JP4832796B2 - 光学補償シート、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents
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Description
そこで、特殊なコレステリック液晶に偏光紫外線照射する方法(特許文献3)や、特殊な円盤状液晶に偏光紫外線照射する方法(特許文献4)によって、延伸を用いることなく二軸性位相差板を作製する方法が提案された。この方法により延伸に起因する種々の問題が解決できる。
[1] 透明支持体上に配向層と光学異方性層をこの順に有する光学補償シートであって、
前記光学異方性層は、少なくとも一つの反応性基を有する液晶性化合物と、少なくとも一つの紫外域において二色性を有する重合開始剤と、二色性を有さない重合開始剤および/または二色性を有さない光増感剤とを含む光学異方性層形成用溶液を前記配向層上に塗布乾燥して形成した液晶層を硬化することによって形成されたものであり、
前記光学異方性層の正面レターデーション(Re)が0でなく、面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)として光学補償シートの法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)として光学補償シートの法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値が実質的に等しいことを特徴とする光学補償シート。
[2] 前記配向層は、前記透明支持体上に、配向層形成用溶液を塗布および乾燥して形成されたものである[1]に記載の光学補償シート。
[3] 前記配向層形成用溶液は、側鎖に反応性基を有する高分子、または反応性基を有するモノマーもしくはオリゴマーを含有する[2]に記載の光学補償シート。
[4] 前記配向層形成用溶液が、側鎖に反応性基を有する変性ポリビニルアルコールを含有する[3]に記載の光学補償シート。
[5] 前記液晶性化合物が、少なくとも一つのエチレン性不飽和基を有する[1]〜[4]のいずれかに記載の光学補償シート。
[6] 前記液晶性化合物の有する反応性基は、前記配向層の反応性基と反応し得る[3]〜[5]のいずれかに記載の光学補償シート。
[7] 前記透明支持体がセルロース系またはシクロオレフィン系ポリマーである[1]〜[6]のいずれかに記載の光学補償シート。
[8] 前記光学異方性層は、前記液晶層に偏光紫外線を照射することによって形成されたものである[1]〜[7]のいずれかに記載の光学補償シート。
[9] 前記偏光紫外線照射において、液晶層表面温度を70〜160℃の範囲に保つ[8]に記載の光学補償シート。
[10] 前記光学異方性層が、偏光紫外線照射前にコレステリック相を呈する[8]または[9]に記載の光学補償シート。
[11] 前記液晶性化合物が、棒状液晶性化合物である[1]〜[10]のいずれかに記載の光学補償シート。
[12] [1]〜[11]のいずれかに記載の光学補償シートと、偏光膜とを有する偏光板。
[13] [1]〜[11]のいずれかに記載の光学補償シートまたは[12]に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
[14] 表示モードがVAモードである[13]に記載の液晶表示装置。
図1は本発明の光学補償シートの一例の概略断面図である。本発明の光学補償シートは、透明支持体11上に光学異方性層12を有する。透明支持体11と光学異方性層12との間には、光学異方性層12中の液晶性分子の配向を制御するための配向層13が配置されている。光学異方性層12は、少なくとも一種の液晶性化合物を含有する組成物を硬化させて形成された層である。一方、光学異方性層12の下層に位置する配向層13は、高分子を含有する溶液を塗布および乾燥して形成した高分子層である。光学異方性層12は、コレステリック相を固定してなる層であることができる。本発明では、かかるコレステリック相を固定してなる光学異方層を利用して、液晶セル、好ましくはVAモードの液晶セル、を正確に光学補償することができる。
図2(a)〜(d)は本発明の光学補償シートを有する偏光板の概略断面図である。偏光板は、一般的には、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行うことによって偏光膜21を得、その両面に保護フィルム22および23を積層して作製することができる。本発明の光学補償シートは、光学異方性層を支持するポリマーフィルム等からなる支持体を有するので、この支持体を保護フィルム22および23の少なくとも一方にそのまま用いることができる。この際、光学異方性層12は偏光層21側に(即ち、光学異方性層12が支持体11より偏光層21により近くに)配置されていても、偏光層21と反対側に(即ち、光学異方性層12が支持体11より偏光層21により遠くに)配置されていてもよいが、図2(a)に示した様に、光学異方性層12は、偏光層21と反対側にあることが好ましい。また、図2(b)のように偏光層21の一方の保護フィルム22の外側に粘着剤等を介して貼合することも可能である。
図3は、本発明の液晶表示装置の一例である。液晶表示装置は、上下の電極基板間にネマチック液晶を挟持してなる液晶セル35、および液晶セルの両側に配置された一対の偏光板36および37を有しており、偏光板の少なくとも一方には図2に示した本発明の偏光板を用いている。本発明の偏光板を用いる際には、光学異方性層が偏光層と液晶セルの電極基板の間になるように配置することができる。ネマチック液晶分子は、電極基板上に施された配向層およびその表面のラビング処理あるいはリブ等の構造物を設けることによって、所定の配向状態になるように制御されている。
本発明の光学補償シートは、光学異方性層を有し、前記光学異方性層が、液晶表示装置のコントラスト視野角の拡大し、液晶表示装置の画像着色を解消するために寄与する。本発明の光学補償シートは、前記光学異方性層を支持する支持体を含み、該支持体が偏光板の保護フィルムを兼ねることによって、または前記光学異方性層が偏光板の保護フィルムを兼ねることによって、液晶表示装置の構成部材を減少させることができる。すなわち、かかる態様にすることにより液晶表示装置の薄型化にも寄与する。以下、本態様について、作製に用いられる材料、作製方法等について、詳細に説明するが、本発明はこの態様に限定されるものではない。また、他の態様についても、以下の記載および従来公知の方法を参考にして作製できる。但し、本発明は以下に説明する光学補償シートの態様に限定されるものではない。
本発明の光学補償シートは、少なくとも一種の液晶性化合物を含有する組成物(光学異方性層形成用溶液)を硬化させて形成した光学異方性層を有する。前記組成物は、コレステリック液晶を含有することが好ましく、重合により硬化可能なように、重合性基を有する重合性コレステリック液晶を含有することがより好ましい。また、前記組成物は全体としてコレステリック相を形成し得ればよく、即ち、コレステリック液晶を含有することは必須ではない。かかる場合は、前記組成物に含有される重合開始剤またはカイラル剤等の液晶以外の添加剤がコレステリック相の形成に寄与する。また、重合性基については、液晶分子が有していることは必須ではなく、カイラル剤や他の添加剤が重合性基を有していてもよく、また1分子中に2以上の重合性基を有する架橋剤を用いてもよい。
式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に、重合性基であり、L1、L2、L3およびL4はそれぞれ独立に、単結合または二価の連結基を表すが、L3およびL4の少なくとも一方は、−O−CO−O−であることが好ましい。A1およびA2はそれぞれ独立に、炭素原子数2〜20のスペーサー基を表す。Mはメソゲン基を表す。
一般式(II):−(−W1−L5)n−W2−
式中、W1およびW2は各々独立して、二価の環状脂肪族基、二価の芳香族基または二価のヘテロ環基を表し、L5は単結合または連結基を表し、連結基の具体例としては、前記式(I)中、L1〜L4で表される基の具体例、−CH2−O−、および−O−CH2−が挙げられる。nは1、2または3を表す。
本発明の光学補償シートが有する光学異方性層は、偏光照射による光配向で面内のレターデーションを発生させることができる。この偏光照射は液晶性化合物の配向固定化における光重合プロセスと同時に行っても良いし、先に偏光照射を行ってから非偏光照射でさらに固定化を行っても良いし、非偏光照射で先に固定化してから偏光照射によって光配向を行っても良い。大きなレターデーションを得るためには偏光照射のみ、または先に偏光照射することが好ましい。偏光照射は、酸素濃度が0.5%以下の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。偏光照射は紫外線偏光照射が好ましく、特に365±10nmにピークを持つ偏光照射が好ましく、365±5nmにピークを持つ偏光照射がさらに好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜10J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。照度は20〜1000mW/cm2であることが好ましく、50〜500mW/cm2であることがより好ましく、100〜350mW/cm2であることがさらに好ましい。偏光紫外線照射において、液晶層の表面温度を70〜160℃の範囲に保つことが好ましい。偏光照射によって硬化する液晶性化合物の種類については特に制限はないが、反応性基としてエチレン不飽和基を有する液晶性化合物が好ましい。
前記光学異方性層形成用溶液中に、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物の少なくとも一種を含有させることで、液晶性化合物の分子を実質的に水平配向させることができる。尚、本発明で「水平配向」とは、棒状液晶の場合、分子長軸と透明支持体の水平面が平行であることをいい、円盤状液晶の場合、円盤状液晶性化合物のコアの円盤面と透明支持体の水平面が平行であることをいうが、厳密に平行であることを要求するものではなく、本発明では、水平面とのなす傾斜角が10度未満の配向を意味するものとする。傾斜角は0〜5度が好ましく、0〜3度がより好ましく、0〜2度がさらに好ましく、0〜1度が最も好ましい。
以下、下記一般式(1)〜(3)について、順に説明する。
本発明の光学補償シートは、透明支持体と光学異方性層との間に、配向層を有する。液晶性化合物を配向させるためには所定の高分子層を配向層として用いることが好ましい。配向層は一般に、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログループを有する層の形成、またはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコ酸、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ステアリル酸メチルなど)の累積のような手段で設けることができる。さらに電場の付与、磁場の付与または光照射により配向機能が生じる配向層も知られている。ラビング処理はポリマー層の表面を紙や布で一定方向に数回こすることにより実施することができる。
本発明では、透明支持体としては、光透過率が80%以上であるポリマーフィルムを用いることが好ましい。透明支持体の厚みは10〜500μmが好ましく、20〜200μmがより好ましく、35〜110μmが最も好ましい。
本発明の偏光板は、前述の本発明の光学補償シートと偏光膜とを有する。偏光板は、通常、偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護フィルムとからなる。偏光膜としては、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜が挙げられる。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。保護フィルムの種類は特に限定されず、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート等のセルロースエステル類、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル等を用いることができる。透明保護フィルムは、通常、ロール形態で供給され、長尺の偏光膜に対して、長手方向が一致するようにして連続して貼り合わされることが好ましい。ここで、保護フィルムの配向軸(遅相軸)はいずれの方向であってもよい。また、保護フィルムの遅相軸(配向軸)と偏光膜の吸収軸(延伸軸)の角度も特に限定はなく、偏光板の目的に応じて適宜設定できる。
本発明の液晶表示装置は、前述の本発明の光学補償シートまたは偏光板を有する。本発明の液晶表示装置の表示モードは特に限定されないが、VAモードであることが好ましい。なお、本発明の液晶表示装置は、上記表示モードだけでなくSTNモード、TNモード、OCBモードに適用した態様も有効である。
本発明において、液晶セルはVertically Alignedモード(VAモード)であることが好ましい。VAモードの液晶セルは、対向面がラビング処理された上下基板の間に誘電異方性が負の液晶性分子を封入してなる。例えば、Δn=0.0813、およびΔε=−4.6程度の液晶分子を用い、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角が約89°の液晶セルを作製することができる。この時、液晶層の厚さdは3.5μm程度にすることができる。液晶層の厚さd(nm)と、屈折率異方性Δnとの積Δn・dの大きさにより白表示時の明るさが変化する。最大の明るさを得るためには、液晶層の厚さdは2〜5μm(2000〜5000nm)の範囲であることが好ましく、Δnは、0.060〜0.085の範囲である。
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
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セルロースアセテート溶液組成(%)
────────────────────────────────────――
酢化度60.7〜61.1%のセルロースアセテート 20.5
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 1.6
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 0.8
メチレンクロライド(第1溶媒) 68.9
メタノール(第2溶媒) 5.9
1−ブタノール(第3溶媒) 2.3
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────────────────────────────────────――
レターデーション上昇剤溶液組成(%)
────────────────────────────────────――
レターデーション上昇剤(A−1) 13.7
メチレンクロライド 79.3
メタノール 7.0
────────────────────────────────────――
セルロースアセテート溶液とレターデーション上昇剤溶液を95:5の割合(質量比)で混合し、充分に攪拌してドープを調製した。
下記の組成物を調製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、配向層用塗布液AL−1として用いた。変性ポリビニルアルコールは特開平9−152509号公報記載のものを用いた。
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配向層用塗布液組成(%)
────────────────────────────────────――
変性ポリビニルアルコールAL−1−1 4.01
水 72.89
メタノール 22.83
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.20
クエン酸 0.008
クエン酸モノエチルエステル 0.029
クエン酸ジエチルエステル 0.027
クエン酸トリエチルエステル 0.006
────────────────────────────────────――
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、光学異方性層用塗布液LC−1として用いた。光重合開始剤(二色性重合開始剤)LC−1−1はEP1388538A1,page 21に記載の方法により合成した。
──────────────────────────────────――
光学異方性層用塗布液組成(%)
──────────────────────────────────――
棒状液晶(Paliocolor LC242,BASFジャパン)28.38
カイラル剤(Paliocolor LC756,BASFジャパン)
3.30
光重合開始剤(LC−1−1) 1.32
メチルエチルケトン 67.00
──────────────────────────────────――
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、光学異方性層用塗布液LC−2として用いた。
──────────────────────────────────―――
光学異方性層用塗布液組成(%)
──────────────────────────────────―――
棒状液晶(Paliocolor LC242,BASFジャパン) 28.35
カイラル剤(Paliocolor LC756,BASFジャパン) 3.30
光重合開始剤(LC−1−1) 1.32
非二色性光増感剤(カヤキュアDETX−S、日本化薬(株)製) 0.03
メチルエチルケトン 67.00
──────────────────────────────────―――
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、光学異方性層用塗布液LC−3として用いた。
──────────────────────────────────―――
光学異方性層用塗布液組成(%)
──────────────────────────────────―――
棒状液晶(Paliocolor LC242,BASFジャパン) 28.31
カイラル剤(Paliocolor LC756,BASFジャパン) 3.30
光重合開始剤(LC−1−1) 1.32
非二色性光増感剤(カヤキュアDETX−S、日本化薬(株)製) 0.07
メチルエチルケトン 67.00
──────────────────────────────────―――
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、光学異方性層用塗布液LC−4として用いた。
──────────────────────────────────―――
光学異方性層用塗布液組成(%)
──────────────────────────────────―――
棒状液晶(Paliocolor LC242,BASFジャパン) 28.22
カイラル剤(Paliocolor LC756,BASFジャパン) 3.30
光重合開始剤(LC−1−1) 1.32
非二色性光増感剤(カヤキュアDETX−S、日本化薬(株)製) 0.16
メチルエチルケトン 67.00
──────────────────────────────────―――
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、光学異方性層用塗布液LC−5として用いた。
──────────────────────────────────―――
光学異方性層用塗布液組成(%)
──────────────────────────────────―――
棒状液晶(Paliocolor LC242,BASFジャパン) 27.39
カイラル剤(Paliocolor LC756,BASFジャパン) 3.30
光重合開始剤(LC−1−1) 1.32
非二色性光重合開始剤
(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 0.99
メチルエチルケトン 67.00
──────────────────────────────────―――
UV光源として350〜400nmに強い発光スペクトルを有するD−Bulbを搭載したマイクロウェーブ発光方式の紫外線照射装置(Light Hammer 10、240W/cm、Fusion UV Systems社製)を用い、照射面から30cm離れた位置に、ワイヤグリッド偏光フィルタ(ProFlux PPL02(高透過率タイプ)、Moxtek社製)を設置して偏光UV照射装置を作製した。この装置の最大照度は400mW/cm2であった。
セルロースエステルフィルムを温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、下記に示す組成のアルカリ溶液を、バーコーターを用いて14ml/m2で塗布した。そして、110℃に加熱したスチーム式遠赤外線ヒーター((株)ノリタケカンパニー製)の下に10秒滞留させた後に、同じバーコーターを用いて純水を3ml/m2塗布した。この時のフィルム温度は40℃であった。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後、70℃の乾燥ゾーンに2秒滞留させて乾燥した。
────────────────────────────―
アルカリ溶液組成(%)
────────────────────────────―
水酸化カリウム 4.7
水 14.7
イソプロパノール 64.8
プロピレングリコール 14.8
界面活性剤(SF−1) 1.0
────────────────────────────―
透明支持体S−1の片面を前述の片面けん化処理法を使ってけん化処理した後、その上に配向層用塗布液AL−1を#14のワイヤーバーコーターで塗布し、60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥して厚さ1.0μmの配向層を形成した。続いて、形成した配向層を透明支持体の遅相軸方向に対してラビング処理した後、その上に光学異方性層用塗布液LC−1〜5を#3のワイヤーバーコーターで塗布し、膜面温度が95℃2分間加熱乾燥熟成して均一な液晶相を有する光学異方性層を形成した。さらに熟成後直ちに光学異方性層に対して、酸素濃度0.3%以下の窒素雰囲気下において、偏光UV照射装置POLUV−1を用いて偏光フィルタの透過軸が透明支持体の遅相軸方向となるようにして偏光UVを照射(照度200mW/cm2、照射量200mJ/cm2)して光学異方性層を固定化して光学補償シートA〜Eを作製した。光学異方層は固定化後、昇温しても液晶相を示さなかった。光学異方性層の厚みは1.4μmであった。
光学異方性層用塗布液LC−1を#2.1のワイヤーバーコーターで塗布した以外は前述と同様の操作を行い、光学補償シートFを作製した。光学異方性層は固定化後、昇温しても液晶相を示さなかった。光学異方性層の厚みは1.0μmであった。
KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)により、589nmにおける正面レターデーションReおよび遅相軸を回転軸として±40度サンプルを傾斜させたときのレターデーションRe(40)、Re(−40)を測定した。光学異方性層の位相差は、各角度における光学補償シート全体の位相差から各角度における支持体の位相差を差し引くことにより求めた。
液晶セルC−1およびC−2は、基板間のセルギャップを、それぞれ3μm、および3.2μmとし、負の誘電率異方性を有する液晶材料(「MLC−6608」、メルク社製)を基板間に滴下注入して封入し、基板間に液晶層を形成して作製した。液晶層のレターデーションは、それぞれ300nm、および320nmであった。なお、液晶材料は垂直配向するように配向させた。
市販のフジタックTD80UF(富士写真フイルム(株)製、Re=3nm、Rth=50nm)2枚を、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。続いて室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。これを再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。この後、水洗、中和処理を行い、この二枚のケン化済フィルムを、偏光板の保護膜として偏光膜の両面にポリビニルアルコール系接着剤を用いてロール・トゥ・ロールで貼り付けた。
偏光板P−1の片面に、市販の一軸延伸アートン(Re=81nm)からなる光学補償シートを、遅相軸が偏光板の透過軸と一致するように粘着剤で貼合し、さらにその上に、光学補償シートBまたはFを、遅相軸が偏光板の透過軸と一致するように、光学異方性層を外側にして粘着剤で貼合することにより、光学補償シートBを有する偏光板P−2および光学補償シートFを有するP−3を作製した。
(VA−LCD液晶表示装置の作製)
作製した液晶セルの上側には通常の偏光板を、下側には偏光板P−2またはP−3を、光学異方性層が液晶セル基板ガラス面になるように粘着剤で貼合して液晶表示装置を作製した。液晶セルと光学補償シート付き偏光板との組み合わせは表2に示す通りである。作製した液晶表示装置の断面概略図を、各層の光学的軸の角度関係とともに図4に示す。図4中、41は偏光層、42は透明支持体、43は配向層、44は光学異方性層(41〜44で光学補償シートが構成される)、45は偏光板保護フィルム、46は液晶セル用ガラス基板、47は液晶セル、48は粘着剤層である。また、偏光層41中の矢印は吸収軸の向きを、光学異方性層44やその支持体44及び保護フィルム45中の矢印は遅相軸の向きを示す。
作製した液晶表示装置の、黒表示における視野角特性を光輝度測定装置(トプコン社製「BM5A」)を用いて測定した。方位角45度における、輝度の入射角依存性を図5に示す。さらに目視でも評価を行った。目視評価結果を表3に示す。
12 液晶性化合物からなる光学異方性層
13 配向層
21 偏光層
22、23 保護フィルム
24 λ/4板、反射防止膜等の機能性層
31 冷陰極管
32 反射シート
33 導光板
34 輝度向上フィルム、拡散フィルム等の調光フィルム
35 液晶セル
36 下側偏光板
37 上側偏光板
41 偏光層
42 透明支持体
43 配向層
44 光学異方性層
45 偏光板保護フィルム
46 液晶セル用ガラス基板
47 液晶セル
48 粘着剤
51 一軸延伸光学補償シート
Claims (17)
- 透明支持体上に配向層と光学異方性層をこの順に有する光学補償シートであって、前記光学異方性層は、少なくとも一つの反応性基を有する液晶性化合物と、少なくとも一つの紫外域において二色性を有する重合開始剤と、カイラル剤と、前記二色性を有する重合開始剤に対して2.2〜12.1質量%の二色性を有さない光増感剤とを含む光学異方性層形成用溶液を前記配向層上に塗布乾燥して形成した液晶層を硬化することによって形成されたものであり、
前記光学異方性層の正面レターデーション(Re)が0でなく、面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)として光学補償シートの法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)として光学補償シートの法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値が実質的に等しいことを特徴とする光学補償シート。 - 前記配向層は、前記透明支持体上に、配向層形成用溶液を塗布および乾燥して形成されたものである請求項1に記載の光学補償シート。
- 前記配向層形成用溶液は、側鎖に反応性基を有する高分子、または反応性基を有するモノマーもしくはオリゴマーを含有する請求項2に記載の光学補償シート。
- 前記配向層形成用溶液が、側鎖に反応性基を有する変性ポリビニルアルコールを含有する請求項3に記載の光学補償シート。
- 前記液晶性化合物が、少なくとも一つのエチレン性不飽和基を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学補償シート。
- 前記液晶性化合物の有する反応性基は、前記配向層の反応性基と反応し得る請求項3〜5のいずれか1項に記載の光学補償シート。
- 前記透明支持体がセルロース系またはシクロオレフィン系ポリマーである請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学補償シート。
- 前記光学異方性層は、前記液晶層に偏光紫外線を照射することによって形成されたものである請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学補償シート。
- 前記偏光紫外線照射において、液晶層表面温度を70〜160℃の範囲に保つ請求項8に記載の光学補償シート。
- 前記光学異方性層が、偏光紫外線照射前にコレステリック相を呈する請求項8または9に記載の光学補償シート。
- 前記液晶性化合物が、棒状液晶性化合物である請求項1〜10のいずれか1項に記載の光学補償シート。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の光学補償シートと、偏光膜とを有する偏光板。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の光学補償シートまたは請求項12に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
- 表示モードがVAモードである請求項13に記載の液晶表示装置。
- 透明支持体上に配向層と光学異方性層をこの順に有する光学補償シートの製造方法であって、
前記光学異方性層は、少なくとも一つの反応性基を有する液晶性化合物と、少なくとも一つの紫外域において二色性を有する重合開始剤と、とカイラル剤と、前記二色性を有する重合開始剤に対して2.2〜12.1質量%の二色性を有さない光増感剤とを含む光学異方性層形成用溶液を前記配向層上に塗布乾燥して形成した液晶層を硬化する光学補償シートの製造方法。 - 透明支持体上に配向層と光学異方性層をこの順に有し、該光学異方性層が少なくとも一つの反応性基を有する液晶性化合物と少なくとも一つの紫外域において二色性を有する重合開始剤とカイラル剤とを有する光学異方性層形成用溶液を前記配向層上に塗布乾燥して形成した液晶層を硬化したものである光学補償シートにおいて、
前記光学異方性層のRe/Re(40)を、
前記光学異方性層形成用溶液に前記二色性を有する重合開始剤に対して2.2〜12.1質量%の二色性を有さない光増感剤を添加することにより、制御する方法(但し、前記Re/Re(40)は、正面レターデーション(Re)と面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)として光学補償シートの法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値(Re(40))の比率を表す)。 - 前記光学補償シートの光学異方性層のRe/Re(40)を低下させることを特徴とする請求項16に記載の方法。
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