JP4809617B2 - リチウムイオン二次電池用負極材料およびその製造方法ならびにリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
現在、リチウムイオン二次電池は、正極にLiCoO2、負極に黒鉛を用いたものが一般的である。しかし、黒鉛負極は充放電の可逆性に優れるものの、その放電容量はすでに層間化合物LiC6に相当する理論値372mAh/gに近い値まで到達しており、さらなる高エネルギー密度化を達成するためには、黒鉛より放電容量の大きい負極材料を開発する必要がある。
そのため、金属リチウムに代わる負極材料として、リチウムと合金を形成する金属または金属化合物が検討されてきた。これらの合金負極は、金属リチウムには及ばないものの黒鉛を遥かに凌ぐ放電容量を有する。しかし、合金化に伴う体積膨張により活物質の粉化・剥離が発生し、まだ実用レベルのサイクル特性が得られていない。
特許文献1には、金属または金属化合物と黒鉛質物を、炭素質物で結合または被覆した複合材料が開示されている。しかし、炭素質物が複合材料の内部に浸透している場合、該金属または金属化合物の周囲に膨張を緩衝する空隙を確保することができず、複合粒子構造の破壊によるサイクル特性の低下を招く虞がある。
本発明は、前記のような知見に鑑みてなされたものであり、リチウムイオン二次電池用負極材料として用いたときに、放電容量が大きく、優れたサイクル特性と初期充放電効率が得られる負極材料と負極、それを用いたリチウムイオン二次電池を提供することが目的である。
(4)前記被覆複合粒子の外表面の少なくとも一部が、前記炭素質材料および前記非繊維状黒鉛質材料で被覆されていることを特徴とする上記(2)に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
以下、本発明について説明する。
本発明に使用される被覆複合粒子は、繊維状黒鉛質材料がリチウムと合金化可能な金属粒子を保持した構造を有する複合粒子の少なくとも一部が、炭素質材料で被覆されている被覆複合粒子である。該被覆複合粒子は、その内部に複数の大小の空隙を分散して保有していることが好ましい。特に、金属粒子の周囲に空隙が存在するのが好ましい。該被覆複合粒子の内部に空隙があると、充電時の膨張を吸収でき、サイクル特性を改善することができる。これは繊維状黒鉛質材料の比表面積が大きいため、流動性を持った炭素質材料の前駆体を混合する際、該流動性前駆体が主に該繊維状炭素質材料の表面に吸着し、内部にまで浸透しにくいという現象に拠るものである。なお、該被覆複合粒子の形状は不特定であり、その大きさも特に制限されるものではない。また、該被覆複合粒子の比表面積は10m2/g以下であることが好ましい。比表面積が10m2/gを超えると、該被覆複合粒子をリチウムイオン二次電池の負極材料として用いたときに、該二次電池の充放電効率が低下することがある。
繊維状黒鉛質材料と炭素質材料の割合は、被覆複合粒子の断面を偏光顕微鏡を用いて倍率1000倍で撮影し、任意の粒子10個について結晶性の高低に由来する外観の相違から、被覆複合粒子内部の繊維状黒鉛質材料と炭素質材料が占める、目視で測定した面積割合の平均値である。なお、繊維状黒鉛質材料と炭素質材料が占める面積割合は、被覆複合粒子の断面の薄片を調整して透過型電子顕微鏡を用いて観察することによって求めることができる。ここで、繊維状黒鉛質材料と炭素質材料の面積割合を求めるが、繊維状黒鉛質材料と炭素質材料の密度に大きな差異がないため、本発明においては、前述のように求める面積割合を質量割合とみなすことにする。
被覆複合粒子の少なくとも一部が炭素質材料で被覆されていることは、該被覆複合粒子の断面の偏光顕微鏡写真(倍率1000倍)で確認することができる。炭素質材料と黒鉛質材料とは前記のように区別して観察できる。内部に空隙を有することは、該被覆複合粒子の断面の、走査型電子顕微鏡写真(倍率400倍)で確認することができる。
リチウムと合金化可能な金属を配合するのは、黒鉛質材料を負極材料に用いたリチウムイオン二次電池の高容量化を達成するためである。リチウムと合金化可能な金属はAl、Pb、Zn、Sn、Bi、In、Mg、Ga、Cd、Ag、Si、B、Au、Pt、Pd、Sb、Ge、Niなどであり、これら金属の2種以上の合金であってもよい。合金には、前記以外の元素をさらに含有していてもよい。また、金属の一部が酸化物、窒化物、炭化物などの化合物であってもよい。好ましい金属は、特に容量が高いリチウムイオン二次電池が得られ、比較的容易に入手できるシリコンおよびスズであり、より高容量化に有効なシリコンが特に好ましい。なお、金属は結晶質、非晶質のいずれの状態であってもよい。
本発明において、該金属は粒子として使用される。金属粒子の形状は特に制約されないが、粒状、球状、板状、鱗片状、針状、糸状などである。金属粒子の平均粒子径は10μm以下であることが好ましく、0.1〜5μmであることがより好ましい。金属粒子の平均粒子径が10μmを超えるとリチウムイオン二次電池のサイクル特性の向上が小さい場合がある。ここで、平均粒子径とはレーザー回折式粒度計で測定される累積度数が体積百分率で50%となる粒子径を意味する。
繊維状黒鉛質材料はその形状が繊維状であり、材質が黒鉛質であるため導電性を有し、リチウムイオンを吸蔵・離脱することができる。繊維状黒鉛質材料は凝集した状態であっても、凝集が解かれた分散した状態であってもよいが、特に金属粒子を内包するように綿状に凝集した状態であることが好ましい。
また、繊維状黒鉛質材料は比表面積が大きいので、流動性を持った炭素質材料の前駆体を複合粒子と混合する際、該流動性前駆体が、複合粒子を構成する該繊維状炭素質材料の表面に吸着して、複合粒子内部にまで浸透しにくく、被覆複合粒子内部に空隙を確保しやすい。
繊維状黒鉛質材料はその前駆体を最終的に1500〜3300℃で熱処理することにより得ることができる。該前駆体としては、繊維状黒鉛質材料が得られるものであれば、いかなるものであってもよいが、特に黒鉛化可能な繊維状炭素質材料が好ましい。例えば、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブや気相成長炭素繊維などが挙げられる。該前駆体は、短軸長(直径)が1〜500nm、特に10〜200nmであることが好ましい。また、該前駆体のアスペクト比は5以上、特に10〜300であることが好ましい。ここで、アスペクト比とは繊維長/短軸長を言う。
また、繊維状黒鉛質材料は、液相、気相、固相における各種化学的処理、熱処理、酸化処理、物理的処理などを施したものであってもよい。
本発明の被覆複合粒子には、繊維状黒鉛質材料以外の黒鉛質材料(非繊維状黒鉛質材料)をさらに含むことが好ましい。非繊維状黒鉛質材料をさらに用いるのは、非繊維状黒鉛質材料が繊維状黒鉛質材料に比べて比表面積が小さく、充放電効率を向上させることができるためである。該繊維状黒鉛質材料と非繊維状黒鉛質材料は、前記複合粒子として一体化して用いてもよいし、前記複合粒子および炭素質材料の前駆体と混合して用いてもよい。非繊維状黒鉛質材料はリチウムイオンを吸蔵・離脱できるものであればよく、特に限定されない。その一部または全部が黒鉛質で形成されているもの、例えば、タールピッチ類を最終的に1500℃以上で熱処理(黒鉛化)して得られる人造黒鉛や天然黒鉛などである。具体的には、石油系または石炭系のタールピッチ類などの易黒鉛化性炭素材料を、熱処理して重縮合させたメソフェーズ焼成体、メソフェーズ小球体、コークス類を1500℃以上、好ましくは2800〜3300℃で黒鉛化処理したものなどである。
非繊維状黒鉛質材料の形状は繊維状以外であればよく、球状、塊状、板状、鱗片状などであるが、鱗片状または鱗片状に近い形状が好ましい。それは、被覆複合粒子間または該粒子内の接点を確保しやすく、導電性がさらに向上するからである。また、前記した各種の混合物、造粒物、被覆物、積層物であってもよい。また、液相、気相、固相における各種化学的処理、熱処理、酸化処理、物理的処理などを施したものであってもよい。非繊維状黒鉛質材料の平均粒子径は1〜30μm、特に3〜15μmであることが好ましい。
本発明に使用される炭素質材料は導電性を有し、金属粒子が繊維状黒鉛質材料で保持された複合粒子の少なくとも一部を被覆するものとして不可欠な成分である。炭素質材料を用いるのは、複合粒子の少なくとも一部を被覆することで、主に繊維状黒鉛質材料または非繊維状黒鉛質材料に由来する比表面積を低減し、充放電効率を向上させるためである。該炭素質材料はその前駆体を熱処理して得ることができる。該炭素質材料の前駆体の種類は問わないが、タールピッチ類および/または樹脂類であることが好ましい。具体的には、石油系または石炭系のタールピッチ類としてコールタール、タール軽油、タール中油、タール重油、ナフタリン油、アントラセン油、コールタールピッチ、ピッチ油、メソフェーズピッチ、酸素架橋石油ピッチ、ヘビーオイルなどが挙げられる。また、樹脂類としては、ポリビニルアルコールなどの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂などが挙げられる。好ましい前駆体はコールタールピッチ、フェノール樹脂などである。
該前駆体の熱処理温度は後述するように600℃以上、好ましくは800℃以上である。
本発明の被覆複合粒子は、リチウムと合金化可能な金属粒子を繊維状黒鉛質材料により保持した複合粒子に、炭素質材料の前駆体を混合して熱処理する方法によって製造される。
すなわち、該被覆複合粒子の製造には、該金属粒子と該繊維状黒鉛質材料を混合・攪拌処理(混合および/または攪拌処理)する方法、特に、好ましくはこれらに圧縮、剪断、衝突、摩擦などの機械的エネルギーを付与する方法、いわゆるメカノケミカル処理などや、該繊維状黒鉛質材料を分散させた有機溶媒中に該金属粒子を投入した後、有機溶媒を除去する方法などが用いられる。特に好ましくはメカノケミカル処理である。
メカノケミカル処理装置は、前記黒鉛質材料と前記金属粒子に剪断力と圧縮力を同時にかけることができる装置であれば、装置の種類、構造は特に限定されない。例えば、加圧ニーダー、二本ロールなどの混練機、回転ボールミル、ハイブリダイゼーションシステム((株)奈良機械製作所製)などの高速衝撃式乾式複合化装置、メカノマイクロシステム((株)奈良機械製作所製)、メカノフュージョシステム(ホソカワミクロン(株))などの圧縮剪断式乾式粉体複合化装置などを使用することができる。
また、固定ドラム(ステーター)と、高速回転する回転ローターの間に該黒鉛質材料と該金属粒子を通すことで固定ドラムと回転ローターとの速度差に起因する剪断力と圧縮力を該黒鉛質材料と該金属粒子に同時にかける装置(ハイブリダイゼーションシステム)も好ましい。
該熱処理は二軸加熱ニーダーのような一般的な混合装置を用いて一段で行っても、段階的に数回に分けて複数回行ってもよい。該炭素質材料の前駆体は溶融するか、媒体に分散または溶解させて供給される。該熱処理は触媒の存在下に行ってもよい。該媒体は、熱処理後、炭素質材料の前駆体が軟化、分解しない温度以下で除去されることが好ましい。
さらに、本発明の被覆複合粒子は、リチウムと合金化可能な金属粒子を繊維状黒鉛質材料により保持し一体化した複合粒子に、炭素質材料の前駆体および非繊維状黒鉛質材料を混合して熱処理する方法によって製造される。すなわち、前記製造方法において、炭素質材料の前駆体を複合粒子として混合する際に、非繊維状黒鉛質材料も同時に混合する以外は、前記製造方法と同様に製造される。
本発明の負極の作製は、従来公知の負極の作製方法に拠り実施されるが、前記被覆複合粒子と結着剤と溶媒からペースト状の負極合剤を調製し、これを集電材の片面または両面に塗布乾燥し、負極合剤層を形成する方法が好ましい。負極合剤層を形成した後、プレス加工などの圧着を行うと、負極合剤層と集電材との接着強度をさらに高めることができる。負極合剤の層厚は10〜200μm、好ましくは20〜200μmである。
溶媒としては、負極合剤の調製に使用される通常の溶媒が使用されるが、溶媒自体が結着剤として使用するものが好ましく使用される。具体的には、Nーメチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、水、アルコールなどが挙げられるが、水系溶媒の使用が環境汚染、安全性の点から好ましい。
リチウムイオン二次電池は、通常、負極、正極および非水電解質を主たる電池構成要素として、正極および負極はそれぞれリチウムイオンの担持体であり、充電時にはリチウムイオンが負極に吸蔵され、放電時に負極から離脱する電池機構に拠っている。
本発明のリチウムイオン二次電池の構成要素は、上記被覆複合粒子を用いる以外は特に限定されない。正極、電解質、セパレータなどの他の電池構成要素については一般的なリチウムイオン二次電池の構成要素に準じる。
正極は、例えば正極材料と結着剤と導電剤よりなる正極号剤を集電体の表面に塗布することにより形成される。正極材料(正極活物質)は、十分量のリチウムを吸蔵/離脱し得るものを選択することが好ましい。正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物、遷移金属カルコゲン化物、バナジウム酸化物(V2O5、V6O13、V2O4、V3O8など)およびそのリチウム化合物などのリチウム含有化合物、一般式MXMo6S8−y(式中Mは少なくとも一種の遷移金属元素であり、Xは0≦X≦4、Yは0≦Y≦1の範囲の数である)で表されるシェブレル相化合物、活性炭、活性炭素繊維などを用いることができる。該リチウム含有遷移金属酸化物はリチウムと遷移金属との複合酸化物であり、リチウムと2種類以上の遷移金属を固溶したものであってもよい。
M、M1およびM2で示される遷移金属は、Co、Ni、Mn、Cr、Ti、V、Fe、Zn、Al、In、Snなどであり、好ましいのはCo、Fe、Mn、Cr、Ti、V、Alなどである。好ましい具体例はLiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiNi0.9Co0.1O2、LiNi0.5Mn0.5O2などである。
該リチウム含有遷移金属酸化物は、例えば、リチウムと、遷移金属の酸化物または塩類を出発原料として、これら出発原料を所望の金属酸化物の組成に応じて混合し、酸素雰囲気下、600〜1000℃の温度で焼成することにより得ることができる。出発原料は酸化物または塩類に限定されず、水酸化物などでもよい。
このような正極材料によって正極を形成するには、例えば、正極材料と結着材および電極に導電性を付与するための導電剤よりなる正極合剤を集電材の両面に塗布することで正極合剤層を形成する。結着剤としては、例えば、炭素材料、黒鉛やカーボンブラックが用いられる。
正極の場合も負極の場合と同様に、正極合剤を溶剤中に分散させることでペースト状にし、このペースト状負極合剤を集電材に塗布し乾燥することによって正極合剤層を形成してよく、正極合剤層を形成した後、さらにプレス加圧などの圧着を行っても構わない。これにより、正極合剤層が均一かつ強固に集電材に接着される。
本発明のリチウムイオン二次電池は、非水電解質として液系の電解質のほかに、固体電解質またはゲル電解質などの高分子電解質を使用することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池に使用される非水電解質は、通常の非水電解液に使用される電解質塩であり、具体的には、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiB(C6H5)、LiCl、LiBr、LiCF3SO3、LiCH3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、LIN(CF3CH2OSO2)2、LIN(CF3CF3OSO2)2、LIN(HCF2CF2CH2OSO2)2、LIN[(CF3)2CHOSO2]2]、LIB[(C6H3)(CF3)2]4、LiAlCl4、LiSiF6などのリチウム塩が挙げられる。特にLiPF6とLiBF4が酸化安定性の点から好ましい。
ゲル電解質を用いたリチウムイオン二次電池は、前記被覆複合粒子を含有する負極と、正極およびゲル電解質から構成される。例えば、負極、ゲル電解質、正極の順で積層し、電池の外装材内に収容することで構成される。なお、これに加えて、さらに負極と正極の外側にゲル電解質を配するようにしてもよい。本発明の負極材料を用いるゲル電解質のリチウムイオン二次電池では、ゲル電解質にプロピレンカーボネートを含有させることができる。一般にプロピレンカーボネートは黒鉛質材料に対して電気的分解反応が激しいが、本発明の負極材料に対しては分解反応性が低いので、第1サイクルにおける不可逆的な容量を小さく抑えることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池においては、セパレータを使用することもできる。セパレータは特に限定されるものではないが、例えば、織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜などが挙げられる。合成樹脂製微多孔膜が好ましいが、なかでもポリオレフィン系製微多孔膜が厚さ、膜強度、膜抵抗などの点から好ましい。具体的には、ポリエチレンおよびポリプロピレン製微多孔膜、またはこれらを複合した微多孔膜などである。
なお、実施例および比較例において、複合粒子の粒度(粒子径)はレーザー回折式粒度計を用いて測定した累積度数が体積百分率で50%となる粒子径である。繊維状炭素質材料の繊維長と短軸長は、走査型電子顕微鏡で各材料の形状が認識できる倍率で100個分を撮影し、測定し、平均値を求めた。また平均アスペクト比はそれらの繊維長/短軸長の比の平均値とした。炭素質材料で被覆された複合粒子の構造と形状は走査型電子顕微鏡で観察した。また炭素質材料で被覆された複合粒子の比表面積は窒素ガスを吸着させるBET法により測定した。
黒鉛化処理された気相成長炭素繊維(昭和電工(株)製、VGCF、短軸長150nm、平均アスペクト比約50)92.7質量部と、シリコン粒子(高純度化学研究所(株)製、平均粒子径2μm)7.3質量部を混合し、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン(株)製)内に投入して、機械的エネルギーを付与し、メカノケミカル処理を施した。すなわち、回転ドラムの周速度20m/s、処理時間30min、回転ドラムと内部部材の距離5mmの条件で圧縮力、剪断力を繰返し付加し、シリコン粒子が気相成長炭素繊維に挟持された複合粒子を得た。
該炭素質材料が該複合粒子の外表面を被覆しており、シリコン粒子が気相成長炭素繊維に絡んで挟持され、多数の空隙が複合粒子の内部全体に分散して形成されていることが確認された。得られた被覆複合粒子のシリコン/繊維状黒鉛質材料/炭素質材料の質量組成は5.1/64.6/30.3であった。
なお、被覆複合粒子におけるシリコンの割合は前述した発光分光法のより求めた。繊維状黒鉛質材料と炭素質材料の割合は前述した偏光顕微鏡を用いる方法により求めた。
前記炭素化物で被覆された複合粒子90質量%と、ポリフッ化ビニリデン10質量%を、N−メチルピロリドン溶媒に入れ、ホモミキサーを用いて、2000rpmで3min間攪拌混合し、有機溶媒系負極合剤ペーストを調製した。
前記負極合剤ペーストを、銅箔上に均一な厚さで塗布し、真空中90℃で溶媒N−メチルピロリドンを揮発させ、乾燥した。得られた負極合剤層をハンドプレスによって加圧した。集電材銅箔と負極合剤層を直径15.5mmの円柱状に打抜いて、銅箔(厚み16μm)と該銅箔に密着した負極合剤(厚み50μm)からなる作用電極を作製した。
リチウム箔を集電材ニッケルネットに押付け、直径15.5mmの円柱状に打抜いて、ニッケルネットに密着したリチウム箔(厚み0.5μm)からなる対極を作製した。
エチレンカーボネート33vol%ーメチルエチルカーボネート67vol%を混合してなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/dm3となる濃度で溶解させ、非水電解液を調製した。得られた非水電解液をポリプロピレン多孔質シート(厚み20μm)に含浸させ、電解液が含浸したセパレータを作製した。
評価電池として、図1に示すボタン型二次電池を次の手順により作製した。
集電材7bに密着した作用電極2と集電材7aに密着した対極4との間に、電解液を含浸させたセパレータ5を挟んで、積層した。その後、作用電極2の集電材7b側が外装カップ1内に、対極4の集電材7a側から外装缶3内に収容されるように、外装カップ1と外装カップ3とを合わせた。その際、外装カップ1と外装缶3との周縁部に絶縁ガスケット6を介在させ、両周縁部をかしめて密着した。
(放電容量・初期充放電効率)
0.9mAの電流値で回路電圧が0mVになるまで定電流充電を行い、回路電圧が0mV
に達した時点で定電圧充電に切換え、さらに電流値が20μAになるまで。充電を続けた。その間の通電量から充電容量を求めた。その後、120間休止した。次に、0.9mAの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行い、この間の通電量から放電容量を求めた。次式から、初期充放電効率を計算した。なお、この試験では、リチウムを黒鉛質粒子へ吸蔵する過程を充電、離脱する過程を放電とした。
初期充放電効率(%)=(第1サイクルの放電容量/第1サイクルの充電容量)
×100
また、これらの評価試験とは別に、回路電圧が0mVに達するまで4.0mAの電流値で定電流充電を行た後、定電圧充電に切換え、電流値が20μmになるまで充電を続けた後、120min間休止した。つぎに、4.0mAの電流値で回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行った。この充放電を20サイクル繰返した。1サイクル目と20サイクル目における放電容量を求め、次式からサイクル特性を計算した。
サイクル特性(%)=(第20サイクルの放電容量/第1サイクルの放電容量)
×100
実施例1において、繊維状黒鉛質材料として気相成長炭素繊維の代わりに黒鉛化処理されたカーボンナノチューブ(直径10nm、平均アスペクト比約300)を用いる以外は、実施例1と同様な方法と条件で、シリコン粒子とカーボンナノチューブからなる複合粒子を作製し、引き続きコールタールピッチの炭素化物で被覆された複合粒子を作製した。得られた被覆複合粒子は球状であり、平均粒径は12μmであり、比表面積は6.1m2/gであった。該被覆複合粒子の外表面は一様に被覆されており、シリコン粒子がカーボンナノチューブに絡んで挟持され、多数の空隙が複合粒子の内部全体に分散して形成されていることが確認された。該被覆複合粒子のシリコン/繊維状黒鉛質材料/炭素質材料の質量組成は5.1/64.6/30.3であった。
実施例1において、コールタールピッチ溶液と複合粒子とを二軸加熱ニーダーを用いて、200℃で1h混練する際に、鱗片状天然黒鉛((株)中越黒鉛工業所製、平均粒子径5μm)を、固形分比率としてコールタールピッチ:複合粒子:鱗片状天然黒鉛=34:60:6となるように調整して加える以外は、実施例1と同様な方法と条件で、複合粒子を作製し、引続き、焼成を行い、被覆複合粒子を得た。得られた被覆複合粒子は塊状であり、平均粒子径は12μmであり、比表面積は5.3m2/gであった。
該炭素質材料と鱗片状天然黒鉛が該複合粒子の外表面を被覆しており、シリコン粒子が気相成長炭素繊維に絡んで挟持され、かつ多数の大小の空隙が複合粒子の内部全体に分散して形成されていることが確認された。得られた被覆複合粒子のシリコン/繊維状黒鉛質材料/鱗片状黒鉛質材料/炭素質材料の質量組成は5.1/64.8/6.5/23.6であった。
実施例3において、鱗片状天然黒鉛の代わりにメソフェーズ小球体の黒鉛化物を平均粒子径が3μmとなるように粉砕したものを用いる以外は、実施例1と同様な方法と条件で、複合粒子を作製し、引続き、焼成を行い、被覆複合粒子を得た。得られた被覆複合粒子は塊状であり、平均粒子径は10μmであり、比表面積は4.0m2/gであった。
該炭素質材料と、メソフェーズ小球体の黒鉛化物が該複合粒子の外表面を被覆しており、シリコン粒子が気相成長炭素繊維に絡んで挟持され、かつ多数の大小の空隙が複合粒子の内部全体に分散して形成されていることが確認された。得られた被覆複合粒子のシリコン/繊維状黒鉛質材料/非繊維状黒鉛質材料/炭素質材料の質量組成は5.1/64.8/6.5/23.6であった。
実施例1において、被覆複合粒子として、気相成長炭素繊維に基づく複合粒子に,さらにメソフェーズ小球体の黒鉛化物を加えて得た被覆複合粒子を用いる以外は、実施例1と同様な方法と条件で、負極合剤ペースト、作用電極および評価電池を作製した。該評価電池の充放電特性を実施例1と同様に測定した。その結果を表2に示した。
実施例1において、メカノケミカル処理に供する気相成長炭素繊維とシリコン粒子の質量比を95.7:4.3とする以外は、実施例1と同様な方法と条件で、コールタールピッチで被覆された複合粒子を作製し、引続き、焼成を行い、被覆複合粒子を得た。得られた被覆複合粒子は球状であり、平均粒子径は10μmであり、比表面積は5.0m2/gであった。
該炭素質材料は該複合粒子の外表面を被覆しており、シリコン粒子が気相成長炭素繊維に絡んで挟持され、多数の空隙が複合粒子の内部全体に分散して形成されていることが確認された。該被覆複合粒子のシリコン/繊維状黒鉛質材料/炭素質材料の質量組成は3.0/66.7/30.3であった。
実施例1において、シリコンの配合量を変えた被覆複合粒子を用いる以外は、実施例1と同様の方法と条件で、負極合剤ペースト、作用電極および評価電池を作製した。該評価電池の充放電特性を実施例1と同様に測定した。結果を表2に示した。
実施例1において、シリコン粒子の代わりにスズ粒子を用い、メカノケミカル処理に供する気相成長炭素繊維とスズ粒子の質量比を94.2:5.8とする以外は、実施例1と同様な方法と条件で、コールタールピッチで被覆された複合粒子を作製し、引続き、焼成を行い、被覆複合粒子を得た。得られた被覆複合粒子は球状であり、平均粒子径は9μmであり、比表面積は4.8m2/gであった。
該炭素質材料は該複合粒子の外表面を被覆しており、スズ粒子が気相成長炭素繊維に絡んで挟持され、多数の空隙が複合粒子の内部全体に分散して形成されていることが確認された。該被覆複合粒子のスズ/繊維状黒鉛質材料/炭素質材料の質量組成は4.0/65.7/30.3であった。
実施例1において、シリコンをスズに変えた被覆複合粒子を用いる以外は、実施例1と同様の方法と条件で、負極合剤ペースト、作用電極および評価電池を作製した。該評価電池の充放電特性を実施例1と同様に測定した。結果を表2に示した。
実施例1において、コールタールピッチ溶液の代わりに、フェノール樹脂(JFEケミカル(株)製、残炭率40%)50gをエタノール200gに混合して調製したフェノール樹脂溶液を用い、該フェノール樹脂溶液と複合粒子とを二軸加熱ニーダーを用いて混練する際、固形分比率をフェノール樹脂:複合粒子=50:50とし、かつ混練条件を150℃、1hとする以外は、実施例1と同様な方法と条件で、フェノール樹脂で被覆された複合粒子を作製し、引続き、焼成を行い、被覆複合粒子を得た。得られた被覆複合粒子は球状であり、平均粒子径は10μmであり、比表面積は5.1m2/gであった。
該炭素質材料は該複合粒子の外表面を被覆しており、シリコン粒子が気相成長炭素繊維に絡んで挟持され、多数の空隙が複合粒子の内部全体に分散して形成されていることが確認された。該被覆複合粒子のシリコン/繊維状黒鉛質材料/炭素質材料の質量組成は5.2/66.2/28.6であった。
実施例1において、コールタールピッチをフェノール樹脂に変えた被覆複合粒子を用いる以外は、実施例1と同様な方法と条件で、負極合剤ペースト、作用電極および評価電池を作製した。該評価電池の充放電特性を実施例1と同様に測定した。その結果を表2に示した。
実施例1において、コールタールピッチ溶液と複合粒子とを二軸加熱ニーダーを用いて、200℃で1h混練する際に、固形分比率をコールタールピッチ:複合粒子=30:70とする以外は、実施例1と同様な方法と条件で、コールタールピッチで被覆された複合粒子を作製し、引続き、焼成を行い、被覆複合粒子を得た。得られた被覆複合粒子は球状であり、平均粒子径は10μmであり、比表面積は5.5m2/gであった。
該炭素質材料は該複合粒子の外表面を被覆しており、シリコン粒子が気相成長炭素繊維に絡んで挟持され、多数の空隙が複合粒子の内部全体に分散して形成されていることが確認された。該被覆複合粒子のシリコン/繊維状黒鉛質材料/炭素質材料の質量組成は5.8/73.7/20.5であった。
実施例1において、コールタールピッチの配合量を変えた被覆複合粒子を用いる以外は、実施例1と同様な方法と条件で、負極合剤ペースト、作用電極および評価電池を作製した。該評価電池の充放電特性を実施例1と同様に測定した。その結果を表2に示した。
実施例1において、メカノケミカル処理に供する試料を、黒鉛化処理された気相成長炭素繊維84.3質量部、シリコン粒子6.6質量部に加えて、実施例3の鱗片状天然黒鉛9.1質量部とする以外は、実施例1と同様な方法と条件で、コールタールピッチで被覆された複合粒子を作製し、引続き、焼成を行い、被覆複合粒子を得た。得られた被覆複合粒子は球状であり、平均粒子径は11μmであり、比表面積は5.2m2/gであった。
該炭素質材料は該複合粒子の外表面を被覆しており、シリコン粒子が気相成長炭素繊維に絡んで挟持された構造体の中に鱗片状黒鉛が分散して保持され、多数の空隙が複合粒子の内部全体に分散して形成されていることが確認された。該被覆複合粒子のシリコン/繊維状黒鉛質材料/鱗片状黒鉛質材料/炭素質材料の質量組成は5.1/64.8/6.5/23.6であった。
実施例1において、メカノケミカル処理に供する試料に鱗片状黒鉛質材料を加えた被覆複合粒子を用いる以外は、実施例1と同様な方法と条件で、負極合剤ペースト、作用電極および評価電池を作製した。該評価電池の充放電特性を実施例1と同様に測定した。その結果を表2に示した。
実施例1において、気相成長炭素繊維の代わりに鱗片状天然黒鉛((株)中越黒鉛工業所製、平均粒子径10μm)を用いる以外は、実施例1と同様な方法と条件で、シリコン粒子を含有する複合粒子を作製し、引続き、コールタールピッチが被覆した被覆複合粒子を作製し、焼成を行い、粒子を得た。得られた粒子は球状であり、平均粒子径は10μmであり、比表面積は3.1m2/gであった。
該粒子の内部にはシリコン粒子と天然黒鉛が存在し、コールタールピッチの炭素化物が該粒子の外表面を被覆していたが、空隙が殆ど確認されなかった。該粒子のシリコン/鱗片状黒鉛質材料/炭素質材料の質量組成は5.1/64.6/30.3であった。
実施例1において、黒鉛化処理された気相成長炭素繊維(昭和電工(株)製、VGCF、短軸長150nm、平均アスペクト比約50)と、シリコン粒子(高純度化学研究所(株)製、平均粒子径2μm)との混合比を92.7質量部:7.3質量部から95質量部:5質量部に代え、実施例1と同様な方法と条件でメカノケミカル処理のみを行い複合粒子を作製し、粗粉砕し、炭素質材料の被覆がない粒子を得た。得られた粒子は塊状であり、平均粒子径は8μmであり、比表面積は50m2/gであった。
該粒子において、シリコン粒子が気相成長炭素繊維に絡んで挟持され、多数の空隙が粒子の内部全体に分散して形成されているが、炭素質材料の被覆がないことが確認された。該粒子は質量比で、シリコン/黒鉛化された気相成長炭素繊維=5.1/94.9であった。
コールタールピッチ(JFEケミカル(株)製)30gにタール中油(JFEケミカル(株)製)300gを混合し、コールタールピッチ溶液を調製した。該溶液と黒鉛化処理された気相成長炭素繊維(昭和電工(株)製、VGCF、短軸長150nm、平均アスペクト比約50)92.7質量部と、シリコン粒子(高純度化学研究所(株)製、平均粒子径2μm)7.3質量部とを、二軸加熱ニーダーを用いて、200℃で1h混練したのち、1000℃で10h焼成し、コールタールピッチの炭素化物、繊維状黒鉛質材料およびシリコン粒子が一体化した粒子を作製した。得られた粒子は塊状であり、平均粒子径は10μmであり、比表面積は20m2/gであった。
該粒子は、シリコン粒子と気相成長炭素繊維はコールタールピッチの炭素化物と接しており、空隙が殆ど観察されなかった。該粒子は質量比で、シリコン/繊維状炭素質材料/炭素質材料=5.1/64.6/30.3であった。
実施例1において黒鉛化処理された気相成長炭素繊維に代えて、黒鉛化処理されていない気相成長炭素繊維を用いる以外は、実施例1と同様な方法と条件で複合粒子を作製し、引き続き焼成を行い被覆複合粒子を得た。得られた被覆複合粒子は球状であり、平均粒子径は10μm、比表面積は5.5m2/gであった。該被覆複合粒子の外表面は一様に被覆されており、シリコン粒子が炭素繊維に絡んで狭持され、多数の空隙が複合粒子の内部全体に分散して形成されていることが確認された。得られた被覆複合粒子のシリコン/繊維状炭素材料/炭素質材料の質量組成は、5.1/64.6/30.3であった。
実施例1において被覆複合粒子として、黒鉛化処理された気相成長炭素繊維に基づく複合粒子の代わりに、黒鉛化処理されていない気相成長炭素繊維に基づく被覆複合粒子を用いる以外は、実施例1と同様な方法と条件で、負極合剤ペースト、作用電極および評価電池を作製した。該評価電池の充放電特性を実施例1と同様に測定した。その結果を表2に示した。
比較例1のように、繊維状黒鉛質材料を用いない複合粒子を用いた作用電極からなる評価電池は、高い初期充放電効率やサイクル特性が得られない。これは、充放電時のシリコン粒子の膨張・収縮により複合粒子の構造が破壊され、導電性の低下や活物質の集電材からの剥離が生じたためと考えられる。
比較例2のように、複合粒子が炭素質材料で被覆されていない複合粒子を用いた作用電極からなる評価電池は、高い初期充放電効率やサイクル特性が得られない。これは、繊維状黒鉛質材料の表面での電解液の分解や、シリコン粒子の脱落が発生したためと考えられる。
比較例3のように、繊維状黒鉛質材料とシリコン粒子を、メカノケミカル処理等の機械的エネルギーを付与することなしに、コールタールを結着剤として保持し、一体化した粒子を用いた作用電極からなる評価電池は、高い初期充放電効率やサイクル特性が得られない。これは、炭素質材料が粒子の内部にまで浸透し、シリコン粒子の周囲に空隙が形成されなかったことと、内部に浸透した分だけ、外表面の炭素質材料の被覆が不十分になったことに拠るものと考えることができる。
比較例4のように、黒鉛化処理されていない繊維状炭素質材料を用いた複合粒子を用いた作用電極からなる評価電池は、高い放電容量、初期充放電効率、サイクル特性が得られない。これは炭素繊維が黒鉛化処理されていないために結晶性が低く、また導電性も低いためと考えられる。
2 作用電極
3 外装缶
4 対極
5 セパレータ
6 絶縁ガスケット
7a、7b 集電材
Claims (12)
- 繊維状黒鉛質材料がリチウムと合金化可能な金属粒子に絡んで該金属粒子を挟持し、かつ空隙が存在する構造を有する複合粒子の外表面の少なくとも一部が、炭素質材料で被覆されている被覆複合粒子であり、
前記金属粒子、前記繊維状黒鉛質材料および前記炭素質材料の含有量が、前記被覆複合粒子の全質量に対する質量%で、該金属粒子/該繊維状黒鉛質材料/該炭素質材料=1以上30未満/30〜95/4〜50である、リチウムイオン二次電池用負極材料。 - 繊維状黒鉛質材料がリチウムと合金化可能な金属粒子に絡んで該金属粒子を挟持し、かつ空隙が存在する構造を有する複合粒子の外表面の少なくとも一部が、炭素質材料で被覆されている被覆複合粒子であり、
前記被覆複合粒子が、さらに非繊維状黒鉛質材料を含有し、
前記金属粒子、前記繊維状黒鉛質材料、前記非繊維状黒鉛質材料および前記炭素質材料の含有量が、前記被覆複合粒子の全質量に対する質量%で、該金属粒子/該繊維状黒鉛質材料/該非繊維状黒鉛質材料/該炭素質材料=1以上30未満/28〜75/2〜20/4〜50である、リチウムイオン二次電池用負極材料。 - 前記非繊維状黒鉛質材料が、前記被覆複合粒子の構造体の内部に分散して保持されていることを特徴とする請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
- 前記被覆複合粒子の外表面の少なくとも一部が、前記炭素質材料および前記非繊維状黒鉛質材料で被覆されていることを特徴とする請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
- 前記被覆複合粒子の比表面積が10m2/g以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
- リチウムと合金化可能な金属粒子と、繊維状黒鉛質材料と、を混合・攪拌処理して複合粒子とした後、該複合粒子と炭素質材料の前駆体とを混合し、熱処理して、請求項1に記載の被覆複合粒子を得ることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法。
- リチウムと合金化可能な金属粒子、繊維状黒鉛質材料および非繊維状黒鉛質材料を混合・攪拌処理して複合粒子とした後、該複合粒子と炭素質材料の前駆体とを混合し、熱処理して、請求項2または3に記載の被覆複合粒子を得ることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法。
- リチウムと合金化可能な金属粒子と、繊維状黒鉛質材料と、を混合・攪拌処理して複合粒子とした後、該複合粒子、炭素質材料の前駆体および非繊維状黒鉛質材料を混合し、熱処理して、請求項2または4に記載の被覆複合粒子を得ることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法。
- 前記混合・攪拌処理が、メカノケミカル処理であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法。
- 前記した熱処理の温度が600℃以上1300℃未満であることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極材料を含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
- 請求項11に記載のリチウムイオン二次電池用負極を用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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