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JP4703066B2 - 電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金軟質箔の製造方法 - Google Patents

電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金軟質箔の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、一般的には電解コンデンサの陰極用に用いられるアルミニウム合金箔に関し、より特定的には、銅を含む合金系の電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金軟質箔に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
電解コンデンサの電極用アルミニウム箔には、陽極用と陰極用とがあり、いずれのアルミニウム箔にも、その実効表面積を拡大して単位面積当りの静電容量を高めるためにエッチング処理が施される。このエッチング処理を施したアルミニウム箔をエッチド箔という。
【0003】
陽極用、陰極用にかかわらず、エッチド箔に求められる主要な特性は、高い静電容量と高い強度である。
【0004】
近年、電気機器の小型化に伴い、電解コンデンサをより小さくすることが求められている。電解コンデンサを小さくするためには、一定容量の電解コンデンサを構成するために使用されるエッチド箔の量を減少させることが必要である。このためには、陽極用、陰極用のエッチド箔の静電容量を高めることが要求される。
【0005】
筒状の電解コンデンサにおいては、陽極用、陰極用のエッチド箔が電解質を介在して互いに重ね合わせられて巻かれることによって構成される。電解コンデンサを小型化するためにはエッチド箔の最小巻き径をより小さくする必要がある。また、電解コンデンサの製造工程においては、コイル状で供給されるエッチド箔を所定の幅に切断する工程、その切断されたスリットコイル状のエッチド箔をさらに巻取る工程、最終的に筒状の電解コンデンサを構成するためにエッチド箔を巻取る工程等が行なわれる。これらの工程における生産性を向上させるためにエッチド箔の巻取り速度を高める必要がある。この要求に応えるために、エッチド箔の強度、すなわちエッチド箔の曲げ強度をさらに高めることが必要となる。通常、エッチド箔の曲げ強度は、折り曲げ強度、すなわち、所定の荷重を加えて箔を折り曲げる試験を繰返し行ない、切断までの折り曲げ回数で評価される。
【0006】
陰極用アルミニウム箔は、製造コストと強度の観点から、陽極用アルミニウム箔よりもアルミニウム純度の低い地金を使用して製造するのが一般的である。通常、アルミニウムの純度が99.0〜99.95質量%程度のアルミニウム箔が陰極用に用いられる。なお、ここでいうアルミニウムの純度(ベース純度)とは、アルミニウム箔中に含まれる不純物元素のうち、鉄、ケイ素、銅の主要三元素の含有量を100%から差引いた値をいう。
【0007】
陰極用アルミニウム箔には、純アルミニウム系と銅を含むアルミニウム合金系とがあり、いずれも後工程の製造条件に適合するように軟質箔または硬質箔として製造される。
【0008】
合金系の電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔には、静電容量の向上と強度の向上のために銅が添加されている。アルミニウム合金に固溶している銅は、単位面積当りの静電容量を向上させるためのエッチング処理において微細なエッチングピットを形成する作用を助長するものと考えられている。
【0009】
電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔を軟質箔として製造する場合には、数百kgの重量のコイル状箔を炉の内部で焼鈍・軟化する工程を行なう。その焼鈍条件が適切でない場合には、その後工程のエッチング処理においてエッチングピットの集中の頻度が増大し、結果として静電容量の増大に寄与しない溶解、すなわち無効溶解が生じる。この場合、高い静電容量を得ることができないだけでなく、無効溶解が顕著な場合には、焼鈍工程で形成された再結晶粒の粒界にエッチングピットが集中してエッチングが進行する。その結果、エッチングが集中して行なわれた箇所において、箔の表面の一部が再結晶粒子とともに欠落し、単位面積当りの静電容量が低下するとともに、エッチド箔の強度が大幅に低下する。
【0010】
したがって、静電容量の向上と強度の向上の目的で銅を添加した合金系の電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金軟質箔のエッチング処理工程において、エッチングピットの集中の頻度が増大することなく、また焼鈍時に形成された再結晶粒界にエッチングピットが集中しないことが強く求められている。
【0011】
静電容量の高い電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔を製造するために、特開昭59−25943号公報では、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)を必須成分とし、銅(Cu)を含む合金系陰極用箔の製造方法として、その途中または最終において、合金材を450〜600℃に加熱した後、50℃/分以上の冷却速度で300℃以下に冷却する工程を含む方法が開示されている。
【0012】
しかしながら、この公報で開示された方法では、冷却速度が非常に高い。最終焼鈍後において、この高い冷却速度で箔を冷却するためには、事実上、最終の焼鈍・軟化工程をCAL(Continuous Annealing Line)で行なうことが必要とされる。陰極用箔のような厚みが20〜70μm程度の薄いアルミニウム合金箔では、その強度が低いため、CALのラインスピードを極端に遅くしないと、コイル状の箔が切断される危険性がある。また、CALでのラインスピードを極端に遅くすると、1コイルの焼鈍工程に膨大な時間がかかってしまう。一方、この高い冷却速度で冷却する工程を製造方法の途中で採用しても、最終焼鈍後の冷却速度に注意を払わない場合は、後工程のエッチング処理において静電容量の増大に寄与しない溶解が顕著になる場合がある。
【0013】
特開平2−240245号公報においては、静電容量の高い電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔を製造する方法として、鋳塊を580℃以上で均質化処理し、次いで熱間粗圧延および熱間仕上げ圧延を行なってアルミニウム合金板を得た後、アルミニウム合金板を380℃以上に加熱し、かつ冷却速度30℃/時間以上で冷却して中間焼鈍を行ない、その後圧延する方法が開示されている。
【0014】
しかしながら、この公報で開示された方法では、中間焼鈍後の冷却速度が規定されている。最終焼鈍後ではなく、冷間圧延前に、すなわち、製造方法の途中で焼鈍後の冷却速度を高めても、最終焼鈍後の冷却速度に注意を払わない場合は、後工程のエッチング処理において静電容量の増大に寄与しない溶解が顕著になる場合がある。
【0015】
そこで、この発明の目的は、エッチング処理後において高い静電容量と高い強度を確実に得ることが可能な、銅を含む電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金軟質箔とその製造方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、アルミニウム合金軟質箔の製造方法において、従来から知られている種々の方法を含めて、銅の固溶析出に関連する熱履歴条件を変化させる方法を採用して、その条件と、エッチング時の溶解減量、エッチド箔の静電容量およびエッチド箔の強度との関係を詳細に検討した。その結果、アルミニウムの純度と銅の含有量とが一定の範囲内にあり、かつ、アルミニウム合金箔中に添加元素として含まれる銅の含有量に対する銅の析出量の比率の値が一定値未満であれば、後工程でエッチング処理が施されても、高い静電容量と高い強度を有するエッチド箔が得られることを見出した。このような発明者らの知見に基づいて、本発明の電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金軟質箔とその製造方法は次のような特徴を備えている。
【0017】
この発明に従った電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金軟質箔は、アルミニウム(Al)の純度が99.0質量%以上99.8質量%以下であり、銅(Cu)の含有量が0.1質量%以上0.6質量%以下であるアルミニウム合金軟質箔であって、銅の含有量に対する銅の析出量の比率が50%未満であることを特徴とする。
【0018】
好ましくは、本発明の電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金軟質箔は、鉄(Fe)を0.015質量%以上0.4質量%以下含む。
【0019】
また、好ましくは、本発明の電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金軟質箔は、30μm以上70μm以下の厚みを有する。
【0020】
さらに、上記の特徴を有する電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金軟質箔の製造方法は、最終焼鈍後の降温過程において250℃から150℃までの温度範囲を50℃/時間以上100℃/時間以下の平均冷却速度で冷却することを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の電解コンデンサ陰極用軟質箔に使用するアルミニウム合金は、アルミニウムの純度が99.0質量%以上99.8質量%以下の範囲内である。アルミニウムの純度が99.0質量%よりも低い場合には、鉄、ケイ素(Si)等の微量の不純物が多くなりすぎて、エッチング時に鉄やケイ素等の析出物がエッチングの起点となり、表面欠落を引き起こす。この結果、銅の固溶析出状態を適切に管理しても、エッチング後のアルミニウム合金軟質箔の静電容量や強度の向上を図ることができない。また、アルミニウムの純度が99.8質量%よりも高い場合には、化学エッチング時または交流電解エッチング時の反応性が低く、効率よくエッチングを行なうことができないので箔の表面積を拡大することが困難になる。また、アルミニウムの純度が高すぎると、価格も高くなり、事実上使用することができない。より好ましくは、アルミニウムの純度は99.2質量%以上99.6質量%以下の範囲内である。
【0022】
本発明の電解コンデンサ陰極用軟質箔に使用するアルミニウム合金において、銅の含有量は0.1質量%以上0.6質量%以下である。銅の含有量が0.1質量%未満では、エッチング処理においてエッチングピットの開始点が減少し、静電容量を高めることができない。また、銅の含有量が0.6質量%を超えると、エッチング処理時においてエッチング開始点が多くなりすぎ、箔の溶解減量が増大し、静電容量を高めることができないだけでなく、箔の強度が低くなる。より好ましくは、銅の含有量は0.2質量%以上0.4質量%以下である。
【0023】
本発明の電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金軟質箔においては、銅の含有量が0.1質量%以上0.6質量%以下の範囲内であり、さらに銅の含有量に対する銅の析出量の比率が50%未満、より好ましくは40%未満に制御することによって、エッチング処理後において静電容量の向上と強度の向上を図ることができる。上記の比率が50%以上の場合には、銅の析出物とアルミニウムとの電気化学的な作用によってエッチングピットの集中の頻度が増大し、結果として無効溶解によって静電容量が低下する。さらに上記の比率が大きくなればなるほど、エッチング処理後において高い静電容量を得ることができないだけでなく、焼鈍工程時に形成された再結晶粒の粒界にエッチングピットが集中するために箔の表面の一部がその再結晶粒とともに欠落し、エッチド箔の強度が大幅に低下する。これは、銅の析出が主として焼鈍工程時に形成された再結晶粒の粒界に生じるためと考えられる。
【0024】
好ましくは、本発明の電解コンデンサ陰極用軟質箔に使用するアルミニウム合金は、鉄の含有量が0.015質量%以上0.4質量%以下の範囲内である。鉄の含有量が0.015質量%未満では、陰極用箔として十分な強度を得ることができず、箔の製造工程において圧延工程等の生産性が著しく低下する。また、鉄の含有量が0.4質量%を超えると、エッチング時に表面溶解量が増大し、アルミニウムの純度と銅の固溶析出状態を適切に制御しても、静電容量を向上させることが困難となり、箔の強度も低下する傾向にある。
【0025】
本発明の電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金軟質箔には、鉄、ケイ素、銅の他に不可避不純物として、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ガリウム(Ga)が含まれていてもよい。これらの元素の含有量については、通常、一次電解地金に、マンガンが0.001質量%以上0.02質量%以下、マグネシウムが0.001質量%以上0.02質量%以下、クロムが0.001質量%以上0.01質量%以下、亜鉛が0.001質量%以上0.02質量%以下、チタンが0.0001質量%以上0.02質量%以下、バナジウムが0.001質量%以上0.02質量%以下、ガリウムが0.005質量%以上0.02質量%以下の範囲で含まれているが、本発明による銅の粒界析出制御に大きく関与する作用効果は認められない。したがって、不可避不純物であるこれらの元素が上記の範囲内で含まれることは問題ではない。
【0026】
また、好ましくは、本発明の電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金軟質箔の厚みは30μm以上70μm以下である。箔の厚みが30μm未満では、エッチング後の強度が使用に耐えないまでに低下する。一方、箔の厚みが70μmを超えると、静電容量と強度をともに高めることはできるが、過剰品質であり、電解コンデンサの小型化の要求に反するとともに、箔の使用量が増加するので価格の上昇となり、事実上使用できなくなる。
【0027】
本発明者らは、アルミニウム合金軟質箔の製造方法において銅の固溶析出挙動を詳細に研究した。その結果、従来の製造方法では、焼鈍後にアルミニウム合金材を高い冷却速度で冷却する工程が採用されているが、冷間圧延後に行なわれる最終焼鈍の工程の後ではなく、製造方法の途中で、すなわち、冷間圧延前に行なわれる焼鈍工程の後で、冷却速度が高い冷却工程を採用しても、最終焼鈍後の冷却工程によっては銅が多量に析出するために、エッチングピットの集中の頻度は増大し、無効溶解によって静電容量が低下する場合がある、という知見を得た。これは、最終焼鈍前の途中段階で冷却速度を高くすることによって銅の固溶度を高めても、最終焼鈍後の冷却速度が低ければ、その段階で銅が析出してしまうからである。
【0028】
そこで、本発明者らは、最終焼鈍後の冷却工程が、銅の含有量に対する銅の析出量の比率に影響を与えることを見出した。すなわち、銅が析出する温度は300℃以下であり、最終焼鈍後に留意すべき冷却温度の範囲は300℃以下であることを見出した。特に、銅の析出量を銅の含有量に対して50%未満とするためには、最終焼鈍後に行なわれる降温過程において250〜150℃の温度範囲での平均冷却速度を50℃/時間以上100℃/時間以下、好ましくは60℃/時間以上80℃/時間以下とする必要がある。銅の析出は主として上記の温度範囲で生じるため、上記の温度範囲外での冷却速度を制御することはほとんど意味がない。また、上記の温度範囲内での冷却速度が50℃/時間未満では、銅の析出量が銅の含有量に対して50%以上となり、エッチング後において静電容量の低下と強度の低下を回避することができない。上記の温度範囲での冷却速度が50℃/時間以上であれば高い方がよいが、100℃/時間を超えると、冷却時に銅を固溶させる効果は飽和してしまう。また、上記の温度範囲での冷却速度が100℃/時間を超えるように最終焼鈍後の降温過程を実現するためには、前述したCAL等の特殊な焼鈍・軟化プロセスを採用する必要があるため、工業的に実施することは困難となる。
【0029】
本発明のアルミニウム合金軟質箔の製造方法において、冷却方法は、炉内で最終焼鈍を終了した後、室温近傍まで炉内で冷却するのではなく、たとえば、アルミニウム合金材の温度が250℃近傍になったときに炉内から材料を取出し、大気中で放冷する方法、同時に送風装置によって強制冷却する方法等によって達成できるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0030】
最終焼鈍処理は通常の方法によって行なえばよい。すなわち、コイル状アルミニウム合金箔を炉内に装入し、不活性雰囲気または真空雰囲気中で300〜550℃で1〜30時間加熱することによって最終焼鈍・軟化処理を行なう。焼鈍温度が低い場合には、大気雰囲気を採用することもできる。上記の温度範囲よりも低温、または上記の時間よりも短い時間で最終焼鈍処理を行なうと、コイル状のアルミニウム合金箔が十分軟化されない。また、上記の温度範囲よりも高温、または上記の時間よりも長い時間で最終焼鈍処理を行なうと、コイル状アルミニウム合金箔が密着したり、コイルの端部において酸化が生じる場合がある。また、この場合、最終焼鈍処理を行なうのにコイルに余分に熱量を与えることになり、製造コストの上昇を招くので好ましくない。
【0031】
【実施例】
鉄を0.014質量%、ケイ素を0.025質量%含有するアルミニウムの一次電解地金に、銅と、必要に応じて鉄とケイ素を添加し、成分調整した各種組成のアルミニウム合金材を鋳造した。このアルミニウム合金材を温度560℃で10時間、均質化熱処理を行なった後、直ちに熱間圧延を開始し、厚みが6mmになった時点で熱間圧延を終了した。さらに、このアルミニウム合金の熱間圧延材を冷間圧延することによって、厚みが35μmと50μmのアルミニウム合金硬質箔を得た。この硬質箔に温度400℃で4時間、最終焼鈍処理を施すことにより、アルミニウム合金軟質箔を得た。最終焼鈍後の降温過程において、250〜150℃の温度範囲での平均冷却速度を、強制冷却装置を備えた炉で制御し、各種組成のアルミニウム合金軟質箔の試料ごとに変更した。
【0032】
各試料の箔厚さ(μm)、鉄(Fe)、ケイ素(Si)および銅(Cu)の含有量(質量%)、アルミニウム(Al)の純度(質量%)、銅の析出量(質量%)、銅の含有量に対する銅の析出量の比率(析出Cu量/総Cu量)(%)、最終焼鈍後の250〜150℃の温度範囲での平均冷却速度(℃/時間)を表1に示す。
【0033】
なお、アルミニウムの純度(質量%)は鉄、ケイ素、銅の含有量(質量%)の総和を100%から減じて算出した。
【0034】
【表1】
Figure 0004703066
【0035】
なお、表1中においてアンダーラインの数字は本発明のアルミニウム合金軟質箔の組成範囲、または銅の含有量に対する銅の析出量の比率の範囲から外れていることを示す。
【0036】
銅の析出量は、松尾ら、軽金属学会第72回春季大会概要集;18;1987;p.35に記載された方法に準じたフェノール溶解法で測定した。アルミニウム合金箔を熱フェノールにより溶解し、ベンジルアルコールを加えて希釈したものを吸引ろ過した。ろ過は、まず、孔径が1.0μmのPTFE(四フッ化スチレン樹脂)タイプのメンブランフィルタに上記の溶液を1回通過させることによって行ない、晶出物を除去した。その後、ろ液を孔径が0.1μmのメンブランフィルタ上で吸振ろ過し、最終焼鈍処理で析出した微細な析出物をフィルタ上の残渣として捕集し、50%の塩酸溶液に溶解した後、ICP発光分光分析法により測定した。
【0037】
得られた各試料のアルミニウム合金軟質箔を、温度85℃に保持した15%の塩酸溶液と0.5%の硫酸溶液の中に、それぞれ10秒間浸漬して化学エッチングした後、温度400℃の大気雰囲気炉に5分間装入した。その後、8%のホウ酸アンモニウム溶液中で各試料のエッチド箔の静電容量をLCRメータにより測定した。
【0038】
各試料のアルミニウム合金軟質箔の機械的強度は折り曲げ試験によって評価した。すなわち、MIT型試験機を用い、折り曲げ角度を左右各45°として250gの荷重を加えて折り曲げ試験を繰り返して行ない、箔が切断するまでの折り曲げ回数を測定した。
【0039】
このようにして測定された各試料の静電容量と折り曲げ強度を、試料No.8の箔で得られた値を100とした場合の指数で表わし、表2に示す。表2には、各試料のエッチング時の溶解減量を同様に指数で示す。
【0040】
【表2】
Figure 0004703066
【0041】
表1と表2に示す結果から明らかなように、銅の含有量が0.1質量%未満である試料No.2では、折り曲げ強度は向上するが、十分な静電容量を得ることはできない。また、銅の含有量が0.6質量%を超える試料No.11では、溶解減量が増大し、十分な静電容量や強度を得ることができない。さらに、銅の含有量に対する銅の析出量の比率が50%を超える試料No.8と10では、静電容量と折り曲げ強度の向上を図ることができず、上記の比率が大きくなればなるほど静電容量と折り曲げ強度が低下することがわかる。なお、アルミニウムの純度が99.0質量%未満である試料No.14では、銅の含有量に対する銅の析出量の比率が50%未満であるにもかかわらず、不純物が多いため、静電容量や強度が低下することがわかる。
【0042】
以上に開示された実施の形態や実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態や実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変更を含むものと意図される。
【0043】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、エッチング処理後において高い静電容量と高い強度を備えた電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金軟質箔を得ることができる。

Claims (3)

  1. アルミニウムの純度が99.0質量%以上99.8質量%以下であり、銅の含有量が0.1質量%以上0.6質量%以下であり、かつ前記銅の含有量に対する銅の析出量の比率が50%未満であ電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金軟質箔の製造方法であって、
    最終焼鈍後の降温過程において250℃から150℃までの温度範囲を50℃/時間以上100℃/時間以下の平均冷却速度で冷却することを特徴とする、電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金軟質箔の製造方法
  2. 前記電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金軟質箔は、鉄を0.015質量%以上0.4質量%以下含む、請求項1に記載の電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金軟質箔の製造方法
  3. 前記電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金軟質箔の厚みが30μm以上70μm以下である、請求項1または請求項2に記載の電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金軟質箔の製造方法
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