以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の伸縮シートの一実施形態の一部破断斜視図が示されている。本実施形態の伸縮シート10は、第1の不織布11及び第2の不織布12の計2枚の不織布と、両不織布間に配された弾性体としての多数の弾性フィラメント13とから構成されている。第1の不織布11と第2の不織布12は、同種のものでもよく、或いは異種のものでもよい。ここで言う同種の不織布とは、不織布の製造プロセス、不織布の構成繊維の種類、構成繊維の繊維径や長さ、不織布の厚みや坪量等がすべて同じである不織布どうしを意味する。これらのうちの少なくとも一つが異なる場合には異種の不織布であるという。
各不織布11,12は何れも伸長可能なものである。各不織布11,12は、弾性フィラメント13の延びる方向と同方向に伸長可能になっている。伸長可能とは、(イ)不織布11,12の構成繊維自体が伸長する場合と、(ロ)構成繊維自体は伸長しなくても、交点において結合していた繊維どうしが離れたり、繊維どうしの結合等により複数本の繊維で形成された立体構造が構造的に変化したり、構成繊維がちぎれたりして、不織布全体として伸長する場合とを包含する。
各不織布11,12は、弾性フィラメント13と合流前の原反の状態で既に伸長可能になっていてもよい。或いは、弾性フィラメント13と合流される前の原反の状態では伸長可能ではないが、弾性フィラメント13と合流された後に伸長可能となるように加工が施されて、伸長可能になるものである。不織布を伸長可能にするための具体的な方法としては、熱処理、ロール間延伸、歯溝やギアによるかみ込み延伸、テンターによる引張延伸などが挙げられる。後述する伸縮シート10の好適な製造方法に鑑みると、弾性フィラメント13を不織布11,12間に配するときの該不織布11,12の搬送性が良好になる点から、不織布11,12はその原反の状態では伸長可能でないことが好ましい。
各不織布11,12は伸長可能であり、且つ実質的に非弾性である。弾性とは、伸ばすことができ且つ伸ばした力から解放したときに収縮する性質であるところ、各不織布11,12は、かかる性質を有していない。各不織布11,12が弾性を有するためには、その構成繊維として弾性樹脂を含む繊維が必要となるが、弾性樹脂を含む繊維は、不織布の風合いを低下させる一因となるべたつき感を呈する傾向にある。したがって本実施形態においては、各不織布11,12を実質的に非弾性となして、その風合いの低下を防止している。
各弾性フィラメント13は、伸縮シート10の全長にわたって実質的に連続しており、直線状に延びている。弾性フィラメント13は弾性樹脂を含んでいる。各弾性フィラメント13は、互いに交差せずに一方向に延びるように配列している。但し、伸縮シート10の製造条件の不可避的な変動に起因して、意図せず弾性フィラメント13が交差することは許容される。弾性フィラメント13の延びる方向は、第1及び第2の不織布11,12の製造時の流れ方向と一致していてもよく、或いは不織布11,12の製造時の流れ方向と直交していてもよい。後述する好適な製造方法に従い伸縮シート10を製造すると、弾性フィラメント13の延びる方向は、第1及び第2の不織布11,12の製造時の流れ方向と一致する。
弾性フィラメント13は、実質的に非伸長状態で不織布11,12に配されている。弾性フィラメント13が伸長していないため(ここでいう伸長していないとは実質的に伸長していない状態であり搬送のための最低限の伸長は許容される)、伸長による緩和(クリープ)が起こらず、該弾性フィラメント13を不織布11,12間に配した後の原反保存時や延伸等の加工後に、伸縮性の低下がないという利点がある。また、巻き取られた原反の巻き締まりによる変形もない。更に、例えば弾性フィラメント13を2倍に伸長させて実質的に伸長可能でない不織布11,12間に配した場合に、初期の1.3倍まで仮に戻ったとすると、この状態からは1.7倍までしか伸ばすことができないが、非伸長状態で不織布11,12間に配した場合には、伸縮シートを伸長させたときの初期原点が異なるので、不織布11,12の伸長可能な長さまで又は弾性フィラメント13の最大伸度まで伸ばすことが可能となるという利点がある。また、弾性フィラメント13が実質的に非伸長状態で不織布11,12に配されていることに起因して、伸縮シート10には外観上目立つギャザーが形成されていない。
弾性フィラメント13は、糸状の合成ゴム糸や天然ゴムであり得る。或いは乾式紡糸(溶融紡糸)や、湿式紡糸によって得られたものであり得る。このうち、後述する好適な製造方法に鑑みると、弾性フィラメントを巻き取った場合のブロッキングに起因してハンドリング性が低下することや、弾性フィラメントを狭ピッチで並べるのが困難であることから、弾性フィラメント13は、これを一旦巻き取ることなしに直接溶融紡糸によって得られたものであることが好ましい。
弾性フィラメント13は、未延伸糸を延伸して得られたものであることが好ましい。延伸することで、弾性フィラメント13を構成する高分子が、該弾性フィラメント13の長さ方向に分子配向するので、後述する50%伸長時の行き/戻り比が高まり、ヒステリシスロスが小さくなる。また、延伸によって細い弾性フィラメントが得られる。この観点から、弾性フィラメント13は、1.1〜400倍、特に4〜100倍に延伸されたものであることが好ましい。ここでいう延伸は、溶融状態又は軟化状態で行われ、固化した状態では非伸長状態となるものである。これに対して、先に述べた特許文献2においては、ダイから溶融状態で押し出された弾性ストランドが未延伸の状態でシートに接合されるので、該弾性ストランドのヒステリシスロスは十分に高いものとはならない。
特に、弾性フィラメント13は、弾性樹脂が溶融又は軟化した状態で延伸されて形成されたものであることが好ましい。弾性樹脂が溶融又は軟化した状態で延伸されることで、弾性フィラメントの低ピッチ化、細径化が可能になる。本実施形態における延伸の具体的な操作としては、(イ)弾性フィラメント13の原料となる樹脂を溶融紡糸して一旦未延伸糸を得、その未延伸糸の弾性フィラメントを再度加熱して軟化温度(ハードセグメントのガラス転移点温度Tg)以上の状態で延伸する操作や、(ロ)弾性フィラメント13の原料となる樹脂を溶融紡糸して得られた溶融状態の繊維を直接延伸する操作が挙げられる。後述する好適な製造方法に従い伸縮シート10を製造すると、弾性フィラメント13は、溶融紡糸して得られた溶融状態の繊維を直接延伸することで得られる。
延伸により得られた弾性フィラメント13は、その直径が10〜200μm、特に20〜130μmであることが好ましい。この範囲は、伸縮シート10の風合いや、弾性フィラメント13の生産性を考慮して決定されたものである。詳細には、弾性フィラメント13の直径が大きすぎると、伸縮シート13に触れたときに、弾性フィラメント13に起因する段差が知覚されやすくなってしまう。この段差は、伸縮シート10の風合いにマイナスに作用するものである。この観点からは、弾性フィラメント13の直径は小さいほど、各不織布11,12の風合いのみが知覚されやすくなるので好ましい。また、弾性フィラメント13に隠蔽性を持たせる意味でも細い方が好ましい。更に、後述する歯溝ロールによる延伸において、弾性フィラメント13の直径を歯溝ロール間の歯と歯のクリアランス以下(好ましいクリアランスとしては歯の耐久性を高める点と噛み込み量による延伸倍率を高くする点でクリアランスが小さくなり、250μm以下、より好ましくは200μm以下である)にすることで延伸時に弾性フィラメント13へダメージ(亀裂や切断)を与えないためにも細い方が好ましい。弾性フィラメント13の直径と前記のクリアランスとの比は0.2〜1、特に0.2〜0.5が好ましい。尤も、弾性フィラメント13が細径になる程その製造が容易でなくなる。これらを考慮すると、弾性フィラメント13の直径は前記の範囲内であることが好ましい。
上述の段差を発生させないようにする観点から、伸縮シート10の厚みに対する弾性フィラメント13の伸縮シートの厚み方向の直径の割合は、1〜30%、特に5〜12%であることが好ましい。
弾性フィラメント13は、その断面が円形であり得るが、場合によっては楕円形の断面のこともある。例えば後述する製造方法に従い伸縮シート10を製造する場合には、弾性フィラメント13の断面は楕円形になりやすい傾向にある。この場合、伸縮シート10中において、弾性フィラメント13は、楕円形の長軸が伸縮シート10の平面方向と同方向になり、且つ短軸が伸縮シート10の厚さ方向と同方向になるように配置されることが好ましい。
弾性フィラメント13の断面が楕円形である場合、長軸/短軸の比率(平均偏平率)は1.0〜5.0、特に1.1〜2.0であることが、伸縮特性が良好になる点、及び伸縮シート11の隠蔽性が増す点から好ましい。断面が楕円形である弾性フィラメント13は、その長軸方向が、伸縮シート11の平面方向とほぼ一致するように配されている。なお、弾性フィラメント13の断面が楕円形である場合、弾性フィラメント13の直径とは、長軸径と短軸径を数平均したものを意味する。
弾性フィラメント13は、第1及び第2の不織布11,12の色と異なる色に着色されていることも好ましい。これによって、弾性フィラメント13が第1の不織布11及び/又は第2の不織布12越しに透けて見えて、伸縮シート10が縞模様を呈するようになるという意匠的な効果が奏される。このような効果は、特に各不織布の厚み及び坪量が後述する範囲内であると一層顕著なものとなる。
伸縮シート10が十分な伸縮性を発現する観点から、布様の良好な風合いを発現させる観点、及び必要に応じ上述の意匠的な効果を発現させる観点、隣り合う弾性フィラメント13のピッチ(つまり、弾性フィラメント13の延びる方向と直交する方向における該弾性フィラメント13のピッチ)は、該弾性フィラメント13の直径が上述した範囲であることを条件として、0.5〜10mm、特に1〜5mmであることが好ましい。隣り合う弾性フィラメント13のピッチは定ピッチでもよく、或いは不定ピッチでもよい。伸縮性シート10においては、弾性フィラメント13がその両端部以外の部位において不織布11,12と接合していないところ、両端部において不織布11,12を必ずしも裁断する必要はなく、不織布11,12は長尺状に連続していても良い。本発明において弾性フィラメント13の端部とは、伸縮シート10の伸縮方向に離間して、多数の弾性フィラメント13と不織布11,12とを、弾性フィラメント13と交差する方向にわたって接合している部位(後述する接合部14)である。したがって、伸縮シートの形態によっては、後述する図5に示すように、弾性フィラメント13に端部が3箇所以上存在することがある。
弾性フィラメント13は、その全長にわたって各不織布11,12間に配されている。ここで、「その全長にわたって配されている」とは、弾性フィラメント13は、その両端部以外の部位では不織布11,12の構成繊維と意図的に接合されておらず、不織布11,12と弾性フィラメント13が単に積層されている状態のことをいう。なお「接合されておらず」の意味は先に述べたとおりである。弾性フィラメント13は、その両端部のみで不織布11,12と結合している。接合の様式としては、例えば融着、接着剤による接着などが挙げられる。図1においては、弾性フィラメント13の一方の端部と不織布11,12との接合部が符号14で示されている。接合部14は、弾性フィラメント13の延びる方向と交差する方向(具体的には直交する方向)に延びる帯状の形状をしている。弾性フィラメント13における、不織布11,12と非接合状態になっている部位の長さは3〜50cm、特に10〜40cmであることが、伸縮シート10に十分な伸縮特性を付与する観点から好ましい。
第1及び第2の不織布11,12は、隣り合う弾性フィラメント間の何れかの位置において互いに接合されている。隣り合う弾性フィラメント間のすべての位置において両不織布11,12が接合されていてもよいが、両不織布11,12の接合状態が十分であれば、隣り合う弾性フィラメント間のすべての位置において両不織布11,12が接合されていることは要しない。図1においては、隣り合う弾性フィラメント間で接合されている不織布11,12の接合部が符号15で示されている。図1から明らかなように、隣り合う弾性フィラメント間において、接合部15は、両不織布11,12を部分的に接合している。接合部15を図1に示すように散点状に形成して、その存在密度を低くすると、伸縮シート10を伸長させるときに、不織布11,12による伸長阻害が少なくなるので好ましい。この観点から、隣り合う弾性フィラメント13間の面積に対して、接合部15の面積の総和が5〜30%、特に10〜25%であることが好ましい。また、個々の接合部15の面積は、0.15 〜2.7mm2、特に0.9〜2.3mm2であることが好ましい。
先に述べた接合部14間の距離は、不織布11,12を接合する接合部15の幅方向のピッチ(弾性フィラメント13の延びる方向と直交する方向のピッチ)に対して十分大きいものであることが好ましい。具体的には、弾性フィラメント13の延びる方向と直交する方向での接合部15間のピッチに対して、弾性フィラメント13の延びる方向での接合部14間のピッチは、好ましくは5倍〜400倍である。
図1においては、各接合部15の形状及び面積は同じであり、規則的に配置されているが、これに代えて、種々の形状及び/又は面積の接合部15を形成してもよい。或いは接合部15を不規則に配してもよい。接合部15の形状としては、例えば円形、楕円形、多角形、星形、又はそれらの二以上の組み合わせが挙げられる。接合部15を規則的に配置する場合、接合部15間のピッチは、弾性フィラメント13の延びる方向及びそれに直交する方向において何れも0.5〜20mm、特に1〜5mmであることが好ましい。弾性フィラメント13の延びる方向(MD方向)での接合部15間のピッチと、それと直交する方向(CD方向)での接合部15間のピッチとの比(MD/CD)は、好ましくは0.5〜2、更に好ましくは1〜1.5である。
なお、散点状の接合部15を形成することに代えて、隣り合う弾性フィラメント間において、両不織布11,12が全面接合するように接合部15を形成してもよい。この場合には、両不織布11,12が接合していない部位によってスリーブ状の空間が形成され、該空間内に弾性フィラメント13が非接合状態で配される。
不織布11,12どうしの接合の様式としては、例えば融着、接着剤による接着などが挙げられる。後述する好適な製造方法に従い伸縮シート10を製造すると、両不織布11,12はエンボスロールでの融着により接合される。両不織布11,12を、エンボスロールを用いて接合させる前に、補助的な接合手段として、弾性フィラメント間の位置に接着剤を塗布することができる。或いは別の補助的な接合手段として、不織布11,12間に弾性フィラメント13を配した後に、弾性フィラメント間の位置に機械交絡(ニードルパンチ、スパンレースによる水流交絡)などを行うこともできる。場合によっては、これらの補助的な接合手段は、得られる伸縮シート10の風合いを損なったり、弾性フィラメント13にダメージを与えたりすることがある。したがって、隣り合う弾性フィラメント間での不織布11,12の接合には、エンボスロールを用いた融着を採用することが好ましい。弾性フィラメント13の両端部では、弾性フィラメント13と不織布11,12とを接合させる目的から、ヒートシール、ホットメルト接着、加熱エンボスロール、超音波接着、機械交絡、熱風交絡などを単独で又はこれらを組み合わせて採用し、接合を行うことが好ましい。
伸縮シート10は、弾性フィラメント13の延びる方向と±60度の範囲内で同方向に伸縮可能になっている。伸縮シート10の伸縮性は、弾性フィラメント13の弾性に起因して発現する。伸縮シート10を、弾性フィラメント13の延びる方向と同方向に引き伸ばすと、弾性フィラメント13並びに第1及び第2の不織布11,12が伸長する。そして伸縮シート10の引き伸ばしを解除すると、弾性フィラメント13が収縮し、その収縮に連れて第1及び第2の不織布11,12が引き伸ばし前の状態に復帰する。なお上述のとおり、伸縮シート10においては、弾性フィラメント13はその両端部以外の部位が不織布11,12に接合されていない状態であり、両端部でのみ不織布11,12に接合されている。
先に述べた特許文献1に記載のシートと異なり、本実施形態の伸縮シート10においては、弾性フィラメント13と直交ないし交差した状態で結合している他の弾性フィラメントは存在していない。したがって伸縮シート10を、弾性フィラメント13の延びる方向と同方向に引き伸ばしたときには、該伸縮シート10が幅縮みをほとんど起こさずに伸長する。つまり、伸縮シート10はその引き伸ばし状態において、その長手方向にわたり幅がほぼ一様になっている。その結果、伸縮シート10を、その伸長状態で搬送させてこれを加工するときのハンドリング性が良好になる。また、伸縮シート10を例えばパンツ型おむつの外包材として用いた場合、おむつの着用中にずれ落ちが起こったり、皺が寄ったりすることが効果的に防止される。この観点から、伸縮シート10は、これを1.5倍に伸長したときの幅縮みの割合が、伸長前の幅の90%〜99%、特に95%〜99%であることが好ましい。幅縮みは伸長後の幅を伸長前の幅で割った値として求めることができる。測定は長さ1m、幅300mmのサンプルを切り出し、伸長する両端の間隔を幅300mmに保った状態で1.5倍に伸長させて行う。伸長後の幅の測定位置は中央部とする。
次に、伸縮シート10を構成する第1及び第2の不織布11,12並びに弾性フィラメント13の構成材料について説明する。各不織布11,12を構成する繊維としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PETやPBT)、ポリアミド等からなる繊維等が挙げられる。各不織布11,12を構成する繊維は、短繊維でも長繊維でもよく、親水性でも撥水性でもよい。また、芯鞘型又はサイド・バイ・サイドの複合繊維、分割繊維、異形断面繊維、捲縮繊維、熱収縮繊維等を用いることもできる。これらの繊維は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。各不織布11,12は、連続フィラメント又は短繊維の不織布であり得る。特に、伸縮シート10を厚みのある嵩高なものとする観点からは、各不織布11,12は、短繊維の不織布であることが好ましい。伸縮シート10を、肌に接触する部材として用いる場合には、肌の接触する側に風合いの良い短繊維不織布を用い、その反対面に強度の高い連続フィラメントの不織布を用いてもよい。
各不織布11,12は、その構成繊維が低融点成分及び高融点成分の2成分以上からなることが好ましい。その場合には、少なくとも低融点成分の熱融着により、その構成繊維同士が繊維交点で接合される。低融点成分及び高融点成分の2成分以上からなる芯鞘型の複合繊維としては、芯が高融点PET、PPで、鞘が低融点PET、PP、PEのものが好ましい。特にこれらの複合繊維を用いると、両不織布間での剥離が起こりにくくなるので好ましい。
各不織布11,12の構成繊維は高伸度(例えば繊維の最大伸度が150〜400%)のものであることが、最大強度の高い伸縮シート10が得られる点で好ましい。繊維の伸度は、JIS L−1015に準拠し、測定環境温湿度20±2℃、65±5%RH、引張試験機のつかみ間隔20mm、引張速度20mm/minの条件での測定を基準する。なお、既に製造された不織布から繊維を採取して伸度を測定するときを始めとして、つかみ間隔を20mmにできない場合、つまり測定する繊維の長さが20mmに満たない場合には、つかみ間隔を10mm又は5mmに設定して測定する。
各不織布11,12の厚みは、好ましくは0.05〜5mm、更に好ましくは0.1〜1.0mm、一層好ましくは0.15〜0.5mmある。厚みの測定は、0.5cN/cm2の荷重にて平板間に挟み伸縮シートの断面をマイクロスコープにより50〜200倍の倍率で観察し、各視野において平均厚みをそれぞれ求め、3視野の厚みの平均値として求めることができる。伸縮シート全体の厚みは平板間の距離を測ることで求められる。各不織布11,12の坪量は、風合い、厚み及び意匠性等の観点から、それぞれ3〜100g/m2、特に10〜30g/m2であることが好ましい。
弾性フィラメント13は、例えば熱可塑性エラストマーやゴムなどを原料とするものである。特に熱可塑性エラストマーを原料として用いると、通常の熱可塑性樹脂と同様に押出機を用いた溶融紡糸が可能なので、本実施形態の伸縮シートに好適である。熱可塑性エラストマーとしては、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)、SEBS(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン)、SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン)等のスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー(エチレン系のα-オレフィンエラストマー、エチレン・ブテン・オクテン等を共重合したプロピレン系エラストマー)、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーを挙げることができる。これらは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。またこれらの樹脂からなる芯鞘型又はサイド・バイ・サイド型の複合繊維を用いることもできる。特にスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、又はそれらを組み合わせて用いることが、弾性フィラメント13の成形性、伸縮特性、コストの面で好ましい。
本実施形態の伸縮シート10の好ましい製造方法は次のとおりである。本製造方法においては、図2に示すように、紡糸ノズル16から紡出された、即ち溶融紡糸された溶融状態の多数の弾性フィラメント13を所定速度で引き取って延伸しつつ、該弾性フィラメント13が互いに交差せず一方向に配列するように該弾性フィラメント13を不織布11,12間に配しする。次いで弾性フィラメント13が配された2枚の不織布11,12を、隣り合う弾性フィラメント13間の位置において、熱融着により結合させて複合体19となす。更に複合体19を、弾性フィラメント13の延びる方向に沿って延伸して該不織布11,12に伸長性を付与する。更に、弾性フィラメント13と2枚の不織布11,12とを、弾性フィラメント13の延びる方向と交差する方向、例えば直交する方向に沿って接合する。
紡糸ノズル16は、紡糸ヘッド17に設けられている。紡糸ヘッド17は、押出機(図示せず)に接続されている。ギアポンプ(図示せず)を介して紡糸ヘッド17へ樹脂を供給することもできる。該押出機によって溶融混練された樹脂(弾性樹脂)は、紡糸ヘッド17に供給される。紡糸ヘッド17には、多数の紡糸ノズル16が直線状に一列に配置されている。紡糸ノズル16は、第1及び第2の不織布11,12の幅方向に沿って配置されている。隣り合う紡糸ノズル16の間隔は、目的とする伸縮シート10における弾性フィラメント13の間隔に相当する。紡糸ノズル16は通常円形であり、その直径は弾性フィラメント13の直径及び延伸倍率に影響を及ぼす。この観点から、紡糸ノズル16の直径は0.1〜2mm、特に0.2〜0.6mmであることが好ましい。不織布11,12との接合強度を高める目的、弾性フィラメント13の紡糸性を上げる目的、及び伸縮シート10の伸縮特性を向上させる目的で、弾性フィラメント13を複合の形態(サイドバイサイド、芯鞘、海島構造)とすることもできる。具体的にはPP系のエラストマー樹脂とスチレン系のエラストマー樹脂とを組み合わせることが好ましい。
紡出された溶融状態の弾性フィラメント13は、それぞれ原反から同速度で繰り出された第1の不織布11及び第2の不織布12と合流し、両不織布11,12間に配されて所定速度で引き取られる。弾性フィラメント13の引き取り速度は、両不織布11,12の繰り出し速度と一致している。弾性フィラメント13の引き取り速度は、該弾性フィラメント13の直径及び延伸倍率に影響を及ぼす。延伸によって弾性フィラメント13に生じる張力は、該弾性フィラメント13を不織布11,12間に配するときの風や静電気に起因する該弾性フィラメント13の乱れを防止する。それによって弾性フィラメントどうしを交差させずに一方向へ配列させることができる。これらの観点から、弾性フィラメント13の引き取り速度は、紡糸ノズル孔内の樹脂吐出速度に対し、その延伸倍率が1.1〜400倍、特に4〜100倍、更に10〜80倍となるように調整されることが好ましい。
弾性フィラメント13は、固化ないし半固化した状態で、第1及び第2の不織布11,12間に配されることが好ましい。固化ないし半固化した状態とは、弾性フィラメント13が不織布11,12に融着しない状態のことである。
紡出された弾性フィラメント13が、第1及び第2の不織布11,12間に配されるまでの間、該弾性フィラメント13は延伸されて延伸方向に分子が配向する。また直径が小さくなる。分子配向によって、50%伸長時強度の行き/戻り比(ヒステリシス)の小さな弾性フィラメント13が得られる。弾性フィラメント13を十分に延伸させる観点及び弾性フィラメント13の糸切れを紡糸する観点から、紡出された弾性フィラメント13に所定温度の風(熱風、冷風)を吹き付けて、該弾性フィラメント13の温度を調整してもよい。
弾性フィラメント13の延伸は、弾性樹脂の溶融状態での延伸(溶融延伸)だけでなく、その冷却過程における軟化状態の延伸(軟化延伸)であってもよい。溶融状態とは、外力を加えたとき樹脂が流動する状態である。樹脂の溶融温度は粘弾性測定による(例えば円形並行平板間に挟んだ樹脂に回転方向の振動歪を加えて測定される)Tanδのピーク温度として測定される。弾性樹脂の延伸時に糸切れが起こらないようにするために、延伸区間を長く確保することがよい。この観点から、弾性樹脂の溶融温度は130〜300℃が好ましい。また、弾性樹脂の耐熱性(成形温度)の観点から、溶融温度は130〜220℃が好ましい。軟化温度は、シート状にした弾性樹脂の測定試料の粘弾性特性におけるTg温度として測定される。軟化温度から溶融温度までの範囲を軟化状態という。軟化温度は、伸縮シート10の保存時における弾性樹脂の結晶の成長や、体温による伸縮シート10の伸縮特性の低下の観点から、60℃以上が好ましく、80℃〜180℃がより好ましい。
弾性フィラメント13が不織布11,12間に配されるときには、弾性フィラメント13は実質的に非伸長状態(外力を取り除いたときに縮まない状態)である。弾性フィラメント13が不織布11,12間に配された状態においては、不織布11,12を構成する繊維と弾性フィラメント13とは、融着することなく、両者は非接合状態になっている。このような状態になっていることで、十分な伸縮特性が得られる。得られる伸縮シート10の伸縮特性は、不織布11,12どうしの接合部15(図1参照)の形成パターンに影響を受ける。例えば接合部15を散点状に形成して、その存在密度を低くすると、不織布11,12による伸長阻害が少なくなり、且つ十分な接合強度を有する伸縮シート10が得られるので好ましい。また、延伸前の状態において、弾性フィラメント13と不織布11,12とが両端部以外の部分において接合されている場合には、両端部以外の部分における弾性フィラメント13と不織布11,12との非接合状態を、不織布11,12の延伸による接合点の外れによって達成することもできる。
弾性フィラメント13を第1及び第2の不織布11,12間に配するときには、各弾性フィラメント13が互いに交差せず一方向に配列するようにする。そして、弾性フィラメント13を第1及び第2の不織布11,12間に配した状態で、不織布11,12を一対のエンボス装置18によって挟圧する。エンボス装置18は、彫刻ロール18aと平滑ロール18bとを備えている。エンボス装置18による挟圧の条件は、得られる伸縮シート10の伸縮特性に影響を及ぼす。挟圧面積が大きいと両不織布11,12の強度が大きくなり、伸縮シート10の伸縮性が阻害される。それに起因して得られる伸縮シート10の風合いが低下しやすい。この観点から、エンボス装置18による挟圧面積は、両不織布11,12が剥離しない程度で足り、過度に高い挟圧面積は必要とされない。
エンボス装置18による挟圧の別の条件として、ロール18a,18bの温度が挙げられる。本発明者らの検討の結果、ロール18a,18bを90〜170℃に加熱した状態で挟圧を行うことが、風合いの良好な伸縮シート10が得られることが判明した。
エンボス装置18によって、不織布11と不織布12とを間欠的に部分接合したり、流れ方向に連続してストライプ状に接合しても良い。不織布11,12は、一本の弾性フィラメント13おきに、又は複数本の弾性フィラメント13おきに、該弾性フィラメント13の間で接合されていることが好ましい。後者の場合、例えば2〜5本の弾性フィラメントおきに不織布11,12の接合を行うことができる。このようにすることで、伸縮シート10にデザイン性を付与させたり、接着強度・伸縮特性を部分的に変えたりすることができるという効果が奏される。
このようにして2枚の不織布11,12間に弾性フィラメント13が配された複合体19が得られる。この複合体19は、図2に示すように一旦巻き取られる。不織布11,12として本来的に伸長性を有するものを用いた場合には、この複合体19における弾性フィラメント13の両端部を不織布11,12に接合固定することで伸縮シート10が得られる。一方、不織布11,12として本来的に伸長性を有しないものを用いた場合には、該不織布11,12を含む複合体19を、弾性フィラメント13の延びる方向に沿って延伸して、該不織布11,12に伸長性を付与する操作を行う。本製造方法においては、この操作を、それぞれ歯と歯底が周方向に交互に形成された一対の歯溝ロール20,21を備えた延伸装置22を用い、複合体19をその搬送方向、即ち弾性フィラメント13の延びる方向に沿って延伸させることで行う。
図3に示すように、一旦巻き取られた複合体19は、ロールから繰り出されて延伸装置22に搬送される。延伸装置22は、一方又は双方の歯溝ロール20,21の枢支部を上下に変位させる公知の昇降機構(図示せず)を有し、歯溝ロール20,21間の間隔が調節可能になっている。本製造方法においては、各歯溝ロール20,21を、一方の歯溝ロール20の歯が他方の歯溝ロール21の歯間に遊挿され、他方の歯溝ロール21の歯が一方の歯溝ロール20の歯間に遊挿されるように組み合わせ、その状態の両歯溝ロール20,21間に、複合体19を挿入してこれを延伸させる。
延伸装置22においては、一対の歯溝ロール20,21の両方が駆動源によって駆動するようになっていてもよく(共回りロール)、一方の歯溝ロール20又は21のみが駆動源によって駆動するようになっていてもよい(連れ回りロール)が、本製造方法においては、下側の歯溝ロール21のみが駆動源によって駆動し、上側の歯溝ロール20は駆動源に接続されておらず、歯溝ロール21の回転に伴って従動する(連れ回る)ようになっている。歯溝ロール20,21の歯形としては、一般的なインボリュート歯形、サイクロイド歯形が用いられ、特にこれらの歯幅を細くしたものが好ましい。
図4には、複合体19が延伸される状態が模式的に示されている。複合体19が歯溝ロール20,21間を通過する際には、複合体19は、歯溝ロール20,21の歯23,24に当接する領域(P3−P2間、P1−P4間)においては、ほとんど延伸されない。これに対し、駆動ロールである歯溝ロール21の歯24の歯面によって、従動ロールである歯溝ロール20の歯23の歯面に向けて押圧される領域(P2−P1間)においては、両歯20,21によって大きく延伸される。また、歯溝ロール21の歯24の先端部によって、歯溝ロール20の歯23から引き離される領域(P4−P3間)においては、前記領域(P2−P1間)程ではないが、大きく延伸される。
また複合体19は、歯溝ロール20,21の歯23,24の先端部に当接する領域(P3−P2間、P1−P4間)においては、前述のとおりほとんど延伸されないが、歯23,24の先端部によって、その径方向に、つまり複合体19の厚み方向に片押しされるので、厚み方向に薄くなる。但し領域(P3−P2間)と領域(P1−P4間)とは片押しされる方向が反対向きであるため、薄くなる方向が反対向きとなる。このような延伸プロセスによって、複合体19における両不織布11,12を効率的に延伸させ、伸長性を付与することができる。
複合体19が一対の歯溝ロール20,21によって延伸されることで、不織布11,12に伸長性が付与される。次いで複合体19は、シール装置25へ搬送される。シール装置25は、シールブロック23aを備えたシールロール23と、アンビルロール24とを備えている。これらのロール23,24はそれぞれ所定温度に加熱されている。シールブロック23は、シールロール23の軸方向に沿って一対設けられている。各シールブロック23は、シールロール23の中心に対して180度対向する位置に設けられている。複合体19がシールロール23とアンビルロール24との間を通過すると、シールブロック23とアンビルロール24との挟圧力及び熱によって、複合体19の幅方向に延びる接合部14が形成される。接合部14において、2枚の不織布11,12と弾性フィラメント13とが接合固定される。接合部14は、複合体19の長手方向に一定の間隔をおいて形成される。延伸装置22とシール装置25とは、その設置の順序が反対でもよい。即ち、先ずシール装置25によって、複合体19の幅方向に延びる接合部14を形成し、次いで延伸装置22によって不織布11,12を延伸させてもよい。尤も、延伸後にシールを行うことが、ピッチを合わせる点で好ましい。
接合部14が形成された複合体19は次いで、裁断装置28へ搬送される。裁断装置28は、ロータリーダイカッター26とアンビルロール27とを備えている。これらのロール26,27はそれぞれ所定温度に加熱されているか、又は加熱されていない。裁断装置28では、前述のシール装置25において形成された接合部14の位置において、複合体19がその幅方向へ裁断される。裁断は、接合部14が縦に略二分されるように、その幅方向の中央部の位置において行われる。
以上の操作によって目的とする伸縮シート10が得られる。前記の延伸加工によって、伸縮シート10の厚みは、延伸加工前の複合体19の厚みに対して1.1倍〜4倍、特に1.3倍〜3倍に増すことが好ましい。これによって、両不織布11,12の構成繊維が塑性変形して伸びることで繊維が細くなる。これと同時に、両不織布11,12が一層嵩高となり、肌触りが良く、クッション性が良好になる。
このようにして得られた伸縮シート10は、弾性フィラメント13の延びる方向に沿って100%伸長させ、その状態から50%戻したときの荷重A(以下、50%戻り強度ともいう)と、弾性フィラメント13の延びる方向に沿って50%伸長させたときの荷重B(以下、50%行き強度ともいう)との比(A/B)が50%以上、特に65%以上となることが、十分な伸縮特性の発現の点から好ましい。
また、具体的な用途にもよるが、伸縮シート10は、その全体の坪量が10〜150g/m2、特に25〜50g/m2であることが好ましい。伸縮シート10の厚みに関しては、0.05〜5mm、特に0.5〜2mmであることが好ましい。伸縮シート10の厚みは、先に述べた各不織布11,12の厚みの測定と同様の方法で測定される。
本実施形態の伸縮シート10は、先に述べたとおりパンツ型使い捨ておむつの外装シートとして好適に用いられる。またこの用途以外に、その良好な風合いや、毛羽立ち防止性、伸縮性、通気性等の利点を生かし、外科用衣類や清掃シート等の各種の用途に用いることもできる。特に生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品の構成材料として好ましく用いられる。該構成材料としては、例えば、吸収体よりも肌側に位置する液透過性のシート(サブレイヤー等を含む)である表面シートや、使い捨ておむつの外面を構成するシート、胴回り部やウエスト部、脚周り部等に弾性伸縮性を付与するためのシート等が挙げられる。また、ナプキンの伸縮性ウイングを形成するシート等として用いることができる。また、それ以外の部位であっても、伸縮性を付与したい部位等に用いることができる。伸縮シート10の坪量や厚みは、その具体的な用途に応じて適切に調整できる。例えば吸収性物品の構成材料として用いる場合には、坪量20〜60g/m2程度、厚み0.5〜1.5mm程度とすることが望ましい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態においては、弾性フィラメント13はすべて同径で、等ピッチで配置されていたので、伸縮シート10のどの部分をとっても伸長応力は同じになっていた。しかし、これに代えて、弾性フィラメントの伸長方向における伸長応力が異なる2以上の領域からなるように伸縮シートを構成してもよい。2つ以上の該領域は、該伸長方向に対してほぼ並列配置されている。この場合、伸長応力が異なる各領域間では、隣り合う弾性フィラメントのピッチが異なっているか、及び/又は、弾性フィラメントの直径が異なっている。それによって各領域間での伸長応力を異ならせることができる。伸縮シートの製造時に、2種以上の異なる樹脂を、任意の紡糸ノズルに導入して紡糸を行うことでも、各領域間での伸長応力を異ならせることができる。
また前記実施形態においては、接合部14は、伸縮シート10に2箇所形成されていたが、これに代えて、3箇所以上の接合部14を形成してもよい。
伸縮シート10に部分的にエンボス加工を行ったり、弾性フィラメント13を部分的にカットしたり部分的に熱シールしたりすることもできる。これらの操作は、伸縮シート10に伸縮しない部分を形成する目的等で行われる。或いは、他の部材と貼り合わせたり、デザイン性を持たせたりする目的でも行う。
また、前記の延伸操作における延伸方向は不織布11,12の流れ方向のみでなく、例えば斜めであっても良い。更に、2種以上の延伸方法を組み合わせたり、段階的に延伸倍率を上げたり、部分的に延伸を行ったりすることもできる。延伸方向は一方向のみでなく、直交する二方向であってもよい。一方向に伸縮する不織布とこれに直交する方向に伸縮する不織布とを接合して、伸縮シートの全方向に伸縮性を付与することもできる。
また前記実施形態の製造方法においては、複合体19の延伸加工に一対の歯溝ロール20,21を備えた延伸装置を用いたが、これに代えてテンターを備えた延伸装置を用いて延伸加工を行ってもよい。
また前記の製造方法においては、製造された複合体19を一旦巻き取り、その後に巻き取られた複合体19を繰り出して、延伸、シール、裁断を行ったが、これに代えて、複合体19の製造から延伸、シール、裁断までを一連の工程として行ってもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
図2及び図33に示す装置を用いて図1に示す構造の伸縮シートを製造した。第1及び第2の不織布11,12としては、坪量20g/m2のエアスルー不織布を用いた。この不織布の構成繊維は直径19μm、最大伸度180%、繊維長44mmの芯鞘型複合繊維(芯:PET、鞘:PE)であった。弾性フィラメント13の原料樹脂としては、SEPS樹脂(重量平均分子量5万、MFR60g/分(230℃、2.16kg))からなるエラストマーを用いた。紡糸条件は、紡糸ヘッド17の温度270℃、紡糸ノズル16の径400μm、紡糸ノズル16のピッチ1mm、延伸倍率11倍とした。2枚の不織布を接合させるためのエンボスロールとしては、円形の凸状ドットが格子の交点の位置に配置されたものを用いた。ドットの配置は、ロールの軸方向のピッチが2mm、円周方向のピッチが2mmであった。ドットの面積の総和は、ロール周面の面積の約10%であった。エンボスロールの対ロールとしては、スチールロール(鏡面仕上)を用いた。両ロールの加熱温度は128℃、接圧は5kg/cmとした。エンボスロールによる2枚の不織布の接合は、隣り合う弾性フィラメント間のすべて部位において行った。得られた複合体19における弾性フィラメント13と接合部15との位置関係を図6(a)に示す。得られた複合体19における弾性フィラメント13の直径は120μmであった。弾性フィラメント13の坪量は8g/m2であった。
複合体19の延伸加工は、歯と歯底が軸長方向に交互に形成された一対の歯溝ロール20,21を備えた延伸装置22を用いて行った。歯間及び歯底間のピッチはそれぞれ2.0mmであった(噛み合った状態での歯間のピッチPは1.0mmとなる)。上下の歯溝ロールの押し込み量を調整し、延伸倍率3.0倍にて、弾性フィラメント13の延びる方向に複合体19を延伸させた。延伸後、2枚の不織布と弾性フィラメントとを、加圧下に熱シールした。シール幅は3mmとした。シールのピッチは15cmとした。次いで熱シールした部分が縦に二分されるように複合体19をその幅方向にわたって裁断した。これにより弾性フィラメントの延びる方向に伸縮する坪量47g/m2の伸縮シート10が得られた。得られた伸縮シート10は、不織布越しに弾性フィラメント13に起因する縞模様を呈していた。また、伸縮シート10における弾性フィラメント13は、該シート10の平面方向に長軸を有する楕円形の断面を有しており、長軸/短軸の比は1.2であった。1.5倍伸長時の幅縮みは96%であった。
〔実施例2〕
弾性フィラメントを紡糸するための紡糸ヘッドとして、ノズルのピッチが、1mmと2mmとが交互に配置されたものを用いた。またエンボスロールとして、円形の凸状ドットが、ロールの軸方向にピッチ3mmで、円周方向にピッチ3mmで配置されたものを用いた。2枚の不織布を接合するための接合部15は、2本の弾性フィラメントおきに形成された。得られた複合体19における弾性フィラメント13と接合部15との位置関係を図6(b)に示す。これら以外は実施例1と同様にして伸縮シートを得た。
〔比較例1〕
特許文献1に記載の方法に従い伸縮シートを製造した。即ちCONWED社の伸縮ネット(坪量45g/m2)を用い、第1及び第2の不織布11,12として坪量15g/m2のエアスルー不織布を用いた。この不織布の構成繊維は、直径17μm、最大伸度30%、繊維長44mmの芯鞘型複合繊維(芯:PET、鞘:PE)であった。120℃と70℃にそれぞれ加熱した金属プレス機を用い、これらを約10kg/cm2の圧力にて10秒間熱/圧力結合を行った。得られたシートを、大径部と小径部とが軸長方向に交互に形成された一対の凹凸ロール(噛み合った状態での歯間のピッチPは1.0mm)を備えた延伸装置を用いてMD方向へ3.5倍延伸した。延伸の程度は、上下の凹凸ロールの押し込み量を調整することでコントロールした。得られた伸縮シートの単位坪量当たりの50%戻り強度は2.2cN/50mm/g/m2となり低いものであった。
〔比較例2〕
市販品ベビー用おむつに使用されている伸縮部材を切り取り、評価を行った。伸縮部材における糸ゴムはウレタン弾性糸であり、その平均坪量は約20g/m2であった。弾性糸のピッチは約6mmであり、ホットメルトで全面固定されていた。なお、本例では市販品を用いたので評価のサイズが他と合わず、そのため数値は換算した。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた伸縮シートについて、50%戻り強度/50%行き強度、50%戻り強度、不織布間の剥離強度、伸縮シートの幅縮み率、風合い、外観を以下の方法で測定、評価した。また伸縮シート及び不織布の厚みを上述の方法で測定した。それらの結果を以下の表1に示す。
〔50%戻り強度/50%行き強度、50%戻り強度〕
伸縮シートを、その伸縮方向へ200mm、それと直交する方向へ50mmの大きさで切り出し試験片を得た。株式会社オリエンテック製:テンシロン RTC1210Aに試験片をチャック間距離:150mmで装着した。試験片をその伸縮方向へ300mm/分の速度で伸長させた。50%伸長させた時点での荷重を記録し、その値を50%行き強度とした。引き続き試験片を100%まで伸長させ、次いで戻り方向(収縮方向)へ同速度で収縮させ、50%伸長させた状態とした。その時点の荷重を記録し、50%戻り強度とした。
〔不織布間の剥離強度〕
伸縮シートを、その伸縮方向へ150mm、それと直交する方向へ25mmの大きさで切り出し試験片を得た。試験片の端から約30mmを剥がし、引張試験機(株式会社オリエンテック製、テンシロン、RTC1210A)に試験片をチャック間距離30mmで装着した。試験片をその伸縮方向へ300mm/分の速度で100mm剥離させた。その剥離間最大点荷重5点の平均値を剥離強度とした。
〔伸縮シートの幅縮み率〕
伸縮シートを、その伸縮方向へ200mm、それと直交する方向へ100mmの大きさで切り出し試験片を得た。試験片における伸縮方向の両端をガムテープで止めた(テープ代は25mm)。そのテープ間距離は150mmとした。片方のテープを台に貼り付けてからもう片方のテープを伸長方向に伸ばし、伸び止まりするところで台に貼り付け、試験片の中央部の幅を測定した。その値と元の寸法(100mm)の比率を伸縮シートの幅縮み率とした。
〔風合い〕
女性モニター10人に、伸縮シートが見えない暗箱内で、該伸縮シートの風合いの評価を、温度:25℃、湿度:40%の環境下で行わせた。各モニターの評価に応じて、下記の点数を付け、モニター10人の平均点(小数点以下を四捨五入)を風合いの評価点とした。
5点:風合いが良い。
4点:風合いがやや良い。
3点:普通。
2点:風合いがやや悪い。
1点:風合いが悪い。
〔外観〕
モニター10人に、該伸縮シート、比較例1,2の試作品、ベビー用おむつ市販品の伸縮シート4点の外観評価をシート状態で実施した。評価点の付け方は上記風合いの評価点と同様。
5点:好み。
4点:やや好み。
3点:普通。
2点:やや嫌い。
1点:嫌い。
表1に示す結果から明らかなように、各実施例の伸縮シートは、比較例の伸縮シートに比べて伸縮特性が良好であることが判る。また厚みがあり良好な風合いを有することが判る。更に各実施例の伸縮シートは、弾性フィラメントが互いにほぼ交差せず、且つ互いに接触せずに離間配置されていた。これに対して比較例1の伸縮シートは弾性体がプレスにより潰れネットが目立つと共に、ネットの光沢があり外観が良好とは言えなかった。