JP4976612B2 - 合わせガラス用中間膜、ポリビニルアセタール樹脂膜及び合わせガラス - Google Patents
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Description
本発明は、合わせガラス用中間膜、ポリビニルアセタール樹脂膜及び合わせガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、一対のガラス板間に樹脂膜をサンドイッチした合わせガラスは、破損時に飛散せず安全性に優れているため、例えば、自動車用等の車両の窓ガラスや建築物の窓ガラスとして広く使用されている。
このような合わせガラス用中間膜のうち、可塑剤の添加により可塑化されたポリビニルブチラール樹脂膜は、ガラスとの接着性、強靱な引張強度、高い透明性を兼ね備えており、この樹脂膜を用いて構成した合わせガラスは、特に車両用窓ガラスとして好適である。
【0003】
ところで、ガラス板の遮音性は周波数の変化に応じた透過損失量として表され、その透過損失量は、JIS A 4708では図1の実線で示したように、500Hz以上において遮音等級に応じて、それぞれ一定値で規定されている。
一般に、ガラス板の遮音性は図中に波線で示したように、2000Hzを中心とする周波数領域では、コインシデンス効果により著しく低下する(図中、波線の谷部がコインシデンス効果による遮音性能の低下に相当し、所定の遮音性能を保持しないことを示す)。
【0004】
ここでコインシデンス効果とは、ガラス板に音波が入射したとき、ガラス板の剛性と慣性とによって、ガラス面上を横波が伝播して横波と入射音とが共鳴し、その結果、音の透過が起こる現象をいう。
【0005】
従来の合わせガラスは破片の飛散防止の面では優れているものの、遮音性の面では、2000Hzを中心とする周波数領域において、やはりコインシデンス効果による遮音性能の低下が避けられず、この点の改善が求められている。
【0006】
一方、人間の感覚は、等ラウドネス曲線から、1000〜6000Hzの範囲では、他の周波数領域に比べて非常に高い感度を示すことが知られており、コインシデンス効果による遮音性能の落ち込みを解消することが防音性にとって極めて重要であることが分かる。
【0007】
合わせガラスの遮音性能を向上するには、上記のようなコインシデンス効果を緩和して、コインシデンス効果によって生じる透過損失の極小部(以下、極小部の透過損失をTL値という、図1参照)の低下を防ぐ必要がある。
従来、TL値の低下を防ぐ手段として、合わせガラスの質量の増大、ガラスの複層化、ガラス面積の細分化、ガラス板指示手段の改善等、種々の方策が提案されている。しかし、これらはいずれも十分に満足できる効果をもたらさない上に、実用に供するにはコスト的にも妥当な価格になっていない。
【0008】
最近、遮音性に対する要求は益々高くなり、例えば、建築用窓ガラスでは常温付近で優れた遮音性が要求される。即ち、温度に対して透過損失(TL値)をプロットして求めた、遮音性が最も優れている温度(遮音性能最大温度=TLmax温度)が常温付近であり、かつ遮音性の最大値(遮音性能最大値=TLmax値)自体が大きいという、優れた遮音性が要求されている。
同様なことは、自動車においても適用され、高速走行時の風切り音及びエンジン部からの振動等、遮音性が要求される箇所が多くなっている。
【0009】
また、実際に使用される場合を考慮すると、これらの合わせガラスは低温域から高温域までの幅広い環境温度の変化に曝されるため、室温付近のみならず広い温度範囲での良好な遮音性が要求される。
しかし、例えば、従来の可塑化ポリビニルブチラールの樹脂膜を用いた合わせガラスは、TLmax温度が室温より高く、常温付近では遮音性がよくないという問題点があった。
【0010】
合わせガラスの遮音性の向上を目的とした中間膜の先行技術としては、例えば、特開平2−229742号公報には、ガラス転移温度15℃以下の樹脂膜、例えば、塩化ビニル−エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体の樹脂膜と、可塑化ポリビニルアセタール樹脂膜との積層体からなる中間膜が提案されている。しかしながら、この中間膜は、JIS A 4706による遮音等級でTs−35等級を超える性能を示さない上に、遮音性を示す温度範囲が限定されており、広い温度範囲で良好な遮音性を発揮することが困難であった。
【0011】
また、特開昭51−106190号公報には、ガラス転移温度の異なる2種以上の樹脂膜を積層することによって、広い温度領域で制振性を発現する構成体が提案されている。しかしながら、この構成体では、広い温度領域で制振性が改善されることは認められるが、合わせガラスとして必要な遮音性、透明性などに関する記述はなく、さらに、安全ガラスとして必要な高い衝撃エネルギー吸収性、ガラス破損時の飛散防止性等の要件を満足するものではなかった。
【0012】
このように、上記先行技術の中間膜の中では、特に広い温度領域で優れた遮音性を長期間にわたって発現する合わせガラスは得られていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、コインシデンス効果の緩和によってTL値の低下を防ぎ、かつ広い温度領域において優れた遮音性を長期安定的に発揮し得る合わせガラス用中間膜、それに用いるポリビニルアセタール樹脂膜及び、該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することにある。
本発明の限定的な目的は、上記問題点に鑑み、透明性、耐候性、衝撃エネルギー吸収性、ガラスとの接着性等の合わせガラスとして必要な基本性能を損なうことなく、また、成形性及び取扱い性を損なうことなく、コインシデンス効果の緩和によってTL値の低下を防ぎ、かつ広い温度領域において優れた遮音性を長期安定的に発揮し得る合わせガラス用中間膜、それに用いるポリビニルアセタール樹脂膜及び、該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、合わせガラスの遮音性が中間膜の動的粘弾性特性によって左右され、特に貯蔵弾性率と損失弾性率との比である損失正接に最も影響されることを見出した。このことから、中間膜の損失正接を制御することで、合わせガラスの遮音性を広温度範囲で良好に維持できるよう鋭意検討を行った。
【0015】
中間膜の損失正接は、膜自身のガラス転移温度(Tg)に影響され、特に損失正接の最大値が示す温度域は膜のTg近傍に相当する。従って、例えば、室温よりも低温域の遮音性を向上させる場合、膜のTgは室温付近に位置することが望ましい。具体的には、膜中の可塑剤部数を増加させる手法がよく用いられる。
【0016】
しかし、膜中の可塑剤部数を増加させると、樹脂と可塑剤との相溶性によっては、可塑剤が膜中より表面にブリードアウトする。可塑剤が膜表面にブリードアウトすることにより、膜とガラスとの接着力が低下し、合わせガラスの耐湿性等に悪影響を及ぼすので好ましくない。
【0017】
そこで、さらに鋭意検討した結果、膜とガラスとの接着性に悪影響を及ぼすことなく、膜のTgが室温付近(又はそれ以下)にあり、室温付近(又はそれ以下)での遮音性が向上する膜構成を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0018】
本発明の合わせガラス用中間膜は、可塑剤により可塑化されたポリビニルアセタール樹脂膜の積層体よりなる合わせガラス用中間膜であって、該積層体の最外層を除く少なくとも一層には、末端に少なくとも一つ以上のカルボキシル基をもつ化合物を含有するポリビニルアセタール樹脂膜が用いられてなることを特徴とする。
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の合わせガラス用中間膜(以下、単に「中間膜」と略記する)には、ポリビニルアセタール樹脂膜の積層体が用いられる。
【0020】
上記ポリビニルアセタール樹脂を得る方法としては、例えば、ポリビニルアルコール(以下、PVAという)を熱水に溶解し、得られたPVA水溶液を所定温度に保持した後、これにアルデヒドと触媒とを加えてアセタール化反応を進行させ、次いで、反応液を所定温度で保持した後、中和、水洗、乾燥の工程を経て樹脂粉末を得る方法が挙げられる。
【0021】
上記ポリビニルアセタール樹脂の製造に用いられるPVAは、特に限定されないが、平均重合度500〜5000のものが好ましく、より好ましくは1000〜3000である。平均重合度が、500より小さくなると樹脂膜及び中間膜の強度が弱くなり過ぎて、合わせガラスとしたときの耐貫通性や衝撃エネルギー吸収性が不十分となることがあり、5000を超えると樹脂膜の成形が困難となることがあり、しかも樹脂膜及び中間膜の強度が強くなり過ぎて、合わせガラスとしたときの耐貫通性や衝撃エネルギー吸収性が不十分となることがある。
【0022】
上記ポリビニルアセタール樹脂の製造に用いられるアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド等が挙げられる。
【0023】
このようにして得られる各種ポリビニルアセタール樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。これらの中でも、n−ブチルアルデヒドでアセタール化して得られるポリビニルブチラール樹脂が好ましい。
ポリビニルブチラール樹脂を用いることにより、樹脂膜及び中間膜の透明性、耐候性、ガラスに対する接着性等がより優れたものとなる。
【0024】
上記ポリビニルアセタール樹脂膜の可塑化に用いられる可塑剤としては、特に限定されず、例えば、一塩基酸エステル系、多塩基酸エステル系等の有機エステル系可塑剤や、有機リン酸系、有機亜リン酸系等のリン酸系可塑剤が用いられる。具体的には、一塩基酸エステル系可塑剤の中では、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール等のグリコールと、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプタン酸、2−エチルヘキシル酸等の有機酸との反応によって得られるグリコール系エステルなどが挙げられる。
【0025】
上記多塩基酸エステル系可塑剤としては、例えば、炭素数4〜8の直鎖状もしくは分岐状アルコールと、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等の有機酸との反応によって得られるエステル等が挙げられる。
また、上記リン酸系可塑剤としては、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート等が挙げられる。
【0026】
上記可塑剤の中でも、例えば、トリエチレングリコール−ジ2−エチルブチレート(3GH)、トリエチレングリコール−ジ2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコール−ジn−ヘプタノエート(3G7)、トリエチレングリコール−ジカプリレート、トリエチレングリコール−ジn−オクトエート、トリエチレングリコール−ジ2−エチルブチレート、テトラエチレングリコール−ジn−ヘプタノエート、ジヘキシルアジペート、ジベンジルフタレート等が好適に用いられ、特に好適に用いられるのは、3GH、3GO、3G7等である。
【0027】
上記可塑剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0028】
上記ポリビニルアセタール樹脂に対する可塑剤の配合量は、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して30〜70重量部が好ましい。
配合量が、30重量部未満になるとポリビニルアセタール樹脂の可塑化が不十分となることがあり、70重量部を超えると樹脂膜及び中間膜の力学的物性やガラスに対する接着力が不十分となることがある。
【0029】
上記ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との組合わせの中でも、ポリビニルアセタール樹脂としてポリビニルブチラール樹脂を用い、可塑剤として3GH、3GO及び3G7から選択される少なくとも1種を用いる組合わせが、特に好ましい。
【0030】
本発明において用いられる樹脂膜積層体(中間膜)の積層数は、3層以上であれば特に限定されず、多層の積層体であってもよい。
上記樹脂膜積層体の最外層を除く少なくとも一層には、末端に少なくとも一つ以上のカルボキシル基をもつ化合物を含有するポリビニルアセタール樹脂膜が用いられる。
【0031】
上記カルボキシル基をもつ化合物は、可塑化ポリビニルアセタール樹脂中の可塑剤と反応し、可塑剤のポリビニルアセタール樹脂に対する可塑化効果を促進させる。従って、ポリビニルアセタール樹脂に対する可塑剤配合量が同一であっても、本化合物を含有することにより、中間膜のTgはより低温側へ移動し、Tgが低くなっても可塑剤量が変わらないので、中間膜表面へのブリードアウトは起こらない。
【0032】
上記カルボキシル基をもつ化合物としては、例えば、炭素数2〜18のカルボン酸、炭素数2〜18のヒドロキシカルボン酸、炭素数2〜18のカルボン酸縮合物及び炭素数2〜18のヒドロキシカルボン酸縮合物から選ばれる少なくとも1種以上を用いることが好ましく、このような化合物としては、例えば、ステアリン酸、2−エチル酪酸、2−エチルヘキサン酸、ひまし油脂肪酸、リシノール酸、水添リシノール酸、リシノール酸縮合物等が好適に用いられる。
【0033】
上記カルボキシル基をもつ化合物の配合量は、可塑剤100重量部に対して0.5〜50重量部が好ましく、より好ましくは10〜30重量部である。
配合量が、0.5重量部未満になると可塑化効果を促進させる働きが小さくなり、50重量部を超えるとカルボキシル基が樹脂膜中で多量に存在するため、長期耐候性が不足することがある。
【0034】
上記カルボキシル基をもつ化合物を含有するのは、樹脂膜積層体の最外層を除く少なくとも一層である。その理由は、最外層に本化合物を含有させると、最外層のTgが低下し、それに伴って弾性率も低下する。
本積層体において、最外層の弾性率が低下すると積層体を取扱う際の作業性が悪くなり、かつ積層体全体が柔らかくなるため、合わせガラスの耐衝撃性、耐貫通性が損なわれるからである。
従って、最外層には、本化合物を含有しない可塑化ポリビニルアセタール樹脂膜が用いられる。
【0035】
上記積層体全体の厚みは、通常の中間膜としての厚みである、0.3〜1.6mmが好ましい。この厚みは、大きい方がより遮音性に優れるが、合わせガラスとして必要な耐貫通性を考慮して決定されることが好ましく、実用上は上記厚み範囲に設定されることが好ましい。
【0036】
上記積層体の製造方法としては、積層する樹脂膜をそれぞれ別々に成形した後、これらの樹脂膜をガラス板の間で積層させる方法、多層成形機を用いて樹脂膜の積層体を一体成形させる方法等、種々の方法が用いられる。
【0037】
上記積層体からなる中間膜をガラス板間にサンドイッチして合わせガラスを製造するには、通常の合わせガラスの製造に用いられる方法が採用され、例えば、中間膜をその両側からガラス板で挟み込み、熱圧プレスにより接着して製造する方法が行われる。
【0038】
尚、本発明で用いられるガラス板としては、無機ガラス板のみならず、ポリカーボネート板、ポリメチルメタクリレート板等の有機ガラス板が使用されてもよい。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0040】
(実施例1)
ポリビニルブチラール樹脂(ブチラール化度68.9モル%、残存アセチル基量0.9モル%、)100重量部に対してトリエチレングリコール−ジ2−エチルヘキサノエート(3GO)39重量部を添加、混合した混合物をミキシングロールで十分に混練した。得られた混練物の所定量をプレス成形機により、150℃で30分間保持して、厚み0.3mmの樹脂膜(A)を得た。
【0041】
樹脂膜(A)と同様のポリビニルブチラール樹脂100重量部に対して3GOを39重量部添加し、さらに2−エチルヘキサンを3GO100重量部に対して15重量部の割合で添加、混合した混合物をミキシングロールで十分に混練した。得られた混練物の所定量をプレス成形機により、150℃で30分間保持して、厚み0.3mmの樹脂膜(B)を得た。
【0042】
上記樹脂膜(A)と樹脂膜(B)とを、樹脂膜の積層構成がA/B/Aとなるように重ねて、3層の積層体からなる中間膜を得た。
次いで、上記中間膜を2枚のフロートガラス(2mm厚、サイズ300mm×300mm)で両側から挟み込んでサンドイッチ状とし、この未圧着状態のサンドイッチ体をゴムバックに入れ、27kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気状態のまま90℃のオーブンに移し、この温度で30分間保持した。
こうして、真空プレスにより仮接着したサンドイッチ体を、さらにオートクレーブ中で圧力1.2MPa、温度135℃で熱圧着し、透明な合わせガラス(試験体)を作製した。
【0043】
(実施例2)
ポリビニルブチラール樹脂(ブチラール化度65.9モル%、残存アセチル基量0.9モル%、)100重量部に対してトリエチレングリコール−ジ2−エチルブチレート(3GH)40重量部を添加、混合した混合物をミキシングロールで十分に混練した。得られた混練物の所定量をプレス成形機により、150℃で30分間保持して、厚み0.3mmの樹脂膜(A)を得た。
【0044】
樹脂膜(A)と同様のポリビニルブチラール樹脂100重量部に対して3GHを40重量部添加し、さらに2−エチル酪酸を3GH100重量部に対して20重量部の割合で添加、混合した混合物をミキシングロールで十分に混練した。
得られた混練物の所定量をプレス成形機により、150℃で30分間保持して、厚み0.3mmの樹脂膜(B)を得た。
【0045】
上記樹脂膜(A)及び樹脂膜(B)から、実施例1と同様にして、透明な合わせガラス(試験体)を作製した。
【0046】
(実施例3)
ポリビニルブチラール樹脂(ブチラール化度68.9モル%、残存アセチル基量0.9モル%、)100重量部に対してトリエチレングリコール−ジn−ヘプタノエート(3G7)40重量部を添加、混合した混合物をミキシングロールで十分に混練した。得られた混練物の所定量をプレス成形機により、150℃で30分間保持して、厚み0.3mmの樹脂膜(A)を得た。
【0047】
樹脂膜(A)と同様のポリビニルブチラール樹脂100重量部に対して3G7を40重量部添加し、さらにn−ヘキサンを3G7100重量部に対して30重量部の割合で添加、混合した混合物をミキシングロールで十分に混練した。
得られた混練物の所定量をプレス成形機により、150℃で30分間保持して、厚み0.3mmの樹脂膜(B)を得た。
【0048】
上記樹脂膜(A)及び樹脂膜(B)から、実施例1と同様にして、透明な合わせガラス(試験体)を作製した。
【0049】
(実施例4)
実施例1と同様のポリビニルブチラール樹脂100重量部に対して3GO39重量部を添加し、さらにリシノール酸を3GO100重量部に対して30重量部の割合で添加、混合した混合物をミキシングロールで十分に混練した。
得られた混練物の所定量をプレス成形機により、150℃で30分間保持して、厚み0.3mmの樹脂膜(B)を得た。
【0050】
実施例1と同様の樹脂膜(A)及び本樹脂膜(B)から、実施例1と同様にして、透明な合わせガラス(試験体)を作製した。
【0051】
(比較例1)
2−エチルヘキサン酸を全く添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして樹脂膜(B)を得た。実施例1と同様の樹脂膜(A)及び本樹脂膜(B)から、実施例1と同様にして、透明な合わせガラス(試験体)を作製した。
【0052】
(参考例1)実施例1の樹脂膜(B)の3層積層体(積層構成:B/B/B)からなる中間膜を使用して、実施例1と同様に、透明な合わせガラスを作製した。
【0053】
実施例1〜4、比較例1及び参考例1で得られた中間膜並びに合わせガラス(試験体)について、下記の性能評価を行い、その結果を表1に示した。
(1)中間膜の取扱い性
樹脂膜の積層構成がA/B/Aからなる中間膜の「べとつき」の有無を触感により評価した。但し、参考例1は、B/B/Bの3層積層体を使用した。
【0054】
(2)耐貫通性試験
JIS R 3212に準拠して、合わせガラス(試験体)を30cm×30cmの支持枠によって水平に保持し、23℃の温度で該試験体の上方から重さ2.26kgの鋼球を試験体の中央部に自由落下させた。鋼球の落下高さを漸次高くしながら試験を繰り返して行い、試験数の50%の試験体が鋼球の貫通を防止できるときのガラス面からの距離をもって落下高さ(m)とした。この落下高さが高いほど、合わせガラスの耐貫通性が優れることを意味する。
【0055】
(2)遮音性試験
所定温度において、合わせガラス(試験体)をダンピング試験用の振動発生機(振研社製「加振機G21−005D」)により加振し、そこから得られる振動特性を、機械インピーダンスアンプ(オリオン社製「XG−81」)にて増幅し、振動スペクトルをFFTアナライザー(横河ヒューレットパッカード社製「FFTスペクトラムアナライザー HP−3582AA」)にて解析した。
こうして得られた損失係数とガラスの共振周波数との比から、透過損失を算出した。この結果に基づき、周波数2000Hz近辺における極小の透過損失をもってTL値とした。測定は、0〜30℃の間にて10℃間隔で行った。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、コインシデンス効果の緩和によってTL値の低下を防ぎ、かつ広い温度領域において優れた遮音性を長期安定的に発揮し得る。従って、上記合わせガラス用中間膜を使用した合わせガラスは、優れた遮音性を長期安定的に発揮するので、建築物や車両等の窓ガラスとして好適に使用することができる。
積層体の最外層が、末端に少なくとも一つ以上のカルボキシル基をもつ化合物を含有しない合わせガラス用中間膜である場合には、以上述べたように、透明性、耐候性、衝撃エネルギー吸収性、ガラスとの接着性等の合わせガラスとして必要な基本性能を損なうことなく、また、成形性及び取扱い性を損なうことなく、コインシデンス効果の緩和によってTL値の低下を防ぎ、かつ広い温度領域において優れた遮音性を長期安定的に発揮し得る。従って、上記合わせガラス用中間膜を使用した合わせガラスは、優れた遮音性を長期安定的に発揮するので、建築物や車両等の窓ガラスとして好適に使用することができる。
【0058】
【図面の簡単な説明】
【図1】合わせガラスの遮音性を示す曲線である。
Claims (4)
- 可塑剤により可塑化されたポリビニルアセタール樹脂膜の積層体よりなる合わせガラス用中間膜であって、該積層体の最外層を除く少なくとも一層には、可塑剤を含有し、かつ炭素数2〜18のカルボン酸、炭素数2〜18のヒドロキシカルボン酸、炭素数2〜18のカルボン酸縮合物及び炭素数2〜18のヒドロキシカルボン酸縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を、可塑剤100重量部に対して10〜50重量部含有するポリビニルアセタール樹脂膜が用いられてなることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
- 可塑剤により可塑化されたポリビニルアセタール樹脂膜の積層体よりなる合わせガラス用中間膜であって、該積層体の最外層を除く少なくとも一層には、可塑剤を含有し、かつ炭素数2〜18のカルボン酸、炭素数2〜18のヒドロキシカルボン酸、炭素数2〜18のカルボン酸縮合物及び炭素数2〜18のヒドロキシカルボン酸縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を、可塑剤100重量部に対して0.5〜50重量部含有するポリビニルアセタール樹脂膜が用いられてなり、
前記積層体の最外層が、末端に少なくとも一つ以上のカルボキシル基をもつ化合物を含有しないことを特徴とする合わせガラス用中間膜。 - 可塑剤により可塑化されたポリビニルアセタール樹脂膜の積層体よりなる合わせガラス用中間膜を得るために用いられ、該積層体の最外層を除く少なくとも一層として用いられるポリビニルアセタール樹脂膜であって、
可塑剤を含有し、かつ炭素数2〜18のカルボン酸、炭素数2〜18のヒドロキシカルボン酸、炭素数2〜18のカルボン酸縮合物及び炭素数2〜18のヒドロキシカルボン酸縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を、可塑剤100重量部に対して10〜50重量部含有するポリビニルアセタール樹脂膜。 - 少なくとも一対のガラス板間に、請求項1又は2に記載の合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させてなることを特徴とする合わせガラス。
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JP2000318103A JP4976612B2 (ja) | 2000-10-18 | 2000-10-18 | 合わせガラス用中間膜、ポリビニルアセタール樹脂膜及び合わせガラス |
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