JP4967590B2 - フタロシアニン結晶並びにそれを用いた電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
本発明のフタロシアニン結晶は、CuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に主たる回折ピークを示す結晶型(これを以下「特定結晶型」という場合がある。)を有するフタロシアニン結晶であって、特定の置換基を有するフッ素化芳香族化合物にフタロシアニン結晶前駆体を接触させる工程を経て得られるものである。
本発明のフタロシアニン結晶を得るために用いられる化合物は、芳香環に直接結合するフッ素原子を有し、且つ、Hammett則における置換基定数σmが0.48以下の置換基を有するフッ素化芳香族化合物である。
フタロシアニン結晶は、単一種のフタロシアニンから構成される結晶と、複数種のフタロシアニンから構成される混晶と、一種又は二種以上のフタロシアニンと一種又は二種以上の他の化合物とから構成される混晶とに分けられる。本発明のフタロシアニン結晶はこれらの何れであってもよいが、結晶安定性の面から、単一種のフタロシアニンからなる結晶、又は、複数種のフタロシアニンから構成される混晶であることが好ましい。
本発明のフタロシアニン結晶は、上述の組成を有するフタロシアニン結晶の前駆体を、上述の置換基を有するフッ素化芳香族化合物に接触させる工程を経て製造される。
接触時の温度は、通常0℃以上、中でも10℃以上、また、通常100℃以下、中でも80℃以下の範囲が好ましい。
接触時の圧力は、通常、大気圧である。
接触の時間は、温度等の条件によっても異なるが、通常1分以上、中でも5分以上である。上限は特に制限されないが、効率を考えると、通常10時間以下、好ましくは5時間以下、より好ましくは3時間以下が望ましい。
本発明のフタロシアニン結晶は、CuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に主たる回折ピークを有する結晶型である。
2)9.5°、9.7°、24.1°
3)9.0°、14.2°、23.9°
本発明において、フッ素化芳香族化合物が有する置換基の置換基定数σmの値が、得られるフタロシアニン結晶の特性に影響を及ぼすメカニズムは明白ではないが、以下の様に推測される。即ち、上述の特定結晶型(CuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に主たる回折ピークを示す結晶型)は、他の結晶型と比較して結晶密度が低く、結晶中の空いている空間部分が多いため、フッ素化芳香族化合物をフタロシアニン結晶前駆体に接触させ、該結晶型を構築する際に、フタロシアニン結晶中に該フッ素化芳香族化合物が微量取り込まれるものと考えられる。ここで、フッ素原子の他に置換基定数σmが0.48以下の置換基を導入したフッ素化芳香族化合物は、分子全体としてある電子状態を有するようになり、この電子状態がフタロシアニン結晶中での結晶安定性及び電荷分離過程に寄与することにより、得られるフタロシアニン結晶の安定性と感度が共に向上しているのではないかと考えられる。
以下、本発明の電子写真感光体について詳述する。本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層を有し、該感光層に、上に説明した本発明のフタロシアニン結晶を含有するものである。
導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を含有させて導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。形状としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。また、金属材料の導電性支持体に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のために、適当な抵抗値をもつ導電性材料を塗布したものを用いてもよい。
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けてもよい。下引き層としては、バインダー樹脂、バインダー樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。
導電性支持体の上(下引き層を設ける場合は、下引き層の上)には、感光層が形成される。感光層は、電荷発生物質と、電荷輸送物質と、バインダー樹脂とを含んで構成される。
積層型感光層の電荷発生層は、溶媒又は分散媒にバインダー樹脂を溶解又は分散させるとともに、電荷発生物質を分散させて塗布液を調製し、これを順積層型感光体の場合は導電性支持体上(下引き層を設ける場合には下引き層上)、逆積層型感光体の場合は電荷輸送層上に塗布・成膜し、電荷発生物質の微粒子をバインダー樹脂によって結着することにより形成される。
電荷発生物質としては、少なくとも本発明のフタロシアニン結晶が用いられる。本発明のフタロシアニン結晶は、何れか一種を単独で用いてもよいが、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、本発明のフタロシアニン結晶のみを電荷発生物質として用いてもよいが、本発明のフタロシアニン結晶を他の電荷発生物質と組み合わせ、混合状態として用いてもよい。
電荷発生層のバインダー樹脂の種類は特に制限されないが、その例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーの中から選択し、用いることが出来るが、これらポリマーに限定されるものではない。なお、これらのバインダー樹脂は何れか一種を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
電荷発生層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との配合比(重量)としては、バインダー樹脂100重量部に対する電荷発生物質の比率で、通常10重量部以上、好ましくは30重量部以上、また、通常1000重量部以下、好ましくは500重量部以下の範囲とする。電荷発生物質の比率が高過ぎる場合は、電荷発生物質の凝集等の課題により塗布液の安定性が低下する場合があり、一方、低過ぎる場合は感光体としての感度の低下を招く場合があることから、前記範囲で使用することが好ましい。
塗布液の作製に用いられる溶媒又は分散媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒;トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒;ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒;グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類;アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等の鎖状及び環状ケトン系溶媒;ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状及び環状エーテル系溶媒;アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒;n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物;リグロイン等の鉱油;水などが挙げられ、上述の下引き層を溶解しないものが好ましく用いられる。これらの溶媒又は分散媒は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
電荷発生物質を溶媒又は分散媒に分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の公知の分散方法を用いることが出来る。この際、電荷発生物質粒子を通常0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の粒子サイズに微細化することが有効である。
電荷発生層の膜厚は、通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは0.6μm以下の範囲とする。
積層型感光層の電荷輸送層は、溶剤にバインダー樹脂を溶解又は分散させるとともに、電荷輸送物質を分散させて塗布液を調製し、これを順積層型感光体の場合は電荷輸送層上、逆積層型感光体の場合は導電性支持体上(下引き層を設ける場合には下引き層上)に塗布し、電荷輸送物質の微粒子をバインダー樹脂によって結着することにより形成される。
バインダー樹脂としては、例えばブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は珪素試薬などで修飾されていてもよい。上記バインダー樹脂のうち、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂が特に好ましい。
また、バインダー樹脂は、何れか一種類を単独で用いてもよく、二種類以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いることもできる。
電荷輸送物質としては、公知の物質であれば特に限定されるものではなく、例えば、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、或いはこれらの化合物からなる基を主鎖若しくは側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等が挙げられる。これらの中で、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100重量部に対して通常20重量部以上であり、残留電位低減の観点から30重量部以上が好ましく、更に繰り返し使用時の安定性、電荷移動度の観点から、40重量部以下がより好ましい。一方で、感光層の熱安定性の観点から、通常は150重量部以下であり、電荷輸送物質とバインダー樹脂の相溶性の観点からは120重量部以下が好ましく、耐刷性の観点からは100重量部以下がより好ましく、耐傷性の観点からは80重量部以下がとりわけ好ましい。
溶媒又は分散媒の種類、並びに電荷輸送物質を溶媒又は分散媒に分散させる手法については、<積層型感光層の電荷発生層>の欄で説明した通りである。
電荷輸送層の膜厚は特に制限されないが、長寿命や画像安定性の観点、並びに高解像度の観点から、通常5μm以上、中でも10μm以上、また、通常50μm以下、中でも45μm以下、更には30μm以下の範囲とすることが好ましい。
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して得られる塗布液を、導電性支持体上(下引き層を設ける場合には下引き層上)に塗布、乾燥し、電荷発生物質及び電荷輸送物質の微粒子をバインダー樹脂によって結着することにより形成される。電荷発生物質としては、上記の<積層型感光層の電荷発生層>の欄で説明したものが用いられ、電荷輸送物質及びバインダー樹脂としては、上記の<積層型感光層の電荷輸送層>の欄で説明したものが用いられる。バインダー樹脂に対する電荷発生物質及び電荷輸送物質の比率も、それぞれ上述の<積層型感光層の電荷発生層>及び<積層型感光層の電荷輸送層>の欄で説明した通りである。
単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲で使用される。
なお、感光層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させるために周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などの添加物を含有させてもよい。
電子写真感光体の構成としては、以上説明した各層に加え、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、他の層を設けてもよい。
これらの感光体を構成する各層は、前記方法により得られた塗布液を、支持体上に公知の塗布方法を用い、各層ごとに塗布・乾燥工程を繰り返し、順次塗布していくことにより形成される。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
[合成例1]
特開平10−7925号公報に記載の「粗TiOPcの製造例」、「実施例1」の順に従って、β型オキシチタニルフタロシアニンを調製した(これを以下「合成例1のフタロシアニン材料」という場合がある。)。合成例1のフタロシアニン材料の粉末XRDスペクトルを図2に示す。また、合成例1のフタロシアニン材料中に含まれる塩素分を元素分析手法を用いて分析した結果、塩素含有量は検出下限以下の0.20重量%以下であった。また、特開2001−115054号公報に記載の<マススペクトル測定法>に従って、合成例1のフタロシアニン材料におけるオキシチタニルフタロシアニンとクロロオキシチタニルフタロシアニンとのピーク強度比を測定したところ、0.002であった。
特開2001−115054号公報に記載の「実施例4」の手法に従って、β型オキシチタニルフタロシアニンを調製した(これを以下「合成例2のフタロシアニン材料」という場合がある。)。合成例2のフタロシアニン材料の粉末XRDスペクトルを図3に示す。また、合成例2のフタロシアニン材料中に含有される塩素分を元素分析手法を用いて分析した結果、塩素含有量は0.37%であった。また、特開2001−115054号公報に記載の<マススペクトル測定法>に従って、合成例2のフタロシアニン材料におけるオキシチタニルフタロシアニンとクロロオキシチタニルフタロシアニンとのピーク強度比を測定したところ、0.032〜0.035であった。
合成例1のフタロシアニン材料(β型オキシチタニルフタロシアニン)50重量部を、−10℃以下に冷却した95重量%濃硫酸1250重量部に添加した。この時、溶液の内温が−5℃を超えないようにゆっくりと加えた。添加終了後、得られた溶液を−5℃以下で2時間撹拌した。撹拌後、溶液をガラスフィルターで濾過し、不溶分を濾別後、溶液を氷水12500重量部中に放出することにより、オキシチタニルフタロシアニンを析出させ、放出後1時間撹拌した。撹拌後、溶液を濾別し、得られたウェットケーキを再度、水2500重量部中で1時間洗浄し、濾過を行なった。この洗浄操作を、濾液のイオン伝導度が0.5mS/mになるまで繰り返すことにより、低結晶性オキシチタニルフタロシアニン(これを以下「合成例3のフタロシアニン材料」という場合がある。)のウェットケーキ(オキシチタニルフタロシアニン含有率11.0重量%)452重量部を得た。合成例3のフタロシアニン材料の粉末XRDスペクトルを図4に示す。
合成例3のフタロシアニン材料(低結晶性オキシチタニルフタロシアニン)のウェットケーキ33重量部を水90重量部に加え、室温で30分撹拌した。その後、2,4−ジクロロフルオロベンゼン13重量部を加え、更に室温で1時間撹拌した。撹拌後、水を分離し、メタノール80重量部を加え、室温で1時間撹拌洗浄した。洗浄後、濾別し、再度メタノール80重量部を用いて1時間撹拌洗浄、濾別し、真空乾燥機で加熱乾燥することにより、オキシチタニルフタロシアニン3.4重量部を得た(これを以下「合成例4のフタロシアニン材料」という場合がある。)。合成例4のフタロシアニン材料の粉末XRDスペクトルを図5に示す。
合成例4において使用した2,4−ジクロロフルオロベンゼンを、下記表2の合成例5〜7、比較合成例1〜4の欄に示す化合物にそれぞれ変更した以外は、合成例4と同様の操作を行なうことにより、オキシチタニルフタロシアニンを得た(これらを以下「合成例5〜7、比較合成例1〜4のフタロシアニン材料」という場合がある。)。合成例5〜7、比較合成例1〜4のフタロシアニン材料の粉末XRDスペクトルを、それぞれ図6〜12に示す。
合成例3において原料として使用した合成例1のフタロシアニン材料50重量部を、合成例2のフタロシアニン材料(β型オキシチタニルフタロシアニン)50重量部に変更した以外は、合成例3と同様の操作を行なうことにより、低結晶性オキシチタニルフタロシアニン(これを以下「合成例8のフタロシアニン材料」という場合がある。)のウェットケーキ(オキシチタニルフタロシアニン含有率10.4重量%)478重量部を得た。合成例8のフタロシアニン材料の粉末XRDスペクトルを図13に示す。
合成例8のフタロシアニン材料(低結晶性オキシチタニルフタロシアニン)のウェットケーキ33重量部を水90重量部に加え、室温で30分撹拌した。その後、2,4−ジクロロフルオロベンゼン13重量部を加え、更に室温で1時間撹拌した。撹拌後、水を分離し、メタノール80重量部を時間、室温で1時間撹拌洗浄した。洗浄後、濾別し、再度メタノール80重量部を用いて1時間撹拌洗浄、濾別し、真空乾燥機で加熱乾燥することにより、オキシチタニルフタロシアニン3.4重量部を得た(これを以下「合成例9のフタロシアニン材料」という場合がある。)。合成例9のフタロシアニン材料の粉末XRDスペクトルを図14に示す。
合成例9において使用した2,4−ジクロロフルオロベンゼンをオルトジクロロベンゼンに変更した以外は、合成例9と同様の操作を行なうことにより、オキシチタニルフタロシアニン3.5重量部を得た(これを以下「比較合成例5のフタロシアニン材料」という場合がある。)。比較合成例5のフタロシアニン材料の粉末XRDスペクトルを図15に示す。
合成例3において原料として用いた合成例1のフタロシアニン材料50重量部を、合成例1のフタロシアニン材料(β型オキシチタニルフタロシアニン)47.5重量部と無金属フタロシアニン(大日本インキ化学工業(株)社製「FastgenBlue8120BS」)2.5重量部との混合物に変更した以外は、合成例3と同様の操作を行うことにより、低結晶性フタロシアニン組成物(これを以下「合成例10のフタロシアニン材料」という場合がある。)のウェットケーキ(オキシチタニルフタロシアニン混晶含有率12.2重量%)410重量部を得た。合成例10のフタロシアニン材料の粉末XRDスペクトルを図16に示す。
合成例10のフタロシアニン材料(低結晶性フタロシアニン組成物)のウェットケーキ33重量部を水90重量部に加え、室温で30分撹拌した。その後、2,4−ジクロロフルオロベンゼン13重量部を加え、更に室温で1時間撹拌した。撹拌後、水を分離し、メタノール80重量部を添加し、室温で1時間撹拌洗浄した。洗浄後、濾別し、再度メタノール80重量部を用いて1時間撹拌洗浄、濾別し、真空乾燥機で加熱乾燥することにより、オキシチタニルフタロシアニンを含有する混晶(これを以下「合成例11のフタロシアニン材料」という場合がある。)3.4重量部を得た。合成例11のフタロシアニン材料の粉末XRDスペクトルを図17に示す。
合成例4において使用した2,4−ジクロロフルオロベンゼンを、下記表2の合成例12、比較合成例6の欄に示す化合物にそれぞれ変更した以外は、合成例11と同様の操作を行なうことにより、オキシチタニルフタロシアニンを含有する混晶を得た(これらを以下、それぞれ「合成例12、比較合成例6のフタロシアニン材料」という場合がある。)。合成例12、比較合成例6のフタロシアニン材料の粉末XRDスペクトルをそれぞれ図18、図19に示す。
合成例4〜7、9、11、12のフタロシアニン材料は、本発明の規定を満たす化合物(芳香環に直接結合するフッ素原子を有し、且つ、Hammett則による置換基定数σmが0.48以下である置換基を有する芳香族化合物)と接触させて得られたものである。また、図5〜10、14、15、17〜19から明らかなように、合成例4〜7、9、11、12及び比較合成例1、2、5、6のフタロシアニン材料は、CuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に主たる回折ピークを示すオキシチタニルフタロシアニン結晶であった。
[電子写真感光体作製方法]
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(厚み75μm)の表面にアルミニウム蒸着膜(厚み70nm)を形成した導電性支持体を用い、その導電性支持体の蒸着膜上に、以下に説明する下引き層用分散液をバーコーターにより、乾燥後の膜厚が1.25μm以下となるように塗布し、乾燥させて下引き層を形成した。
合成例4〜7、9、11、12、比較合成例1、2、5、6のフタロシアニン材料を用いて、上述の[電子写真感光体作製方法]に記載の手順に従い、電子写真感光体を作製した(これらを以下「実施例1〜7、比較例1〜4の電子写真感光体」という場合がある。)。各実施例及び各比較例の電子写真感光体と、その作製に用いたフタロシアニン材料との対応を下記表3に示す。
実施例1〜7、比較例1〜4の電子写真感光体を、電子写真学会標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、以下の手順に従って、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の評価を行なった。
2 帯電装置(帯電ローラ;帯電部)
3 露光装置(露光部)
4 現像装置(現像部)
5 転写装置
6 クリーニング装置(クリーニング部)
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙,媒体)
Claims (4)
- CuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に主たる回折ピークを示すフタロシアニン結晶であって、
芳香環に直接結合するフッ素原子を有し、且つ、Hammett則による置換基定数σmが0.48以下である置換基を有する芳香族化合物に、フタロシアニン結晶前駆体を接触させる工程を経て得られ、
該芳香族化合物が有する該置換基が、フッ素原子以外のハロゲン原子であり、
該フタロシアニン結晶がオキシチタニルフタロシアニンを含有する
ことを特徴とする、フタロシアニン結晶。 - 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、
該感光層に、請求項1記載のフタロシアニン結晶を含有する
ことを特徴とする、電子写真感光体。 - 請求項2記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体を画像形成装置に対して着脱可能に支持するカートリッジケースとを備えた
ことを特徴とする、電子写真感光体カートリッジ。 - 請求項2記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体を帯電させる帯電部と、
帯電した該電子写真感光体を露光させ静電潜像を形成する露光部と、
該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像部とを備えた
ことを特徴とする、画像形成装置。
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