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JP4822920B2 - 3次元像構築方法および透過電子顕微鏡 - Google Patents

3次元像構築方法および透過電子顕微鏡 Download PDF

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本発明は、透過電子顕微鏡像を用いて試料の3次元像を構築する3次元像構築方法および透過電子顕微鏡に関する。
現在、試料の3次元像を得る装置として透過電子顕微鏡が注目されている。この3次元像を構築する機能を備えた透過電子顕微鏡においては、試料を複数段階に傾斜させて各試料傾斜角度において透過電子顕微鏡像(TEM像)を取得し、取得したTEM像にCT法(Computerized Tomography Method)を適用して3次元像を構築するようにしている。たとえば、試料は+60°から−60°まで1°ステップで121段階に傾斜され、得られた121枚のTEM像に基づいて3次元像が構築されている(たとえば特許文献1参照)。
さて、上述した121枚のTEM像は、試料上の同一領域に電子線が照射されて得られるが、試料が生物試料の場合には、電子線による試料損傷に注意が払われている。すなわち、それらのTEM像はCCDカメラなどで撮像されるが、その1枚あたりの撮像(露光)時間tは、像のS/N(試料情報の量とノイズの比)が悪くなく且つ試料損傷が少なくなるようにオペレータによって設定されている。また、試料への電子線照射を低減して試料損傷を抑えるために、CCDカメラなどでTEM像を撮像するとき以外は、試料に電子線を照射しないようにしている。
特開2005−19218号公報
ところで、S/Nが良く且つ試料損傷のない最良の3次元像を得るには、試料が電子線による損傷を受ける間際で前記121枚のTEM像の撮像が終了するように、前記撮像時間tをtに設定すべきである。しかしながら、そのように撮像時間tを設定するのは現実的には不可能である。なぜなら、試料が電子線によりどれほど損傷を受けるかは、事前にわからないからである。
このため従来においては、撮像時間tが最適時間tより短く設定された場合には、試料が電子線損傷を受けることは防止されるが、S/Nの良い3次元像は得られなかった。この場合、121枚全てのTEM像を撮像した時点でも試料は損傷していないので、もう少し撮像時間tを長く設定しておけばよりS/Nの良い3次元像が得られたはずである。
一方、撮像時間tが最適時間tより長く設定された場合には、試料が観察の途中で損傷し、試料構造を正確に反映した3次元像が得られなかった。
本発明はこのような点に鑑みて成されたものであり、その目的は、従来よりも像質が良く、試料構造を正確に反映した3次元像を得ることができる3次元像構築方法および透過電子顕微鏡を提供することにある。
上記目的を達成する本発明の3次元像構築方法は、
透過電子顕微鏡像を用いて試料の3次元像を構築する3次元像構築方法において、
試料を複数段階に傾斜させて各試料傾斜角度において透過電子顕微鏡像を取得することを繰り返し行い、
得られた複数の透過電子顕微鏡像から同じ試料傾斜角度の透過電子顕微鏡像を抽出してそれらを積算し、試料傾斜角度ごとに積算像を取得し、
取得した積算像に基づいて試料の3次元像を構築するようにした。
したがって本発明によれば、従来よりも像質が良く、試料構造を正確に反映した3次元像を得ることができる。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の3次元像構築機能を備えた透過電子顕微鏡の一例を示した図である。まず、図1の装置構成について説明する。
図1において、1は真空チャンバであり、真空チャンバ1の内部は排気装置(図示せず)によって高真空に排気されている。真空チャンバ1の内部には、電子銃2側から順に、集束レンズ(CL)3、偏向器(ブランキングコイル)4、絞り5、偏向器(CLアライメントコイル)6、試料ステージ(いわゆるユーセントリックゴニオメータ)7、対物レンズ8、偏向器(イメージシフトコイル)9、中間レンズ10、投影レンズ11、CCDカメラ12が配置されている。
前記試料ステージ7は、傾斜ステージ7aと、その傾斜ステージ7a上に配置されたxyzステージ7bを備えている。このxyzステージ7b上には、試料ホルダ(図示せず)にセットされた試料13が配置されている。試料13はたとえば生物試料であり、生物試料13は図1の装置にセットされる前に予め冷却されている。または、生物試料13は、図1の装置に備えられた冷却機構(図示せず)によって冷却されている。
前記傾斜ステージ7aは、光軸Oにほぼ直交する傾斜軸Tを中心として左右に傾斜可能に構成されている。また、その傾斜ステージ7a上に配置されたxyzステージ7bは、試料13を互いに直交するx,y,z方向に移動可能に構成されている。薄膜状に作られた試料13は、傾斜ステージ7aが水平(傾斜角度が0°)のときに試料面が光軸Oに直交するようにxyzステージ7b上に配置されており、この際、x方向は傾斜軸Tおよび試料面に平行な方向、y方向はx方向に直交し且つ試料面に平行な方向、z方向は試料面に垂直な方向と規定する。
上述したように真空チャンバ1の内部には種々の電子光学要素が配置されており、電子銃2から放出された電子線は集束レンズ3で集束され、絞り5を通過した電子線は試料13を照射する。そして、試料13を透過した電子線は対物レンズ8の結像作用を受け、試料13の初段像が対物レンズ8と中間レンズ10間に形成される。その後、中間レンズ10と投影レンズ11により試料拡大像が形成されて行き、最終的に、試料拡大像すなわち透過電子顕微鏡像(TEM像)がCCDカメラ12上に結像される。CCDカメラ12はTEM像を撮像し、そのTEM像に関する像信号IはCCDカメラ12から中央制御装置14に送られるように構成されている。
この中央制御装置14は、その内部に、制御部15,画像メモリ16,積算回路(積算手段)17,3次元像構築回路(3次元像構築手段)18を備えている。そして、前記制御部15は、その内部に、フォーカス合わせ回路19と位置ずれ補正回路20を備えている。
また、中央制御装置14は、前記集束レンズ3のコイルに励磁電流を流すための集束レンズ電源21と、前記偏向器4のコイルに励磁電流を流すための偏向器電源22と、前記偏向器6のコイルに励磁電流を流すための偏向器電源23と、前記試料ステージ7の傾斜ステージ7aとxyzステージ7bを移動させるステージ駆動部24と、前記対物レンズ8のコイルに励磁電流を流すための対物レンズ電源25と、前記偏向器9のコイルに励磁電流を流すための偏向器電源26と、CCDカメラ12の撮像時間tを制御するためのカメラ制御部27と、キーボードやマウスなどの入力手段28と、CRT(表示手段)29にそれぞれ電気的に接続されている。
以上、図1の透過電子顕微鏡の構成を説明した。
以下、図1の装置の動作説明を行う。なお、現時点においては、試料13の高さ調整(z方向の位置調整)は既に終了しており、試料13の表面は傾斜軸T上にほぼ位置しているものとする。この試料13の高さ調整は、3次元像を実際に得るときの倍率に装置の拡大倍率を設定し、試料13をたとえば+60°から−60°まで傾斜させながら試料13のTEM像をCCDカメラ12で撮像して観察し、観察視野(CRT画面上に表示されるTEM像)中の目標物A(3次元像を得ようとする試料上の領域)ができるだけ移動しないようにxyzステージ7bをz方向に移動させることによって行われる。
すなわち、図2(a)に示すように試料面が傾斜軸Tから大きくずれている場合、試料上の目標物Aの3次元像を得るために試料13を+60°から−60°まで傾斜させると、目標物Aが左右に大きくずれ、目標物Aの像がCCDカメラ12の視野から外れてしまうことがある。このことを避けるために試料13の高さ調整が行われるが、試料ステージ7の機械精度上、試料表面を傾斜軸Tに完全に一致させることはできない。たとえば図2(b)の状態が試料13の高さ調整の限界であり、現時点においては、試料13を+60°傾斜させると、目標物Aは傾斜軸Tに平行な直線L(+60°)上に位置する。また、試料13を傾斜させないときには目標物Aは直線L(0°)上に位置し、試料13を−60°傾斜させたときには目標物Aは直線L(−60°)上に位置する。
このため、図2(b)の状態で低倍観察を行って3次元像を得る場合には問題ないが、図2(b)の状態で高倍観察を行って3次元像を得ようとすると、試料傾斜に伴って目標物AのTEM像がCCDカメラ12の視野から外れてしまうことがある。図1の透過電子顕微鏡はこの問題も解決して高倍率の3次元像を得られるように構成されており、その説明も含めて以下に図1の装置の動作説明を行う。
まずオペレータは、入力手段28上において、TEM像の自動取り込みにあたってのデータ入力を行う。たとえばオペレータは、試料13が+60°から1°ずつ−60°まで傾斜されて、各試料傾斜角度(+60°,59°,…,0°,…,−59°,−60°)においてTEM像が撮像されるように、入力手段28上においてデータ入力を行う。さらにオペレータは、このように試料13を複数段階(この場合121段階)に傾斜させて各試料傾斜角度においてTEM像を取得することを繰り返し何回行うか、入力手段28上においてデータ入力を行う。たとえば、その繰り返し回数として「10回」が入力される。これらの入力情報は制御部15に取り込まれる。
すると、試料傾斜手段でもある制御部15は、傾斜ステージ7aの傾斜角度を先ず+60°(θ=+60°)に設定するための傾斜信号をステージ駆動部24に送る。そこで、ステージ駆動部24は、傾斜ステージ7aを+60°に傾斜させる。
また、制御部15は、試料13上の広い領域に電子線を照射するための制御信号を集束レンズ電源21に送る。すると、集束レンズ電源21は、電子銃2からの電子線が試料13上の広い領域を照射するように、集束レンズ3のコイルに流れる電流を制御する。このように試料13上の広い領域に電子線を照射するのは、後述する視野探しのためである。
さらに制御部15は、視野探しに適した低倍のTEM像がCCDカメラ12上に結像するように、結像レンズ系を制御する。すなわち制御部15は、中間レンズ10のレンズ電源(図示せず)などを制御して、装置の拡大倍率を低倍に設定する。
以上のような制御部15の制御により、試料13の低倍のTEM像がCCDカメラ12で撮像され、そのTEM像に関する像信号IはCCDカメラ12から制御部15へ送られる。制御部15はその像信号IをCRT29に送るので、CRT29の画面上には、試料13の低倍のTEM像が表示される。なお、そのTEM像は、フォーカス合わせが行われた良好な像である。そこでオペレータは、そのTEM像を見ながら視野探しを行い、観察視野の中央に目標物Aが来るように(図3(a)参照)、すなわち試料上の目標物Aが光軸O上に位置するように、試料13をxy方向に移動させる。なお、その試料移動は、オペレータが入力手段28上において試料13のxy移動量を入力することによって行われ、その入力信号を受けた制御部15はxyzステージ7bがxy方向に移動するようにステージ駆動部24を制御する。
こうして目標物Aが観察視野(CRT画面上に表示されるTEM像)の中央に来ると、オペレータはCRT画面上において、目標物Aを囲むように電子線照射領域A’(図3(b)参照)を設定する。この設定は入力手段28を用いて行われ、その設定された情報、すなわち試料上の目標物Aに電子線を照射するための情報「A’」は制御部15に記憶される。
またオペレータは、図3(b)に示したTEM像上において、目標物Aの他に位置ずれ補正対象物を探す。その際、オペレータは、目標物Aを通る前記直線L(+60°)(図2(b)参照)上に位置ずれ補正対象物を探す。現在、その目標物Aを通る直線L(+60°)は、図2(b)の状態と異なり、上記説明から分かるように光軸O上に位置している。直線L(+60°)は前記傾斜軸Tおよび前記x方向に平行な直線であり、CRT画面上においてその直線L(+60°)の方向は、試料13をx方向に移動させたときにTEM像が動く方向である。この場合、その方向は図3(c)に示すWの方向であり、オペレータはその方向Wを把握している。
そこでオペレータは、図3(c)に示すように、目標物Aを通るW方向の直線L(+60°)をTEM像上に想定し、その直線L(+60°)上にある対象物Bを位置ずれ補正対象物Bとして決定する。そしてオペレータはそのTEM像上において、位置ずれ補正対象物Bを囲むように電子線照射領域B’(図3(c)参照)を設定する。この設定は入力手段28を用いて行われ、その設定された情報、すなわち試料上の位置ずれ補正対象物Bに電子線を照射するための情報「B’」は制御部15に記憶される。なお、電子線照射領域B’は、前記電子線照射領域A’と重ならないように設定される(図3(c)参照)。
さらにオペレータは、図3(c)に示したTEM像上において、フォーカス補正対象物を探す。そのときもオペレータは前記直線L(+60°)上にフォーカス補正対象物を探し、直線L(+60°)上にある対象物Cをフォーカス補正対象物Cとして決定する。そしてオペレータはそのTEM像上において、フォーカス補正対象物Cを囲むように電子線照射領域C’(図3(c)参照)を設定する。この設定は入力手段28を用いて行われ、その設定された情報、すなわち試料上のフォーカス補正対象物Cに電子線を照射するための情報「C’」は制御部15に記憶される。なお、電子線照射領域C’は、前記電子線照射領域A’および前記電子線照射領域B’と重ならないように設定される(図3(c)参照)。
以上のようにして3つの電子線照射領域A’,B’,C’が設定されると、制御部15は前記情報「A’」に基づき、試料13上の前記目標物Aに電子線を照射するための制御信号Dを集束レンズ電源21に送る。すると、集束レンズ電源21は、電子銃2からの電子線が光軸O上に位置する目標物Aを照射するように、集束レンズ3のコイルに流れる電流を制御する。この結果、電子線は試料上の電子線照射領域A’(図3(c)参照)を照射し、電子線は目標物Aを照射する。
また、制御部15は前記情報「A’」に基づき、目標物Aの高倍TEM像がCCDカメラ12上に結像するように、すなわち目標物AのTEM像がCCDカメラ12の撮像面いっぱいに投影されるように、結像レンズ系を制御する。こうして装置の拡大倍率は高倍に設定される。
さらに制御部15は、CCDカメラ12の撮像(露光)時間tをtに設定するための信号をカメラ制御部27に送る。すると、カメラ制御部27は、前記目標物Aの高倍のTEM像がCCDカメラ12で時間t撮像されるように、CCDカメラ12を制御する。この撮像時間tは、TEM像の情報が得られる最短時間に設定され、従来の1枚あたりの撮像時間t(たとえば1秒)よりもかなり短い時間t(たとえば0.1秒)に設定される。
以上のような制御部15の制御により、目標物Aの高倍のTEM像がCCDカメラ12で時間t撮像され、そのTEM像に関する像信号IはCCDカメラ12から画像メモリ16のメモリMへ送られる。こうして、試料傾斜角度がθ(=+60°)のときの目標物AのTEM像I(θ)は、画像メモリ16のメモリMに試料傾斜角度+60°と対応して記憶される。図4(a)は、そのTEM像I(θ)を示したものである。
現在、試料傾斜角度は+60°に設定されているが、この状態において次に制御部15は、前記情報「B’」に基づき、試料13上の前記対象物Bに電子線を照射するための偏向信号Eを偏向器電源23に送る。すると、偏向器電源23は、絞り5を通過した電子線が光軸Oから外れた対象物Bを照射するように、偏向器6のコイルに流れる電流を制御する。また、制御部15は、前記情報「B’」に基づき、試料13上の電子線照射領域B’(図3(c)参照)に電子線を照射するための制御信号Dを集束レンズ電源21に供給しており、試料を照射する電子線の大きさは電子線照射領域B’に相当する大きさに調整されている。この結果、電子線は試料上の電子線照射領域B’(図3(c)参照)を照射する。
また、制御部15は前記情報「B’」に基づき、対象物Bの高倍のTEM像がCCDカメラ12上に投影されるように、偏向器電源26に偏向信号Fを送る。この偏向信号Fは、光軸Oから外れた対象物Bの高倍像をCCDカメラ12上に振り戻すための信号である。すると偏向器電源26は、偏向信号Fに基づき、偏向器6のコイルに流れる電流を制御する。
さらに制御部15は、CCDカメラ12の撮像時間tをtに設定するための信号をカメラ制御部27に送る。すると、カメラ制御部27は、前記対象物Bの高倍のTEM像がCCDカメラ12で時間t撮像されるように、CCDカメラ12を制御する。この撮像時間tは、S/Nの良いTEM像が得られるように、上述した目標物Aの撮像時間t(たとえば0.1秒)より長い時間に設定される。
以上のような制御部15の制御により、位置ずれ補正対象物Bの高倍のTEM像がCCDカメラ12で時間t撮像され、そのTEM像に関する像信号IはCCDカメラ12から位置ずれ補正回路20へ送られる。こうして、試料傾斜角度がθ(=+60°)のときの対象物BのTEM像I(θ)は、位置ずれ補正回路20に基準画像として記憶される。図4(b)は、そのTEM像I(θ)を示したものである。
以上のようにして、試料傾斜角度がθ(=+60°)において、目標物AのTEM像I(θ)と位置ずれ補正対象物BのTEM像I(θ)が得られると、次に制御部15は、傾斜ステージ7aの傾斜角度を+59°(θ=+59°)に設定するための傾斜信号をステージ駆動部24に送る。そこで、ステージ駆動部24は、傾斜ステージ7aを+59°に傾斜させる。なお、この試料傾斜のときなど、TEM像をCCDカメラ12で撮像しないときは、試料損傷を抑える目的で試料13への電子線照射は中断される。その中断にあたっては、制御部15からのブランキング信号を受けた偏向器電源22は、電子線が全て絞り5で遮られるように、偏向器4のコイルに流れる電流を制御する。
こうして試料傾斜角度がθ=+59°に設定されると、目標物AのTEM像I(θ)の取得に先立ち、目標物Aの位置ずれ補正が行われる。すなわち、試料を+60°から+59°に傾斜させると、目標物Aは図5に示すように移動して光軸O上から外れるので、目標物Aを光軸O上に戻す処理が行われる。なお、このように試料傾斜によって目標物Aが光軸O上から外れるのは、上述したように、試料面を傾斜軸Tに完全に一致させることができないためである。また、このように試料傾斜によって目標物Aが光軸O上から外れるとき、目標物Aを通る前記直線L(+60°)(図3(c)参照)上に位置する対象物Bは、目標物Aと同じように傾斜する。すなわち、対象物Bは、図5に示す直線L(+59°)上に位置しており、この直線L(+59°)は傾斜軸Tおよび直線L(+60°)に平行である。
そこで制御部15は、各レンズの状態を、前記TEM像I(θ=+60°)を得たときと同じ状態に設定する。すなわち制御部15は、前記偏向信号Eを偏向器電源23に送ると共に前記制御信号Dを集束レンズ電源21に送り、さらに前記偏向信号Fを偏向器電源26に送る。また制御部15は、CCDカメラ12の撮像時間tを前記tに設定するための信号をカメラ制御部27に送る。
この結果、位置ずれ補正対象物Bの高倍のTEM像がCCDカメラ12で時間t撮像され、そのTEM像に関する像信号IはCCDカメラ12から位置ずれ補正回路20へ送られる。こうして、試料傾斜角度がθ(=+59°)のときの対象物BのTEM像I(θ)は、位置ずれ補正回路20に比較画像として記憶される。図4(c)は、そのTEM像I(θ)を示したものである。この試料傾斜角度が+59°のTEM像I(θ)と、試料傾斜角度が+60°のTEM像I(θ)(図4(b)参照)を比較して分かるように、TEM像上で対象物Bは移動している(ずれている)。これは、上述した試料傾斜によるものである。
そこで、位置ずれ補正回路20は、対象物BのTEM像(観察視野)上でのずれ量Δ(図4(c)参照)を、基準画像I(θ)と比較画像I(θ)を相互相関演算して求める(たとえば特許文献1参照)。そして、位置ずれ補正回路20は、求めたΔとTEM像I(θ),I(θ)の観察倍率Mに基づき、図5における距離aを求める。すなわち、光軸Oおよび直線L(+60°)に直交する方向への目標物Aのずれ量aを求める。そして、位置ずれ補正回路20は、目標物Aを光軸O上に戻すためのy方向移動量dy(図5参照)を、dy=a/cos59°の演算により求める。
こうして、位置ずれ補正回路20においてy方向移動量dyが求められると、制御部15は、xyzステージ7bがy方向にdyだけ移動するようにステージ駆動部24を制御する。この結果、試料傾斜角度がθ=+59°において目標物Aは光軸O上に位置し、目標物Aは光軸O上のZ位置G(図5参照)に位置する。以上のようにして試料傾斜による目標物Aの位置ずれが補正されるが、その位置ずれ補正は、上述したように、目標物Aを含まない試料上の領域に電子線が照射されて行われる。このため、目標物Aの電子線照射による損傷は抑えられる。
さて、以上のようにして目標物Aの位置ずれは補正されたが、図5に示すように、現在の目標物Aの光軸O方向の位置(位置G)は、試料傾斜角度が+60°のときの目標物Aの位置と異なっている。このため、このままで目標物AのTEM像を撮像すると、フォーカスがややずれた像を撮像することになる。
そこで、制御部15は、たとえば特開2004−55143号公報に記載されている方法を用い、目標物Aと同じ高さにある前記フォーカス補正対象物Cに関してフォーカス合わせを行う。すなわち制御部15は、前記情報「C’」に基づき、試料13上の前記対象物Cに電子線を入射角度θで照射するための偏向信号E(θ)を偏向器電源23に送る。すると、偏向器電源23は、絞り5を通過した電子線が光軸Oから外れた対象物Cを入射角度θで照射するように、偏向器6のコイルに流れる電流を制御する。また、制御部15は、前記情報「C’」に基づき、試料13上の電子線照射領域C’(図3(c)参照)に電子線を照射するための制御信号Dを集束レンズ電源21に供給しており、試料を照射する電子線の大きさは電子線照射領域C’に相当する大きさに調整されている。この結果、電子線は試料上の電子線照射領域C’(図3(c)参照)を入射角度θで照射する。
また、制御部15は前記情報「C’」に基づき、対象物Cの高倍のTEM像がCCDカメラ12上に投影されるように、偏向器電源26に偏向信号Fを送る。この偏向信号Fは、光軸Oから外れた対象物Cの高倍像をCCDカメラ12上に振り戻すための信号である。
さらに制御部15は、CCDカメラ12の撮像時間tをtに設定するための信号をカメラ制御部27に送る。この撮像時間tは、S/Nの良いTEM像が得られるように、上述した目標物Aの撮像時間tより長い時間に設定されている。
以上のような制御部15の制御により、フォーカス補正対象物Cの高倍のTEM像がCCDカメラ12で時間t撮像され、そのTEM像に関する像信号IはCCDカメラ12からフォーカス合わせ回路19へ送られる。こうして、フォーカス補正対象物Cに電子線を入射角度θで照射したときの対象物CのTEM像I(θ)は、フォーカス合わせ回路19に記憶される。
さらに制御部15は、フォーカス合わせのために、試料13上の前記対象物Cに電子線を入射角度θ(θはθと異なる)で照射するための偏向信号E(θ)を偏向器電源23に送る。また、制御部15は、前記制御信号Dを集束レンズ電源21に送り、前記偏向信号Fを偏向器電源26に送り、CCDカメラ12の撮像時間をtに設定するための信号をカメラ制御部27に送る。この結果、フォーカス補正対象物Cの高倍のTEM像がCCDカメラ12で時間t撮像され、そのTEM像に関する像信号IはCCDカメラ12からフォーカス合わせ回路19へ送られる。こうして、フォーカス補正対象物Cに電子線を入射角度θで照射したときの対象物CのTEM像I(θ)は、フォーカス合わせ回路19に記憶される。
そこでフォーカス合わせ回路19は、TEM像I(θ)とTEM像I(θ)の相互相関関数を計算してそれら2つの像間の位置ずれ量δを求め、その位置ずれ量δに基づいて焦点ずれ量dfを求める。そしてフォーカス合わせ回路19は、求めた焦点ずれ量dfに基づいて対物レンズ補正信号を作成する。すると、制御部15はその対物レンズ補正信号を対物レンズ電源25に供給し、対物レンズ電源25は前記焦点ずれがなくなるように対物レンズ8のコイルに流れる電流を制御する。この結果、フォーカス補正対象物Cに関してフォーカス合わせが完了する。このフォーカス補正対象物Cの高さ(光軸O方向の位置)は目標物Aのそれと同じなので、このようにフォーカス補正対象物Cに関してフォーカス合わせが完了すれば、目標物Aに関してフォーカス合わせが完了したことになる。そして、このフォーカス合わせは、目標物Aを含まない試料上の領域C’に電子線が照射されて行われるため、目標物Aの電子線照射による損傷は抑えられる。
以上のようにして、試料傾斜角度が+59°において目標物Aが光軸O上に位置し、その目標物Aに関してフォーカス合わせが完了すると、制御部15は、目標物Aの高倍のTEM像が撮像されるようにレンズを制御する。すなわち制御部15は、前記情報「A’」に基づき、光軸O上に位置する目標物Aに電子線を照射するための前記制御信号Dを集束レンズ電源21に送る。また制御部15は、CCDカメラ12の撮像時間tを前記tに設定するための信号をカメラ制御部27に送る。
この結果、目標物Aの高倍のTEM像がCCDカメラ12で時間t撮像され、そのTEM像に関する像信号Iは画像メモリ16のメモリMへ送られる。こうして、試料傾斜角度がθ(=+59°)のときの目標物AのTEM像I(θ)は、画像メモリ16のメモリMに試料傾斜角度+59°と対応して記憶される。その像I(θ)中における目標物Aは、上述した位置ずれ補正により、図4(a)の場合と同じようにその中央に位置する。
次に制御部15は、傾斜ステージ7aの傾斜角度を+58°(θ=+58°)に設定するための傾斜信号をステージ駆動部24に送る。このため試料13は+58°に傾斜する。そして、上述したθ=+59°のときと同様にして、目標物AのTEM像I(θ)の取得に先立って位置ずれ補正とフォーカス合わせが行われる。その位置ずれ補正とフォーカス合わせにより、試料傾斜角度が+58°において目標物Aが光軸O上に位置し、その目標物Aに関してフォーカス合わせが完了する。そして、θ=+59°のときと同様にして、目標物Aの高倍のTEM像がCCDカメラ12で時間t撮像され、そのTEM像に関する像信号Iは画像メモリ16のメモリMへ送られる。こうして、試料傾斜角度がθ(=+58°)のときの目標物AのTEM像I(θ)は、画像メモリ16のメモリMに試料傾斜角度+58°と対応して記憶される。この像I(θ)においても、像I(θ)中における目標物Aは、上述した位置ずれ補正によりその中央に位置する。
以後、試料13は+57°,+56°,…0°,…−59°,−60°に順次傾斜され、上述したθ=+59°およびθ=+58°のときと同様、各試料傾斜角度において位置ずれ補正とフォーカス合わせが行われてから目標物AのTEM像が撮像される。こうして各試料傾斜角度において撮像された目標物AのTEM像I(θ=+57°),I(θ=+56°),…I(θ61=0°),…I(θ120=−59°),I(θ121=−60°)は、画像メモリ16のメモリMに試料傾斜角度と対応して記憶される。その際、TEM像I(θ121=−60°)は、画像メモリ16のメモリMにも試料傾斜角度と対応して記憶される。
以上のようにして、+60°〜−60°の各傾斜角度において撮像された121枚のTEM像I(θ),I(θ),…I(θ121)は、画像メモリ16のメモリMに記憶される。すなわち、画像メモリ16のメモリMには、121枚のTEM像I(θ),I(θ),…I(θ121)で構成される傾斜画像シリーズSが記憶される。これで、試料を複数段階(この場合121段階)に傾斜させて各試料傾斜角度においてTEM像を取得することが、「1回」行われたことになる。その回数として最初に「10回」が入力されているので、続いてその「2回目」のTEM像の取得が行われる。その場合、試料傾斜方向が反転され、試料13は−59°,−58°,…0°,…59°,60°の順に傾斜され、前記同様、各試料傾斜角度において位置ずれ補正とフォーカス合わせが行われてから目標物AのTEM像が時間t撮像される。こうして各試料傾斜角度において撮像された目標物AのTEM像I(θ120=−59°),I(θ119=−58°),…I(θ61=0°),…I(θ=+59°),I(θ=+60°)は、上述したTEM像I(θ121=−60°)と共に、画像メモリ16のメモリMに試料傾斜角度と対応して記憶される。その際、TEM像I(θ=+60°)は、画像メモリ16のメモリMにも試料傾斜角度と対応して記憶される。
以上のようにして、−60°〜+60°の各傾斜角度において撮像された121枚のTEM像I(θ121),I(θ120),…I(θ)は、画像メモリ16のメモリMに記憶される。すなわち、画像メモリ16のメモリMには、121枚のTEM像I(θ),I(θ),…I(θ121)で構成される傾斜画像シリーズSが記憶される。これで、試料を複数段階(この場合121段階)に傾斜させて各試料傾斜角度においてTEM像を取得することが、「2回」行われたことになる。続いて「3回目」のTEM像の取得が行われる。その場合、試料13は+59°,+58°,…0°,…−59°,−60°の順に傾斜され、前記同様、各試料傾斜角度において位置ずれ補正とフォーカス合わせが行われてから目標物AのTEM像が時間t撮像される。こうして各試料傾斜角度において撮像された目標物AのTEM像I(θ=+59°),I(θ=+58°),…I(θ61=0°),…I(θ120=−59°),I(θ121=−60°)は、上述したTEM像I(θ=+60°)と共に、画像メモリ16のメモリMに試料傾斜角度と対応して記憶される。その際、TEM像I(θ121=−60°)は、画像メモリ16のメモリMにも試料傾斜角度と対応して記憶される。
以上のようにして、+60°〜−60°の各傾斜角度において撮像された121枚のTEM像I(θ),I(θ),…I(θ121)は、画像メモリ16のメモリMに記憶される。すなわち、画像メモリ16のメモリMには、121枚のTEM像I(θ),I(θ),…I(θ121)で構成される傾斜画像シリーズSが記憶される。
以後、同様にして、121枚のTEM像I(θ),I(θ),…I(θ121)で構成される傾斜画像シリーズS,S,…,S10が取得される。それらの傾斜画像シリーズS,S,…,S10は、画像メモリ16のメモリM〜M10に順に記憶される。
さて、10個の傾斜画像シリーズS〜S10が得られると、次に制御部15は、まずメモリMに記憶された傾斜画像シリーズSの画像データを読み出してCRT29に送る。この結果、CRT29の画面上には、1回目の121段階の試料傾斜によって得られた121枚のTEM像I(θ),I(θ),…I(θ121)が表示される。そこでオペレータは、その121枚のTEM像を観察し、電子線照射による試料損傷により形態変化が認められるTEM像がその中に含まれているか否かを判断する。たとえばこの場合、何れのTEM像も図4(a)に示したようなTEM像であり、目標物Aを正確に反映したTEM像である。そこでオペレータは、傾斜画像シリーズSを3次元像の構築に使用することを、像選択手段である入力手段28上において入力する。すると、その入力情報は制御部15に取り込まれる。
続いて制御部15は、メモリMに記憶された傾斜画像シリーズSの画像データを読み出してCRT29に送る。この場合にもオペレータは、CRT29画面上に表示された121枚のTEM像は目標物Aを正確に反映したTEM像であると判断する。そこでオペレータは、傾斜画像シリーズSを3次元像の構築に使用することを、入力手段28上において入力する。その入力情報は制御部15に取り込まれる。
以後同様にして、メモリM〜M10に記憶された傾斜画像シリーズS〜S10の画像データがCRT29に順に送られ、オペレータによる像の判断が行われる。たとえばこの場合、オペレータは、傾斜画像シリーズS〜Sは目標物Aを正確に反映したTEM像であると判断し、傾斜画像シリーズS〜Sを3次元像の構築に使用することを入力手段28上において入力する。
一方、CRT画面上に表示された傾斜画像シリーズS10の中には、図6に示すような形態変化が認められるTEM像が何枚も含まれている。この図6に示すTEM像から、目標物Aは電子線照射により2つに分離したことが分かる。そこでオペレータは、傾斜画像シリーズS10を3次元像の構築に使用しないことを入力手段28上において入力する。
以上のようにして、試料が電子線により損傷を受けていない傾斜画像シリーズS〜Sを3次元像の構築に使用し、試料が電子線により損傷を受けた傾斜画像シリーズS10を3次元像の構築に使用しないという情報が制御部15に取り込まれると、制御部15は、傾斜画像シリーズS〜Sの画像データ(試料傾斜角度と対応して記憶された画像データ)をメモリM〜Mから読み出して積算回路17に送る。すなわち制御部15は、傾斜画像シリーズS〜S10から、試料損傷により形態変化が認められるTEM像を含む傾斜画像シリーズS10を除外し、残りの傾斜画像シリーズS〜Sの画像データを積算回路17へ送る。
積算回路17は、傾斜画像シリーズS〜Sから同じ試料傾斜角度のTEM像を抽出してそれらを積算する。すなわち積算回路17は、試料傾斜角度がθ(=+60°)のTEM像I(θ)を傾斜画像シリーズS〜Sからそれぞれ抽出し、抽出した計9枚のTEM像I(θ)を積算する。この積算により、S/Nの良いTEM像I’(θ)(積算像I’(θ))が得られる(図7参照)。また積算回路17は、その他の試料傾斜角度θ=+59,θ=+58°,…,θ61=0°,…,θ120=−59°,θ121=−60°のTEM像I(θ),I(θ),…I(θ61),…,I(θ120),I(θ121)についても同様に積算処理を行い、試料傾斜角θ,θ,…,θ61,…θ120,θ121ごとに積算像I’(θ),I’(θ),…I’(θ61),…,I’(θ120),I’(θ121)を取得する。これらの積算像もS/Nの良いTEM像である。しかも、それらの積算像は、電子線照射による損傷を受けていない試料のTEM像であり、元々の試料構造を正確に反映したTEM像である。
そして、積算回路17で作られた前記積算像I’(θ),I’(θ),…I’(θ121)の画像データは3次元像構築回路18に送られる。3次元像構築回路18は、その各試料傾斜角度の積算像I’(θ),I’(θ),…I’(θ121)に前記CT法を適用して、試料13の目標物Aに関する3次元像I(A)を構築する。その構築された3次元像I(A)の画像データは、制御部15によって読み出されてCRT29に送られる。この結果、3次元像I(A)がCRT29の画面上に表示される。
以上、図1の透過電子顕微鏡の動作説明を行った。
上述したように図1の透過電子顕微鏡においては、試料が電子線により損傷を受ける間際までのTEM像(傾斜画像シリーズS〜S)を用いて3次元像を構築しているので、S/Nが良く、試料構造を正確に反映した3次元像を得ることができる。
また、従来の方法では、1回の撮像で1つの試料傾斜角度の情報取得が完結する。一般的に電子線を照射する限り試料は必ずダメージを受けるので、この従来の方法では、測定開始初期に得た画像(たとえば+60°での画像)と測定終了間際に取得した画像(たとえば−60°での画像)では試料の形状が大きく異なっている可能性がある。このため、従来においては、元々の試料構造を正確に反映した3次元像を得られなかった。
一方、本発明においては、試料を繰り返し傾斜させ、1つの試料傾斜角度につき複数枚のTEM像を取得して試料情報を得ている。その際、1枚のTEM像の撮像時間(上記例では0.1秒)は、従来の撮像時間(たとえば1秒)よりもかなり短く設定されている。このため、本発明では、たとえば+60°から−60°までの1回の傾斜において、測定開始初期に得た画像(+60°の画像)と測定終了間際に取得した画像(−60°の画像)での試料形状の差異は従来よりもかなり小さい。このように本発明においては、異なる試料傾斜角度においてほぼ同じ試料形態のTEM像を得られる。これにより本発明においては、元々の試料構造を正確に反映した3次元像を得ることができる。
以上、本発明の一例を説明したが、本発明は上記例に限定されるものではない。上記例では、試料を傾斜させる毎に位置ずれ補正が行われるが、たとえば試料を+60°から−60°に傾斜させても目標物Aが観察視野から外れなければ、その位置ずれ補正を行わないようにしてもよい。しかし、その場合には、オペレータによって選択された前記傾斜画像シリーズS〜SごとにTEM像I(θ),I(θ),…I(θ121)間の位置合わせを行い(すなわち目標物Aの位置ずれを画像処理で補正し)、その後で前記積算像I’(θ),I’(θ),…I’(θ121)を取得することが必要である。その際、TEM像I(θ),I(θ),…I(θ121)間の位置合わせは、相関法(各画像間の相関をとり、相関が最大となるように画像の位置合わせをする方法)を用いて行われる。また、前記位置ずれ補正を行わない場合、上記図1の例のように試料傾斜角度θ,θ,…θ121ごとに積算像I’(θ),I’(θ),…I’(θ121)をまず取得し、その後でその積算像I’(θ),I’(θ),…I’(θ121)間の位置合わせを行い、その位置合わせが行われた積算像にCT法を適用して3次元像を構築するようにしてもよい。
また、上記例では、試料をy方向へ移動させて位置ずれ補正が行われるが、それに代えて、試料を照射する電子線を前記偏向器6で偏向させて位置ずれ補正を行うようにしてもよい。その場合、前記位置ずれ補正処理において目標物Aのずれ量a(図5参照)が求められると、そのずれ量aを補正するように電子線が偏向されて目標物Aに電子線が照射され、目標物AのTEM像が撮像される。このときに前記偏向器電源23に供給される偏向信号をEとすると、次に試料が1°傾斜されて位置ずれを補正するときには、前記偏向信号Eとその偏向信号Eを加算した信号(E+E)が前記偏向器電源23に供給されて前記対象物Bに電子線が照射される。なお、このように試料を照射する電子線を偏向させて位置ずれ補正を行った場合、目標物AのTEM像を取得するときには、目標物Aが観察視野の中央に位置するように前記偏向器電源26へ補正信号が供給される。
また、図1の装置において位置ずれ補正を行う場合、前記基準画像I(θ)を所定のタイミングで更新するようにしてもよい。たとえば、+60°から−60°までの1回の傾斜が終わり、その−60°において試料移動による位置ずれ補正が終わった後、フォーカス合わせを行ってから前記対象物Bに電子線を照射してTEM像を取得し、そのTEM像を前記基準画像として位置ずれ補正回路20に記憶するようにしてもよい。
また、上記例では、目標物Aを通る直線L(+60°)(図3(c)参照)上にフォーカス補正対象物Cを決定した。しかし、その直線L(+60°)上に適当な対象物Cが無い場合もある。そのような場合には、図3(c)に示すように、直線L(+60°)を挟んだ試料上の2つの領域J’,K’であって、直線L(+60°)からほぼ等距離にある試料上の2つの領域J’,K’をフォーカス補正領域として設定するようにすればよい。領域J’は試料上の対象物Jを囲む領域であり、領域K’は試料上の対象物Kを囲む領域である。そして、それぞれの領域J’,K’について前記フォーカス合わせを行い、領域J’に関して得られたフォーカス値と領域K’に関して得られたフォーカス値の中間値を求め、その中間のフォーカス値を最適なフォーカス値として前記対物レンズ8に設定すればよい。
また、上記例では、+60°から−60°までの傾斜を10回行うと像取得を自動的に終了するようにした。これに代えて、オペレータが、試料が1°傾斜される毎に撮像される目標物AのTEM像をCRT画面上で監視し、図6に示したような試料損傷を確認した時点で像取得を終了させるようにしてもよい。または、このようにオペレータが判断するのではなく、装置側で試料損傷を画像処理により確認した時点で像取得を終了させるようにしてもよい。それらの場合においても、前記同様、試料損傷により形態変化が認められるTEM像を含む傾斜画像シリーズを除いて前記積算処理が行われる。また、そのように傾斜画像シリーズ単位で取得したTEM像を積算処理の対象から外すのではなく、試料損傷により形態変化が認められるTEM像だけを前記積算処理の対象から外すようにしてもよい。
本発明の透過電子顕微鏡の一例を示した図である。 試料傾斜を説明するために示した図である。 図1の装置の動作を説明するために示した図である。 図1の装置の動作を説明するために示した図である。 図1の装置の動作を説明するために示した図である。 電子線損傷により形態変化が認められるTEM像を示した図である。 図1の装置の動作を説明するために示した図である。
符号の説明
1…真空チャンバ、2…電子銃、3…集束レンズ、4…偏向器、5…絞り、6…偏向器、7…試料ステージ、7a…傾斜ステージ、7b…xyzステージ、8…対物レンズ、9…偏向器、10…中間レンズ、11…投影レンズ、12…CCDカメラ、13…試料、14…中央制御装置、15…制御部、16…画像メモリ、17…積算回路、18…3次元像構築回路、19…フォーカス合わせ回路、20…位置ずれ補正回路、21…集束レンズ電源、22…偏向器電源、23…偏向器電源、24…ステージ駆動部、25…対物レンズ電源、26…偏向器電源、27…カメラ制御部、28…入力手段、29…CRT

Claims (10)

  1. 透過電子顕微鏡像を用いて試料の3次元像を構築する3次元像構築方法において、
    試料を複数段階に傾斜させて各試料傾斜角度において透過電子顕微鏡像を取得することを繰り返し行い、
    得られた複数の透過電子顕微鏡像から同じ試料傾斜角度の透過電子顕微鏡像を抽出してそれらを積算し、試料傾斜角度ごとに積算像を取得し、
    取得した積算像に基づいて試料の3次元像を構築する
    ことを特徴とする3次元像構築方法。
  2. 透過電子顕微鏡像を用いて試料の3次元像を構築する3次元像構築方法において、
    以下の(a)〜(d)の手順で試料の3次元像を構築することを特徴とする3次元像構築方法
    (a)試料を複数段階に傾斜させて各試料傾斜角度θ,θ,…θにおいて透過電子顕微鏡像I(θ),I(θ),…I(θ)を取得し、透過電子顕微鏡像I(θ),I(θ),…I(θ)で構成される傾斜画像シリーズSを取得する
    (b)(a)の処理を繰り返し行い、透過電子顕微鏡像I(θ),I(θ),…I(θ)で構成される傾斜画像シリーズS,S,…Sを取得する
    (c)取得した傾斜画像シリーズS,S,S,…Sから同じ試料傾斜角度の透過電子顕微鏡像を抽出してそれらを積算し、試料傾斜角度θ,θ,…θごとに積算像を取得する
    (d)取得した積算像に基づいて試料の3次元像を構築する。
  3. 得られた傾斜画像シリーズS,S,S,…Sから、試料損傷により形態変化が認められる透過電子顕微鏡像を含む傾斜画像シリーズを除外し、残りの傾斜画像シリーズについて前記積算像を取得することを特徴とする請求項2記載の3次元像構築方法。
  4. 傾斜画像シリーズごとに透過電子顕微鏡像I(θ),I(θ),…I(θ)間の位置合わせを行い、その後で前記積算像を取得することを特徴とする請求項2記載の3次元像構築方法。
  5. 試料上に位置し、傾斜軸Tに平行な直線L上に位置する目標物に電子線を照射して前記透過電子顕微鏡像を取得する場合、
    試料上の前記直線L上に、前記目標物の他に位置ずれ補正対象物を決め、
    所定角度の試料傾斜の前後において、前記位置ずれ補正対象物にそれぞれ電子線を照射して透過電子顕微鏡像を取得し、
    その取得した2つの透過電子顕微鏡像から、試料傾斜によって生じた前記目標物の位置ずれを求め、
    その目標物の位置ずれを試料移動、または、試料を照射する電子線を偏向させることにより補正する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の3次元像構築方法。
  6. 試料上に位置し、傾斜軸Tに平行な直線L上に位置する目標物に電子線を照射して前記透過電子顕微鏡像を取得する場合、
    試料上の前記直線L上に、前記目標物を含まないようにフォーカス補正領域を設定し、
    所定の試料傾斜角度において、前記フォーカス補正領域に電子線を照射してフォーカス合わせを行う
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の3次元像構築方法。
  7. 試料上に位置し、傾斜軸Tに平行な直線L上に位置する目標物に電子線を照射して前記透過電子顕微鏡像を取得する場合、
    前記直線Lを挟んだ試料上の2つの領域であって、直線Lからほぼ等距離にある試料上の2つの領域をフォーカス補正領域として設定し、
    所定の試料傾斜角度において、前記2つのフォーカス補正領域に電子線を照射してそれぞれフォーカス合わせを行い、
    得られた2つのフォーカス値の中間値を最適なフォーカス値として設定する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の3次元像構築方法。
  8. 試料を複数段階に傾斜させて各試料傾斜角度において透過電子顕微鏡像を取得し、取得した透過電子顕微鏡像に基づいて試料の3次元像を構築するようにした透過電子顕微鏡において、
    試料を複数段階に傾斜させることを繰り返し行う試料傾斜手段と、
    試料傾斜手段によって設定された各試料傾斜角度のもとで得られた透過電子顕微鏡像を、その像が得られたときの試料傾斜角度と対応させて記憶する画像メモリと、
    画像メモリに記憶された透過電子顕微鏡像を用い、同じ試料傾斜角度の透過電子顕微鏡像どうしを積算して試料傾斜角度ごとに積算像を取得する積算手段と、
    積算手段により得られた積算像に基づいて試料の3次元像を構築する3次元像構築手段
    を備えたことを特徴とする透過電子顕微鏡。
  9. 画像メモリに記憶された透過電子顕微鏡像を表示する表示手段と、
    表示手段に表示された透過電子顕微鏡像の中から、3次元像の構築に使用する透過電子顕微鏡像を選択するための像選択手段を更に備え、
    前記積算手段は、像選択手段により選択された透過電子顕微鏡像を用いて前記積算像を取得する
    ことを特徴とする請求項8記載の透過電子顕微鏡。
  10. 複数段階の試料傾斜を1回行って得られた透過電子顕微鏡像ごとに、像間の位置合わせを行う手段を更に備え、
    前記積算手段は、前記位置合わせが行われた透過電子顕微鏡像を用いて前記積算像を取得する
    ことを特徴とする請求項8または9に記載の透過電子顕微鏡。
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