実施の形態1.
以下、図1〜図8を基に本発明の実施の形態1を説明する。図1〜図8は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理装置に関する図であり、ここでは、組込式又はビルトイン式と称される誘導加熱調理装置を示す。なお、図1は加熱調理装置の一部を分解した状態の斜視図、図2は天板部を取り外した状態での本体部全体を示す斜視図、図3は本体部全体の平面図、図4は上下仕切り板等の主要な構成部品を取り外した状態の分解斜視図、図5は図1のV−V線縦断面図、図6は図1のVI−VI線縦断面図、図7は加熱調理装置駆動回路の概略構成図、図8は本体部の前側上部を示す縦断面図である。なお、各図において同じ部分または相当する部分には同じ符号を付している。
(加熱調理装置の全体構成)
実施の形態1の加熱調理装置は、略矩形の本体部Aを中心に構成されている。本体部Aの上面には天板部B(図中の符号20、21等)があり、本体部Aの上面以外の周囲は筐体部C(図中の符号2等)により囲まれている。本体部Aは、鍋や食品等を電気的エネルギー等で加熱する加熱手段(図中の符号6LC、6RC、7等)、使用者により操作される操作手段(図中の符号60、61等)、操作手段からの信号を受けて加熱手段を制御する制御手段(図中の符号200等)、及び加熱手段の動作条件を表示する表示装置G(図中の符号100等)を備えている。なおこの例では、加熱手段の一部として、グリル加熱室又はロースターと称される電気加熱手段(図中の符号22、23等)を備えている。
加熱手段の動作条件とは、加熱するための電気的、物理的な条件を言い、通電時間、通電量、加熱温度、通電パターン(連続通電、断続通電等)等を総称したものである。
表示とは、文字や記号、イラスト、色彩や発光有無や発光輝度等の変化により、使用者に動作条件や調理に参考となる関連情報(異常使用を注意する目的や異常運転状態の発生を知らせる目的ものを含む。以下、単に「調理関連情報」という)を視覚的に知らせる動作をいう。
表示装置には、液晶(LCD)や、各種発光素子(LED、LD(Laser Diode)、有機電界発光(Electro Luminescence:EL)素子等)を含む。
報知とは、表示又は電気的音声(電気的に作成又は合成された音声をいう)により、制御手段の動作条件や調理関連情報を使用者に認識させる目的で知らせる動作をいう。
報知手段とは、特に明示のない限り、ブザーやスピーカ等の可聴音による報知手段と、文字や記号、イラスト、あるいは可視光による報知手段とを含んでいる。
本体部Aは、外形形状が流し台等の厨房家具KTに形成した設置口K1を覆う大きさ、スペースに合わせた所定の大きさで、略正方形又は長方形に形成されている。
図2に示すように、「2」は筐体部Cを構成する本体ケースで、1枚の平板状の金属板をプレス成形機械で複数回折り曲げ加工して形成した胴部2Aと、この胴部の端部に、溶接又はリベット、ネジ等の固定手段で継ぎ合わせた金属板製の前部フランジ板2Bとから構成されており、これら前部フランジ板2Bと胴部2Aとを固定手段で結合した状態では、上面が開放した箱形になる。
本体ケース2の上面開口の後端部、右端部及び左端部の三個所には、それぞれ外側へL字形に一体に折り曲げて形成したフランジを有しており、3Bは後方のフランジ、3Lは左側のフランジ、3Rは右側のフランジで、これら3つのフランジと前部フランジ板2Bが厨房家具KTの設置部(図6参照)上面に載置され、調理装置の荷重を支えるようになっている。
そして調理装置が厨房家具KTの設置口K1に完全に収容された状態では、厨房家具KTの前方に形成した開口部KTKから調理装置の前面部が露出するようになり、厨房家具KTの前面側から調理装置の前面(左右)操作部60が操作可能となる。
「2S」は、胴部2Aの背面と底面を結ぶ傾斜面であり、調理装置を厨房家具KTに嵌め込んで設置する場合、厨房家具KTの設置口K1後縁部に衝突したり干渉したりしないようにカットしてある。つまり、この種の調理装置は厨房家具KTに嵌め込んで設置する際、調理装置の本体部Aの手前側が下になるように傾け、その状態で手前側から先に厨房家具KTの設置口K1に落とし込む。その後に遅れて後ろ側を、弧を描くようにして設置口K1に落とし込む。このような設置方法は、例えば特開平11−121155号公報に詳しく記載されている。このような設置方法のために、前部フランジ板2Bは、調理装置を厨房家具KTに設置する際に厨房家具KTの設置口K1の設置口前縁部との間に十分なスペースSPが確保されるような大きさになっている(図8参照)。
本体ケース2の内部には、後述するトッププレート21に載置された金属製鍋等の被加熱物Nを誘導加熱するための誘導式加熱源であるIHコイル6LC、6RCと、電気輻射熱で加熱する電気ヒータ、例えばラジエントヒータと呼ばれる中央加熱源7と、これらの加熱源の調理条件を制御する制御装置と、該制御装置に調理条件を入力する操作手段と、該操作手段により入力された加熱手段の動作条件を表示する表示装置100とを備えている。以下、それぞれについて詳細に説明する。
本体ケース2の内部は、大きく分けて前後方向に長く伸びた右側冷却室8Rと左側冷却室8L、箱形のグリル(又はロースター)加熱室9、上部部品室10、後部の排気室12が区画形成されている。各部屋は互いに完全に隔絶されている訳ではなく、例えば右側冷却室8R、左側冷却室8Lと、上部部品室10及び排気室12が連通している。
グリル加熱室9は後述するドア13が閉じられた状態では、略独立した密閉空間になっているが、排気ダクト14を介して本体ケース2の外部空間、つまり台所等の室内空間に連通している。
天板部Bは、上枠(枠体ともいう)20とトッププレート(上板、トップガラス、天板とも称する)21の2つの大きな部品から構成されている。上枠20は、全体が非磁性ステンレス板又はアルミ板等の金属製板から額縁状に形成され、本体ケース2の上面開口部を塞ぐような大きさを有している。上枠20はネジ等の固定具で本体ケース2に固定されている。
トッププレート21は、上枠20の中央に設けられた大きな開口部を覆うように重ね合わせて設置されている。このトッププレート21は、全体が耐熱強化ガラスや結晶化ガラス等の赤外線を透過させる半透明な材料からなり、上枠20の開口部20Aの形状に合わせて長方形又は正方形に形成されている。
さらにトッププレート21は、上枠20の開口部又は図8に示すように上面との間にゴム製パッキンやシール材PKを介在させて水密状態に固定されている。したがって、トッププレート21の上面から、水滴等が上枠20とトッププレート21との間隙を通じて本体部Aの内部に侵入しないようにしてある。
図1において、「20B」は上枠20の形成時にプレス機械で同時に打ち抜き形成された右通風口で、後述する送風機30の吸気通路となる。「20C」は同じく上枠20の形成時に打ち抜き形成された中央通風口、「20D」は同じく上枠20の形成時に打ち抜き形成された左通風口である。
「20E」は、図8に示すように、上枠20に形成した透孔であり、これは後述する上面操作部61の右火力設定用操作部70、中央操作部72及び左火力設定用操作部71の各種スイッチ操作用キー(例えばグリル加熱室9のヒータ22,23の通電を開始する操作スイッチ)を操作する複数の押しボタンを通すためのものである。なお、図8では作図の都合上、透孔20Eは1個しか描いていない。
トッププレート21は、実際の調理の段階では、右IHコイル6RC、左IHコイル6LCにより高温になった鍋等の被加熱物Nからの熱を受けて300度以上にもなることがある。さらにトッププレート21の下方に、輻射型の電熱ヒータである中央加熱源7が設けられている場合には、その中央加熱源7からの熱でトッププレート21は直接高温に熱せられ、その温度は350度以上にも至ることがある。
「123A」は前枠体123に形成した透孔であり、これは後述する上面操作部61の右火力設定用操作部70、中央操作部72及び左火力設定用操作部71の各種スイッチ操作用キー(例えば、グリル加熱室9のヒータ22,23の通電を開始する操作スイッチ)を操作する複数の押しボタン254Aを通すためのものである(図8参照)。そしてこの透孔123Aは上枠20の透孔20Eと対応する位置に形成されている。なお図8では作図の都合上、透孔123Aは1個しか描いていない。
トッププレート20の上面には、図1、図3に示すように後記する右IHコイル6RC、左IHコイル6LC、中央加熱源7のおおまかな位置を示す円形の案内マーク6RM、6LM、7Mが、それぞれ印刷等の方法で表示されている。
(加熱手段)
この実施の形態では、加熱手段として電磁誘導式加熱手段と輻射式電気加熱源とを備えている。すなわち、本体部Aの上部右側と左側には、電磁誘導式加熱手段である右IHコイル6RCと左IHコイル6LCを備え、本体部Aの左右中心線上で後部寄りに輻射式電気加熱源である中央加熱源7を、グリル加熱室9内の上下に輻射式電気加熱源であるシーズヒータ22,23を備えている。これら加熱源は制御手段により互いに独立して通電が制御されるように構成されているが、詳細は後で図7を参照しながら述べる。
(右IHコイル)
右IHコイル6RCは、本体ケース2の内部に区画形成された上部部品室10内部に設置されている。すなわち、トッププレート21の右側位置の下面側に、右IHコイル6RCを配置している。このコイルの上端部がトッププレート21の下面に微小間隙を置いて近接しており、電磁誘導加熱源となる。この実施形態では例えば、最大消費電力(最大火力)3KWの能力を備えたものが使用されている。右IHコイル6RCは、渦巻状に0.1mm程度の細い線を30本程束にして、この束(以下、集合線という)を1本又は複数本撚りながら巻き、外形形状が円形になるようにして最終的に円盤形に成形されている。右IHコイル6RCの直径(最大外径寸法)は約180mm程度である。
なお、左右IH加熱コイル6LC、6RCの下面(裏面)には、コイルからの磁束漏洩防止材として、高透磁材料、例えばフェライトで形成された板や棒が配置されているが、この実施の形態ではその図示を省略している。磁束漏洩防止材は、左右IH加熱コイル6LC、6RCの下面全体を覆う必要はなく、断面が例えば正方形又は長方形等で棒状に成形した磁束漏洩防止材を、それらのコイルと交差するように所定間隔で複数個設ければ良い。また、各コイルの中心部から放射状に複数個設ければ良い。
トッププレート21に表示された円(図1、図3において実線)である案内マークRMの位置は、右IHコイル6RCの最外周位置と完全に一致しているものではない。案内マークは適正な誘導加熱領域を示すものである。図3の破線の円が右IHコイル6RCの最外周位置を示す。
右IHコイル6RCは、独立して通電されるように複数部分に分けたものでもよい。例えば内側に渦巻き状にIHコイルを巻き、そのIHコイルの外周側にはそれと同心円上でかつ略同一平面上に別の大径の渦巻き状に巻いたIHコイルを置き、内側のIHコイル通電、外側のIHコイル通電、及び内側と外側のIHコイル共に通電、という3つの通電パターンで被加熱物を加熱するようにしても良い。このように2個のIHコイルに流す高周波電力の出力レベル、デューティ比、出力時間間隔の少なくとも一つ又はこれらを組み合わせることにより、小型の鍋から大形(大径寸法)の鍋まで効率良く加熱するようにしても良い。このような独立通電できる複数コイルを使用した技術として代表的なものとしては、特許第2978069号が知られている。
「31R」は、右IHコイル6RCの中央の空間内部に設置された赤外線式の温度検出素子である(図7参照)。赤外線式の温度検出素子31R(以下、温度センサー31Rという)は、鍋等の被加熱物Nから放射される赤外線の量を検知して温度を測定できるフォトダイオード等から構成されている。なお、温度検出素子は伝熱式の検知素子、例えばサーミスタ式温度センサーとしても良い。
なお、被加熱物からその温度に応じて発せられる赤外線を、赤外線センサーによってトッププレートの下方から迅速に検出することは、例えば特開2004−953144号公報(特許第3975865号)、特開2006−310115号公報や特開2007−18787号公報により知られている。
温度センサー31Rが赤外線センサーである場合は、被加熱物から放射された赤外線を集約させ、かつほとんどリアルタイムで受信してその赤外線量から温度を検知できることで、サーミスタ式よりも優れている。赤外線センサーは、被加熱物の手前にある耐熱ガラスやセラミックス製等のトッププレート21の温度と被加熱物との温度が同じでなくても、またトッププレート21の温度に拘わらず、被加熱物の温度を検出できる。それは、被加熱物から放射される赤外線がトッププレート21に吸収されたり遮断されたりしないように工夫しているためである。例えば、トッププレートは4.0μm又は2.5μm以下の波長域の赤外線を透過させる素材が選択され、温度センサー31Rは4.0μm又は2.5μm以下の波長域の赤外線を検出するものが選択されている。
一方、温度センサー31Rがサーミスタ等の伝熱式のものである場合、赤外線センサーと比較すると急激な温度変化をリアルタイムで捕捉することでは劣るが、トッププレート21や被加熱物からの輻射熱を受け、被加熱物の底部やその直下にあるトッププレート21の温度を確実に検出することはできる。また被加熱物が無い場合でもトッププレート21の温度を検出できる。なお、温度センサー31Rがサーミスタ等の伝熱式の場合は、その温度感知部をトッププレート21の下面に直接接触させ、あるいは伝熱性樹脂等のような部材を介在させて、トッププレート21自身の温度を出来るだけ正確に把握させるようにしても良い。温度感知部とトッププレート21の下面との間に空隙があると、温度の伝達に遅れが生ずるからである。
(左IHコイル)
左IHコイル6LCは、本体部Aの左右中心線を挟んで右IHコイル6RCと対照的な位置に設置されており、右IHコイル6RCと同様な構成になっている。この実施形態では例えば、最大消費電力(最大火力)3KW又は2.5KWの能力を備えたものが使用されている。また左IHコイル6LCの直径(最大外径寸法)は最大火力が3KWの場合は約180mmであり、2.5KWの場合は約170mm程度となっている。
なお、トッププレート21に表示された円(図1と図3において実線)である案内マーク6LMの位置は、左IHコイル6LCである左IHコイル6LCの最外周位置と完全に一致しているものではない。案内マークは適正な誘導加熱領域を示すものである。図3の破線の円が左IHコイル6LCの最外周位置を示す。
また、右IHコイル6RCと同様に、その中央の空間内部には赤外線式の温度検出素子31L(以下、温度センサー31Lという)が設置されている(図7参照)。
(輻射式中央電気加熱源)
中央加熱源7は本体部Aの内部のトッププレート21の左右中心線上で、かつ、トッププレート21の後部寄りの位置に配置されている。中央加熱源7は、輻射によって加熱するタイプの電気ヒータ(例えばニクロム線やハロゲンヒータ、ラジエントヒータ)が使用され、トッププレート21を通してその下方から鍋等の被加熱物を加熱するものである。そして、例えば、最大消費電力(最大火力)1.2KWの能力を備えたものが使用されている。
中央加熱源7は上面全体が開口した円形容器形状を有しており、その最外周部分を構成する断熱材製の容器状カバー50は、最大外径寸法が約180mmで、厚さが5mmになっている。
なお、トッププレート21に表示された円(図1と図3において実線)である案内マーク7Mの位置は、中央加熱源7の最外周位置と完全に一致しているものではない。案内マークは適正な誘導加熱領域を示すものである。図3の破線の円が中央加熱源7の最外周位置を示す。
(グリル加熱室用輻射式電気加熱源)
「24R」は、垂直に設置されている右側の上下仕切り板であり、本体ケース2の内部で右側冷却室8Rとグリル加熱室9間を隔絶している仕切り壁の役目となっている。「24L」は同じく左側の上下仕切り板であり、左側冷却室8Lとグリル加熱室9間を隔絶している仕切り壁の役目となっている。なお、上下仕切り板24R、24Lはグリル加熱室9の外側壁面と数mm程度の間隔を保って設置されている。
「25」は水平仕切り板であり、左右の上下仕切り板24L、24Rの間全体を上下2つの空間に区画する大きさを有しており、この水平仕切り板25の上方が上部部品室10である。またこの水平仕切り板25は、グリル加熱室9の天井面と数mmから1cm程度の所定の空隙26を持って設置されている。
「24A」は左右の上下仕切り板24L、24Rにそれぞれ形成した切欠き部で、後述する冷却ダクト42を水平に設置する際にそれと衝突しないように設けている。
矩形箱状に形成されたグリル加熱室9は、ステンレスや鋼板等の金属板により左右、上下及び背面側の壁面が形成され、上部天井付近および底部付近には輻射式電気加熱源としての上下1対のシーズヒータ22、23(図6参照)が略水平に広がるように設置されている。
この2つのヒータを同時又は個別に通電してロースト調理(例えば焼き魚)や、グリル調理(例えばピザやグラタン)が行え、グリル加熱室9内の雰囲気温度を設定して調理するオーブン調理(例えば、ケーキや焼き野菜)が行えるようになっている。なお、上部天井付近のシーズヒータ22は、例えば最大消費電力(最大火力)1200W、底部付近のシーズヒータ23は、例えば最大消費電力800Wのものが使用されている。
「26」は前述した空隙で、水平仕切り板25とグリル加熱室9天井壁面との間に形成されており、この空隙26は最終的に排気室12と連通しているため、空隙26内の空気は排気室12を通じて本体部Aの外に誘引されて排出されるようになっている。
「28」は上部部品室10と排気室12とを仕切る後部仕切り板であり、下端部は水平仕切り板25に、また上端部は上枠20に達する高さ寸法を有している。「28A」は後部仕切り板28に2箇所形成した排気穴で、上部部品室10に入った冷却風を排気するためのものである。
図2に示すように、左右仕切り板24R、24Lの間の空間全体を覆うように水平仕切り板25が設置されているが、その水平仕切り板25の上方空間が上部部品室10となっている。図5に示すように、「58」は上部部品室10の右奥隅にあって一部は右側冷却室8Rの上方に張り出す形になっている電源基板であり、この基板に対し本体ケース2の背面下部から100V又は200Vの商用電源が引き込まれている。この電源基板には例えば商用電源を整流するブリッジ回路221のための各種電気部品群が実装されている。
なお、上部部品収納室10の左奥隅にも、一部分が左側の冷却室8Lの上方に張り出す形になっている電源基板(図9に「59」で表示)が設置されており、この電源基板は中央加熱源7とグリル加熱室9のヒータ22,23に電源を供給するものであり、電源基板58から電力が供給され、加熱容量(火力)制御のための各種電気部品等が実装されている。これら二つの電源基板58,59は、水平仕切り板25の上面から一定の空隙119を保つようにして、その水平仕切り板25にネジ等の固定手段で取り付けられている。その空隙119は、後述する冷却ユニットCUからの冷却風が通りやすくするためのものである。
(冷却用送風機)
送風機30は、遠心型多翼式送風機(例えばシロッコファン)を使用しており、駆動用モータ300の回転軸32の先端に翼部30Fを固定したものを用いている。送風機30は、右側冷却室8Rと左側冷却室8Lのそれぞれに設置され、左右のIHコイル6LC、6RC用の回路基板とそれらコイル自体を冷却するようになっている。
なお、遠心型送風機を用いた場合、吐き出し能力(吹出し能力)が吐き出し口全域に亘り均一ではなく、吐き出し能力の最高部分があるが、この部分を左右IHコイル6LC、6RC用の回路基板の特定部分に位置させると、その特定部分が最も強力な風で冷却される。但し、台所等の室内空間からの空気に油煙や埃が含まれている場合は、それらが回路基板の特定部分にある部品表面等に付着・堆積する可能性が高くなるという点に注意が必要である。長年の使用により、回路基板に油の堆積物が溜まり、それが湿気を吸収することで回路基板の電気絶縁性が低下することに繋がるからである。
送風機30は、その駆動用モータの回転軸32が水平になっている、いわゆる横軸型であり、右側冷却室8Rの中に設置されたファンケース37の内部に収容されている。
送風機30の多数の回転翼30Fを囲むようにファンケース37内部には円形の送風空間が形成され送風室39が形成されている。37Aはファンケース37の吸い込み筒であり、その最上位には吸い込み口37Bが形成されている。37Cはファンケース37の一端部に形成した吹き出し口である。
ファンケース37は、例えば2つのプラスチック製ケース37D、37Eを組み合わせてネジ等の固定具で結合されることで一体構造物として形成されている。この結合状態で冷却空間8R、8Lにその上方から挿入され、適当な固定手段で移動しないように固定される。
「34」はファンケース37の吐き出し口37Cから排出される冷却風が導入されるようにファンケース37に密着状態に接続される部品ケースであり、全体が横長長方形形状を有している。そして、吹き出し口37Cに連通する導入口(図示せず)、後述する第1の排気口34A、及び第2の排気口34Bの3箇所の部分だけを除いた他の部分全体が密閉されている。部品ケース34はIHコイル駆動用のインバータ回路を構成する回路基板41を収容している。
回路基板41は、右IHコイル6RC、左IHコイル6LCに所定の高周波電力を供給するインバータ回路が実装されたプリント配線基板(以下、回路基板という)であり、部品ケース34の内部空間形状にほぼ匹敵する外形寸法を有し、部品ケース34の中においてグリル加熱室9から遠い側、すなわち本体部Aの外郭を構成する本体ケース2に、わずか数mm以下の近くまで接近する側に設置されている。なお、この回路基板41には、インバータ回路の部分と離して送風機30の駆動用モータ300駆動用の電源・駆動回路33を一緒に実装している。
なお、この回路基板41でいうインバータ回路210R、210Lとは、図7に示した、商用電源の母線に入力側が接続された整流ブリッジ回路221を除き(含めても良いが)、その直流側出力端子に接続されたコイル222及び平滑化コンデンサ223からなる直流回路と、コイル222と、共振コンデンサ224と、スイッチング手段となる電力制御用半導体であるIGBT225と、駆動回路228と、平滑化コンデンサ223と、フライホイールダイオード226とをいい、IHコイル6RC、6LCは含んではいない。
部品ケース34の上面部には、送風機30からの冷却風の流れる方向に沿って第1の排気口34Aと第2の排気口34Bを2個離して形成している。第2の排気口34Bは、部品ケース34において冷却風の流れの最も下流側位置にあり、また第1の排気口34Aよりも大きな開口面積(数倍の大きさの開口面積)を有している。なお、図5において、Y1〜Y5は送風機30により吸い込まれる空気と排出される空気の流れを示すものであり、Y1、Y2、・・Y5と順次冷却風は流れていく。
部品ケース34とファンケース37とは、いわゆる冷却ユニットCUを構成しており、その冷却ユニットCUが冷却室8R,8Lに上方から挿入されて固定されている。
「42」は例えばプラスチックで成型された冷却ダクトで、プラスチックの一体成形品である上ケース42Aと、同じくプラスチックの一体成形品である下ケース42Bとを重ねてネジで固定することで、その両者の間の内部に後述する3つの通風空間42F、42G、42Hが形成される。冷却ダクト42の部品ケース34側の一側縁部は方形で、残りの外周は円形になっている。
「42CA」は上ケース42Aの上面の後部に複数個(例えば7個)、通風空間42Fの周壁面を構成する上ケース42Aの背面側に複数個(例えば3個;これは図4中では見えない位置にある)それぞれ形成した第1の噴き出し孔である。第1の噴き出し孔42CAは、送風機30からの冷却風を、主に冷却ダクト42の真後ろと斜め後方、すなわち電源基板58,59や中央加熱源7方向に供給するために形成されている。なお、各噴き出し孔42CAの口径は同じにしてあり、例えば直径8mmの真円である。
「42CB」は、上ケース42Aの上面の全体に亘ってその壁面を貫通するよう多数形成した第2の噴き出し孔である。第2の噴き出し孔42CBは、送風機30からの冷却風を主に上方、すなわちIHコイル6RC,6LC方向に供給するために形成されている。なお、各噴き出し孔42CBの口径は同じにしてあり、例えば直径10mmの真円である。
「42D」は、上ケース42Aの中に一体成型で直線又は曲線状に形成したリブ(凸条)形状の仕切り壁で、これにより部品ケース34の排気口34Aに一端が連通した通風空間42Fが区画形成される。
「42E」は、同様に上ケース42Aの中に一体に形成した平面形状がコ字状凸条形状の仕切り壁で、これにより部品ケース34の排気口34Bに一端が連通した通風空間42Hが区画形成される。この通風空間42Hは仕切り壁の一側部に形成した連通口42Jを介して最も広い通風空間42Gに連通している(図5参照)。
さらに、通風空間42Hの一側部(図4では部品ケース34に近い側)は、部品ケース34の第2の排気口34Bの真上になるように冷却ダクト42が設置される。これにより部品ケース34から吐き出される冷却風は、冷却ダクト42の通風空間42Hに入り、ここから通風空間42Gに展開して第2の噴き出し孔42CBから噴出される。なお、「42K」は上ケース42Aの通風空間42Hに対応して形成した四角形の通風口で、これは後述する液晶表示画面45R、45Lを冷却する風を出すものである。
上ケース42Aの背面側に形成した3個の第1の噴き出し孔42CAの一部(例えば2個)は電源基板58又は電源基板59と向き合うように、また残りの一部(例えば1個)は中央加熱源7の右側又は左側位置に向き合うように形成してあり、冷却ユニットCUの第1の排気口34Aから通風空間42Fに送り込まれた新鮮な冷却風を電源基板58、電源基板59の方向、及び中央加熱源7の側方に向けて噴き出すためのものである。
「43A」、「43B」は、右IHコイル6RC、左IHコイル6LC用のインバータ回路210R、210Lが実装された回路基板41の中にあるIGBT225等の電力制御用半導体スイッチング素子や、その他発熱性部品が取り付けられたアルミ製の放熱フィンである。放熱フィン43A,43Bは全体に亘り多数の薄いフィンが規則正しく並べて形成されている。放熱フィン43A,43Bは、図5に示すように、部品ケース34の中で天井部に近い側に設置され、部品ケース34の下方には十分な空間を確保して、その空間内を冷却風Y4が流れるようにしている。つまり送風機30の特性上、吐き出し能力が吹き出し口37Cの全域に亘り均一ではなく、吐き出し能力の最高部分はその吹き出し口37Cの上下中心点より下方にあるが、この位置の延長線上の位置とならないよう、放熱フィン43A,43Bの位置を上方へ設定している。これにより、回路基板41の表面に実装された各種の小型電子部品や印刷配線パターン部分に向けて、冷却風が直接吹きつけられることを防止している。
グリル加熱室9は、本体ケース2内のIHコイル6RC,6LC部の下方に形成されて内蔵されており、本体ケース2の内側後壁面との間に所定の空間SX(図4、図6参照)が設けられている。つまり、後述する排気ダクト14を設置するため及び排気室12を形成するため、グリル加熱室9と本体ケース2の胴部背面壁2Uとの間に10cm以上の空間SXが形成されている。
独立した2つの冷却ユニットCUが、冷却室8R、8Lに上方から挿入されて固定された状態では、横幅の大きなファンケース37の部分が空間SXに一部突出し、また回路基板41を収容した部品ケース34は、グリル加熱室9の左右側壁面と所定の空隙が形成される。なお、ここでいう空隙とは、グリル加熱室9の左右の外壁面との間の空隙を意味しており、左右仕切り板24、24Lと部品ケース34の外側表面との間の対向間隙をいうものではない。
このように冷却ユニットCUのファンケース37の部分は、グリル加熱室9があってもその空間SX部分に配置され、前方から投影した形で見た場合、冷却ユニットCUのファンケース37の部分がグリル加熱室9と一部重なる状態になっていることで、本体部Aの横幅寸法を増大させることを防止できている。
(操作手段)
この実施形態における加熱調理装置の操作手段は、前面操作部60と上面操作部61とからなっている。
(前面操作部)
本体ケース2の左右両側の前面にプラスチック製の前面操作枠62R、62Lが取り付けられており、この操作枠前面が前面操作部60となっている。この前面操作部60には、左IHコイル6LC、右IHコイル6RC、中央加熱源7、及びシーズヒータ22、23の全ての電源を一斉に投入・遮断する主電源スイッチ63(図2参照)の操作ボタン63Aと、右IHコイル6RCの通電とその通電量(火力)を制御する右電源スイッチの電気接点を開閉する右操作ダイアル64Rと、同じく左IHコイル6LCの通電とその通電量(火力)を制御する左制御スイッチの左操作ダイアル64Lと、がそれぞれ設けられている。
前面操作部60には、左操作ダイアル64Lによって左IHコイル6LCに通電が行われている状態でのみ点灯する左表示灯66Lと、右操作ダイアル64Rによって右IHコイル6RCに通電が行われている状態でのみ点灯する右表示灯66Rとが設けられている。
なお、左操作ダイアル64Lと右操作ダイアル64Rは、使用しない状態では、図4に示されるように、前面操作部60の前方表面から突出しないように内側へ押し込まれており、使用する場合には、使用者が指で一度押してから指を離すと、前面操作枠62に内蔵しているバネ(図示せず)の力によって突出し(図2参照)、使用者が周囲を掴んで回せる状態にしている。そして、1段階右か左に回せば、初めて左IHコイル6LCまたは右IHコイル6RCにそれぞれ(最小設定火力120Wでの)通電が開始される。
さらに、突出している左操作ダイアル64L、右操作ダイアル64Rの何れかを同じ方向に回せば、その回動の量に応じて内蔵したロータリエンコーダー(図示せず)より発生する所定の電気的パルスを制御手段が読み取り、当該加熱源の通電量が決まり、火力設定が行えるようになっている。なお、左操作ダイアル64L、右操作ダイアル64Rの何れも、初期の状態であるか途中で左右に回した状態であるかに関係なく、使用者が指で一度押して前面操作部10の前方表面から突出しないような所定の位置に押し込むと、左IHコイル6LC、右IHコイル6RCの何れも通電を停止できる。すなわち、調理中であっても、右操作ダイアル64Rを押し込めば、右IHコイル6Rは直ちに通電停止される。
主電源スイッチ63(図1参照)の操作ボタン63AをOFFに操作すれば、それ以後、右操作ダイアル64Rおよび左操作ダイアル64Lの操作は一斉に無効となる。同様に中央加熱源7とグリル加熱室9の内蔵ヒータ22、23の通電も全て遮断される。
また図示していないが、前面操作枠62の前面下部には、図示していない3つの独立したタイマーダイアルが設けられている。これらタイマーダイアルは、それぞれ左IHコイル6LC、右IHコイル6RC、中央加熱源7を通電開始から所望の時間(タイマーセット時間)だけ通電し、その設定時間を経過した後は自動的に電源を切るタイマースイッチ(タイマーカウンターともいう)を操作するためのものである。
(上面操作部)
上面操作部61は、右火力設定用操作部70、左火力設定用操作部71、及び中央操作部72とからなっている。
トッププレート21の上面、具体的には上枠20の前部に上面操作部61が配置されている。本体部Aの左右中心線(図3のCL)を挟んで、右側には右IHコイル6RCの右火力設定用操作部70が、中央部には中央加熱源7及びグリル加熱室9に設置された電気ヒータ22,23の中央操作部72が、左側には左IHコイル6LCの左火力設定用操作部71が、それぞれ配置されている。
(右又は左火力設定用操作部)
図3において、右火力設定用操作部70には、使用者が1度押圧するだけで右加熱源6RCの火力を簡単に設定することができる各火力のワンタッチ設定用キー部が設けられている。例えば、弱火力キー、中火力キー、および強火力キーの3つのワンタッチキーを備えており、弱火力キーは右加熱源6RCの火力を300Wに設定し、中火力キー26は750Wに設定し、強火力キーは2.5KWに設定する。さらに、右ワンタッチキー部の右端部に強火力キーが設けられ、右加熱源6RCの火力を3KWにしたい場合、これを押圧操作する。
同様にして、左IHコイル6LCの火力設定のための左火力設定用操作部71にも右火力設定用操作部70と同様なワンタッチキー群が設置されている。
(中央操作部)
中央操作部72には、図3に示されるように、グリル(ロースト)調理およびオーブン調理に用いられるグリル加熱室9のヒータ22、23の通電を開始する操作スイッチ(図示せず)の操作ボタンと、その通電を停止する操作スイッチ(図示せず)の操作ボタンが並べて設けられている。
また、中央操作部72には、ヒータ22、23によるグリル調理や左IHコイル6LC、右IHコイル6RCによる電磁調理における制御温度を、1度ずつ加算的又は減算的に設定する温度調節スイッチの操作ボタンが横一列に設けられている。また、中央加熱源7の電源入り・切りスイッチボタンもここに設けてある。なおこれらのスイッチは図示していない。
さらに、中央操作部72には便利メニューキー(図示せず)が設けられている。それを操作すると揚げ物調理(左IHコイル6LC、右IHコイル6RCを使用)、揚げ物予熱状態表示(左IHコイル6LC、右IHコイル6RCを使用し、油を所定の予熱温度まで加熱)、タイマー調理(左IHコイル6LC、右IHコイル6RC、中央加熱源7、グリル加熱室9の内部に設けたヒータ22、23を、タイマースイッチにて設定した時間中だけ通電して調理)を設定する際に押圧すれば、後述する統合表示装置100に所望の入力画面や状態表示画面を簡単に読み出せる。
また、前述したタイマーカウンター(図示せず)を操作・スタートさせるスタートスイッチを操作すると、液晶表示画面45R、45Lに、そのスタート時点からの経過時間が計測されて数字で表示される。なお、液晶表示画面45R、45Lの表示光はトッププレート21を透過し、経過時間が「分」と「秒」単位で明瞭に使用者に表示される。
(火力表示ランプ)
トッププレート21の右前側で、右IHコイル6RCと右火力設定用操作部70との間の位置に、右IHコイル6RCの火力の大きさを表示する右火力表示ランプ101Rが設けられている。右火力表示ランプ101Rはトッププレート21を透過させて、その下面から表示光を上面側に放つようにトッププレート21の下面近傍に設けられている。
同様に、左IHコイル6LCの火力の大きさを表示する左火力表示ランプ101Lが、トッププレート21の左前側で、左IHコイル6LCと左火力設定用操作部22との間の位置に設けられ、トッププレート21を透過させてその下面から表示光を上面側に放つようにトッププレート21の下面近傍に設けられている。
(表示装置)
トッププレート21の左右方向の中央部で、前後方向の前側には、統合表示装置100が、設けられている。この統合表示装置100は液晶パネルを主体に構成され、トッププレート21を透過させてその下面から表示光を上面側に放つようにトッププレート21の下面近傍に設けられている。
統合表示装置100は、左IHコイル6LC、右IHコイル6RC、中央加熱源7及びグリル加熱室9のヒータ22、23等の通電状態(火力や時間等)を入力したり、確認したりすることができる。すなわち、
(1)左右IHコイル6L、6Rの機能(調理動作中であるかどうか等)
(2)中央加熱源7の機能(調理中であるかどうか等)
(3)グリル加熱室9での調理の場合には、その加熱調理を行う場合の操作手順や機能(例えば、現在ロースター、グリル、オーブンの調理の何れが行われているかどうか)
のそれぞれに対応して、動作状況や火力等の加熱条件が、文字やイラスト、グラフ等によって明瞭に表示されるものである。
統合表示装置100で使用されている液晶画面は、周知のドットマトリックス型液晶画面である。また高精細(320×240ピクセルの解像度を備えているQVGAや640×480ドット、16色の表示が可能なVGA相当)の画面を実現でき、文字を表示する場合でも多数の文字を表示することができる。液晶画面は1層だけではなく、表示情報を増やすために上下2層以上で表示するものを使用しても良い。液晶画面の表示領域の大きさは縦(前後方向)約4cm、横約10cmとなっている長方形である。
また、情報を表示する画面区域を加熱源毎に複数個に分割するようにしても良い。例えば画面を合計10個のエリアに割り当てておき、次のように定義しておいても良い。
(1)左IHコイル6LCの対応エリア(火力と時間で各1個)
(2)中央加熱源7の対応エリア(火力と時間で各1個)
(3)右IHコイル6RCの対応エリア(火力と時間で各1個)
(4)グリル加熱室9の調理用に(火力と時間で各1個)
(5)各種調理における参考情報を随時又は使用者の操作で表示するガイドエリア(1個)
(6)異常運転検知時又は不適正操作使用時に使用者に報知する表示エリア(1個)。
上記の合計10個のエリア(表示領域)は、統合表示装置100の液晶画面の上に実現されたものではあるが、画面自体に物理的に個別に形成され、又は区画されているものではない。すなわち、画面表示のソフトウエア(マイコンのプログラム)により確立されたものであるので、そのソフトウエアによりその都度面積や形、位置を変えることは可能である。また、使用者の使い勝手を考え、左IHコイル6LC、中央加熱源7、右IHコイル6RC等各加熱源の左右の並び順序に合わせて常に同じ並び順序にしている。つまり、画面上では左側に左IHコイル6LC、真中に中央加熱源7、右側に右IHコイル6RCについての情報が表示される。
なお、左右IHコイル6LC、6RCの対応エリアを2つにした場合、火力(加熱量)等の「第一条件」設定の正常状態を表示する第一の表示エリアと、調理時間、設定温度等(第一条件よりも多数の種類がある)「第二条件」の設定状態並びに当該加熱源固有の「温度や電流、電圧等の物理量」異常状態を表示する第二の表示エリアと、の2つのエリアに分けても良い。
(グリル加熱室9)
グリル加熱室9の前面開口9Aはドア13によって開閉自在に覆われ、ドア13は前後方向に移動自在になるよう加熱室9に支持機構によって保持されている。また、ドア13の中央開口部13Aには耐熱ガラス製の窓板が設置され、グリル加熱室9の内部が外側から視認できるようになっている。ドア13の開閉操作は前方に突出した取っ手13Bにより行うことができる。なお、グリル加熱室9は、前述したように本体の内側後壁面との間に所定の空間SXが形成され、この空間を利用して後述する排気ダクト14が設置され、また排気室12が形成されている。
ドア13には金属製の受皿108の前端部が連結されており、ドア13を前方に引き出した場合、その引出し動作に伴って受皿108も一緒にグリル加熱室9の前方へ引き出される。受皿108の上には金属製の焼き網109が置かれて使用されることもある。受皿108は、ドア13と連結された左右一対の金属製レールDLの上に左右両端部が着脱自在に支持されているため、受皿108をレールDLの上から単独で取り外すことが出来るようになっている。
また焼網109の形状と受皿108の位置、形状等は、受皿108を前方に引き出す際に下部のヒータ23に当たって引き出せないことがないように工夫してある。このようにこのグリル加熱室9では、焼網109の上に肉や魚、その他食品を載せてヒータ22、23を(同時又は時分割等で)通電すれば、それら食品を上下両面から加熱する「両面焼き機能」を有するものである。このグリル加熱室9には、この室内温度を検出する温度センサー(図示せず)が設けられており、庫内温度を所望の温度に維持させて調理をすることも可能になっている。
グリル加熱室9は、図6に示すように、後方(背面)側に開口9Bを有し、前方側に開口9Aを有した筒状の金属製内枠9Cと、この内枠9Cの外側全体を所定の(下方)間隙113、(上方)間隙114および左右両側方間隙(図示せず)を保って覆う外枠9Dとから構成されている。なお、「307」はグリル加熱室9の外枠9Dと本体ケース2の底壁面との間に形成された空隙である。
外枠9Dは、左右両側壁面、上面、底面及び背面の5つの面を有し、全体が鋼板等で形成されている。これら内枠9Cと外枠9Dの内側表面は、ホーロー等の清掃性の良い被覆を形成するか又は耐熱塗装膜を塗ったり、あるいは赤外線放射皮膜を成膜したりしている。赤外線放射皮膜を成膜すれば、食品等の被加熱物に対する赤外線放射量を増大させ、加熱効率を高め、またむら焼けの改善にもなる。
「9E」は外枠9Dの背壁面上部に形成した排気口である。「14」はその排気口9Eの外側に連続するように設置した金属製排気ダクトである。排気ダクト14は流路断面が正方形又は長方形であり、図6に示すように途中から下流側に行くに従って斜め上方に傾斜し、その後垂直方向に曲がり、最終的には上端部開口14Aが上枠20に形成した中央通風口20C近傍まで連通している。
「120」は排気ダクト14の内部の、排気口9Eの下流側位置に設置された脱臭用触媒で、触媒ヒータ121等により加熱されることで活性化し、排気ダクト14を通るグリル加熱室9内部の熱気から臭気成分を除去する働きをする。
(排気構造・吸気構造)
図1に示す通り、上枠20の後部には横長の右通風口(吸気口になる)20B、中央通風口(排気口になる)20C、左通風口(吸気口になる)20Dがそれぞれ形成されている。これら3つの後部通風口の上には、上方全体を覆うように全体に亘り無数の小さな連通孔が形成された金属製平板状のカバー130が着脱自在に載せられている。カバー130は金属板に連通孔用の小孔をプレス加工で形成したもの(パンチングメタルとも言う)の他に、金網や細かい格子状のものでも良い。何れにしても、上方から使用者の指や異物等が各通風口20B、20C、20Dに入らないようなものであれば良い。
ファンケース37の吸い込み筒37A最上位にある吸い込み口37Bは、カバー130の左右端部の直下に臨んでおり、カバー130の連通孔を通して台所等の外部の室内空気を本体部Aの中の左右冷却室8R、8Lに導入できるようになっている。
後部に形成した排気室12の中には、図2に示すように、排気ダクト14の上端部が位置した状態となっている。言い換えると、排気ダクト14の左右両側には、グリル加熱室9の周囲に形成されている空隙116と連通している排気室12が確保されている。グリル加熱室9は、水平仕切り板25との間に所定の空隙116を持って設置されているが、この空隙116は最終的には排気室12に連通している。
前述したように後部仕切り板28に形成した1対の排気口28Aを通じて、上部部品室10の内部は排気室12と連通しているから、上部部品室10の中を流れる冷却風(図5の矢印Y5)が本体部Aの外部へ図2の矢印Y6のように排出される。この際、これに誘引されて空隙116内部の空気も一緒に排出される。
図7に示すように、インバータ回路等が形成された回路基板41には、100V又は200Vの商用電源に接続された整流ブリッジ回路221、整流ブリッジ回路221の直流側出力端子に接続されたコイル222、平滑化コンデンサ223、これらのコイルとコンデンサに接続された共振コンデンサ224、これら部品に接続された半導体スイッチング手段となる(IGBT等)の電力制御素子225、及びその他誘導加熱駆動に必要な電気・電子回路部品が搭載されている。
また、電力制御素子225は、誘導加熱駆動動作に伴って大きな電力が流れるので発熱するから、これを空冷するため前述した放熱フィン43Aに熱伝的に取り付け、送風機30からの冷却風で冷却するようにしている。なお、電力制御素子225が複数あるインバータ回路の場合は、他方の放熱フィン43Bにも熱伝的に取り付ける。
(補助冷却構造)
図4において、「46」は内部に上面操作部61の各種電気・電子部品や誘導加熱調理時の火力を光で表示する発光素子57等が基板56上に固定されて収容された前部部品ケースで、上面が開放した透明プラスチック製の下ダクト46Aと、この下ダクトの上面開口を塞ぐように密閉する蓋となる透明プラスチック製の上ダクト46Bとから構成されている。
下ダクト46Aの右端部と左端部にはそれぞれ通風口46R、46Lが開口しており、中央の後部には通風を許容する切欠き46Cが形成されている。「46H」は下ダクト46Aの下面に一体に形成された脚部で、この下ダクト46Aを水平仕切り板25の上面に支持する役目を有している。なお、脚部46Hを下ダクト46Aの下面に長く連続して形成し、冷却風の案内板を兼用するようにしても良いが、この実施形態では下ダクト46Aと水平仕切り板25との間には、積極的に冷却風を流さないので、脚部46Hは数箇所点在しているだけである。
上ダクト46Bの天井面には、中央に統合表示装置100が、また左右には液晶表示部45R、45Lがそれぞれ設置されている。送風機30の冷却風は、部品ケース34の第2の排気口34Bから冷却ダクト42の通風空間42Hに入り、ここから通風空間42Hに対応して形成した通風口42Kを通して液晶表示部45R、45Lの下方から前部部品ケース46に入り、切欠き46Cから上部部品室10に排出されるものである。これにより液晶表示部45R、45L、統合表示装置100ともに常に送風機30からの冷却風で冷却される。特に部品ケース34の第2の排気口34Bからの冷却風は、誘導加熱動作時に高温になる左右IHコイル6LC、6RCを冷却した風でないから、その温度は低く、液晶表示部45R、45L及び統合表示装置100ともに、冷却風の風量が少ないながらも効果的に温度上昇が抑制される。
なお、図5の矢印Y5に示す冷却風の流れで、下流側になる左右IHコイル6LC、6RCの後部位置が冷えにくいため、この実施の形態では、通風空間42Fに第1の排気口34Aから低温の風が直接供給されるようにして、当該部分を冷やすようにしている。
(補助排気構造)
図6に示すように、排気ダクト14には、その脱臭用触媒120より下流側において、一段階下方へ凹ませた形状の筒形底部14Bが形成されている。「14C」はこの底部14Bに形成された通気孔である。「106」はこの通気孔14Cに臨ませた補助排気用の軸流形送風機で、「106A」はその回転翼、「106B」はその回転翼を回転させる駆動用のモータであり、排気ダクト14に支持されている。
グリル加熱室9で調理中、その加熱室9は高温になるから自然と内部気圧が上昇し、それに伴って高温の雰囲気が排出され、排気ダクト14を上昇してくるが、その送風機106を運転して矢印Y7で示すように本体部Aの内部の空気を排気ダクト14に取り入れることにより、その新鮮な空気にグリル加熱室9の高温空気は誘引され、温度が下がりながら排気ダクト14の上端部開口14Aから矢印Y8で示すように排気される。
なお、補助排気用の軸流形送風機106は、調理装置の運転中に常に運転されている訳ではなく、運転されるのはグリル加熱室9で加熱調理が行われる場合である。この場合に、グリル加熱室9から排気ダクト14に高温の熱気が排出されるからである。
なお、図6におけるY7、Y8の空気の流れと、図5におけるY1〜Y5の空気の流れとは全く関連しておらず、また連続した流れでもない。
(駆動回路)
図7は、この加熱調理装置の駆動回路の全体を示す構成図であり、1つ又は複数のマイクロコンピュータを内蔵した通電制御回路200を中心に形成されている。通電制御回路200は、入力部201と、出力部202と、記憶部203と、CPU(演算制御部)204の4つの部分から構成され、定電圧回路(図示せず)を介して直流電源が供給されて、全ての加熱源と表示装置を制御する中心的な制御手段の役目を果たすものである。
図7において、100V又は200V電圧の商用電源に対し、整流回路(整流ブリッジ回路ともいう)221を介して右IHコイル6RC用のインバータ回路210Rが接続されている。また、右加IHコイルのインバータ回路210Rと並列に、左IHコイル6LC用のインバータ回路210Lが、整流ブリッジ221を介して商用電源に接続されている。
「211」は中央加熱源7のヒータ駆動回路、「212」はグリル加熱室9の庫内加熱用ヒータ22を駆動するヒータ駆動回路、「213」は同じくグリル加熱室9の庫内加熱用ヒータ23を駆動するヒータ駆動回路、「214」は排気ダクト14の途中に設けた触媒ヒータ121を駆動するヒータ駆動回路、「215」は統合表示装置100の液晶画面を駆動する駆動回路である。
右IHコイル6RCのインバータ回路210Rは、図7に示した右IHコイル6RCと、商用電源の母線に入力側が接続された整流ブリッジ回路221と、この直流側出力端子に接続されたコイル222及び平滑化コンデンサ223からなる直流回路と、コイル222とコンデンサ223の接続点に1端が接続されたIHコイル6RC及び共振コンデンサ224の並列回路からなる共振回路と、この共振回路の他端にコレクタ側が接続されたスイッチング手段となるIGBT225と、を備えている。
IGBT225のエミッタは、平滑化コンデンサ223と整流ブリッジ回路221の共通接続点に接続されている。フライホイールダイオード226のアノードがエミッタ側になるようIGBT225のエミッタとコレクタ間に接続されている。
「227」は電流検出センサー227であり、右IHコイル6RCと共振コンデンサ224Rの並列回路からなる共振回路に流れる電流を検出する。電流検出センサー227の検出出力は通電制御回路200の入力部に供給され、誘導加熱に不適当な鍋等が用いられた場合や、何らかの事故等によって正規の電流値に比較して所定値以上の差の過少電流や過大電流が検出された場合は、通電制御回路200により駆動回路228を介してIGBT225が制御され、瞬時に右IHコイル6RCの通電を停止するようになっている。
なお、左IHコイル6Lのインバータ回路210Lは、上記インバータ回路210Rと同等の回路構成であるので説明は省略する。
電流検出センサー227は、左IHコイル6LCのインバータ回路210Lにも同様に設けられている。電流検出センサー227としては抵抗器を用いて電流を計測する分流器や、カレントトランスを用いて構成する方法がある。
このような誘導加熱方式で被加熱物Nを加熱する調理装置においては、IHコイル6RC、6LCに高周波電力を流すための電力回路は、いわゆる共振型インバータと呼ばれている。
被加熱物N(金属物)を含めたIHコイル6RC、6LCのインダクタンスと、共振コンデンサ(図7の224)を接続した回路に、スイッチング回路素子(図7でいうIGBT225)を20〜40KHz程度の駆動周波数でオン・オフ制御する構成である。
共振型インバータには、200V電源用に適すると言われている電流共振型と、100V電源に適すると言われている電圧共振型とがある。このような共振型インバータ回路の構成には、IHコイル6RC、6LCと共振コンデンサ224の接続先をリレー回路でどのように切り替えるかによって、いわゆるハーフ・ブリッジ回路とフル・ブリッジ回路と呼ばれる方式に分かれる。本実施の形態のインバータ回路210R、210Lは、ハーフ・ブリッジ回路、フル・ブリッジ回路のいずれで構成しても良い。
前述したように、被加熱物N(金属物)をIHコイル6RC、6LCの通電により誘導加熱する際、鉄等の磁性材料の被加熱物Nの場合は、共振コンデンサを接続した回路に、スイッチング回路素子を20〜40KHz程度の駆動周波数でオン・オフ制御して、20〜40KHz程度の周波数の電流を流せば良い。
一方、被加熱物Nがアルミや銅等の高電気導電率の材料で作られている場合、所望の加熱出力を得るためにIHコイル6RC、6LCに大電流を流して被加熱物Nの底面に大きな電流を誘起させる必要がある。そのため高電気導電率の材料で作られている被加熱物Nの場合は、60〜70KHzの駆動周波数でオン・オフ制御することを行っている。
「33」は、本体部Aの内部空間を一定の温度範囲に保つための送風機30のモータ31の電源・駆動回路、「231」は排気ダクト14に設置した補助排気ファン106のモータ106Bの駆動回路である。
(温度検出回路)
図7において、「240」は温度検出回路で、これには以下の各温度検出素子からの温度検出情報が入力される。
(1)右IH加熱コイル6RCの中央部に設けた温度検出素子31R
(2)左IH加熱コイル6LCの中央部に設けた温度検出素子31L
(3)中央加熱源7の電気ヒータ近傍に設けた温度検出素子241
(4)グリル加熱室9の庫内温度検出用温度検出素子242
(5)統合表示装置100の近傍に設置した温度検出素子(図示せず)
(6)部品ケース34の内部の2つの放熱フィン43A、43Bに密着して取り付けられ、それら2つの放熱フィンの温度を個別に検出する温度検出素子244、245。
上記温度検出素子は1つの温度検出対象物に対して2箇所以上設けても良い。例えば右加熱源6Rの温度センサー31Rを、そのIH加熱コイル6RCの中央部と、外周部分に設け、より正確に温度制御を実現しようとするものでも良い。また温度検出素子を異なる原理を利用したもので構成しても良い。例えばIH加熱コイル6RCの中央部の温度検出素子は赤外線方式で、外周部分に設けたものはサーミスタ式としても良い。
冷却用送風機30のモータ300の駆動回路33は、温度検出回路240からの温度測定状況に応じ、それぞれの温度測定部分が所定温度以上高温にならないように常に送風機30を運転して冷却を行う。
(上面操作部構造)
図8に示すように、上面操作部61は、本体ケース2の上面開口2Aの前端部に固定されている金属板製の前部フランジ板2Bのフランジ2T上方に位置している。また、上面操作部61は、樹脂製の基板ケース250と、この基板ケース250の上面に取り付けられた多数個の押圧操作式のスイッチ251、電子部品素子252等が実装された基板253と、スイッチ251の上方を覆うように設けられ、押しボタン254Aを有する押しボタンケース254と、この押しボタンケースの上方を覆うように外周縁部が前枠体123に密着状態に貼られたメンブレンシート255とを有している。
押しボタンケース254は、基板253を覆うように基板ケース250の枠に取り付けられている。メンブレンシート255は弾力性に富む押しボタン支持片であり、これにより押しボタンケース254に押しボタン254Aが支持されている。つまり押しボタン254Aが使用者により下方に押された場合、1〜数mm程度の所定寸法だけ下方に移動して押圧操作式のスイッチ251が閉操作され、またその状態から押しボタン254Aを押すことを止めると、押しボタン支持片は自らの弾力復元性で元の上方位置に戻り、押圧操作式のスイッチ251が開操作される。
前部フランジ板2Bの垂直壁部には、後方に突出した左右一対の支持片256R、256Lが一体に形成されている。
基板ケース250は、トッププレート21の横幅方向に長く形成されており、その基板ケースの後縁に沿って平板状の垂下部259を一体に形成している。この垂下部は前記支持片256R、256Lの間に挿入されて上下動可能に支持されている。
「257」は基板ケース250の下面と前部フランジ板2Bのフランジ2T上面との間に介在させた断面方形で棒状の弾性体で、例えばシリコンゴム系の素材で形成されている。この弾性体257は基板ケース250の下面の横幅全体に及ぶような長さで設けても良いし、また基板ケース250の下面の左右両端部のみに設けたり、所定間隔で点在するように数箇所以上設けた構成としても良い。
弾性体257は、図8に示すように、調理装置の手前側が厨房家具KTに当たっているときに生ずる下方からの押圧力に対し、押しボタン254Aが所定の許容寸法を超えて異常な程押し上げられない程度の反発力を有している。つまり、調理装置の手前側が厨房家具KTに当たって前部フランジ板2Bのフランジ2Tが上方に撓んだ場合、その撓みは弾性体257により吸収され、さらに上下動可能に支持された基板ケース250によって吸収される。
(加熱調理装置の動作)
次に、上記の構成からなる加熱調理装置の動作の概要を説明する。通電制御回路200の内部にある記憶部203には、電源の投入から調理準備開始までの基本動作プログラムが格納されている。動作を開始するには、まず、電源プラグを200Vの商用電源に接続し、主電源スイッチ63の操作ボタン63A(図2参照)を押して電源を投入する。
すると、定電圧回路(図示せず)を介して所定の低い電源電圧が通電制御回路200に供給され、通電制御回路200は起動される。通電制御回路200自身の制御プログラムにより自己診断し、異常がない場合には冷却用送風機30の駆動モータ300を駆動するためのモータ駆動回路33が予備駆動される。
また、左IHコイル6LCおよび右加IHコイル6RC、統合表示装置100の液晶表示部の駆動回路215もそれぞれ予備起動する。
温度検出回路240は各温度センサー31R、31L、241、242、244、245からの温度データを読み込み、そのデータを通電制御回路200に送る。
以上のようにして通電制御回路200には、主要な構成部分の回路電流や電圧、温度等のデータが集まるので、調理前の異常監視制御として、異常加熱判定を行なう。例えば、統合表示装置100の液晶基板周辺の温度がその液晶表示基板の耐熱温度(例えば70℃)よりも高い場合は、異常高温と判定する。
また、電流検出センサー227は、右IHコイル6RCと共振コンデンサ224の並列回路からなる共振回路225に流れる電流を検出し、この検出出力は通電制御回路200の入力部201に供給され、記憶部203に記憶されている判定基準データの正規の電流値に比較して、過少電流や過大電流が検出された場合は、通電制御回路200は何らかの事故や導通不良等と判定し、異常と判定する。
以上の自己診断ステップによって異常判定が無かった場合は「調理開始準備完了」となる。しかし異常判定が行なわれた場合は、所定の異常時処理が行なわれ、調理開始ができないようになる。
(調理モード)
次に、調理前異常監視処理を終えたあとに調理モードに移行した場合について、右IHコイル6RCを使用した場合を例にして説明する。
まず、前面操作部60の右操作ダイアル64Rを右か左へ回す(回した量に応じて火力が設定される)。
前面操作部60からの操作信号が通電制御回路200に入力され、また上面操作部61からの各種入力キーの操作信号が通電制御回路200に入力され、火力レベルや加熱時間等の調理条件が設定される。
次に、通電制御回路200が駆動回路228を駆動し、右IHコイル回路210Rを駆動する。また統合表示装置100が駆動回路215によって駆動されるので、その表示エリアには火力や調理時間等の調理条件が表示される。
駆動回路228はIGBT225のゲートに駆動電圧を印加するので、IHコイル6RCに高周波電流が流れる。これによりIHコイル6RCからの高周波磁束により被加熱物Nの鍋が高温になり、電磁誘導加熱調理動作(調理モード)に入る。
整流回路221と平滑化コンデンサ223によって得られた直流電流はスイッチング素子であるIGBT225のコレクタに入力される。IGBT225のベースには駆動回路228からの駆動信号が入力されることでIGBT225のオン・オフ制御を行う。IGBT225のオン・オフ制御と共振コンデンサ224を組み合わせることで右側のIHコイル6RCに高周波電流を発生させ、この高周波電流がもたらす電磁誘導作用によりIHコイル6RC上方のトッププレート上に載置された鍋等の被加熱物Nに渦電流が発生する。こうして、被加熱物Nに生じた渦電流はジュール熱となって被加熱物が発熱し、調理に用いることが可能となる。
駆動回路228は発振回路を有しており、この発振回路が発生する駆動信号がIGBT225のベースに供給されてIGBT225をオン・オフ制御する。駆動回路228の発振回路の発振周波数や発振タイミングを調整することで、IHコイル6RCの導通比や導通タイミング、電流周波数等が調整されて、IHコイル6RCの火力調節が可能となる。
なお、右IHコイル6RCの通電停止指令が出された場合、右IHコイル6RCへの通電は停止されるが、冷却用送風機30は、通電停止後も2分間〜5分間運転継続する。これにより、右IHコイル6RCの周辺に熱気が滞留したままになり、温度が急激に上昇するというオーバーシュート問題も未然に防ぐことができる。また、統合表示装置100の温度が高くなるという弊害も防ぐことができる。
この運転継続時間は、通電停止までの温度上昇の様子や室内気温、加熱源の運転火力大小等の条件に対応して通電制御回路200が予め決められた算式や数値テーブルから決定する。
但し、冷却用送風機30からの異常電流が検出される等、冷却用ファン自体の故障であることが判明した場合(例えば、冷却フィン43A、43Bの温度だけが上昇している場合)は、その冷却用送風機30への通電も同時に停止する。
統合表示装置100の液晶表示基板は、IHコイル6RC、6LCでの加熱調理時に加熱された被加熱物Nの底部からの反射熱やトッププレート21からの輻射熱で加熱される。また、使用した高温のてんぷら鍋がそのままトッププレート21の中央部上に置かれている場合も、その高温の鍋(200℃近くある)からの熱を受ける。そこで、この実施の形態1では、統合表示装置100の温度上昇を抑制するため冷却用送風機30により左右両側から空冷している。
このように正常な運転環境下で冷却用送風機30が駆動された場合、外部の空気がファンケース37の吸い込み筒37Aの吸い込み口37Bから、ファンケース37の内部に吸引される。吸引された空気はファンケース37の内部で高速回転している回転翼30Fにより、吹き出し口37Cから水平方向の前方に吐き出される。
吹き出し口37Cの前方位置にはファンケース37に密着状態に接続される部品ケース34があり、その空気導入口をファンケース37の吹き出し口37Cに密着状態で連通させているから、部品ケース34の内部は、その内部気圧(静圧)を上昇させるように送風機30から空気が送り込まれる。送り込まれた冷却風の一部は、部品ケース34の上面部で吹き出し口37Cに近い側に設けられた第1の排気口34Aから放出される。
第1の排気口34Aから放出された空気の温度は、途中で高温の発熱体や発熱性電気部品等を冷却していないから、吹き出し口37Cから出た直後の温度と殆ど同じであり、新鮮な空気のままである。第1の排気口34Aから冷却ダクト42の通風空間42Fに送りこまれた冷却用空気は、第1の噴き出し孔42CAから図5の矢印Y3で示すように上方へ噴出し、真上にある右IHコイル6RCの下面に衝突してそのコイルを効果的に冷却する。なお、右IHコイル6RCの形状が、空冷用空気を一部で貫通させる空隙を有している場合はその空隙にも第1の排気口34Aからの冷却風が進入し、それを貫通するように上方に流れて冷却する。
また、通風空間42Fを構成する上ケース42Aの後部上面に7個、また背面側に3個形成された第1の噴き出し孔42CAからも、同時に新鮮な(室温と同等の低温の)冷却風が後方へ噴き出し、電源基板58と中央加熱源7の側方に向かって流れていくので、それらの雰囲気温度を下げることができる。なお、電源基板58と水平仕切り板25との間には空隙119があるので、電源基板58は上面と下面の双方から温度上昇が抑制される。また、中央加熱源7の側方に向かって流れていくようにしたのは、第1の噴き出し孔42CAからの噴出した冷却風が後方へ流れることを促進し、また中央加熱源7が通電されたときそれが非常に高温になるので、その周辺に熱気が滞留しないようにしたものである。
一方、部品ケース34の内部に送風機30から送り込まれた冷却風は、回路基板41の表面には向けられず、また回路基板41の表面近くを流れる訳ではない。すなわち、冷却風は回路基板41の表面(一側面)に突出した構造物となっている放熱フィン43A、43Bの部分を中心に多数の熱交換フィン素子間を通るように構成されており、放熱フィン43A、43Bが主に冷却される。
さらに、部品ケース34の内部に吹き出し口37Cから押し込まれた冷却風の中で、最も速度が速い本流は、図5に矢印Y4で示すように吹き出し口37Cから前方に一直線状に流れ、部品ケース34において冷却風の流れの最も下流側位置にある第2の排気口34Bから噴出される。第2の排気口34Bは第1の排気口34Aよりも数倍大きな開口面積を有しているため、吹き出し口37Cから部品ケース34に押し込まれた冷却風の大部分はこの第2の排気口34Bから噴出する。
そして、噴出した冷却風は冷却ダクト42の空間42G、42Hの中に案内され、その大部分の冷却風は、上ケース42Aの上面に多数形成した噴き出し孔42CA、42CBから噴き出し、その真上にある右IHコイル6RCの下面に衝突してそのコイルを効果的に冷却する。
冷却ダクト42の空間42Hの中に案内された冷却風の一部は、各種電気・電子部品や誘導加熱調理時の火力を光で表示する発光素子57等が収容された前部部品ケース46の中に導かれる。具体的には、送風機30の冷却風は、部品ケース34の第2の排気口34Bから冷却ダクト42の通風空間42Hに入り、ここから通風空間42Hに対応して形成した冷却ダクト42の通風口42Kを通り、その通風口42Kの真上に密着するように位置している下ダクト46Aの通風口46R、46Lに入る。
これにより前部部品ケース46に入った冷却風でまず液晶表示画面(液晶表示部)45R、45Lが下方から冷却されるとともに、その後、前部部品ケース46内を流れて最後に切欠き46Cから上部部品室10に排出される過程で順次内蔵部品が冷却される。これにより液晶表示部45R、45L、統合表示装置100、各種電気・電子部品や誘導加熱調理時の火力を光で表示する発光素子57等は順次冷却風で冷却される。特に、前部部品ケース46の中に案内された冷却風は、誘導加熱動作時に高温になる左右IHコイル6LC、6RCを冷却した風でないから、その温度は低く、液晶表示部45R、45L及び統合表示装置100等は、冷却風の風量が少ないながらも効果的に温度上昇が抑制されるように冷却され続ける。
10個程度設けられている第1の噴き出し孔42CAと、それ以上に多数設けられている第2の噴き出し孔42CBとから噴出された冷却風は、図2、図3、図5に示すように上部部品室10を後方に向かって矢印Y5、Y6のように流れる。この冷却風の流れに、切欠き46Cから上部部品室10に排出された冷却風も合流し、本体部Aの外部に連通している後部の排気室12に流れることで、最終的に排気室12から排出される。
次に、この右加熱源6Rによる加熱中、グリル加熱室9のヒータ22,23に通電した場合について説明する。
ヒータ22,23を同時又は個別に通電することでグリル加熱室9内部で各種調理ができるが、この調理に伴ってグリル加熱室9の内部には高温の熱気が発生する。このためグリル加熱室9の内部圧力は自然と高まり、後部の排気口9Eから排気ダクト14の中を自然と上昇していく。その過程で駆動用ヒータ駆動回路214によりヒータ121に通電され高温になっている脱臭用触媒120によって排気中の臭い成分が分解される。
一方、排気ダクト14の途中には補助排気用の軸流形送風機106が設けてあるため、排気ダクト14を上昇してくる熱気に対し、その送風機106を運転して矢印Y7で示すように本体部Aの内部の空気を排気ダクト14に取り入れることにより、その新鮮な空気にグリル加熱室9の高温空気は誘引され、温度が下がりながら排気ダクト14の上端部開口14Aから矢印Y8で示すように排気される。
なお、このように排気ダクト14の上端部開口14Aからの排気流により、その開口14Aと隣り合っている後部排気室12の中の空気も誘引されて外部へ排出される。つまり、本体内部のグリル加熱室9と水平仕切り板25との間の空隙26の空気や上部部品室10内部の空気も一緒に後部排気室12を経由して排出される。
実施の形態2.
図9〜15は本発明の実施の形態2に係る加熱調理装置を示すもので、図9はその全体の平面図、図10はその送風機と部品ケース部分の縦断面図、図11は同じく送風機と部品ケース部分の横断面図、図12は図10のXI−XI線における断面図、図13は部品ケースと冷却ダクトの部分を分解状態で示す斜視図、図14は部品ケースとファンケースの結合状態における側面図、図15は冷却ユニットの設置状態を示す全体の平面図で天板部を取り除いた状態のものである。なお、各図において実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付している。
実施の形態2も実施の形態1と同様、本体部Aの内部にグリル加熱室9を設け、本体部Aにおいてグリル加熱室9の右側及び左側空間には前後方向に伸び、かつグリル加熱室9とは隔絶された冷却室8R、8Lをそれぞれ形成し、これら各冷却室には、インバータ回路を構成する回路基板41を収容した部品ケース34と、この部品ケース34に結合され、これとの間に送風機30の送風室を形成するファンケース37とを備えた冷却ユニットCUを配置したものである。そして、ファンケース37と部品ケース34との間の送風室に、送風機30の回転翼部を内蔵させ、この回転翼部で発生した冷却風を部品ケース34の中に導入し、この導入された冷却風を部品ケース34で分岐し、誘導加熱式加熱源であるIHコイル6RC、6LCに向けて噴き出すようにしたものである。
図9において、本体ケース2の内部中央には、箱形のグリル加熱室9を設け、このグリル加熱室の左右両側にはそのグリル加熱室9の外壁面と数mm程度の間隙118を置いて対面するように金属製又は断熱材料からなる上下仕切り板24R、24Lを設置している。この上下仕切り板24Rの右側で本体ケース2の内側壁面(右側壁面)との間が右側の冷却室8Rになり、上下仕切り板24Rの左側で本体ケース2の内側壁面(左側壁面)との間が左側の冷却室8Lになっている。つまり、上下仕切り板24R、24Lにより、左右それぞれの冷却室8L、8Rはグリル加熱室9と隔絶された状態になっている。
左右の冷却室8L、8Rの中には、左右別々の冷却ユニットCUが上方から挿入されて設置されている。その設置状態では、冷却ユニットCUの側面とグリル加熱室9の外壁面との間には、対向間隔が数mm程度の空隙116が確保され、また冷却ユニットCUの反対側の側面と本体ケース2の内側側壁面との間にも、対向間隔が数mmかそれよりも更に狭い空隙117が確保されるようになっている。つまり、この冷却ユニットCUは左右の冷却室8L、8Rの横幅一杯に近い横幅寸法を有し、冷却室8L、8Rの有効スペース一杯に及ぶように密着状態に近い状態で設置されている。上記の空隙118、116は、高温になるグリル加熱室9の熱がその壁面から放射されることを想定して、その熱的影響が左右の冷却室8L、8Rに対して少なくなるように工夫した構造の一つである。
冷却ユニットCUは、インバータ回路を構成する回路基板41を収容した部品ケース34と、この部品ケース34に結合されこれとの間に送風機30の送風室を形成するファンケース37とが一体に結合され、一個の構造物となっており、一体で運搬したり、本体ケース2内に設置したりできる。
図9において、「X2」は右IHコイル6RCの中心点を示し、「X3」は同じく左IHコイル6LCの中心点を示している。図9から明らかなように、右IHコイル6RCと左IHコイル6LCは、直径の大きな鍋でも加熱できるように可能な限り相互間隔を大きくしている関係で、左右それぞれの冷却室8L、8Rの上方空間にも外周縁部が一部張り出すような位置関係になっている。これに対応して、冷却ダクト42も、左右それぞれの冷却室8L、8Rの上方空間にも外周縁部が一部張り出すような位置関係になっている。
なお、図9では図示していないが、左右仕切り板24R、24Lの間の空間全体を覆うように水平仕切り板25が設置され、その水平仕切り板25の上方空間が上部部品室10となっている。
「58」は上部部品室10の右奥隅にあって一部は右側の冷却室8Rの上方に張り出す形になっている電源基板であり、この電源基板58に対し本体ケース2の背面下部から100V又は200Vの商用電源が引き込まれている。この電源基板58には例えば商用電源を整流するブリッジ回路221のための各種電気部品群が実装されている。
「59」は上部部品収納室10の左奥隅にあって一部は左側の冷却室8Lの上方に張り出す形になっている電源基板であり、この電源基板59は中央加熱源7とグリル加熱室9のヒータ22、23に電源を供給するものであり、電源基板58から電力が供給され、加熱容量(火力)制御のための各種電気部品等が実装されている。
「42CA」は、冷却ダクト42の上ケース42Aの上面の後部に3個、また通風空間42Fの周壁面を構成する上ケース42Aの背面側に2個形成した第1の噴き出し孔で、送風機30からの冷却風を冷却ダクト42の真後ろと斜め後方に供給するように形成されている。なお、上ケース42Aの上面の各噴き出し孔42CAの口径は同じにしてあり、例えば直径10mmの真円である。
上ケース42Aの背面側に形成した2個の第1の噴き出し孔42CAの内、1個は電源基板58又は電源基板59と向き合うように、また他の1個は中央加熱源7の右側又は左側位置に向き合うように形成してあり、冷却ユニットCUの第1の排気口34Aから通風空間42Fに送り込まれた新鮮な冷却風を電源基板58、電源基板59、もしくは中央加熱源7の側方に向けて供給するように形成されている。
冷却ユニットCUは、図10〜図12に示すように、後部側の一側面に一定高さにリブ38を円形に一体形成した透明プラスチック製のファンケース37と、このファンケースの他側面側に重ね合わされて結合される一側面全体が開口したプラスチック製箱形の部品ケース34と、ファンケース37の一側面に結合され、その結合状態でリブ38で囲まれた空間との間に送風室39が区画形成されるファンケース40の3部品を有している。
ファンケース40は、十分な開口面積を有する吸い込み口37Bが上端に形成され、そこから垂直に下方に伸びた吸い込み筒37Aと、この吸い込み筒37Aの末端に連続し吸引した風の流れを回転させながら翼部30Fに送る案内筒部40Aとを有している。案内筒部40Aの中心部には周囲の壁面から中心部に向かって4本の腕部40Bが突設され、その腕部40Bの先端部にモータ300が固定されている。
「38A」はファンケース37のリブ38で形成した屈曲形状の喉部で、ファンケース40もこの喉部38Aを含めてリブ38に密着するような壁を対向面に連続して形成している。なお、実際の吸い込み口37Bの開口寸法(有効内寸)は、前後方向(図9でいう奥行寸法M2)は17mm、また横幅(図11でいうM1)は80mmであり、開口面積は13.6平方センチメートルとなっている。
左右2つの部品ケース34、34には、その内側にインバータ回路210R、210Lを構成する部品が実装された回路基板41、41をそれぞれ収容する凹部34Cを有している。この凹部34Cは、図11に示すように一部は送風室39の裏側にまで及び、側面から見た場合の大きさは図10に示すように、縦H1、横幅W1の寸法を有している。回路基板41はこの凹部34Cにほぼ匹敵する大きさを有し、この広い面積を使って高周波電力を供給するためのインバータ回路210R、210Lを構成する多数の部品を実装している。
部品ケース34の開口部周縁の外側に密着してファンケース37の周縁部が重ね合わされ、ファンケース37に形成された舌部37Fや側部37Gに対し、ネジSC1を締めて部品ケース34と一体化している。
またファンケース40にも舌部40Fや取付部40Gが形成され、これらをネジSC2でそれぞれファンケース37に締め付けて、2つのファンケース37、40相互を結合している。
一体化された部品ケース34とファンケース37との間には、吹き出し口37Cを介して送風室39に連通した横長長方形形状の密閉空間が形成される。但し、第1の排気口34A及び第2の排気口34Bは、例外的に外部との連通部分として機能し、これら排気口34A、34Bから冷却風が強制的に(大気圧より高い圧力で)排出される。
実施の形態2における第1の排気口34Aの大きさは、側面から見た投影面積でいうと図10において、高さHAが11mm、幅WAが20mmであり、第2の排気口34Bの大きさは、図10において高さHBが11mm、幅WBが110mmになっている。つまり側面から見た投影面積でいうと、2つの排気口34A、34B合計で14.3平方センチメートルになっており、吸い込み口37Bの開口面積13.6平方センチメートルより若干大きくなっている。
なお、第1の排気口34Aと、第2の排気口34Bから排出される風の圧力を大気圧に比較して大きくしない場合は、この実施形態のように第1の排気口34Aと、第2の排気口34Bの開口面積合計に比較して吸い込み口37Bの開口面積を同等にしても良いが、更に十分な圧力風を確保するためには、第1の排気口34Aと、第2の排気口34Bの開口面積合計に比べて吸い込み口37Bの開口面積を十分大きく採れば、冷却ユニットCUの内部圧力(静圧)を、より高めることができる。
「40C」は、ファンケース37の吹き出し口37Cに対応してファンケース40に形成した傾斜案内部であり、送風室39で発生した風を部品ケース34の内側へ案内するものである。ファンケース37の吸い込み口37Bは、一定の風量を確保するために開口面積を確保する必要があるため、送風室39の部分の厚み(横幅寸法)は図11に示すように大きくする。また翼部30Fの直径やその厚さも確保し、モータ300の設置スペースも確保する必要があるため、ファンケース37とファンケース40全体で見ると、幅、奥行寸法とも大きくならざるを得ない。しかし部品ケース34の厚さは送風室39等の厚さよりも小さくできるから、吹き出し口37Cから部品ケース34に風が入る入口部分で、傾斜案内部40Cが送風を円滑に流れるよう案内している。つまり図12に示すように吹き出し口37Cの始めの部分ではその通路の幅はH5にせざるを得ないが、下流に行くに従いその寸法H5が小さくなるように傾斜案内部40Cが設けられている。
ファンケース37は、図10に示すように冷却風の吹出し方向が水平線に対し上方に一定角度θ1(例えば10度)だけ傾斜している。また放熱フィン43A、43Bは部品ケース34の内底面から所定寸法H2、H3だけ離れた位置に設置してあるから、送風機30からの冷却風の流れの中心部は、放熱フィン43A、43Bの下端部になる。放熱フィン43A、43Bを冷却風の吹出し方向の全く正面に設置すると、放熱フィン43A、43Bの冷却効果は高まるが、放熱フィン43A、43Bの細かいフィン素子を通過する際の圧力損出で、冷却風の送風圧力が低下し、肝心の第2の排気口34Bまで十分な風量、圧力で風を送ることができなくならないように、このような特別な構成にしている。因みに、H2、H3とも35mmにしてある。
またファンケース37の風下側角部は大きな曲面37Kにして、送風機30からの冷却風の流れの中心部が第2の排気口34B側へ向きやすくしている。
「223」は図7の回路図に示したような平滑化コンデンサ223、「224」は共振コンデンサ224であり、このような背の高い電気部品は図11に示すように、回路基板41からの高さ寸法S3を極力薄いものにしている部品ケース34では、その内壁面との間隙S2が小さくなる可能性があるので、これら部品を図10に示すように風を案内する方向に全て角度θ2だけ傾斜させることで整列させて、第2の排気口34Bへ風が円滑に流れるようにしている。因みにこの実施の形態で、S3は45mm、S2は25mmである。
また、回路基板41の裏面には回路部品を実装していないが、部品ケース34の内壁面との間に数mm以下の間隙119が確保されるように設置している。なお、図10で「260」はコンデンサ等の電気部品である。
図10において、「262」は部品ケース34の上側壁面に形成した凹部で、この内部底面266には各インバータ回路210R、210Lで生成した高周波電力がコード(図示せず)を介して接続される金属製端子263が固定されており、冷却室8R、8Lに冷却ユニットCUを設置した後、その端子263に対し、所定のコード264を接続すれば左右のIHコイル6RC、6LCへの電源接続を簡単にすることできる。なお、各インバータ回路210R、210Lから高周波電力を引き出すコードは、当然ながら端子263に至る間は部品ケース34の外部には露出しない。またコード264の他端部にコネクタ265を設けておけば、左右のIHコイル6RC、6LCとの接続はより簡単にできる。
グリル加熱室9は、誘導加熱式加熱源6RC、6LCの下方に内蔵されるとともに、本体部外郭を構成する本体ケース2の胴部背面壁との間に所定の空間SX(図9、図15参照)が形成されており、この空間SXに排気ダクト14を設置し、また排気室12を形成している。なお、この空間SXは10cm〜15cm程度の奥行寸法を有している。特に流し台等の厨房家具KTに設置するビルトイン型においては、厨房家具の設置空間から本体部Aの奥行寸法は一定範囲に制限されており、その中でグリル加熱室9からの排気を導く排気ダクトを設けているので、空間SXは、グリル加熱室9を内蔵したこの種の調理装置では、事実上ゼロにすることは不可能である。
2つの独立した冷却ユニットCUは、冷却室8R、8Lに上方から挿入されて固定された状態では、横幅W3(図11、図15参照)の大きなファンケース37とファンケース40の部分が空間SXに一部突出し、また回路基板41を収容した部品ケース34は、グリル加熱室9の左右側壁面と所定の空隙116、118が形成される。なお、ここでいう空隙とは、グリル加熱室9の左右の外壁面との間の空隙を意味しており、この実施の形態でいう左右仕切り板24、24Lと部品ケース34の外側表面との間の対向間隙116だけをいうものではない。
このように冷却ユニットCUのファンケース37、40の部分は、グリル加熱室9があってもその空間SXに一部が配置され、前方から投影した形で見た場合、図15に示すように、横幅W4のグリル加熱室9の範囲に冷却ユニットCUのファンケース37、40の部分がグリル加熱室9と一部重なる状態になっていることで、本体部Aの横幅寸法W6が増大するのを防止できている。
この種のグリル加熱室9は、秋刀魚等の大きな被加熱物も調理できることが望まれるので、本体部Aの内部空間の横幅寸法がW5(図15参照)という制約がある中で、グリル加熱室9の横幅(W4)はできるだけ大きくする必要がある。また、背後には所定の空間SXを確保する必要がある。
また、冷却ユニットCUの吸い込み口37Bに連なる送風室39は、一定の風量を確保することや、回転駆動される多翼式送風機30の翼部30Fの直径やその厚さ、及び吸い込み口37Bから送風室39に至る間で滑らかに曲がる風路も確保すること、更にはモータ300の設置スペースも確保する必要があるため、ファンケース37とファンケース40全体で見ると、幅W3、奥行寸法L2(図11参照)とも大きくならざるを得ない。しかし、このような冷却ユニットCUでも、上述したように冷却ユニットCUのファンケース37、40の部分がグリル加熱室9と一部範囲(図15で示した符合WX)で重なる状態になっていることで、この重なった寸法分だけ本体部Aの横幅W5を小さくできる。つまり、この実施の形態では、後部の吸い込み口37Bが大きいという冷熱ユニットCUの特徴も考慮し、グリル加熱室9との位置関係を工夫して、本体部Aに冷熱ユニットCUを効率良く、コンパクトに収納できている。
図13において、WF1〜WF5は冷却風の流れを示す。「42J」は冷却ダクト42Jの下ケース42Bに形成した凹部で、その先端には吹出し穴が形成されており、上面操作部61の下方空間へ冷却風WF5を案内するようになっており、上面操作部61の温度上昇を抑制している。
(冷却用送風機30の動作)
上記の構成において、冷却用の送風機30を駆動した場合について説明する。なおこの場合、左側のIHコイル6LCが誘導加熱中であるものとする。
送風機30が駆動すると、外部の空気が(左冷却室8Lの)ファンケース37の吸い込み筒37Aの吸い込み口37Bから案内筒部40Aを経て、送風室であるファンケース37の内部に吸引される。吸引された空気はファンケース37の内部で高速回転している回転翼30Fにより吹き出し口37Cから水平方向より所定角度θ上に向けて勢い良く送り出される。吹き出し口37Cから見た前方位置にはファンケース37に密着状態に接続される部品ケース34があり、空気導入口をその吹き出し口37Cに連通させているから、吹き出し口37Cから送風機30で送り込まれた空気により、部品ケース34の内部気圧(静圧)は上昇する。
放熱フィン43A、43Bは、部品ケース34の内底面から所定寸法H2、H3だけ離れた位置に設置してあるから、送風機30から送り出された冷却風の流れの中心部は、図10の矢印Y4Aのように、放熱フィン43A、43Bの下端部になる。言い換えると、回路基板41の表面や、回路基板41に実装されている多数の小型電子部品や印刷配線パターン等に直接冷却風が吹きつけられるものではない。
この実施の形態2では、以上のように、冷却風の吐き出し流の中心部が回路基板41の表面及びその近傍にならないようにして、冷却風の吐き出し流の中心部が放熱フィン43A、43Bの非取付部側端部の方に来るようしている(図11参照)。これにより、長期間の使用により台所等の室内空間からの空気に含まれた油煙や埃が冷却風とともの回路基板41の表面や実装された小型電子部品等の周囲や端子部に付着・堆積する可能性を低く抑えることができ、長年の使用により、回路基板41に油煙や埃等の堆積物が溜まり、それが湿気を吸収して回路基板41の電気絶縁性が低下することを防止できる。
部品ケース34に送り込まれた冷却風の一部は、部品ケース34の上面部で吹き出し口37Cに近い側にある第1の排気口34Aから、図10に示すように、矢印Y3で示すように放出される。この放出された空気の温度は、途中で高温の発熱体や発熱性電気部品等を冷却していないから、吹き出し口37Cから出た直後の温度と殆ど同じであり、新鮮な空気のままである。またこの段階では負圧ではなく、正圧の空気流である。
そして第1の排気口34Aから冷却ダクト42に送りこまれた冷却用空気は、第1の噴き出し孔42CAから図13の矢印WF2で示すように上方へ噴出し、真上にある右IHコイル6RCの下面に衝突してそのコイルを効果的に冷却する。なお、右IHコイル6RCの形状が、空冷用空気を一部で貫通させる空隙(貫通孔)を有している場合は、その空隙にも第1の排気口34Aからの冷却風が貫通するように流れて冷却する。
「42CA」は、図13に示すように、冷却ダクト42の上ケース42Aの上面の後部に3個、また前記通風空間42Fの周壁面を構成する上ケース42Aの背面側に2個形成した第1の噴き出し孔である。第1の噴き出し孔42CAは、送風機30からの冷却風を冷却ダクト42の真後ろと斜め後方に供給するために形成されており、各噴き出し孔42CAの口径は同じにしてあり、例えば直径10mmの真円である。
一方、部品ケース34の内部に送風機30から圧力を持って送り込まれた冷却風は、回路基板41の中を流れる過程でその回路基板41の表面(一側面)に突出した構造物となっている放熱フィン43A、43Bの多数の熱交換フィン素子間を通るから、放熱フィン43A、43Bが冷却される。
さらに、吹き出し口37Cから押し込まれた冷却風の中で、最も速度が速い部分である本流は、図10に矢印Y4Aで示すように吹き出し口37Cから前方に一直線状に流れ、部品ケース34において冷却風の流れの最も下流側位置にある第2の排気口34Bから噴出される。この第2の排気口34Bは第1の排気口34Aよりも数倍大きな開口面積を有しているため、吹き出し口37Cから部品ケース34に押し込まれた冷却風の大部分はこの第2の排気口34Bから噴出する。
第2の排気口34Bから噴出した冷却風は冷却ダクトの空間42G、42Hの中に案内され、その大部分の冷却風は上ケース42Aの上面に多数形成した第2の噴き出し孔42CBから噴き出し、その真上にある左Hコイル6LCの下面に衝突してそのコイルを効果的に冷却する。
なお、冷却ダクトの空間42Hの中に案内された冷却風の一部は、各種電気・電子部品や誘導加熱調理時の火力を光で表示する発光素子57等が収容された前部部品ケース46の中に導かれる。
具体的には、送風機30の冷却風は、部品ケース34の第2の排気口34Bから冷却ダクト42の通風空間42Hに入り、ここから通風空間42Hに対応して形成した冷却ダクト42の通風口42Kを通り、その通風口42Kの真上に密着するように位置している下ダクト46Aの通風口46R、46Lに入る。そして、前部部品ケース46に入った冷却風でまず液晶表示画面(液晶表示部)45R、45Lが下方から冷却されるとともに、その後前部部品ケース46内を流れて最後に切欠き46Cから上部部品室10に排出される過程で順次内蔵部品等を冷却して行く。これにより液晶表示部45R、45L、統合表示装置100、各種電気・電子部品や誘導加熱調理時の火力を光で表示する発光素子57等は順次冷却風で冷却される。
特に、前部部品ケース46の中に案内された冷却風は、誘導加熱動作で高温になっている左IHコイル6LCを冷却した風でないから、その温度は低く、液晶表示部45R、45L及び統合表示装置100等は、冷却風の風量が少ないながらも効果的に温度上昇が抑制されるように冷却され続ける。
冷却ユニットCUから排出された冷却風は、冷却ダクト42に至るまで正圧のままであるから、グリル加熱室9の熱を引き込むことは殆どなく、所定の低い温度の風を左IHコイル6LCの下面に第2の噴き出し孔42CBを通じて供給できる。
冷却ダクト42に設けた複数の第1の噴き出し孔42CAと、多数の第2の噴き出し孔42CBから噴出された冷却風は、図9に示すように上部部品室10を矢印Y5のように後方に向かって流れる。この冷却風の流れに、切欠き46Cから上部部品室10に排出された冷却風も合流し、本体部Aの外部に連通(開放)している後部排気室12に流れることで最終的に後部の排気室12から排出される。なお、穴42Jから噴出した冷却風もそれらに合流する。
実施の形態3.
図16〜20は本発明の実施の形態3に係る加熱調理装置を示すもので、図16は天板部を外した状態での全体の平面図、図17は上部部品室の要部縦断面図、図18は天板部を外した状態での全体の斜視図、図19はグリル加熱室9、ファンケース37及び冷却ダクト42部分の縦断面図、図20は装置全体の簡略縦断面図である。なお、図16〜20において実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付している。
実施の形態3では、後部仕切り板28を本体部Aの内部空間横幅全体に及ぶように長く伸ばし、その左右両端部の後方空間に冷却ユニットCUの吸い込み口37Bを位置させている。さらに、グリル加熱室9の上方を上下に仕切る板状部材、すなわち水平仕切り板25の後部に大きな通風口25A(図18参照)を形成した点が実施の形態1と異なっている。この通風口25Aには、右側にある電源基板58と左側にある電源基板59の直下部分に切り欠き部25Bを形成している。2つの電源基板58、59は、その下面が水平仕切り板25の上面とは一定の距離HC(図17参照)だけ離れており、当然ながら冷却ユニットCUの上面とも一定の距離だけ離れて設置されている。
水平仕切り板25は、グリル加熱室9の天井面との間に所定の空隙26を確保する位置に設置されており、その空隙には図19に示すように、冷却風が水平仕切り板25の透孔306から空隙26に流れるようになっている。「305」は冷却ダクト42の空間42Hに対応する下ケース42Bに形成した透孔であり、透孔306の位置に対応し、かつ同じ口径で形成している。「309」は電源基板58を水平仕切り板25に支持固定した複数個の脚、「310」は電源基板58の上に固定された大型の電気部品、「311」は同じく小型電子部品であり、このような脚309、電気部品310、小型電子部品311に類似したものを、左側にある電源基板59も同様に具備している。
「42CA」は実施の形態2で説明したような冷却ダクト42側壁面の穴であり、2つの電源基板58、59に向かい合う側と、中央加熱源7のカバー50側面に向かい合う側にそれぞれ1個ずつ形成して、冷却ユニットCUからの新鮮な空気の一部を分岐してそれら2つの電源基板58、59用の冷却風として利用するようにしている。
「42L」(図17参照)は、冷却ダクト42の上ケース42の外形が半円部(円弧部)42Mに形成した段部で、半円状に所定の幅WLに形成されている。この段部は左右IHコイル6LC、6RCとの間に空間を広く作ることで、それらIHコイル6RC、6LCに当たった第1の噴き出し孔42CA及び第2の噴き出し孔42CBからの冷却風の流れを円滑にする効果がある。
冷却ダクト42の上面(側面のものは含まず)に形成された全ての第1の噴き出し孔42CAと第2の噴き出し孔42CB孔の孔縁には、冷却風の流れる方向に沿うように、すなわち下方から上方に向かうに従い口径を小さくするような傾斜面が全周に形成され、さらに孔縁の一部にはそれと連続して後方に庇状に突出した案内壁(風向きガイド)48が一体に形成されている。なお、この風向きガイドの先端を基準にした第1の噴き出し孔42CAの直径42Nは約8mmである。つまり本来口径は12mmであるから風向きガイド48は4mm突出していることになる。
案内壁48は、左右のIHコイル6LC、6RCの中心点X3、X2から見て電源基板58、59の方角、すなわち真後ろに向くように統一して形成されている。
(冷却用送風機30の動作)
このような構成において冷却用の送風機30を駆動した場合について説明する。なおこの場合、右側のIHコイル6RCが誘導加熱中であるものとする。
送風機30を駆動すると、外部の空気が吸い込み口37Bから冷却ユニットCUの内部に吸引される。吸引された空気は部品ケース34の内部に押し込まれる。その送り込まれた冷却風の一部は、部品ケース34の上面部で吹き出し口37Cに近い側にある第1の排気口34Aから冷却ダクト42の内部へ噴出される。
第1の排気口34Aから噴出された空気の温度は、途中で高温の発熱体や発熱性電気部品等を冷却していないから、外部の温度と殆ど同じであり、新鮮な空気のままである。またこの段階では負圧ではなく、正圧の空気流であるから、冷却ダクト42に送りこまれた冷却用空気は、第1の噴き出し孔42CAから図17の矢印WF2で示すように上方へ噴出し、真上にある右IHコイル6RCの下面に衝突してそのコイルを効果的に冷却する。このとき、案内壁48は、真後ろに向くように方向が統一されているので、噴き出す冷却風の向きが統一され、後方に円滑に流れる。
また、冷却ダクト42の通風空間42Fの周壁面を構成する上ケース42Aの背壁面に2個形成した第1の噴き出し孔42CAからは、真後ろ方向に冷却風が噴き出されるから、電源基板58方向に向かう風の流れができる。
一方、冷却ユニットCUにおいて、冷却風の流れの最も下流側位置にある第2の排気口34Bから噴出された冷却風が、冷却ダクト42の空間42G、42Hの中に案内され、その大部分の冷却風は上ケース42Aの上面に多数形成した第2の噴き出し孔42CBから噴き出し、その真上にある左Hコイル6LCの下面に衝突してそのコイルを効果的に冷却する。このときも第2の噴き出し孔42CBの口縁部にある案内壁48は、真後ろに向くように全て方向が統一されているので、噴き出す冷却風の向きが統一され、後方に円滑に流れる。
一方、冷却ダクトの空間42Hの中に案内された冷却風の一部は、透孔305から水平仕切り板25の透孔306を通り、水平仕切り板25とグリル加熱室9天井面との間に形成された空隙26に流れ込む。こうして流れ込んだ空気は図17に示すように、空隙26内を後方に流れていき、水平仕切り板25の上方、すなわち上部部品室10の内部を前方から後方に流れていく冷却風と、水平仕切り板25の通風口25A又は切り欠き部25Bを通過した後に合流する。
すなわち、図20に示すように、冷却ユニットCUの部品ケース34の第2の排気口34Bから送り込まれた冷却風は、右IHコイル6RC部分を冷却したあと、通風口25Aや切り欠き部25Bを経由して最終的に後部仕切り板28の後方にある排気室12に流れようとするが、この流れの中に冷却ダクト42の第1の噴き出し孔42CAから噴き出す冷却風も合流し、電源基板58、59の周囲温度が上昇することを抑制しながら、最終的には図20に示すように、通風口25Aや切り欠き部25Bを経由して排気室12に流れ込み、そこから装置外部へ排出される。
実施の形態4.
図21、22は本発明の実施の形態4を示すもので、図21は部品ケースとファンースの結合状態における側面図、図22は部品ケースの要部縦断面図である。実施の形態4では、トッププレート21の上方で調理中又は掃除中等に使用者が誤って水の容器を倒したようなケースを想定し、その場合、冷却ユニットCUの内部に、その吸気筒37Bの部分から液体が浸入した事態を想定して対処できる工夫をしたものである。
すなわちこの実施の形態では、2箇所において浸入した水の排水構造を具備している。第1段の排水構造はファンケース37の送風室39に至る吸い込み風路の底面にあり、第2段の排水構造は部品ケース34かファンケース37の底部にある。
第1段の、吸い込み風路の底面に設けた排水構造は、吸い込み筒37Aから吸い込まれ下降する外気が180度方向を転換して翼部30Fのある送風室39に渦巻き状で入るその方向転換点に相当する底壁面に一段と凹ませた窪み部51と、この窪み部に形成された貫通孔52とで構成している。
貫通孔52の口径は数mm以下が望ましい。あまり大きいと排水性能は高まるが、調理装置本体部Aの内部空間からの吸気量が増え、新鮮で冷たい外気を導入して冷却することに悪影響及ぼす可能性があるからである。なお、貫通孔52の口径が数mmであっても、その貫通孔の長さが大きいと空気の流路抵抗が大きいから送風機30の運転時に予期しないほど空気が貫通孔52から吸い込まれることはない。
続いて、第2段の排水構造について説明する。
「53」は、部品ケース34又はファンケース37の一方又は両方の対応する底壁面に所定の大きさで形成した水抜き用貫通孔で、この貫通孔の直上位置には、比重が1より小さい物質、例えばゴムやプラスチック等で軽量に又は中空構造に形成された弁兼用フロート54を設け、このフロートの自重で上方から水抜き用貫通孔53に蓋をした状態にしてある。フロート54の表面は撥水処理をして水切れを良くしてある。
「80」はフロート54の中心部の縦穴54Aを貫通している案内棒で、フロート54の上下移動を案内する。81はこの案内棒を部品ケース34又はファンケース37の底壁外面に固定する支持板、83は案内棒80の上端に形成されたフロート54の抜け止め用ストッパー、84は貫通孔52から貫通孔53の下方までも覆うような面積を有する水受け皿で、例えば1000cc程度の液体を溜めることができる容積を有し、冷却ユニットCUの下方空間に設置されている。なお、この水受け皿は加熱調理装置の本体部A底板よりも一定の間隙85を保つように上方に設置されている。また43Aはアルミ製放熱フィンを示し、部品ケース34の内側底面より上方へ一定の空隙H2が確保されるようになっている。
「86」は水受け皿84の底部に取り付けた複数個のローラーで、水受け皿84を前方に引き出して取り出す際の車輪になる。
このような構成であるから、万一冷却風の取り入れ口である吸気筒部37Aの上端開口から水などの液体が誤って浸入した場合、まず吸い込み風路の底面に設けた排水構造である貫通孔52で排水される。
また、その貫通孔52で排水されずに残った水は、風路の底と一定距離離れている翼部30Fには触れることはなく、送風室39の底壁面を流れて部品ケース34の方に浸入し、図21に破線で示す如く、水位WWまで溜まろうとする。
すると、その水の浸入によってフロート54が自然に浮き上がり、これにより貫通孔53が開放されるから、浸入した水は下部にある水受け皿84の中に流れ出る。なお、放熱フィン43A下端は部品ケース34の最低部底面から間隙H2(この例では35mm)離れており、また回路基板41の導電部分は、部品ケース34の最低部底面から一定の距離、例えば最低30mm上方へ離れているので、例え500cc程度の水が流れ込んだとしても、その浸入した水等が回路基板41や放熱フィンなどの導電部や電気部品の端子部に接することはなく、浸入した水等で回路基板41の絶縁部が短絡(ショート)するという危険性はない。水滴程度の水が残っても送風機30の運転が行われている間に自然と乾燥して消滅する。
また通常は、フロート54はその自重で下方に下がっていて貫通孔53を塞いでいるが、仮にこの貫通孔の部分をフロート54が完全に塞がず、気密性が完全でない状態であっても、そのような状態での微小間隙は冷却風の流れには実質的に影響はなく、加熱コイル6RC等の冷却性能を損なうことはない。なお、実際の製品では部品ケース34やファンケース37の底面は完全に平坦にする必要はないので、底壁面に特に低い部分を意図的に作り、その最も低い部分に貫通孔53を形成すれば更に排水効果を高めることができる。また貫通孔53の個数や口径も適宜設定すれば良い。
以上のようにこの実施の形態によれば、トッププレート21の上で容器の水を不注意にこぼしたり、鍋などを倒して水を流してしまい、そのような水が万一冷却風の取り入れ口である吸気筒部37Aの上端開口から浸入したとしても、そのような水で冷却ユニットCUの中の回路基板41が短絡してしまうような事故を防ぐことができる。しかも、浸入した水を冷却ユニットCUから自然に排出できるから、長期間に亘り安心して使用できる調理装置を提供することができる。なお、ここでいう水とは純粋な水だけをいうものではなく、例えば調理中に鍋から溢れたり、こぼれ出たりしたお湯、汁等も含む。
なお、水の浸入を電気的に検知(例えば前記したフロート54の動きを検知して電気信号に変換)し、その検知信号に基づいて送風機30の運転を一時的に停止したり減速したり、あるいは水受け皿84を引き出すことや専門の修理・点検業者に点検依頼を促すメッセージ情報を統合表示装置100を通じて使用者に報知するという工夫もこの実施の形態を実施する上では有益である。
以上の各実施の形態では、左側のIHコイル6LCが誘導加熱中である場合には左冷却室の送風機30のみ運転し、右冷却室8Rの送風機30は運転しない、という前提で説明したが、調理装置の使用状態(例えば左右のIHコイル6RC、6LCを同時に駆動して直前まで別の調理をしていたとか、あるいは中央加熱源7やグリル加熱室9を使用するとかのケースをいう)や、上部部品室10の温度等の環境によっては、左右の冷却室8L、8Rの各送風機30を同時に運転しても良く、また左右それぞれの送風機30の運転速度(送風能力)は常に同じではなく、一方又は両方を調理装置使用状態に応じて適宜変化させるようにしても良い。
また、左右の冷熱ユニットCUの外形寸法は必ずしも同じでなくともよく、送風機30や回転する翼部30F、モータ300、ファンケース37、40、部品ケース34の各部寸法も、冷却される対象物(誘導加熱コイル等)の発熱量や大きさ等に応じて適宜変更できる。ただし、左右の誘導加熱源6RC、6LCの最大火力が同等の場合には、2つの冷熱ユニットCUの構成部品の寸法や仕様を可能な限り共通化し、生産コスト低減や組立性向上を図ることが望ましい。
更に、上下仕切り板24R、24Lや水平仕切り板25は、本発明を実施する上では必ずしも必要ではない。例えばグリル加熱室9の外壁面を断熱材で覆ったり、グリル加熱室9の外壁面との間に十分な間隙が確保できる場合、あるいはその間隙の温度を低く抑えることができる場合(例えば空気を自然対流又は強制対流させる)には省略しても良い。
また、冷却ユニットCU自体の外壁面の内、グリル加熱室9の外壁面に対面する側に遮熱パネル取り付けたり、断熱性皮膜を形成しても良い。こうすればグリル加熱室9の外壁面との対面間隔を最終にでき、本体部Aの横幅W5を同じであるとすれば、その分グリル加熱室9の横幅寸法W4を大きくすることができる。
また、以上の各実施の形態では、誘導加熱調理装置内にグリル加熱室9を備えた例を説明したが、その部分は他の用途の空間としてもよく、したがって、本明細書中の文言「グリル加熱室9」は、グリル加熱以外の加熱室や単なる空間部である場合も含んでいる。
2 本体ケース、6RC,6LC 誘導加熱式加熱源(IHコイル又はIH加熱コイル)、7 中央加熱源、8R,8L 冷却室、9 グリル加熱室、12 排気室、21 トッププレート、22,23 シーズヒータ、24L、24R 左右仕切り板、25 上下仕切り板、30 送風機、32 送風機の回転軸、34 部品ケース、34A 第1の排気口、34B 第2の排気口、37 ファンケース、37B ファンケースの吸い込み口、37C ファンケースの吹き出し口、40 ファンケース、41 回路基板、42 冷却ダクト、42CA 第1の噴き出し孔、42CB 第2の噴き出し孔、42L 段部、43A 放熱フィン、48 案内壁、58,59 電源基板。