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JP5017755B2 - 高純度キシリレンジアミンの製造方法 - Google Patents

高純度キシリレンジアミンの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はキシレンから高純度キシリレンジアミンを製造する方法に関する。キシリレンジアミンはポリアミド樹脂、エポキシ硬化剤等の原料、およびイソシアネートの中間原料として有用である。
【0002】
【従来の技術】
キシレンとアンモニアおよび分子状酸素を触媒の存在下に反応(アンモ酸化)させてフタロニトリルを製造する方法はよく知られている。例えば特開平11−209332号には、V〜Cr〜B〜Mo系の酸化物を含有する触媒を用いてアンモ酸化する方法が記載されている。こうして得られたフタロニトリルをアンモニアの存在下水素化してキシリレンジアミンが製造される。
キシレンをアンモ酸化してフタロニトリルを製造する際に得られる反応生成ガスは、目的生成物であるフタロニトリル以外にアンモニア、炭酸ガス、一酸化炭素、シアン化水素、芳香族アミド、芳香族カルボン酸、空気および水蒸気などを含んでいる。このため、反応生成ガスからフタロニトリルを捕集分離した上で、水素化工程に供する必要がある。
【0003】
反応生成ガスからフタロニトリルを捕集分離するひとつの方法としては表面積の大きい冷却器にガスを導き、冷却面にフタロニトリルを付着固化し、溶融して取り出す方法がある。しかし、フタロニトリルは高温において重合などの変質を起こしやすく、溶融取り出し時に変質を起こし製品の純度低下をきたす。
類似の方法として、冷却器にガスを導き、冷却面にフタロニトリルを付着固化し、この固体状ニトリルに溶媒を添加し水素化反応器に供給する方法がある(化学工学、32巻7号658−660頁(1968年))。しかし、この方法ではフタロニトリルが冷却器の冷却面で重合などの変質を起こしやすく、添加した溶媒に不溶の重合物を生成し、ついには重合物の蓄積により装置の安定運転に支障が生じる。
【0004】
他の捕集方法としてはフタロニトリルを含む反応生成ガスを直接水と接触し、フタロニトリル結晶を水に懸濁した状態で捕集し、この懸濁液から固液分離してフタロニトリルを得る方法が提案されている(石油学会編プロセスハンドブック(1978年))。この方法ではフタロニトリルの捕集は満足に行えるが、フタロニトリルの懸濁液中でのかさ比重が小さいためスラリーがかさばり、スラリー水溶液から濾過などの方法で固液を分離する場合、非常に大きな濾過装置を必要とするばかりでなく、分離された結晶の含水率が高く、これを乾燥するのに多大な熱負荷を必要とする。
フタロニトリルは高温で水と比較的容易に反応して高沸点のアミドに変化するので、水存在下での長時間加熱はフタロニトリルの純度低下の原因となる。また水を捕集溶媒とする方法は、副生物である青酸を高温で水に接触させることとなり、青酸は熱履歴により容易にホルムアミド、ギ酸アミド、重合物等に変質し排水中に含まれ、排水のTOD負荷増や着色の要因となる。
【0005】
また、アンモ酸化反応生成ガスを有機溶媒と接触し、フタロニトリルを捕集分離する方法も提案されている(石油学会編プロセスハンドブック(1976年))。この方法ではフタロニトリル捕集液を蒸留して溶媒回収を行った後、フタロニトリルの精留が行われており、精製に多大のエネルギーを要すると共に、フタロニトリルの損失も多い。
一方、アンモ酸化で生成したフタロニトリルは次工程において、アンモニアや有機溶媒に溶解させて水素化反応が行われる。
固体あるいは溶融状態でフタロニトリルを取得した場合には、水素化に先立ち溶媒を加え液相均一にするための溶解槽もしくは混合槽を設置しなけらばならない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように従来技術では、反応生成ガス中のフタロニトリルを分離する際に副生物を新たに生成し純度の低下をきたしたり、廃棄物や排水の増加を招くことや、多大のエネルギーを要するなどの欠点を有している。
本発明者らは、キシレンのアンモ酸化反応によりフタロニトリルを合成し、水素化してキシリレンジアミンを製造する方法において、アンモ酸化で生成したフタロニトリルを簡便な方法で収率よく反応ガスから回収し、水素化反応を実施する方法を提案している(特願2000-290459)。
【0007】
この方法では、アンモ酸化反応ガスを有機溶媒と直接接触させることによりフタロニトリルを有機溶媒中に捕集し、有機溶媒に捕集したフタロニトリルを分離することなく液体アンモニアを加えて水素化反応を行うことにより、新たな設備の設置なしにフタロニトリルを収率よく簡便に反応ガスから回収し、水素化反応でキシリレンジアミンを効率よく製造できる。
ここで得られるキシリレンジアミンは純度的には通常の用途への使用は満足のいくものであるが、近年、ポリアミド樹脂等において、より着色の少ないものが求められている。その為には更に高純度のキシリレンジアミンが望まれている。
本発明の目的は、キシレンのアンモ酸化反応によりフタロニトリルを合成し、フタロニトリルを水素化してキシリレンジアミンを製造する方法において、高純度のキシリレンジアミンを収率よく得る方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、アンモ酸化反応ガス中のフタロニトリルを特定の有機溶媒中に捕集し、更に液体アンモニアを加えて水素化した反応物から該有機溶媒とアンモニアを分離して得られた粗キシリレンジアミンに対して、特定の溶媒と水を用いて抽出操作を行うことにより、高純度キシリレンジアミンを効率よく製造できることを見出し、本発明に到達した。
即ち本発明は、メタキシレンまたはパラキシレンからアンモ酸化反応によりそれぞれのフタロニトリルを合成し、当該フタロニトリルを水素化してキシリレンジアミンを製造する方法であって、以下の(1)〜(6)の工程を含むことを特徴とする高純度キシリレンジアミンの製造方法である。
(1)原料キシレンをアンモニアおよび酸素含有ガスとの気相接触反応によりアンモ酸化させてフタロニトリルを製造するアンモ酸化工程
(2)アンモ酸化反応ガスを有機溶媒と直接接触させ、フタロニトリルを該有機溶媒中に捕集する捕集工程
(3)有機溶媒に捕集したフタロニトリルを分離することなく液体アンモニアを加えて水素化反応を行う水素化工程
(4)水素化反応生成物から有機溶媒とアンモニアを分離して粗キシリレンジアミンを得る分離工程
(5)粗キシリレンジアミンに芳香族炭化水素または飽和炭化水素から選ばれる少なくとも1種の溶媒と水を加えた後、溶媒相と水相に分離する抽出工程
(6)抽出分離された水相から高純度キシリレンジアミンを回収する回収工程
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の原料としては、メタキシレンまたはパラキシレンが用いられる。メタキシレン、パラキシレンからはアンモ酸化反応により対応するイソフタロニトリル、テレフタロニトリルが製造され、更に引き続く水素化反応によりメタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンに変換される。
【0010】
<アンモ酸化工程>
アンモ酸化反応は反応熱が大きく、反応器内の均一の温度分布を得るため気相流動床反応として実施されるのが好ましい。触媒としては、基本組成がバナジウム、モリブテンおよび鉄から選ばれる一種以上の金属酸化物から構成される触媒が好適に用いられる。触媒の活性、強度および寿命を高めるために、該金属酸化物にMg,Ca,Ba,La, Ti,Zr,Cr,W, Co,Ni,B,Al,Ge,Sn,Pb,P,Sb,Bi,Li,Na,K,RbおよびCsの群から選ばれた少なくとも一種を含む金属酸化物を加えて修飾された複数の金属酸化物から構成された触媒が用いられ、以下の組成式で示される。
組成式: (V)a(Mo)b(Fe)c(X)d(Y)e(O)f
ただし、XはMg,Ca,Ba,La,Ti,Zr,Cr,W,CoおよびNiよりなる群より選ばれた少なくとも一種類の元素、YはB,Al,Ge,Sn,P,b,P,Sb,Li,Na,K,RbおよびCsよりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、添字のa,b,c,dおよびeは原子比を各々示し、a=0.01〜1(好ましくは0.1〜0.7)、b=0.01〜1(好ましくは0.05〜0.7)、c=0〜1、d=0〜1(好ましくは0.05〜0.7)、e=0〜1(好ましくは0.05〜0.7)およびfは上記元素が結合して得られる酸化物の酸素数である。
【0011】
アンモ酸化に用いる酸素含有ガスとしては、通常、空気が好適に用いられ、これに酸素を富化しても良い。また、窒素、炭酸ガス等の希釈剤を併用することもできる。酸素の使用量は原料キシレン1モルに含まれるメチル基1個に対して1.5倍モル以上、好ましくは2〜50倍モルの範囲である。これより使用量が少ないとニトリル化合物の収率は低下し、一方これより多いと空時収率が小さくなる。
空気を用いてアンモ酸化を行う場合の反応器に供給される原料ガス中のキシレンの濃度は0.2〜10容量%、好ましくは0.5〜5容量%の範囲である。この濃度より高いとニトリル化合物の収率は低下し、一方、これより低いと空時収率は小さくなる。
【0012】
アンモ酸化に用いるアンモニアには工業用グレードのものを用いることができる。アンモニア使用量は原料キシレンに含まれるメチル基に対して1〜10倍モル、好ましくは3〜7倍モルの範囲である。これより使用量が少ないとニトリル化合物の収率が低下し、これより多いと空時収率が小さくなる。
アンモ酸化は流動床反応器が好適であり、種々の形式の流動床反応器を用いることができる。アンモニアは原料キシレンと混合して供給することも、別々に供給することもでき、またアンモニアおよび原料キシレンに酸素含有ガスの一部を混合して供給することもできる。
アンモ酸化の反応温度は300〜500℃、好ましくは330〜470℃の範囲である。この範囲より反応温度が低いと転化率が低く、この範囲より反応温度が高いと炭酸ガス、シアン化水素等の副生が増加しニトリル化合物の収率が低下する。反応圧力は常圧、加圧或いは減圧のいずれでも良いが、常圧付近から0.2MPaの範囲が好ましい。反応ガスと触媒の接触時間は、原料の種類、原料に対するアンモニアおよび酸素含有ガスの仕込みモル比、反応温度等の条件に依存するが、通常は0.3〜30秒の範囲である。
アンモ酸化反応器からの反応生成ガス中には、未反応の原料キシレン、フタロニトリル等のニトリル化合物、アンモニア、シアン化水素、炭酸ガス、水、一酸化炭素、窒素、酸素等が含まれる。
【0013】
<捕集工程>
捕集工程において、反応生成ガスはフタロニトリル捕集器で有機溶媒と接触させることにより有機溶媒にフタロニトリルを溶解し分離する。この有機溶媒は、フタロニトリルを溶解するものであり、具体的には、トルエン、メタキシレン、パラキシレン、メシチレン、プソイドキュメン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素が挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上の混合物として使用できる。また、原料キシレンより沸点が高い有機溶媒を用いるとガスに同伴される溶媒量が少ないので好ましい。更にフタロニトリルの溶解度が高く、またフタロニトリルに対して不活性で、水素化される官能基を有しない有機溶媒を用いるとより好ましい。
これらの有機溶媒の中でメシチレン、プソイドキュメン、およびこれらの混合物が好適に使用される。
【0014】
フタロニトリル捕集器の操作温度は、液相部が組成液の沸点以下となる条件で行われる。その圧力は、常圧、加圧または減圧の何れでも実施できるが、通常は常圧からアンモ酸化反応圧力の範囲で実施される。
アンモ酸化反応生成ガス中に含まれるアンモニア、シアン化水素、炭酸ガス、水、一酸化炭素、窒素、酸素等は、有機溶媒に吸収されず、フタロニトリル捕集器よりガスとして排出される。
有機溶媒に吸収されたフタロニトリルは、有機溶媒と分離することなく、液体アンモニアを加え水素化反応に供される。
【0015】
<水素化工程>
水素化工程におけるフタロニトリルの水素化反応によるキシリレンジアミンの製造はニッケルおよび/またはコバルトを主成分とする触媒により好適に実施される。フタロニトリルのアンモニア共存下における水素化反応は白金族系金属触媒を用いても実施できるが、ルテニウムなどを用いると溶媒として用いる芳香族炭化水素(メシチレンやプソイドキュメン等)および生成したキシリレンジアミンの核水素化が進行するため好ましくない。本発明の様にアンモ酸化生成ガスからのフタロニトリル捕集溶媒と水素化反応の反応溶媒を同一とする場合には、ニッケルやコバルトを主成分とする触媒が好適である。
【0016】
水素化反応器に入る原料の組成は適時決められるが、基質であるフタロニトリルの濃度がなるべく低い方が、溶媒であるアンモニア濃度がなるべく高い方が、キシリレンジアミンの収率は高くなる。十分な収率と生産量を上げられるように有機溶媒を更に加えたり、アンモニアを加えることにより調整される。好ましい原料組成としては、フタロニトリル 1〜10wt%、有機溶媒 1〜50wt%、アンモニア 20〜97wt%の範囲から決められる。
反応は回分式でも連続式でも可能であり、槽型反応器にニッケルやコバルトのラネー金属粉体状触媒を入れ完全混合型でも可能であるが、工業的には管状反応器を用い、成形された触媒を固定床とし原料溶液と水素ガスを反応器上部から並列で供給する潅液タイプの連続反応器を用いる方法が簡便である。
【0017】
水素化触媒としては、ニッケルおよび/またはコバルトを担体に担持したものが好適である。担体としてはケイソウ土、酸化珪素、アルミナ、シリカ−アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、炭素などが用いられる。
ニッケル系触媒の場合、反応温度は60〜130℃であり、反応圧力は4〜15MPaである。
【0018】
<分離工程>
水素化反応により、キシリレンジアミンを含む反応液が得られる。この反応液からアンモニア、有機溶媒を分離することで、粗キシリレンジアミンを得ることができる。分離は蒸留操作により好適に行うことができる。必要に応じて複数の蒸留塔を用いてもよい。分離されたアンモニアは、アンモ酸化工程や水素化工程に循環し、再使用することができる。また、分離された溶媒は、捕集工程に循環し、再使用することができる。アンモニアや溶媒の再使用に際しては、別途、これらの精製工程を設けてもよい。
【0019】
<抽出工程>
粗キシリレンジアミン中には蒸留操作により分離できない不純物が含まれている。この粗キシリレンジアミンに溶媒と水を加えて不純物を溶媒に抽出する。キシリレンジアミンは水相側に回収される。
ここで使用する溶媒は、水と相分離するものであれば特に制限はないが芳香族炭化水素や飽和炭化水素が好適であり、具体的にはベンゼン、トルエン、メタキシレン、パラキシレン、メシチレン、プソイドキュメン、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらの溶媒は単独でも2種以上の混合物としても使用できる。中でも原料キシレン(例えばメタキシリレンジアミン製造ではメタキシレン)を用いると取扱い化合物数が増えないので有利である。
溶媒使用量は、粗キシリレンジアミン1重量部に対し、0.01〜100重量部の範囲で選択されるが、0.2〜10重量部の範囲は抽出効率がよく、好適である。
水使用量は、粗キシリレンジアミン1重量部に対し、0.01〜100重量部の範囲で選択されるが、溶媒の場合と同様に、0.2〜10重量部の範囲が好適である。
抽出操作を実施する温度は特に制限はなく、室温でも充分に効果を発揮する。
また、抽出操作は繰り返し実施することができ、不純物を含有する溶媒相を分液により除去した後、更に溶媒を加え、同様な操作を実施することでキシリレンジアミンの純度を向上させることができる。
【0020】
<回収工程>
抽出工程で得られたキシリレンジアミン−水相は、精製操作を実施することにより、高純度のキシリレンジアミンを得ることができる。精製は、通常の回分蒸留や連続蒸留により好適に実施することができる。
一方、溶媒相から溶媒を回収し、抽出工程で再使用することができる。
【0021】
次に図面を用いて本発明を具体的に説明する。図1は本発明の実施形態を示すフロー図の一例である。
アンモ酸化工程Aでは、触媒が充填されたアンモ酸化反応器に空気、アンモニアおよびキシレンが供給される。反応生成ガス中には、未反応のキシレン、フタロニトリル等のニトリル化合物、アンモニア、シアン化水素、炭酸ガス、水、一酸化炭素、窒素および酸素等が含まれる。
反応生成ガスは捕集工程Bに導入し、有機溶媒と接触させる。ここで、有機溶媒にフタロニトリルが溶解し分離される。有機溶媒に吸収されなかったアンモニア、シアン化水素、炭酸ガス、水、一酸化炭素、窒素、酸素等は捕集器頂部より排出される。有機溶媒に吸収されたフタロニトリルは捕集器底部より抜き出され、液体アンモニアを加え水素化工程Cに送られる。
水素化工程Cでは、触媒が充填された水素化反応器に前述のフタロニトリル液と水素が供給され、キシリレンジアミンを含む反応液が排出される。
この反応液は分離工程Dに送られ、有機溶媒、アンモニア等を分離し、粗キシリレンジアミンが得られる。
この粗キシリレンジアミンに溶媒と水を加え、抽出工程Eに送る。ここで、溶媒相に不純物が抽出され、水相にキシリレンジアミンが回収される。
回収工程Fで、この水相から高純度キシリレンジアミンを回収する。
【0022】
【実施例】
以下に実施例により、本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
尚、以下の実施例において、組成分析はガスクロマトグラフを用いて行った。
【0023】
<アンモ酸化反応用触媒調整>
五酸化バナジウム V2O5 229g に水500mLを加え、80〜90℃に加熱し攪拌しながらシュウ酸477g を加え溶解する。またシュウ酸 963g に水400mL を加え50〜60℃に加熱し、無水クロム酸 CrO3 252g を水200mLに加えた溶液を良く攪拌しながら加え溶解する。得られたシュウ酸バナジウムの溶液にシュウ酸クロムの溶液を50〜60℃にて混合しバナジウム-クロム溶液を得る。この溶液にリンモリブデン酸 H3(PMo12O40)・20H2O 41.1gを水100mLに溶解して加え、更に、酢酸カリウム CH3COOK 4.0gを水 100mLに溶解して加える。次いで20重量%水性シリカゾル(Na2Oを0.02重量%含有) 2500g を加える。
このスラリー溶液にホウ酸H3BO3 78g を加え良く混合し液量が約3800g になるまで加熱、濃縮する。この触媒溶液を入口温度250℃、出口温度130℃に保ちながら噴霧乾燥した。130℃の乾燥機で12時間乾燥後、400℃で0.5時間焼成し、550℃で8時間空気流通下焼成し、流動触媒を製造した。この触媒成分の原子比は、 V:Cr:B:Mo:P:Na:K が 1:1:0.5:0.086:0.007:0.009:0.020 の割合で含有され、流動触媒におけるその触媒成分の濃度は50重量%である。
【0024】
実施例1
図1に示したフローによりアンモ酸化、フタロニトリルの捕集および水素化を行った。
アンモ酸化反応器に上記で調製した流動触媒6Lを充填し、空気、メタキシレン(MX)およびアンモニアの混合ガスを、温度350℃に予熱し反応器に供給した。仕込み条件として、MX供給量を350g/hr, NH3/MXモル比を11、O2/MXモル比を 5.4、SVを630hr-1とした。反応条件は温度420℃、圧力を0.2MPaとした。
反応器頂部からの生成ガスは捕集器に導入した。捕集器には有機溶媒としてプソイドキュメンを供給し、アンモ酸化反応ガスを140℃に保たれた捕集器の液相部に吹き込み、イソフタロニトリルをプソイドキュメンに溶解・吸収し、捕集器底部より抜き出した。炭酸ガス、アンモニア、シアン化水素、一酸化炭素、窒素、酸素および水のガス成分は捕集器頂部より抜き出した。
捕集器底部より抜き出されたイソフタロニトリルのプソイドキュメン溶液に液体アンモニアを加え水素化原料とした。この液の組成は、イソフタロニトリル/プソイドキュメン/アンモニアが重量比で6/25/69とした。
【0025】
内容量 4Lの管状縦型水素化反応器にNi含量50重量%であるNi/ケイソウ土触媒を5kg 充填した。この反応器上部よりイソフタロニトリル/プソイドキュメン/アンモニアからなる原料を6kg/hrの速度で供給した。水素を反応器上部より並流で流し、反応圧12MPa、温度90℃で水素化反応を実施した。
水素化反応でのイソフタロニトリル基準のメタキシリレンジアミン収率は92モル%であった。
【0026】
水素化反応生成液から有機溶媒であるプソイドキュメン、アンモニアを蒸留で分離し、更に低沸点副生物、高沸点副生物を取り除く蒸留を実施し、純度99.80重量%のメタキシリレンジアミンを得た。
不純物としてメチルベンジルアミン200ppm、捕集溶媒由来のジメチルベンジルアルコール1500ppm、不明高沸点成分300ppmが含まれていた。
【0027】
上記メタキシリレンジアミン1kgにメタキシレン1kgと水1kgを室温で加え攪拌し、静置後、メタキシレン相を分離した。
この操作を4回繰り返し、メタキシリレンジアミン−水相を得た。
メタキシリレンジアミン−水相を回分蒸留し、水を分離、初留を一部カットし高純度キシリレンジアミンを得た。純度は99.99重量%であり、メチルベンジルアミン31ppm、不明高沸点成分10ppm以下であった。ジメチルベンジルアルコールは検出されなかった。
【0028】
【発明の効果】
以上の実施例から明らかなように、本発明によれば、アンモ酸化反応ガスから有機溶媒により捕集したフタロニトリルにアンモニアを加え、直接水素化を行い、得られた粗キシリレンジアミンから抽出と蒸留操作で高純度のキシリレンジアミンが得られる。この高純度キシリレンジアミンは、高品質のポリマー合成への使用が可能であり、本発明の工業的意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施形態を示すフロー図の一例である。
【符号の説明】
A:アンモ酸化工程
B:捕集工程
C:水素化工程
D:分離工程
E:抽出工程
F:回収工程

Claims (3)

  1. メタキシレンまたはパラキシレンからアンモ酸化反応によりそれぞれのフタロニトリルを合成し、当該フタロニトリルを水素化してキシリレンジアミンを製造する方法であって、以下の(1)〜(6)の工程を含むことを特徴とする高純度キシリレンジアミンの製造方法。
    (1)原料キシレンをアンモニアおよび酸素含有ガスとの気相接触反応によりアンモ酸化させてフタロニトリルを製造するアンモ酸化工程
    (2)アンモ酸化反応ガスを芳香族炭化水素と直接接触させ、フタロニトリルを該芳香族炭化水素中に捕集する捕集工程
    (3)芳香族炭化水素に捕集したフタロニトリルを分離することなく液体アンモニアを加えて水素化反応を行う水素化工程
    (4)水素化反応生成物から芳香族炭化水素とアンモニアを分離して粗キシリレンジアミンを得る分離工程
    (5)粗キシリレンジアミンに芳香族炭化水素または飽和炭化水素から選ばれる少なくとも1種の溶媒と水を加えた後、溶媒相と水相に分離する抽出工程
    (6)抽出分離された水相から高純度キシリレンジアミンを回収する回収工程
  2. 原料キシレンのアンモ酸化反応に、バナジウム、モリブデンおよび鉄から選ばれた一種以上の金属酸化物を含む流動触媒を用いる請求項1記載の高純度キシリレンジアミンの製造方法。
  3. 水素化反応をニッケルおよび/またはコバルト触媒の存在下で行う請求項1記載の高純度キシリレンジアミンの製造方法。
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