本発明は、基板上に導電膜、絶縁膜、半導体膜等を形成するにあたり、それらの膜を構成する組成物を吐出することによって形成する技術に関する。特に、組成物を吐出する際の諸条件を制御する手段を含む液滴吐出装置及び液滴吐出方法に関するものである。
従来、フラットパネルディスプレイ(FPD)等に用いられる薄膜トランジスタ(TFT)は、基板全面に導電膜、絶縁膜、半導体膜等の薄膜を成膜した後、フォトリソグラフィー工程を経て、所望の形状の薄膜を得、それらを積層させることによって形成していた。このフォトリソグラフィーは、基板全面に成膜された薄膜上にレジストを塗布した後、CAD等の回路図エディタを用いて作製されたフォトマスクをマスクとして紫外線を露光し、現像処理(感光させたレジストを薬品で処理してパターンを残す)によって形成されたマスクパターンをマスクとしてエッチング処理を行うことによって所望の形状の薄膜を得るという技術である。
一方で、近年、半導体素子の作製において、設備の低コスト化、工程の簡略化を目的として、半導体素子に用いられる薄膜や配線のパターン形成に、液滴吐出装置を用いることが検討されている。液滴吐出法は、薄膜や配線を構成する材料を溶媒に溶解又は分散させた組成物を、液滴吐出装置のノズル(筒状の、先の細い穴から液体や気体を噴出させる装置)から基板等の上方に吐出することによって、薄膜や配線パターンを直接描画するようにして形成できるため、上記フォトマスクが不要となり、従来のフォトリソグラフィーを省略することができるため、工程の大幅な簡略化及びコストの低減を図ることが可能となる。
しかしながら、液滴吐出法を用いる際には、従来のフォトマスクが不要となる代わりに、少なくとも液滴吐出時におけるノズル又は基板の移動経路を的確に制御する必要がある。また、吐出する組成物やそのパターンに応じて、ノズル又は基板移動速度、組成物の吐出量・噴射距離・噴射速度、吐出環境の雰囲気・温度・湿度、基板加熱温度などの諸条件も的確に制御するのが望ましい。
本発明は、このような課題を解決すべくなされたものであり、予め作成された薄膜パターンを示すデータに基づいて、薄膜を構成する材料を含む組成物を吐出するためのノズル、又は該組成物が吐出される基板の移動経路を設定する手段を有する液滴吐出システムを提案し、薄膜や配線を作製するにあたり、タクトタイム、スループットの向上を目的とするものである。
本発明に係る液滴吐出システムは、薄膜パターンを示すデータを入力する入力手段と、前記データに基づいて、前記薄膜を構成する材料を含む組成物を吐出するためのノズル、又は該組成物が吐出される基板の移動経路を設定する設定手段と、基板上に形成されたアライメントマーカーを検出するための撮像手段と、前記ノズル又は基板の移動経路を制御する制御手段とを有することを特徴としている。
上記発明によれば、液滴吐出システムを制御するコンピュータに入力された、薄膜パターンを示すデータに基づいて、前記薄膜を構成する材料を含む組成物を吐出するためのノズルの移動経路、又は該組成物が吐出される基板の移動経路を設定することができる。また、基板上に形成されたアライメントマーカーを検出するための撮像手段によって得た該マーカーの位置情報を、コンピュータに入力することにより、前記データと前記位置情報を照らし合わせて前記基板とノズルとの位置合わせを行うことができる。そして、制御手段によってノズル又は基板を設定された移動経路に従って移動させ、前記ノズルの吐出口(インクジェットヘッド)から前記組成物を吐出することにより、所望の位置に、所望の形状を有する薄膜や配線を形成することができる。
ここで、薄膜パターンを示すデータは、CAD(Computer Aided Design)、CAM(Computer Aided Manufacturing)、CAE(Computer Aided Engineering)のような回路設計ツールを用いて作成されたものを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
また、撮像手段としては、CCD(charge−coupled device;電荷結合素子)のような光の強弱を電気信号に変換する半導体素子を用いたカメラを用いることができるが、これに限定されるものではない。
また、薄膜パターンを示すデータと共に、薄膜を構成する材料を含む組成物の種類を入力ことにより、所望のノズル若しくは吐出口、又は該組成物を貯蔵するタンクを選択することもできる。
前記ノズル又は基板の移動経路及びその他の吐出条件は、液滴吐出装置に内蔵されたハードウェア(コンピュータ)に入力された薄膜パターン、薄膜の幅(線幅)、膜厚を示すデータや組成物の種類を示すデータ等をもとに、ハードウェアに組み込まれているソフトウェア(プログラム)が目的に応じた情報処理を行うことによって、設定される。
また、本発明に係る液滴吐出システムは、基板上に形成された第1の薄膜パターンを検出するための撮像手段と、第2の薄膜パターン及び該薄膜を構成する材料を含む組成物を示すデータを入力する入力手段と、前記データに基づいて、前記組成物を吐出するためのノズル、又は前記組成物が吐出される基板の移動経路を設定する設定手段と、前記ノズル又は基板の移動経路を制御する制御手段とを有することを特徴としている。
上記発明によれば、液滴吐出システムを制御するコンピュータに入力された、CAD等の回路設計ツールによって作成された薄膜パターンを示すデータに基づいて、前記薄膜(第2の薄膜)を構成する材料を含む組成物を吐出するためのノズル、又は該組成物が吐出される基板の移動経路を設定することができる。また、基板上に既に形成されている他の薄膜(第1の薄膜)を検出するための、CCDカメラ等からなる撮像手段によって得た該第1薄膜の位置情報を、コンピュータに入力することにより、前記データと前記位置情報を照らし合わせて前記基板とノズルとの位置合わせを行うことができる。そして、制御手段によってノズル又は基板を設定された移動経路に従って移動させ、前記ノズルの吐出口から前記組成物を吐出することにより、所望の位置に、所望の形状を有する薄膜(第2の薄膜)を形成することができる。
また、薄膜パターンを示すデータと共に、薄膜を構成する材料を含む組成物の種類を読み込むことにより、所望のノズル若しくは吐出口、又は該組成物を貯蔵するタンクを選択することもできる。
また、本発明に係る液滴吐出システムは、前記データに基づいて、前記薄膜を構成する材料を含む組成物を吐出するための第1及び第2のノズルの移動経路を設定する設定手段と、前記組成物を吐出する空間における雰囲気、該空間の温度、および該空間の湿度のパラメータが蓄積されたデータベースと、基板上に形成されたアライメントマーカーを検出するための撮像手段と、前記第1及び第2のノズルの移動経路を制御する制御手段と、前記データベースに基づいて前記組成物を吐出する空間における雰囲気、該空間の温度、および該空間の湿度を制御する手段とを有し、前記第2のノズルの移動経路は、前記第1のノズルの移動経路と交差するように設定され、ゲート電極と、半導体膜と、ソース電極およびドレイン電極を有する薄膜トランジスタを作製する液滴吐出システムであって、前記薄膜のパターンは、ゲート電極パターン、半導体膜パターン、ソース電極パターン、およびドレイン電極パターンを有し、前記ゲート電極の形成と、前記半導体膜をエッチングするためのマスクパターンの形成と、前記ソース電極および前記ドレイン電極の形成と、に用いられ、前記第2のノズルの移動経路は、前記第1のノズルの移動経路と直交するように設定され、前記第2の移動経路の組成物は、前記第1の移動経路との交差する部分で切断され、逆T字形状の薄膜を形成することを特徴とする。
上記発明によれば、同一層(レイヤー)からなる交差する形状の薄膜を簡単に形成することができる。また、第1及び第2のノズルのうち、一方のノズルから前記組成物が連続的に吐出されるようにし、他方のノズルから前記組成物が断続的に吐出されるようにすることにより、線状部分と突出部分とからなる形状(⊥状、亠状)の薄膜を形成することができる。つまり、線状部分は、第1のノズルから組成物を連続的に吐出して形成し、突出部分は、前記第1のノズルと交差する方向(例えば、直交する方向)に第2のノズルを移動させ、組成物を断続的に吐出して形成することにより、最終的に、線状部分と突出部分とからなる形状の一の薄膜を形成することができる。例えば、アクティブマトリクス型表示装置に用いられるTFTのゲート配線及びゲート電極、あるいはソース信号線及びソース電極を同一レイヤーとして形成する際に、上記発明を適用することができる。
なお、第1及び第2のノズルから吐出される組成物の種類は、基本的には同じものであるが、薄膜の機能を損なわない限り、異なる組成物を用いても構わない。例えば、上記ゲート配線部又はソース信号線部を、AlやCuを含む組成物を吐出することによって形成し、ゲート電極部又はソース電極部を、Agを含む組成物を吐出することによって形成することができる。他にもコストや抵抗率などを考慮して、適当な材料を選択することができる。
また、上記発明では、複数のノズルを用いて線状部分と突出部分とからなる形状の薄膜を形成したが、固定されたノズルを用い、被吐出物である基板を少なくとも第1及び第2の経路に従って移動させることにより、同一層(レイヤー)からなる交差する形状の薄膜を簡単に形成することができる。また、前記基板が、第1及び第2の経路の一方を通過する際に、前記組成物が吐出されるノズルから前記組成物が連続的に吐出され、他方を通過する際に、前記ノズルから前記組成物が断続的に吐出されるように、基板の移動経路を制御することにより、上記線状部分と突出部分とからなる形状の薄膜を形成することができる。なお、吐出される組成物は、薄膜の機能を損なわない限り、基板の第1の移動経路と、第2の移動経路とで変更してもよい。
また、本発明に係る組成物吐出条件制御プログラムは、薄膜を構成する材料を含む組成物の吐出条件を制御するコンピュータを、前記コンピュータに入力された前記薄膜のパターンを示すデータから、前記組成物を吐出するためのノズルの移動経路、又は前記組成物が吐出される基板の移動経路を設定する設定手段として機能させるという特徴を有している。
上記発明によれば、液滴吐出システムを制御するコンピュータに前記組成物吐出条件制御プログラムが読み込まれることにより、該コンピュータに入力された、CAD等によって作成された薄膜パターンを示すデータに基づいて、前記薄膜を構成する材料を含む組成物を吐出するためのノズルの移動経路、又は該組成物が吐出される基板の移動経路を設定することができる。そして、ノズル又は基板を設定された移動経路に従って移動させ、前記ノズルの吐出口から前記組成物を吐出することにより、所望の位置に、所望の形状を有する薄膜や配線を形成することができる。
また、薄膜パターンを示すデータと共に、薄膜を構成する材料を含む組成物の種類を入力することにより、所望のノズル若しくは吐出口、又は該組成物を貯蔵するタンクを選択することもできる。
なお、本発明に係る組成物吐出条件制御プログラムは、前記設定手段によって設定されたノズル又は基板の移動速度、前記ノズルの吐出口と前記基板との距離、該吐出口から前記組成物を吐出する速度、前記組成物を吐出する空間における雰囲気、該空間の温度、該空間の湿度及び前記基板を加熱する温度のうち、少なくとも一を判断する判断手段を有することを特徴としている。
上記発明によれば、液滴吐出システムをより完全に制御することができ、良好な薄膜を高いスループットで作製することができる。
なお、上記発明でいう薄膜とは、導電膜、絶縁膜、半導体膜、マスクパターン、有機化合物又は無機化合物を含む膜、カラーフィルタ、配向膜等、液滴吐出法によって形成することができるあらゆる膜を指す。
例えば、導電膜としては、半導体素子におけるゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、表示装置における画素電極、ELディスプレイのような発光装置における正孔注入電極(陽極)、電子注入電極(陰極)、あるいは、これらの電極に接続された信号線、走査線等の各種配線等が挙げられる。また、絶縁膜としては、半導体素子におけるゲート絶縁膜、半導体素子の上方に設けられる層間絶縁膜、平坦化膜、上記発光装置におけるバンク(土手、隔壁等とも呼ばれる。)等が挙げられる。また、半導体膜としては、半導体素子におけるチャネル領域や、不純物が添加されたソース、ドレイン領域等に用いられるシリコン膜、ゲルマニウム膜、シリコン・ゲルマニウム膜等が挙げられる。
また、マスクパターンとしては、レジストや、ポリイミド、アクリル、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾールのような耐熱性高分子材料等が挙げられる。液滴吐出法によって形成されたマスクパターンは、前記導電膜、絶縁膜、半導体膜等を液滴吐出法によらず、CVD法やスパッタ法等の薄膜形成法によって形成した場合に、エッチングする際のマスクとして活用することができる。
また、有機化合物又は無機化合物を含む膜としては、上記発光装置における発光素子(代表的にはエレクトロルミネセンス(EL:Electro Luminescence)を利用した発光素子)を構成する、正孔注入層(ホール注入層)、正孔輸送層(ホール輸送層)、発光層、電子輸送層、電子注入層、ホールブロッキング層等が挙げられる。
薄膜や配線の形成に用いられる液滴吐出システムにおいて、本発明のごとく、薄膜パターンを示すデータを入力する入力手段と、前記データに基づいて、前記薄膜を構成する材料を含む組成物を吐出するためのノズルの移動経路を設定する設定手段と、基板上に形成されたアライメントマーカーを検出するための撮像手段と、前記ノズルの移動経路を制御する制御手段とを有する構成とすることにより、液滴吐出時におけるノズル又は基板の移動経路を的確に制御する必要がある。液滴吐出システムを制御するコンピュータに組成物吐出条件制御プログラムを読み込ませることにより、吐出する組成物やそのパターンに応じて、ノズル又は基板移動速度、組成物の吐出量・噴射距離・噴射速度、吐出環境の雰囲気・温度・湿度、基板加熱温度などの諸条件も的確に制御することができる。
これによって、所望の太さ、厚さ、形状を有する薄膜や配線を、短いタクトタイム、高スループットの下で、所望の箇所に精度良く作製することができ、ひいては、それらの薄膜や配線を用いて作製したTFTのような半導体素子、該半導体素子を用いて作製した液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OELD)のような発光装置、LSI等の製造歩留まりを向上させることができる。特に、本発明を用いることにより、任意の場所に薄膜や配線のパターンを形成でき、形成するパターンの太さ、厚さ、形状も調整できるので、一辺が1〜2mを越える、例えば6畳分にも及ぶ大面積の半導体素子基板等も、低コストで歩留まり良く製造することができる。
[実施の形態1]
本発明を用いた液滴吐出システムについて、図1、図4(A)を参照して説明する。
まず、CAD、CAM、CAE等の回路設計ツール100によって、回路設計が行われ、所望の薄膜及びアライメントマーカーの配置箇所を決定する。
次に、設計された薄膜及びアライメントマーカーの配置箇所を含む薄膜パターンのデータ101は、記録媒体又はLAN(Local Area Network)等の情報網を介して、液滴吐出装置を制御するコンピュータ102に入力される。そして、薄膜パターンのデータ101に基づいて、液滴吐出手段103が有するノズル(筒状の、先の細い穴から液体や気体を噴出させる装置)のうち、該薄膜を構成する材料を含む組成物を貯蔵し、又は該組成物を貯蔵するタンクと接続されている最適な吐出口径を有するノズルが決定され、続いて、液滴吐出手段103の走査経路(移動経路)が決定される。なお、予め最適なノズルが決まっている場合いは、該ノズルの移動経路のみを設定すればよい。
次に、該薄膜が形成される基板104上にフォトリソグラフィー技術やレーザー光を用いて、アライメントマーカー117を形成する。そして、アライメントマーカーが形成された基板を液滴吐出装置内のステージ116に設置し、該装置に具備された撮像手段105によりアライメントマーカーの位置を検出し、画像処理装置106を介して、コンピュータ102に位置情報107として入力される。コンピュータ102では、CAD等により設計された薄膜パターンのデータ101と、撮像手段105によって得られるアライメントマーカーの位置情報107とを照らし合わせて、基板104と液滴吐出手段103との位置合わせを行う。
その後、コントローラ108によって制御された液滴吐出手段103が、決定された走査経路に従って、組成物118を吐出することにより、所望の薄膜パターン109が形成される。なお、組成物の吐出量は、吐出口の径を選択することにより、適宜調整することができるが、吐出口の移動速度、吐出口と基板との間隔、組成物の吐出速度、吐出空間の雰囲気、該空間の温度、湿度等のあらゆる条件によって微妙に異なってくるため、これらの条件も制御できるようにすることが望ましい。これらは、予め実験、評価によって最適な条件を求めておき、組成物の材料毎にデータベース化しておくのがよい。
ここで、薄膜パターンデータとしては、例えば、液晶表示装置、EL表示装置等に用いられるアクティブマトリクス型TFT基板の回路図等が挙げられる。図1中の円内の回路図は、このようなアクティブマトリクス型TFT基板に用いられる導電膜を模式的に示したものである。121は所謂ゲート配線、122はソース信号線(2nd配線)、123は画素電極又は正孔注入電極若しくは電子注入電極を指す。また、120は基板、124はアライメントマーカーを示している。当然、薄膜パターン109は、薄膜パターン情報におけるゲート配線121に対応するものである。
また、液滴吐出手段103は、ここでは、ノズル110、111、112が一体化された構成となっているが、これに限定されるものではない。また、各ノズルは、それぞれ複数の吐出口113、114、115を有している。上記薄膜パターン109は、ノズル110のうち、所定の吐出口113を選択することによって形成されたものである。
なお、液滴吐出手段103は、あらゆる線幅の薄膜パターンの作製に対応できるように、また、タクトタイムを向上させるため、吐出口径、吐出量、又はノズルピッチの異なる複数のノズルを備えておくのが望ましい。また、吐出口の間隔はできる限り狭い方が望ましい。また、一辺が1m以上から6畳程度の大面積の基板に対して、スループットの高い吐出を行うために、1m以上の長さを有するノズルを備えておくことが望ましい。また、伸縮機能を備え、吐出口の間隔を自由に制御することができるようにしてもよい。また、高解像度、即ち、滑らかなパターンを描画するために、ノズル又はヘッドが斜めに傾くようにしておくのが望ましい。これによって、矩形状など、大面積の描画が可能となる。
また、ヘッドのノズルピッチを変えたものを一つのヘッドに平行に備え付けてもよい。この場合、吐出口径は同じでもよいし、異ならせてもよい。
また、上記のように、複数のノズルを用いた液滴吐出装置となる場合には、使用していないノズルを収納するための、待機場所を設けておく必要がある。この待機場所には、またガス供給手段とシャワーヘッドを設けることにより、組成物の溶媒と同じ気体の雰囲気下に置換することができるため、乾燥をある程度防止することができる。さらに、清浄な空気を供給し、作業領域の埃を低減するクリーンユニット等を備え付けてもよい。
ただし、ノズルの仕様上、吐出口の間隔が狭くできないときには、ノズルピッチが表示装置における画素の整数倍となるように設計するとよい。これによって、図16のように、ノズルをずらして組成物を吐出することができる。
また、撮像手段105としては、CCD(電荷結合素子)のような光の強弱を電気信号に変換する半導体素子を用いたカメラを用いればよい。
上述した方法は、基板104を載せたステージ116を固定し、液滴吐出手段103を決定された経路に従って走査させることによって、薄膜パターン109を形成するものである。それに対して、液滴吐出手段103を固定し、薄膜パターンのデータ101に基づいて決定された経路に従って、ステージ116をXYθ方向に搬送させることによって、薄膜パターン109を形成してもよい。この際、液滴吐出手段103が複数のノズルを有している場合には、該薄膜を構成する材料を含む組成物を貯蔵し、又は該組成物を貯蔵するタンクと接続されている最適な吐出口径を有するノズルを決定する必要がある。
また、上述した方法は、ノズル110の所定の一つの吐出口のみを用いて薄膜パターン109を吐出形成するものであるが、形成する薄膜の線幅や膜厚に応じて、図12〜15に示すように、複数の吐出口を用いて組成物を吐出してもよい。
また、複数のノズルを用い、冗長機能を持たせてもよい。例えば、最初にノズル112(又は111)から組成物が吐出されるが、ノズル110からも、同一の組成物が吐出されるよう吐出条件を制御することにより、前方のノズル112において吐出口詰まり等の支障を来しても、後方のノズル110から組成物を吐出することができるため、少なくとも配線の断線等を防止することが可能となる。
また、吐出口径の異なる複数のノズルから組成物を吐出するように吐出条件を制御することにより、図12、13に示すように、平坦な薄膜を、より短縮されたタクトタイムで形成することができる。この方法は、特にLCDにおける画素電極や、ELディスプレイにおける正孔注入電極又は電子注入電極(図1の123に相当)のように、組成物の吐出面積が大きく、かつ平坦性が要求されるような薄膜の形成に特に適している。
さらに、吐出口径の異なる複数のノズルから組成物を吐出するように吐出条件を制御することにより、図14のように、配線の線幅が異なるパターンを一度に形成することができる。
さらに、吐出口径の異なる複数のノズルから組成物を吐出するように吐出条件を制御することにより、図15のように、絶縁膜12の一部に設けられたアスペクト比が高い開孔部に、組成物を充填させることができる。この方法によれば、ボイド(絶縁膜12と配線の間に生じる虫食い状の孔)が生じることなく、平坦化された配線を形成することができる。
図2は、上述した液滴吐出システムを有する液滴吐出装置の側面図を示したものである。該液滴吐出装置の構成要素としては、複数のノズルが一軸方向に配列されたヘッドを具備する液滴吐出手段103、該液滴吐出手段103を制御するコントローラ108及びCPU201、基板104を固定しXYθ方向に可動するステージ116等が挙げられる。このステージ116は、基板104を真空チャック等の手法で固定する機能も有する。そして、液滴吐出手段103が有する各ノズルの吐出口から基板104の方向に組成物が吐出され、パターンが形成される。
ステージ116と液滴吐出手段103は、コントローラ203を介してCPU201により制御される。また、CCDカメラなどの撮像手段105もCPU201により制御される。撮像手段105は、基板104上に形成されたアライメントマーカーを検出するものであり、CPU201で画像処理を経た後、モニター202によってそれらの位置情報を確認することができる。また、液滴吐出手段103は、インクボトル200と接続され、液滴吐出手段103のノズル及びその吐出口に組成物が供給される。
なお、パターンの作製に際しては、液滴吐出手段103を移動してもよいし、液滴吐出手段103を固定してステージ116を移動させてもよい。但し、液滴吐出手段103を移動させる場合には、ノズル移動時の加速度や、液滴吐出手段103に具備されたノズルと被処理物との距離、その環境を考慮して行う必要がある。
また、組成物を吐出する際の始点、終点又は方向転換点において、液だまり(バルジ)の生成を防止するため、ノズルから組成物が吐出されるまでのいわば助走区間を設け、基板又はノズルの加速度が一定になったときに組成物が吐出できるよう、移動距離を計算するプログラムを制御するコンピュータに組み込んでおくことが望ましい。
その他、図示しないが、付随する構成要素として、吐出した組成物の着弾精度を向上させるために、ノズルのヘッド(吐出口)113〜115が上下に動く移動機構とその制御手段等を設けてもよい。そうすると、吐出する組成物の特性に応じて、吐出口と基板104の距離を変えることができる。またガス供給手段とシャワーヘッドを設けることにより、組成物の溶媒と同じ気体の雰囲気下に置換することができるため、乾燥をある程度防止することができる。さらに、清浄な空気を供給し、作業領域の埃を低減するクリーンユニット等を設けてもよい。また、図示しないが、基板を加熱する手段、加えて温度、圧力等、種々の物性値を測定する手段を、必要に応じて設置しても良く、これら手段も、筐体の外部に設置した制御手段によって一括制御することが可能である。さらに制御手段をLANケーブル、無線LAN、光ファイバ等で生産管理システム等に接続すれば、工程を外部から一律管理することが可能となり、生産性を向上させることに繋がる。なお、着弾した組成物の乾燥を早め、また組成物の溶媒成分を除去するために、真空排気を行って、減圧下で動作させてもよい。
図3は、本発明の液滴吐出システムの機構を模式的に示した図である。まず、CAD等の回路設計ツールによって作成された薄膜パターンを示すデータ及び組成物の種類等の情報を端末300からコンピュータ102に入力する。そして、入力された該薄膜パターンデータに基づいて、設定手段301によって、該薄膜を構成する材料を含む組成物を吐出するノズルの移動経路、又は該組成物が吐出される基板を支える基板搬送機構の移動経路が設定される。また、基板に形成されたアライメントマーカーを、CCDカメラ等の撮像手段105によって検出しておき、撮像手段によって得られた位置情報と、前記薄膜パターンデータを照らし合わせることによって、基板とノズルとの位置合わせを行うことができる。そして、制御手段304によって吐出機構302又は基板搬送機構303を設定された移動経路に従って移動させ、前記ノズルの吐出口から前記組成物を吐出することにより、所望の位置に、所望の形状を有する薄膜を形成することができる。
[参考形態1]
実施の形態1では、基板に形成されたアライメントマーカーを用いて、基板とノズルの位置合わせを行う場合について説明したが、本参考形態では、基板上に既に形成された第1の薄膜パターンを撮像手段105によって検出し、その位置情報と、CAD等によって作成された第2の薄膜パターンのデータ101とを照らし合わせることにより、基板と第2の薄膜を構成する材料を含む組成物を吐出するためのノズルとの位置合わせを行う場合について、図4(B)を参照して説明する。
まず、基板上に第1の薄膜パターンを形成する。第1の薄膜パターンは、実施の形態1と同様のシステム及び手法により作製してもよい。
次に、入力手段によって、第2の薄膜パターンのデータをコンピュータ102に入力する。そして、入力された第2の薄膜パターンのデータに基づいて、設定手段301によって、該薄膜を構成する材料を含む組成物を吐出するノズルの移動経路、又は該組成物が吐出される基板を支える基板搬送機構の移動経路が設定される。
次に、撮像手段105を用いて、第1の薄膜パターンを検出し、その位置情報と、CAD等によって作成された第2の薄膜パターンのデータとを照らし合わせることにより、基板と第2の薄膜を構成する材料を含む組成物を吐出するためのノズルとの位置合わせ(アライメント)を行う。
次に、設定された移動経路に従って、前記ノズル又は基板搬送機構を移動させ、前記ノズルの吐出口から前記組成物を吐出することにより、所望の位置に、所望の形状を有する第2の薄膜パターンを即座に形成することができる。
同様に、第3の薄膜パターンデータを入力し、ノズル又は基板の移動経路を設定し、一方で、第1又は第2の薄膜パターンを撮像手段105によって検出し、基板とノズルとの位置合わせを行い、設定された移動経路に従って、前記ノズル又は基板搬送機構を移動させ、前記ノズルの吐出口から組成物を吐出することにより、所望の位置に、所望の形状を有する第3の薄膜パターンを即座に形成することもできる。
なお、本参考形態は、上記実施の形態又は下記実施例、参考例と自由に組み合わせることができる。
[実施の形態2]
本実施の形態では、実施の形態1、参考形態1で述べたノズル又は基板搬送機構の移動経路を設定する手段に加え、他の吐出条件を設定する手段を有する液滴吐出システムについて、図1、図5を参照して説明する。
本実施の形態で説明する液滴吐出システムは、吐出する組成物の特性に応じて、最適な吐出条件を蓄積したデータベース119(図1)を利用して、ノズル又は基板の移動速度、組成物の吐出量、ノズルヘッドと基板との距離、吐出口から組成物を吐出する速度、組成物を吐出する空間における雰囲気、該空間の温度、該空間の湿度及び基板を加熱する温度等の組成物吐出条件を自動的に制御することができる機能を有することを特徴としている。
図5は、該液滴吐出システムによって薄膜を形成する際のフローチャートである。まず、実施の形態1、2と同様の設定手段によって、最適なノズル、及び、基板又はノズルの移動経路を決定する。
次に、吐出する組成物の特性に応じて、ノズル又は基板の移動速度、組成物の吐出量、ノズルヘッドと基板との距離、吐出口から組成物を吐出する速度、組成物を吐出する空間における雰囲気、該空間の温度、該空間の湿度及び基板を加熱する温度を設定する。これらの条件は、理論的又は実験的、経験的に得られたパラメータが多数蓄積されたデータベースを用い、設計された薄膜パターンデータ101と、組成物の種類、膜厚等の情報と照らし合わせることにより、最適なパラメータを判断するための判断手段によって決定される。
そして、決定された吐出条件に従って、液滴吐出装置の各機構がコントローラ108によって制御される。例えば、ノズルヘッドと基板との距離は、ノズルのヘッド(吐出口)113〜115が上下に動く移動機構を制御することによって変えることができる。
また、液滴吐出手段103が有するヘッドとして、振動板、下部電極、ピエゾ、上部電極からなるピエゾ素子(圧電素子)を用いた圧電方式(ピエゾ方式)を採用した場合、該方式は、上部電極と下部電極に電位差を設けることにより、電極間に挟まれたピエゾが撓み、液滴が吐出される仕組みになっているため、これらの電極に印加する電圧を変えることによって、組成物の吐出量、又は組成物の吐出速度を制御することができる。なお、溶液の材料によっては、前記圧電素子を発熱体に置換した構造を有し、該発熱体を発熱させ気泡を生じさせ溶液を押し出す、所謂バブルジェット方式を用いてもよい。この場合、該発熱体の発熱温度等を変えることによって、組成物の吐出量、又は組成物の吐出速度を制御することができる。
また、吐出空間の雰囲気制御を行う場合、N2、O2や有機ガス等の中から、吐出する組成物の特性に応じて選択すればよい。また、吐出空間の温度や、基板加熱温度も、組成物の特性に応じて、制御することができる。また、吐出形成後の処理に併せて、これらの温度を調整してもよい。例えば、導電材料を含む組成物を吐出した後、乾燥、焼成工程をへて導電膜が形成されるが、この乾燥、焼成工程に併せて、温度を調整することができる。一例として、Agを含む組成物(Agナノペースト)を吐出形成した後、N2+O2雰囲気(O2組成比は10〜30%が望ましい。)で200〜250℃に焼成することにより、平坦かつ低抵抗の導電膜を形成することができる。
以上のように、前記データベースと判断手段によって吐出条件を制御することにより、所望の薄膜を高スループットで形成することができる。
本実施例では、図6、7を参照して、本発明に係る液滴吐出システムを用いて、アクティブマトリクス基板のTFTにおけるゲート配線及びゲート電極を形成する方法について説明する。
まず、ゲート配線部をノズル601から導電材料を含む組成物を吐出形成することによって形成する。ゲート配線部のパターンをコンピュータに入力することにより、ノズル601及び組成物が吐出される吐出口が選択され、基板の移動経路が設定手段を介して決定される。そして、該移動経路に従って基板が搬送され、選択された吐出口(図中黒色で示した部分)から組成物が連続的に吐出されることにより、ゲート配線603が形成される。なお、組成物は、断続的に吐出してもよいが、この場合には、導電膜の輪郭を滑らかにするため、図8、9に示したように、基板上に吐出された組成物の径の略半分のピッチ(以下、単に「半ドットピッチ」という。)で行うのが望ましい。
前記導電材料としては、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Ba、ITO、ITSO、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛(ZnO)のうち、少なくとも一種を含むものを用いることができる。ここでは、Agを含むナノペーストと呼ばれる組成物を用いた。このナノペーストは、Agを有機溶剤に分散又は溶解させたものであるが、他にも分散剤や、バインダーと呼ばれる熱硬化性樹脂が含まれている。特にバインダーに関しては、焼成時にクラックや不均一な焼きムラが発生するのを防止する働きを持つ。そして、乾燥又は焼成工程により、有機溶剤の蒸発、分散剤の分解除去及びバインダーによる硬化収縮が同時に進行することにより、ナノ粒子同士が融合し、ナノペーストが硬化する。この際、ナノ粒子は、数十〜百数十nmまで成長し、近接する成長粒子同士で融着、及び互いに連鎖することにより、金属連鎖体を形成する。一方、残った有機成分の殆ど(約80〜90%)は、金属連鎖体の外部に押し出され、結果として、金属連鎖体を含む導電膜と、その外側を覆う有機成分からなる膜が形成される。
ゲート配線603が形成された後、基板104を載せたステージ116を時計回りに90°回転させ、引き続き、ゲート電極部を、ノズル601から導電材料を含む組成物を吐出形成することによって形成する。まず、ゲート電極部のパターンをコンピュータに入力することにより、ノズル601及び組成物が吐出される吐出口が選択され、基板の移動経路が設定手段を介して決定される。そして、該移動経路に従って基板が搬送され、選択された吐出口(図中黒色で示した部分)から組成物が断続的に吐出されることにより、ゲート電極604が形成される。
前記導電材料としては、ゲート配線603と同様にAgを用いたが、上記に掲げた材料の中から他の材料を選択してもよい。また、ノズル601の吐出量を制御することにより、異なる線幅のゲート配線603、ゲート電極604を形成することができる。
なお、ゲート配線603、ゲート電極604は、組成物を吐出形成した後、乾燥、焼成工程を経て、形成されるが、該乾燥、焼成工程は、吐出形成がすべて終わった後に行ってもよいし、ゲート配線603、ゲート電極604毎に行ってもよい。焼成工程は、Agを含む組成物(Agナノペースト)を用いた場合、平坦かつ低抵抗の導電膜を形成するために、N2+O2雰囲気(O2組成比は10〜30%が望ましい。)で200〜250℃に焼成するのがよい。
また、ここでは、ゲート配線603、ゲート電極604を構成する導電材料としては同じものと用いたが、導電膜としての機能を損なわない限り、異なる導電材料を用いてもよい。例えば、ゲート配線603としてAl、Cuを用い、ゲート電極604としてAgを用いる、あるいはその逆とすることもできる。導電材料は、コスト面や抵抗値を考慮して、適宜選択することができる。
また、図6(A)、(B)の工程を複数回繰り返すことにより、多層構造のゲート配線603、ゲート電極604を形成することもできる。この場合にも、異なる材料を用いて、多層構造を構成することができる。
また、本実施例においては、ノズル601は静止状態を保っていたが、XYθ方向に可動とさせてもよい。これによって、ノズルに冗長機能を持たせることもでき、ゲート配線603、ゲート電極604の断線部が形成されるのを防止することができる。
また、ゲート配線603、ゲート電極604は、図7に示すように、基板104を固定した状態において、複数のノズルによって形成してもよい。これらのノズルは、異なるノズルピッチ、吐出口径を有するものとしてもよい。ゲート配線603、ゲート電極604を構成する材料は、上述したものを用いることができる。なお、ノズルとしては、回転機構を有する一のノズルを用いて形成してもよく、ゲート配線603、ゲート電極604で、吐出量を異ならせてもよい。
なお、本実施例に用いる液滴吐出システムとしては、上記実施の形態に示されたものを用いればよい。また、本実施例は、上記実施の形態又は他の実施例と自由に組み合わせることができる。また、本実施例に示す方法は、アクティブマトリクス基板のTFTにおけるゲート電極等の導電膜に限らず、他の液滴吐出法で形成しうるあらゆる膜の形成に適用することができる。
本実施例では、図8、9を参照して、本発明に係る液滴吐出システムを用いて配線を形成する方法について説明する。
基板上に、組成物を断続的に吐出する場合において、図8(A)、図9(A)のように、略1ドット(基板上に吐出された組成物の径)の間隔で吐出した場合、配線の形状は、著しい凹凸を有する形状となる。しかし、図8(B)、図9(B)のように、半ドットピッチで吐出した場合、配線の形状は、略1ドットピッチの場合に比べて、非常に滑らかな形状となる。
なお、図8は、ノズルの移動経路を、上→右→上→左→・・・→上→右→上→右→・・・といった要領で形成した、所謂冗長機能を有するものであり、図9は、基板の移動経路を、下→下→・・・→右下→右下→・・・といった要領で形成したものであるが、上記方法は、いずれの場合にも採用することができる。また、移動する部分をノズルと基板とで入れ替えても差し支えない。なお、上記方法は、組成物を連続的に吐出する場合にも応用することができる。
また、さらに、前記組成物に含まれる導電材料とは異なる導電材料を含む組成物を吐出することにより、多層配線としてもよい。また、鋸刃の形状、又は凹凸状の配線とすることにより、アクティブマトリクス基板の周辺に設けられる保護回路を作成することもできる。この保護回路は、その特殊な形状を利用してTFT工程における配線への過剰な帯電を防ぐ、即ち、TFTの絶縁破壊を防止する機能を有し、放電パターンなどとも呼ばれる。
なお、本実施例に用いる液滴吐出システムとしては、上記実施の形態に示されたものを用いればよい。また、本実施例は、上記実施の形態又は他の実施例と自由に組み合わせることができる。また、本実施例に示す方法は、配線等の導電膜に限らず、他の液滴吐出法で形成しうるあらゆる膜の形成に適用することができる。
本実施例では、図10を参照して、本発明に係る液滴吐出システムを用いて、アクティブマトリクス基板のTFTにおける配線を形成する方法について説明する。
まず、異なる吐出口径を有する少なくとも2つのノズル1001、1002を用意し、大きい吐出口径を有するノズル1001で、組成物1004を吐出形成する。次に、ノズル1001を半ドット分シフトさせ、組成物1005を吐出形成する。ここで、ノズル1001を半ドット分シフトさせることにより、滑らかな配線を形成することができる。
しかし、さらに滑らか且つ平坦な配線を形成する場合には、小さい吐出口径を有するノズル1002を用いて、組成物1004、1005の凹凸部を埋める要領で、組成物1006、1007を吐出すればよい。
また、さらに、前記組成物に含まれる導電材料とは異なる導電材料を含む組成物を吐出することにより、多層配線としてもよい。
また、前後に配置された複数のノズルを用いて、組成物を形成することにより、冗長機能を持たせることもできる。
なお、本実施例に用いる液滴吐出システムとしては、上記実施の形態に示されたものを用いればよい。また、本実施例は、上記実施の形態又は他の実施例と自由に組み合わせることができる。また、本実施例に示す方法は、アクティブマトリクス基板のTFTにおける配線等の導電膜に限らず、他の液滴吐出法で形成しうるあらゆる膜の形成に適用することができる。
本実施例では、図11、図17を参照して、本発明に係る液滴吐出システムを用いて、アクティブマトリクス基板のTFTにおける配線を形成する他の方法について説明する。
ノズル601を用いて形成された配線の断線部(開孔部)を検出する手段1102を設け、CPU201を介して、断線部の位置情報に基づき、基板のステージ116又は液滴吐出手段103をコントローラ108によって制御することにより、断線部を埋め、リペアすることができる。
なお、開孔部検出手段としては、実施の形態で述べたようなCCDカメラ等の撮像手段を用いることができる。
ここで、本実施例に係る液滴吐出システムの機構を、図17に模式的に示す。ここでは、断線部等を検出する開孔部検出手段1102、アライメントマーカー等を検出するための撮像手段105、CAD等によって作成された薄膜パターンデータや、薄膜の設計条件を入力する入力手段300によって得られた情報を記憶する記憶手段として、揮発性メモリ1700、不揮発性メモリ1701が設けられている。また、リペア時の組成物の吐出量を制御するための、吐出量制御回路1702が設けられている。これらの付加的機構は、実施の形態や他の実施例においても適用することができる。
また、開孔部検出手段1102を利用して、後の実施例にも述べるように、層間絶縁膜等の絶縁膜に形成されるコンタクトホールを検出し、その位置情報をもとに、開口部の径に合わせて最適なノズルを選択し、基板のステージ116又は液滴吐出手段103を制御して、コンタクトホール部に導電膜を形成することができる。
なお、上記システムは、開口部を作製する場合にも適用することが可能で、例えば、入力手段300により開口部を設ける箇所のデータが入力されたら、該データを基に、液滴吐出手段103により、選択的にエッチング液を含む組成物を吐出する。そうすると、選択的に開口部を形成することができる。
次に、開口部の深さや径、アスペクト比に合わせて吐出量を制御するシステムについて説明する。開口部検出手段1102は、開口部の深さに応じた径のノズルを検出する機能を有するものであり、公知のセンサを用いればよい。一般的に、開口部は、下から上に向かってその径が大きくなるため、最初に径が一番小さなノズルを用いて、徐々にそれよりも大きな径のノズルを用いるとよい。また、圧電体を具備したノズルを用いた場合、該圧電体に印加する波形を制御することで、吐出量を制御するという特徴を有する。つまり、このシステムに本特徴を活用してもよく、より詳しくは、開口部検出手段1102から得られた情報により、最適な径の吐出口を有するノズルを選択する。次に、ノズルから得られる吐出量を最適なものとするために、圧電体に印加する波形を制御する吐出量制御回路1702を活用するとよい。
なお、本実施例に用いる液滴吐出システムとしては、上記実施の形態に示されたものを用いればよい。また、本実施例は、上記実施の形態又は他の実施例と自由に組み合わせることができる。また、本実施例に示す方法は、配線等の導電膜に限らず、他の液滴吐出法で形成しうるあらゆる膜の形成に適用することができる。
参考例1
本参考例では、図12、13を参照して、本発明に係る液滴吐出システムを用いて、アクティブマトリクス基板の画素電極、正孔注入電極、電子注入電極等、面積の大きい領域に導電膜を形成する方法について説明する。
図12(A)は、基板140上にパターンを形成する様子を示したものであり、詳しくは、基板140上に画素電極144のパターンを形成する様子を示す。141は液滴吐出手段、142、143は配線であり、図示する形態では、基板140を搬送して、パターンを形成する様子を示す。
141は液滴吐出手段、142、143は配線であり、図示する形態では、基板140を搬送して、パターンを形成する様子を示す。
本発明は、各行で吐出口を一軸方向に配列した複数のノズルが、複数行配列された液滴吐出手段141を用いてパターンを形成する。本形態では、複数のノズルの径は、3種類のサイズがある場合を例に挙げ、液滴吐出手段141は、径がR1の吐出口を有するノズル151、径がR2の吐出口を有するノズル152、径がR3の吐出口を有するノズル153を具備する。
なお、ノズルから液滴が吐出した瞬間は、該液滴は該ノズルの吐出口と同じ径である。しかしながら、液滴組成物が基板に着弾すると、その組成物の径は、吐出口の径よりも大きくなる。これは吐出量に依存し、この吐出量が少ない程、着弾前と着弾後のサイズは変わらない。一例を具体的な数値を挙げて説明すると、吐出量が0.01plのとき、ノズルの吐出口の径は3μm、着弾後の組成物の径は3.25μmとなり、そのサイズは1.08倍となる。吐出量が0.1plのとき、ノズルの吐出口の径は6.5μm、着弾後の組成物の径は7μmとなり、そのサイズは1.08倍となる。吐出量が1plのとき、ノズルの吐出口の径は13μm、着弾後の組成物の径は16μmとなり、そのサイズは1.23倍となる。そこで、以下には、ノズルの吐出口の径と、着弾後の組成物の径がほぼ同じ(例えば、1.1倍以下)である場合と、ノズルの吐出口の径と、着弾後の組成物の径が変化する場合(例えば、1.1倍以上)に変化する場合の2つの場合に分けて説明する。
まず、ノズルの吐出口の径と、着弾後の組成物の径がほぼ同じ(例えば、1.1倍以下)である場合について、図12を用いて説明する。
最初に、径がR1の吐出口を有するノズル151を用いて、パターンを形成する(図12(B))。点線で囲まれた領域154は、パターン形成領域であるが、図示するように、各ノズルの吐出口間には、間隔があるために、パターンがストライプ状に形成されている。次に、径がR2の吐出口を有するノズル152を用いて、パターンを形成する(図12(C))。この工程では、前の工程でパターンが形成されなかった領域に、組成物が吐出される。本工程を経ると、パターン形成領域154のほぼ全面に組成物が吐出される。しかしながら、断面図に示すように、そのパターンの表面には凸凹が生じている。最後に、径がR3の吐出口を有するノズル153を用いて、パターンを形成する(図12(D))。この工程は、パターンの平坦化を目的としたものであり、凸凹した箇所に選択的に吐出する。そうすると、断面図に示すように、表面が平坦化されたパターンを形成することができる。
次に、ノズルの吐出口の径と、着弾後の組成物の径が変化する(例えば、1.1倍以上)場合について、図13を用いて説明する。
最初に、径がR1の吐出口を有するノズル151を用いて、パターンを形成する(図13(A))。点線で囲まれた領域154は、パターン形成領域であり、この場合、着弾後の組成物の径は変化しているため、該パターン154のほぼ全面に組成物が吐出される。しかしながら、断面図に示すように、そのパターンの表面には凸凹が生じている。次に、径がR2の吐出口を有するノズル152を用いて、パターンを形成する(図13(B))。この工程では、前の工程で凸凹が生じてしまった箇所に組成物を吐出する。本工程を経ると、パターンの表面の凸凹はほぼ解消される。最後に、径がR3の吐出口を有するノズル153を用いて、パターンを形成する(図13(C))。この工程は、パターンの平坦化を目的としたものであり、凸凹した箇所に選択的に吐出する。そうすると、断面図に示すように、パターンの表面が平坦化される。
上記構成を有する本発明は、まず、最大径ノズルを用いてパターンを形成し、次に、該最大径ノズルでは描画できなかった箇所、又は特に凸凹が生じてしまった箇所に、該最大径ノズルよりも小さい径の吐出口を有するノズルにより、組成物を選択的に吐出する。その後、必要に応じて、使用したノズルよりも小さい径の吐出口を有するノズルにより、組成物を選択的に吐出して、パターンの表面を平坦化する。この方法は、配線だけではなく、例えばLCDの画素電極、OELDの正孔注入電極、電子注入電極等の比較的大きな面積の導電膜のパターンの作製に有効であり、表面に凸凹が生じることなく、平坦化が実現されたパターンを作製することができる。
なお、本参考例に用いる液滴吐出システムとしては、上記実施の形態に示されたものを用いればよい。また、本参考例は、上記実施の形態、参考形態、参考例又は他の実施例と自由に組み合わせることができる。また、本参考例に示す方法は、画素電極等の導電膜に限らず、他の液滴吐出法で形成しうるあらゆる膜の形成に適用することができる。
参考例2
本参考例では、図14を参照して、本発明に係る液滴吐出システムを用い、液滴吐出手段として、異なる吐出口径を有する複数のノズルを用いて導電膜を形成する方法について説明する。
まず、異なる線幅の配線パターンを形成する実施態様について、図14を用いて説明する。図14は、基板140上に配線のパターン148を形成する様子を示したものである。より詳しくは、径がR1の吐出口を有するノズル151(図示せず)を用いてパターンを形成し、次に、径がR2の吐出口を有するノズル152(図示せず)を用いてパターンを形成し、最後に径がR3の吐出口を有するノズル153(図示せず)を用いてパターンを形成する様子を示したものである。各ノズル151〜153から吐出される液滴161〜163は、そのサイズ(吐出量)が異なっているため、図示するように、本発明の液滴吐出手段を用いると、線幅を変えたパターンを簡単に形成することができる。
なおパターンを形成後、必要に応じてポリテトラフルオロエチレンで加工した板などを用いてプレス処理をしたり、バフ研磨、ローラを用いて平坦化を行ったりしてもよい。また、必要に応じて、乾燥の工程と焼成(加熱処理)の工程の一方又は両方の工程を行ってもよい。乾燥と焼成の工程は、両工程とも加熱処理の工程であるが、例えば、乾燥は100℃で3分間、焼成は200〜350℃で15分間〜30分間で行う。両工程とも加熱処理の工程ではあるが、その目的、温度と時間が異なるものである。乾燥の工程、焼成の工程は、常圧下又は減圧下で、レーザ光の照射や瞬間熱アニール、加熱炉などにより行う。
乾燥と焼成の工程を良好に行うために、基板を加熱しておいてもよく、そのときの温度は、絶縁膜の材質に依存するが、一般的には200〜800度(好ましくは250〜450度)とする。本工程により、組成物中の溶媒の揮発、又は化学的に分散剤を除去するとともに、周囲の樹脂が硬化収縮することで、ナノ粒子間を接触させ、融合と融着を加速する。
レーザ光の照射を行う際には、連続発振またはパルス発振の気体レーザ又は固体レーザを用いれば良い。前者の気体レーザとしては、エキシマレーザ、YAGレーザ等が挙げられ、後者の固体レーザとしては、Cr、Nd等がドーピングされたYAG、YVO4等結晶を使ったレーザ等が挙げられる。条件は適宜設定されるが、エキシマレーザを用いる場合はパルス発振周波数300Hzとし、レーザーエネルギー密度を100〜700mJ/cm2とすると良い。またYAGレーザを用いる場合には、その第2高調波を用いてパルス発振周波数1〜300Hzとし、レーザーエネルギー密度を300〜1000mJ/cm2とすると良い。そして幅100〜1000μmで線状に集光したレーザ光を基板全面に渡って照射し、このときの線状ビームの重ね合わせ率を50〜98%として行っても良い。但し、レーザ光の吸収率の関係から、連続発振のレーザを用いることが好ましい。また、パルス発振と連続発振を組み合わせた所謂ハイブリッドのレーザ照射方法を用いてもよい。
瞬間熱アニール(RTA)は、不活性ガスの雰囲気下で、紫外光乃至赤外光を照射する赤外ランプやハロゲンランプなどを用いて、急激に温度を上昇させ、数分〜数マイクロ秒の間で瞬間的に熱を加えて行う。この処理は瞬間的に行うために、実質的に最表面の薄膜のみを加熱することができ、下層の膜には影響を与えないものである。
なお、本参考例に用いる液滴吐出システムとしては、上記実施の形態に示されたものを用いればよい。また、本参考例は、上記実施の形態、参考形態、参考例又は他の実施例と自由に組み合わせることができる。また、本参考例に示す方法は、上記配線に限らず、他の液滴吐出法で形成しうるあらゆる膜の形成に適用することができる。
本実施例では、図15を参照して、本発明に係る液滴吐出システムを用い、開口部を導電体により充填する実施態様について説明する。
図15(A)〜(C)において、10は基板、11は半導体又は導体、12は絶縁体であり、該絶縁体12には開口部13が設けられている。本発明は、各行で吐出口を一軸方向に配列した複数のノズルが、複数行配列された液滴吐出手段を用いて配線を形成する。本形態では、複数のノズルの径に3種類のサイズがある場合を例に挙げ、液滴吐出手段は、径がR1の吐出口を有するノズル151、径がR2の吐出口を有するノズル152、径がR3の吐出口を有するノズル153を有する。各ノズルの径はR1>R2>R3を満たす。
開口部は、下から上に向かって径が大きくなる。そこで、本発明は、まず、径がR3の吐出口を有するノズル153を用いて、開口部13の下層部分を組成物により充填する。次に、径がR2の吐出口を有するノズル152を用いて、開口部13を中央部分まで組成物により充填する。最後に、径がR1の吐出口を有するノズル151を用いて、開口部13の上層部分を組成物により充填する。
本方法によれば、開口部に組成物が充填され、平坦化された導電層を形成することができる。従って、アスペクト比が高い開口部が設けられた絶縁体12にも、ボイドが生じることなく、平坦化された配線を形成することができる。
なお、絶縁体12の材料としては、酸化珪素膜、窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜及び酸化窒化珪素膜などの珪素を含む絶縁膜を用いて、単層又は積層して形成する。但し、配線を積層した多層配線を形成する場合、誘電率が低い材料(好適には比誘電率が4以下の材料)を用いることが好適であり、例えば、アクリル、ベンゾシクロブテン、パリレン、フレア、透過性を有するポリイミドなどの有機材料を用いるとよい。絶縁体12として有機絶縁膜を用いると、その平坦性が優れているため、後に導電体を成膜した際にも、段差部で膜厚が極端に薄くなったり、断線が起こったりすることがないため好適である。また低誘電率の材料を層間絶縁膜として用いると、配線容量が低減するため、多層配線を形成することが可能となる。従って、本発明の配線の作製方法を適用することによって、高性能化及び高機能化が実現された表示装置、半導体装置の作製方法を提供することができる。
また、絶縁体12として有機材料を用いた場合、脱ガス等の防止から、Ti(チタン)、TiN(チタンナイトライド)、TiSixやMoSixなどのシリサイド膜やポリシリコン膜、Nb、TiON、W(タングステン)、WN、TiWN、Taなどの材料を用いて、バリア膜を形成してもよい。バリア膜は、単層又は積層構造のいずれでも構わない。このバリア膜は、密着性を高め、埋め込み性を付与し、さらにコンタクト抵抗の低減と安定化をもたらすものである。
開口部13の形成には、ウエットエッチング、ドライエッチングのいずれの方法を用いても構わないが、ドライエッチングを用いると、高アスペクト比(3以上)の開口部13を形成できるので、好適である。また、開口部13の形成に、液滴吐出法を用いてもよく、この場合、ノズルから、ウエットエッチング液を吐出することで行う。但し、開口部13のアスペクト比の制御のため、水などの溶媒で適宜洗浄する工程を追加するとよい。勿論、この洗浄の工程も、液滴吐出法を用いて、ノズルから吐出する液滴を水に交換するか、または、溶液が充填されたヘッドを交換すると、同一の装置で連続処理が可能となり、処理時間の観点から好ましい。
液滴吐出手段に圧電体を具備したノズルを用いた場合、該圧電体に印加する波形を制御することで、吐出量を制御するという特徴を有する。本発明の液滴吐出手段にこの特徴を活用してもよく、より詳しくは、最適な径の吐出口を有するノズルを選択し、且つノズルから得られる吐出量を最適なものとするために、圧電体に印加する波形を制御するというものである。
また、開口部を組成物により充填した後、必要に応じて、乾燥の工程と焼成(加熱処理)の工程の一方又は両方の工程を行ってもよい。
上記構成を有する本発明は、開口部に組成物が充填され、平坦化された配線を簡単に形成することができる。従って、アスペクト比が高い開口部が設けられた絶縁体にも、ボイドが生じることなく、平坦化された配線を形成することができる。このような平坦化された配線の形成により、4層、5層、6層と層を重ねた多層配線を形成することが可能となり、この多層配線の実現により、高集積化が可能となるため、高性能の表示装置、半導体装置を提供することができる。
なお、本実施例に用いる液滴吐出システムとしては、上記実施の形態に示されたものを用いればよい。また、本実施例は、上記実施の形態又は他の実施例と自由に組み合わせることができる。また、本実施例に示す方法は、上記配線に限らず、他の液滴吐出法で形成しうるあらゆる膜の形成に適用することができる。
参考例3
本参考例では、図16を参照して、本発明に係る液滴吐出システムを用い、液滴吐出手段の各ノズルピッチが、画素ピッチのn倍(nは整数)以上である液滴吐出手段を用いた場合の配線パターンの作製方法について説明する。
ここでは、n=2の場合を例に挙げて説明する。図16において、104は基板、601はノズル、602は吐出口(ヘッド)である。まず、1回目の基板104の走査により奇数行目の配線のパターンの描画を行って(図16(A))、次に、吐出口602に対応させるように基板104をずらして、2回目の基板104の走査により偶数行目の配線のパターンの描画を行う(図16(B))。そうすると、基板の走査を2回行えばパターンの描画を終了させることができる。
なお、画素ピッチとは、画素と画素との繰り返しの長さのことで、ドット数と画面サイズによって決まるものである。そこで、解像度がVGA(640×480)で、画面サイズが15.1インチのパネルを作製する場合を例に挙げると、画素ピッチは479μmとなる。従って、複数のノズルのピッチは、479μmのn倍(nは整数)となる。この場合に描画する配線のパターンの幅は約100μm前後であるため、そのノズルの吐出口の径は約50μmに設定することが好適である。
上記構成を有する液滴吐出手段を用いることによって、パターンの描画を短時間で行うことが可能となり、その結果、タクトタイムの向上が実現される。
なお、本参考例に用いる液滴吐出システムとしては、上記実施の形態に示されたものを用いればよい。また、本参考例は、上記実施の形態、参考形態、参考例又は他の実施例と自由に組み合わせることができる。また、本参考例に示す方法は、上記配線に限らず、他の液滴吐出法で形成しうるあらゆる膜の形成に適用することができる。
本実施例の他の形態は、図18及び図19を参照して、本発明に係る液滴吐出システムを、チャネル保護型(チャネルストッパー型)TFTの作製方法に適用した場合について説明する。
まず、基板100上に、Tiを含む薄膜140を成膜する(図18(A))。例えば、ガラス基板上に5nm以下のTi薄膜を成膜すればよい。Tiを含む薄膜を成膜することによって、後に導電材料を含む組成物を吐出することによって形成される導電膜と基板100との密着性を高めることができる。また、該導電膜を焼成する際にTi薄膜がTiO2になるため、透過率を向上させることができる。
ここで、基板100としては、ガラス基板、石英基板、アルミナなど絶縁物質で形成される基板、後工程の処理温度に耐え得る耐熱性を有するプラスチック基板等を用いることができる。この場合、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y)など(x、y=1、2・・・)、基板側から不純物などの拡散を防止するための絶縁膜を形成しておくことが望ましい。また、ステンレスなどの金属または半導体基板などの表面に酸化シリコンや窒化シリコンなどの絶縁膜を形成した基板なども用いることができる。
次に、Tiを含む薄膜140上に、液滴吐出法を用いて、ゲート電極103が形成される部分に、導電材料を含む組成物を吐出し導電膜102を選択的に吐出形成する(図18(A))。この際、導電膜の形状は、液滴の表面張力によって丸みを帯びた形状となっている。
ここで、導電材料としてはAgを用いたが、これに限定されるものではない。他にも、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Ba等の金属、ハロゲン化銀の微粒子等、又は分散性ナノ粒子等の導電材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いることができる。ここで、溶媒としては、テトラデカン等を用いればよい。また、液滴吐出条件等も、実施の形態と同様のものを採用することができる。
次に、導電膜102を少なくとも窒素及び酸素を含む雰囲気下で焼成する。ここでは、窒素に酸素を混合させたガスを用い、混合ガス中に占める酸素分圧は25%、焼成条件は、230℃、1時間としたが、これに限定されるものではない。このように、液滴吐出法によって導電膜を形成した後に、O2を含む雰囲気下において焼成することにより、導電膜の平滑性が向上し、さらに薄膜化、低抵抗化が促進される。なお、導電材料を含む組成物を減圧下で吐出することにより組成物中の溶媒が揮発するため、後の加熱処理(乾燥又は焼成)時間を短縮することもできる。
以上の焼成工程を経て、ゲート電極103が形成される(図18(B))。なお、さらに平坦性を向上させたい場合には、平坦化処理を行うことも可能である。例えば、CMP(化学的機械的研磨)法、エッチバック、リフロー、塗布法、酸化物の埋め込み、バイアススパッタ、CVDによる選択成長、レーザー等を用いることができる。
なお、ゲート電極103は単層構造に限定されず、2層構造、3層構造など複数層を積層させた構造としてもよい。例えば、TaN(窒化タンタル)とW(タングステン)を用いた2層構造が挙げられる。この場合、各導電膜を形成する毎に上記焼成工程を行うのが望ましいが、この手順に限定されるものではない。また、ゲート電極103を形成すると同時に、走査線や信号線等の各種配線を同時に形成することもできる。
次に、ゲート電極103上にゲート絶縁膜104を形成する(図18(C))。ここでは、ゲート絶縁膜としての機能に加え、ゲート電極側からの不純物の拡散によるトラップの形成を防ぐため、SiN膜104a、SiO2膜104b、SiN膜104cの3層構造としている。ただし、これに限定されるものではなく、他の絶縁膜を用いてもよいが、特にゲート電極としてAgを用いた場合には、SiO2を成膜する際に生じる酸素プラズマとAgとが反応して酸化銀(AgO)を形成するため、Agに接する絶縁膜としては、SiNを用いるのが望ましい。なお、これらの絶縁膜は、CVDやスパッタによって形成することができる。
次に、ゲート絶縁膜104上に、半導体膜105を形成する(図18(D))。ここでは、ジシラン(Si2H6)とフッ化ゲルマニウム(GeF4)の原料ガスとして、LPCVD(減圧CVD)法によって、多結晶半導体膜を直接形成した。ガス流量比は、Si2H6/GeF4=20/0.9、成膜温度は400〜500℃、キャリアガスとしてHe又はArを用いたが、これに限定されるものではない。かかる条件の下で成膜された多結晶半導体膜中のSi組成比は、80%以上であった。
なお、半導体膜105は、セミアモルファスシリコン(SAS)膜を形成してもよい。また、アモルファス半導体や、他の方法で作製された結晶性半導体を用いてもよい。ここで、セミアモルファス半導体について説明する。セミアモルファス半導体とは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んだ半導体をいう。少なくとも膜中の一部の領域には、0.5〜20nmの結晶粒を含んでおり、所謂微結晶半導体(マイクロクリスタル(μ−C)半導体)とも呼ばれる。また、ラマンスペクトルが520cm−1よりも低波数側にシフトしており、X線回折ではSi結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測されるという特徴を有している。また、未結合手(ダングリングボンド)の中和剤として水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含有している。
セミアモルファスシリコンは、SiH4、Si2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などの珪化物気体をプラズマCVD法によってグロー放電分解して形成する。この珪化物気体をH2、又は、H2とHe、Ar、Kr、Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈してもよい。希釈率は2〜1000倍の範囲、圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲、電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzとするのがよい。また、基板加熱温度は350℃以下、好ましくは100〜300℃とする。膜中の不純物元素のうち、酸素、窒素、炭素などの大気成分の不純物は1×1020cm−3以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019cm−3以下、好ましくは1×1019cm−3以下とする。なお、ここで説明したSASの形成方法は、実施の形態1、参考形態1においても適用することができる。
次に、半導体膜105上に、チャネル保護膜となる絶縁膜141を形成する(図18(D))。ここでは、SiN膜を成膜したが、これに限定されるものではない。なお、チャネル保護膜は、チャネル領域をオーバーエッチングから保護する機能を果たすために、絶縁膜141の厚さは1μm以上、好ましくは5μm以上の厚さとするのが望ましい。
次に、絶縁膜141をエッチングするためのマスクパターン142を、液滴吐出法によって形成する(図18(E))。マスクパターン142は、耐熱性高分子材料を用いて形成することが好ましく、芳香環、複素環を主鎖にもち,脂肪族部分が少なく高極性のヘテロ原子基を含む高分子を用いることが好ましい。そのような高分子物質の代表例としてはポリイミド又はポリベンゾイミダゾールなどが挙げられる。ポリイミドを用いる場合には、ポリイミドを含む組成物を、ノズルから不純物が添加された絶縁膜141上に吐出し、200℃で30分焼成して形成するのがよい。なお、マスクパターン142は、従来通り全面成膜した後に、露光、現像工程を経て形成することもできるが、液滴吐出法を用いるのが、工程を簡略する上で望ましい。
次に、マスクパターン142をマスクとして、絶縁膜141をエッチングし、チャネル保護膜143を形成する(図18(E))。エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6、NF3、CHF3などを代表とするフッ素系ガス、あるいはO2を用いることができるが、これらに限定されるものではない。マスクパターン142は、エッチング後にO2アッシング等によって除去する。
次に、半導体膜105及びチャネル保護膜143上に、n型の半導体膜144を形成する(図19(F))。ここでは、ジシラン(Si2H6)とフッ化ゲルマニウム(GeF4)の原料ガスに、H2、PH3(フォスフィン)を混合させたガスを用い、LPCVD法によって膜厚が40〜60nmのn型(n+)多結晶半導体膜を直接形成した。ただし、これに限定されるものではなく、セミアモルファスシリコン膜、アモルファス半導体、他の方法で作製された結晶性半導体を用いてもよい。
次に、半導体膜105及びn型の半導体膜144をエッチングするためのマスクパターン145を、液滴吐出法によって形成する(図19(G))。マスクパターン145は、マスクパターン142と同様のものを用いることができる。
次に、マスクパターン145をマスクとして、半導体膜105及びn型の半導体膜144をエッチングし、島状半導体領域109及び島状n型半導体領域146を形成する(図19(G))。エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6、NF3、CHF3などを代表とするフッ素系ガス、あるいはO2を用いることができるが、これらに限定されるものではない。マスクパターン145は、エッチング後にO2アッシング等によって除去する。
なお、該エッチングは、大気圧プラズマを利用して行うこともできる。この際、エッチングガスとしては、CF4とO2の混合ガスを用いるのがよい。また、エッチングガスを局所的に吹きつけ、エッチングを行うことにより、マスクレスでエッチングを行うことも可能である。
次に、ソース電極、ドレイン電極が形成される部分(島状n型半導体領域146のうち、ソース領域、ドレイン領域となる部分の上方)に、導電材料を含む組成物を吐出し導電膜113、114を選択的に吐出形成する(図19(H))。導電材料としては、ゲート電極103に用いた材料と同様の材料を、溶媒に溶解又は分散させたものを用いることができる。一例としては、Agを含む組成物を選択的に吐出して形成する。なおこの際、導電膜113、114の形状は、液滴の表面張力によって丸みを帯びた形状となっている。
次に、導電膜113、114を少なくとも窒素及び酸素を含む雰囲気下で焼成する。例えば、窒素に酸素を混合させたガスを用いるとよい。混合ガス中に占める酸素の組成比は3〜60%、好ましくは10〜25%とするのが望ましい。また、焼成条件は、200〜300℃、0.5〜2時間とするのがよい。上述したように、導電膜を形成した後に、O2を含む雰囲気下において焼成することによって、導電材料を含む組成物内に含まれているバインダー(熱硬化性樹脂)などの有機物を除去することができるため、導電膜の平滑性が向上し、さらに薄膜化、低抵抗化が促進される。なお、導電材料を含む組成物を減圧下で吐出することにより組成物中の溶媒が揮発するため、後の加熱処理(焼成)時間を短縮することもできる。
以上の焼成工程を経て、ソース電極115、ドレイン電極116が形成される(図19(J))。なお、さらに平坦性を向上させたい場合には、平坦化処理を行うことも可能である。例えば、CMP(化学的機械的研磨)法、エッチバック、リフロー、塗布法、酸化物の埋め込み、バイアススパッタ、CVDによる選択成長、レーザー等を用いることができる。
なお、ソース電極115、ドレイン電極116は単層構造に限定されず、2層構造、3層構造など複数層を積層させた構造としても良い。この場合、各導電膜を形成する毎に上記焼成工程を行った後に、必要に応じて上記平坦化処理を行うのが望ましいが、この手順に限定されるものではない。また、ソース電極115、ドレイン電極116を形成すると同時に、信号線等の各種配線を同時に形成することもできる。
次に、ソース電極115、ドレイン電極116をマスクとして、島状n型半導体領域146の露出している部分をエッチングすることにより、ソース領域147、ドレイン領域148を形成する(図19(K))。エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6、NF3、CHF3などを代表とするフッ素系ガス、あるいはO2を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
なお、該エッチングは、大気圧プラズマを利用して行うこともできる。この際、エッチングガスとしては、CF4とO2の混合ガスを用いるのがよい。また、エッチングガスを局所的に吹きつけ、エッチングを行うことにより、マスクレスでエッチングを行うことも可能である。
以上の工程によって、チャネル保護型(チャネルストッパー型)TFTが完成する。なお、図示しないが、電極115、116上に、TFT上方からの不純物の拡散等を防止するためのパッシベーション膜を形成しておくのが望ましい。パッシベーション膜は、プラズマCVD法又はスパッタリング法などの薄膜形成法を用い、窒化珪素、酸化珪素、窒化酸化珪素、酸化窒化珪素、酸化窒化アルミニウム、または酸化アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素(CN)、その他の絶縁性材料を用いて形成することができる。また、チャネル保護膜143と同様の材料を用いてもよいし、さらに、これらの材料を積層させて形成してもよい。
チャネル保護型TFTは、チャネル領域(149)上にチャネル保護膜143が形成されていることにより、島状n型半導体領域146をエッチングする際に、チャネル領域149がオーバーエッチングによる損傷を受けることがないため、安定した特性と高移動度を有する半導体素子として機能する。
なお、ソース電極115又はドレイン電極116の上方に、液晶素子や、有機化合物又は無機化合物を含む層からなる発光素子(代表的にはエレクトロルミネセンス(EL:Electro Luminescence)を利用した発光素子)を設けることにより、上記工程により作製された半導体素子によって制御可能となるアクティブマトリクス型の液晶表示装置や、EL発光装置のような薄型ディスプレイを得ることができる。
以上説明したように、ゲート電極103を形成するにあたり、液滴吐出法によって導電膜102を形成した後に、O2を含む雰囲気下において焼成することにより、導電膜の平滑性が向上し、さらに薄膜化、低抵抗化が促進される。したがって、ゲート電極103に対する良好なステップカバレッジを有し、平坦かつ均一なゲート絶縁膜104や、半導体膜105等をゲート電極103上に形成することができる。
また、ソース電極115、ドレイン電極116を形成するにあたり、液滴吐出法によって導電膜113、114を形成した後に、O2を含む雰囲気下において焼成することにより、導電膜の平滑性が向上し、さらに薄膜化、低抵抗化が促進される。したがって、ソース電極115、ドレイン電極116に対する良好なステップカバレッジを有し、平坦かつ均一な絶縁膜や配線等を、該電極上に形成することができる。
以上に述べた、ゲート電極103、ソース電極115、ドレイン電極116、マスクパターン142は、CAD等によって設計されたパターンデータに基づき、ノズル101又は基板100を支えるステージの移動経路を設定し、制御手段によって前記ノズル又はステージを設定された移動経路に従って移動させ、前記ノズルの吐出口からゲート電極103、ソース電極115、ドレイン電極116、マスクパターン142を構成する材料を含む組成物を吐出することにより、所望の位置に、所望の形状を有するパターンを形成することができる。
また、吐出する組成物の特性に応じて、ノズル又は基板の移動速度、組成物の吐出量、ノズルヘッドと基板との距離、吐出口から組成物を吐出する速度、組成物を吐出する空間における雰囲気、該空間の温度、該空間の湿度及び基板を加熱する温度を設定する。これらの条件は、理論的又は実験的、経験的に得られたパラメータが多数蓄積されたデータベースを用い、設計された薄膜パターンデータと、組成物の種類、膜厚等の情報と照らし合わせることにより、最適なパラメータを判断するための判断手段によって決定される。これにより、良好なパターンを高スループットで得ることができる。
また、本実施例におけるチャネル保護膜142、島状半導体膜109、島状n型半導体膜146等も、該膜を構成する材料を含む組成物を本発明に係る液滴吐出システムを用いることにより、吐出形成することができる。
上記方法によって作製されたゲート電極103、ソース電極115、ドレイン電極116、マスクパターン142等の薄膜は、パターンデータを入力することで、組成物を吐出するためのノズル又は基板ステージの移動経路を決定し、該移動経路に従って組成物が吐出されることにより、即座に所望の薄膜パターンを精度よく形成することができ、短縮されたタクトタイムで、スループット、歩留まりの高い半導体素子の作製方法を提供することができる。
本実施例では、図20、図21を参照して、逆スタガ型のうち、チャネルエッチ型TFTの作製に本発明を適用した場合について説明する。
まず、基板100上に、Tiを含む薄膜(図示せず)を成膜する。ここでは、ガラス基板上に5nm以下のTi薄膜を成膜したが、これに限定されるものではない。Tiを含む薄膜を成膜することによって、後に導電材料を含む組成物を吐出することによって形成される導電膜102と基板100との密着性を高めることができる。また、該導電膜を焼成する際にTi薄膜がTiO2になるため、透過率を向上させることができる。
また、図示しないが、基板側から不純物などの拡散を防止する目的で、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y)など(x、y=1、2・・・)の絶縁膜を形成してもよい。
次に、液滴吐出法を用いて、ゲート電極103が形成される部分に、導電材料を含む組成物をノズル101から吐出することにより、導電膜102を選択的に形成する(図20(A))。導電材料としてはAgを用いたが、これに限定されるものではない。この際、導電膜の形状は、液滴の表面張力によって丸みを帯びた形状となっている。
ここで、導電材料としてはAgを用いたが、これに限定されるものではない。他にも、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Ba等の金属、ハロゲン化銀の微粒子等、又は分散性ナノ粒子等の導電材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いることができる。ここで、溶媒としては、テトラデカン等を用いればよい。また、液滴吐出条件等も、実施の形態と同様のものを採用することができる。
次に、導電膜102を少なくとも窒素及び酸素を含む雰囲気下で焼成する。ここでは、窒素に酸素を混合させたガスを用い、混合ガス中に占める酸素分圧は25%、焼成条件は、230℃、1時間としたが、これに限定されるものではない。このように、液滴吐出法によって導電膜を形成した後に、O2を含む雰囲気下において焼成することにより、導電膜の平滑性が向上し、さらに薄膜化、低抵抗化が促進される。
以上の焼成工程を経て、ゲート電極103が形成される(図20(B))。なお、さらに平坦性を向上させたい場合には、平坦化処理を行うことも可能である。例えば、CMP(化学的機械的研磨)法、エッチバック、リフロー、塗布法、酸化物の埋め込み、バイアススパッタ、CVDによる選択成長、レーザー等を用いることができる。
次に、ゲート電極103上に、ゲート絶縁膜104を形成する(図20(C))。ここでは、膜厚が110nmの酸化窒化珪素膜(SiON)を、プラズマCVD法によって形成したが、これに限定されるものではない。例えば、膜厚が100〜400nmの窒化珪素(SiNx)を、スパッタリング法などの薄膜形成法によって形成してもよい。また、酸化珪素やその他の珪素を含む絶縁膜で形成してもよい。
次に、ゲート絶縁膜104上に、半導体膜105を形成する(図20(C))。ここでは、膜厚が10〜300nmのセミアモルファスシリコン(SAS)膜を、プラズマCVD法によって形成したが、これに限定されるものではない。
ここで、セミアモルファス半導体について説明する。セミアモルファス半導体とは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んだ半導体をいう。少なくとも膜中の一部の領域には、0.5〜20nmの結晶粒を含んでおり、所謂微結晶半導体(マイクロクリスタル半導体)とも呼ばれる。また、ラマンスペクトルが520cm−1よりも低波数側にシフトしており、X線回折ではSi結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測されるという特徴を有している。また、未結合手(ダングリングボンド)の中和剤として水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含有している。
セミアモルファスシリコンは、SiH4、Si2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などの珪化物気体をプラズマCVD法によってグロー放電分解して形成する。この珪化物気体をH2、又は、H2とHe、Ar、Kr、Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈してもよい。希釈率は2〜1000倍の範囲、圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲、電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzとするのがよい。また、基板加熱温度は350℃以下、好ましくは100〜300℃とする。膜中の不純物元素のうち、酸素、窒素、炭素などの大気成分の不純物は1×1020cm−3以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019cm−3以下、好ましくは1×1019cm−3以下とする。なお、ここで説明したSASの形成方法は、実施の形態1、参考形態1においても適用することができる。
次に、半導体膜105上に、n型の半導体膜130を形成する(図20(C))。ここでは、SiH4、H2、PH3(フォスフィン)の混合ガスを、プラズマCVD法を用いてグロー放電分解することによって、膜厚が40〜60nmのn型(n+)セミアモルファスシリコン膜を形成したが、これに限定されるものではない。
ゲート絶縁膜104、半導体膜105及びn型の半導体膜130は、プラズマCVD装置等の同一のチャンバーにおいて、連続的に成膜することができる。なお、TFTの特性安定化と性能向上を図るため、ゲート絶縁膜104の形成温度は300℃程度以上の高温にし、アモルファスシリコン膜の成膜温度は膜中に混入している水素が脱離しない300℃程度以下に設定することが望ましい。
なお、半導体膜105及びn型の半導体膜130としては、アモルファス半導体膜や、結晶性半導体膜を用いてもよい。
次に、n型の半導体膜130上に、マスクパターン129を形成する(図20(C))。マスクパターン129は、従来通りフォトレジストを用いて形成してもよいが、液滴吐出法を用いて形成することが好ましい。この場合、耐熱性高分子材料を用いて形成することが好ましく、芳香環、複素環を主鎖にもち,脂肪族部分が少なく高極性のヘテロ原子基を含む高分子を用いることが好ましい。そのような高分子物質の代表例としてはポリイミド又はポリベンゾイミダゾールなどが挙げられる。ポリイミドを用いる場合には、ポリイミドを含む組成物を、ノズル128からn型の半導体膜130上に吐出し、200℃で30分焼成して形成するのがよい。
次に、半導体膜105及びn型の半導体膜130を、マスクパターン129をマスクとしてエッチングし、島状半導体膜109及び島状のn型半導体膜131を形成する(図20(D))。エッチングした後、マスクパターン129はO2アッシング等によって除去する。
なお、該エッチングは、大気圧プラズマを利用して行うこともできる。この際、エッチングガスとしては、CF4とO2の混合ガスを用いるのがよい。また、エッチングガスを局所的に吹きつけ、エッチングを行うことにより、マスクレスでエッチングを行うことも可能である。
次に、島状のn型半導体膜131のうち、ソース領域、ドレイン領域となる部分の上方にソース電極となる導電膜132、ドレイン電極となる導電膜133を液滴吐出法によって形成する(図10(E))。導電材料としては、ゲート電極103に用いた材料と同様の材料を、溶媒に溶解又は分散させたものを用いることができる。一例としては、Agを含む組成物を選択的に吐出して、導電膜132、133を形成する。この際、導電膜の形状は、液滴の表面張力によって丸みを帯びた形状となっている。
次に、導電膜132、133を少なくとも窒素及び酸素を含む雰囲気下で焼成し、ソース電極134、ドレイン電極135を形成する(図10(F))。ここでは、窒素に酸素を混合させたガスを用い、混合ガス中に占める酸素分圧は25%、焼成条件は、230℃、1時間としたが、これに限定されるものではない。このように、液滴吐出法によって導電膜を形成した後に、O2を含む雰囲気下において焼成することにより、導電膜の平滑性が向上し、さらに薄膜化、低抵抗化が促進される。
次に、ソース電極134、ドレイン電極135をマスクとして、n型の半導体膜130、及び島状半導体膜109の上部をエッチング除去することにより、ソース領域136、ドレイン領域137、チャネル領域138を形成する(図10(G))。この際、TFTのチャネル領域となる半導体膜の損傷を抑えるため、ゲート絶縁膜104との選択比の高いエッチングを行う必要がある。
なお、該エッチングは、大気圧プラズマを利用して行うこともできる。この際、エッチングガスとしては、CF4とO2の混合ガスを用いるのがよい。また、エッチングガスを局所的に吹きつけ、エッチングを行うことにより、マスクレスでエッチングを行うことも可能である。
以上の工程により、チャネルエッチ型TFTが完成する。なお、ソース電極134、ドレイン電極135上に、パッシベーション膜139を成膜してもよい(図11(H))。パッシベーション膜139は、プラズマCVD法又はスパッタリング法などの薄膜形成法を用い、窒化珪素、酸化珪素、窒化酸化珪素、酸化窒化珪素、酸化窒化アルミニウム、または酸化アルミニウム、DLC、窒素含有炭素、その他の絶縁性材料を用いて形成することができる。さらに、これらの材料を積層させて形成してもよい。
また図示しないが、ゲート電極103と接続する配線、ソース電極115、ドレイン電極116に接続する他の配線を、液滴吐出法を利用して作製することができる。すなわち、液滴吐出法によりマスクパターンを形成してエッチング加工をしてもよいし、導電性の組成物を直接描画して配線を形成してもよい。液滴吐出法により配線を作製する時は、その配線の幅により、吐出口を付け替えて、吐出物の量を調節すればよい。例えば、ゲート信号線とゲート電極において、ゲート信号線は太いパターンで、ゲート電極ではより細いパターンでそれぞれ所望の形状に形成することができる。また、マスクパターンを液滴吐出法により形成することにより、レジストの塗布、レジストの焼成、露光、現像、現像後の焼成等の工程を省略することができる。その結果、工程の簡略化によるコストの大幅な低減を図ることができる。このように、電極、配線、マスクパターン等を形成するにあたり液滴吐出法を用いることによって、任意の場所にパターンを形成でき、形成するパターンの厚さや太さを調整できるので、一辺が1メートルを越えるような大面積の基板にも、低いコストで歩留まり良く製造することができる。
以上説明したように、ゲート電極103を形成するにあたり、液滴吐出法によって導電膜102を形成した後に、O2を含む雰囲気下において焼成することにより、導電膜の平滑性が向上し、さらに薄膜化、低抵抗化が促進される。したがって、ゲート電極103に対する良好なステップカバレッジを有し、平坦かつ均一なゲート絶縁膜104や、半導体膜105、n型の半導体膜130等をゲート電極103上に形成することができる。
また、ソース電極134、ドレイン電極135を形成するにあたり、液滴吐出法によって導電膜132、133を形成した後に、O2を含む雰囲気下において焼成することにより、導電膜の平滑性が向上し、さらに薄膜化、低抵抗化が促進される。したがって、ソース電極134、ドレイン電極135に対する良好なステップカバレッジを有し、平坦かつ均一な絶縁膜や配線等を、該電極上に形成することができる。
上記方法によって作製されたゲート電極103、ソース電極134、ドレイン電極135は平滑性及び平坦性を有しているため、電極上に新たに形成されるゲート絶縁膜、半導体膜等を平坦かつ均一に設けることができる。これによって、スループットや歩留まりの高い半導体素子の作製方法を提供することができる。
なお、セミアモルファスシリコンを用いてTFTを作製することにより、μ=1〜10cm2/Vsecの移動度を得ることができる。
以上に述べた、ゲート電極103、ソース電極132、ドレイン電極133、マスクパターン129は、CAD等によって設計されたパターンデータに基づき、ノズル101又は基板100を支えるステージの移動経路を設定し、制御手段によって前記ノズル又はステージを設定された移動経路に従って移動させ、前記ノズルの吐出口からゲート電極103、ソース電極132、ドレイン電極133、マスクパターン129を構成する材料を含む組成物を吐出することにより、所望の位置に、所望の形状を有するパターンを形成することができる。
また、吐出する組成物の特性に応じて、ノズル又は基板の移動速度、組成物の吐出量、ノズルヘッドと基板との距離、吐出口から組成物を吐出する速度、組成物を吐出する空間における雰囲気、該空間の温度、該空間の湿度及び基板を加熱する温度を設定する。これらの条件は、理論的又は実験的、経験的に得られたパラメータが多数蓄積されたデータベースを用い、設計された薄膜パターンデータと、組成物の種類、膜厚等の情報と照らし合わせることにより、最適なパラメータを判断するための判断手段によって決定される。これにより、良好なパターンを高スループットで得ることができる。
また、本実施例における島状半導体膜109や島状n型半導体膜131等も、該膜を構成する材料を含む組成物を本発明に係る液滴吐出システムを用いることにより、吐出形成することができる。
上記方法によって作製されたゲート電極103、ソース電極134、ドレイン電極135、マスクパターン129等の薄膜は、パターンデータを入力することで、組成物を吐出するためのノズル又は基板ステージの移動経路を決定し、該移動経路に従って組成物が吐出されることにより、即座に所望の薄膜パターンを精度よく形成することができ、短縮されたタクトタイムで、スループット、歩留まりの高い半導体素子の作製方法を提供することができる。
図22、図23を参照して、本発明を順スタガ型TFTの作製に適用した場合について説明する。
まず、基板500上に、液滴吐出法を用いて、ソース電極、ドレイン電極が形成される部分に、導電材料を含む組成物を吐出し導電膜502、503を選択的に吐出形成する(図7(A))。この際、導電膜の形状は、液滴の表面張力によって丸みを帯びた形状となっている。
ここで、基板500としては、ガラス基板、石英基板、アルミナなど絶縁物質で形成される基板、後工程の処理温度に耐え得る耐熱性を有するプラスチック基板等を用いることができる。この場合、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y)など(x、y=1、2・・・)、基板側から不純物などの拡散を防止するための下地絶縁膜501を形成しておくことが望ましい。なお、下地絶縁膜501は、プラズマCVD法などによって形成することができ、単層構造に限らず2層以上積層させた構造としてもよい。また、基板500として、ステンレスなどの金属または半導体基板などの表面に酸化シリコンや窒化シリコンなどの絶縁膜を形成した基板なども用いることができる。
なお、図示しないが、基板500又は下地絶縁膜501上にTiを含む薄膜を成膜してもよい。例えば、ガラス基板上に5nm以下のTi薄膜を成膜すればよい。Tiを含む薄膜を成膜することによって、後に導電材料を含む組成物を吐出することによって形成される導電膜と基板100との密着性を高めることができる。また、該導電膜を焼成する際にTi薄膜がTiO2になるため、透過率を向上させることができる。
吐出口から吐出する組成物は、実施の形態1に示したものと同様に、導電材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いる。導電材料としては、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Ba等の金属、ハロゲン化銀の微粒子等、又は分散性ナノ粒子を用いることができる。または、透明導電膜として用いられるITO、ITSO、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛(ZnO)、窒化チタン(TiN:Titanium Nitride)等を用いることができる。また、液滴吐出手段における他の条件も、実施の形態1に示したものと同様にすることができる。
次に、導電膜502、503を少なくとも窒素及び酸素を含む雰囲気下で焼成する。例えば、窒素に酸素を混合させたガスを用いるとよい。混合ガス中に占める酸素の組成比は3〜60%、好ましくは10〜25%とするのが望ましい。また、焼成条件は、200〜300℃、0.5〜2時間とするのがよい。このように、液滴吐出法によって導電膜を形成した後に、O2を含む雰囲気下において焼成することにより、導電膜の平滑性が向上し、さらに薄膜化、低抵抗化が促進されることが分かる。
なお、導電材料を含む組成物を減圧下で吐出することにより組成物中の溶媒が揮発するため、後の加熱処理(焼成)時間を短縮することもできる。
以上の焼成工程を経て、ソース電極504、ドレイン電極505が形成される(図7(B))。なお、さらに平坦性を向上させたい場合には、平坦化処理を行うことも可能である。例えば、CMP(化学的機械的研磨)法、エッチバック、リフロー、塗布法、酸化物の埋め込み、バイアススパッタ、CVDによる選択成長、レーザー等を用いることができる。
なお、ソース電極504、ドレイン電極505は単層構造に限定されず、2層構造、3層構造など複数層を積層させた構造としても良い。この場合、各導電膜を形成する毎に上記焼成工程を行った後に、必要に応じて上記平坦化処理を行うのが望ましいが、この手順に限定されるものではない。また、ソース電極504、ドレイン電極505を形成すると同時に、信号線等の各種配線を同時に形成することもできる。
次に、ソース電極504、ドレイン電極505上に、半導体膜506を形成する(図7(C))。半導体膜506としては、アモルファス半導体、結晶性半導体、又はセミアモルファス半導体で形成する。いずれも、シリコン又はシリコンを主成分とする半導体膜、例えばシリコン・ゲルマニウム(SiGe)を用いることができる。また、半導体膜401は、プラズマCVD法などによって形成することができる。なお、半導体膜401の膜厚は、10〜60nmとするのが好ましい。
次に、半導体膜506の上に、マスクパターン507を液滴吐出法により形成する。マスクパターン507は有機樹脂を含む組成物を、ノズル521より半導体膜506に吐出し描画することにより直接的に形成する(図7(D))。マスクパターン507としては、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、ポリイミドなどの有機樹脂を用いればよい。また、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料、もしくは置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも一種を有する材料(代表的にはシロキサン系ポリマー)を用いてもよい。また、感光剤を含む組成物でもよく、ポジ型レジストである、ノボラック樹脂と感光剤であるナフトキノンジアジド化合物、ネガ型レジストであるベース樹脂、ジフェニルシランジオール及び酸発生剤などを、公知の溶媒に溶解又は分散させたものを用いてもよい。なお、マスクパターン507は、従来通りレジストを全面に成膜した後、露光、現像工程を経て形成することもできるが、工程を簡略する上で、液滴吐出法によって形成するのが望ましい。
次に、マスクパターン507を用いて、半導体膜506をエッチングし、島状半導体膜508を形成する(図8(E)参照。)。エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガス又はO2を適宜用いることができる。その後、マスクパターン403を剥離除去する。
なお、該エッチングは、大気圧プラズマを利用して行うこともできる。この際、エッチングガスとしては、CF4とO2の混合ガスを用いるのがよい。また、エッチングガスを局所的に吹きつけ、エッチングを行うことにより、マスクレスでエッチングを行うことも可能である。
次に、島状半導体膜508上に、ゲート絶縁膜512を形成する(図8(E)参照。)。ゲート絶縁膜512はプラズマCVD法またはスパッタリング法を用い、シリコンを含む絶縁膜で形成するのがよい。
次に、ゲート絶縁膜512の上に、ゲート電極514となる導電膜513を液滴吐出法により形成する。導電膜513は導電材料を含む組成物を、ノズル522よりゲート絶縁膜512に吐出し描画することにより直接的に形成する(図8(F))。導電材料としては、実施の形態1で示したゲート電極103に用いられる導電材料と同様のものを用いることができる。この際、導電膜513の形状は、液滴の表面張力によって丸みを帯びた形状となっている。
次に、導電膜513を少なくとも窒素及び酸素を含む雰囲気下で焼成する。例えば、窒素に酸素を混合させたガスを用いるとよい。混合ガス中に占める酸素の組成比は3〜60%、好ましくは10〜25%とするのが望ましい。また、焼成条件は、200〜300℃、0.5〜2時間とするのがよい。このように、液滴吐出法によって導電膜を形成した後に、O2を含む雰囲気下において焼成することにより、導電膜の平滑性が向上し、さらに薄膜化、低抵抗化が促進される。
なお、導電材料を含む組成物を減圧下で吐出することにより組成物中の溶媒が揮発するため、後の加熱処理(焼成)時間を短縮することもできる。
以上の焼成工程を経て、ゲート電極514が形成される(図8(G))。なお、さらに平坦性を向上させたい場合には、平坦化処理を行うことも可能である。例えば、CMP(化学的機械的研磨)法、エッチバック、リフロー、塗布法、酸化物の埋め込み、バイアススパッタ、CVDによる選択成長、レーザー等を用いることができる。
なお、ゲート電極514は単層構造に限定されず、2層構造、3層構造など複数層を積層させた構造としても良い。この場合、各導電膜を形成する毎に上記焼成工程を行った後に、必要に応じて上記平坦化処理を行うのが望ましいが、この手順に限定されるものではない。また、ゲート電極514を形成すると同時に、信号線等の各種配線を同時に形成することもできる。
ゲート電極514をマスクとして、島状半導体膜508に不純物元素をドーピングすることにより、チャネル領域509、不純物領域であるソース領域510、ドレイン領域511を形成する。不純物元素としては、砒素(As)、燐(P)のようなn型不純物元素、又は硼素(B)のようなp型不純物元素を用いることができる。なお、ドーピング後、熱処理によって該不純物元素の活性化を行ってもよい。
以上の工程によって、本発明を用いた順スタガ型TFTが完成する(図8(H))。また図示しないが、ゲート電極514と接続する配線、ソース電極、ドレイン電極に接続する他の配線を、液滴吐出法を利用して作製することができる。すなわち、液滴吐出法によりマスクパターンを形成してエッチング加工をしてもよいし、導電性の組成物を直接描画して配線を形成してもよい。液滴吐出法により配線を作製する時は、その配線の幅により、吐出口を付け替えて、吐出物の量を調節すればよい。例えば、ゲート信号線とゲート電極において、ゲート信号線は太いパターンで、ゲート電極ではより細いパターンでそれぞれ所望の形状に形成することができる。また、マスクパターンを液滴吐出法により形成することにより、レジストの塗布、レジストの焼成、露光、現像、現像後の焼成等の工程を省略することができる。その結果、工程の簡略化によるコストの大幅な低減を図ることができる。このように、電極、配線、マスクパターン等を形成するにあたり液滴吐出法を用いることによって、任意の場所にパターンを形成でき、形成するパターンの厚さや太さを調整できるので、一辺が1メートルを越えるような大面積の基板にも、低いコストで歩留まり良く製造することができる。
なお、本実施例では、予めソース電極、ドレイン電極を形成した実施形態を示したが、ゲート電極を形成した後に、該電極を形成してもよい。例えば、図示しないが、ゲート電極を形成した後に層間絶縁膜を形成し、該層間絶縁膜とゲート絶縁膜に設けられたコンタクトホールを介して、ソース電極、ドレイン電極を形成してもよい。この場合においても、本発明を適用することができ、液滴吐出法によって導電膜を形成した後、上記焼成工程を行うことによって、平坦性に優れ、薄膜で低抵抗の電極を形成することができる。なお、このようにして形成された半導体素子は、トップゲート型TFTと呼ばれる。
以上説明したように、ソース電極504、ドレイン電極505を形成するにあたり、液滴吐出法によって導電膜502、503を形成した後に、O2を含む雰囲気下において焼成することにより、導電膜の平滑性が向上し、さらに薄膜化、低抵抗化が促進される。したがって、ソース電極504、ドレイン電極505に対する良好なステップカバレッジを有し、平坦かつ均一な半導体膜506やゲート絶縁膜512等を形成することができる。
また、ゲート電極514を形成するにあたり、液滴吐出法によって導電膜513を形成した後に、O2を含む雰囲気下において焼成することにより、導電膜の平滑性が向上し、さらに薄膜化、低抵抗化が促進される。したがって、ゲート電極514に対する良好なステップカバレッジを有し、平坦かつ均一な絶縁膜や、配線等をゲート電極514上に形成することができる。
以上に述べた、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、マスクパターンは、CAD等によって設計されたパターンデータに基づき、ノズル又は基板を支えるステージの移動経路を設定し、制御手段によって前記ノズル又はステージを設定された移動経路に従って移動させ、前記ノズルの吐出口からゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、マスクパターンを構成する材料を含む組成物を吐出することにより、所望の位置に、所望の形状を有するパターンを形成することができる。
また、吐出する組成物の特性に応じて、ノズル又は基板の移動速度、組成物の吐出量、ノズルヘッドと基板との距離、吐出口から組成物を吐出する速度、組成物を吐出する空間における雰囲気、該空間の温度、該空間の湿度及び基板を加熱する温度を設定する。これらの条件は、理論的又は実験的、経験的に得られたパラメータが多数蓄積されたデータベースを用い、設計された薄膜パターンデータと、組成物の種類、膜厚等の情報と照らし合わせることにより、最適なパラメータを判断するための判断手段によって決定される。これにより、良好なパターンを高スループットで得ることができる。
また、本実施例における島状半導体膜や島状n型半導体膜等も、該膜を構成する材料を含む組成物を本発明に係る液滴吐出システムを用いることにより、吐出形成することができる。
上記方法によって作製されたゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、マスクパターン等の薄膜は、パターンデータを入力することで、組成物を吐出するためのノズル又は基板ステージの移動経路を決定し、該移動経路に従って組成物が吐出されることにより、即座に所望の薄膜パターンを精度よく形成することができ、短縮されたタクトタイムで、スループット、歩留まりの高い半導体素子の作製方法を提供することができる。
参考例4
本参考例では、図24〜26を参照して、本発明を用いたアクティブマトリクス型LCD基板の作製方法について説明する。
まず、基板600上に、下地絶縁膜601を形成する(図13(A))。ここで、下地絶縁膜601としては、10〜200nmの窒化酸化珪素膜(SiNO)をプラズマCVD法によって形成する。しかし、これに限定されるものではなく、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜あるいはそれらを積層させた構造としても良い。なお、特に下地絶縁膜601を形成しなくてもよい。
次に、下地絶縁膜601上に10〜80nmの半導体膜を形成する。さらにその表面を、ニッケルを含む溶液で処理した後、500〜750℃の熱結晶化工程によって結晶質シリコン半導体膜を得、さらにレーザー結晶化を行って結晶性の改善を施した。なお、半導体膜としては、シリコン・ゲルマニウム(SiGe)合金など、他の非晶質構造を有する半導体膜を用いても良い。また、成膜方法としては、スパッタ法、LPCVD法などを用いても良いし、結晶化方法としては、レーザー結晶化法、熱結晶化法、他の触媒(Fe,Ru,Rh,Pd,Pd,Os,Ir,Pt,Cu,Au等)を用いた熱結晶化、あるいはそれらを交互に複数回行ってもよい。これらの触媒は、溶媒に溶解又は分散させた状態で、スピナーによる塗布、またはスパッタ法等公知の方法によって、該半導体膜上に形成する。例えば、半導体膜の表面に重要換算で10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液を塗布することによって行う。
また、非晶質構造を有する半導体膜の結晶化処理としては、連続発振のレーザーを用いても良く、結晶化に際し大粒径の結晶を得るためには、連続発振が可能な固体レーザーを用い、基本波の第2高調波〜第4高調波を適用するのが好ましい。代表的には、Nd:YVO4レーザー(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を適用すればよい。連続発振のレーザーを用いる場合には、出力10Wの連続発振のYVO4レーザーから射出されたレーザー光を非線形光学素子により高調波に変換する。また、共振器の中にYVO4結晶と非線形光学素子を入れて、高調波を射出する方法もある。そして、好ましくは光学系により照射面にて矩形状または楕円形状のレーザー光に成形して、被処理体に照射する。このときのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、10〜2000cm/s程度の速度でレーザー光に対して相対的に半導体膜を移動させて照射すればよい。
上記の方法によって結晶性シリコン半導体膜を得た後、半導体膜上に酸化膜を介して、金属触媒をゲッタリング除去するためのアモルファスシリコン膜を成膜し、500〜750℃の熱処理によってゲッタリング処理を行う。その後、金属触媒を含んだ該アモルファスシリコン膜をエッチング除去する。
さらに、TFT素子としての閾値を制御するために、結晶性シリコン半導体膜に対し、ホウ素イオンを1〜3×1013程度、あるいはそれ以上の濃度を適宜選択して注入するのが望ましい。
なお、半導体膜としては、セミアモルファス半導体や、アモルファス半導体、他の方法によって形成された結晶性半導体を用いることもできる。
その後、結晶性シリコン半導体膜を第1のマスクパターンを用いてエッチングを行い、島状の結晶性シリコン半導体膜(以下、単に「島状半導体膜」という。)603〜606を形成する。なお、図示しないが、第1のマスクパターンは、液滴吐出法によって形成するのが工程を簡略化する上で望ましい。この際、第1のマスクパターンは、耐熱性高分子材料を用いて形成することが好ましく、芳香環、複素環を主鎖にもち,脂肪族部分が少なく高極性のヘテロ原子基を含む高分子を用いることが好ましい。そのような高分子物質の代表例としてはポリイミド又はポリベンゾイミダゾールなどが挙げられる。ポリイミドを用いる場合には、ポリイミドを含む組成物を、液滴吐出ノズルから島状半導体膜602上に吐出し、200℃で30分焼成して形成することができる。
次に、第1のマスクパターンを除去した後、島状半導体膜603〜606上にゲート絶縁膜607を形成する(図13(A))。ゲート絶縁膜607は、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを1〜200nmに成膜した。好ましくは、10〜50nmと薄くして珪素を含む絶縁膜の単層または積層構造で形成した後に、マイクロ波によるプラズマを用いた表面窒化処理を行う。
このように膜厚の薄いゲート絶縁膜を、プラズマCVD法を用いて成膜する場合、成膜レートを遅くして薄い膜厚を制御性よく得る必要がある。例えば、RFパワーを100W、10kHz、圧力0.3Torr、N2Oガス流量400sccm、SiH4ガス流量1sccm、とすれば酸化珪素膜の成膜速度を6nm/minとすることができる。また、マイクロ波によるプラズマを用いた窒化処理は、マイクロ波源(2.45GHz)、および反応ガスである窒素ガスを用いて行う。
なお、この場合、ゲート絶縁膜607表面から離れるにつれて窒素濃度は減少する。これにより酸化珪素膜表面を高濃度に窒化できるだけでなく、酸化珪素膜と活性層の界面の窒素を低減し、デバイス特性の劣化を防ぐことができる。
なお、ゲート絶縁膜607は、実施例2で述べたように、多層構造としてもよい。
次に、ゲート絶縁膜607上に、液滴吐出法を用いて、ゲート電極が形成される部分に、導電材料を含む組成物609a〜fを選択的に吐出形成する(図13(A))。この際、導電膜の形状は、液滴の表面張力によって丸みを帯びた形状となっている。ここで、導電材料としてはAgを用いたが、これに限定されるものではない。他にも、実施の形態で示したように、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Ba等の金属、ハロゲン化銀の微粒子等、又は分散性ナノ粒子等の導電材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いることができる。また、液滴吐出条件等も、実施の形態と同様のものを採用することができる。
その後、導電材料を含む組成物を少なくとも窒素及び酸素を含む雰囲気下で焼成する。ここでは、窒素に酸素を混合させたガスを用い、混合ガス中に占める酸素分圧は25%、焼成条件は、230℃、1時間としたが、これに限定されるものではない。このように、液滴吐出法によって導電膜を形成した後に、O2を含む雰囲気下において焼成することにより、導電膜の平滑性が向上し、さらに薄膜化、低抵抗化が促進される。なお、導電材料を含む組成物を減圧下で吐出することにより組成物中の溶媒が揮発するため、後の加熱処理(乾燥又は焼成)時間を短縮することもできる。
以上の焼成工程を経て、ゲート電極609a〜c、及び配線609d〜fが形成される(図13(B))。なお、さらに平坦性を向上させたい場合には、平坦化処理を行うことも可能である。例えば、CMP(化学的機械的研磨)法、エッチバック、リフロー、塗布法、酸化物の埋め込み、バイアススパッタ、CVDによる選択成長、レーザー等を用いることができる。
なお、ゲート電極103は単層構造に限定されず、2層構造、3層構造など複数層を積層させた構造としてもよい。例えば、TaN(窒化タンタル)とW(タングステン)を用いた2層構造が挙げられる。この場合、各導電膜を形成する毎に上記焼成工程を行うのが望ましいが、この手順に限定されるものではない。また、ゲート電極103を形成すると同時に、走査線や信号線等の各種配線を同時に形成することもできる。
次に、駆動回路部のpチャネル型TFT653が形成される部分の上方に、第2のマスクパターン610を形成した後に、ゲート電極609a、bをマスクとして、1013〜1014atoms/cm3オーダーのn型不純物元素を島状半導体膜603、605にドーピング注入する。これによって、nチャネル型TFT652及び画素TFT654のソース又はドレイン領域となるn型不純物領域611a、bが形成され、さらにその間には、チャネル領域612a、bが形成される(図13(C))。ここで、n型不純物元素としては、砒素(As)、燐(P)などを用いることができる。その後、第2のマスクパターン610はO2アッシング等によって除去する。
次に、駆動回路部のnチャネル型TFT652及び画素TFT654になる領域を第3のマスクパターン613a、bで覆った後、ゲート電極609cをマスクとして、1015〜1017atoms/cm3オーダーのp型不純物元素を島状半導体領域604にドーピング注入する。これによって、pチャネル型TFT652のソース又はドレイン領域となるp型不純物領域611cが形成され、さらにその間には、チャネル領域612cが形成される(図14(D))。ここで、n型不純物元素としては、硼素(B)などを用いることができる。その後、第3のマスクパターン613a、bは、O2アッシング等によって除去する。なお、上記ドーピング後、熱処理によって該不純物元素の活性化を行ってもよい。
なお、第2、第3のマスクパターンも、第1のマスクパターンと同様に、液滴吐出法によって形成するのが工程を簡略化する上で望ましい。
次に、TFTを覆うキャップ絶縁膜614をプラズマCVD法により形成する(図14(E))。キャップ絶縁膜としては、窒化珪素膜又は酸化窒化珪素膜を用いるのがよいが、これに限定されるものではない。また、形成方法もプラズマCVD法に限定されるものではない。なお、TFT上方からの不純物の混入を防止するため、キャップ絶縁膜614はできるだけ形成しておくのが望ましい。
次に、半導体膜に添加された不純物元素の活性化のための加熱処理を行う。この活性化は、N2雰囲気にした炉中において500〜800℃に加熱することによって行う。例えば、RTA(ラピッドサーマルアニール)法を用いることができる。または、レーザー光を照射して活性化を行ってもよい。この場合、基板裏面側又は基板表面側からのみレーザー光を照射してもよいし、基板表面及び裏面の両側から照射してもよい。なお、工程を簡略化したい場合には、該活性化処理を省略してもよい。
なお、その後、水素を含む窒化珪素膜または窒化酸化珪素膜からなる絶縁膜(図示せず)をプラズマCVD法により形成し、該絶縁膜から水素を放出させ、半導体膜の水素化を行うための加熱処理を行い、シリコンの不対結合手を終端させてもよい。この加熱処理は、クリーンオーブンを用い、N2雰囲気下において350〜450℃(好ましくは、410℃)で行えばよい。なお、該絶縁膜としては、他の水素及び珪素を含む絶縁膜を用いてもよいし、形成方法もプラズマCVD法以外の方法を用いてもよい。
次に、キャップ絶縁膜614上に、層間絶縁膜615を形成する。ここでは、ポリイミドを含む溶液をスピンコート法によって基板全面に塗布したが、この材料、方法に限定されるものではない。例えば、ポリイミド系樹脂の他にも、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O結合とSi−CHX結合手を含む絶縁膜等を用いることができる。また、液滴吐出法によって形成することもできる。
次に、層間絶縁膜615、キャップ絶縁膜614、ゲート絶縁膜607を除去し、コンタクトホール616a〜eを開孔する。水素化処理のための絶縁膜が形成されている場合にはこれも除去する。コンタクトホール開孔は、レジストを基板全面に塗布した後にプリベークを行い、露光、現像プロセスを経てマスクパターンを形成し、エッチングして形成するという従来の方法を用いることができるが、レジストを液滴吐出法によって選択的に吐出することによりマスクパターンを形成する方が、コスト削減、工程簡略化という観点から望ましい。
また、レジストによるパターニングを省略して、以下の工程によりコンタクトホールを開孔することもできる。すなわち、半導体素子のコンタクトホールとなるべき部分を、撥液性を有する第1の有機膜(以下、単に「第1の有機膜」という。)で覆い、該膜が形成されていない領域に第2の有機膜(以下、単に「第2の有機膜」という。)を形成した後、前記第1の有機膜を除去することにより、コンタクトホールを形成することができる。以下、コンタクトホール開孔のプロセスを概説する。
まず、キャップ絶縁膜614(あるいはゲート絶縁膜607)の表面を、後に形成する第1の有機膜に対して撥液性を有するように表面処理を行う。例えば、フッ素系シランカップリング剤を用いて基板全面に対し表面処理を行う。また、該表面処理は、少なくとも第1の有機膜が形成される部分に対して行ってもよい。これにより、第1の有機膜を厚膜とし、その後形成する第2の有機膜も厚膜とすることができるため、設計上の自由度を向上させることが可能となる。
シランカップリング剤による表面処理は次の要領で行う。まず、シランカップリング剤を、基板全面に、あるいは少なくとも第1の有機膜を形成する箇所にスピンコート法等によって塗布する。次に、室温下に放置してシランカップリング剤を乾燥させ、水洗処理を行って過剰に塗布された部分を除去する。最後に、シランカップリング剤を焼成することにより、CF2鎖、CF3鎖を含むシロキサンネットワーク(SiとOとの結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む、もしくは置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも一種を有する構造)が構築される。なお、乾燥、及び水洗処理は省略してもよい。このCF2、CF3の存在によって、シランカップリング剤による表面処理を行った膜の表面は撥液性を有するようになる。
なお、シランカップリング剤は、Rn−Si−X4−n(n=1、2、3)で表される珪素化合物である。ここで、Rは、アルキル基などの比較的不活性な基、又はビニル基、アミノ基あるいはエポキシ基などの反応性基を含む物である。また、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基又はアセトキシ基など基質表面の水酸基あるいは吸着水との縮合により結合可能な加水分解基からなる。特に、Rがアルキル機など不活性な基の場合は、改質表面上に、撥水、付着や摩滅の防止、潤滑、つや保持等の性質を付与する。Rの本数、すなわちn=1のものはカップリング剤として、n=2はシロキサンポリマーの原料、n=3はシリル化剤あるいはポリマーのブロック剤(ポリマーの両端を止めるエンドキャッピング剤)として用いられている。
次に、キャップ絶縁膜上で、かつソース領域又はドレイン領域611a〜cや配線609にまで達するコンタクトホールが形成されるべき箇所に、第1の有機膜を液滴吐出法によって選択的に形成する。第1の有機膜としては、撥液性を有する公知のフッ素系樹脂を用いることができる。好ましくは、良好な撥液性を有するRn−Si−X4−n(n=1、2、3)の化学式で表されるフルオロアルキルシラン(FAS)を用いる。ここで、Rは、アルキル基などの比較的不活性な基、又はビニル基、アミノ基あるいはエポキシ基などの反応性基を含む物である。また、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基又はアセトキシ基など基質表面の水酸基あるいは吸着水との縮合により結合可能な加水分解基からなる。なお、フッ素系のシランカップリング剤を用いる場合には、FASと同様の化学構造を有しているため、該カップリング剤による表面処理を省略することもできる。
また、第1の有機膜として撥液性を有しない有機物を用い、後にCF4プラズマ等による処理を行って、撥液性を得るようにしてもよい。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)のような水溶性樹脂を、H2O等の溶媒に混合した材料を用いることができる。また、PVAと他の水溶性樹脂を組み合わせて使用してもよい。なお、第1の有機膜119が撥液性を有する場合であっても、該プラズマ処理等を行うことによって、撥液性をより向上させることができる。
次に、第2の有機膜を第1の有機膜が形成された部分以外の箇所に形成する。第2の有機膜は、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O結合とSi−CHX結合手を含む絶縁膜等を用い、スピンコート法、液滴吐出法等によって形成することができる。
なお、第1の有機膜形成前にシランカップリング剤を全面塗布した場合には、第2の有機膜形成前に除去する。除去方法としては、UVオゾン処理、O2アッシング等を行えばよい。また、第1の有機膜の撥液性を高めるためにCF4プラズマ処理を行う際に、O2を添加することによっても除去可能である。
第2の有機膜を形成した後、第1の有機膜を除去する。さらに、キャップ絶縁膜614やゲート絶縁膜607も除去する。除去方法としては、ウエットエッチング、ドライエッチング、大気圧プラズマ放電を利用したエッチング等を用いてもよいし、水洗処理や、レーザーや電子ビームを用いた処理法を用いてもよい。処理方法は、第1の有機膜、ゲート絶縁膜607等を構成する材料にあわせて適宜選択することができる。特に、PVA等の水溶性樹脂を用いた場合には、水洗処理によって簡単に除去することができる。また、エッチングガスや溶液(エッチャント)やレーザー等の種類も、材料にあわせて適宜選択することができる。また、第1の有機膜の除去と、キャップ絶縁膜614、ゲート絶縁膜607の除去とを段階的に分けて行ってもよい。
以上の工程によって、第1の有機膜が存在していた箇所にコンタクトホールが形成される。
なお、第1の有機膜119が完全に除去できるようにエッチング条件を選択、制御するのが望ましいが、コンタクトホールが半導体膜や導電膜等の所望の膜に達していれば、コンタクトホールの側壁に第1の有機膜119が残存しても構わない。第1の有機膜119が残存していても層間膜又は導電膜の一部として十分に機能するからである。この点において、第1の有機膜の材料の選択の幅は広く、また、撥液性を有し、第2の有機膜120を形成するためのマスクとして機能する材料であれば、第1の有機膜に代わる絶縁性材料又は導電材料を用いることも可能である。
コンタクトホール616a〜eを形成した後、TFT652〜654、保持容量、配線609fと接続するための導電膜となる導電材料を含む組成物を液滴吐出法によって形成する。導電材料としては、実施の形態に示したように、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Ba等の金属、ハロゲン化銀の微粒子等、又は分散性ナノ粒子等を用いることができる。
その後、導電材料を含む組成物を少なくとも窒素及び酸素を含む雰囲気下で焼成する。ここでは、窒素に酸素を混合させたガスを用い、混合ガス中に占める酸素分圧は25%、焼成条件は、230℃、1時間としたが、これに限定されるものではない。このように、液滴吐出法によって導電膜を形成した後に、O2を含む雰囲気下において焼成することにより、導電膜の平滑性が向上し、さらに薄膜化、低抵抗化が促進される。なお、導電材料を含む組成物を減圧下で吐出することにより組成物中の溶媒が揮発するため、後の加熱処理(乾燥又は焼成)時間を短縮することもできる。
このようにして、導電膜617a〜dが形成される(図15(G))。なお、該導電膜は多層構造とすることもできる。例えば、厚さ50〜200nmのTi膜、厚さ250〜400nmのAl膜又はAl−Si合金膜、厚さ50〜200nmのTi膜を積層させて、接続配線634〜641を液滴吐出法によって形成する。また、三層構造のうち、TiをTiN、又は窒素を50%以下の組成比で含む窒化チタン(Ti(N))で置き換えてもよいし、TiN又はTi(N)を新たに上下に積層させた構造としてもよい。また、Alは150〜200℃でヒロックが発生してしまうため、Siを含有させておくことが望ましい。
また、画素部658においては、画素電極となる導電材料を含む組成物を液滴吐出法によって形成する。導電材料としては、ITO、ITSO、IZO、GZO等の透明導電材料を用いるのが望ましい。
画素電極の形成においても、導電材料を含む組成物を少なくとも窒素及び酸素を含む雰囲気下で焼成するのが望ましい。ここでは、窒素に酸素を混合させたガスを用い、混合ガス中に占める酸素分圧は25%、焼成条件は、230℃、1時間としたが、これに限定されるものではない。このように、液滴吐出法によって導電膜を形成した後に、O2を含む雰囲気下において焼成することにより、導電膜の平滑性が向上し、さらに薄膜化、低抵抗化が促進される。なお、導電材料を含む組成物を減圧下で吐出することにより組成物中の溶媒が揮発するため、後の加熱処理(乾燥又は焼成)時間を短縮することもできる。
このようにして形成された画素電極618は、導電膜617c、dを介して、画素TFT654のドレイン領域及び保持容量655の下部電極(不純物が添加された半導体膜)と電気的に接続される(図15(G))。なお、画素電極618は、上記材料からなる導電膜を積層させた構成としてもよい。
以上の工程により、nチャネル型TFT652及びpチャネル型TFT653からなるCMOS構造を含む駆動回路部657と、画素TFT654及び保持容量655を含む画素部658からなるアクティブマトリクス基板が完成する(図15(G))。
さらに、図15(H)は、TFT基板と対向基板619との間に液晶層620を挟持させ、シール材625で貼り合わせた状態を示している。TFT基板上には柱状のスペーサ621を形成する。柱状のスペーサ621は画素電極上に形成されるコンタクト部のくぼみに合わせて形成するとよい。柱状スペーサ621は用いる液晶材料にも依存するが、3〜10μmの高さで形成する。コンタクト部では、コンタクトホールに対応した凹部が形成されるので、この部分に合わせてスペーサを形成することにより液晶の配向の乱れを防ぐことができる。
TFT基板上には、配向膜622を形成しラビング処理を行う。対向基板619には透明導電膜623、配向膜624を形成する。その後、TFT基板および対向基板180をシール材により貼り合わせて液晶を注入し、液晶層185を形成する。以上のようにして、アクティブマトリクス駆動の液晶表示装置を完成させることができる。なお、液晶層185は、液晶を滴下することによって形成してもよい。特に1〜2mを超える大面積のアクティブマトリクス基板を用いて液晶表示装置を作製する場合には、有効な手段である。
次に、FPC(Flexible Print Circuit)628を、異方性導電膜627により公知の手法で端子電極626と貼り付ける。端子電極626は、ゲート電極と同時に形成された配線609dと接続され、透明導電膜を用いて形成するのが望ましい。
以上の工程を経て、トップゲート型TFTを用いたアクティブマトリクス型LCD基板が完成する。本参考例では、ゲート電極609a〜c、配線609d〜f、導電膜617a〜d、画素電極618を形成するにあたり、液滴吐出法によって組成物を形成した後に、O2を含む雰囲気下において焼成することにより、これらの導電膜の平滑性が向上し、薄膜化、低抵抗化が促進される。
以上に述べた、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、マスクパターン、画素電極、カラーフィルタ、配向膜等は、CAD等によって設計されたパターンデータに基づき、ノズル又は基板を支えるステージの移動経路を設定し、制御手段によって前記ノズル又はステージを設定された移動経路に従って移動させ、前記ノズルの吐出口からゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、マスクパターンを構成する材料を含む組成物を吐出することにより、所望の位置に、所望の形状を有するパターンを形成することができる。
また、吐出する組成物の特性に応じて、ノズル又は基板の移動速度、組成物の吐出量、ノズルヘッドと基板との距離、吐出口から組成物を吐出する速度、組成物を吐出する空間における雰囲気、該空間の温度、該空間の湿度及び基板を加熱する温度を設定する。これらの条件は、理論的又は実験的、経験的に得られたパラメータが多数蓄積されたデータベースを用い、設計された薄膜パターンデータと、組成物の種類、膜厚等の情報と照らし合わせることにより、最適なパラメータを判断するための判断手段によって決定される。これにより、良好なパターンを高スループットで得ることができる。
また、本参考例における島状半導体膜や島状n型半導体膜等も、該膜を構成する材料を含む組成物を本発明に係る液滴吐出システムを用いることにより、吐出形成することができる。
上記方法によって作製されたゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、マスクパターン、画素電極、カラーフィルタ、配向膜等の薄膜は、パターンデータを入力することで、組成物を吐出するためのノズル又は基板ステージの移動経路を決定し、該移動経路に従って組成物が吐出されることにより、即座に所望の薄膜パターンを精度よく形成することができ、短縮されたタクトタイムで、スループット、歩留まりの高い半導体素子の作製方法を提供することができる。
参考例5
本参考例では、図27〜28を参照して、本発明を、逆スタガ構造を有する、ボトムエミッション型のアクティブマトリクス型発光装置に適用した場合について説明する。
実施の形態1と同様の材質からなる基板1100上に、ゲート電極及びゲート配線(走査線)を形成するための導電膜を、液滴吐出法によって形成する。
インクジェットノズルから吐出する組成物は、実施の形態1に示したものと同様に、導電材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いる。導電材料としては、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Ba等の金属、ハロゲン化銀の微粒子等、又は分散性ナノ粒子を用いることができる。または、透明導電膜として用いられるITO、ITSO、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛(ZnO)、窒化チタン(TiN:Titanium Nitride)等を用いることができる。また、液滴吐出手段における他の条件も、実施の形態1に示したものと同様にすることができる。
次に、吐出した組成物を少なくとも窒素及び酸素を含む雰囲気下で焼成する。例えば、窒素に酸素を混合させたガスを用いるとよい。混合ガス中に占める酸素の組成比は3〜60%、好ましくは10〜25%とするのが望ましい。また、焼成条件は、200〜300℃、0.5〜2時間とするのがよい。このように、液滴吐出法によって導電膜を形成した後に、O2を含む雰囲気下において焼成することにより、導電膜の平滑性が向上し、さらに薄膜化、低抵抗化が促進されることが分かる。
なお、導電材料を含む組成物を減圧下で吐出することにより組成物中の溶媒が揮発するため、後の加熱処理(焼成)時間を短縮することもできる。
なお、導電材料を含む組成物を減圧下で吐出することにより組成物中の溶媒が揮発するため、後の加熱処理(焼成)時間を短縮することもできる。
以上の焼成工程を経て、ゲート電極1101、1102が形成される(図16(A))。なお、さらに平坦性を向上させたい場合には、平坦化処理を行うことも可能である。例えば、CMP(化学的機械的研磨)法、エッチバック、リフロー、塗布法、酸化物の埋め込み、バイアススパッタ、CVDによる選択成長、レーザー等を用いることができる。
なお、ゲート電極1101、1102は単層構造に限定されず、2層構造、3層構造など複数層を積層させた構造としても良い。この場合、各導電膜を形成する毎に上記焼成工程を行った後に、必要に応じて上記平坦化処理を行うのが望ましいが、この手順に限定されるものではない。また、ゲート電極1101、1102を形成すると同時に、信号線等の各種配線を同時に形成することもできる。
第1絶縁膜1103と第2絶縁膜1104は、ゲート電極1101、1102の上層に形成することでゲート絶縁膜として機能させることができる。この場合、第1絶縁膜1103として酸化珪素膜、第2絶縁膜1104として窒化珪素膜を形成することが好ましい。これらの絶縁膜はグロー放電分解法やスパッタリング法で形成することができる。特に、低い成膜温度でゲートリーク電流に少ない緻密な絶縁膜を形成するには、アルゴンなどの希ガス元素を反応ガスに含ませ、形成される絶縁膜中に混入させると良い。
次に、第1、第2絶縁膜上に、第1の半導体膜1105を形成する。第1の半導体膜1105は、セミアモルファス半導体(SAS)で形成する。
このSASは珪化物気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的な珪化物気体としては、SiH4であり、その他にもSi2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることができる。この珪化物気体を水素、水素とヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈して用いることでSASの形成を容易なものとすることができる。希釈率は10倍〜1000倍の範囲で珪化物気体を希釈することが好ましい。勿論、グロー放電分解による被膜の反応生成は減圧下で行うが、圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲で行えば良い。グロー放電を形成するための電力は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzの高周波電力を供給すれば良い。基板加熱温度は300度以下が好ましく、100〜200度の基板加熱温度が推奨される。
また、珪化物気体中に、CH4、C2H6などの炭化物気体、GeH4、GeF4などのゲルマニウム化気体を混入させて、エネルギーバンド幅を1.5〜2.4eV、若しくは0.9〜1.1eVに調節しても良い。
また、SASは、価電子制御を目的とした不純物元素を意図的に添加しないときに弱いn型の電気伝導性を示す。これは、アモルファス半導体を成膜するときよりも高い電力のグロー放電を行うため酸素が半導体膜中に混入しやすいためである。そこで、TFTのチャネル形成領域を設ける第1の半導体膜に対しては、p型を付与する不純物元素を、この成膜と同時に、或いは成膜後に添加することで、しきい値制御をすることが可能となる。p型を付与する不純物元素としては、代表的には硼素であり、B2H6、BF3などの不純物気体を1ppm〜1000ppmの割合で珪化物気体に混入させると良い。例えば、p型を付与する不純物元素としてボロンを用いる場合、該ボロンの濃度を1×1014〜6×1016atoms/cm3とすると良い。
次に、第2の半導体膜1106、第3の半導体膜1107を形成する。第2の半導体膜1106は、価電子制御を目的とした不純物元素を意図的に添加しないで形成したものであり、第1の半導体膜1105と同様にSASで形成することが好ましい。この第2の半導体膜1106は、ソース及びドレインを形成する一導電型を有する第3の半導体膜1107と第1の半導体膜1105との間に形成することで、バッファ層(緩衝層)のような働きを持っている。従って、弱n型の電気伝導性を持って第1の半導体膜1105に対して、同じ導電型で一導電型を有する第3の半導体膜1107を形成する場合には必ずしも必要ない。しきい値制御をする目的において、p型を付与する不純物元素を添加する場合には、第2の半導体膜1106は段階的に不純物濃度を変化させる効果を持ち、接合形成を良好にする上で好ましい形態となる。すなわち、形成されるTFTにおいては、チャネル形成領域とソースまたはドレイン領域の間に形成される低濃度不純物領域(LDD領域)としての機能を持たせることが可能となる。
一導電型を有する第3の半導体膜1107はnチャネル型のTFTを形成する場合には、代表的な不純物元素としてリンを添加すれば良く、珪化物気体にPH3などの不純物気体を加えれば良い。一導電型を有する第3の半導体膜1107は、価電子制御がされていることを除けば、SASのような半導体、非晶質半導体で形成されるものである。
以上、第1絶縁膜1103から一導電型を有する第3の半導体膜1107までは大気に触れさせることなく連続して形成することが可能である。すなわち、大気成分や大気中に浮遊する汚染不純物元素に汚染されることなく各積層界面を形成することができるので、TFT特性のばらつきを低減することができる(以上、図16(A))。
次に、マスクパターンを形成し、第1の半導体膜1105、第2の半導体膜1106、一導電型を有する第3の半導体膜1107をエッチングして島状に分離形成する。該マスクパターンとしては、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、ポリイミドなどの有機樹脂を用いればよい。また、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料、もしくは置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも一種を有する材料(代表的にはシロキサン系ポリマー)を用いてもよい。また、感光剤を含む組成物でもよく、ポジ型レジストである、ノボラック樹脂と感光剤であるナフトキノンジアジド化合物、ネガ型レジストであるベース樹脂、ジフェニルシランジオール及び酸発生剤などを、公知の溶媒に溶解又は分散させたものを用いてもよい。なお、マスクパターン507は、従来通りレジストを全面に成膜した後、露光、現像工程を経て形成することもできるが、工程を簡略する上で、液滴吐出法によって形成するのが望ましい。
その後、ソース及びドレインに接続する配線を形成するための第2導電膜を液滴吐出法によって形成する。インクジェットノズルから吐出する組成物は、実施の形態1に示したものと同様に、導電材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いる。導電材料としては、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Ba等の金属、ハロゲン化銀の微粒子等、又は分散性ナノ粒子を用いることができる。または、透明導電膜として用いられるITO、ITSO、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛(ZnO)、窒化チタン(TiN:Titanium Nit
ride)等を用いることができる。また、液滴吐出手段における他の条件も、実施の形態1に示したものと同様にすることができる。
次に、吐出した組成物を少なくとも窒素及び酸素を含む雰囲気下で焼成する。例えば、窒素に酸素を混合させたガスを用いるとよい。混合ガス中に占める酸素の組成比は3〜60%、好ましくは10〜25%とするのが望ましい。また、焼成条件は、200〜300℃、0.5〜2時間とするのがよい。このように、液滴吐出法によって導電膜を形成した後に、O2を含む雰囲気下において焼成することにより、導電膜の平滑性が向上し、さらに薄膜化、低抵抗化が促進されることが分かる。
なお、導電材料を含む組成物を減圧下で吐出することにより組成物中の溶媒が揮発するため、後の加熱処理(焼成)時間を短縮することもできる。
なお、導電材料を含む組成物を減圧下で吐出することにより組成物中の溶媒が揮発するため、後の加熱処理(焼成)時間を短縮することもできる。
以上の焼成工程を経て、ソース電極1109、1111、ドレイン電極1110、1112が形成される(図16(B))。なお、さらに平坦性を向上させたい場合には、平坦化処理を行うことも可能である。例えば、CMP(化学的機械的研磨)法、エッチバック、リフロー、塗布法、酸化物の埋め込み、バイアススパッタ、CVDによる選択成長、レーザー等を用いることができる。
次に、ソース電極1109、1111、ドレイン電極1110、1112をマスクとして、一導電型を有する第3の半導体膜1107、第2の半導体膜1106、第1の半導体膜1105の上部をエッチングする。エッチングガスとしては、SF6、NF3、CF4などのフッ化物気体を用いてエッチングを行うことができるが、この場合には下地となる第1の半導体膜1105とのエッチング選択比をとれないので、処理時間を適宜調整して行なこととなる。以上のようにして、チャネルエッチ型のTFTの構造を形成することができる(以上、図16(B))。
次に、チャネル形成領域の保護を目的とした第3絶縁膜1113を、窒化珪素膜で形成する。この窒化珪素膜はスパッタリング法やグロー放電分解法で形成可能であるが、大気中に浮遊する有機物や金属物、水蒸気などの汚染不純物の侵入を防ぐためのものであり、緻密な膜であることが要求される。第3絶縁膜1113に窒化珪素膜を用いることで、第1の半導体膜1105中の酸素濃度を5×1019atoms/cm3以下、好ましくは1×1019atoms/cm3以下に抑えることができる。この目的において、珪素をターゲットとして、窒素とアルゴンなどの希ガス元素を混合させたスパッタガスで高周波スパッタリングされた窒化珪素膜で、膜中の希ガス元素を含ませることにより緻密化が促進されることとなる。また、グロー放電分解法においても、珪化物気体をアルゴンなどの珪化物気体で100倍〜500倍に希釈して形成された窒化珪素膜は、100度以下の低温においても緻密な膜を形成可能であり好ましい。さらに必要があれば第4絶縁膜1114を酸化珪素膜で積層形成しても良い。第3絶縁膜1113と第4絶縁膜1114はパッシベーション膜に相当する。
第3絶縁膜113および/または第4絶縁膜1114上には、好ましい形態として第5絶縁膜(平坦化膜)1115を形成する。平坦化膜は、アクリル、ポリイミド、ポリアミドなどの有機樹脂、またはシロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O結合とSi−CHX結晶手を含む絶縁膜で形成することが好ましい。これらの材料は含水性があるので、水分の侵入及び放出を防ぐバリア膜として第6絶縁膜1116を併設することが好ましい。第6絶縁膜1116としては上述のような窒化珪素膜を適用すれば良い。
配線1117は、第6絶縁膜1116、平坦化膜1115、第3絶縁膜1113、第4絶縁膜1114にコンタクトホールを形成した後に、所望の形状にエッチング形成する(図10(C、D))。
以上のようにして形成されたチャネルエッチ型のTFTは、SASでチャネル形成領域を構成することにより1〜10cm2/V・secの電界効果移動度を得ることができる。
次に、配線1117に接するように、第6絶縁膜1116上に導電膜を液滴吐出法によって形成し、上記焼成工程を経て、正孔注入電極(陽極)が形成される。導電材料としては、透明導電膜として用いられるITO、ITSO、有機インジウム、有機スズ等を採用する。これにより、下側から発光光を取り出すことができる、ボトムエミッション型の発光装置を得ることができる。
なお、正孔注入電極(陽極)1118は積層構造としても良い。例えば、ITSOの積層構造を採用し、TFT側ITSOの酸化珪素濃度を低濃度(1〜6原子%)に、発光素子側ITSOの酸化珪素濃度を高濃度(7〜15原子%)にするのが良い。正孔注入電極1118は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコール系の多孔質体で拭浄し、研磨しても良い。またCMP法を用いた研磨後に、正孔注入電極1118の表面に紫外線照射、酸素プラズマ処理などを行ってもよい(以上、図16(D))。
なお、正孔注入電極1118をエッチング形成した後の、レジスト剥離工程、ヒドロ洗浄(水洗)工程、紫外線照射工程等によって、導電層1118内部からインジウム、スズ又はそれらの酸化物を放出させることにより、導電層1118の表面又は表面近傍の層内部に、珪素、酸化珪素、窒化珪素等と析出させ、それらを主成分とするバリア層を形成することができる。また、このバリア層は、珪素、酸化珪素、窒化珪素等を意図的に蒸着法、スパッタリング法等によって形成しても良い。これらのバリア層の存在によって、正孔注入電極の仕事関数が増加し、正孔注入性をより向上させることができる。
次に図17に示すように、第6絶縁膜1116上に、有機樹脂膜、無機絶縁膜またはシロキサンを用いて形成された隔壁(土手)1119を形成する。なおシロキサンとは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料である。また上記構成に加えて、置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有していても良い。隔壁1119は開口部を有しており、該開口部において陽極1118が露出している。
次に、隔壁1119の開口部において陽極1118と接するように、有機化合物を含む層1120(電界発光層)を形成する。有機化合物を含む層1120は、単数の層で構成しても良いし、複数の層を積層させて構成しても良い。複数の層で構成する場合、陽極1118上に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の順に積層する。
次に、有機化合物を含む層1120を覆うように、電子注入電極1121(陰極)を形成する。電子注入電極1121は、仕事関数が小さい公知の材料、例えば、Ca、Al、CaF、MgAg、AlLi等を用いることができる。隔壁1119の開口部において、正孔注入電極1118と有機化合物を含む層1120と電子注入電極1121が重なり合うことで、発光素子1122が形成される(以上、図17)。
なお実際には、図17の状態まで完成したら、さらに外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(ラミネートフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)やカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。
このような、画素部と駆動回路で同じTFTを用いた素子基板は、ゲート電極形成用マスク、半導体領域形成用マスク、配線形成用マスク、コンタクトホール形成用マスク、陽極形成用マスクの合計5枚のマスクで形成することができる。
なお本参考例では、セミアモルファス半導体を用いたTFTで発光装置の駆動回路と画素部を同じ基板上に形成した例について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。アモルファス半導体を用いたTFTで画素部を形成し、該画素部が形成された基板に別途形成された駆動回路を貼り付けても良い。
なお、ゲート電極1101、1102に重畳させて、SASで形成された第1の半導体膜1105上にチャネル保護膜1201、1202を形成すれば、図18に示した構成を有する、チャネル保護型TFT1203、1204を用いた発光装置も同様に作製することができる。
以上に述べた、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、マスクパターンは、CAD等によって設計されたパターンデータに基づき、ノズル又は基板を支えるステージの移動経路を設定し、制御手段によって前記ノズル又はステージを設定された移動経路に従って移動させ、前記ノズルの吐出口からゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、マスクパターンを構成する材料を含む組成物を吐出することにより、所望の位置に、所望の形状を有するパターンを形成することができる。
また、吐出する組成物の特性に応じて、ノズル又は基板の移動速度、組成物の吐出量、ノズルヘッドと基板との距離、吐出口から組成物を吐出する速度、組成物を吐出する空間における雰囲気、該空間の温度、該空間の湿度及び基板を加熱する温度を設定する。これらの条件は、理論的又は実験的、経験的に得られたパラメータが多数蓄積されたデータベースを用い、設計された薄膜パターンデータと、組成物の種類、膜厚等の情報と照らし合わせることにより、最適なパラメータを判断するための判断手段によって決定される。これにより、良好なパターンを高スループットで得ることができる。
また、本参考例における島状半導体膜や島状n型半導体膜等も、該膜を構成する材料を含む組成物を本発明に係る液滴吐出システムを用いることにより、吐出形成することができる。
上記方法によって作製されたゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、マスクパターン等の薄膜は、パターンデータを入力することで、組成物を吐出するためのノズル又は基板ステージの移動経路を決定し、該移動経路に従って組成物が吐出されることにより、即座に所望の薄膜パターンを精度よく形成することができ、短縮されたタクトタイムで、スループット、歩留まりの高い半導体素子の作製方法を提供することができる。
参考例6
実施例4では、図28、29に示すボトムエミッション型発光装置において、本発明を適用した場合について説明したが、本参考例では、図30(A)に示すトップエミッション型発光装置、図30(C)に示すデュアルエミッション型発光装置において、本発明を適用した場合について説明する。
まず、デュアルエミッション型発光装置の場合から説明する。この場合、正孔注入電極の材料としては、参考例1と同様に、ITO、ITSO、ZnO、IZO、GZO等の透明導電膜を用いることもできる。また、陽極1622としてITSOを用いる場合には、濃度の異なる酸化珪素を含むITSOを積層させることによって形成してもよい。好ましくは、下部ITSO層(ソース又はドレイン配線側)の酸化珪素濃度を低濃度に、上部ITSO層(発光層側)の酸化珪素濃度を高濃度にするのがよい。これにより、TFTとの接続間の低抵抗を維持しつつ、EL層への正孔注入効率を高めることができる。勿論、他の材料とITSOの積層構造(例えば、下部ITO層と上部ITSO層の積層構造)としてもよいし、他の材料同士を積層させてもよい。
一方、陰極1624としては、発光層からの光を透過させるべく、1〜10nmの薄アルミニウム膜、もしくはLiを微量に含むアルミニウム膜等を用いることにより、上下に発光素子からの光を取り出すことのできるデュアルエミッション型発光装置が得られる(図19(C))。
なお、陰極1624として、陽極1622と同様の材料、すなわちITO、ITSO等の透明導電膜を採用しても、デュアルエミッション型発光装置を得ることができる。この場合において、透明導電膜に珪素または酸化珪素を含有させて用いても良いし、積層構造を採用しても良い。
次に、トップエミッション型発光装置の場合について、図19(A)を参照して説明する。一般的には、図19(B)のボトムエミッション型における正孔注入電極1622(陽極)と電子注入電極1624(陰極)を入れ替え、さらに有機化合物を含む層を逆積みとし、電流制御用TFTの極性を反転させることにより(ここでは、nチャネル型TFTを用いる。)、基板と反対側(上側)に発光素子からの光を取り出すことのできるトップエミッション型発光装置が得られる。また図19(A)のように、電極及び有機化合物を含む層を逆積みとした場合、正孔注入電極1622として、酸化珪素濃度の含有量に高低の差を設けた透光性酸化物導電層の積層構造を採用することにより、発光効率の向上、低消費電力化等の効果により、安定性の高い発光装置を得ることができる。ここで、電子注入電極1624(陰極)としては、光反射性のある金属電極等を用いればよい。
なお、図19(B)のボトムエミッション型における正孔注入電極1622と電子注入電極1624を入れ替えずとも、電子注入電極1622(陰極)としてITO、ITSO等の透明導電膜を採用することにより、トップエミッション型発光装置を得ることもできる。この陰極に用いられる透明導電膜としては、珪素又は酸化珪素を含有したものを用いてもよいし、それらを積層させた構造としてもよい。
本実施例では、実施の形態1又は実施例と同じ工程で作製可能な逆スタガ型TFTを具備した表示用パネルの一例について説明する。
図31(A)は、逆スタガ型TFT6700、6701、6702を用いて作製されるEL表示装置用パネルにおける画素の上面図を示している。また、図31(B)は、上面図に対応する回路図を示したものである。EL表示用パネルの画素部には、画素毎にEL素子6707とその発光を制御する駆動用の第1TFT6700、第1TFTのオンオフ(スイッチング)を制御する第2TFT6701、EL素子に流れ込む電流を制御する駆動用の第3TFT6702が設けられている。これらのTFTはいずれも実施の形態1や実施例で示す逆スタガ型TFTで形成することができる。
第1TFT6700は、第3TFT6702を介して、EL素子6707の下部に設けられた画素電極に接続され、EL素子6707の発光を制御する働きをする。第2TFT6701は、第1TFT6701の動作を制御するものであり、第2TFT6701のゲート電極を兼ねる走査線6705と、信号線6703との信号に応じて第1TFT6700のオンオフを制御することができる。第1TFT6700のゲート電極は第2TFT6701と接続し、ゲートのオンオフに応じて、電源線6704からの電力を画素電極側に供給するものである。なお、流れる電流量に応じて発光輝度が変化するEL素子の動作に対応するために、固定電源線6706に接続された電流制御用の第3TFTを設け、EL素子6707に一定の電流を供給する働きをする。
EL素子6707は、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)又は/及び三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)をする有機化合物を含む層(以下、「EL層」という。)が一対の電極(陽極と陰極に挟まれた構造を有している。EL層を形成する有機化合物は、低分子系有機発光物質、中分子系有機発光物質(昇華性を有さず、かつ、分子数が20以下または連鎖する分子の長さが10μm以下の有機発光物質)、高分子系有機発光物質を用いることができる。このEL層は、単層で形成しても良いし、複数の機能の異なる層を積層させて形成しても良い。複数の層を積層させる場合には、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層、電子輸送層、正孔又は電子ブロック層などを適宜組み合わせればよい。なお、正孔注入層と正孔輸送層とは、電極より正孔の注入が可能で、正孔の移動度が高い材料からなり、この二つの機能をまとめて一つの層(正孔注入輸送層)としてもよい。また、電子注入輸送層についても同様である。
図19は、図20におけるA−A’、B−B’に対応する断面図であり、第1TFT6700、第2TFT6701、第3TFT6702などが形成された一方の基板900と、封止基板906との間に発光素子908が形成されているアクティブマトリクス型のEL表示用パネルを示している。両断面図は、第1TFT6700を共通に含んでいる。第1TFTは、第2TFT6701介して画素電極909に接続されている。また、画素電極909(陽極)上には、絶縁物911(土手、隔壁、バンクなどと呼ばれる。)が設けられ、さらにその上に発光層903、対向電極904が設けられることによって、発光素子908が形成されている。EL素子908の上には、パッシベーション膜905が形成され、封止基板906とシール材によって封止される。パッシベーション膜905と封止基板906の間には、絶縁物912が充填されている。
絶縁物911、912としては窒化珪素、酸化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CN)から選ばれた一種、または複数種からなる膜を用いることができる。
他の絶縁性材料としては、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミドから選ばれた一種、または複数種の材料を含む膜を用いればよい。また、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料、もしくは置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも一種を有する材料(代表的にはシロキサン系ポリマー)を用いてもよい。封止基板905側から光を取り出す場合(トップエミッション型)は、絶縁物912は透光性を有する材料を用いる必要がある。
なお、図20及び図21では一画素しか図示していないが、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応したEL素子を備えた画素を組み合わせて多色表示を可能としてもよい。また、それぞれの発光は、全て一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)であっても、全て三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)でもよいし、一色が蛍光(又はリン光)、残りの2色がリン光(又は蛍光)というように組み合わせでもよい。Rのみにリン光を用いて、G、Bに蛍光を用いてもよい。例えば、正孔注入層として20nm厚の銅フタロシアニン(CuPc)膜を設け、その上に発光層として70nm厚のトリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq3)膜を設けた積層構造としている。Alq3にキナクリドン、ペリレンもしくはDCM1といった蛍光色素を添加することで発光色を制御することができる。
パッシベーション膜905としては、窒化シリコン、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、または酸化アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボン、窒素含有炭素などその他の絶縁物質を用いて形成することができる。また、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料、もしくは置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも一種を有する材料(代表的にはシロキサン系ポリマー)を用いてもよい。
本発明は、光が発光表示用パネル両面から出射する両面出射型の発光表示用パネルでも、片面出射型の発光表示用パネルにも適用することができる。対向電極側のみから光を出射する場合(トップエミッション型、画素電極は陽極に相当し反射性を有する金属膜であり、反射性を有する金属膜としては、陽極として機能させるために白金(Pt)や金(Au)といった仕事関数の高い金属膜を用いる。また、これらの金属は、高価であるため、アルミニウム膜やタングステン膜といった適当な金属膜上に積層し、少なくとも最表面に白金もしくは金が露出するような画素電極としても良い。また、対向電極は膜厚の薄い(好ましくは10〜50nm)金属膜であり、陰極として機能させるために金属膜仕事関数の小さい周期表の1族もしくは2族に属する元素を含む材料(例えば、Al、Mg、Ag、Li、Ca、又はこれらの合金MgAg、MgAgAl、MgIn、LiAl、LiFAl、CaF2、又はCaNなど)を用いる。さらに、対向電極に積層して酸化物導電膜(代表的にはITO膜)を設ける。この場合、発光素子から発した光は、画素電極で反射され、対向電極を透過して、封止基板906側から出射される。
画素電極側のみから光を出射する場合(ボトムエミッション型)、陽極に相当する画素電極には透明導電膜を用いる。透明導電膜としては、酸化インジウムと酸化スズとの化合物、酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物、酸化亜鉛、酸化スズまたは酸化インジウムを用いることができる。また、対向電極はAl、Mg、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金MgAg、MgIn、AlLiからなる金属膜(膜厚50〜200nm)を用いることが好ましい。この場合、発光素子から発した光は、画素電極を透過して基板900側から出射される。
画素電極側、対向電極側両方から光が出射する両面出射型の場合、陽極に相当する画素電極には透明導電膜を用いる。透明導電膜としては、ITO、ITSO、IZO、ZnO、酸化スズ、酸化インジウム等を用いることができる。また、対向電極は光が透過するように膜厚の薄い(好ましくは10〜50nm)金属膜であり、陰極として機能させるために金属膜仕事関数の小さい周期表の1族もしくは2族に属する元素を含む材料(例えば、Al、Mg、Ag、Li、Ca、又はこれらの合金MgAg、MgAgAl、MgIn、LiAl、LiFAl、CaF2、又はCaNなど)を用いる。さらに、対向電極に積層して透明な酸化物導電膜(代表的にはITO膜、ITSO膜)を設ける。この場合、発光素子から出射した光は基板900側、封止基板906側両方から出射される。なお本実施例では、実施の形態1や実施例で示す逆スタガ型TFTで液晶表示用パネルを構成する一例を示したが、参考形態1で示すトップゲート型あるいは順スタガ型TFTを用いても同様に実施することができる。
参考例7
本参考例は、実施例3の液晶表示装置、又は実施例4の発光装置に用いられる表示用パネルをモジュール化した状態を、図33を参照して説明する。
図33で示すモジュールは、画素部701の周辺に駆動回路が形成されたドライバICCOG(Chip On Glass)方式で実装している。勿論、ドライバICは、TAB(Tape Automated Bonding)方式で実装してもよい。
基板700は対向基板703とシール材702によって固着されている。画素部701は、実施例4で示すように液晶を表示媒体として利用したものであってもよいし、参考例1で示すようにEL素子を表示媒体として利用するものであってもよい。ドライバIC705a、705b及びドライバIC707a、707b、707cは、単結晶の半導体又は多結晶の半導体を用いて形成した集積回路を利用することができる。ドライバIC705a、705b及びドライバIC707a、707b、707cには、FPC704a、704b、704cまたはFPC706a、706bを介して信号や電源が供給される。
参考例8
実施例9のモジュールを用いた電子機器の一例として、図34に示すテレビ受像器、携帯書籍(電子書籍)、携帯電話を完成させることができる。
図34(A)のテレビ受像器は、筐体2001に液晶又はEL素子を利用した表示用モジュール2002が組みこまれ、受信機2005により一般のテレビ放送の受信をはじめ、モデム2004を介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、又は受信者間同士)の情報通信をすることもできる。テレビ受像器の操作は、筐体に組みこまれたスイッチ又は別体のリモコン装置2006により行うことが可能であり、このリモコン装置にも出力する情報を表示する表示部2007が設けられていても良い。
また、テレビ受像器にも、主画面2003の他にサブ画面2008を第2の表示用モジュールで形成し、チャネルや音量などを表示する構成が付加されていても良い。この構成において、主画面2003を視野角の優れたEL表示用モジュールで形成し、サブ画面を低消費電力で表示可能な液晶表示用モジュールで形成しても良い。また、低消費電力化を優先させるためには、主画面2003を液晶表示用モジュールで形成し、サブ画面をEL表示用モジュールで形成し、サブ画面は点滅可能とする構成としても良い。
図34(B)は携帯書籍(電子書籍)であり、本体3101、表示部3102、3103、記憶媒体3104、操作スイッチ3105、アンテナ3106等を含む。
図23(C)は携帯電話であり、3001は表示用パネル、3002は操作用パネルである。表示用パネル3001と操作用パネル3002とは接続部3003において接続されている。接続部3003における、表示用パネル3001の表示部3004が設けられている面と操作用パネル3002の操作キー3006が設けられている面との角度θは、任意に変えることができる。さらに、音声出力部3005、操作キー3006、電源スイッチ3007、音声入力部3008を有している。
参考例9
上記参考例では、ディスプレイへの応用を中心に説明したが、勿論、本発明を他の分野へ適用することも可能である。例えば、LSIのプロセスにおいて、各種配線を形成する際に本発明を積極的に用いることにより、配線の平坦化、平滑化、薄膜化、低抵抗化を図ることができる。
本発明の液滴吐出システムの構成を示す図
本発明の液滴吐出システムの側面図
本発明の液滴吐出システムの機構を示す図
本発明の液滴吐出システムを用いたパターン形成のフローチャート
吐出雰囲気、加熱温度等の諸条件の設定手段を含むフローチャート
基板ステージを回転させて一つの配線を吐出形成する実施形態の説明図
異なるノズルを用いて一つの配線を吐出形成する実施形態の説明図
1ドット間隔及び半ドット間隔で吐出する場合を比較した図
1ドット間隔及び半ドット間隔で吐出する場合を比較した図
異なる口径を有する複数のノズルで一つの配線を吐出形成する実施形態の説明図
開孔部検出手段を用いて断線箇所をリペアする実施形態の説明図
異なる口径を有する複数のノズルで画素電極を吐出形成する実施形態の説明図
異なる口径を有する複数のノズルで平坦な配線を吐出形成する実施形態の説明図
異なる口径を有する複数のノズルで異なる線幅の配線を吐出形成する実施形態の説明図
異なる口径を有する複数のノズルで開孔部に導電材料を吐出充填する実施形態の説明図
画素ピッチのn倍のピッチのノズルを用い、偶数、奇数番目の配線を分けて吐出形成する実施形態の説明図
開孔部検出手段を有する液滴吐出システムの機構を示す図
本発明を用いてチャネル保護型TFT(SAS、GI3層)を作製する場合の工程図
本発明を用いてチャネル保護型TFT(SAS、GI3層)を作製する場合の工程図
本発明を用いてチャネルエッチ型TFTを作製する場合の工程図
本発明を用いてチャネルエッチ型TFTを作製する場合の工程図
本発明を用いて順スタガ型TFTを作製する場合の工程図
本発明を用いて順スタガ型TFTを作製する場合の工程図
本発明を用いて液晶表示装置を作製する場合の工程図
本発明を用いて液晶表示装置を作製する場合の工程図
本発明を用いて液晶表示装置を作製する場合の工程図
本発明を用いてEL発光装置を作製する場合の工程図
本発明を用いて作製されたEL発光装置(チャネルエッチ型TFT)の完成図
本発明を用いて作製されたEL発光装置(チャネル保護型TFT)の完成図
本発明を用いて作製されたトップ、ボトム、デュアルエミッション型EL発光装置の説明図
SAS、3Trの上面図及び回路図
SAS、3Trの断面図
本発明を用いて作製された表示装置のモジュールを示す図
本発明を用いて作製された電子機器の一例を示す図