以下、本発明の血液成分採取装置の作動方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の血液成分採取装置の作動方法の実施形態における血液成分採取装置を示す平面図(一部にブロック図を含む)、図2は、図1に示す血液成分採取装置が備える遠心分離器に遠心分離器駆動装置が装着された状態の部分破断断面図、図3は、第1サイクルにおける制御部の制御動作を示すフローチャート、図4は、図3中の血液成分返還処理Aにおける制御部の制御動作(サブルーチン)を示すフローチャート、図5は、第2サイクル〜最終サイクルの1つ前のサイクルにおける制御部の制御動作を示すフローチャート、図6は、図5中の血液成分返還処理Bにおける制御部の制御動作(サブルーチン)を示すフローチャート、図7ないし図12は、それぞれ、血液成分返還処理Bにおける血液成分採取回路内の様子を順を追って説明するための模式図、図13は、最終サイクルにおける制御部の制御動作を示すフローチャート、図14は、図13中の血液成分返還処理Cにおける制御部の制御動作(サブルーチン)を示すフローチャートである。
以下、血液成分採取装置1を、所定の血液成分として、主に血漿を採取する血漿採取装置に適用した場合を一例として説明する。
図1に示す血液成分採取装置(血漿採取装置)1は、ドナー(供血者)から血液を採取する採血針(採血手段)29と、内部に貯血空間146を有するローター142を備え、ローター142の回転により採血針29により採取された血液を貯血空間146内にて遠心分離する遠心分離器(遠心ボウル)20と、遠心分離器20により分離された血漿を採取する血液成分採取バッグ(血漿採取バッグ)25とを備える血液成分採取回路(血漿採取回路)2を有し、ドナーから採取した血液を遠心分離し、所定量の血漿を採取した後、残りの血漿とともに白血球、血小板および赤血球(残りの血液成分)をドナーに返還する装置である。
血液成分採取装置1は、遠心分離器20と、採血手段である採血針29と遠心分離器20の流入口143とを接続(連通)するための第1のライン(採血・返血ライン)21と、遠心分離器20の流出口144に接続された第2のライン22と、第1のライン21に接続され、例えば抗凝固剤注入のために用いられる第3のライン23と、第2のライン22の途中に接続され、この第2のライン22を介して遠心分離器20の流出口144に連通する第4のライン24と、第2のライン22に接続された血漿採取バッグ25と、血漿採取バッグ25とチューブ(流路)32aにより接続されたサブバッグ32と、第4のライン24と接続された収納バッグ26とを備える血液成分採取回路2を有している。チューブ32aの途中には、クレンメ(封止手段)65が設けられている。
また、血液成分採取装置1は、遠心分離器20のローター142を回転させるための遠心分離器駆動装置10と、第1のライン21のための第1の送液ポンプ11と、第3のライン23のための第2の送液ポンプ12と、血液成分採取回路2の流路の開閉を行うための第1の流路開閉手段51および第2の流路開閉手段52と、遠心分離器駆動装置10、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12、第1の流路開閉手段51および第2の流路開閉手段52等を制御するための制御部(制御手段)55と、濁度センサ14と、光学式センサ15と、重量センサ(検出手段)16と、第1の気泡センサ17と、第2の気泡センサ18と、第3の気泡センサ(検出手段)27と、第4の気泡センサ28とを備えている。
この血液成分採取装置1の使用の際は、前記血液成分採取バッグ25、サブバッグ32および収納バッグ26が、それぞれ、第2のライン22の接続されている側、チューブ32aの接続されている側および第4のライン24の接続されている側、すなわち、遠心分離器20の貯血空間146に連通する流路側(図1中下側)が鉛直方向下方になるように、吊られる。この場合、血液成分採取バッグ25の孔部251、サブバッグ32の孔部321および収納バッグ26の孔部261において、それぞれ、図示しない支持機構側の鉛直方向上方に設けられた対応するフック(支持部)に引っ掛けられる。
このため、血液成分採取装置1をセットする作業等を容易に行うことができ、また、血液成分採取バッグ25に血漿を採取している際、その確認作業等を容易に行うことができる。
なお、本実施形態では、第3のライン23と第2の送液ポンプ12とで、ドナーから採取された血液中に抗凝固剤を添加する抗凝固剤供給手段が構成される。
以下、各部の構成について説明する。
採血針29としては、例えば、金属針が使用される。図示例では、採血針29にキャップが被せられている。
第1のライン21は、採血針29が接続された採血針側第1ライン(採血針側第1流路)21aと、遠心分離器20の流入口143とを接続された遠心分離器側第1ライン(遠心分離器側第1流路)21bと、これらの間に配置された第1のポンプチューブ21gとを有している。
採血針側第1ライン21aは、気泡およびマイクロアグリゲート除去のためのチャンバー21dを備える。
チャンバー21dには、チューブ(流路)21hを介して通気性かつ菌不透過性のフィルター21iが接続されている。このラインは、例えば、採血針側第1ライン21aの内圧の検出等に用いることができる。
第2のライン22は、一端が遠心分離器20の流出口144に接続され、他端が血漿採取バッグ25に接続されている。この第2のライン22の途中、すなわち、後述するカセットハウジング33に対応する位置には、3つ(3股)に分岐した(接続口は合計4つ)分岐コネクター61が設けられており、第2のライン22は、この分岐コネクター61を介して接続されている。
分岐コネクター61には、チューブ(流路)62を介して通気性かつ菌不透過性のフィルター63が接続されている。このラインは、例えば、第2のライン22の内圧の検出等に用いることができる。
第3のライン23は、一端が第1のライン21に設けられた接続用分岐コネクター21cに接続されている。第3のライン23は、接続用分岐コネクター21c側より、第2のポンプチューブ23a、除菌フィルター(輸液フィルター)64、気泡除去用チャンバー23c、抗凝固剤容器接続用針23dを備えている。図示例では、抗凝固剤容器接続用針23dにキャップが被せられている。
また、採血針29と接続用分岐コネクター21cとの間の採血針側第1ライン21aの途中には、クレンメ(封止手段)66が設けられている。
第4のライン24は、分岐コネクター61に接続されている。すなわち、収納バッグ26は、この第4のライン24を介して第2のライン22から分岐して設けられている。
上述した第1のライン21、第2のライン22、第3のライン23および第4のライン24の形成に使用されるチューブ、各ポンプチューブ21g、23a、バッグに接続されているチューブ32a、チャンバー21dに接続されているチューブ21h、分岐コネクター61に接続されているチューブ62の構成材料としては、ポリ塩化ビニルが好ましい。
各チューブがポリ塩化ビニル製であれば、十分な可撓性、柔軟性が得られるので取り扱いがし易く、また、クレンメ等による閉塞にも適するからである。
なお、各ポンプチューブ21g、23aとしては、ローラーポンプにより押圧されても損傷を受けない程度の強度を備えるものが使用されている。
また、上述した接続用分岐コネクター21c、分岐コネクター61の構成材料についても、前記チューブの構成材料と同様のものを用いることができる。
血漿採取バッグ25は、血漿を採取するための容器であり、第2のライン22を介して、遠心分離器20に接続され、これにより、血漿採取バッグ25の内部は、ローター142の貯血空間146に連通している。
サブバッグ32は、チューブ32aを介して血漿採取バッグ25に接続され、それらの内部同士が連通している。このサブバッグ32は、例えば、空気抜きバッグ等に用いることができる。
収納バッグ26は、一時的に、空気(エアー)や血漿を収納(貯留)するための容器であり、第4のライン24を介して、分岐コネクター61に接続されている。すなわち、収納バッグ26は、第4のライン24、分岐コネクター61および第2のライン22を介して、遠心分離器20に接続され、これにより、収納バッグ26の内部は、ローター142の貯血空間146に連通している。
これらの血漿採取バッグ25、サブバッグ32、収納バッグ26は、それぞれ、樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁部を融着(熱融着、高周波融着等)または接着して袋状にしたものが使用される。
血漿採取バッグ25、サブバッグ32、収納バッグ26に使用される材料としては、例えば、軟質ポリ塩化ビニルが好適に使用される。
そして、血液成分採取回路2の主要部分は、図1に示すように、カセット式となっている。血液成分採取回路2は、すべてのライン(第1のライン21、第2のライン22、第3のライン23、第4のライン24)を部分的に収納しかつ部分的にそれらを保持し、言い換えれば、部分的にそれらが固定されたカセットハウジング33を備えている。
カセットハウジング33には、第1のポンプチューブ21gの両端部および第2のポンプチューブ23aの両端部が固定され、これらのポンプチューブ21g、23aは、それぞれ、カセットハウジング33より、後述する各送液ポンプ(例えば、ローラーポンプ等)11、12の形状に対応したループ状に突出している。このため、第1のポンプチューブ21gおよび第2のポンプチューブ23aは、各送液ポンプ11、12への装着が容易である。
さらに、カセットハウジング33は、カセットハウジング33内に位置する複数の開口部を備えている。具体的には、第4のライン24を露出させ、かつ第1の流路開閉手段51の侵入が可能な第1の開口部91、分岐コネクター61より血漿採取バッグ25側の第2のライン22を露出させ、かつ第2の流路開閉手段52の侵入が可能な第2の開口部92を備えている。
血液成分採取装置1は、このカセットハウジング33を装着するカセットハウジング装着部(図示せず)を備えている。このため、カセットハウジング33を血液成分採取装置1のカセットハウジング装着部に装着することにより、カセットハウジング33の各開口部91、92より露出する部分の各ラインおよび各チューブが、自動的に対応する各流路開閉手段51、52に装着される。これにより血液成分採取回路2の装着が容易であるとともに、血漿採取(血液成分採取)の準備も迅速に行える。
また、血液成分採取装置1には、カセットハウジング装着部に近接して2つの送液ポンプ11、12が設けられている。このため、カセットハウジング33より露出する各ポンプチューブ21g、23aの各送液ポンプ11、12への装着も容易である。
血液成分採取回路2に設けられている遠心分離器20は、通常、遠心ボウルと呼ばれており、遠心力により血液を血漿と血球(血小板、白血球および赤血球)とに分離する。遠心分離器20としては、図2に示すものが使用される。
第1の流路開閉手段51は、第4のライン24の流路の途中を開閉するために設けられている。
第2の流路開閉手段52は、分岐コネクター61より血漿採取バッグ25側において第2のライン22の流路の途中を開閉するために設けられている。
第1の流路開閉手段51および第2の流路開閉手段52は、ラインもしくはチューブの挿入部を備え、挿入部には、例えば、ソレノイド、電動モーター、シリンダ(油圧または空気圧)等の駆動源で作動するクランプを有する。具体的には、ソレノイドで作動する電磁クランプが好適である。
遠心分離器駆動装置10は、図2に示すように、遠心分離器20を収納するハウジング151と、脚部152と、駆動源であるモータ153と、遠心分離器20を保持する円盤状の固定台155とで構成されている。ハウジング151は、脚部152の上部に載置、固定されている。
また、ハウジング151の下面には、ボルト156によりスペーサー157を介してモータ153が固定されている。モータ153の回転軸154の先端部には、固定台155が回転軸154と同軸でかつ一体的に回転するように嵌入されており、固定台155の上部には、ローター142の底部が嵌合する凹部が形成されている。
また、遠心分離器20の上部145は、図示しない固定部材により、ハウジング151に固定されている。遠心分離器駆動装置10では、モータ153を駆動すると、固定台155およびそれに固定されたローター142が、あらかじめ設定された所定の遠心条件(例えば、回転数3000〜6000rpm)で回転する。この遠心条件により、ローター142内の血液の分離パターン(例えば、分離する血液成分数)を設定することができる。
なお、ローター142において、貯血空間146の容積は、例えば、100〜350mL程度とされる。
また、ハウジング151の内壁には、遠心分離器20(貯血空間146)内で分離された血液成分の界面(例えば、血漿層131と血球層132との界面Bの位置を光学的に検出する光学式センサ15が、取付部材158により設置、固定されている。
この光学式センサ15は、遠心分離器20の肩の部分に向けて光を照射する光源と、遠心分離器20から反射して戻ってくる光を受光する受光部で構成されている。つまり、LED(半導体レーザー等)のような発光素子と、フォトダイオードまたはCCDのような受光素子とが列状に配置され、発光素子から発せられた光の血液成分での反射光を受光素子により受光し、その受光光量を光電変換するように構成されている。分離された血液成分(例えば、血漿層131と血球層132)により反射光の強度が異なるため、受光光量が変化した受光素子に対応する位置が、界面Bの位置として検出される。
より具体的には、遠心分離器20の光が通過する位置が血漿で充填されている時と、血球層132で充填されている時の、受光部での受光量の差から、血球層132が光通過部に到達したことが検知される。
血球層132を検出する位置は、光が遠心分離器(遠心ボウル)20内を通過する位置を変えることで調節され、通常は、光線通過位置を決めたら、そこで固定する。
重量センサ16は、血漿採取バッグ25内に採取された血漿の採取量を検出する検出手段を構成する。
濁度センサ14は、第2のライン22中を流れる流体の濁度を検知するためのものであり、濁度に応じた電圧値を出力する。具体的には、濁度が高い時には低電圧値、濁度が低い時には高電圧値を出力する。
第1の気泡センサ17および第2の気泡センサ18は、それぞれ、第1のライン21内に空気が流れたことを検知するためのものである。すなわち、この第1の気泡センサ17および第2の気泡センサ18により、それぞれ、第1のライン21内の血液の有無が検出される。
第3の気泡センサ27は、遠心分離器20の貯血空間146の流出口144と分岐コネクター61との間の第2のライン22の所定の位置において、その第2のライン22内に空気や血液(血漿)が流れたことを検知するためのものである。すなわち、この第3の気泡センサ27により、第2のライン22内の血液の有無が検出される。
第4の気泡センサ28は、第3のライン23内が空にならないように(抗凝固剤で満たされているように)するため、第3のライン23の所定の位置における空気(抗凝固剤の有無)の検出に用いられる。
これらの濁度センサ14および各気泡センサ17、18、27、28としては、それぞれ、例えば、超音波センサ、光学式センサ、赤外線センサなどが使用できる。
第1のライン21の第1のポンプチューブ21gが装着される第1の送液ポンプ11ならびに第3のライン23の第2のポンプチューブ23aが装着される第2の送液ポンプ12としては、ローラーポンプなどの非血液接触型ポンプが好適である。
また、第1の送液ポンプ(血液ポンプ)11としては、いずれの方向にも血液を送ることができるものが使用される。具体的には、正回転と逆回転が可能なローラーポンプが用いられている。
制御部55は、例えば、マイクロコンピューター等で構成されており、遠心分離器駆動装置10、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12、第1の流路開閉手段51、第2の流路開閉手段52、濁度センサ14、光学式センサ15、重量センサ16、第1の気泡センサ17、第2の気泡センサ18、第3の気泡センサ27および第4の気泡センサ28等と、それぞれ、電気的に接続されている。
濁度センサ14、光学式センサ15、重量センサ16、第1の気泡センサ17、第2の気泡センサ18、第3の気泡センサ27および第4の気泡センサ28からの検出信号は、それぞれ、制御部55へ随時入力される。制御部55は、これらからの各検出信号に基づき、予め設定されたプログラムに従って、血液成分採取装置1の作動、すなわち、各送液ポンプ11、12の回転、停止、あるいは、回転方向(正転/逆転)を制御するとともに、必要に応じ、各流路開閉手段51、52の開閉および遠心分離器駆動装置10の作動を制御する。
なお、この制御部55は、演算部とメモリー(いずれも図示せず)を内蔵している。さらに、制御部55には、例えばキーボード等で構成された入力手段と、例えば液晶ディスプレイ等で構成された表示手段(いずれも図示せず)が、それぞれ電気的に接続されている。
このような制御部55は、ドナーから血液を採取し、その血液の成分(血液成分)のうち、血漿を採取するように血液成分採取装置1の作動を制御する。
具体的には、制御部55は、ドナーから採取された血液を遠心分離器20(貯血空間146)内に流入させ、遠心分離器20により分離された血漿を血漿採取バッグ25内に採取(移送)する血漿採取工程(血液成分採取工程)と、遠心分離器20内に残った主として血球(残りの血液成分)をドナーへ返還する血球返還工程(血液成分返還工程)とを有する血漿採取操作(血液成分採取操作)を行うように、血液成分採取装置1の作動を制御する。
なお、本実施形態では、血漿採取工程において、血漿採取バッグ25内には、抗凝固剤が添加された血漿が採取され、重量センサ16では、この抗凝固剤が添加された血漿の重量が検出される。
また、制御部55は、前記血漿採取操作を複数サイクル(好ましくは3サイクル以上)行なう。以下の説明では、各サイクルにおける血漿の採取量を「サイクル当たりの血漿採取量」と言う。
さらに、以下の説明では、目標とする血漿の採取量を、「目標血漿採取量」と言い、実際に採取された血漿の採取量を、「現在血漿採取量」と言う。
以下、血液成分採取装置1の使用方法および作用について、図3〜図14を参照しつつ説明する。
まず、操作者(作業者)は、第3のライン23と採血針29とを抗凝固剤でプライミングし、その後、採血針29をドナーの血管に穿刺する。これにより、血漿の採取準備を完了する。
なお、前述したように、血液成分採取バッグ25、サブバッグ32および収納バッグ26は、それぞれ、第2のライン22の接続されている側、チューブ32aの接続されている側および第4のライン24の接続されている側が鉛直方向下方になるように、孔部251、321および261において、それぞれ、図示しない支持機構側の鉛直方向上方に設けられた対応するフック(支持部)に引っ掛けられ、吊り下げられている。
次に、操作者が図示しない採取開始スイッチをオンする。これにより、図3〜図6、図13および図14に示すプログラムが実行され、血漿の採取が行われる。
血液成分採取装置1は、図3に示す第1サイクルにおける血漿採取工程を行なう。この血漿採取工程では、遠心分離器20のローター142の貯血空間146内に、採血針(採血手段)29によりドナーから採血され、抗凝固剤供給手段により抗凝固剤が混入された血液を導入し、かかる血液を遠心分離することにより分離された抗凝固剤が混入した血漿を血漿採取バッグ25内に採取する。
すなわち、この血漿採取工程では、まず、採血を開始する(ステップS101)。
同時に、第2のライン22および第4のライン24を介して、遠心分離器20の貯血空間146内等の血液成分採取回路2内の空気(滅菌空気)を、収納バッグ26内に移送し、収納する(ステップS102)。
具体的には、第1の流路開閉手段51を開放し(開き)、第2の流路開閉手段52を閉塞し(閉じ)、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度(好ましくは250mL/min以下程度、より好ましくは40〜150mL/min程度、例えば、60mL/min)で作動(正転)する。
また、前記採血と同時に、第2の送液ポンプ12を作動して、第3のライン23を介して、例えばACD−A液のような抗凝固剤を供給し、この抗凝固剤を採血血液中に添加させる。
このとき、第2の送液ポンプ12の回転速度は、所定比率(添加比率)で抗凝固剤が添加されるように制御される。
なお、この所定比率としては、好ましくは1/20〜1/6程度とされ、例えば1/12とされる。
これにより、血液(抗凝固剤添加血液)は、第1のライン21を介して移送され、遠心分離器20の流入口143より管体141を経てローター142の貯血空間146内に導入される。
このとき、遠心分離器20の貯血空間146内の空気は、第2のライン22および第4のライン24を介して、収納バッグ26内に移送され、収納される。
また、前記採血と同時にまたはこれと前後して、遠心分離器駆動装置10を作動し、ローター142を所定の回転数で回転する。
このローター142の回転により、貯血空間146内に導入された血液は、内側から血漿層(PPP層)131と血球層132の2層に分離される。
なお、ローター142の回転数としては、好ましくは3000〜6000rpm程度、より好ましくは4000〜5700rpm程度とされる。
さらに、前記採血および前記抗凝固剤の供給を継続し、貯血空間146の容量を超える抗凝固剤添加血液(約270mL)が貯血空間146内に導入されると、貯血空間146内は完全に血液により満たされ、遠心分離器20の流出口144から血漿がオーバーフローし、その血漿は、第2のライン22を流れる。
次いで、第3の気泡センサ27により、遠心分離器20の貯血空間146から流出する血漿が検出されると(ステップS103)、貯血空間146内の空気の収納バッグ26内への収納が完了する。
次いで、第1の流路開閉手段51を閉塞し、第2の流路開閉手段52を開放し、第2のライン22を介して、遠心分離器20の貯血空間146内の血漿を、血漿採取バッグ25内に移送し、採取する(ステップS104)。
なお、血漿採取バッグ25は、その重量が重量センサ16により計測されており、計測された重量信号は制御部55に入力される。
次いで、血漿採取終了の判断を行う(ステップS105)。この場合、下記(1)〜(4)のうちのいずれか1つが検出されると、血漿採取を終了する。
(1)濁度センサ14により血球が検出された場合。
(2)重量センサ16により検出されたサイクル当たりの血漿採取量が、サイクル当たりの設定血漿採取量(上限値)に到達した場合。
(3)重量センサ16により検出された現在血漿採取量(総血漿採取量)が目標血漿採取量に到達した場合。
(4)サイクル当たりの採血量が許容体外循環血液量に到達した場合。
上記(1)〜(4)のうちのいずれか1つが検出され、血漿採取を終了する場合は、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12の作動を停止するとともに、遠心分離器駆動装置10の作動を停止して、遠心分離器20のローター142の回転を停止する(ステップS106)。
以上で、血漿採取工程を終了し、血液成分返還工程に移行する。すなわち、血液成分返還処理Aを行う(ステップS107)。この血液成分返還工程では、血液成分採取回路2(主に、ローター142の貯血空間146)内に残った血液成分(残りの血液成分)をドナーへ返還する。
図4に示すように、この血液成分返還処理Aにおいては、まず、第1の流路開閉手段51を開放し、第2の流路開閉手段52を閉塞し、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度(好ましくは、30〜100mL/min程度、例えば45mL/min)で作動(逆転)する。
これにより、ローター142の貯血空間146内の血球が第1ライン21および採血針29を介してドナーへ返還され始める。また、収納バッグ26内に収納されている空気が、第2のライン22および第4のライン24を介して、遠心分離器20の貯血空間146内に移送され、戻っていく(ステップS401)。
この間、制御部55は、血液成分返還処理Aの開始時からの返血量を、第1の送液ポンプ11の回転回数を計数することによって逐次検出し、この返血量が、予め設定された所定量に達したか否かを判断する(ステップS402)。
そして、血液成分返還処理Aの開始時からの返血量が所定量に達したら、第1の流路開閉手段51を閉塞し、第2の流路開閉手段52を開放する。これにより、血漿採取バッグ25内の所定量(設定量)の血漿が、第2のライン22を介して、遠心分離器20の貯血空間146内に移送され、戻る(ステップS403)。
この際、流れる血漿により、貯血空間146内と血漿採取バッグ25内との間の流路内(主に、貯血空間146の流出口144付近)に付着している血漿以外の血液成分(血球)が、捕捉され、貯血空間146内に移送される。これにより、次回のサイクルの血漿採取工程において、血漿採取バッグ25内への血漿以外の血液成分(血球)の混入が防止される。
制御部55は、重量センサ16で検出された血漿採取バッグ25の重量の変化に基づいて、血漿採取バッグ25から遠心分離器20へ移送された血漿の量が設定量に到達したか否かを判断する(ステップS404)。このときの血漿の量の設定量は、特に限定されないが、1〜120mL程度とするのが好ましく、5〜50mL程度とするのがより好ましい。
ステップS404で、移送された血漿の量が設定量に到達したら、ステップS405へ移行する。
ステップS405においては、第1の流路開閉手段51を開放し、第2の流路開閉手段52を閉塞する。これにより、収納バッグ26内に収納されている空気を、第2のライン22および第4のライン24を介して、遠心分離器20の貯血空間146内に移送し、戻す。
このようにしてドナーへの返血を続行していくと、第1のライン21内の空気が第1の気泡センサ17に到達し、第1の気泡センサ17により検出される(ステップS406)。制御部55は、第1の気泡センサ17によって空気を検出した後、第1の送液ポンプ11をさらに所定回数回転させてから(ステップS407)、第1の送液ポンプ11を停止する。
ステップS407の第1の送液ポンプ11の回転回数は、第1のライン21内の空気が第1の気泡センサ17に到達してからチャンバー21d内の血球がなくなってほぼ空になるまでの送液量に対応するように、予め設定されている。
以上により、血液成分返還処理Aが終了する(ステップS408)。
第1サイクルの血液成分返還処理Aが終了したら、図5に示す第2サイクルの血漿採取操作の血漿採取工程に移行する。
なお、第3サイクル以降、最終サイクルの1つ前のサイクルまでの血漿採取操作も、以下に説明する第2サイクルの血漿採取操作と同様である。
図5に示すように、第2サイクルの血漿採取操作の血漿採取工程では、前述した第1サイクルの血漿採取操作の血漿採取工程と同様に、まず、採血を開始し(ステップS201)、第2のライン22および第4のライン24を介して、遠心分離器20の貯血空間146内等の血液成分採取回路2内の空気を、収納バッグ26内に移送し、収納する(ステップS202)。
貯血空間146内では、貯血空間146内に残存していた血漿と、第1のライン21を通って貯血空間146内に新たに導入された血液とが一旦混ざり合い、この混ざり合った血液が、遠心力により、内側から血漿層131と血球層132の2層に分離される。
そして、第3の気泡センサ27により、遠心分離器20の貯血空間146から流出する血漿が検出されると(ステップS203)、貯血空間146内の空気の収納バッグ26内への収納が完了する。
次いで、遠心分離器20の貯血空間146内の所定量(設定量)の血漿を、第2のライン22および第4のライン24を介して、収納バッグ26内に移送し収納する、初流除去動作を行う(ステップS204)。
具体的には、第1の流路開閉手段51を開放し、第2の流路開閉手段52を閉塞する。これにより、遠心分離器20の貯血空間146内の所定量の血漿が、第2のライン22および第4のライン24を介して、収納バッグ26内に移送され、収納される。この際、流れる血漿により、貯血空間146内と収納バッグ26内との間の流路内(主に、貯血空間146の流出口144付近)に付着している血漿以外の血液成分(血球)が、捕捉され、収納バッグ26内に移送される。この初流除去動作を行うことにより、本サイクルの血漿採取工程において、血漿採取バッグ25内への血漿以外の血液成分(血球)の混入が防止される。
前記貯血空間146内から収納バッグ26内へ移送された血漿の量が設定量に到達すると(ステップS205)、ステップS206へ移行する。
この貯血空間146内から収納バッグ26内へ移送された血漿の量が設定量に到達したか否かの判断は、第1の送液ポンプ11の回転回数を計数することによって行う。すなわち、第1の送液ポンプ11の回転回数の計数値が、予め設定されている、血漿の量の設定量に対応する値になると、血漿の量が設定量に到達したものと判断する。
前記血漿の量の設定量は、特に限定されないが、1〜120mL程度とするのが好ましく、15〜75mL程度とするのがより好ましい。
次いで、前述した第1サイクルの血漿採取操作の血漿採取工程と同様に、第1の流路開閉手段51を閉塞し、第2の流路開閉手段52を開放し、第2のライン22を介して、遠心分離器20の貯血空間146内の血漿を、血漿採取バッグ25内に移送し、採取し(ステップS206)、血漿採取終了の判断を行い(ステップS207)、上記(1)〜(4)のうちのいずれか1つが検出され、血漿採取を終了する場合は、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12の作動を停止するとともに、遠心分離器駆動装置10の作動を停止して、遠心分離器20のローター142の回転を停止する(ステップS208)。
以上で、血漿採取工程を終了し、血液成分返還工程に移行する。すなわち、図6に示す血液成分返還処理Bを行う(ステップS209)。
以下、この血液成分返還処理Bについて説明するが、前述した第1サイクルの血液成分返還処理Aとの相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略することがある。
図6に示すように、血液成分返還処理Bにおいては、まず、第2のライン22および第4のライン24を介して、収納バッグ26内に収納されている血漿を、遠心分離器20の貯血空間146内に移送して戻す(ステップS501)。
具体的には、第1の流路開閉手段51を開放し、第2の流路開閉手段52を閉塞し、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度で作動(逆転)する。これにより、ローター142の貯血空間146内の血球が第1ライン21および採血針29を介してドナーへ返還され始めるとともに、収納バッグ26内に収納されている血漿が第2のライン22および第4のライン24を介して遠心分離器20の貯血空間146内に移送される(図7参照)。
このとき、収納バッグ26内から貯血空間146内へ戻される血漿の量ZmLは、前述したステップS204において、貯血空間146内から収納バッグ26内へ移送する血漿の量とほぼ同じである。
収納バッグ26内が空になったことによって第3の気泡センサ27により空気が検出されたら(ステップS502)、返血量が所定量に到達するまで返血を行う(ステップS503)。次いで、血漿採取バッグ25内の所定量(設定量)の血漿を、第2のライン22を介して、遠心分離器20の貯血空間146内に移送し、戻す(ステップS504)。
このステップS504では、第1の流路開閉手段51を閉塞し、第2の流路開閉手段52を開放する。これにより、血漿採取バッグ25内の所定量の血漿が、第2のライン22を介して、遠心分離器20の貯血空間146内に移送され、戻る(図8参照)。この際、流れる血漿により、貯血空間146内と血漿採取バッグ25内との間の流路内に付着している血漿以外の血液成分(血球)が、捕捉され、貯血空間146内に移送される。これにより、次回のサイクルの血漿採取工程において、血漿採取バッグ25内への血漿以外の血液成分(血球)の混入が防止される。
なお、血漿は血球より比重が軽いので、図8に示すように、貯血空間146内は、界面133を介して、下側の主に血球からなる血球層と、上側の主に血漿からなる血漿層との2層に分かれた状態に維持される。
血漿採取バッグ25内から遠心分離器20内へ移送された血漿の量が設定量に到達すると(ステップS505)、ステップS506へ移行する。
ステップS506では、第1の流路開閉手段51を開放し、第2の流路開閉手段52を閉塞し、第2のライン22および第4のライン24を介して、収納バッグ26内に収納されている空気を、遠心分離器20の貯血空間146内に移送し、戻していく。
これにより、図9に示すように、貯血空間146内の血球が第1ライン21および採血針29を介してドナーへさらに返還されていき、貯血空間146内の液面134がさらに下がっていく。
ここで、本実施形態の制御部55は、第1の送液ポンプ11の回転回数を計数するカウンタを備えている。第1の送液ポンプ11の回転回数と送液量とは対応関係にあるので、制御部55は、第1の送液ポンプ11の回転回数を計数することにより、第1のライン21内の血液または血液成分の送液量を検出する送液量検出手段として機能することができる。
制御部55は、血液成分返還処理Bの開始時からの返血量を、第1の送液ポンプ11の回転回数を計数することによって逐次検出し、この返血量が、予め設定された所定量(XmL)に達したか否かを判断する(ステップS507)。
そして、血液成分返還処理Bの開始時からの返血量が所定量(XmL)に達したら、遠心分離器駆動装置10を作動させて、遠心分離器20のローター142を回転させ始める(ステップS508、図10参照)。ローター142の回転数としては、好ましくは3000〜6000rpm程度、より好ましくは4500〜5700rpm程度とされる。
このときのローター142の回転を開始するタイミングは、図10に示すように、貯血空間146内から血球がほぼすべてなくなり、血漿を主成分とする血液が貯血空間146内に残存するようなタイミングとされ、前記所定量XmLは、このようなタイミングを実現できるような値に設定されている。
前記所定量XmLは、設計段階において、例えば次のようにして定めることができる。まず、貯血空間146内から血球がほぼすべてなくなったときに貯血空間142内に残る血漿の量YmLを実験により求める。そして、ステップS501で収納バッグ26内から貯血空間146内へ戻す血漿の量をZmLとし、ステップS503で血漿採取バッグ25内から貯血空間146内へ戻す血漿の量をWmLとし、ローター142の停止中の貯血空間146の容積をVmLとしたとき、X=V−Y+Z+Wなる式により、所定量XmLを定めることができる。
ステップS508でローター142の回転を開始すると、図11に示すように、貯血空間146内の血漿は、遠心力によって貯血空間146内の外周側に溜まった状態になる。これにより、貯血空間146内に血漿を残したまま、収納バッグ26から貯血空間146へ移送された空気が、管体141、流入口143を通って、第1のライン21内に流入する。よって、貯血空間146内に血漿を残したまま、第1のライン21内の血球のみを採血針29側へ向かって空気で押し流し、ドナーへ返還することができる。
このようにしてドナーへの返血を続行していくと、第1のライン21内の空気が第1の気泡センサ17に到達し、第1の気泡センサ17により検出される(ステップS509)。制御部55は、第1の気泡センサ17によって空気を検出した後、第1の送液ポンプ11をさらに所定回数回転させてから(ステップS510)、第1の送液ポンプ11を停止する。
以上により、図12に示すように、血液成分採取回路2内の血球は、ほぼすべてドナーへ返還され、血液成分返還処理Bが終了する(ステップS511)。このとき、同図に示すように、貯血空間146内には、血漿が残存している。
このように、血液成分返還処理Bにおいては、図7および図8に示すように、収納バッグ26内の血漿と、血漿採取バッグ25内の血漿の一部との双方が、貯血空間146内に戻される。これにより、第2サイクル〜最終サイクルの1つ前のサイクルにおいては、血液成分返還工程を終了した図12に示す状態で、所定量の血漿が貯血空間146内に残存することとなる。
血液成分返還処理Bを終了したら、本サイクルが最終サイクルの2つ以上前のサイクルの場合には、前述した図5に示す血漿採取操作の血漿採取工程に移行し、本サイクルが最終サイクルの1つ前のサイクルの場合には、後述する図13に示す最終サイクルの血漿採取操作の血漿採取工程に移行する。
次に、図13に示す最終サイクルの血漿採取操作の血漿採取工程では、前述した第2サイクルの血漿採取操作の血漿採取工程と同様に、まず、採血を開始し(ステップS301)、第2のライン22および第4のライン24を介して、遠心分離器20の貯血空間146内等の血液成分採取回路2内の空気を、収納バッグ26内に移送し、収納し(ステップS302)、第3の気泡センサ27により、遠心分離器20の貯血空間146から流出する血漿が検出されると(ステップS303)、貯血空間146内の空気の収納バッグ26内への収納が完了する。
次いで、前述した第2サイクルの血漿採取操作の血漿採取工程と同様に、遠心分離器20の貯血空間146内の所定量(設定量)の血漿を、第2のライン22および第4のライン24を介して、収納バッグ26内に移送し、収納する(ステップS304)。
これにより、流れる血漿により、貯血空間146内と収納バッグ26内との間の流路内(主に、貯血空間146の流出口144付近)に付着している血漿以外の血液成分(血球)が、捕捉され、収納バッグ26内に移送される。これにより、本サイクルの血漿採取工程において、血漿採取バッグ25内への血漿以外の血液成分(血球)の混入が防止される。
前述した第2サイクルの血漿採取操作の血漿採取工程と同様に、前記貯血空間146内から収納バッグ26内へ移送された血漿の量が設定量に到達すると(ステップS305)、第1の流路開閉手段51を閉塞し、第2の流路開閉手段52を開放し、第2のライン22を介して、遠心分離器20の貯血空間146内の血漿を、血漿採取バッグ25内に移送し、採取し(ステップS306)、血漿採取終了の判断を行い(ステップS307)、上記(1)〜(4)のうちのいずれか1つが検出され、血漿採取を終了する場合は、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12の作動を停止するとともに、遠心分離器駆動装置10の作動を停止して、遠心分離器20のローター142の回転を停止する(ステップS308)。
以上で、血漿採取工程を終了し、血液成分返還工程に移行する。すなわち、図14に示す血液成分返還処理Cを行う(ステップS309)。
以下、この血液成分返還処理Cについて説明するが、前述した血液成分返還処理Aとの相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略することがある。
この血液成分返還処理Cにおいては、まず、第1の流路開閉手段51を開放し、第2の流路開閉手段52を閉塞し、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度で作動(逆転)する。これにより、ローター142の貯血空間146内の血球が第1ライン21および採血針29を介してドナーへ返還され始めるとともに、収納バッグ26内に収納されている血漿および空気が、第2のライン22および第4のライン24を介して、遠心分離器20の貯血空間146内に移送され、戻っていく(ステップS601)。
そして、第3の気泡センサ27により空気が検出されると(ステップS602)、返血量が所定量に到達するまで返血を行う(ステップS603)。
次いで、第1の流路開閉手段51を閉塞し、第2の流路開閉手段52を開放する。これにより、血漿採取バッグ25内の所定量の血漿が、第2のライン22を介して、遠心分離器20の貯血空間146内に移送され、戻る。この際、流れる血漿により、貯血空間146内と血漿採取バッグ25内との間の流路内に付着している血漿以外の血液成分(血球)が、捕捉され、貯血空間146内に移送される。これにより、最終サイクルの後に追加サイクルを行う場合であっても、その追加サイクルの血漿採取工程において、血漿採取バッグ25内への血漿以外の血液成分(血球)の混入が防止される。
血漿採取バッグ25内から貯血空間146内へ移送された血漿の量が設定量に到達すると(ステップS605)、ステップS606へ移行する。
ステップS606においては、第1の流路開閉手段51を開放し、第2の流路開閉手段52を閉塞することにより、第2のライン22および第4のライン24を介して、収納バッグ26内に収納されている空気を、遠心分離器20の貯血空間146内に移送し、戻す。そして、第2の気泡センサ18により、空気が検出されると(ステップS607)、この血液成分の返還を終了し(ステップS608)、このプログラムを終了する。
これにより、血液成分採取回路2内の残りの血液成分が、ほぼすべてドナーへ返還され、血漿採取操作を終了する。このように、最終サイクルの血液成分返還処理Cにおいては、血液成分返還処理Bとは異なり、貯血空間146内に血漿を残すことなく貯血空間146内の血液成分をすべて返還するので、途中からローター142を回転させること(ステップS508)は行わず、終始ローター142を停止させておく。
なお、血液成分返還処理Cにおいて、ステップS603〜S606は、追加サイクルを行うことを考慮して設けた工程であるため、省略することが可能である。
以上説明したように、この血液成分採取装置1によれば、第2サイクル以降の各サイクルの血漿採取工程において、遠心分離器20の貯血空間146内の血漿を、血漿採取バッグ25に採取するに先立って、遠心分離器20の貯血空間146内の所定量の血漿を、第2のライン22および第4のライン24を介して、収納バッグ26内に移送し、収納する。これにより、流れる血漿により、貯血空間146内と収納バッグ26内との間の流路内(主に、貯血空間146の流出口144付近)に付着している血漿以外の血液成分(血球、特に白血球)が、捕捉され、貯血空間146内に移送される。これによって、血漿採取バッグ25内への血漿以外の血液成分(血球、特に白血球)の混入を防止することができる。
また、最終サイクルを除く各サイクルの血液成分返還工程において、血漿採取バッグ25内の所定量の血漿を、第2のライン22を介して、遠心分離器20の貯血空間146内に移送し、戻すようにした場合には、流れる血漿により、貯血空間146内と血漿採取バッグ25内との間の流路内(主に、貯血空間146の流出口144付近)に付着している血漿以外の血液成分(血球、特に白血球)が、捕捉され、貯血空間146内に移送される。これによって、血漿採取バッグ25内への血漿以外の血液成分(血球、特に白血球)の混入を、より確実に防止することができる。
さらに、血液成分返還工程の途中から遠心分離器20のローター142を回転させることにより、収納バッグ26や血漿採取バッグ25から貯血空間146内に戻した血漿は、ドナーへ返還せず、貯血空間146内に血漿を残した状態で血液成分返還工程を終了する。よって、貯血空間146内の血液成分をすべてドナーへ返還する場合と比べて、血漿採取効率を向上させることができる。また、血液成分返還工程に要する時間を短縮することができる。これにより、全体としての所要時間も短縮することができるので、1台の血液成分採取装置1で1日当たりに採血できるドナーの人数を増やすことができ、効率の向上が図れる。
以上、本発明の血液成分採取装置の作動方法を、図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、血液成分採取装置の各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、血液成分採取装置に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明では、血液成分採取装置は、血漿を採取する血漿採取装置に適用する場合に限らず、例えば、血小板および血漿、赤血球を採取する血液成分採取装置にも適応することができる。