JP5042674B2 - ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
架橋剤の存在下でアクリル酸系単量体を主成分とする単量体水溶液を重合する工程、および加熱乾燥する工程を含み、
該架橋剤が、エチレンオキサイド繰り返し単位合計が6〜200のポリエチレングリコール構造単位を有する多官能(メタ)アクリレート系架橋剤であり、
該単量体水溶液中に、該多官能(メタ)アクリレート系架橋剤に対して0.1〜30質量%の、ポリエチレングリコール構造単位を有するモノ(メタ)アクリレート系化合物を共存させる。
架橋剤の存在下でアクリル酸系単量体を主成分とする単量体水溶液を重合する工程、および加熱乾燥する工程を含み、
該架橋剤が、エチレンオキサイド繰り返し単位合計が6〜200のポリエチレングリコール構造単位を有する多官能(メタ)アクリレート系架橋剤であり、
該多官能(メタ)アクリレート系架橋剤のエチレンオキサイド繰り返し単位の分布指数で規定される分子量分布が50〜100%である。
本明細書において、架橋された吸水性樹脂とは、重合体に架橋構造を導入した水膨潤性水不溶性重合体を言う。「水膨潤性」とは、生理食塩水に対して、無加圧下での吸収倍率(GVs)が3g/g以上、好ましくは5〜200g/g、より好ましくは20〜100g/gであることをいう。「水不溶性」とは、樹脂中の水可溶分が0〜50質量%、好ましくは0〜25質量%、より好ましくは0〜15質量%、さらに好ましくは0〜10質量%の、実質的に水不溶性であることをいう。これらの測定法は後述する。
本発明において、「アクリル酸系単量体」とは、アクリル酸および/またはアクリル酸塩をいう。
本発明においては、内部架橋剤として、エチレンオキサイド繰り返し単位合計が6〜200のポリエチレングリコール構造単位を有する多官能(メタ)アクリレート系架橋剤を使用する。1つの実施形態では特定のモノ(メタ)アクリレート化合物を特定量共存させ、また、別の実施形態では該架橋剤の分子量分布を制御する。なお、本発明において、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート、アクリレート、これらの混合物の総称である。本発明においては、好ましくはアクリレートである。
本発明においては、第3の(メタ)アクリレート系化合物として、多官能(メタ)アクリレート系架橋剤に対して、ポリエチレングリコール構造単位を有する(メタ)アクリロイルオキシアクリレート系架橋剤を、好ましくは0.01〜30質量%、より好ましくは0.1〜20質量%、さらに好ましくは1〜10質量%共存させても良い。(メタ)アクリロイルオキシアクリレート系架橋剤を使用すると、重合後の加熱で逆マイケル付加(脱離)による架橋点の切断が起こり、吸収倍率を向上できるので好ましい。
本発明においては、ポリエチレングリコール構造単位を有する多官能(メタ)アクリレート系架橋剤以外の、その他の内部架橋剤を併用してもよい。
本発明において用いる単量体には、さらに他の微量成分を共存させて、物性や重合性を向上させても良い。具体的な化合物としては、重合不活性有機化合物、メトキシフェノール、Fe、アクリル酸ダイマーが挙げられる。これらはppmオーダーで共存させてよい。以下、併用できる微量成分についてさらに説明する。
本発明においては、重合時の単量体中に、物性改良(吸収倍率と可溶分量の関係の改良)のために、溶解度パラメーターが1.0×104〜2.5×104(Jm−3)1/2である重合不活性有機化合物を、重合に用いる総単量体中に1〜1000質量ppm含むことが好ましい。なお、「重合不活性有機化合物」とは、重合性不飽和結合を有しない有機化合物のことで、熱分解あるいは酸化剤/還元剤によるラジカル重合や紫外線、γ線によって重合しない飽和結合を有する化合物または芳香族化合物等の有機化合物を指す。
本発明においては、メトキシフェノール類を重合時に使用することが好ましく、重合に用いる総単量体中、10〜300ppmの範囲で使用することがより好ましい。メトキシフェノール類の含有量が重合に用いる総単量体中、300質量ppmを越える場合、得られる吸水性樹脂の着色(黄ばみ/黄変)の問題が発生する場合がある。また、メトキシフェノール類の含有量が重合に用いる総単量体中、10質量ppm未満の場合、特に5質量ppm未満の場合、例えば、蒸留などの精製によって重合禁止剤であるp−メトキシフェノールを除去した場合、意図的に重合を開始させる前に重合が起きる危険があるのみならず、重合速度がかえって遅くなるおそれがある。メトキシフェノール類は、単量体水溶液に均一に混合するために、アクリル酸や多官能(メタ)アクリレート系架橋剤に溶解して使用することが好ましい。
本発明の吸水性樹脂の製造方法の好ましい1つの実施形態においては、アクリル酸系単量体として、好ましくは、上記重合不活性有機化合物を1〜1000質量ppm含有し、好ましくは、さらにβ−ヒドロキシプロピオン酸および/またはアクリル酸ダイマーを合計量で1〜1000質量ppm(未中和アクリル酸換算質量基準/以下すべて同じ、好ましくは1〜500質量ppm、より好ましくは1〜300質量ppm)含有し、メトキシフェノール類を10〜200ppm含有するアクリル酸系単量体を用いる。このようなアクリル酸系単量体は、任意の適切な方法で得られ得る。
本発明においては、塩基性物質を用いても良い。塩基性物質としては、例えば、炭酸(水素)塩、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、有機アミンが挙げられる。より高物性の吸水性樹脂を得るためには、強アルカリ物質、すなわち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウムが特に好ましい。
重合に際して、重合に用いる単量体に対して、水溶性樹脂や吸水性樹脂を、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜20重量%添加して、得られる吸水性樹脂の諸物性を改善してもよい。また、各種の発泡剤(炭酸塩、アゾ化合物、気泡など)、界面活性剤、キレート剤、連鎖移動剤などを、好ましくは0〜5重量%、より好ましくは0〜1重量%添加して、得られる吸水性樹脂の諸物性を改善してもよい。
上記単量体成分を重合するに際して、性能面や重合の制御の容易さから、通常、上記単量体成分を単量体水溶液として、水溶液重合または逆相懸濁重合を行うことが好ましい。これらの重合は空気雰囲気下で実施してもよく、窒素やアルゴンなどの不活性気体雰囲気(例えば、酸素1%以下)で実施してもよい。好ましくは、不活性気体雰囲気で実施される。また、単量体成分は、その溶解酸素が不活性気体で十分に置換(例えば、酸素1ppm未満)された後に重合に用いられることが好ましい。本発明では、高生産性で高物性である水溶液重合に特に好適であり、特に好ましい水溶液重合として、連続ベルト重合、連続またはバッチニーダー重合が挙げられる。
重合工程によって含水ゲル状架橋重合体が得られる。得られた含水ゲル状架橋重合体は、必要によりゲル粉砕機などを用いて細分化されたのち、さらに乾燥される。
次いで、本発明における表面架橋工程について説明する。本発明においては、乾燥後、必要により粉砕や分級、さらには造粒し、特定の温度条件下で、表面架橋工程が行われることが好ましい。本発明の製造方法で得られる吸水性樹脂は、乾燥後に高物性であり、表面架橋工程を経ることでさらに物性が改良される。
〔形状〕
本発明の製造方法で得られる吸水性樹脂の形状は、任意の適切な形状を採用し得る。例えば、不定形破砕状や球状等の粒子状または粉末状、ゲル状、シート状、棒状、繊維状、フィルム状であってもよく、また、繊維基材などに複合化や担持させてもよい。通常、その用途である吸収物品や園芸緑化を考慮した場合、粒子状または粉末状が好ましい。吸水性樹脂が粒子状または粉末状の場合、造粒された粒子でも良く一次粒子でも良い。
本発明の製造方法で得られる吸水性樹脂は、水に分散させても、表面張力低下を引き起こさずに良好な粉体特性(粉体摩擦特性)や吸湿時の粉体流動性を提供することができる。
本発明の製造方法で得られる吸水性樹脂は吸水性樹脂の相反する基本物性である「吸収倍率」と「水可溶性重合体量」との関係を改善されているため、表面架橋によってさらに高物性となる。
本発明の製造方法で得られる吸水性樹脂は、生理食塩水に対する加圧下吸収倍率(4.8kPa)が、好ましくは15g/g以上、より好ましくは20g/g以上、さらに好ましくは23g/g以上、特に好ましくは25g/g以上である。
本発明の製造方法で得られる吸水性樹脂には、種々の機能を付与させるため、キレート剤、酸化剤、亜硫酸(水素)塩などの還元剤、アミノカルボン酸などのキレート剤、水不溶性無機ないし有機粉末、消臭剤、抗菌剤、高分子ポリアミン、アルミニウム塩などの多価金属塩を、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜1質量%添加してもよい。
本発明の製造方法によれば、無加圧下の吸収倍率(GVs)、加圧下吸収倍率(AAP)、可溶分のバランスに優れた良好な吸収特性を備えた吸水性樹脂を簡便に製造することができる。このような吸水性樹脂は、農園芸や屋上緑化や砂漠緑化用保水剤、土壌改質剤、工業用保水剤、廃液固化剤、吸湿剤、除湿剤、建材、などで広く用いられ、紙おむつ、失禁パット、母乳パット、生理用ナプキンなどの衛生材料に特に好適に用いられる。
吸水性樹脂0.2gを不織布製袋(60mm×60mm)に均一に入れてシールをし、0.90質量%塩化ナトリウム水溶液100gに浸漬した。60分後に袋を引き上げ、遠心分離機を用いて250Gで3分間水切りを行った後、前記不織布製袋の質量W1を測定した。同様の操作について吸水性樹脂を用いないで行い、そのときの質量W2を求め、式(1)により無加圧下での吸収倍率(GVs)を算出した。
式(1):GVs=(W1−W2)/0.2−1
250ml容量の蓋付きプラスチック容器に、0.90質量%塩化ナトリウム水溶液184.3gを測り取り、その水溶液中に吸水性樹脂1.00gを加え、16時間攪拌することにより、樹脂中の可溶分を抽出した。この抽出液を濾紙1枚(ADVANTEC東洋株式会社、品名:(JIS P 3801、No.2)、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を用いて濾過して得られた濾液の50.0gを測り取り、測定溶液とした。
式(2):
可溶分(重量%)=0.1×(平均分子量)×184.3×100×([HCl]−[bHCl])/1000/1.0/50.0
式(3):
中和率(mol%)=(1−([NaOH]−[bNaOH])/([HCl]−[bHCl]))×100
通常、吸収倍率(GVs)が高いほど水可溶分量が増加する傾向にあり、吸水性樹脂では相反するGVs値と水可溶分量(x)の関係が重要である。xが1質量%を超える場合において、その関係の指標としてGEX値を評価した。GEX値が大きいほど高性能である。GVs値をy(g/g)、可溶分量をx(質量%)で表すとき、GEX値を式(4)で定義した。
式(4):GEX値=(y)/ln(x)
乾燥後の吸水性樹脂粉末の残存モノマー(アクリル酸およびその塩)は、250ml容量の蓋付きプラスチック容器に、0.90質量%塩化ナトリウム水溶液184.3gを測り取り、その水溶液中に吸水性樹脂1.00gを加え、2時間攪拌して濾過して得られた濾液を液体クロマトクラフィーでUV分析することで分析した。また、乾燥前の含水ゲルの残存モノマーは、樹脂固形分約500mg分を含む細分化された含水ゲルを16時間攪拌して、その濾液を同様に液体クロマトクラフィーでUV分析し、固形分補正することで求めた。
400メッシュのステンレス製金網(目の大きさ38μm)を円筒断面の一辺(底)に溶着させた内径60mmのプラスチック製支持円筒の底の金網上に、吸水性樹脂(または粒子状吸水剤)0.900gを均一に散布し、その上に外径が60mmよりわずかに小さく支持円筒との壁面に隙間が生じずかつ上下の動きは妨げられないピストン(cover plate)を載置し、支持円筒と吸水性樹脂とピストンの質量W3(g)を測定した。このピストン上に、吸水性樹脂に対してピストンを含め4.9kPaの荷重を均一に加えることができるように調整された荷重を載置し、測定装置一式を完成させた。直径150mmのペトリ皿の内側に直径90mm、厚さ5mmのガラスフィルターを置き、25±2℃に調温した生理食塩水をガラスフィルターの上部面と同レベルになるように加えた。その上に直径9cmの濾紙(トーヨー濾紙(株)製、No.2)を1枚載せて表面が全て濡れるようにし、かつ過剰の液を除いた。
加圧下吸収倍率(AAP:0.90g)(g/g)=(質量W4(g)−質量W3(g))/吸水性樹脂(または粒子状吸水剤)の質量(g)
上記4.9kPaでの加圧下吸収倍率(AAP:0.90g)の測定において、吸水性樹脂の量を0.900gから5.000gに変えた以外は同様の操作をして、加圧下吸収倍率(AAP:5.0g)の値をもとめた。この時、加圧下吸収倍率(AAP:5.0g)が高いものは、膨潤した吸水性樹脂の層の高さが非常に高くなる可能性があるので、使用する支持円筒の高さは十分余裕を持たせておく必要がある。以上の操作で求められた加圧下吸収倍率(AAP:0.90g)、(AAP:5.0g)を用いて、下式により加圧下通液効率(PPUP)を算出した。
加圧下通液効率(PPUP)(%)=(AAP:5.0g(g/g)/AAP:0.90g(g/g))×100
重合中の単量体あるいは重合ゲルの温度を温度計で測定し、開始剤添加から温度の上昇までの時間(分)を誘導時間、さらに、重合系の最高温度(ピーク温度)までの時間をピーク時間とした。
吸水性樹脂粉末を850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、106μm、75μmなどのJIS標準篩(JIS Z8801−1(2000)ないしその相当品)で篩い分けし、残留百分率を対数確率紙にプロットした。これにより、質量平均粒子径(D50)を読み取った。篩い分けは吸水性樹脂粉末10gを室温(20〜25℃)、相対湿度50±5%RHの条件下で上記JIS標準ふるい(The IIDA TESTING SIEVE:内径80mm)に仕込み、ロータップ型ふるい振盪機(株式会社飯田製作所製ES−65型ふるい振盪機)により10分間分級した。さらに、米国特許5026800号公報カラム10(1)に従い、対数標準偏差値(σζ)を算出した。なお、質量平均粒子径(D50)とは、米国特許5026800号公報などにあるように、一定目開きの標準ふるいで粒子全体の50質量%に対応する標準ふるいの粒子径のことである。
ポリエチレングリコール構造単位を有する多官能(メタ)アクリレート系架橋剤の分布指数は、高速液体クロマトグラフィーにより測定した。まず、エチレンオキサイド繰り返し単位(エチレンオキサイド付加数)の異なるポリエチレングリコール構造単位を有する多官能(メタ)アクリレート系架橋剤を分離し、エチレンオキサイド付加数の異なる各フラクションの面積比(面積%)を検出した。次いで、面積比が最大のフラクションに対応するエチレンオキサイド付加数の面積比と、最大のフラクションに対応する付加数±2のフラクションの面積比(面積%)の総和を分布指数とした。
液体クロマトグラフィーを用いてUV分析した。
ガスクロマトグラフ((株)島津製作所社製、GC−7A型)とデータ処理装置((株)島津製作所社製、C−R6A型)を使用し、以下の条件にて、標準試料を用いて定量分析した。
検出器:FID
水素量:30m/min
空気量:0.5L/min
カラム:内径3mm、長さ3.1mの硬質ガラス管
充填剤:Chromosorb Wカラム
恒温槽温度:100℃
試料導入部温度:150℃
キャリヤーガス流量:窒素40mL/min
吸水性樹脂の粉体流動性を評価するために、米国特許公開2005/0118423号公報17頁[0210]記載に従い、最大挿入荷重(PIL)を測定した。なお、測定に際しては、JIS標準篩の目開き600μmの金網を通過し目開き300μmの金網に残留する粒子を分取したサンプルを使用し、PIL測定に際しては、始点0mm〜10mmの範囲(挿入距離0〜10mm)で行う以外は記載に従い、挿入距離0〜10mmの範囲内での最大挿入荷重を測定した。
米国特許公開2004/254553号公報に準じて行った。
十分に洗浄された100mlのビーカーに、20℃に調整された生理食塩水50mlを入れ、まず、生理食塩水の表面張力を表面張力計(K11自動表面張力計、KRUSS社)を用いて測定した。この測定において表面張力の値が71〜75mN/mの範囲でなくてはならない。次に、20℃に調整した表面張力測定後の生理食塩水を含んだビーカーに、十分に洗浄された25mm長のフッ素樹脂製回転子、および吸水剤0.5gを投入し、500rpmの条件で4分間攪拌した。4分後、攪拌を止め、含水した吸水剤が沈降した後に、上澄み液の表面張力を再度同様の操作を行い測定した。なお、本発明では白金プレートを用いるプレート法を採用し、プレートは各測定前に十分洗浄し、且つバーナーで加熱洗浄して使用した。
ポリエチレングリコール構造単位を有するモノ(メタ)アクリレート系化合物とポリエチレングリコール構造単位を有する多官能(メタ)アクリレート系架橋剤を、孔径約2mmのセルロースアセテートフィルターで濾過したイオン交換水に溶解させ、20質量%水溶液に調整した。調整した水溶液を、上記イオン交換水をブランク100%として、光量計(日立製作所製、U−2010 SPECTROPHOTOMETER)を用いて、25±1℃における500nmの光の透過率(%)を測定した。
得られた吸水性樹脂の、吸収体としたときの性能を評価するため、吸収体を作成し、戻り量の評価を行った。
吸水性樹脂粉末2質量部と、木材粉砕パルプ2質量部とを、ミキサーを用いて乾式混合した。得られた混合物を、400メッシュ(目の大きさ=38μm)に形成されたワイヤースクリーン上に広げ、直径90mmφの大きさのウェブに成型した。このウェブを、圧力196.14kPa(2kgf/cm2)で1分間プレスすることにより、坪量が約0.06g/cm2の評価用吸収体を得た。
内径90mmφのSUS製シャーレの底に評価用吸収体を置き、その上に直径90mmφの不織布を敷いた。次に、4.8kPaの荷重が吸収体に均等にかかるように調整されたピストンとおもりを置いた。このピストンとおもりは、中心部分に直径5mmの液投入口を装備しているものを用いた。次に、生理食塩水(0.90質量%の塩化ナトリウム水溶液)25mlを上記評価用吸収体の中心部に注ぎ入れ、吸液させた。30分後、さらに生理食塩水(0.90質量%の塩化ナトリウム水溶液)25mlを上記評価用吸収体の中心部に注ぎ入れ、さらに30分間吸液させた。30分後、上記ピストンとおもりを取り除き、予め総重量(W5(g))を測定した外径90mmφの濾紙(トーヨー濾紙(株)製、No.2)30枚を評価用吸収体の上に置き、さらに、外径90mmφで上記吸収体、不織布、濾紙に均一に荷重がかかるように、ピストンとおもり(総質量が20kg)を濾紙上にすばやく置いた。5分間荷重をかけて上記濾紙への液の戻り分を吸液させた。その後、30枚の濾紙の質量(W6(g))を測定した。下記の計算式から戻り量を測定した。
戻り量(g)=W6(g)−W5(g)
気相接触酸化で得られた市販のアクリル酸(和光純薬工業、試薬特級:p−メトキシフェノール200ppm含有)を、無堰多孔板50段を有する高沸点不純物分離塔の塔底に供給し、還流比を1として共沸溶媒にトルエンを用いて蒸留し、さらに再蒸留することで、アクリル酸99%以上および微量の不純物(主に水)からなるアクリル酸組成物(1)(別称:精製アクリル酸)を得た。
2本の滴下漏斗、pHメーター、温度計および攪拌羽根を備えた5Lの5つ口フラスコに、イオン交換水1598gを仕込んだ。また、別途、室温の実質アクリル酸からなるアクリル酸組成物(2)1280gおよび室温の48質量%水酸化ナトリウム(Fe0.5質量ppm/Fe2O3換算)水溶液1488gをそれぞれ2本の滴下漏斗に入れ、また、5Lフラスコは水冷バスに漬けた。次いで、5Lフラスコ内の中和反応系を35℃以下に保ち且つ攪拌しながら、48質量%水酸化ナトリウム水溶液およびアクリル酸組成物(2)をフラスコ内に同時に滴下した。アクリル酸組成物(2)の滴下は約35分で終了し、48質量%水酸化ナトリウム水溶液の滴下は約45分で終了した。アクリル酸組成物(2)の滴下終了後、100gのイオン交換水で滴下漏斗を洗浄して、洗浄水はすべてフラスコに入れた。さらに、48質量%水酸化ナトリウム水溶液の滴下終了後、同様に100gのイオン交換水で滴下漏斗を洗浄して、洗浄水はすべてフラスコに入れた。
市販のポリエチレングリコールとトルエンを5Lのフラスコに仕込み、触媒を加えて攪拌した。続いて加熱しながらアクリル酸を逐次滴下しながら脱水反応を行った。反応終了後、反応液に対して過剰の硫酸ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム飽和水溶液をデカンテーションにより除去した。この操作を10回繰り返した後、p−メトキシフェノールを仕込んだポリエチレングリコールに対して500質量ppm添加し、窒素バブリングによりトルエンを除去することでポリエチレングリコールジアクリレート(1)を得た。得られたポリエチレングリコールジアクリレート(1)の平均エチレンオキサイドの繰り返し単位数は8、分布指数は72.9、透過率は99%であった。
製造例3で得られたポリエチレングリコールジアクリレート(1)90質量部に対し、ポリエチレングリコールモノアクリレート(平均エチレンオキサイドの繰り返し単位数9)10質量部を混合し、架橋剤組成物(1)を得た。架橋剤組成物(1)の透過率は98%であった。
製造例3で得られたポリエチレングリコールジアクリレート(1)98質量部に対し、ポリエチレングリコールモノアクリレート(平均エチレンオキサイドの繰り返し単位数9)2質量部を混合し、架橋剤組成物(2)を得た。架橋剤組成物(2)の透過率は98%であった。
製造例3で得られたポリエチレングリコールジアクリレート(1)99.5質量部に対し、ポリエチレングリコールモノアクリレート(平均エチレンオキサイドの繰り返し単位数10)0.5質量部を混合し、架橋剤組成物(3)を得た。架橋剤組成物(3)の透過率は99%であった。
重合器として、容積1Lの蓋の付いたポリプロピレン製円筒容器を用意した。
実施例1において、架橋剤組成物(1)を製造例5で得た架橋剤組成物(2)に代えた以外は実施例1と同様に行い、吸水性樹脂粉末(2)を得た。
実施例1において、架橋剤組成物(1)を製造例6で得た架橋剤組成物(3)に代えた以外は実施例1と同様に行い、吸水性樹脂粉末(3)を得た。
実施例1において、架橋剤組成物(1)を製造例3で得られたポリエチレングリコールジアクリレート(1)に代えた以外は実施例1と同様に行い、円筒状の比較含水ゲル状架橋重合体(1)を得た。重合において、誘導時間35秒、ピーク時間31分、ピーク温度93℃であった。比較含水ゲル状架橋重合体(1)を実施例1と同様にはさみで約20mm〜40mm角に裁断し、卓上型押出し機にてゲル粉砕して細分化させ、比較含水ゲル状架橋重合体(2)を得た。続いて、比較含水ゲル状重合体を850μm金網上に広げ、180℃で露点70℃にて90分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらにJIS850μm標準篩を用いて分級し、通過物として、比較吸水性樹脂粉末(1)を得た。
製造例1で得たアクリル酸組成物(2)23.0g、製造例2で得たアクリル酸ナトリウム水溶液(1)244.0g、イオン交換水95.2g、および内部架橋剤として製造例3で得たポリエチレングリコールジアクリレート(1)を0.1モル%(対全単量体)、ポリエチレングリコールモノアクリレート(平均エチレンオキサイドの繰り返し単位数10)を1.5モル%(対全単量体)を、水溶液で混合することで、中和率75モル%の単量体水溶液(2)を得た。単量体水溶液(2)について実施例1と同様の操作を行い、比較吸水性樹脂粉末(2)を得た。
含水ゲル状架橋重合体(2)20gを目開き5.60mmのJIS標準篩(JIS Z8801−1)に入れ、その篩を20質量%塩化ナトリウム水溶液の入ったバス中に浸漬させ、含水ゲル状架橋重合体が上面よりこぼれないように約5分間振るい、目開き5.60mmの金網に残留したゲル量を測定した。その結果、残留ゲル量は0.2gであり、含水ゲル状架橋重合体(2)のゲル粉砕特性は良好であった。
実施例4において含水ゲル状架橋重合体(2)を比較含水ゲル状架橋重合体(2)に替える以外は同じ操作を行った。その結果、目開き5.60mmの金網に残留したゲル量は18gであった。比較含水ゲル状架橋重合体のゲル粉砕特性は著しく低下するものであった。
吸水性樹脂粉末(1)〜(3)100質量部に、1,4−ブタンジオール0.4質量部、プロピレングリコール0.6質量部、イオン交換水3.0質量部、イソプロパノール0.5質量部(対通過物の質量比)からなる表面架橋剤を噴霧混合し、さらに、210℃で40分間加熱処理することで、表面架橋された吸水性樹脂粉末(4)〜(6)を得た。
比較例1で得られた比較吸水性樹脂粉末(1)10gに対して、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートの10質量%水溶液1gを添加混合し、120℃で熱風乾燥し、JIS850μm標準篩を通過させることにより、比較吸水性樹脂粉末(4)を得た。
実施例1〜5および比較例1〜3は、すべて内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレートを用いてアクリル酸系単量体を重合した吸水性樹脂である。
Claims (10)
- 架橋剤の存在下でアクリル酸系単量体を主成分とする単量体水溶液を重合する工程、および加熱乾燥する工程を含み、
該架橋剤が、エチレンオキサイド繰り返し単位合計が6〜200のポリエチレングリコール構造単位を有する多官能(メタ)アクリレート系架橋剤であり、
該単量体水溶液中に、該多官能(メタ)アクリレート系架橋剤に対して0.1〜30質量%の、ポリエチレングリコール構造単位を有するモノ(メタ)アクリレート系化合物を共存させ、
該多官能(メタ)アクリレート系架橋剤のポリエチレングリコール構造単位の数と、該モノ(メタ)アクリレート系化合物のポリエチレングリコール構造単位の数との比が0.5〜2.0の範囲である、
吸水性樹脂の製造方法。 - 前記多官能(メタ)アクリレート系架橋剤のエチレンオキサイド繰り返し単位の分布指数で規定される分子量分布が50〜100%である、請求項1に記載の吸水性樹脂の製造方法。
- 前記アクリル酸系単量体に対して、前記モノ(メタ)アクリレート系化合物を1.0×10−5〜0.5モル%、前記多官能(メタ)アクリレート架橋剤を1.0×10−3〜1.0モル%含む、請求項1または2に記載の製造方法。
- 乾燥工程の後に、加熱を伴う表面架橋工程を含む、請求項1から3までのいずれかに記載の製造方法。
- 前記アクリル酸系単量体が、溶解度パラメーターが1.0×104〜2.5×104(Jm−3)1/2である重合不活性有機化合物を1〜1000質量ppm含む、請求項1から4までのいずれかに記載の製造方法。
- 前記アクリル酸系単量体が鉄を0.01〜5質量ppm含む、請求項1から5までのいずれかに記載の製造方法。
- 前記重合工程が水溶液重合である、請求項1から6までのいずれかに記載の製造方法。
- 前記重合に用いる総単量体中にメトキシフェノール類を10〜300ppmの範囲で含む、請求項1から7までのいずれかに記載の製造方法。
- 前記アクリル酸系単量体中にプロトアネモニンおよび/またはフルフラールを10質量ppm以下で含む、請求項1から8までのいずれかに記載の製造方法。
- 前記加熱乾燥する工程において、乾燥温度が150〜250℃であり、乾燥時間が1分〜3時間である、請求項1から9までのいずれかに記載の製造方法。
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