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JP5042589B2 - 軟泥土壌用粉末固化材及びその製造方法 - Google Patents

軟泥土壌用粉末固化材及びその製造方法 Download PDF

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JP5042589B2 JP2006287581A JP2006287581A JP5042589B2 JP 5042589 B2 JP5042589 B2 JP 5042589B2 JP 2006287581 A JP2006287581 A JP 2006287581A JP 2006287581 A JP2006287581 A JP 2006287581A JP 5042589 B2 JP5042589 B2 JP 5042589B2
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Description

本発明は、軟泥土壌用粉末固化材及びその製造方法に係り、特に、ポルトランドセメント等のセメントを含まない非セメント系の粉末固化材とそれを有利に製造する方法に関するものである。
近年、経済の高度発展に伴い、河川、湖沼、港湾等において、生活排水等の流入により自然生態系の浄化能力を超える有機物が堆積している。この堆積した有機物を分解するために大量の溶存酸素が消費されて、底質が貧酸素状況に陥り、微生物や魚介類、植物等が生育できない状態となっている。特に、閉鎖系水域においては、底質がヘドロ化し、農業や漁業に悪影響を与える等、種々の問題が顕在化してきている。
このような有機性のヘドロ状堆積物による問題に対処するため、浚渫を行い、採取された汚泥を、凝集剤を用いて固液分離した後に埋め立てたり、セメント系固化材を用いてブロック状に固化して再利用したり、又は焼却して固化する等の処理が行われている。
しかしながら、上記の凝集剤を用いて固液分離を行う方法、具体的には、無機凝集剤で前処理した後に、有機凝集剤を添加して固液分離を行う方法は、工程が複雑であると共に、セメント系固化材等を使用する場合に比して処理時間が長くなるといった問題がある。また、セメント系固化材を用いる方法では、処理後の土壌(改良土壌)が強アルカリ性を示すと共に、六価クロム等の重金属の溶出があり、安全性の面で問題を内在している。
また一方、近年においては、産業廃棄物として処分されている製紙スラッジ焼却灰(製紙工場から大量に排出されるペーパースラッジを焼却したもの)を利用した固化材が提案されている(特許文献1〜3)。この製紙スラッジ焼却灰を、含水量の多い泥土やヘドロ状泥土等の軟泥土壌に添加すると、焼却灰の構成成分により水和反応が生じて、エトリンガイト(3CaO・Al23・3CaSO4・32H2O)が形成され、軟泥土壌を団粒化することができるのであるが、この製紙スラッジ焼却灰のみでは、改良土壌に十分な強度を付与することが出来ない。このため、製紙スラッジ焼却灰を主原料とする固化材においては、改良土壌の強度を高めるべく、一般に、セメントが固化助剤として併用されているのである。
例えば、特許文献1の固化材では、有害なセメントの使用量を極力抑制するようにしてはいるものの([0009]参照)、ポルトランドセメントが配合せしめられていることには変わりはなく、それ故に、依然として、強アルカリや六価クロム等の重金属の溶出のおそれがある。同様に、特許文献2及び3の固化材においても、ポルトランドセメントが必須成分として使用されており、セメントに起因する問題が完全に払拭され得ないものであったのである。
これに対し、特許文献4には、粉粒状の凝集性樹脂と、粉粒状の半水石膏と、粉粒状の無機質材料(カオリン系粘土)との混合物からなる、非セメント系の中性固化材が明らかにされており、これにて、セメントに起因する問題が解消されているが、固化材の凝集性能(特に、濁水の浄化)や製品コストの点で未だ改善の余地を有している。
特開2002−363560号公報 特開2005−113025号公報 特開2005−131595号公報 特開2002−363563号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、セメントを含まない非セメント系の軟泥土壌用粉末固化材にして、凝集性能が高く、且つ効果的に固化せしめることができる安価な軟泥土壌用粉末固化材を提供すること、並びにそのような軟泥土壌用粉末固化材の製造方法を提供することにあるにある。
そして、本発明者等が、上述の如き課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、産業廃棄物として大量に廃棄されている製紙スラッジ焼却灰や有機系焼却灰を主原料として用い、これに、固化助剤としてクリンカアッシュと無水石膏とを組み合わせて加えることによって、セメントを用いなくとも、改良土壌に十分な強度を付与することができると共に、固化材の製品コストを低くすることができ、更に、凝集剤として、無機系凝集剤に加えて、カチオン性高分子凝集剤の粉末とアニオン性高分子凝集剤の粉末とを組み合わせて使用することによって、固化材の凝集性能が飛躍的に向上し、固化材の使用量が少量であっても、迅速に軟泥土壌を凝集化,団粒化,固化し得ることを見出したのである。
従って、本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであって、その要旨とするところは、製紙スラッジ焼却灰及び/又は有機系焼却灰を主原料とし、これに、固化助剤としてのクリンカアッシュ及び無水石膏と、凝集剤としての無機系凝集剤、カチオン性高分子凝集剤粉末及びアニオン性高分子凝集剤粉末とを配合せしめた粉状組成物からなり、且つ前記無機系凝集剤が、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸鉄、ポリ塩化鉄、珪酸アルミニウム、塩化第二鉄、及び硫酸鉄からなる群より選ばれた1種又は2種以上であると共に、前記カチオン性高分子凝集剤粉末及び前記アニオン性高分子凝集剤粉末の粒子径が、それぞれ、100μm以下であることを特徴とする軟泥土壌用粉末固化材にある。
また、そのような本発明に従う軟泥土壌用粉末固化材における好ましい態様によれば、前記カチオン性高分子凝集剤粉末は、0.1〜10重量%の割合で配合せしめられる一方、前記アニオン性高分子凝集剤粉末は、0.1〜10重量%の割合で配合せしめられる。
さらに、本発明の別の好ましい態様の一つにおいては、前記製紙スラッジ焼却灰又は前記有機系焼却灰が、50〜90重量%の割合で含有せしめられる。
また更に、本発明の更に別の好ましい態様においては、前記クリンカアッシュが、3〜45重量%の割合で配合せしめられる一方、前記無水石膏が、2〜20重量%の割合で配合せしめられる。
加えて、本発明に従う軟泥土壌用粉末固化材における好ましい態様の一つによれば、前記無機系凝集剤が、1〜10重量%の割合で配合せしめられる。
また、本発明は前記軟泥土壌用粉末固化材を製造する方法であって、前記主原料又は前記固化助剤に対して、100μm以下の粒子径のアニオン性高分子凝集剤粉末を添加,混合した後、100μm以下の粒子径のカチオン性高分子凝集剤粉末を添加,混合する工程を含むことを特徴とする軟泥土壌用粉末固化材の製造方法を、その要旨とするものである。
さらに、本発明は上述せる如き軟泥土壌用粉末固化材を製造する方法であって、前記主原料又は前記固化助剤を2つに分け、一方に100μm以下の粒子径のカチオン性高分子凝集剤粉末を、他方に100μm以下の粒子径のアニオン性高分子凝集剤粉末を、それぞれ別個に添加,混合する工程を含むことを特徴とする軟泥土壌用粉末固化材の製造方法も、その要旨とする。
このように、本発明に従う軟泥土壌用粉末固化材にあっては、主原料として、製紙工場で排出される製紙スラッジの焼却灰や、活性汚泥法において排出される有機汚泥の焼却灰(有機系焼却灰)が用いられ、これに、固化助剤として、クリンカアッシュと無水石膏とを組み合わせて配合しているところから、低廉に製造することができ、しかもセメントを配合しなくても、十分な固化強度が発現され得るようになっている。このため、セメントに起因する強アルカリの問題や六価クロムの溶出の問題が、悉く解消され得ることとなるのである。
しかも、本発明に従う軟泥土壌用粉末固化材は、凝集剤として、無機系凝集剤に加えて、カチオン性高分子凝集剤とアニオン性高分子凝集剤が組み合わされて配合されていると共に、それらカチオン性高分子凝集剤とアニオン性高分子凝集剤とが、溶媒に溶解せしめられることなく、それぞれ、粉末形態において配合されているため、固化材の凝集性能が著しく向上し、これにより、凝集剤による凝集化作用が、主原料及び固化助剤による団粒化,固化作用と相俟って、固化材の使用量が少量であっても、迅速に軟泥土壌を凝集化,団粒化,固化することができるのである。
なお、本発明に従う軟泥土壌用粉末固化材の好ましい態様の一つに従って、カチオン性高分子凝集剤粉末及びアニオン性高分子凝集剤粉末の粒子径が、それぞれ、100μm以下の微粉末とされると、これらの凝集剤が、軟泥土壌中の水に溶解され易くなり、凝集性能、特に凝集スピードがより一層向上せしめられるようになる。
また、本発明に従う軟泥土壌用粉末固化材の製造方法によれば、カチオン性高分子凝集剤の粉末とアニオン性高分子凝集剤の粉末の配合が、軟泥土壌用粉末固化材を構成する粉状組成物に、同時に行われるのではなく、1)アニオン性高分子凝集剤粉末が添加,混合された後に、カチオン性高分子凝集剤粉末が添加,混合されるか、又は、2)アニオン性高分子凝集剤粉末とカチオン性高分子凝集剤粉末が別々に添加,混合されるようになっているところから、これらの高分子凝集剤が、それぞれ、粉状組成物中に均一に混合され、上述せる如き優れた凝集性能が発揮されるようになっているのである。なお、カチオン性高分子凝集剤の粉末とアニオン性高分子凝集剤の粉末を粉状組成物中に同時に添加,混合する場合や、カチオン性高分子凝集剤粉末を添加,混合した後に、アニオン性高分子凝集剤粉末を添加,混合する場合には、カチオン性高分子凝集剤粉末とアニオン性高分子凝集剤粉末がくっつき合って、ダマができ易く、得られる粉状固化材の凝集性能が低下するようになる。
ところで、かくの如き本発明に従う軟泥土壌用粉末固化材においては、主原料として、製紙スラッジ焼却灰及び有機系焼却灰のうちの何れかが単独で、或いは双方が共に用いられる。
ここで、製紙スラッジ焼却灰は、製紙産業において排出される汚泥(製紙スラッジ)を焼却したものであるが、本発明では、製紙スラッジを乾燥・粉砕したものを更に焼却してなる粉末状の焼却灰、特に乾灰が、吸水効果の点から好適に採用されるのであり、そのような製紙スラッジ焼却灰の組成の一例を、下記表1に示す。
一方、有機系焼却灰は、排水や下水等の浄化処理方法の一つである活性汚泥法において排出される有機汚泥を焼却したものであるが、本発明では、有機汚泥を乾燥・粉砕し、更に焼却してなる粉末状の有機系焼却灰、特に乾灰が、吸水効果の点から好適に採用される。なお、有機系焼却灰として、下水を活性汚泥法で処理した際に排出された有機汚泥の焼却灰の組成の一例を、下記表1に示す。
下記表1からも明らかなように、製紙スラッジ焼却灰と有機系焼却灰は、同様な成分組成とされており、これらの焼却灰が単独で又は組み合わされて、主原料として用いられるのである。そして、かかる焼却灰が、軟泥土壌に添加されると、軟泥土壌が団粒状に固化されるのである。具体的には、焼却灰が軟泥土壌中の水分を吸収し、焼却灰中の水和化鉱物が速やかに水和反応して、急速にエトリンガイトの針状結晶を生成する。このエトリンガイトの生成は、軟泥土壌の含水比を低下させつつ進行し、エトリンガイトの結晶が、軟泥土壌中の土粒子や有機物を包含しながら成長して、軟泥土壌を迅速に団粒状に固化するものと考えられる。また、焼却灰は、多孔質であるため、その孔表面に有機質、重金属、臭気等を吸着する作用も奏する。
而して、かかる主原料としての焼却灰は、軟泥土壌用粉末固化材を構成する粉状組成物中において、好ましくは、50〜90重量%、更に好ましくは60〜80重量%となるように含有せしめられることとなる。主原料の配合割合が少なすぎる場合には、製品コストが上昇する一方、主原料の配合割合が多すぎる場合には、固化助剤や凝集剤の配合割合が必然的に少なくなって、十分な固化強度を実現することができなくなる。
Figure 0005042589
また、本発明に従う軟泥土壌用粉末固化材には、上記主原料である焼却灰による固化強度を向上させるべく、固化助剤として、クリンカアッシュと無水石膏が組み合わされて配合される。このように、クリンカアッシュと無水石膏とが併用されることにより、ポルトランドセメントを用いなくとも、植生を阻害しない適度な固化強度(一軸圧縮強度:190〜800kN/m2 程度)の改良土壌が得られる。従って、改良土壌の固化強度が大きくなりすぎたり、重金属や強アルカリが溶出すること等によって、植生を阻害したり、生態系に対しての悪影響を及ぼしてしまうようなことや、改良土壌の固化強度が不十分となるようなことが、有利に防止され得るのである。
ここで、クリンカアッシュは、石炭灰の一種であって、石炭を炉内で燃焼させることによって生じた石炭灰の粒子が相互に凝集し、多孔質な塊となって炉底に落下堆積したものを、粉砕機で砕いたものである。本発明では、吸水性及び固化強度の点から、この石炭灰を焼却し、ふるい機等により1〜100μmの細粒となるように粒度調整されたものが好適に採用される。そして、そのようなクリンカアッシュの組成の一例を、上記表1に示した。かかる表1から明らかなように、クリンカアッシュは、シリカ(SiO2 )とアルミナ(Al23)を主成分としている。このため、上記主原料である焼却灰や後述する無水石膏と組み合わせて使用することにより、シリカやアルミナ等が、カルシウムシリケート水和物(nCaO・SiO2・mH2O)やカルシウムアルミネート水和物(3CaO・Al23・6H2O)、エトリンガイト等を形成するポゾラン反応が長時間に亘って持続し、これにより、改良土壌の強度が、より一層長期に亘って増強され、耐久性に富んだものとなるのである。更にまた、クリンカアッシュは、0.2〜20μm程度の小さな空隙構造を有する多孔質体であるため、保水性に優れていると共に、軟泥汚泥中の有機物、重金属、臭気等を効果的に吸着せしめることもできる。
なお、かかるクリンカアッシュは、軟泥土壌用粉末固化材を構成する粉状組成物中において、好ましくは、3〜45重量%、更に好ましくは10〜40重量%となるように含有せしめられることとなる。かかるクリンカアッシュの配合割合が少なすぎる場合には、改良土壌に十分な強度を付与することが出来なかったり、固化しても雨水や流水等により軟弱化して膨潤崩壊するおそれがある。また、クリンカアッシュの配合割合が多すぎる場合には、固化強度が大きくなりすぎて、具体的には一軸圧縮強度が1200kN/m2 となり、改良土壌における植物等の生育が劣る等の問題を生ずるようになる。
一方、クリンカアッシュと共に固化助剤として使用される無水石膏は、分子式:CaSO4 にて表される硫酸カルシウム無水物からなるものであり、本発明においては、吸水効果の点から、粉状のものが好適に採用される。かかる無水石膏は、軟泥土壌中の水分を吸収して固化すると共に、前述せる如きエトリンガイトの生成やポゾラン反応にも寄与し、改良土壌の固化強度を高める役割を奏するのである。また、無水石膏を配合することにより、固化後の土壌の膨潤崩壊が効果的に防止され得ると共に、後述する凝集剤の凝集力が向上せしめられ、以て、改良土壌のひび割れも有利に防止され得るようになるのである。なお、石膏には、無水石膏の他にも、半水石膏(CaSO4・1/2H2O)や二水石膏CaSO4・2H2O)があるが、本発明においては、改良土壌の固化強度を長期に亘って維持するために、無水石膏が用いられるのである。
そして、そのような無水石膏の配合割合としては、軟泥土壌用粉末固化材を構成する粉状組成物中において、好ましくは、2〜20重量%、更に好ましくは5〜10重量%となる割合が採用される。なぜなら、無水石膏の配合割合が少なすぎる場合には、改良土壌に十分な強度を付与することが出来なかったり、固化しても雨水や流水等により膨潤崩壊するおそれがあるからであり、また、無水石膏の配合割合が多すぎる場合には、植物の生育等に適した団粒状固化状態からより緻密な固化状態となって、固化強度が大きくなりすぎ、以て、植物の適切な生育が妨げられるからである。
また、本発明に従う軟泥土壌用粉末固化材には、凝集性能を向上すべく、凝集剤として、無機系凝集剤と共に、カチオン性高分子凝集剤粉末とアニオン性高分子凝集剤粉末が組み合わされて用いられ、これによって、凝集性能が顕著に向上すると共に、改良土壌の固化強度が向上し、更に、改良土壌の膨潤崩壊も有利に防止され得るのである。
ここで、無機系凝集剤としては、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、ポリ硫酸鉄、ポリ塩化鉄、珪酸アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸鉄等の従来から公知の無機系凝集剤を例示することができ、これらのうちの1種が単独で或いは2種以上が組み合わされて用いられる。これらの中でも、硫酸バンドは、安価であると共に、焼却灰中に含まれるアルカリ成分に対するpH調整の作用をも奏するところから、特に好適に採用されるのである。
そして、かかる無機系凝集剤は、後述する高分子凝集剤粉末と組み合わされることにより、相乗的な凝集効果を発揮し、軟泥土壌中の様々な粒子径の懸濁粒子が効果的に凝集せしめられるのである。なお、無機系凝集剤の配合割合としては、軟泥土壌用粉末固化材を構成する粉状組成物中において、好ましくは、1〜10重量%、更に好ましくは2〜7重量%となる割合が採用される。この無機系凝集剤の配合割合が少なくなりすぎると、同程度の凝集性能を得るために後述する高分子凝集剤を多量に添加しなければならず、経済性が悪化すると共に毒性が出るおそれがある。逆に、多すぎる場合には、微細な凝集物が非常に多くなって濁水成分を分散させ、沈降性能が低下する等して、却って凝集性能が低下するようになる。
ところで、本発明においては、上記無機系凝集剤と共に、カチオン性高分子凝集剤粉末とアニオン性高分子凝集剤粉末の2種類の高分子凝集剤が配合せしめられるのであり、そこに、大きな特徴が存しているのである。即ち、カチオン性高分子凝集剤とアニオン性高分子凝集剤は、一般に、イオン性の異なる凝集剤同士で凝集や結合することを避けるために、一方のみが軟泥土壌に添加されたり、或いは、一方を添加した後に他方を添加する等、別々に軟泥土壌に添加されて用いられているのであるが、本発明に従う固化材においては、これらカチオン性高分子凝集剤とアニオン性高分子凝集剤の粉末が共に粉状組成物中に配合されるところから、そのような粉末組成物からなる粉末固化材を軟泥土壌に添加,混合すれば、カチオン性高分子凝集剤の粉末とアニオン性高分子凝集剤の粉末が、軟泥土壌に同時に添加,混合されることとなるのである。そして、このようにして添加,混合されたカチオン性高分子凝集剤粉末とアニオン性高分子凝集剤粉末は、軟泥土壌中の水に溶解せしめられ、ゲル化するのである。このゲル化が、従来にない強力な凝集作用を発揮して、大きなフロック(集塊)が瞬時に形成され、軟泥土壌の濁水は短時間で透明な水へと変化するのである。具体的には、軟泥土壌中に存在する5μm以下のシルト質を主体とする微粒子物質は、一般に凝集され難いのであるが、上記のゲル化により形成された網目構造に、かかる微粒子物質が瞬時に取り込まれ、網目構造からの流出が有利に防止されるのである。このように、カチオン性高分子凝集剤粉末とアニオン性高分子凝集剤粉末とを併用することにより、固化材の凝集性能が、顕著に高められるのである。このため、カチオン性高分子凝集剤やアニオン性高分子凝集剤の何れかを単独で使用する場合に比して、使用する凝集剤の総量を低く抑えることも可能となるのである。
なお、これらカチオン性高分子凝集剤とアニオン性高分子凝集剤による凝集効果を、より一層向上せしめるには、固化材を軟泥土壌に添加,混合した際に、これら高分子凝集剤が瞬時に水に溶解せしめられることが望ましい。このため、それら高分子凝集剤粉末は、溶解性の良好な微粉末タイプであることが望ましく、具体的には、試験用ふるいの目開きで表される、ふるい分け法によって測定した粒子径が、本発明においては、100μm以下とされ特に、70μm以下とされることが望ましい。なお、高分子凝集剤としては、一般に、顆粒状のものが多く市販されているが、そのような顆粒状の高分子凝集剤をボールミル、ジェットミル、ピンミル等の公知の粉砕機にて粉砕すること等により、上述の粒子径を有する微粉末状の高分子凝集剤を得ることができる。このように、本発明においては、粉末状の高分子凝集剤が採用され得るのであり、溶液状やエマルジョンタイプの高分子凝集剤は、固化材の凝集・固化作用、保存性等を著しく悪化させるため、採用されない。
ここで、上記カチオン性高分子凝集剤としては、水溶性アニリン樹脂塩酸塩、ポリエチレンイミン、ポリビニルイミダゾリン、ポリビニルピリジン、ポリアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリアミノアクリレート、ポリアルキルアミノメタクリレート、ヘキサメチレンジアミン・エピクロヒドリン縮重合物、キトサン、アルキルアミノメタクリレート四級塩重合物(DAM系)、アルキルアミノアクリレート四級塩・アクリルアミド共重合物(DAA系)、ポリアミジン塩酸塩、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物等を主成分とする従来から公知のカチオン性高分子凝集剤を挙げることができ、これらのうちの1種が単独で、或いは2種以上が組み合わされて用いられる。
このカチオン性高分子凝集剤の粉末は、軟泥土壌用粉末固化材を構成する粉状組成物中において、好ましくは、0.1〜10重量%、更に好ましくは0.3〜7重量%となる割合が採用される。なぜなら、配合割合が少なすぎる場合には、十分な効果が得られないからである。また、配合割合が多すぎる場合には、経済性が悪化したり、多量の高分子が溶出することにより毒性が生じて生物や微生物への悪影響が招来されたり、更には処理時に粘性が上昇したり、高分子の内部保水力で固化強度の発現が遅れて迅速な処理が出来ず工期が遅延する等の問題を招来するおそれがあるからである。
また、アニオン性高分子凝集剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド部分加水分解物、アクリルアミド・ビニルスルホン酸ナトリウム共重合物、アクリルアミド・アクリル酸ナトリウム共重合物、アクリルアミド・アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合物、アクリルアミド・ビニルスルホン酸ナトリウム共重合物等を主成分とする従来から公知のアニオン性高分子凝集剤を挙げることができ、これらのうちの1種が単独で、或いは2種以上が組み合わされて用いられる。
そして、アニオン性高分子凝集剤は、軟泥土壌用粉末固化材を構成する粉状組成物中において、好ましくは、0.1〜10重量%、更に好ましくは0.3〜7重量%となる割合が採用される。なぜなら、配合割合が少なすぎる場合には、十分な効果が得られないからであり、また、配合割合が多すぎる場合には、経済性が悪化したり、多量の高分子が溶出することにより毒性が生じて生物や微生物への悪影響が招来されたり、更には処理時に粘性が上昇したり、高分子の内部保水力で固化強度の発現が遅れて迅速な処理が出来ず工期が遅延する等の問題を招来するおそれがあるからである。
このように、本発明に従う軟泥土壌用粉末固化材には、凝集剤として、無機系凝集剤、カチオン性高分子凝集剤及びアニオン性高分子凝集剤が配合せしめられるのであるが、それら無機系凝集剤、カチオン性高分子凝集剤及びアニオン性高分子凝集剤以外にも、ノニオン性高分子凝集剤や両性高分子凝集剤を、配合することも可能である。
而して、上記した主原料としての焼却灰、固化助剤としてのクリンカアッシュ及び無水石膏、並びに凝集剤としての無機系凝集剤、カチオン性高分子凝集剤及びアニオン性高分子凝集剤を必須の構成成分とする粉状組成物からなる本発明に従う軟泥土壌用粉末固化材には、更に必要に応じて、無機系材料、分散剤、消臭剤、pH調整剤等の従来から公知の添加剤を、適宜に選択し、本発明の効果を阻害しない量的範囲において、配合することも可能である。これによって、その添加剤の種類に応じた機能乃至は作用を有利に享受することが出来る。
ここにおいて、無機系材料は、改良土壌の固化強度の向上及び膨潤崩壊を防止する作用を奏するものであって、ヒュームドシリカ、天然鉱物のゼオライト、モンモリナイト、セリサイト、パイロフィライト、カオリナイト、パラゴナイトを例示することができ、これらのうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、ゼオライト等の天然鉱物は、吸水補助作用を有していると共に、金属イオン交換能力を有しているため、土壌中の重金属捕集剤としても作用し、重金属の溶出を有利に防止することが可能となる。
また、分散剤は、固化材の有効成分を軟泥土壌中の水に速やかに分散させる作用を奏するものであって、これにより、各種有効成分による凝集作用や固化作用が促進されるようになる。分散剤としては、トリポリリン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ステアリン酸塩等を挙げることができ、これらのうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。分散剤を添加する場合、その配合割合が多くなると、凝集作用や固化作用が阻害されて、改良土壌の固化強度が低くなるおそれがあるため、分散剤は、軟泥土壌用粉末固化材を構成する粉状組成物中において、好ましくは5重量%以下、更に好ましくは、0.2〜3重量%となるように添加される。
さらに、有機物を含有する軟泥土壌には、悪臭を放つ物質がが多く含まれているところから、消臭効果を有する添加剤(消臭剤)が、必要に応じて添加されることが望ましい。かかる消臭剤としては、多孔質物質である活性炭、珪藻土、珪藻頁岩、ベントナイト、ヒュームドシリカ等を例示することができ、これらのうちの1種が単独で、又は2種以上が組み合わされて、使用され得る。
また、pH調整剤は、土壌のpHを調整するためのものであって、改良土壌に接した水のpHが水質汚濁防止法の排水基準を満たすように、必要に応じて適宜に添加されるものである。酸性土壌に対しては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウムの水酸化物等のアルカリ性無機化合物、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等を例示することができる一方、アルカリ性土壌に対しては、リン酸、硫酸、塩酸、硝酸、酢酸、リンゴ酸、蓚酸、クエン酸等の鉱酸や有機酸を例示することができ、これらが適宜に選択されて用いられる。
ところで、上述のように、必須の構成成分として、主原料たる焼却灰と、2種類の固化助剤と、3種類の凝集剤とを含有すると共に、その他必要に応じて添加される添加剤を含有する粉状組成物からなる軟泥土壌用粉末固化材は、それらの各種粉末成分を、リボン型、V型、ロッド型等の公知の攪拌・混合機を用いて、均質に混合することにより製造することができる。
この製造の際、本発明においては、カチオン性高分子凝集剤粉末とアニオン性高分子凝集剤粉末とが結着して、ダマができないように、1)マトリックスとなる主原料乃至は固化助剤に対して、アニオン性高分子凝集剤粉末を添加し、所定時間、攪拌混合した後に、カチオン性高分子凝集剤粉末を添加し、攪拌混合して、イオン性の異なる高分子凝集剤粉末を粉状組成物中に均一に混合する手法か、或いは、2)マトリックスとなる主原料乃至は固化助剤を2つに分け、一方にカチオン性高分子凝集剤粉末を、他方にアニオン性高分子凝集剤粉末を、それぞれ別個に添加し、均一になるように、所定時間、攪拌混合した後に、それらを合わせて攪拌混合し、イオン性の異なる高分子凝集剤粉末を粉状組成物中に均一に混合する手法が、有利に採用される。なお、カチオン性高分子凝集剤の粉末とアニオン性高分子凝集剤の粉末を粉状組成物中に同時に添加,混合する場合や、カチオン性高分子凝集剤粉末を添加,混合した後に、アニオン性高分子凝集剤粉末を添加,混合する場合には、カチオン性高分子凝集剤粉末とアニオン性高分子凝集剤粉末とがくっつき合ってダマが形成され、均質な粉状組成物を製造することが困難となり、以て、得られる粉状固化材の凝集性能が低下するようになる。
また、上記高分子凝集剤以外の成分の配合順序は、特に制限されるものではないものの、好ましくは、主原料である製紙スラッジ焼却灰や有機系焼却灰に配合するに先立ち、他の成分を均一に混合せしめたマスターバッチを調製し、このマスターバッチを主原料に添加し、攪拌混合することが望ましい。こうすることによって、配合割合の小さな成分をマトリックス中に、より一層効果的に分散させることができ、均質な粉状組成物を有利に得ることができるようになる。
かくして製造された粉状組成物からなる軟泥土壌用粉末固化材は、水に接触した瞬間から固化し始めるところから、水等の溶媒と混ぜ合わされることなく、粉末のまま、軟泥土壌に添加,攪拌混合され、これによって、軟泥土壌が、迅速に(具体的には、10〜40秒で)凝集化,団粒化,固化されるのである。なお、上述の如く製造された粉末固化材の粒子径(ふるい分け法によって測定した粒子径)は、特に限定されるものではないものの、好ましくは、300μm以下、更に好ましくは、3〜150μmの微粉末とされることが望ましく、このような粒子径とすることで、凝集性能及び固化性能をより一層向上せしめて、より一層迅速な凝集・固化が可能となり、これにより、軟泥土壌へ混合する際の攪拌時間を短縮化することも可能となって、作業効率も飛躍的に向上せしめられるようになるのである。
また、本発明に従う粉末固化材が適用される軟泥土壌としては、特に限定されるものではないものの、河川水、土木・建築泥水、湖底や海底等に存在する有機物を含んだ堆積物の浚渫土、所謂ヘドロや活性汚泥処理設備の沈降汚泥、屎尿泥等を例示することができる。なお、かかる軟泥土壌の含水比は、好ましくは、900重量%以下、更に好ましくは、200〜500重量%であることが望ましい。軟泥土壌の含水比が大きすぎる場合には、粉末固化材が多量に必要となるところから、本発明に従う粉末固化材の添加に先立ち、公知の高分子吸収剤、凝集剤、凝結剤等を添加・混合したり、フィルタープレス、スクリュープレス等の機械的圧搾手法により、予め上記の含水比となるように調整することが、望ましい。
また、軟泥土壌に対する粉末固化材の添加量は、軟泥土壌に含まれる水分量等に応じて適宜に設定され、特に限定されるものではないものの、通常、軟泥土壌の100重量部に対して、1〜40重量部、好ましくは2〜10重量部の割合で、添加されることが望ましい。なぜなら、上記添加量が過少であると、軟泥土壌の固化が不十分となり、改良土壌が雨水や流水等で崩壊したりして、再分散してしまうおそれがあるからであり、逆に、多過ぎる場合は、経済性が悪化するからである。
ところで、本発明に従う粉末固化材と軟泥土壌との混合手法は、何等限定されるものではなく、従来から公知の混合手法が採用され得るのであり、例えば、バックフォー、双軸ニーダ、二軸混練押出機、槽型混合機等の公知の混合機を用いて、固化材と軟泥土壌とを攪拌,混合することが出来る。
そして、軟泥土壌用粉末固化材が添加,混合されることによって処理された軟泥土壌は、天日による養生や、固液分離機を用いた固液分離等が適宜に行われ、所望とする強度、具体的には、一軸圧縮強度:190〜800kN/m2 程度、より好適には、200〜600kN/m2 程度の土壌に改質されるのである。しかも、十分な固化強度が長期間に亘って持続し、雨水や河川水、海水等による膨潤崩壊や再分散が有利に防止され得るようになっているため、改良土壌の固化物を、海底や湖底等の水中に戻しても、固化物に封じ込められた有機物や有害物質が水中に溶出するようなことが有利に防止され、以て、安全性にも優れたものとなっているのである。
而して、上述のようにして団粒状に固化された改良土壌は、法面の崩壊防止に用いられたり、また、安全性や植物・魚介類の育成にも優れているため、葦原、海苔、海藻類の藻場、浅場、干潟、魚介類等の生育に適した底質層として有効利用することができる。
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等が加え得るものであることが、理解されるべきである。
−軟泥土壌用粉末固化材の製造−
先ず、下記表2に示される配合割合となるように、各種の粉末固化材(試料1〜10)を以下のように製造した。なお、かかる製造に際して、主原料としては、上記表1に示される組成の製紙スラッジ焼却灰の粉末、又は上記表1に示される組成の下水汚泥焼却灰の粉末を用いると共に、固化助剤としては、上記表1に示される組成のクリンカアッシュの粉末及び粉末状の無水石膏を用いた。また、無機系凝集剤としては、粉末状の硫酸バンドを用い、カチオン性高分子凝集剤としては、50メッシュの金網(網の目の寸法:300μm)又は150メッシュの金網(網の目の寸法:98μm)を全通する粒子径のカチオン系ポリアクリル酸エステル(ハイモ社製のハイモロックMPをピンミルで粉砕したもの)を用い、アニオン性高分子凝集剤としては、50メッシュの金網(網の目の寸法:300μm)又は150メッシュの金網(網の目の寸法:98μm)を全通する粒子径のアニオン系ポリアクリルアミド(ハイモ社製のハイモロックSSをピンミルで粉砕したもの)を用いた。また、比較のために、固化助剤として、ポルトランドセメントを準備した。
Figure 0005042589
そして、固化助剤としてのクリンカアッシュ又はポルトランドセメントに対して、固化助剤である無水石膏と無機凝集剤である硫酸バンドとを添加、混合した後、アニオン性高分子凝集剤粉末を添加して、攪拌混合した。そして、アニオン性高分子凝集剤の粉末が均一に混ざったことを確認した後、そこに、カチオン性高分子凝集剤粉末を、添加、攪拌混合することにより、マスターバッチを調製した。そして、得られたマスターバッチを、主原料である製紙スラッジ焼却灰又は下水汚泥焼却灰に配合し、攪拌混合することにより、粉末状の固化材を製造した。得られた固化材(試料1〜10)は、何れも、50メッシュの金網(網の目の寸法:300μm)を全通し、粒子径は300μm以下であった。
−凝集性能の評価−
上記で得られた試料1〜10の粉末状の固化材を用いて、凝集性能の評価を行った。具体的には、比色管に炭酸カルシウムの1%分散液を入れ、そこに、かかる分散液の0.3重量%となる量の粉末固化材を添加した後、直ぐに、(1)1回/秒で15回、又は(2)1回/秒で60回、転倒振揺し、30秒静置後の濁度を測定し、得られた結果をブランクの濁度と共に下記表3に示した。なお、濁度の測定は、波長:660nmにおける吸光度をハック社製DR2000を用いて測定することにより行い、吸光度が低いほど、比色管内の上澄み液の透明度が高いことを示している。
Figure 0005042589
かかる表3からも明らかなように、各種の必須成分が配合された試料1〜4に係る固化材にあっては、15回の転倒振揺で、吸光度が略1以下となっており、凝集スピードが速いことが認められる。特に、高分子凝集剤として粒子径が100μm以下のものが配合された試料1及び2に係る固化材にあっては、凝集性能が顕著に高められており、少量であっても、優れた効果が発揮されることがわかる。これに対し、アニオン性高分子凝集剤が配合されていない試料7に係る固化材やカチオン性高分子凝集剤が配合されていない試料8に係る固化材、無機系凝集剤が配合されていない試料9にかかる固化材にあっては、粒子径が100μm以下のアニオン性高分子凝集剤、粒子径が100μm以下のカチオン性高分子凝集剤及び無機系凝集剤が配合された試料1に比して、凝集性能が劣っていることがわかる。
−固化性能の評価−
供試土(軟泥土壌)として、下記表4に示される性状の粘土混砂(自然含水比:20%)に、水道水を加えて、含水比が35%に調整されたものを準備した。そして、かかる供試土に対し、供試土の総量(水を含む)の5重量%となる量の粉末固化材を添加、混合した後、養生7日目に、固化された供試土の含水比、一軸圧縮強度及び破壊ひずみをそれぞれ測定し、得られた結果を下記表5に示した。なお、含水比は、JIS A 1203−1999に規定される「土の含水量試験方法」、一軸圧縮強度は、JIS A 1216−1998に規定される「土の一軸圧縮試験方法」、破壊ひずみは、JIS A 1227−2000に規定される「土の定ひずみ速度載荷による圧密試験方法」に準拠して、それぞれ、測定した。
Figure 0005042589
Figure 0005042589
かかる表5から明らかなように、各種の必須成分が配合された試料1〜4に係る固化材で処理された供試土にあっては、一軸圧縮強度が190kN/m2 以上となっており、少量でも十分な強度が付与されていることが分かる。特に、高分子凝集剤として粒子径が100μm以下のものが配合された試料1及び2に係る固化材で処理された供試土にあっては、一軸圧縮強度が200kN/m2 以上となっている。これに対し、無水石膏が配合されていない試料10は、固化強度が低く、176kN/m2 となり、固化性能が劣っていることを認めた。
−pHと重金属の溶出の評価−
また、上記固化性能の評価における養生7日目の供試土を、10重量%となるように水に入れて攪拌した後、上澄み液のpHを測定すると共に、六価クロムの溶出量を、土壌環境基準に規定される測定方法に準じて測定し、得られた結果を、下記表6に示した。
Figure 0005042589
かかる表6から明らかなように、固化助剤としてクリンカアッシュと無水石膏が配合された試料1〜4にあっては、pHが中性域(pH5.8〜8.6)に入っていると共に、六価クロムの溶出量も0.05mg/l未満となっている。これに対し、固化助剤としてポルトランドセメントと無水石膏が配合された試料5及び6にあっては、pHが高く、且つ六価クロムが0.08mg/lも溶出していることが、わかる。

Claims (9)

  1. 製紙スラッジ焼却灰及び/又は有機系焼却灰を主原料とし、これに、固化助剤としてのクリンカアッシュ及び無水石膏と、凝集剤としての無機系凝集剤、カチオン性高分子凝集剤粉末及びアニオン性高分子凝集剤粉末とを配合せしめた粉状組成物からなり、且つ前記無機系凝集剤が、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸鉄、ポリ塩化鉄、珪酸アルミニウム、塩化第二鉄、及び硫酸鉄からなる群より選ばれた1種又は2種以上であると共に、前記カチオン性高分子凝集剤粉末及び前記アニオン性高分子凝集剤粉末の粒子径が、それぞれ、100μm以下であることを特徴とする軟泥土壌用粉末固化材。
  2. 前記カチオン性高分子凝集剤粉末が、0.1〜10重量%の割合で配合せしめられている請求項1に記載の軟泥土壌用粉末固化材。
  3. 前記アニオン性高分子凝集剤粉末が、0.1〜10重量%の割合で配合せしめられている請求項1又は請求項2に記載の軟泥土壌用粉末固化材。
  4. 前記製紙スラッジ焼却灰又は前記有機系焼却灰が、50〜90重量%の割合で含有せしめられている請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の軟泥土壌用粉末固化材。
  5. 前記クリンカアッシュが、3〜45重量%の割合で配合せしめられている請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の軟泥土壌用粉末固化材。
  6. 前記無水石膏が、2〜20重量%の割合で配合せしめられている請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の軟泥土壌用粉末固化材。
  7. 前記無機系凝集剤が、1〜10重量%の割合で配合せしめられている請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の軟泥土壌用粉末固化材。
  8. 請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の軟泥土壌用粉末固化材を製造する方法であって、前記主原料又は前記固化助剤に対して、100μm以下の粒子径のアニオン性高分子凝集剤粉末を添加,混合した後、100μm以下の粒子径のカチオン性高分子凝集剤粉末を添加,混合する工程を含むことを特徴とする軟泥土壌用粉末固化材の製造方法。
  9. 請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の軟泥土壌用粉末固化材を製造する方法であって、前記主原料又は前記固化助剤を2つに分け、一方に100μm以下の粒子径のカチオン性高分子凝集剤粉末を、他方に100μm以下の粒子径のアニオン性高分子凝集剤粉末を、それぞれ別個に添加,混合する工程を含むことを特徴とする軟泥土壌用粉末固化材の製造方法。
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