JP4859266B2 - 薄膜トランジスタとその製造方法および液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜トランジスタとその製造方法、および本発明の薄膜トランジスタを備えた液晶表示装置に関し、特にトップゲート型薄膜トランジスタの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は、従来のトップゲート型薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor, 以下、TFTと記すこともある)の一構造例を示すものである。この図に示す従来のTFTは、例えばガラス等の基板41上にアモルファスシリコンからなる半導体層42が形成され、その中央部上にゲート絶縁膜43が形成され、ゲート絶縁膜43上にゲート電極44が形成されている。半導体層42に高濃度n型不純物が導入されたn+半導体層からなるソース領域45およびドレイン領域46が形成され、これらソース領域45、ドレイン領域46に挟まれた領域がチャネル部47となっている。また、これらソース領域45、ドレイン領域46をなすn+半導体層は、ゲート絶縁膜43端部の下方にまで侵入した形で形成されている。
【0003】
また、ソース領域45およびドレイン領域46上にはシリサイド膜48が形成されている。そして、ゲート電極44および半導体層42を覆うように絶縁膜49が形成され、この絶縁膜49を貫通してソース領域45上およびドレイン領域46上のシリサイド膜48に達するコンタクトホール50、51がそれぞれ形成され、各コンタクトホール50、51部分でソース領域45およびドレイン領域46と電気的に接続されるソース電極52およびドレイン電極53がそれぞれ形成されている。
【0004】
この構造例のTFTにおいては、ソース電極52およびドレイン電極53に接続されたシリサイド膜48中を電子が流れるが、シリサイド膜48とチャネル部47との間にn+半導体層が存在するため、このn+半導体層が正孔のブロッキング領域として有効に作用し、電子と正孔が結合することなく電子の流れが円滑になる。その結果、TFTがオフ時のリーク電流(オフ電流:Ioffともいう)を低減することができ、信頼性の高いTFTが得られる、という効果を得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、液晶表示装置の基板等に用いられるTFTにおいて、上記の半導体層として多結晶シリコンが多用されるようになってきた。多結晶シリコンはアモルファスシリコンに比べてキャリアの移動度が大きく、アモルファスシリコンの移動度が0.3〜1cm2/V・sec 程度であるのに対して、多結晶シリコンの移動度は10〜100cm2/V・sec 程度である。したがって、いわゆる多結晶シリコンTFTは、アモルファスシリコンTFTに比べてキャリアの移動度が大きいことから駆動能力が大きく、高速動作が可能になるという利点を有している。
【0006】
しかしながら、多結晶シリコンTFTは移動度が大きい反面、オフ電流が大きくなるという欠点を有しており、この多結晶シリコンTFTを液晶表示装置に用いた場合、オフ電流が大きいと画素に蓄積した信号電荷が充分に保持できない、という問題が生じる。そこで、オフ電流を小さくするための種々の対策が講じられており、その一つにLDD(Lightly Doped Drain)構造の採用が挙げられる。LDD構造とは、ソース領域、ドレイン領域を低濃度の不純物半導体層で構成したものであり、チャネル部との間の濃度勾配を小さくすることでこの領域の電界を緩和し、オフ電流を小さくするものである。
【0007】
上記構造例の従来のTFTはLDD構造を採用したものではないが、オフ電流の低減を目的として、n+半導体層をゲート絶縁膜端部の下方にまで侵入する形に形成する構造としている。このようなn+半導体層を形成するためには、図5に示すように、半導体層42上にゲート絶縁膜43、ゲート電極44を形成した後、これらゲート電極44およびゲート絶縁膜43をマスクとしてP+、As+等のn型不純物をイオン注入するが、この際、イオンビームIの角度θを基板表面の法線に対して例えば10ないし30°程度に傾けた斜めイオン注入を行う。これにより、イオンがゲート絶縁膜43の下方にまで侵入し、ゲート絶縁膜43端部の下方に延在するn+半導体層が形成される。
【0008】
ところが、イオン注入時にイオンが注入される層の表面で結晶欠陥等のダメージが生じることは、イオン注入法を用いる限り避けられない問題である。上記LDDを形成する場合、斜めイオン注入を行っているので、半導体層の上面、ゲート電極の上面等、基板表面に平行な面のみならず、ゲート絶縁膜の側壁面にも結晶欠陥等のダメージが生じ、結晶構造が乱れたダメージ層54(図5に示す)が形成される。すると、このダメージ層がゲート−ソース間またはゲート−ドレイン間のリーク電流のパスとなり、オフ電流の増大の原因となっていた。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、駆動能力や動作速度に優れた多結晶シリコンTFTにおいて、従来に比べてオフ電流を低減でき、信頼性の高い薄膜トランジスタおよびその製造方法を提供し、さらにはこのような薄膜トランジスタを備え、信頼性、応答速度に優れた液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の薄膜トランジスタは、基板上に多結晶シリコンからなる半導体層が設けられ、該半導体層中に低濃度の不純物を導入してなるソース領域およびドレイン領域が該半導体層の両端部側に形成され、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間のチャネル部上であって前記ソース領域と前記ドレイン領域とに跨ってゲート絶縁膜が設けられ、該ゲート絶縁膜上にゲート電極が設けられ、前記ソース領域および前記ドレイン領域にそれぞれ接続されたソース電極およびドレイン電極が設けられ、前記ソース領域および前記ドレイン領域の外上面にそれぞれシリサイド膜が設けられ、前記ソース領域と前記ゲート電極との間または前記ドレイン領域と前記ゲート電極との間のリーク電流経路を遮断する絶縁膜が前記ゲート絶縁膜上であって前記ゲート電極の両端に設けられたことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の薄膜トランジスタにおいては、半導体層に形成されるソース領域、ドレイン領域に低濃度の不純物を導入した半導体層、いわゆるLDD構造のソース・ドレインを採用した。例えばNチャネルトランジスタの場合、高濃度の不純物半導体層をn+半導体層と表記するとすれば、低濃度の不純物半導体層はn-半導体層と表記することができる。なお、本発明では、n+半導体層の濃度は1016atm/cm3を越える濃度、n-半導体層の濃度は1016atm/cm3以下の濃度と定義する。よって、LDD構造の採用によりオフ電流を低減することができる。
【0012】
ところが、n-半導体層がゲート絶縁膜端部の下方にまで侵入するように形成するために斜めイオン注入技術を用いると、上述したように、ゲート絶縁膜の側壁にダメージ層が形成され、リーク電流経路が形成されてしまう。そこで、本発明の薄膜トランジスタでは、ゲート絶縁膜上のゲート電極の両端にリーク電流経路を遮断する絶縁膜を設けた。すなわち、ゲート電極のソース領域側、ドレイン領域側の両端に絶縁膜を設け、ゲート絶縁膜側壁に生じるダメージ層とゲート電極とが直接繋がらないようにした。これにより、ゲート−ソース間またはゲート−ドレイン間のリーク電流経路が絶縁膜で遮断されるので、斜めイオン注入技術の使用によりゲート絶縁膜側壁にダメージ層が形成されても、TFTのオフ電流の増大を防止することができる。
【0013】
また、オフ電流の低減を目的としてn-半導体層を用いると、不純物濃度の低下によりソース領域およびドレイン領域の抵抗が大きくなるという不具合が生じる。しかしながら、本発明の場合、ソース領域およびドレイン領域の上面にそれぞれ低抵抗のシリサイド膜が設けられているため、抵抗の増大を防止することができ、TFTの高速動作が可能になる。
【0014】
上記のリーク電流遮断絶縁膜としては、ゲート電極の周囲にゲート電極材料とは別に新たに形成した絶縁膜を用いてもよいが、ゲート電極材料を陽極酸化してなる酸化膜を用いてもよい。特に後者の場合、ゲート電極を陽極酸化可能な金属材料で形成しておけば、CVD法等を用いることなく、陽極酸化法により絶縁膜を容易に形成することができる。
【0015】
本発明の薄膜トランジスタの製造方法は、基板上に多結晶シリコンからなる半導体層を形成し、該半導体層上にゲート絶縁膜、ゲート電極用の陽極酸化可能な金属膜を順次成膜してこれらをパターニングし、パターニング後の前記ゲート絶縁膜と前記金属膜とからなる積層体をマスクとして前記半導体層中に不純物を斜めイオン注入することにより前記半導体層中に前記ゲート絶縁膜の下方にまで侵入したソース領域およびドレイン領域を形成し、前記金属膜を陽極酸化することにより該金属膜表面に酸化膜を形成するとともに該酸化膜の内側に残った金属膜部分をゲート電極とし、ついで、前記ソース領域および前記ドレイン領域の表面にソース電極、ドレイン電極およびシリサイド膜形成用の金属膜を形成し、アニール後パターニングして前記ソース領域に接続されたソース電極および前記ドレイン領域に接続されたドレイン電極を形成するとともにソース領域およびドレイン領域上にシリサイド膜を形成することを特徴とするものである。
【0016】
本発明の薄膜トランジスタの製造方法を用いることにより、上記特徴点を有する本発明の薄膜トランジスタを製造することができる。なお、この製造方法は、陽極酸化法によりリーク電流遮断絶縁膜を形成する方法であり、陽極酸化条件によってリーク電流遮断絶縁膜の膜厚を制御することができる。通常のTFTの製造プロセスにおいて、リン(P+)、ヒ素(As+)等のn型不純物をイオン注入する際に生じるダメージ層の深さは0.5μm以内であるから、絶縁膜の膜厚を0.5μmかそれ以上とすれば、リーク電流を遮断する機能を果たすことができる。
【0017】
なお、各膜の材料としては、半導体層に多結晶シリコン、ゲート絶縁膜にシリコン窒化膜(SiNx)等の絶縁膜、ゲート電極にアルミニウム(Al)、タンタル(Ta)等の陽極酸化可能な金属、シリサイド膜形成用の金属膜にタングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)等を用いることができる。
【0018】
本発明の液晶表示装置は、対向配置した一対の基板の間に液晶を挟持する液晶表示装置において、基板対の一方の基板が上記本発明の薄膜トランジスタを有することを特徴とするものである。本発明によれば、オフ電流が小さく、駆動能力や動作速度に優れた多結晶シリコンTFT基板の使用により、信頼性、応答速度に優れた液晶表示装置を提供することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図1ないし図3を参照して説明する。
図1および図2は、本実施の形態のトップゲート型多結晶シリコンTFTを有するTFTアレイ基板を製造する手順を示す工程断面図である。図3は、本実施の形態のTFTアレイ基板を一方の基板とした液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【0020】
本実施の形態のTFTアレイ基板1は、図2(C)に示すように、例えばガラス等の透明基板2上に多結晶シリコンからなる半導体層3が形成され、その中央部上にSiNx等からなるゲート絶縁膜4が形成され、ゲート絶縁膜4上にAl、Ta等の金属からなるゲート電極5が形成されている。なお、ゲート電極5は図示しないゲート配線と一体形成されている。ゲート電極5の上面および側面は、ゲート電極材料の酸化物であるAl2O3、Ta2O5等からなる膜厚0.5μm程度の絶縁膜6(リーク電流遮断絶縁膜)で覆われている。半導体層3には1016atm/cm3以下の低濃度でP+、As+等のn型不純物が導入されたn-半導体層からなるソース領域7およびドレイン領域8が形成され、これらソース領域7、ドレイン領域8に挟まれた領域がチャネル部9となっている。また、これらソース領域7、ドレイン領域8をなすn-半導体層は、ゲート絶縁膜4端部の下方にまで侵入する形で形成されている。
【0021】
また、ソース領域7およびドレイン領域8表面にはタングステンシリサイド、モリブデンシリサイド等のシリサイド膜10がそれぞれ形成されており、これらシリサイド膜10上に直接接するように一体化されたソース配線11とソース電極12、およびドレイン電極13がそれぞれ形成されている。これらソース配線11、ソース電極12およびドレイン電極13はシリサイド形成金属であるタングステン、モリブデン等から形成されている。そして、全面を覆うようにパッシベーション膜14が形成され、このパッシベーション膜14を貫通してドレイン電極13に達するコンタクトホール15が形成され、このコンタクトホール15を通じてドレイン電極13と接続されたITO(Indium Tin Oxide, インジウム錫酸化物)からなる画素電極16が形成されている。
【0022】
また、図示を省略するが、ゲート配線端部のゲート端子部およびソース配線端部のソース端子部において、上記コンタクトホール15と同様、ゲート配線およびソース配線を覆うパッシベーション膜14が開口し、ITOからなるパッドがゲート配線およびソース配線に接続してそれぞれ設けられている。
【0023】
以下、上記構成のTFTアレイ基板1の製造方法を図1および図2を用いて説明する。
まず、図1(A)に示すように、ガラス等の透明基板2上にCVD等を用いて多結晶シリコン膜を成膜し、この多結晶シリコン膜をフォトリソグラフィー、エッチングによりパターニングしてアイランド状の半導体層3を形成する。
【0024】
次に、図1(B)に示すように、ゲート絶縁膜用のSiNx膜17、ゲート電極用の陽極酸化可能な金属であるAlまたはTa膜18を順次成膜する。
【0025】
次に、図1(C)に示すように、上記のAlまたはTa膜18およびSiNx膜17をフォトリソグラフィー、フォトレジスト19をマスクとしたエッチングにより一括してパターニングし、AlまたはTa膜18からゲート電極5を形成し、SiNx膜17からゲート絶縁膜4を形成する。
【0026】
次に、図1(D)に示すように、フォトレジスト19を除去した後、ゲート電極5とゲート絶縁膜4とをマスクとしてP+、As+等のn型不純物をイオン注入することにより、半導体層3の両端にソース領域7およびドレイン領域8を形成する。この際、注入後のn-半導体層の不純物濃度が1016atm/cm3以下となるようにドーズ量を設定し、イオンビームIの入射角度θを基板表面の法線に対してθ=10〜30°程度傾けた斜めイオン注入を行う。これにより、ゲート絶縁膜4端部下方にまで侵入した低濃度のn-半導体層を形成し、これをソース領域7およびドレイン領域8とする。
【0027】
次に、図2(A)に示すように、ゲート電極5の陽極酸化を行い、ゲート電極5の上面と側面にAlまたはTaの酸化膜からなる絶縁膜6を形成する。すなわち、この絶縁膜6はゲート電極5の陽極酸化によって形成するため、この工程前の時点でのゲート電極5表面から内側に向かって酸化膜が成長し、絶縁膜6の側面はゲート絶縁膜4の側面と面一状態となる。言い換えると、絶縁膜6を形成することでゲート電極5本体(実際にゲート電極5として残る部分)の寸法が小さくなる。なお、ここでの陽極酸化条件は、15℃の2%シュウ酸溶液を用い、膜厚0.5μm程度の酸化膜を形成する。
【0028】
次に、スパッタ等により全面にタングステン膜またはモリブデン膜を成膜した後、熱処理を行うことにより、タングステンまたはモリブデンとソース領域7およびドレイン領域8のシリコンとを相互拡散させ、図2(B)に示すように、シリサイド膜10を形成する。このシリサイド化反応により、ソース領域7およびドレイン領域8表面上にシリサイド膜10が形成される。次に、タングステン膜またはモリブデン膜をフォトリソグラフィー、エッチングによりパターニングし、ソース配線11、ソース電極12およびドレイン電極13を形成する。
【0029】
次に、図2(C)に示すように、全面にパッシベーション膜14を成膜した後、このパッシベーション膜14をフォトリソグラフィー、エッチングによりパターニングし、パッシベーション膜14を貫通してドレイン電極13に達するコンタクトホール15を形成する。この際、図示しないゲート配線端部のゲート端子部およびソース配線端部のソース端子部においてもパッシベーション膜14を開口する。
【0030】
次いで、全面にITO膜を成膜した後、このITO膜をフォトリソグラフィー、エッチングによりパターニングし、コンタクトホール15の部分でドレイン電極13と接続される画素電極16を形成する。この際同時に、ゲート端子部およびソース端子部において、パッドを形成する。以上の工程により、本実施の形態のTFTアレイ基板が完成する。
【0031】
本実施の形態のTFTアレイ基板1では、ソース領域7、ドレイン領域8を低濃度のn-半導体層、いわゆるLDDで形成したことによりオフ電流を低減することができる。さらに、製造プロセス中の斜めイオン注入工程において、ゲート絶縁膜4の側壁に深さが0.5μm以内のダメージ層が形成されても、ゲート電極5の表面に膜厚0.5μmの陽極酸化膜からなる絶縁膜6を設けたため、ゲート絶縁膜4側壁のダメージ層とゲート電極5とが直接繋がることがなく、リーク電流の経路が遮断される。この構造により、ゲート−ソース間またはゲート−ドレイン間のリーク電流が従来に比べて低減されるため、TFTのオフ電流の増大を防止することができ、信頼性の高いTFTを得ることができる。
【0032】
また、n-半導体層を用いたことによりソース領域7およびドレイン領域8の抵抗が増大するが、ソース領域7およびドレイン領域8の上面にそれぞれ低抵抗のシリサイド膜10が設けられているために抵抗の増大が防止され、高い駆動能力、高速動作という多結晶シリコンTFTの持つ利点を生かすことができる。
【0033】
さらに、本発明のTFTにおいて、ゲート電極5表面の絶縁膜6がリーク電流遮断の機能を果たすためには、絶縁膜6の厚さがダメージ層の深さ分を占める必要がある。すなわち、ゲート電極5とゲート絶縁膜4を一括してパターニングする製造プロセスでは、元々のゲート電極5の側壁とゲート絶縁膜4の側壁が面一状態となるため、リーク電流遮断用の絶縁膜6はゲート電極5の表面から内側に向けて成長させる必要がある。その点、本実施の形態では、ゲート電極5表面の絶縁膜6の形成に陽極酸化法を用いているので、膜厚さえ制御すれば、リーク電流遮断用の絶縁膜を容易に形成することができる。
【0034】
次に、上記実施の形態のTFTアレイ基板を用いたTFT型液晶表示装置の一例を説明する。
本実施の形態の液晶表示装置は、図3に示すように、一対の基板1、22が対向して配置され、これら透明基板のうち、一方の基板1が上記TFTアレイ基板、他方の基板22が対向基板となっている。TFTアレイ基板1の対向面側に画素電極16が設けられるとともに、対向基板22の対向面側に共通電極23が設けられている。さらに、これら画素電極16、共通電極23の各々の上に配向膜24、25が設けられ、これら配向膜24、25間に液晶層26が配設された構成となっている。そして、基板1、22の外側にそれぞれ第1、第2の偏光板27、28が設けられ、第1の偏光板27の外側にはバックライト29が取り付けられている。
【0035】
本実施の形態のTFT型液晶表示装置によれば、TFTのオフ電流が小さく、駆動能力や動作速度に優れた多結晶シリコンTFT基板の使用により、信頼性、応答速度に優れた液晶表示装置を提供することができる。
【0036】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば上記実施の形態では、リーク電流遮断用絶縁膜の形成に陽極酸化法を用いたことにより合理的な製造プロセスとなったが、絶縁膜の形成法はこれに限ることなく、リーク電流を遮断する位置にさえ絶縁膜を形成できれば通常のCVD法等を用いてもかまわない。その他、上記実施の形態の各膜の材料、膜厚、処理条件等の具体的な記載については、適宜変更が可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、ゲート−ソース間またはゲート−ドレイン間のリーク電流が従来に比べて低減されるため、オフ電流が小さく信頼性の高いTFTを得ることができる。また、ソース領域およびドレイン領域上のシリサイド膜により抵抗の増大が防止され、高い駆動能力、高速動作という多結晶シリコンTFTの持つ利点を生かすことができる。そして、本発明のTFTの使用により、信頼性、応答速度に優れた液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態であるTFTアレイ基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図2】 同、工程断面図の続きである。
【図3】 上記TFTアレイ基板を用いた液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図4】 従来のトップゲート型TFTの一構造例を示す断面図である。
【図5】 従来の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
1 TFTアレイ基板
2 透明基板
3 半導体層
4 ゲート絶縁膜
5 ゲート電極
6 絶縁膜(リーク電流遮断絶縁膜)
7 ソース領域
8 ドレイン領域
9 チャネル部
10 シリサイド膜
11 ソース配線
12 ソース電極
13 ドレイン電極
Claims (3)
- 基板上に多結晶シリコンからなる半導体層が設けられ、
該半導体層中に不純物を導入してなるソース領域およびドレイン領域が該半導体層の両端部側に形成され、
前記ソース領域と前記ドレイン領域との間のチャネル部上であって前記ソース領域と前記ドレイン領域とに跨ってゲート絶縁膜が設けられ、
該ゲート絶縁膜上にゲート電極が設けられ、
前記ソース領域および前記ドレイン領域に接続されたソース電極およびドレイン電極が設けられ、
前記ソース領域および前記ドレイン領域の外上面にそれぞれシリサイド膜が設けられ、
前記ソース領域と前記ゲート電極との間および前記ドレイン領域と前記ゲート電極との間のリーク電流経路を遮断するリーク電流遮断絶縁膜が前記ゲート絶縁膜上であって前記ゲート電極の両端に設けられ、
前記ゲート絶縁膜は、前記不純物注入の時斜めイオンビームによって前記ゲート絶縁膜の側壁から両端に形成された損傷層を含み、
前記ゲート電極と前記ゲート絶縁膜の損傷層との連結を防止するために、前記ゲート電極両端に形成された前記リーク電流遮断絶縁膜の厚さは、前記ゲート絶縁膜の側壁から損傷層の厚さより大きく、
前記リーク電流遮断絶縁膜が、前記ゲート電極材料が陽極酸化されてなる酸化膜であり、前記ゲート絶縁膜の損傷層の深さが0.5μm以内で、前記リーク電流遮断絶縁膜の厚さが0.5μm以上であることを特徴とする薄膜トランジスタ。 - 基板上に多結晶シリコンからなる半導体層を形成し、
該半導体層上にゲート絶縁膜、ゲート電極用の陽極酸化可能な金属膜を順次成膜して、前記ゲート絶縁膜および前記ゲート電極とを一括してパターニングし、
パターニング後の前記ゲート絶縁膜と前記金属膜とからなる積層体をマスクとして前記半導体層中に不純物を斜めイオン注入することにより前記半導体層中に前記ゲート絶縁膜の下方にまで侵入したソース領域およびドレイン領域を形成し、
前記金属膜を陽極酸化することにより該金属膜表面に酸化膜を形成するとともに該酸化膜の内側に残った金属膜部分をゲート電極とし、ついで、
前記ソース領域および前記ドレイン領域の表面にソース電極、ドレイン電極およびシリサイド膜形成用の金属膜を形成し、アニール後パターニングして前記ソース領域に接続されたソース電極および前記ドレイン領域に接続されたドレイン電極を形成するとともにソース領域およびドレイン領域上にシリサイド膜を形成し、
前記酸化膜は、前記ソース領域と前記ゲート電極との間または前記ドレイン領域と前記ゲート電極との間のリーク電流経路を遮断するリーク電流遮断絶縁膜であり、
前記ゲート絶縁膜は前記不純物注入の時前記斜めイオンビームによって前記ゲート絶縁膜の側壁から両端に形成された損傷層を含み、
前記ゲート電極と前記ゲート絶縁膜の損傷層との連結を防止するために、前記ゲート電極の両端に形成された前記リーク電流遮断絶縁膜の厚さは、前記ゲート絶縁膜の側壁から損傷層の厚さより大きくて、
前記ゲート絶縁膜の損傷層の深さが0.5μm以内で、前記リーク電流遮断絶縁膜の厚さが0.5μm以上であることを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。 - 対向配置した一対の基板の間に液晶を挟持する液晶表示装置において、前記基板対の一方の基板が請求項1記載の薄膜トランジスタを有することを特徴とする液晶表示装置。
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JP3140303B2 (ja) * | 1994-07-26 | 2001-03-05 | 株式会社半導体エネルギー研究所 | 半導体装置およびその作製方法 |
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