JP4868832B2 - 体液吸収物品 - Google Patents
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Description
また、衛生材料においては装着感の点から漏れの他にもムレが少ないことが求められている。従来、着用中の湿度上昇を抑えてムレを低減した吸収性物品が提案されている(例えば特許文献22及び特許文献23参照。)。これらの公報に記載の技術は、吸収体中に絶乾パルプ、多量の高吸収性ポリマー、シリカゲルや塩化リチウム等の吸湿性を有する材料を含有させ、更に透湿性のバックシートを組み合わせたものである。また、透湿バックシートを用いた吸収性物品もある(例えば特許文献24参照。)。透湿性を有する2枚のシートを組み合わせることにより、圧力下においても、その透湿バックシートを通しての液の染み出しがないようにした技術である。しかし、これらの技術においても、排泄された体液が、紙やパルプの繊維間中に固定されていない液として残るため、体液の排泄量が多い場合においては、固定されていない液から水蒸気が生じてムレが生じ易い。また、疑似血液の平衡吸収膨潤後の遠心保持容量及び疑似血液の透過速度がそれぞれ所定値以上の吸収体を用いることにより、該吸収体からの液戻りを防止するようにした生理用ナプキン(例えば特許文献25参照。)や、嵩高性のセルロース繊維を混合して抄紙した、液体が最初に接する表面層とこれに重層する一以上の基盤層とを有する多層の吸収紙(例えば特許文献26参照。)、高吸収性ポリマーと嵩高性のセルロース繊維とを含む吸収性シートに、親水性の微細繊維又は親水性の微細粉体を含有させた吸収性シート(例えば特許文献27参照。)も提案されている。しかし、これらの公報にも、排泄量(液の吸収量)が多い場合においても、水蒸気の発生を顕著に抑制でき、ムレの発生を顕著に抑制できる吸収性物品の構成について何ら記載されていない。ムレの発生を抑える方法として、吸収層に水保持量の少ない繊維を用いる方法もある(例えば特許文献28参照。)。この方法では確かにムレは少なくなるが、繊維が吸収体としてほとんど働かないため、吸収速度の遅い吸水性樹脂の吸収に頼ることになり、吸収速度が遅くなってしまう。また、膨潤時に繊維の膨張が少ないため、ゲルブロッキングを起こしやすく吸水性樹脂の性能を発揮しにくい。
(1)透液性シートと不透液性シートと、その間に介在する吸収性複合体から構成される体液吸収物品であり、吸収性複合体が基材とその片面又は両面に配置、接着される吸水性樹脂から構成されており、全吸収性複合体重量に対して樹脂比率80質量%以上99質量%以下、樹脂面積充填率20〜70%、総表面積係数0.3〜0.78、全吸水性樹脂中の50%以上が基材に接着している体液吸収物品であって、吸水性樹脂の重量平均粒子径が300〜2000μmであり、吸収性複合体の基材が、接触角が130度以下である布及び/又は紙である吸収性複合体であって、吸収性複合体の端部分が折り返されており、下記のことを特徴とする体液吸収物品。
(1)吸水性樹脂が縮合型架橋剤を用いて樹脂中の官能基と反応して架橋されている、
(2)吸水性樹脂が粒子形状を有しており、粒子の50%以上が、基材の繊維の一部を吸水性樹脂粒子中に取り込んだ形で使用することなく接着している吸収性複合体である、
(3)吸収性複合体中の吸水性樹脂の表面強度が0.1N以上5.5N以下、吸水性樹脂の無加圧の吸収倍率が55g/g以上である、
(4)吸収性複合体の基材がセルロース系である。
(2)折り返し部分に接着剤を使用することを特徴とする(1)記載の体液吸収物品。
(3)接着剤が疎水性接着剤であることを特徴とする(2)記載の体液吸収物品。
(4)接着剤がホットメルト接着剤であることを特徴とする(2)〜(3)のいずれかに記載の体液吸収物品。
(5)吸収性複合体中の吸水性樹脂が、側鎖にカルボン酸基を有した樹脂であり、吸水性樹脂中の酸基のうち50%以上がアンモニウム塩の形で中和されている(1)〜(4)のいずれかに記載の体液吸収物品。
(6)吸水性樹脂が、ポリアクリル酸塩共重合体であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の体液吸収物品。
(体液吸収物品について)
本発明における体液吸収物品とは、体液を吸収する能力をもつ物品全てを指す。本発明において吸収する体液は特に限定されず、例としては尿、経血、母乳、軟便等があげられる。物品の形状も特に限定されないが、パッド状やテープタイプ、パンツ型などが好ましく使用される。具体的な例の一つとしては、おむつや生理用ナプキン、尿取りパッド、母乳パッド等があげられる。
(折り返しについて)
本発明における吸収性複合体の端部分とは、シート状吸収体の外周部から15cm以内のことを指す。折り返しが存在する部分は、外周部から15cm以内の部分であれば特に限定はされないが、12cm以内であることが好ましく、8cm以内であることがより好ましく、5cm以内であることが更に好ましく、3cm以内であることが最も好ましい。本発明において、吸収体が折り返されているとは、吸収性物品を過剰な力がかからない程度に伸ばした状態で板に画鋲を用いて貼り付けたときに、基材平面から外れている部分が存在することをいう。折り返しの向きは、図8のように透液性シートでもよいし、図9のように不透液性シート側でもよい。また、図10のように折り返した時の平面から、更に外れる部分が存在している場合には、その部分を2回目の折り返しとする。折り返しの数は1回でもよいし、2回でもよいし、更に複数回の折り返しがあってもよい。複数回折り返したほうが漏れの防止効果は高いが、厚みが厚くなるため、形状を損なわない程度の回数を折り返しておくことが好ましい。複数回折り返す場合でも、自由に折り返しの向きや角度を決めてよい。図11のような蛇腹状に交互に折り返してもよいし、図12のように一定方向へ連続して折り返してもよい。図13のように一度折り返してある部分を、二重になるように折り返してもよい。三重やそれ以上でもよい。図14のように折り返しは平面を形成しないくてもよい。吸収性複合体の端部分に折り返しが存在すると、その部分は厚みがあるため、液体が拡散してきたときに物理的な堰として働き漏れを防止することができるため好ましい。更に、折り返し部分は折り返していない部分よりも吸収能力が高くなるため、折り返し部分に液体が達した後でも漏れを防止することができる。折り返す部分は、吸収体の端部分全体でも構わないし、一部のみでも構わない。長方形や楕円形、またはそれに準じるような長手方向と短手方向をもった形の吸収性複合体を使用する時は、短手方向への漏れが起こりやすいため、吸収性複合体の長辺にあたる部分のみを折り返すことが最小限の折り返しで漏れを防止できることができるため好ましい。その場合図2?(a)のように折り返しのための部分をもった吸収体形状にしておくか、図2?(b)のように、切れ込みをいれて折り返すことが好ましい。体液の吸収点がわかっている場合は、その近傍の端を折り返しておくと、漏れを防止する効果が高いため好ましい。折り返しが存在する部分の長さは特に限定されないが、2cm以上であることが好ましく、5cm以上であることがより好ましく、7cm以上であることが更に好ましく、10cm以上であることが最も好ましい。折り返し部分が長いほど、漏れ防止の効果は高い。折り返し部分は1箇所でも構わないし、複数箇所でも構わない。折り返し部分は連続していてもよいし、間隔をあけて折り返し部分を複数つくってもよい。
(吸収性複合体について)
本発明において、吸水性樹脂と基材を組み合わせたものを吸収性複合体と呼ぶ。この際、組み合わせ方は特に限定されず、接着されていてもよいし、基材に吸水性樹脂を絡ませてもよいし、ただ混ぜたものでもよい。吸水性樹脂と基材は、1種類ずつを組み合わせてもよいし、複数の組み合わせでも構わない。また、パルプなどの短繊維や、その他の材料を同時に組み合わせても構わない。
体液吸収物品には、体液を速やかに吸収することが望まれる。体液の吸収速度を上げるためには、吸収性複合体の吸収速度を上げることが重要な要因となる。吸収性複合体の吸収速度を上げるためには、総表面積係数が0.3〜3であることが好ましい。
本発明において基材とは、シート形状を保てる素材のことをいう。本発明においては、基材はシート状であればどのような素材でも構わないが、好ましくは紙及び/または布である。紙とは、JISP0001で定義される広義の意味での紙のことを指し、布とはJISL0206で定義されるシート状繊維製品の総称である。布はシートを形成する手段によって織物、編物、組み物、レース、網、不織布に分類されるが、本発明に使用する布は、織物、編物、不織布が好ましく、最も好ましくは不織布である。紙及び/又は布は、パルプなどの短繊維などと異なり形態安定性に優れているため好ましい。不織布とは、JISL0222により定義される。基材の形状は特に限定されず、厚さは好ましくは0.001mm〜1cm、より好ましくは0.01mm〜5mmであり、更に好ましくは0.05mm〜3mmであり、最も好ましくは0.1mm〜1mmである。重量は好ましくは0.1g/m2〜1kg/m2、より好ましくは0.5g/m2〜500kg/m2であり、更に好ましくは1g/m2〜100g/m2である。薄すぎるもの、軽すぎるものについては、強度の点から好ましくない。本発明においては、生理食塩水後の引張破断強度が、好ましくは0.6〜5000N/20mmであり、より好ましくは0.7〜500N/20mmであり、0.85〜100N/20mmであることが更に好ましく、1〜100N/20mmであることが最も好ましい。本発明において生理食塩水吸収後の引張破断強度は、基材に生理食塩水を吸収させた後の引張破断強度のことを表す。衛生材料においては、液吸収後もすぐに交換されずにそのまま使用されることもある。また、液吸収後、複数回にわたっての液吸収を求められることもある。一度吸収した後に使用を続けると、吸収体に水分がある状態で荷重がかかることとなる。荷重によって基材が破断してしまうと、通液性や液拡散性が低下することになり吸収体の性能を劣化させることとなる。生理食塩水吸収後も、高強度を保つ基材ほど吸収体の耐久性の点において好ましいといえる。また、製造時に基材が含水するようなプロセスの場合は、含水時の強度が低いと問題になることがあり、基材の強度が高いほど好ましいといえる。しかし、強度が高すぎても、実質的に性能の差はみられない。
生理食塩水吸収後の引張破断強度は以下のように求める。
装置:引張試験機(島津のオートグラフ)
方法:1Lビーカーに0.9%生理食塩水を700g取り、基材を10分間浸漬させる。基材を引き上げ、キムタオル上に1分間放置し、間隔が10cmとなるように両端から2.5cmの部分をセットし、10mm/分のスピードで破断するまで引っ張り続ける。この時の力を記録し、最大値を強度N/20mmとする。方向があるものについては、方向を変えて何点か行い一番数値の低い値を強度とする。
基材の吸収倍率(g/g)=吸収後の重量(g)/吸収前の重量(g)
本発明においては、基材の吸収倍率は2g/g以上200g/g以下であることが好ましく、より好ましくは4g/g以上100g/g以下、更に好ましくは8g/g以上50g/g以下であり、最も好ましくは12g/g以上30g/gである。吸収性複合体においては、吸水性樹脂よりも繊維の方が吸収速度が早いため、吸収初期には基材が、後期には吸水性樹脂が吸収することとなる。基材の吸収倍率が高いほど初期の液体吸収速度が早くなるため好ましい。通常、基材の吸収は毛細管現象によるもので、荷重がかかった時には液体が戻ってしまうこともあるし、使用中の蒸れの原因となる可能性もある。しかし、本発明の吸収性複合体においては、樹脂が基材の繊維を取り込んだ形で接着しているために、基材から吸水性樹脂が液体を奪い取る形で吸収する。このため、荷重によって液体が戻ったり、使用中に蒸れたりすることは少ない。
基材の吸収速度は、具体的には下記のように測定する。
試料:10cm×2cmの長方形型基材
縦横方向があるものについては、方向を変えて2点以上用意する
装置:電子天秤、直径90mmのシャーレ
方法:電子天秤上にシャーレをおき、基材をシャーレの10cm上から垂直に吊り下げる。シャーレを電子天秤から取り、他の天秤で0.9%の生理食塩水60gを量り取る。基材の下部を手でもち、生理食塩水にふれないようにしてシャーレを電子天秤上に再度設置し、天秤の値を0点に設定する。基材を静かに生理食塩水に漬け込み、電子天秤の値を経時的に記録する。時間(秒)と電子天秤の値の絶対値(mg)をグラフにプロットし、120秒後から240秒後までの間の傾き(mg/秒)を吸収速度とする。基材で方向があるものについては、方向を変えて何点か測定を行い、一番早い値を吸収速度とする。
本発明における基材は、接触角が130度以下である不織布が好ましい。本発明中における接触角とは25℃で粘度74cpの44%ポリアクリル酸アンモニウム水溶液を基材へ接触させ、10秒後になす角として定義される。測定は、FACE(協和界面科学株式会社)製の接触角計(CA−X150型)を用いて測定する。液は和光純薬の44%ポリアクリル酸アンモニウム水溶液(70〜110cp)を水で粘度調整して使用する。粘度は回転円盤粘度計を用いて測定する。
接触角は130度以下であることが好ましく、より好ましくは120度以下であり、更に好ましくは110度以下であり、最も好ましくは100度以下である。接触角が小さいほど、基材と水、基材と吸水性樹脂の親和性が高くなり、吸収性や接着性の点で好ましい。
本発明に使用する吸水性樹脂は、吸水性樹脂の重量に対する残存モノマー濃度が1質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以下、最も好ましくは0.005質量%以下である。残存モノマーが多いと、液吸収時の溶出成分が多く性能的に好ましくない。出発素材としての吸水性樹脂の残存モノマー濃度は10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、1%以下であることが更に好ましく0.1%以下であることが最も好ましい。残存モノマーが多い状態の吸水性樹脂を使用すると、反応を完結させるのが困難であるし、反応方法によっては基材の風合いを損なうことがあり好ましくない。
本発明の吸水性樹脂の種類は特に限定されず、どのような吸水性樹脂でも構わない。側鎖に酸基を有した吸水性樹脂であることが好ましく、側鎖にカルボン酸基を有した樹脂であることが更に好ましい。酸基のうち50%以上が塩の形で中和されていることが好ましく、酸基のうち50%アンモニウム塩の形で中和されていることが更に好ましい。側鎖に酸基をもった吸水性樹脂は、液体吸収時に酸基同士の静電反発が起こり、吸収速度が早くなるため好ましい。酸基が中和されていると、浸透圧により液体が吸水性樹脂内部に吸収されるため好ましい。アンモニウム塩の形で中和されていると、アンモニウム塩は水への親和性が高く吸収量が多くなるため好ましい。吸水性樹脂の種類としては、ポリアクリル酸部分中和物架橋体(例えば特開昭55−84304号公報参照)、澱粉−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物(例えば特公昭49−43395号公報参照)、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の中和物(例えば特開昭51−125468号公報参照)、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体の鹸化物(例えば特開昭52−14689号公報参照)、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物(例えば特公昭53−15959号公報参照)、ポリグルタミン酸塩(例えば特開2003−192794号広報参照)など多くが知られている。吸収性能、コストなどの観点から通常衛生材料用途に使用されているポリアクリル酸部分中和物架橋体が好ましい。吸水性樹脂の形状はどのような形状でもよく、不定形破砕状、葡萄の房状、球状などの粒子状でもよいし、スラリー状や液体状でもよいし、繊維状、シート状でも構わない。粒子状であると、吸水後の形態安定性や吸水速度の点で好ましい。
以下に、使用する吸水性樹脂の好ましい例としてポリアクリル酸部分中和物架橋体の製造方法をあげておく。
本発明における基材上へ接着する前の吸水性樹脂は、吸水性樹脂の表面塩濃度が、50mol%以上であることが好ましく、更に好ましくは60mol%以上、更に好ましくは70mol%、最も好ましくは80mol%以上である。基材上へ接着する前の表面塩濃度が少なすぎると、粒子の接着性が低下する。最終的な基材への接着後の複合体中の吸水性樹脂部分の表面塩濃度については特に制限はないが、好ましくは90mol%以下、更に好ましくは80mol%以下、最も好ましくは60mol%以下である。最終的な複合体中の吸水性樹脂の表面塩濃度が低い方が、仮に湿潤空気下にさらされた時にもベトツキを起こしにくく有利である。吸水性樹脂は、通常カルボキシル基やスルホン酸基などの酸基とその中和塩、アミノ基などの塩基性基とその中和塩などからなっており、吸水性樹脂の表面塩濃度とは、吸水性樹脂の表面部分の中和された基の割合を表す。本発明において、樹脂の表面塩濃度は、赤外吸光分析法の一つである顕微ATR法によって測定することにより求める。樹脂表面の中和率の測定は顕微ATR法にて直接表面を測定できる。内部部分については、ウルトラミクロトーム(Reichert製 ULTRACUT N)を用いることにより樹脂を割断して中心部を露出させてから顕微ATR法にて測定する。
測定装置は Bio−Rad社製 FTS−575を用いる。
本発明における吸水性樹脂は、表面強度が0.1〜5.5Nであることが好ましく、より好ましくは0.1〜5N、更に好ましくは0.2〜4N、最も好ましくは0.2〜3Nである。表面強度とは、粒子表面の変形しやすさをあらわすパラメータである。特定倍率に吸収して膨潤した吸水性樹脂を容器にいれて荷重をかけていくと、容器内で隙間をあけて充填されていた吸水性樹脂の隙間を埋めるようにゲルが移動、変形していく。表面強度は、吸収した吸水性樹脂が実体積になった時の弾性率であるので、ゲル粒子間の相互作用の大きさや表面の変形しやすさを意味する。表面強度が大きいということは、吸水性樹脂が変形しにくいことを表す。変形しにくいということは、吸水性樹脂が吸収して膨潤するのに対し負の力が強いということになり、ひいては吸収容量を下げてしまうことになる。また、表面が変形しにくいと、接着面が小さくなり複合体からの粒子の脱離が起こりやすく好ましくない。本発明の吸水性樹脂の表面強度は、以下のように求める。
装置:島津オートグラフAG−1
試料:吸水性樹脂0.10gを精秤し、底面に75μmの孔径のナイロンシートを貼り付けた内径20.5mm、高さ50mmの円筒容器の底に均一に入れた。50φのシャーレを用意し、0.90gの生理食塩水をいれ、吸水性樹脂の入った円筒容器を静置し、1時間吸収膨潤させた。
測定:1kNのロードセルを使用し、直径19.7mmの円柱軸をとりつけた。測定レンジは0.2kNと設定し、ロードセルに荷重がかからない高さにあわせ、そこから降下速度0.6mm/分という一定の速度で下がるように設定する。ロードセルに加わる圧力を経時的に記録した。ここで、表面強度とは実体積になった時点における荷重(N)を表す。吸水性樹脂の実体積は、生理食塩水の比重1.010g/cm3と吸水性樹脂の比重を利用して計算した。
本発明における平均粒子径は好ましくは100〜3000μmであり、更に好ましくは200〜2500μm、最も好ましくは300〜1500μmである。平均粒子径は篩分けによって求める。平均粒子径が小さいほど、粒子としての吸収速度は高くなる。また、平均粒子径が大きいほど、不織布に対して垂直方向への膨潤が大きくなり、面積当たりの吸収量を上げることができる。また、同じ重量の粒子を置いた時、粒径が大きいほど樹脂の面積充填率が低くなり、膨潤阻害を受け難いといえる。粒子単独では、粒子径が大きすぎると吸収速度が遅くなってしまうが、本発明の複合体中の粒子は、繊維との複合化効果により大きな粒径の粒子でも著しく吸収速度が向上するため、比較的大きい粒子を使うことも好ましい。吸水力と吸水速度を両立させる観点から、600μm以上の比較的粒子径の大きな粒子と、300μm以下の比較的粒子径の小さい粒子を両方用いることが好ましく、粒子径分布において二つ、またはそれ以上のピークをもつような分布になっていることが好ましい。二つのピークは、粒子径が2倍以上異なっていることが好ましく、3倍以上異なっていることが更に好ましく、4倍以上異なっていることが最も好ましい。粒子径に差があると、細密充填に近くなり、大きな粒子と小さな粒子は膨潤時の接触が小さくなり、お互いの性能を発揮させることができる。
(式1)
吸水性樹脂の無加圧の吸収倍率(g/g)={(吸収後のティーバッグの重量)−(吸収後のブランクのティーバッグの重量)−(吸水性樹脂の重量)}/(吸収樹脂の重量)
本発明の吸水性樹脂の加圧下吸収倍率は以下の方法により測定する。吸水性樹脂0.02gを内径25mm、高さ30mmで底部に250メッシュのナイロン不織布を備えたアクリル樹脂製円筒に入れ、円筒の中にスムーズに動くシリンダーを入れて測定装置とし、重量を測定する。測定装置のシリンダーの上部に0.8psi相当の278.33gの荷重を載せて荷重とし、0.9%生理食塩水60gを入れた内径120mmのシャーレに入れる。60分後に取り出してキムタオルの上に3秒間静置して水切りをし、荷重を取り除いた後の装置の重量を測定し、(式2)に従って加圧下吸収倍率を算出する。
(式2)
吸水性樹脂の荷重下の吸収倍率(g/g)=(吸収後の装置の重量(g)−吸収前の装置の重量(g))/(吸収樹脂の重量)
(樹脂比率について)
本発明における樹脂比率とは、複合吸収体中の吸水性樹脂の割合を示したもので、具体的には(式3)のように決定される。
(式3)
樹脂比率(質量%)=A/B×100
ただし、複合体中の吸水性樹脂重量をA(g)、複合体の総重量をB(g)とする。
樹脂比率は65質量%以上99%未満であることが必須であり、好ましくは70質量%以上99質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以上99質量%以下である。樹脂比率が高いほど、複合体としての総吸収量が高くなるため好ましい。吸水性樹脂の重量は全ての粒子をはがした状態で測定する。
本発明における樹脂面積充填率とは、吸水性樹脂が液体を吸収した時に粒子同士の接触しやすさを表す指標である。本発明において樹脂面積充填率は以下のように測定する。
光学顕微鏡、または電子顕微鏡により複合体の表面の写真を測定する。この時、吸水性樹脂と基材が区別でき、1枚の写真中に吸水性樹脂粒子が10個以上入る状態で撮影できるように測定条件、倍率を選択する。写真を拡大コピーし、吸水性樹脂部分と基材部分を切り取り、重量を測定して以下の(式4)にしたがって計算する。吸収体中の任意の点を5点以上撮影し、その平均値を面積充填率とする。吸水性樹脂を基材の両面に接着させる場合においては、それぞれの面において別々に測定する。
(式4)
樹脂面積充填率(%)=吸水性樹脂部分の重量/全体の重量×100
樹脂面積充填率は5〜90(%)であることが好ましく、より好ましくは10〜80であり、更に好ましくは15〜75であり、最も好ましくは20〜70である。面積充填率が高すぎると吸水性樹脂が膨潤した時に吸水性樹脂同士が接触し、ブロッキングが起こり吸水性樹脂の能力をフルに発揮することができなくなるので好ましくない。また、樹脂面積充填率が低すぎると、複合吸収体中の面積あたりの吸収量が少なくなるため好ましくない。また、面積充填率は基材の剛軟性にも影響する。樹脂が占めている面積が大きいと、元の基材に比べてこしが生まれる。衛生材料においては、基材があまりにも柔らかすぎると、吸収体を挿入するときに困難になると考えられるため、面積充填率が低すぎると好ましくない。
本発明における総表面積係数とは、複合体の単位面積あたりの吸水性樹脂の表面積を表す指標である。総表面積係数が大きいほど、複合体の吸収速度が速くなるため好ましい。総表面積係数はA〜Dであることが好ましく、B〜Dであることがより好ましく、C〜Dであることが更に好ましい。本発明における総表面積係数は、複合体に使用されている吸水性樹脂を回収し、所定の粒径ごとに分け、粒径ごとの粒子重量、かさ比重を測定し、(式5)によって求める。
・ ・・(式5)
Wrは粒子径がr(cm)である粒子の重量の合計(g)
Crは粒子径がr(cm)である粒子のかさ比重(g/cm2)
Sは複合体の面積(cm2)
吸水性樹脂の粒子径とかさ比重は、複合体から吸水性樹脂のみを引き剥がし回収して測定するが、その際、繊維等が吸水性樹脂表面についている場合は、繊維を取り除いて測定する。吸水性樹脂中に繊維が浸入している場合は、粒子表面の繊維を切り取り測定する。吸水性樹脂表面に接着剤などが塗布されている場合は、吸水性樹脂が吸収することのできない溶剤を用いて、接着剤を除去する。
本発明における吸水性樹脂の粒子径は、目の開きが106μm、212μm、300μm、425μm、500μm、600μm、710μm、850μm、1000μm、1180μm、1400μm、2000μm、2500μmの篩を使用して篩い分けすることによって求める。本発明においては、通過することのできた篩の目の開きと通過することのできない篩の目の開きの中間の値を粒子径とする。なお、106μmの篩を通過したものについては、53μmとし、2500μmの篩の上に残ったものについては、2700μmとする。この操作により、53μm、159μm、256μm、362.5μm、462.5μm、550μm、655μm、780μm、925μm、1090μm、1290μm、1700μm、2250μm、2700μmの粒径へと分類される。
総表面積係数は0.3〜3であることが好ましく、0.4〜3であることがより好ましく、0.5〜3であることが更に好ましい。総表面積が大きいほど吸水速度が向上するため好ましい。
本発明において、基材と吸水性樹脂が接着しているとは、基材に吸水性樹脂が固定化されていて、実質的に基材と吸水性樹脂の位置関係が変化しないことを表す。本発明においては、吸収体の端を手で持ち固定し接着粒子が存在する面を下にして、20cmの幅で1秒間に2往復の速さで1分間振って、脱離しない粒子を接着しているとする。接着している粒子の割合は、脱離した粒子の重量と、接着している粒子をピンセット等で無理やり引き剥がし重量の測定をすることで求められる。この時、粒子が基材の繊維等を取り込んでいる場合や、粒子の周りに繊維等がくっついている場合においては、可能な限り繊維等を取り除いて測定する。基材と吸水性樹脂の位置関係が変化しないと、使用前の運搬などによって吸収体の性能が変化することもないし、繰り返し吸液の観点からも好ましい。本発明においては50%以上の吸水性樹脂が接着していることが必須であり、好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上、最も好ましくは99%以上が接着していることである。本発明においては、全粒子に対する接着形態に特に制限はなく、接着剤による接着、基材と吸水性樹脂との化学結合による接着、物理的相互作用による接着、吸水性樹脂中に繊維が入り込んだ形態での接着等でよいが、50%以上の吸水性樹脂が、吸水性樹脂中に繊維を取り込んだ形態で接着していることが好ましい。好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、もっとも好ましくは90%以上の吸水性樹脂がこの形態で接着する。吸水性樹脂と基材との接着面において、繊維から吸水性樹脂への通液を著しく阻害するような接着剤の使用を避けることは好ましい。繊維から吸水性樹脂への通液の阻害は、吸水性樹脂と基材との接着面に、大量の疎水性成分が介在することによって生じる。繊維から吸水性樹脂への通液を著しく阻害しない程度の量の疎水性接着剤や、通液を阻害しないような親水性の接着剤を使用しても構わない。通液性を阻害する可能性のある接着剤としては、疎水性の熱可塑性ポリマー、疎水性のエマルジョンバインダーである。疎水性接着剤は使用しないほうがより好ましく、親水性接着剤も使用しないほうが更に好ましい。
吸水性樹脂中に繊維を入り込んだ形態とは、吸水性樹脂マトリックス中に基材中の繊維が存在している状態を表す。入り込んだ繊維の形状や長さは特に限定されない。この形態で接着していると、吸水性樹脂中に繊維を介して水を取り込むことができるため、吸収量、吸収速度の点で優れた性能を発揮する。吸水性樹脂中に繊維が入り込んだ形態で接着しているかどうかは、電子顕微鏡で確認することができる。接着している粒子を任意に30個抽出し、引き剥がして電子顕微鏡観察を行い割合を決定することができる。
(複合体の製造方法について)
本発明における吸収性複合体は、吸水性樹脂と基材を原料とし、基材に吸水性樹脂を接着させる工程からなる。接着方法は特に限定されず、前述の条件を満たすような接着方法を行えばよい。接着方法としては、基材に吸水性樹脂をからませる方法や、接着剤を使用する方法などがあげられるが、好ましい方法は、吸水性樹脂100重量部に対して10〜3000重量部の水を吸水性樹脂及び/又は基材に吸収させ、その後、吸水性樹脂と基材が接触した状態から、脱水する方法である。水の量は吸水性樹脂100重量部に対して、20〜2000重量部であることが好ましく、50〜1000重量部であることが更に好ましい。この方法で接着を行うと、不純物となる接着剤も使用する必要がないため好ましい。また、この方法で接着を行うと、吸水性樹脂中に繊維の一部が取り込まれるため、吸収速度や吸収力の点で好ましい。水の量が多いほど接着性が高くなり好ましいが、あまりにも高すぎると乾燥に時間がかかりすぎるため非効率的である。
(複合体の好ましい製造例)
複合体の好ましい製造例を図3に示した。aは源反ロール(布状親水性支持体)、bは水噴霧機、cは布および/または紙、d1、d2は吸収性樹脂粒子ホッパー、e1、e2は粒子接着用ドラム、fは吸収性樹脂粒子、gは乾燥装置、hは複合体ロール、Iは小粒径粒子散布用ホッパーを表す。
(複合体の性能)
・複合体の無加圧吸収倍率について
本発明の複合体の無加圧吸収倍率は、0.9%生理食塩水を自由吸収させた時、3時間後に吸収された量とする。具体的には、直径59.5mmの円状の複合吸収体を作製し、前述の不織布の吸収倍率と同様の方法を用いて測定する。ただし、接着されていない吸水性樹脂を含んでいる場合や、脱離がおきた場合においては、濾過を行って吸水性樹脂を回収し、キムワイプ上で10秒以上静置して水切りを行い、その重量も加えて計算することにする。また、全く固定されていない吸収体の場合は、吸水性樹脂の吸収倍率の測定方法に準じて、T−Bagに吸収体をいれて測定する。
複合体の無加圧吸収倍率は、好ましくは40g/g以上であり、更に好ましくは45g/g以上、最も好ましくは50g/g以上である。
複合体の吸収性能の指標として、面積あたりの吸収量が重要となる。面積あたりの吸収量は、前述の測定結果から(式6)にしたがって計算することができる。
(式6)
面積あたりの無加圧吸収量(g/cm2)=((吸収後の全重量(g)−複合体の重量(g))/複合体の面積(cm2)
面積あたりの無加圧吸収量は、0.4g/cm2であることが好ましく、更に好ましくは0.7g/cm2以上、最も好ましくは1g/cm2以上である。
・複合体の加圧下吸収倍率について
本発明の複合体の加圧下吸収倍率は、荷重のかかった状態において0.9%生理食塩水を吸収させた時、3時間後に吸収された量で表される。具体的には、直径59.5mmの円状の複合体を用いて以下のように測定する。
(式7)
複合体の加圧下吸収倍率 (g/g)=重量W(g) /複合体の重量(g)
複合体の0.8psi荷重下の加圧下吸収倍率は、好ましくは15g/g以上であり、更に好ましくは16g/g以上、最も好ましくは18g/g以上である。加圧下においても無加圧の場合と同様に、面積あたりの吸収量も求めることができる。0.8psi加圧下における面積あたりの吸収量は、0.1g/cm2であることが好ましく、更に好ましくは0.15g/cm2以上、最も好ましくは0.2g/cm2以上である。
複合体を縦2cm、横7cmに切り取り、重量を測定する。1000ccのガラス製ビーカーに生理食塩水を700cc入れておく。まず、縦80cm、横70cmのT−Bagの重量を測定し、T−Bagのみの状態で1分間吸水させて遠心分離を行い、その後重量を測定する。この重量を、吸水前のT−Bagの重量で割ることにより、T−Bagの1分後吸収倍率を求める。同じ大きさのT−Bagの重量を測定し、T−Bagに複合体を入れる。T−Bagを液から素早く引き出すために、ひものついたクリップを用意し、T−Bagにとりつけ、布が折れたり絡んだりしないように丁寧に素早く液へ漬け込む。漬け込んでから1分経過後に、ひもをもって速やかに引き上げる。その後クリップをはずし、150Gで3分間遠心分離を行い、重量を測定する。総重量からT−Bagの吸水分を引き、吸水前の吸収体重量で割ることにより1分後吸収倍率を求める。複合体の引き上げから遠心分離の開始までは15秒以内とする。1分後吸収倍率は、初期の液体の吸収速度を表す。紙オムツなどの衛生材料用途においては、瞬時に体液を吸収することが求められるため、吸収速度が速いほど好ましい。
(式8)
1分後の吸収倍率(g−生食/g)=(遠心後の重量(g)−T-Bagの重量(g)*T-Bagの1分後の吸収倍率)/複合体の重量(g)
・複合体の剛軟性の測定
複合体の剛軟性は、JIS規格L1096記載の剛軟性D法(ハートループ法)によって行う。表と裏とで粒子の粒径や分布が異なる場合は、異なった値となるが、本発明においては、柔らかい方、つまり値が大きいほうを剛軟性とする。剛軟性は90mm以下であることが好ましく、85mm以下であることが更に好ましい。
(吸収性複合体とその他の部材を接着させる接着剤について)
本発明においては、吸収体と透液性シート及び/又は不透液性シートと接着剤で固定されていることが好ましい。吸収性複合体は形態安定性に優れているが、接着剤によって固定することで、吸収体のよれやずれを防止し、安定に吸収性能を発揮させることができる。吸収体と透液性シート及び/又は不透液性シートは、直接接着されていることが好ましいが、間に他のシート状物質を介在させ、シート状物質と吸収性複合体、シート状物質と透液性シート及び/又は不透液性シートを接着させても構わない。また、吸収体を、シート状物質で包含させシート状物質内での吸収体の動きを制限した状態で、シート状物質を透液性シート及び/又は不透液性シートと接着させてもよい。よれやずれを確実に防止するためには、吸収体と少なくとも透液性シート又は不透液性シートが直接接着されていることが好ましい。
(体液吸収物品の性能評価)
・戻り性(リウエット性)、液拡散長の評価
本発明における戻り性、液拡散長の評価は以下のように行う。十分な広さのある木の板の上に、体液吸収物品の四隅を物品がしわがよらない程度に伸ばした状態で画鋲を用いて固定する。吸収体の中心部分に直径60mm、重さ53.5gの円筒形のパイプを設置する。37℃に暖めた生理食塩水を80g量り取り、7〜8ml/秒の速度で吸収体の中心部分に滴下する。生理食塩水が表面シートより上面に見えなくなったことを確認し、円筒を取り除く。液滴下開始から5分後に、縦方向に拡散した長さを測りこれを液拡散長とする。液滴下開始から1分後に、アドバンテック製No2、直径150mmの濾紙を1辺10cmの正方形に切り取った濾紙を約90gになるように重ねて液滴下部に静置し、直後に濾紙の上に3.5kgの荷重をかける。荷重をかけてから3分後に、荷重をはずし、濾紙を物品上からはずして重量を測定する。この時、もとの濾紙の重量から増加した重量を1回目戻り量とする。
本発明における漏れ測定とは以下のように行う。体液吸収物品の吸収体部分の中心部分にマジックで1cm程度の十字の印をつける。図6−(a)のように中心から長軸方向へ垂直に引いた線上に、画鋲を用いて水平な板の上に固定する。この際、ギャザー等がついている場合は、ギャザーごと固定し、吸収体の端部分が上から見えるように固定する。続いて図6−(b)のようにプラスチックの板を挿入し、固定した点との角度が30度になるようにテープを用いて物品を固定する。この時、吸収体にしわがよらない程度に伸ばされた状態になるようにする。
先に印をつけた中心部分に、食紅で色をつけた生理食塩水を0.1ml/秒の速度で滴下する。液が拡散して液体が吸収体の端の部分よりも外側に拡散をはじめた時点の液の滴下量を読み取り、これを漏れ滴下量とする。
漏れ滴下量は、100ml以上であることが好ましく、120ml以上であることがより好ましく135ml以上であることが更に好ましく、150ml以上であることが最も好ましい。厚みを厚くし、吸収体重量を増加させることで、漏れ滴下量の値を上げることができるが、吸収性物品としては、薄型・軽量であるほうが好ましい。そこで、本発明においては、単位量あたりの漏れにくさの指標として、漏れ吸収量と吸収体の重量と吸収体の面積から漏れ係数を以下の(式9)のように規定する。
(式9)
漏れ係数=漏れ滴下量(ml)/(吸収体の重量(g)/吸収体の面積(cm2))
吸収体の重量、吸収体の面積に関しては吸収体全体の値を測定する。同重量、同面積の吸収体においては、漏れ係数が大きいほど漏れにくいということを表す。漏れ係数は、1000以上であることが好ましく、2000以上であることがより好ましく、3000以上が更に好ましく、4000以上であることが最も好ましい。漏れ係数のこの範囲は、先述した漏れ滴下量の好ましい範囲と同時に満たすことが好ましい。
製造例1
300mlセパラブルフラスコにこの40質量%アクリル酸アンモニウム水溶液を90g、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを0.0187g添加する。フラスコは30℃に液温が保たれるようにウォーターバスに浴す。水溶液を窒素ガスでバブリングすることにより脱気し、反応系中を窒素置換した。次に42質量%グリセリン水溶液をシリンジにて0.43g添加、よく攪拌した後にそれぞれ1gの水に溶かした30質量%過酸化水素水溶液 0.0917gとロンガリット 0.0415gを添加し重合を開始する。内部温度は30℃から開始して反応開始5分で100℃まで上昇する。その後、内部温度が70℃に保たれるように水浴にて3時間加熱する。その後、セパラフラスコよりゲルを取り出し粗解砕を行ってから100℃にてイナートオーブンを用いて4時間乾燥させる。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、106μm、212μm、300μm、425μm、500μm、600μm、710μm、850μm、1000μm、1180μm、1400μm、2000μm、2500μmの篩を用いて分級した。これを吸水性樹脂1とする。この樹脂の表面強度は0.5Nであった。表面の塩濃度は90%であった。
製造例2
製造例3
製造例4
旭化成せんい社製の「ベンリーゼ」登録商標を繊維の縦方向に37cm、横方向に21cmに切り取った。ベンリーゼとは、セルロース100%の連続長繊維不織布である。セルロース系不織布であり、吸水特性にすぐれている。また、連続長繊維であるため、含水時の強度も十分あり、液拡散性にも優れている。テフロン(登録商標)のシートを同じように縦37cm、横21cmに切り取り、中に縦35cm、横19cmの線を引く。これを2枚用意した。1枚のシートの線の内側に製造例1の1000μmの篩の上に残った樹脂6.6gを1180μmの篩を使用しながら均一に散布した。更に212μmの篩に残った樹脂6.65gを300μmの篩を使用して均一に散布した。もう一枚のシートに、1000μmの篩の上に残った樹脂6.7gを同様に散布した。霧吹きを使用して、ベンリーゼに8gの水を散布し、樹脂の上に置き押さえつける。更にベンリーゼに2gの水を散布し、裏面に樹脂を接着させる。樹脂のない部分に錘をおいて固定し、3gの水を散布した後に、ベンリーゼの縮みを抑えながら、イナートオーブンを使用して180℃10分間の乾燥を行った。
ユニチャーム社製「ムーニーのびーるフィットMサイズ」登録商標を用意し、ドライヤーの熱によりホットメルト接着剤を溶かすことで、トップシートとバックシートのみを回収した。製造した吸収性複合体をこの間にはさみこみ、GE東芝シリコーン株式会社製の接着剤、非腐食速乾性接着シール材TSE397を用いて図7のように折り返し接着することにより、体液吸収物品を作製した。これを実施例1とする。
日本NSC社製撥水製ホットメルト接着剤、ME117を接着剤として使用する以外は実施例1と同様の方法で体液吸収性物品を作製した。これを実施例2とする。
実施例3
500μmの篩に残った樹脂を両面に6.65gずつ使用して吸収性複合体を作製する以外は実施例1と同様の方法で体液吸収物品を作製した。これを実施例3とする。
実施例4
710μmの篩に残った樹脂を両面に4.65gずつ使用し、片面のみに300μmの篩の上に残った粒子を10g使用して吸収性複合体を作製する以外は実施例1と同様の方法で体液吸収物品を作製した。これを実施例3とする。
旭化成せんい株式会社製スパンボンドエルタス(登録商標)ポリプロピレンP03020を縦方向33cm、横方向17cmに切り取った。重量は1.1gであった。製造例1の吸水性樹脂1のうち、1000μmの篩の上に残った成分を13.3g、212μmの篩の上に残った成分を6.65g取り出し、イナートオーブンにて180度10分間加熱した。1000μmのふるいに残った粒子を半分に分け、これを実施例1と同様にテフロン(登録商標)シートの上に均一に散布した。さらに片方のシートのみに212μmの篩にのこった粒子を均一に散布した。不織布に水の変わりにコクヨ社製パワープリットスティックのりを薄く、全体的に塗布した後に実施例1と同様に吸水性樹脂を不織布の両面に接着させた。その後、室温でしばらく放置し、のりが乾いた後に、実施例1と同様に体液吸収物品を作製した。これを参考例1とする。
製造例3の樹脂を使用する以外は、実施例1と同様に体液吸収物品を作製した。これを参考例2とする。
参考例3
製造例4の樹脂を使用する以外は、実施例1と同様に体液吸収物品を作製した。これを参考例3とする。
製造例1の1000μmの篩に残った樹脂を、両面に10gずつ使用する以外は実施例1と同様に体液吸収物品を作製した。これを比較例1とする。総表面積係数が低いため速度が遅い。
比較例2
水を散布しない以外は実施例1と同様の方法で体液吸収物品を作製した。オーブンで加熱後もベンリーゼと粒子はほとんど接着していないため、体液吸収物品のなかで粒子が偏ってしまった。このような吸収体の場合、安定に性能を発揮することができず、また、それぞれの測定において再現性をとることが難しいと考えられる。これを比較例2とする。
製造例1の212μmの篩の上に残った樹脂を、両面に1.8gずつ使用する以外は実施例1と同様に体液吸収物品を作製した。これを比較例3とする。粒子比率が低いため吸水能力が低い。
比較例4
複合体の横の長さを17cmとし、折り返しをつくらないこと以外は実施例1と同様の方法で体液吸収物品を作製した。これを比較例4とする。折り返しがないため、漏れを防ぐ能力が低い。
ユニチャーム株式会社製ムーニーのびーるフィット(登録商標)のMサイズを比較例5とする。吸収態はパルプと吸水性樹脂の混合物であり、拡散性が悪く、漏れやすい。
比較例6
P&G株式会社製パンパースコットンケア(登録商標)のMサイズを比較例6とする。吸収態はパルプと吸水性樹脂の混合物であり、拡散性が悪く、漏れやすい。
Claims (6)
- 透液性シートと不透液性シートと、その間に介在する吸収性複合体から構成される体液吸収物品であり、吸収性複合体が基材とその片面又は両面に配置、接着される吸水性樹脂から構成されており、全吸収性複合体重量に対して樹脂比率80質量%以上99質量%以下、樹脂面積充填率20〜70%、総表面積係数0.3〜0.78、全吸水性樹脂中の50%以上が基材に接着している体液吸収物品であって、吸水性樹脂の重量平均粒子径が300〜2000μmであり、吸収性複合体の基材が、接触角が130度以下である布及び/又は紙である吸収性複合体であって、吸収性複合体の端部分が折り返されており、下記のことを特徴とする体液吸収物品。
(1)吸水性樹脂が縮合型架橋剤を用いて樹脂中の官能基と反応して架橋されている、
(2)吸水性樹脂が粒子形状を有しており、粒子の50%以上が、基材の繊維の一部を吸水性樹脂粒子中に取り込んだ形で接着剤を使用することなく接着している吸収性複合体である、
(3)吸収性複合体中の吸水性樹脂の表面強度が0.1N以上5.5N以下、吸水性樹脂の無加圧の吸収倍率が55g/g以上である、
(4)吸収性複合体の基材がセルロース系である。 - 折り返し部分に接着剤を使用することを特徴とする請求項1記載の体液吸収物品。
- 接着剤が疎水性接着剤であることを特徴とする請求項2に記載の体液吸収物品。
- 接着剤がホットメルト接着剤であることを特徴とする請求項2〜3のいずれかに記載の体液吸収物品。
- 吸収性複合体中の吸水性樹脂が、側鎖にカルボン酸基を有した樹脂であり、吸水性樹脂中の酸基のうち50%以上がアンモニウム塩の形で中和されている請求項1〜4のいずれかに記載の体液吸収物品。
- 吸水性樹脂が、ポリアクリル酸塩共重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の体液吸収物品。
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