溶媒には、Au源を溶解できるものならば特に制限はないが、Au源に金属塩を用いる場合には、水、アルコールなどの極性溶媒が好ましい。Au溶液中のAu源の質量%、均一な溶液が作製できる範囲かつ、後に分散させるPdCo/Cが高分散できる範囲であれば、特に制限はないが、好ましくは、0.1質量%〜2質量%である。又、均一なAu溶液を作製するために、必要があれば、酸、アルカリなどの添加物を加えてもよい。
Au溶液にPdCo/Cを分散させる工程は、先述したPd溶液に炭素粉末を分散させる工程と同様な操作である。
溶媒を除去し乾固体とする場合は、その方法は、先述したPdCo/C作製工程内の溶媒を除去し乾固体とする方法と同様である。
還元剤を滴下した後、濾過をしてPdCoAu担持体を得る場合は、仕込んだCoが全て還元剤により還元されて金属単体として沈殿し、PdCo/C上へ付着できれば、その方法には限定はない。又、還元剤の選択は、例えば、NaBH4、LiAlH4、ヒドラジン、KOH、NaOH、エタノールなどが挙げられる。更に、滴下する工程に関しては、Au金属ができるだけ高分散でPdCo/C上へ担持できるようにするために、できるだけ長時間をかけてゆっくりと滴下した方が好ましい。例えば、溶液内のpH変化速度を規定するなどして、条件を調整する。上記方法に従って作製したPdCoAu担持体は、吸引濾過などにより取り出し、精製水、アルコール、アセトンなどで十分に洗浄した後、乾燥する。乾燥工程は、例えば、真空乾燥、上限80℃程度の加熱乾燥などが挙げられる。
焼成温度は制限されないが、下限は、先に述べた、本焼成工程の役目であるPdCo合金とAuの合金化を促進することが可能である温度以上にすることが望ましく、好ましくは400℃以上、より好ましくは500℃以上である。上限の温度は、あまり高温にすると、シンタリングによる粒子サイズの増大から、比表面積が小さくなる恐れがあるため、好ましくは900℃以下、より好ましくは750℃以下である。
焼成時間も制限はないが、上記記載の焼成による効果を十分とするために、好ましくは1時間以上、8時間以下である。
以上の工程により、PdCoAu/Cの製造が完了する。
製造条件によっては必要のない副生成物が混在する触媒担持体が製造される場合がある。その際には、先述したPd/Cの洗浄と同様な工程を施せばよい。
尚、Pd、Co及びAuの仕込みモル比率については、目的とする合金組成比によって適宜決められる。製法Aは、仕込みモル比率と作製後の実測モル比率は、ほとんど差はなく相関が取れているため、目的とする合金組成比どおりに各金属を仕込めばよいが、厳密に組成比を決定したい場合は、予め予備実験をし目処を立て、目的とする合金組成比になるようなPd、Co及びAuの仕込みモル比率を設定することができる。
先述のように、本発明にPdCoAu合金は、PdCoAu合金に他の元素を合金化させてもよいし、又はPdCoAu合金以外の物質を混在させてもよい。
前者の場合、他の元素を添加させる工程は、製法Aの工程(1)〜(3)のいずれの工程の後、又はいずれの工程内でもよいが、作製した合金が、PdCoAu合金の触媒としての性能を阻害しないようにする。他の元素の仕込みモル比率は、上記記載のように、製法Aの製造方法は、仕込みモル比率と作製後の実測モル比率は、ほとんど差はなく相関が取れているため、目的とする組成比どおりに各原料を仕込めばよいが、厳密に組成比を決定したい場合は、予め予備実験をし目処を立て、目的の組成比になるような各原料の仕込みモル比率を設定することができる。
後者の場合、PdCoAu合金以外の物質を添加させる工程は、PdCoAu/Cを作製後、目的の物質を混在させるか、又は、PdCoAu合金の製造に邪魔にならなければ、PdCoAu/C作製工程内のどこかに目的の物質を添加し、吸着させてもよい。
尚、混在量に関しては、いずれの場合も、先述した通りである。
本発明の触媒のもう一つの製造方法(製法B)は、ミセル内部に少なくともPd水溶液、Co水溶液、Au水溶液を含む逆ミセル溶液(A)に、ミセル内部に少なくとも還元剤を、必要に応じてpH調整剤を含有する逆ミセル溶液(B)を混合して反応させた後、導電性担体である炭素粉末に担持させ、次いで焼成を行うことで、PdCoAu合金が炭素粉末上に担持してなるPdCoAu合金担持体を製造する方法において、該還元剤の添加量が、逆ミセル溶液(A)のミセル内部の全金属イオンに対して10当量〜150当量であり、逆ミセル溶液(A)及び(B)の混合後のミセル内部のpHが、9〜13となるように、該pH調整剤の添加量を調整することを特徴とする。
製法Bで使用する「逆ミセル溶液」とは、有機溶媒に界面活性剤を混合することにより、界面活性剤が集合して形成されるミセルを含有し、かつ該ミセル内部に金属イオン水溶液などを含有する溶液である。界面活性剤分子が、有機溶媒相内で、疎水性基を外側すなわち有機溶媒相側に向け、親水性基を内側に向けて配列し、疎水性基と親水性基の配列が水性溶媒相の場合と逆であるため、逆ミセル溶液と称する。このような逆ミセル溶液は、界面活性剤を有機溶媒に溶解した溶液に水溶液を加えて攪拌させることにより調整できる。親水性基が集合した部分には水などの極性溶媒を保持する能力がある。該水溶液は、ナノサイズの極めて小さな水滴となって有機溶媒中に安定して分散できるが、注入した水と界面活性剤のモル比によって、そのサイズをコントロールできる。
製法Bは、上記のような逆ミセル溶液のミセル内部である水溶液中で、Pd、Co、Auなどの各金属又は各金属化合物を、還元剤を用いた反応により析出させる方法を用いる。
逆ミセル溶液を形成する有機溶媒としては、様々な物質が使用可能であり、特に制限はないが、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、ヘプタノール、オクタノール、ドデシルアルコール、セチルアルコール、イソオクタン、n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−デカン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、逆ミセル溶液の作製のしやすさからn−ヘプタン、n−ヘキサン、高沸点であるn−デカンが好ましい。又、これらの有機溶媒は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
逆ミセル溶液を形成する界面活性剤としては、安定な逆ミセル溶液を形成できるものであれば、特に制限はないが、アニオン性のものでは例えば、ビス(エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(AOT)、カチオン性のものでは例えば、シュウ酸セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、非イオン性のものでは例えば、ペンタエチレングリコールドデシルエーテル(PEGDB)が挙げられる。又、これらの界面活性剤は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
尚、有機溶剤に対する界面活性剤の添加量は、有機溶剤100質量部に対して、10〜300質量部であり、好ましくは20〜100質量部である。10質量部を下回ると逆ミセルの形成が困難になる恐れがあり、一方300質量部を超えるとロッド状ミセルを形成し、所望のサイズを保持できない恐れがあるためである。
次に、逆ミセル溶液(A)について説明する。
逆ミセル溶液(A)は、ミセル内部に少なくともPd水溶液、Co水溶液、Au水溶液を含む。
製法Bに用いるPd水溶液とは、PdイオンまたはPdを含有する錯体イオンが水溶媒に溶解した状態のものを示し、例えば、Pd源としては、ヘキサクロロパラジウム酸アンモニウム、テトラクロロパラジウム酸アンモニウム、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、ジニトロジアミンパラジウムなどを用いる。Pd水溶液中のPd源の質量%は、均一な溶液が作製できる範囲であれば特に制限はないが、金属換算で、好ましくは、0.01質量%〜10質量%、更に好ましくは0.05質量%〜2質量%である。又、均一なPd溶液を作製するために、必要があれば、酸、アルカリなどの添加物を加えてもよい。
製法Bに用いるCo水溶液とは、CoイオンまたはCoを含有する錯体イオンが水溶媒に溶解した状態のものを示し、例えば、Co源としては、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩といったコバルトのハロゲン化塩、硝酸塩、硫酸塩、アンモニア塩、過塩素酸塩、テトラフルオロボレート塩といったコバルトの無機塩、酢酸塩、シュウ酸塩、アセチルアセトン塩、カルボニル塩、炭酸塩といったコバルトの有機塩を用いる。Co水溶液中のCo源の質量%は、均一な溶液が作製できる範囲であれば特に制限はないが、金属換算で、好ましくは、0.01質量%〜10質量%、更に好ましくは0.01質量%〜2質量%である。又、均一なCo溶液を作製するために、必要があれば、酸、アルカリなどの添加物を加えてもよい。
逆ミセル溶液(A)における界面活性剤に対する水のモル比は、逆ミセルの安定な形成ができるといった観点から、好ましくは3〜30、更に好ましくは、5〜25である。
次に、逆ミセル溶液(A)の作製工程を説明する。
有機溶剤に界面活性剤を溶解させた溶液と、少なくともPd、Co、Au源を溶解させた水溶液とを別々に作製する。次いで両溶液を混合、分散させることで、逆ミセル溶液を作製する。分散させる工程は、限定されないが、より均一な逆ミセル溶液を作製することを目的として、ペイントシェーカー、ボールミル、ホモジナイザー等の混合攪拌機、超音波ホモジナイザー等を使用できる。好ましくは超音波ホモジナイザーによる分散であり、その際には、分散時間は20分以上行うことが好ましく、分散時の温度は特に制限はないが、高温下により有機溶剤が気化する恐れがあるため、氷浴中などで冷却しながら行ってもよい。
又、水溶液内の金属の酸化防止という観点から、分散時には、窒素ガスなどの不活性ガスをバブリングしながら行うことが好ましく、更には、溶媒には脱酸素させたものを用いることが効果的である。特に、合金組成において卑金属であるCoがリッチな場合を作製する際には、Coは酸化されやすいため、上記記載の処理はより効果的である。
逆ミセル溶液(A)を作製後、上記記載と同様な理由で、更に、窒素ガスなどの不活性ガスをバブリングして、溶存酸素を十分に除去しておく方が好ましい。
逆ミセル溶液(B)は、ミセル内部に少なくとも還元剤を、必要に応じてpH調整剤を含有する。
製法Bにおける還元剤としては、NaBH4、LiAlH4、ヒドラジン、チオ硫酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、ホルムアルデヒド、メタノール、エタノール、エチレンなどが挙げられる。還元剤の役割は、逆ミセル溶液(A)のミセル内部のPd及びAu源全てと、同じくミセル内部のCo源の一部を金属に還元させることであり、安定した金属粒子の析出により目的の合金組成を完成させやすいという観点から、上記記載の還元剤のうち、好ましくは、NaBH4、ヒドラジンである。ちなみに、Coは卑金属であるため、他の貴金属に比べて還元されにくく、そのため一部は金属へ還元できるが、残りは、後述するpHの適切な調整により、水酸化コバルトとして析出されると思われる。
反応させる金属源内に、卑金属であるCo源を含むため、例えば、反応中にCo源が不要な酸化を受けた場合は、そのCo源の酸化体を還元するといった余分な反応に還元剤が消費されるといったロスが生じる。よって、還元剤の添加量の下限は、好ましくは20当量、更に好ましくは30当量である。上限に関しては、あまり過剰な還元剤を添加すると、ミセル内部の溶媒である水に溶解できなくなる恐れがあるので、好ましくは130当量、更に好ましくは100当量である。特に、合金組成においてCoがリッチな場合を作製する際には、上記理由により、還元剤の添加量は、本発明の範囲量内においてできるだけ大きい量に設定した方が好ましい。
製法Bは、逆ミセル溶液(A)及び(B)の混合後のミセル内部のpHが、9〜13となるように、該pH調整剤の添加量を調整することを特徴とする。pH調整剤としては、NaOH、KOHなどのアルカリ、HClなどの酸などが挙げられ、事前に逆ミセル内部の水相を構成する逆ミセル溶液(A)及び(B)と同一組成の水溶液を混合し、目的とするpHになるようにpH調整剤量を調整しておくことにより達成される。このpH調整は、先述したように、仕込んだCo源のうち金属へ還元できなかった残りを水酸化コバルトとして析出させるために行う。よって、pHの範囲は、9〜13ではあるが、好ましくは9.5〜12.5、より好ましくは10〜12である。
逆ミセル溶液(B)における界面活性剤に対する水のモル比は、逆ミセルの安定な形成ができるという観点から、好ましくは3〜30、更に好ましくは、5〜25である。
次に、逆ミセル溶液(B)の作製工程を説明する。
有機溶剤に界面活性剤を溶解させた溶液と、少なくとも還元剤を、必要に応じてpH調整剤を溶解させた水溶液とを別々に作製する。次いで両溶液を混合、分散させることで、逆ミセル溶液を作製する。分散させる工程は、先述した逆ミセル溶液(A)での工程と同様である。
又、逆ミセル溶液(A)と反応させる際の水溶液内の金属の酸化防止という観点から、分散時には、窒素ガスなどの不活性ガスをバブリングしながら行うことが好ましく、更には、溶媒には脱酸素させたものを用いることが効果的である。特に、合金組成において卑金属であるCoがリッチな場合を作製する際には、Coは酸化されやすいため、上記記載の処理はより効果的である。
逆ミセル溶液(B)を作製後、上記記載と同様な理由で、更に、窒素ガスなどの不活性ガスをバブリングして、溶存酸素を十分に除去しておく方が好ましい。
溶液内の逆ミセル数は、界面活性剤に対する水のモル比を固定した際において、有機溶媒量に対する水の添加量の増減により変化させることができる。例えば水の添加量を増加させれば逆ミセル数は増加する。本発明における逆ミセル溶液を用いた反応は、逆ミセル溶液(A)の逆ミセルと、逆ミセル溶液(B)の逆ミセルとが衝突することで、逆ミセル溶液(A)の逆ミセル内部の各種金属源が、逆ミセル溶液(B)の逆ミセル内部の還元剤により還元されるか、pH調整により例えば水酸化物になる反応である。よって、逆ミセル溶液(A)の逆ミセル数に対する逆ミセル溶液(B)の逆ミセル数の割合は、小さい場合は、逆ミセル溶液(B)の逆ミセル1個が、多くの逆ミセル溶液(A)の逆ミセルに衝突を繰り返すことで反応が進行し、その際には、逆ミセル溶液(B)の逆ミセル内部の還元剤の濃度は衝突を重ねるごとに減少し、全ての逆ミセル溶液(A)の逆ミセル内部の金属源に反応が行き届かない恐れがあり、逆に大きい場合は、逆ミセル溶液(B)の逆ミセル1個における還元剤濃度は最初から低く、衝突頻度の向上が課題になる恐れがある。以上より、ミセル溶液(A)の逆ミセル数に対する逆ミセル溶液(B)の逆ミセル数の割合は、好ましくは0.5〜5であり、更に好ましくは1〜3である。
この工程における反応の詳細は、上記記載の通りであり、逆ミセル間の衝突により反応を進行させる。その際には、逆ミセル溶液(A)のミセル内部の各種金属源を完全に反応させることにより析出させ、かつ逆ミセル間が凝集することによって沈殿しないように、逆ミセルの分散状態を保持することが必要である。
両溶液の混合は、超音波ホモジナイザーによる分散とマグネティックスターラー等による攪拌を両立させて行う。超音波ホモジナイザーによる分散により、逆ミセル間の衝突により反応を進行させると同時に逆ミセル間が凝集することを防止でき、逆ミセルの分散状態を保持することができる。又、マグネティックスターラー等による攪拌は、反応液内の温度を均一に保持するために行う。
上記工程の反応液温度は、その温度が低い場合、逆ミセル間の衝突頻度が減少して、反応が未完成になる恐れや、卑金属であるCo源のCo金属への還元反応能力が落ちて、未反応のCo源が残存する恐れがある。そのため、この反応温度の下限は、室温以上であることが必要で、好ましくは40℃以上である。上限に関しては、用いる有機溶媒の沸点以下を目安とし、有機溶媒の蒸発を防止する必要があり、好ましくは100℃以下である。
又、上記工程の反応時間は、反応種や溶媒の量により適宜調整する必要があるが、下限は20分以上が好ましく、上限は3時間以下が好ましい。
更に、反応液内の金属の酸化防止という観点から、反応時には、窒素ガスなどの不活性ガスをバブリングしながら行うことが好ましい。
次に、導電性担体である炭素粉末に担持させる工程について説明する。
先述のような逆ミセル溶液間による反応が終了した後、以下の2段階により炭素粉末に担持させる。最初の段階では、逆ミセル溶液間による反応の条件のままの状態、即ち、超音波ホモジナイザーによる分散とマグネティックスターラー等による攪拌を両立させた状態で、反応温度も保持したままの状態において、炭素粉末を投入する。この状態で約5〜30分程度保持し、次いで、マグネティックスターラー等による攪拌だけで、室温下で、約2〜3時間程度保持する。これにより、担持を完成させる。前者の作業は、炭素粉末の担持が行われる前に、逆ミセル間が凝集することを防止する役割がある。
炭素粉末の担持工程が終了後、目的物を反応液内から取り出し、乾燥させる。取り出しには、吸引ろ過等を用い、アセトン、水等を用いて十分に洗浄する。洗浄後、自然乾燥、真空乾燥、エバポレーターを用いた乾燥等により十分に乾燥させる。
焼成は、水素ガス又は水素ガス含有不活性ガス雰囲気下で行う。本焼成工程の役目は、水素ガスにより、Coの金属化や酸化防止を促進させることと、高温処理により合金化を促進させることであると考えられる。よって、水素ガスの濃度は、合金組成における卑金属であるCoの比率による。Co比率が低い場合は、水素ガスの濃度は比較的低濃度とし、逆にCo比率が高い場合は、水素ガスの濃度は比較的高濃度とする。いずれの場合も、水素ガスの効果発現のためには、水素ガスの濃度の下限は、好ましくは5体積%以上であり、その上限は、100体積%でもよいが、焼成温度が非常に高温の場合は、安全性を考えて、80体積%以下が好ましい。又、用いる不活性ガスは、窒素ガス、アルゴンガスのどちらでもよいが、焼成温度が非常に高温の場合は、水素ガスと窒素ガスが反応する恐れがあると考えられるので、アルゴンガスの方が好ましい。
焼成温度は制限されないが、下限は、先述の本焼成工程の役目である合金化を促進させることが可能な温度以上にすることが望ましく、好ましくは500℃以上、より好ましくは600℃以上である。上限の温度は、あまり高温にすると、シンタリングによる粒子サイズの増大から、比表面積が小さくなる恐れがあるので、好ましくは1000℃以下、より好ましくは900℃以下である。
焼成時間も制限はないが、上記記載の焼成による効果を十分とするために、好ましくは30分以上、3時間以下である。
製造条件によっては必要のない副生成物が混在する触媒担持体が製造される場合がある。その際には、得られた担持体を酸やアルカリで洗浄し、副生成物を溶解させることにより除去できる。酸やアルカリは、PdCoAu/Cが安定に存在できるものであれば制限はないが、例えば、シュウ酸水溶液等が挙げられる。
尚、製法Bの製造工程におけるPd、Co及びAuの仕込みモル比率については、目的とする合金組成比によって適宜決められる。本発明の製造方法は、仕込みモル比率と作製後の実測モル比率は、ほとんど差はなく相関が取れているため、目的とする合金組成比通りに各金属を仕込めばよいが、厳密に組成比を決定したい場合は、予め予備実験をし目処を立て、目的とする合金組成比になるようなPd、Co及びAuの仕込みモル比率を設定することができる。
製法Bの逆ミセル溶液(A)のミセル内部に、更に追加する元素源を加えて作製する。他の元素源としては、ハロゲン化塩、硝酸塩、硫酸塩、アンモニア塩、過塩素酸塩、テトラフルオロボレート塩といった無機塩、酢酸塩、シュウ酸塩、アセチルアセトン塩、カルボニル塩、炭酸塩、アルコキシド塩といった有機塩などを適宜用いる。
一方、逆ミセル溶液(B)のミセル内部は、添加する他の元素が還元剤の還元反応により析出するのか、それともpH調整により水酸化物などの化合物として析出するのかによって、還元剤及びpH調整剤の量を適宜微調整する。前者の場合には、他の元素に必要な還元剤量分を増加する必要がある。後者の場合には、その化合物が安定に存在できるpH値になるように、pH調整剤の添加量を増減させる必要がある。
以下、先述したような作製工程と同様な工程を施すことにより、PdCoAu合金に他の元素を合金化させた担持体を作製できるが、逆ミセル溶液間の完全な反応を行うために、必要に応じては、界面活性剤に対する水のモル比の微調整を行うことや、必要な水のうち一部を、又は追加する元素源を逆ミセル溶液のミセル内部に予め加えておくのではなく、逆ミセル溶液間の反応中に、後添加するなどの工夫は、適宜行う。
次に、PdCoAu合金以外の物質を混在させる工程について説明する。
PdCoAu/Cを作製後、目的の物質を混在させるか、又は、目的の物質を、予め担体である炭素粉末に担持しておき、本発明の製造工程内における炭素粉末の投入の代わりに、上記担持体の投入を行ってもよい。
参考例1及び参考例2は二成分系合金の調製および試験に関するものであり、参考実施例1〜12、実施例1は本発明による三成分系合金の調製および試験に関するものである。参考例1、参考例2及び参考実施例1〜参考実施例5では、窒化ケイ素ウェハ基板上に組成傾斜のついた合金薄膜を真空蒸着法で形成し、合金状の100個の電極を用いてスクリーニング的に性能評価を行った。参考実施例6〜参考実施例9ではカーボンプレート上に合金薄膜をスパッタリング法で形成して電極を作製し、参考実施例10〜参考実施例12、実施例1では炭素粉末担体上に合金微粒子を担持させた触媒担持体の粉末をカーボンロッドに固着させて電極を作製した。これら参考実施例6〜参考実施例12、実施例1では作製した電極を作用電極とする半電池セルを用いて性能評価を行った。
参考実施例1〜参考実施例5で述べるORR試験は、固体高分子型燃料電池のカソード触媒として使用された場合の、PCoAu合金触媒の有効性を示す。定常状態でのORR電流測定の際、いったん印加電位を0.7から0.9へ増加させ、次いで、50mV間隔で各電位に90秒間保持することを繰り返しながら電位を0.7V(vsSHE)まで降下させた。実験中、電解質中に酸素ガスをバブリングした。電解質には0.5MのHClO4水溶液を用い、温度は室温(20oC)とした。サイクリックボルタンメトリー(CV)実験では、電位が0.4〜1.2V(vsSHE)の範囲を50mVs−1の速度で電位掃引させた。このCV実験は溶存酸素の存在しない0.5MのHClO4水溶液中で20℃で行った。
試料の組成はEDSを用いて測定し、原子%で表記した。三つの三成分系試料について作製した組成範囲はそれぞれ:(1)Pdの原子%(7.6〜73.1)、Coの原子%(5.1〜65.0)およびAuの原子%(16.5〜47.2);(2)Pdの原子%(12.9〜89.9)、Coの原子%(0.2〜70.4)およびAuの原子%(6.7〜50.9);並びに(3)Pdの原子%(2.5〜98.1)、Coの原子%(0〜93.5)およびAuの原子%(0〜63.0)であった。二つの二成分系試料について作製した組成範囲はそれぞれ:(4)Pdの原子%(9.4〜95.5)およびAuの原子%(4.5〜90.6);並びに(5)Pdの原子%(31.8〜99.7)およびCoの原子%(0.3〜68.2)であった。スクリーニング試験した組成のすべてを、PdCoAu三成分系および二成分系相空間でスクリーニングした試料について、図4に原子百分率でプロットする。三成分系の結果から判断してAuCo二成分系は活性が低かったので、AuCo二成分系については組成スクリーニングの実験は行わなかった。さらに、100個の同一のPd電極からなる合金を用いて、Pd単独の活性を測定した。合計で600個の薄膜試料を調製し、PdCoAu合金の酸素還元活性についてスクリーニングした。
PdCo二成分系について、酸素還元反応における定常状態電流を、電位0.7と0.8V(vsSHE)で測定した。図1は0.7V(vsSHE)(図1a)と0.8V(vsSHE)(図1b)での酸素還元反応における定常状態電流を示す。このデータは、50:50の原子百分率比を有するPdCoの組成において、酸素還元活性に最大値が明らかに存在することを示している。この最適組成は印加電位の値に依らず一定であった。両方の場合で、最適組成の活性は100%Pdの場合より著しく大きく、0.7Vで略4倍、0.8Vで略7倍であった。
0.7V(vsSHE)でのPdCo二成分系の酸素還元比活性を、試料表面のPd原子に吸着されたCOの酸化に要した電荷量から計算した表面積を用いて評価した。
CO酸化に要した電荷量は以下のようにして測定した。先ず、電解質を通して20分間COガスをバブリングさせて試料の表面をCOで飽和させ、同時に、0.1V(vsSHE)の電位を合金に印加した後に、続いて、5分間アルゴンガスをバブリングさせ、同時に、同じ印加電位を維持して、溶解しているが吸着されていないCOを溶液から除去した。次いで、合金を、0.0Vから1.2V(vsSHE)の範囲で、50mVs−1の掃引速度で4サイクル、電位掃引を行った。第1サイクルと第4サイクルについてサイクリックボルタモグラムを用いて、0.5から1.2Vのアノード電荷を計算した。吸着された一酸化炭素(CO(ads))単分子層の酸化に伴う電荷量は、表面酸化物層と吸着された一酸化炭素の酸化の同時生成に伴う電荷(QCO+O)(第1サイクル)から、表面酸化物層の生成に伴う電荷(QO)(第4サイクル)を減じて計算した。
QCO=QCO+O−QO [1]
一酸化炭素の酸化電荷量は、これらを定数410μCcm−2で除して表面積値に変換した。この定数は、多結晶白金電極の真の表面積を決定するために使用される値である。これは、被覆率が100%、表面Pt原子当たり1CO(ads)、各CO(ads)のCO2への酸化に2e−の電荷を要する、ということを前提としている。
図2(a)は得られた表面積推定値を示す。Pdが80原子%未満を有する組成については試料の表面積が大きく増大しており、この面積の増大はPdが50原子%の時に最大に達している。この面積増大は二成分系合金からのCoの溶解に起因すると考えられる。
図2(b)は、図1(a)のデータを表面積推定値で除することによって得られた酸素還元反応におけるPdCo二成分系の比活性電流を示している。二成分系についての比活性は、Pdが70〜80原子%の時に最大を有している。表面積補正を行った上でなお最大値があるということは、PdにCoを加えると、Pd単独よりも優れたORR活性を発現させる効果があるという証拠である。
酸素還元スクリーニング実験前後のサイクリックボルタモグラムにおける、試料表面の酸化物の還元ピーク電流の差は、試料安定性の予備的目安として用いられる。ピーク電流の変化が最適なPdCo組成について極めて著しいことが図3から明らかである。これは、これらのPdCo材料の活性の増大が、安定性を犠牲にして得られていることを示唆している。
PdCoAu合金のうちの1つについて定常状態でのORR電流を測定した。電位(a)0.70V、(b)0.75Vおよび(c)0.80V(vsSHE)における定常状態での酸素還元電流を図5(a)、5(b)および5(c)にそれぞれ示す。この図から、最も高い活性の領域はPdが40〜60原子%の組成範囲であることが明らかである。図5(a)の矢印は、合金にAuの量を増大させて加えることによってもたらされる活性の低下方向を示している。
参考実施例1のデータを元に比活性電流の組成依存性を求めた。参考例2で説明した方法と同様の方法により、COストリッピング実験から測定した表面積を用いて比活性電流を計算した。その結果を図6に示す。電流が最大となる組成は、図6においても図5とほぼ同じ組成領域であることが分かる。これは、Co成分の溶解等によってもたらされた表面積の増加によるものではなく、材料固有の活性の増加に起因することを意味している。
PdCoAu三成分系合金の3つすべてに加えて、PdCoおよびPdAu二成分系合金並びにPd単独の合金について、定常状態におけるORR電流を測定した。電位(a)0.70V、(b)0.75Vおよび(c)0.80V(vsSHE)での定常状態の酸素還元電流を図7に示す。図7から、最も活性の高い領域は、二成分系軸に沿ってPdが40〜60原子%の組成範囲であり、また合金にAuを増量して加えると活性が低下することが分かる。しかし、PdAu二成分系においてはPdが90原子%以下(Auが10原子%以上)の時に活性が極めて低いことを考えれば、3成分系においてAuの含有量が20原子%の時まで高い活性が維持されていることは驚くべき結果である。
参考実施例3のデータを元に比活性電流の組成依存性を求めた。参考例2で説明した方法と同様の方法により、COストリッピング実験から測定した表面積を用いて比活性電流を計算した。結果を図8に示す。ORR活性は、図7と同様にPdCo二成分系軸に沿った、Pdが40〜60原子%の組成範囲で最大値をとることが分かる。合金にAuを増量して加えると活性が低下するが、Pd−Co二成分系の高い活性が、三成分系においてもAuが20原子%になるまで維持されていることが分かる。
酸素還元スクリーニング実験前後でのサイクリックボルタモグラムにおける、試料表面の酸化物の還元ピーク電流の差を、試料安定性の予備的目安として取り、図9にプロットした。図9(a)では、二成分系および三成分系合金からのデータを一緒にプロットしている。表面酸化物還元ピーク電流の変化は、二成分系合金系(二成分系については図3にも示す)の方が三成分系よりもかなり大きい。図9(b)では、三成分系合金だけでの同じデータをプロットしている。2つのプロットについての電流スケールを比較することによって、三成分系合金のすべてについて表面酸化物の還元ピーク電流の変化が著しく小さくなっていることが明らかである。ORR実験の前後で測定した表面酸化物還元のピーク電流間の差が試料の安定性を示すと思われることを考えると、三成分系の特定の組成領域においては、比活性が高く、かつ安定性(耐食性を含む)が良好であると言える。
次に、参考実施例6〜参考実施例9ではカーボンプレート上に合金薄膜をスパッタリング法で形成した作用電極を用いて性能評価を行った。参考実施例6〜参考実施例9では、電解質として0.5Mの硫酸水溶液を用いた。参考実施例8では温度を80℃とし、それ以外では温度を室温(25℃)とした。
同時スパッタリングによって基板上にPd−Co−Au三成分系合金膜を作製した。
基板は100mm(L)x10mm(W)x3mm(t)のサイズのグラッシーカーボンプレートであった。図11(a)に示すように、合金膜を、20×10mmの領域上(図中の符号3で示す領域)に形成させ、カーボンの影響を排除するためにクリップ留め領域(図中の符号1で示す領域)を除いて他の領域(図中の符号2で示す領域)をテフロン(Teflon)(登録商標)でコーティングした。Pd、CoおよびAuのターゲット材(直径が3インチ)を真空チャンバー中にセットした。基板は、ターゲットから約15cm離れた回転可能なテーブル上に保持し、真空チャンバー内を4x10−4Pa未満の真空度まで排気した。次いで、圧力が0.5Paになるようにアルゴンガスをチャンバー中に導入し、各ターゲットにDC電力を印加した。回転テーブルとターゲットとの間のシャッターが開いている間に、基板上に三成分系合金膜が形成された。比較例としてPd膜を同様の方法で作製した。Pd、CoおよびAuの堆積速度はそれぞれ約0.085、0.032および0.098(nm/分/ワット)であった。合金薄膜を形成する場合は、所望の合金組成になるように各ターゲット材に印加するDC電力を決定した。膜の厚さは全て200nmとした。各三成分系合金膜の組成を表1に示す。表(1)は、実施例6のPdCoAu三成分系合金の目標組成と実測組成を示す。3つの三成分系合金膜のCo/Pd原子比は1.125となるようにした。合金Aと合金Bが実施例であり、合金Cは比較例である。(合金Aと合金Bの組成は図10に示した領域内であるが、合金Cはその領域外である。)
ORR活性は、電気化学半電池セルとポテンシオスタット/ガルバノスタット(Solartron Model 1287)を用いて測定した。測定装置を図12に示す。Ag/AgClおよびPt黒をそれぞれ基準電極および対極として使用した。測定前に、酸素ガスを30分以上バブリングし、ORR電流の測定中は電解質水溶液を撹拌しながら、その表面上に酸素ガスをフローさせた。
定常状態でのORR電流は以下の方式で測定した。前処理として、測定の前に50回、0.05V〜1.0V(vsRHE)の間で電位サイクルをかけて膜を電気化学的に研磨した。この前処理の後、1.0Vから0.1V(vsRHE)まで50mV毎に階段状に電位を降下させた。各電位に60秒間電位保持した。電位を変化させた直後は、電流が過渡的変化を示したので、各ステップの最後の40秒間での電流の平均値を定常状態でのORR電流とした。図13および図14は定常状態でのORR電流の電位依存性を示す。図14は図13の拡大図である。
図14に示すように、合金Aおよび合金BのORR開始電位はパラジウム膜のそれより貴な電位であった。これは、三成分系合金AおよびBが、パラジウムより小さい過電圧を有していることを示している。合金Bの開始電位は、合金Aのそれより卑ではあったが、飽和領域(0.5V(vsRHE)未満)におけるORR電流はパラジウムのそれより大きかった。一方、これらと比較して、合金Cは大きな過電圧を有するだけでなく、パラジウムよりORR電流も小さかった。
Pd−Co−Au三成分系合金膜Dを、図11(b)に示すように、グラッシーカーボン基板がテフロン(登録商標)でコーティングされていないこと以外は、実施例6と実質的に同じ方法で作製した。Pd、CoおよびAuのDCスパッタリング電力は、膜組成のPdが0.4原子%、Coが0.45原子%、Auが0.15原子%となるように決定した。スパッタリング後、合金膜を600oCで6時間アニールした。白金およびパラジウムの膜を、比較例として作製した。すべての膜の厚さを200nmとした。
ORR活性は参考実施例6と同様にして評価した。1N硫酸水溶液を電解質として使用し、温度は25oCとした。測定の前に酸素ガスを30分以上バブリングし、測定中は電解質水溶液を撹拌せずに、その表面上に酸素ガスをフローさせた。測定は以下の方法で実施した。前処理として、測定の前に、50回、0.05V〜1.0V(vsRHE)の電位で電位サイクルを行い、膜を電気化学的に研磨した。前処理後、作用電極の電位を、1.0V(vsRHE)から始めて0.6V(vsRHE)まで1mV/秒の掃引速度で電位掃引した。続いて、窒素ガスを30分以上バブリングしたした後に、窒素ガスを溶液の表面上にフローさせながら、作用電極の電位を同じ方法で掃引した。最後に、各電位において、前者の測定電流(酸素飽和状態での測定電流)から、後者(窒素飽和状態下で測定した電流)を減じた。図15にその結果を示す。
図15に示すように、合金DのORR開始電位はパラジウムのそれより貴であった。ピーク電流は白金のそれより大きかった。さらに、合金DのORR電流/電位の勾配は白金のそれより急峻である。
Pd−Co−Au三成分系合金膜Eを参考実施例7と同じ方法で作製した。合金Fおよびパラジウム膜を比較例として作製した。合金Eおよび合金Fの組成は、それぞれPdが0.4原子%、Coが0.45原子%、Auが0.15原子%およびPdが0.5原子%、Coが0.5原子%である。参考実施例7と同様、合金Eおよび合金Fの膜を600oCで5時間アニールした。
これら3つの電極について耐久性試験を以下の方法で実施した。
参考実施例6と同じ半電池セルおよびポテンシオスタット/ガルバノスタットを用いた。測定前に30分以上酸素ガスをバブリングした。ORR電流測定中電解質水溶液を撹拌しながら、その表面上に酸素ガスをフローさせた。測定は、最初に試料電極(作用電極)を溶液中に10分間浸漬させた。次いで、セル内の硫酸電解質水溶液を約4ml抜き取った。続いて、100mV/秒の掃引速度で、50回、0.05V〜1.0V(vsRHE)の間で電位サイクルをかけた後、硫酸電解質水溶液を約4ml抜き取り、同様の操作を150サイクルまで実施した。抜き取ったそれぞれの溶液をICP法で分析し、溶解している金属イオン濃度を測定した。図16にその結果を示す。溶出率は、(ICPで測定したPdの溶解量)/(Pdの総量)と定義する。
図16に示すように、合金FおよびPd膜の溶出率はそれぞれ40%および20%を超えたが、合金Eのパラジウム溶出率は3%未満であった。
PtおよびPd0.42Co0.48Au0.1(合金G)の膜を、参考実施例6と同じスパッタリング方法でグラッシーカーボンプレート上に形成させた。定常状態でのORR電流は参考実施例6と同じ方法で測定した。次いで、メタノールを半電池セルの硫酸電解質水溶液中に滴下させて撹拌した。続いて、定常状態でのORR電流を測定した。Pt膜および合金Gの膜を用いた結果をそれぞれ図17(a)および図17(b)に示す。ORR電流に対するメタノールの影響は、三成分系合金の場合は抑制されているが、Ptの場合はメタノール濃度に比例して減少した。つまり、これらの触媒を直接メタノール燃料電池に使用した場合、合金Gの方がメタノールクロスオーバーの影響を受け難いことがわかる。
次に、参考実施例10〜12、実施例1において、炭素粉末担体上に合金微粒子を担持させた触媒担持体の粉末をカーボンロッドに固着させて電極を作製し、これを作用電極として性能評価を行った。
これらの参考実施例、実施例及び比較例において用いる測定法は以下のとおりである。
粉末X線回折法(XRD)は、RINT−2500(理学電機(株)製)を用い、測定条件は、線源をCuKα線、走査軸を2θ/θ、ステップ間隔を0.01°、スキャンスピードを0.5°/min、加速電圧を40kV、加速電流を200mAとして行い、測定の際に使用したスリットは、発散スリットが1°、散乱スリットが1°、受光スリットが0.15mmであり、検出器の前にグラファイトモノクロメーターを装着した。
蛍光X線分析法(XRF)は、測定試料を5mmΦのAl−ringを用いて錠剤成型をして測定に供し、XRF全元素定性及び半定量分析を行い、XRF分析の分析径は3mmΦとし、ZSX−100e(理学電機(株)製)を使用した。
誘導結合高周波プラズマ発光分光分析法(ICP発光分析法)は、焼成炉を用いた空気中、500℃、5〜6時間の焼成によりカーボンをCO2ガス化し除去した後、残渣物を王水に加熱溶解させたものを、IRIS Intrepid−II(Thermo Electron社製)を用いて、各金属元素を検量線法により定量することにより行った。
電気化学試験は、ポテンシオガルバノスタット:Solartron1255WB又は1280Z(いずれも英国ソーラトロン社製)を用いて行った。測定条件等の詳細は参考実施例、実施例及び比較例に記載する。
5質量%の塩化パラジウム(II)塩酸水溶液(アルドリッチ社製)を0.1質量%に希釈したもの179.8gに、炭素微粒子であるケッチェンブラック(登録商標)EC(ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製、表面積800m2/g、一次粒径39.5nm)を1.0g加え、約10分間超音波ホモジナイザー分散を行った。
上記分散して得られた分散液に、ヒドラジン・一水和物(和光純薬工業(株)製)を0.05質量%に希釈し、この希釈液を約2時間程度かけて滴下し、分散液のpHが7になるようにした。滴下後、室温で約1時間攪拌した後、吸引ろ過により取り出し、精製水で洗浄した後、エタノールで洗浄した。得られた粉末を、空気中、80℃で約8時間乾燥することにより、Pd担持体(Pd/C)を得た。触媒の同定は、XRDにより行った。
続いて、Co(NO3)2・6H2O(和光純薬工業(株)製)0.332gを精製水100mlに溶解させ、上記より得られたPd/Cを加え、約10分間超音波ホモジナイザー分散を行った。上記分散液を、エバポレーターを用いて、約60℃で加熱しながら溶媒である精製水を除去した後、10%水素含有アルゴン気流下、300℃で2時間の焼成を行って、次いで窒素気流下、600℃で5時間の焼成を行うことで、PdCo合金担持体(PdCo/C)を得た。
続いて、塩化金(III)酸塩酸水溶液(金含有量17質量%)(アルドリッチ社製)0.431gを精製水100mlに溶解させ、上記より得られたPdCo/Cを加え、約10分間超音波ホモジナイザー分散を行った。上記分散液を、エバポレーターを用い、約60℃で加熱しながら溶媒である精製水を除去した後、窒素気流下、600℃で5時間の焼成を行うことで、PdCoAu合金担持体(PdCoAu/C)を得た。
XRDより、Pd、Co及びAu金属単体は存在せず、合金化していることが確認でき、特に、Pd(111)ピークは、合金化により、回折ピークが広角度へシフトしている。又、各元素のモル比Pd:Co:Au=0.38:0.45:0.17は、XRF測定より算出した。
次に、得られたPdCoAu/C試験電極について、以下の方法により0.5M硫酸水溶液中、80℃で3電極式の電気化学セルを用いて、電気化学試験を行った。以下、電位は、0.5M硫酸中での水素電極(RHE)に対する電位で示す。
硫酸水溶液中に酸素ガスを約30分間バブリングさせることにより、セル内の雰囲気を酸素飽和とした後、電位走査(電位走査範囲:0.05〜1.0V、走査速度100mV/s)を150回行った。上記操作は、強酸性、80℃、酸素飽和下で、電位サイクルを150回施すといった過酷な条件であり、上記操作後の触媒の活性は、その耐久性を反映させたものといえる。次に電位を1.0Vで15秒保持後、1.0Vから0.30Vまで電位を0.05V間隔に変化させて酸素還元電流値を測定した(電位ごとのホールド時間は60秒間とし、各電位ごとの電流値はホールド時間内における20秒以降の40秒間の平均値とする)。
酸素還元電流値が0.01mA(電極上のパラジウム1gあたりの酸素還元電流値が8.7A/gに相当)を超える電位は、0.645Vであった。
参考実施例10において、5質量%の塩化パラジウム(II)塩酸水溶液(アルドリッチ社製)を0.1質量%に希釈したものを217.7g、Co(NO3)2・6H2O(和光純薬工業(株)製)を0.226g、塩化金(III)酸塩酸水溶液(金含有量17質量%)(アルドリッチ社製)を0.372gにすること以外は、実施例10と同様な操作を施すことによって、PdCoAu合金担持体(PdCoAu/C)を得た。
XRDより、Pd、Co及びAu金属単体は存在せず、合金化していることが確認でき、特に、Pd(111)ピークは、合金化により、回折ピークが広角度へシフトしている。又、各元素のモル比Pd:Co:Au=0.51:0.33:0.16は、XRF測定より算出した。
上記によって得られたPdCoAu/Cの電気化学特性を参考実施例1と同様の方法によって評価したところ、酸素還元電流値が0.01mA(電極上のパラジウム1gあたりの酸素還元電流値が8.7A/gに相当)を超える電位は、0.757Vであった。
先ず、参考実施例10と同様の方法によりPd担持体(Pd/C)を得た。触媒の同定は、XRDにより行った。続いて、Co(NO3)2・6H2O(和光純薬工業(株)製)
0.332g及び塩化金(III)酸塩酸水溶液(金含有量17質量%)(アルドリッチ社製)0.431gを精製水100mlに溶解させ、上記より得られたPd/Cを加え、約10分間超音波ホモジナイザー分散を行った。
上記分散して得られた分散液を、エバポレーターを用い、約60℃で加熱しながら溶媒である精製水を除去した後、10%水素含有アルゴン気流下、300℃で2時間の焼成を行い、次いで窒素気流下、600℃で5時間の焼成を行うことにより、PdCoAu合金担持体(PdCoAu/C)を得た。
XRDより、Pd、Co及びAu金属単体は存在せず、合金化していることが確認でき、特に、Pd(111)ピークは、合金化により、回折ピークが広角度へシフトしている。又、各元素のモル比Pd:Co:Au=0.36:0.47:0.17は、XRF測定より算出した。
上記によって得られたPdCoAu/Cの電気化学特性を参考実施例10と同様の方法によって評価したところ、酸素還元電流値が0.01mA(電極上のパラジウム1gあたりの酸素還元電流値が8.7A/gに相当)を超える電位は、0.511Vであった。
(NH4)[PdCl4](和光純薬工業(株)製)0.288g及びCo(NO3)2・6H2O(和光純薬工業(株)製)0.332gを100mlの精製水に溶解させ、炭素微粒子であるケッチェンブラック(登録商標)EC(ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製、表面積800m2/g、一次粒径39.5nm)を1.0g加え、約10分間超音波ホモジナイザー分散を行った。上記分散液を、エバポレーターを用いて、約60℃で加熱しながら溶媒である精製水を除去した後、10%水素含有アルゴン気流下、300℃で2時間の焼成を行い、次いで窒素気流下、600℃で5時間の焼成を行うことで、PdCo合金担持体(PdCo/C)を得た。
続いて、塩化金(III)酸塩酸水溶液(金含有量17質量%)(アルドリッチ社製)0.431gを精製水100mlに溶解させ、上記より得られたPdCo/Cを加え、約10分間超音波ホモジナイザー分散を行った。上記分散で得られた分散液を、エバポレーターを用い、約60℃で加熱しながら溶媒である精製水を除去した後、窒素気流下、600℃で5時間の焼成を行うことにより、PdCoAu合金担持体(PdCoAu/C)を得た。
XRDより、Pd、Co及びAu金属単体は存在せず、合金化していることが確認でき、特に、Pd(111)ピークは、合金化により、回折ピークが広角度へシフトしている。又、各元素のモル比Pd:Co:Au=0.38:0.42:0.20は、XRF測定より算出した。
上記によって得られたPdCoAu/Cの電気化学特性を参考実施例10と同様の方法によって評価したところ、酸素還元電流値が0.01mA(電極上のパラジウム1gあたりの酸素還元電流値が8.7A/gに相当)を超える電位は、0.548Vであった。
:Au=0.46:0.34:0.20)を以下のように作製し触媒活性を評価した。
先ず、実施例10と同様の方法によりPd担持体(Pd/C)を得た。触媒の同定は、XRDにより行った。
続いて、塩化金(III)酸塩酸水溶液(金含有量17質量%)(アルドリッチ社製)0.431gを精製水100mlに溶解させ、上記より得られたPd/Cを加え、約10分間超音波ホモジナイザー分散を行った。上記分散液を、エバポレーターを用い、約60℃で加熱しながら溶媒である精製水を除去した後、窒素気流下、600℃で5時間の焼成を行うことにより、PdAu合金担持体(PdAu/C)を得た。
続いて、Co(NO3)2・6H2O(和光純薬工業(株)製)0.332gを精製水100mlに溶解させ、上記より得られたPdAu/Cを加え、約10分間超音波ホモジナイザー分散を行った。上記分散液を、エバポレーターを用いて、約60℃で加熱しながら溶媒である精製水を除去した後、10%水素含有アルゴン気流下、300℃で2時間の焼成を行い、次いで窒素気流下、600℃で5時間の焼成を行うことにより、PdCoAu合金担持体(PdCoAu/C)を得た。
XRDより、Pd、Co及びAu金属単体は存在せず、合金化していることが確認でき、特に、Pd(111)ピークは、合金化により、回折ピークが広角度へシフトしている。又、各元素のモル比Pd:Co:Au=0.46:0.34:0.20は、XRF測定より算出した。
上記によって得られたPdCoAu/Cの電気化学特性を参考実施例10と同様の方法によって評価したところ、酸素還元電流値が0.01mA(電極上のパラジウム1gあたりの酸素還元電流値が8.7A/gに相当)を超える電位は、0.575Vであった。
比較例11−4として、 Pd担持体(Pd/C)を参考実施例10と同様の方法によって評価したところ、酸素還元電流値が0.01mA(電極上のパラジウム1gあたりの酸素還元電流値が8.7A/gに相当)を超える電位は、0.590Vであった。
以上、参考実施例10、参考実施例11及び比較例11−1〜11−4をまとめると表2のようになり、本発明による触媒及び製造方法が、固体高分子型燃料電池用カソード触媒として優れていることは明確である。
表(2)は、参考実施例10、参考実施例11、比較例11−1、比較例11−2、比較例11−3および比較例11−4の合金触媒組成とORR開始電位の一覧表である。
PdCoAu合金担持体(PdCoAu/C)(Pd:Co:Au=0.37:0.48:0.15)を以下のように作製し触媒活性を評価した。
<逆ミセル溶液(A)の作製>
ビス(エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(AOT)(和光純薬工業(株)製)61.7gを、ヘプタン(和光純薬工業(株)製)213mlに溶解させた。(NH4)2[PdCl6](和光純薬工業(株)製)0.103g、Co(NO3)2・6H2O(和光純薬工業(株)製)0.0943g、HAuCl4・nH2O(アルドリッチ社製)を30質量%水溶液に調製したもの0.122gを24.9gの精製水に溶解させた。上記2種の溶液を混合し、氷浴中、窒素バブリングをしながら、約20分間超音波ホモジナイザー分散とマグネティックスターラーによる攪拌を両立させた状態を施し、逆ミセル溶液を作製した。作製後、更に約30分間の窒素バブリングを施し、溶存酸素を十分に除去した。
ビス(エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(AOT)(和光純薬工業(株)製)61.7gを、ヘプタン(和光純薬工業(株)製)213mlに溶解させた。NaBH4(和光純薬工業(株)製)を1.74g、NaOH(和光純薬工業(株)製)を1mol/lの水溶液に調製したものを3g調製し、これらを22.1gの精製水に溶解させた。上記2種の溶液を混合し、氷浴中、窒素バブリングをしながら、約20分間超音波ホモジナイザー分散とマグネティックスターラーによる攪拌を両立させた状態を施し、逆ミセル溶液を作製した。作製後、更に約30分間の窒素バブリングを施し、溶存酸素を十分に除去した。
逆ミセル溶液(A)に逆ミセル溶液(B)を混合し、60℃下、窒素バブリングをしながら、約30分間超音波ホモジナイザー分散とマグネティックスターラーによる攪拌を両立させた状態を施して、反応させた。次いで、炭素微粒子であるケッチェンブラック(登録商標)EC(ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製、表面積800m2/g、一次粒径39.5nm)0.284gを加え、上記記載と同条件で約10分間超音波ホモジナイザー分散とマグネティックスターラーによる攪拌を両立させた状態を施した。更に、室温下でマグネティックスターラーによる攪拌を約1.5時間行った後、吸引ろ過により取り出した。精製水とアセトンで十分に洗浄した後、デシケーター中で乾燥させた。
次に、10%水素含有アルゴン気流下、900℃で1時間の焼成を行うことで、PdCoAu合金担持体(PdCoAu/C)を得た。
XRDより、Pd、Co及びAu金属単体は存在せず、合金化していることが確認でき、PdCoAu三元合金は単相であることが分かった。特に、Pd(111)ピークは2θ=41.24°で、合金化により回折ピークが広角度へシフトしている(図18を参照)。
又、各元素のモル比Pd:Co:Au=0.37:0.48:0.15は、ICP発光測定より算出した。
上記によって得られたPdCoAu/Cの電気化学特性を下記の方法によって評価した。まず、触媒担持体の粉末10mgに50質量%エタノール水溶液を加え10gに調製し、超音波を印加して分散させ、0.1%触媒懸濁液を得た。この触媒懸濁液を15μl採取し、鏡面研磨したグラッシーカーボン電極(直径6mm)上に滴下し、乾燥機において50℃で乾燥させた。次に導電性樹脂溶液(アシプレックス、旭化成ケミカルズ登録商標、含有量0.15%エタノール溶液)を10μl滴下し、窒素雰囲気中、120℃で2時間乾燥することで固定化し、PdCoAu/C試験電極を作製した。
次に、得られたPdCoAu/C試験電極について、以下の方法により0.5M硫酸水溶液中、25℃で3電極式の電気化学セルを用いて、電気化学試験を行った。以下、電位は、0.5M硫酸中での水素電極(RHE)に対する電位で示す。
まず、硫酸水溶液中に窒素ガスを30分バブリングさせることにより溶存酸素を除き、電位走査(電位走査範囲:0.05〜1.0V、走査速度200mV/s)を100回行なって試験電極表面を洗浄した。つぎに電位を1.0Vで15秒保持後、1.0Vから0.3Vまで電位を5mV/sの速度で掃引し、電流値を測定した。次に、酸素ガスを30分バブリングさせることで、セル内の雰囲気を酸素飽和とした後、同様の電位走査により酸素還元電流値を測定した。結果を図19に示す。
電極上のパラジウム1gあたりの酸素還元電流値と窒素雰囲気での電流値の差が5A/gを超える電位は、0.818Vであった。
比較例としてPd担持体(Pd/C)を以下のように作製し触媒活性を評価した。
5質量%塩化パラジウム(II)塩酸水溶液(アルドリッチ社製)を0.1質量%に希釈したもの179.8gに、炭素微粒子であるケッチェンブラック(登録商標)EC(ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製、表面積800m2/g、一次粒径39.5nm)1.15gを加え、約10分間超音波ホモジナイザー分散を行った。上記分散液に、ヒドラジン・一水和物(和光純薬工業(株)製)を0.05質量%に希釈したものを約2時間程度かけて滴下し、分散液のpHが7になるようにした。滴下後、室温で約1時間攪拌した後、吸引ろ過より取り出し、精製水、エタノールで洗浄した。得られた粉末を、空気中、80℃で約8時間乾燥することで、Pd担持体(Pd/C)を得た。触媒の同定は、XRDにより行った。
上記によって得られたPd/Cの電気化学特性を参考実施例12と同様の方法によって評価した。結果を同様に図19に示す。電極上のパラジウム1gあたりの酸素還元電流値と窒素雰囲気での電流値の差が5A/gを超える電位は、0.791Vであった。
参考実施例12のPdCoAu/Cの作製において、NaBH4の量を0.174gにすること以外は、参考実施例12と同様な操作を施した。
ICP発光測定より、各元素のモル比を測定したところ、Pd:Co:Au=0.47:0.40:0.13となり、Co量は仕込み量より少なく、目的の組成をもつ合金を得ることはできなかった。
PdCoAuTi合金担持体(PdCoAuTi/C)(Pd:Co:Au:Ti=0.29:0.38:0.12:0.21)を以下のように作製し触媒活性を評価した。
<逆ミセル溶液(A)の作製>
ビス(エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(AOT)(和光純薬工業(株)製)の量を46.3gにすること以外は参考実施例12と同様の操作を施すことで溶液を作製した。
<逆ミセル溶液(B)の作製>
参考実施例12と同様の操作を施すことで溶液を作製した。
<PdCoAuTi/Cの作製>
逆ミセル溶液(A)に逆ミセル溶液(B)を混合し、次いでTi(OC3H7)4(和光純薬工業(株)製)0.0408gを加え、更に精製水8.35gを加えた。50℃下、窒素バブリングをしながら、約30分間超音波ホモジナイザー分散とマグネティックスターラーによる攪拌を両立させた状態を施して反応させた。以下、参考実施例1と同様の操作を施すことで、PdCoAuTi合金担持体(PdCoAuTi/C)を得た。
XRDより、Pd、Co、Au及びTi金属単体は存在せず、合金化していることが確認でき、PdCoAuTi四元合金は単相であることが分かった。特に、Pd(111)ピークは2θ=41.14°で、合金化により回折ピークが広角度へシフトしている(図20を参照)。
又、各元素のモル比Pd:Co:Au:Ti=0.29:0.38:0.12:0.21は、ICP発光測定より算出した。
上記によって得られたPdCoAuTi/Cの電気化学特性を下記の方法によって評価した。まず、触媒担持体の粉末10mgに精製水を加え10gに調製し、超音波を印加して分散させ、0.1%触媒懸濁液を得た。この触媒懸濁液を5μl採取し、鏡面研磨したグラッシーカーボン電極(直径6mm)上に滴下し、乾燥機において50℃で乾燥させ、この操作を合計3回繰り返し、触媒懸濁液を15μl採取して電極にのせた。次に導電性樹脂溶液(アシプレックス、旭化成ケミカルズ登録商標、含有量0.15%エタノール溶液)を5μl滴下し、50℃で数時間乾燥することで固定化し、PdCoAuTi/C試験電極を作製した。
次に、得られたPdCoAuTi/C試験電極について、以下の方法により0.5M硫酸水溶液中、60℃で、3電極式の電気化学セルを用いて、回転電極法による電気化学試験を行った。以下、電位は、0.5M硫酸中での水素電極(RHE)に対する電位で示す。
まず、硫酸水溶液中に窒素ガスを30分バブリングさせることにより溶存酸素を除き、電位走査(電位走査範囲:0.05〜1.0V、走査速度200mV/s)を100回行なって試験電極表面を洗浄した。つぎに、回転数2000r/mにし、電位を1.0Vで15秒保持後、1.0Vから0.3Vまで電位を5mV/sの速度で掃引し、電流値を測定した。次に、酸素ガスを30分バブリングさせることで、セル内の雰囲気を酸素飽和とした後、同じく回転数2000r/mにし、同様の電位走査により酸素還元電流値を測定した。結果を図21に示す。
電極上のパラジウム1gあたりの酸素還元電流値と窒素雰囲気での電流値の差が10A/gを超える電位は、0.806Vであった。
PdCoAuNi合金担持体(PdCoAuNi/C)(Pd:Co:Au:Ni=0.33:0.38:0.13:0.16)を以下のように作製し触媒活性を評価した。
<逆ミセル溶液(A)の作製>
ビス(エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(AOT)(和光純薬工業(株)製)46.3gを、ヘプタン(和光純薬工業(株)製)213mlに溶解させた。(NH4)2[PdCl6](和光純薬工業(株)製)を0.103g、Co(NO3)2・6H2O(和光純薬工業(株)製)を0.0943g、HAuCl4・nH2O(アルドリッチ社製)を30質量%水溶液に調製したものを0.122g、NiCl2・2H2O(和光純薬工業(株)製)を0.034g調製し、これらを24.9gの精製水に溶解させた。上記2種の溶液を混合し、氷浴中、窒素バブリングをしながら、約20分間超音波ホモジナイザー分散とマグネティックスターラーによる攪拌を両立させた状態を施し、逆ミセル溶液を作製した。作製後、更に約30分間の窒素バブリングを施し、溶存酸素を十分に除去した。
<逆ミセル溶液(B)の作製>
ビス(エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(AOT)(和光純薬工業(株)製)61.7gを、ヘプタン(和光純薬工業(株)製)213mlに溶解させた。NaBH4(和光純薬工業(株)製)1.74g、NaOH(和光純薬工業(株)製)を1mol/lの水溶液に調製したもの1gを24.0gの精製水に溶解させた。上記2種の溶液を混合し、氷浴中、窒素バブリングをしながら、約20分間超音波ホモジナイザー分散とマグネティックスターラーによる攪拌を両立させた状態を施し、逆ミセル溶液を作製した。作製後、更に約30分間の窒素バブリングを施し、溶存酸素を十分に除去した。
逆ミセル溶液(A)に逆ミセル溶液(B)を混合し、さらに蒸留水12mlを加え、60℃下、窒素バブリングをしながら、約30分間超音波ホモジナイザー分散とマグネティックスターラーによる攪拌を両立させた状態を施し反応させた。次いで、炭素微粒子であるケッチェンブラック(登録商標)EC(ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製、表面積800m2/g、一次粒径39.5nm)0.284gを上記記載と同条件で約10分間超音波ホモジナイザー分散とマグネティックスターラーによる攪拌を両立させた状態を施した。更に、室温下でマグネティックスターラーによる攪拌を約1.0時間行った後、吸引ろ過により取り出した。精製水とアセトンで十分に洗浄した後、デシケーター中で乾燥させた。
次に、10%水素含有アルゴン気流下、900℃で1時間の焼成を行うことで、PdCoAuNi合金担持体(PdCoAuNi/C)を得た。
XRDより、Pd、Co、Au及びNi金属単体は存在せず、合金化していることが確認でき、PdCoAuNi四元合金は単相であることが分かった。特に、Pd(111)ピークは2θ=41.73°で、合金化により回折ピークが高角度へシフトしている(図22を参照)。
上記によって得られたPdCoAuNi/Cの電気化学特性を下記の方法によって評価した。まず、触媒担持体の粉末10mgに精製水を加え10gに調製し、超音波を印加して分散させ、0.1%触媒懸濁液を得た。この触媒懸濁液を5μl採取し、鏡面研磨したグラッシーカーボン電極(直径6mm)上に滴下し、乾燥機において50℃で乾燥させ、この操作を合計3回繰り返し、触媒懸濁液を15μl採取して電極にのせた。次に導電性樹脂溶液(アシプレックス、旭化成ケミカルズ登録商標、含有量0.15%エタノール溶液)を5μl滴下し、50℃で数時間乾燥することで固定化し、PdCoAuNi/C試験電極を作製した。
次に、得られたPdCoAuNi/C試験電極について、以下の方法により0.5M硫酸水溶液中、60℃で、3電極式の電気化学セルを用いて、回転電極法による電気化学試験を行った。以下、電位は、0.5M硫酸中での水素電極(RHE)に対する電位で示す。
まず、硫酸水溶液中に窒素ガスを30分バブリングさせることにより溶存酸素を除き、電位走査(電位走査範囲:0.05〜1.0V、走査速度200mV/s)を100回行なって試験電極表面を洗浄した。つぎに、回転数2000r/mにし、電位を1.0Vで15秒保持後、1.0Vから0.3Vまで電位を5mV/sの速度で掃引し、電流値を測定した。次に、酸素ガスを30分バブリングさせることで、セル内の雰囲気を酸素飽和とした後、同じく回転数2000r/mにし、同様の電位走査により酸素還元電流値を測定した。結果を図23に示す。
電極上のパラジウム1gあたりの酸素還元電流値と窒素雰囲気での電流値の差が10A/gを超える電位は、0.808Vであった。
PdCoAuFe合金担持体(PdCoAuFe/C)(Pd:Co:Au:Fe=0.33:0.38:0.13:0.16)を以下のように作製し触媒活性を評価した。
<逆ミセル溶液(A)の作製>
ビス(エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(AOT)(和光純薬工業(株)製)46.3gを、ヘプタン(和光純薬工業(株)製)213mlに溶解させた。(NH4)2[PdCl6](和光純薬工業(株)製)0.103g、Co(NO3)2・6H2O(和光純薬工業(株)製)0.0943g、HAuCl4・nH2O(アルドリッチ社製)を30質量%水溶液に調製したもの0.122g、Fe(NO3)3・9H2O(和光純薬工業(株)製)0.058gを24.9gの精製水に溶解させた。上記2種の溶液を混合し、氷浴中、窒素バブリングをしながら、約20分間超音波ホモジナイザー分散とマグネティックスターラーによる攪拌を両立させた状態を施し、逆ミセル溶液を作製した。作製後、更に約30分間の窒素バブリングを施し、溶存酸素を十分に除去した。
<逆ミセル溶液(B)の作製>
実施例2と同様の操作を施すことで溶液を作製した。
<PdCoAuFe/Cの作製>
逆ミセル溶液(A)に逆ミセル溶液(B)を混合し、さらに蒸留水12mlを加え、6
0℃下、窒素バブリングをしながら、約30分間超音波ホモジナイザー分散とマグネティックスターラーによる攪拌を両立させた状態を施して反応させた。次いで、炭素微粒子であるケッチェンブラック(登録商標)EC(ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製、表面積800m2/g、一次粒径39.5nm)0.284gを上記記載と同条件で約10分間超音波ホモジナイザー分散とマグネティックスターラーによる攪拌を両立させた状態を施した。更に、室温下でマグネティックスターラーによる攪拌を約1.0時間行った後、吸引ろ過により取り出した。精製水とアセトンで十分に洗浄した後、デシケーター中で乾燥させた。
次に、10%水素含有アルゴン気流下、900℃で1時間の焼成を行うことにより、PdCoAuFe合金担持体(PdCoAuFe/C)を得た。
XRDより、Pd、Co、Au及びFe金属単体は存在せず、合金化していることが確認できる。特に、Pd(111)ピークは2θ=41.06°で、合金化により回折ピークが高角度へシフトしている(図24を参照)。
上記によって得られたPdCoAuFe/Cの電気化学特性を下記の方法によって評価した。まず、触媒担持体の粉末10mgに精製水を加え10gに調整し、超音波を印加して分散させ、0.1%触媒懸濁液を得た。この触媒懸濁液を5μl採取し、鏡面研磨したグラッシーカーボン電極(直径6mm)上に滴下し、乾燥機において50℃で乾燥させ、この操作を合計3回繰り返し、触媒懸濁液を15μl採取して電極にのせた。次に導電性樹脂溶液(アシプレックス、旭化成ケミカルズ登録商標、含有量0.15%エタノール溶液)を5μl滴下し、50℃で数時間乾燥することで固定化し、PdCoAuFe/C試験電極を作製した。
まず、硫酸水溶液中に窒素ガスを30分バブリングさせることにより溶存酸素を除き、電位走査(電位走査範囲:0.05〜1.0V、走査速度200mV/s)を100回行なって試験電極表面を洗浄した。つぎに、回転数2000r/mにし、電位を1.0Vで15秒保持後、1.0Vから0.3Vまで電位を5mV/sの速度で掃引し、電流値を測定した。次に、酸素ガスを30分バブリングさせることで、セル内の雰囲気を酸素飽和とした後、同じく回転数2000r/mにし、同様の電位走査により酸素還元電流値を測定した。結果を図25に示す。
電極上のパラジウム1gあたりの酸素還元電流値と窒素雰囲気での電流値の差が10A/gを超える電位は、0.770Vであった。
2 テフロン被覆領域
3 膜形成領域
4 ポテンシオスタット/ガルバノスタット
5,6 温度調整浴
7 電気化学半電池セル
8 作用電極
9 対極
10 基準電極
12 電解質
13,14 ガス入口
15 気泡管
16 塩橋
17 液絡
18 ゴム栓
19 飽和KCl溶液
Claims (6)
- 固体高分子型燃料電池における酸素還元反応のための合金触媒であって、Pd,Co,Auからなり、かつ、Pdが20原子%≦Pd<70原子%、Coが30原子%≦Co<70原子%、Auが0原子%<Au≦30原子%からなる上記合金触媒に、更にTi、Fe、及びNiからなる群から選択される1種以上を合金中のモル比率が25%以下となるよう添加してなる合金触媒。
- 炭素を含有する担体上に、請求項1に記載の合金触媒を担持して成る固体高分子型燃料電池用カソード触媒。
- プロトン電解質膜、アノード触媒層および請求項2に記載のカソード触媒を含有するカソード触媒層を含んで成る固体高分子型燃料電池用の膜/電極接合体。
- 請求項3に記載の膜/電極接合体を含んで成る固体高分子型燃料電池。
- Pd溶液に炭素粉末を分散させた後、還元剤を滴下して得られる、炭素粉末上にPdを担持しているPd担持体を製造する工程(1)と、次いで、該Pd担持体を、Co溶液に分散させた後、溶媒を除去して得られたPdCo担持体、或いは、該Pd担持体を、Co溶液に分散させた後、更に還元剤又はpH調整剤を滴下し、それから濾過をして得られたPdCo担持体を、水素ガス又は水素ガス含有不活性ガス雰囲気下で第一回目の焼成を行い、引き続き、不活性ガス雰囲気下で第二回目の焼成を行って、PdCo合金を炭素粉末上に担持しているPdCo合金担持体を製造する工程(2)と、次いで、該PdCo合金担持体を、Au溶液に分散させた後、溶媒を除去して得られたPdCoAu担持体、或いは、該PdCo合金担持体を、Au溶液に分散させた後、更に還元剤を滴下し、それから濾過をして得られたPdCoAu担持体を、不活性ガス雰囲気下で第三回目の焼成を行って、PdCoAu合金を炭素粉末上に担持しているPdCoAu合金担持体を製造する工程(3)を含んで成る、請求項2に記載の固体高分子型燃料電池用カソード触媒の製造方法。
- ミセル内部に少なくともPd水溶液、Co水溶液、Au水溶液を含む有機溶媒中の逆ミセル溶液(A)と、ミセル内部に少なくとも逆ミセル溶液(A)中の全金属イオンに対して10当量〜150当量の還元剤を含有する有機溶媒中の逆ミセル溶液(B)とを逆ミセ
ル溶液(A)及び(B)の混合後の逆ミセル内部のpHが、9〜13の状態となるように、該有機溶媒を含んだまま混合撹拌して、Pd、Au金属単体及び、Coの水酸化物を析出させ、引き続き、反応系内に炭素粉末を添加撹拌して、得られたPd、Au金属単体及び、Coの水酸化物を担持した炭素粉末の担持体を得て、その後、反応系内からろ別した該炭素粉末の担持体を、焼成することを含んで成る、請求項2に記載の固体高分子型燃料電池用カソード触媒の製造方法。
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