JP5078131B2 - 超高速吸収能力をもつ吸収性複合体 - Google Patents
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Description
[1]基材と粒子状の吸水性樹脂が接着されている複合物であって、以下の条件を満たすことを特徴とする吸収性複合体。
(1)該樹脂の嵩比重が0.65以下である、
(2)剛軟性変化率が60%以下である、
(3)少なくとも1枚の基材は親水性繊維から構成されている、
(4)50%以上の吸水性樹脂が基材と直接接着している、
(5)該吸水性樹脂中の残存モノマーが200ppm以下である、
(6)吸収性複合体の全重量に対する吸水性樹脂重量の割合が、50〜99%である。
(7)該吸水性樹脂表面にHLB7以上の非イオン系界面活性剤を有している。
[2]該樹脂が内部に空間を有している中空の粒状吸水性樹脂であって、中空の粒状吸水性樹脂の皮膜の厚みが1〜30μmであることを特徴とする[1]に記載の吸収性複合体。
[3]吸水性樹脂の平均粒径が、5〜1000μmであることを特徴とする[1]あるいは[2]に記載の吸収性複合体。
[4]中空の粒状吸水性樹脂のポリマー分子鎖中におけるカルボキシル基含有単位の含有率が50mol%以上であることを特徴とする[2]〜[3]に記載の吸収性複合体。
[5]中空の粒状吸水性樹脂のポリマー分子鎖中におけるカルボキシル基含有単位の50%以上が中和塩であることを特徴とする[2]〜[4]に記載の吸収性複合体。
[6]中空の粒状吸水性樹脂のポリマー分子鎖中におけるカルボキシル基中和塩単位のうち10〜80mol%アンモニウム塩であることを特徴とする[5]のいずれかに記載の吸収性複合体。
[7]基材と粒子状の吸水性樹脂が接着されている複合物であって、以下の条件を満たすことを特徴とする吸収性複合体の製造方法であって、吸水性樹脂および/または基材を吸水させた後、基材と吸水性樹脂粒子とを接触させた状態で脱水乾燥する工程を含む吸収性複合体の製造方法。
(1)該樹脂の嵩比重が0.65以下である、
(2)剛軟性変化率が60%以下である、
(3)少なくとも1枚の基材は親水性繊維から構成されている、
(4)50%以上の吸水性樹脂が基材と直接接着している、
(5)該吸水性樹脂中の残存モノマーが200ppm以下である、
(6)吸収性複合体の全重量に対する吸水性樹脂重量の割合が、50〜99%である、
(7)該吸水性樹脂表面にHLB7以上の非イオン系界面活性剤を有している。
[8]該樹脂が粒子の凝集体であり、脱水乾燥前に樹脂に荷重をかける工程を含むことを特徴とする[8]記載の吸収性複合体の製造方法。
[9]乾燥後に、吸収体を剛軟性を下げる工程を含むことを特徴とする、[7]あるいは[8]に記載の吸収性複合体の製造方法。
1.本発明の複合体の構造・性能について
本発明において、吸水性樹脂と基材を接着させたものを吸収性複合体と呼ぶ。樹脂の位置変化が起こらず形態安定性に優れる。したがって、基材とはシート形状が維持できるものである。
吸収性複合体は、樹脂の固定化に嵩高いパルプなどの材料を大量に使用しないことで、軽量・薄型化が可能である。この吸収性複合体にパルプ等の短繊維やその他シート状材料を混合して吸収体としての性能を調整することは好ましいことである。本発明の吸収性複合体の特徴は、嵩比重が0.65以下である吸水性樹脂を親水性基材に接着させた上で、吸収体の硬さを下げていることにある。一般に比重が低く表面積の大きな樹脂は、ごく初期の吸水速度が速いが、ある程度の粒径以上では、粒子表面が含水したときに、粒子表面が軟らかくなり内部への通液が悪くなる、粒子内でのブロッキング現象が生じ、十分な速度がえられない。親水性基材に接着させることで、繊維から樹脂内部への通液により粒子内ブロッキングの影響を少なくし、超高速吸収が可能となった。また、基材と比較して複合体が硬くなりすぎていると、吸収速度が著しく低下することを見出した。これは、複合体が硬い場合には、基材と樹脂の接着時に、樹脂同士が密着し樹脂同士の固着が起こって樹脂間の通液性が低下したり、通液路として働くべき親水性繊維が変質し樹脂への通液阻害が起こることが原因として考えられる。複合体の硬さを物理的、あるいは化学的方法によって軟らかくすることで、高速吸収が可能となった。
(式)
剛軟性変化率=(基材の剛軟性−複合体の剛軟性)*100/基材の剛軟性
複数の基材を使用している場合には、複数枚を重ねた状態で基材の剛軟性を測定する。表と裏とで粒子の粒径や分布が異なる場合は、異なった値となるが、本発明においては、硬い方、つまり値が小さいほうを剛軟性とする。剛軟性変化率は60%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、40%以下であることが更に好ましく、30%以下であることが更に更に好ましく、20%以下であることが最も好ましい。風合いの観点からは、複合体の剛軟性は3cm以上であることが好ましく、4cm以上であることがより好ましく、5cm以上であることが更に好ましく、6cm以上であることが最も好ましい。吸収性複合体を製造するときに、剛軟性が硬くならないように条件を調整することも好ましいし、硬くなった複合体を後から軟らかくすることも好ましい。軟らかくする手段は特に問わないが、例えば柔軟剤を使用したり、物理的に力をかけるなどがある。
本発明において、基材と吸水性樹脂が接着しているとは、基材に吸水性樹脂が固定化されていて、実質的に基材と吸水性樹脂の位置関係が変化しないことを表す。本発明においては、吸収性複合体の一辺を手で持ち、複合体の平面方向を垂直にした状態で辺の方向に、20cmの幅で1秒間に1往復の速さで1分間振って、脱離しない粒子を接着しているとする。脱離した粒子については、吸収性複合体に混合されているものとみなし、吸収性複合体に含まれない。吸収性複合体にこの試験で脱離するような、接着されていない吸水性樹脂が混ざっていても問題ないが、接着されていない吸水性樹脂は、吸収性複合体の重量に対して50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。基材と吸水性樹脂の位置関係が変化しないと、使用前の運搬などによって吸収性複合体の性能が変化することもないし、繰り返し吸液の観点からも好ましい。
中でも、吸水性樹脂中に繊維が入り込んだ形態での接着が好ましい。具体的には、全吸水性樹脂粒子の50重量%以上が、吸水性樹脂中に繊維を取り込んだ形態で接着していることが好ましい。好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上の粒子がこの形態で接着していることである。
本発明における平均坪量とは、1つの平面における吸水性樹脂の単位面積あたりの重量として定義される。吸水性樹脂の重量は全ての粒子をはがした状態で測定する。平均坪量は、10〜150g/m2であることが好ましく、30〜130g/m2であることがより好ましく、40〜120g/m2であることが更に好ましく、50〜110g/m2であることが更に更に好ましく、60〜90g/m2であることが最も好ましい。樹脂の坪量が少なすぎると、基材中の液体を完全に樹脂へ移送することが難しく、液の逆戻りの原因となる場合がある。樹脂の坪量が多すぎると、基材繊維と接触していない樹脂が増えるため、ブロッキングの影響をうける場合がある。より多くの樹脂量が必要なときには、平面を増やすことで対応できる。この場合においても、基材と基材の間の平面の樹脂量は前述の範囲を満たすことが好ましい。
本発明の吸水性樹脂は嵩比重が0.65以下であることが好ましい。この樹脂はどのようなものでも構わないが、ボルテックス法において10秒以内の吸収時間をもつような高速吸収の樹脂であることが好ましい。
また、上記単官能性不飽和単量体と内部架橋剤の他、必要に応じて、発泡剤、連鎖移動剤、界面活性剤、キレート剤等を添加して重合してもよい。
その後、後架橋のために所定の粒子径に調整された乾燥樹脂を加熱処理しても構わない。この加熱処理の方法は特に限定されるものではないが、使用するカルボキシル基と反応する架橋剤を共存させておくことが好ましい。カルボキシル基と反応する架橋剤の添加方法は特に限定されるものではなく、重合前からいれておいてもいいし、加熱処理前の粒子に加えても構わない。加熱処理前の粒子に入れる場合には、水、アルコール類、エーテル類などの親水性溶媒に溶解させて、粒子表面に均一に散布することが好ましい。加熱処理の温度は特に限定されるものではないが、好ましくは90〜250℃の範囲である。更に好ましくは120〜200℃、最も好ましくは150〜180℃である。加熱処理は、乾燥終了後に連続的に同じ装置内で加熱処理しても良く、乾燥工程とは独立の工程としても構わない。加熱処理は、通常の乾燥機や加熱炉など一般に広く用いられている装置を用いる事ができ、例えば、溝型混合乾燥機、ロータリー乾燥機、ディスク乾燥機、流動層乾燥機、気流型乾燥機、赤外線乾燥機等が挙げられる。
微生物による加水分解反応に供される不飽和ニトリルとは、分子内に不飽和結合とシアン基を両方含む化合物のことをいう。また、不飽和結合とシアン基をそれぞれ多数含んでいても構わない。不飽和結合とは、炭素原子間に二重結合(エチレン結合)あるいは三重結合(アセチレン結合)を含むものをいい、このような化合物の例として、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトンニトリル、ケイ皮酸ニトリルなどが挙げられる。なかでもアクリロニトリル及びメタクリロニトリルが好ましく、アクリロニトリルがより好ましい。また、微生物による加水分解反応に供される不飽和アミドとは、分子内に不飽和結合と一般式RCONH−(Rはアルキル基、アリール基など任意の有機基)で表される官能基を両方含む化合物のことをいう。このような化合物の例として、シンナムアミド、アクリルアミド、メタクリルアミドなどが挙げられるが、アクリルアミド及びメタクリルアミドが好ましく、特にアクリルアミドが好ましい。
表1続き
b.不飽和カルボン酸をアンモニアで中和する方法
不飽和カルボン酸をアンモニアで中和する方法に供される不飽和カルボン酸は、前述の不飽和カルボン酸と同様のものが使用される。
重合開始剤は、結果的に不飽和カルボン酸塩水溶液中に、できるだけ均質に溶解するように投入すれば、どの段階で投入しても構わない。例えば、不飽和カルボン酸塩水溶液が有機溶媒1と混合する前から、不飽和カルボン酸塩水溶液と有機溶媒1からなるエマルジョン溶液を有機溶媒2と混合される前の間のいずれかの時に投入する方法が挙げられる。
界面活性剤の使用量は単量体に対して0.1〜15重量%が適切な範囲であり、好ましくは0.2〜5重量%である。実質的に界面活性剤の使用量は安定したエマルジョン状態を保つ事ができれば特に限定されるものではないが、界面活性剤の使用量が少なすぎても安定したエマルジョン状態を保つことができず、15重量%以上使用してもこれに伴う好結果が得られない。
重合終了後、粒子径が小さい場合は、凝集させて平均粒径100μm以上とすることも構わない。凝集方法としては、第三成分を入れて界面活性剤2を粒子表面からはがし粒子同士を接着させる方法、粒子同士が接触している状況で溶媒を蒸留除去し粒子同士を接着させる方法等が挙げられる。
凝集工程を経た後に、溶媒との共沸脱水によりゲルの含水率を下げる工程を経てもよく、その条件は圧力及び温度等、特に限定されるものではない。
基材上へ接着する前の吸収性樹脂粒子は、その表面近傍の塩濃度(以下、「表面塩濃度」という。)が、50mol%以上であることが好ましく、より好ましくは60mol%以上、さらに好ましくは70mol%、最も好ましくは80mol%以上である。基材上へ接着する前の表面塩濃度が低すぎると、粒子の接着性が低下する場合があり好ましくない。
次に、基材上へ接着する前の吸収性樹脂粒子は、表面強度が0.1〜5.5Nであることが好ましく、より好ましくは0.1〜5N、さらに好ましくは0.2〜4N、最も好ましくは0.2〜3Nである。表面強度とは、粒子表面の変形しやすさを表すパラメータである。特定倍率に吸収して膨潤した吸収性樹脂粒子を容器に入れて荷重をかけていくと、容器内で隙間をあけて充填されていた吸収性樹脂粒子の隙間を埋めるようにゲルが移動、変形していく。表面強度は、吸収した吸収性樹脂粒子が実体積になった時の弾性率であるので、ゲル粒子間の相互作用の大きさや表面の変形しやすさを意味する。表面強度が大きいということは、吸収性樹脂粒子が変形しにくいことを表す。変形しにくいということは、吸収性樹脂粒子が吸収して膨潤するのに対し負の力が強いということになり、ひいては吸収容量を下げてしまうことになる。また、表面が変形しにくいと、樹脂と基材との接着面が小さくなり複合体からの粒子の脱離が起こりやすく好ましくない。本発明の吸収性樹脂粒子の表面強度は、以下のように求める。
装置:島津オートグラフAG−1
試料:吸収性樹脂粒子0.10gを精秤し、底面に75μmの孔径のナイロンシートを貼り付けた内径20.5mm、高さ50mmの円筒容器の底に均一に入れた。50φのシャーレを用意し、0.90gの生理食塩水をいれ、吸収性樹脂粒子の入った円筒容器を静置し、1時間吸収膨潤させた。
測定:1kNのロードセルを使用し、直径19.7mmの円柱軸をとりつけた。測定レンジは0.2kNと設定し、ロードセルに荷重がかからない高さにあわせ、そこから降下速度0.6mm/分という一定の速度で下がるように設定する。ロードセルに加わる圧力を経時的に記録した。ここで、表面強度とは実体積になった時点における荷重(N)を表す。吸収性樹脂粒子の実体積は、生理食塩水の比重1.010g/cm3と吸収性樹脂粒子の比重を利用して計算した。
次に、吸水性樹脂性能の評価について説明する。
25g/m2目付のレーヨンスパンレース(国光製紙製)を縦15cm、横10cmの長方形に切り取る。切り取られたレーヨンスパンレース2枚の間に、吸水性樹脂0.75gを出来るだけ均質にばら撒いて配置し、吸収体を作成する。吸収体の短手方向へ生理食塩水が漏れ出さないように吸収体の長手方向に堰を設け、短手方向に漏れ出す生理食塩水を長手方向へ走らせるようにしておく。(図1参照)この吸収体の中央部に、25℃に調温された0.9%生理食塩水を1.5cmの高さから5g/secの速度で投下する。吸収体の長手方向のエッジから外側に液体が漏れでた時点で生理食塩水の投下を終了する。最終的に投下された生理食塩水量(g)を測り取る。投下時間(秒)は、投下された生理食塩水量を5g/secで割った値とする。(式1)に従って、シート挟み込み法の吸収速度を算出する。
(式1)
シート挟み込み法の吸収速度(g/sec・g−吸水性樹脂)=5(g/sec)/{0.75g×1(sec)/投下時間(sec)}
また、T−バッグ法の吸水倍率測定試験(測定法の詳細は下記。)においては、35g/g以上の性能が発現する吸水性樹脂となる。通常、吸水速度60g/sec・g−吸水性樹脂以上、保水力25g/g以上、吸収倍率35g/g以上という吸水性樹脂は確認できていない。本発明は、当該樹脂層の厚みを30μm以下とし、樹脂の液体接触時の呼応速度を上げることで体液の超高速吸収を可能にした。また、当該樹脂は樹脂部以外にも樹脂内部に中空状の空間を有することで空間保水するため高保水化が可能となった。
(T−バッグ法の吸収倍率測定試験)
本発明の吸水性樹脂の吸収倍率とは0.9%の生理食塩水を、吸水性樹脂に荷重がかからない状態において、自由に膨潤吸収できる量のことである。吸水性樹脂の吸収倍率は以下のような方法で測定する。
(式2)
吸水性樹脂の吸収倍率(g/g)={(吸水後のティーバッグの重量)−(吸水後のブランクのティーバッグ重量)−(吸水性樹脂の重量)}/(吸水性樹脂の重量)
(保水力の測定試験)
前記T−バッグ法の吸収倍率測定試験実施直後の含水樹脂を包含したT−バッグを遠心分離機に入れ、250Gで3分間脱水し、重量を測定する。吸水性樹脂を用いずに同様の操作を行い、重量を測定しブランクとする。(式3)に従って保水力を算出する。測定は3回行い、平均値を保水力とする。
(式3)
吸水性樹脂の保水力(g/g)={(吸水後遠心分離機で脱水後のティーバッグの重量)−(吸水後のブランクのティーバッグ重量)−(吸水性樹脂の重量)}/(吸水性樹脂の重量)
(ボルテックス法による吸収速度の測定法)
100ccのガラス製ビーカーに25℃に調整した0.9%の生理食塩水を50g測り取る。ここに30*8mmの回転子を入れ、回転計のついたマグネチックスターラーの上にのせ、600rpmで回転させる。非接触式回転計にて、回転数を確認する。吸水性樹脂を2.00g測り取り、ビーカーに投入する。吸水性樹脂投入後から、液表面が平らになるまでの時間を吸収時間とする。(式4)に従って吸収速度を算出する。
(式4)
吸水性樹脂のボルテックス法による吸収速度(g/sec・g−吸水性樹脂)=50g/(2g×吸収時間(秒))
本発明の吸水性樹脂は、吸収倍率、保水力、吸水速度のバランスが非常に優れた樹脂であり、当該樹脂を単独使用しても構わないが、上記性能の異なる樹脂と併用して使用することも好ましい方法である。
(嵩比重測定法)
乾燥状態の吸水性樹脂を室温下にて2cc台付メスフラスコ(許容誤差+−0.015cc)中へ細密状態となるように2cc分充填する。この間隙を含んだ細密状態の樹脂重量を計測し体積2ccで割った値を嵩比重とする。
本発明に使用する吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径は好ましくは10〜500μmであり、より好ましくは30〜400μm、さらに好ましくは50〜300μm、最も好ましくは70〜200μmである。平均粒子径が小さすぎると、吸水性能の点で好ましくない。また、大きすぎると、吸収速度が劣るし、粒子の感触が目立ってしまうため好ましくない。
本発明において基材とは、シート形状を保てる素材のことをいう。
(素材)
本発明においては、基材はシート状のものをいう。どのような素材でも構わないが、親水性であることが好ましく、紙および/または布が好ましい。本発明において親水性の基材とは、後述する基材の吸収速度が0.2mg/秒以上である基材のことをいう。紙とは、JISP0001で定義される広義の意味での紙のことを指し、布とはJISL0206で定義されるシート状繊維製品の総称である。布はシートを形成する手段によって織物、編物、組み物、レース、網、不織布に分類されるが、本発明に使用する布は、織物、編物、不織布が好ましく、より好ましくは不織布である。紙および/または布は、形態安定性に優れているため好ましい。不織布とは、JIS L 0222により定義される。
親水性の基材のなかでも、特にセルロース系の基材が好ましい。本発明におけるセルロース系基材とは、セルロースを主原料とした布および/または紙のことを表し、この中でもセルロース系繊維からなる布および/または紙、特に、セルロース不織布が好ましい。セルロースは、例えばエステル化やエーテル化などの処理により誘導体化されたものを使用しても構わない。また、他の繊維と混ぜたものでもよい。セルロースとしては、綿、麻などの天然繊維、レーヨン、ポリノジック、リヨセル、キュプラなどの再生繊維などがある。繊維としては再生繊維の方が好ましく、一年草である綿実を再生繊維化した繊維がさらに好ましい。
基材の形状は特に限定されず、1枚あたりの厚さは好ましくは0.001mm以上、より好ましくは0.01mm以上であり、さらに好ましくは0.05mm以上であり、最も好ましくは0.1mm以上である。基材の1枚あたりの坪量は28〜100g/m2であることが好ましく、35〜80g/m2であることがより好ましく、40〜60g/m2であることが更に好ましい。薄すぎるものは強度の点から好ましくない。厚みがあるほど、樹脂を保持する空間が大きく、樹脂同士の接触が起こりにくく、樹脂と繊維との接点が大きくなるため、吸収速度の点から好ましい。また、基材の表面は平滑であるよりも、凹凸が多いほど樹脂と基材繊維との接点が多くなるため好ましい。軽すぎるものについては、吸水性樹脂に対して通水路となる繊維量が不足するため好ましくない。重すぎるものについては、樹脂に対して繊維の割合が高くなりすぎるため、繊維中の液体を樹脂が吸収しきれないと逆戻りの原因になる場合があり好ましくない。
基材、樹脂層は何層あってもよいが、吸水性樹脂の合計重量と基材の合計重量との比率が一定の範囲であると、吸収速度と逆戻り性のバランスが特に良好になる。基材に対する吸水性樹脂の比率は、35〜300%であることが好ましく、42〜250%であることがより好ましく、50〜200%であることが更に好ましく、60〜140%であることが最も好ましい。
本発明においては、生理食塩水後の引張破断強度が、好ましくは0.6N/20mm以上であり、より好ましくは0.6〜5000N/20mmであり、さらに好ましくは0.7〜500N/20mmであり、0.85〜100N/20mmであることがさらに好ましく、1〜100N/20mmであることが最も好ましい。
試料:15cm×2cmの長方形型基材(方向を変えて何種類か用意する)
装置:引張試験機(島津のオートグラフ)
方法:1Lビーカーに0.9%生理食塩水を700g取り、基材を10分間浸漬させる。基材を引き上げ、キムタオル上に1分間放置し、間隔が10cmとなるように両端から2.5cmの部分をセットし、10mm/分のスピードで破断するまで引っ張り続ける。この時の力を記録し、最大値を強度N/20mmとする。方向があるものについては、方向を変えて何点か測定する。
本発明において基材の吸収倍率とは、基材が0.9%生理食塩水を60分間で吸収して何倍の重量になるかを測定したものであり、具体的には以下のような方法で測定する。 基材を直径59.5mmの円形に切り取り、重量を記録した後、円周部分から1cmのところに針金を通す。1Lのビーカーに23℃の生理食塩水を500g以上用意しておき、基材を針金ごと生理食塩水に漬け込む。60分後、基材を針金ごと生理食塩水から取り出し、基材が他のものと触れないようにして10分間吊り下げる。10分後針金を抜いて含水基材と付着水の総重量を計測する。
(式7)
基材の吸収倍率(g/g)=吸収後の重量(g)/吸収前の重量(g)
本発明においては、基材の吸収倍率は6g/g以上200g/g以下であることが好ましく、より好ましくは8g/g以上100g/g以下、さらに好ましくは10g/g以上50g/g以下であり、最も好ましくは12g/g以上30g/gである。
基材の親水性、通液性を表す指標として、吸収速度がある。 本発明において基材の吸収速度とは、幅2cmの基材が0.9%生理食塩水を垂直方向に吸収していく速度のことを表す。
試料:10cm×2cmの長方形型基材
縦横方向があるものについては、方向を変えて2点以上用意する
装置:電子天秤、直径90mmのシャーレ
方法:電子天秤上にシャーレをおき、基材をシャーレの10cm上から垂直に吊り下げる。シャーレを電子天秤から取り、他の天秤で0.9%の生理食塩水60gを量り取る。基材の下部を手でもち、生理食塩水にふれないようにしてシャーレを電子天秤上に再度設置し、天秤の値を0点に設定する。基材を静かに生理食塩水に漬け込み、電子天秤の値を経時的に記録する。時間(秒)と電子天秤の値の絶対値(mg)をグラフにプロットし、120秒後から240秒後までの間の傾き(mg/秒)を吸収速度とする。基材で方向があるものについては、方向を変えて何点か測定を行い、一番早い値を吸収速度とする。
基材に方向が存在すると、方向ごとに強度と伸びが変化する。前述のとおり、本発明においては、強度が最大である方向を縦方向とし、それに対して垂直の方向を横方向とする。 縦方向と横方向の引張破断強度の比は好ましくは1.2:1以上であり、より好ましくは1.5:1以上、さらに好ましくは2:1以上であり、10:1以下である。
(接触角)
本発明における基材は、接触角が130度以下である不織布が好ましい。
本発明における吸収性複合体は、吸水性樹脂粒子と基材を原料とし、基材に吸水性樹脂粒子を接着させる工程を含む製法で製造されることが好ましい。
(吸収倍率)
本発明において、吸収性複合体の吸収倍率は、0.9%生理食塩水を自由吸収させた時、3時間後に吸収された量とする。具体的には、直径59.5mmの円状の吸収性複合吸収体を作製し、前述の基材の吸収倍率と同様の方法を用いて測定する。ただし、脱離がおきた場合においては、濾過を行って吸水性樹脂粒子を回収し、キムワイプ上で10秒以上静置して水切りを行い、その重量も加えて計算することにする。接着されていない吸水性樹脂粒子を含んでいる場合は、取り除いてから測定する。
(面積あたりの吸収量)
吸収性複合体の吸収性能の指標として、面積あたりの吸収量が重要となる。面積あたりの吸収量は、前述の測定結果から(式8)に従って計算することができる。
(式8)
面積あたりの吸収量(g/cm2)=((吸収後の全重量(g)−吸収性複合体の重量(g))/吸収性複合体の面積(cm2)
面積あたりの吸収量は、多い方が好ましく、0.1g/cm2以上あることが好ましく、より好ましくは0.3g/cm2以上、さらに好ましくは0.6g/cm2以上である。
1分後吸収倍率は、初期の液体の吸収速度を表す。紙オムツなどの衛生材料用途においては、瞬時に体液を吸収することが求められるため、1分後吸収倍率が大きいほど好ましい。1分後吸収倍率は(式10)に従って求められる。具体的には以下の方法で測定する。 吸収性複合体を縦2cm、横7cmに切り取り、重量を測定する。1000ccのガラス製ビーカーに生理食塩水を700cc入れておく。まず、縦80cm、横70cmのT−Bagの重量を測定し、T−Bagのみの状態で1分間吸水させて遠心分離を行い、その後重量を測定する。この重量を、吸水前のT−Bagの重量で割ることにより、T−Bagの1分後吸収倍率を求める。同じ大きさのT−Bagの重量を測定し、T−Bagに吸収性複合体を入れる。T−Bagを液から素早く引き出すために、ひものついたクリップを用意し、T−Bagにとりつけ、布が折れたり絡んだりしないように丁寧に素早く液へ漬け込む。漬け込んでから1分経過後に、ひもをもって速やかに引き上げる。その後クリップをはずし、150Gで3分間遠心分離を行い、重量を測定する。総重量からT−Bagの吸水分を引き、吸水前の吸収性複合体重量で割ることにより1分後吸収倍率を求める。吸収性複合体の引き上げから遠心分離の開始までは15秒以内とする。
(式10)
1分後の吸収倍率(g−生食/g)=(遠心後の重量(g)−T−Bagの重量(g)*T−Bagの1分後の吸収倍率)/吸収性複合体の重量(g)
(吸収性複合体の液捕獲性、戻り性の評価)
十分な広さのある木の板を水平な実験台の上に設置する。吸収性複合体の大きさを、長手方向は26cm、短手方向は8cmとする。ユニ・チャーム社製ライフリーさわやかパッド120cc用からトップシート部分を切り取り、吸収性複合体の上に配置する。図1のように吸収性複合体の長手方向に沿って堰をもうけ、短手方向に液が流れないようにする。37℃に暖めた生理食塩水を80g量り取り、10秒かけて吸収性複合体の中心部分に滴下する。表面に力がかからないように軽く触ったときに、全体が乾いたと感じられる時間を吸収時間とする。そのときに液が広がっている長さを拡散長とする。拡散長が短いほど液の捕獲能力が高く、漏れにくいといえる。吸収時間が早いほど、吸収速度が速いといえる。液滴下開始から10分後に、アドバンテック製No2、直径150mmの濾紙を1辺10cmの正方形に切り取った濾紙を約100gを液滴下部に静置する。その上に3.5kgの荷重をかける。荷重の設置から3分後に荷重をはずし、濾紙の重量を測定し、増加した重量を戻り量とする。戻り量が少ないほど、ドライ感がますので好ましい。
本発明の吸収性複合体の好ましい使用法として、体液吸収物品の構成要素としての使用が挙げられる。以下に体液吸収物品の構成要素として使用される場合について説明する。
(体液吸収物品)
本発明の体液吸収物品とは、透液性シート、不透液性シートとその間に介在する吸収性複合体から構成される体液吸収物品であり、体液を吸収する能力をもつ物品全てを指す。本発明において吸収する体液は特に限定されず、例としては尿、経血、母乳、軟便等が挙げられる。物品の形状も特に限定されないが、パッド状やテープタイプ、パンツ型などが好ましく使用される。具体的な例の一つとしては、おむつや生理用ナプキン、尿取りパッド、母乳パッド等が挙げられる。
試薬アクリル酸(和光純薬製、試薬特級品)100gを200mlフラスコに量り取り、撹拌下、内温30℃以下に保つよう冷却しながら25重量%アンモニア水95.7gを滴下し、100モル%中和のアクリル酸アンモニウム水溶液195.7gを生成した。 重合装置としてあらかじめ系内を窒素置換した還流冷却管付きの2Lセパラブルフラスコに前述のアクリル酸アンモニウム水溶液、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.0173gを仕込み、十分に溶解させた後、エマルゲンLS−106(花王株式会社製、非イオン性界面活性剤)1.1gとシクロヘキサン22.15gを投入し、窒素フロー下にて撹拌を行い懸濁させて、水溶液中に油滴が安定に存在するエマルジョンを調製した。この時、重合装置内が65kPaとなるようコントロールし装置内の酸素を完全に脱気した。次に、500mlフラスコ中で界面活性剤ソルビタンモノステアレート4.44gをシクロヘキサン450g中へ溶解させ、窒素バブリングにより溶媒中の酸素脱気を十分に行った。その後、過硫酸アンモニウム0.0925gを蒸留水2gに溶解させ、重合装置内縣濁液中へ添加した。重合装置内を十分に攪拌しながら酸素脱気しておいたシクロヘキサン溶液を投入した。投入終了後60℃のオイルバスにより加温して重合を開始し、1時間重合した。その後重合装置内部圧力を窒素雰囲気下で常圧まで上昇させ、オイルバス温度を80℃まで上昇させ1時間重合し、含水ゲルを含んだエマルジョンを得た。次にエタノール20.0g、グリセリン1.15g、シクロヘキサン180gの混合溶液を80℃に保持したエマルジョン溶液中へゆっくり滴下し、粒子が適当な粒径となるように凝集させた。凝集粒子を取り出し、シクロヘキサンを用いて洗浄後、ろ過回収し100℃の真空乾燥を行った。この際粒子内部のシクロヘキサンが蒸発除去され、その結果中空状態となる。乾燥後の樹脂を粉砕・分級した。取り出した樹脂の電子顕微鏡写真を図2に示した。
製造例1の樹脂をイナートオーブンを用いて窒素雰囲気下で150℃10分間の加熱を行った。
水酸化ナトリウム0.482gを蒸留水2.4gに溶解させ、そこへエタノール30gを加えた。ここへ製造例2の樹脂10gを加えて5分間撹拌した後、ろ過を行った。エタノールを加えて洗浄を行い、真空乾燥機を用いて30℃で乾燥を行った。
試薬アクリル酸100gに蒸留水10.14g添加後、活性炭(日本エンバイロケミカル株式会社製 白鷺WH2C)を7.25g添加して内温が30℃以下に保つように冷却をしながら1時間撹拌し重合禁止剤を活性炭にて吸着除去し、ろ過によりアクリル酸水溶液を回収する。このアクリル酸水溶液105.6gを200mlフラスコに量り取り、撹拌下、内温30℃以下に保つよう冷却しながら28重量%アンモニア水80.13gを滴下し、100モル%中和のアクリル酸アンモニウム水溶液185.7gを生成した。
重合装置内シクロヘキサンを60℃に加温する。内温が設定温度まで到達したら、アクリル酸アンモニウム水溶液中に過硫酸アンモニウム0.0920gを蒸留水2gに溶解させた液を添加し均一になるよう撹拌する。その後、重合装置内へアクリル酸アンモニウム水溶液を投入し重合を開始し、そのまま2時間保持した。投入開始から2時間後、圧力を常圧まで解放し含水ゲルを含んだエマルジョンを得た。次に、エタノール8.5g、グリセリン1.06g、シクロヘキサン90gの混合液を80℃に保持したエマルジョン溶液エマルジョン中へゆっくり滴下し、粒子が適当な粒径となるように凝集させた。生成した含水ゲルはシクロヘキサンを用いて洗浄後、ろ過回収し100℃の真空乾燥を行い回収した。乾燥後の樹脂を粉砕・分級した。
製造例4で得られた吸水性樹脂をイナートオーブンにて、窒素雰囲気下150℃で30分加熱処理する。次に水酸化ナトリウム0.16g、蒸留水0.98g、0.18gをエタノール6.63g中へ溶解しこの混合溶液を、加熱処理後の樹脂3.01gへ添加し均一に分散させた後、常温で真空乾燥を行った。
300mlセパラブルフラスコに40重量%アクリル酸アンモニウム水溶液(100%中和)を90g、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを0.0062g、シクロヘキサンを72.00g、花王株式会社製 非イオン性界面活性剤エマルゲンLS−110を1.1250g添加する。フラスコは30℃に液温が保たれるようにウォーターバスに浴しながらマグネティックスターラーを用いて20分間、400rpmで攪拌する。水溶液を窒素ガスでバブリングすることにより脱気し、反応系中を窒素置換した。次に42重量%グリセリン水溶液をシリンジにて0.86g添加、よく攪拌した後にそれぞれ1gの水に溶かした30重量%過酸化水素水溶液 0.0917gとロンガリット 0.0830gを添加し重合を開始する。内部温度は30℃から開始して反応開始10分で80℃まで上昇する。その後、内部温度が70℃に保たれるように水浴にて1時間加熱する。その後、セパラフラスコよりゲルを取り出し粗解砕を行ってから100℃にて窒素雰囲気のイナートオーブンを用いて乾燥させる。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けした。
イナートオーブンにて窒素雰囲気下で30分間、130℃で加熱した。
300mlセパラブルフラスコに40重量%アクリル酸ナトリウム水溶液(75%中和)を90g、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを0.0062g、シクロヘキサンを72.00g、花王株式会社製 非イオン性界面活性剤エマルゲンLS−110を1.1250g添加する。フラスコは30℃に液温が保たれるようにウォーターバスに浴しながらマグネティックスターラーを用いて20分間、400rpmで攪拌する。水溶液を窒素ガスでバブリングすることにより脱気し、反応系中を窒素置換した。次にそれぞれ1gの水に溶かした30重量%過酸化水素水溶液 0.0917gとロンガリット 0.0830gを添加し重合を開始する。内部温度は30℃から開始して反応開始10分で80℃まで上昇する。その後、内部温度が70℃に保たれるように水浴にて1時間加熱する。その後、セパラフラスコよりゲルを取り出し粗解砕を行ってから100℃にて窒素雰囲気のイナートオーブンを用いて乾燥させる。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けした。
製造例8の樹脂5gに対して、グリセリン0.05g、水0.15g、イソプロピルアルコール1.5の溶液を均一に散布し、イナートオーブンを用いて窒素雰囲気下で130℃30分加熱した。
なお、製造例1〜3の樹脂粒子は中空状であり、製造例4〜7の樹脂粒子は中空状ではない。
王子キノクロス社製の「王子キノクロスKS−40」登録商標を、30cm、20cmの長方形に切り取った。布に霧吹きで水を散布し、その上に製造例1の樹脂のうち106〜300μmに分級されたものを3.8g、300〜600μmに分級されたものを3.1g均一に散布した。同じ大きさに切り取った布をもう1枚用意し、霧吹きで水を散布し、先ほど散布されている樹脂面に重ねた。この上に再び水を散布し、その上に製造例1の樹脂のうち106〜300μmに分級されたものを3.8g、300〜600μmに分級されたものを3.1g均一に散布した。同じ大きさに切り取った布を更にもう一枚用意し、水を散布して、樹脂面に重ねた。これをプラスチック製の板の間に挟み込み、手で軽く荷重をかけたのちに取り出した。幅20cm、直径10cm、5kgの円筒を用意し、吸収体の上を2往復転がした。イナートオーブンを用いて窒素雰囲気下で150℃15分の乾燥を行った。取り出した吸収性複合体を、直径2cmの円柱に縦方向、横方向に2回ずつまきつけた。これを実施例1とする。
製造例3の樹脂を使用し、乾燥条件を120℃20分とする以外は、実施例1と同様の方法で複合体を作製した。これを実施例2とする。
製造例6のイナートオーブンによる加熱前の樹脂を使用し、乾燥条件を130℃40分(布上で樹脂の加熱を行った)とする以外は、実施例1と同様の方法で複合体を作製した。これを実施例3とする。
製造例7の100℃乾燥、粉砕、分級後の樹脂のうち106〜300μmに分級されたものを7.6g、300〜600μmに分級されたものを6.2g秤量し混合した。ここへ、グリセリン0.138g、水0.414g、イソプロピルアルコール4.14gの溶液を均一に散布し、真空乾燥機を用いて80℃で乾燥させた。この樹脂を使用して実施例3と同様に複合体を作製した。これを実施例4とする。
複合体作製時に5kgの円筒による荷重をかけない以外は実施例1と同様に複合体を作製した。
基材を国光製紙株式会社製のレーヨンスパンレース(坪量45g/m2)を使用する以外は、実施例1と同様に複合体を作製した。これを実施例6とする。
エマルゲンLS−110(花王株式会社製、非イオン性界面活性剤)0.69g、エタノール40gの溶液に実施例2の複合体を漬け込んだ。窒素気流をあてながら風乾したのちに、真空乾燥機を用いて室温で乾燥させた。これを実施例7とする。
製造例5の樹脂を用いる以外は、実施例2と同様に複合体を作製した。これを比較例1とする。
王子キノクロス社製の「王子キノクロスKS−40」登録商標を用いて、各試験に使用する吸収体の大きさの袋を作製した。例えば拡散性の試験であれば、縦24cm、横8cmの大きさの布を2枚用意し、4辺を接着剤を用いて袋にする。ここに製造例3の樹脂のうち実施例1と同じ量になるように樹脂をいれることで吸収体を作製した。樹脂が偏りやすく安定しない。
ポリプロピレン製の旭化成せんい社製「スパンボンドエルタス」(登録商標)、20g/m2のものを縦30cm、横20cmに切ったものを6枚用意して重ねた。製造例6の樹脂のうち106〜300μmのものを7.6g、300〜600μmのものを6.2g混合した。これを2.76gずつ6枚の不織布の層間に均一に散布した。熱をかけて融着することにより、複合体を作製した。これを比較例3とする。
国光製紙株式会社製のレーヨンスパンレース(坪量45g/m2)を30cm、20cmの長方形に切り取った。その上にスプレー式のりを使用して、製造例7の樹脂のうち106〜300μmに分級されたものを3.8g、300〜600μmに分級されたものを3.1g均一に接着させた。その上にさらにスプレーをし、同じ大きさに切り取った布をもう1枚を接着させた。同様の操作を繰り返し、全ての樹脂が接着剤によって接着されている以外は、実施例6と同じ複合体を作製した。これを比較例4とする。
乾燥後に巻きつけを行わない以外は実施例4と同様に複合体を作製した。これを比較例5とする。
樹脂層1層あたりの樹脂量を、106〜300μmに分級されたものを1.7g、300〜600μmに分級されたものを1.7gとする以外は実施例1と同様に複合体を作製した。これを比較例6とする。
Claims (9)
- 基材と粒子状の吸水性樹脂が接着されている複合物であって、以下の条件を満たすことを
特徴とする吸収性複合体。
(1)該樹脂の嵩比重が0.65以下である、
(2)剛軟性変化率が60%以下である、
(3)少なくとも1枚の基材は親水性繊維から構成されている、
(4)50%以上の吸水性樹脂が基材と直接接着している、
(5)該吸水性樹脂中の残存モノマーが200ppm以下である、
(6)吸収性複合体の全重量に対する吸水性樹脂重量の割合が、50〜99%である、
(7)該吸水性樹脂表面にHLB7以上の非イオン系界面活性剤を有している。 - 該吸水性樹脂が内部に空間を有している中空の粒状吸水性樹脂であって、中空の粒状吸水性樹脂の皮膜の厚みが1〜30μmであることを特徴とする請求項1に記載の吸収性複合体。
- 吸水性樹脂の平均粒径が、5〜1000μmであることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の吸収性複合体。
- 中空の粒状吸水性樹脂のポリマー分子鎖中におけるカルボキシル基含有単位の含有率が50mol%以上であることを特徴とする請求項2あるいは請求項3のいずれかに記載の吸収性複合体。
- 中空の粒状吸水性樹脂のポリマー分子鎖中におけるカルボキシル基含有単位の50%以上が中和塩であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の吸収性複合体。
- 中空の粒状吸水性樹脂のポリマー分子鎖中におけるカルボキシル基中和塩単位のうち10〜80mol%アンモニウム塩であることを特徴とする請求項5に記載の吸収性複合体。
- 基材と粒子状の吸水性樹脂が接着されている複合物であって、以下の条件を満たすことを特徴とする吸収性複合体の製造方法であって、吸水性樹脂および/または基材を吸水させた後、基材と吸水性樹脂粒子とを接触させた状態で脱水乾燥する工程を含む吸収性複合体の製造方法。
(1)該樹脂の嵩比重が0.65以下である、
(2)剛軟性変化率が60%以下である、
(3)少なくとも1枚の基材は親水性繊維から構成されている、
(4)50%以上の吸水性樹脂が基材と直接接着している、
(5)該吸水性樹脂中の残存モノマーが200ppm以下である、
(6)吸収性複合体の全重量に対する吸水性樹脂重量の割合が、50〜99%である、
(7)該吸水性樹脂表面にHLB7以上の非イオン系界面活性剤を有している。 - 該樹脂が粒子の凝集体であり、脱水乾燥前に樹脂に荷重をかける工程を含むことを特徴とする請求項7記載の吸収性複合体の製造方法。
- 乾燥後に、吸収体の剛軟性を下げる工程を含むことを特徴とする、請求項7あるいは請求項8に記載の吸収性複合体の製造方法。
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