JP4798642B2 - 高靱性Fe基アモルファス合金および高靱性Fe基アモルファス合金から製造されたFe基ナノ結晶合金を用いた部品 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、磁心材料を初めとする各種部品素材に好適なナノ結晶材料の原素材となるアモルファス合金が製造直後の急冷状態において脆化しにくく、部品にする際に加工がしやすい高靱性Fe基アモルファス合金とこの高靱性Fe基アモルファス合金から製造したFe基ナノ結晶合金を用いた部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
Fe基ナノ結晶合金材料は、優れた軟磁気特性を示し、各種トランス、チョークコイルなどに使用されている。また、硬度が高いなどの特徴も有している。
ナノ結晶合金材料用の出発素材となるFe基アモルファス合金は、種々の組成のアモルファス合金が報告されている。代表的材料としては、たとえば特公平4-4393号公報、特開平1-242755号公報や特開平3-219058号に記載のFe-Cu-(Nb, Ti, Zr, Hf, Mo, W, Ta)-Si-B系合金、Fe-Cu-(Nb, Ti, Zr, Hf, Mo, W, Ta)-B系合金やFe--(Nb, Ti, Zr, Hf, Mo, W, Ta)-B系合金等が知られている。磁性部品に使用する代表的なFe基アモルファス合金としては、たとえば、
組成式:Fe100-x-a-y-zAxMaSiyBz(原子%)で表され、
式中AはCu,Auから選ばれた少なくとも一種の元素、MはTi, Zr, Hf, Mo, Nb, Ta, W, Vからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、x,y,zおよびaはそれぞれ0≦x≦3、0≦a≦10、0≦y≦20、2≦z≦25を満足する組成であるアモルファス合金が知られている。
【0003】
これらに使用されるナノ結晶軟磁性合金は単ロール法、回転液中紡糸法などの液体急冷法により作製したアモルファス合金を熱処理により微結晶化したもので結晶粒径は軟磁気特性が良好な合金では約50nm以下であり、アモルファス合金にみられるような熱的不安定性がほとんどなく、Fe系アモルファス合金と同程度の高い飽和磁束密度と低磁歪で優れた軟磁気特性を示すことが知られている。更にナノ結晶軟磁性合金材料は経時変化が小さく、温度特性にも優れていることが知られている。
これらの出発素材となるアモルファス合金は通常は単ロール法、双ロール法、回転液中紡糸法やガスアトマイズ法、水アトマイズ法などの方法により製造されている。母合金をセラミックスや石英製のノズル中で溶解し、加圧し合金溶湯をノズルのスリットから高速に回転している冷却ロール上や水溶液中に噴出し超急冷することにより、厚さ50μm以下程度のアモルファス合金薄帯、直径0.2mm以下程度のアモルファスワイヤーやアモルファス粉末を製造する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ナノ結晶材料用のアモルファス合金は、前述のような製造方法により製造されるが、ナノ結晶合金としては用いることができない通常のFe基アモルファス合金に比べて脆化しやすく、製造の際には合金の脆化を防ぐためにできる限り冷却速度を早くし薄帯やワイヤーを製造しなければならない。これは、製造したナノ結晶材料用のアモルファス合金薄帯やワイヤーが脆化していると、部品化する際に、巻く、スリットする、切断する、打ち抜く等種々の加工が困難になり部品化する際に障害となるためである。ナノ結晶材料は前記アモルファス合金を熱処理により結晶化することにより製造するが、熱処理し結晶化した後は合金が脆化しやすく、熱処理後の加工方法は制限される。したがって、熱処理前のアモルファス合金の状態で加工するのが一般的であり、この状態で脆化していないことが実用上非常に重要である。しかし、ナノ結晶材料用のアモルファス合金は前述のように一般に脆化しやすく、特に広幅の薄帯を多量に製造する場合や、ワイヤーを多量に製造する場合に、製造したアモルファス合金が脆化しやすい問題がある。したがって、急冷後のアモルファス状態で脆化しやすいアモルファス合金から大量に高品質高性能なナノ結晶軟磁性合金からなる部品等を製造することは困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題点を解決するために本発明者らは鋭意検討の結果、ナノ結晶材料用の高靱性Fe基アモルファス合金であって、Ti,Zr,Hf,Mo,Nb,Ta,W,Vから選ばれた少なくとも一種の元素、およびSi、Bから選ばれた少なくとも一種の元素を必須元素として含み、Cu、Auから選ばれた少なくとも一種の元素を1.5重量%以下、Sを0.01重量%以下含む熱処理前の脆化度が15.3%以下である高靱性Fe基アモルファス合金を発明した。本発明において、Cu、Auから選ばれた少なくとも一種の元素は結晶化のための熱処理を行った後の結晶粒をより均一微細にする効果があるが、Cu、Au含有量が1.5重量%を超えた場合、急冷直後のアモルファス合金が著しく脆化し好ましくない。より好ましいCu、Auの含有量は1.3重量%以下である。特に好ましくは1重量%以下であり、この範囲で特にアモルファス合金は脆化しにくい。Sはアモルファス合金製造の際に表面結晶化を抑制する効果があるが、Sの含有量が0.01重量%を超えると急冷直後の製造したアモルファス合金が著しく脆化し好ましくない。より好ましいS量は0.005重量%以下であり、急冷直後の製造したアモルファス合金がより脆化しにくい。特に好ましいS量は0.002重量%以下である。この範囲で特に急冷直後の製造したアモルファス合金が脆化しにくい。Ti,Zr,Hf,Mo,Nb,Ta,W,Vから選ばれた少なくとも一種の元素は必須元素であり、アモルファス形成を助ける効果や熱処理により結晶化した後の結晶粒を微細化する効果を有する。Si、Bから選ばれた少なくとも一種の元素は必須元素であり、アモルファス化を促進する元素でありかつ、熱処理により結晶化した後の結晶粒を微細化する効果や磁気特性を向上する効果を有する。
【0007】
本発明において、Feの一部をCo, Niから選ばれた少なくとも1種の元素で置換しても良く、熱処理しナノ結晶化した後の耐食性や磁気特性を改良する効果があり好ましい結果が得られる。
本発明において、SiおよびBから選ばれた少なくとも一種の元素の一部をGa, Ge, Be, P, Cから選ばれた少なくとも1種の元素で置換しても良く、熱処理しナノ結晶化した後の磁歪など磁気特性を調整でき好ましい。
本発明において、Ti, Zr, Hf, Mo, Nb, Ta, W, Vから選ばれた少なくとも一種の元素の一部をMn, Cr, Ag, Zn, Sn, In, As, Sb, Sc, Y, 白金族元素, Ca, Na, Ba, Sr, Li, 希土類元素から選ばれた少なくとも1種の元素で置換しても良い。これらの元素は、耐食性を改善したり、磁気特性を改良する効果がある。
前記Fe基アモルファス合金が幅が15mm以上、厚さが10μm以上の薄帯である場合、本発明の効果が最も顕著に現れる。幅が狭く、厚さが薄い場合には本発明の効果は顕著ではないが、幅が15mm以上と広く、厚さが10μm以上と厚くなってくると本発明の効果がより顕著になる。
【0008】
更に、本発明において、Pを0.05重量%以下、Alを0.01重量%以下、Nを0.01重量%以下、Oを500ppm以下及びCを0.5重量%以下とすることにより、アモルファス合金製造の際にノズルが詰まりにくく前記Fe基アモルファス合金を大量に製造しやすくなるためにより好ましい結果が得られる。特に好ましくは、Pを0.02重量%以下、Alを0.005重量%以下、Nを0.05重量%以下Oを250ppm以下、Cを0.1重量%以下であり、この範囲の含有量の場合、特にノズルなどが詰まりにくくなり、アモルファス合金を大量に製造しやすくなるため好ましい結果が得られる。
【0009】
Siを4重量%以上、10重量%以下、Bを1重量%以上2.2重量%以下含む場合、製造した急冷状態のアモルファス合金が脆化しにくいだけでなく、結晶化のための熱処理を行った後のいわゆるナノ結晶合金において優れた軟磁気特性が得られるため磁性部品として使用する場合に特に好ましい結果が得られる。
本発明のアモルファス合金は熱処理前の段階で100%完全なアモルファス状態である必要はなく一部に結晶を含んでいても良いが、結晶相は熱処理前の段階ではできるだけ存在しない方が良い。一部存在する結晶はbcc相の場合が多い。また、CuやAuを含む場合は、fcc相が存在する場合もある。
【0010】
もう一つの本発明は、前記高靱性Fe基アモルファス合金から製造されたFe基ナノ結晶合金を用いたことを特徴とする部品である。脆化しにくいFe基アモルファス合金を使用するために、割れが発生しにくいため熱処理前の段階で加工がしやすく、品質が良く特性に優れたFe基ナノ結晶合金を用いた部品を製造することができる。
たとえば、本発明Fe基アモルファス合金薄帯を用いて、Fe基ナノ結晶合金からなる磁性部品を製造する場合は、前記Fe基アモルファス合金薄帯を巻き回し、あるいは積層するなどして磁心形状としこれを熱処理し製造するが、熱処理前の段階で脆化しにくいために合金薄帯を巻く際に切れにくい、スリット加工する場合の歩留りが向上する、積層する形状に加工する際に割れが発生しにくいなど加工が容易となり高歩留りで品質の良い部品を製造することが可能となる。
【0011】
Fe基ナノ結晶合金は、素材となるFe基アモルファス合金を通常結晶化温度以上に加熱し熱処理を行い組織の少なくとも一部に平均粒径50nm以下の結晶粒を存在させ磁心として使用される。熱処理前後の組成変化はほとんどなく、熱処理後の結晶化した合金が本発明組成と同一の場合、熱処理前のアモルファス合金は本発明のFe基アモルファス合金に含まれると考えることができる。
また、本発明Fe基アモルファス合金は通常はナノ結晶材料用に使用するが、熱処理を結晶化温度以下で行った場合や熱処理を行わない場合は、アモルファス合金として使用することも可能である。
【0012】
熱処理は通常アルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガス中や真空中で行なうのが望ましいが大気中等酸素を含む雰囲気で行っても良い。また、必要に応じて熱処理期間の少なくとも一部の期間、合金がほぼ飽和する程度以上の強さの磁界を印加して磁界中熱処理を行い誘導磁気異方性を付与しても良い。磁性部品として使用する場合、部品の形状にも依存するが一般には高角形比とするために薄帯を使用する場合は薄帯の長手方向(巻磁心の場合は磁心の磁路方向)に磁界を印加する場合は8A/m以上、低角形比とするために薄帯の幅方向(巻磁心の場合は磁心の高さ方向)に印加する場合は80kA/m以上の磁界を印加する場合が多い。熱処理は露点が-30℃以下の不活性ガス雰囲気中で行なうことが望ましく、特に露点が-60℃以下の不活性ガス雰囲気中で熱処理を行なうと磁性部品として使用する場合に透磁率もより高くなり、高透磁率が必要とされる用途に対してはより好ましい結果が得られる。一定温度に保持する熱処理パターンで熱処理を行う場合、一定温度での保持時間は通常は量産性の観点から24時間以下であり、好ましくは4時間以下である。熱処理の際の平均昇温速度は好ましくは0.1℃/minから200℃/min、より好ましくは1℃/minから40℃/min、平均冷却速度は好ましくは0.1℃/minから3000℃/min、より好ましくは1℃/minから1000℃/minであり、この範囲で特に優れた軟磁気特性が得られる。
また、本発明合金を熱処理する場合、熱処理は1段ではなく多段の熱処理や複数回の熱処理を行なうことができる。更に、前記アモルファス合金に直流、交流あるいはパルス電流を流して合金を発熱させ熱処理することもできる。また、合金に張力や圧力を印加しながら熱処理し異方性を付与することにより磁気特性を改良することも可能である。
【0013】
本発明のアモルファス合金は必要に応じてSiO2、MgO、Al2O3等の粉末あるいは膜で合金表面を覆ったり、化成処理により表面に絶縁層を形成したり、アノード酸化処理により表面に酸化物層を形成し絶縁層を形成しても良い。絶縁処理は本発明合金を磁心として使用した場合に特に高周波における渦電流の影響を低減し、透磁率や磁心損失を更に改善する効果がある。また、薄帯の場合は、製造した広幅のアモルファス合金は必要に応じて適当な幅にスリットし使用される場合もある。スリットしたアモルファス合金薄帯も本発明に含まれるのはもちろんである。また、本発明アモルファス合金あるいは、これを出発素材としたナノ結晶合金をシート状の樹脂中に複合したシートや、本発明アモルファス合金あるいは、これを出発素材としたナノ結晶合金を粉砕しフレークや粉末形状にし、樹脂と複合しシートやブロックを製造することもできる。これらは、磁気シールド材や電波吸収体などにも使用可能である。
また、本発明Fe基アモルファス合金あるいは前記アモルファス合金を熱処理により結晶化させたナノ結晶合金は盗難防止センサー、識別センサーなどの磁気センサーなどにも使用可能である。更に、本発明のアモルファス合金は部品に加工後必要に応じて樹脂含浸を行ったり、コーティングを行なったり、樹脂含浸後切断等も可能であり、部品に加工される。
前記アモルファス合金あるいは前記アモルファス合金を熱処理により結晶化させたナノ結晶合金を使用したトランス、チョークコイル、可飽和リアクトル、センサーなどの磁性部品を少なくとも一部に使用した電源、インバータ、漏電ブレーカ、パソコン、通信機器などの装置は装置の小型化、効率の向上あるいは低ノイズ化などが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
【実施例】
以下本発明を実施例にしたがって説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
単ロール装置を用い、表1に示す組成のナノ結晶材用のFe基アモルファス合金薄帯を作製した。(組成は重量%(wt%)で示し、組成分析した結果で示す。)合金溶湯をシリコンナイトライドを主体としボロンナイトライドを含むセラミックス製のノズルから外径800mmの水冷したCu-Be合金製の冷却ロール上に出湯し、幅25mmのアモルファス合金薄帯10kgを作製した。溶湯の出湯温度は1300℃、ノズルのスリットは25mm×0.6mm、ノズル先端と冷却ロール間のギャップは80μm、ロール周速は32m/s、出湯圧力は400gf/cm2とした。作製したFe基アモルファス合金薄帯の後端から10mの位置の薄帯を約20cm採取し、5mm間隔で39箇所引き裂き試験を行った。引き裂けずに割れてしまった箇所の割合を求め脆化度とした。(100%の場合はすべて脆化、0%の場合は脆化していないことを意味する。)得られた結果を表1に示す。Cu, AuとSを一定量以下にした本発明Fe基アモルファス合金は脆化度が小さくなり脆化しにくい。これに対して本発明外のFe基アモルファス合金は脆化度が大きく脆化が著しい。また、Pを0.05重量%以下、Alを0.01重量%以下、Nを0.01重量%以下、Oを500ppm以下およびCを0.5重量%以下含む合金は薄帯を製造中にノズルの詰まりが発生しなかったが、この範囲をはずれた合金は製造の途中でノズルの詰まりが発生した
【0015】
【表1】
【0016】
(実施例2)
Ar雰囲気中単ロール装置を用い、表2に示すナノ結晶材用のFe基アモルファス合金薄帯を作製した。(組成は重量%(wt%)で示し、組成分析した結果で示す。)合金溶湯を石英製のノズルから外径600mmの水冷したCu-Cr合金製の冷却ロール上に出湯し、幅20mmのアモルファス合金薄帯5kgを作製した。溶湯の出湯温度は1300℃、ノズルのスリットは20mm×0.6mm、ノズル先端と冷却ロール間のギャップは90μm、ロール周速は35m/s、出湯圧力は400gf/cm2とした。作製したFe基アモルファス合金薄帯の後端から10mの位置の薄帯を約20cm採取し、5mm間隔で39箇所引き裂き試験を行った。割れずに引き裂けずに割れてしまった箇所の割合を求め脆化度とした。(100%の場合はすべて脆化、0%の場合は脆化していないことを意味する。)得られた結果を表2に示す。Sを一定量以下にした本発明Fe基アモルファス合金は脆化度が小さくなり脆化しにくい。これに対して本発明外のFe基アモルファス合金は脆化度が大きく脆化が著しい。
【0017】
【表2】
【0018】
(実施例3)
表3に示す組成のFe基アモルファス合金薄帯を実施例2と同様な方法により作製し、実施例2と同様な方法で薄帯の脆化度を求めた。次に作製したFe基アモルファス合金薄帯をトロイダル状に巻き回し巻磁心とし、結晶化温度より50℃高い温度で熱処理した。熱処理後の合金のミクロ組織を観察したところ平均粒径50nm以下の微細なbcc結晶粒が形成していることが確認された。次にこの合金磁心をコアケースに入れ、インバータ回路に使用する零相リアクトルを作製した。3.7kW 3相モータ駆動用の汎用インバータの出力ラインケーブルを4ターン巻き付けて零相リアクトルを構成し、輻射ノイズを測定した。53MHzの輻射ノイズを測定した結果を表3に示す。本発明Fe基アモルファス合金を使用し、熱処理により作製したナノ結晶合金からなる零相リアクトルは、輻射ノイズは抑制され優れていることが分かる。これに対して、本発明外のFe基アモルファス合金から作製されたナノ結晶合金からなる零相リアクトルはFe基アモルファス合金薄帯を巻く際に脆化のためにリボンが欠けたり、切れるために磁心の占積率が低下するため輻射ノイズが本発明の零相リアクトルより大きく特性が劣っている。
【0019】
また、これらの合金薄帯から同様なプロセスにより巻磁心を作製し、熱処理後の磁心をケースに入れ巻線を行い電源用のトランスを作製した。トランスを20kHzで動作するスイッチング電源のメイントランスとして使用し、温度上昇を測定した。得られた結果を表3に示す。本発明Fe基アモルファス合金を使用し、熱処理により作製したナノ結晶合金からなるトランスは、温度上昇が小さく優れていることが分かる。これに対して、本発明外のFe基アモルファス合金から作製されたナノ結晶合金からなるトランスはFe基アモルファス合金薄帯を巻く際に脆化のためにリボンが欠けたり、切れるために磁心の占積率が低下するため動作磁束密度が大きくなったり、応力が入りやすく温度上昇が大きく特性が劣っている。
【0020】
【表3】
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、磁心材料を初めとする各種部品素材に好適なナノ結晶材料の原素材となるアモルファス合金を製造する際に製造したアモルファス合金が脆化しにくく、部品にする際に加工がしやすい耐脆性Fe基アモルファス合金、および前記Fe基アモルファス合金から製造したFe基ナノ結晶合金を用いた品質が良く特性に優れた部品を実現できるためその効果は著しいものがある。
Claims (7)
- ナノ結晶材料用の高靭性Fe基アモルファス合金であって、Ti,Zr,Hf,Mo,Nb,Ta,W,Vから選ばれた少なくとも一種の元素、およびSi、Bから選ばれた少なくとも一種の元素を必須元素として含み、Cu、Auから選ばれた少なくとも一種の元素を1.5重量%以下、Sを0.01重量%以下含む熱処理前の脆化度が15.3%以下であることを特徴とする高靱性Fe基アモルファス合金。
- 幅が15mm以上、厚さが10μm以上の薄帯であることを特徴とする請求項1に記載の高靱性Fe基アモルファス合金。
- Feの一部をCo,Niから選ばれた少なくとも1種の元素で置換したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の高靱性Fe基アモルファス合金。
- Bの一部をGa,Ge,Be,P,Cから選ばれた少なくとも1種の元素で置換したことを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の高靱性Fe基アモルファス合金。
- Ti,Zr,Hf,Mo,Nb,Ta,W,Vから選ばれた少なくとも一種の元素の一部をMn,Cr,Ag,Zn,Sn,In,As,Sb,Sc,Y,白金族元素, Ca,Na,Ba,Sr,Li,希土類元素から選ばれた少なくとも1種の元素で置換したことを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の高靱性Fe基アモルファス合金。
- Pを0.05重量%以下、Alを0.01重量%以下、Nを0.01重量%以下、Oを500ppm以下及びCを0.5重量%以下含むことを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の高靱性Fe基アモルファス合金。
- 前記請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の高靱性Fe基アモルファス合金から製造されたFe基ナノ結晶合金を用いて得たことを特徴とする部品。
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