以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、図1を参照して、本発明を適用した光造形装置における光造形の方式であるタイリング方式について説明する。
一般に、光造形において、光ビームを走査する範囲、または、空間光変調器を用いて光を照射する範囲を小さくすることで、立体モデルの輪郭を高精度に形成することができ、これにより、立体モデルの寸法精度を向上させることができる。そこで、例えば、光造形の作業が行われる全領域であるワーク全体領域を、複数のワーク小領域に分割し、ワーク小領域ごとに一括露光とビームスキャンを行うタイリング方式が提案されている。
図1Aには、ワーク全体領域が示されており、図1Bには、ワーク全体領域の一部であるワーク小領域が示されている。
図1において、ワーク全体領域の縦×横は10cm×10cmであり、ワーク小領域の縦×横は1cm×1cmである。即ち、ワーク全体領域は、縦×横が10個×10個のワーク小領域により分割されている。
図1Aに示すように、ワーク全体領域の中央付近のハッチングが施されている領域が、立体モデルの断面形状データに応じた露光領域であり、このワーク全体領域の下から2行目であって、左から3列目にあるワーク小領域が拡大されて、図1Bに示されている。
ここで、一括露光においては、縦×横が1000画素×1000画素である空間光変調器が用いられているとすると、図1Bに示すように、ワーク小領域は、空間光変調器の画素に応じて、縦×横が1000個×1000個の単位領域(即ち、空間光変調器の1画素に対応する領域)に分割される。ワーク小領域の縦×横が1cm×1cmであるので、単位領域の縦×横は10μm×10μmとなる。
また、図1Bでは、断面形状データの輪郭線が、2点鎖線で表されており、一括露光により露光される単位領域に、斜線のハッチングが施されている。即ち、一括露光では、輪郭線より内側にある単位領域が露光されており、断面形状データの輪郭線が重なっている単位領域、および断面形状データの輪郭線より外側にある単位領域は、露光されない。
そして、一括露光が行われた後、断面形状データの輪郭線の内側に沿ってビームスキャンが行われ、輪郭線の内側の領域であって、一括露光により露光されていない領域が露光される。
ここで、断面形状データを含むワーク小領域からなる矩形の領域内(図1において、破線で示されている領域)において、断面形状データに基づく露光が行われるが、ワーク小領域に対する断面形状データの配置が適切でないと、処理の効率が悪くなる。また、ドットのハッチングが施されている領域のワーク小領域では、断面形状データの領域が、その中央に偏った(歪んだ)(中途半端な)形状となるため、造形される硬化層の精度が低下することがあった。
そこで、本発明を適用した光造形装置では、高精度な造形物を効率よく処理を行うことができるようにする。
図2は、本発明を適用した光造形装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
図2において、光造形装置11は、一括露光光学系12、ビームスキャン光学系13、偏光ビームスプリッタ14、対物レンズ15、ワーク部16、および制御部17から構成され、光硬化性樹脂である紫外線硬化樹脂51に光(紫外線)を照射して光造形を行う。なお、図2では、制御部17が光造形装置11を構成する各ブロックを制御することを表す線のうちの一部の図示は、図が煩雑になるため、省略してある。
一括露光光学系12は、ワーク部16にある紫外線硬化樹脂51の表面を一括して露光する一括露光を行うための光学系であり、光源21、シャッタ22、偏光板23、ビームインテグレータ24、ミラー25、空間光変調器26、および集光レンズ27から構成される。
光源21としては、例えば、高出力な青色LEDをアレイ状に配置したものを用いることができ、光源21は、一括露光を行うための光を放射する。なお、光源21としては、コヒーレントなレーザ光源を用いる必要はない。
シャッタ22は、制御部17の制御に従って、光源21から放射される光の通過または遮蔽を制御し、一括露光光学系12による露光のオン/オフを制御する。
偏光板23は、シャッタ22を通過した光を所定の偏光光とする。即ち、偏光板23は、透過型の液晶パネルからなる空間光変調器26が、光源21からの光を空間変調することができるように、その光を偏光する。
ビームインテグレータ24は、偏光板23により偏光された光を均一化する。ビームインテグレータ24としては、複数のレンズエレメントを配列してなるフライアイタイプや、四角柱等の柱状のロッドレンズの内部を全反射させる構成としてなるライトロッドタイプ等の一般的なものが用いられる。
ミラー25は、ビームインテグレータ24により均一化された光を空間光変調器26に向かって反射する。
空間光変調器26は、例えば、透過型の液晶パネルからなり、ミラー25により反射された光が、紫外線硬化樹脂51上の断面形状データに応じた照射領域を露光するように、制御部17の制御に従い、その光の一部を空間変調する。
即ち、空間光変調器26には、断面形状データに応じて、液晶パネルの各画素を駆動させる駆動信号が制御部17から供給され、空間光変調器26は、その駆動信号に基づいて、照射領域に対応する画素の液晶の分子の配列を変えて透過する偏光方向を変化させる。これにより、空間光変調器26は、液晶パネルを通過する光を空間変調し、液晶パネルの1画素に対応する領域を、露光を行う単位領域として、断面形状データに応じた形状の光を紫外線硬化樹脂51に投影する。
集光レンズ27は、空間光変調器26により空間変調された光が対物レンズ15を通過する際のディストーションを補正するためのレンズ群により構成され、空間光変調器26により空間光変調された光を、偏光ビームスプリッタ14の反射透過面上の対物レンズ15の前焦点に集光する。例えば、集光レンズ27と対物レンズ15とが対称光学系となるように、それぞれのレンズ群を構成することで、ディストーションを少なくすることができる。
ビームスキャン光学系13は、ワーク部16の紫外線硬化樹脂51の表面にレーザ光を走査させてビームスキャン露光を行うための光学系であり、光源31、コリメータレンズ32、アナモルフィックレンズ33、ビームエキスパンダ34、ビームスプリッタ35、シャッタ36、ガルバノミラー37および38、リレーレンズ39および40、並びに、反射光モニタ部41から構成される。
光源31は、例えば、青から紫外域程度の比較的に波長の短いレーザ光を放射する半導体レーザであり、ビームスキャン光学系13によりビームスキャンを行うための光ビームを放射する。なお、光源31としては、半導体レーザ以外に、ガスレーザなどを用いてもよい。
コリメータレンズ32は、光源31から放射される光ビームの発散角を変換して略平行光とする。アナモルフィックレンズ33は、コリメータレンズ32により略平行光とされた楕円形状の光ビームを整形して略円形状にする。
ビームエキスパンダ34は、アナモルフィックレンズ33により略円形状にされた光ビームのビーム径(ビームの直径)を、対物レンズ15の開口、NA(開口数)等に適した所望のビーム径に変換してビーム径のサイズ調整を行う。
ビームスプリッタ35は、光源31から照射される光ビームを透過させて、ワーク部16にある紫外線硬化樹脂51に向かわせるとともに、紫外線硬化樹脂51で反射され、各光学系を通過してくる戻り光を、反射光モニタ部41に向かって反射する。
シャッタ36は、制御部17の制御に従って、ビームスプリッタ35を透過した光ビームの通過または遮蔽を制御し、ビームスキャン光学系13によるビームスキャン露光のオン/オフを制御する。なお、光源31が半導体レーザであるときには、半導体レーザにおいて光ビームの放射を直接変調することにより、ビームスキャン露光のオン/オフを制御することができるので、シャッタ36を設けずにビームスキャン光学系13を構成するようにしてもよい。
ガルバノミラー37および38は、所定の方向に回転可能とされた反射手段と、電気信号に応じて反射手段の回転方向の角度を調整する調整手段とを有し、調整手段が反射手段の角度を調整することで、反射手段により反射される光ビームを、所定の方向に走査させる。
即ち、ガルバノミラー37は、シャッタ36を透過した光ビームを、ガルバノミラー38に向かって反射させるとともに、紫外線硬化樹脂51の表面である液面に平行な面内の所定の一方向であるX方向に走査させる。ガルバノミラー38は、ガルバノミラー37により反射された光ビームを、偏光ビームスプリッタ14に向かって反射させるとともに、紫外線硬化樹脂51の表面である液面に平行な面内の、X方向に直交する方向であるY方向に走査させる。
リレーレンズ39および40は、一又は複数のレンズを有するレンズ群からなり、ガルバノミラー37および38により光ビームがスキャンされるスキャン角度にわたり、平行入射光ビームを平行に出射する。即ち、リレーレンズ39は、ガルバノミラー37で反射された光ビームを、ガルバノミラー38上に結像し、リレーレンズ40は、ガルバノミラー38で反射された光ビームを、偏光ビームスプリッタ14の反射透過面上に結像する。
このように、ガルバノミラー37とガルバノミラー38との間にリレーレンズ39を設け、ガルバノミラー38と偏光ビームスプリッタ14との間にリレーレンズ40を設けることで、近接する位置に配置されていないガルバノミラー37とガルバノミラー38とにより光ビームをスキャンさせても、偏光ビームスプリッタ14の反射透過面上に光ビームを結像させ、一括露光光学系12からの光と合成させることができる。
反射光モニタ部41は、紫外線硬化樹脂51の表面で反射された戻り光を、例えば、非点収差法や三角測量法を用いて検出する。反射光モニタ部41により検出される戻り光は、ビームスキャン光学系13から紫外線硬化樹脂51に照射される光ビームのフォーカス調整などに利用される。例えば、反射光モニタ部41により検出された戻り光に基づいて、ビームエキスパンダ34が有する複数のレンズを駆動させてビーム径のサイズを調整したり、ビームエキスパンダ34を透過した光ビームの平行度を調整するレンズを設けて、そのレンズによりビーム径のサイズを調整したりすることができる。また、反射光モニタ部41により検出された戻り光に基づいて、空間光変調器26や対物レンズ15を光軸方向に移動させることで、一括露光において紫外線硬化樹脂51に結像される光のフォーカスを調整することができる。
偏光ビームスプリッタ14は、一括露光光学系12からの光と、ビームスキャン光学系13からの光ビームとを合成し、それらの光を紫外線硬化樹脂51に導く。なお、偏光ビームスプリッタ14は、その反射透過面が、対物レンズ15の前側焦点位置に一致するように配置されている。
対物レンズ15は、一又は複数のレンズを有するレンズ群からなり、一括露光光学系12からの光を紫外線硬化樹脂51の表面に結像させるとともに、ビームスキャン光学系13からの光ビームを集光する。
また、対物レンズ15は、ビームスキャン光学系13のガルバノミラー37および38により偏向された光ビームが、紫外線硬化樹脂51の表面において等速度で走査されるように、即ち、紫外線硬化樹脂51の表面において均一な走査線速度で走査されるように構成されている。
例えば、対物レンズ15としては、入射角θに比例した像高Yをもち、焦点距離fと入射角θとの積が像高Yとなるような関係(Y=f×θ)を有する所謂fθレンズが用いられる。換言すると、fθレンズは、走査される光ビームの走査速度が、レンズへの入射位置によらず、常に一定となるように設計されたレンズである。このような対物レンズ15を用いることで、走査線速度がばらつくことによる設計形状と実際の硬化層の形状とに違いが発生することを防止することができ、高精細な造形が実現される。
ワーク部16は、収容容器52、ステージ53、駆動部54から構成される。
収容容器52は、液状の紫外線硬化樹脂51を収容する。
ステージ53は、収容容器52の紫外線硬化樹脂51に浸漬され、紫外線硬化樹脂51の表面である液面に対して直交する垂直方向(図2の矢印Zの方向)、および、液面に沿う方向(即ち、矢印Zの方向に対して垂直なX−Y方向)に移動可能とされる。
駆動部54は、制御部17の制御に従い、収容容器52およびステージ53を駆動する。例えば、駆動部54は、露光が行われるワーク小領域(図1)ごとに、X−Y方向にステージ53を移動させ、立体モデルの硬化層が1層形成されるごとに1ステップずつステージ53をZ方向下方に硬化層の厚さ(図2および4の厚さd)に従って移動させる。また、駆動部54は、紫外線硬化樹脂51の表面が、対物レンズ15の後側焦点位置に一致するように、収容容器52を垂直方向に駆動する。
制御部17は、光源21を制御して、光源21からの光の放射をオン/オフさせたり、シャッタ22を制御して、紫外線硬化樹脂51の露光をオン/オフさせたり、駆動部54を制御して、収容容器52およびステージ53を駆動させる。また、制御部17は、立体モデルの断面形状データに基づいて、照射領域に対応する空間光変調器26の画素が光を透過するように、空間光変調器26の各画素を駆動する駆動信号を空間光変調器26に供給する。
ここで、制御部17は、ワーク全体領域に対する断面形状データの位置を調整して、処理を効率よく行うことができるようにする。
図3を参照して、断面形状データの位置が調整されたワーク全体領域の例について説明する。
図3には、図1と同様のワーク全体領域が示されている。また、図3では、断面形状データが内接する矩形の領域(以下、適宜、マックスボックスと称する)が、破線で示されている。
図3に示すように、制御部17は、マックスボックスの左下の頂点Pが、ワーク小領域の交点に一致するように、即ち、マックスボックスの左辺と下辺を、ワーク小領域の境界線に一致させるように断面形状データを移動させる。このように断面形状データを移動させることにより、効率よく処理を行うことができる。
即ち、例えば、断面形状データを分割するワーク小領域の数を少なくすること、具体的には、図1の例では、断面形状データを分割するワーク小領域の数は56(7×8)であったが、図3の例では、断面形状データを分割するワーク小領域の数を42(6×7)にすること(約25%の削減)ができる。従って、露光処理を行う対象となるワーク小領域の数が減るので、露光処理に必要な時間を短縮すること、即ち、立体モデルの造形時間を短縮(最適化)することができる。
また、図3のマックスボックスにおいて、右側のワーク小領域では、断面形状データの領域が左側に偏っている。そこで、このような偏りを解消する例が考えられる。なお、マックスボックスの右側の頂点を、ワーク小領域の交点に一致させた場合には、左側のワーク小領域で、断面形状データの領域が右側に偏ることになる。
次に、図4を参照して、断面形状データの位置が調整されたワーク全体領域の他の例について説明する。
図4のワーク全体領域では、マックスボックス内のワーク小領域のX方向の寸法が調整されている。
即ち、マックスボックス内のワーク小領域のX方向の寸法Lx’は、次の式(1)で表される。
Lx’=Lx+(Mx−Lx×Nx)/Nx ・・・(1)
但し、式(1)において、Lxは、ワーク小領域の初期値として設定されている寸法であって、図1に示したように、例えば、1cmである。また、Mxは、マックスボックスのX方向の寸法であり、Nxは、マックスボックス内のX方向に配置されるワーク小領域の数である。
このようにマックスボックス内のワーク小領域のX方向の寸法Lx’を決定することで、マックスボックス内のワーク小領域のそれぞれについてのX方向の寸法Lx’が均等に決定される。また、マックスボックス内のワーク小領域からなる領域(図4では6×6のワーク小領域からなる領域)の形状が、マックスボックスの形状と一致、即ち、マックスボックスの四辺が、ワーク小領域どうしの境界線と一致する。従って、マックスボックス内のワーク小領域における断面形状データの偏り(歪み)も低減させることができる。これにより、ワーク小領域において断面形状データが偏ることにより生じる精度の低下を抑制し、高精度で立体モデルを造形することができる。
また、このようにマックスボックス内のワーク小領域のX方向の寸法Lx’を決定することで、断面形状データを分割するワーク小領域の数を少なくすること、図4の例では、断面形状データを分割するワーク小領域の数を36(6×6)にすること(図1の例より約36%の削減)ができる。これにより、造形時間をさらに短縮することができる。
なお、図3および4において、断面形状データ内に示されている座標は、断面形状データの移動や回転などの処理を行う際に基準となる座標である。また、マックスボックス内のワーク小領域のX方向の寸法Lx’を大きくした結果、ワーク小領域が空間光変調器26により一括露光が可能な領域より広くなったときには、その領域は、ビームスキャン光学系13により露光される。
次に、図5は、光造形装置11による光造形を行う処理を説明するフローチャートである。
例えば、光造形装置11に、CADで作成された立体モデルの3次元形状データが入力され、光造形を開始する操作が行われると、ステップS11において、制御部17は、CADで作成された立体モデルの3次元形状データをSTLに変換するプログラムを実行し、立体モデルの3次元形状データをSTLに変換する。
ステップS11の処理後、処理はステップS12に進み、制御部17は、STLに変換された3次元形状データから立体モデルの断面形状データを作成し、処理はステップS13に進む。また、立体モデルの断面形状データを作成する際に、例えば、立体モデルの姿勢および向きが決定され、造形中における立体モデルの転倒を防止するための部材を造形するためのデータなどが作成される。
ステップS13において、制御部17は、ステップS12の処理で作成された断面形状データのマックスボックスを設定し、図3または図4を参照して説明したように、マックスボックスの1頂点が、ワーク小領域の交点と一致するように、断面形状データの位置を調整する。そして、制御部17は、ワーク小領域の交点と一致するマックスボックスの頂点Pを原点として、ワーク小領域データを作成する。
ステップS13の処理後、処理はステップS14に進み、制御部17は、ステップS13で生成したワーク小領域データに従って、一括露光光学系12の各ブロックを制御し、ワーク小領域を一括露光し、処理はステップS15に進む。
ステップS15において、制御部17は、ステップS13で生成したワーク小領域データに従って、ビームスキャン光学系13の各ブロックを制御し、ワーク小領域をビームスキャン露光する。
ステップS15の処理後、処理はステップS16に進み、制御部17は、制御部17は、ステップS12で作成された全ての断面形状データに基づいた露光が行われたか否かを判定する。
ステップS16において、制御部17が、全ての断面形状データに基づいた露光が行われていないと判定した場合、処理はステップS13に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
一方、ステップS16において、制御部17が、全ての断面形状データに基づいた露光が行われたと判定した場合、立体モデルが完成しており、処理は終了する。
以上のように、光造形装置11では、マックスボックスの1頂点が、ワーク小領域の交点と一致するように、断面形状データの位置を調整して、ワーク小領域データを作成するので、図3または図4を参照して説明したように、造形時間を短縮することができるとともに、立体モデルの精度を向上させることができる。
このような光造形装置11を用いて、マイクロチップや、コネクタ、マイクロカプセルなど、または、各種の微細な部品の試作品を造形することができる。そして、例えば、光造形装置11を用いて造形された造形物は、高強度で造形されているので、ニッケルなどでメッキし、その型を転写するときに、積層方向にクラックが生じるようなことがない。
なお、本実施の形態においては、対物レンズ15としてfθレンズが用いられているが、対物レンズ15としては、通常の集光機能を有するレンズを用いることができる。この場合、ガルバノミラー37および38の回転速度を制御することにより、光ビームを均一な走査線速度で走査させるようにビームスキャン光学系13が構成される。また、光ビームをスキャンさせる手段としては、ガルバノミラー37および38以外に、ポリゴンミラー等を用いてもよい。
さらに、空間光変調器26としては、透過型の液晶パネルの他、入力信号に応じて傾き角度が変化する微小な反射ミラーを複数配列してなるデジタルマイクロミラーデバイス(DMD:Digital Micromirror Device)や、反射型液晶素子(LCOS:Liquid Crystal On Silicon)等を用いてもよい。デジタルマイクロミラーデバイスを用いる場合、各マイクロミラーが1単位領域に対応し、偏光版23を設けずに一括露光光学系12を構成することができる。
また、本発明は、空間光変調器26により空間変調された光を、紫外線硬化樹脂51の上方から照射する手法である自由液面法により光造形を行う光造形装置11の他、例えば、空間光変調器26により空間変調された光を、紫外線硬化樹脂51と収容容器52との界面に照射する手法である規制液面法により光造形を行う光造形装置に適用することができる。
例えば、収容容器52の底面をガラスなどの光を透過する材料で構成し、そのガラスと紫外線硬化樹脂51と界面に、空間光変調器26により空間変調された光が、紫外線硬化樹脂51の下方から照射される。即ち、立体モデルの断面形状データに応じた光が照射される紫外線硬化樹脂51の表面は、ガラスと紫外線硬化樹脂51と界面を含むものである。
規制液面法では、収容容器52とステージ53との距離が1層分の硬化層の厚みとなるようにステージ53を配置し、収容容器52の底面のガラスを介して紫外線硬化樹脂51に照射される光により、立体モデルの硬化層が1層形成されるのに応じて、1ステップずつ1層分の硬化層の厚みとなるように垂直方向上方にステージ53を駆動させる処理を繰り返すことにより、立体モデルが形成される。
このように、光が照射される紫外線硬化樹脂51の表面(界面)を、ガラスにより規制することにより、硬化層の1層分の厚みが正確に造形されるので、積層精度を向上させることができ、これにより、立体モデルを高精度に形成することができる。
また、上述した制御部17が行う一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
図7は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)101,ROM(Read Only Memory)102,RAM(Random Access Memory)103は、バス104により相互に接続されている。
バス104には、さらに、入出力インタフェース105が接続されている。入出力インタフェース105には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部106、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部107、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部108、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部109、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア111を駆動するドライブ110が接続されている。
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU101が、例えば、記憶部108に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース105及びバス104を介して、RAM103にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
コンピュータ(CPU101)が実行するプログラムは、例えば、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)等)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア111に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インタネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供される。
そして、プログラムは、リムーバブルメディア111をドライブ110に装着することにより、入出力インタフェース105を介して、記憶部108にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部109で受信し、記憶部108にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM102や記憶部108に、あらかじめインストールしておくことができる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。また、プログラムは、1つのCPUにより処理されるものであっても良いし、複数のCPUによって分散処理されるものであっても良い。
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
11 光造形装置, 12 一括露光光学系, 13 ビームスキャン光学系, 14 偏光ビームスプリッタ, 15 対物レンズ, 16 ワーク部, 17 制御部, 21 光源, 22 シャッタ, 23 偏光版, 24 ビームインテグレータ, 25 ミラー, 26 空間光変調器, 27 集光レンズ, 28 駆動部, 31 光源, 32 コリメータレンズ, 33 アナモルフィックレンズ, 34 ビームエキスパンダ, 35 ビームスプリッタ, 36 シャッタ, 37および38 ガルバノミラー, 39および40 リレーレンズ, 41 反射光モニタ部, 51 紫外線硬化樹脂, 52 収容容器, 53 駆動部