JP4737507B2 - 動力伝達チェーンおよびこれを備える動力伝達装置 - Google Patents
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Description
具体的には、上記ピンの側面の断面のインボリュート曲線は、チェーン内周側から外周側に向かうにしたがい、曲率半径が大きくなっている。これにより、隣り合うリンク間の屈曲量(屈曲角)が大きくなるほど、屈曲角の単位増分に対するピンおよびインターピースの互いの接触位置の移動量が増大する。その結果、動力伝達チェーンの隣り合うリンク同士が直線状態から所定の屈曲角に屈曲する際、ピンがインターピースに対して加速しながら転動し、一旦所定の屈曲角より大きく屈曲する(オーバーシュートする)という不用意な動作を生じ、騒音の発生と伝動効率の低下を招いていた。
本発明によれば、チェーン進行方向に隣り合うリンク同士が屈曲する際、対応する動力伝達部材が、リンクまたはリンクとの間に介在する部材に対して加速することを抑制できる。これにより、上記のリンク同士が直線状態から所定の屈曲角に屈曲する際、一旦所定の屈曲量より大きく屈曲する(オーバーシュートする)ことを抑制できる。その結果、動力伝達チェーンの不用意な運動を抑制して、騒音の低減および伝動効率の向上を達成することができる。
また、本発明において、上記対向部には、リンク間の屈曲角の増大に応じて上記接触部の変位量の変化率が増大する変化率増大部分(26;26A;26B;26C)が設けられ、変化率増大部分は、上記屈曲角が相対的に小さいときに接触部を形成し、変化率減少部分は、屈曲角が相対的に大きいときに接触部を形成する場合がある。この場合、チェーン進行方向に隣り合うリンク間の屈曲角が許容屈曲角(設計上の屈曲角の最大値)を超えてしまうことを確実に防止でき、動力伝達チェーンの不用意な動作を防止して、騒音の低減および伝動効率の向上をより確実に達成できる。
y= (Rb−ζφ)cosφ+(Rb−ζφ)φsinφ−(Rb−ζφ)
ただし、Rb:接触部の投影点の軌跡の基礎円半径(mm)、φ:動力伝達チェーンの屈曲角(rad)、ζ:所定の定数
この場合、上記式を満たすように接触点の投影点の軌跡を設定することで、変化率減少部分を確実に形成することができる。
なお、ランダム化手段として、以下のものを例示することができる。すなわち、接触部の転がり摺動接触の軌跡の相異なる複数種類の動力伝達部材を設けること、チェーン直線領域の隣り合う動力伝達部材間の距離(連結ピッチ)の相異なる複数種類のリンクを設けること、チェーンの直線領域をチェーン幅方向からみたときの接触部とプーリのシーブ面に対する接触中心点との相対位置の相異なる複数種類の動力伝達部材を設けること、一対の端面の接触中心点間の距離の相異なる複数種類の動力伝達部材を設けること、チェーン直線領域における傾き(迎え角)の相異なる複数種類の動力伝達部材を設けること、および剛性(弾性率)の相異なる複数種類の動力伝達部材を設けること、の少なくとも1つを例示することができる。
図1は、本発明の一実施の形態に係る動力伝達チェーンを備える動力伝達装置としてのチェーン式無段変速機(以下では、単に無段変速機ともいう)の要部構成を模式的に示す斜視図である。図1を参照して、無段変速機100は、自動車等の車両に搭載されるものであり、第1のプーリとしての金属(構造用鋼等)製のドライブプーリ60と、第2のプーリとしての金属(構造用鋼等)製のドリブンプーリ70と、これらの両プーリ60,70間に巻き掛けられた無端状の動力伝達チェーン1(以下では、単にチェーンともいう)とを備えている。なお、図1中のチェーン1は、理解を容易にするために一部断面を示している。
ドリブンプーリ70の可動シーブ72には、ドライブプーリ60の可動シーブ63と同様に油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されており、変速時に、この可動シーブ72を移動させることにより溝幅を変化させるようになっている。それにより、チェーン1を移動させて、プーリ70のチェーン1に関する有効半径R(以下、プーリ70の有効半径Rともいう)を、最大値R2(図3(A)参照)から最小値R1(図3(B)参照)までの間で変更できるようになっている。
一方、無段変速機100の増速比が最も高い場合(オーバードライブ時)には、図3(B)に示すように、ドライブプーリ60の有効半径Rが最大値R2とされ、ドリブンプーリ70の有効半径Rが最小値R1とされる。
図4および図5を参照して、チェーン1は、複数のリンク2と、これらのリンク2を互いに屈曲可能に連結する複数対の第1および第2のピン3,4とを備えている。対をなす第1および第2のピン3,4は、互いに転がり摺動接触するようになっている。
また、以下では、チェーン1の進行方向に沿う方向をチェーン進行方向Xといい、チェーン進行方向Xに直交し且つ第1および第2のピン3,4の長手方向に沿う方向をチェーン幅方向Wといい、チェーン進行方向Xおよびチェーン幅方向Wの双方に直交する方向を直交方向Vという。
前端部5および後端部6には、第1の貫通孔としての前貫通孔9、および第2の貫通孔としての後貫通孔10がそれぞれ形成されている。中間部7は、前貫通孔9および後貫通孔10間を仕切る柱部8を有している。この柱部8は、チェーン進行方向Xに所定の厚みを有している。
リンク2を用いて、第1〜第3のリンク列51〜53が形成されている。具体的には、第1のリンク列51、第2のリンク列52および第3のリンク列53はそれぞれ、チェーン幅方向Wに並ぶ複数のリンク2を含んでいる。第1〜第3のリンク列51〜53のそれぞれにおいて、同一リンク列のリンク2は、チェーン進行方向Xの位置が互いに同じとなるように揃えられている。第1〜第3のリンク列51〜53は、チェーン進行方向Xに沿って並んで配置されている。
具体的には、第1のリンク列51のリンク2の前貫通孔9と、第2のリンク列52のリンク2の後貫通孔10とは、チェーン幅方向Wに並んで互いに対応しており、これらの貫通孔9,10を挿通する第1および第2のピン3,4によって、第1および第2のリンク列51,52のリンク2同士がチェーン進行方向Xに屈曲可能に連結されている。
図4において、第1〜第3のリンク列51〜53は、それぞれ1つしか図示されていないが、チェーン進行方向Xに沿って第1〜第3のリンク列51〜53が繰り返すように配置されている。そして、チェーン進行方向Xに互いに隣接する2つのリンク列のリンク2同士が、対応する第1および第2のピン3,4によって順次に連結され、無端状をなすチェーン1が形成されている。
この周面11は、チェーン進行方向Xの前方を向く対向部としての前部12と、チェーン進行方向Xの後方を向く背部としての後部13と、直交方向Vに相対向する一対の端部としての一端部14および他端部15とを有している。
前部12の断面のうち、チェーン1の直線領域における接触部T1よりもチェーン外周側の部分は、後述するように、インボリュート曲線に近似する曲線に形成されている。
一端部14は、第1のピン3の周面11のうち、チェーン外周側(直交方向Vの一方)の端部を構成しており、チェーン外周側に向けて凸湾曲する曲面に形成されている。
第1のピン3の長手方向(チェーン幅方向W)に関する一対の端部16は、チェーン幅方向Wの一対の端部に配置されるリンク2からチェーン幅方向Wにそれぞれ突出している。これら一対の端部16には、一対の動力伝達部としての端面17がそれぞれ設けられている。一対の端面17は、チェーン幅方向Wに直交する平面を挟んで相対向しており、互いに対称な形状を有している。図2に示すように、これらの端面17は、各プーリ60,70の対応するシーブ面62a,63a,72a,73aに摩擦接触(係合)するためのものである。
図2および図6を参照して、第1のピン3の端面17は、球面の一部を含む形状に形成され、チェーン幅方向Wの外側に凸湾曲している。また、第1のピン3の一端部14は、その他端部15よりも、チェーン幅方向Wに長手(幅広)に形成されており、これにより、端面17がチェーン内周側を向いている。チェーン幅方向Wからみて、端面17の頂部23の位置は、当該端面17の図心の位置と一致している。
接触領域24は、例えば、楕円形形状をなしており、接触中心点C(接触領域24の図心に相当)を有している。チェーン幅方向Wからみて、接触中心点Cの位置は、頂部23の位置(端面17の図心の位置)と一致している。
同様に、ドリブンプーリ70の有効半径Rは、ドリブンプーリ70に挟持された第1のピン3の動力伝達面17の接触中心点Cと、ドリブンプーリ70の中心軸線F2との間のプーリ70の径方向の距離として定義される。
この迎え角Eは、例えば、第1のピン3の後部13の傾斜角Bと等しくされている(E=B)。
第2のピン4は、上記各プーリのシーブ面に接触しないように、第1のピン3よりも短く形成されており、対をなす第1のピン3に対して、チェーン進行方向Xの前方に配置されている。チェーン進行方向Xに関して、第2のピン4は、第1のピン3よりも薄肉に形成されている。
後部19は、チェーン進行方向Xと直交する平坦面に形成されている。この後部19は、対をなす第1のピン3の前部12と対向しており、前部12と接触部Tで転がり摺動接触している。
一端部21は、第2のピン4の周面18のうち、チェーン外周側の端部を構成しており、チェーン外周側に向けて凸湾曲する曲面に形成されている。
他端部22は、第2のピン4の周面18のうち、チェーン内周側の端部を構成しており、チェーン内周側に向けて凸湾曲する曲面に形成されている。
チェーン1は、いわゆる圧入タイプのチェーンとされている。具体的には、第1のピン3は、各リンク2の前貫通孔9に相対移動可能に遊嵌されていると共に、各リンク2の後貫通孔10に相対移動を規制されるようにして圧入嵌合され、第2のピン4は、各リンク2の前貫通孔9に相対移動を規制されるようにして圧入嵌合されていると共に、各リンク2の後貫通孔10に相対移動可能に遊嵌されている。
また、図5に示すように、チェーン1は、所定の連結ピッチPを有している。連結ピッチPとは、チェーン1の直線領域における、隣り合う第1のピン3間の距離をいう。具体的には、チェーン1の直線領域のリンク2の前貫通孔9内の第1および第2のピン3,4の互いの接触部T1と、当該リンク2の後貫通孔10内の第1および第2のピン3,4の互いの接触部T1との間の、チェーン進行方向Xの距離をいう。本実施の形態では、連結ピッチPは、例えば、8mmに設定されている。
第1の平面H1は、屈曲領域の一のリンク2aの各貫通孔9,10のそれぞれに挿通された、一対の第1のピン3a,3bのそれぞれの接触中心点Cを含み、且つチェーン幅方向Wと平行な平面をいう。
設計上の屈曲角φ(許容屈曲角)の範囲は、例えば0°〜20°に設定されている。
図8は、第1のピン3の前部12のうち、チェーン1の直線領域での接触部T1よりチェーン外周側の部分の断面を後述する投影平面J上に投影した図である。図5および図8を参照して、本実施の形態の特徴とするところは、第1のピン3の前部12の断面形状が、インボリュート曲線に近似する曲線を含むように形成されて、当該前部12に変化率減少部分25が設けられていることにより、チェーン進行方向Xに隣り合うリンク2が屈曲する際、対応する第1のピン3が対をなす第2のピン4に対して加速することが抑制され、これにより、チェーン1の不用意な動作が抑制されている点にある。
y= (Rb−ζφ)cosφ+(Rb−ζφ)φsinφ−(Rb−ζφ)・(2)
ただし、Rb:接触部Tの投影点の軌跡の基礎円Kの半径(mm)、φ:チェーン1の屈曲角(rad)。ζ:所定の定数。
換言すれば、第1のピン3の前部12のうち、チェーン1の直線領域の接触部T1よりもチェーン外周側の部分の断面形状が、接触部Tの投影点の軌跡に沿う形状に形成されている。
本実施の形態では、例えば、基礎円半径Rb=100(mm)、定数ζ=3.0とされている。なお、基礎円半径Rbは、100より小さくてもよいし、100より大きくてもよい。同様に、定数ζは、3.0より小さくてもよいし、3.0より大きくてもよい。
前部12は、前述の変化率減少部分25と、変化率増大部分26とを含んでいる。
図6および図8を参照して、変化率減少部分25は、チェーン進行方向Xに隣り合うリンク2間の屈曲角φの増大に応じて接触部Tの変位量の変化率が減少する部分である。換言すれば、変化率減少部分25は、屈曲角φの単位増分に対する接触部Tの移動量が、屈曲角φの増大に伴い減少する部分である。
変化率増大部分26は、屈曲角φが相対的に小さいとき(例えば、本実施の形態において、0°〜12°(0rad〜0.21rad))の、前部12の接触部Tの軌跡に沿う形状に形成されている。すなわち、変化率増大部分26は、屈曲角φが相対的に小さいときに接触部Tを形成する。
第1のピン3の周方向に関して、変化率減少部分25の長さL1と変化率増大部分26の長さL2との和(L1+L2)に対する、変化率減少部分25の長さL1の割合L1/(L1+L2)は、20%以上であることが好ましい(本実施の形態において、例えば40%)。
上記の構成により、変化率減少部分25では、屈曲角φの増大に応じて接触部Tのy方向への移動量の変化率が小さくなる。また、従来の構成、すなわち、第1のピンの前部の断面がインボリュート曲線を含む形状に形成された構成と比較して、本実施の形態の第1のピン3は、屈曲角φの単位増分に対する接触部Tの移動量がより小さくされている。
図3(A)に示すように、無段変速機100が例えばアンダードライブ状態にあると、ドライブプーリ60の有効半径Rは、相対的に小さい値(最小値R1)となり、チェーン1は、ドライブプーリ60において相対的に大きく屈曲する。これにより、ドライブプーリ60におけるチェーン1の屈曲領域では、図7に示すように、第1のピン3の前部12の変化率減少部分25が接触部Tを形成する。
同様に、図3(B)に示すように、無段変速機100が例えばオーバードライブ状態にあると、ドライブプーリ60におけるチェーン1の屈曲領域は、図6に示すように、相対的に小さく屈曲し、第1のピン3の前部12の変化率増大部分26が接触部Tを形成する。このとき、ドリブンプーリ70におけるチェーン1の屈曲領域は、図7に示すように、相対的に大きく屈曲し、第1のピン3の前部12の変化率減少部分25が接触部Tを形成する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、第1のピン3の前部12に変化率減少部分25を設けている。これにより、チェーン進行方向Xに隣り合うリンク2同士が屈曲する際、対応する第1のピン3が、対をなす第2のピン4に対して加速することを抑制できる。
しかも、第1のピン3の変化率減少部分25は、屈曲角φが相対的に大きいとき(例えば、12°以上のとき)に、接触部Tを形成している。
また、投影平面J内における接触部Tの投影点の軌跡が、上記式(1),(2)を満たすようにされていることにより、変化率減少部分25を確実に形成することができる。
また、第1のピン3を各リンク2の前貫通孔9に遊嵌すると共に各リンク2の後貫通孔10に圧入嵌合し、第2のピン4を、各リンク2の前貫通孔9に圧入嵌合すると共に各リンク2の後貫通孔10に遊嵌している。
この際、対をなす第1および第2のピン3,4間において、互いの転がり接触成分が多くてすべり接触成分が極めて少なく、するとその結果、各第1のピン3の各端面17が上記対応するシーブ面62a,63a,72a,73aに対してほとんど回転せずに接触することとなり、摩擦損失を低減してより高い伝動効率を確保することができる。
このようにして、静粛性および伝動効率に優れた無段変速機100を実現することができる。
また、第1のピン3に代えて、図9(A)に示す前部12Aを含む第1のピン3Aを用いてもよい。この場合、前部12Aは、前部12と同様に、上記式(1),(2)を満たす断面形状を有しているが、定数ζ=2.5とされている点が異なっている。
また、第1のピン3に代えて、図9(C)に示す前部12Cを含む第1のピン3Cを用いてもよい。この場合、前部12Cは、前部12と同様に、上記式(1),(2)を満たす断面形状を有しているが、定数ζ=1.5とされている点が異なっている。
図10を参照して、本実施の形態の特徴とするところは、各第1のピンが各プーリに対して順次に係合するときの係合周期をランダム化するためのランダム化手段として、接触部の転がり摺動接触の軌跡の相異なる複数種類の第1のピンが設けられている点にある。
第1のピン3Dの前部12Dの断面形状は、第1のピン3の前部12の断面形状と相異なる形状にされている。例えば、前部12Dの断面形状のうち、チェーンの直線領域における接触部TD1よりもチェーン外周側に位置する部分は、上記式(1)、(2)を満たす形状に形成されている。この曲線の基礎円KDの半径RbDは、第1のピン3の前部12の断面の曲線の基礎円Kの半径Rbよりも、小さくされている(RbD<Rb)。
第1のピン3と第1のピン3Dとは、チェーン進行方向Xにランダムに配列されている。なお、この場合の「ランダムに配列」とは、第1のピン3および第1のピン3Dの少なくとも一方が、チェーン進行方向Xの少なくとも一部に不規則に配置されていることを意味するものである。
図11は、本発明のさらに別の実施の形態の要部の一部断面図である。なお、本実施の形態では、図1〜図8に示す実施の形態と異なる点について主に説明し、同様の構成については、図に同様の符号を付してその説明を省略する。
具体的には、複数種類のリンクとして、連結ピッチの相対的に長いリンクとしてのリンク2と、連結ピッチの相対的に短いリンクとしてのリンク2Eとが設けられている。
リンク2とリンク2E(リンク2を含むリンク列とリンク2Eを含むリンク列)とは、チェーン進行方向Xにランダムに配列されている。
図12は、本発明のさらに別の実施の形態の要部の側面図である。なお、本実施の形態では、図1〜図8に示す実施の形態と異なる点について主に説明し、同様の構成については、図に同様の符号を付してその説明を省略する。
具体的には、複数種類の第1のピンとして、第1のピン3,3Fが設けられている。
前述したように、チェーン幅方向Wからみたときの、チェーンの直線領域の第1のピン3は、その接触部T1とその接触中心点Cとの相対位置が、チェーン進行方向Xに関してΔx1だけ離隔していると共に、直交方向Vに関してΔy1だけ離隔している。
すなわち、チェーン幅方向Wからみたチェーンの直線領域において、第1のピン3の接触部T1に対する接触中心点Cの相対位置と、第1のピン3Fの接触部TF1に対する接触中心点CFの相対位置とは、チェーン進行方向Xおよび直交方向Vの少なくとも一方(本実施の形態では、双方)において、相違している。
図13は、本発明のさらに別の実施の形態を説明するための図であり、図13(A)および図13(B)はそれぞれ、第1のピンをチェーン進行方向Xからみた断面図である。
図13(A)および図13(B)を参照して、本実施の形態の特徴とするところは、各第1のピンが各プーリに対して順次に係合するときの係合周期をランダム化するためのランダム化手段として、一対の端面の接触中心点間の距離の相異なる複数種類の第1のピンを設けている点にある。
第1のピン3と第1のピン3Gとは、チェーン進行方向Xにランダムに配列されている。なお、この場合の「ランダムに配列」とは、第1のピン3および第1のピン3Gの少なくとも一方が、チェーン進行方向Xの少なくとも一部に不規則に配置されていることを意味するものである。
図14を参照して、本実施の形態の特徴とするところは、各第1のピンが各プーリに対して順次に係合するときの係合周期をランダム化するためのランダム化手段として、チェーン直線領域における迎え角(傾き)の相異なる複数種類の第1のピンが設けられている点にある。
第1のピン3の迎え角Eと第1のピン3Hの迎え角EHとは、互いに異なっており、第1のピン3の迎え角Eは、第1のピン3Hの迎え角EHよりも小さく(E<EH)されている。
図15は、本発明のさらに別の実施の形態を説明するための図であり、図15(A)および図15(B)はそれぞれ、第1のピンをチェーン進行方向Xからみた側面図である。なお、本実施の形態では、図1〜図8に示す実施の形態と異なる点について主に説明し、同様の構成については、図に同様の符号を付してその説明を省略する。
具体的には、第1のピンとして、剛性の相対的に高い高剛性ピンとしての第1のピン3、および剛性の相対的に低い低剛性ピンとしての第1のピン3Jが設けられている。
第1のピン3と第1のピン3Jとは、チェーン進行方向Xにランダムに配列されている。なお、この場合の「ランダムに配列」とは、第1のピン3および第1のピン3Jの少なくとも一方が、チェーン進行方向Xの少なくとも一部に不規則に配置されていることを意味するものである。
図16は、本発明のさらに別の実施の形態の要部の一部断面図である。なお、本実施の形態では、図1〜図8に示す実施の形態と異なる点について主に説明し、同様の構成については、図に同様の符号を付してその説明を省略する。
以上、本発明の実施の形態について幾つか説明したが、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではない。
また、接触部の転がり摺動接触の軌跡の相異なる3種類以上の第1のピンを設けてもよい。
また、図12に示す実施の形態において、チェーンの直線領域をチェーン幅方向Wからみたときの接触部と接触中心点との相対位置が、直交方向Vに関してのみ相異なる複数種類の第1のピンを含んでいてもよい。同様に、チェーンの直線領域をチェーン幅方向Wからみたときの接触部と接触中心点との相対位置が、チェーン進行方向Xに沿う方向に関してのみ相異なる複数種類の第1のピンを含んでいてもよい。
また、図13に示す実施の形態において、一対の端面の接触中心点間の距離の相異なる3種類以上の第1のピンを設けてもよい。
さらに、図14に示す実施の形態において、迎え角の相異なる3種類以上の第1のピンを設けてもよい。
さらに、図9(A)に示す実施の形態、図9(B)に示す実施の形態、および図9(C)に示す実施の形態のそれぞれにおいて、上記したランダム手段の何れか一つをさらに設けてもよい。
また、図16に示す実施の形態において、第1のピン3は、各リンク2Kの後貫通孔10Kに相対移動可能に遊嵌されていてもよい。
また、上記各実施の形態において、チェーン幅方向Wからみたときに、第1のピンの後部と当該第1のピンの接触領域の長軸とが平行でなくてもよい。
さらに、第1のピンの長手方向の一対の端部のそれぞれの近傍に、当該第1のピンの端面と同様の動力伝達部を有する部材を配置し、第1のピンと当該動力伝達面を有する部材とを含む動力伝達ブロックを設け、これを動力伝達部材としてもよい。
また、ドライブプーリ60およびドリブンプーリ70の双方の溝幅が変動する態様に限定されるものではなく、何れか一方の溝幅のみが変動し、他方が変動しない固定幅にした態様であっても良い。さらに、上記では溝幅が連続的(無段階)に変動する態様について説明したが、段階的に変動したり、固定式(無変速)である等の他の動力伝達装置に適用しても良い。
Claims (5)
- 複数のリンクと、これらのリンクを互いに屈曲可能に連結する複数の動力伝達部材とを備える動力伝達チェーンにおいて、
複数の動力伝達部材は所定の動力伝達部材を含み、
所定の動力伝達部材は、リンクまたはリンクとの間に介在する部材に対向する対向部を有し、
上記対向部は、上記リンクまたはリンクとの間に介在する部材とリンク間の屈曲に伴って変位する接触部で転がり摺動接触し、
上記対向部には、リンク間の屈曲角の増大に応じて上記接触部の変位量の変化率が減少する変化率減少部分が設けられることを特徴とする動力伝達チェーン。 - 請求項1において、上記対向部には、リンク間の屈曲角の増大に応じて上記接触部の変位量の変化率が増大する変化率増大部分が設けられ、
変化率増大部分は、上記屈曲角が相対的に小さいときに接触部を形成し、変化率減少部分は、屈曲角が相対的に大きいときに接触部を形成することを特徴とする動力伝達チェーン。 - 請求項1または2において、上記所定の動力伝達部材をチェーン幅方向と直交する投影平面に投影し、チェーン進行方向に沿う方向をx方向とするとともに、チェーン進行方向およびチェーン幅方向の双方に直交する方向に沿う方向をy方向としたときの、投影平面内における接触部の投影点の軌跡は、直線領域での接触部の投影点を原点として下記式で示されることを特徴とする動力伝達チェーン。
x=−(Rb−ζφ)sinφ+(Rb−ζφ)φcosφ
y= (Rb−ζφ)cosφ+(Rb−ζφ)φsinφ−(Rb−ζφ)
ただし、Rb:接触部の投影点の軌跡の基礎円半径(mm)、φ:動力伝達チェーンの屈曲角(rad)、ζ:所定の定数 - 請求項1,2または3において、上記複数の動力伝達部材はそれぞれ長尺に形成されて一対の端部のそれぞれにプーリ係合用の動力伝達部を含み、
上記各動力伝達部材がプーリに対して順次に係合するときの係合周期をランダム化するためのランダム化手段をさらに備えることを特徴とする動力伝達チェーン。 - 相対向する一対の円錐面状のシーブ面をそれぞれ有する第1および第2のプーリと、これらのプーリ間に巻き掛けられ、シーブ面に係合して動力を伝達する請求項1,2,3または4記載の動力伝達チェーンとを備えることを特徴とする動力伝達装置。
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