本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる。
(実施の形態1)
本発明の表示装置は、発光素子13とモニター用発光素子66とを有する(図1参照)。発光素子13とモニター用発光素子66は、同一の基板20上に設けられている。発光素子13とモニター用発光素子66は、同一の作製条件により、同一の工程で作成されたものであり、環境温度の変化と経時変化に対して同じ特性又はほぼ同じ特性を有する。
なお、発光素子13を第1の発光素子とよび、モニター用発光素子66を第2の発光素子とよぶことがある。
また、本発明の表示装置は、定電流源105とバッファアンプ110とを有する。これらの回路は、発光素子13とモニター用発光素子66と共に、同一の基板20上に設けられていてもよいし、別の基板上に設けられていてもよい。
基板20上に設けられた画素領域40には、複数の画素がマトリクス状に設けられている。複数の画素の各々は、発光素子13と少なくとも2つのトランジスタを含み、ここでは、発光素子13に直列に接続する駆動用トランジスタ12のみを示す。また、基板20上にはドライバ(ここでは第1のゲートドライバ41、第2のゲートドライバ42、ソースドライバ43を図示)が設けられており、複数の画素の各々は、当該ドライバにより、点灯と非点灯やその輝度が制御される。発光素子13が含む2つの電極のうち、一方の電極は対向電源18に接続し、他方の電極は駆動用トランジスタ12を介してバッファアンプ110の出力端子に接続する。
モニター用発光素子66は、基板20上に1つ又は複数設けられる。モニター用発光素子66が含む2つの電極のうち、一方の電極は対向電源18に接続し、他方の電極はリミッタ用トランジスタ111を介してバッファアンプ110の入力端子に接続する。
対向電源18に接続された発光素子13の一方の電極は、一定の電位に保たれている。同様に、対向電源18に接続されたモニター用発光素子66の一方の電極は、一定の電位に保たれている。
1つ又は複数のモニター用発光素子66を含むモニター用回路64は、画素領域40内に設けてもよいし、それ以外の領域に設けてもよい。但し、モニター用回路64は、画像の表示に影響を及ぼさないように、画素領域40以外の領域に設けるとよい。
モニター用発光素子66には定電流源105により一定の電流が供給される。この状態で環境温度の変化と経時変化が生じると、モニター用発光素子66自体の抵抗値が変化する。そうすると、モニター用発光素子66の電流値は常に一定なため、モニター用発光素子66の両電極間の電位差が変化する。
上記構成の場合、モニター用発光素子66が含む2つの電極のうち、対向電源18に接続する側の電極の電位は変化せず、モニター用発光素子66が含む2つの電極のうち、定電流源105に接続する側の電極(ここでは第1の電極とよぶ)の電位が変化する。変化したモニター用発光素子66の第1の電極の電位は、バッファアンプ110に供給される。
バッファアンプ110の入力端子には、モニター用発光素子66の一方の電極の電位が入力される。また、バッファアンプ110の出力端子から出力される電位は、駆動用トランジスタ12を介して、発光素子13の第1の電極に与えられる。
なお、図示する構成では、バッファアンプ110の反転入力端子と出力端子とが互いに接続する。また、バッファアンプ110の入力端子はモニター用発光素子66の第1の電極に接続し、バッファアンプ110の出力端子は発光素子13の第1の電極に接続する。
バッファアンプ110は電位の変動を防止するために設けられている。従って、バッファアンプ110のように、電位の変動を防止することが可能な回路ならば、当該バッファアンプ110ではなく、別の回路を用いてもよい。つまり、モニター用発光素子66の一方の電極の電位を発光素子13に伝達する際には、モニター用発光素子66と発光素子13の間に、電位の変動を防止するための回路を設けるが、そのような回路として、上記のバッファアンプ110に制約されず、どのような構成の回路を用いてもよい。
なお、上記のような、バッファアンプ110は、電位の変動を防止する回路であり、このような回路は、入力された電位と等しい電位を出力する回路、入力される電位と出力する電位が同じ電位である回路、入力される電位に対応した電位を出力する回路とよぶことができる。
本発明の表示装置の第1の構成は、モニター用発光素子66に直列に接続するリミッタ用トランジスタ111を有する点を特徴とする(図1参照)。
リミッタ用トランジスタ111のゲート電極は電源112に接続する。リミッタ用トランジスタ111はオン状態にあり、電源112はリミッタ用トランジスタ111をオン状態にする電位を供給する。リミッタ用トランジスタ111のソース電極及びドレイン電極の一方はモニター用発光素子66の第1の電極に接続し、他方はバッファアンプ110の入力端子に接続する。
リミッタ用トランジスタ111は、モニター用発光素子66に電流が流れすぎないようにするために設けられており、モニター用発光素子66の陽極と陰極に短絡部があったとしても、当該短絡部に電流が流れすぎて、モニター用発光素子66が使用できなくなることを防止する。
なお、モニター用発光素子66に電流が流れすぎないように、駆動用トランジスタ12のチャネル長(L1)とチャネル幅(W1)と、リミッタ用トランジスタ111のチャネル長(L2)とチャネル幅(W2)は、L1/W1:L2/W2=1:2乃至1:10を満たすように設計するとよい。
なお、駆動用トランジスタ12やリミット用トランジスタ111が、1つのトランジスタではなく、直列に接続された2つのトランジスタに相当する場合がある。そのような場合には、上記のチャネル長やチャネル幅とは、直列に接続された2つのトランジスタの各々のチャネル長、チャネル幅の合計の値に相当する。
また、図示する構成では、リミッタ用トランジスタ111の導電型はP型(Pチャネル型)であるが、本発明はこの構成に制約されず、N型(Nチャネル型)のトランジスタを用いてもよい。
また、図示する構成では、モニター用発光素子66は、画素領域40に設けられる発光素子13の1列分と同じ個数だけ設けられているが、その個数は特に制約されない。少なくとも1つのモニター用発光素子66を設ければよい。
次に、本発明の表示装置の第2の構成について、図12を参照して説明する。第2の構成は、モニター用発光素子66に直列に接続する交流用トランジスタ113を有する点を特徴とする。
交流用トランジスタ113のゲート電極は、スイッチ116を介して、バッファアンプ110の入力端子に接続する。また、交流用トランジスタ113のゲート電極は、スイッチ117を介して交流用の電源115に接続する。交流用トランジスタ113のソース電極及びドレイン電極の一方は交流用の電源114に接続し、他方はモニター用発光素子66の第1の電極に接続する。交流用トランジスタ113は、モニター用発光素子66に逆方向バイアスの電圧を印加するために設けられたものである。
モニター用発光素子66に逆方向バイアスの電圧を印加する際は、スイッチ116をオフにして、バッファアンプ110とモニター用発光素子66との間を電気的に接続しないように設定する。また、スイッチ117をオンにして、交流用の電源115の電位を交流用トランジスタ113に与えることで、当該交流用トランジスタ113をオン状態にする。そして、対向電源18の電位と交流用の電源114の電位の大小関係を適宜設定する。モニター用発光素子66に逆方向バイアスの電圧を印加することで、モニター用発光素子66の陽極と陰極の短絡部に局所的に電流を流し、当該短絡部を絶縁化することができる。そうすると、モニター用発光素子66の短絡部による不良を解消することができる。
なお、容量素子126は、モニター用発光素子66に逆方向バイアスの電圧を印加する際、バッファアンプ110の入力端子の電位を維持するために設けられている。本発明では容量素子126に制約されない。容量素子126以外の、バッファアンプ110の入力端子の電位を保持することが可能な回路を用いてもよい。
一方、モニター用発光素子66に順方向バイアスの電圧を印加する際は、スイッチ116をオンにして、スイッチ117をオフにする。
なお、図示する構成では、交流用トランジスタ113の導電型はP型であるが、本発明はこの構成に制約されず、N型でもよい。また、交流用トランジスタ113のゲート電極は、バッファアンプ110の入力端子に接続するが、本発明はこの構成に制約されない。独立した制御回路を設けて、当該制御回路により、交流用トランジスタ113のオン状態とオフ状態を制御してもよい。
上記の第2の構成は、上記の第1の構成と自由に組み合わせることができる。
続いて、本発明の表示装置の第3の構成について、図13を用いて説明する。第3の構成は、バッファアンプ110の入力端子に接続する容量素子126と、発光素子13の第1の電極とバッファアンプ110の出力端子との間に設けられた第1のスイッチ素子121と、発光素子13の第1の電極と交流用電源125との間に設けられた第2のスイッチ素子122と、モニター用発光素子66の第1の電極とバッファアンプ110の入力端子との間に設けられた第3のスイッチ素子123と、モニター用発光素子66の第1の電極と交流用電源125との間に設けられた第4のスイッチ素子124と、定電流源105とバッファアンプ110の入力端子の間に設けられた第5のスイッチ素子128とを有する点を特徴とする。第1のスイッチ素子121、第2のスイッチ素子122、第3のスイッチ素子123、第4のスイッチ素子124、第5のスイッチ素子128には、トランジスタなどの公知のスイッチング機能を有する素子を用いるとよい。
発光素子13とモニター用発光素子66に逆方向バイアスの電圧を印加する際は、制御回路127により、第1のスイッチ素子121と第3のスイッチ素子123と第5のスイッチ素子128を非導通状態にし、第2のスイッチ素子122と第4のスイッチ素子124とを導通状態にする。そして、対向電源18と交流用電源125の電位の大小関係を適当な関係に設定する。上述したように、発光素子13とモニター用発光素子66に逆方向バイアスの電圧を印加することで、短絡部を絶縁化し、当該短絡部による不良を解消することができる。
一方、発光素子13とモニター用発光素子66に順方向バイアスの電圧を印加する際は、制御回路127により、第1のスイッチ素子121と第3のスイッチ素子123と第5のスイッチ素子128を導通状態にし、第2のスイッチ素子122と第4のスイッチ素子124とを非導通状態にする。
なお、容量素子126は、発光素子13とモニター用発光素子66に逆方向バイアスの電圧を印加する際、バッファアンプ110の入力端子の電位を維持するために設けられている。本発明では容量素子126に制約されず、電位を保持することが可能な容量素子126以外の回路を用いてもよい。
上記の第3の構成は、上記の第1、第2の構成の一方又は両方と自由に組み合わせることができる。
次に、本発明の表示装置の第4の構成について、図14を用いて説明する。第4の構成は、定電流源105の代わりに、電流源用トランジスタ134を有する点を特徴とする。
電流源用トランジスタ134は、モニター用発光素子66に直列に接続されており、そのゲート電極は電源135に接続する。電流源用トランジスタ134のソース電極及びドレイン電極の一方はモニター用発光素子66の第1の電極に接続し、他方は電源133に接続する。
電流源用トランジスタ134は、電流源として用いるために飽和領域で動作させる。従って、電源133、135の電位を適当な値に設定して、電流源用トランジスタ134のゲート・ソース間電圧を適宜調整する。また、電流源用トランジスタ134を飽和領域で動作させるために、電流源用トランジスタ134のチャネル長とチャネル幅の比(L/W)は2乃至100に設定するとよい。
なお、図示する構成では、電流源用トランジスタ134の導電型はP型であるが、本発明はこの構成に制約されず、N型でもよい。
上記の第4の構成は、上記の第1乃至第3の構成から選択した1つ又は複数と自由に組み合わせることができる。
次に、本発明の表示装置の第5の構成について、図15を参照して説明する。第5の構成は、バッファアンプ110の入力端子とモニター用発光素子66との間に設けられた抵抗素子140を有する点を特徴とする。抵抗素子140は可変抵抗と固定抵抗のどちらでもよい。
抵抗素子140は、ある一定の期間あたり(例えば1フレーム期間あたり)のモニター用発光素子66の総電流量と、発光素子13の総電流量の相違を調整するために設けられる。
これは、定電流源105を用いてモニター用発光素子66を通常に動作させた場合、当該モニター用発光素子66のDuty比が100%である一方、発光素子13のDuty比は全白表示でも70%程度であり、点灯率を考慮すると、更に低い値となるためである。つまり、通常に動作させた場合、発光素子13とモニター用発光素子66とを比較すると、モニター用発光素子66の方が経時変化の進行が早くなってしまう。
従って、第5の構成では、抵抗素子140を配置して、ある瞬間でのモニター用発光素子66の電流値を発光素子13の電流値よりも低い値にすることで、ある一定の期間あたりの総電流量を同じにして、経時変化の進行具合を揃えることを目的とする。そうすれば、より経時変化に即した電源電位の補正を行うことができる。
なお、上記の第5の構成は、上記の第1乃至第4の構成から選択した1つ又は複数と自由に組み合わせることができる。
続いて、本発明の表示装置の第6の構成について、図17を参照して説明する。第6の構成は、モニター用発光素子66に直列に接続する順バイアス用トランジスタ132を有する点を特徴とする。順バイアス用トランジスタ132のゲート電極は、画素10が含むスイッチング用トランジスタ11と同じ行のゲート線に接続する。順バイアス用トランジスタ132のソース電極及びドレイン電極の一方は、モニター用発光素子66の第1の電極に接続し、他方は順バイアス用電源131に接続する。順バイアス用トランジスタ132は、モニター用発光素子66に順方向バイアスの電圧を印加するために設けられたものである。
モニター用発光素子66に順方向バイアスの電圧を印加する際は、順バイアス用トランジスタ132をオン状態にして、対向電源18の電位と順バイアス用電源131の電位の大小関係を適宜設定する。
モニター用発光素子66に順方向バイアスの電圧を印加することで、モニター用発光素子66の短絡部に局所的に電流を流し、該短絡部を絶縁化する。そうすると、モニター用発光素子66の短絡部による不良を解消することができる。
なお、上記構成では、順バイアス用トランジスタ132に加えて、リミッタ用トランジスタ111を設けた構成となっている。また、上記の第6の構成は、上記の第1乃至第5の構成から選択した1つ又は複数と自由に組み合わせることができる。
上記の第1乃至第6の構成から選択した1つ又は複数を適用すれば、環境温度の変化と経時変化に合わせて、電源電位の補正を行うことができる。また、本発明によると、ユーザーによる操作を必要としないため、エンドユーザに渡った後も継続して補正を続けることで、製品としての長寿命化が見込まれる。
なお、カラー表示を行う場合には、発光波長帯の異なる電界発光層を画素毎に形成するとよく、典型的には、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色に対応した電界発光層を画素毎に形成する。このような場合は、赤、緑、青の各色に対応したモニター用発光素子66、定電流源105及びバッファアンプ110を少なくとも設けて、各色に対応させて、電源電位の補正を行うとよい。
なお、上記構成の表示装置において、電源に接続された端子は、一定の電位に保たれている。例えば、電源112に接続されたリミッタ用トランジスタ112のゲート電極、交流用の電源114に接続された交流用のトランジスタ113のソース電極とドレイン電極の一方の電極、交流用の電源115に接続されたスイッチ素子117の一方の端子、交流用の電源125に接続されたスイッチ素子122の一方の端子、交流用の電源125に接続されたスイッチ素子124の一方の端子、電源133に接続された電流源用トランジスタ134のソース電極とドレイン電極の一方の電極、電源135に接続された電流源用トランジスタ134のゲート電極、電源131に接続された順バイアス用トランジスタ132のソース電極とドレイン電極の一方の電極等は、一定の電位に保たれている。
(実施の形態2)
本発明の表示装置の構成の一例について図面を参照して説明する。本発明の表示装置は、ソース線Sx(xは自然数、1≦x≦m)と、ゲート線Gy(yは自然数、1≦y≦n)が絶縁体を介して交差する領域に複数の素子を含む画素10を複数有する(図2(A)参照)。画素10は、発光素子13と、容量素子16と、2つのトランジスタとを有する。2つのトランジスタのうち、1つは画素10に対するビデオ信号の入力を制御するスイッチング用トランジスタ11であり、もう1つは発光素子13の点灯と非点灯を制御する駆動用トランジスタ12である。スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12は電界効果型トランジスタであり、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の3つの端子を有する。
スイッチング用トランジスタ11のゲート電極はゲート線Gyに接続し、ソース電極及びドレイン電極の一方はソース線Sxに接続し、他方は駆動用トランジスタ12のゲート電極に接続する。駆動用トランジスタ12のソース電極及びドレイン電極の一方は電源線Vx(xは自然数、1≦x≦m)に接続し、他方は発光素子13の画素電極に接続する。発光素子13の対向電極は対向電源18に接続する。容量素子16は駆動用トランジスタ12のゲート電極とソース電極の間に設けられる。
スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12の導電型は制約されず、N型とP型のどちらの導電型でもよいが、図示する構成では、スイッチング用トランジスタ11はN型、駆動用トランジスタ12はP型の場合を示す。電源線Vxの電位と対向電源18の電位も制約されないが、発光素子13に順方向バイアス又は逆方向バイアスの電圧が印加されるように、互いに異なる電位に設定する。
上記構成を有する本発明の表示装置は、画素10に配置するトランジスタの個数が2つである点を特徴とする。上記特徴により、1つの画素10にレイアウトするトランジスタの個数が少なくすることができる。また1つの画素10にレイアウトするトランジスタの個数が少ないことから、必然的に配置する配線の本数を少なくすることができるため、高開口率、高精細化、高歩留まりを実現する。また、高開口率が実現すると、光を発する面積の増加に伴って、発光素子の輝度を下げることができる。つまり、発光素子の電流密度を下げることができる。従って、駆動電圧を下げることができるため、消費電力を削減することができる。また、駆動電圧を下げることで、発光素子13の信頼性を向上させることができる。
また、本発明の表示装置は、駆動用トランジスタ12を線形領域で動作させることを特徴とする。上記特徴により、飽和領域で動作させる場合と比較すると、発光素子13の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。
スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12を構成する半導体は、非晶質半導体(アモルファスシリコン)、微結晶半導体、多結晶半導体(ポリシリコン)、有機半導体等のいずれもよい。微結晶半導体は、シランガス(SiH4)とフッ素ガス(F2)を用いて形成するか、シランガスと水素ガスを用いて形成するか、上記に挙げたガスを用いて薄膜を形成後にレーザ光の照射を行って形成するとよい。
スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12のゲート電極は、導電性材料により単層又は積層で形成する。例えば、タングステン(W)と窒化タングステン(WN)の積層構造や、モリブデン(Mo)とアルミニウム(Al)とMoの積層構造、Moと窒化モリブデン(MoN)の積層構造を採用するとよい。
スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12が含む不純物領域(ソース電極とドレイン電極)に接続する導電層(ソースドレイン配線)は、導電性材料により単層又は積層で形成する。例えば、チタン(Ti)とアルミニウムシリコン(Al−Si)とTiの積層構造、MoとAl−SiとMoの積層構造、MoNとAl−SiとMoNの積層構造を採用するとよい。または、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素と珪素の一方又は両方とを含む合金材料を用いて形成するとよい。
次に、上記構成を有する画素10のレイアウトを図3に示す。このレイアウトでは、スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12、容量素子16、発光素子13の画素電極に相当する導電層19を示す。また、このレイアウトのA−B−Cに対応する断面構造を図2(B)に示す。ガラスや石英などの絶縁表面を有する基板20上にスイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12、発光素子13、容量素子16が設けられている。
発光素子13は、画素電極に相当する導電層19、電界発光層33、対向電極に相当する導電層34の積層体に相当する。導電層19、34の両者が透光性を有する場合、発光素子13は、導電層19に向かう方向と、導電層34に向かう方向に光を発する。つまり発光素子13は両面出射を行う。また、導電層19、34の一方が透光性を有し、他方が遮光性を有する場合、発光素子13は導電層19に向かう方向のみか、導電層34に向かう方向のみに光を発する。つまり発光素子13は上面出射又は下面出射を行う。図2(B)の構造では、発光素子13が下面出射を行う場合の断面構造を示す。
容量素子16は、駆動用トランジスタ12のゲート電極とソース電極の間に配置され、当該駆動用トランジスタ12のゲート・ソース間電圧を保持する。容量素子16は、スイッチング用トランジスタ11と駆動用トランジスタ12のゲート電極と同じ層に設けられた導電層22a、22b(以下総称して導電層22と表記)と、駆動用トランジスタ12のソース配線とドレイン配線に相当する導電層26と、導電層22と導電層26の間の絶縁層により容量を形成する点を特徴とする。
また、容量素子16は、駆動用トランジスタ12のソースドレイン配線に相当する導電層26と、発光素子13の画素電極と同じ層に設けられた導電層36と、導電層26と導電層36との間の絶縁層により容量を形成する点を特徴とする。なお、図3のレイアウトに示すように、導電層35は導電層36に接続する。導電層35と導電層36は、同一の配線である。
上記特徴により、容量素子16は駆動用トランジスタ12のゲート・ソース間電圧を保持するのに十分な容量値を得ることができる。また、容量素子16は、電源線を構成する導電層の下部に設けられており、そのために、容量素子16の配置による開口率の減少は生じない。また、容量素子16に、スイッチング用トランジスタ11と駆動用トランジスタ12のゲート絶縁膜を用いていないため、ゲートリーク電流を減少させることができ、消費電力を削減することができる。
また、スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12のソースドレイン配線に相当する導電層24〜27の厚さは、500乃至2000nm、好ましくは500乃至1300nmである点を特徴とする。導電層24〜27は、ソース線Sxや電源線Vxを構成しているため、上記特徴のように、導電層24〜27の膜厚を厚くすることで、電圧降下による影響を抑制することができる。なお、導電層24〜27を厚くすると配線抵抗を小さくすることができるが、逆に、導電層24〜27を厚くしすぎると、パターン加工を正確に行うことが困難になったり、表面の凸凹が問題になったりする。つまり、導電層24〜27の厚さは、配線抵抗と、パターン加工のし易さと表面の凸凹の影響とを考慮して、上記の範囲内で決定するとよい。
また、本発明の表示装置は、スイッチング用トランジスタ11、駆動用トランジスタ12を覆う絶縁層28、29(以下総称して第1の絶縁層30と表記)と、第1の絶縁層30上に設けられた第2の絶縁層31とを有し、第2の絶縁層31上に画素電極に相当する導電層19を有する点を特徴とする。仮に、第2の絶縁層31を設けないとすると、ソースドレイン配線に相当する導電層24〜27と、導電層19とは同じ層に設けることになる。そうすると、導電層19を設ける領域は、導電層24〜27を設けた領域以外に制約されてしまう。しかしながら、第2の絶縁層31を設けることにより、導電層19を設ける領域のマージンが広がり、高開口率を実現する。この構成は、上面出射の場合に特に有効である。高開口率を実現すると、光を発する面積の増加に伴って、駆動電圧を下げて、消費電力を削減することができる。
なお第1の絶縁層30と第2の絶縁層31は、酸化珪素や窒化珪素等の無機材料、ポリイミドやアクリル等の有機材料等を用いて形成する。第1の絶縁層30と第2の絶縁層31を同じ材料で形成してもよいし、互いに異なる材料で形成してもよい。有機材料としては、シロキサン系の材料を用いればよく、例えば、シリコンと酸素との結合で骨格構造が構成される。置換基に、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。または、置換基にフルオロ基を用いてもよい。または、置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
なお、第2の絶縁層31は、下層の凸凹を解消するため、ある程度の膜厚を稼ぐことができる有機材料で形成するとよい。そして、第2の絶縁層31を有機材料で形成した場合の脱ガスの防止のため、第3の絶縁層37として、バリア膜として機能する窒化物(具体的には窒化珪素)で形成するとよい。
また、隔壁層(絶縁層ともよぶ)32は、無機材料と有機材料のどちらの材料を用いて形成してもよい。但し、隔壁層32に接するように、発光素子13の電界発光層を設けるため、当該電界発光層にピンホールなどが生じないように、隔壁層32はその曲率半径が連続的に変化する形状を有するとよい。また、隔壁層32は、画素間の輪郭(境界)を明確にするために、遮光性を有する材料により形成するとよい。
また、本発明の表示装置は、上述した画素10がマトリクス状に複数配置された画素領域40と、第1のゲートドライバ41と、第2のゲートドライバ42と、ソースドライバ43とを有する(図4参照)。第1のゲートドライバ41と第2のゲートドライバ42は、画素領域40を挟んで対向するように配置するか、画素領域40の上下左右の四方のうちの一方に配置する。
ソースドライバ43は、パルス出力回路44、ラッチ45及び選択回路46を有する。ラッチ45は第1のラッチ47と第2のラッチ48を有する。選択回路46は、トランジスタ49と、アナログスイッチ50を有する。トランジスタ49とアナログスイッチ50は、ソース線Sxに対応して、各列に設けられる。インバータ51は、WE信号(Write Erase)の反転信号を生成するためのものであり、外部からWE信号の反転信号を供給する場合には設けなくてもよい。
トランジスタ49のゲート電極は選択信号線52に接続し、ソース電極及びドレイン電極の一方はソース線Sxに接続し、他方は電源53に接続する。アナログスイッチ50は、第2のラッチ48とソース線Sxの間に設けられる。つまり、アナログスイッチ50の入力ノードは第2のラッチ48に接続し、出力ノードはソース線Sxに接続する。アナログスイッチ50の2つの制御ノードは、一方は選択信号線52に接続し、他方はインバータ51を介して選択信号線52に接続する。電源53の電位は、画素10が含む駆動用トランジスタ12をオフにする電位であり、駆動用トランジスタ12がN型の場合は電源53の電位をLレベルとし、駆動用トランジスタ12がP型の場合は電源53の電位をHレベルとする。
第1のゲートドライバ41はパルス出力回路54と選択回路55を有する。第2のゲートドライバ42はパルス出力回路56と選択回路57を有する。選択回路55、57は、選択信号線52に接続する。但し、第2のゲートドライバ42が含む選択回路57は、インバータ58を介して選択信号線52に接続する。つまり、選択信号線52を介して、選択回路55、57に入力されるWE信号は、互いに反転した関係にある。
選択回路55、57の各々はトライステートバッファを有する。トライステートバッファの入力ノードはパルス出力回路54又はパルス出力回路56に接続し、制御ノードは選択信号線52に接続する。トライステートバッファの出力ノードはゲート線Gyに接続する。トライステートバッファは、選択信号線52から伝達される信号がHレベルのときに動作状態となり、Lレベルのときに不定状態となる。
ソースドライバ43が含むパルス出力回路44、第1のゲートドライバ41が含むパルス出力回路54、第2のゲートドライバ42が含むパルス出力回路56は、複数のフリップフロップ回路からなるシフトレジスタやデコーダ回路に相当する。パルス出力回路44、54、56として、デコーダ回路を適用すれば、ソース線Sx又はゲート線Gyをランダムに選択することができる。ソース線Sx又はゲート線Gyをランダムに選択することができると、時間階調方式を適用した場合に生じる疑似輪郭の発生を抑制することができる。
なおソースドライバ43の構成は上記の記載に制約されず、レベルシフタやバッファを設けてもよい。また、第1のゲートドライバ41と第2のゲートドライバ42の構成も上記の記載に制約されず、レベルシフタやバッファを設けてもよい。また、ソースドライバ43、第1のゲートドライバ41、第2のゲートドライバ42内に保護回路を設けてもよい。
また本発明の表示装置は、電源制御回路63を有することを特徴とする。電源制御回路63は、発光素子13に電源を供給する電源回路61と制御回路62を有する。電源回路61は、駆動用トランジスタ12と電源線Vxを介して発光素子13の画素電極に接続する。また、電源回路61が含む対向電源18は、電源線を介して、発光素子13の対向電極に接続する。
発光素子13に順方向バイアスの電圧を印加して、発光素子13に電流を流して発光させるときは、電源線Vxの電位が、対向電源18の電位よりも高くなるように、電源線Vxと対向電源18の電位差を設定する。一方、発光素子13に逆方向バイアスの電圧を印加する際は、電源線Vxの電位が、対向電源18の電位よりも低くなるように、電源線Vxと対向電源18の電位を設定する。このような電源の設定は、制御回路62から電源回路61に所定の信号を供給することにより行われる。
本発明は、電源制御回路63を用いて、発光素子13に逆方向バイアスの電圧を印加することで、発光素子13の経時劣化を抑制し、信頼性を向上させることができる。また、発光素子13は、異物の付着や、陽極又は陰極にある微細な突起によるピンホール、電界発光層の不均一性を起因として、陽極と陰極が短絡する初期不良が生じることがある。このような初期不良が発生すると、信号に応じた点灯及び非点灯が行われず、電流のほとんどすべてが短絡部を流れて素子全体が消光する現象が生じたり、特定の画素が点灯又は非点灯しない現象が生じたりして、画像の表示が良好に行われないという問題が発生する。しかしながら、本発明の構成によると、発光素子に逆方向バイアスを印加することができるため、陽極と陰極の短絡部のみに局所的に電流を流し、該短絡部を発熱させ、その結果、短絡部を酸化又は炭化して絶縁化することができる。そのため、初期不良が生じても、その不良を解消し、画像の表示を良好に行うことができる。なお、このような初期不良の絶縁化は、表示装置の出荷前に行うとよい。また、初期不良だけでなく、時間の経過に伴い、新たに陽極と陰極の短絡が発生することがある。このような不良は進行性不良とも呼ばれるが、本発明の構成によると、定期的に発光素子に逆方向バイアスを印加することができるので、進行性不良が生じても、その不良を解消し、画像の表示を良好に行うことができる。なお、発光素子13に逆方向バイアスの電圧を印加するタイミングには特に制約はない。
また本発明の表示装置は、上述したように、モニター用発光素子66を含むモニター用回路64と、定電流源105やバッファアンプ110等を有するモニター制御回路65を有することを特徴とする。モニター用回路64やモニター制御回路65の詳しい構成については、実施の形態1において前述した通りであるため、詳細な説明は省略する。上記構成を有する本発明は、環境温度の変化や経時変化による発光素子の電流値の変動を抑制して、信頼性を向上させることができる。
なお、図1、図17に示す構成では、モニター制御回路65は、定電流源105とバッファアンプ110を含む回路に相当する。図12に示す構成では、モニター制御回路65は、定電流源105、バッファアンプ110、スイッチ116、117、容量素子126を含む回路に相当する。図13に示す構成では、モニター制御回路65は、定電流源105、バッファアンプ110、第1のスイッチ素子121、第2のスイッチ素子122、第3のスイッチ素子123、第4のスイッチ素子124、容量素子126、制御回路127、第5のスイッチ素子128を含む回路に相当する。図14に示す構成では、モニター制御回路65は、バッファアンプ110を含む回路に相当する。図15に示す構成では、モニター制御回路65は、定電流源105、バッファアンプ110、抵抗素子140を含む回路に相当する。
次に、上記構成を有する本発明の表示装置の動作について図面を参照して説明する。まず、ソースドライバの動作について図5(A)を用いて説明する。パルス出力回路44には、クロック信号(以下SCKと表記)、クロック反転信号(以下SCKBと表記)及びスタートパルス(以下SSPと表記)が入力され、これらの信号のタイミングに従って、第1のラッチ47にサンプリングパルスを出力する。データが入力される第1のラッチ47は、サンプリングパルスが入力されるタイミングに従って、1列目から最終列目までビデオ信号を保持する。第2のラッチ48は、ラッチパルスが入力されると、第1のラッチ47に保持されていたビデオ信号を、一斉に第2のラッチ48に転送する。
ここで、選択信号線52から伝達されるWE信号がLレベルのときを期間T1とし、WE信号がHレベルのときを期間T2として、各期間における選択回路46の動作について説明する。期間T1、T2は水平走査期間の半分の期間に相当し、期間T1を第1のサブゲート選択期間、期間T2を第2のサブゲート選択期間とよぶ。
期間T1(第1のサブゲート選択期間)において、選択信号線52から伝達されるWE信号はLレベルであり、トランジスタ49はオン状態、アナログスイッチ50は非導通状態となる。そうすると、複数の信号線S1〜Snは、各列に配置されたトランジスタ49を介して、電源53と電気的に接続する。つまり、複数の信号線S1〜Snは、電源53と同電位になる。
このとき、画素10が含むスイッチング用トランジスタ11はオン状態であり、当該スイッチング用トランジスタ11を介して、電源53の電位が駆動用トランジスタ12のゲート電極に伝達される。そうすると、駆動用トランジスタ12はオフ状態となり、発光素子13が含む2つの電極は同電位となる。つまり、発光素子13が含む両電極間には電流が流れず非発光となる。このように、ビデオ線に入力されるビデオ信号の状態に関係なく、電源53の電位が駆動用トランジスタ12のゲート電極に伝達されて、当該駆動用トランジスタ12がオフ状態になり、発光素子13が含む2つの電極の電位が同電位になる動作を消去動作とよぶ。
期間T2(第2のサブゲート選択期間)において、選択信号線52から伝達されるWE信号はHレベルであり、トランジスタ49はオフ状態、アナログスイッチ50は導通状態となる。そうすると、第2のラッチ48に保持されたビデオ信号は、1行分が同時に複数の信号線S1〜Snに伝達される。このとき、画素10が含むスイッチング用トランジスタ11はオン状態であり、当該スイッチング用トランジスタ11を介して、ビデオ信号が駆動用トランジスタ12のゲート電極に伝達される。そうすると、入力されたビデオ信号に従って、駆動用トランジスタ12はオン状態又はオフ状態となり、発光素子13が含む2つの電極は、互いに異なる電位又は同電位となる。より詳しくは、駆動用トランジスタ12がオン状態になると、発光素子13が含む2つの電極は互いに異なる電位となり、発光素子13に電流が流れる。つまり、発光素子13は発光する。なお発光素子13に流れる電流は、駆動用トランジスタ12のソースドレイン間に流れる電流と同じである。
一方、駆動用トランジスタ12がオフ状態になると、発光素子13が含む2つの電極は同電位となり、発光素子13に電流は流れない。つまり、発光素子13は非発光となる。このように、ビデオ信号に従って、駆動用トランジスタ12がオン状態又はオフ状態になり、発光素子13が含む2つの電極の電位が互いに異なる電位又は同電位となる動作を書き込み動作とよぶ。
次に、第1のゲートドライバ41、第2のゲートドライバ42の動作について説明する。パルス出力回路54には、クロック信号(G1CK)、クロック反転信号(G1CKB)、スタートパルス(G1SP)が入力され、これらの信号のタイミングに従って、選択回路55に順次パルスを出力する。パルス出力回路56には、クロック信号(G2CK)、クロック反転信号(G2CKB)、スタートパルス(G2SP)が入力され、これらの信号のタイミングに従って、選択回路57に順次パルスを出力する。図5(B)には、i行目、j行目、k行目、p行目(i、j、k、pは自然数、1≦i、j、k、p≦n)の各列の選択回路55、57に供給されるパルスの電位を示す。
ここで、ソースドライバ43の動作の説明と同様に、選択信号線52から伝達されるWE信号がLレベルのときを期間T1とし、WE信号がHレベルのときを期間T2として、各期間における第1のゲートドライバ41が含む選択回路55と、第2のゲートドライバ42が含む選択回路57の動作について説明する。なお、図5(B)のタイミングチャートでは、第1のゲートドライバ41から信号が伝達されたゲート線Gy(yは自然数、1≦y≦n)の電位をGy41と表記し、第2のゲートドライバ42から信号が伝達されたゲート線の電位をGy42と表記する。そして、言うまでもなく、Gy41とGy42は、同じ配線を示す。
期間T1(第1のサブゲート選択期間)において、選択信号線52から伝達されるWE信号はLレベルである。そうすると、第1のゲートドライバ41が含む選択回路55には、LレベルのWE信号が入力され、選択回路55は不定状態となる。一方、第2のゲートドライバ42が含む選択回路57には、WE信号が反転したHレベルの信号が入力され、選択回路57は動作状態となる。つまり、選択回路57はHレベルの信号(行選択信号)をi行目のゲート線Giに伝達し、ゲート線GiはHレベルの信号と同電位となる。つまり、第2のゲートドライバ42によりi行目のゲート線Giが選択される。
その結果、画素10が含むスイッチング用トランジスタ11はオン状態となる。そして、ソースドライバ43が含む電源53の電位が駆動用トランジスタ12のゲート電極に伝達され、駆動用トランジスタ12はオフ状態となり、発光素子13の両電極の電位は同電位となる。つまり、この期間では、発光素子13が非発光となる消去動作が行われる。
期間T2(第2のサブゲート選択期間)において、選択信号線52から伝達されるWE信号はHレベルである。そうすると、第1のゲートドライバ41が含む選択回路55には、HレベルのWE信号が入力され、選択回路55は動作状態となる。つまり、選択回路55はHレベルの信号をi行目のゲート線Giに伝達し、ゲート線GiはHレベルの信号と同電位となる。つまり、第1のゲートドライバ41により、i行目のゲート線Giが選択される。
その結果、画素10が含むスイッチング用トランジスタ11はオン状態となる。そして、ソースドライバ43が含む第2のラッチ48からビデオ信号が駆動用トランジスタ12のゲート電極に伝達され、駆動用トランジスタ12はオン状態又はオフ状態となり、発光素子13が含む2つの電極の電位は、互いに異なる電位又は同電位となる。つまり、この期間では、発光素子13は発光又は非発光となる書き込み動作が行われる。一方、第2のゲートドライバ42が含む選択回路57には、Lレベルの信号が入力され、不定状態となる。
このように、ゲート線Gyは、期間T1(第1のサブゲート選択期間)において第2のゲートドライバ42により選択され、期間T2(第2のサブゲート選択期間)において第1のゲートドライバ41により選択される。つまり、ゲート線は、第1のゲートドライバ41と第2のゲートドライバ42により、相補的に制御される。そして、第1及び第2のサブゲート選択期間において、一方で消去動作を行って、他方で書き込み動作を行う。
なお第1のゲートドライバ41がi行目のゲート線Giを選択する期間では、第2のゲートドライバ42は動作していない状態(選択回路57が不定状態)、又はi行目を除く他の行のゲート線に行選択信号を伝達する。同様に、第2のゲートドライバ42がi行目のゲート線Giに行選択信号を伝達する期間は、第1のゲートドライバ41は不定状態、又はi行目を除く他の行のゲート線に行選択信号を伝達する。
また上記のような動作を行う本発明は、発光素子13を強制的にオフにすることができるために、デューティ比の向上を実現する。さらに、発光素子13を強制的にオフにすることができるにも関わらず、容量素子16の電荷を放電するTFTを設ける必要がないために、高開口率を実現する。高開口率を実現すると、光を発する面積の増加に伴って、発光素子の輝度を下げることができる。つまり、駆動電圧を下げることができるため、消費電力を削減することができる。
なお、本発明は、ゲート選択期間を2分割する上記の形態に制約されない。ゲート選択期間を3つ以上に分割してもよい。
(実施の形態3)
本発明の表示装置に適用することができる画素回路の例について説明する。図6(A)は、図2(A)に示した画素10に、消去用トランジスタ91と、消去用のゲート線Ryを新たに設けた構成の画素回路(1つの画素が3つのTFTを含む)である。消去用トランジスタ91の配置により、強制的に発光素子13に電流が流れない状態を作ることができるため、全ての画素10に対する信号の書き込みを待つことなく、書き込み期間の開始と同時又は直後に点灯期間を開始することができる。従って、デューティ比を向上させて、動画の表示は、特に良好に行うことができる。
図6(B)は、図6(A)に示した画素10の駆動用トランジスタ12を削除して、新たに、トランジスタ92、93と、電源線Vax(xは自然数、1≦x≦l、lは自然数)とを設けた画素回路(1つの画素が4つのTFTを含む)である。電源線Vaxは電源94に接続する。本構成では、トランジスタ92のゲート電極を一定の電位に保持した電源線Vaxに接続することにより、トランジスタ92のゲート電極の電位を固定にし、なおかつ飽和領域で動作させる。また、トランジスタ93は線形領域で動作させて、そのゲート電極には、画素10の点灯又は非点灯の情報を含むビデオ信号を入力する。線形領域で動作するトランジスタ93のソースドレイン間電圧の値は小さいため、トランジスタ93のゲート・ソース間電圧の僅かな変動は、発光素子13に流れる電流値には影響を及ぼさない。従って、発光素子13に流れる電流値は、飽和領域で動作するトランジスタ92により決定される。上記構成を有する本発明は、トランジスタ92の特性バラツキに起因した発光素子13の輝度ムラを改善して画質を高めることができる。
また、上記以外の画素回路として、図2(A)の画素10において、スイッチング用トランジスタ11を削除した画素回路(1つの画素回路が1つのTFTを含む)を適用してもよい。この場合、パッシブマトリクス型のディスプレイと同じ動作を行う。
また、上記以外の画素回路として、カレントミラー回路を適用した画素回路を用いてもよい。
また、本発明の表示装置には、アナログのビデオ信号、ディジタルのビデオ信号のどちらを用いてもよい。但し、ディジタルのビデオ信号を用いる場合、そのビデオ信号が電圧を用いているのか、電流を用いているのかで異なる。つまり、発光素子の発光時において、画素に入力されるビデオ信号は、定電圧のものと、定電流のものがある。ビデオ信号が定電圧のものには、発光素子に印加される電圧が一定のものと、発光素子に流れる電流が一定のものとがある。ビデオ信号が定電流のものには、発光素子に印加される電圧が一定のものと、発光素子に流れる電流が一定のものとがある。この発光素子に印加される電圧が一定のものは定電圧駆動であり、発光素子に流れる電流が一定のものは定電流駆動である。定電流駆動は、発光素子の抵抗変化によらず、一定の電流が流れる。本発明の表示装置には、定電流駆動を行うものと、定電圧駆動を行うもののどちらを用いてもよい。但し、本発明の表示装置には、電圧のビデオ信号を用いることが好ましい。
また、電界発光層には、一重項励起からの発光を呈する材料(以下一重項励起発光材料と表記)や、三重項励起からの発光を呈する材料(以下三重項励起発光材料と表記)を用いる。例えば、赤色に発光する発光素子、緑色に発光する発光素子及び青色に発光する発光素子のうち、輝度半減時間が比較的短い赤色のものを三重項励起発光材料で形成し、他のものを一重項励起発光材料で形成する。三重項励起発光材料は発光効率が良いので、同じ輝度を得るのに消費電力が少なくて済むという利点がある。
また、赤色のものと緑色のものとを三重項励起発光材料で形成し、青色のものを一重項励起発光材料で形成しても良い。人間の視感度が高い緑色の発光素子も三重項励起発光材料で形成することで、さらなる低消費電力化を図ることができる。なお三重項励起発光材料の一例としては、金属錯体をドーパントとして用いたものがあり、第三遷移系列元素である白金を中心金属とする金属錯体、インジウムを中心金属とする金属錯体などがある。また、電界発光層には、低分子材料、中分子材料、高分子材料のいずれの材料を用いてもよい。
発光素子は、下から陽極、電界発光層、陰極を順に積層する順積み構造や、下から陰極、電界発光層、陽極を順に積層する逆積み構造のどちらを用いてもよい。発光素子が含む陽極又は陰極には、透光性を有するインジウム錫酸化物(ITO)や、ITOに酸化珪素が添加された材料、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、ガリウム(Ga)をドープした酸化亜鉛(GZO)などを用いるとよい。
また、発光素子は、陽極、電界発光層、電荷発生層、・・・、電界発光層、電荷発生層、・・・、電界発光層、陰極というように、陽極と陰極の間に電界発光層と電荷発生層を積層した構造でもよい。このような素子はタンデム素子ともよばれる。電荷発生層は、金属、酸化モリブデン等の無機半導体、リチウムをドープした有機化合物などからなる。
また、発光素子を含むパネルを用いてカラー表示を行う場合、発光波長帯の異なる電界発光層を画素毎に設けるとよく、典型的には、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色に対応した電界発光層を設けるとよい。この場合、赤、緑、青の各色に対応したモニター用発光素子66を設けて、各色毎に電源電位を補正するとよい。この場合、発光素子の光の出射側に、その発光波長帯の光を透過するフィルター(着色層)を設けた構成とすると、色純度の向上や、画素部の鏡面化(映り込み)の防止を図ることができる。また、フィルターを設けると、従来必要であるとされていた円偏光板等を省略することが可能となり、電界発光層から出射する光の損失を無くすことができる。さらに、斜方から画素領域を見た場合に起こる色調の変化を低減することができる。
また、電界発光層は単色又は白色の発光を呈する構成とすることができる。白色発光材料を用いる場合には、発光素子の光の出射側に特定の波長の光を透過するフィルターを設けた構成とすれば、カラー表示を行うことができる。
(実施の形態4)
発光素子の経時変化の進行の度合いは、初期に大きく、時間と共に段々少なくなっていく。従って、発光素子を用いた表示装置では、発光素子の輝度調整前(例えば表示装置の出荷前)に、全ての発光素子の初期の経時変化を生じさせてしまう初期エージング処理を行うとよい。
このような初期エージング処理を行って、発光素子の初期の急減な経時変化を予め生じさせておけば、その後、経時変化が急激に進行することはないため、経時変化を起因とした焼き付きなどの現象を軽減することができる。
なお、初期エージング処理は、発光素子をある期間だけ点灯させることで行うが、好ましくは、通常の使用時よりも高い電圧をかけるとよい。そうすれば、初期の経時変化が短時間で生じるため、この初期エージング処理を早く終えることができる。
また、本発明の表示装置を充電式の蓄電器を用いて動作させる場合には、表示装置の使用状態ではない充電中に、全ての画素を点灯又は点滅させる処理、標準画像(例えば待ち受け画像など)の明暗を反転させた画像を表示する処理、ビデオ信号をサンプリングすることにより、点灯頻度の低い画素を検出して、当該画素を点灯又は点滅させる処理などを行うとよい。上記のように、使用状態ではないときに、焼き付きの低減を目的として行う上記の処理は、フラッシュアウト処理とよぶ。このフラッシュアウト処理を行えば、当該処理後に、焼き付きが生じたとしても、その焼き付いた画像の一番明るい箇所と、一番暗い箇所との差を5階調以下、さらに好ましくは1階調以下に設定することができる。また、焼き付きを軽減するためには、上記の処理以外に、画像をなるべく固定化しないようにするとよい。
(実施の形態5)
本発明の表示装置の一形態である、画素領域40と、第1のゲートドライバ41と、第2のゲートドライバ42と、ソースドライバ43とを搭載したパネルについて説明する。基板20上には、発光素子13を含む画素を複数有する画素領域40、第1のゲートドライバ41、第2のゲートドライバ42、ソースドライバ43及び接続フィルム407が設けられる(図7(A)参照)。接続フィルム407は外部回路(ICチップ)と接続する。
図7(B)はパネルのA−Bにおける断面図を示し、画素領域40に設けられた駆動用トランジスタ12と発光素子13と容量素子16と、ソースドライバ43に設けられたCMOS回路410を示す。
画素領域40と第1のゲートドライバ41、第2のゲートドライバ42及びソースドライバ43の周囲にはシール材408が設けられ、発光素子13は、該シール材408と対向基板406により封止される。この封止処理は、発光素子13を水分から保護するための処理であり、ここではカバー材(ガラス、セラミックス、プラスチック、金属等からなる)により封止する方法を用いるが、熱硬化性樹脂や紫外光硬化性樹脂を用いて封止する方法、金属酸化物や窒化物等のバリア能力が高い薄膜により封止する方法を用いてもよい。基板20上に形成される素子は、非晶質半導体に比べて移動度等の特性が良好な結晶質半導体(ポリシリコン)により形成することが好適であり、そうすると、同一表面上におけるモノリシック化が実現される。上記構成を有するパネルは、接続する外部ICの個数が減少するため、小型・軽量・薄型が実現される。
また、図18はパネルのC−Dにおける断面図を示し、画素領域40に設けられた駆動用トランジスタ12と発光素子13と容量素子16と、第1のゲートドライバ41に設けられたCMOS回路412、第2のゲートドライバ42に設けられたCMOS回路411を示す。図示するパネルでは、第1のゲートドライバ41と第2のゲートドライバ42と重なるようにシール材408が設けられている点を特徴とする。上記特徴により、狭額縁化を実現する。
なお上記の図7、18に示す構成では、発光素子13の画素電極は透光性を有し、発光素子13の対向電極は遮光性を有する。従って、発光素子13は下面出射を行う。
また上記とは異なる構成として、発光素子13の画素電極は遮光性を有し、発光素子13の対向電極は透光性を有する場合がある(図8(A)参照)。この場合、発光素子13は上面出射を行う。
また上記とは異なる構成として、発光素子13の画素電極と、発光素子13の対向電極の両者が透光性を有する場合がある(図8(B)参照)。この場合、発光素子13は両面出射を行う。
下面出射と両面出射を行う場合は、駆動用トランジスタ12が含む不純物領域に接続する導電層(ソースドレイン配線)は、アルミニウム(Al)と、モリブデン(Mo)等の反射率の低い材料とを組み合わせたもので形成するとよい。具体的には、MoとAl−SiとMoの積層構造、MoNとAl−SiとMoN等の積層構造を採用するとよい。そうすれば、発光素子から発せられた光がソースドレイン配線に反射することを防止することができ、光を外部に取り出すことができる。本発明の表示装置には、下面出射、上面出射、両面出射のいずれの構成を採用してもよい。
なお、画素領域40は絶縁表面上に形成された非晶質半導体(アモルファスシリコン)をチャネル部としたTFTにより構成し、第1のゲートドライバ41、第2のゲートドライバ42及びソースドライバ43はICチップにより構成してもよい。ICチップは、COG方式により基板20上に貼り合わせたり、基板20に接続する接続フィルム407に貼り合わせたりしてもよい。非晶質半導体は、CVD法を用いることで、大面積の基板に簡単に形成することができ、かつ結晶化の工程が不要であることから、安価なパネルの提供を可能とする。また、この際、インクジェット法に代表される液滴吐出法により導電層を形成すると、より安価なパネルの提供を可能とする。
(実施の形態6)
発光素子を含む画素領域を備えた電子機器として、テレビジョン装置(単にテレビ、又はテレビジョン受信機ともよぶ)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話装置(単に携帯電話機、携帯電話ともよぶ)、PDA等の携帯情報端末、携帯型ゲーム機、コンピュータ用のモニター、コンピュータ、カーオーディオ等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の記録媒体を備えた画像再生装置等が挙げられる。その具体例について、図9を参照して説明する。
携帯情報端末は、本体9201、表示部9202等を含んでいる(図9(A)参照)。表示部9202は、実施の形態1〜5で示すものを適用することができる。モニター用発光素子を用いて発光素子に与える電源電位を補正する本発明により、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制した表示装置を提供することができる。
デジタルビデオカメラは、表示部9701、表示部9702等を含んでいる(図9(B)参照)。表示部9701は、実施の形態1〜5で示すものを適用することができる。モニター用発光素子を用いて発光素子に与える電源電位を補正する本発明により、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制した表示装置を提供することができる。
携帯端末は、本体9101、表示部9102等を含んでいる(図9(C)参照)。表示部9102は、実施の形態1〜5で示すものを適用することができる。モニター用発光素子を用いて発光素子に与える電源電位を補正する本発明により、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制した表示装置を提供することができる。
携帯型のテレビジョン装置は、本体9301、表示部9302等を含んでいる(図9(D)参照)。表示部9302は、実施の形態1〜5で示すものを適用することができる。モニター用発光素子を用いて発光素子に与える電源電位を補正する本発明により、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制した表示装置を提供することができる。このようなテレビジョン装置は携帯電話などの携帯端末に搭載する小型のものから、持ち運びをすることができる中型のもの、また、大型のもの(例えば40インチ以上)まで、幅広く適用することができる。
携帯型のコンピュータは、本体9401、表示部9402等を含んでいる(図9(E)参照)。表示部9402は、実施の形態1〜5で示すものを適用することができる。モニター用発光素子を用いて発光素子に与える電源電位を補正する本発明により、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制した表示装置を提供することができる。
テレビジョン装置は、本体9501、表示部9502等を含んでいる(図9(F)参照)。表示部9502は、実施の形態1〜5で示すものを適用することができる。モニター用発光素子を用いて発光素子に与える電源電位を補正する本発明により、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制した表示装置を提供することができる。
上記に挙げた電子機器において、二次電池を用いているものは、消費電力を削減した分、電子機器の使用時間を長持ちさせることができ、二次電池を充電する手間を省くことができる。
(実施の形態7)
カラー表示を行う表示装置の断面構造について図面を参照して説明する。より詳しくは、白色の発光を呈する白色発光素子と、着色層とを用いた表示装置の断面構造について説明する。以下には、隣接する3つの画素の断面構造を示す。
基板20上には、駆動用トランジスタ12、白色の発光を呈する発光素子13(以下白色発光素子13と表記)、容量素子16が設けられている(図22参照)。白色発光素子13は上面出射を行う。また、隔壁層32が設けられており、当該隔壁層32は、遮光性を有する。遮光性を有する隔壁層32は、カーボン粒子、金属粒子、顔料や着色料等を添加して撹拌した後、必要に応じて濾過を行い、その後、スピンコート法で形成する。なお、有機材料にカーボン粒子や金属粒子を添加する際は、均一に混合されるように、界面活性剤や分散剤などを添加してもよい。
対向基板406上には、着色層711〜713が設けられており、当該着色層711〜713は、典型的には、赤、緑又は青に対応する。
基板20と対向基板406を貼り合わせる際、白色発光素子13は、着色層711〜713と重なるように設けられる。より詳しくは、白色発光素子13の光の出射側と、着色層711〜713とが向かい合うように設けられる。上記構成により、白色発光素子13から発せられる白色の光は、赤、緑又は青に変化するため、カラー表示を行う表示装置を提供することができる。
次に、白色発光素子13が下面出射を行う場合の構成について図23を用いて説明する。このような場合、図示するように、層間絶縁層として、着色層714〜716を設ける。なお、基板20と、駆動用トランジスタ12や容量素子16との間に着色層を設けてもよいが、その場合には、駆動用トランジスタ12の活性層に多結晶半導体を用いず、非晶質半導体を用いるとよい。そうすれば、多結晶半導体の作製工程における加熱処理工程に起因した着色層の損傷を防止することができる。これは、着色層の耐熱性が悪いことによる。
次に、白色発光素子13が両面出射を行う場合の構成について図24を用いて説明する。図示する構成は、図22の構成と図23の構成を組み合わせた構成となっており、白色発光素子13が両面に発光するため、白色発光素子13を挟むように、着色層711〜716が設けられている。
なお、発光素子が含む電界発光層は、蒸着法、スピンコート法、インクジェット法などを用いて形成するが、発光波長帯の異なる電界発光層を作り分ける場合、上記の方法の作り分けの精度があまり良くないために、異なる画素間の間隔を広く設計する必要や、土手の間隔を広く設計する必要がある。しかしながら、上記の構成のように、白色発光素子を用いる場合は、電界発光層を作り分ける必要がないために、画素の間隔や土手の間隔を広くする必要がなく、高精細化を実現することができるという利点が生ずる。また、カラーフィルタは、液晶表示装置において用いられているために、新たに技術開発する必要がなく、液晶表示装置の技術を活用することができる。
また、画素間の隔壁層32の横方向の幅は、その下部に設けられた配線を隠すことができる幅であればよく、具体的には7.5μm乃至27.5μm、好ましくは10μm乃至25μmとなるように設計するとよい(図25参照)。このように、隔壁層32の幅を狭くすることで、高開口率を実現する。高開口率を実現すると、光を発する面積の増加に伴って、駆動電圧を下げて、消費電力を削減することができる。
また、白色発光素子から発せられる光のうち、その出射角によっては画素電極や対向電極の内部を繰り返し反射してしまい、隣接する画素に光が漏れてしまうことがあった。また、複数の画素がマトリクス状に配置された表示領域において、黒を表示する画素では、画素電極や対向電極による映り込みが発生してしまうことがあった。そこで、このような映り込みを防止することを目的に、光学フィルムを貼り付けることがあるが、そうするとコストが高くなってしまっていた。
しかしながら、上記の構成によると、土手として機能する隔壁層32は、遮光性を有する材料により形成する。隔壁層32が遮光性を有していれば、当該隔壁層32が不要な光を吸収するために、画素間の輪郭が明瞭なものとなり、高精細な画像を表示することができる。また、遮光性を含む絶縁膜の配置により、入射光の反射が低減され、映り込みを防止することができるため、偏光板などの光学フィルムが不要となり、小型化、薄型化、軽量化を実現することができる。
また、白色発光素子13の電界発光層には、一重項励起発光材料の他、金属錯体などを含む三重項励起発光材料を用いても良い。三重項励起発光材料の一例としては、金属錯体をドーパントとして用いたものがあり、第三遷移系列元素である白金を中心金属とする金属錯体、イリジウムを中心金属とする金属錯体などが知られている。三重項励起発光材料としては、これらの化合物に限られることはなく、上記構造を有し、且つ中心金属に周期表の8〜10属に属する元素を有する化合物を用いることも可能である。
また、白色発光を得るために、青色用の電界発光層を含め、2層或いは3層の発光層を設けることで、白色発光するような発光素子を構成すればよく、また、正孔注入輸送層、正孔輸送層、電子注入輸送層、電子輸送層、発光層、電子ブロック層、正孔ブロック層などの機能性の各層を適宜積層することで白色発光素子を形成することができる。また、これらの各層を合わせた混合層又は混合接合を形成しても良い。本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態8)
本発明は、白色発光素子とモニター用発光素子を有し、白色発光素子のデューティ比は45〜80%であり、モニター用の白色発光素子のデューティ比は45%〜100%である表示装置を提供する。
このとき、白色発光素子のデューティ比とは、画素領域に設けられた全ての白色発光素子のデューティ比の平均値である。また、ここで、デューティ比とは、入力されるビデオ信号が全て白を表現する信号であったときであって、点灯期間と、書き込み期間などの非点灯期間と点灯期間の合計の期間との比を示したものである。
また本発明は、一定期間当たりの白色発光素子の総電流量が、モニター用の白色発光素子の総電流量よりも少ない表示装置を提供する。
このように、白色発光素子に対する負荷とモニター用の白色発光素子に対する負荷を変え、なお且つ、白色発光素子に流れる電荷量に基づいて輝度の劣化を考慮することにより、白色発光素子の電荷量と、モニター用の白色発光素子の電荷量とを対比して、白色発光素子の輝度が一定になるように補正をする定輝度駆動法を行うことができる。
以下に、本発明に係る定輝度駆動(以下CL駆動と表記)の原理について説明する。ここで説明に用いる発光素子は、一対の電極間にELを発現する有機材料を含む薄膜を介在させた構造を備えている。
ELを発現する有機材料を含む薄膜(以下「有機薄膜」とも表記)に流れる電流はトラップ電荷制限電流(Trap Charge Limited Current;TCLC)と呼ばれ、次式で表すことができる。
J=S・Vn・・・(1)
ここで、Jは電流密度、Vは電圧、Sは発光素子の材料や構造で決まる値、nは2以上の数値である。
式(1)を変形すると、次式が得られる。
logJ=n・logV+logS・・・(2)
式(2)は、対数目盛で表す電流・電圧特性において傾きnの直線で示され、logSの値が小さい程、その直線は高電圧側にシフトすることとなる。
図26は代表的な発光素子の電流密度対電圧特性を示すグラフである。素子の構造は陽極、DNTPD、NPB、Alq:C6、Alq、CaF2、Alの積層構造である。同グラフ中には、初期特性、室温で1000時間保持した後の特性、室温で1000時間定電流駆動したときの特性を示している。
図26で示すように、発光素子を室温で1000時間、定電流駆動することで電流密度対電圧特性は、初期特性に比べて高電圧側にシフトしている。また、電流を流さずに同じ時間室温で保持した場合にも、同様に高電圧側にシフトしていることが示されている。
次に、実用的な輝度が得られる電流密度領域において、上記3種類の条件の電流密度対電圧特性を、式(2)に基づいて両対数グラフにプロットした結果を図27に示す。図27に示すグラフでは、100〜10000cd/m2の輝度が得られる1〜100mA/cm2の電流密度に対してプロットしている。図27で示すグラフは、電流密度対電圧の特性が傾きnの直線で示されている。
このグラフより求めたnとSの変化を図28に示す。図28のグラフで示すように、式(2)に基づくnとSのパラメータは特徴的な変化を示している。このうち、Sは発光素子を室温で保存した状態では変化せず、電流を流すことにより大幅に減少している。これに対し、nは発光素子に電流を流した場合のみでなく、室温で同じ時間保持した場合でも同様に低下している。その減少率は、発光素子に電流を流したときと、流さなかった場合でほぼ同じである。すなわち、nは電流を流すか流さないかにかかわらず、ほぼ時間経過のみで低下していくパラメータと考えられる。
この結果より、nは時間の関数として式(3)で表すことができる。
n=f(t)・・・(3)
nはダイオード特性の急峻さを表すものであることから、発光素子のダイオード特性は、電流を流す、流さないにかかわらず、時間の経過と共に変化する(nの値が小さくなり、傾きが小さくなる)ことを示している。
一方、Sは室温で保存するだけではほとんど変化せず、電流を流すことにより変化するパラメータである。Sが時間に依存せず、電流を流すことにより変化するということは、総電荷量Q(電流×時間)の関数で表すことができ、次式を導くことができる。
S=g(Q)・・・(4)
なお、Sは発光素子に電流を流すことで減少していくことから、g(Q)は単調減少の関数と考えられる。Sはダイオード特性のしきい値と考えることが出来るので、発光素子のダイオード特性のしきい値は、電流を流すことで高電圧側にシフトすると説明できる。
式(1)(3)(4)より、モニター用発光素子の電流密度対電圧特性、及び表示用発光素子の電流密度対電圧特性は次式で表すことができる。
Jo=g(Qm)・Vf(t)・・・(5)
Jp=g(Qp)・Vf(t)・・・(6)
ここで、Joはモニター用発光素子の電流密度(一定)、Jpは画素の電流密度、Qmはモニター用発光素子に流れた総電荷量、Qpは画素に流れた総電荷量、Vは電圧、tは時間である。
式(5)(6)から、画素に流れる電流密度Jpは次式で表すことができる。
Jp=Jo・g(Qp)/g(Qm)・・・(7)
ここで、g(Q)は単調減少の関数なので、モニター用発光素子と表示用の発光素子の電流を変えることにより、JoとJpは異なる値をとる。例えば、表示用の発光素子よりもモニター用発光素子の方により多くの電流を流せば(つまりQm>Qp)、常にJpはJoよりも大きくなる。
表示用発光素子の輝度を一定に保つCL駆動を理想的に行うには、以下のことを考慮する必要がある。まず、画素の輝度をL、電流効率をηとすると、次式が与えられる。
L=η・Jp・・・(8)
また、初期輝度をLo、初期の電流密度をJoとすると、電流効率ηは、
η=(Lo/Jo)・exp{−(k・t)β}・・・(9)
という劣化曲線となる。ここで、kは速度定数、βは初期劣化を表すパラメータである。
従って、式(8)(9)より式(10)が得られる。
L=Jp・(Lo/Jo)・exp{−(k・t)β}・・・(10)
ここで、輝度を一定にするためには、L=Lo(一定)とならなければいけないため、式(10)にL=Loを代入することにより、次の式(11)が得られる。
Jp=Jo・exp{(k・t)β}・・・(11)
つまり、Jpを式(11)に従って上昇させることにより、CL駆動をすることができる。結局、式(7)(11)から、
g(Qp)/g(Qm)=exp{(k・t)β}・・・(12)
が得られるため、「g(Qp)/g(Qm)」がexp{(k・t)β}に近くなるようにQpとQmを制御することで、CL駆動をすることができる。
以上のように、発光素子に流れる電荷量に基づいて輝度の劣化を考慮することにより、表示用発光素子の電荷量と、モニター用発光素子に流れる電荷量を対比して、表示用発光素子の輝度が一定となるように補正をするCL駆動を行うことができる。