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JP2005037938A - 液晶表示装置 - Google Patents

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JP2005037938A
JP2005037938A JP2004196808A JP2004196808A JP2005037938A JP 2005037938 A JP2005037938 A JP 2005037938A JP 2004196808 A JP2004196808 A JP 2004196808A JP 2004196808 A JP2004196808 A JP 2004196808A JP 2005037938 A JP2005037938 A JP 2005037938A
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JP2004196808A
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Junichi Hirakata
純一 平方
Kentaro Toyooka
健太郎 豊岡
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

【課題】
階調反転および視野角が著しく改善された液晶表示装置を提供する。
【解決手段】
少なくとも一方に電極を有するとともに対向配置された一対の基板と、該基板間に挟持される液晶層と、該液晶層を挟持して配置された一対の偏光板と、前記液晶層と前記一対の偏光板との間に配向した液晶性化合物から形成された光学異方性層の少なくとも一層とを有する液晶表示装置であって、前記光学異方性層の前記液晶性化合物の配向制御方向と前記一対の偏光板の一方の偏光板の吸収軸および他方の透過軸とが交差し、且つ前記液晶層のねじれ角θ(0<θ≦100°)と前記一対の偏光板の互いの吸収軸の交差角度φとがθ≦φを満足する液晶表示装置である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液晶表示装置、特に階調反転が改善された液晶表示装置に関する。
ワードプロセッサやノートパソコン、パソコン用モニターなどのOA機器、携帯端末、テレビなどに用いられる表示装置としては、CRT(cathode ray tube)がこれまで主に使用されてきた。近年、液晶表示装置が、薄型で、軽量、また消費電力が小さいことからCRTの代わりに広く使用されてきている。液晶表示装置は、液晶セルおよび偏光板からなる。偏光板は保護膜と偏光膜とからなり、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護膜にて積層して得られる。透過型液晶表示装置では、この偏光板を液晶セルの両側に取り付け、さらには一枚以上の光学補償シートを配置することもある。反射型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、一枚以上の光学補償シートおよび偏光板の順に配置する。液晶セルは、液晶分子、それを封入するための二枚の基板および液晶分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルとしては、液晶分子の配向状態の違いでON・OFF表示を行い、透過型、反射型および半透過型のいずれにも適用できる、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、STN(Super Twisted Nematic)のような表示モードが提案されている。
光学補償シートは、画像着色を解消するため、または視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用いられている。光学補償シートとしては、延伸複屈折ポリマーフィルムが従来から使用されていた。延伸複屈折フィルムからなる光学補償シートに代えて、透明支持体上に低分子あるいは高分子液晶性化合物から形成された光学異方性層を有する光学補償シートを使用することが提案されている。液晶性化合物には多様な配向形態があるため、液晶性化合物を用いることで、従来の延伸複屈折ポリマーフィルムでは得ることができない光学的性質を実現することが可能になった。さらに、光学補償シートは、偏光板の保護膜としても機能し得るので、偏光板と一体化させた部材として、液晶表示装置に組み込むことも提案されている。
光学補償シートの光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には上記のような表示モードの違いに応じて決定する。液晶性化合物を用いると、液晶セルの様々な表示モードに対応する様々な光学的性質を有する光学補償シートを製造することができる。既に、様々な表示モード用の液晶性化合物を用いた光学補償シートが種々提案されている。例えば、TNモード液晶セル用光学補償シートとして、電圧印加により液晶分子のねじれ構造を解消しつつ、基板面に傾斜した配向状態の光学補償を行い、黒表示時の斜め方向の光漏れ防止によるコントラストの視角特性を向上させる。
TNモード液晶表示装置では、電界印加により液晶層の液晶分子のねじれ構造を解消しつつ、基板面に傾斜した配向状態によって光学補償を行い、黒表示時の斜め方向の光漏れ防止によるコントラストの視角特性を向上させている。光学補償の代表例としては、位相差が等しい延伸フィルムを直交に積層し、面内リターデーションを0に近づけたフィルム組がある。該フィルム組は、上下偏光板と液晶セルとの間に各々配置される(特許文献1参照)。しかし、液晶セル中の分子は電界印加時に完全に基板に対して垂直配向せず、基板近傍では分子は平行配向している。一方、基板中央部の液晶分子は垂直配向しており、基板近傍−中央部間において、液晶分子は連続的に傾斜配向している。このような液晶セルの配向状態を光学補償するには、同様の光学性能を有する光学補償シートを用いればよい。その様な光学補償シートしては、液晶性化合物をハイブリット配向させてフィルム状にしたものがあり、前記液晶性化合物として円盤状液晶性化合物を使用したり(特許文献2参照)、棒状液晶性化合物を使用した例がある(特許文献3参照)。
しかし、円盤状液晶化合物を均一にハイブリッド配向させた光学補償シートを用いても、液晶セルを問題なく完全に光学的に補償することは非常に難しい。例えば、TNモード液晶セルでは斜め方向から観察したときに、各階調での透過率が反転する階調反転現象が生じる。階調反転を生じさせないために、液晶セル中の液晶分子のチルト角範囲を制限する方法が知られているが、該方法では不十分である(非特許文献1参照)。
特開平4−162018号公報 特開平6−214116号公報 特開平10−186356号公報 TECHNICAL REPORT OF IEICE. EID2001−108 P.47−52
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、簡易な構成で、階調反転が著しく改善された液晶表示装置、特にTN型液晶表示装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
(1) 少なくとも一方に電極を有するとともに対向配置された一対の基板と、該基板間に挟持される液晶層と、該液晶層を挟持して配置された一対の偏光板と、前記液晶層と前記一対の偏光板との間に配向した液晶性化合物から形成された光学異方性層の少なくとも一層とを有する液晶表示装置であって、前記光学異方性層の前記液晶性化合物の配向制御方向と前記一対の偏光板の一方の偏光板の吸収軸および他方の透過軸とが交差し、且つ前記液晶層のねじれ角θ(0<θ≦100°)と前記一対の偏光板の互いの吸収軸の交差角度φとがθ≦φを満足する液晶表示装置。
(2) 前記光学異方性層の前記液晶性化合物の配向制御方向と、前記一対の偏光板のうち前記光学異方性層に近い側に位置する偏光板の吸収軸および透過軸とが交差している(1)の液晶表示装置。
(3) 前記液晶層の両側に前記光学異方性層を有し、前記光学異方性層それぞれにおける前記液晶性化合物の配向制御方向が角度ηで交差し、且つη=θである(1)又は(2)の液晶表示装置。
(4) 前記一対の偏光板の互いの吸収軸の交差角度φが90°以上135°以下である(1)または(2)の液晶表示装置。
(5) 電界の非印加時において、液晶層がねじれ角θを維持するとともに、電界の非印加時において、前記光学異方性層の液晶性化合物の配向制御方向と、該光学異方性層に近い側の前記基板界面の液晶層中の液晶性化合物の配向方向とが、実質的に平行である(1)〜(4)のいずれかに記載の液晶表示装置。
なお、本明細書において、厳密な角度との誤差は、4゜未満であるのが好ましく、3゜未満であることがより好ましい。また、角度について、「+」は反時計周り方向を意味し、「−」は時計周り方向を意味するものとする。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。また、「可視光領域」とは、380nm〜780nmのことをいう。さらに屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。さらに「光学異方性層の液晶性化合物の配向制御方向」とは、配向膜に施されたラビング処理の方向等、光学異方性層との界面において、液晶性化合物を所定の方向に配向させるために配向膜または支持体に施される処理の方向をいう。
本発明の液晶表示装置では、上下偏光板の吸収軸のなす角度φを、液晶セルの液晶層のねじれ角θ以上にすることによって、階調反転が生じるのを防止している。さらに、θとφとが等しくないことに起因して正面から見た際にレターデーションの残留が生じるのを、所定の方向に配向制御された液晶性化合物からなる光学異方性層によって光学補償している。その結果、階調反転が著しく改善されているとともに、広い視野角においてコントラスト比の高い画像を表示し得る。
発明の実施の形態
以下、本発明の液晶表示装置の一実施形態の構成部材について順次説明する。図1は、本発明の液晶表示装置の一実施形態の模式図である。図1において、液晶表示装置は、液晶セル(上側基板5および下側基板8と、これらに挟持され、液晶分子7から形成される液晶層とからなる)と、液晶セルの両側に配置された一対の偏光板1および12とを有する。偏光板は偏光膜およびそれを挟持する一対の透明保護膜によって構成されているが、図1では、一体化された偏光板として示し、詳細構造は省略する。さらに、液晶セルと一対の偏光板1および12との間には、円盤状液晶性化合物からなる光学異方性層3および10が、液晶セルを中心としてそれぞれ対照的位置に配置されている。なお、本発明では、一対の偏光板のうちいずれか一方と液晶セルとの間のみに、光学異方性層を配置してもよい。
光学異方性層3および10は、独立の部材である光学補償シートとして液晶表示装置に組み込まれてもよいし、また、偏光板1および12と一体化された部材として液晶表示装置に組み込まれていてもよい。例えば、光学異方性層3および10のそれぞれの支持体が偏光板1および12それぞれの保護膜を兼ね、偏光板1および12のそれぞれと、光学異方性層3および10のそれぞれとが一体的に積層された構造体として液晶表示装置に組み込むこともできる。即ち、本発明では、透明保護膜、偏光膜、透明保護膜(透明支持体を兼用)および光学異方性層の順序で積層した一体型偏光板を用いることができる。この一体型偏光板は、偏光機能を有するのみならず、視野角の拡大、表示ムラの軽減に寄与する。さらに、一体型偏光板は光学補償能を有する光学異方性層を備えているので、簡易な構成で液晶表示装置を正確に光学補償することができる。液晶表示装置内では、装置の外側(液晶セルから遠い側)から、透明保護膜、偏光膜、透明支持体および光学異方性層の順序で積層することが好ましい。
次に、本発明の液晶表示装置における、偏光板、液晶層および光学異方性層それぞれの関係について、図1を参照しながら詳細に説明する。[液晶表示装置]液晶セルは、上側基板5および下側基板8と、これらに挟持され、液晶分子7から形成される液晶層とからなる。基板5および8の液晶分子7に接触する表面(以下、「内面」という場合がある)には、配向膜(不図示)が形成されていて、配向膜上に施されたラビング処理等により、電圧無印加状態もしくは低印加状態における液晶分子7の配向が制御されている。また、基板5および8の内面には、液晶分子7からなる液晶層に電圧を印加可能な透明電極(不図示)が形成されている。図1に示すTNモード液晶表示装置では、電極に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶セル中の液晶分子7は基板面に対して略平行に配向し、その配向方向は上下基板の間でθ(0<θ≦100)°、例えば70°捩れている。印加電圧を大きくしていくと、液晶分子は捩れを解消しながら基板面に対して垂直な方向に次第に立っていく。従来のTNモード液晶表示装置では、液晶層のねじれ角が、偏光板の吸収軸の交差角と等しくなる様に設計されていて、即ちθ=φ=90°であった。本発明者の鋭意検討により、光学異方性層の液晶性化合物の配向制御方向と一対の偏光板の光学的軸(吸収軸及び透過軸)とが所定の関係を満足するとともに、液晶層のねじれ角θを偏光板の吸収軸の交差角φ以下とし(θ≦φ)、電圧印加時の残留レターデーションを所定の方向に配向している光学異方性層で補償することにより階調反転を改良し、視野角の表示品位を著しく改良できることが分かった。
本態様では、下方向階調反転が生じるのを解決するため、液晶分子7のねじれ角θが、偏光板1の吸収軸2と偏光板12の吸収軸13との交差角φ以下に設計されている。即ち、θ≦φを満足する。ここで、偏光板の吸収軸の交差角度とは、液晶層のねじれ角を二等分する方向を含む方の角度である。本発明では、偏光板の吸収軸2と13との交差角度は、90°以上135°以下であるのが好ましい。また、液晶層のねじれ角(ツイスト角)は0〜100°であるが、0〜90°が好ましく、20〜85°がさらに好ましく30°〜80°が最も好ましい。こられの範囲では白表示輝度が高く、視野角の広い液晶表示装置が得られる。さらに、上下偏光板の吸収軸の交差角φとねじれ角θとの差(φ−θ)は、1°〜70°であるのが好ましく、5°〜60°であるのがより好ましく、10°〜50°であるのがさらに好ましい。差が上記範囲であると、下方向階調反転が生じるのを防止することができる。
本発明で用いられる液晶表示装置の表示モードは特に限定されないが、TNモードが好適に用いられる。TNモードでは、液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dは、0.2〜1.2μmが好ましく、0.2〜0.5μmがさらに好ましい。なお、これらの最適値は透過モードの値であり、反射モードでは液晶セル内の光路が2倍になることから、最適Δndの値は上記の1/2程度の値になる。また、ツイスト角は30°〜70°が最適値となる。なお、本発明で用いられる液晶表示装置は、上記表示モードだけでなく、VAモード、ねじれOCBモードに適用した態様も有効である。
液晶セル中の液晶材料は、ネマチック液晶であれば、特に限定されるものではない。誘電率異方性△εは、その値が大きいほうが、駆動電圧が低減できる。屈折率異方性△nは小さいほうが、液晶層の厚み(ギャップ)を厚くでき、液晶の封入時間が短縮され、かつギャップばらつきを少なくすることができる。また、Δnが大きい方がセルギャップを小さくでき、高速応答が可能となる。
[光学異方性層]
本態様では、上側光学異方性層3における液晶性化合物の配向制御方向4と、偏光板1の吸収軸2および偏光板12の透過軸(不図示。但し、吸収軸13と直交する軸)とが交差する様に設計されている。さらに、上側光学異方性層3における液晶性化合物の配向制御方向4と、偏光板1の吸収軸2および偏光板1の透過軸(不図示。但し、吸収軸2と直交する軸)とが交差する様に設計されているのが好ましい。また、下側光学異方性層10における液晶性化合物の配向制御方向11と、偏光板12の吸収軸13および偏光板1の透過軸(不図示。但し、吸収軸2と直交する軸)とが交差する様に設計されている。さらに、下側光学異方性層10における液晶性化合物の配向制御方向11と、偏光板12の吸収軸13および偏光板12の透過軸(不図示。但し、吸収軸13と直交する軸)とが交差する様に設計されているのが好ましい。本発明において、「交差する」とは、平行でないことをいう。上記した様に、本発明においては、液晶層7の液晶性分子のねじれ角θと上下偏光板の吸収軸の交差角φとが等しくないので、TNモードの態様等では、黒表示時に立ち切っていない液晶分子に起因して、正面から見た時にレターデーションが残留する。本態様では、光学異方性層3および10が、この残留レターデーションを光学補償する。正確に光学補償するためには、円盤状液晶性化合物からなる光学異方性層が好ましい。より正確に補償するためには、上側光学異方性層3の配向制御方向4が、液晶セルの液晶層7の上基板5側の配向制御方向6に対して平行で且つ逆向き(例えば、互いのラビング方向が平行で且つ逆方向)になるように貼り合わせることが好ましい。下側光学異方性層10の配向制御方向11と、下基板8側の配向制御方向9の好ましい関係についても同様である。従って、上側光学異方性層3および下側光学異方性層10の配向制御方向の交差角(図1中4と11とのなす角)は、液晶層7のねじれ角θと等しいことが好ましい。即ち、液晶層7のねじれ角θ(0<θ≦100°)と、上下偏光板の吸収軸2および13の交差角度φと、上下光学異方性層それぞれにおける前記液晶性化合物の配向制御方向4および11のなす角度ηとは、η=θ<φを満足しているのが好ましい。なお、光学異方性層における配向制御方向の交差角は、液晶層のねじれ角を二等分する方向を含む方の角度である。
光学異方性層における液晶性化合物の配向制御方向は、例えばポリイミド等の配向膜上をラビング処理することにより制御できる。また、円盤状液晶性化合物からなる光学異方性層一層では完全に補償できない場合は、さらに光学異方性層を積層してもよい。
本発明において、光学異方性層の波長λにおけるレターデーション値をRe(λ)とした場合、450nmで測定した値Re(450)と650nmで測定した値Re(650)との比{Re(650)}/{Re(450)}は、0.8〜1.2であるのが好ましい。この範囲に設定することで、色味を著しく改善することができる。
本発明の液晶表示装置は、CRTと同等の視野角特性を得るためには、コントラスト10以上の範囲が全方位70°以上であることが好ましい。また、テレビやノートパソコン、パソコン用モニターにおいては、下方向から見る機会が少ないことから、下方向の階調反転角度としては50°以上であることが好ましい。
本発明の液晶表示装置は、図1に示す構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶セルと偏光膜との間にカラーフィルターを配置してもよい。また、透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置することができる。また、本発明の液晶表示装置は、反射型であってもよく、かかる場合は、偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を設置する。もちろん前記光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。さらに本発明の液晶表示装置は、透過と反射のモードの両立を図るため、表示装置の1画素の中で反射部と透過部を設けた半透過型であってもよい。
本発明の液晶表示装置には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。本発明は、TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置に適用した態様が特に有効である。勿論、時分割駆動と呼ばれるSTN型に代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置に適用した態様も有効である。
以下、本発明の液晶表示装置に使用可能な種々の部材に用いられる材料、その製造方法等について、詳細に説明する。[レターデーション]本発明では、光学異方性層の支持体、偏光膜の保護膜等にフィルムを用いることができるが、該フィルムのReレターデーション値およびRthレターデーション値は、それぞれ、下記数式(I)および(II)で定義される。
数式(I):Re=(nx−ny)×d
数式(II):Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
数式(I)および(II)において、nxはフィルム面内の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率である。数式(I)および(II)において、nyはフィルム面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率である。数式(II)において、nzはフィルムの厚み方向の屈折率である。数式(I)および(II)において、dは単位をnmとするフィルムの厚さである。
次に、偏光板に一体的に形成される光学異方性層、または光学補償シートとして別途組み込まれる光学異方性層の作製方法、用いられる材料等について説明する。
[液晶性化合物特性の算出方法]
本発明において、光学異方性層における液晶性化合物の配向膜近傍の傾斜角、空気界面の傾斜角および平均傾斜角は、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、観察角度を変えてレターデーションを測定し、屈折率楕円体モデルと仮想し、「Designing Concepts of the Discotic Negative Birefringence Compensation Films SID98 DIGEST」に記載されている手法で算出するものである。また、液晶化合物層のRe(0)(正面から測定したレターデーション)、Re(40)(シート法線から40°方向から測定したレターデーション)、およびRe(−40)(シート法線から−40°方向から測定したレターデーション)は、エリプソメーターを用いて観察角度を変えてレターデーションを測定した値である。
[液晶性化合物からなる光学異方性層]
本発明では、光学異方性層の少なくとも一層に、配向した液晶性化合物からなる光学異方性層を用いる。本発明では、光学異方性層は、光学補償シートとして機能する。液晶性化合物からなる光学異方性層と併用して、以外に、延伸複屈折ポリマーフィルムを用いることもできる。例えば、偏光板の保護膜として、複屈折性フィルムを用いることで、光学補償機能を付加することもできる。低分子または高分子液晶性化合物から形成された光学異方性層は、液晶性化合物が多様な配向形態があるため、従来の延伸複屈折ポリマーフィルムでは得ることができない光学的性質を実現することが可能である。液晶性化合物にはその形状から、棒状タイプと円盤状タイプに分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがある。
本発明の液晶表示装置における光学異方性層は、棒状液晶性化合物または円盤状液晶性化合物から形成するのが好ましい。重合性基を有する棒状液晶性化合物または円盤状液晶性化合物を用いて形成するのがより好ましい。光学異方性層の厚さは、0.1μm〜20μmであることが好ましく、0.5μm〜10μmであることがさらに好ましい。
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。上記高分子液晶性化合物は、低分子の重合性基を有する棒状液晶性化合物が重合した高分子化合物である。特に好ましく用いられる上記低分子の重合性基を有する棒状液晶性化合物としては、下記一般式(I)で表される棒状液晶性化合物である。
一般式(I):Q1−L1−A1−L3−M−L4−A2−L2−Q2式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に、重合性基であり、L1、L2、L3およびL4はそれぞれ独立に、単結合または二価の連結基を表すが、L2およびL3の少なくとも一方は、−O−CO−O−を表す。A1およびA2はそれぞれ独立に、炭素原子数2〜20のスペーサー基を表す。Mはメソゲン基を表す。
以下に、上記一般式(I)で表される重合性基を有する棒状液晶性化合物についてさらに詳細に説明する。式中、Q1およびQ2は、それぞれ独立に、重合性基である。重合性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。換言すれば、重合性基は付加重合反応または縮合重合反応が可能な重合性基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
Figure 2005037938
1、L2、L3およびL4で表される二価の連結基としては、−O−、−S−、−CO−、−NR2−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR2−、−NR2−CO−、−O−CO−、−O−CO−NR2−、−NR2−CO−O−、およびNR2−CO−NR2−からなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R2は炭素原子数が1〜7のアルキル基または水素原子である。この場合、L3およびL4の少なくとも一方は、−O−CO−O−(カーボネート基)である。前記式(I)中、Q1−L1およびQ2−L2−は、CH2=CH−CO−O−、CH2=C(CH3)−CO−O−およびCH2=C(Cl)−CO−O−CO−O−が好ましく、CH2=CH−CO−O−が最も好ましい。
1およびA2は、炭素原子数2〜20を有するスペーサー基を表す。炭素原子数2〜12の脂肪族基が好ましく、特にアルキレン基が好ましい。スペーサー基は鎖状であることが好ましく、隣接していない酸素原子または硫黄原子を含んでいてもよい。また、前記スペーサー基は、置換基を有していてもよく、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)、シアノ基、メチル基、エチル基が置換していてもよい。
Mで表されるメソゲン基としては、すべての公知のメソゲン基が挙げられる。特に下記一般式(II)で表される基が好ましい。一般式(II):−(−W1−L5n−W2−式中、W1およびW2は各々独立して、二価の環状脂肪族基、二価の芳香族基または二価のヘテロ環基を表し、L5は単結合または連結基を表し、連結基の具体例としては、前記式(I)中、L1〜L4で表される基の具体例、−CH2−O−、および−O−CH2−が挙げられる。nは1、2または3を表す。
1およびW2としては、1,4−シクロヘキサンジイル、1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5ジイル、1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル、1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイルが挙げられる。1,4−シクロヘキサンジイルの場合、トランス体およびシス体の構造異性体があるが、どちらの異性体であってもよく、任意の割合の混合物でもよい。トランス体であることがより好ましい。W1およびW2は、それぞれ置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、シアノ基、炭素原子数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基など)、炭素原子数1〜10のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基など)、炭素原子数1〜10のアシル基(ホルミル基、アセチル基など)、炭素原子数1〜10のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、炭素原子数1〜10のアシルオキシ基(アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基など)、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基などが挙げられる。
前記一般式(II)で表されるメソゲン基の基本骨格で好ましいものを、以下に例示する。これらに上記置換基が置換していてもよい。
Figure 2005037938
以下に、前記一般式(I)で表される化合物の例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、一般式(I)で表される化合物は、特表平11−513019号公報に記載の方法で合成することができる。
Figure 2005037938
Figure 2005037938
Figure 2005037938
本発明に用いられる光学異方性層のうち少なくとも一層は、円盤状液晶性化合物(以下、「円盤状化合物」という場合もある)を配向させることによって作製することが好ましい。円盤状液晶性化合物は、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載されている。円盤状液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。
円盤状液晶性化合物は、重合により固定可能な様に、重合性基を有するのが好ましい。例えば、円盤状液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させた構造が考えられるが、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に連結基を有する構造が好ましい。即ち、重合性基を有する円盤状液晶性化合物は、下記一般式(III)で表わされる化合物であることが好ましい。一般式(III): D(−L−P)n式中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、nは4〜12の整数である。
前記式(III)中、円盤状コア(D)、二価の連結基(L)および重合性基(P)の好ましい具体例は、それぞれ、特開2001−4837号公報に記載の(D1)〜(D15)、(L1)〜(L25)、(P1)〜(P18)が挙げられ、同公報に記載される円盤状コア(D)、二価の連結基(L)および重合性基(P)に関する内容をここに好ましく適用することができる。
重合性基を有する液晶性化合物を用いる場合、水平配向、垂直配向、傾斜配向、傾斜角が厚み方向に徐々に変化したハイブリッド配向、およびねじれ配向のいずれの配向状態で固定されていてもよい。円盤状液晶性化合物を用いる場合、円盤状構造単位の面の平均が、セルロースアセテートフィルム表面に対して傾き、且つ円盤状構造単位の面の平均とセルロースアセテートフィルム表面とのなす角度が、光学異方性層の深さ方向に変化していることが好ましい。円盤状構造単位の面の平均角度(傾斜角)は、一般に、光学異方性層の深さ方向でかつ光学異方性層の底面からの距離の増加と共に増加または減少している。傾斜角は、距離の増加と共に増加することが好ましい。さらに、傾斜角の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、および増加および減少を含む間欠的変化などを挙げることができる。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。傾斜角は、傾斜角が変化しない領域を含んでいても、全体として増加または減少していることが好ましい。さらに、傾斜角は全体として増加していることが好ましく、特に連続的に変化することが好ましい。また、Re(0)、Re(40)およびRe(−40)は0〜250nmであることが好ましい。
支持体側の円盤状単位の傾斜角は、一般に円盤状液晶性化合物あるいは配向膜の材料を選択することにより、またはラビング処理方法を選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)の円盤状単位の傾斜角は、一般に円盤状液晶性化合物または円盤状液晶性化合物とともに使用する他の化合物を選択することにより調整することができる。円盤状液晶性化合物とともに使用する化合物の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマーおよびポリマーなどを挙げることができる。更に、傾斜角の変化の程度も、上記と同様の選択により調整できる。
液晶性化合物からなる光学異方性層を2層以上積層する場合、液晶性化合物の組み合わせについては特に限定されず、全て円盤状液晶性化合物からなる層の積層体、全て棒状性液晶性化合物からなる層の積層体、円盤状液晶性化合物からなる層と棒状性液晶性化合物からなる層の積層体であってもよいが、少なくとも一層は円盤状液晶性化合物からなることが好ましい。また、各層の配向状態の組み合わせも特に限定されず、同じ配向状態の光学異方性層を積層してもよいし、異なる配向状態の光学異方性層を積層してもよい。また、液晶セルに対して上側の光学異方性層と下側の光学異方性層は同一のものを用いてもよいし、異なっていてもよい。
光学異方性層は、液晶性化合物および下記の重合開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成することが好ましい。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
[液晶性化合物の配向状態の固定化]
配向させた液晶性化合物は、配向状態を維持して固定することが好ましい。固定化は、液晶性化合物に導入した重合性基の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれるが、光重合反応がより好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
[配向膜]
液晶性化合物を配向させるためには配向膜を用いることが好ましい。配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログループを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコ酸、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ステアリル酸メチルなど)の累積のような手段で設けることができる。さらに電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により配向機能が生じる配向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により形成する配向膜がとくに好ましい。ラビング処理はポリマー層の表面を紙や布で一定方向に数回こすることにより実施する。
配向膜に使用するポリマーの種類は、液晶性化合物の配向(特に平均傾斜角)に応じて決定することができる。例えば、液晶性化合物を水平に配向させるためには配向膜の表面エネルギーを低下させないポリマー(通常の配向用ポリマー)を用いる。具体的なポリマーの種類については液晶セルまたは光学補償シートについて種々の文献に記載がある。いずれの配向膜においても、液晶化合物と透明支持体の密着性を改善する目的で、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、側鎖に重合性基を有する繰り返し単位を導入するか、あるいは、環状基の置換基として導入することができる。界面で液晶性化合物と化学結合を形成する配向膜を用いることがより好ましく、かかる配向膜としては特開平9−152509号公報に記載されている。配向膜の厚さは0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがさらに好ましい。
[支持体]
光学異方性層は、支持体上に形成された配向膜上で作製するのが好ましい。液晶性化合物を仮支持体上で配向させ、その配向を固定化した後、透明支持体に転写することもできる。液晶性化合物の配向に使用する支持体(仮支持体)については、特に制限はない。光学異方性層の支持体(使用形態における支持体)としては、光透過率が80%以上であるポリマーフィルムを用いることが好ましい。フィルムを構成するポリマーの例には、セルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースジアセテート)、ポリオレフィン(例、ノルボルネン系ポリマー)、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例、ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネートおよびポリスルホンが含まれる。市販のポリマー(ノルボルネン系ポリマーでは、アートン(JSR製)、ゼオノア(日本ゼオン製)など)を用いてもよい。セルロースエステルが好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)または4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。セルロースの低級脂肪酸エステルのなかでは、セルロースアセテートであることが最も好ましい。セルロースアセテートの酢化度は、55.0〜62.5%であることが好ましく、57.0〜62.0%であることがさらに好ましい。
セルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、セルロースエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMm/Mn(Mmは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。Mm/Mnの値は、1.0〜5.0であることが好ましく、1.3〜3.0であることがさらに好ましく、1.4〜2.0であることが最も好ましい。
セルロースエステルでは、セルロースの2位、3位および6位のヒドロキシル基が均等に置換されるのでなく、6位の置換度が小さくなる傾向がある。本発明において、セルロースエステルの6位置換度は、2位および3位と同程度またはそれ以上であることが好ましい。2位、3位および6位の置換度の合計に対する6位置換度の割合は、30〜40%であることが好ましい。6位置換度の割合は、31%以上、特に32%以上であることが好ましい。6位の置換度は、0.88以上であることが好ましい。セルロースの6位は、アセチル以外に炭素数3以上のアシル基(例、プロピオニル、ブチリル、バレロイル、ベンゾイル、アクリロイル)で置換されていてもよい。各位の置換度は、NMRによって測定することができる。6位置換度が高いセルロースエステルは、特開平11−5851号公報の段落番号0043〜0044に記載の合成例1、段落番号0048〜0049に記載の合成例2、および段落番号0051〜0052に記載の合成例3を参照して合成することができる。
セルロースエステルフィルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが最も好ましい。
セルロースエステルフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を越えると、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。さらに、ライトパイピング防止に、極少量の染料を添加してもよい。透過率の観点からは、波長420nmの光の透過率が50%以上となるように、種類および量を調整することが好ましい。染料の添加量としては、0.01ppm〜1ppmであることが好ましい。
セルロースエステルフィルムには、レターデーション値を制御するため、レターデーション上昇剤を添加することができる。セルロースエステルフィルムのReレターデーション値は0〜70nmの範囲に、そして、Rthレターデーション値は10〜400nmの範囲に調節することが好ましい。なお、セルロースエステルフィルムの複屈折率(Δn:nx−ny)は、0〜0.02の範囲にあることが好ましい。また、セルロースエステルフィルムの厚み方向の複屈折率{(nx+ny)/2−nz}は、0〜0.04の範囲にあることが好ましい。
レターデーション上昇剤は、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物であることが好ましい。レターデーション上昇剤は、セルロースエステル100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用することが好ましく、0.05〜15質量部の範囲で使用することがさらに好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することが最も好ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環は、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。
芳香族性ヘテロ環は、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ましく、ベンゼン環および1,3,5−トリアジン環がさらに好ましい。芳香族化合物は、少なくとも一つの1,3,5−トリアジン環を有することが特に好ましい。
芳香族化合物が有する芳香族環の数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましく、2〜6であることが最も好ましい。二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。レターデーション上昇剤についてはWO01/88574号、WO00/2619号の各パンフレット、特開2000−111914号、同2000−275434号の各公報に記載がある。
セルロースエステルフィルムは、セルロースエステルおよび他の成分を含む溶液をドープとして用いて、ソルベントキャスト法により製造することができる。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40質量%となるように濃度を調整することが好ましい。固形分量は18〜35質量%であることがさらに好ましい。ドープを2層以上流延することもできる。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。そして、得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100〜160℃で逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させる方法(特公平5−17844号公報記載)を採用できる。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。複数のセルロースエステル溶液を流延する場合、支持体の進行方向に間隔をおいて設けた複数の流延口からセルロースエステルを含む溶液をそれぞれ流延させて、それらを積層させながらフィルムを作製してもよい(特開昭61−158414号、特開平1−122419号、および同11−198285号の各公報記載)。2つの流延口からセルロースエステル溶液を流延することによりフィルムを作製することもできる(特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、同61−947245号、同61−104813号、同61−158413号および特開平6−134933号の各公報に記載)。高粘度セルロースエステル溶液の流れを低粘度のセルロースエステル溶液で包み込み、高粘度および低粘度のセルロースエステル溶液を同時に押出すセルロースエステルフィルムの流延方法(特開昭56−162617号公報記載)を採用してもよい。
セルロースエステルフィルムは、さらに延伸処理によりレターデーションを調整することができる。延伸倍率は、3〜100%の範囲にあることが好ましい。テンター延伸が好ましい。遅相軸を高精度に制御するために、左右のテンタークリップ速度および離脱タイミングの差をできる限り小さくすることが好ましい。延伸処理についてはWO01/88574号パンフレットの37頁8行〜38頁8行目に記載がある。
セルロースエステルフィルムは、表面処理を施すことが好ましい。表面処理には、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理および紫外線照射処理が挙げられる。フィルムの平面性を保持する観点から、表面処理においてセルロースエステルフィルムの温度をTg(ガラス転移温度)以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
セルロースエステルフィルムの表面処理は、酸処理またはアルカリ処理、すなわちセルロースエステルに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。アルカリ処理が最も好ましい。以下、アルカリ鹸化処理を例に、具体的に説明する。アルカリ処理は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。アルカリ溶液は、水酸化カリウム溶液および水酸化ナトリウム溶液が好ましい。水酸化物イオンの規定濃度は、0.1〜3.0Nの範囲にあることが好ましく、0.5〜2.0Nの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
表面処理後のフィルム表面エネルギーは、55mN/m以上であることが好ましく、60〜75mN/mの範囲にあることが更に好ましい。固体の表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社 1989.12.10発行)に記載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。前記セルロースエステルフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液をセルロースエステルフィルムに滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出できる。セルロースエステルフィルムに、下塗り層(特開平7−333433号公報記載)を設けてもよい。
[偏光板]
本発明の液晶表示装置に用いる偏光板は、偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜(以下、「保護フィルム」とも呼称する)とからなる。一対の保護膜のうち少なくとも一方が、上記光学異方性層の支持体を兼ねていてもよい。保護膜の種類は特に限定されず、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート等のセルロースエステル類、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル等を用いることができる。市販のポリマー(ノルボルネン系ポリマーでは、アートン(JSR製)、ゼオノア(日本ゼオン製)など)を用いてもよい。偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜が挙げられる。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
また、偏光板の生産性には保護膜の透湿性が重要であることが本発明者の研究によりわかった。偏光膜と保護膜は水系接着剤で貼り合わせてもよい。水系接着剤中の接着剤溶剤は、保護膜中を拡散することで乾燥される。保護膜の透湿性が高ければ、高いほど乾燥は早くなり、生産性は向上するが、高くなりすぎると、液晶表示装置の使用環境(高湿下)により、水分が偏光膜中に入ることで偏光能が低下する。光学補償シートの透湿性は、ポリマーフィルム(および重合性液晶化合物)の厚み、自由体積、もしくは親疎水性などにより決定される。偏光板の保護膜の透湿性は、100〜1000(g/m2)/24hrsの範囲にあることが好ましく、300〜700(g/m2)/24hrsの範囲にあることが更に好ましい。
上記光学異方性層の支持体として説明したセルロースアセテートフィルムの厚さは、製膜により作製する場合は、リップ流量とラインスピード、または延伸もしくは圧縮により、調整することができる。使用する主素材により透湿性が異なるので、厚み調整により、偏光板の保護膜としての好ましい透湿性の範囲にすることが可能である。また、前記セルロースアセテートフィルムの自由体積は、製膜により作製する場合は、乾燥温度と時間により調整することができる。この場合もまた、使用する主素材により透湿性が異なるので、自由体積調整により保護膜として好ましい透湿性の範囲にすることが可能である。セルロースアセテートフィルムの親疎水性は、添加剤により調整することができる。自由体積中に親水的添加剤を添加することで透湿性は高くなり、逆に疎水性添加剤を添加することで透湿性を低くすることができる。この様に種々の方法により、セルロースアセテートフィルムの透湿性を調整することで、保護膜として好ましい透湿性の範囲とすることができ、偏光板の保護膜が光学異方性層の支持体を兼ねることができ、光学補償能を有する偏光板を安価に高い生産性で製造することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
[実施例1]
図1に示す構成の液晶表示装置を作製した。即ち、観察方向(上)から上側偏光板1、上側光学異方性層3、液晶セル(上基板5、液晶層7、下基板8)、下側光学異方性層10および下側偏光板12を積層し、さらに下側偏光板12の下側には冷陰極蛍光灯を用いたバックライト(不図示)を配置した。
以下に、用いた部材それぞれの作製方法を説明する。
<液晶セルの作製>
液晶セルは、セルギャップ(d)4μmとし、正の誘電率異方層を持つ液晶材料を基板間に滴下注入で封入し、液晶層7のΔndを350nmとした(Δnは液晶材料の屈折率異方性)。また、液晶セル用液晶層7のねじれ角は70°であり、後で上下偏光板1、12と貼り合わせる際に、液晶セルの上基板5のラビング方向6に対して上側偏光板1の吸収軸2を−10°、液晶セルの下基板8のラビング方向9に対して下側偏光板12の吸収軸13を10°になるようにした。すなわち、偏光板の吸収軸2および13の交差角度を90°とした。
<セルロースアセテートフィルムの作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
セルロースアセテート溶液組成
酢化度60.7〜61.1%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 336質量部
メタノール(第2溶媒) 29質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
別のミキシングタンクに、下記のレターデーション上昇剤16質量部、メチレンクロライド92質量部およびメタノール8質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。セルロースアセテート溶液474質量部にレターデーション上昇剤溶液25質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、6.0質量部であった。
Figure 2005037938
得られたドープを、バンド延伸機を用いて流延した。バンド上での膜面温度が40℃となってから、70℃の温風で1分間乾燥し、バンドからフィルムを140℃の乾燥風で10分間乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%のセルロースアセテートフィルム(厚さ:80μm)を作製した。作製したセルロースアセテートフィルム(透明支持体、透明保護膜)について、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長546nmにおけるReレターデーション値およびRthレターデーション値を測定した。Reは8nm、Rthは78nmであった。作製したセルロースアセテートフィルムを2.0mol/Lの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗し、その後乾燥させた。こうして、透明保護膜用セルロースアセテートフィルムを作製した。
<光学異方性層用の配向膜の作製>
このセルロースアセテートフィルム上に、下記の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28mL/m2塗布した。60℃の温風で60秒間、さらに90℃の温風で150秒間乾燥した。次に、形成した膜に、セルロースアセテートフィルムの面内遅相軸(流延方向と平行方向)に対して10°の方向にラビング処理を実施した。配向膜塗布液組成
下記の変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 1.0質量部
Figure 2005037938
<光学異方性層の作製>
配向膜上に、下記の円盤状(液晶性)化合物91.0g、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)9.0g、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)2.0g、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.5g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)3.0g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.0gを、207gのメチルエチルケトンに溶解して塗布液を調製した。この塗布液を、#3.6のワイヤーバーで6.2cc/m2塗布した。これを130℃の恒温ゾーンで2分間加熱し、円盤状化合物を配向させた。次に、60℃の雰囲気下で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し円盤状化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層を形成し、光学補償シートを作製した。
Figure 2005037938
作製した光学異方性層において、円盤状液晶性化合物は、円盤面と透明保護膜とのなす角度(傾斜角)が、透明保護膜から空気界面に向かって増加し、11°〜66°でハイブリッド配向していた。また、光学異方性層はシュリーレン等の欠陥がない均一な膜であった。傾斜角はエリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、観察角度を変えてレターデーションを測定し、屈折率楕円体モデルと仮想し、「Designing Concepts of the Discotic Negative Birefringence Compensation Films SID98 DIGEST」に記載されている手法で算出した。
<一体型偏光板の作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。この偏光膜に、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記で作製した光学異方性層と支持体との積層体を、該支持体面が偏光膜側にして、偏光膜の片側面に貼り付けた。また、厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルム(TD−80U、富士写真フィルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の片面に貼り付けた。この様にして、上下の一体型偏光板をそれぞれ作製した。貼り合わせる際は、偏光膜の吸収軸と光学異方性層の支持体の遅相軸(流延方向と平行方向)とが平行になるようにした。即ち、偏光膜の吸収軸が、偏光板側から見たときに、光学異方性層の液晶性化合物の配向制御方向に対して+10°で交差している偏光板とを作製した。従って、図1において、上側光学異方性層3の配向制御方向4と、下側光学異方性層の配向制御方向11とは、70°で交差していて、液晶層のねじれ角θと同一であった。また、隣接する液晶層と光学異方性層のラビング方向(4と6、および9と11)は逆向きになるように貼り合せた。図2(a)に、上下基板の吸収軸2および13、液晶セル上下基板の配向制御方向6および9、ならびに上下光学異方性層の配向制御方向4および11を、同一平面上に投影した場合の互いの関係を、交差角度とともに模式的に示す。なお、4,6,9および11について配向制御方向に添えて示した矢印の方向は、それぞれラビングの方向を示したものである。
<作製した液晶表示装置の光学測定>
このように作製した液晶表示装置に60Hzの矩形波電圧を印加した。白表示1.5V、黒表示3Vのノーマリーホワイトモードとした。測定機は(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用い、透過率の比(白表示/黒表示)であるコントラスト比と、黒表示(L1)と白表示(L8)透過率を等間隔に切った8階調での透過率視野角を測定した。正面コントラスト比、下方向で隣り合う階調の透過率が反転のない範囲、コントラスト比が10以上の範囲を第1表に示す。
[実施例2]
セルロースアセテートフィルム上に形成した配向膜上に、セルロースアセテートフィルムの面内遅相軸(流延方向と平行方向)に対して20°の方向にラビング処理を実施し、液晶セルに上下偏光板と貼り合わせる際に、偏光板吸収軸が液晶セルの上下基板ラビング方向に対して上基板側は−20°、下基板側は20°になるようにした(上下偏光板の互いの吸収軸の交差角度は110°、上下光学異方性層の互いの配向制御方向の交差角度70°)以外は実施例1と同様に液晶表示装置を作製した。図2(b)に、上下基板の吸収軸2および13、液晶セル上下基板の配向制御方向6および9、ならびに上下光学異方性層の配向制御方向4および11を、同一平面上に投影した場合の互いの関係を、交差角度とともに模式的に示す。なお、図2(b)中、ラビングの方向は省略したが、4と6、および9と11のラビング方向は逆向きである。実施例1と同様の方法で光学特性を評価し、結果を第一表に示す。
[実施例3]
液晶セルの液晶層のねじれ角を85°とし、セルロースアセテートフィルム上に形成した配向膜上に、セルロースアセテートフィルムの面内遅相軸(流延方向と平行方向)に対して2.5°の方向にラビング処理を実施し、液晶セルに上下偏光板と貼り合わせる際に、偏光板吸収軸が液晶セルの上下基板ラビング方向に対して上基板側は−2.5°、下基板側は2.5°になるようにした(上下偏光板の互いの吸収軸の交差角度90°、上下光学異方性層の互いの配向制御方向の交差角度85°)以外は実施例1と同様に液晶表示装置を作製した。図2(c)に、上下基板の吸収軸2および13、液晶セル上下基板の配向制御方向6および9、ならびに上下光学異方性層の配向制御方向4および11を、同一平面上に投影した場合の互いの関係を、交差角度とともに模式的に示す。なお、図2(c)中、ラビングの方向は省略したが、4と6、および9と11のラビング方向は逆向きである。実施例1と同様の方法で光学特性を評価し、結果を第一表に示す。
[実施例4]
液晶セルの液晶層のねじれ角を20°とし、セルロースアセテートフィルム上に形成した配向膜上に、セルロースアセテートフィルムの面内遅相軸(流延方向と平行方向)に対して35°の方向にラビング処理を実施し、液晶セルに上下偏光板と貼り合わせる際に、偏光板吸収軸が液晶セルの上下基板ラビング方向に対して上基板側は−35°、下基板側は35°になるようにした(上下偏光板の互いの吸収軸の交差角度90°、上下光学異方性層の互いの配向制御方向の交差角度20°)以外は実施例1と同様に液晶表示装置を作製した。図2(d)に、上下基板の吸収軸2および13、液晶セル上下基板の配向制御方向6および9、ならびに上下光学異方性層の配向制御方向4および11を、同一平面上に投影した場合の互いの関係を、交差角度とともに模式的に示す。なお、図2(b)中、ラビングの方向は省略したが、4と6、および9と11のラビング方向は逆向きである。実施例1と同様の方法で光学特性を評価し、結果を第一表に示す。
[比較例1]
液晶セルのツイスト角を90°とし、セルロースアセテートフィルム上に形成した配向膜上に、セルロースアセテートフィルムの面内遅相軸(流延方向と平行方向)に対して平行な方向にラビング処理を実施し、液晶セルに上下偏光板と貼り合わせる際に、偏光板吸収軸が液晶セルの上下基板ラビング方向に対して平行になるようにした以外は実施例1と同様に液晶表示装置を作製した。図2(e)に、上下基板の吸収軸2および13、液晶セル上下基板の配向制御方向6および9、ならびに上下光学異方性層の配向制御方向4および11を、同一平面上に投影した場合の互いの関係を、交差角度とともに模式的に示す。実施例1と同様の方法で光学特性を評価し、結果を第一表に示す。
Figure 2005037938
表1に示される結果より、本発明(実施例)の液晶表示装置では、下方向での階調反転、視野角でのコントラスト比が著しく改善されていることが明らかである。
本発明によれば、下方向での階調反転および視野角でのコントラスト比が著しく改善された液晶表示装置、特にTN型液晶表示装置を提供することができる。特に、偏光板の保護膜と光学異方性層の支持体とを兼ねることで、簡易な構成であるとともに、下方向での階調反転および視野角でのコントラスト比が著しく改善された液晶表示装置、特にTN型液晶表示装置を提供することができる。
本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。 実施例および比較例で作製した液晶表装置中の、主な光学的な方向の関係を示す模式図である。
符号の説明
1 上側偏光板
2 上側偏光板吸収軸
3 上側光学異方性層
4 上側光学補償層作製時のラビング方向
5 液晶セル上側基板
6 上側基板液晶配向用ラビング方向
7 液晶分子(液晶層)
8 液晶セル下側基板
9 下側基板液晶配向用ラビング方向
10 下側光学異方性層
11 下側光学異方性層作製時のラビング方向
12 下側偏光板
13 下側偏光板の吸収軸

Claims (4)

  1. 少なくとも一方に電極を有するとともに対向配置された一対の基板と、該基板間に挟持される液晶層と、該液晶層を挟持して配置された一対の偏光板と、前記液晶層と前記一対の偏光板との間に配向した液晶性化合物から形成された光学異方性層の少なくとも一層とを有する液晶表示装置であって、前記光学異方性層の前記液晶性化合物の配向制御方向と前記一対の偏光板の一方の偏光板の吸収軸および他方の透過軸とが交差し、且つ前記液晶層のねじれ角θ(0<θ≦100°)と前記一対の偏光板の互いの吸収軸の交差角度φとがθ≦φを満足する液晶表示装置。
  2. 前記光学異方性層の前記液晶性化合物の配向制御方向と、前記一対の偏光板のうち前記光学異方性層に近い側に位置する偏光板の吸収軸および透過軸とが交差している請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記液晶層の両側に前記光学異方性層を有し、前記光学異方性層それぞれにおける前記液晶性化合物の配向制御方向が角度ηで交差し、且つη=θである請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記一対の偏光板の互いの吸収軸の交差角度φが90°以上135°以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
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