図1ないし図6は、本発明の実施形態を説明する上での参考例を示すものである。この参考例において、チップ本体1は、超硬合金等の硬質材料により略菱形の多角形平板状に形成されており、その多角形面すなわち菱形面の周縁部にすくい面2が形成されるとともに該チップ本体1の周面が逃げ面3とされ、これらすくい面2と逃げ面3とが交差する上記菱形面の辺稜部に、この菱形面のコーナ部Cに交差してそれぞれ延びる一対の切刃4が形成されている。ここで、本参考例のチップ本体1は、そのすくい面2が形成される上記菱形面に関して表裏対称形状とされるとともに、これら表裏の菱形面の中心を通ってチップ本体1の厚さ方向に延びるチップ中心線Oと各コーナ部Cの二等分線とを含む平面に対してもそれぞれ対称形状とされていて、これらの菱形面の各4つの辺稜部すべてに、同じく各4つのコーナ部C…にそれぞれ交差する一対ずつの切刃4…が形成されており、従って一つのチップ本体1に表裏合わせて合計8対の切刃4…が形成されることとなる。なお、本参考例のチップは、上記菱形面の鋭角をなすコーナ部Cの角度が80°とされるとともに、上記逃げ面3が上記チップ中心線Oに平行とされて逃げ角が付されないネガティブチップとされている。
また、上記チップ中心線Oに沿ってすくい面2に対向する平面視において、各コーナ部C…は円弧状に形成されるとともに、切刃4…はこのコーナ部Cに滑らかに接するように、かつ同一の辺稜部に形成されるもの同士が一直線上に連なるように形成され、コーナ部Cを含めて切刃4…は表裏それぞれにおいて上記チップ中心線Oに直交する平面上に位置させられている。さらに、表裏の菱形面の中央部間には上記チップ中心線Oを中心とした断面円形の取付孔5が貫設されるとともに、この取付孔5の開口部周辺には、図3に示すように各菱形面においてそれぞれ切刃4よりも突出してチップ本体1の厚さ方向に最も高くされた平坦面6がチップ中心線Oに垂直な方向に形成されており、本参考例のチップは、一方の菱形面側の切刃4を切削に使用する場合には、他方の菱形面の平坦面6がスローアウェイ式バイトのチップ取付座底面に密着して着座させられた上で、上記取付孔5に挿通されたクランプネジを上記取付座底面にねじ込むことにより、このバイトに着脱可能に取り付けられる。従って、本参考例における上記チップ本体1の厚さ方向はこれらの平坦面6,6に直交する方向となり、この厚さ方向における高さは、例えば切刃4が切削に使用される上記一方の菱形面側においては、チップ取付座底面に密着する上記他方の菱形面(多角形面)の平坦面6から該平坦面6に垂直に上記一方の菱形面側に向かう方向の高さとされる。なお、この平坦面6は、上記平面視において取付孔5の開口部から上記菱形の各辺稜部の中点に向けて山頂が窪んだ山形に凸となるように形成されている。
ここで、上記すくい面2は、図4ないし図6に示すように切刃4から離間して該すくい面2の内側に向かうに従い漸次陥没するように傾斜させられており、これによって切刃4には正のすくい角が与えられる。また、この切刃4には該切刃4に沿ってランド7が形成されており、このランド7も切刃4から離間して該すくい面2の内側に向かうに従い漸次陥没するように傾斜させられている。そして、この陥没傾斜するランド7がなす傾斜角αは、切刃4のいずれの部位においても、同じく陥没傾斜する上記すくい面2がなす傾斜角βよりも小さくなるようにされており、従ってこれらランド7とすくい面2とは鈍角に交差する方向に形成される。しかして、切刃4に直交する断面におけるこれらの傾斜角α,βはともに、コーナ部Cの突端、すなわち上記平面視において円弧状をなすコーナ部Cとこのコーナ部Cの二等分線との交点から、該コーナ部Cに交差する一対の切刃4,4に沿ってそれぞれ離間するに従い、漸次小さくなるようにされている。なお、上記平面視におけるランド7の幅は、本参考例では上記菱形面の全周に亙って略等しくされているが、例えばコーナ部Cから離れる方向に向けて幅広となるようにされていてもよい。
従って、このようにランド7およびすくい面2の傾斜角α,βが変化させられることにより、該ランド7およびすくい面2は、上記二等分線上においてすくい面2の内側に向かうに従い最も大きな傾斜角α,βで傾斜させられて深く陥没するとともに、この二等分線上から切刃4,4に沿って離れるに従いその陥没が漸次浅くなるように形成され、すなわち上記二等分線上がすくい面2の内側に向けて深さの最も深くなる谷底部分とされた谷形を呈することとなる。ちなみに、本参考例では、このコーナ部C突端における上記二等分線上のランド7の傾斜角αは10°に、またすくい面2の傾斜角βは27°に設定され、円弧状のコーナ部Cの両端において切刃4に直交する断面上のランド7の傾斜角αは8°に、またすくい面2の傾斜角βは25°に設定されている。なお、このように傾斜角α,βを変化させるに際して、ランド7やすくい面2は傾斜角α,βが連続的に変化する捩れ面状とされていてもよく、また傾斜角α,βが段階的に変化する多段面状とされていてもよい。
そして、各コーナ部Cにおいて、こうして傾斜させられたすくい面2上には、コーナ部Cの突端側に主ドット8が形成されるとともに、このコーナ部Cの突端から延びる上記一対の切刃4,4に沿って主ドット8からそれぞれ離間した位置には一対の副ドット9,9が各々形成されている。なお、チップ本体1がコーナ部Cの二等分線に対して対称に形成されていることから、これら主ドット8および副ドット9,9もこの二等分線に対して対称に形成されることとなる。ここで、これら主ドット8および副ドット9は、いずれもその表面が凸球面状をなすようにしてすくい面2上に突設されたものであり、ただしそのすくい面2からの突出高さは該主ドット8および副ドット9がなす球面の半径よりも十分小さくされていて、これにより主ドット8および副ドット9の表面とすくい面2とは鈍角に交差させられている。また、主ドット8から離間した位置に形成された副ドット9,9は、その表面も主ドット8と重なり合うことなく間隔をあけるようにして形成されており、これにより主ドット8と副ドット9,9との間にはすくい面2が残されることとなる。
ここで、本参考例では、すくい面2のコーナ部C突端側に1つの主ドット8が、その凸球面の中心を上記平面視において上記二等分線上に位置させるようにして配設されている。従って、主ドット8と副ドット9,9とは、コーナ部Cの上記二等分線を二等辺の等分線とする二等辺三角形の各頂点上に配置されることとなる。しかも、この主ドット8がなす凸球面の半径Rは、副ドット9がなす凸球面の半径rよりも大きくされている。ちなみに、本参考例では、すくい面2が形成されるチップ本体1の上記菱形面に内接する円の直径dが12.7mmとされるとともに、副ドット9がなす凸球面の半径rが0.6mmとされ、従って内接円直径dに対して副ドット9の半径rが4.7%であるのに対し、主ドット8がなす凸球面の半径Rは2mmとされ、従って内接円直径dに対しては約15.7%、副ドット9の半径rに対しては約3.3倍の大きさとされている。さらに、上記チップ本体1の厚さ方向におけるこの主ドット8の最高点の高さ、すなわち該主ドット8がなす凸球面の表面と、この主ドット8がなす凸球面の中心を通って上記チップ中心線Oと平行となる直線との交点のチップ本体1の上記厚さ方向の高さは、副ドット9の最高点の高さよりも僅かに高くされており、切刃4に対しては略同じ高さか、極僅かに高くなるようにされている。
また、上記副ドット9は、該副ドット9がなす凸球面の中心の位置が、図2に示すように上記平面視において、コーナ部Cの上記突端からこの副ドット9に隣接して直線状に延びる切刃4に沿った方向に向けて、上記内接円直径dの15〜40%の範囲の距離Lに配設されるようになされており、本参考例では距離Lが3.5mmとされて内接円の直径dに対して27.6%とされている。なお、ちなみに本参考例では、この距離Lの位置における切刃4に直交する断面においては、ランド7の傾斜角αが6°とされるとともにすくい面2の傾斜角βは22°とされている。さらに、これら主ドット8および副ドット9と切刃4との間の間隔は、上記平面視において該主ドット8および副ドット9のすくい面2との交差稜線と切刃4が直線状に延びる部分との間の最も狭い部分の間隔が略等しくされるか、あるいは副ドット9のすくい面2との交差稜線と切刃4との間隔が主ドット8の交差稜線と切刃4との間隔よりも僅かに小さくなるようにされており、ただしこれらの交差稜線がランド7には重ならないような間隔とされている。なお、切刃4のコーナ部C突端から主ドット8とすくい面2との交差稜線までの上記二等分線方向の間隔は、直線状に延びる切刃4から主ドット8の交差稜線までの間隔よりも僅かに大きくされている。
さらにまた、すくい面2上には、上記平面視において主ドット8から上記二等分線に沿ってすくい面2の内側に延びるように、突条状のブレーカ10が形成されている。このブレーカ10は、上記チップ本体1の厚さ方向における頂部が、この厚さ方向において上記平坦面6と等しい高さで中心線Oに垂直とされた平坦面11とされるとともに、この平坦面11からすくい面12に至るブレーカ壁面12はすくい面12側に向かうに従い裾野状に広がる傾斜面とされていて、このブレーカ壁面12のコーナ部C側の先端部が主ドット8のすくい面2内側の凸曲面部分に重なるようにして連結され、また反対側のブレーカ壁面12の後端部は、上記平坦面6からすくい面2に向けてやはり裾野状に広がるように傾斜して延びる壁面13に接続されている。従って、このブレーカ10のチップ本体1の厚さ方向における高さは、主ドット8および副ドット9の最高点の高さや切刃4の高さよりも高くされる。また、このブレーカ10の上記平面視における上記二等分線に直交する方向の幅は、図2に示すようにその先端の主ドット8との連結部から後端部側に向かうに従い大きくなって、上記一対の副ドット9,9の間の辺りで一旦最大となり、さらに後端部側に向けて上記ブレーカ壁面12が凹曲面をなすように僅かに幅狭となってくびれた後に幅広となって上記壁面13に連なるようにされている。なお、このブレーカ10の上記平坦面11が取付孔5の開口部に達する部分には、この平坦面11や上記平坦面6に対して一段凹んだ凹所14が形成されている。
このように構成されたチップにおいては、すくい面2が切刃4から離間するに従い陥没傾斜させられているとともに、切刃4には該切刃4に沿ってこのすくい面2の傾斜角βよりも小さな傾斜角αでやはり切刃4から離間する方向に陥没傾斜するランド7が形成されており、従って切刃4の刃先角を大きくしてその強度を確保することができるのは勿論、これらランド7およびすくい面2の傾斜角α,βが、コーナ部Cの上記突端から切刃4に沿って離間する方向に向け小さくなるようにされているので、該すくい面2とランド7とは上述のようにこのコーナ部Cの突端からすくい面2内側に向かう部分が谷底とされた谷形を呈することとなる。そして、このコーナ部C突端側のすくい面2上には、凸球面状をなす主ドット8が形成されているので、まずワークの外径部やR部の旋削においてこのコーナ部C突端側の切刃4により生成される幅の小さな切屑は、上記ランド7およびすくい面2がなす谷形の谷底に沿って案内されてすくい面2内側に流出させられ、その奥に位置する主ドット8に導かれてその表面の凸球面に確実に衝突させられ、カールさせられて分断される。
一方、ワークの端面部の旋削において、ワークの外周側にチップを引き上げる方向に送りを与える場合に上記コーナ部C突端から直線状に延びる部分までのある程度の長さの切刃4によって生成される幅広の切屑は、このコーナ部C突端から切刃4に沿って離間する方向にランド7およびすくい面2の傾斜角α,βが小さくされているので、これらランド7およびすくい面2上を擦過する際にコーナ部C突端側とこれから離間した側とで異なる大きさの抵抗を受け、すなわちコーナ部C突端側では傾斜角α、βが大きいため、そのこと自体で切屑に幅方向に湾曲させる力が作用し、しかも抵抗は小さく、逆にこのコーナ部C突端から離間した側では傾斜角α,βが小さいために大きな抵抗を受け、これらによって切屑はその幅方向に湾曲させられた状態ですくい面2の内側に流出し、このすくい面2内側の主ドット8および上記切刃4側の副ドット9に衝突してその流出方向にカールさせられる。しかして、このように幅方向に湾曲させられた切屑は、その長手方向すなわち流出方向に抵抗を受けてカールさせられると無理な力が生じて容易に分断されるので、このような幅広の切屑が生成される場合においても、上記構成のチップによればこれを確実に分断して処理することができる。
また、倣い旋削加工においてワークの外径部の旋削加工からR部の加工を経て端面部の加工に連続的に移行したり、あるいはこれとは逆に端面部の加工から外径部の加工にやはり連続的に移行したりする場合のように、切屑の流出方向が逐次変化するときでも、上記構成のチップにおいては、ランド7およびすくい面2が上述のように谷形に形成されているので、幅の小さな切屑がコーナ部C突端で生成されるときにはこの谷形の谷底部分に案内されて確実に主ドット8に衝突させられ、また幅の広い切屑が生成されるときでもやはりこの谷形に沿って谷底側に案内されるとともに、上記傾斜角α,βが切刃4に沿って小さくなることによって切屑が湾曲されられて巻き込まれるため、確実に主ドット8および副ドット9に衝突させることができる。しかも、これら主ドット8および副ドット9は凸球面状であるので、このように切屑の流出方向が変化するときでも各ドット8,9は切屑と常に点接触で衝突させられることとなり、すなわち流出方向によって当たりが変化したりすることがなく、従って倣い旋削加工の際の外径部と端面部との間にかけての加工において、より安定した切屑処理を図ることができる。さらに、すくい面2上には、コーナ部Cの突端側に主ドット8が形成されるとともに、このコーナ部Cに交差する一対の切刃4,4に沿ってそれぞれ離間した位置に一対の副ドット9,9が各々形成されていて、特に本参考例ではチップ本体1が上記二等分線に関して対称形状とされているので、例えば倣い旋削加工において一方の切刃4から他方の切刃4に使用される部分が移行するような場合でも、やはり安定した切屑処理を図ることが可能となる。
ここで、コーナ部C突端から切刃4が延びる方向に向けて小さくなるランド7およびすくい面2の傾斜角α,βについて、本参考例では切刃4に直交する断面においてコーナ部C突端における傾斜角αが10°、傾斜角βが27°とされるとともに、副ドット9の中心位置(上記距離Lの位置)における傾斜角αが6°、傾斜角βが22°とされているが、コーナ部C突端における傾斜角α,βが小さすぎるとランド7およびすくい面2による上述の谷形の深さが小さくなって幅の小さい切屑を確実に案内することができず、かといってこれが大きすぎるとコーナ部C突端における切刃4の刃先強度が小さくなりすぎて欠損等が生じ易くなるおそれがある。また、上記副ドット9の位置における傾斜角α,βが大きすぎると、コーナ部C突端ではこれよりも傾斜角α,βが大きくなるため、やはり欠損が生じ易くなり、逆に小さすぎると幅広の切屑が生成される際にこれを幅方向に十分湾曲させて分断されやすくすることができなくなるおそれがある。さらに、ランド7の傾斜角αに対してすくい面2の傾斜角βが小さすぎると、ドットの突出量が小さくなり、切屑をカールさせる効果が弱くなる一方、逆に大きすぎてもすくい面2から主ドット8や副ドット9の表面への立ち上がりが急傾斜となり過ぎて、切屑が衝突する際の抵抗が大きくなりすぎるおそれが生じる。このため、ランド7の傾斜角αは、上記コーナ部Cの突端において2〜15°の範囲とされるとともに、副ドット9の中心位置において12°以下の範囲とされ、かつすくい面2の傾斜角βはこれらそれぞれの位置においてランド7の傾斜角αとの差が10〜20°の範囲とされるのが望ましい。
なお、上記ランド7の傾斜角αおよびすくい面2の傾斜角βは、上記コーナ部Cの突端から一対の切刃4,4の延びる方向に向けてそれぞれ連続的に漸次小さくなるようにされていてもよく、また所定の範囲では一定の傾斜角α,βとされ、上記方向にその次の所定の範囲ではこれよりも小さい一定の傾斜角α,βとされていてもよく、さらにこれらを組み合わせて所定の範囲では一致の傾斜角α、βとされるとともに他の所定の範囲では傾斜角α,βが上記方向に向けて漸次小さくなるようにされていてもよく、特に後の二者の場合には傾斜角αと傾斜角βとが互いに異なる所定の範囲でそれぞれ一定とされたり上記方向に向けて漸次小さくされたりしていてもよい。また、ランド7とすくい面2とが交差する部分は、切刃4に直交する断面において円弧等の凸曲線によって滑らかに接続されるようにされていてもよく、さらに少なくともすくい面2についてはこの断面において緩やかに凹む凹曲線状をなすように形成されていてもよい。さらにまた、コーナ部Cから延びた上記一対の切刃4,4に連なるランド7およびすくい面2同士が交差する上記谷形の谷底部分は、上記二等分線に直交する断面がV字状をなすようにされていてもよく、またこの二等分線上の部分が凹曲面状に形成されていたりしてもよい。
一方、本参考例では、上記主ドット8がコーナ部C突端側のすくい面2上に1つだけ形成されており、この主ドット8がなす凸球面の半径Rは副ドット9の半径rよりも大きくされ、かつその上記チップ本体1の厚さ方向における最高点の高さも副ドット9より高くされている。従って、幅の小さい切屑が生成されてランド7とすくい面2とがなす上記谷形の谷底部分に沿って流出したときにも、この半径Rが大きく最高点の高さも高い主ドット8にこの切屑を確実に衝突させてカールさせ、分断させることができる。また、幅広の切屑が生成されるときでも、この主ドット8の半径Rが大きくされているので、この主ドット8の切刃4が直線状に延びる側の表面を該切刃4に近づけて配設することができ、上述のように幅方向に湾曲させられて生成されたこの幅広の切屑を、やはり確実にこの主ドット8と上記副ドット9とに衝突させて流出方向にカールさせ、分断して処理することができる。しかも、本参考例では、この直線状に延びる切刃4部分と主ドット8および副ドット9との間隔が、略等しいか、副ドット9との間隔が僅かに小さくされている程度であるので、上記幅広の切屑の幅方向の両端部を略同時に主ドット8と副ドット9とに衝突させて流出方向にカールさせることができ、これら主ドット8と副ドット9との一方のみに切屑が衝突して切屑の全体的な流出方向へのカールが阻害されるような事態を防止することができる。
なお、こうして大径で最高点の高さも高くされた主ドット8に対して小径となる上記副ドット9がなす凸球面の半径rを、本参考例では上述のようにすくい面2が形成される多角形面(菱形面)の内接円の直径dに対して4.7%の大きさとしているが、この半径rが大きくなりすぎると、図4に示すすくい面2から立ち上がる副ドット9表面の凸球面の傾斜角θが小さくなり、切屑に対するブレーキング効果が弱くなって低送り時に切屑の伸びが発生するおそれがある一方、高送り時には切屑と接触する凸球面の表面部分の周方向の長さが長くなって点接触とならず、これにより切削抵抗の増大を招くおそれがある。
また、この副ドット9の半径rが大きくなると、これに合わせて主ドット8の半径Rも大きくなってしまうため、幅広の切屑が適当に湾曲したところで主ドット8および副ドット9に衝突して流出方向にカールするようにこの主ドット8と直線状の切刃4部分との間隔を確保しようとすると、コーナ部C突端と主ドット8との間隔が大きくなりすぎ、幅の小さな切屑が生成される際にこれを速やかに主ドット8に衝突させて処理することができなくなるおそれも生じる。その一方で、逆にこの副ドット9の半径rが小さすぎると、幅広の切屑が衝突する際の摩耗によって副ドット9が早期に摩滅してしまい、チップ寿命が短縮されるおそれがあるので、副ドット9の上記半径rはチップ本体1の上記内接円直径dに対して3.0〜6.5%の範囲とされるのが望ましい。
また、主ドット8の半径Rについても、大きすぎると主ドット8の立ち上がりの角度が小さくなるため、幅の小さな切屑が主ドット8に十分に衝突せずに乗り越える可能性がある一方、逆に小さすぎると、主ドット8が早期に摩滅してしまうおそれがあるのは勿論、こうして半径Rが小さくされた主ドット8の中心位置をコーナ部Cの突端に近づけすぎると上述の切屑を谷底に落とし込む効果が小さくなって切屑処理の効果も小さくなり、またこのように切屑を谷底に落とし込むために主ドット8の中心位置を半径Rが大きいときとそのまま同じ位置とすると、切刃4と主ドット8表面の凸球面の立ち上がりの壁部とが離れてしまって低切込み時に切屑が伸びやすくなってしまうので、この主ドット8の半径Rは上記内接円直径dに対して10〜26%の範囲とされるのが望ましい。さらに、主ドット8と副ドット9との上記チップ本体1の厚さ方向における最高点同士の高さの差についても、この差が小さすぎて主ドット8と副ドット9とが略同じ高さとなり、すなわち主ドット8の高さが相対的に低くなると、切刃4のコーナ部C突端から生成される幅の小さな切屑がこの主ドット8に十分に衝突せずに乗り越えてしまってその処理性が損なわれるおそれがあり、逆にこの主ドット8が高くなりすぎると、切屑の幅の大小に関わらず切屑の衝突による抵抗が大きくなりすぎて主ドット8の摩耗が促進されたり、ワークの回転駆動力の増大を招いたりするおそれがあるので、上記高さの差は0.02〜0.12mmの範囲とされるのが望ましい。さらにまた、副ドット9の中心位置と切刃4との間隔、すなわち上記平面視における副ドット9がなす凸球面の中心と切刃4との間隔も、これが大きすぎると主ドット8もすくい面2の内側に後退させなければならなくなって該主ドット8とコーナ部Cとの間隔が大きくなりすぎる一方、この副ドット9と切刃4との間隔が小さすぎるとワークの端面部を引き上げる方向に旋削する際に生じる幅広の切屑がその幅方向に十分に湾曲されないうちに副ドット9や主ドット8に衝突してしまい、流出方向にカールされても確実に分断されなくなるおそれが生じるので、上記内接円直径dに対して5〜12%の範囲とされるのが望ましい。
さらに、切刃4が延びる方向における上記副ドット9の位置についても、これがコーナ部C突端から離れすぎている場合には、比較的幅広の切屑が生成されてもその幅方向の両端部のうち副ドット9側の端部が該副ドット9に衝突しなくなってしまうおそれがある一方、逆に副ドット9がコーナ部Cに近づきすぎている場合でも、同じく幅広の切屑が生成されたときにその幅方向のコーナ部C側の部分のみが主ドット8と副ドット9とに衝突するだけとなって、いずれの場合も切屑が片当たりとなり、ランド7およびすくい面2によって切屑が幅方向に湾曲させられても、片当たりとなった側でのみ分断が生じて反対側では切屑が繋がったままとなってしまうおそれが生じる。このため、上記方向における副ドット9の位置、すなわち上記平面視における直線状の切刃4に沿った方向のコーナ部C突端から副ドット9の中心までの距離Lは、上記内接円の直径dの15〜40%の範囲に配設されるのが望ましい。
なお、本参考例ではコーナ部Cに交差する一対の切刃4,4に対してそれぞれ1つずつの一対の副ドット9,9を各コーナ部Cに設けているが、後述する変形例の場合のように使用される切刃4の長さが長い場合には各切刃に対して複数ずつの複数対の副ドットを上記方向に互いに間隔をあけて設けるようにしてもよく、このような場合において上記距離Lは、上記コーナ部C突端から一対目の副ドット9までの距離とされる。また、本参考例のような菱形平板状のチップでは、これを上述した倣い旋削加工に用いる場合には図28に示したように専らこの菱形の鋭角をなすコーナ部Cに交差する切刃4,4が使用されることとなるので、そのようなチップにおいては図2に示すように少なくともこの鋭角のコーナ部Cにおいて上記距離Lが上記範囲内とされていればよい。
さらにまた、本参考例では、すくい面2上に主ドット8からさらにすくい面2の内側に延びる突条状のブレーカ10が形成されており、チップ本体1の厚さ方向におけるこのブレーカ10の高さすなわちその頂部の平坦面11の高さが、副ドット9は勿論主ドット8の上記最高点よりも高くされている。従って、たとえ切屑がこれら主ドット8や副ドット9に衝突しても十分にカールされずに乗り越えてすくい面2の内側に流出したとしても、その奥側に位置するこの高いブレーカ10に衝突させられることとなるので、一層確実な切屑の分断、処理を図ることが可能となる。しかも、このブレーカ10は、その上記二等分線に直交する方向の幅が、先端の主ドット8との連結部から後端部側に向けて大きくなって一対の副ドット9,9の間で一旦最大となった後に再び幅狭となるようにされていて、主ドット8と副ドット9,9の内側に上記平坦面11とブレーカ壁面12との交差稜線が尖った部分がそれぞれ形成されるようにされており、従って主ドット8や副ドット9を乗り越えた切屑はこの尖った部分にやはり点接触してカールさせられるので、切屑の流出方向が変化してもその確実な分断を図ることができるとともに、抵抗の増大を抑えることもできるという利点が得られる。加えて、本参考例では、上記ブレーカ壁面12が上記平坦面6から裾野状に傾斜する壁面13に接続されており、この平坦面6はすくい面2が形成されるチップ本体1の上記菱形面の各辺稜部の中点に向けて凸となる山形に形成されているので、万一この辺稜部の半分以上の長さの切刃4が使用されるような場合であっても、この山形の頂部に連なる上記壁面13に切屑の幅方向端部を衝突させてカールさせることができる。
なお、図7および図8に示すのはそれぞれこの参考例の変形例であり、上記参考例と共通する要素には同一の符号を配して説明を省略する。このうち、図7に示す変形例では、そのチップ本体15が参考例と同じく略菱形の平板状をなしているものの、鋭角をなすコーナ部Cの角度が第1の参考例よりも小さく55°とされており、また鈍角をなすコーナ部側には主ドットや副ドットが形成されていない。このようなチップは、専ら上記鋭角をなすコーナ部Cに交差する切刃4,4のみが使用されるためであり、その分個々の切刃4の切刃長は上記菱形の1辺稜部の半分よりも長くされるので、上述のように該切刃4に沿って複数対の副ドット9…を形成するようにしてもよい。また、図8に示す変形例では、そのチップ本体16が略正三角形、厳密には辺稜部の長さが等しく、かつそれぞれ等しい角度の鋭角をなすコーナ部Cと鈍角をなすコーナ部とが周回り方向に交互に配設された略偏六角形の平板状に形成されており、この偏六角形の各辺稜部が上記鋭角をなすコーナ部Cに交差して対をなす切刃4とされている。従って、この変形例では、表裏各3つのコーナ部Cに交差する合計6対の切刃4,4が使用可能とされる。
次に、図9ないし図14は本発明の実施形態を示すものであり、図15ないし図22はこの実施形態の変形例を示すものであり、いずれも図1ないし図6に示した参考例と共通する要素にはやはり同一の符号を配して説明を省略する。なお、これらの変形例のうち、図15および図17ないし図19にそれぞれ示すのは図7に示した上記参考例の変形例と同じくそのチップ本体15がコーナ部Cの角度55°の菱形平板状とされたものであり、また図16に示すのは図8に示した参考例と同じくチップ本体16が略偏六角形の平板状に形成されたものである。また、図20に示すのはそのチップ本体17が略正方形の平板状に形成され、図21に示すのはチップ本体18が辺稜部の真っ直ぐな略正三角形の平板状に形成され、図22に示すのはチップ本体19が、鋭角をなすコーナ部Cの角度が35°とさらに鋭くされた菱形平板状に形成された変形例である。
しかして、上記参考例およびその変形例においては、すくい面2のコーナ部C突端側に1つの主ドット8が形成されていたのに対し、これら実施形態およびその変形例においては、すくい面2上のコーナ部Cの突端側に2つの主ドット21,21が該コーナ部Cを横切る方向に並ぶように形成されている。ここで、これら2つの主ドット21,21は、上記平面視においてコーナ部Cの上記二等分線に直交する方向に、やはり該二等分線に関して対称となるように並べられている。ただし、該主ドット21,21とすくい面2との交差稜線同士は、図22に示す変形例を除いて互いに重なり合わないように離されていて、上記ブレーカ10の先端部は、その傾斜したブレーカ壁面12がこれらの主ドット21,21の間の上記二等分線上においてすくい面2に交差するようになされている。
また、これらの主ドット21,21は、上記主ドット8と同じくすくい面2からその半径よりも小さい突出高さで突出する凸球面状をなすものであるが、これら主ドット21,21がなす凸球面の半径は副ドット9の半径rと等しくされており、しかも両主ドット21,21の半径同士も互いに等しくされている。さらに、これら主ドット21,21は、そのチップ本体1の厚さ方向における最高点の高さも互いに等しくされるとともに、上記副ドット9,9ともこの最高点の高さが等しい高さとされている。なお、この実施形態およびその変形例において副ドット9の半径rは上記内接円の直径dの3.0〜6.5%とされており、従って主ドット21の半径も上記直径dの3.0〜6.5%とされ、またコーナ部C突端から直線状に延びる切刃4部分に沿った方向の副ドット9中心までの距離Lは、上記内接円直径dの15〜40%の範囲とされている。さらに、この直線状に延びる切刃4部分とこれに隣接する主ドット21および副ドット9との間隔は、該主ドット21および副ドット9とすくい面2との交差稜線と切刃4との間隔として、互いに略等しいか、あるいは上記参考例等とは逆に図10や図15、図16、図18、あるいは図20ないし図22に示すように、主ドット21との間隔よりも副ドット9との間隔の方が僅かに大きくなるようにされている。
従って、このように構成された実施形態およびその変形例のチップにおいても、切刃4のコーナ部C突端から直線状に延びる部分までを用いて幅の広い切屑が生成される場合には、この切刃4に連なるランド7およびすくい面2がコーナ部C突端から該切刃4の延びる方向に向けてその傾斜角α,βが小さくされているために、該切屑はその幅方向に湾曲させられて分断されやすい状態で流出させられる。そして、この直線状に延びる切刃4部分の奥のすくい面2上には、上記一対の副ドット9,9のうちこの切刃4に隣接する副ドット9と、上記2つの主ドット21,21のうちのやはり該切刃4に隣接する主ドット21とが、この切刃4の延びる方向すなわち切屑の幅方向に離間して設けられており、しかもこれら主ドット21と副ドット9とはその半径と上記厚さ方向における最高点の高さが等しくされているので、切屑の幅方向両端部がこれら主ドット21と副ドット9とに略均等に衝突させられることによって切屑は流出方向に抵抗を受けてカールさせられ、上述のように分断されやすくなっているために容易に処理可能となる。
その一方で、本実施形態およびその変形例では、すくい面2のコーナ部C突端側に2つの主ドット21,21が、上記すくい面に対向する平面視において上記二等分線に直交する方向に該コーナ部Cを横切って該二等分線に対して対称に並んで形成されることにより、上記ランド7およびすくい面2によって形成される谷形の奥に、これらの主ドット21,21による2つの山がこの谷形の谷底部分を挟んで屹立することとなり、従ってコーナ部C突端側の切刃4によって幅の小さい切屑が生成される場合において、上記谷形の谷底に沿って流出したこの切屑は、この谷底部分から奥の上記2つの山の一方あるいは双方に衝突させられてカールさせられ、分断される。しかも、この場合の切刃4のコーナ部C突端から主ドット21,21までの間隔、すなわちこれら主ドット21,21とすくい面2との交差稜線までの間隔は、例えば上記参考例のように半径Rが大きくて最高点の高さの高い1つの山をすくい面2上に設けた場合と比べて、図2と図10とを比較すれば分かるように大きくなり、従って本実施形態ではより深くまですくい面2が陥没傾斜したところで、半径が小さく従って曲率が大きくされた主ドット21,21が屹立することとなるので、該すくい面2上を流出した切屑により強い抵抗を与えて小さくカールさせることができる。このため、このように幅の小さく切屑が生成される場合にあっても、特に低切り込みや低送りの場合のように肉厚が薄くて伸び気味になりやすい切屑が生成される場合に、優れた切屑処理性を得ることが可能となる。
なお、このような実施形態およびその変形例においても、その副ドット9がなす凸球面の半径rが大きすぎると、低送り時に切屑の伸びが発生するとともに高送り時には切削抵抗が大きくなったり、またこの副ドット9と略同半径とされる主ドット21の半径も大きくなるため、そのような主ドット21を2つコーナ部Cを横切る方向に並べてすくい面2上に形成すると、該主ドット21,21とコーナ部C突端との間隔が大きくなりすぎてしまい、切屑が主ドット21,21に衝突するまでに必要以上にすくい面2上を流出することとなって、却って確実に主ドット21,21に衝突させることが困難となったりするおそれが生じる。その一方で、逆にこの副ドット9の半径rが小さすぎると、第1の実施形態と同様にこの副ドット9が早期に摩耗してしまうのは勿論、主ドット21,21も早期に摩耗してしまうことになるので、この副ドット9の半径rは、やはり上記内接円半径dの3.0〜6.5%とされるのが望ましい。従って、この実施形態では、主ドット21がなす凸球面の半径も、すくい面2が形成されるチップ本体1の多角形面に内接する円の直径dに対して3.0〜6.5%の範囲とされるのが望ましい。
また、コーナ部Cの突端からのこの副ドット9の中心位置までの上記距離Lについても、これが大きすぎて副ドット9が主ドット21から離れすぎると幅の広い切屑が生成された際にその幅方向の一端部のみが主ドット21に衝突させられるだけとなるおそれがある一方、逆に距離Lが小さすぎて副ドット9が主ドット21に近づきすぎても、やはり幅広の切屑の一端部のみがこれら主ドット21および副ドット9に衝突させられるだけとなって、いずれも切屑が片当たりとなるため確実に流出方向にカールさせて分断することができなくなるおそれが生じる。従って、この距離Lについても、上記内接円直径dに対して15〜40%の範囲とされるのが望ましい。
ところで、図7や図15に示した変形例のようにチップ本体15が、その鋭角をなす上記コーナ部Cの角度が55°の菱形平板状とされていたり、あるいは60°の菱形平板状とされていたりした場合においては、上記ブレーカ10が、特に上述のようにコーナ部Cの二等分線に直交する方向の幅が主ドット8との連結部から後端部側に向けて大きくなって一対の副ドット9,9の間で一旦最大となった後に再び幅狭となるように形成されていたりすると、これら図7や図15に示されるように切刃4に沿って副ドット9からコーナ部Cとは反対側の部分のブレーカ10の幅が幅狭となった部分において、切刃4とブレーカ壁面12との間隔が大きく開いてしまい、当該部分の切刃4によって生成された切屑が伸び気味となってしまうおそれがある。しかるに、このような場合には、上述したようにこの間隔があいた部分にも副ドット9を設けるようにしてもよいのであるが、これ以外に、例えば図17ないし図19に示す変形例のように、ブレーカ10の上記ブレーカ壁面12に、このブレーカ壁面12が上記頂部11からすくい面2に至る途中の部分において、該ブレーカ壁面12からすくい面2の外側すなわち切刃4側に向けて凸となる段差部22を形成するようにしてもよい。
ここで、この段差部22は、ブレーカ10頂部の上記平坦面11に平行かつ上記厚さ方向に低められた平坦面23と、この平坦面23から上記ブレーカ壁面12と略等しい傾斜ですくい面12に至るように傾斜した壁面24とから構成されて、ブレーカ10の上記平坦面11から1段下がる階段状をなし、この壁面24は、上記ブレーカ10の幅が幅狭となり始める辺りから、中心線Oに沿ってすくい面2に対向する平面視において切刃4と略平行に真っ直ぐ延びて上記壁面13に達するように形成されている。従って、このような段差部22をブレーカ壁面12に設けた変形例のチップによれば、たとえこのブレーカ壁面12と切刃4との間隔が大きくあけられた部分に副ドット9が設けられていなくても、切刃4によって生成された切屑をこの段差部22の壁面24や該壁面24と上記平坦面23との交差稜線部分に押し当てて衝突させることによってカールさせることができ、切屑が伸び気味になるのを防いで円滑な処理を図ることができる。
なお、図1や図10に示すようにチップ本体1が菱形平板状でもその鋭角をなすコーナ部Cの角度が85°と大きい場合や、図20に示すようにチップ本体17が正方形平板状とされて上記角度が90°とされている場合、あるいは図8、図16、図21に示すようにチップ本体16,18が略正三角形平板状とされている場合などには、そのすくい面2がなす多角形の1辺稜部においてその両端のコーナ部C,Cから切刃4,4が延びるように形成され、従って個々の切刃4の切刃長は1辺稜部の半分程度と短くされるので、副ドット9からコーナ部Cとは反対側の部分における切刃4の長さも短く、このため上述のような段差部22を設けなくても、切屑をこれら副ドット9や主ドット8,21あるいはブレーカ10によって確実に処理することができる。その一方で、図22に示すように、同じ菱形平板状のチップ本体19を有していても上記鋭角をなすコーナ部Cの角度が35°と鋭くされている場合には、切刃4とブレーカ10との間に元々大きな間隔があけられること自体がないので、上記段差部22は、コーナ部Cの角度が上述のように55°や60°程度とされた菱形平板状のチップ本体を有するチップにおいて設けられるのが効果的である。