JP5027373B2 - エストラジオール含有貼付剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、更年期あるいは閉経後の女性に多くみられる頭痛、のぼせ、発汗等の更年期障害、骨粗鬆症、アルツハイマー病、動脈硬化症、高脂血症などの疾患の予防、治療に有用なエストラジオールを含有する外用貼付剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
更年期あるいは閉経後の女性に多くみられる頭痛、のぼせ、発汗等の更年期障害、骨粗鬆症、アルツハイマー病、動脈硬化症、高脂血症などの疾患の予防、治療のため、或いは中高年代の女性におけるQOLの向上として、ホルモン補充療法が、近年重要な手法として定着してきている。
【0003】
上記の症状の予防、治療、改善のためには、主としてホルモン剤の経口投与、あるいは注射投与などの手法が選択されていた。しかしながら、例えば、卵胞ホルモンであるエストロゲンは、経口投与の場合は消化管より吸収された後、肝臓で迅速な代謝を受け、また、注射投与においても肝臓で迅速な代謝を受け、薬物の利用率が大きく低下することが知られている。
【0004】
この高い肝代謝率のため肝機能障害だけでなく、胆嚢疾患、子宮癌等の副作用をもたらす可能性があり、体内の薬物濃度(投与ホルモン濃度)を必要最小限の濃度で持続させる必要があった。そこで消化管や肝臓等を経由しない投与方法が検討され、そのなかでも特に、良好な薬物放出の持続性、取扱性等の理由で経皮吸収製剤が注目され、現在までにいくつかの製剤が検討されている。
【0005】
例えば、特開昭57−154122号公報には、ヒドロキシプロピルセルロース−エタノールからなるゲルに溶解させたエストラジオールを、エチレン−酢酸ビニル膜で放出を制御する経皮吸収投与方法が開示されている。また、特開昭60−152413号公報には、経皮吸収促進剤としてメントールを含有する、例えば複合エストロジェンの経皮吸収製剤が開示されている。
【0006】
しかしながら、これらの製剤は揮発性成分を含んでいるため、薬物の放出性が変化してしまう恐れがあり、また、特開昭57−154122号公報に開示されている製剤では、含有するエタノールが皮膚刺激性を有することにより、発赤などの皮膚障害を生じる危険性がある。
【0007】
さらに特開平5−148145号公報には、エストラジオールを持続的に放出する、ゴム系粘着剤、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステルおよび吸水性高分子を必須成分とした貼付剤が開示されており、また特開昭61−155321号公報には、粘着基剤として粘着性樹脂材料(ポリテルペン樹脂、炭化水素樹脂等)、天然ゴムまたは合成ゴム(ポリイソブチレン、スチレン−ブチレン重合体、スチレン−イソプレン重合体、スチレン−エチレン−ブチレン重合体、1,4−ポリイソプレン等)およびガラクトマンナンなどの水中で膨潤することのできるポリマーを主成分とする貼付剤が開示されている。しかし、これらの貼付剤は粘着剤として、天然ゴム、合成ゴムを用いているため、長時間の貼付には不向きである。
【0008】
そこで、長時間の貼付が可能であるアクリル系粘着剤を用いた製剤が、例えば、特開平3−44327号公報、特表平7−501335号公報、特表09−503217号公報、特表平9−505554号公報に提案されている。これらの製剤はそれぞれ独自の溶解剤、吸収促進剤を配合し、エストラジオールの経皮吸収性を高める工夫をしている。しかしながら、用いる溶解剤、吸収促進剤によっては、薬物放出性が十分ではなく、またそれ自体に皮膚刺激性があるものがあり、また長期間貼付により、発赤などの皮膚障害を生じる危険性があるなど、未だ充分なものではない。
【0009】
すなわち、生体の皮膚組織は、基本的には体内への異物の進入を防ぐ防御機能を有しているため、有効な量の薬物を皮膚透過させることは一般的に困難なものであり、この問題を解決する目的で吸収促進剤を添加すると、多くの場合、皮膚刺激が増加する傾向にあった。
【0010】
さらに、ホルモン補充療法における外用剤の投与では、有効血中濃度を維持するため長時間の貼付を必要とする。この長時間の貼付のためには、外用剤基剤について粘着力を向上させること、さらに保持力を向上させるために、特に粘着剤の皮膚表面の凹凸面への投錨効果を向上させる必要がある。しかしながら、皮膚表面の凹凸面への投錨効果を向上させるためには、粘着基剤である高分子化合物の活動度を上昇させなければならないが、その一方で凝集力の低下が起こり、その結果凝集破壊を起こし、剥離時に皮膚へ粘着剤の残着が起こる可能性がある。したがって、長時間貼付のためには、粘着剤の投錨効果と、その凝集力の制御が必要となっている。
【0011】
また、外用貼付剤における支持体の柔軟性が、薬物の経皮吸収性の向上に大きく関与することが様々な文献等で明らかにされている。この様な目的に好適な物性を持つ支持体として低密度高分子フィルム、不織布、織布等が挙げられるが、いずれも柔軟性を坦持させるための自由体積の大きさが必要とされる。しかしながら、支持体の自由体積が大きくなると、支持体層中へ薬物の吸着が起こり、その結果、長期保存後に薬物放出性の低下が生じ、外用貼付剤としての十分な性能が得られないこと等の問題点がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明は、上記の問題点を鑑み、
(1)外用貼付剤の単位面積当たりの薬物放出性を向上させること、
(2)外用貼付剤としての皮膚刺激性の低減を図ること、
(3)長時間の貼付に際しても粘着力の向上、および長時間貼付後の剥離時における凝集破壊の防止をはかること、ならびに、
(4)支持体への薬物の吸着が無く、かつ経皮吸収性の向上に寄与する柔軟な支持体の開発を図ること、
の各点を充足する、エストラジオールおよび/またはその誘導体を含有した外用貼付剤を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するべく、発明者らは鋭意研究を重ねた結果、粘着剤層としてイソシアネート系架橋剤0.01〜1重量%を必須成分として含有するアクリル系粘着剤を使用すること、さらにエストラジオールおよび/またはその誘導体の皮膚への分配、拡散の制御にクロタミトンとオレイン酸が有効であり、また、それらの至適配合比率が存在し、さらに皮膚刺激も低減されること、また、支持体として、ポリエチレンテレフタレートフィルムと、柔軟な高分子フィルム、不織布または織布を積層した支持体が有効であることを見出し、かかる粘着基剤に有効成分であるエストラジオールを含有させ、オレイン酸とクロタミトンを特定の比率で配合することにより、上記問題を解決する貼付剤が得られることを確認し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
すなわち、本発明の基本的態様である請求項1に記載の発明は、支持体と粘着剤層とからなる外用貼付剤において、該粘着剤層がイソシアネート系架橋剤0.01〜1重量%を必須成分として含有するアクリル系粘着剤からなり、有効成分としてエストラジオールおよび/またはその誘導体、クロタミトン0.1〜10重量%およびオレイン酸0.1〜10重量%を含有することを特徴とするエストラジオール含有外用貼付剤である。
【0015】
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の発明において、支持体が、厚さ0.1μm〜10μmのポリエチレンテレフタレートフィルムと、厚さ1μm〜200μmの柔軟な高分子フィルムまたは不織布または織布を積層したエストラジオール含有外用貼付剤である。
【0016】
【発明の実施の形態】
上記したように、本発明は、粘着剤層としてイソシアネート系架橋剤0.01〜1重量%を必須成分として含有するアクリル系粘着剤を使用し、そこに有効成分であるエストラジオールおよび/またはその誘導体、さらにオレイン酸とクロタミトンを特定の比率で配合することを基本とする。
【0017】
本発明が提供する外用貼付剤における有効成分であるエストラジオールおよび/またはその誘導体の配合量は、後述する粘着剤成分、共に配合するクロタミトンおよびオレイン酸の配合量等により、一概に限定し得ないが、0.5〜10重量%であるのが好ましい。0.5重量%未満では十分な血中濃度を得ることができず、また、10重量%を超えても、配合率の上昇に比例した血中濃度は得られず、さらに粘着剤中での結晶の析出が生じる可能性があり好ましくない。
【0018】
またクロタミトンは、有効成分であるエストラジオールおよび/またはその誘導体に対して高い溶解性を付与し、粘着剤層への結晶の析出を防止する。さらに、クロタミトンは、溶解状態を維持した拡散活性の良好な薬物濃度を上昇させると共に、皮膚への分配をエストラジオールとの相対濃度により制御するものである。
【0019】
かかるクロタミトンの配合量は、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。0.1重量%未満では上記の効果は得られず、また10重量%を越えると製剤側のエストラジオールの溶解度が上昇し、皮膚への分配が減少すると共にクロタミトンによる皮膚刺激が起こる可能性があるため好ましくない。
【0020】
一方、クロタミトンと共に使用されるオレイン酸は、皮膚防御機能のうちで最大のバリア能を有する角質細胞の脂質膜の構造を乱し、皮膚中でのエストラジオールの拡散係数を上昇させることにより、吸収促進効果を発揮する成分である。この場合のオレイン酸の配合量は、同時に配合するクロタミトンの配合量にもよるが、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。
0.1重量%未満では吸収促進効果は得られず、また、10重量%を越えると配合率の上昇に比例した吸収促進効果は得られないため好ましいものではない。
【0021】
一般に、外用貼付剤の粘着基剤としては、天然ゴム、合成ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤が知られている。本発明者らの検討によれば、粘着基剤として天然ゴム、合成ゴム系粘着剤を選択した場合には、粘着剤層に配合される有効成分であるエストラジオールおよび/またはその誘導体との相互作用が強く、その放出性が低下することが判明した。
【0022】
さらに、天然ゴム、合成ゴム系粘着剤は、もともと疎水性であり、汗、水に弱く、高温、多湿の環境下や入浴、運動等の条件下では、粘着剤層と皮膚の間に汗または水分が介入してしまい、薬物の皮膚への移行性の低下、さらには貼付剤の皮膚からの脱落が起こる可能性があり、本製剤に求められる性能の一つである長時間の貼付には適さないことが判明した。
【0023】
また、シリコン系粘着剤を用いた場合には、最終的な材料構成が特異的なものとなり、コストアップの要因となり、好ましいものではない。したがって、本発明のエストラジオールおよび/またはその誘導体を有効成分とする外用貼付剤にあっては、アクリル系粘着剤が粘着基剤として最も好ましいものであることが判明した。
【0024】
上述のアクリル系粘着剤を構成するモノマーとしては、アクリル酸、酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル等を挙げることができる。
【0025】
アクリル系粘着剤の各モノマー成分の配合量は、アクリル酸2−エチルヘキシルが5〜50重量%、アクリル酸が1〜10重量%、アクリル酸エチルが5〜50重量%、酢酸ビニルが5〜50重量%であるのが好ましく、これらの使用範囲は所望される粘着剤の物性等により適宜決定される。
【0026】
ところで、ホルモン補充療法においては有効血中濃度の維持が求められ、外用剤の投与では長時間貼付の性能が求められる。すなわち粘着力の向上、特に外用貼付剤の保持力を向上させるためには、粘着剤の皮膚表面の凹凸面への投錨効果を向上させる必要がある。しかし投錨効果を向上させるためには粘着基剤である高分子化合物のクリープを高くさせなければならないが、一方で凝集力の低下が起こり、剥離時に凝集破壊を起こし、皮膚への粘着剤の残着が起こる可能性があり、投錨効果と凝集力の制御が必要となっている。
【0027】
この問題に鑑み、発明者らは鋭意検討した結果、粘着基剤である高分子量成分を、少量の架橋剤により緩く架橋させてやれば、粘着基剤が皮膚に対して有効な投錨効果を発揮し、その一方で剥離時の凝集破壊を防止し得るものであることを見出した。
【0028】
そのような架橋剤としては、アクリル系粘着剤について有効な架橋反応が期待できる架橋剤であれば何れのものも使用することができるが、なかでもイソシアネート系架橋剤が最も望ましいことが判明した。その配合量は0.01〜1重量%、より好ましくは0.1〜0.7重量%である。架橋剤の配合量が0.01重量%未満では凝集破壊の防止には有効ではなく、1重量%を越えると粘着基剤の高分子量成分のクリープが減少し、有効な投錨効果は得られないため好ましいものではない。
【0029】
一方、外用貼付剤における支持体の柔軟性が、粘着剤層に含有される有効成分の経皮吸収性の向上に、大きく関与することが明らかにされている。このような目的に好適な物性を持つ支持体としては、低密度高分子フィルム、不織布、織布等が挙げられるが、これらを単独で支持体として使用した場合には、いずれも柔軟性を坦持させるための自由体積の大きさが必要であり、そのため支持体中へ薬物の吸着が起こり、長期保存後に薬物放出性の低下が生じ、外用貼付剤として十分な性能が得られない等の問題がある。特に本発明が目的とするエストラジオールおよび/またはその誘導体を有効成分とする外用貼付剤にあっては、かかる薬物放出性の低下を極力回避しなければならないものである。
【0030】
この問題に鑑み、発明者らはエストラジオールおよび/またはその誘導体を有効成分とする外用貼付剤の最も好ましい支持体の検討を行ったところ、支持体として、ごく薄い密な構造をもつ薬物非吸着層と、皮膚の凹凸あるいは皮膚の動きに追従する柔軟なフィルムの両者を積層することにより、支持体中への有効成分の吸着を防ぐことができ、その結果、優れた薬物の経皮吸収性が発揮されるものであることを確認した。
【0031】
図1にその支持体の積層構造を示すが、本発明の支持体Aは、柔軟なフィルム1、および薄い密な構造を有する薬物非吸着層2の積層体からなるものであり、したがって、本発明の外用貼付剤は、かかる薬物非吸着層2側に有効成分を含有する粘着剤層3が積層され、さらに剥離ライナー4が積層された構成を有するものである。
【0032】
すなわち、本発明の支持体Aは、粘着剤層側に薄い、密な構造を有する薬物非吸着層2を設けたことにより、支持体中への有効成分の吸着を防止し、さらに柔軟なフィルム層1により皮膚の凹凸あるいは皮膚の動きに追従させた点に特徴を有するものである。
【0033】
この場合に使用される薬物非吸着層は、密な構造をもちさらに薄膜成形が可能であって、有効成分等の粘着剤層成分との相互作用が無いものであれば、特に制限はなく、金属フィルム、蒸着金属、高密度高分子フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)などが挙げられる。そのなかでも、汎用性、製造コストなどの点からポリエチレンテレフタレートフィルムが望ましい。この薬物非吸着層、例えばポリエチレンテレフタレートフィルムの厚さとしては、0.1μm〜20μm程度が望ましい。20μmを超える厚さでは、ポリエチレンテレフタレートフィルムの剛性により貼付剤が皮膚の凹凸あるいは皮膚の動きに追従できず、したがって、粘着剤層に含有される有効成分の経皮吸収性が低下する。
【0034】
一方、薬物非吸着層に積層される柔軟なフィルムとしては、皮膚の凹凸面あるいは皮膚の動きに追従する柔軟なフィルムであれば特に制限はなく、織布、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、高分子エラストマー等の高分子フィルムを挙げることができる。これらのフィルムの厚さとしては、1μm〜200μm、好ましくは2μm〜100μm、さらに好ましくは5μm〜50μm程度である。
【0035】
柔軟なフィルム層が1μm未満では、製剤に腰がないため、剥離ライナーをはがした時折れ曲がったり、反り返ったりして貼付しにくくなる。また、200μmを超える場合には、その厚さにより皮膚の凹凸面、動きへの追従が困難になり、有効成分の経皮吸収性が低下するため、好ましいものではない。
【0036】
本発明が提供する外用貼付剤は、例えば、以下のようにして製造することができる。すなわち、アクリル酸2−エチルヘキシル39重量%、アクリル酸1重量%、アクリル酸エチル40重量%、および酢酸ビニル20重量%の配合比で、酢酸エチル中で過酸化ベンゾイルを重合開始剤として使用し、減圧下、60℃の条件下で24時間重合反応を行い、アクリル系粘着剤の酢酸エチル溶液を得た。このアクリル系粘着剤溶液に、エストラジオールおよび/またはその誘導体である有効成分、さらに所望の配合物を添加、攪拌後、剥離ライナー上に塗工し、乾燥の後、支持体をラミネートし、所望の大きさに切断して外用貼付剤とする。
【0037】
以上のようにして提供される本発明の外用貼付剤は、粘着剤層に含有される有効成分であるエストラジオールおよび/またはその誘導体の、粘着剤層中への溶解性が良好であり、支持体中への有効成分の吸着がなく、さらに貼付剤自体の皮膚の凹凸面、あるいは皮膚の動きに追従することができるものである。したがって、粘着剤層に含有される有効成分の経皮吸収性が極めて良好で、長時間の貼付を維持できる貼付剤として、更年期あるいは閉経後の女性に多くみられる頭痛、のぼせ、発汗等の更年期障害、骨粗鬆症、アルツハイマー病、動脈硬化症、高脂血症などの疾患の予防、治療に有用なものである。
【0038】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例、比較例中の「部」は全て重量部である。
【0039】
実施例1〜4:
以下の表1に記載の処方により、上記した製造法に従い、各厚みを有する支持体(積層体)のポリエチレンテレフタレートフィルム側に粘着剤層をラミネートし、所望の大きさに切断し、本発明の各実施例の外用剤を得た。
ただし、実施例4では、支持体として50μmの低密度ポリエチレンフィルムにアルミニウム蒸着処理を行い、アルミニウム蒸着側に粘着剤層をラミネートして、所望の大きさに切断し、本発明の実施例の外用剤を得た。
【0040】
【表1】
【0041】
比較例1〜8:
以下の表2に記載の処方により、上記した製造法に従い、各厚みを有する支持体のポリエチレンテレフタレートフィルム側に粘着剤層をラミネートし、所望の大きさに切断し、各比較例の外用剤を得た。
ただし、比較例6では、支持体として50μmの低密度ポリエチレンフィルム(単層体)を、比較例7では、支持体として50μmのポリ塩化ビニルフィルム(単層体)を、比較例8では、支持体として50μmのポリウレタンフィルム(単層体)を使用し、粘着剤層をラミネートして、所望の大きさに切断し、比較例の外用剤を得た。
【0042】
【表2】
【0043】
試験例1:ラット血中エストラジオール濃度(その1)
ラットの背部を除毛した後、1群4匹とし、9cm2に切断した実施例1、および比較例1、2、3の各外用貼付剤を除毛した背部に貼付し、経時的に採血して、RIA法により血中のエストラジオール濃度を測定した。その結果を図2に示した。
【0044】
図2に示した結果からも判明するように、オレイン酸およびクロタミトンの両者を添加しない比較例1の外用剤、あるいはそのうちのどちらか1成分のみを配合した比較例2および3の外用剤にあっては、血中エストラジオール濃度推移にはほとんど変化はみられないのに対し、オレイン酸およびクロタミトンの両者を配合した実施例1の外用剤は、明らかに高い血中エストラジオール濃度を示しており、本発明の有用性が確認された。
【0045】
試験例2:ラット血中エストラジオール濃度(その2)
ラットの背部を除毛後、9cm2に切断した実施例1および4、比較例4および5の各外用貼付剤を除毛した背部に貼付し、経時的に採血して、RIA法により血中のエストラジオール濃度を測定した。その結果を図3に示した。なお、ラットは1群につき4匹を用いた。
【0046】
図3に示した結果からも判明するように、30および50μmの厚さのポリエチレンテレフタレートフィルムと50μmの厚さの低密度ポリエチレンフィルムが積層された支持体を用いた比較例4および比較例5の外用貼付剤に比較して、3μmの薄い厚さのポリエチレンテレフタレートフィルムと50μmの厚さの低密度ポリエチレンフィルムが積層された支持体を用いた本発明の実施例1の外用貼付剤、あるいはアルミニウム蒸着処理を行った低密度ポリエチレンフィルムを用いた本発明の実施例4の外用貼付剤は、その柔軟性により明らかに高い血中エストラジオール濃度推移を示していた。
【0047】
試験例3:保存後の有効成分の放出試験
実施例1および4、ならびに比較例6,7および8の外用貼付剤を、40℃で6ヶ月間保存した貼付剤について、図4に示す放出試験測定法を使用し、支持体中へのエストラジオールの吸着性を、製造初期の放出性との対比で検討した。その結果を、図5,6,7,8および9に示した。
支持体として低密度ポリエチレンフィルム(比較例6:図7)、ポリ塩化ビニルフィルム(比較例7:図8)およびポリウレタンフィルム(比較例8:図9)を用いた外用貼付剤にあっては、支持体への有効成分であるエストラジオールの吸着が起こり、放出性が低下していることが理解される。
【0048】
これに対して支持体としてポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した低密度ポリエチレンフィルム、およびポリエチレンテレフタレートフィルムにアルミニウム蒸着処理をした実施例1の貼付剤(図5)および実施例4の貼付剤(図6)では、40℃で6ヶ月間保存後においても放出性の低下は認められず、支持体中へのエストラジオールの吸着が生じていないものであった。
【0049】
【発明の効果】
以上記載のように、本発明のエストラジオールおよび/またはその誘導体を含有し、さらにクロタミトンとオレイン酸を特定の比率で配合し、支持体に薬物非吸着層と柔軟なフィルムとの積層体を使用した外用貼付剤は、粘着剤中における薬物の溶解性および安定性に優れ、また、薬効成分の経皮吸収性を高め、放出性においても支持体への吸着がなく、安定な薬物放出性を長期に渡り維持することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の外用貼付剤の断面図である。
【図2】試験例1のラット血中エストラジオール濃度測定結果を示すグラフである。
【図3】試験例2のラット血中エストラジオール濃度測定結果を示すグラフである。
【図4】試験例3の放出試験を実施した装置の模式図である。
【図5】試験例3で検討した実施例1の結果を示すグラフである。
【図6】試験例3で検討した実施例4の結果を示すグラフである。
【図7】試験例3で検討した比較例6の結果を示すグラフである。
【図8】試験例3で検討した比較例7の結果を示すグラフである。
【図9】試験例3で検討した比較例8の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
A:支持体
1:柔軟なフィルム
2:薬物非吸着層
3:粘着剤層
4:剥離ライナー
5:貼付剤
6:水
7:ガラス板
8:攪拌子
Claims (1)
- 支持体と粘着剤層とからなる外用貼付剤において、該支持体が、薬物非吸着層として厚さ0.1μm〜10μmのポリエチレンテレフタレートフィルムと、厚さ1μm〜200μmの柔軟な高分子フィルムを積層したものであり、薬物非吸着層側に粘着剤層が積層されており、該粘着剤層がイソシアネート系架橋剤0.01〜1重量%を必須成分として含有するアクリル系粘着剤からなり、有効成分としてエストラジオールおよび/またはその誘導体、クロタミトン0.1〜10重量%およびオレイン酸0.1〜10重量%を含有することを特徴とするエストラジオール含有外用貼付剤。
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