JP4683510B2 - 被覆層を有する散布式表面処理工法 - Google Patents
被覆層を有する散布式表面処理工法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、散布式表面処理工法に関し、詳しくは、骨材の飛散を極力少なくし、強固で耐久性に優れた表面処理層を構築することができる被覆層を有する散布式表面処理工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
路面上に結合材と骨材とをこの順に1回若しくは2回以上散布して単層または複層の表面処理層を構築する散布式表面処理工法は、比較的簡単に舗装体表面を若返らせることができるので、極めて便利な工法であるが、アスファルト混合物を用いる例えばオーバーレイなどの工法とは違って、単に結合材によって骨材を結合しているだけであるので、交差点部や曲線部、登坂部などの交通荷重が厳しく負荷される箇所や、転圧が十分でなかったり、施工後の養生時間が不足する場合などにおいては、通行車両のタイヤ等から受ける摩擦力や衝撃力によって、散布された骨材が路面から剥離し、飛散してしまうという問題がややもするとあった。骨材が剥離して飛散してしまうと、飛散した骨材自体が交通の妨げとなるだけでなく、骨材の剥離跡には結合材の層が露出し、スリップなどの原因となり、好ましいものではない。
【0003】
このため、従来は、結合材として接着力や粘着力に優れたものを使用することによって、骨材の飛散を防止することが試みられてきた。しかしながら、接着力や粘着力に優れた結合材は、一般に特殊なものであり、入手が困難であることが多く、また、高価であるという問題点を孕んでいる。
【0004】
【発明の解決しようとする課題】
本発明は、以上のような従来の散布式表面処理工法の欠点を解消し、特殊な結合材を使用することなく、骨材の剥離が少なく耐久性に優れた表面処理層を構築することができる散布式表面処理工法と、それによって得られる表面処理層を有する舗装体を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、散布式表面処理工法における骨材の飛散防止について研究を重ねた結果、最上層に散布される骨材層の上に人工アスファルト乳剤による被覆層を設けることによって、骨材の剥離を防止し、耐久性に優れた表面処理層を構築することができることを見出して、本発明を完成した。
【0006】
即ち、本発明は、路面上に結合材を散布又は塗布しその上から骨材を散布する工程を1回若しくは2回以上繰り返して路面上に単層または複層の表面処理層を構築する散布式表面処理工法において、散布された最上層の骨材層の上に人工アスファルト乳剤を散布して被覆層を形成する工程を含む被覆層を有する散布式表面処理工法、及び、そのような散布式表面処理工法によって構築される表面処理層を有する舗装体を提供することによって上記課題を解決するものである。
【0007】
本発明の散布式表面処理工法においては、最上層の骨材が結合材によって路面若しくは下層の骨材層に結合されると共に、骨材層の上部に散布される人工アスファルト乳剤によって形成される被覆層によってもつなぎ止められるので、車両タイヤによる摩擦力や衝撃力を受けても、骨材が飛散して浮き石となることが少なく、耐久性に優れた表面処理層を構築することができるものである。
【0008】
ここで、人工アスファルト乳剤とは、人工アスファルトを乳化したものであり、人工アスファルトとは、人為的に調製された材料であって、アスファルトと同じように使用することができ、通常は、実質的に無色のものである。なお、「実質的に無色」とは、併用される骨材が本来有している色彩や光反射性、光輝性、蛍光性、蓄光性などの特性や、必要に応じて混合される顔料の色彩を損なわない程度に無色ということであって、必ずしも、完全に透明であることを意味せず、半透明であっても、若干の飴色を有していても良い。また、本発明で使用する人工アスファルトは、通常、反応や分解が進んで所定の強度を発現する段階で実質的に無色となるものであり、例えば乳化剤によって乳化して人工アスファルト乳剤として存在するときには白色や飴色等の色を有していることがある。このような人工アスファルトは、例えば、石油系配合油及び/又は潤滑油と粘着付与剤樹脂とを、重量百分率で、石油系配合油及び/又は潤滑油:粘着付与剤樹脂=(60〜85%):(40〜15%)の割合で配合することによって調製することができる。この人工アスファルトには、上記成分以外に、接着性や結合性を高めるために種々のゴムや熱可塑性高分子重合物を添加したり、その他、一般に使用されている粘着付与剤を添加して改質することも可能である。また、従来のアスファルトと同様に乳化することも可能であり、本発明において、被覆層の構築に使用する人工アスファルト乳剤とは、このように人工アスファルト或いは改質人工アスファルトを乳化したり、人工アスファルトを乳化後に改質して得たものである。本明細書で、改質人工アスファルト乳剤との対比で人工アスファルト乳剤という場合を除いて、単に人工アスファルト乳剤という場合には、改質人工アスファルト乳剤も含むものとする。なお、本発明で使用する人工アスファルト乳剤は、種々の有機系及び無機系の顔料を添加、混合して、着色して使用することも好適に行うことができる。
【0009】
本発明の散布式表面処理工法においては、上述のように、人工アスファルト乳剤による被覆層を設けることによって、骨材の飛散が防止され、耐久性に優れた表面処理層が構築できるものであるが、被覆層を形成する工程で使用する人工アスファルト乳剤として、蒸発残留物が40〜70重量%であり、その蒸発残留物が、
a)針入度が5〜60(1/10mm)、
b)軟化点が40〜80℃、
という特性を有するものである場合には、尚一層、骨材の飛散防止に効果があり、更には、蒸発残留物が50〜68重量%であり、その蒸発残留物が、
a’)針入度が10〜40(1/10mm)、
b’)軟化点が50〜70℃、
である場合には、更に一層、骨材の飛散防止に効果があるものである。
【0010】
一方、結合材には、特段の制限はなく、或る程度の接着力、粘着力で骨材を路面或いは骨材層面につなぎ止めることができるものであれば、どのような材料を使用しても良いが、被覆層の構築に使用する材料と同系統であるという点からは、上述のような人工アスファルトや人工アスファルト乳剤を使用するのが良く、その他に、通常使用されているような瀝青系材料や、樹脂系材料なども使用することができる。瀝青系材料としては、アスファルトやアスファルト乳剤などが好ましいが、特には、アスファルト乳剤を用いるのが望ましい。アスファルト乳剤は、常温で施工できる材料であるので、加熱の必要がなく、危険性が少ないと共に炭酸ガスの発生もないので、地球環境的な観点からも好ましいものである。この点は、人工アスファルト乳剤も同様であり、人工アスファルト乳剤も、常温で施工できる材料であるので、加熱の必要がなく、危険性が少ないと共に炭酸ガスの発生もないので、地球環境的な観点からも好ましいものである。なお、本明細書でいうアスファルト、及び、アスファルト乳剤とは、特に断らない限り、ゴムや熱可塑性高分子重合物などを添加して改質した改質アスファルト、改質アスファルト乳剤も含むものとする。
【0011】
本発明の被覆層を有する散布式表面処理工法は、一般道路に限らず、自動車専用道路、構内道路、公園内道路、散策路、自転車道、運動場、駐車場、飛行場、港湾施設、公会堂等に付帯する広場、歩道等の舗装にも適用されるものであり、既設舗装の表面処理としては勿論のこと、舗装新設時の表層若しくは表層の一部としても、更には、本発明の散布式表面処理工法によって構築された舗装体の上に、アスファルト混合物やセメント混合物、その他の舗装用混合物を舗設して、本発明の散布式表面処理工法によって構築された舗装体を褥層及び/又は緩衝層として機能させることも、アスファルト舗装の構築を長期間掛けて段階的に行い逐次完成させる、いわゆるステージコンストラクションにも使用することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
まず、使用材料について説明する。
〈被覆層用の人工アスファルト乳剤〉
本発明において被覆層の構築に使用する人工アスファルト乳剤は、上述のように人工アスファルトを乳化して乳剤としたものであるが、この乳化に使用する人工アスファルトは、好ましくは、石油系配合油及び/又は潤滑油と粘着付与剤樹脂とを、重量百分率で、石油系配合油及び/又は潤滑油:粘着付与剤樹脂=(60〜85%):(40〜15%)の割合で配合したものである。石油系配合油と潤滑油とは、どちらか一方だけを用いても良く、また、両者を併用しても良い。従って、石油系配合油及び/又は潤滑油の量は、どちらか一方だけを使用する場合にはその使用するどちらか一方の量を、また、両者を併用する場合には両者の合計量を表すこととなる。石油系配合油及び/又は潤滑油の割合が、60重量%未満であると、得られる結合材の粘度が高くなりすぎて作業性が低下する。一方、石油系配合油及び/又は潤滑油の割合が85重量%を越えると、粘度は低下するものの接着性及び粘着性が低下して好ましくない。このような配合で得られる人工アスファルトは、実質的に無色であって、例えば有色の骨材などと共に使用しても骨材本来の色調を損なうことがなく、骨材本来の色調が十全に発揮されるものである。
【0014】
上記人工アスファルトの調製に使用する石油系配合油とは、プロセスオイルとも呼ばれ、芳香族炭素数が全炭素数の35%以上である芳香族系、ナフテン環炭素数が全炭素数の30〜45%であるナフテン系、及び、パラフィン側鎖炭素数が全炭素数の50%以上であるパラフィン系などがあり、本発明においては、これらのうちの1種若しくは2種以上が適宜使用される。
【0015】
上記人工アスファルトの調製に使用する潤滑油としては、石油系潤滑油、合成潤滑油、脂肪油などが挙げられ、これらはそのうちの1種又は2種以上が適宜使用できるが、合成潤滑油を用いるのが最も好ましい。
【0016】
石油系潤滑油とは、原油の常圧蒸留の蒸留残油として得られる沸点がおよそ300℃以上の重油を、真空蒸留によって各種流出油と残油に分け、それぞれに、例えば、脱ロウ、硫酸処理、溶剤抽出、脱アスファルト、白土処理などの適当な精製処理を行い、最終製品に仕上げたものである。
【0017】
合成潤滑油とは、有機合成法によって製造される潤滑油で、一般に用途によって区分けされ、例えば、スピンドル油、コンプレッサ油、ダイナモ油、タービン油、マシン油、エンジン油、シリンダー油、ジェットエンジン油、作動油などが挙げられる。
【0018】
脂肪油とは、主として石油系潤滑油に混合し、混成潤滑油として油性あるいは乳化性を必要とする用途に使用されるものである。
【0019】
上記人工アスファルトの調製に使用する粘着付与剤樹脂としては、天然系樹脂及び合成系樹脂のいずれをも使用することができるが、天然系樹脂ではテルペン樹脂を、また、合成系樹脂では石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂などの重合系樹脂を使用するのが好ましく、更に好ましくは、合成系樹脂の1種である石油樹脂を使用するのが良い。石油樹脂としては、ナフサ分解生成物の蒸留により分離される沸点が20〜60℃の留分(C5留分)を主成分とする脂肪族系(C5系)石油樹脂、同じくナフサ分解生成物の蒸留により分離される沸点が160〜260℃の留分(C9留分)を主成分とする芳香族系(C9系)石油樹脂、これらC5系及びC9系石油樹脂を共重合させた脂肪族/芳香族共重合系(C5/C9系)石油樹脂、及び、主としてナフサ分解生成物の蒸留により分離される高純度のジシクロペンタジエンを主成分とする脂環族系(DCPD系)石油樹脂、テルペン類とフェノール類を共重合させたテルペンフェノール樹脂などがあり、本発明においてはこれらのうちの1種若しくは2種以上が混合して使用される。
【0020】
本発明で人工アスファルト乳剤の調製に使用する人工アスファルトは、通常のアスファルトのように、ゴム又は熱可塑性高分子重合物などで改質して改質人工アスファルトとし、結合力ないしは付着力を増すのが望ましい。改質に使用するゴム及び熱可塑性高分子重合物としては、天然ゴム、ガタバーチャ、環化ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・イソプレンゴム、イソプレンゴム、ポリイソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、EPTゴム、アルフィンゴム、スチレン・ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合ゴム、スチレン・イソプレンブロック共重合ゴムなどのゴム、及び、エチレン・酢酸ビニール共重合物、エチレン・エチルアクリレート共重合物、ポリエチレン、ポリ塩化ビニール、ポリ酢酸ビニール、塩化ビニール・酢酸ビニール共重合物、酢酸ビニール・アクリレート共重合物等の熱可塑性高分子重合物が挙げられる。これらのゴムまたは熱可塑性高分子重合物は、1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0021】
改質人工アスファルト中の人工アスファルトと、ゴム及び熱可塑性高分子重合物との配合割合は、人工アスファルト100重量部に対してゴム及び熱可塑性高分子重合物が、通常、2〜20重量部の範囲が好ましい。ゴム及び熱可塑性高分子重合物の量が2重量部未満では、改質人工アスファルトとしての性能を発揮することができず、骨材間、骨材と路面間の接着力や把握力が一般のアスファルトと余り変わらないのに対して、ゴム及び熱可塑性高分子重合物の量が20重量部を越えると、凝集力が強過ぎて、返って骨材からの剥離が生じ、骨材の飛散を起こし易い。
【0022】
本発明の人工アスファルト乳剤の調製に使用される上記の人工アスファルトないしは改質人工アスファルトには、更に、粘着付与剤として、熱可塑性固形樹脂や固形状ゴム、液状樹脂、軟化剤、可塑剤などを添加することができる。添加される粘着付与剤としては、例えば、ロヂンとその誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂とその誘導体、アルキッド樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、クマロンインデン樹脂、合成テルペン樹脂、アルキレン樹脂、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリブデン、イソブチレンとブタジエンの共重合物、鉱油、プロセスオイル、パイン油、アントラセン油、松根油、動植物油、重合油、可塑剤等が挙げられる。また、老化防止剤や酸化防止剤、硫黄等も添加することができる。
【0023】
上記人工アスファルトを乳剤とするには、市販されている各種界面活性剤やクレー(例えばベントナイト)などの乳化剤を用い、さらには、アルカリ、酸、塩、分散剤、保護コロイドなどを必要に応じて添加して、コロイドミル、ホモジナイザー、ホモミキサーなどの適当な乳化機によって、水中に乳化させ、人工アスファルト乳剤とするのが良い。乳化剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系のいずれをも用いることができる。
【0024】
使用できるカチオン系の乳化剤としては、長鎖アルキル基を有する脂肪族あるいは脂環族のモノアミン、ジアミン、トリアミン、アミドアミン、ポリアミノエチルイミダゾリン、長鎖ヒドロキシアルキルジアミン、ロジンアミン、これらアミン類の酸化エチレン付加物、アミンオキサイド、または、これらのアミン系界面活性剤に塩酸、スルファミン酸、酢酸などの酸を作用させた水溶性ないし水分散性の塩、さらには、これらのアミン系界面活性剤の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。また、これらの界面活性剤と共に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコーポリマーなどのノニオン系界面活性剤を併用することもできる。
【0025】
使用できるアニオン系の乳化剤としては、高級アルコール硫酸エステル、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、αオレフィンスルホン酸塩、高級アルコールエトオキシレート、高級アルコールエトオキシレートサルフェート、石鹸、ナフタリンスルホン酸塩およびホルマリン変性物、アルカリリグニン塩、リグニンスルホン酸塩、カゼインのアルカリ塩、ポリアクリル酸塩等が挙げられる。
【0026】
使用できるノニオン系の乳化剤としては、アルキルフェノール、モノおよび多価アルコール酸、脂肪族類、脂肪族アミン類、脂肪族アミド類、エタノールアミン類等のアルキレンオキシドの付加物、などが挙げられる。
【0027】
また、人工アスファルト乳剤に用いられる分散剤や保護コロイドとしては、ナフタリンスルホン酸ソーダ、カゼイン、アルギン酸、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、リグニンスルホン酸塩、ニトロフミン酸塩等が挙げられる。
【0028】
本発明で使用する人工アスファルト乳剤には、更に、粘着付与剤として、熱可塑性固形樹脂や固形状ゴム、液状樹脂、軟化剤、可塑剤などを添加することができる。添加される粘着付与剤としては、例えば、ロヂンとその誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂とその誘導体、アルキッド樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、クマロンインデン樹脂、合成テルペン樹脂、アルキレン樹脂、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリブデン、イソブチレンとブタジエンの共重合物、鉱油、プロセスオイル、パイン油、アントラセン油、松根油、動植物油、重合油、可塑剤等が挙げられる。また、老化防止剤や酸化防止剤、硫黄等も添加することができる。さらにまた、改質アスファルト乳剤の粘度調整の目的で、MC、CMC、HEC、PVA、ゼラチンなどの水溶性高分子保護コロイドを添加することも可能である。
【0029】
改質人工アスファルト乳剤中の人工アスファルトと、ゴム及び熱可塑性高分子重合物との配合割合は、人工アスファルト100重量部に対してゴム及び熱可塑性高分子重合物が、5〜20重量部の範囲である。ゴム及び熱可塑性高分子重合物の量が5重量部未満では、ゴムまたは熱可塑性高分子重合物の添加効果が薄く、一方、ゴム及び熱可塑性高分子重合物の量が20重量部を越えると、粘性が増大して良好な施工性が維持できなくなる傾向がある。
【0030】
また、これらの人工アスファルト乳剤または改質人工アスファルト乳剤には、耐熱性向上や、紫外線等による劣化防止、作業性向上、並びに接着性向上等の目的で、紫外線吸収剤や、各種添加剤、粘度調整剤、造膜助剤どを添加しても良い。
【0031】
なお、上記のような人工アスファルト乳剤には、有機系及び/又は無機系の顔料を適宜加えて着色することも可能である。例えば、使用する骨材と同系統に着色した人工アスファルトを使用することによって、骨材の明色性を一層高めることも可能である。使用する無機系顔料としては、例えば、以下に示す顔料、即ち、
白色:二酸化チタン、酸化亜鉛、鉛白
黒色:鉄黒、黒鉛、カーボンブラック
赤色:カドミウムレッド
橙色:モリブデンオレンジ
黄色:水酸化第二鉄、酸化黄、黄鉛
緑色:酸化クロム、クロムグリーン
青色:群青、紺青、コバルトブルー
紫色:マンガンバイオレット
などが挙げられる。
【0032】
また、有機系の顔料としては、
赤色:ウオッチングレッド、キナクリドンレッド
橙色:パーマネントオレンジ
黄色:ファストイエロー
緑色:フタロシアニングリーン
青色:フタロシアニンブルー
紫色:ジオキサジンバイオレット
などが挙げられる。
【0033】
これらの顔料は、1種又は2種以上を組み合わせて併用しても良い。また、これら顔料の使用量は、人工アスファルト100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは、3〜8重量部である。
【0034】
上記のような人工アスファルト乳剤であれば、本発明において被覆層の構築に使用することができるものであるが、被覆層の構築に使用する人工アスファルト乳剤は、好ましくは、蒸発残留物が40〜70重量%であり、その蒸発残留物が、
a)針入度が5〜60(1/10mm)、
b)軟化点が40〜80℃、
という特性を有するものである場合には、尚一層、骨材の飛散防止に効果があり、更には、蒸発残留物が50〜68重量%であり、その蒸発残留物が、
a’)針入度が10〜40(1/10mm)、
b’)軟化点が50〜70℃、
である場合には、更に一層、骨材の飛散防止に効果があるものである。
【0035】
すなわち、蒸発残留物が40重量%未満では、決して使用できないという訳ではないが、被覆層の構成材料として必要な粘弾性を得ることが難しく、一方、蒸発残留物が70重量%超では、これも決して使用できないという訳ではないが、良好な施工性を確保しづらいという不都合がある。また、蒸発残留物の針入度が5(1/10mm)未満では、人工アスファルト乳剤の分解後の人工アスファルトが硬くなり過ぎて好ましくなく、逆に針入度が60(1/10mm)超では、人工アスファルト乳剤が分解後、被覆層上を車両が通行すると、車両タイヤ等に分解後の乳剤や更には骨材などが付着し、施工面を汚してしまうだけでなく、表面処理層の破損を招く恐れがある。更に、蒸発残留物の軟化点が40℃未満では、人工アスファルト乳剤の分解後の人工アスファルトが、夏季等の高温下の路面においてフラッシュ現象を起こし易く、べたつき易いので好ましくなく、逆に軟化点が80℃超では、人工アスファルト乳剤の分解後の人工アスファルトに柔軟性が不足して好ましくない。
【0036】
〈結合材〉
本発明において使用する結合材としては、或る程度の接着力、粘着力で骨材を路面或いは骨材層面につなぎ止めることができるものであれば、どのような材料を使用しても良く、上述の人工アスファルト乳剤或いは人工アスファルトに加えて、通常結合材として使用されている瀝青系材料や、樹脂系材料なども使用することができる。
【0037】
本発明で使用される瀝青系材料としては、アスファルト、アスファルト乳剤、舗装タール、カットバックアスファルト等が挙げられ、アスファルトとしては、レーキアスファルト等の天然アスファルト、ストレートアスファルト、ブローンアスファルト、セミブローンアスファルト、溶剤脱瀝アスファルト(例えば、プロパン脱瀝アスファルト)等の石油アスファルトが使用される。これらのアスファルトは単独で使用しても、2種以上を混合して使用しても良い。また、これらのアスファルトを、上記の人工アスファルトと同様に改質や乳化して、改質アスファルト、アスファルト乳剤、或いは改質アスファルト乳剤として使用しても良い。
【0038】
一方、樹脂系材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、変性エポキシ樹脂、変性ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタアクリレート樹脂、ポリウレタン変性アクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂等を用いることができる。
【0039】
変性エポキシ樹脂とは、例えば、アスファルト、タール、重質油、プロセスオイル、液状樹脂、液状ポリブタジエンなどで変性したエポキシ樹脂である。この変性エポキシ樹脂は2液型であって、ポリアミン、ポリアミド、無水有機酸などの硬化剤を必要とし、エポキシ樹脂の変性剤は、樹脂側、硬化剤側、或いはその双方に入れても良い。
【0040】
変性ポリウレタン樹脂は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との2液型のものであって、変性は、ポリオール成分にアスファルト、タール、重質油、プロセスオイル、液性樹脂等を添加することによって行う。このように、エポキシ樹脂やポリウレタン樹脂と同じく、変性エポキシ樹脂や変性ポリウレタン樹脂も2液型のものであり、2液を一定比率にて混合すると2成分が反応硬化して強靱な結合力を発揮することとなる。
【0041】
各種樹脂成分と硬化剤との配合割合は、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、変性エポキシ樹脂、及び、変性ポリウレタン樹脂の場合についていえば、樹脂成分100重量部に対して、硬化剤は50〜100重量部の割合が好ましい。また、ポリエステル樹脂やアクリレート樹脂の場合には、樹脂成分100重量部に対して硬化剤は1〜5重量部程度が好ましい。
【0042】
上記のような樹脂は、乳化剤の作用によってコロイド状に水中に分散したラテックスとして使用することも可能である。上記のような樹脂のラテックスは、例えば相当するモノマーを乳化重合させることによって製造することができる。樹脂をラテックスとして使用する場合には、樹脂をアスファルト乳剤などと同様に散布することが容易となり、施工性が向上するという利点がある。
【0043】
また、上記のような樹脂には、上述したような有機系及び/又は無機系の顔料を適宜加えて着色することも可能である。例えば、使用する骨材と同系統に着色した樹脂を使用することによって、骨材の明色性を一層高めることも可能である。
【0044】
本発明の被覆層を有する散布式表面処理工法は、被覆層を有することによって特殊な結合材を用いなくても骨材の飛散を十分に防止するものであるが、結合材として瀝青系材料或いは人工アスファルト、人工アスファルト乳剤を用いる場合には、例えば、同じ出願人による特開2000−170103号に開示したように、結合材若しくは結合材中の蒸発残留物が、以下のa)〜d)に示す特性、即ち、
a)針入度が50〜150(1/10mm)、
b)軟化点が50〜120℃、
c)25℃におけるタフネスが70〜320kgf・cm、
d)25℃におけるテナシティが30〜300kgf・cm、
を有するもの、望ましくは、以下のa’)〜d’)に示す特性、即ち、
a’)針入度が70〜125(1/10mm)、
b’)軟化点が55〜100℃、
c’)25℃におけるタフネスが90〜250kgf・cm、
d’)25℃におけるテナシティが50〜220kgf・cm、
を有するもの、更に望ましくは、以下のa’’)〜d’’)に示す特性、即ち、
a’’)針入度が90〜120(1/10mm)、
b’’)軟化点が60〜80℃、
c’’)25℃におけるタフネスが100〜200kgf・cm、
d’’)25℃におけるテナシティが70〜180kgf・cm、
を有するものを使用する場合には、骨材の飛散防止効果が更に向上するという利点がある。
【0045】
ここで、針入度及び軟化点はJISK2207に規定されるものであり、タフネス及びテナシティは「舗装試験法便覧」、社団法人日本道路協会、平成7年6月10日発行、第456〜461頁の「タフネス・テナシティ試験方法」に基づいて測定されるものである。
【0046】
本発明の被覆層を有する散布式表面処理工法は、上記のように、被覆層を有することによって特殊な結合材を用いなくても骨材の飛散を十分に防止するものであるが、結合材として瀝青系材料或いは人工アスファルト乳剤を用いる場合には、例えば、同じ出願人による特開2000−170103号に開示したように、結合材若しくは結合材中の蒸発残留物の60℃における絶対粘度が約15000ポアズ(poise)以上のものを使用すれば、凹凸や変形の激しい路面上に結合材を散布する場合でも、散布された結合材が路面の傾斜に沿って流れて路面上における結合材の膜厚が無闇に不均一になることがなく、均一で安定した結合力を得ることができるので、より一層有利である。ここで、絶対粘度は、「舗装試験法便覧」、社団法人日本道路協会、平成7年6月10日発行、第398〜402頁に記載された粘度試験方法に基づいて測定される値である。
【0047】
更に、本発明の被覆層を有する散布式表面処理工法は、上記のように、被覆層を有することによって特殊な結合材を用いなくても骨材の飛散を十分に防止するものであるが、結合材としてアスファルト乳剤或いは人工アスファルト乳剤を使用する場合には、例えば、同じ出願人による特開2000−170103号に開示したように、20℃における粘度が約40センチポアズ以上であることが望ましい。結合材としてアスファルト乳剤を使用する場合、20℃における粘度が約40センチポアズ以上のアスファルト乳剤を使用すれば、凹凸や変形の激しい路面上に結合材を散布して表面処理層を構築する場合でも、散布された結合材が散布直後から路面の傾斜に沿って流動して路面上における結合材の膜厚が不均一になることがなく、均一で安定した結合力を備えた表面処理層を構築することができるので、より一層有利である。ここで、粘度は、「舗装試験法便覧別冊(暫定試験方法)」、社団法人日本道路協会編集、丸善株式会社、平成8年10月20日発行、第69〜74頁に記載された粘度試験方法に準じて測定される値である。
【0048】
〈骨材〉
本発明で結合材上に散布される骨材とは、社団法人日本道路協会発行の「アスファルト舗装要綱」に記載されている舗装用の骨材であればどのようなものでも使用でき、例えば、砕石、玉石、砂利、鉄鋼スラグ等である。また、これらの骨材にアスファルトを被覆したアスファルト被覆骨材および再生骨材なども使用できる。その他、これに類似する粒状材料で、人工焼成骨材、焼成発泡骨材、人工軽量骨材、陶磁器粒、ルクソバイト、アルミニウム粒、プラスチック粒、セラミックス、エメリー、下水汚泥焼却粒状材料等も使用することができる。
【0049】
本発明で使用する骨材にアスファルト等を被覆する場合には、被覆するに必要なアスファルトの量は、0.1〜1.5重量%程度の範囲である。ポーラスな骨材の場合には、上記範囲の中でも多い方の量となり、非ポーラスな骨材においては、上記範囲の中でも少ない方の量となる。被覆に使用するアスファルト等としては、アスファルト、アスファルト乳剤、及び、これらをゴムやポリマーなどで改質した改質アスファルト、改質アスファルト乳剤なども使用される。また、ケロシン等で噴霧被覆された骨材を使用しても良い。
【0050】
なお、本発明において、表面処理層を単層に構築する場合に使用する骨材、或いは複層に構築する場合には最下層の構築に使用する骨材としては、同じく、同じ出願人による特開2000−170103号に開示したように、骨材の最小粒径がふるいの目開きの呼び寸法で10mm未満の場合には、最小粒径と最大粒径との差がふるいの目開きの呼び寸法で2mm以上、5mm未満の骨材を、また、最小粒径がふるいの目開きの呼び寸法で10mm以上の場合には、最小粒径と最大粒径との差がふるいの目開きの呼び寸法で3mm超、6mm以下であるのが望ましい。なお、本明細書で言う「ふるいの目開きの呼び寸法」とは、ふるいを呼び表すときに慣用されている呼び寸法であって、JIS Z8801に定められている網ふるいの目開きの基準寸法とは、表1に示すような対応関係にある。
【0051】
【表1】
【0052】
即ち、本明細書で、骨材の最小粒径がふるいの目開きの呼び寸法で10mm未満とは、その骨材がJIS Z8801で規定する網ふるいの目開きの基準寸法が9.5mmのふるいを通過する骨材粒を含んでいることを意味し、骨材の最小粒径がふるいの目開きの呼び寸法で10mm以上とは、その骨材がJIS Z8801で規定する網ふるいの目開きの基準寸法が9.5mmのふるいを通過する骨材粒を含んでいないことを意味する。また、最小粒径と最大粒径との差がふるいの目開きの呼び寸法で2mm以上とは、最小粒径がふるいの目開きの呼び寸法で5mmの場合、その骨材の集団の最大粒径のものは、5mmよりも2mm以上大きな呼び寸法をもつふるい、即ち、7mmの呼び寸法をもつふるいを少なくとも通過する一方で、それよりも小さな6mmの呼び寸法をもつふるいを通過しなことを意味し、また、最小粒径と最大粒径との差がふるいの目開きの呼び寸法で5mm未満とは、最小粒径がふるいの目開きの呼び寸法で5mmの場合、その骨材の集団の最大粒径のものは、5mmよりも5mm未満の呼び寸法をもつふるい、即ち、8mmの呼び寸法をもつふるいを通過するということを意味する。同様に、最小粒径と最大粒径との差がふるいの目開きの呼び寸法で3mm超、6mm以下とは、最小粒径がふるいの目開きの呼び寸法で10mmの場合、その骨材の集団の最大粒径のものは、少なくとも、10mmよりも3mm大きな呼び寸法のふるい、即ち、呼び寸法13mmのふるいを通過せず、10mmよりも6mm大きな呼び寸法をもつふるい、即ち、呼び寸法16mmのふるいを通過するということを意味する。なお、ここで、ふるいを通過するとか、通過しないとか言うのは、いずれも実質的かつ常識的なレベルでの判断であり、部分的にダストのようなものがふるいを通過したり、特異的な粒がふるい上に残ったとしても、骨材の集団全体から見て無視できる場合には、それらのものはふるいを通過するしないの判断には影響を与えないものとする。
【0053】
なお、本発明において、表面処理層を単層に構築する場合に使用する骨材、或いは複層に構築する場合には最下層の構築に使用する骨材としては、上記のような粒度の条件に加えて、できれば最小粒径が5mm以上、最大粒径が20mm以下のものが好ましい。最小粒径が5mm未満では、骨材の粒径が小さ過ぎ、路面の凹凸やひび割れ等が有効にカバーされない恐れがある。また、散布した結合材が路面上に形成する結合材散布層の層厚に、骨材自身の敷き均し厚さが限りなく近づき、場合によると結合材の層厚よりも骨材の敷き均し厚が小さくなってフラッシュの原因の1つともなる。一方、最大粒径が20mmを越えると、車両の走行によって発生する交通騒音の増大や、施工後の路面が粗面になるばかりでなく、車両が表面処理層の上を走行することによって、骨材の飛散が生じる場合があり、好ましくない。
【0054】
また、最下層以外の層に使用される骨材としては、その粒度に特に制限がある訳ではないが、通常、その下の層に使用される骨材よりも小径の骨材を使用するのが望ましく、最上層には、細目砂、中目砂、そして粗目砂や粒径2.5〜5mm程度の7号砕石なども用いられる。
【0055】
次に、本発明の被覆層を有する散布式表面処理工法の施工方法について、主として表面処理層を単層に構築する場合を例にとり説明する。
【0056】
まず、施工路面をロードスイーパーで清掃した後、例えば、図1に示すように、路面1上に結合材2を散布或いは塗布する。結合材2がアスファルト乳剤或いは人工アスファルト乳剤である場合には、結合材を散布する前に、水を散布するようにしても良い。水は、アスファルト乳剤や人工アスファルト乳剤と路面との接着性やなじみ性を増強する効果があり、また、夏季には上昇した路面温度を下げる効果もある。結合材2の使用量は、骨材が路面に結合される限り特に制限はないが、人工アスファルト乳剤やアスファルト乳剤の場合には、通常、100m2当り60〜250リットルの範囲が好ましく、樹脂系材料の場合には、通常、100m2当り40〜200kgの範囲が好ましい。100m2当りの人工アスファルト乳剤或いはアスファルト乳剤の量が60リットル未満では、路面と骨材及び骨材と骨材間の結合力、接着力が不足する可能性があり、逆に、250リットルを越えると、フラッシュ現象の原因となる。また、100m2当りの樹脂系材料の量が40kg未満では、路面と骨材及び骨材と骨材間の結合力、接着力が不足する可能性があり、逆に、200kgを越えると、作業性が悪くなると同時に、養生時間が長くなって不都合である。結合材の量は、骨材の粒径に応じて変化し、一般には、粒径の大きな骨材を使用する場合ほど量は多くなる。
【0057】
結合材2の散布或いは塗布後、散布或いは塗布された結合材上に骨材3を散布する。骨材3の散布量は、100m2当り0.4〜2.5m3の範囲が好ましい。100m2当りの骨材の散布量が0.4m3未満であると、フラッシュ現象の原因となり、逆に、100m2当りの骨材量が2.5m3を越えると、余剰の骨材が浮石となって車両の通行を妨げるばかりでなく、歩行者にとっても歩行しづらい路面となる。また、骨材の散布量は、粒径の大きい骨材ほど多目に散布するのが望ましい。なお、骨材は、通常、常温で散布されるが、100〜170℃に加熱した状態で散布するようにしても良い。
【0058】
なお、以上のような結合材の散布或いは塗布と骨材の散布は、人力によって行っても良く、骨材スプレッダーや結合材散布スプレーヤーなどの各種散布機等を用いて行っても良いが、結合材の散布或いは塗布と骨材の散布とは、できるだけ、一定の短い時間間隔で行われるのが望ましく、結合材の散布と骨材の散布とを一定の短い時間間隔で行うことを容易に可能にする作業車としては、例えば、同じ出願人による特開平11−350413号公報、特開平11−350414号公報、特開平11−350415号公報、特開2000−45217号公報、特開2000−45218号公報に開示されたような作業車が挙げられる。これら公報に開示された作業車においては、結合材の散布装置と骨材の散布位置とが、共に、作業車の前輪より前、前輪と後輪の間、或いは、後輪よりも後ろになるように配置されており、結合材が散布された上に直ちに骨材が散布されるので、作業車のタイヤ若しくはクローラーが散布された結合材上を踏むことがなく、一旦散布された結合材が剥離したり、タイヤ等に付着して他の路面等を汚す恐れがない。しかも、上記明細書に開示されたような作業車にあっては、結合材の散布装置と骨材の散布装置とが共に単一の作業車上に搭載され、それぞれの散布が行われるので、結合材の散布から骨材の散布までを一貫した作業として管理、施工することができ、均一で耐久性に富む安定した表面処理層を構築することが可能である。また、これらの作業車には水の散布装置を搭載したり、後述する被覆層構築用の人工アスファルト乳剤の散布装置を搭載することも可能である。
【0059】
骨材3の散布後、散布面から余剰に散布された骨材を除去した後、タイヤローラーやスチールローラーなどを用いて骨材3の散布面を転圧する。転圧した状態では、路面1と結合材2と骨材3とは、例えば図2に示すように、骨材3が結合材2によって路面1上に結合された状態になっている。次いで、骨材3の転圧面上に人工アスファルト乳剤を散布して、図3に示すように、骨材3の層上に人工アスファルト乳剤の被覆層4を形成する。骨材3の散布から人工アスファルト乳剤の散布までの間には30〜60分程度の時間を開けるのが望ましい。人工アスファルト乳剤の散布は、一本撒きのエンジンスプレヤーや、場合によってはディストリビューターや、或いは、上述した作業車などを用いて行うことができる。散布される人工アスファルト乳剤の量は、100m2当たり40〜160リットル程度が好ましく、より好ましくは、100m2当たり60〜140リットル、更に好ましくは100m2当たり70〜120リットルである。なお、この人工アスファルト乳剤の散布量は、骨材粒径が小さいほど少なくなるものである。人工アスファルト乳剤の散布後、20〜50分程度の養生時間を経た後に、施工面は交通開放することができる。
【0060】
以上の説明は、路面上に結合材と骨材とを1回だけ散布或いは塗布して単層の表面処理層を構築する場合を例にとって行ったが、路面上に結合材と骨材とを2回以上散布或いは塗布して、複層の表面処理層を構築する場合には、結合材の散布或いは塗布と骨材の散布とを、散布或いは塗布する結合材や骨材の種類や量をその都度必要がある場合には変えながら、2回以上繰り返し、最後に、最上層の骨材の上に、人工アスファルト乳剤を散布して、被覆層を構築すれば良い。
【0061】
以下、実験例を用いて本発明を更に詳細に説明する。
【0062】
〈実験〉被覆層の有無と種類が骨材と路面との結合力に及ぼす影響
被覆層の有無と種類が、骨材と路面との結合力に及ぼす影響を調べるため、以下に述べる付着性試験をビアリット(Vialit)付着試験方法に準じて行った。すなわち、粒径8−5mmの砕石骨材を用意し、ビアリット付着試験方法に規定する条件で乾燥、静置した。
【0063】
一方、厚さ2mm、大きさ200×200mmの金属板を試料数だけ用意し、これに結合材として、以下に示す特性を有する人工アスファルト乳剤を、1.15(リットル/m2)となるように散布し、この散布面上に上記骨材を90粒散布した後、実験用ローラーで線圧7kgf/cmの負荷をかけて、相反する方向にそれぞれ15回ずつ、合計30回転圧した。続いて、別途用意した、以下に示す特性を有するA、B、C、3種の人工アスファルト乳剤を、それぞれ、各金属板毎に、1.1(リットル/m2)となるように散布して、骨材層上にそれぞれ異なる種類の人工アスファルト乳剤による被覆層を有する試料を作成した。一方、人工アスファルト乳剤による被覆層を構築しないこと以外は上記と同様にして、被覆層を有しない試料を作成した。使用した結合材、及び、人工アスファルト乳剤の特性は以下のとおりであった。
【0064】
結合材:人工アスファルト乳剤
蒸発残留物:61(重量%)
針入度:114(1/10mm)
軟化点:57(℃)
【0065】
人工アスファルト乳剤A(「テックコートA」、ニチレキ株式会社製)
蒸発残留物:60(重量%)
針入度:20(1/10mm)
軟化点:63(℃)
人工アスファルト乳剤B
蒸発残留物:60(重量%)
針入度:103(1/10mm)
軟化点:65(℃)
人工アスファルト乳剤C
蒸発残留物:60(重量%)
針入度:80(1/10mm)
軟化点:90(℃)
【0066】
上記各試料を所定時間静置した後、骨材の付着面を下にして水平に保持した状態で、その上から、直径50mm、重さ500gの鉄球を10秒以内に3回、金属板中央に落下させた。鉄球の落下によって金属板からはがれ落ちた骨材粒の内、結合材が付着していない骨材粒の数を数えてaとした。また、金属板に残った骨材を手で剥がし、結合材が付着していない骨材粒の数を数えてdとした。付着率(%)は、付着率(%)={(90−a−d)/90}×100として計算した。各々の試料について3回試験を行い、結果はその平均とした。結果を表2に示す。
【0067】
【表2】
【0068】
表2から明らかなように、被覆層がないものに比べて、被覆層を設けたものは、いずれも、骨材の付着率が高く、被覆層が骨材の飛散防止に有効であることが分かる。被覆層を有するものの間では、人工アスファルト乳剤Bを用いたものが人工アスファルト乳剤Aを用いたものよりも、付着率が若干上回ったが、被覆層の表面にはべたつき感があり、骨材の転圧に用いた実験用ローラーで被覆層表面に負荷を掛けたところ、実験用ローラーに人工アスファルト乳剤の分解物や骨材が付着し、表面処理層が一部破損する現象が見られた。これは、人工アスファルト乳剤Bの針入度が103(1/10mm)と高いためと考えられる。また、人工アスファルト乳剤Cを用いたものは、人工アスファルト乳剤Bを用いたものと同様に、被覆層の表面にはべたつき感があり、付着率にもそれほどの改善が見られなかった。これは、人工アスファルト乳剤Cの針入度が80(1/10mm)と高く、軟化点も90℃と高いため分解後の人工アスファルトに柔軟性が欠けるためと考えられる。一方、人工アスファルト乳剤Aを用いたものは、95%という高い付着率を示しながら、被覆層表面にはべたつき感もなく、実験用ローラーで被覆層表面に負荷を掛けたが、分解後の人工アスファルトの付着も、骨材の付着も認められなかった。
【0069】
以下、実施例を用いて、本発明を更に説明するが、本発明がこれら実施例に限られるものでないことは勿論である。
【0070】
〈実施例1〉
以下の材料を使用し、単一の作業車に水又はプライマーの散布装置、結合材散布装置、及び、骨材散布装置が搭載された作業車を用いて、試験的に本発明の散布式表面処理工法を施工した。すなわち、施工面上をロードスイーパーで清掃した後、作業車を約5km/hの進行速度で施工面上に進行させ、実験で結合材として使用したのと同じ人工アスファルト乳剤を80(リットル/100m2)の割合で散布した後、直ちに骨材(栃木県葛生産砕石、粒径8−5mm)を0.9(m3/100m2)の割合で散布した。続いて、マカダムローラーを用いて散布面を十分に転圧した後、余剰の浮き石を除去し、被覆層構築用の人工アスファルト乳剤として、実験で用いたアスファルト乳剤Aを100(リットル/100m2)の割合で散布して被覆層を形成し、被覆層を有する表面処理層を構築した。半日の養生後、重荷重積載車を試験的に30回通過させ、構築された表面処理層上で停止、発進を繰り返させたが、骨材の飛散は見られなかった。また、車両タイヤへの骨材の付着も認められなかった。
【0071】
〈実施例2〉
結合材として、以下に示すアスファルト乳剤を使用した以外は、実施例1と同様にして、被覆層を有する表面処理層を構築した。半日の養生後、重荷重積載車を試験的に30回通過させ、構築された表面処理層上で繰り返しカーブを切らせたが、骨材の飛散は見られなかった。また、車両タイヤへの骨材の付着も認められなかった。
【0072】
結合材として使用したアスファルト乳剤
アスファルト乳剤B(「サンピーゾールA」、ニチレキ株式会社製)
蒸発残留物:68(重量%)
針入度:103(1/10mm)
軟化点:65(℃)
25℃におけるタフネス:160(kgf・cm)
25℃におけるテナシティ:145(kgf・cm)
25℃における絶対粘度:16000(ポアズ)
20℃における粘度:42(センチポアズ)
【0073】
〈実施例3〉
1層目の表面処理層を構築後、結合材として、1層目の構築に使用したのと同じ人工アスファルト乳剤を、60(リットル/100m2)の割合で散布した後、直ちに骨材(栃木県葛生産砕石、粒径5−2.5mm)を0.7(m3/100m2)の割合で散布し、続いて、マカダムローラーを用いて散布面を十分に転圧した後、余剰の浮き石を除去し、被覆層構築用の人工アスファルト乳剤として、実施例1で被覆層の構築に用いたのと同じ人工アスファルト乳剤を90(リットル/100m2)の割合で散布して被覆層を形成した以外は、実施例1と同様にして、被覆層を有する2層の表面処理層を構築した。半日の養生後、重荷重積載車を試験的に30回通過させ、構築された表面処理層上で繰り返しカーブを切らせたが、骨材の飛散は見られなかった。また、車両タイヤへの骨材の付着も認められなかった。
【0074】
【発明の効果】
以上のように、本発明の被覆層を有する散布式表面処理工法は、結合材の散布または塗布と骨材の散布とを1回若しくは2回以上繰り返して構築した表面処理層上に、更に、人工アスファルト乳剤を散布して被覆層を構築する工程を含んでいるので、散布された骨材の路面からの剥離が有効に防止され、結合材として、通常の特性を有するものを使用しても、骨材の飛散が少ない、耐久性に優れた表面処理層を構築することができるものである。このように、本発明の被覆層を有する散布式表面処理工法においては、汎用の結合材を使用しながら、優れた耐久性を実現することができるので、散布式表面処理工法の汎用性を更に高め、豊かな道路環境の整備に極めて効果的であり、当該技術分野に新たな可能性をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 路面上に結合材と骨材とを散布した状態を示す図である。
【図2】 骨材の散布面を転圧した状態を示す図である。
【図3】 骨材層の上に被覆層を形成した状態を示す図である。
【符号の説明】
1 路面
2 結合材
3 骨材
4 被覆層
Claims (3)
- 路面上に結合材を散布又は塗布しその上から骨材を散布する工程を1回若しくは2回以上繰り返して路面上に単層または複層の表面処理層を構築する散布式表面処理工法において、散布された最上層の骨材層の上に、石油系配合油及び/又は潤滑油と粘着付与剤樹脂とを、重量百分率で、石油系配合油及び/又は潤滑油:粘着付与剤樹脂=(60〜85%):(40〜15%)の割合で配合した実質的に無色の人工アスファルトを乳化して乳剤とした人工アスファルト乳剤を散布して被覆層を形成する工程を含み、当該人工アスファルト乳剤中の蒸発残留物が50〜68重量%であり、その蒸発残留物が、以下のa)〜b)に示す特性を有するものである被覆層を有する散布式表面処理工法:
a)針入度が10〜40(1/10mm)、
b)軟化点が50〜70℃。 - 人工アスファルト乳剤が、有機系及び/又は無機系の顔料を加えることにより着色されている人工アスファルト乳剤である請求項1記載の被覆層を有する散布式表面処理工法。
- 請求項1または2に記載された被覆層を有する散布式表面処理工法によって構築された表面処理層を有する舗装体。
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