JP4675456B2 - 接着性の組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、人あるいは動物の骨、爪、歯などの硬質組織に対し、強力に接着するための硬質組織用の接着性の組成物に関する。さらに詳しくは、特に歯科治療において、歯牙と修復材料、特に歯科用ボンディング材、歯科用合着材、歯科用充填用コンポジットレジン、歯科用充填用コンポマー等のレジン材料とを接着するために使用する歯科用の接着性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
齲蝕等により損傷を受けた歯質の修復には、通常、充填用コンポジットレジン、充填用コンポマー等と呼ばれる充填修復材料が用いられるが、これらの充填修復材料自体には接着性がないため、従来、歯質表面をリン酸などの強力な酸エッチング剤によって処理を施した後に、ボンディング材を塗布して歯質と充填材料とを接着してきた。しかし、このような酸エッチング剤による処理方法では、処理後に強酸を十分取り除くために水洗操作が必要であり、さらに再び乾燥させるなど操作が煩雑であることが欠点とされている。また、酸エッチング剤を用いた接着システムではエナメル質への接着力は優れるが、象牙質に対しては高い接着力を得ることが難しいとされている。
【0003】
その対策として、特開昭62−223289号公報では、酸エッチング剤の代わりに、酸(酸性モノマー含む)と親水性モノマーからなるプライマーを歯質に処理した後、水洗操作を行わずしてボンディング材を適用させる接着システム、いわゆるセルフエッチング型プライマーを使用したボンディングシステムが提案されており、特に象牙質に対してある程度の接着性の改善がなされてきた。しかし、該プライマーは、親水性のモノマーを多く含むことから、モノマー成分が歯質に浸透し、重合硬化によって形成される層、いわゆる樹脂含浸層の耐水性が劣るため長期間に渡って高い接着性を維持することが困難である。また、該公報では接着試験片を45℃で5日間浸漬させる接着耐久性試験が開示されており、HEMA等の親水性モノマーを多く含有するプライマーを用いてもある程度の耐久性があることが示されている。しかしながら、このような耐久性試験にて接着強度が保持されるプライマーでも、臨床にて使用した場合、口腔内に長期間経過すると辺縁漏洩が生じ、脱落が生じる場合があり、更なる耐久性の改善が望まれている。
【0004】
また、特開平1−113057号公報には、水と水溶性の重合性単量体および酸の塩とから構成されるプライマーが提案されている。該公報では、酸の代わりに酸の塩を配合することによって象牙質に対する接着性を向上できることが記載されている。しかし、該公報には、セルフエッチング型プライマーにおいて最も重要であるエナメル質に対する接着強度に関する記載はなく、また、実施例に記載されているプライマーを用いてエナメル質に対する接着強度を測定した場合、接着強度が著しく劣っていた。従って、該プライマーからはエナメル質および象牙質の両方の硬質組織に対して強固に接着することのできるセルフエッチング型のプライマーを完成させるには至っていない。さらに、前述の特開昭62−223289号公報についても言及したように、該公報のプライマーについても、HEMA(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)等の親水性モノマーを多く含むことから、接着耐久性が劣るという本質的な問題は解決していない。
【0005】
また、特開平10−251115公報には、特定のリン酸モノマー、多価カルボン酸モノマーおよび水からなるプライマーが提案されており、HEMA等の親水性モノマーを配合せずとも高い歯質接着性能が得ることができるプライマーが開示されている。しかし、該公報のプライマーは、各成分を溶解し均一溶液するために必ず水溶性の有機溶剤が配合されており、水溶性の有機溶剤は必須成分であることは明らかである。また、水不溶性の酸性モノマーを水溶性の有機溶剤に溶解させたプライマーでは、歯質、特に水分を多く含む象牙質に浸透させようとしても、歯質中の組織液によって、該酸性モノマーは不溶化され、該酸性モノマーが十分に浸透あるいは拡散できない。そのため、接着強度が非常にばらつく欠点がある。更に、該公報の有機溶剤の中には、HEMAも記載されていることからも、該公報は、接着耐久性を改善する目的として提案されたものではないことは明らかである。また、該公報のプライマーを用いて接着耐久性試験を行ったが、接着強度がばらつき、接着強度も劣っていた。
【0006】
更に特開平6−93211号公報には、特定のリン酸エステル及び/又はその塩と水を含有するプライマーが開示されており、該組成物に使用すれば、金属、特にステンレスに対して優れた接着性、密着性が得られることが記載されている。しかしながら、該公報の実施例に記載されているプライマーを使用して、歯質に対する接着試験を実施しても高い接着性を得ることができす、特に熱サイクル負荷試験等の接着耐久性試験を行うと接着強度は著しく低下した。したがって、該公報のプライマーを歯牙の治療に使用するには必ずしも満足なものではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、硬質組織、特に歯質(エナメル質、象牙質、セメント質)とレジン材料、例えば、歯科用ボンディング材、歯科用レジンセメント、歯科用グラスアイオノマーセメント、充填用コンポジットレジン、充填用コンポマー等との接着性、特に水中での接着耐久性を向上させ得る硬質組織用の接着性の組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、開発当初、親水性の重合性単量体を必須成分としない接着性の優れた組成物を見出せば、上記の技術課題を解決できると考えた。しかし、従来の接着性組成物からただ単に親水性の重合性単量体を除いただけでは、接着性組成物の歯質への浸透性は低下し、優れた接着性を得ることができなかった。そこで、いかにして親水性の重合性単量体を使用せずに、接着性に優れる水不溶性の酸性基含有重合性単量体の歯質への浸透性を向上させ、優れた接着性を発現できる接着性組成物を提供することができるかという新たな課題に対して鋭意検討を行った。その結果、以下(1)〜(5)の条件を満足する接着性組成物が必要であると考えた。
(1)該接着性組成物の歯質接着性を十分に発揮させるには、接着性組成物が、切削器具、例えば、切削用タービン、切削用レーザー等によって歯質を切削する際に生じるスメアー層を脱灰できること。
(2)優れた歯質接着性、および接着耐久性を得るためには、耐水性の優れる水不溶性の酸性基含有重合性単量体を必須成分として含有すること。
(3)該水不溶性の酸性基含有重合性を、水分を含む歯質に容易に浸透させるには、この水不溶性の酸性基含有重合性単量体を水溶化する必要があり、また、水は必須成分として含有する必要があること。
(4)水溶化した酸性基含有重合性単量体が、歯質に対して接着性を有すること。
(5)水溶化した酸性基含有重合性単量体が、歯質中のハイドロキシアパタイト等と結合し、接着性組成物中に配合される重合触媒、あるいは接着性組成物の上に積層されるボンディング材、コンポジットレジン、レジンセメント等の硬化に伴い、重合硬化されること。
上記(1)〜(5)の要件を満足できるような接着性組成物を目指して、鋭意検討を重ねた結果、水不溶性の酸性基含有重合性単量体の優れた接着性能を保持した状態で水溶化する技術および特定の水溶化した酸性基含有重合性単量体を含有する水性の組成物により、従来の接着性組成物に比べ予想以上に接着耐久性を向上できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明は、(a)分子内に炭素数8〜25のアルキレン基、炭素数8〜25のアルキル基及び芳香族基から選ばれる炭化水素基を少なくとも一つ以上有し、25℃における水に対する溶解度が5%以下である水不溶性の酸性基含有重合性単量体、及び該酸性基含有重合性単量体と塩基性化合物とから形成される、25℃における水に対する溶解度が10%以上である水溶性の塩、並びに(b)水を含有してなる接着性の組成物であり、該接着性の組成物のpHが1.0〜6.0であり、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの含有量が10重量%以下であり、かつ透明な接着性の組成物である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に使用する水不溶性の酸性基含有重合性単量体とは、前述したように炭素数8〜20のアルキレン基、炭素数8〜20のアルキル基及び芳香族基から選ばれる炭化水素基を少なくとも一つ以上有し、リン酸基、ピロリン酸基、チオリン酸基、カルボン酸基またはスルホン酸基等の酸性基を有し、更にアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、スチレン基等の重合可能な不飽和基を有するものであり、25℃における水に対する溶解度が5%以下、より好ましくは1%以下のものが使用される。かかる水不溶性の酸性基含有重合性単量体の具体例として、以下のものが挙げられるが、なかでも、メタクリロイル基あるいはアクリロイル基を不飽和基として有するものが好ましく使用される。本発明においては(メタ)アクリルをもってメタクリルとアクリルの両者を包括的に表現する。
【0012】
リン酸基含有重合性単量体としては、例えば、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンホスフェート、9−(メタ)アクリロイルオキシノニルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジハイドロジェンホスフェート、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルジハイドロジェンホスフェート、16−(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルジハイドロジェンホスフェート、20−(メタ)アクリロイルオキシエイコシルジハイドロジェンホスフェート、ジ(メタ)アクリロイルオキシオクチルハイドロジェンホスフェート、ジ(メタ)アクリロイルオキシノニルハイドロジェンホスフェート、ジ(メタ)アクリロイルオキシデシルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル 2’−ブロモオクチルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルオクチルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルノニルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルデシルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルデシルハイドロジェンホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスホネート等。特開平3−294286号公報に記載されている(8−メタクリロキシ)オクチル−3−ホスホノプロピオネート、(9−メタクリロキシ)ノニル−3−ホスホノプロピオネート、(10−メタクリロキシ)デシル−3−ホスホノプロピオネート、(8−メタクリロキシ)オクチル−3−ホスホノアセテート、(10−メタクリロキシ)デシル−3−ホスホノアセテート等。特開昭62−281885号公報に記載されている2−メタクリロイルオキシエチル(4−メトキシフェニル)ハイドロジェンホスフェート、2−メタクリロイルオキシプロピル(4−メトキシフェニル)ハイドロジェンホスフェート等。更には、特開昭52−113089号公報、特開昭53−67740号公報、特開昭53−69494号公報、特開昭53−144939号公報、特開昭58−128393号公報、特開昭58−192891号公報に例示されている炭素数8〜20のアルキレン基、炭素数8〜20のアルキル基、又は芳香族基を含む水不溶性のリン酸基含有重合性単量体、およびこれらの酸塩化物が挙げられる。
【0013】
ピロリン酸基含有重合性単量体としては、例えば、ピロリン酸ジ(8−(メタ)アクリロイルオキシオクチル)、ピロリン酸ジ(9−(メタ)アクリロイルオキシノニル)、ピロリン酸ジ(10−(メタ)アクリロイルオキシデシル)、ピロリン酸ジ(12−(メタ)アクリロイルオキシドデシル)等、およびこれらの酸塩化物が挙げられる。チオリン酸基含有重合性単量体としては、例えば、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンジチオホスフェート、9−(メタ)アクリロイルオキシノニルジハイドロジェンジチオホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンチオホスフェート等、およびこれらの酸塩化物が挙げられる。
【0014】
カルボン酸基含有重合性単量体としては、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシオクチルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシデシルオキシカルボニルフタル酸、およびこれらの酸無水物。8−(メタ)アクリロイルアミノオクチルカルボン酸、9−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ノナンジカルボン酸、10−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−デカンジカルボン酸、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸等およびこれらの酸塩化物が挙げられる。
【0015】
スルホン酸基含有重合性単量体としては、例えば、8−(メタ)アクリルアミドオクチルスルホン酸、10−(メタ)アクリルアミドデシルスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸基を含有する化合物などを挙げることができる。なかでも、塩基性化合物と塩を形成して水溶化された後も酸性を示すような2価以上の酸性基含有重合性単量体が好適に使用される。なお、本発明において、2価以上の酸性基含有重合性単量体とは、分子中に酸性基を2つ以上有する重合性単量体や2価のリン酸基のような多価の酸性基を1つ以上有する重合性単量体を総称して呼び、一価の塩基性化合物を当モル配合しても酸性を示すものである。また、前述したリン酸基含有重合性単量体はエナメル質および象牙質に対しても優れた接着性、接着耐久性を示すので特によい。これらの特定の構造を有する水不溶性の酸性基含有重合性単量体は1種または数種組み合わせて用いられる。
【0016】
本発明においては、水不溶性の酸性基含有重合性単量体を塩基性化合物を用いて水溶性の塩にすることによって、歯質への浸透性を向上させ、接着強度を向上させ得ることができる。かかる塩基性化合物としては、該水不溶性の酸性基含有重合性単量体と塩を形成することによって、水溶性の塩を形成できるものが使用され、該酸性基含有重合性単量体の塩は、25℃における水に対する溶解度が10%以上を示すように塩基性化合物を選択するとよい。なお、該塩は、組成物中では、その大半が酸性基含有重合性単量体由来のアニオンと塩基性化合物由来のカチオンの状態として存在している。塩基性化合物の具体例としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物類、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、ギ酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、シュウ酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、亜リン酸二水素ナトリウム、亜リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム等のようなアルカリ金属とpKaが3以上の弱酸から形成される強塩基酸類およびアミン類等が挙げられる。
【0017】
かかるアミン類としては、第1級アミン類、第2級アミン類および第3級アミン類のいずれのアミン類でもよいが、本発明の水不溶性の酸性基含有重合性単量体の種類によって、選択が異なるものの、例えば、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、4−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、6−ジメチルアミノヘキシル(メタ)アクリレート、10−ジメチルアミノデシル(メタ)アクリレート、4−ジメチルアミノフェネチルアルコール、4−ジエチルアミノフェネチルアルコール、ジプロピルアミノフェネチルアルコール、N,N−(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、 N,N−(2−ヒドロキシプロピル)−P−トルイジン、ジエチル−p−トルイジン、ジプロピル−p−トルイジン、ジブチル−p−トルイジン、ジエトキシエチル−p−トルイジン、ジブトキシシエチル−p−トルイジン、ジ(ポリオキシエチレン)オキシエチル−p−トルイジン、ヘキサメチレンジアミン、ジメチルアミン水溶液、ペンタメチレンジアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、2−アミノエタノール、トリエチルアミン、2−ジメチルアミノエタノール等が好適に使用される。
【0018】
なかでも、2価の水不溶性のリン酸基含有重合性単量体である10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート(以下、MDPと略す)0.047モルと蒸留水85gからなるゲル状の組成物にアミンを0.047モル配合することによって、透明な水性の組成物が得られるようにアミンを選択するとよい。なお、透明な組成物とは、25℃において、肉眼的に透明であり、沈殿物、浮遊物あるいは濁りのないことを意味する。これらのアミンは、後で述べる重合開始剤、還元剤として使用されるアミンと同一の化合物も含まれるが、本発明者は、該触媒能を有するアミン類が、酸性基含有重合性単量体と塩を形成した後でも、重合開始能、還元能を発揮できることを確認している。これらの塩基性化合物は、1種または数種組み合わせて使用してもよい。
【0019】
これらの塩基性化合物の配合量は、水不溶性の酸性基含有重合性単量体を水溶化できる量であれば特に限定されないが、前述したように、切削用レーザー等によって歯質を切削する際に生じるスメアー層を脱灰させ、特にエナメル質への接着強度を高めるために、本発明の接着性組成物のpHを1.0〜6.0に調整する必要がある。また、接着性組成物のpHが6よりも大きくなる場合には、少量の酸をpH調整剤として配合し、pHを6以下になるように調整してもよい。かかるpH調整剤として使用される酸としては、無機酸、有機酸のいずれの酸でもよいが、歯質への為害性を考慮すると、酢酸、マレイン酸、クエン酸、メタクリル酸等の有機酸を配合することが望ましい。
【0020】
さらに、該pH調整剤として使用される酸は、本発明の接着性組成物に使用される水不溶性の酸性基含有重合性単量体よりもpKaが大きい酸を使用する必要がある。もし、水不溶性の酸性基含有重合性単量体よりもpKaが小さい酸を使用した場合には、水可溶性の該水不溶性の酸性基含有重合性単量体の塩と該pH調整剤として使用している酸とが塩交換し、水不溶性の酸性基含有重合性単量体が遊離し、透明な接着性組成物を得ることができない。また、これらのpH調整剤として使用される酸の大半は、水溶性であり、接着後に漏洩し、接着耐久性を低下させる場合があるため、可能な限り配合量を少なくすることが望ましく、通常、接着性組成物全体に対して10重量%以下、好ましくは5重量%以下で添加する必要がある。
【0021】
本発明の酸性基含有重合性単量体及びその塩の総含有量は、通常、接着性組成物全体に対して1重量%〜80重量%の範囲、より好ましくは5重量%〜50重量%の範囲、さらに好ましくは15重量%〜30重量%の範囲とするのがよい。1重量%よりも少ない場合や80重量%よりも多い場合には接着強度が低下する場合がある。なお、本発明の水不溶性の酸性基含有重合性単量体は、通常、組成物中に微量存在している。これらの存在量は、水不溶性の酸性基含有重合性単量体の水および酸性基含有重合性単量体の塩に対する溶解度によって支配される。
【0022】
本発明において接着性組成物に使用される水は、歯牙と修復材料との接着強度の発現に対して悪影響を及ぼす不純物を実質的に含有していないものを使用する必要があり、蒸留水またはイオン交換水が好適である。水の配合量は、接着性組成物全体に対し、通常、1重量%〜99重量%の範囲、好ましくは10重量%〜95重量%の範囲、さらに好ましくは30重量%〜90重量%の範囲で使用される。
【0023】
本発明において、接着性組成物は、歯面に塗布した後、歯科用エアーシリンジ等にて水を乾燥することにより極めて薄くさせる場合には、接着性組成物中に重合開始剤は必ずしも必要ではないが、接着性組成物を乾燥する際、術者が接着性組成物を極端に多く残してしまった場合等には、硬化性が低下し、接着強度が低下する恐れがあるため、接着性組成物に重合開始剤を配合した方がより望ましい。重合開始剤としては、公知の光重合開始剤及び/又は化学重合開始剤を配合することができる。光重合開始剤としては、例えば、α−ジケトン類、ケタール類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキサイド類、クマリン類、ハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体等が挙げられる。
【0024】
α−ジケトン類の例としては、カンファーキノン、ベンジル、2,3−ペンタンジオンなどが挙げられる。ケタール類の例としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等が挙げられる。チオキサントン類の例としては、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。アシルホスフィンオキサイド類の例としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネート、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイドおよび2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸塩や特公平3−57916号公報に開示されている水溶性のアシルホスフィンオキサイド化合物等が挙げられる。
【0025】
クマリン類としては、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−チェノイルクマリン等の特開平10−245525号公報に記載されている化合物が挙げられる。ハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等の特開平10−245525号公報に記載されている化合物が挙げられる。また、紫外線照射による光重合を行う場合は、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール等が好適である。これらの光重合開始剤は、1種または数種組み合わせて用いられる。これらの光重合開始剤の配合量は、接着性組成物に対して通常0.01重量%〜5重量%の範囲、より好ましくは0.1〜1重量%の範囲で使用される。
【0026】
これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいが、より光硬化性を促進させる目的として、還元剤と併用して用いるのが一般的である。かかる還元剤としては、主として第3級アミン類、アルデヒド類、チオール基を有する化合物などが挙げられる。第3級アミンの例としては、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕−N−メチルアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチル、N−メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。アルデヒド類の例としては、ジメチルアミノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド等が挙げられる。チオール基を有する化合物の例としては、2−メルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、チオ安息香酸等。これらの還元剤は、1種または数種組み合わせて用いられる。これらの還元剤の配合量は、接着性組成物に対して、通常、0.01重量%〜5重量%の範囲、より好ましくは0.05重量%〜3重量%の範囲、さらに好ましくは0.1重量%〜1重量%の範囲で使用される。
【0027】
化学重合開始剤としては、例えば、酸化剤と還元剤よりなるレドックス系の重合開始剤が好適に用いられる。レドックス系の重合開始剤を使用する場合、本発明の接着性組成物は2分割以上の包装形態をとる必要がある。しかし、本発明の接着性組成物は、他の修復材料、例えば、歯科用ボンディング材、コンポジットレジン、コンポマー、義歯床用レジン、レジンセメント、レジン強化型グラスアイオノマーセメントなどと組み合わせて使用する場合、その修復物中に酸化剤および還元剤の少なくとも一方を配合し、本発明の接着性組成物に酸化剤および還元剤のいずれか一方のみを配合して、一つの包装形態をとることもできる。
【0028】
酸化剤としては、例えば、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類などの有機過酸化物も配合することが可能であり、具体的には、ジアシルパーオキサイド類としてはベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド等が挙げられる。パーオキシエステル類としては、例えば、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等が挙げられる。ジアルキルパーオキサイド類としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。パーオキシケタール類としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。ケトンパーオキサイド類としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド等が挙げられる。ハイドロパーオキサイド類としては、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、p−ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド等が挙げられる。
【0029】
還元剤としては、芳香族第3級アミン、脂肪族第3級アミンおよびスルフィン酸またはその塩などが好適な還元剤として使用される。芳香族第3級アミンとしては、例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−i−プロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−3,5−ジt−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチルアニリン、 N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−i−プロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−i−プロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、4−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(2−メタクリロイルオキシ)エチル等が挙げられる。
【0030】
脂肪族第3級アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、(2−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミンジメタクリレート、N−エチルジエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリレート等が挙げられる。
【0031】
スルフィン酸またはその塩としては、例えば、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、トルエンスルフィン酸、トルエンスルフィン酸ナトリウム、トルエンスルフィン酸カリウム、トルエンスルフィン酸カルシウム、トルエンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−イソプロピルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カルシウム等が挙げられる。これらの酸化剤および還元剤は、1種または数種組み合わせて用いられる。また、これらの酸化剤および還元剤の配合量は、接着性組成物に対して通常0.01重量%〜10重量%の範囲、より好ましくは0.05〜5重量%の範囲、さらに好ましくは0.1〜3重量%の範囲で使用される。
【0032】
本発明の接着性組成物には、硬化特性、機械的強度を向上させる目的で、疎水性の重合性単量体を配合することもできる。かかる疎水性の重合性単量体としては、25℃における水に対する溶解度が5%以下、より好ましくは1%以下である重合性単量体が好適に使用され、α−シアノアクリル酸、(メタ)アクリル酸、α−ハロゲン化アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸等のエステル類、(メタ)アクリルアミド、および(メタ)アクリルアミド誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、モノ−N−ビニル誘導体、スチレン誘導体等が挙げられる。なかでも(メタ)アクリル酸エステルが好適に用いられ、例を以下に示す。
【0033】
本発明においては、一つのオレフィン性二重結合を有する単量体を一官能性単量体とする。
(イ)一官能性単量体
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン等。
【0034】
(ロ)二官能性単量体
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス[4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン、1,2−ビス〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕エタン、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレート等。
【0035】
(ハ)三官能性基以上の単量体
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート、1,7−ジアクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラアクリロイルオキシメチル−4−オキシヘプタン等。これらの疎水性の重合性単量体は1種類または数種類の組み合わせで用いられる。これらの疎水性の重合性単量体の配合量は、接着性組成物全体に対して、通常、30重量%以下、好ましくは20重量%以下の範囲で使用される。30重量%を越える場合には、象牙質に対する接着強度が低下する傾向にある。
【0036】
更に、前述の重合開始剤および疎水性の重合性単量体の溶解性を補助する目的として少量の水溶性の揮発性有機溶剤を配合してもよい。かかる水溶性の揮発性有機溶剤としては、通常、常圧の沸点が150℃以下、より好ましくは、100℃以下の揮発性有機溶剤が使用され、例えば、エタノール、メタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン等が好適に使用される。これらの水溶性の揮発性有機溶剤は、1種または数種組み合わせて用いてもよい。これらの水溶性の揮発性有機溶剤の配合量は、接着性組成物全体に対して、通常、20重量%以下、好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下の範囲で使用される。20重量%より多くなると象牙質に対する接着性のバラツキが大きくなる。また、接着性組成物に配合されたこれらの水溶性の揮発性溶剤は、接着性を損なわないように、接着性組成物を歯質に塗布した後、歯科用のエアーシンリンジ等にて蒸散させることが望ましい。
【0037】
更に、本発明の接着性組成物には、所望に応じて、重合禁止剤、着色剤、蛍光剤、紫外線吸収剤などを添加してもよい。また、重合開始剤や疎水性の重合性単量体を溶解性を補助する目的として、HEMAや3−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の親水性の重合性単量体を少量配合しても良いが、接着耐久性の低下を引き起こさないように、接着性組成物全体に対して、10重量%以下、より好ましく5重量%以下に配合量を制限する必要がある。また、抗菌性を付与する目的で、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルピリジニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシデシルアンモニウムクロライド等のカチオン性基を有する抗菌性重合性単量体を配合してもよい。また、耐酸性を付与する目的として、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、セチルアミンフッ化水素酸塩等のフッ素イオンを放出する公知のフッ素化合物を配合してもよい。
【0038】
更には、塗布性、流動性及び機械的強度等を調整するために、フィラーを配合することができる。かかるフィラーとしては、無機系あるいは有機物及びこれらの複合体が用いられる。無機系フィラーとしては、シリカあるいはカオリン、クレー、雲母、マイカなどのシリカを基材とする鉱物、シリカを基材とし、Al2O3、B2O3、TiO2、ZrO2、BaO、La2O3、SrO2、CaO、P2O5等を含有するセラミックスやガラスの類、特にランタンガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ソーダガラス、リチウムボロシリケートガラス、亜鉛ガラス、フルオロアルミナムボロシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、バイオガラス等が挙げられる。さらには結晶石英、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、酸化チタン、酸化イットリウム、ジルコニア、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム等も好適に用いられる。有機物のフィラーとしては、ポリメチルメタクリレート、多官能メタクリレートの重合体、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等の有機樹脂が挙げられる。また、これらの有機樹脂中に無機フィラーが分散したり、無機フィラーを上記有機樹脂でコーティングして無機/有機複合フィラー等も挙げられる。
【0039】
これらのフィラーは、分散性、機械的強度等をより向上させるために、必要に応じてシランカップリング剤等の公知の表面処理剤で予め表面処理してから用いてもよい。かかる表面処理剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらのフィラーは、単独または数種類を組み合わせて配合され、接着性組成物全体に対して、通常、30重量%以下、好ましくは10重量%以下で添加される。30重量%よりも多くなると接着強度が低下する場合がある。また、これらのフィラーの平均粒径0.001〜0.1μmのコロイダルシリカが好ましく使用される。なお、これらのフィラーを配合すると組成物が白濁するなどして透明でなくなることがある。しかしながら、本発明の特徴は、接着性に優れる水不溶性の酸性基含有重合性単量体を水溶化することにあり、前記した水不溶性の酸性基含有重合性単量体(a)及び水(b)を含有する組成物が実質的に透明であれば問題ない。
【0040】
本発明の接着性の組成物を調製するには、(a)分子内に炭素鎖8〜25のアルキレン基、炭素鎖8〜25のアルキル基及び芳香族基から選ばれる炭化水素基を少なくとも一つ以上有する水不溶性の酸性基含有重合性単量体、(b)該酸性基含有重合性単量体と可溶性の塩を形成する塩基性化合物、及び(c)水とを混合してpHを1.0〜6.0とすればよく、こうして得られた組成物は実質的に透明である。なお、実質的に透明であるとは、肉眼観察により、濁りが認められない状態をいう。
【0041】
本発明の接着性組成物は、通常、歯科用ボンディング材、レジンセメント、グラスアイオノマーセメント、リン酸亜鉛セメント、ポリカルボキシレートセメント、シリケートセメントなどの接着材料を歯質に接着する場合、その前処理剤として歯質に塗布して使用される。また、これらの接着材料を使用せずに、本発明の接着性組成物を歯質に塗布し、必要に応じて光照射器にて光硬化させた後、直ちに充填用コンポマー、充填用コンポジットレジン等の充填用修復材料を硬化させることもできる。この場合、本発明の接着性組成物は接着剤として機能する。さらには、小窩裂溝へ適用されるフィッシャーシーラント材、根面および隣接歯部分のコーティング材、知覚過敏を抑制する目的として象牙細管封鎖材およびそれらの接着剤としても使用できる。
【0042】
本発明の接着性組成物は、歯質のみならず、金属、陶材、コンポジット硬化物などの歯冠修復材料に対しても使用することができ、さらに、市販の歯科用金属プライマー、陶材接着用のプライマー、酸エッチング剤、次塩素酸塩等の歯面清掃剤と組み合わせて使用してもよい。以下に、本発明の好ましい実施の形態を説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではない。なお、略称・略号については次の通りである。
【0043】
酸性基を有する重合性単量体
【0044】
【化1】
【0045】
塩基性化合物
NaOH:水酸化ナトリウム
KHCO3:炭酸水素カリウム
Na2CO3:炭酸ナトリウム
CaCO3:炭酸カルシウム
DET:ジエチル−p−トルイジン
DMAP:4−ジメチルアミノフェネチルアルコール
DMABAE:4−ジメチルアミノ安息香酸エチル
親水性の重合性単量体
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
重合開始剤、還元剤
CQ:カンファーキノン
TMPN:2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸ナトリウム
DMAEMA:ジメチルアミノエチルメタクリレート
DMAB:4−ジメチルアミノベンゾフェノン
重合禁止剤
BHT:t−ブチルヒドロキシトルエン
重合性単量体
Bis−GMA:ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート
UDMA:[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレート
【0046】
【実施例】
実施例1
MDP(15g:0.047モル)、蒸留水(85g) およびNaOH(1.9g:0.047モル)を混合して、MDPのナトリウム塩を含有する、透明な水性の接着性組成物を調製した。また、Bis−GMA(65重量部)、HEMA(35重量部)、CQ(1重量部)およびDMAB(1重量部)からなるボンディング材を調製した。この接着性組成物およびボンディング材を用いて、後述の接着力試験方法に従って接着強度を測定し、測定結果を表1に併記した。
【0047】
接着力試験方法
ウシの前歯を#1000シリコン・カーバイド紙(日本研紙(株)製)で平滑に湿潤研磨して、エナメル質表面または象牙質表面を露出させた後、表面の水を歯科用エアーシリンジで吹き飛ばした。露出したエナメル質表面または象牙質表面に直径3mmの穴を開けた厚さ約150ミクロンの粘着テープを貼り、穴の部分に接着性組成物を筆で塗布し、そのまま30秒間放置した後、エアーシリンジで接着性組成物の流動性がなくなるまで乾燥させた。その上に、ボンディング材を筆で約100ミクロンの厚さに塗布し、歯科用光照射器「ライテルII」(群馬牛尾電気(株)製)にて20秒間光照射を行い、硬化させた。さらに、その上に市販の光重合型歯科用コンポジットレジン「クリアフィルAP−X」((株)クラレ製)をのせ、エバール(登録商標、(株)クラレ製)からなるフィルムをかぶせた後、スライドガラスを上から押しつけ、かかる状態で上記光照射器にて40秒間光照射を行い、硬化させた。この硬化面に対して、市販の歯科用レジンセメント「パナビア21」((株)クラレ製)を用いてステンレス棒を接着し、30分間後に試験片を37℃の水中に浸漬し、24時間浸漬後に接着強度を測定した。また、別の試験片に対しては、37℃水中に365日間浸漬後に接着強度を測定した。更に、別の試験片については、37℃水中に24時間浸漬後に、4℃の冷水中と60℃の温水中に各1分間ずつ浸漬する熱サイクルを30000回負荷させた後に接着強度を測定した。接着強度の測定には、万能試験機(インストロン製)を用い、クロス・ヘッドスピード2mm/minの条件で引張接着強度を測定した。各接着強度の測定値は、8個の試験片の測定値の平均値で示した。
【0048】
実施例2
MDP(15g:0.047モル)、蒸留水(85g)およびDMAP(7.7g:0.047モル)を混合して、MDPのDMAP塩を含有する、透明な水性の接着性組成物を調製した。この接着性組成物と実施例1で使用したボンディング材を用いて実施例1と同様な接着力試験方法にて接着強度を測定し、それぞれ表1に測定結果を示した。
【0049】
実施例3
MDP(15g:0.047モル)、蒸留水(85g)およびNa2CO3(2.5g:0.024モル)を混合して、MDPのナトリウム塩を含有する、透明な水性の接着性組成物を調製した。この接着性組成物と実施例1で使用したボンディング材を用いて実施例1と同様な接着力試験方法にて接着強度を測定し、それぞれ表1に測定結果を示した。
【0050】
比較例1
MDP(15g:0.047モル)および蒸留水(85g)からなる接着性組成物を調製した。この接着性組成物と実施例1で使用したボンディング材を用いて実施例1と同様な接着力試験方法にて接着強度を測定し、それぞれ表1に測定結果を示した。
【0051】
比較例2
MDP(15g:0.047モル)、蒸留水(42.5g)およびエタノール(42.5g)からなる接着性組成物を調製した。この接着性組成物と実施例1で使用したボンディング材を用いて実施例1と同様な接着力試験方法にて接着強度を測定し、それぞれ表1に測定結果を示した。
【0052】
比較例3
MDP(15g:0.047モル)、蒸留水(42.5g)およびHEMA(42.5g)からなる接着性組成物を調製した。この接着性組成物と実施例1で使用したボンディング材を用いて実施例1と同様な接着力試験方法にて接着強度を測定し、それぞれ表1に測定結果を示した。
【0053】
比較例4
MDP(15g:0.047モル)、 蒸留水(85g)およびCaCO3(2.3g:0.023モル)を混合して、MDPのカルシウム塩を含有する接着性組成物を調製した。この接着性組成物と実施例1で使用したボンディング材を用いて実施例1と同様な接着力試験方法にて接着強度を測定し、それぞれ表1に測定結果を示した。
【0054】
比較例5
MDP(15g:0.047モル)、 蒸留水(85g)およびDMABAE(9.0g:0.047モル)からなる接着性組成物を調製した。この接着性組成物と実施例1で使用したボンディング材を用いて実施例1と同様な接着力試験方法にて接着強度を測定し、それぞれ表1に測定結果を示した。
【0055】
比較例6
マレイン酸(5.4g:0.047モル)、蒸留水(94.6g)およびDMAP(7.7g:0.047モル)を混合して、接着性組成物を調製した。この接着性組成物と実施例1で使用したボンディング材を用いて実施例1と同様な接着力試験方法にて接着強度を測定し、それぞれ表1に測定結果を示した。
【0056】
比較例7
MEP(9.8g:0.047モル)、蒸留水(90.2g)およびDMAP(7.7g:0.047モル)を混合して、接着性組成物を調製した。この接着性組成物と実施例1で使用したボンディング材を用いて実施例1と同様な接着力試験方法にて接着強度を測定し、それぞれ表1に測定結果を示した。
【0057】
【表1】
【0058】
表1から明らかなように、水不溶性の酸性基含有重合性単量体(MDP)、塩基性化合物および蒸留水を混合して得られる透明な接着性組成物を使用した場合、エナメル質および象牙質のいずれに対しても高い接着性を示し、また、接着耐久性にも優れていた(実施例1〜3)。これに対し、塩基性化合物を配合しなかった接着性組成物を使用した場合、歯質に対する接着強度が著しく劣っていた(比較例1、比較例2)。また、接着性組成物中に多量の親水性モノマー(HEMA)を含有する接着性組成物を使用した場合、37℃水中に1日浸漬後の接着強度は非常に優れていたが、37℃水中365日間浸漬後および熱サイクル30000回負荷後の接着強度は約半減しており、接着強度の低下率が大きく、接着耐久性が十分ではなかった(比較例3)。また、塩基性化合物として、アルカリ土類金属と弱酸の塩であるCaCO3を配合した接着性組成物を使用した場合、水に不溶なMDPのカルシウム塩が生成し、歯質に対する接着強度も著しく劣っていた(比較例4)。また、塩基性化合物として、水不溶性の酸性基含有重合性単量体と水可溶性の塩を形成できないアミンであるDMABAEを配合した接着性組成物を使用した場合、歯質に対する接着強度が著しく劣っていた(比較例5)。また、水溶性の酸性基含有重合性単量体であるマレイン酸を使用した場合、歯質に対する接着強度が著しく劣っていた(比較例6)。更に、炭素鎖長が2であるリン酸基含有重合性単量体(MEP)を配合した場合、歯質に対する接着強度が著しく劣っていた(比較例7)。
【0059】
実施例4〜9、比較例8および9
表2に示すように、水不溶性の酸性基含有重合性単量体、塩基性化合物および蒸留水を混和して、酸性基含有重合性単量体の塩を含有するpHの異なる接着性組成物を各々調製した。これらの接着性組成物と実施例1で使用したボンディング材を用いて実施例1と同様な接着力試験方法にて接着強度を測定し、それぞれ表2に測定結果を示した。
【0060】
【表2】
【0061】
表2から明らかなように、水不溶性の酸性基含有重合性単量体、塩基性化合物および蒸留水とを混合して得られる、透明な水性の接着性組成物において、pHが5以下のものはエナメル質および象牙質のいずれに対しても高い接着性を示し、また、接着耐久性にも優れていた(実施例4〜9)。これに対し、pHが7以上の接着性組成物を使用した場合、歯質に対する接着強度が著しく劣っていた(比較例8、9)。
【0062】
実施例10〜15
表3に示すように、MDP、DMAPおよび蒸留水を混和して、MDPのDMAP塩を含有する接着性組成物を各々調製した。これらの接着性組成物と実施例1で使用したボンディング材を用いて実施例1と同様な接着力試験方法にて接着強度を測定し、それぞれ表3に測定結果を示した。
【0063】
比較例10、11
表3に示すように、MDPおよび蒸留水を混和して接着性組成物を各々調製した。これらの接着性組成物と実施例1で使用したボンディング材を用いて実施例1と同様な接着力試験方法にて接着強度を測定し、それぞれ表3に測定結果を示した。
【0064】
【表3】
【0065】
表3から明らかなように、MDP、DMAPおよび蒸留水を混合して得られる接着性組成物を使用した場合、エナメル質および象牙質のいずれに対しても高い接着性を示し、また、接着耐久性にも優れていた(実施例10〜15)。これに対し、DMAPを配合しなかった接着性組成物を使用した場合、歯質に対する接着強度が著しく劣っていた(比較例10、11)。
【0066】
実施例16〜19
表4に示すように、水不溶性の酸性基含有重合性単量体、塩基性化合物および蒸留水を混合して、酸性基含有重合性単量体の塩を含有する、透明な水性の接着性組成物を各々調製した。また、UDMA(65重量部)、9G(30重量部)、MDP(5重量部)、CQ(1重量部)、DMAB(1重量部)およびBHT(0.05重量部)からなるボンディング材を調製した。これらの接着性組成物とボンディング材を用いて実施例1と同様な接着力試験方法にて接着強度を測定し、それぞれ表4に測定結果を示した。
【0067】
比較例12〜15
表4に示すように、水不溶性の酸性基含有重合性単量体、塩基性化合物、蒸留水およびHEMAを混合して、接着性組成物を各々調製した。これらの接着性組成物と実施例16で使用したボンディング材を用いて実施例1と同様な接着力試験方法にて接着強度を測定し、それぞれ表4に測定結果を示した。
【0068】
【表4】
【0069】
表4から明らかなように、水不溶性の酸性基含有重合性単量体、塩基性化合物(DET)および蒸留水を混合して得られる接着性組成物を使用した場合、エナメル質および象牙質のいずれに対しても高い接着力を示し、熱サイクル30000回負荷後でも接着力の低下は殆どなく、接着耐久性に優れていた(実施例16〜19)。これに対して、接着性組成物中に多量の親水性モノマー(HEMA)を含有する接着性組成物を使用した場合、37℃水中に1日浸漬後の接着強度は非常に優れていたが、熱サイクル30000回負荷後には、接着強度は約半減しており、接着強度の低下率が大きく、耐久性に劣っていた(比較例12〜15)。
【0070】
実施例20および比較例16
実施例1の接着性組成物に、更に重合開始剤としてTMPN(0.5g)およびDMAEMA(0.5g)配合した接着性組成物を調製した。この接着性組成物と実施例1で使用したボンディング材を用いて実施例1と同様な接着力試験方法にて、熱サイクル30000回負荷後の接着強度は、エナメル質(18.0MPa)、象牙質(17.7MPa)を示し、接着耐久性に優れていることがわかった(実施例20)。これに対し、HEMAを含有する比較例3の接着性組成物に、TMPN(0.5g)およびDMAEMA(0.5g)配合した接着性組成物を調製し、同様に熱サイクル30000回負荷後の接着強度測定した結果、エナメル質(11.3MPa)、象牙質(11.7MPa)を示し、実施例20に比べ接着耐久性が劣っていた(比較例16)。
【0071】
実施例21および比較例17
水不溶性の酸性基含有重合性単量体MEPP(15g:0.056モル)、塩基性化合物KHCO3(5.6g:0.056モル)および蒸留水(85g)を混合して得られるMEPPのカリウム塩を含有する水性の組成物に、さらにpH調整剤としてメタクリル酸(5g)を配合したpHが3.2の透明な接着性組成物を調製した。この接着性組成物と実施例1で使用したボンディング材を用いて実施例1と同様な接着力試験方法にて、熱サイクル30000回負荷後の接着強度は、エナメル質(15.0MPa)、象牙質(14.7MPa)を示し、接着耐久性に優れていることがわかった(実施例21)。これに対し、pH調整剤のメタクリル酸を配合しなかったpHが7.8の接着性組成物を調製し、同様に熱サイクル30000回負荷後の接着強度測定した結果、エナメル質(1.3MPa)、象牙質(0.7MPa)を示し、著しく接着強度が劣っていた(比較例17)。
【0072】
【発明の効果】
特定の水不溶性の酸性基含有重合性単量体及び/又はその塩、並びに水を含有してなり、pHが1.0〜6.0の実質的に透明な接着性の組成物を用いることにより、歯質とレジン材料との接着性、特に接着耐久性を向上させることができる。
Claims (1)
- (a)分子内に炭素数8〜25のアルキレン基、炭素数8〜25のアルキル基及び芳香族基から選ばれる炭化水素基を少なくとも一つ以上有し、25℃における水に対する溶解度が5%以下である水不溶性の酸性基含有重合性単量体、及び該酸性基含有重合性単量体と塩基性化合物とから形成される、25℃における水に対する溶解度が10%以上である水溶性の塩、並びに(b)水を含有してなる接着性の組成物であり、該接着性の組成物のpHが1.0〜6.0であり、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの含有量が10重量%以下であり、かつ透明な接着性の組成物。
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