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JP4905617B2 - 露光方法及びデバイス製造方法 - Google Patents

露光方法及びデバイス製造方法 Download PDF

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JP4905617B2
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  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、露光方法及びデバイス製造方法に係り、更に詳しくは、基板上の複数の区画領域を順次露光して各区画領域に所定のパターンを形成する露光方法、及び該露光方法を用いるデバイス製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子等のデバイスの製造工程では、ステップ・アンド・リピート方式、又はステップ・アンド・スキャン方式等の露光装置、ウエハプローバ、あるいはレーザリペア装置等が用いられている。これらの装置では、基板上に規則的(マトリックス状)に配列された複数のチップパターン領域(ショット領域)の各々を、基板の移動位置を規定する静止座標系(すなわちレーザ干渉計によって規定される直交座標系)内の所定の基準点(例えば、各種装置の加工処理点)に対して極めて精密に位置合わせ(アライメント)する必要がある。
【0003】
特に、露光装置では、マスク又はレチクル(以下、「レチクル」と総称する)に形成されたパターンの投影位置に対して基板(半導体ウエハやガラスプレート等)を位置合わせ(アライメント)するに際して、製造段階のチップでの不良品の発生による歩留りの低下を防止するため、その位置合わせ精度を常に高精度かつ安定に維持しておくことが望まれている。
【0004】
通常、露光工程では、ウエハ上に10層以上の回路パターン(レチクルパターン)を重ね合わせて転写するが、各層間での重ね合わせ精度が悪いと、回路上の特性に不都合が生じることがある。このような場合、チップが所期の特性を満足せず、最悪の場合にはそのチップが不良品となり、歩留りを低下させてしまう。そこで、露光工程では、ウエハ上の複数のショット領域の各々に予めアライメントマークを付設しておき、ステージ座標系上におけるそのマーク位置(座標値)を検出する。しかる後、このマーク位置情報と既知のレチクルパターンの位置情報(これは事前測定される)とに基づいてウエハ上の1つのショット領域をレチクルパターンに対して位置合わせ(位置決め)するウエハアライメントが行われる。
【0005】
ウエハアライメントには大別して2つの方式があり、1つはウエハ上のショット領域毎にそのアライメントマークを検出して位置合わせを行うダイ・バイ・ダイ(D/D)アライメント方式である。もう1つは、ウエハ上のいくつかのショット領域のみのアライメントマークを検出してショット領域の配列の規則性を求めることで、各ショット領域を位置合わせするグローバル・アライメント方式である。現在のところ、デバイス製造ラインではスループットとの兼ね合いから、主にグローバル・アライメント方式が使用されている。特に現在では、例えば特開昭61─44429号公報、特開昭62─84516号公報などに開示されるように、ウエハ上のショット領域の配列の規則性を統計的手法によって精密に特定するエンハンスト・グローバル・アライメント(EGA)方式が主流となっている。
【0006】
EGA方式とは、1枚のウエハにおいて予め特定ショット領域として選択された複数個(3個以上必要であり、通常7〜15個程度)のショット領域のみの位置座標を計測し、これらの計測値から統計演算処理(最小二乗法等)を用いてウエハ上の全てのショット領域の位置座標(ショット領域の配列)を算出した後、この算出したショット領域の配列に従ってウエハステージをステッピングさせていくものである。このEGA方式は計測時間が短くて済み、ランダムな計測誤差に対して平均化効果が期待できるという長所がある。
【0007】
ここで、EGA方式で行われている統計処理方法について簡単に説明する。ウエハ上のm(m≧3なる整数)個の特定ショット領域(「サンプルショット領域」又は「アライメントショット領域」とも呼ばれる)の設計上の配列座標を(Xn、Yn)(n=1、2、……、m)とし、設計上の配列座標からのずれ(ΔXn、ΔYn)について次式(1)で示されるような線形モデルを仮定する。
【0008】
【数1】
Figure 0004905617
【0009】
さらに、m個のサンプルショット領域の各々の実際の配列座標の設計上の配列座標からのずれ(計測値)を(Δxn 、Δyn )としたとき、このずれと上記線形モデルで仮定される設計上の配列座標からのずれとの残差の二乗和Eは次式(2)で表される。
【0010】
【数2】
Figure 0004905617
【0011】
そこで、この式を最小にするようなパラメータa、b、c、d、e、fを求めれば良い。EGA方式では、上記の如くして算出されたパラメータa〜fと設計上の配列座標とに基づいて、ウエハ上の全てのショット領域の配列座標が算出されることになる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
同一のデバイスの製造ラインでは、複数の露光装置(号機)間での重ね合わせ露光がしばしば行われる。このような場合、露光装置相互間のステージのグリッド誤差(各露光装置におけるウエハの移動位置を規定するステージ座標系相互間の誤差)が存在するため、重ね合わせ誤差が生じてしまう。また、仮に露光装置相互間でステージのグリッド誤差がない場合や、同一露光装置においても、エッチング、CVD(ケミカル・ベイパー・デポジション)、CMP(ケミカル・メカニカル・ポリッシング)などのプロセス処理工程を経た各層間における重ね合せでは、プロセス工程がショット領域の配列に歪みを与えるため重ね合わせ誤差が生じることがある。
【0013】
かかる場合に、重ね合わせ誤差(ショット領域の配列誤差)の要因であるウエハ上のショット領域の配列誤差変動が線形的な成分である場合には、前述したEGA方式のウエハアライメントにより除去することが可能であるが、非線形な成分である場合には、これを除去することが困難である。これは、前述の説明からも分かるように、EGA方式ではウエハ上のショット領域の配列誤差が線形であるものとして扱っているからである。
【0014】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、重ね合わせ精度を良好に維持した露光を行うことが可能な露光方法を提供することにある。
【0015】
本発明の第2の目的は、マイクロデバイスの生産性を向上させることができるデバイス製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、基板上の複数の区画領域を順次露光して各区画領域に所定のパターンを形成する露光方法であって、前記基板上の複数の特定区画領域の選択に関する条件を少なくとも含む前記基板に関連する少なくとも2種類の条件のそれぞれについて、特定基板上の複数の区画領域の各々について各区画領域に対応して設けられるマークを検出し、該検出結果を用いて個別の基準位置に対する位置ずれ量をそれぞれ求め、前記特定基板上の複数の特定区画領域に対応するマークを検出して得られる実測位置情報を用いて統計演算により前記各区画領域の前記位置情報を算出し、該位置情報と前記各区画領域の前記位置ずれ量とに基づいて、前記各区画領域の個別の基準位置に対する位置ずれ量の非線形成分を補正するための補正情報から成る少なくとも2種類の補正マップを、予め作成するマップ作成工程と;露光に先立って、特定の区画領域の選択情報を少なくとも含む指定された条件に対応する補正マップを選択する選択工程と;前記基板上の複数の特定区画領域それぞれに対応して設けられた複数のマークを検出して得られる実測位置情報に基づいて統計演算により前記各区画領域の所定点との位置合わせに用いられる位置情報を求め、該位置情報と前記選択された補正マップとに基づいて、前記基板を移動して前記各区画領域を露光する露光工程と;を含む露光方法である。
【0017】
ここで、「基板に関連する条件」とは、EGA方式などの基板アライメントに関するアライメントショット領域数、アライメントショット領域の配置などの他、例えば基板が経てきたプロセスは勿論、基準ウエハ等の基準基板を基準として基板のアライメントが行われる基準基板方式によるか、干渉計ミラーの曲がりによる直交度誤差等を補正しつつ干渉計基準で基板のアライメントが行われる干渉計基準方式によるか等の基板あるいは基板の処理に関連する全ての条件を含む。
【0018】
これによれば、前記基板上の複数の特定区画領域の選択に関する条件を少なくとも含む前記基板に関連する少なくとも2種類の条件のそれぞれについて、特定基板上の複数の区画領域の各々について各区画領域に対応して設けられるマークを検出し、該検出結果を用いて個別の基準位置に対する位置ずれ量をそれぞれ求め、前記特定基板上の複数の特定区画領域に対応するマークを検出して得られる実測位置情報を用いて統計演算により前記各区画領域の前記位置情報を算出し、該位置情報と前記各区画領域の前記位置ずれ量とに基づいて、前記各区画領域の個別の基準位置に対する位置ずれ量の非線形成分を補正するための補正情報から成る少なくとも2種類の補正マップを、予め作成する。
【0019】
ここで、特定基板上の複数のマークの配置(又はレイアウト)と複数の区画領域の配置(又はレイアウト)との間には、一定の関係があることは必要であるが、区画領域それぞれに対応してマークが設けられていることまでは必要でない。要は、複数のマークの検出結果に基づいて複数の区画領域の位置情報が得られれば良い。
【0020】
基板上の複数の区画領域各々の個別の基準位置(例えば設計値)に対する位置ずれ量の非線形成分は、特定基板上の複数のマークの検出結果に基づいて得られる特定基板上の複数の区画領域の位置情報と、前述したEGA方式のアライメントにより求めた特定基板上の複数の区画領域の位置情報との差に基づいて得ることができる。これは、前述の如く、EGA方式は、基板(この場合は特定基板)上の区画領域の配列誤差の線形成分を補正した位置情報を各区画領域の位置情報として算出するため、両者の差が、各区画領域の配列誤差、すなわち各区画領域の基準位置(設計値)からの位置ずれ量の非線形成分に他ならないからである。この場合、補正マップの作成は、基板の処理に関連する条件毎に行っても、露光とは無関係に予め行うので、露光の際のスループットに影響を与えない。
【0021】
そして、露光に先立って、基板に関する条件が、露光条件の1つとして指定されると、その指定された基板に関する条件に対応する補正マップを選択する。そして、基板上の複数の特定区画領域それぞれに対応して設けられた複数のマークを検出して得られる実測位置情報に基づいて統計演算により各区画領域の所定点との位置合わせに用いられる位置情報を求め、該位置情報と前記選択された補正マップとに基づいて、基板を移動して各区画領域を露光する。すなわち、上記の統計演算により得られる各区画領域の個別の基準位置からの位置ずれ量の線形成分を補正した各区画領域の所定点との位置合わせに用いられる位置情報を、選択した補正マップに含まれる対応する補正情報(複数の区画領域各々の個別の基準位置に対する位置ずれ量の非線形成分を補正するための補正情報)を用いて補正した位置情報を目標位置として基板が移動され、基板上の各区画領域の露光が行われる。従って、基板上の各区画領域に対して重ね合わせ誤差の殆どない高精度な露光が可能となる。
【0022】
従って、本発明によれば、スループットを極力低下させることなく重ね合わせ精度を良好に維持した露光を行うことが可能となる。
【0025】
上記請求項1に記載の露光方法において、特定基板は、プロセス基板であっても勿論良いが、請求項に記載の露光方法の如く、前記特定基板は、基準基板であることとしても良い。
【0026】
上記請求項1又は2に記載の各露光方法において、請求項に記載の露光方法の如く、前記露光工程では、前記基板上の露光対象の区画領域に、周辺の区画領域であって前記補正マップにその補正情報が含まれていない欠け領域が含まれている場合には、前記補正マップ中の前記欠け領域に隣接する複数の区画領域の補正情報を用いて、ガウス分布を仮定した重み付け平均演算により、前記欠け領域の補正情報を算出することとすることができる。
【0027】
請求項に記載の発明は、基板上の複数の区画領域を順次露光して各区画領域に所定のパターンを形成する露光方法であって、基準基板上の複数のマークを検出して各マークに対応するマーク領域の位置情報を計測する工程と;前記計測された位置情報を用いて統計演算により前記各マーク領域の設計値に対する位置ずれ量の線形成分が補正された計算上の位置情報を算出する工程と;前記計測された位置情報と前記計算上の位置情報とに基づいて、前記各マーク領域の設計値に対する位置ずれ量の非線形成分を補正するための補正情報を含む第1補正マップを作成する工程と;露光に先立って、指定された区画領域の配列に関する情報に基づいて、基板上の部分領域について非線形歪みの規則性や程度を所定の評価関数を用いて評価した評価結果に基づいて最適化された単一の補完関数と前記各マーク領域の補正情報とに基づいて、前記各区画領域の基準位置毎に、補完演算を行うことにより、前記第1補正マップを前記各区画領域の個別の基準位置からの位置ずれ量の非線形成分を補正するための補正情報を含む第2補正マップに変換する工程と;前記基板上の複数のマークを検出して得られる実測位置情報に基づいて統計演算により前記区画領域それぞれの所定点との位置合わせに用いられる位置情報を求め、前記位置情報と前記第2補正マップとに基づいて、前記基板を移動して前記各区画領域を露光する露光工程と;を含む露光方法である。
【0028】
これによれば、基準基板上の複数のマークを検出して各マークに対応するマーク領域の位置情報を計測し、この計測された位置情報を用いて統計演算により各マーク領域の設計値に対する位置ずれ量の線形成分が補正された計算上の位置情報を算出する。ここで、統計演算としては、前述したEGA方式で行われている統計処理と同様の演算を用いることができる。次いで、計測された位置情報と計算上の位置情報とに基づいて、各マーク領域の設計値に対する位置ずれ量の非線形成分を補正するための補正情報を含む第1補正マップを作成する。この場合、第1補正マップの作成は、露光とは無関係に予め行うことができるので、露光の際のスループットに影響を与えない。
【0029】
そして、露光に先立って、区画領域の配列に関する情報が露光条件の1つとして指定されると、その指定された情報に基づいて第1補正マップを、各区画領域の個別の基準位置からの位置ずれ量の非線形成分を補正するための補正情報を含む第2補正マップに変換する。この変換は、基板上の部分領域について非線形歪みの規則性や程度を所定の評価関数を用いて評価した評価結果に基づいて最適化された単一の補完関数と前記各マーク領域の補正情報とに基づいて、前記各区画領域の基準位置毎に、補完演算を行うことにより、行われる。次いで、基板上の複数のマークを検出して得られる実測位置情報に基づいて統計演算により区画領域それぞれの所定点との位置合わせに用いられる位置情報を求め、その位置情報と第2補正マップとに基づいて、基板を移動して各区画領域を露光する。すなわち、上記の実測位置情報に基づいて行われる統計演算により得られる各区画領域の個別の基準位置からの位置ずれ量の線形成分を補正した各区画領域の所定点との位置合わせに用いられる位置情報を、第2補正マップに含まれる対応する補正情報(各区画領域の個別の基準位置からの位置ずれ量の非線形成分を補正するための補正情報)を用いて補正した位置情報を目標位置として基板が移動され、基板上の各区画領域の露光が行われる。従って、基板上の各区画領域に対して重ね合わせ誤差の殆どない高精度な露光が可能となる。
【0030】
従って、本発明によれば、スループットを極力低下させることなく重ね合わせ精度を良好に維持した露光を行うことが可能となる。特に、本発明によれば、基準基板上のマークの検出結果に基づいて得られた補正情報により、最終的に基板上の各区画領域の所定点との位置合わせに用いられる位置情報が補正されるので、例えば同一のデバイス製造ラインで基準となる全ての露光装置を、基準基板を基準として重ね合わせ精度の向上を図ることができる。この場合、各露光装置における基板上の区画領域の配列に関する情報(ショットマップデータ)の如何に関わらず、複数の露光装置間の重ね合わせ露光を高精度に行うことが可能となる。
【0032】
請求項に記載の発明は、投影像の歪みを補正可能な露光装置を少なくとも1つ含む複数の露光装置(1001〜100N)を用いて複数枚の基板上の複数の区画領域を順次露光して各区画領域に所定のパターンをそれぞれ形成する露光方法であって、予め測定した前記基板と同一のプロセスを経た少なくとも1枚の特定基板についての重ね合わせ誤差情報を解析する解析工程と;前記解析結果に基づいて、前記特定基板上の各区画領域の位置ずれ量に異なる平行移動成分を含む区画領域間の誤差が支配的であるか否かを判断する第1判断工程と;前記第1判断工程において前記区画領域間の誤差が支配的であると判断された場合には、前記区画領域間の誤差が所定値を越える非線形成分を含むか否かを判断する第2判断工程と;前記第2判断工程において前記区画領域間の誤差が所定値を越える非線形成分を含まないと判断された場合に、前記任意の露光装置を用いて、前記基板上の複数の特定区画領域に対応するマークを検出して得られる実測位置情報を用いて統計演算により前記基板上の各区画領域の所定点との位置合わせに用いられる位置情報を算出し、該位置情報に基づいて基板を移動して前記各基板上の複数の区画領域を順次露光して各区画領域に前記パターンを形成する第1露光工程と;前記第2判断工程において前記区画領域間の誤差が所定値を越える非線形成分を含むと判断された場合に、前記区画領域間の誤差を補正した状態で基板を露光可能な露光装置を用いて前記各基板上の複数の区画領域を順次露光して各区画領域に前記パターンを形成する第2露光工程と;前記第1判断工程において前記区画領域間の誤差が支配的でないと判断された場合には、前記投影像の歪みを補正可能な露光装置の1つを選択し、該選択した露光装置を用いて前記各基板上の複数の区画領域を順次露光して各区画領域に前記パターンを形成する第3露光工程と;を含む露光方法である。
【0033】
これによれば、予め測定した露光対象の基板と同一のプロセスを経た少なくとも1枚の特定基板についての重ね合わせ誤差情報を解析し、その解析結果に基づいて、特定基板上の各区画領域の位置ずれ量に異なる平行移動成分を含む区画領域間の誤差が支配的であるか否かを判断する。そして、この判断の結果、区画領域間の誤差が支配的であると判断された場合には、さらに区画領域間の誤差が所定値を越える非線形成分を含むか否かを判断する。
【0034】
そして、判断の結果、区画領域間の誤差が所定値を越える非線形成分を含まないと判断された場合には、任意の露光装置を用いて、基板上の複数の特定区画領域に対応するマークを検出して得られる実測位置情報を用いて統計演算により前記基板上の各区画領域の所定点との位置合わせに用いられる位置情報を算出し、該位置情報に基づいて基板を移動して各基板上の複数の区画領域を順次露光して各区画領域にパターンを形成する。すなわち、基板上の区画領域間の誤差が非線形成分を含まない(線形成分のみを含む)場合には、例えば前述したEGA方式のアライメントと同様の統計演算により求めた各区画領域の所定点との位置合わせに用いられる位置情報に基づいて各基板を移動して露光を行うことにより、重ね合わせ誤差(区画領域の位置ずれ量の線形成分)を補正した状態で高精度な露光が可能となる。
【0035】
一方、上記判断の結果、前記区画領域間の誤差が所定値を越える非線形成分を含むと判断された場合には、区画領域間の誤差(線形成分のみならず非線形成分も)を補正した状態で基板を露光可能な露光装置を用いて各基板上の複数の区画領域を順次露光して各区画領域にパターンを形成する。この場合、重ね合わせ誤差を補正した状態で高精度な露光が可能となる。
【0036】
この一方、前述の判断の結果、区画領域間の誤差が支配的でないと判断された場合には、投影像の歪みを補正可能な露光装置の1つを選択し、該選択した露光装置を用いて各基板上の複数の区画領域を順次露光して各区画領域にパターンを形成する。すなわち、区画領域間の誤差が殆どない場合には、全ての区画領域に位置ずれ及び変形の少なくとも一方が一律に生じているので、投影像の歪を補正可能な露光装置を用いることにより、仮に各区画領域に非線形な変形が生じている場合であっても、重ね合わせ誤差を補正した状態で高精度な露光が可能となる。
【0037】
以上より、本発明によれば、露光対象の基板の部分的な変形などに影響を受けることなく、複数枚の基板に対し高精度な露光を行うことが可能となる。
【0038】
この場合において、請求項に記載の露光方法の如く、前記第2判断工程において前記区画領域間の誤差が非線形成分を含むと判断された場合に、前記区画領域間の誤差を補正した状態で基板を露光可能な任意の1つの露光装置を選択して露光を指示する選択工程と;該露光が指示された露光装置による露光対象の基板が属するロットを含む複数のロットにおける重ね合わせ誤差の大小を判断する第3判断工程と;を更に含む場合には、前記第2露光工程では、前記各基板上の複数の区画領域を順次露光して各区画領域に前記パターンを形成するに際し、前記判断の結果、ロット間の重ね合わせ誤差が大きいと判断された場合に、前記露光装置が、そのロットの先頭から所定数枚の基板については、前記基板上の複数のマークを検出して得られる実測位置情報を用いて統計演算により所定点との位置合わせに用いられる位置情報を算出するとともに、所定の関数を用いて前記各区画領域の所定の基準位置との位置ずれ量の非線形成分を算出し、前記算出された位置情報及び前記非線形成分に基づいて前記基板を移動し、残りの基板については、前記基板上の複数のマークを検出して得られる実測位置情報を用いて統計演算により所定点との位置合わせに用いられる位置情報を算出し、該位置情報と前記算出された非線形成分とに基づいて前記基板を移動し、前記判断の結果、ロット間の重ね合わせ誤差が大きくないと判断された場合には、ロット内の各基板について、基板上の複数のマークを検出して得られる実測位置情報を用いて統計演算により所定点との位置合わせに用いられる位置情報を算出するとともに、該位置情報と予め作成した基板上の複数の区画領域各々の個別の基準位置に対する位置ずれ量の非線形成分を補正するための補正情報から成る補正マップとに基づいて前記基板を移動することとすることができる。
【0039】
請求項に記載の発明は、複数の露光装置を用いて複数枚の基板上の複数の区画領域をそれぞれ露光して各区画領域にパターンを形成する露光方法において、前記基板を露光する露光装置の重ね合わせ誤差情報に基づき、前記基板上で区画領域間の誤差が支配的であるときには第1アライメントモードを選択し、かつ前記区画領域間の誤差が支配的でないときには前記第1アライメントモードと異なる第2アライメントモードを選択し、前記選択されたアライメントモードに基づいて、前記基板上の複数のマークをそれぞれ検出して得られる位置情報から前記各区画領域の位置情報を決定することを含み、前記区画領域間の誤差が支配的でないとき、前記区画領域内の誤差が所定値を超える非線形成分を含むか否かを判断し、該判断が否定されたときは前記第2アライメントモードを用いて前記基板を露光するとともに、前記判断が肯定されたときは前記区画領域内の誤差の非線形成分を補正可能な露光装置で前記基板の露光を行うことを特徴とする露光方法である。
【0040】
ここで、「区画領域間の誤差」とは、基板上で各区画領域の位置ずれ量に異なる平行移動成分を含むような基板上の誤差をいい、「区画領域内の誤差」とは基板上で各区画領域の位置ずれ量に同一の平行移動成分のみが含まれるかあるいは平行移動成分が含まなれない場合の基板上の誤差をいう。
【0041】
これによれば、基板を露光する露光装置の重ね合わせ誤差情報に基づき、前記基板上で区画領域間の誤差が支配的であるときには第1アライメントモードを選択し、かつ前記区画領域間の誤差が支配的でないときには前記第1アライメントモードと異なる第2アライメントモードを選択する。そして、選択されたアライメントモードに基づいて、基板上の複数のマークをそれぞれ検出して得られる位置情報から前記各区画領域の位置情報を決定する。
【0042】
すなわち、基板上で区画領域間の誤差が支配的であるときには、例えばその区画領域間の誤差を補正できる第1アライメントモードが選択され、例えば区画領域間の誤差が支配的でないときには区画領域内の誤差を補正可能な第2アライメントモードが選択され、いずれにしても選択されたアライメントモードに従って基板上の複数のマークがそれぞれ検出され、このマークの検出結果に基づいて各区画領域の位置情報が決定される。そして、この決定した位置情報に従って基板が移動され、基板上の複数の区画領域がそれぞれ露光され、各区画領域にパターンが形成される。これにより、前者の場合、区画領域内の誤差及び区画領域間の誤差を補正した高精度な重ね合わせ露光が可能となるとともに、後者の場合には区画領域内の誤差を補正高精度な重ね合わせ露光が可能となる。ここで、前記区画領域間の誤差が支配的でないとき、前記区画領域内の誤差が所定値を超える非線形成分を含むか否かを判断し、該判断が否定されたときは前記第2アライメントモードを用いて前記基板を露光するとともに、前記判断が肯定されたときは前記区画領域内の誤差の非線形成分を補正可能な露光装置で前記基板の露光を行う。従って、本発明によれば、露光対象の基板の部分的な変形などに影響を受けることなく、誤差の発生状況に応じたアライメントモードの選択及び高精度な重ね合わせ露光を行うことが可能となる。
【0043】
この場合において、請求項に記載の露光方法の如く、前記区画領域間の誤差が所定値を越える非線形成分を含むとき、前記基板又はこれと異なる基板上の複数のマークを検出して得られる位置情報に基づいて、前記各区画領域で決定された位置情報の補正に用いられる非線形成分を算出し、前記第1アライメントモードで前記各区画領域を露光するときに前記算出された非線形成分を用いることとすることができる。
【0045】
請求項に記載の発明は、リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、前記リソグラフィ工程では、請求項1〜のいずれか一項に記載の露光方法を用いて露光を行うことを特徴とするデバイス製造方法である。
【0046】
【発明の実施の形態】
≪第1の実施形態≫
図1には、本発明の第1の実施形態に係るリソグラフィシステム110の全体構成が概略的に示されている。
【0047】
このリソグラフィシステム110は、N台の露光装置1001、1002、……、100N、重ね合わせ測定器120、集中情報サーバ130、ターミナルサーバ140、及びホストコンピュータ150等を備えている。露光装置1001〜100N、重ね合わせ測定器120、集中情報サーバ130及びターミナルサーバ140は、ローカルエリアネットワーク(LAN)160を介して相互に接続されている。また、ホストコンピュータ150は、ターミナルサーバ140を介してLAN160に接続されている。すなわち、ハードウエア構成上では、露光装置100i(i=1〜N)、重ね合わせ測定器120、集中情報サーバ130、ターミナルサーバ140、及びホストコンピュータ150の相互間の通信経路が確保されている。
【0048】
露光装置1001〜100Nのそれぞれは、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(いわゆる「ステッパ」)であっても良いし、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(以下、「走査型露光装置」という)であっても良い。なお、以下の説明においては、露光装置1001〜100Nの全てが、投影像の歪み調整能力を有する走査型露光装置であるものとする。特に、露光装置1001は、ショット領域間の非線形誤差の補正機能(以下、「グリッド補正機能」とも呼ぶ)を有する走査型露光装置であるものとする。露光装置1001〜100Nの構成等については、後述する。
【0049】
前記重ね合わせ測定器120は、例えば、連続的に処理される多数ロット(1ロットは例えば25枚)のウエハについて、各ロットの先頭の数枚のウエハ、あるいはパイロットウエハ(テストウエハ)について重ね合わせ誤差測定を実行する。
【0050】
すなわち、上記のパイロットウエハなどは、プロセスに従って所定の露光装置により露光が行われ、既に一層以上のパターンが形成された状態で、次層(レイヤ)以降で使用される可能性がある露光装置、例えば各露光装置100iに投入され、それらの露光装置により実際にレチクルのパターン(このパターンには少なくともレジストレーション計測マーク(重ね合わせ誤差計測マーク)が含まれる)が転写され、その後に現像などの処理が行われて、重ね合わせ測定器120に投入される。そして、その重ね合わせ測定器120は、投入されたウエハ上に異なる層の露光の際に形成されたレジストレーション計測マーク像(例えばレジスト像)同士の重ね合わせ誤差(相対位置誤差)を計測し、更に所定の演算を行って重ね合わせ誤差情報(次層(レイヤ)以降で使用される可能性がある露光装置の重ね合わせ誤差情報)を算出する。すなわち、重ね合わせ測定器120は、このうようにして各パイロットウエハの重ね合わせ誤差情報を測定する。
【0051】
重ね合わせ測定器120の制御系(不図示)は、LAN160を介して、集中情報サーバ130との間で通信を行い、後述するデータの授受を行う。また、この重ね合わせ測定器120は、LAN160及びターミナルサーバ140を介して、ホストコンピュータ150との間で通信を行う。さらに、重ね合わせ測定器120は、LAN160を介して露光装置1001〜100Nとの間で通信を行うことも可能である。
【0052】
前記集中情報サーバ130は、大容量記憶装置とプロセッサとから構成される。大容量記憶装置には、ウエハWのロットに関する露光履歴データを記憶している。露光履歴データには、露光履歴データには、重ね合わせ測定器120で事前に計測された各ロットのウエハに対応するパイロットウエハなどについて計測された各露光装置100iの重ね合わせ誤差情報(以下、「ロットのウエハの重ね合わせ誤差情報」と呼ぶ)の他、各層の露光時における各露光装置100iの結像特性の調整(補正)パラメータなどが含まれている。
【0053】
本実施形態では、各ロットのウエハについて特定の層間の露光時における重ね合わせ誤差データは、前述の如く、重ね合わせ測定器120によりパイロットウエハ(テストウエハ)又は各ロットの先頭の数枚のウエハについて計測された重ね合わせ誤差情報に基づいて重ね合わせ測定器120の制御系(あるいはその他のコンピュータ)によって算出され、集中情報サーバ130の大容量記憶装置に格納される。
【0054】
前記ターミナルサーバ140は、LAN160における通信プロトコルとホストコンピュータ150の通信プロトコルとの相違を吸収するためのゲートウエイプロセッサとして構成される。このターミナルサーバ140の機能によって、ホストコンピュータ150と、LAN160に接続された各露光装置1001〜100N及び重ね合わせ測定器120との間の通信が可能となる。
【0055】
前記ホストコンピュータ150は大型のコンピュータで構成され、本実施形態では、少なくともリソグラフィ工程を含むウエハ処理工程の統括制御を行っている。
【0056】
図2には、グリッド補正機能を有する走査型露光装置である露光装置1001の概略構成が示されている。グリッド補正機能とは、ウエハ上に既に形成された複数のショット領域相互間の位置誤差に平行移動成分であってかつ非線形な誤差成分が含まれている場合に、これを補正する機能を意味する。
【0057】
露光装置1001は、照明系10、マスクとしてのレチクルRを保持するレチクルステージRST、投影光学系PL、基板としてのウエハWが搭載されるウエハステージWST、及び装置全体を統括制御する主制御系20等を備えている。
【0058】
前記照明系10は、例えば特開平10−112433号公報、特開平6-349701号公報などに開示されるように、光源、オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズ又はロッドインテグレータ(内面反射型インテグレータ)等を含む照度均一化光学系、リレーレンズ、可変NDフィルタ、レチクルブラインド、及びダイクロイックミラー等(いずれも不図示)を含んで構成されている。この照明系10では、回路パターン等が描かれたレチクルR上のレチクルブラインドで規定されたスリット状の照明領域部分を照明光ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとしては、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの遠紫外光、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、あるいはF2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光などが用いられる。照明光ILとして、超高圧水銀ランプからの紫外域の輝線(g線、i線等)を用いることも可能である。
【0059】
前記レチクルステージRST上には、レチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、例えば磁気浮上型の2次元リニアアクチュエータから成る不図示のレチクルステージ駆動部によって、レチクルRの位置決めのため、照明系10の光軸(後述する投影光学系PLの光軸AXに一致)に垂直なXY平面内で微少駆動可能であるとともに、所定の走査方向(ここではY軸方向とする)に指定された走査速度で駆動可能となっている。さらに、本実施形態では、上記磁気浮上型の2次元リニアアクチュエータとして、X駆動用コイル、Y駆動用コイルの他にZ駆動用コイルを含むものを用いているため、レチクルステージRSTをZ軸方向にも微小駆動可能な構成となっている。
【0060】
レチクルステージRSTのステージ移動面内の位置は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)16によって、移動鏡15を介して、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計16からのレチクルステージRSTの位置情報はステージ制御系19及びこれを介して主制御系20に供給される。ステージ制御系19では、主制御系20からの指示に応じ、レチクルステージRSTの位置情報に基づいてレチクルステージ駆動部(図示省略)を介してレチクルステージRSTを駆動制御する。
【0061】
レチクルRの上方には、一対のレチクルアライメント系22(但し、紙面奥側のレチクルアライメント系は不図示)が、配置されている。この一対のレチクルアライメント系22は、ここでは図示が省略されているが、照明光ILと同じ波長の照明光にて検出対象のマークを照明するための落射照明系と、その検出対象のマークの像を撮像するためのアライメント顕微鏡とをそれぞれ含んで構成されている。アライメント顕微鏡は結像光学系と撮像素子とを含んでおり、アライメント顕微鏡による撮像結果は主制御系20に供給されている。この場合、レチクルRからの検出光をレチクルアライメント系22に導くための不図示の偏向ミラーが移動自在に配置されており、露光シーケンスが開始されると、主制御系20からの指令により、不図示の駆動装置により偏向ミラーはそれぞれレチクルアライメント系22と一体的に照明光ILの光路外に退避される。
【0062】
前記投影光学系PLは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置され、その光軸AXの方向がZ軸方向とされている。投影光学系PLとしては、例えば両側テレセントリックな縮小系が用いられている。この投影光学系PLの投影倍率は例えば1/4、1/5あるいは1/6等である。このため、照明系10からの照明光ILによってレチクルRの照明領域が照明されると、このレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のレチクルRの回路パターンの縮小像(部分倒立像)が表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上に形成される。
【0063】
投影光学系PLとしては、図1に示されるように、複数枚、例えば10〜20枚程度の屈折光学素子(レンズ素子)13のみから成る屈折系が用いられている。この投影光学系PLを構成する複数枚のレンズ素子13のうち、物体面側(レチクルR側)の複数枚のレンズ素子は、不図示の駆動素子、例えばピエゾ素子などによって、Z軸方向(投影光学系PLの光軸方向)にシフト駆動、及びXY面に対する傾斜方向(すなわちX軸回りの回転方向及びY軸回りの回転方向)に駆動可能な可動レンズとなっている。そして、結像特性補正コントローラ48が、主制御系20からの指示に基づき、各駆動素子に対する印加電圧を独立して調整することにより、各可動レンズが個別に駆動され、投影光学系PLの種々の結像特性(倍率、ディストーション、非点収差、コマ収差、像面湾曲など)が調整されるようになっている。なお、結像特性補正コントローラ48は、光源を制御して照明光ILの中心波長をシフトさせることができ、可動レンズの移動と同様に中心波長のシフトにより結像特性を調整可能となっている。
【0064】
前記ウエハステージWSTは、投影光学系PLの図1における下方で、不図示のベース上に配置され、このウエハステージWST上には、ウエハホルダ25が載置されている。このウエハホルダ25上にウエハWが例えば真空吸着等によって固定されている。ウエハホルダ25は不図示の駆動部により、投影光学系PLの光軸に直交する面に対し、任意方向に傾斜可能で、かつ投影光学系PLの光軸AX方向(Z軸方向)にも微動可能に構成されている。また、このウエハホルダ25は光軸AX回りの微小回転動作も可能になっている。
【0065】
ウエハステージWSTは、走査方向(Y軸方向)の移動のみならず、ウエハW上の複数のショット領域を前記照明領域と共役な露光領域に位置させることができるように、走査方向に直交する非走査方向(X軸方向)にも移動可能に構成されており、ウエハW上の各ショット領域を走査(スキャン)露光する動作と、次のショット領域の露光のための加速開始位置まで移動する動作とを繰り返すステップ・アンド・スキャン動作を行う。このウエハステージWSTは例えばリニアモータ等を含むウエハステージ駆動部24によりXY2次元方向に駆動される。
【0066】
ウエハステージWSTのXY平面内での位置は、その上面に設けられた移動鏡17を介して、ウエハレーザ干渉計システム18によって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。ここで、実際には、ウエハステージWST上には、走査方向(Y方向)に直交する反射面を有するY移動鏡と非走査方向(X軸方向)に直交する反射面を有するX移動鏡とが設けられ、これに対応してウエハレーザ干渉計18もY移動鏡に垂直に干渉計ビームを照射するY干渉計と、X移動鏡に垂直に干渉計ビームを照射するX干渉計とが設けられているが、図1ではこれらが代表的に移動鏡17、ウエハレーザ干渉計システム18として示されているものである。すなわち、本実施形態では、ウエハステージWSTの移動位置を規定する静止座標系(直交座標系)が、ウエハレーザ干渉計システム18のY干渉計及びX干渉計の測長軸によって規定されている。以下においては、この静止座標系を「ステージ座標系」とも呼ぶ。なお、ウエハステージWSTの端面を鏡面加工して、前述した干渉計ビームの反射面を形成しても良い。
【0067】
ウエハステージWSTのステージ座標系上における位置情報(又は速度情報)はステージ制御系19、及びこれを介して主制御系20に供給される。ステージ制御系19では、主制御系20の指示に応じ、ウエハステージWSTの上記位置情報(又は速度情報)に基づき、ウエハステージ駆動部24を介してウエハステージWSTを制御する。
【0068】
また、ウエハステージWST上のウエハWの近傍には、基準マーク板FMが固定されている。この基準マーク板FMの表面は、ウエハWの表面と同じ高さに設定され、この表面には後述するアライメント系のいわゆるベースライン計測用の基準マーク、及びレチクルアライメント用の基準マークその他の基準マークが形成されている。
【0069】
投影光学系PLの側面には、オフアクシス方式のアライメント系ASが設けられている。このアライメント系ASとしては、ここでは、例えば特開平2−54103号公報に開示されているような(Field Image Alignment(FIA)系)のアライメントセンサが用いられている。このアライメント系ASは、所定の波長幅を有する照明光(例えば白色光)をウエハに照射し、ウエハ上のアライメントマークの像と、ウエハと共役な面内に配置された指標板上の指標マークの像とを、対物レンズ等によって、撮像素子(CCDカメラ等)の受光面上に結像して検出するものである。アライメント系ASはアライメントマーク(及び基準マーク板FM上の基準マーク)の撮像結果を、主制御系20へ向けて出力する。
【0070】
露光装置1001には、さらに、投影光学系PLの最良結像面に向けて複数のスリット像を形成するための結像光束を光軸AX方向に対して斜め方向より供給する不図示の照射光学系と、その結像光束のウエハWの表面での各反射光束をそれぞれスリットを介して受光する不図示の受光光学系とから成る斜入射方式の多点フォーカス検出系が、投影光学系PLを支える支持部(図示省略)に固定されている。この多点フォーカス検出系としては、例えば特開平5−190423号公報、特開平6−283403号公報などに開示されるものと同様の構成のものが用いられ、ステージ制御系19はこの多点フォーカス検出系からのウエハ位置情報に基づいてウエハホルダ25をZ軸方向及び傾斜方向に駆動する。
【0071】
主制御系20は、マイクロコンピュータ又はワークステーションを含んで構成され、装置の構成各部を統括して制御する。主制御系20は、前述したLAN160に接続されている。また、本実施形態では、主制御系20を構成するハードディスク等の記憶装置、あるいはRAM等のメモリには、予め作成された複数種類の補正マップがデータベースとして格納されている。
【0072】
その他の露光装置1002〜100Nも、主制御系のアルゴリズムの一部が異なる点を除き、露光装置1001と同様に構成されている。
【0073】
ここで、上記の補正マップの作成の手順について、簡単に説明する。この補正マップの作成手順は、大きくは、A.特定基板としての基準ウエハの作製、B.基準ウエハ上のマークの計測及びマーク計測結果に基づくデータベースの作成の手順で行われる。
【0074】
A.基準ウエハの作製
基準ウエハは、大略次の手順で作製される。
【0075】
まず、シリコン基板(ウエハ)のほぼ全面に、二酸化シリコン(又は窒化シリコン、あるいはポリシリコンなど)の薄膜を成膜し、次いでこの二酸化シリコン膜の全面に不図示のレジスト塗布装置(コータ)を用いて感光剤(レジスト)を塗布する。そして、このレジスト塗布後の基板を、基準となる露光装置(例えば、同一のデバイス製造ラインで用いられる最も信頼性の高いスキャニング・ステッパ)のウエハホルダ上にロードするとともに、不図示の基準ウエハ用レチクル(基準マークパターンを拡大したパターンが形成された特殊なレチクル)をレチクルステージ上にロードして、その基準ウエハ用レチクルのパターンをシリコン基板上に、ステップ・アンド・スキャン方式で縮小転写する。
【0076】
これにより、シリコン基板上の複数のショット領域(使用が予定される露光装置にロードされる実ウエハと同数のショット領域であることが望ましい)に基準マークパターン(実ウエハのアライメントに用いられるウエハアライメントマーク(サーチアライメントマーク、ファインアライメントマークなど))の像が転写形成される。
【0077】
次に、この露光が終了したシリコン基板をウエハホルダからアンロードし、不図示の現像装置(デベロッパ)を用いて現像する。これにより、シリコン基板表面に基準マークパターンのレジスト像が形成される。
【0078】
そして、この現像処理が終了したシリコン基板に、不図示のエッチング装置を用いて基板表面が露出するまでエッチング処理を施す。次いで、このエッチング処理が終了したシリコン基板表面に残存するレジストを例えばプラズマアッシング装置等を用いて除去する。
【0079】
これにより、シリコン基板上の二酸化シリコン膜に凹部として実ウエハと同一の配置の複数のショット領域それぞれに対応して基準マーク(ウエハアライメントマーク)が形成された基準ウエハが作製される。
【0080】
なお、基準ウエハとしては、上記のように、二酸化シリコン膜にパターンニングによってマークを形成するものに限らず、シリコン基板に凹部としてマークを形成した基準ウエハを用いても良い。このような基準ウエハは、次のようにして作製することができる。
【0081】
まず、シリコン基板のほぼ全面に、不図示のレジスト塗布装置(コータ)を用いて感光剤(レジスト)を塗布する。そして、このレジスト塗布後のシリコン基板を、前述と同様に、基準となる露光装置のウエハホルダ上にロードしてステップ・アンド・スキャン方式で基準ウエハ用レチクルのパターンを転写する。
【0082】
次に、この露光が終了したシリコン基板をウエハホルダからアンロードし、不図示の現像装置(デベロッパ)を用いて現像する。これにより、シリコン基板表面に基準マークパターンのレジスト像が形成される。そして、この現像処理が終了したシリコン基板に、不図示のエッチング装置を用いてシリコン基板が僅かに彫り込まれるまでエッチング処理を施す。次いで、このエッチング処理が終了した基板表面に残存するレジストを例えばプラズマアッシング装置等を用いて除去する。
【0083】
これにより、シリコン基板表面に凹部として、実ウエハと同一の配置の複数のショット領域それぞれに対応して基準マーク(ウエハアライメントマーク)が形成された基準ウエハが作製される。
【0084】
基準ウエハは、同一のデバイス製造ラインで用いられる複数の露光装置の精度管理用として使用されるので、その製造ラインで用いられる複数の露光装置が種々のショットマップデータ(ウエハ上の各ショット領域のサイズ及び配列のデータ)を使用する可能性がある場合には、それらのショットマップデータ毎に作製することが望ましい。
【0085】
B.データベースの作成
次に、上述のようにして作製された基準ウエハを用いて、補正マップから成るデータベースを作成する際の動作について、露光装置1001が備える主制御系20内のCPUの制御アルゴリズムを概略的に示す図3のフローチャートに沿って説明する。
【0086】
前提として、露光の際に用いられるプロセスプログラムファイルと呼ばれる露光条件設定ファイルと同様に、露光装置1001で使用される可能性があるアライメントショット領域(EGA方式のウエハアライメントの際に選択される複数の特定のショット領域(アライメントショット領域))に関する情報や、ショットマップデータに関する情報などが、予め入力され不図示のRAM内の所定領域に記憶されているものとする。
【0087】
まず、ステップ202において、不図示のウエハローダを用いて図1のウエハホルダ25上のウエハ(基準ウエハを含む)と新たな基準ウエハとを交換する。
但し、ウエハホルダ25上にウエハのない場合は、新たな基準ウエハをウエハホルダ25上に単にロードする。ここでは、上記のRAM内の所定領域に記憶されている第1番目のショットマップデータに対応するショット領域の配列を有する基準ウエハが新たな基準ウエハとしてウエハホルダ25上にロードされることになる。
【0088】
次のステップ204では、そのウエハホルダ25上にロードされた基準ウエハのサーチアライメントを行う。具体的には、例えば、基準ウエハ中心に関してほぼ対称に周辺部に位置する少なくとも2つのサーチアライメントマーク(以下、「サーチマーク」と略述する)をアライメント系ASを用いて検出する。これらの2つのサーチマークの検出は、それぞれのサーチマークがアライメント系ASの検出視野内に位置するように、ウエハステージWSTを順次位置決めしつつ、かつアライメント系ASの倍率を低倍率に設定して行われる。そして、アライメント系ASの検出結果(アライメント系ASの指標中心と各サーチマークとの相対位置関係)と各サーチマーク検出時のウエハ干渉計システム18の計測値とに基づいて2つのサーチマークのステージ座標系上の位置座標を求める。しかる後、2つのサーチマークの位置座標から基準ウエハの残留回転誤差を算出し、この残留回転誤差がほぼ零となるようにウエハホルダ25を微小回転させる。これにより、基準ウエハのサーチアライメントが終了する。
【0089】
次のステップ206では、基準ウエハ上の全てのショット領域のステージ座標系上における位置座標を計測する。具体的には、前述したサーチアライメント時における各サーチマークの位置座標の計測と同様にして、ウエハW上のファインアライメントマーク(ウエハマーク)のステージ座標系上における位置座標、すなわち、ショット領域の位置座標を求める。但し、ウエハマークの検出は、アライメント系ASの倍率を高倍率に設定して行う。
【0090】
次のステップ208では、RAM内の所定領域に記憶されている最初のアライメントショット領域の情報を選択して読み出す。
【0091】
次のステップ210では、上記ステップ206で計測したショット領域の位置座標の中から上記ステップ208で読み出したアライメントショット領域に対応する位置座標と、それぞれの設計上の位置座標とに基づいて特開昭61−44429号公報等に開示されるような最小自乗法を用いた統計演算(前述した式(2)のEGA演算)を行い、前述した式(1)の6つのパラメータa〜f(基準ウエハ上の各ショット領域の配列に関するローテーションθ、X,Y方向のスケーリングSx,Sy、直交度Ort、X,Y方向のオフセットOx、Oyの6つのパラメータに対応)を算出するとともに、この算出結果と各ショット領域の設計上の位置座標とに基づいて、全ショット領域の位置座標(配列座標)を算出し、その算出結果、すなわち基準ウエハ上の全ショット領域の位置座標を内部メモリの所定領域に記憶する。
【0092】
次のステップ212では、基準ウエハ上の全てのショット領域について、位置ずれ量の線形成分と非線形成分とを分離する。具体的には、上記ステップ210で算出した各ショット領域の位置座標とそれぞれの設計上の位置座標との差を位置ずれ量の線形成分として算出するとともに、前述したステップ206で実際に計測した全てのショット領域の位置座標とそれぞれの設計上の位置座標との差から前記線形成分を差し引いた残差を位置ずれ量の非線形成分として算出する。
【0093】
次のステップ214では、上記ステップ212で算出した非線形成分を各ショット領域の配列ずれを補正する補正情報として含む、その基準ウエハ(ここでは、第1番目の基準ウエハ)に対応するショットマップデータ及び上記ステップ208で選択したアライメントショット領域に対応する補正マップを作成する。
【0094】
次のステップ216では、RAM内の所定領域に記憶されている全てのアライメントショット領域に対応する補正マップを作成したか否かを判断し、この判断が否定された場合には、ステップ218に進んでRAM内の所定領域に記憶されている次のアライメントショット領域の情報を選択して読み出す。以後、上記ステップ210以下の処理を繰り返す。このようにして、第1番目の基準ウエハに対応するショットマップデータに関する予定される全てのアライメントショット領域に対応する補正マップの作成が完了すると、ステップ216の判断が肯定されてステップ220に進む。
【0095】
ステップ220では、RAM内の所定領域に記憶されている全てのショットマップデータに関する情報に基づいて、予定数の基準ウエハについての計測が終了したか否かを判断する。そして、この判断が否定された場合には、ステップ202に戻り、基準ウエハを次の基準ウエハに交換した後、上記と同様の処理判断を繰り返す。
【0096】
このようにして、予定していた全ての基準ウエハ(すなわち、全ての種類のショットマップデータ)に関して、予定していた全てのアライメントショット領域の選択時に対応する補正マップの作成が終了すると、ステップ220の判断が肯定され、本ルーチンの一連の処理を終了する。これにより、RAM内には、露光装置1001が使用する可能性があるショットマップデータとアライメントショット領域の選択との全ての組み合わせについて、各ショット領域の個別の基準位置(例えば設計位置)からの位置ずれ量の非線形成分を補正するための補正情報から成る補正マップがデータベースとして格納される。なお、ステップ212では、ステップ206で計測した位置座標と設計上の位置座標とステップ210で算出した位置座標(計算値)とを用いて各ショット領域の位置ずれ量の線形成分と非線形成分とを分離したが、線形成分と非線形成分とを分離することなく、非線形成分のみを求めても良い。この場合には、ステップ206で計測した位置座標とステップ210で算出した位置座標との差を非線形成分とすれば良い。また、ステップ204のサーチアライメントはウエハWの回転誤差が許容範囲内であるときなどは行わなくても良い。
【0097】
次に、本実施形態のリソグラフィシステム110によるウエハの露光処理のアルゴリズムを、図4〜図9に基づいて説明する。
【0098】
図4には、リソグラフィシステム110によるウエハの露光処理に関する全体的なアルゴリズムが概略的に示されている。
【0099】
なお、図4に示される露光処理のアルゴリズムの実行の前提として、露光対象となるウエハWは、既に1層以上の露光が行われたものであり、また、ウエハWの露光履歴データなどは集中情報サーバ130に記憶されているものとする。また、集中情報サーバ130には、重ね合わせ計測器120で計測された露光対象のロットのウエハWと同一のプロセスを経たパイロットウエハの重ね合わせ誤差情報も格納されているものとする。
【0100】
まず、ステップ242において、ホストコンピュータ150は、露光対象ロットのウエハの重ね合わせ誤差情報を、集中情報サーバ130から読み出し、解析する。
【0101】
次のステップ244において、ホストコンピュータ150は、上記の解析の結果、そのロットのウエハWでは、ショット間誤差が支配的であるか否かを判断する。ここで、ショット間誤差とは、ウエハW上に既に形成された複数のショット領域相互間の位置誤差に平行移動成分が含まれるような場合を意味する。従って、このステップ244は、ウエハW上のショット領域相互間の位置誤差が、ウエハ熱膨張、ステージグリッドの号機間(露光装置間)差及びプロセスに起因する変形成分のいずれも殆ど含まない場合に否定され、その他の場合に肯定されることとなる。
【0102】
そして、このステップ244における判断が肯定された場合には、ステップ256に移行する。このステップ256では、ホストコンピュータ150は、ショット間誤差は所定値を越える非線形成分を含むか否かを判断する。
【0103】
そして、ステップ256における判断が肯定された場合には、ステップ262に進む。このステップ262では、ホストコンピュータ150は、グリッド補正機能を有する露光装置(本実施形態では露光装置1001)を選択して露光を指示する。このとき、ホストコンピュータ150は、露光条件の設定の指示も併せて行う。
【0104】
次のステップ264では、露光装置1001の主制御系20がLAN160を介して集中情報サーバ130にその露光対象ロットを中心とする前後の複数ロットについての自装置に関するロットのウエハの重ね合わせ誤差情報を問い合わせる。そして、次のステップ266において、主制御系20は、上記の問い合わせの回答として、集中情報サーバ130から入手した複数ロットについての重ね合わせ誤差情報に基づいて、連続するロット間の重ね合わせ誤差を所定の閾値と比較して重ね合わせ誤差が大きいか否かを判断し、この判断が肯定された場合には、第1のグリッド補正機能を用いて重ね合わせ誤差を補正して、露光を行うサブルーチン268に進む。
【0105】
このサブルーチン268では、露光装置1001により、露光対象のロットのウエハWに対して次のようにして露光処理が行われる。
【0106】
図5には、サブルーチン268において、同一ロット内の複数枚(例えば25枚)のウエハWに対して第2層目(セカンドレイヤ)以降の層の露光処理を行う場合の主制御系20内のCPUの制御アルゴリズムが示されている。以下、サブルーチン268において行われる処理について、図5のフローチャートに沿ってかつ適宜他の図面を参照しつつ説明する。
【0107】
前提として、ロット内の全てのウエハは同一条件、同一工程で各種処理が施されているものとする。さらに、前提として、後述するロット内のウエハ番号(m)を示す不図示のカウンタのカウント値は「1」に初期設定されている(m←1)ものとする。
【0108】
まず、サブルーチン301において、所定の準備作業を行う。このサブルーチン301では、図6のステップ326において、上記ステップ262においてホストコンピュータ150から露光指示とともに与えられた露光条件の設定指示情報に対応するプロセスプログラムファイル(露光条件の設定ファイル)を選択して、これに従って露光条件の設定を行う。
【0109】
次のステップ328では、不図示のレチクルローダを用いてレチクルステージRST上にレチクルRをロードする。
【0110】
次のステップ330では、レチクルアライメント及びアライメント系ASのベースライン計測を行う。具体的には、主制御系20では、ウエハステージ駆動部24を介してウエハステージWST上の基準マーク板FMを投影光学系PLの直下に位置決めし、レチクルアライメント系22を用いてレチクルR上の一対のレチクルアライメントマークと基準マーク板FM上の前記一対のレチクルアライメントマークにそれぞれ対応するレチクルアライメント用の一対の第1基準マークとの相対位置を検出した後、ウエハステージWSTを所定量、例えばベースライン量の設計値だけXY面内で移動して、アライメント系ASを用いて基準マーク板FM上のベースライン計測用の第2基準マークを検出する。この場合、主制御系20では、このとき得られるアライメント系ASの検出中心と第2基準マークの相対位置関係及び先に計測したレチクルアライメントマークと基準マーク板FM上の第1基準マークとの相対位置と、それぞれに対応するウエハ干渉計システム18の計測値とに基づいて、ベースライン量(レチクルパターンの投影位置とアライメント系ASの検出中心(指標中心)との相対位置関係)を計測する。
【0111】
このようにして、レチクルアライメント及びアライメント系ASのベースライン計測が終了すると、図5のステップ302にリターンする。
【0112】
ステップ302では、不図示のウエハローダを用いて図1のウエハホルダ25上の露光処理済みのウエハ(便宜上「W’」と呼ぶ)と未露光のウエハWとを交換する。但し、ウエハホルダ25上にウエハW’のない場合は、未露光のウエハWをウエハホルダ25上に単にロードする。
【0113】
次のステップ304では、そのウエハホルダ25上にロードされたウエハWのサーチアライメントを行う。具体的には、例えば、ウエハW中心に関してほぼ対称に周辺部に位置する少なくとも2つのサーチアライメントマーク(以下、「サーチマーク」と略述する)をアライメント系ASを用いて検出する。これらの2つのサーチマークの検出は、それぞれのサーチマークがアライメント系ASの検出視野内に位置するように、ウエハステージWSTを順次位置決めしつつ、かつアライメント系ASの倍率を低倍率に設定して行われる。そして、アライメント系ASの検出結果(アライメント系ASの指標中心と各サーチマークとの相対位置関係)と各サーチマーク検出時のウエハ干渉計システム18の計測値とに基づいて2つのサーチマークのステージ座標系上の位置座標を求める。しかる後、2つのマークの位置座標からウエハW残留回転誤差を算出し、この残留回転誤差がほぼ零となるようにウエハホルダ25を微小回転させる。これにより、ウエハWのサーチアライメントが終了する。
【0114】
次のステップ306では、前述したカウンタのカウント値mが、所定の値n以上であるか否かを判断することにより、ウエハホルダ25(ウエハステージWST)上のウエハWが、ロット内の第n枚目以降のウエハであるか否かを判断する。ここでは、所定の値nは2以上で25以下の任意の整数に予め設定される。以下においては、説明の便宜上から、n=2であるものとして説明を行う。この場合、ウエハWはロット先頭(第1枚目)のウエハであるから、初期設定によりm=1となっているので、ステップ306の判断は否定され、次のステップ308に進む。
【0115】
ステップ308では、ウエハW上の全てのショット領域のステージ座標系上における位置座標を計測する。具体的には、前述したサーチアライメント時における各サーチマークの位置座標の計測と同様にして、ウエハW上のウエハアライメントマーク(ウエハマーク)のステージ座標系上における位置座標、すなわち、ショット領域の位置座標を求める。但し、ウエハマークの検出は、アライメント系ASの倍率を高倍率に設定して行う。
【0116】
次のステップ310では、上記ステップ308で計測したショット領域の位置座標とそれぞれの設計上の位置座標とに基づいて特開昭61−44429号公報等に開示されるような最小自乗法を用いた統計演算(前述した式(2)のEGA演算)を行い、前述した式(1)の6つのパラメータa〜f(ウエハW上の各ショット領域の配列に関するローテーションθ、X,Y方向のスケーリングSx,Sy、直交度Ort、X,Y方向のオフセットOx、Oyの6つのパラメータに対応)を算出するとともに、この算出結果とショット領域の設計上の位置座標とに基づいて、全ショット領域の位置座標(配列座標)を算出し、その算出結果、すなわちウエハW上の全ショット領域の位置座標を内部メモリの所定領域に記憶する。
【0117】
次のステップ312では、ウエハW上の全てのショット領域について、位置ずれ量の線形成分と非線形成分とを分離する。具体的には、上記ステップ310で算出した各ショット領域の位置座標とそれぞれの設計上の位置座標との差を位置ずれ量の線形成分として算出するとともに、前述したステップ308で実際に計測した全てのショット領域の位置座標とそれぞれの設計上の位置座標との差から前記線形成分を差し引いた残差を非線形成分として算出する。
【0118】
次のステップ314では、上記ステップ312の処理中に算出した全てのショット領域の位置座標(実測値)とそれぞれの設計上の位置座標との差である位置ずれ量と、所定の評価関数とに基づいて、ウエハWの非線形歪みを評価し、この評価結果に基づいて補完関数(位置ずれ量(配列ずれ)の非線形成分を表現する関数)を決定する。
【0119】
以下、このステップ314の処理について、図7及び図8を参照して詳述する。
【0120】
上記のウエハWの非線形歪み、すなわち非線形成分の規則性及びその度合いを評価するための評価関数としては、例えば次式(3)で示される評価関数W1(s)が用いられる。
【0121】
【数3】
Figure 0004905617
【0122】
図7には、上式(3)の評価関数の意味内容を説明するためのウエハWの平面図が示されている。図7において、ウエハW上には複数の区画領域としてのショット領域SA(総ショット数N)がマトリクス状配置で形成されている。各ショット領域内に矢印で示されるベクトルrk(k=1、2、……、i、……N)は、各ショット領域の位置ずれ量(配列ずれ)を示すベクトルである。
【0123】
上式(3)において、NはウエハW内のショット領域の総数を示し、kはそれぞれのショット領域のショット番号を示す。また、sは、図7に示される着目するショット領域SAkの中心を中心とする円の半径を示し、iは、着目するk番目のショット領域から半径sの円内に存在するショット領域のショット番号を示す。また、式(3)中のi∈sが付されたΣは、着目するk番目のショット領域SAkから半径sの円内に存在する全てのショット領域についての総和をとることを意味する。
【0124】
いま、上式(3)の右辺のかっこ内部分の関数を次式(4)のように定義する。
【0125】
【数4】
Figure 0004905617
【0126】
上式(4)の関数fk(s)の意味するところは、着目するショット領域の位置ずれベクトルrk(第1ベクトル)と、その周囲(半径sの円内)のショット領域における位置ずれベクトルriが成す角度をθikとした場合のcosθikの平均値である。従って、この関数fk(s)の値が1ならば、半径sの円内の全てのショット領域における位置ずれベクトルは、全て同じ方向を向いていることになる。0ならば、半径sの円内の全てのショット領域における位置ずれベクトルはお互いに全くランダムな方向を向いているということになる。すなわち、関数fk(s)は、着目するショット領域の位置ずれベクトルrkとその周囲の複数のショット領域の各位置ずれベクトルriとの方向に関する相関を求めるための関数であり、これはウエハW上の部分領域について非線形歪みの規則性や程度を評価するための評価関数である。
【0127】
従って、式(3)の評価関数W1(s)は、着目するショット領域SAkをショット領域SA1からSANに順次変更した際の関数fk(s)の加算平均に他ならない。
【0128】
図8には、図7に示されるウエハWに対応する具体的な評価関数W1(s)の一例が示されている。この図8から明らかなように、評価関数W1(s)によると、sの値に応じてW1(s)の値が変化するので、経験則に頼ることなく、ウエハWの非線形歪みの規則性や程度を評価することができ、この評価結果を用いることにより、次のようにして、位置ずれ量(配列ずれ)の非線形成分を表現する補完関数を決定することができる。
【0129】
まず、補完関数として、例えば次式(5)、(6)でそれぞれ示されるようなフーリエ級数展開された関数を定義する。
【0130】
【数5】
Figure 0004905617
【0131】
【数6】
Figure 0004905617
【0132】
上式(5)において、Apq、Bpq、Cpq、Dpqは、フーリエ級数係数であり、また、δx(x,y)は、座標(x,y)のショット領域の位置ずれ量(配列ずれ)の非線形成分のX成分(補完値、すなわち補正値)を示す。また、Δx(x,y)は、前述したステップ312で算出された座標(x,y)のショット領域の位置ずれ量(配列ずれ)の非線形成分のX成分である。
【0133】
同様に、上式(6)において、Apq’、Bpq’、Cpq’、Dpq’は、フーリエ級数係数であり、また、δy(x,y)は、座標(x,y)のショット領域の位置ずれ量(配列ずれ)の非線形成分のY成分(補完値、すなわち補正値)を示す。また、Δy(x,y)は、前述したステップ312で算出された座標(x,y)のショット領域の位置ずれ量(配列ずれ)の非線形成分のY成分である。また、式(5)、(6)において、DはウエハWの直径を示す。
【0134】
上式(5)、(6)の関数では、ショット領域の位置ずれ量(配列ずれ)の変動がウエハの直径当たり何周期存在するかを決定するパラメータp、qの最大値pmax=P、qmax=Qの決定が重要である。
【0135】
その理由は、次の通りである。すなわち、今、ウエハWの全ショット領域について得られたショット領域の配列ずれの非線形成分を上式(5)、(6)で展開することを考える。この場合において、ショット領域の位置ずれ量(配列ずれ)の変動がショット領域毎に生じているものとして、パラメータp、qの最大値pmax=P、qmax=Qを1周期がショットピッチとなる場合に相当する最大値にした場合に、いずれかのショット領域として、アライメント誤差が他のショット領域に比べて大きい所謂「跳びショット」が含まれている場合を考える。このような跳びショットは、ウエハマークの崩れ等に起因する計測エラー、又はウエハ裏面の異物等に起因する局所的な非線形歪みにより発生するものである。このような場合、その跳びショットの計測結果までも含んで補完関数で表現してしまうことになる。これを防ぐためには、P,Qを1周期がショットピッチとなる場合に相当する上述した最大値よりも小さな値にする必要がある。すなわち、跳びショットの計測結果などに起因する高周波成分は除去し、最適な低周波成分のみを補完関数で表現することが望ましい。
【0136】
そこで、本実施形態では、前述した式(3)の評価関数W1(s)を用いて、パラメータp、qの最大値pmax=P、qmax=Qを決定することとした。このようにすると、仮に、跳びショットが存在したとしても、その跳びショットと周囲のショット領域との間には相関は殆どない。従って、その跳びショットの計測結果は、式(3)で示されるW1(s)の値を増加させる要因にはならないので、結果的に式(3)を用いることにより跳びショットの影響を低減あるいは除去することが可能になる。すなわち、図8において、例えばW1(s)>0.7であるような半径s内の領域を互いに相関がある領域とみなし、その領域を1つの補完値で表現することを考えると、図8より、そのようなsはs=3である。P,Qはこの値s=3、及びウエハの直径Dを用いて次のように書くことができる。
【0137】
P=D/s=D/3,Q=D/s=D/3 ……(7)
【0138】
これにより、最適なP,Qを決定することができ、これにより式(5)、(6)の補完関数を決定することができる。
【0139】
次のステップ318では、上述のようにして決定した式(5)、(6)の補完関数に、ステップ312で算出された座標(x,y)のショット領域の位置ずれ量(配列ずれ)の非線形成分のX成分Δx(x,y)、Y成分Δy(x,y)を、それぞれ代入して、演算を行うことにより、ウエハW上の全ショット領域の配列ずれの非線形成分のX成分(補完値、すなわち補正値)及びY成分(補完値、すなわち補正値)を算出した後、ステップ322に進む。
【0140】
ステップ322では、前述した内部メモリ内の所定領域に記憶された全ショット領域の配列座標と、それぞれのショット領域について上記ステップ318で算出された位置ずれ量の非線形成分の補正値とに基づいて、各ショット領域について位置ずれ量(線形成分及び非線形線分)が補正された重ね合わせ補正位置を算出するとともに、その重ね合わせ補正位置のデータと、予め計測したベースライン量とに基づいて、ウエハW上の各ショット領域の露光のための加速開始位置(走査開始位置)にウエハWを順次ステッピングさせる動作と、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとを走査方向に同期移動させつつレチクルパターンをウエハ上に転写する動作とを、繰り返して、ステップ・アンド・スキャン方式による露光動作を行う。これにより、ロット先頭(ロット内の第1枚目)のウエハWに対する露光処理が終了する。
【0141】
次のステップ324では、前述したカウンタのカウント値m>24が成立するか否かを判断することにより、ロット内の全てのウエハの露光が終了したか否かを判断する。ここでは、m=1であるから、この判断は否定され、ステップ325に進んで、カウンタのカウント値mをインクリメント(m←m+1)した後、ステップ302に戻る。
【0142】
ステップ302において、不図示のウエハローダを用いて図2のウエハホルダ25上の露光処理済みのロット先頭のウエハとロット内の第2枚目のウエハWとを交換する。
【0143】
次のステップ304では、前述と同様にして、ウエハホルダ25上にロードされたウエハW(この場合、ロット内の第2枚目のウエハ)のサーチアライメントを行う。
【0144】
次のステップ306では、前述したカウンタのカウント値mが、所定の値n=2以上か否かを判断することにより、ウエハホルダ25(ウエハステージWST)上のウエハWが、ロット内の第n=2枚目以降のウエハであるか否かを判断する。この場合、ウエハWはロット内の第2枚目のウエハであるから、m=2となっているので、ステップ306の判断は肯定され、ステップ320に移行する。
【0145】
ステップ320では、通常の8点EGAにより、ウエハW上の全ショット領域位置座標を算出する。より具体的には、前述と同様にアライメント系ASを用いて、ウエハW上の予め選択された8つのショット領域(サンプルショット領域、すなわちアライメントショット領域)に付設されたウエハマークを計測し、それらのサンプルショットのステージ座標系上における位置座標を求める。そして、その求めたサンプルショットの位置座標とそれぞれの設計上の位置座標とに基づいて特開昭61−44429号公報等に開示されるような最小自乗法を用いた統計演算(前述した式(2)のEGA演算)を行い、前述した式(1)の6つのパラメータを算出するとともに、この算出結果とショット領域の設計上の位置座標とに基づいて、全ショット領域の位置座標(配列座標)を算出する。そして、その算出結果を内部メモリの所定領域に記憶した後、ステップ322に進む。
【0146】
ステップ322では、前述と同様にして、ステップ・アンド・スキャン方式により、ロット内の第2枚目のウエハWに対する露光処理が行われる。この際、各ショット領域の露光の際の走査開始位置(加速開始位置)へのウエハWのステッピングに際しては、内部メモリ内の所定領域に記憶された全ショット領域の配列座標と、それぞれのショット領域について先にステップ318で算出された位置ずれ量の非線形成分の補正値とに基づいて、各ショット領域について位置ずれ量(線形成分及び非線形成分)が補正された重ね合わせ補正位置が算出される。
【0147】
上記のようにして、ロット内の第2枚目のウエハWの露光が終了すると、ステップ324に進み、ロット内の全てのウエハの露光が終了したか否かを判断するが、ここにおける判断は否定され、ステップ302に戻って、以降、ロット内の全てのウエハの露光が終了するまで、上記ステップ302〜ステップ324の処理、判断が繰り返し行われる。
【0148】
そして、ロット内の全てのウエハの露光が終了し、ステップ324の判断が肯定されると、図5のサブルーチンの処理を終了し図4に戻り、一連の露光処理を終了する。
【0149】
この一方、上記ステップ266における判断が否定された場合には、第2のグリッド補正機能を用いて重ね合わせ誤差を補正して、露光を行うサブルーチン270に移行する。
【0150】
このサブルーチン270では、露光装置1001により、露光対象のロットのウエハWに対して次のようにして露光処理が行われる。
【0151】
図9には、サブルーチン270において、同一ロット内の複数枚(例えば25枚)のウエハWに対して第2層目(セカンドレイヤ)以降の層の露光処理を行う場合の主制御系20内のCPUの制御アルゴリズムが示されている。以下、サブルーチン270において行われる処理について、図9のフローチャートに沿ってかつ適宜他の図面を参照しつつ説明する。
【0152】
前提として、ロット内の全てのウエハは同一条件、同一工程で各種処理が施されているものとする。
【0153】
まず、サブルーチン331において、前述したサブルーチン301と同様の手順で、所定の準備作業を行った後、ステップ332に進む。このステップ332では、上記ステップ262においてホストコンピュータ150から露光指示とともに与えられた露光条件の設定指示情報に基づいて、上記の所定の準備作業中に選択したプロセスプログラムファイル内に含まれるショットマップデータ及びアライメントショット領域の選択情報などのショットデータに対応する補正マップをRAM内のデータベースから選択的に読み出して内部メモリに一時的に記憶する。
【0154】
次のステップ334では、不図示のウエハローダを用いて図1のウエハホルダ25上の露光処理済みのウエハ(便宜上「W’」と呼ぶ)と未露光のウエハWとを交換する。但し、ウエハホルダ25上にウエハW’のない場合は、未露光のウエハWをウエハホルダ25上に単にロードする。
【0155】
次のステップ336では、そのウエハホルダ25上にロードされたウエハWのサーチアライメントを前述と同様の手順で行う。
【0156】
次のステップ338では、ショットマップデータ及びアライメントショット領域の選択情報などのショットデータに従って、EGA方式のウエハアライメントを前述と同様にして行い、ウエハW上の全ショット領域の位置座標を算出し、内部メモリの所定領域に記憶する。
【0157】
次のステップ340では、前述した内部メモリ内の所定領域に記憶された全ショット領域の配列座標と、内部メモリ内に一時的に格納された補正マップ内のそれぞれのショット領域についての位置ずれ量の非線形成分の補正値(補正情報)とに基づいて、各ショット領域について位置ずれ量(線形成分及び非線形成分)が補正された重ね合わせ補正位置を算出するとともに、その重ね合わせ補正位置のデータと、予め計測したベースライン量とに基づいて、ウエハW上の各ショット領域に対する露光のための走査開始位置(加速開始位置)にウエハステージWST(ウエハW)を順次ステッピングさせる動作と、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとを走査方向に同期移動させつつレチクルパターンをウエハ上に転写する動作とを、繰り返して、ステップ・アンド・スキャン方式による露光動作を行う。これにより、ロット先頭(ロット内の第1枚目)のウエハWに対する露光処理が終了する。
【0158】
次のステップ342では、予定枚数のウエハに対する露光が終了したか否かを判断し、この判断が否定された場合には、ステップ334に戻り、以後上記処理、判断を繰り返し行う。
【0159】
このようにして、予定枚数のウエハWに対して露光が終了すると、ステップ342における判断が肯定され、図9のサブルーチンの処理を終了し図4に戻り、一連の露光処理を終了する。
【0160】
一方、前述したステップ256における判断が否定された場合、すなわちショット間誤差はあるが線形成分(ウエハ倍率誤差、ウエハ直交度誤差、ウエハ回転誤差等)のみが含まれる場合には、ステップ258に移行する。このステップ258では、ホストコンピュータ150は、前述した露光装置100j(この露光装置100jは予め定められているものとする)の主制御系にEGAウエハアライメント及び露光を指示する。
【0161】
次いで、サブルーチン260において、露光装置100jにより、前述と同様にして所定の準備作業が行われた後、その露光対象のロットのウエハに対してEGAウエハアライメント、及び露光が所定の手順で行われ、この際に、前述したように、ウエハW上に既に形成されたショット領域間の位置誤差(線形成分)に起因する重ね合わせ誤差が補正された高精度な露光が行われる。
【0162】
この一方、前述したステップ244における判断が否定された場合、すなわちショット内誤差が支配的である場合には、ステップ246に進む。このステップ246では、ホストコンピュータ150は、ショット内誤差が所定値を超える非線形成分を含むか否か、具体的にはショット内誤差がショット倍率誤差、ショット直交度誤差、ショット回転誤差などの線形成分以外の誤差(所定値を超える誤差)を含むか否かを判断する。そして、この判断が否定された場合には、ステップ248に進む。このステップ248では、ホストコンピュータ150は、そのロットのウエハの露光に用いられる露光装置100j(この露光装置100jは予め定められているものとする)で次に用いられるプロセスプログラムファイルと呼ばれる露光条件設定ファイル内の線形オフセット(ショット倍率、ショット直交度、ショット回転などのオフセット)を、ステップ242における解析結果に基づいて再設定する。
【0163】
その後、サブルーチン250に進む。このサブルーチン250では、露光装置100jにより、通常のスキャニング・ステッパと同様の手順で、上記の線形オフセットが再設定された後のプロセスプログラムに従って露光処理が行われる。なお、このサブルーチン250の処理は、通常と異なるところがないので詳細説明は省略する。その後、本ルーチンの一連の処理が終了する。
【0164】
一方、上記ステップ246における判断が肯定された場合には、ステップ252に移行する。このステップ252では、ホストコンピュータ150は、そのロットのウエハの露光に最適な像歪補正能力を有する露光装置(100kとする)を露光装置1001〜100Nの中から選択し、その露光装置100kに露光を指示する。この場合の最適な露光装置の選択には、例えば特開2000−36451などに詳細に開示される方法と同様の方法を用いることができる。
【0165】
すなわち、ホストコンピュータ150は、まず、重ね合わせ露光の対象となるウエハのロットの識別子(例えば、ロット番号)と、重ね合わせ露光にあたって重ね合わせ精度を確保すべき1層以上の露光済み層(以下、「基準層」と呼ぶ)とを指定して、ターミナルサーバ140及びLAN160を介して集中情報サーバ130に対して重ね合わせ誤差データ及び結像特性の調整(補正)パラメータに関する問い合わせを行う。これにより、集中情報サーバ130では、受信したロットの識別子及び基準層に応じて、大容量記憶装置に記憶されている露光履歴情報の中からそのロットのウエハについての基準層と次層との間の露光時における重ね合わせ誤差データ、及びそのロットのウエハについての各層の露光時における各露光装置100iの結像特性の調整(補正)パラメータを読み出し、ホストコンピュータ150に送る。
【0166】
次いで、ホストコンピュータ150は、上記の種々の情報に基づいて、結像特性の調整能力範囲内におけるそのロットのウエハの基準層と次層との重ね合わせ誤差が最小となる結像特性の調整パラメータ値とその調整パラメータを適用した際に残留する重ね合わせ誤差(補正残留誤差)とを、露光装置100i毎に算出する。
【0167】
次いで、ホストコンピュータ150は、各補正残留誤差と所定の許容誤差とを比較し、補正残留誤差が許容誤差以下である露光装置を、重ね合わせ露光を行う露光装置の候補として決定する。そして、ホストコンピュータ150は、決定した候補の露光装置について現在の稼動状況及び将来の稼動予定を参照し、最も効率良くリソグラフィ工程を進行させる観点から、重ね合わせ露光を行う露光装置を選択する。
【0168】
その後、サブルーチン254に進む。このサブルーチン254では、その選択された露光装置により、通常のスキャニング・ステッパと同様の手順で、重ね合わせ誤差の補正残留誤差が極力小さくなるように、投影光学系の結像特性が調整された状態で露光処理が行われる。なお、このサブルーチン254の処理は、通常の結像特性補正機構を備えたスキャニング・ステッパによるものと異なるところがないので詳細説明は省略する。その後、本ルーチンの一連の処理が終了する。なお、上記の補正残留誤差が極力小さくなるような結像特性の補正指令は、ホストコンピュータ150から選択された露光装置の主制御系に送信しても良いし、像歪み演算装置を別に設けて、選択された露光装置の主制御系が重ね合わせ露光の対象となるウエハWのロットの識別子及び自装置の識別子を指定して当該ロットのウエハWを露光するにあたっての投影像の歪みの調整パラメータ値を像歪み演算装置に問い合わせるようにしても良い。
【0169】
以上説明したように、本実施形態によると、基準ウエハ上の複数のショット領域それぞれに対応して設けられた複数の基準マークの検出結果に基づいて、露光に用いられるウエハ(プロセスウエハ)上の複数のショット領域各々の個別の基準位置(設計値)に対する位置ずれ量の非線形成分を補正するための補正情報から成る補正マップを、露光装置1001で使用される可能性があるアライメントショット領域の選択条件毎に予め作成する。
【0170】
この補正マップの作成に際しては、基準ウエハ上の複数のショット領域の各々について、各ショット領域に対応して設けられる基準マークを検出して得られる各ショット領域の位置情報、すなわち個別の基準位置(設計値)に対する位置ずれ量をそれぞれ求める(ステップ308)。次いで、アライメントショット領域の選択に関する条件毎に、基準ウエハ上の条件に対応する複数のアライメントショット領域に対応する基準マークを検出して得られる実測位置情報を用いて統計演算(EGA演算)により、基準ウエハ上の各ショット領域の位置情報(位置ずれ量の線形成分が補正された位置情報)を算出し、該位置情報と各ショット領域の個別の基準位置の情報、及び各ショット領域の前記位置ずれ量とに基づいて、各ショット領域の個別の基準位置(設計値)に対する位置ずれ量の非線形成分を補正するための補正情報から成る補正マップを作成する(ステップ310〜ステップ314)。
【0171】
また、本実施形態では、露光装置1001で使用される可能性があるショットマップデータに対応する基準ウエハを予め作製し、基準ウエハのそれぞれを用いて、同様の手順により、露光に用いられるウエハ(プロセスウエハ)上の複数のショット領域各々の個別の基準位置(設計値)に対する位置ずれ量の非線形成分を補正するための補正情報から成る補正マップを、露光装置1001で使用される可能性があるアライメントショット領域の選択条件毎に予め作成する。これらの補正マップは、主制御系20内のRAMに記憶される。
【0172】
このように複数の補正マップを作成するが、これらの補正マップの作成は、露光とは無関係に予め行うので、露光の際のスループットに影響を与えない。
【0173】
そして、ホストコンピュータ150により、パイロットウエハ等の重ね合わせ誤差の計測結果に基づいてショット間誤差が支配的であると判断され(ステップ242、ステップ244)、かつEGA方式のウエハアライメントのみで重ね合わせ誤差の補正が困難であると判断された場合に、露光装置1001に露光条件を指定して露光が指示される(ステップ256、ステップ262)。これにより、露光装置1001の主制御系20がロット間の重ね合わせ誤差の大きさを判断し(ステップ264、ステップ266)、ロット間の重ね合わせ誤差が小さい場合に、サブルーチン270に移行する。このサブルーチン270では、主制御系20が露光条件の1つとして指定されたショットマップデータ及びアライメントショット領域に対応する補正マップを選択する(ステップ332)。また、主制御系20は、ウエハ上の複数のアライメントショット領域(露光条件の1つとして指定された特定の少なくとも3つのショット領域)それぞれに対応して設けられた複数のウエハマークを検出して得られる各アライメントショット領域の実測位置情報に基づいて統計演算(EGA演算)により各ショット領域のレチクルパターンの投影位置との位置合わせに用いられる位置情報を求め、該位置情報と選択された補正マップとに基づいて、ウエハ上の各ショット領域を露光のための加速開始位置(露光基準位置)に移動した後、当該各ショット領域を走査露光する(ステップ338、340)。
【0174】
すなわち、本実施形態によると、上記の統計演算により得られる各ショット領域の個別の基準位置(設計値)からの位置ずれ量の線形成分を補正した各ショット領域のレチクルパターンの投影位置との位置合わせに用いられる位置情報を、選択した補正マップに含まれる対応する補正情報で補正した位置情報に基づいてウエハ上の各ショット領域が、露光のための加速開始位置に移動された後、当該各ショット領域の露光が行われる。従って、ウエハ上の各ショット領域は、位置ずれ量の線形成分のみならず非線形成分をも補正した位置に正確に移動された後露光が行われるので、重ね合わせ誤差の殆どない高精度な露光が可能となる。
【0175】
また、主制御系20がロット間の重ね合わせ誤差が大きいと判断した場合には、サブルーチン268に移行する。このサブルーチン268では、主制御系20が、ロット内の第2枚目以降のウエハWの露光に際しては、通常の8点EGAでの計測結果に基づいてウエハ上のショット領域の配列ずれの線形成分を補正するとともに、ショット領域の配列ずれの非線形成分については、ロット先頭のウエハと第2枚目以降のウエハとが同じ非線形成分を持っているものとみなして、非線形成分の補正値についてはロット先頭で求めた値をそのまま使用する(ステップ320、ステップ322)。このため、ロット内の全てのウエハに対して全点EGAを行う場合に比べて、計測点数の削減により、スループットを向上することができる。
【0176】
また、サブルーチン268の処理において、前述したような評価関数の導入によって、経験則に頼ることなく、明確な根拠に基づいて、ウエハWの非線形歪みを評価することができる。そして、その評価結果に基づいてウエハW上の各ショット領域の位置ずれ量(配列ずれ)の非線形成分を算出することができ、この算出結果とEGAにより求めたショット領域の配列ずれの線形成分とに基づいて、各ショット領域の配列ずれ(線形成分のみならず非線形成分をも)、ひいては重ね合せ補正位置を正確に求めることができる(ステップ308〜ステップ322)。従って、上記各ショット領域の重ね合せ補正位置に基づいて、ウエハW上の各ショット領域の露光のための加速開始位置(走査開始位置)にウエハWを順次ステッピングさせつつ、レチクルパターンをウエハW上の各ショット領域に転写することにより、ウエハW上の各ショット領域にレチクルパターンを非常に高精度に重ね合せることができる。
【0177】
この一方、ホストコンピュータ150が、パイロットウエハ等の重ね合わせ誤差の計測結果に基づいてショット間誤差が支配的でないと判断した場合には(ステップ242、ステップ244)、ショット内誤差が非線形成分を含むか否かに応じて投影像の歪の補正残留誤差が最小となる最適な露光装置の選択、あるいはプロセスプログラムの線形オフセットの再設定を行う。そして、線形オフセットが再設定されたプロセスプログラムに従った露光、あるいは選択された露光装置による露光が通常と同様の手順で行われる。
【0178】
従って、本実施形態によると、スループットを極力低下させることなくかつ重ね合わせ精度を良好に維持した露光を行うことが可能となる。これまでの説明からもわかるように、本実施形態に係るリソグラフィシステム110及びその露光方法によると、例えば同一のデバイス製造ラインで基準となる露光装置を用いて、ファーストレイヤ(第1層)のパターンの転写が行われたウエハ上の各ショット領域に他の露光装置を用いてレチクルパターンを精度良く重ね合わせることが可能となる。すなわち、本実施形態によると、露光装置相互間のステージのグリッド誤差などに起因する重ね合わせ誤差を非常に小さくすることが可能となる。特に、サブルーチン268の処理による場合には、ロット毎に変動するショット間誤差を精度良く補正することができ、また、サブルーチン270の処理による場合には、ショットマップの変更やアライメントショットの変更毎に変動するショット間誤差を精度良く補正することができる。
【0179】
なお、上記実施形態では、補正マップを作成するために、マークが検出される特定基板が基準ウエハであり、補正マップの作成の前提となる基板に関連する条件が、ショットマップデータの指定及びアライメントショット領域の選択に関する条件である場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。すなわち、ショットマップデータの指定に関する条件毎に、補正マップを作成するのみであっても良いし、アライメントショット領域の選択に関する条件毎に補正マップを作成するのみであっても良い。
【0180】
また、特定基板として、実際に露光に用いられるプロセスウエハを用いても良い。かかる場合には、少なくとも2種類の条件として、基板が経由した少なくとも2種類のプロセスに関する条件を含むことができる。この場合、露光に用いられる全てのプロセスウエハについて、上記実施形態におけるステップ202〜220と同様にして、補正マップをそれぞれ作成し、露光に先立って、ステップ332の処理に代えてその露光に用いられるウエハに対応する補正マップを選択する処理を行うことにより、上記実施形態と同等の効果を得ることができる。すなわち、かかる場合にも、スループットを極力低下させることなく重ね合わせ精度を良好に維持した露光を行うことが可能となる。この場合には、プロセス処理に起因する誤差の補正が可能となる。
【0181】
なお、上記実施形態では、サブルーチン268において、ロット内の第2枚目以降については、8点EGAを行うものとしたが、EGAの計測点数(アライメントマーク数(通常はサンプルショット数に対応)は、統計演算で求める未知パラメータ(上記実施形態では6つ)の数より多ければ、いくつでも良いことは勿論である。
【0182】
なお、上記実施形態において、ウエハ上の露光対象のショット領域に、ウエハ周辺のショット領域(いわゆるエッジショット領域)であって欠けショット領域があり、かつその欠けショット領域には必要なマークが存在しないため、前述した補正マップ中にその欠けショット領域の補正情報が含まれない場合が生じる可能性がある。
【0183】
このような場合には、統計処理により、その欠けショット領域における非線形歪みを推定することが望ましい。ここで、この欠けショット領域の非線形歪みの推定方法の一例について説明する。
【0184】
図10には、ウエハWの周辺部の一部が示されている。このウエハWに関し、前述の手順で求められた補正マップ中の非線形歪成分(dxi,dyi)が図中に示されている。この図10の場合、基準ウエハのショット領域S5に対応するショット領域には、基準マークが存在しないため、その補正情報(非線形歪成分)は補正マップの作成時には得られていないものとする。かかる前提の下、露光の際に指定されたショットマップデータには、ショット領域S5が含まれていた場合について考える。
【0185】
このような場合に、主制御系20では、指定されたアライメントショット領域の情報を基に、EGA方式のウエハアライメントを行い、ショット領域S5を含むウエハW上の全てのショット領域の中心点の座標値(xi、yi)を求める。次いで、主制御系20では、ショット領域S5の補正情報(Δx,Δy)を、例えば、次式(8)、(9)を用いて算出する。
【0186】
【数7】
Figure 0004905617
【0187】
上記式(8)、(9)において、riは、着目するショット領域(S5)から隣接するショット領域(S1,S2,S3,S4)に対する距離であり、W(ri)は、図11のようなガウス分布で仮定される重みである。この場合、標準偏差σは、隣接するショット領域間の距離(ステップピッチ)程度である。
【0188】
このようにして、算出したショット領域S5のような欠けショット領域の補正情報(Δx,Δy)と、上記のウエハアライメントで得られたその欠けショット領域の位置情報とに基づいて、ウエハ上のその欠けショット領域を露光のための加速開始位置(露光基準位置)に移動して、走査露光を行うことにより、欠けショット領域に対しても重ね合わせ精度良くレチクルパターンを転写することが可能となる。
【0189】
なお、上記実施形態では図4のフローチャートに従ってホストコンピュータ150が、重ね合わせ誤差情報の解析、ショット間誤差が支配的か否かの判断、プロセスプログラムの線形オフセットの再設定、最適な露光装置の選択、ショット間誤差が支配的である場合のショット間誤差が非線形成分を含むか否かの判断などを、自動的に行う場合について説明したが、これらの処理は、オペレータが行うようにすることも勿論可能である。
【0190】
また、上記実施形態では、露光装置1001の主制御系20(CPU)が、ロット間の重ね合わせ誤差が大きいか否かの判断を行い、その判断結果に基づいてサブルーチン268、270のいずれに移行するかを決定することとしたが、本発明がこれに限定されるものではない。すなわち、露光装置1001に、サブルーチン268、270の処理を選択可能なモードをそれぞれ用意し、上記のロット間の重ね合わせ誤差が大きいか否かの判断を重ね合わせ測定器の測定結果に基づいてオペレータが行い、この判断結果に基づいて、対応するモードを選択することとしても良い。
【0191】
なお、上記実施形態のサブルーチン268では、ロット先頭のウエハの露光に際して、全ショット領域のウエハマークの計測結果を用いてEGA演算により算出したショット配列座標と補完関数に基づいて算出した配列座標の非線形成分とに基づいて、各ショット領域を走査開始位置へ位置決めするものとしたが、これに限らず、ステップ308で計測した各ショット領域の位置ずれ量の実測値に基づいて、EGA演算を行うことなく、各ショット領域を走査開始位置へ位置決めすることとしても良い。
【0192】
また、上記実施形態において、nが3以上の整数に設定されている場合には、ロット内の最初の(n−1)枚(複数枚)のウエハについては、ステップ308からステップ318までの処理が、繰り返し行われることとなるが、この際、ステップ318では、第2枚目からn−1枚目までのウエハについては、全ショット領域の配列ずれの非線形成分(補正値)を、例えばそれまでの各回の演算結果の平均値に基づいて求めることとすれば良い。勿論、第n枚目(n≧3)以降のウエハでも、第(n−1)枚目までの少なくとも2枚のウエハでそれぞれ算出される非線形成分(補正値)の平均値を用いるようにしても良い。
【0193】
さらに、図5のステップ312では、ステップ308で計測した位置座標と設計上の位置座標とステップ310で算出した位置座標(計算値)とを用いて各ショット領域の位置ずれ量の線形成分と非線形成分とを分離したが、線形成分と非線形成分とを分離することなく、非線形成分のみを求めても良い。この場合には、ステップ308で計測した位置座標とステップ310で算出した位置座標との差を非線形成分とすれば良い。また、図5のステップ304及び図9のステップ336のサーチアライメントはウエハWの回転誤差が許容範囲内であるときなどは行わなくても良い。さらに、図4のステップ262では露光装置の選択を行うものとしたが、使用する露光装置がグリッド補正機能を有しているときは、ステップ262を省略しても良く、ステップ266の判断結果に応じてグリッド補正機能を選択するだけでも良い。
【0194】
また、上記実施形態では、グリッド補正機能を有する露光装置1001が、前述した第1のグリッド補正機能及び第2のグリッド補正機能の両者を有する場合について説明したが、これに限らず、露光装置は、第1のグリッド補正機能及び第2のグリッド補正機能の一方のみを有していても良い。すなわち、図4のステップ268、270などのサブルーチンをそれぞれ単独で実施しても良い。
【0195】
また、上記実施形態では、図4のアルゴリズムのうち、一部のステップをホストコンピュータ150が実行し、残りのステップを露光装置1001を含む露光装置100iが実行し、特にステップ264、266、268、270を露光装置1001が実行する場合について説明した。しかし、これに限らず、図4のアルゴリズムの全て、あるいは上記実施形態でホストコンピュータ150が実行したステップの一部を、例えば露光装置1001と同様のグリッド補正機能を有する露光装置が行うような構成を採用することも可能である。
【0196】
≪第2の実施形態≫
次に、本発明の第2の実施形態を図12〜図15に基づいて説明する。
【0197】
本第2の実施形態では、リソグラフィシステムの構成等は、第1の実施形態と同様になっており、ショット領域サイズより小さい間隔で、基準マークが形成された基準ウエハを用いて第1補正マップが作成される点、及び図4のサブルーチン270における処理が前述した第1の実施形態と相違するのみである。以下、これらの相違点を中心として、説明する。
【0198】
まず、予め行われる第1補正マップの作成の際の動作の流れについて、露光装置1001の主制御系20内のCPUの制御アルゴリズムを簡略化して示す図12のフローチャートに基づいて説明する。
【0199】
前提として、前述した第1の実施形態の場合と同様にして、プロセスウエハ上のショット領域間隔より小さい所定ピッチ、例えば1mmピッチで矩形領域及び各矩形領域に対応して基準マークが設けられた基準ウエハ(以下、便宜上「基準ウエハWF1」と呼ぶ)が作製されているものとする。なお、以下の説明においては、基準マークに対応する各矩形領域をマーク領域と呼ぶものとする。
【0200】
なお、この基準ウエハの作製に際して用いられる露光装置は、前述と同じ基準となる露光装置(例えば、同一のデバイス製造ラインで用いられる最も信頼性の高いスキャニング・ステッパ)の他、信頼性の高い装置であれば、ステッパなどの静止型の露光装置であっても良い。
【0201】
まず、ステップ402において、不図示のウエハローダを用いて基準ウエハWF1をウエハホルダ上にロードする。
【0202】
次のステップ404では、そのウエハホルダ上にロードされた基準ウエハWF1のサーチアライメントを、前述したステップ204と同様にして行う。
【0203】
次のステップ406では、基準ウエハWF1上の全てのマーク領域(ここでは、一例としてほぼ1mm角の領域)のステージ座標系上における位置座標を、前述したステップ206と同様にして計測する。
【0204】
次のステップ408では、上記ステップ406で計測した全てのマーク領域の位置座標と、それぞれの設計上の位置座標とに基づいて前述した式(2)のEGA演算を行い、前述した式(1)の6つのパラメータa〜f(基準ウエハ上の各マーク領域の配列に関するローテーションθ、X,Y方向のスケーリングSx,Sy、直交度Ort、X,Y方向のオフセットOx、Oyの6つのパラメータに対応)を算出するとともに、この算出結果と各マーク領域の設計上の位置座標とに基づいて、全マーク領域の位置座標(配列座標)を算出し、その算出結果、すなわち基準ウエハ上の全マーク領域の位置座標を内部メモリの所定領域に記憶する。
【0205】
次のステップ410では、基準ウエハ上の全てのマーク領域について、位置ずれ量の線形成分と非線形成分とを分離する。具体的には、上記ステップ408で算出した各マーク領域の位置座標とそれぞれの設計上の位置座標との差を位置ずれ量の線形成分として算出するとともに、前述したステップ406で実際に計測した全てのマーク領域の位置座標とそれぞれの設計上の位置座標との差であるマーク領域の位置ずれ量から前記線形成分を差し引いた残差を位置ずれ量の非線形成分として算出する。
【0206】
次のステップ412では、上記ステップ410で算出した各マーク領域の位置ずれ量を含むとともに、各マーク領域の位置ずれ量の非線形成分を基準ウエハWF1上の各マーク領域の配列ずれを補正する補正情報として含む第1の補正マップを作成し、RAM等のメモリあるいは記憶装置に格納した後、本ルーチンの一連の処理を終了する。
【0207】
その後、基準ウエハはウエハホルダ上からアンロードされる。
【0208】
次に、本第2の実施形態におけるサブルーチン270の処理について説明する。
【0209】
図13には、サブルーチン270において、同一ロット内の複数枚(例えば25枚)のウエハWに対して第2層目(セカンドレイヤ)以降の層の露光処理を行う場合の主制御系20内のCPUの制御アルゴリズムが示されている。以下、サブルーチン270において行われる処理について、図13のフローチャートに沿ってかつ適宜他の図面を参照しつつ説明する。
【0210】
前提として、ロット内の全てのウエハは同一条件、同一工程で各種処理が施されているものとする。
【0211】
ます、サブルーチン431において、前述したサブルーチン201と同様の手順で、所定の準備作業を行った後、ステップ432に進む。ステップ432では、前述したステップ262においてホストコンピュータ150から露光指示とともに与えられた露光条件の設定指示情報に基づいて、上記の所定の準備作業中に選択したプロセスプログラムファイル内に含まれるショットマップデータと、RAM内に記憶されている第1の補正マップとに基づいて、第2の補正マップ(ショットマップデータで規定される各ショット領域の位置ずれ量の非線形成分を補正するための補正情報から成る補正マップ)を作成して、RAM内に記憶する。すなわち、このステップ432では、第1補正マップ内の各マーク領域の位置ずれ量と、所定の評価関数とに基づいて、基準ウエハWF1の非線形歪みを評価し、この評価結果に基づいて補完関数(位置ずれ量(配列ずれ)の非線形成分を表現する関数)を決定する。そして、この決定した補完関数と、前記各ショット領域の中心点に対応するマーク領域(この場合、中心点を含むマーク領域)の補正情報とを用いて、補完演算を行って、各ショット領域の位置ずれ量の非線形成分を補正する補正情報から成る第2補正マップを作成する。
【0212】
ここで、このステップ432における処理を詳述する。図14には、基準ウエハWF1の平面図が示され、図15には、図14の円F内の拡大図が示されている。基準ウエハWF1上には、所定ピッチ、例えば1mmピッチで複数の矩形のマーク領域SBu(総数N)がマトリクス状配置で形成されている。図14において、ショットマップデータで指定された1つのショット領域に対応する領域が矩形領域Sjとして示され、この領域が図15では太枠で示されている。図15において、各マーク領域内に矢印で示されるベクトルrk(k=1、2、……、i、……N)は、各マーク領域の位置ずれ量(配列ずれ)を示すベクトルである。kはそれぞれのマーク領域の番号を示す。また、符号sは、図15に示される着目するマーク領域SBkの中心を中心とする円の半径を示し、iは、着目するk番目のマーク領域から半径sの円内に存在するマーク領域の番号を示す。
【0213】
上述の説明から明らかなように、ステップ432における処理において、評価関数として前述した評価関数W1(s)を用いることができ、また、補完関数としては、前述した補完関数δx(x,y)、δy(x,y)を用いることができる。上記の評価関数W1(s)によると、sの値に応じてW1(s)の値が変化するので、前述の如く経験則に頼ることなく、基準ウエハ(又はウエハ)の非線形歪みの規則性や程度を評価することができ、この評価結果を用いることにより、前述した手順で、位置ずれ量(配列ずれ)の非線形成分を表現する最適なP,Qを決定することができ、これにより式(5)、(6)の補完関数を決定することができる。
【0214】
そこで、上述のようにして決定した式(5)、(6)の補完関数に、第1の補正マップ内に補正情報として記憶されている、座標(x,y)のマーク領域の位置ずれ量(配列ずれ)の非線形成分のX成分Δx(x,y)、Y成分Δy(x,y)を、それぞれ代入して、フーリエ級数係数Apq、Bpq、Cpq、Dpq及びApq’、Bpq’、Cpq’、Dpq’を定め、これにより、補完関数を具体的に決定する。そして、このフーリエ級数係数Apq、Bpq、Cpq、Dpq及びApq’、Bpq’、Cpq’、Dpq’をも決定した補完関数に、ウエハ上の各ショット領域の中心点の座標を代入することにより、ウエハ上の全ショット領域の配列ずれの非線形成分のX成分(補完値、すなわち補正値)及びY成分(補完値、すなわち補正値)を算出した後、この算出結果に基づいて第2の補正マップを作成し、その第2補正マップを内部メモリの所定領域に一時的に記憶する。また、このとき、補正マップ以外のデータ、すなわちフーリエ級数係数が決定された補完関数などのデータを、RAM内に記憶する。
【0215】
なお、上記のウエハW上の部分領域について非線形歪みの規則性や程度を評価するに際して、第1、第2ベクトルとして各マーク領域における位置ずれベクトルが用いられるが、これに限らず、補正情報すなわち各マーク領域の位置ずれ量の非線形成分を示すベクトルを用いても良い。
【0216】
図13に戻り、次のステップ434では、不図示のウエハローダを用いてウエハホルダ上の露光処理済みのウエハと未露光のウエハとを交換する。但し、ウエハホルダ上にウエハのない場合は、未露光のウエハをウエハホルダ上に単にロードする。
【0217】
次のステップ436では、そのウエハホルダ上にロードされたウエハのサーチアライメントを前述と同様の手順で行う。
【0218】
次のステップ438では、ショットマップデータ及びアライメントショット領域の選択情報などのショットデータに従って、EGA方式のウエハアライメントを前述と同様にして行い、ウエハ上の全ショット領域の位置座標を算出し、内部メモリの所定領域に記憶する。
【0219】
次のステップ440では、前述した内部メモリ内の所定領域に記憶された全ショット領域の配列座標と、内部メモリに一時的に格納された第2補正マップ内のそれぞれのショット領域についての位置ずれ量の非線形成分の補正値とに基づいて、各ショット領域について位置ずれ量(線形成分及び非線形線分)が補正された重ね合わせ補正位置を算出するとともに、その重ね合わせ補正位置のデータと、予め計測したベースライン量とに基づいて、ウエハ上の各ショット領域に対する露光のための走査開始位置(加速開始位置)にウエハステージ(ウエハ)を順次移動させる動作と、レチクルステージとウエハステージとを走査方向に同期移動させつつレチクルパターンをウエハ上に転写する動作とを、繰り返して、ステップ・アンド・スキャン方式による露光動作を行う。これにより、ロット先頭(ロット内の第1枚目)のウエハWに対する露光処理が終了する。
【0220】
次のステップ442では、予定枚数のウエハに対する露光が終了したか否かを判断し、この判断が否定された場合には、ステップ434に戻り、以後上記処理、判断を繰り返し行う。
【0221】
このようにして、予定枚数のウエハWに対して露光が終了すると、ステップ442における判断が肯定され、図13のサブルーチンの処理を終了し図4に戻り、一連の露光処理を終了する。
【0222】
ところで、サブルーチン270におけるステップ432では、ホストコンピュータ150から露光指示ととともに指示された露光条件に対応するプロセスプログラムに含まれるショットマップデータ(指定されたショットマップデータ)と第1の補正マップとに基づいて、第2の補正マップが作成される。従って、そのショットマップデータとして異なるショットマップデータが指定された場合、すなわちショットマップデータが変更された場合には、ステップ432において変更後のショットマップデータに基づいて、第2補正マップの書き換えが行われる。具体的には、主制御系20が、RAM内に格納されているフーリエ級数係数が決定された補完関数を読み出し、これに変更後のショットマップデータに従ってウエハ上の各ショット領域の中心点の座標を代入することにより、その変更後のショットマップデータに従うウエハ上の各ショット領域の配列ずれの非線形成分のX成分(補完値、すなわち補正値)及びY成分(補完値、すなわち補正値)を算出した後、この算出結果に基づいて第2の補正マップを書き換え、その書き換え後の第2補正マップを内部メモリの所定領域に一時的に記憶する。その後、前述したステップ434〜442と同様の処理・判断を繰り返し行う。
【0223】
ショットマップデータが変更されない間は、前述と同様の処理が行われることは言うまでもない。
【0224】
なお、図12のステップ410では、ステップ406で計測した位置座標と設計上の位置座標とステップ408で算出した位置座標(計算値)とを用いて各マーク領域の位置ずれ量の線形成分と非線形成分とを分離したが、線形成分と非線形成分とを分離することなく、非線形成分のみを求めても良い。この場合には、ステップ406で計測した位置座標とステップ408で算出した位置座標との差を非線形成分とすれば良い。また、図13のステップ436のサーチアライメントは、ウエハWの回転誤差が許容範囲内であるときなどは行わなくても良い。
【0225】
以上説明したように、本第2の実施形態によると、基準ウエハ上の複数の基準マークを検出して各基準マークに対応するマーク領域の位置情報を計測し、この計測された位置情報を用いて統計演算(EGA演算)により各マーク領域の設計値に対する位置ずれ量の線形成分が補正された計算上の位置情報を算出する。次いで、計測された位置情報と計算上の位置情報とに基づいて、各マーク領域の設計値に対する位置ずれ量の非線形成分を補正するための補正情報を含む第1補正マップを作成する。この場合、第1補正マップの作成は、露光とは無関係に予め行うことができるので、露光の際のスループットに影響を与えない。
【0226】
そして、露光に先立って、ショットマップデータが露光条件の1つとして指定されると、その指定されたショットマップデータに基づいて第1補正マップを、各ショット領域の個別の基準位置(設計値)からの位置ずれ量の非線形成分を補正するための補正情報を含む第2補正マップに変換する。次いで、ウエハ上の複数のマーク(アライメントショット領域のウエハマーク)を検出して得られるショット領域のステージ座標系上における位置情報に基づいて統計演算(EGA演算)によりショット領域それぞれの所定点(レチクルパターンの投影位置)との位置合わせに用いられる位置情報を求め、その位置情報と第2補正マップとに基づいて、ウエハ上の各ショット領域を加速開始位置に移動した後、各ショット領域を露光する。すなわち、上記のショット領域のステージ座標系上における位置情報(実測位置情報)に基づいて行われる統計演算(EGA演算)により得られる各ショット領域の個別の基準位置(設計値)からの位置ずれ量の線形成分を補正した各ショット領域の所定点との位置合わせに用いられる位置情報を、第2補正マップに含まれる対応する補正情報で補正した位置情報を目標位置として、ウエハ上の各ショット領域が加速開始位置に移動された後、当該各ショット領域の露光が行われる。従って、ウエハ上の各ショット領域は、位置ずれ量の線形成分のみならず非線形成分をも補正した位置に正確に移動された後露光が行われるので、重ね合わせ誤差の殆どない高精度な露光が可能となる。
【0227】
従って、本第2の実施形態によると、第1の実施形態と同様に、スループットを極力低下させることなく重ね合わせ精度を良好に維持した露光を行うことが可能となる。また、本第2の実施形態によると、基準ウエハ上の基準マークの検出結果に基づいて得られた補正情報により、最終的にウエハ上の各ショット領域の所定点との位置合わせに用いられる位置情報が補正されるので、例えば同一のデバイス製造ラインで基準となる全ての露光装置を、基準ウエハを基準として重ね合わせ精度の向上を図ることができる。
【0228】
また、本第2の実施形態では、露光に先立って、ショットマップデータが露光条件の1つとして指定されると、その指定されたショットマップデータに基づいて第1補正マップを、各ショット領域の個別の基準位置(設計値)からの位置ずれ量の非線形成分を補正するための補正情報を含む第2補正マップに変換するので、各露光装置におけるショットマップデータ(ウエハ上のショット領域の配列に関する情報の一種)の如何に関わらず、複数の露光装置間の重ね合わせ露光を高精度に行うことが可能となる。
【0229】
また、本第2の実施形態では、第1補正マップから第2補正マップへの変換を、基準ウエハ上の部分領域について非線形歪みの規則性や程度を前述した評価関数を用いて評価した評価結果に基づいて最適化された単一の補完関数と、前記各マーク領域の補正情報とに基づいて、前記各区画領域の基準位置(中心位置)毎に、補完演算を行うことによって実現するものとした。このため、その変換に際して、ウエハ上の全ての点の非線形歪み(補正情報)を算出するための具体的な補完関数が決定される。このため、ショットマップデータの変更により各ショット領域が変更されても、変更後のショット領域毎にその座標を上記の具体的な補完関数に代入することによって、容易に変更後の各ショット領域の補正情報を求めることができる。従ってショットマップデータの変更への対処も容易となっている。
【0230】
また、本第2の実施形態では、ウエハ上の露光対象のショット領域に、ウエハ周辺のショット領域(いわゆるエッジショット領域)であって欠けショット領域があり、かつその欠けショット領域には必要なマークが存在しないため、前述した第1補正マップ中にその欠けショット領域の補正情報が含まれない場合があっても特に支障なく、その欠けショット領域の補正情報を求めることができる。
【0231】
すなわち、本第2の実施形態では、ショットマップデータにその欠けショット領域が含まれていれば、上記のマップの変換に際して、その欠けショット領域の基準位置(中心位置)の座標も上記の具体的な補完関数に代入されて、その欠けショット領域の補正情報が自動的に算出されるからである。
【0232】
しかしながら、第1補正マップから第2補正マップへの変換の方法は、これに限らず、各ショット領域の基準位置(中心位置)毎に、隣接する複数のマーク領域についての補正情報に基づき、先に説明したガウス分布を仮定した重み付け平均演算により、各基準位置の補正情報を算出することにより行うこともできる。この場合において、その重み付け平均演算の対象となる隣接するマーク領域の範囲を、前述した評価関数を用いて計算しても良い。あるいは、各ショット領域の基準位置(中心位置)毎に、評価関数を用いて計算した範囲内の隣接するマーク領域の単純平均を用いても良い。同様に、上記第1の実施形態において、前述した欠けショット領域の補正情報を求める場合に、評価関数と重み付け平均、あるいは単純平均との組み合わせを用いても良い。
【0233】
なお、上記各実施形態では、サブルーチン268におけるロット先頭のウエハの位置ずれ量の線形成分の補正データを、全ショット領域のアライメントショット領域としたEGA演算により求めるものとしたが、これに限らず、ロット内の2枚目以降のウエハと同様に指定されたアライメントショット領域のマークの検出結果を用いたEGA演算により求めることとしても良い。
【0234】
また、上記各実施形態では、EGA方式のウエハアライメントを行うに際し、アライメントショット領域(全ショット領域又はその内の特定の複数のショット領域がアライメントショット領域として選択されている場合は、その選択された特定のショット領域)のアライメントマークの座標値を用いるものとしたが、例えばアライメントショット領域毎にその設計上の座標値に従ってウエハWを移動してレチクルR上のマーク、又はアライメント系ASの指標マークとの位置ずれ量を検出し、この位置ずれ量を用いて統計演算によってショット領域毎に設計上の座標値からの位置ずれ量を算出しても良いし、あるいはショット領域間のステップピッチの補正量を算出しても良い。
【0235】
さらに、上記各実施形態では、EGA方式を前提に説明を行ったが、EGA方式の代わりに重み付けEGA方式を用いても良いし、あるいはショット内多点EGA方式等を用いても良い。なお、重み付けEGA方式のウエハアライメントについては、例えば特開平5−304077号公報などに詳細に開示されている。
【0236】
すなわち、この重み付けEGA方式では、ウエハ上の複数のショット領域(区画領域)のうち、予め選択された少なくとも3つのサンプルショット領域の静止座標系上における位置座標を計測する。次いで、ウエハ上のショット領域毎に、当該ショット領域(その中心点)とサンプルショット領域(その中心点)の各々との間の距離に応じて、あるいはショット領域とウエハ上で予め規定された所定の着目点との間の距離(第1情報)と、当該着目点とサンプルショット領域の各々との間の距離(第2情報)とに応じて、サンプルショット領域の静止座標系上における位置座標の各々に重み付けを行い、かつこの重み付けされた複数の位置座標を用いて統計演算(最小二乗法、又は単純なる平均化処理等)を行うことにより、ウエハ上の複数のショット領域の各々の静止座標系上における位置座標を決定する。そして、決定された位置座標に基づいて、ウエハ上に配列された複数のショット領域の各々を、静止座標系内の所定の基準位置(例えば、レチクルパターンの転写位置)に対して位置合わせする。
【0237】
このような重み付けEGA方式によると、局所的な配列誤差(非線形な歪み)が存在するウエハであっても、サンプルショット領域数が比較的少なくて済み、かつ計算量を抑えながら、所定の基準位置に対して全てのショット領域を高精度、高速にアライメントすることが可能である。
【0238】
ところで、重み付けEGA方式では、上記公報にも開示されるように、例えば次の式(11)で表されるような重み付けWinを用いて、式(10)で示されるような残差の二乗和Eiが最小となるようなパラメータa、b、c、d、e、fをショット領域毎に求める。
【0239】
【数8】
Figure 0004905617
【0240】
上式(11)において、Lknは、対象となるショット領域(i番目のショット領域)とn番目のサンプルショット領域との距離である。Sは、重み付けを決定するパラメータである。
【0241】
あるいは、重み付けEGA方式では、次の式(13)で表されるような重み付けWin’を用いて、式(12)で示されるような残差の二乗和Ei’が最小となるようなパラメータa、b、c、d、e、fをショット領域毎に求める。
【0242】
【数9】
Figure 0004905617
【0243】
上式(13)において、LEiは、対象となるショット領域(i番目のショット領域)と着目点(ウエハセンタ)との距離、LWnは、n番目のサンプルショット領域と着目点(ウエハセンタ)との距離である。また、式(11)、(13)におけるパラメータSは、一例として次式(14)で表される。
【0244】
【数10】
Figure 0004905617
【0245】
式(14)において、Bは、重みパラメータであり、この重みパラメータBの物理的意味は、ウエハ上の各ショット領域の位置座標を計算するのに有効なサンプルショット領域の範囲(以下、単に「ゾーン」と呼ぶ)である。従って、ゾーンが大きい場合は有効なサンプルショット領域の数が多くなるので、従来のEGA方式で得られる結果に近くなる。逆にゾーンが小さい場合は、有効なサンプルショット領域の数が少なくなるので、D/D方式で得られる結果に近くなる。前述した評価関数を用いることにより、ゾーンを適切かつ確実に決定することが可能である。
【0246】
また、ショット内多点EGA方式は、例えば特開平6−349705号公報などに開示されており、アライメントショット領域毎に複数のアライメントマークを検出してX、Y座標をそれぞれ複数個ずつ得るようにし、EGA方式で用いられるウエハの伸縮、回転等に対応するウエハパラメータの他に、ショット領域の回転誤差、直交度、及びスケーリングに対応するショットパラメータ(チップパラメータ)の少なくとも1つをパラメータとして含むモデル関数を用いて各ショット領域の位置情報、例えば座標値を算出するものである。
【0247】
これを更に詳述すると、このショット内多点EGA方式は、基板上に配列された各ショット領域内の基準位置に対してそれぞれ設計上一定の相対位置関係で配置された複数個のアライメントマーク(1次元マーク、2次元マークのいずれでも良い)がそれぞれ形成され、これら基板上に存在するアライメントマークの中から所定数のアライメントマークであって、X位置情報の数とY位置情報の数との和が上記モデル関数に含まれるウエハパラメータ及びショットパラメータの総数より多く、かつ少なくとも同一のアライメントショット領域について同一方向に複数の位置情報が得られる所定数のアライメントマークの位置情報を計測する。そして、これらの位置情報を、上記モデル関数に代入し、最小自乗法等を用いて統計処理することにより、そのモデル関数に含まれるパラメータを算出し、このパラメータと、各ショット領域内の基準位置の設計上の位置情報及び基準位置に対するアライメントマークの設計上の相対位置情報から、各ショット領域の位置情報を算出するものである。
【0248】
これらの場合も、位置情報として、アライメントマークの座標値を用いても良いが、アライメントマークに関する位置情報であって統計処理に適切な情報であれば、如何なる情報を用いて統計演算を行っても良い。
【0249】
この他、上記の評価関数を用いた評価結果により得られる半径sに基づいて、EGA方式、あるいは重み付けEGA方式、又はショット内多点EGA方式におけるEGA計測点数を適切に決定することもできる。
【0250】
なお、上記各実施形態では、マーク検出系として、オフアクシス方式のFIA系(結像式のアライメントセンサ)を用いる場合について説明したが、これに限らずいかなる方式のマーク検出系を用いても構わない。すなわち、TTR(Through The Reticle)方式、TTL(Through The Lens)方式、またオフアクシス方式の何れの方式であっても、更には検出方式がFIA系などで採用される結像方式(画像処理方式)以外、例えば回折光又は散乱光を検出する方式などであっても構わない。例えば、ウエハ上のアライメントマークにコヒーレントビームをほぼ垂直に照射し、当該マークから発生する同次数の回折光(±1次、±2次、……、±n次回折光)を干渉させて検出するアライメント系でも良い。この場合、次数毎に回折光を独立に検出し、少なくとも1つの次数での検出結果を用いるようにしても良いし、波長が異なる複数のコヒーレントビームをアライメントマークに照射し、波長毎に各次数の回折光を干渉させて検出しても良い。
【0251】
また、本発明は上記各実施形態の如き、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置に限らず、ステップ・アンド・リピート方式、又はプロキシミティ方式の露光装置(X線露光装置等)を始めとする各種方式の露光装置にも全く同様に適用が可能である。
【0252】
なお、露光装置で用いる露光用照明光(エネルギビーム)は紫外光に限られるものではなく、X線(EUV光を含む)、電子線やイオンビームなどの荷電粒子線などでも良い。また、DNAチップ、マスク又はレチクルなどの製造用に用いられる露光装置でも良い。
【0253】
《デバイス製造方法》
次に、上述した各実施形態に係るリソグラフィシステム及びその露光方法をリソグラフィ工程で使用したデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
【0254】
図16には、デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートが示されている。図16に示されるように、まず、ステップ601(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップ602(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ603(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
【0255】
次に、ステップ604(ウエハ処理ステップ)において、ステップ601〜ステップ603で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップ605(デバイス組立ステップ)において、ステップ604で処理されたウエハを用いてデバイス組立を行う。このステップ605には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
【0256】
最後に、ステップ606(検査ステップ)において、ステップ605で作製されたデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
【0257】
図17には、半導体デバイスの場合における、上記ステップ604の詳細なフロー例が示されている。図17において、ステップ611(酸化ステップ)においてはウエハの表面を酸化させる。ステップ612(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ613(電極形成ステップ)においてはウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ614(イオン打込みステップ)においてはウエハにイオンを打ち込む。以上のステップ611〜ステップ614それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0258】
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ615(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップ616(露光ステップ)において、上で説明した露光装置及び露光方法によってマスクの回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップ617(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップ618(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップ619(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
【0259】
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0260】
以上説明した本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、露光工程(ステップ616)において、ロット毎のウエハの露光処理に際して、上記各実施形態に係るリソグラフィシステム及びその露光方法が用いられるので、スループットを極力低下させることなく、レチクルパターンとウエハ上のショット領域との重ね合わせ精度の向上を図った高精度な露光が可能となる。この結果、スループットを低下させることなく、より微細な回路パターンを重ね合わせ精度良くウエハ上に転写することが可能になり、高集積度のマイクロデバイスの生産性(歩留まりを含む)を向上させることができる。特に、光源にF2レーザ光源等の真空紫外光源を用いる場合には、投影光学系の解像力の向上とあいまって、例えば最小線幅が0.1μm程度のであってもその生産性の向上が可能である。
【0261】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る露光方法によれば、重ね合わせ精度を良好に維持した露光を行うことができるという効果がある。
【0262】
また、本発明に係るデバイス製造方法によれば、マイクロデバイスの生産性を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の露光方法を実施するための第1の実施形態に係るリソグラフィシステムの構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の露光装置1001の概略構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態において、基準ウエハを用いて補正マップから成るデータベースを作成する際の主制御系20内のCPUの制御アルゴリズムを概略的に示すフローチャートである。
【図4】リソグラフィシステム110によるウエハの露光処理に関する全体的なアルゴリズムを概略的に示すフローチャートである。
【図5】図4のサブルーチン268において、同一ロット内の複数枚のウエハWに対して第2層目(セカンドレイヤ)以降の層の露光処理を行う場合の露光装置1001の主制御系20内のCPUの制御アルゴリズムを示すフローチャートである。
【図6】図5のサブルーチン301の処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】式(3)の評価関数の意味内容を説明するためのウエハWの平面図である。
【図8】図7に示されるウエハに対応する具体的な評価関数W1(s)の一例を示す線図である。
【図9】図4のサブルーチン270において、同一ロット内の複数枚のウエハWに対して第2層目(セカンドレイヤ)以降の層の露光処理を行う場合の露光装置1001の主制御系20内のCPUの制御アルゴリズムを示すフローチャートである。
【図10】欠けショット領域における非線形歪みを推定する方法を説明するための図である。
【図11】重みW(ri)の分布として仮定されたガウス分布の一例を示す線図である。
【図12】本発明の第2の実施形態において、第1補正マップの作成の際の主制御系20内のCPUの制御アルゴリズムを簡略化して示すフローチャートである。
【図13】本発明の第2の実施形態において、図4のサブルーチン270における、同一ロット内の複数枚のウエハWに対して第2層目(セカンドレイヤ)以降の層の露光処理を行う場合の露光装置1001の主制御系20内のCPUの制御アルゴリズムを示すフローチャートである。
【図14】基準ウエハWF1を示す平面図である。
【図15】図14の円F内の拡大図である。
【図16】本発明に係るデバイス製造方法の一実施形態を説明するためのフローチャートである。
【図17】図16のステップ604の詳細な処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1001〜100N……露光装置、W…ウエハ(基板)、WF1…基準ウエハ(基準基板)、SBu…マーク領域、Sj…ショット領域(区画領域)。

Claims (9)

  1. 基板上の複数の区画領域を順次露光して各区画領域に所定のパターンを形成する露光方法であって、
    前記基板上の複数の特定区画領域の選択に関する条件を少なくとも含む前記基板に関連する少なくとも2種類の条件のそれぞれについて、特定基板上の複数の区画領域の各々について各区画領域に対応して設けられるマークを検出し、該検出結果を用いて個別の基準位置に対する位置ずれ量をそれぞれ求め、前記特定基板上の複数の特定区画領域に対応するマークを検出して得られる実測位置情報を用いて統計演算により前記各区画領域の前記位置情報を算出し、該位置情報と前記各区画領域の前記位置ずれ量とに基づいて、前記各区画領域の個別の基準位置に対する位置ずれ量の非線形成分を補正するための補正情報から成る少なくとも2種類の補正マップを、予め作成するマップ作成工程と;
    露光に先立って、特定の区画領域の選択情報を少なくとも含む指定された条件に対応する補正マップを選択する選択工程と;
    前記基板上の複数の特定区画領域それぞれに対応して設けられた複数のマークを検出して得られる実測位置情報に基づいて統計演算により前記各区画領域の所定点との位置合わせに用いられる位置情報を求め、該位置情報と前記選択された補正マップとに基づいて、前記基板を移動して前記各区画領域を露光する露光工程と;を含む露光方法。
  2. 前記特定基板は、基準基板であることを特徴とする請求項に記載の露光方法。
  3. 前記露光工程では、前記基板上の露光対象の区画領域に、周辺の区画領域であって前記補正マップにその補正情報が含まれていない欠け領域が含まれている場合には、前記補正マップ中の前記欠け領域に隣接する複数の区画領域の補正情報を用いて、ガウス分布を仮定した重み付け平均演算により、前記欠け領域の補正情報を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の露光方法。
  4. 基板上の複数の区画領域を順次露光して各区画領域に所定のパターンを形成する露光方法であって、
    基準基板上の複数のマークを検出して各マークに対応するマーク領域の位置情報を計測する工程と;
    前記計測された位置情報を用いて統計演算により前記各マーク領域の設計値に対する位置ずれ量の線形成分が補正された計算上の位置情報を算出する工程と;
    前記計測された位置情報と前記計算上の位置情報とに基づいて、前記各マーク領域の設計値に対する位置ずれ量の非線形成分を補正するための補正情報を含む第1補正マップを作成する工程と;
    露光に先立って、指定された区画領域の配列に関する情報に基づいて、基板上の部分領域について非線形歪みの規則性や程度を所定の評価関数を用いて評価した評価結果に基づいて最適化された単一の補完関数と前記各マーク領域の補正情報とに基づいて、前記各区画領域の基準位置毎に、補完演算を行うことにより、前記第1補正マップを前記各区画領域の個別の基準位置からの位置ずれ量の非線形成分を補正するための補正情報を含む第2補正マップに変換する工程と;
    前記基板上の複数のマークを検出して得られる実測位置情報に基づいて統計演算により前記区画領域それぞれの所定点との位置合わせに用いられる位置情報を求め、前記位置情報と前記第2補正マップとに基づいて、前記基板を移動して前記各区画領域を露光する露光工程と;を含む露光方法。
  5. 投影像の歪みを補正可能な露光装置を少なくとも1つ含む複数の露光装置を用いて複数枚の基板上の複数の区画領域を順次露光して各区画領域に所定のパターンをそれぞれ形成する露光方法であって、
    予め測定した前記基板と同一のプロセスを経た少なくとも1枚の特定基板についての重ね合わせ誤差情報を解析する解析工程と;
    前記解析結果に基づいて、前記特定基板上の各区画領域の位置ずれ量に異なる平行移動成分を含む区画領域間の誤差が支配的であるか否かを判断する第1判断工程と;
    前記第1判断工程において前記区画領域間の誤差が支配的であると判断された場合には、前記区画領域間の誤差が所定値を越える非線形成分を含むか否かを判断する第2判断工程と;
    前記第2判断工程において前記区画領域間の誤差が所定値を越える非線形成分を含まないと判断された場合に、前記任意の露光装置を用いて、前記基板上の複数の特定区画領域に対応するマークを検出して得られる実測位置情報を用いて統計演算により前記基板上の各区画領域の所定点との位置合わせに用いられる位置情報を算出し、該位置情報に基づいて基板を移動して前記各基板上の複数の区画領域を順次露光して各区画領域に前記パターンを形成する第1露光工程と;
    前記第2判断工程において前記区画領域間の誤差が所定値を越える非線形成分を含むと判断された場合に、前記区画領域間の誤差を補正した状態で基板を露光可能な露光装置を用いて前記各基板上の複数の区画領域を順次露光して各区画領域に前記パターンを形成する第2露光工程と;
    前記第1判断工程において前記区画領域間の誤差が支配的でないと判断された場合には、前記投影像の歪みを補正可能な露光装置の1つを選択し、該選択した露光装置を用いて前記各基板上の複数の区画領域を順次露光して各区画領域に前記パターンを形成する第3露光工程と;を含む露光方法。
  6. 前記第2判断工程において前記区画領域間の誤差が所定値を越える非線形成分を含むと判断された場合に、前記区画領域間の誤差を補正した状態で基板を露光可能な任意の1つの露光装置を選択して露光を指示する選択工程と;
    該露光が指示された露光装置による露光対象の基板が属するロットを含む複数のロットにおける重ね合わせ誤差の大小を判断する第3判断工程と;を更に含み、
    前記第2露光工程では、
    前記各基板上の複数の区画領域を順次露光して各区画領域に前記パターンを形成するに際し、前記判断の結果、ロット間の重ね合わせ誤差が大きいと判断された場合に、前記露光装置が、そのロットの先頭から所定数枚の基板については、前記基板上の複数のマークを検出して得られる実測位置情報を用いて統計演算により所定点との位置合わせに用いられる位置情報を算出するとともに、所定の関数を用いて前記各区画領域の所定の基準位置との位置ずれ量の非線形成分を算出し、前記算出された位置情報及び前記非線形成分に基づいて前記基板を移動し、残りの基板については、前記基板上の複数のマークを検出して得られる実測位置情報を用いて統計演算により所定点との位置合わせに用いられる位置情報を算出し、該位置情報と前記算出された非線形成分とに基づいて前記基板を移動し、
    前記判断の結果、ロット間の重ね合わせ誤差が大きくないと判断された場合には、ロット内の各基板について、基板上の複数のマークを検出して得られる実測位置情報を用いて統計演算により所定点との位置合わせに用いられる位置情報を算出するとともに、該位置情報と予め作成した基板上の複数の区画領域各々の個別の基準位置に対する位置ずれ量の非線形成分を補正するための補正情報から成る補正マップとに基づいて前記基板を移動することを特徴とする請求項に記載の露光方法。
  7. 複数の露光装置を用いて複数枚の基板上の複数の区画領域をそれぞれ露光して各区画領域にパターンを形成する露光方法において、
    前記基板を露光する露光装置の重ね合わせ誤差情報に基づき、前記基板上で区画領域間の誤差が支配的であるときには第1アライメントモードを選択し、かつ前記区画領域間の誤差が支配的でないときには前記第1アライメントモードと異なる第2アライメントモードを選択し、
    前記選択されたアライメントモードに基づいて、前記基板上の複数のマークをそれぞれ検出して得られる位置情報から前記各区画領域の位置情報を決定することを含み、
    前記区画領域間の誤差が支配的でないとき、前記区画領域内の誤差が所定値を超える非線形成分を含むか否かを判断し、該判断が否定されたときは前記第2アライメントモードを用いて前記基板を露光するとともに、前記判断が肯定されたときは前記区画領域内の誤差の非線形成分を補正可能な露光装置で前記基板の露光を行うことを特徴とする露光方法。
  8. 前記区画領域間の誤差が所定値を越える非線形成分を含むとき、前記基板又はこれと異なる基板上の複数のマークを検出して得られる位置情報に基づいて、前記各区画領域で決定された位置情報の補正に用いられる非線形成分を算出し、前記第1アライメントモードで前記各区画領域を露光するときに前記算出された非線形成分を用いることを特徴とする請求項に記載の露光方法。
  9. リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、
    前記リソグラフィ工程では、請求項1〜のいずれか一項に記載の露光方法を用いて露光を行うことを特徴とするデバイス製造方法。
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