以下、本発明のドラム式洗濯乾燥機を図示の実施の形態により詳細に説明する。
図1に、本発明の一実施の形態のドラム式洗濯乾燥機の概略断面図を示す。
上記ドラム式洗濯乾燥機は、外箱101と、この外箱101内に配置された有底筒形状の水槽103と、この水槽103内に回転自在に配置された有底円筒形状の回転ドラム104と、この回転ドラム104を回転駆動するモータ119と、その回転ドラム104内の洗濯物を乾燥させるための乾燥システム200と、その水槽103を弾性支持するサスペンション118とを備えている。なお、上記モータ119は駆動装置の一例である。
上記外箱101は、洗濯物を出し入れするための外箱開口部106を前面部に有する。また、上記外箱101の上部は天板115から成っている一方、外箱101の下部は底台116から成っている。
上記外箱開口部106は、外箱1にヒンジで回動自在に取り付けられたドア102で開閉されるようになっている。このドア102の一部は、回転ドラム104内を視認できるように透明部材から成っている。
また、上記外箱101の前面部の上部には、入力キー401(図4参照)や表示装置407(図4参照)を有する操作パネル117が設けられている。この操作パネル117の裏側(水槽103側)には、ドラム式洗濯乾燥機の動作を制御する制御装置114が設置されている。そして、上記操作パネル117への入力により、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程、乾燥工程が連続して行われたり、各工程が単独で行われたりする。
上記水槽103は、後部が前部より下がるように中心軸が水平面に対して傾斜している。より詳しくは、上記水槽103は、中心軸が水平方向に対して5°〜30°の角度を成すように傾斜している。上記中心軸は、回転ドラム104の回転軸に垂直な面で水槽103を切った断面における重心位置を通っている。また、上記中心軸は回転ドラム104の回転軸に対して略平行になっている。また、上記水槽103の前面部には、外箱開口部106に対向して開口する水槽開口部107が設けられている。
上記水槽開口部107には、ゴムや軟質樹脂等の弾性体からなるパッキン105が固着されている。これにより、上記ドア102を閉じると、ドア102がパッキン105に密着するから、水槽103内の液体が水槽103外へ漏れ出るのを防ぐことができる。
また、上記水槽103の上部には、水槽103内に洗濯水を給水するための給水ダクト112の下端部が接続されている。一方、上記給水ダクト112の上端部は洗剤ケース111の下部に接続されている。
上記洗剤ケース111は、洗剤、漂白剤および柔軟剤を収容するものである。また、上記洗剤ケース111内には、給水接続口122からの水道水が給水される。
上記給水接続口122には水道の蛇口(図示せず)からの水道水が供給される。そして、上記給水接続口122に入った水道水は、洗濯用給水弁123の開放によって洗濯用給水路124を流れたり、乾燥用給水弁125の開放によって乾燥用給水路126を流れたりする。
上記洗濯用給水路124は、一端が洗濯用給水弁123に接続され、かつ、他端が洗剤ケース111に接続されている。
上記乾燥用給水路126は、一端が乾燥用給水弁125に接続され、かつ、他端が冷却ノズル(図示せず)に接続されている。
一方、上記水槽103の下部には、水槽103内の洗濯水を排水するための排水口128が設けられている。また、上記排水口128には排水ダクト129の上端部が接続されている。一方、上記排水ダクト129の下端部は、フィルタ装置130を介して排水ホース131に接続されている。また、上記排水ダクト129を流れる液体は、フィルタ装置130を通ってから排水ホース131または循環ポンプ110に流入できるようになっている。このフィルタ装置130が排水ダクト129内を流れてきた液体中の糸くず等の異物を除去するので、異物が排水ホース131または循環ポンプ110に進入するのを防ぐことができる。
上記排水ホース131には、排水モータ133によって開閉される排水弁134が設けられている。この排水弁134は、排水ダクト129の洗濯水を排水ホース131へ流すときには開放し、かつ、排水ダクト129の洗濯水を循環ポンプ110へ流すときには閉鎖するように制御される。
上記循環ポンプ110は、排水ダクト129およびフィルタ装置130を介して、水槽103内の洗濯水を吸い込むことができる。また、上記循環ポンプ110は、吸い込んだ洗濯水を循環ホース(図示せず)に吐出する。この循環ホースを流れた洗濯水は、循環ノズル(図示せず)から回転ドラム104内に向かって吹き出す。すなわち、上記循環ポンプ110が稼働すると、水槽103内の洗濯水は、循環ポンプ110によって循環ホースに送られ、循環ノズルから回転ドラム104内に流入する。
上記循環ノズルは、水槽103の前面下部に取り付けられて、先端が後述するドラム開口部108に対向している。
上記モータ119は、インバータモータであって、水槽103の後端面(底部外面)に取り付けられている。また、上記モータ119は、回転ドラム104を直接回転駆動するダイレクトドライブ式モータである。
上記回転ドラム104は、周壁152と、この周壁152の後端に連なる後端壁153と、その周壁152の前端に連なる前端壁154とを有している。そして、上記回転ドラム104は、その回転軸と同一の軸となる中心軸Lが水平方向に対して5°〜30°の角度を成すように傾斜して、後部が前部より下がっている。
上記周壁152の略全域には複数の小孔109が設けられている。また、上記周壁152の内面にはバッフル120が設けられている。なお、上記小孔109は図1や図3では6個のみ図示し、他の小孔109の図示は省略している。
上記小孔109は周壁152を貫通している。これにより、上記水槽103と回転ドラム104との間の空間と、回転ドラム104内の空間との間において、洗濯水(水道水や風呂水等の水、または、洗剤等を含む水)や空気が流通することができるようになっている。
上記バッフル120は、周壁152から半径方向内側に向かって突出している。また、上記バッフル120は、周方向に例えば120°間隔で3ヶ所に配置されている。このようなバッフル120により、回転ドラム104の回転に伴って、洗濯物の持上げと落下とが繰り返される。例えば、洗い工程で回転ドラム104を回転させると、洗濯物をバッフル120で引っかけて持上げ、その持ち上げた洗濯物を洗濯水中に落下させることにより、洗濯物を洗濯できる。このようなバッフル120は、回転ドラム104と別体に形成された後、周壁152に固定される。
上記前端壁154には、水槽開口部107に対向して開口するドラム開口部108が設けられている。また、上記前端壁154には、ドラム開口部108を外側から取り囲むように流体バランサ121が取り付けられている。
上記流体バランサ121は塩水等の比重の大きい液体が封入されており、この液体が回転ドラム104の回転時に移動することによって、洗濯物および洗濯水の片寄りによる重心移動が打ち消される。
上記乾燥システム200は、送風機201と、加熱装置202と、第1送風ダクト203と、除湿用熱交換器204(図2参照)とを有している。この除湿用熱交換器204は、図1紙面に垂直な方向の奥側に配置されており、加熱装置202および第1送風ダクト203で隠れているため、図1においては見えない。なお、上記送風機201は送風装置の一例である。
上記送風機201は、除湿用熱交換器204の下流側に位置して、除湿用熱交換器204で除湿された空気を吸い込んで吹き出す。
上記加熱装置202は送風機201の下流側に配置されている。そして、上記加熱装置202は、ヒータケース208と、このヒータケース208に大部分が収容されたシーズヒータ209とで構成されている。
上記ヒータケース208は、金属製の本体と、その本体を固定する耐熱樹脂製のフレームとで構成されている。このフレームが第1送風ダクト203に連結している。
上記シーズヒータ209は水槽103内の洗濯水に浸かるように配置されているため、水槽103内の洗濯水を加熱することができる。
上記第1送風ダクト203は水槽103内の空間下部に配置されている。この第1送風ダクト203の前側の端部は、水槽開口部107の下縁とドラム開口部108の下縁との間に位置する前側吹出口205となっている。
上記除湿用熱交換器204は水槽103内の空間下部に配置されている。また、上記除湿用熱交換器204は上記冷却ノズルから噴出した水道水で冷却される。この水道水と、水道水で冷却された除湿用熱交換器204とによって、水槽103内の空気を冷却して除湿できるようになっている。
図2に、上記水槽103を後方から見た概略図を示す。
上記送風機201は、ファンケース211と、このファンケース211内に回転可能に配置された送風ファン212と、この送風ファン212を回転駆動するファンモータ213とを有している。
上記送風ファン212が対向する吸込口160が、水槽103の後面の下部に設けられている。この吸込口160は、除湿用熱交換器204で除湿された空気をファンケース211内に吸い込むためのものである。
上記ファンケース211には、ファンケース211内に吸い込まれた空気の行き先を切り替える風路切替弁214が設けられている。なお、上記風路切替弁214が切替装置の一例である。
上記風路切替弁214は、ファンケース211内に吸い込まれた空気を第1送風ダクト203に向かわせたり、第2送風ダクト215に向かわせたりする。
上記第2送風ダクト215は、シリカゲル、ゼオライト、アルミナ等の水分吸着材216を有している。また、上記第2送風ダクト215は、風路切替弁214と、水槽103の後面に設けられた吹出口161とを接続している。この吹出口161から水槽103内に吹き出した空気は、図3に示すように、後側吹出口162を通って回転ドラム104内に流入することができる。
上記後側吹出口162は、回転ドラム104の回転時に吹出口161と重なる軌道を描くように、回転ドラム104の後端壁153に設けられている。
なお、図3においては、送風機201の一部、第2送風ダクト215、吹出口161、風路切替弁214、加熱装置202等の図示を省略している。
図4に、上記ドラム式洗濯乾燥機の制御ブロック図を示す。
上記制御装置114はマイクロコンピュータ409を有している。このマイクロコンピュータ409は、CPU(中央処理装置)410、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)411、ROM(リード・オンリー・メモリ)412、タイマー413、システムバス414および複数のI/Oポート415から成っている。そして、上記マイクロコンピュータ410は、電源回路416から電源端子Vdd、Vssに定電圧が供給されることにより動作し、リセット回路417からの信号をRESET端子で受けるようになっている。
上記CPU410は制御部418と演算部419とから構成されており、制御部418はROM412に記憶されている命令を取り出して実行する。また、上記演算部419は、命令の実行段階で制御部418から与えられる制御信号に基づいて各種入力機器やRAM411から入力されるデータに対し、二進加算、論理演算、増減、比較等の演算を行う。そのため、上記ROM412には、各種機器を動作させるための手段、各種判断のために設定される条件、各種情報を処理するためのルール等が予め記憶されている。
上記マイクロコンピュータ409には、入力キー回路420および状態検知回路421からの信号がI/Oポート415を介して入力される。上記入力キー回路420は入力キー401に接続されている。一方、上記状態検知回路421は、回路検知装置402、水位センサ403、アンバランス検知装置404、吹出温度検知装置405および水槽内温度検知装置406に接続されている。
上記回路検知装置402は回路の状態を、水位センサ403は水槽103内の洗濯水の水位を、アンバランス検知装置404は洗濯物のアンバランスを、吹出温度検知装置405は前側吹出口205から吹き出す空気の温度を、水槽内温度検知装置406は水槽103内の空気の温度をそれぞれ検知する。
また、上記マイクロコンピュータ409は、入力キー回路420および状態検知回路421からの信号に基づいて演算を行って、表示装置駆動回路422、ブザー駆動回路423および負荷駆動回路424を出力制御する。
上記表示装置駆動回路422の出力信号は表示装置407に入力される。より詳しくは、上記表示装置駆動回路422は、洗濯に関する情報を使用者に示すための図や文字等を表示装置407に表示させる。
上記ブザー駆動回路423の出力信号はブザー408に入力される。より詳しくは、上記ブザー駆動回路423は、入力キー401の入力完了時、運転終了時あるいは異常時にブザー408を鳴らして使用者にその旨を伝える。
上記負荷駆動回路424は、モータ119、洗濯用給水弁123、乾燥用給水弁125、排水モータ133、シーズヒータ209、ファンモータ213および風路切替弁214等を運転する。
以下、図5のフローチャートを用いて、上記ドラム式洗濯乾燥機の乾燥工程について説明する。
上記乾燥工程が開始すると、まず、図5に示すように、ステップS101で、シーズヒータ209およびファンモータ213をONにする。これにより、上記送風ファン212が回転して、水槽103内の空気は、ファンケース211内に吸い込まれ、シーズヒータ209に送られる。そして、上記空気は、シーズヒータ209で加熱された後、第1送風ダクト203に案内され、前側吹出口205から回転ドラム104内に向かって吹き出す(図1参照)。
上記シーズヒータ209およびファンモータ213がONされたとき、乾燥用給水弁125が開放され、水道水が除湿用熱交換器204に供給される。これにより、上記送風機201は、水道水および除湿用熱交換器204によって除湿されて空気を吸い込むことができる。
次に、ステップS102で、容量センシングが行われる。つまり、上記回転ドラム104内に収容されている洗濯物の量が検知される。このステップS102で検知された洗濯物の量は制御装置114に記憶される。
次に、ステップS103で、上記洗濯物の量に応じた運転目安時間を表示装置407に表示する。
次に、ステップS104で、モータ119がONされ、回転ドラム104が所定の回転チャートにより回転制御される。
次に、ステップS105で、水槽内温度が所定温度以上か否かを判定する。このステップS105で、水槽内温度が所定温度以上であると判定すると、ステップS106に進む。一方、上記ステップS105で、水槽内温度が所定温度未満であると判定すると、ステップS105を再度行う。
すなわち、上記ステップS105では、洗濯物が恒率乾燥過程から減率乾燥過程に入った否かを判定し、洗濯物が減率乾燥過程に入ったと判定すると、次のステップS106に進む。
次に、ステップS106で、前吹き出しから後吹き出しに変更する。より詳しくは、上記風路切替弁214の切替を行って、ファンケース211内に吸い込まれた空気の行き先を第1送風ダクト203から第2送風ダクト215に変更する。これにより、上記空気は、水分吸着材216で除湿された後、第2送風ダクト215に案内され、吹出口161から吹き出て、後側吹出口162から回転ドラム104内に流入する(図3参照)。
次に、ステップS107で、シーズヒータ209をOFFする。これにより、上記シーズヒータ209による空気の加熱は停止するが、水槽103内の空気の温度が十分に高くなっているので、後側吹出口162が回転ドラム104内に吹き出した空気で洗濯物の乾燥が進行する。
次に、ステップS108で、所定の時間が経過したか否かを判定する。このステップS108で、所定の時間が経過したと判定すると、ステップS109に進む。一方、上記ステップS108で、所定の時間が経過していないと判定すると、ステップS108を再び行う。
次に、ステップS109で、モータ119およびファンモータ213をOFFすると、乾燥工程が終了する。
すなわち、上記乾燥工程においては、ステップS105とステップS106とが切替装置制御手段の一例を構成し、ステップS105とステップS107とが加熱装置制御手段の一例を構成している。
このように、上記恒率乾燥過程時、前側吹出口205から乾燥用空気が吹き出す一方、後側吹出口162から乾燥用空気は吹き出さない。そして、上記減率乾燥過程時、前側吹出口205から乾燥用空気は吹き出さない一方、後側吹出口162から乾燥用空気が吹き出す。
したがって、上記恒率乾燥過程において乾燥用空気が効果的に当たらなかった洗濯物、つまり、回転ドラム104の後端壁153側の洗濯物に、乾燥用空気が減率乾燥過程で効果的に当たるので、回転ドラム104内の洗濯物を短い時間でムラ無く乾燥させることできる。
また、上記減率乾燥過程ではシーズヒータ209をOFFにするので、水槽103内の空気の温度上昇が止まり、回転ドラム104が過度に熱くならない。
したがって、上記洗濯物が乾燥した後、回転ドラム104を冷やすための送風を無くして、乾燥工程の時間を短くすることができる。
図6に、上記回転ドラム104の回転チャートを示す。
上記回転ドラム104は、モータ119のON後、右回転と左回転とを交互に繰り返す。このとき、上記昇温過程および恒率乾燥過程においては、回転ドラム104内への乾燥用空気の供給は前側吹出口205を介してのみ行われる。そして、上記減率乾燥過程からモータ119およびファンモータ213のOFFまで、回転ドラム104内への乾燥用空気の供給は後側吹出口162を介してのみ行われる。
なお、上記前側吹出口205が乾燥用空気を吹き出している際の回転ドラム104の最高回転速度は、後側吹出口162が乾燥用空気を吹き出している際の回転ドラム104の最高回転速度と同じに設定されている。
また、上記前側吹出口205が乾燥用空気を吹き出している際は、回転ドラム104が右回転している時間を、回転ドラム104が左回転している時間と同じにしている。
また、上記後側吹出口162が乾燥用空気を吹き出している際も、回転ドラム104が右回転している時間を、回転ドラム104が左回転している時間と同じにしている。
また、上記前側吹出口205が乾燥用空気を吹き出している際の送風ファン212の回転速度は、後側吹出口162が乾燥用空気を吹き出している際の送風ファン212の回転速度と同じに設定されている。
上記実施の形態では、乾燥工程中、回転ドラム104を図6の回転チャートで制御していたが、回転ドラム104を図7の回転チャートで制御してもよい。
すなわち、上記前側吹出口205が乾燥用空気を吹き出している際の回転ドラム104の最高回転速度に比べて、後側吹出口162が乾燥用空気を吹き出している際の回転ドラム104の最高回転速度を遅くしてもよい。例えば、上記前側吹出口205が乾燥用空気を吹き出している際の回転ドラム104の最高回転速度を160rpmに設定し、後側吹出口162が乾燥用空気を吹き出している際の回転ドラム104の最高回転速度を80rpmに設定してもよい。
以下、図11のフローチャートを用いて、回転ドラム104が図7の回転チャートで制御される乾燥工程について説明する。
上記乾燥工程が開始すると、まず、図11に示すように、ステップS201で、シーズヒータ209およびファンモータ213をONにする。これにより、上記送風ファン212が回転して、水槽103内の空気は、ファンケース211内に吸い込まれ、シーズヒータ209に送られる。そして、上記空気は、シーズヒータ209で加熱された後、第1送風ダクト203に案内され、前側吹出口205から回転ドラム104内に向かって吹き出す(図1参照)。
上記シーズヒータ209およびファンモータ213がONされたとき、乾燥用給水弁125が開放され、水道水が除湿用熱交換器204に供給される。これにより、上記送風機201は、水道水および除湿用熱交換器204によって除湿されて空気を吸い込むことができる。
次に、ステップS202で、容量センシングが行われる。つまり、上記回転ドラム104内に収容されている洗濯物の量が検知される。このステップS202で検知された洗濯物の量は制御装置114に記憶される。
次に、ステップS203で、上記洗濯物の量に応じた運転目安時間を表示装置407に表示する。
次に、ステップS204で、モータ119がONされ、回転ドラム104が所定の回転チャートにより回転制御される。
次に、ステップS205で、水槽内温度が所定温度以上か否かを判定する。このステップS205で、水槽内温度が所定温度以上であると判定すると、ステップS206に進む。一方、上記ステップS205で、水槽内温度が所定温度未満であると判定すると、ステップS205を再度行う。
すなわち、上記ステップS205では、洗濯物が恒率乾燥過程から減率乾燥過程に入った否かを判定し、洗濯物が減率乾燥過程に入ったと判定すると、次のステップS206に進む。
次に、ステップS206で、前吹き出しから後吹き出しに変更する。より詳しくは、上記風路切替弁214の切替を行って、ファンケース211内に吸い込まれた空気の行き先を第1送風ダクト203から第2送風ダクト215に変更する。これにより、上記空気は、水分吸着材216で除湿された後、第2送風ダクト215に案内され、吹出口161から吹き出て、後側吹出口162から回転ドラム104内に流入する(図3参照)。
次に、ステップS207で、シーズヒータ209をOFFする。これにより、上記シーズヒータ209による空気の加熱は停止するが、水槽103内の空気の温度が十分に高くなっているので、後側吹出口162が回転ドラム104内に吹き出した空気で洗濯物の乾燥が進行する。
次に、ステップS208で、モータ119を制御して、回転ドラム104の回転速度を下げる。
次に、ステップS209で、所定の時間が経過したか否かを判定する。このステップS209で、所定の時間が経過したと判定すると、ステップS209に進む。一方、上記ステップS209で、所定の時間が経過していないと判定すると、ステップS209を再び行う。
次に、ステップS210で、モータ119およびファンモータ213をOFFすると、乾燥工程が終了する。
すなわち、上記乾燥工程においては、ステップS205とステップS206とが切替装置制御手段の一例を構成し、ステップS205とステップS207とが加熱装置制御手段の一例を構成し、ステップS205とステップS208とが駆動装置制御手段の一例を構成している。
このように、上記前側吹出口205が乾燥用空気を吹き出している際の回転ドラム104の最高回転速度に比べて、後側吹出口162が乾燥用空気を吹き出している際の回転ドラム104の最高回転速度を遅くすることによって、回転ドラム104内に乾燥用空気を送り込む効率を高くすることができる。
もし、上記後側吹出口162が乾燥用空気を吹き出している際の回転ドラム104の最高回転速度が速いと、回転ドラム104によって、回転ドラム104内への乾燥用空気の流入を阻害する気流が発生してしまう。
なお、上記ステップS207とステップS208とを同時に行うようにしてもよいし、ステップS208の後に、ステップS207を行うようにしてもよい。
上記実施の形態では、乾燥工程中、回転ドラム104を図6の回転チャートで制御していたが、回転ドラム104を図8の回転チャートで制御してもよい。
すなわち、上記前側吹出口205が乾燥用空気を吹き出している際は、回転ドラム104が右回転している時間を、回転ドラム104が左回転している時間と同じにし、かつ、後側吹出口162が乾燥用空気を吹き出している際は、回転ドラム104が右回転している時間を、回転ドラム104が左回転している時間よりも長くしてもよい。
このように、上記後側吹出口162が乾燥用空気を吹き出している際は、回転ドラム104が右回転している時間を、回転ドラム104が左回転している時間よりも長くすることにより、後側吹出口162と吸込口160との距離を遠くすることができる。
したがって、上記後側吹出口162から吹き出した乾燥用空気を回転ドラム104内に十分に行き渡らせることができる。
また、図8の回転チャートと同様に、前側吹出口205が乾燥用空気を吹き出している際、回転ドラム104が右回転している時間を、回転ドラム104が左回転している時間と同じにし、かつ、後側吹出口162が乾燥用空気を吹き出している際、回転ドラム104が左回転している時間を、回転ドラム104が右回転している時間よりも長くしてもよい。
要するに、上記後側吹出口162と吸込口160との距離が遠くなるように、回転ドラム104が右回転している時間と、回転ドラム104が左回転している時間との割合を設定すればよい。
上記実施の形態では、上記前側吹出口205が乾燥用空気を吹き出している際の送風ファン212の回転速度は、後側吹出口162が乾燥用空気を吹き出している際の送風ファン212の回転速度と同じに設定されていたが、前側吹出口205が乾燥用空気を吹き出している際の送風ファン212の回転速度に比べて、後側吹出口162が乾燥用空気を吹き出している際の送風ファン212の回転速度を速くしてもよい。
例えば、上記前側吹出口205が乾燥用空気を吹き出している際の送風ファン212の回転速度を3500rpmに設定し、かつ、後側吹出口162が乾燥用空気を吹き出している際の送風ファン212の回転速度を3800rpmに設定してもよい。
以下、図12のフローチャートを用いて、後側吹出口162が乾燥用空気を吹き出している際の送風ファン212の回転速度を速くする乾燥工程について説明する。
上記乾燥工程が開始すると、まず、図12に示すように、ステップS301で、シーズヒータ209およびファンモータ213をONにする。これにより、上記送風ファン212が回転して、水槽103内の空気は、ファンケース211内に吸い込まれ、シーズヒータ209に送られる。そして、上記空気は、シーズヒータ209で加熱された後、第1送風ダクト203に案内され、前側吹出口205から回転ドラム104内に向かって吹き出す(図1参照)。
上記シーズヒータ209およびファンモータ213がONされたとき、乾燥用給水弁125が開放され、水道水が除湿用熱交換器204に供給される。これにより、上記送風機201は、水道水および除湿用熱交換器204によって除湿されて空気を吸い込むことができる。
次に、ステップS302で、容量センシングが行われる。つまり、上記回転ドラム104内に収容されている洗濯物の量が検知される。このステップS302で検知された洗濯物の量は制御装置114に記憶される。
次に、ステップS303で、上記洗濯物の量に応じた運転目安時間を表示装置407に表示する。
次に、ステップS304で、モータ119がONされ、回転ドラム104が所定の回転チャートにより回転制御される。
次に、ステップS305で、水槽内温度が所定温度以上か否かを判定する。このステップS305で、水槽内温度が所定温度以上であると判定すると、ステップS306に進む。一方、上記ステップS305で、水槽内温度が所定温度未満であると判定すると、ステップS305を再度行う。
すなわち、上記ステップS305では、洗濯物が恒率乾燥過程から減率乾燥過程に入った否かを判定し、洗濯物が減率乾燥過程に入ったと判定すると、次のステップS306に進む。
次に、ステップS306で、前吹き出しから後吹き出しに変更する。より詳しくは、上記風路切替弁214の切替を行って、ファンケース211内に吸い込まれた空気の行き先を第1送風ダクト203から第2送風ダクト215に変更する。これにより、上記空気は、水分吸着材216で除湿された後、第2送風ダクト215に案内され、吹出口161から吹き出て、後側吹出口162から回転ドラム104内に流入する(図3参照)。
次に、ステップS307で、シーズヒータ209をOFFする。これにより、上記シーズヒータ209による空気の加熱は停止するが、水槽103内の空気の温度が十分に高くなっているので、後側吹出口162が回転ドラム104内に吹き出した空気で洗濯物の乾燥が進行する。
次に、ステップS308で、ファンモータ213を制御して、送風ファン212の回転速度を上げる。
次に、ステップS309で、所定の時間が経過したか否かを判定する。このステップS309で、所定の時間が経過したと判定すると、ステップS310に進む。一方、上記ステップS309で、所定の時間が経過していないと判定すると、ステップS309を再び行う。
次に、ステップS310で、モータ119およびファンモータ213をOFFすると、乾燥工程が終了する。
すなわち、上記乾燥工程においては、ステップS305とステップS306とが切替装置制御手段の一例を構成し、ステップS305とステップS307とが加熱装置制御手段の一例を構成し、ステップS305とステップS308とが送風装置制御手段の一例を構成している。
このように、上記前側吹出口205が乾燥用空気を吹き出している際の送風ファン212の回転速度に比べて、後側吹出口162が乾燥用空気を吹き出している際の送風ファン212の回転速度を速くすることによって、前側吹出口205による乾燥用空気の吹出量に比べて、後側吹出口162による乾燥用空気の吹出量が多くなる。つまり、上記恒率乾燥過程時の乾燥用空気の送風量に比べて、減率乾燥過程時の乾燥用空気の送風量が多くなる。
したがって、上記減率乾燥過程時において、洗濯物中の水分の蒸発を促進して、回転ドラム104内の洗濯物を乾燥させる効率を高めることができる。
なお、上記ステップS307とステップS308とを同時に行うようにしてもよいし、ステップS308の後に、ステップS307を行うようにしてもよい。
また、上記ステップS308を図11の乾燥工程で行ってよい。この場合、上記ステップS308は、ステップS208とステップS209との間に行うようにしたり、ステップS207またはステップS208と同時行うようにしたりしてもよい。または、上記ステップS308、ステップS207およびステップS208を同時に行うようにしてもよい。
上記実施の形態では、回転ドラム104と別体に形成されたバッフル120を用いていたが、回転ドラム104の周壁152と一体に形成されたバッフルを用いてもよい。
上記実施の形態では、外箱開口部106に接続されていないパッキン105を用いたが、外箱開口部106に接続されているパッキンを用いてもよい。
上記パッキンを用いた場合、外箱開口部106がパッキンを介して水槽開口部107に接続されて、パッキンの内側の空間を洗濯物が通過する。つまり、上記パッキンは、洗濯物を出し入れするアクセス路を形成する。また、上記パッキンに蛇腹等を設けて、水槽103の揺動に応じてたわみを生じて追従するようにしてもよい。
上記実施の形態では、水槽103と回転ドラム104との間の空間に給水する構造であるが、回転ドラム104内の空間に直接給水する構造にしてもよい。
上記実施の形態では、ドア102で外箱開口部106および水槽開口部107を開閉するようにしていたが、外ドアで外箱開口部106を開閉し、かつ、内ドアで水槽開口部107を開閉するようにしてもよい。つまり、本発明のドラム式洗濯乾燥機は、1枚のドアを開閉して、洗濯物を出し入れするものであってもよいし、2枚のドアを開閉して、洗濯物を出し入れするものであってもよい。
上記実施の形態では、第2送風ダクト215は、シリカゲル、ゼオライト、アルミナ等の水分吸着材216を有していたが、水分吸着材216に加えて、第2送風ダクト215内を流れる空気を加熱できる加熱部を有してもよいし、水分吸着材216に代えて、第2送風ダクト215内を流れる空気を加熱できる加熱部を有してもよい。
上記実施の形態では、吹出口161と風路切替弁214とを第2送風ダクト215で接続していたが、図9に示すように、吹出口161と風路切替弁214とを第2送風ダクト915で接続してもよい。
上記第2送風ダクト915は、シリカゲル、ゼオライト、アルミナ等の水分吸着材や、第2送風ダクト915内を流れる空気を加熱可能な加熱部を有していない。
このような第2送風ダクト915を用いる場合、第1送風ダクト203または第2送風ダクト915へ向かう空気を加熱できる加熱部902をファンケース211に設けてもよい。
上記加熱部902をファンケース211に設けた場合、加熱装置202の設置を省略することができる。
また、上記加熱部902をファンケース211に設けることにより、前側吹出口205と後側吹出口162との両方に、加熱部902で加熱した空気を送ることができる。
上記実施の形態では、昇温過程および恒率乾燥過程時においては、前側吹出口205のみが乾燥用空気を吹き出し、かつ、減率乾燥過程からモータ119およびファンモータ213のOFFまでの間においては、後側吹出口162のみが乾燥用空気を吹き出すようにしていたが、昇温過程および恒率乾燥過程時においては、後側吹出口162のみが乾燥用空気を吹き出し、かつ、減率乾燥過程からモータ119およびファンモータ213のOFFまでの間においては、前側吹出口205のみが乾燥用空気を吹き出すようにしてもよい。このような制御を行う場合、図9のような構造にするのが好ましい。
また、上記回転ドラム104内の洗濯物の乾燥ムラを低減する方法としては、容量センシングで検知した洗濯物の量に基づいて、前側吹出口205が乾燥用空気を吹き出す時間と、後側吹出口162が乾燥用空気を吹き出す時間との割合を変更してもよい。例えば、上記洗濯物の量が少量である場合において前側吹出口205が乾燥用空気を吹き出す時間を、洗濯物の量が多量である場合において前側吹出口205が乾燥用空気を吹き出す時間よりも長くしてもよい。具体的には、上記前側吹出口205が乾燥用空気を吹き出す時間を前側吹出時間とし、後側吹出口162が乾燥用空気を吹き出す時間を後側吹出時間とすると、前側吹出時間および後側吹出時間を下表1のように設定してもよい。
なお、上記後側吹出時間の「終了まで」とは、前側吹出時間が経過してから、洗濯物がムラ無く乾燥した判定するまでを意味する。