JP4060493B2 - 電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔の製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、静電容量、引張強度、折曲強度及びエッチング面剥離強度に優れた陰極箔を得ることができる電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、静電容量、引張強度、折曲強度及びエッチング面剥離強度に優れた陰極箔を得るためのアルミニウム合金箔の製造方法が、種々提案されている。特に、特開昭63−303040号公報においては、以下のような製造方法が提案されている。即ち、エッチング性を向上させ高静電容量とするために、Cuを0.05〜1.0%含有させること、一次冷間圧延を圧下率を50%以上好ましくは90%以上で行うこと、中間焼鈍の温度範囲を320〜450℃とすることが提案されている。また、引張強度や折曲強度を向上させるため、仕上冷間圧延の圧下率を50〜90%にすること、エッチング面剥離強度を向上させるため、Cu含有量を1.0%以下とすることも提案されている。
【0003】
しかしながら、このような方法では、必ずしも、静電容量、引張強度、折曲強度及びエッチング面剥離強度に優れた陰極箔を得ることのできるアルミニウム合金箔を製造し得るとは限らなかった。例えば、エッチング面剥離強度に関して言えば、Cu含有量の上限を規定しただけでは調整することはできず、不純物である他元素の含有割合によって、或いは仕上冷間圧延の圧下率によって、エッチング面剥離強度が低下するということがあった。また、引張強度や折曲強度に関しても、他元素の含有量、均質化処理の条件、熱間圧延における上がり厚等によって、引張強度等が大きく変動するということもあった。更に、静電容量に関しても、一次冷間圧延の圧下率の下限を規制しただけでは調整することはできず、均質化処理の条件によって、エッチング性が向上せず、高静電容量の陰極箔が得られないということがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者等が種々研究を重ねた結果、静電容量に関しては、均質化処理の条件も関係していること、引張強度や折曲強度に関しては、アルミニウム合金箔の元素組成、均質化処理の条件、熱間圧延の上がり厚も関係していること、エッチング面剥離強度に関しては、アルミニウム合金箔の元素組成及び仕上冷間圧延の圧下率も関係していることを見出した。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、Cu:0.2〜0.5%、Si:0.01〜0.1%、Fe:0.01〜0.15%、その他不可避不純物元素を含有するアルミニウム鋳塊に、490〜550℃で0.5〜3時間の条件で均質化処理を施した後、熱間圧延して厚さ1.5〜2.5mmのアルミニウム板を得、該アルミニウム箔に一次冷間圧延を施した後、350〜450℃の温度範囲で中間焼鈍を施し、次いで圧下率80〜94%で仕上冷間圧延を施すことを特徴とする電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔の製造方法に関するものである。なお、本件明細書中において、各元素の含有割合を表わす%は、いずれも重量%のことである。
【0006】
まず、本発明においては、アルミニウム鋳塊を準備する。このアルミニウム鋳塊には、Cuが0.2〜0.5%、Siが0.01〜0.1%、Feが0.01〜0.15%、その他不可避不純物元素が含有されている。従って、アルミニウム純度(Al純度)は、概ね、99.2%以上である。また、アルミニウム鋳塊の厚さは、400〜600mm程度が好ましい。
【0007】
アルミニウム中のCuは、エッチング時の溶解性を向上させるものである。従って、Cuの含有量が0.2%未満であると、得られるアルミニウム合金箔のエッチング性が向上せず、高静電容量の陰極箔が得られないため、好ましくない。また、Cuの含有量が0.5%を超えると、エッチング時に過溶解が生じ、結果的に表面積の拡大が図れず、高静電容量の陰極箔が得られないため、好ましくない。
【0008】
Siは、アルミニウム中に不可避的に混入してくる元素である。従って、Siの含有量を0.01%未満にするには、特別な精製工程を経なければならず、得られるアルミニウム鋳塊が高価になるので、好ましくない。また、Siの含有量が0.1%を超えると、アルミニウム中にSiが固溶しにくくなって、アルミニウム合金箔の製造の際に、大きなサイズの析出物が生じやすくなる。この結果、得られるアルミニウム合金箔の引張強度や折曲強度が低下するので、好ましくない。
【0009】
アルミニウム中のFeは、アルミニウム合金箔の機械的特性を向上させるものである。従って、Feの含有量が0.01%未満であると、得られるアルミニウム合金箔の引張強度や折曲強度が低下するので、好ましくない。また、Feの含有量が0.15%を超えると、エッチング時に、アルミニウム合金箔の表面が層状にエッチングされやすくなる傾向が生じ、エッチング面剥離強度が低下するので、好ましくない。
【0010】
以上のようにして準備されたアルミニウム鋳塊に、均質化処理が施される。均質化処理は、アルミニウム鋳塊中のAl以外の他元素を、なるべく均一に分散させるのが目的である。均質化処理の条件は、温度が490〜550℃で、保持時間が0.5〜3時間である。このような均質化処理は、一般的にアルミニウム鋳塊に施される均質化処理と比べて、比較的低温で比較的短時間である。このような条件を採用した理由は、以下のとおりである。
【0011】
均質化処理の温度が490℃未満であると、Cu及びSiをアルミニウム中に固溶しにくくなり、エッチング特性が低下し、高静電容量の陰極箔が得られにくくなるため、好ましくない。また、均質化処理の温度が550℃を超えると、Feの析出物が再固溶し、得られるアルミニウム合金箔の引張強度や折曲強度が低下するので、好ましくない。均質化処理の時間が0.5時間未満になると、Cu及びSiのアルミニウム中への固溶が不十分となったり、或いはFe析出物の分散が不均一となるので、好ましくない。均質化処理の時間が3時間を超えると、均質化処理温度が低温側であるときは、粗大な金属間化合物が析出しやすくなり、また均質処理温度が高温側であるときは、Fe析出物が再固溶しやすくなって、いずれの場合も、得られるアルミニウム合金箔の引張強度や折曲強度が低下するので好ましくない。
【0012】
アルミニウム鋳塊に均質化処理を施した後、熱間圧延が施される。熱間圧延の温度条件等は、一般的な条件が採用されるが、圧下率を比較的高くして行われるのが、本発明における特徴である。即ち、熱間圧延上がりのアルミニウム板の厚さが、1.5〜2.5mmになるような圧下率が採用される。アルミニウム鋳塊の厚さは、一般的に、400〜600mmであるので、圧下率は99.375〜99.75%程度ということになる。一般的な熱間圧延における圧下率は、99.00%程度であるから、これに比べて、本発明の場合は、高圧下率での熱間圧延ということになる。なお、熱間圧延における圧下率は、{〔(アルミニウム鋳塊の厚さ)−(熱間圧延上がりのアルミニウム板の厚さ)〕/(アルミニウム鋳塊の厚さ)}×100なる式で算出されるものである。
【0013】
熱間圧延上がりのアルミニウム板の厚さが2.5mmを超えると、Fe等の析出物を十分に微細化することができず、得られるアルミニウム合金箔の引張強度や折曲強度が低下するので、好ましくない。熱間圧延上がりのアルミニウム板の厚さを1.5mm未満にすると、熱間圧延上がりの板厚及び板の形状が均一とてりにくく、製品化しにくくなるので、現実的ではない。
【0014】
熱間圧延上がりのアルミニウム板には、一次冷間圧延が施される。一次冷間圧延における圧下率は任意であって良いが、好ましくは80%以下であるのが良い。一般的に、一次冷間圧延は、析出物を微細化させるため、90%以上の圧下率で施されることが多いが、本発明では、熱間圧延工程で析出物が微細化しているので、このような高圧下率で一次冷間圧延しなくても良い。なお、一次冷間圧延における圧下率は、{〔(熱間圧延上がりのアルミニウム板の厚さ)−(一次冷間圧延後のアルミニウム薄板の厚さ)〕/(熱間圧延上がりのアルミニウム板の厚さ)}×100なる式で算出されるものである。
【0015】
一次冷間圧延を施した後、中間焼鈍が施される。中間焼鈍の条件は、一般的な条件で良く、温度範囲としては350〜450℃である。中間焼鈍の温度が350℃未満であると、Cuをアルミニウム中に更に十分に固溶させにくくなり、エッチング時の溶解性が低下し、高静電容量の陰極箔が得られないので、好ましくない。中間焼鈍の温度が450℃を超えると、結晶粒が粗大になりやすく、得られるアルミニウム合金箔の引張強度や折曲強度が低下するので、好ましくない。なお、中間焼鈍の時間は、バッチ焼鈍の場合は1〜20時間程度が好ましく、連続焼鈍の場合は10秒以上程度が好ましい。
【0016】
中間焼鈍の後、仕上冷間圧延が施される。仕上冷間圧延における圧下率は、80〜94%である。仕上冷間圧延における圧下率が80%未満であると、加工硬化が不十分となり、得られるアルミニウム合金箔の引張強度や折曲強度が低下するので、好ましくない。また、仕上冷間圧延における圧下率が94%を超えると、得られるアルミニウム合金箔表面の結晶粒の扁平化が進む。そして、このようなアルミニウム合金箔にエッチングを施すと、層状にエッチングされ、エッチング面剥離強度が低下するので、好ましくない。また、過度の加工硬化が生じ、折曲強度も低下するので、好ましくない。なお、仕上冷間圧延における圧下率は、{〔(中間焼鈍後のアルミニウム薄板の厚さ)−(仕上冷間圧延後のアルミニウム合金箔の厚さ)〕/(中間焼鈍後のアルミニウム薄板の厚さ)}×100なる式で算出されるものである。
【0017】
以上のようにして得られたアルミニウム合金箔は、そのままで、或いは最終焼鈍を施して軟化させて、電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔とされ、エッチングを施して、陰極箔を得ることができる。なお、最終焼鈍を行う場合、その条件は、一般に採用されている条件で良い。
【0018】
【実施例】
以下、実施例に基づいて、本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明は、特定のアルミニウム合金組成、特定条件の均質化処理、特定の熱間圧延、特定条件の中間焼鈍、特定の仕上冷間圧延を組み合わせれば、静電容量、引張強度、折曲強度及びエッチング面剥離強度に優れた陰極箔を得ることができる電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔を製造しうるとの知見に基づくものとして、解釈されるべきである。
【0019】
実施例1
アルミニウム純度99.6%、Cu含有量0.28%、Si含有量0.02%、Fe含有量0.04%で、その他不可避不純物元素を含有する厚さ500mmのアルミニウム鋳塊を準備した。このアルミニウム鋳塊に、温度520℃で1時間、均質化処理を施した。そのあと直ちに熱間圧延を行い、厚さ1.8mmのアルミニウム板を得た。このアルミニウム板に圧下率78%で、一次冷間圧延を施した後、温度400℃で10時間、中間焼鈍を施した。この後、圧下率88%で仕上冷間圧延を施し、厚さ0.05mmの電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔を得た。
【0020】
実施例2
均質化処理を温度510℃で0.5時間行い、中間焼鈍を420℃で10時間行った他は、実施例1と同一の方法で、電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔を得た。
【0021】
実施例3
アルミニウム純度99.5%、Cu含有量0.38%、Si含有量0.03%、Fe含有量0.04%で、その他不可避不純物元素を含有する厚さ500mmのアルミニウム鋳塊を準備した。このアルミニウム鋳塊に、温度520℃で1時間、均質化処理を施した。そのあと直ちに熱間圧延を行い、厚さ2.1mmのアルミニウム板を得た。このアルミニウム板に圧下率76%で、一次冷間圧延を施した後、温度400℃で10時間、中間焼鈍を施した。この後、圧下率90%で仕上冷間圧延を施し、厚さ0.05mmの電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔を得た。
【0022】
実施例4
均質化処理を温度500℃で1時間行い、熱間圧延上がりのアルミニウム板の厚さを1.6mmとし、中間焼鈍を430℃で7時間行い、仕上冷間圧延における圧下率を86%とした他は、実施例1と同一の方法で、電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔を得た。
【0023】
実施例5
均質化処理を温度540℃で2時間行い、熱間圧延上がりのアルミニウム板の厚さを1.8mmとし、一次冷間圧延における圧下率を78%とし、中間焼鈍を430℃で10時間行い、仕上冷間圧延における圧下率を88%とした他は、実施例3と同一の方法で、電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔を得た。
【0024】
実施例6
均質化処理を温度520℃で1時間行い、熱間圧延上がりのアルミニウム板の厚さを2.4mmとし、一次冷間圧延における圧下率を75%とし、仕上冷間圧延における圧下率を92%とした他は、実施例1と同一の方法で、電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔を得た。
【0025】
実施例7
アルミニウム純度99.3%、Cu含有量0.43%、Si含有量0.07%、Fe含有量0.10%で、その他不可避不純物元素を含有する厚さ500mmのアルミニウム鋳塊を準備した。このアルミニウム鋳塊に、温度530℃で2.5時間、均質化処理を施した。そのあと直ちに熱間圧延を行い、厚さ1.6mmのアルミニウム板を得た。このアルミニウム板に圧下率69%で、一次冷間圧延を施した後、温度440℃で10時間、中間焼鈍を施した。この後、圧下率90%で仕上冷間圧延を施し、厚さ0.05mmの電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔を得た。
【0026】
参考例
アルミニウム純度99.6%、Cu含有量0.29%、Si含有量0.02%、Fe含有量0.05%で、その他不可避不純物元素を含有する厚さ500mmのアルミニウム鋳塊を準備した。このアルミニウム鋳塊に、温度600℃で7時間、均質化処理を施した。そのあと直ちに熱間圧延を行い、厚さ1.8mmのアルミニウム板を得た。このアルミニウム板に圧下率78%で、一次冷間圧延を施した後、温度400℃で10時間、中間焼鈍を施した。この後、圧下率88%で仕上冷間圧延を施し、厚さ0.05mmの電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔を得た。
【0027】
比較例1
アルミニウム純度99.7%、Cu含有量0.15%、Si含有量0.04%、Fe含有量0.07%で、その他不可避不純物元素を含有する厚さ500mmのアルミニウム鋳塊を用いた他は、実施例1と同一の方法で、電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔を得た。
【0028】
比較例2
アルミニウム純度98.5%、Cu含有量0.56%、Si含有量0.16%、Fe含有量0.27%で、その他不可避不純物元素を含有する厚さ500mmのアルミニウム鋳塊を用いた他は、実施例1と同一の方法で、電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔を得た。
【0029】
比較例3
中間焼鈍を470℃で10時間行った他は、実施例3と同一の方法で、電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔を得た。
【0030】
比較例4
中間焼鈍を300℃で10時間行った他は、実施例3と同一の方法で、電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔を得た。
【0031】
比較例5
熱間圧延上がりのアルミニウム板の厚さを6mmとし、一次冷間圧延における圧下率を83%とし、仕上冷間圧延における圧下率を95%とした他は、実施例1と同一の方法で、電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔を得た。
【0032】
比較例6
熱間圧延上がりのアルミニウム板の厚さを3mmとし、一次冷間圧延における圧下率を87%とした他は、実施例1と同一の方法で、電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔を得た。
【0033】
比較例7
アルミニウム純度99.6%、Cu含有量0.28%、Si含有量0.03%、Fe含有量0.05%で、その他不可避不純物元素を含有する厚さ500mmのアルミニウム鋳塊を準備した。このアルミニウム鋳塊に、温度600℃で7時間、均質化処理を施した。そのあと直ちに熱間圧延を行い、厚さ3mmのアルミニウム板を得た。このアルミニウム板に圧下率90%で、一次冷間圧延を施した後、温度400℃で10時間、中間焼鈍を施した。この後、圧下率83%で仕上冷間圧延を施し、厚さ0.05mmの電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔を得た。
【0034】
以上の実施例1〜7、参考例、比較例1〜7に係る合金組成及び製造条件を表1として示した。
【表1】
【0035】
以上の実施例1〜7、参考例及び比較例1〜7に係る製造方法で得られた電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔から、所定の大きさの試料箔を採取し、以下の条件でエッチング処理を施した。
〔前処理〕:濃度0.05重量%の水酸化ナトリウム溶液(液温50±1℃)中に、試料箔を30秒間浸漬した。
〔本処理〕:塩酸濃度6重量%+燐酸濃度0.5重量%+蓚酸濃度0.5重量%の混合溶液(液温50±1℃)中に試料箔を浸漬し、30Hzの正弦波交流により、見掛け電流密度0.25A/cm2で200秒間の交流電解エッチングを行った。
本処理後、試料箔は化成することなく、アジピン酸アンモニウム150gを純水1000cm3に溶解した溶液(液温30±1℃)中で、LCRメーターを用いて、静電容量(μF/cm2)を測定し、その結果を表2に示した。なお、静電容量は、参考例に係る電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔をエッチングして得られた試料箔を基準(100%)として、その相対比較値で示した。
【0036】
また、エッチング後の試料箔について、以下の項目に関して、以下の方法で測定し、その結果を表2に示した。
〔引張強度(kg/cm)〕:試料箔から100mm×10mmの大きさの試験箔を採取し、インストロン型万能試験機にて、評点距離50mm、引張速度10mm/min.で引張強度を測定した。
〔折曲強度(回)〕:試料箔から150mm×10mmの大きさの試験箔を採取し、荷重200gf、曲率半径0.5mm、折曲角度90°、繰り返し折曲速度6回/sec.で折曲試験を行い、折曲部に破断や割れが生じるまでの折曲回数を測定した。
〔エッチング面剥離強度(g/cm)〕:試料箔から200mm×60mmの大きさの試験箔を採取し、この試験箔のエッチング面に、市販の接着テープ(100mm×10mm)を2.0kgfのハンドローラを用いて均一に貼りつけ、引張速度10mm/sec.で180°の剥離試験を行い、この際の剥離強度を測定した。
【0037】
【表2】
【0038】
表2の結果から明らかなように、実施例に係る方法で得られたアルミニウム合金箔をエッチングして得られた試料箔は、比較例に係る方法で得られた試料箔に比べて、静電容量、引張強度、折曲強度及びエッチング面剥離強度のいずれの点においても、優れていることが分かる。
【0039】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明に係る製造方法で得られた電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔をエッチングして得られた陰極箔は、静電容量、引張強度、折曲強度及びエッチング面剥離強度のいずれの点においても、優れている。従って、この陰極箔を巻き込んで、電解コンデンサに組み込む際、これは引張強度及び折曲強度に優れているので、破断したり割れが生じたりしにくい。また、エッチング面剥離強度に優れているので、巻き込んだ陰極箔の端部を接着テープで止めたとき、接着テープが剥離しにくく、巻き込みが緩むことも少ない。依って、電解コンデンサの生産を効率良く行うことができるという効果を奏する。また、この陰極箔は高静電容量であるので、電解コンデンサの静電容量も高くなり、例えば、所定の静電容量の電解コンデンサを小型化しうるという効果も奏する。
Claims (3)
- Cu:0.2〜0.5%、Si:0.01〜0.1%、Fe:0.01〜0.15%、その他不可避不純物元素を含有するアルミニウム鋳塊に、490〜550℃で0.5〜3時間の条件で均質化処理を施した後、熱間圧延して厚さ1.5〜2.5mmのアルミニウム板を得、該アルミニウム箔に一次冷間圧延を施した後、350〜450℃の温度範囲で中間焼鈍を施し、次いで圧下率80〜94%で仕上冷間圧延を施すことを特徴とする電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔の製造方法。
- 一次冷間圧延における圧下率が80%以下である請求項1記載の電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔の製造方法。
- 仕上冷間圧延後に、最終焼鈍を施す請求項1又は2記載の電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔の製造方法。
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