JP4703911B2 - 金属帯の孔状欠陥検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属帯に発生する孔状欠陥を検査する金属帯の孔状欠陥検査装置および検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属帯であるたとえば鋼帯の熱間圧延または冷間圧延など厚みを減少させる加工の施される工程においては、まれに鋼帯の一方の表面から他方の表面まで貫通した欠陥いわゆる孔状欠陥の発生することがある。孔状欠陥は品質上不具合な欠陥であるので、鋼帯の頭部または尾部付近にのみ発生している場合、救済工程において孔状欠陥の発生部分が除去され、また鋼帯の長手方向中央部に孔状欠陥が発生した場合、鋼帯を予め定める寸法に裁断して切板となった状態で孔状欠陥を含む切板が除去されている。さらに金属帯の長さに対して限定された比率で孔状欠陥の存在が許容される場合、金属帯の品質等級分類を行い品質の格付を明確にした上で出荷されている。切板または鋼帯のままいずれの状態であっても、孔状欠陥の発生している部位を除去または品質等級分類するためには、まず鋼帯に発生する孔状欠陥を精度よく検出しなければならない。
【0003】
図11〜14は、従来の孔状欠陥検出方法の概略を示す図である。図11(a)では、金属帯1の一方表面2側に金属帯1から間隔をあけて光検出器3が配置され、金属帯1の他方表面4側に金属帯1を介して光検出器2に対向し金属帯1から間隔をあけて光源5が配置される。金属帯1に孔状欠陥6が存在しないとき、光源5から金属帯1の他方表面4に照射された光は、金属帯1によって反射されて光検出器3には達しない。金属帯1に孔状欠陥6が存在するとき、光源5から照射された光は、金属帯1の孔状欠陥6を透過して光検出器2に達するので、光検出器2によって検出される。
【0004】
金属帯1は矢符7方向に走行され、走行される金属帯1の移動にともなって金属帯1に存在する孔状欠陥6は矢符7方向に移動する。孔状欠陥6が移動して光源5と光検出器3との間を通過するときにのみ、前述のように光源5からの光は光検出器3に到達するので、光検出器3によって検出される光強度は、図11(b)に示すように時間の経過すなわち孔状欠陥6の矢符7方向への移動にともなって増加し次いで減少する。このとき図11(b)中に示す検出された光強度の高い明部8が孔状欠陥6に相当する。
【0005】
図12では、金属帯1の他方表面4側に光源5および光検出器3がともに配置され、光源5から金属帯1の他方表面4に照射された光は、金属帯1に孔状欠陥6が存在しないとき、金属帯1によって反射されて光検出器3に達し、金属帯1に孔状欠陥6が存在するとき、光源5から照射された光は、金属帯1の孔状欠陥6を透過して光検出器2に達することがない。
【0006】
したがって、孔状欠陥6が移動して光源5からの光照射位置を通過するときにのみ、光源5からの光は光検出器3に達しなくなるので、光検出器3によって検出される光強度は、図12(b)に示すように時間の経過すなわち孔状欠陥6の矢符7方向への移動にともなって減少し次いで増加する。このとき図12(b)中に示す検出された光強度の低い暗部9が孔状欠陥6に相当する。
【0007】
また図13には複数の光検出器を設けて孔状欠陥を検出する従来技術を示す。図13では、金属帯1の一方表面2側に第1光検出器10が配置され、金属帯1の他方表面4側には光源5および第2および第3光検出器11,12が配置される。光源5から金属帯1の他方表面4に照射された光は、金属帯1に孔状欠陥6が存在しないとき、金属帯1による正反射光が第2光検出器11に達し、乱反射光が第3光検出器12に達し、第1光検出器10には光が達しない。金属帯1に孔状欠陥6が存在するとき、光源5から照射された光は、金属帯1の孔状欠陥6を透過して第1光検出器10に達し、第2および第3光検出器11,12には達しない。
【0008】
したがって、孔状欠陥6が移動して光源5からの光照射位置を通過するとき、光源5からの光は、第1光検出器10に達し第2および第3光検出器11,12には達しなくなるので、各光検出器10,11,12によって検出される光強度は、図13(b1),図13(b2)および図13(b3)に示すように時間の経過すなわち孔状欠陥6の矢符7方向への移動にともなって、第1光検出器10では増加し次いで減少し、第2および第3光検出器11,12では減少し次いで増加する。このとき図13(b1),図13(b2)および図13(b3)中に示す光強度の高い明部13および光強度の低い暗部14,15が孔状欠陥6に相当する。
【0009】
図14では、金属帯1の一方表面2側に光源5が配置され、金属帯1の他方表面4側には光検出器に代えてスクリーン16が金属帯1と平行に設けられる。光源5から金属帯1の一方表面2に照射された光は、金属帯1に孔状欠陥6が存在しないとき、金属帯1によって反射されてスクリーン16には達しないけれども、金属帯1に孔状欠陥6が存在するとき、金属帯1の孔状欠陥6を透過してスクリーン16に達する。すなわち孔状欠陥6は、光源5から照射される光によってスクリーン16上に投影される明部17に相当する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
図11〜図14に示す先行技術には、以下の問題点がある。前述の先行技術では、各光検出器3,10,11,12によって検出される光強度の明部8,13または暗部9,14,15によって、またスクリーン16上に投影される明部17によって孔状欠陥の有無を検出することはできる。これらの方法は、各光検出器3,10,11,12によって検出される光強度の明暗レベルのみによって欠陥の有無を抽出するものである。
【0011】
したがって、使用環境および装置特性の変化などの影響を受け安定して欠陥を抽出できない欠点を有する。たとえば図11に示す従来技術では、周囲の照明または日差しが金属帯1からの反射等によって光検出器3に検知されると、光強度の高い明部として欠陥であると誤認識されてしまう。また逆に図12に示す従来技術では、光源5の劣化などによって発光強度が低下すると光検出器3に検知される光強度が低下するので、光強度の低い暗部である欠陥として誤認識されてしまう。さらに金属帯1の他方表面4に光沢むらなどがあり、反射光強度が低下した場合にも同様の欠陥の誤認識が発生する。このような孔状欠陥の誤認識は、ひとえに光強度の単純な明暗レベルのみによって孔状欠陥を抽出することに起因している。
【0012】
また各光検出器3,10,11,12によって検出される光強度の明部8,13および暗部9,14,15を抽出するための光強度のレベルに応じて明部8,13および暗部9,14,15の時間軸方向の長さすなわち孔状欠陥6の寸法は変動し、明部8,13および暗部9,14,15を抽出するための光強度のレベルを選択するに際しての孔状欠陥6との対応も明らかではないので、孔状欠陥6の寸法を精度よく検出することは困難である。またスクリーン16上に投影される明部17も周縁部の境界が明瞭ではないので、孔状欠陥6の寸法を精度よく検出することは困難である。
【0013】
したがって、たとえば孔状欠陥の寸法に基づいて金属帯の品質等級分類をするような場合、孔状欠陥の寸法を精度よく求めることができないので、正確な等級分類をすることができないという問題がある。
【0014】
本発明の目的は、金属帯に発生する孔状欠陥の有無および寸法を精度よく検出できる金属帯の孔状欠陥検査装置および検査方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、長手方向に走行される金属帯の一方の表面に向けて光を出射する光源と、
金属帯の走行方向に対して直交する方向に軸線を有し、金属帯の他方の表面に接し軸線まわりに回転自在に設けられ、前記一方の表面よりも表面光沢が優れる反射ロールと、
光源から出射され金属帯の一方の表面または反射ロールの表面で正反射された正反射光を検出する第1光センサと、
光源から出射され金属帯の一方の表面または反射ロールの表面で乱反射された乱反射光を検出する第2光センサと、
第1および第2光センサの検出出力に応答し、正反射光および乱反射光の光強度を表示する表示手段とを含み、
前記表示手段には、正反射光および乱反射光の光強度に基づいて、孔状欠陥の寸法および孔状欠陥の金属帯における開口面積を演算する演算手段が設けられることを特徴とする金属帯の孔状欠陥検査装置である。
【0016】
また本発明は、長手方向に走行される金属帯の一方の表面に光源から光を照射し、
前記一方の表面よりも表面光沢が優れ、金属帯の走行方向に対して直交する方向に軸線を有し金属帯の他方の表面に接して軸線まわりに回転自在に反射ロールを設け、
金属帯の一方の表面または反射ロールの表面から正反射された正反射光および乱反射された乱反射光を第1および第2光センサによってそれぞれ検出し、
第1および第2光センサの検出出力に対応する正反射光および乱反射光の光強度を表示手段に表示し、
前記光強度に基づき孔状欠陥の寸法および孔状欠陥の金属帯における開口面積を演算手段に演算させ、
金属帯の孔状欠陥を検査することを特徴とする。
【0017】
本発明に従えば、長手方向に走行される金属帯の一方の表面に光源から光を照射し、金属帯の走行方向に対して直交する方向に軸線を有し金属帯の他方の表面に接して軸線まわりに回転自在に反射ロールを設ける。したがって、光源から照射された光は、金属帯に孔状欠陥が無いとき、金属帯の一方の表面によって反射され、金属帯に孔状欠陥が有るとき、孔状欠陥を透過し反射ロールの表面によって反射される。金属帯の一方表面または反射ロールの表面から正反射された正反射光は第1光センサによって検出され、乱反射された乱反射光は第2光センサによって検出される。第1および第2光センサの検出出力に対応する正反射光および乱反射光の光強度は表示手段に表示され、表示手段に表示された正反射光および乱反射光の光強度に基づいて金属帯の孔状欠陥を検査することができる。
【0018】
孔状欠陥を透過し反射ロールの表面によって正反射された正反射光の光強度は、金属帯の一方表面からの正反射光の光強度よりも向上する。一方孔状欠陥を透過し反射ロールの表面によって乱反射された乱反射光の光強度は、金属帯の一方表面からの乱反射光の光強度よりも低下する。このように、金属帯に発生した孔状欠陥は、正反射光の光強度の向上と乱反射光の光強度の低下との組合せによって表示されるので、孔状欠陥の有無とともに孔状欠陥の寸法が精度よく検査され、検査結果を金属帯の品質等級分類の判定に用いることが可能になる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の一形態である金属帯の孔状欠陥検査装置20の構成を簡略化して示す概略側面図であり、図2は図1に示す金属帯の孔状欠陥検査装置20を備える金属帯の検査装置21の全体構成を簡略化して示す図である。
【0020】
金属帯の孔状欠陥検査装置20(以後、孔状欠陥検査装置20と略称する)は、長手方向に走行される金属帯22の一方の表面23に向けて光を出射する光源24と、矢符25に示す金属帯22の走行方向に対して直交する方向に軸線26を有し、金属帯22の他方の表面27に接し軸線26まわりに回転自在に設けられる反射ロール28と、光源24から出射され金属帯22の一方の表面23または反射ロール28の表面で正反射された正反射光29を検出する第1光センサ30と、光源24から出射され金属帯22の一方の表面23または反射ロール28の表面で乱反射された乱反射光31を検出する第2光センサ32と、第1および第2光センサ30,32の検出出力に応答し、正反射光29および乱反射光31の光強度を表示する表示手段33とを含む。
【0021】
本実施の形態の孔状欠陥検査装置20は、たとえば金属帯22の表裏を巻直しその過程において金属帯22の欠陥検査を行う金属帯の検査装置21に設けられる。図2に示す金属帯の検査装置21は、金属帯22を巻戻すペイオフリール36、入側デフレクターピンチロール37、巻戻された金属帯22を形状矯正するピンチレベラ38、金属帯22の厚みを測定する厚み計39、入側剪断機40、ダウンロール41、ピンチロール42、テンションパット43、ブライドルロール44、孔状欠陥検査装置20、出側剪断機45、出側デフレクターピンチロール46、テンションリール47とを含み、図2の紙面では、ペイオフリール36からテンションリール47に向ってこの順序で設けられる。
【0022】
本実施の形態では金属帯22は、冷間圧延鋼帯(以後、鋼帯22と略称する)である。光源24は、たとえばハロゲンランプなどを備える投光器であり、反射ロール28の軸線26を含み重力方向に平行な1仮想平面と鋼帯22の一方表面23との交線に向けて光を出射する。光源24から前述のように出射された光は、前記交線を通り重力方向に延びる垂線51に対して角度θ1で鋼帯22の一方表面23に入射する。鋼帯22の一方表面23で入射角度θ1と同一の反射角度θ1で反射した光を正反射光29と呼び、正反射光29は第1光センサ30によって検出される。鋼帯22の一方表面23で入射角度θ1よりも大きい反射角度θ2で反射した光を乱反射光31と呼び、乱反射光31は第2光センサ32によって検出される。
【0023】
ここで乱反射光31の反射角度θ2は、正反射光29の反射角度θ1よりも大きい角度を選択したけれども、乱反射光31の反射角度はθ2に限定されるものではなく、正反射光29の反射角度θ1を除く任意の角度を選択することができる。
【0024】
反射ロール28は、表面が研磨されて光沢を有する金属製のロールであり、軸受によってロール軸が回転自在に支持される。反射ロール28は鋼帯22の他方表面27に接しているので、鋼帯22の矢符25方向への走行によって軸線まわりに従動回転される。
【0025】
正反射光29および乱反射光31を検出する第1および第2光センサ30,32は、正反射光29および乱反射光31の達する位置に鋼帯22の走行方向25に直交する方向(以後、幅方向と称する)にたとえばフォトダイオードなどを配列することによって実現できる。第1および第2光センサ30,32は、正反射光29および乱反射光31をそれぞれ検出し、検出された光強度に応答し出力を電気信号に変換して表示手段33に与える。
【0026】
表示手段33は、たとえばCRT(Cathode Ray Tube)またはLCD(Liquid Crystal Display)を備える画像解析器いわゆるイメージアナライザであり、第1および第2光センサ30,32からの出力に応答し、正反射光29および乱反射光31の光強度の変化を可視像として表示する。表示手段33には、第1および第2光センサ30,32によって検出された正反射光29および乱反射光31の光強度の変化を、写真またはグラフとして出力するプリンタなどの出力手段、また記録するためのビデオ装置などが含まれてもよい。さらに表示手段33には、正反射光29および乱反射光31の検出結果に基づいて、孔状欠陥の寸法および孔状欠陥の鋼帯22における開口面積を演算する演算手段が設けられてもよい。
【0027】
図3は鋼帯22に存在する孔状欠陥52が鋼帯22の走行に伴い移動する状態を示す概略断面図であり、図4は図3に示す孔状欠陥52の鋼帯22の走行に伴う位置変化に対応する正反射光29および乱反射光31の光強度の変化を表示した一例を示す図である。なお図4は、孔状欠陥52を含む鋼帯22の走行方向に平行な1直線上の光強度の変化を、表示手段33によって表示したものである。
【0028】
図3(a)に示す孔状欠陥52が光源24からの光の照射位置に達していない状態では、第1および第2光センサ30,32によって検出される正反射光29および乱反射光31は、鋼帯22の一方表面23から反射される光強度であり、図4中の横軸a位置における光強度として示される。この鋼帯22の一方表面23から反射される光強度を、便宜上バックグランド強度と呼ぶ。なお図4中、第1ライン53が正反射光29の光強度の変化を表し、第2ライン54が乱反射光31の光強度の変化を表す。
【0029】
図3(b)では、孔状欠陥52の形成された鋼帯22が矢符25方向に走行し、孔状欠陥52の鋼帯22走行方向前方側の端部が、光源24からの光の照射位置に達した状態を示し、図4中の横軸bに対応する。このとき正反射光29および乱反射光31は、ともに鋼帯22の孔状欠陥52を臨む周縁角部によって散乱されるので、第1および第2光センサ30,32に検出される光強度は、いずれも前記バックグランド強度よりも低下する。さらに鋼帯22がわずかに走行するのに伴い、光源24から照射される光が、鋼帯22の孔状欠陥52を臨む端面において散乱される状態が極めて短い時間であるけれども存在するので、正反射光29の光強度がバックグランド強度よりも低下した状態がごく短時間継続される。
【0030】
図3(c)では鋼帯22が走行し、孔状欠陥52のほぼ中央部が、光源24からの光の照射位置に達した状態を示し、図4中の横軸c位置に対応する。このとき正反射光29は孔状欠陥52を透過し反射ロール28の表面によって正反射される。反射ロール28表面の方が鋼帯22の一方表面23よりも表面光沢に優れ鏡面性に勝るので、光源24からの光の大半は正反射光29として反射される。したがって、正反射光29の光強度はバックグランド強度よりも向上する。一方乱反射光31は、光源24からの光の大半が正反射されてほとんど散乱しない、すなわち乱反射光とならないので、光強度は著しく低下する。
【0031】
図3(d)では、鋼帯22がさらに走行し、孔状欠陥52の鋼帯22走行方向後方側の端部が、光源24からの光の照射位置に達した状態を示し、図4中の横軸d位置に対応する。このとき正反射光29および乱反射光31は、ともに鋼帯22の孔状欠陥52を臨む周縁角部によって散乱されるので、光強度はいずれも前記バックグランド強度よりも低下する。より詳細には、前述の図4中b位置と逆の現象が生じ、孔状欠陥52の鋼帯22走行方向後方側の端部が、光源24からの光の照射位置に達する直前に、光源24から照射される光が、鋼帯22の孔状欠陥52を臨む端面において散乱されて正反射光29の光強度がバックグランド強度よりも低下する。
【0032】
鋼帯22の走行が進行し、孔状欠陥52が光源24からの光の照射位置を通り過ぎたとき、正反射光29および乱反射光31の光強度は、再び鋼帯22の一方表面23から反射されるバックグランド強度になる。
【0033】
このように、鋼帯22の走行に伴い孔状欠陥52が光源24からの光の照射位置を通過するとき、正反射光29は、光強度の低下した暗部、光強度の向上した明部および光強度の低下した暗部が、この順序で第1光センサ30によって検出され、乱反射光31は光強度の低下した暗部が第2光センサ32によって検出される。
【0034】
図4の横軸は、鋼帯22の走行に伴う孔状欠陥52の光の照射位置に対する相対的な位置変動を表すと同時に鋼帯22の走行距離を表す。このような光強度の明暗変化は、外乱光の変化あるいは鋼帯22の汚れ、疵では生じない孔状欠陥52に特徴的な挙動であるので、前記光強度の明暗変化を検出することによって孔状欠陥52のみを的確に抽出しうる。さらに図4中の孔状欠陥52の鋼帯22走行方向前方側端部であるb位置から、孔状欠陥52の鋼帯22走行方向後方側端部であるd位置までの鋼帯22の走行距離がすなわち孔状欠陥52の寸法を表す。
【0035】
したがって鋼帯22に発生した孔状欠陥52が、光源24からの光の照射位置を通過するとき、前述のような特徴的な挙動を示す正反射光および乱反射光の光強度の変化に基づいて、孔状欠陥52の寸法すなわち図4中の横軸に示すb位置からd位置までの長さを明瞭かつ精度よく求めることが可能になる。このことによって、検査された孔状欠陥52の寸法に基づいて、鋼帯22の品質等級分類の判定を一層精度よく行うことが可能になる。
【0036】
(実施例)
以下本発明の実施例について説明する。本実施の形態の孔状欠陥検査装置20を準備し、孔状欠陥検査装置20を備える金属帯の検査装置21に、孔状欠陥を含む金属帯を通板して孔状欠陥の検査を行った。金属帯は、厚み:1mm、幅:1200mmの冷間圧延鋼帯である。冷間圧延鋼帯には、冷間圧延鋼帯を厚み方向に貫通する1辺の長さが1mmおよび2mmの正方角柱状の孔をそれぞれ形成し、この正方角柱状の孔を孔状欠陥のモデルとして検査を行った。
【0037】
図5は孔状欠陥における正反射光の光強度を濃淡によって平面的に示す図であり、図6は図5に示すVI−VI線方向における光強度を示す図である。また図7は孔状欠陥における乱反射光の光強度を濃淡によって平面的に示す図であり、図8は図7に示すVIII−VIII線方向における光強度を示す図である。
【0038】
図5および図7は、孔状欠陥を含む冷間圧延鋼帯の一方表面からの正反射光および乱反射光の光強度の分布を、光強度の高い部位が白く、光強度の低い部位が黒くなるように表示手段33によって濃淡表示し、表示された検査結果を写真として出力したものである。図6および図8は、図5および図7にVI−VI線およびVIII−VIII線で示す冷間圧延鋼帯の走行方向に平行な一方向における正反射光および乱反射光の光強度の変化を2次元座標系により表示して出力したものである。
【0039】
図6中に階段状に表される第3ライン55が、正反射光の光強度変化の検出結果を表し、バックグランド強度65よりも、光強度が低下する暗部66、光強度が向上する明部67および光強度が低下する暗部68が検出され表示された。また図8中に階段状に表される第4ライン56が、乱反射光の光強度変化の検出結果を表し、バックグランド強度69よりも光強度が低下する暗部70が検出され表示された。第3ライン55の正反射光の光強度が低下する暗部66、光強度が向上する明部67および光強度が低下する暗部68と、第4ライン56の乱反射光の光強度が低下する暗部70とが表示される特徴的な光強度変化の挙動が検出されており、孔状欠陥を明瞭に検出することができた。
【0040】
また表示手段33には、第1および第2光センサ30,32によって検出された正反射光および乱反射光の光強度に基づいて、孔状欠陥の寸法である一辺の長さまたは直径と、冷間圧延鋼帯表面における孔状欠陥の開口面積とを演算する演算手段が備えられている。
【0041】
図9は孔状欠陥の一辺の長さLと演算手段によって演算した孔状欠陥の検出面積Sとの関係を示す図であり、図10は孔状欠陥の面積L2と演算手段によって演算した孔状欠陥の検出面積Sとの関係を示す図である。第1および第2光センサ30,32によって検出された正反射光および乱反射光の光強度変化に基づいて孔状欠陥を識別し、表示手段33に備わる演算手段によって孔状欠陥の冷間圧延鋼帯表面における開口面積を演算し、演算結果(以後、便宜上検出面積Sと称する)と孔状欠陥の実長さLおよび実面積L2とを比較した。比較した結果を前記図9および図10に示す。
【0042】
図9中において、第5ライン57は検出面積Sの平均値を表し、第6ライン58は平均値プラス3σ(ここでσは標準偏差)および第7ライン59は平均値マイナス3σを表す。同様に図10中において、第8ライン60は検出面積Sの平均値を表し、第9ライン61は平均値プラス3σおよび第10ライン62は平均値マイナス3σを表す。孔状欠陥の一辺の実長さLと検出面積Sとの関係は2次曲線で表され、孔状欠陥の実面積L2と検出面積Sとの関係は直線で表される。このように孔状欠陥の実長さLおよび実面積L2と検出面積Sとは高い相関を示し、孔状欠陥の寸法および面積を精度よく求めることができた。
【0043】
以上に述べたように、本実施の形態では、光源24は投光器であるけれども、これに限定されることなく、たとえば走査手段を備えるレーザ発振器であってもよい。また光センサ30,32は、フォトダイオードによって構成されるけれども、これに限定されることなく、CCDカメラまたは光学カメラなどによって構成されてもよい。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、長手方向に走行される金属帯の一方の表面に光源から光を照射し、金属帯の走行方向に対して直交する方向に軸線を有し金属帯の他方の表面に接して軸線まわりに回転自在に反射ロールを設ける。したがって、光源から照射された光は、金属帯に孔状欠陥が無いとき、金属帯の一方の表面によって反射され、金属帯に孔状欠陥が有るとき、孔状欠陥を透過し反射ロールの表面によって反射される。金属帯の一方表面または反射ロールの表面から正反射された正反射光は第1光センサによって検出され、乱反射された乱反射光は第2光センサによって検出される。第1および第2光センサの検出出力に対応する正反射光および乱反射光の光強度は表示手段に表示され、表示手段に表示された正反射光および乱反射光の光強度に基づいて金属帯の孔状欠陥を検査することができる。
【0045】
孔状欠陥を透過し反射ロールの表面によって正反射された正反射光の光強度は、金属帯の一方表面からの正反射光の光強度よりも向上する。一方孔状欠陥を透過し反射ロールの表面によって乱反射された乱反射光の光強度は、金属帯の一方表面からの乱反射光の光強度よりも低下する。このように、金属帯に発生した孔状欠陥は、正反射光の光強度の向上と乱反射光の光強度の低下との組合せによって表示されるので、孔状欠陥の有無とともに孔状欠陥の寸法が精度よく検査され、検査結果を金属帯の品質等級分類の判定に用いることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である金属帯の孔状欠陥検査装置20の構成を簡略化して示す概略側面図である。
【図2】図1に示す金属帯の孔状欠陥検査装置20を備える金属帯の検査装置21の全体構成を簡略化して示す図である。
【図3】鋼帯22に存在する孔状欠陥52が鋼帯22の走行に伴い移動する状態を示す概略断面図である。
【図4】図3に示す孔状欠陥52の位置に対応する正反射光29および乱反射光31の光強度の変化を示す図である。
【図5】孔状欠陥における正反射光の光強度を濃淡によって平面的に示す図である。
【図6】図5に示すVI−VI線方向における光強度を示す図である。
【図7】孔状欠陥における乱反射光の光強度を濃淡によって平面的に示す図であり
【図8】図7に示すVIII−VIII線方向における光強度を示す図である。
【図9】孔状欠陥の一辺の長さLと演算手段によって演算した孔状欠陥の検出面積Sとの関係を示す図である。
【図10】孔状欠陥の面積L2と演算手段によって演算した孔状欠陥の検出面積Sとの関係を示す図である。
【図11】従来の孔状欠陥検出方法の概略を示す図である。
【図12】従来の孔状欠陥検出方法の概略を示す図である。
【図13】従来の孔状欠陥検出方法の概略を示す図である。
【図14】従来の孔状欠陥検出方法の概略を示す図である。
【符号の説明】
20 孔状欠陥検査装置
21 巻直し検査装置
22 金属帯
24 光源
28 反射ロール
29 正反射光
30 第1光センサ
31 乱反射光
32 第2光センサ
33 表示手段
Claims (2)
- 長手方向に走行される金属帯の一方の表面に向けて光を出射する光源と、
金属帯の走行方向に対して直交する方向に軸線を有し、金属帯の他方の表面に接し軸線まわりに回転自在に設けられ、前記一方の表面よりも表面光沢が優れる反射ロールと、
光源から出射され金属帯の一方の表面または反射ロールの表面で正反射された正反射光を検出する第1光センサと、
光源から出射され金属帯の一方の表面または反射ロールの表面で乱反射された乱反射光を検出する第2光センサと、
第1および第2光センサの検出出力に応答し、正反射光および乱反射光の光強度を表示する表示手段とを含み、
前記表示手段には、正反射光および乱反射光の光強度に基づいて、孔状欠陥の寸法および孔状欠陥の金属帯における開口面積を演算する演算手段が設けられることを特徴とする金属帯の孔状欠陥検査装置。 - 長手方向に走行される金属帯の一方の表面に光源から光を照射し、
前記一方の表面よりも表面光沢が優れ、金属帯の走行方向に対して直交する方向に軸線を有し金属帯の他方の表面に接して軸線まわりに回転自在に反射ロールを設け、
金属帯の一方の表面または反射ロールの表面から正反射された正反射光および乱反射された乱反射光を第1および第2光センサによってそれぞれ検出し、
第1および第2光センサの検出出力に対応する正反射光および乱反射光の光強度を表示手段に表示し、
前記光強度に基づき孔状欠陥の寸法および孔状欠陥の金属帯における開口面積を演算手段に演算させ、
金属帯の孔状欠陥を検査することを特徴とする金属帯の孔状欠陥検査方法。
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