JP4618886B2 - サンプル中の標的の検出 - Google Patents
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Description
[発明の分野]
本発明は、サンプル中の標的(たとえば、生物学的実体)を測定するための装置、システム、方法ならびにキットに関する。
【0002】
[発明の背景]
サンプル中の生物学分子、細菌、ウイルスおよび細胞などの生物学的部分の検出は医学、産業および防衛などの分野においては日常的な手順となっている。医学においては、血液サンプル、尿サンプルなどである、患者から得られるサンプル中の臨床上また生物化学的に重要な分析物をモニターするために、検出は日常的に実施されている。
【0003】
典型的に、タンパク質などの生物学的分子の検出は、ELISA法、ラジオイムノアッセイ法などの周知の免疫検定技術を用いることにより実施される。
【0004】
サンプル中の特異的DNAまたはRNA配列の存在についての検定法には、患者における微生物感染の検出、汚染を検出するための食物または環境上のサンプルの分析、変異によって引き起こされる遺伝的疾患の検出などを含むさまざまな適用法がある。多数の異なる核酸配列の同時検出、すなわち、さまざまな生物体の完全なゲノムの配列決定がゲノム計画において、とくにヒトゲノム計画で重要になってきている。こうした配列決定は典型的には、多数の、短くて、部分的に重複している核酸配列の検出を含み、そしてそれにもとづいて全遺伝子地図が構築される。「ハイブリダイゼーションによる配列決定」(SBH)と呼称されるこうした技術には、長いDNA分子を加水分解してより小さな断片にすることと、そののちの短いプローブの配置(array)によるハイブリダイゼーションが含まれる。もう1つの適用には、遺伝子発現および診断のための、多数の異なった核酸配列の同時検出が含まれる。
【0005】
サンプル中の特異的DNAまたはRNA配列の存在は、DNAまたはRNA配列により特異的なハイブリダイゼーションが可能な標識プローブによって検出することができる。しかし、プローブによる直接的な検出は現在の技術では、標的DNAまたはRNAが比較的高い濃度のものに限定されている。この問題を克服するために、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法、LCR(リガーゼ連鎖反応)法および3SR(自己維持配列複製(self-sustained sequence replication))法を含めた、核酸配列を増幅するための方法が開発された。増幅方法はすべて、かなりの時間と労力とを費やし、増幅酵素の活性および複雑な実験装置に対する特定の条件が必要となる。
【0006】
サンプル中の分析物の濃度を直接測定することができる電気化学的センサを開発する試みがなされてきた。センサは一般的には、分析物との相互作用の結果として、物理的、電気的または光学的特性における変化を検出する。
【0007】
米国特許第4,314,821号明細書は、ピエゾ電気振動子の共振動数における変化にもとづき、抗体の振動子への結合として、サンプル中の抗体を検出する1つのシステムを開示している。米国特許第4,822,566号明細書は、被検物の生物化学的宿主系に対する生物特異的結合がセンサの誘電特性を改変することによって、流動媒体における被検物の存在を検出し、および/または分析物の濃度を測定するための1つの装置を開示している。
【0008】
米国特許第5,312,527号明細書は、電流測定電極に固定される1つの相補的配列に結合する、サンプル中の標的ポリヌクレオチド配列の検出のためのボルタンメトリーセンサを開示している。電極の電気的反応における変化が、サンプル中の標的配列の存在を示し、さらに固定されたヘテロ二本鎖をボルタンメトリー的に検出するための手段が含まれる。
【0009】
WO9744651号は、電極と脂質二層膜とからなるバイオセンサの使用を含む、サンプル中の特定核酸配列検出のための装置を開示している。その膜は、イオンチャンネルおよびイオノフォアの組込みに適している電極/イオン溜め/絶縁二層の組み合わせに集約される、修飾された脂質分子から構成される。こうした膜のコンダクタンスは、分析物が存在するか、または存在しないかによる。特定の核酸配列が存在する場合は、その後に測定される膜のインピーダンスが変化する。
【0010】
WO90/05300に対応する米国特許第5,284,748号明細書は、電気回路を改変する結合反応を利用することにより、結合の発生または特定物質間の複合体形成反応を検出し、またその後にその回路の電気的な状態における変化を測定するための方法を開示している。この方法によると、抗原などの生物遺伝的物質が、非導電性基板上に被せられ、その基板上に重ねて載せられている一対の電極の間に置かれる。抗原と特異的に結合する抗体などのほかの生物遺伝的物質は、導電性粒子に結合するように、事前に処理される。それらに結合する抗体を有する粒子は、そののちに非導電性基板上に置かれる抗原層に添加される。導電性粒子は、それによって、また抗原と抗体の間の結合により、その基板に結合し、したがって、その回路を改変する電気的に導電性のある粒子の集合体を形成する。その粒子はそののちに前記粒子にだけ本質的に結合する導電性物質により選択的に被覆することができ、また2つの電極により形成される電気的回路およびそれらのあいだに形成される凝集塊の導電性を向上させるため、電極間の経路のそのほかのものとは結合しない。
【0011】
[用語解説]
以下に、いくつかの用語に関する使用法が作成されているが、それらとそれらの意味は以下の通りである。
【0012】
生物学的実体−生物学的起源に由来する実体であって、また生物学的分子(核酸、タンパク質、脂質、抗体、ホルモンなど)、いくつかの生物学的分子の複合体、細菌、ウイルス、細胞(多細胞または単細胞生物体の)、細胞オルガネラ(核、ヌクレオザイム、ミトコンドリア)である。
【0013】
親和性グループ−少なくとも2つの実体のグループであって、そのうちの少なくとも1つは生物学的実体であって、互いに特異的に結合(以下を参照)することができるグループ。親和性グループの例は、核酸配列の2本の相補鎖;抗体−抗原、リガンド−受容体;酵素−基質、糖タンパク質−レクチン、細菌とその抗体;DNA−DNA結合タンパク質などである。非生物学的実体を含有する親和性グループの一例は、抗体とその特異的非生物学的ハプテンである。
【0014】
結合−親和性グループの少なくとも2つのメンバーの間の非共有特異的相互作用(イオン性、ファンデルワールス性、水素性、疎水性など)であって、たとえば、核酸配列とその特異的相補配列間の相互作用、1つの抗体とその抗原の間の相互作用である。
【0015】
標的−サンプル中の検定されるべき実体である。生物学的または非生物学的実体であり得る標的は、認識部分(以下を参照)であるほかのメンバーとともに親和グループの1つのメンバーである。標的はサンプルの中に元々存在している非修飾被検物であり得、または標的は、その認識部分に対するその結合親和性を改善するために修飾された、および/または核生成−中心形成実体(以下を参照)もしくは、核生成−中心形成実体(以下を参照)がその後に結合し得る1つのグループのそれらとの結合により修飾されたかのいずれかの、そういった被検物である。
【0016】
認識部分−標的を特異的に結合させる実体。標的および認識部分は、したがって、1つの親和性グループの2つのメンバーである。認識部分はサンプル中にある標的の検出の用途で使用される。認識部分は電極(以下を参照)、または2つの電極間に置かれている基板に付着(以下を参照)させることができる。
【0017】
結合部分−認識部分か、または非特異的な様式で、もしくは半特異的な様式(共通の特性を示す実体のグループに結合することを意味する半特異的結合であって、たとえば、特定電荷を有する分子に対する結合、一般的にmRNAに対する結合、抗体の1つのクラスに対する結合、たとえばすべてのヒトIgG抗体に対する結合など)で、標的に結合することができる部分のいずれかに集合的に用いられる用語である。
【0018】
付着(付着させる)−認識ないしは結合部分と基板(たとえば、電極および/または電極間の基板)との間の相互作用であって、それによって前記部分が前記基板上で固定されるようになる。その相互作用は共有または非共有結合によるものであってよい。
【0019】
導電性架橋−電流を伝導する少なくとも2つの電極の間の物理的連結である。導電性架橋は、少なくとも1つの電極上、または両電極の間にある基板上に存在する認識部分が、認識部分と標的との間で複合体を形成するために標的に結合する場合にのみ、電極間で形成することができる。認識部分と標的との複合体は、その複合体に結合される核生成−中心形成実体(以下を参照)とともに、導電性架橋を産み出すために電極間にある導電性物質の増殖に対する基盤として役に立つ。代替的には、複合体は、重合に際して、導電性ポリマーを形成する重合可能な単量体の結合に対する1つの基盤として役立たち得る。1つの導電性架橋は、本明細書においては、「ワイヤ」と呼称されることもときとしてある。
【0020】
核生成−中心形成実体−導電性物質の特異的な析出を可能にする、または導電性物質の増殖に関する触媒として役に立つ実体である。核生成−中心形成実体は、たとえば、標的に事前に付着させたグループに特異的または非特異的に結合することを可能にする部分を有することにより、検定セット上の標的−認識部分複合体に特異的に結合する。核生成−中心形成実体はまた、標的が検定セット上の認識部分と複合化される前にその標的に付着させることができる。核生成−中心形成実体の実施例は、金コロイド、ほかの金属コロイド、または金もしくは他の金属原子含有種、あるいは共役ポリマー形成前駆体である。核生成−中心形成実体は、たとえば、ビオチングループを有する標的実体に結合することができるストレプトアビジンに、またはあるいは、抗二本鎖DNA抗体に付着することができる。
【0021】
電極−金属もしくは何らかのそのほかの導電性材料で作られ、または金属ないしは導電性材料により被覆されてよい導電性基板であり、認識ないしは結合部分を外的電子ないしは電気的構成要素ないしは回路に結び付けるのに役立ち、したがって、外的構成要素または回路との入力/出力(I/O)インターフェイスとして役立つ。
【0022】
ときとして「電気または電子モジュール」と呼称される外部回路、外部構成要素−両電極に対して電気的に外部に位置している、電子もしくは電気回路、または電子もしくは電気構成要素であって、典型的には、標準的な固体状態の微小電子構成要素を含む、先行技術の電気もしくは電子構成要素からなる。
【0023】
リンカー−認識部分と電極もしくは基板との間の物理的連結を提供する際に作用し、したがって電極または基板に認識部分を付着させることに役立つ媒介物(agent)(分子、分子の複合体、超分子構造、巨大分子、集合体、コロイド粒子、分子クラスターなど)である。リンカーは、一方では、電極もしくは基板への、また他方では、認識部分への共有または非共有固定(たとえば、複合化もしくは吸着など)のための化学的基を有してもよい。リンカーの実例は、核酸結合タンパク質、特異的核酸配列に結合する能力を有する合成分子、たとえば、電極に結合することを可能にするために「付着末端」を有し、またその他方末端で修飾されている短い、一本鎖、もしくは多量鎖の核酸配列(たとえば、オリゴヌクレオチド)、被覆アルキルシランのような非生物学的分子などである。
【0024】
サンプル−その中にある標的の存在に関して試験されるべきものである媒質(medium)である。典型的には血液、尿、ミルク、食物懸濁液などの生物学的源から得られる液体である。
【0025】
検定すること(検定)−サンプル中の標的の定性的および/または定量的測定の両方に対して集合的に用いられる用語である。
【0026】
検定装置−標的の検定に使用される装置である。
【0027】
[発明の概要]
本発明は、サンプル中の標的を検出するための新規な概念に基づいている。本発明は、物理的に互いに離れている1つまたはそれ以上の電極のセットからなる検定装置からなるシステムを活用している。各電極セットは、そのセットのうちの少なくとも1つの電極上か、または電極間の基板上か、または両電極上かのいずれかに固定されている認識部分とともに、検定セット(本明細書中、以下、「検出部位」とも機会があるごとに呼称される)を形成する。システムはさらに、セットの少なくとも2つの電極間にある導電性架橋の形成を決定することができる外部回路(電気ないしは電子モジュール)からなる。導電性架橋の形成は、本明細書中、以下で説明されるように、認識部分と標的との間に複合体が形成される場合のみ、電極間の導電性物質を増殖するための試薬の存在下で起こる。電極間の電流、コンダクタンスまたは抵抗の測定により前記導電性架橋の形成が示され、その形成はまたサンプル中の標的の存在に依存する。言い換えれば、サンプル中の標的の存在下で、電気的に導電性のある架橋が電極間で作り出され、ついで電気または電子回路を利用する電気的測定を行なうことにより検出される。最低限、本発明のシステムを利用する検出測定法により、サンプル中の標的の存在に関する定性的結果、すなわち、「はい」または「いいえ」の答えが出される。ほかのケースでは、電位/電流の関係を、本明細書中、以下で詳細に説明されるように、サンプル中の標的の濃度に関するゲージとして、役立たせることができる。
【0028】
本発明のある局面によると、導電性架橋は、認識部分と標的との間に形成される複合体上に結合されるかまたは置かれるかのいずれかである核生成−中心形成実体上の導電性物質を増殖させることにより形成される。
【0029】
前記第1局面によれば、本発明は、サンプル中の1つまたはそれ以上の標的を検定するためのシステムであって、
(a)1つまたはそれ以上の検定セットを有し、検定される各標的に対して少なくとも1つの検定セットを有する検定装置であり、各検定セットは、少なくとも2つの電極ならびに、少なくとも2つの電極の1つまたはそれ以上に、および/または少なくとも2つの電極間の基板上のいずれかに固定されている認識部分からなり、該認識部分は標的の1つに特異的に結合する能力を有する検定装置、
(b)各検定セットの少なくとも2つの電極間の電気的コンダクタンスを測定するための電気または電子モジュール、および
(c)前記認識部分と前記標的との間に形成される複合体上に置かれるまたは結合される核生成−中心形成実体から導電性物質を増殖させるための薬剤であって、該物質が1組のセットの少なくとも2つの電極間に導電性架橋を形成する薬剤からなるシステムを提供する。
【0030】
核生成−中心形成実体の例は、金、白金、ロジウム、ルテニウムなどの金属粒子のコロイドだけでなくそのような金属のクラスターおよび複合体である。
【0031】
装置上において標的と認識部分との間に形成される核生成−中心形成実体含有物は、核生成−中心形成実体がその形成後、複合体に結合することを可能にすることか、あるいは、サンプルを、標的への核生成−中心形成実体の付着を可能にる装置に接触させる前に、該核生成−中心形成実体と反応させることのいずれかにより達成され得る。一実施態様によれば、核生成−中心形成実体は直接複合体または標的に結合する。あるいは、核生成−中心形成実体は標的または複合体上の特異的な部分を認識する試薬に結合される。たとえば、核生成−中心形成実体はアビジンに結合され、また標識は、そののちもう一方にそれが結合できるようにビオチン実体からなる。このようなビオチン実体は、サンプルと適当な試薬との反応の前ステップによって被検物に結合されてもよい。前期ビオチン−アビジンの例では、核生成中心はサンプル中でフリーの標的に、または複合体に添加されてもよい。標的および認識部分の両方が一本鎖核酸配列である場合に適用可能なもう1つの例は、二本鎖核酸配列に対する抗体に付着された核生成−中心形成実体である。このような場合には、核生成−中心形成実体が、標識と認識部分との間に形成される複合体に付着される。
【0032】
本発明のもう1つの局面では、本発明の導電性架橋は導電性ポリマーである。その場合、本発明は、サンプル中の1つまたはそれ以上の標的を検定するシステムであって、
(a)1つまたはそれ以上の検定セットを有し、検定される各標的に対して少なくとも1つの検定セットを有する検定装置であり、各検定セットは、少なくとも2つの電極ならびに、少なくとも2つの電極の1つまたはそれ以上に、または少なくとも2つの電極間の基板上のいずれかに固定されている認識部分からなり、該認識部分は標的の1つに特異的に結合する能力を有する検定装置、
(b)各検定セットの少なくとも2つの電極間の電気的コンダクタンスを測定するための電気または電子モジュール、および
(c)前記認識部分と前記標的との間に形成される複合体上に結合することができる導電性ポリマーのモノマーからなる薬剤であり、それによってモノマーの重合化の際に1組のセットの少なくとも2つの電極間に導電性架橋が形成される薬剤
からなるシステムを提供する。
【0033】
一実施態様では、ポリマーは前導電性(priori conductive)である。もう1つの実施態様では、ポリマーはドーピングのステップによって導電性になる(ポリマーを導電性にするためのドーピングのやり方は当業者に周知である)。
【0034】
この実施態様の一例は架橋としてのポリアニリン形成の使用である。
【0035】
たとえば、ビオチンはサンプルに標的が存在すれば、標的に共役できる。ついで、ペルオキシダーゼ−ストレプトアビジン複合体を、この複合体が、標的と認識部分との間の複合体からなる検出検定にのみ結合するように、ハイブリダイゼーション後に添加する。そののち、アニリンおよびペルオキサイド源が、ペルオキシダーゼが存在する場所でのみ重合化ができるように添加され、そして、最終的に、導電性を付与するためのポリマーのドーピングによって処理が完了される。
【0036】
あるいは、もう1つの例では、導電性ポリマーは、前記説明したように標的か、または認識部分と標的との間の複合体のいずれかに結合され得る核生成−中心形成実体を利用して成長され得る。
【0037】
標的は1つまたはそれ以上の核酸配列であってよく、その場合には認識部分は、標的配列の少なくとも一部に相補的な核酸を有するオリゴヌクレオチドであってもよい。
【0038】
標的が核酸配列である場合、検定装置は核酸チップ、たとえばDNAチップの形態でよい。
【0039】
標的は、糖、ホルモン、タンパク質またはタンパク質様基質などの非核酸配列でもよい。標的がタンパク質の場合、認識部分は抗体、または完全な抗体のタンパク質結合特性を保持したままの抗体断片のようなタンパク質結合物質でよい。検定装置はその場合、抗体チップの形態でよい。
【0040】
本発明のシステムの特徴は、もし、標的と認識部分との間の複合体が2つの電極間に物理的接続を形成しなくても、2つの電極間の完全な導電性架橋の形成を可能にする(核生成−中心形成実体およびそこでの導電性基質の層の成長か、または2つの電極間での導電性ポリマーの形成のいずれかを利用して)。たとえば、もし、認識部分が1組のセットの2つの電極間に存在する基板に固定されている場合、標的(核生成−中心形成実体を有する)と認識部分との間に形成される複合体は2つの電極間は物理的には接続されない。核生成−中心形成実体は導電性基質が増殖する核として役立つと考えられ、最終的には、2つの電極間は電極間の導電性架橋の形成によって接続される。したがって、本発明のシステムは、高感度で、1組の検定セットの電極間または電極上に形成される標的と認識部分との間の複合体がほどんどない、または1つだけある場合にさえ、導電性架橋の形成が可能である。
【0041】
このシステムの電極またはこのシステムの一部ではないほかの電極が、認識部分に荷電標的を向ける(directing)ための電場を作り出すのに使用されてもよい。したがって、本発明の一実施態様によれば、電気または電子回路が測定電極と同じかまたは測定電極とは異なった電極かのいずれかにより、こうした電場を作り出すために適応される。電場はまた、検定セットの電極の間に架橋を形成するステップにおいて助けとなり得る。
【0042】
本発明はさらに、サンプル中の標的を検定するための方法に関する。本発明の方法は、本発明のシステムの第1局面の概念にもとづいてもよく、導電性層は、認識部分と標的の間の複合体に置かれるかまたは結合される、核生成−中心形成実体上に形成される。したがって、本発明は、サンプル中の1つまたはそれ以上の標的を検定するための方法であって、
(a)1つまたはそれ以上の検定セットを有し、検定される各標的に対して少なくとも1つの検定セットを有している検定装置であり、各検定セットは少なくとも2つの電極と、少なくとも2つの電極の1つまたはそれ以上に対して、または少なくとも2つの電極間の基板上のいずれかに固定される認識部分とからなり、該認識部分が標的のうちの1つに特異的に結合する能力を有する装置を提供するステップと、
(b)特異的な認識部分への標的の結合を可能にする条件下で前記サンプルと前記測定装置とを接触させるステップ、
(c)標的と認識部分との間に形成される複合体上に核生成−中心形成実体を形成するために第1の試薬溶液と前記装置とを接触させるステップ、
(d)前記少なくとも2つの電極の間に導電性架橋を産み出すのに十分な時間の間、前記核生成中心から導電性金属物質を増やすために第2の試薬溶液と前記装置を接触させるステップ、
(e)前記少なくとも2つの電極間のコンダクタンスを測定する電気または電子モジュールに対して前記少なくとも2つの電極を接触させるステップ、および
(f)閾値コンダクタンスを超えるコンダクタンスは、サンプル中のそれぞれの標的の存在を示す、前記少なくとも2つの電極間のコンダクタンスを測定するステップ
からなる方法を提供する。
【0043】
あるいは、核生成中心は、サンプル中に存在しているあいだは遊離標的へ付着、または遊離標的上に析出されてもよい。そして、その場合本発明はサンプル中の1つまたはそれ以上の標的を検定する方法であって、
(a)サンプル標的を、該標的に核生成−中心形成実体を結合させるために、第1の試薬溶液と反応させるステップ、
(b)1つまたはそれ以上の検定セットを有し、検定される各標的に対して少なくとも1つの検定セットを有している検定装置であり、各検定セットは少なくとも2つの電極と、少なくとも2つの電極の1つまたはそれ以上に対して、または少なくとも2つの電極間の基板上のいずれかに固定される認識部分とからなり、該認識部分が標的のうちの1つに特異的に結合する能力を有する装置を提供するステップ、
(c)特異的な認識部分への標的の結合を可能にする条件下で前記サンプルと前記測定装置とを接触させるステップ、
(d)前記少なくとも2つの電極の間に導電性架橋を産み出すのに十分な時間の間、前記核生成−中心形成実体から導電性金属物質を増やすために第2の試薬溶液と前記装置を接触させるステップ、
(e)前記少なくとも2つの電極間のコンダクタンスを測定する電気または電子モジュールに対して前記少なくとも2つの電極を接触させるステップ、および
(f)閾値コンダクタンスを超えるコンダクタンスは、サンプル中のそれぞれの標的の存在を示す、前記少なくとも2つの電極間のコンダクタンスを測定するステップ
からなる方法を提供する。
【0044】
その方法は本発明の方法の第2の局面にもとづいていてもよく、その場合、導電性架橋は導電性ポリマーで構成される。したがって、本発明はサンプル中の1つまたはそれ以上の標的を検定する方法であって、
(a)1つまたはそれ以上の検定セットを有し、検定される各標的に対して少なくとも1つの検定セットを有している検定装置であり、各検定セットは少なくとも2つの電極と、少なくとも2つの電極の1つまたはそれ以上に対して、または少なくとも2つの電極間の基板上のいずれかに固定される認識部分とからなり、該認識部分が標的のうちの1つに特異的に結合する能力を有する装置を提供するステップ、
(b)特異的な認識部分への標的の結合を可能にする条件下で前記サンプルと前記測定装置とを接触させるステップ、
(c)前記装置に、前記モノマーが標的と認識部分との間に形成される複合体に結合するように導電性ポリマーのモノマーからなる第1の試薬溶液を接触させるステップ、
(d)前記モノマーが導電性ポリマーを形成するために重合するように前記装置を処理し、それにより少なくとも1つの検定セットの少なくとも2つの電極の間に導電性架橋を形成するステップ、および
(e)閾値コンダクタンスを超えるコンダクタンスは、サンプル中のそれぞれの標的の存在を示す、前記少なくとも2つの電極間のコンダクタンスを測定するステップ
からなる方法を提供する。
【0045】
該方法は、ステップ(a)の前に以下のステップ(a0):
(a0)サンプルを、前記モノマーから導電性ポリマーがその実体から成長するための核生成中心を形成できる実体を含有する第2溶液と反応させ、それによって該実体が、サンプル中に前記標的が存在する場合に該標的に結合するステップを有していてもよい。
【0046】
あるいは、該方法は(a)の後に以下のステップ(a1):
(a1)前記検定装置に、前記モノマーから導電性ポリマーがその実体から成長するための核生成中心を形成できる実体を含有する第2試薬溶液を接触させ、それにより該実体が、前記認識部分に結合された場合は、前記標的に結合するステップ
を有していてもよい。
【0047】
システムとの関連において説明すると、この方法の状況においては、核生成−中心形成実体は、標的もしくは複合体に直接付着されてもよく、または、たとえば、ビオチン−アビジン抗体、そのほかなどの部分の使用によって間接的に標的もしくは複合体に付着されてもよい。
【0048】
本発明の方法のいずれかによるコンダクタンスの測定は、本明細書中で以下に説明されるように、濃度を測定するのに使用することができる。さらに、複数の検出部位が使用されてもよく、そこでは導電性部位の割合が、本明細書中で以下に説明されているように、濃度を示すものである。
【0049】
「測定」または「測定する」という用語は、架橋の程度を測定することも意図されている定量的な測定に対してだけではなく、架橋の形態において歪曲するための(「はい」または「いいえ」の答えに到達するための)定性的測定の両方に対して集合的に呼称されていると理解すべきである。
【0050】
検定装置は、少なくとも2つの電極と1つの認識部分をそれぞれ有する、1つまたはそれ以上の検定セットからなる。一実施態様によれば、各検定セットの少なくとも1つの電極、好ましくは2つの電極は、その上に固定された認識部分を有している。各検定セットのほかの電極は、その上に固定された結合部分(すなわち、半特異的ないしは非特異的なやり方で標的に結合することができる部分)、またはそれに標的が非特異的に結合することを可能にしている表面特性を有している結合部分を有している。認識部分は、検定セットの少なくとも2つの電極上に固定されている場合は、これらの認識単位は同じでもよく異なっていてもよい(同じ標的には結合するが)。たとえば、ある認識部分は、標的の1つのエピトープに特異的に結合することができ、またほかの認識部分が別のエピトープに特異的に結合することができると考えられる。1つの特異的な例は核酸配列の場合であって、そこでは、ある認識部分は、標的核酸配列の一部のそれに相補的である1つの配列からなり、またほかの認識部分は、標的核酸配列の別の部分に相補的である1つの配列からなる。
【0051】
もう1つの実施態様によれば、認識部分は、2つの電極の間に存在する基板上に固定される。
【0052】
本発明はまた、サンプルの中の1つまたはそれ以上の標的を測定するための電気的装置に関する。該装置は、
N1導体の第1群とN2導体の第2群からなり、それらの間にN1×N2接続部を定義している構成回路と、2つの電極からなる電子モジュールにより形成され、各1つは導体の1つの構成部分として連結または定義され、また導体の第1群から導体の第2群への方向にのみ電子モジュールを通じて電流が流れることを可能にするダイオードもしくは非線形構成要素からなるこうした各接続部であって、それによって第1群の1つの導体と第2群の1つの導体の間を流れる電流がそれらの間の単一接続点を定義しているが、その接続部と、検定セットの一部を形成している各一対の電極と、電極の少なくとも1つかまたはその電極間に配置される非導電性物質かのいずれかに結合される認識部分を有する各検定セットと、からなる。
【0053】
本発明の電子装置は、本明細書中で以下に説明されているように、サンプル中の異なった複数の標的を測定するため、サンプル中の単一の標的の濃度を測定するため、またはサンプル中の異なった複数の標的の濃度を測定するために使用してもよい。
【0054】
本発明の電子装置はまた、「ノイズに対するシグナルの割合」を最適化するために使用されることがあり、したがって、本明細書で以下に説明されているように、サンプル中で各標的が異なった濃度で存在する複数の標的を同時に検定する際に、動態範囲(dynamic range)を拡張するために用いられてもよい。
【0055】
典型的には、その電子装置は、導体の第1群がX軸で、また第2群がY軸で、多重化試験が可能である場合には、配置の形態になっている。本発明の電子装置の長所は、各検定セットの中心から隣接する検定セットの中心の間の距離が100μM以下であるようなその小さな寸法であり、したがって、比較的小さな面積の中に複数の検定セットの形成を可能にしている。
【0056】
本発明の装置における検定セットは、非導電性基板上に二次元配置として形成されてもよい。しかし、好ましくは、各検定セットの電極を、非導電性(すなわち、絶縁性)層によってもう1つから分離されている基板の導電性層の開放端にする。こうした装置は、前述のように非導電性層により分離されている導電性層から構成される複数層基板から形成され、電極は、層に対して基本的に直角の方向に、穴を開けるか、または基板の中に開口部を切って開けるか、または基板の部分を切り取るかのいずれかにより形成される。認識部分は、導電性層の開放端上に固定されるか、または導電性層の2つの開放端(電極)の間の非導電性層の開放端に固定されてもよい。
【0057】
検定を行なうときには、標的の検出のため、導電性架橋の形成により、サンプル中の標的の存在が示される。当業者には明らかであることであろうが、電気的に小さなコンダクタンスが、したがって電極の間に電圧印加する場合には電流が、制御条件下(たとえば、サンプルの標的がない測定条件と同じ条件下)でも検定セットの電極間に存在することもある。このように、電流の存在を本明細書中で論じる場合はいつも、制御条件下でよりも大きい電流であることを意味していると理解すべきである。検定は、全部かもしくは無かというように(「はい」か「いいえ」という答えを与えるため)標的の検出に限定される一方で、本発明のいくつかの実施態様によると、検定はまた、サンプル中の標的の含有量の定量的測定、たとえば、その量(分量または濃度)を測定する目的で行なうこともある。
【0058】
定量的測定は、複数の検定セットを使用することによって実施され得る、すべての認識部分は、同じ標的に結合することが可能である。同じ標的に結合することができるすべての検定セットは、通常、1つの空間的に別々の領域において、本発明の電子装置と一緒にグループ化されそれらがグループ化される領域を「ハイブリダイゼーション部位」と呼ぶ。ハイブリダイゼーション部位における各個々の検定セットは本明細書中で以下「検出部位」と称される。単一のハイブリダイゼーション部位における電気を伝導する検出部位の割合は、サンプル中の標的の分量または濃度に対する割合であることになる。
【0059】
電子装置は、複数のハイブリダイゼーション部位(すなわち、複数の検定セットのグループ、各グループ中のセットはすべて、同じ標的に結合するために認識部分を有している)からなる場合には、そのシステムは複数の異なった標的に対する同時に測定することができ、また、1つのハイブリダイゼーション部位において導電性である検出部位の割合を測定することにより、サンプル中の各標的の量を同時に出すこともできる。
【0060】
さらに、前記に示されているように、ハイブリダイゼーション部位ではいくつかの検定セット(すなわち、検出部位)は、標的がない場合であっても導電性であることもあるので、複数の検出部位が各ハイブリダイゼーション部位(1つの標的の検出に適している)に対して有用であるという事実は、「シグナルに対するノイズの割合」を改善することを可能とする。その割合がある一定の閾値以上である、検出部位の所定の割合が電流を伝導する場合のみ、これは、その後に、正の結果(すなわち、サンプル中の標的が存在すること)を示すものとみなされるであろう。この閾値は、すべてのハイブリダイゼーション部位に対して同一である必要はない。たとえば、サンプル中に豊富であると予測される標的を検定するためのハイブリダイゼーション部位については、閾値は、検出部位(検定セット)の導電性が50%に設定されることが考えられるが、一方、サンプル中に稀少であると予測される別の標的については、その閾値は検出部位の導電性が15%に設定されることが考えられる。したがって、本発明の電子装置の「動態範囲」は非常に広範であると考えられる。
【0061】
異なった感度であるが、同じ標的を検定するために設計される複数のハイブリダイゼーション部位すべてにより装置を形成することも可能である。たとえば、ある部位は、認識部分の高分量により、または、サンプル中の標的の低濃度の存在下であっても1つのシグナルを起こすであろう標的により高い親和性を有する認識部分により形成されることがある。一方、ほかの部位は、認識部分の低分量により、または標的により低い親和性を有する認識部分により形成されることが考えられ、したがって、前者の部位に比較して、濃度範囲を超えて標識の定量的な測定を可能にする。こうした装置であれば、標的の濃度は、数倍まで1つのサンプルからほかのものまで、バラツキがあると考えられる数多くの異なったサンプルを測定する用途の単一装置の使用を可能にする。
【0062】
本発明による装置は、1つまたは複数の検定セットからなり得る。複数の検定セットの場合、すべて同じ標的特異性を有し、すなわち、複数の検出部位を備えた単一ハイブリダイゼーション部位を有してもよい(すなわち、すべての検出部位の認識部分は同じ標識を結合する)。前記で指摘されているように、この場合では、異なった検定セット(検出部位)における電極間の架橋の程度は、その後に、サンプル中の標的の濃度に関する定量的な測定法として役立たせることが考えられる。あるいは、装置は、異なった標的特異性を備えた認識部分を有することによってそれぞれが特徴付けられる2つまたはそれ以上のグループからなり、対応する2つまたはそれ以上の異なった標的実体(たとえば、異なった核酸配列)のパネルを検定するための多重化検定において装置は有用となる。
【0063】
たとえば、各検定セットまたは検定セットのグループは、1つの異なったヌクレオチド配列に対して特異的である。こうした電子装置は、さまざまな多重化診断適用において有用であり得、すなわち、いくつかの標的の同時検出、異なった検定セット(たとえば、無作為に調製される核酸配列であるが、それぞれ1つの異なった検定セットにおける認識部分を形成する)における認識部分の1つにそれが結合すること(また、したがって架橋形成)によって特徴付けられる、未知の標的の検出において有用である場合がある。1つの特定の実施例は、高度スループット検定の場合であって、たとえば、1つの分子、たとえば別の分子に特異的に結合するペプチド、たとえば受容体を見つけ出すという目的、未知のヌクレオチド鎖(たとえば、ゲノム配列)の配列決定のための検定、そのほかの目的があるこうした測定である。配列決定検定の場合、複数の異なった配列は、異なった検定セットの電極に対するリンカーによって付着することができ、またその後に特異的検定セット(そこでは特異的な核酸配列が認識部分として役に立っている)において形成される架橋が特定の配列を同定する。
【0064】
標的は、タンパク質、核酸配列、ペプチド、有機分子、大きな巨大分子複合体、細胞膜、そのほか多数を含むさまざまな広範な実体のいずれか1つであり得る。細胞、細胞膜、ウイルス粒子、巨大分子複合体、そのほかなどの大きな実体の場合は、大きな実体の全体または認識部分に結合するそのほんの一部を、標的としてみなすことが可能である。たとえば、微生物の場合、微生物全体を標的としてみなしてもよく、または認識部分がその細胞の表面上にある特異的な抗原に結合する場合には、ときとして、こうした抗原を標的としてみなすことができる。
【0065】
標的の性質により、認識部分は、一本鎖核酸配列もしくは付着末端を備えた二本鎖配列、抗体、受容体、レクチン、糖、抗原、そのほかであり得る。認識部分およびその標的はこのように、親和性グループのメンバーである。つまり、その親和性グループの1つのメンバーは標的であり、そのグループのほかのメンバーは、認識部分として役に立つ。
【0066】
認識部分は、一方では固体の基板に付着させることができ、また他方では、認識部分に対して共有結合もしくは複合化することができる広範なさまざまな分子から選択可能なリンカーを使用することによって、電極および/またはその電極間に存在する非電極基板上に固定され得る例は、硫黄含有部分により金、銀、プラチナ、そのほかなどの金属基板に関連してビームを放つことができるさまざまな硫黄含有分子である。こうしたリンカーは、認識部分に共有結合されるか、またはそれに対して複合化されることが考えられる。
【0067】
1つのセットの電極間の電気的コンダクタンスの測定は、電流−電位の関係を測定することにより、または架橋により電流の通過を示すほかの測定を行なうことにより、直接的に実施することができる。たとえば、架橋は導電性電流に加えて、これは光も放射する様式で処理されてもよく、その場合には、架橋の電気的な接続性は光の放射により測定してもよい。
【0068】
ここで、本発明は、添付の図面をときには参照して以下の詳細な説明のなかで図示説明される。理解されることであろうが、以下の説明は例示的なものであり、添付の請求項に定義されているような本発明の範囲を制限するように解釈すべきものではない。
【0069】
[発明の詳細な説明]
最初に参照されるのは、1つの電気または電子回路108に接続されている2つの電極104および106を備えた単一検定セットから構成される本発明のシステムの一部を形成する検定装置102を図示する図1である。電極104および106上に固定されているのは、認識部分110および112である。(a)には、電極104と106との間に電気的な接触はない。
【0070】
検定装置102が、標的114からなるサンプルと接触するとき、経路116が、2つの電極104および106の間に形成される。それに続くステップ(以下を参照)により、導電性架橋が形成され、電流は、B方向の矢印118(b)により表わされているように、モジュール108の2つの末端の間にあるその架橋を通じて流すことができる。図1に示されている実施態様においては、検定セットは2つの電極からなる。
【0071】
図2においては、異なる実施態様が図示されており、検定セット122は、そこに固定されている3つの異なる認識部分130、132および134をそれぞれ有する3つの電極124、126および128からなる。これら3つの電極は電気または電子制御モジュール136に接続される。各固定された認識部分130、132および134は標的138の異なる領域に結合することが可能である。
【0072】
装置(a)が標的138を含有するサンプルと接触する場合は、標的実体は、(b1)、(b2)および(b3)の下に略図的に図示されている様式の1つで異なる電極に結合することができる。導電性架橋を産み出すために引き続き行なわれるステップの後、電流は、矢印140、142および144により図示されているように、形成された導電性架橋を通じて流すことが可能である。形成された回路のうちの1つ、すなわち、モジュール136の末端146−148、146−150の間、または148−156の間のいずれかにおける電流の測定が、標的上の情報を産生する。
【0073】
図3A〜3Eは、本発明のさまざまな実施態様による検定セットのさまざまな配置を示す。図3Aに示されている検定セット160においては、電極162および164のそれぞれは、そこに認識部分166および168をそれぞれ固定している。たとえば、認識部分166、168は、標的核酸配列170における末端配列に相補的なオリゴヌクレオチドであることが考えられる。
【0074】
図3Bにおいては、検定セット172の2つの電極174および176のうち、前者のみが、そこに1つの認識部分175、たとえば、標的核酸分子178の末端配列に相補的であるオリゴヌクレオチドを固定している。標的核酸分子178は、認識部分175に特異的に結合しており、また電極176には非特異的に、ないしは半特異的に結合する。
【0075】
図3Cは、標的190の異なる抗原性エピトープを認識する、この特定の実施態様のなかでは異なる抗体である固定認識部分186および188を伴い2つの電極182および184を有する検定セット180を図示する。
【0076】
図3Dに図示されている検定セット192は、2つの電極194および196を有しており、そのそれぞれが、この特定の場合においては、短いオリゴヌクレオチド202である標的に対する認識部分を構成するその末端配列である、比較的長いオリゴヌクレオチド198および200をそれぞれ、その電極に固定している。
【0077】
図3Eに図示されている検定セットは、それぞれそこに固定されている認識部分216および218を有する2つの電極212および214から構成されている。
【0078】
図3A〜3Eに図示されているすべての実施態様においては、認識部分は検定セットの少なくとも1つの電極上に固定される。図4A〜4Cに図示されている検定セット222と234と244の実施態様の場合に対しては、それぞれの電極224と226、236と238、245と246上には固定されていない。この場合はむしろ、検定セット222、235および244が電極以外の、それぞれ基板228、240および247をそれぞれ有しており、そのそれぞれの認識部分230、242’および242”ならびに248はそこに固定されている。検定セット222の場合は、部材228上に固定されているのは、この特定の実施態様において、標的232(この標的は核酸配列、ポリマー、ポリペプチドなどであると考えられる)のエピトープに結合する単一認識部分230である。検定セット234の場合は、部材240が、標的核酸配列244の部分に対して相補的である2つのオリゴヌクレオチド基板242’および242”をそこに固定している。両方の場合において、認識部分に結合した後、検定セットの2つの電極の間の導電性架橋が、非特異的または半特異的な結合もしくは連合により、また典型的には標的上または標的と認識部分との間にある複合体に存在する核生成中心由来の導電性層の増殖により形成される。検定セット244の場合は、オリゴヌクレオチド標的249が認識部分248に結合した後、それは、ほかの核酸配列の合成に対する鋳型を提供し、また、この合成が最終的には、2つの電極245および246の間の経路249Aを形成する。
【0079】
図4A〜4Cに図示されている検定セットのそれぞれが2つの電極を有する。図示説明されている実施態様は、各検定セットの中に2つより多くの電極の場合にも適用されると容易に理解されることであろう。
【0080】
図5は、導電性架橋の形成に関するステップを含む本発明の一実施態様による方法の実施様式の略図である。検定セット250(a)は、経路252(b)を形成するために標的251と接触させる。さまざまなステップ(本明細書中で以下に説明されているように)の後、導電性架橋253が形成される(c)。
【0081】
図6は、本発明の一実施態様によるサンプル中の標的の濃度を測定する方法を示す。検定セット256の電極258および259のそれぞれは、そこに、それぞれ複数の認識部分260および261を固定している。標的264と接触後、電極間の1つまたはそれ以上の経路が形成される。標的264(b1)が低濃度の場合は、少数の経路がある任意の期間に(単一経路266により本出願では図示されている)形成され、また高濃度の場合(b2)は、6つの経路268により本出願では図示されている多数の経路が同じ期間内に形成された。導電性架橋を産み出すために経路を処理するためのステップが実施された後、同じ期間の間測定された抵抗は、低濃度に比較して高濃度の場合でより低くなることが明らかとなっている。電位/電流関係におけるこの差異は、したがって、サンプル中の標的264の濃度の測定法(適切な校正の後)として役立つ。
【0082】
図7は、それぞれが2つの電極からなり、またそこに固定されている同じ認識部分を有している、複数の検定セット271を有する装置の略図である。単純な検定装置270が、任意の一定期間標的272と接触された場合には、低濃度の場合は、各検定セットの異なる電極間の経路はいくつかの検定セットでのみ形成され、また一方、高濃度(b2)の場合は、多く(ときにはすべて)の架橋が形成される。導電性架橋を産生するためのステップが実施された後、電流が検出される単位数を数え、サンプル中の標的272の濃度を示す。
【0083】
図8は、多重化実施態様が図示されており、各検定セットまたは検定セットのグループが異なる標的を結合させるために設計される。このことは、サンプル中のいくつかの標的実体の同時検出用の診断用検定を可能にする。図においては、検定セットのそれぞれまたは検定セット282A〜282Dのグループが、固定された認識部分283A〜283Dのそれぞれの異なる形状により図示説明されているように、異なる標的特異性を有している。検定装置280が、たとえば、標的実体284Aおよび284Dからなるサンプルと接触される場合には、経路は、それから導電性架橋に形成後、その後、サンプル中のそれぞれの各標的の存在の指標として役立つ検定セット282Aおよび282Dにおいてのみ形成される。
【0084】
図1〜8に図示説明されているすべての測定装置において、各検定セットは、それ自体が電極を有している。しかしながらときとして、2つないしはそれ以上の検定セットが共通の電極を有することもある。ある意味では、図2の検定セット122は異なる検定セットを定義する各2つの電極を備えた3つの検定セットとして見ることができる。各2つの隣接した検定セットが1つの電極を分け合っている一実施態様の図は、図9にみることができる。この図の(a)に図示されているように、検定装置289は、3つ、290AB、290BCおよび290CDを見ることができる複数の検定セットを有する。この図でみられるのは、それぞれ認識部分292A、292B、292Cおよび292Dをそこに固定している4つの連続して隣接している電極、291A、291B、291Cおよび291Dである。各2つの隣接する電極、たとえば、検定セット290ABを規定している電極291Aおよび291Bは検定セットのうちの1つを規定し、各2つの隣接している検定セットが1つの共通電極を分かち合うことになる。すなわち、検定セット290ABと290BCとが電極291Bを分かち合い、検定セット290BCと290CDとが電極291Cを分かち合う。
【0085】
認識部分292A、292B、292Cおよび292Dは、それぞれエピトープ294A、294B、294Cおよび294Dに結合する。したがって、検定セット290ABは、エピトープ294Aおよび294Bを有する標的293ABに特異的であり、検定セット290BCはエピトープ294Bおよび294Cを有する標的293BCに特異的であり、また検定セット290CDは、エピトープ294Cおよび294Dを有する標的293CDに特異的である。その結果、サンプルと接触するときに、架橋が、(b1)、(b2)、(b3)下に図示説明されているように、サンプル中の標的のタイプによって、検定セットの中で形成される。
【0086】
ここで、図10を参照すると、図10はサンプル中の特定の標的DNA配列310の検出のための検定装置および方法を図示している。検出は、そののちに最終的に導電性架橋320を産生するように、典型的には金、プラチナ、銀などの金属により被覆される、2つの電極300の間の経路312の形成により実施される。検定装置の形成に関しては、電極300がまず、分子302および304のその後の結合を容易にするための様式で処理されることが考えられる。この目的のため、電極をまず、それぞれが一本鎖オリゴヌクレオチドであり、認識部分(それぞれ、「オリゴA」および「オリゴB」)として役立ち、電極に対して分子302および304の付着のため、ジスルフィド基により誘導された、分子302、または304のいずれかを含有する溶液により別々に湿らせる。オリゴヌクレオチド302と304は、それぞれ標的DNA配列310の2つの末端配列のうちの1つに相補的である。これらの認識部分が電極300上に置かれるとき、適当な条件下であれば、ジスルフィド基が電極300に結合し、認識部分を形成する。
【0087】
サンプル中の標的の検出のため、検定装置を、この特定実施例においては、一本鎖ないしは二本鎖DNA配列310であるが、標的ヌクレオチド配列からなると思われるサンプルと接触させる。このサンプルは、血液サンプル、食物サンプル、水サンプル、などであり得る。標的が二本鎖配列である場合には、サンプル中の標的は二本鎖標的DNA 310の末端で一本鎖付着末端を形成するように処理されることが考えられる。これらの付着末端は認識部分306および308におけるオリゴヌクレオチド配列に対して相補的である。電極300は、標的DNA 310ならびに認識部分306および308を組み合わせた長さを超えない距離でもう1つとは間隔が空けられる。電極を、標的DNA配列 310からなるサンプルと接触させるときには、標的終末末端は、2つの電極300(ステップ(b))間の経路312を形成するように認識部分306および308におけるそれらに相補的なオリゴヌクレオチド配列に接続される。標的が二本鎖である場合は、ハイブリダイゼーション後、認識部分306および308を標的核酸配列310に結合することにより、共有結合を形成するように、DNA鎖の切れ目を結合することにより強化されることがある。
【0088】
ときには、とくに配列310が長い場合は、認識部分306および308への標的310のハイブリダイゼーションに関する分散に頼ることは実際的ではないことがある。こうした場合には、標的310は、1つの電極に接続され、その後に、第1電極から第2電極への液体の方向性をもった流れにより、または電場を適用することにより、核酸架橋は、その末端が第2電極に達するように伸長される。
【0089】
核酸分子のフォールディングを回避するため、また、適当な結合を確実なものとするため、適当な溶液がときとしては必要になることがある。さらに、ハイブリダイゼーション後、水洗い(rinsing)がときとしては、結合されていない核酸鎖を取り除くためには必要になることがある。
【0090】
特定されて図示説明されている実施態様により、銀イオン(Ag+)からなるアルカリ性溶液に、核酸線維(nucleic acid fiber)を曝露させることを含むイオン交換ステップによって、電極間の導電性架橋の形成が始まる。銀イオンは、核酸分子および負に荷電されている核酸配列を伴う複合体に通常関連しているナトリウムイオンまたはほかのイオンに取って代わる(ステップ(c))。(Ag+イオンは、さまざまなほかの方法で、とくに挿入により核酸分子に結合するように作成されることもあることに留意)。これらのステップは、銀イオン316を負荷される核酸配列314を生じる。銀イオン以外にも、たとえば、コバルト、銅、ニッケル、鉄、金、などを含め、広範なさまざまなほかのイオンもまた使用できる。さらに、金属集合体、半導体粒子、複合体またはクラスター、たとえば、コロイド金、コロイド銀、金クラスターなどもさまざまな異なる相互作用を介して核酸配列上に析出されることがある。導電性オリゴマーおよびポリマーもまた、核酸架橋を導電性にするのに役立つと考えられる。
【0091】
次のステップ(ステップ(d))では、配列は還元剤、たとえば、ヒドロキノンまたは電磁放射線に曝露させ、核生成部位318を形成する金属銀のなかにインサイチュで金属イオンを還元する。異なる実施態様では、金属核生成中心が、配列特異的または非特異的な様式でDNA経路にコロイドもしくはクラスターの宿主を付着させることにより形成されることが考えられる。金属イオンと還元剤、たとえば、ヒドロキノンからなる試薬溶液を洗浄後、酸性条件下で添加される。これらの条件下では、イオンは、核生成部位でのみ、金属に変換され、またその後に核生成中心は成長し、また互いに溶け合って導電性機能化架橋320を形成する(ステップ(e))。
【0092】
そのように形成された機能化架橋320は、さまざまな製造工程後の処理に曝されることになるが、それには、たとえば、架橋の厚さと均一性を増加させることを意図する熱処理、たとえば、アルカンチオールに曝すことにより、電気化学的もしくは光学化学的なポリマーを使用したワイヤの被覆により、架橋の周囲に電気的絶縁層を形成する目的の不動態化処理(passivation treatment)などが含まれる。
【0093】
図11は、図9に図示されている手順により形成される導電性架橋に関する2つの例示的な電流−電圧関係を図示している。導体のタイプおよび機能化プロセスなどに依存して異なる電流−電圧関係が得られる。
【0094】
ここで、図12を参照すると、図12は本発明の装置および方法を図示説明しており、導電性架橋が、導電性ポリマーPPV(ポリ−p−フェニレンビニレン)を析出することにより形成される。電極400は、図10に図示されている電極300と同じである。検出方法の最初の2つのステップは(ステップ(a)および(b))、図10において対応しているステップと同一である(同一構成要素は、図10において対応している構成要素と最後の2桁の数字は同じ参照数字を付与されている。たとえば、402は、302と同じ、404は304と同じ、などである)。形成された経路412は、2つの電極を接続する経路414を産生するために、経路410が認識部分406および408に共有結合することにより、前記と同様に、強化され得る(ステップ(c))。
【0095】
前PPV分子416からなる溶液を、そののち経路414と接触させる。正荷電により、前PPV 416は負に荷電したDNA経路414と複合化される(ステップ(d))。次のステップでは、テトラヒドロチオフェン基と塩酸とを各反復ユニットから取り除くことにより、共役が誘導され、発光PPV架橋を産生する(ステップ(e))。この構成要素は、光学的検出に適している。あるいは、PPVは、電子欠損(穴)を引き起こすか、または、余分な電子を生じるかのいずれかを引き起こす試薬をドープされ、そのようにして導電性ポリマーに変換される。ドーピングは、たとえば、H2SO4蒸気に曝露するなどの数多くの公知の方法により行なわれてもよい。ドーピングの程度がPPVワイヤの導電性を決定する。
【0096】
数多くのほかの導電性ポリマーが、本発明により、PPVの代わりに、またはPPVに加えて使用されてもよい。これには、バックボーンに正荷電基を備えたポリマー、核酸線維に結合することができる認識基を備えたポリマー、またはDNAと複合化するポリマーだけではなく、正荷電側鎖を備えたさまざまなポリマーが含まれる。さらに、同様なやり方で、ミュータティス ミュータンディス(mutatis mutandis)、ほかのタイプの導電性物質(n型またはp型)が線維に結合されてもよい。
【0097】
本発明のさらにもう1つの実施態様は、図13に図示説明されている。この図においては、図12のそれらに同一な構成要素が、最後の2桁の数字が同じ参照数字により図示されている。図12に参照して説明されている認識プロセスにより形成されるヌクレオチド架橋514は、モノマーオリゴマー、またはポリマー516を含有する溶液に曝露される。結果として、イオン交換またはほかの複合化が起こり、物質516を負荷されたヌクレオチド架橋514が残る。ついで重合化ステップが、抗体の使用による抗原の検出に関係している電極を接続する導電性架橋517を形成するように、適用される。ドーピングプロセスは、機能化された架橋を導電性にする。
【0098】
(実施例)
実施例1:電極および認識部分間のリンカーの作製
(a)ジスルフィドにもとづくリンカー
ジスフィルド基により誘導される制御細孔ガラス(CPG)が、認識部分として役に立つ遊離5’部位を有するオリゴヌクレオチドの合成(その3’側から開始される)に使用される。オリゴヌクレオチドは、従来からのDNA合成装置を使用して作製される(図16の図解を参照)。
【0099】
(b)チオールにもとづくリンカー:
リンカーは、(a)前記により作製され、そしてジスルフィルド結合が開裂し、遊離チオールが得られる。
【0100】
(c)ビオチン−ストレプトアビジン複合体にもとづくリンカー:
認識部分として役に立っており、それ自体が公知のものであるが、ビオチン部分は特定の配列を有するオリゴヌクレオチドに付着される。ビオチン−オリゴヌクレオチドは、片側にビオチン部分(図15も参照)と、またもう片側にチオールまたはジスルフィド基を含有するもう1つの分子に、ストレプトアビジンを介して結合される。
【0101】
(d)リプレッサーにもとづくリンカー:
lacリプレッサーなどの核酸結合タンパク質はチオール基に共有付着される。認識部分として役に立っているDNA配列は、レプレッサーが結合する特定配列をも含有して合成される。DNAは前記特定配列によりレプレッサーに結合される。
【0102】
(e)チオリン酸塩にもとづくリンカー:
認識部分として役に立つオリゴヌクレオチドの構築(その3’側から開始される)は、従来からのDNA合成装置を使用して実施され、チオリン酸塩含有ヌクレオチドは標準的なヌクレオチドの代わりに使用される。
【0103】
(f)人工部位特異的なものにもとづくリンカー:
たとえば、5’−pyr−pyr−pur−3配列(pyr=ピリミジン、pur=プリン)を結合することが知られているRh(Phen)2Phiのような合成部位特異的部分は、チオール基に共有結合される。
【0104】
実施例2:電極へのリンカーの付着
(a)マイクロピペット浸潤法:
電極は、たとえば、ピペットもしくはマイクロピペットを用いることにより、または任意の液体ディスペンサーにより、適当なリンカーの溶液に曝される。こうした液体ディスペンサーはコンピュータ制御されているマニュピレータ上に固定されていてもよい。別々のタイプのリンカーが各電極上に析出することができる。さらに、別々のタイプのリンカーは、別々の電極上に連続的に析出することができる。
【0105】
(b)ジェットプリンティング
インクジェット様プリンティング技術が、異なるリンカーに対して異なる電極を選択的に曝露させるのに使用される。こうした技術を利用することにより、高度な精度、解像度を得て、また生産の速度を向上させ、大規模生産を容易にすることが可能である。
【0106】
電極−リンカーの合成:
(c1)選択的遮蔽技術の使用
合成DNA配列に使用されるよく発達した技術は、複合電極−リンカー配置のアプイニシオ(ab−initio)製造(最初から作成すること)に利用されている。たとえば、不活性基板上の電極の検定セットから構成される基板は、2つのタイプの電極を産生するように不活性被膜により部分的に被覆される。すなわち、被膜電極(A)と非被膜電極(B)である。基板は、認識部分として最終的には役に立つであろう配列のDNA合成に対する1つのシードとして役に立つ、核酸配列にリンクするチオールリンカーの溶液に曝される。不活性被膜のために、非被膜B電極のみがチオールに反応する。標準的なDNA合成技術を使用して、認識部分である事前に定義された配列が、B電極上で作り出される。基板はその後に洗浄され、またマスクされた電極はB電極の選択的な被膜の後にその覆いを外される。この手法により、そこに結合する認識部分のタイプにより、1つの電極がほかの電極と異なる、2つの電極のタイプの生産が可能になる。 同じ技術でもいくつかの追加ステップを備えたもの(遮蔽および非遮蔽のいくつかのステップ)は、そこに結合する、異なる認識部分を備えた数多くの異なる電極を有するさまざまな基板の製造を可能にする。
【0107】
(c2)フォトデプロテクション技術の使用
このアプローチは、DNA合成開始点の保護のために光不安定基を利用することが含まれる。不活性開始点基は、ヌクレオチドと反応することができない。遮蔽および/または光導体および/またはいずれかのほかのアドレス可能な光源という手段により選択的な照射を使用して、異なる選択電極の活性化は、選択電極上DNA合成シード由来の保護基の光除去により達成される。
【0108】
(c3)ブロッカーを使用
遮蔽技術((c1)前記)を使用して、電極の検定セットが、オリゴヌクレオチド合成のために作製される。一旦、認識部分として役に立つDNA配列が、電極の1組の検定セット上で完了されると、終結基(ブロッカー)がオリゴヌクレオチドに付着され、その不活性を確実なものにする。ほかの配列はさらに、前のステップにより作製されるが、しかしこのステップにより活性になっている、異なる電極上で合成することができる。前のステップで構築されたリンカーの検定セットは、その終点に付着されたブロッカーのために影響されることはないことに留意すべきである。
【0109】
(c4)電極プリンティング
認識部分は、金コロイドなどの導電性ビーズに付着される。ついでこのコロイドは、そこに付着されているリンカーおよび認識部分を有する導電性金属パッドを形成するために、制御可能な方法で拡散される。調合は前記に概要された、異なる技術により、または何らかの通常技術により達成することが可能である。電極は導電性にすることが、最優先でまたはその作成の最後で導電性にするということになる。
【0110】
前記の技術は、単独で、またはほかの技術との任意の組み合わせで使用することが可能である。
【0111】
実施例3:電極または担体基板への核酸線維の結合
その装置が形成されるのは電極か基板上であるが、核酸線維のその基板への付着は、DNA結合タンパク質を使用して実施される。たとえば、その基板(たとえば、プラスチック基板)とDNAとの両方に結合することができる細菌起源由来のリプレッサー(lacリプレッサーまたはλリプレッサー)は、したがってその2つは一緒になる。こうした結合は後に維持され、たとえば、2つの電極を接続するときに、核酸線維とともに、架橋を導電性にする。あるいは、こうした結合は、電気的機能性に組み込まれることなく、担体基板に対して導電性架橋を安定化させるために単に役立つ可能性がある。
【0112】
実施例4:検出目的の集積回路の作製
集積回路(IC)は、シリコン、誘導体シリコン、シリカ、誘導体シリカ、有機ポリマー、または、機能化した架橋の製造もしくは機械的な固定、もしくは安定化のための支えとして働くことができる何らかのほかの物質から構成される。その基板は電気的な機能を提供できる。
【0113】
IC作製に典型的な実施例は、以下に説明されている。
【0114】
実施例5:ガラス基板の不動態化
ガラス基板を発煙硝酸(100% HNO3)に10分間浸し、脱イオン(DI)水で洗浄し、その後に1N NaOH溶液のなかにさらに10分間浸し、そしてDI水で洗浄する。洗浄されたガラスを、完全に乾燥し、ついで、テトラクロロエタン中アルキルトリクロロシラン(オクチルトリクロロシラン、トリメチルトリクロロシランなど)(1:5v/v)の溶液のなかに約12時間浸す。ガラス板をその後慎重にテトラクロロエタンおよびイソプロパノールで数回洗浄し、その後に完全に乾燥する。
【0115】
実施例6:電極製造
電極は以下の製造方法のうちの1つにより製造される。すなわち、(i)基板上での標準光、電子、またはX線リトグラフおよびその後の導電性基質(たとえば、金属)の析出。あるいは、導電性物質がまず析出され、それから次にパターン化される。(ii)表面上に電極組立体(electrode assembly):つまりポリエチレンイミド、ポリアルコール、ポリ酸、ポリピリジンなどの高分子電解質、または、チオールモノマー(分子骨格上の反対部位にあるチオールとシラン部分とを含む有機化合物から製造される)などのほかの結合薬剤を使用してガラス表面のパターン化を行ない、その後に、基板上の導電性電極の組立てを可能にする金コロイドなどの電気的に伝導性のある化合物の固定が行なわれる。
【0116】
実施例7:核酸親和性基−金属にもとづく導電性架橋から構成される導電性架橋の形成
(i)2つの相補的核酸配列から作られる経路を、適当な金属イオンを含有する溶液に曝し、したがって、イオン交換がその溶液に曝された核酸骨格のリン酸基で起こる。核酸内部にイオンを挿入することによっても、ある一定の条件下で起こり得る。
【0117】
(ii)ついでイオン交換された核酸複合体をヒドロキノンなどの還元剤により還元するか、または電磁放射線に曝露することにより還元する。
【0118】
サイクル(i)および(ii)を導電性架橋が達成されるまで、一連の順序で繰り返すことが可能である。あるいは、導電性金属架橋の形成には、以下のステップが含まれるが、それらを独立型のプロセスとして、またはステップ(i)および(ii)を一緒に、または以下の技術の1つないしはそれ以上を組み合わせることも含まれる。
【0119】
(iii)イオン交換された架橋の該当部分を、還元剤および金属イオンの準安定混合液に曝す。還元は、ステップ(i)および(ii)により形成される金属クラスターの表面でのみ起こる。したがって、金属クラスター間のギャップはその金属析出プロセスにより架橋される。
【0120】
(iv)イオン交換された核酸配列または部分的に処理された核酸架橋を、電気化学的処理装置にかけ、核酸高分子電解質に負荷されるイオンを金属導体に転換する。さらに、核酸分子に沿った電気化学的プロセスはそれに沿った金属ワイヤのベクトル的成長を促進する。
【0121】
(v)金属ワイヤの形成に対するその対応イオンからの金属の光学化学的析出
【0122】
(vi)クラスターまたはコロイドを、核酸配列非配列特異的結合薬剤、たとえば、DNAと静電気的に相互作用を行なっている高分子電解質の上にある特定の部位に結合することが可能である、たとえば特定の配列、配列選択的構成要素を使用して核酸架橋の上に吸着する。これらのクラスターおよび/またはコロイドは、前記プロセス(iii)〜(v)に対する触媒として役に立つ。
【0123】
(vii)前記の技術の1つまたはそれ以上により製造される顆粒状ワイヤにおける欠損は、熱アニーリング処理、電着法などの種々の方法を使用してアニーリングすることができる。
【0124】
銀機能化架橋の製造の1つの実施例は以下の通りである。
【0125】
(i)基板上に固定されているDNA線維を、銀イオンの塩基性溶液(pH=10.5、NH4OH、0.1M AgNO3)に曝する。DNA高分子電解質が、銀イオンにより交換された後、基板を脱イオン水(DI)により慎重に洗浄し、また乾燥する。
【0126】
(ii)基板上に固定されている銀負荷DNA架橋は、還元剤としてヒドロキノン(0.05M、pH=5)の塩基性溶液に曝す。ステップ(i)および(ii)は電気的に伝導性のあるワイヤが形成されるまで連続して繰り返される。
【0127】
相補的プロセス
(a)ステップ(iii)は1つまたはそれ以上の(i)+(ii)サイクルの後に実施される。
【0128】
(iii)銀金属クラスターを負荷されたDNA線維(サイクル(i)と(ii)が行なわれた後)を、DI水での最終洗浄後、ヒドロキノンの酸性溶液(クエン酸緩衝液、pH=3.5、0.05Mヒドロキノン)および、AgNO3(0.1M)に曝す。サイクル(iii)はワイヤ幅が所望の寸法に達するときに終結される。そのプロセスは、光感受性にすることができ、そして照明条件により制御することもできる。
【0129】
(b)改良されたプロセスのための電気化学的析出
(iv)金属導体を手早く処理し、また改善するために、電気化学的プロセスが実施される。その目的のために、(i)+(ii)プロセスの前にアルカンチオールによる前処理が行なわれる。これは電気化学的金属析出に対して金属電極の不活性化を確実なものにする。(i)+(ii)サイクルの1つまたはそれ以上を行なった後、DNA被覆金属ワイヤを通じて接続される電極を、電流またはバイアス制御された電源に接続し、またDNA線維の該当部分を金属イオン(特定のプロトコルにより異なる濃度)の溶液に曝す。導電性ドメイン間のギャップは、電気化学的金属析出により充填される。
【0130】
(c)改良されたプロセスのための光学化学的析出
(v)金属導体を改良するために、光学化学的プロセスが、前記に概要された電気化学的プロセスと類似のやり方で、しかし、駆動プロセスとして光学化学的反応を使用して行なわれる。たとえば、DNA線維の金属化は電子供与体(トリエタノールアミン、シュウ酸、DTTなど)、光増感剤(Ru−ポリピリジン複合体、キサンテン染料、TiO2、CdSなどの半導体粒子)、異なったビピリジニウム塩類や該当する金属イオンもしくは金属複合体などの電子継電物質を使用して得られると考えられる。光増感剤は、可能な配列のいずれかにおける電子供与体や電子受容体を含む電子移送プロセスにより、吸収された光エネルギーを熱力学ポテンシャルのなかに導入する。還元された電子受容体は、電子継電物質として働き、また、電子により金属クラスター/コロイドを荷電する。荷電されたクラスター/コロイドは、金属イオンの還元に関する触媒として働き、したがって、金属導体の成長を誘導する。
【0131】
(d)核生成中心としての金クラスターおよび/またはコロイド:
(vi)最初の(i)+(ii)サイクルを行なう代わりに、DNA架橋の該当する部分を、カチオン性チオール(ピリジニウムアルカンチオールなど)により事前に被膜された(部分的)金コロイドの溶液に曝す。金コロイドは、イオン対形成によりDNA骨格に吸着され、またワイヤの成長が1つまたはそれ以上の前記技術を使用して達成される。あるいは、金コロイドは、たとえば、ビオチンにより修飾された、修飾ヌクレオチドに結合するビオチン−ストレプトアビジンなどのさまざまな手段により付着される。
【0132】
(e)改善プロセス(curing processes)
(vii)前記技術の1つまたは組み合わせにより得られる顆粒状ワイヤにおける欠損は、熱アニーリング処理(水素雰囲気(N2中に10%H2)、数時間にわたり300℃で)などの種々の方法を使用してアニーリングされる。
【0133】
実施例8:サンプル中のλ−DNAの有無の検出
(a)装置作製
λ−DNAの検出は、こうした分子が2つの12塩基性付着末端を有しているという事実に拠る。図10は、λ−DNAを検出することができる装置の製造を概略している。カバーガラスをまず偽DNA結合に対して不活性化する。続いて、2つの平行している金電極を、標準的なマイクロ電子技術を使用してそのカバーガラス上に析出する。1つの金電極をその後に、12塩基、特異的配列オリゴヌクレオチドを含有する水溶液のマイクロ寸法の小滴により湿らせ、その3’側に付着されるジスルフィド基により誘導する。同様に、第2電極を異なるオリゴヌクレオチド配列により標識する。その2つの配列(図のオリゴAおよびB)は、λ−DNA付着末端に対して相補的である。洗浄後は、その装置は検出準備ができている。
【0134】
(b)検出:
金電極に付着されたオリゴヌクレオチドに対して相補的である2つの12塩基付着末端を有する、16μm長のλ−DNAを含有することが疑われている溶液を、電極に対して直角に流れるようにする。その流れをDNAが伸長するように誘導し、2つの離れた表面結合オリゴヌクレオチド(the two distance surface-bound oligonucleotide)によりそのハイブリダイゼーションは可能となる。λ−DNA分子を含有するサンプルの場合、それらは結合し、電極を接続する架橋を形成する。図17は、こうした実験の結果を示している。すなわち、その2つの電極を架橋している蛍光的に標識されたλ−DNAである。
【0135】
これらのサンプルについての2つの末端測定により、伸長DNA分子が実際に1013Ωよりも高い抵抗を有する絶縁体であることが証明される。DNA経路の存在を検出するために、それらはまず、DNA分子に沿って銀金属をベクトル的に析出することにより、電気的に伝導性となるように滴下される。3つのステップの化学的析出プロセス(図10(c)〜(e))は、Ag+/Na+イオン交換による、DNAに沿った銀イオンの選択的な局在化、および銀とDNA分子との間の複合体の形成を基礎とする。洗浄後、銀イオン交換−DNA複合体を、塩基性ヒドロキノン溶液を使用して還元する。このステップは、DNA骨格に結合されるナノメーター寸法の金属銀集合体を形成するという結果になる。これらの銀集合体は、以後のワイヤの成長に対して空間的に局在する核生成部位として役に立つ。イオン交換プロセスは高度に選択的であり、またDNAにのみ限定されている。DNAに結合する銀集合体は、標準的な写真の手法におけるのと多くの点で同じように、ヒドロキノンの酸性混合液と銀イオンとを低光条件下で使用して、さらに「発展」される。ヒドロキノンおよび銀イオンの酸性溶液は準安定的であるが、しかし突然の金属析出は通常は非常にゆっくりである。金属触媒(DNA上の銀核生成部位などの)の存在は、そのプロセスを有意に加速する。こうした実験条件下では、したがって、金属析出は、DNA骨格に沿ってのみ起こり、不活性化されたガラスは実際には銀がないまま残る。
【0136】
100nm幅、12μm長さのワイヤの切片の原子間力顕微鏡(AFT)画像は、図18に提示されている。はっきりとみえるように、ワイヤは、DNA骨格に沿って析出された30〜50nm直径の粒からなる。図19は、図18に提示されている銀のI−V曲線を示す。異なるワイヤにおけるゼロバイアスプラトーの長さは、ゼロボルトからおおよそ10ボルトまで調整することができる。図20の実線は、たとえば、DNA上の銀成長がより伸長していた、別のワイヤのI−V曲線を示している。結果として、そのプラトーはオームの挙動を付与するように除去することができる(図20の点線)。
【0137】
この実施例は、λ−DNA分子が実際に、本発明を使用して検出することができることを証明している。
【0138】
実施例9:有機共役−ポリマーにもとづく導電性ワイヤ
有機共役ポリマーの生産の様式に関する略図が図12に示されている。ステップ(a)〜(b)は、図10に開示されているそうしたものとほぼ同じである。
【0139】
(i)その経路の該当部分を、化学的形質転換により共役ポリマーを形成することが可能なカチオン性セグメントを含有する溶液に、または、化学的形質転換により共役を受けることができるカチオン性非共役ポリマーを形成することが可能なカオチン性セグメントを含有する溶液に曝される。したがって、イオン交換プロセスは、その溶液に曝露されるDNA骨格のリン酸基において起こる。
【0140】
(ii)イオン交換DNA複合体は、ポリアニオン性骨格に結合される有機種の性質にもとづいて処理される。電気的なコンダクタンスは、前者のプロセスによるかないしは連続的なドーピングによるかのいずれかにより達成される。ドーピングは、プロトン化−脱プロトン化プロセスにより、電気化学的手段により、または光学化学的手段により、従来からの酸化還元プロセスを介して達成することができる。さらに、DNA骨格と前記有機共役ポリマーを基礎とする導電性ワイヤの構築ブロックの間の配列選択的プロセスは、ワイヤの生産に利用することができる。
【0141】
I. PPV(ポリ−p−フェニレンビニレン)導電性ワイヤの製造法は以下のとおりである。
【0142】
(i)基板(b)上に固定されたDNA線維を、前PPV水溶性ポリマーの溶液に曝す。DNA高分子電解質が、前PPVポリマーに置き換えられた後、その基板を慎重に洗浄し、乾燥する。
【0143】
(ii)基板上に固定された前PPVポリマー負荷DNAを、真空オーブン(たとえば、1e-6bar、300℃、6時間)で反応させる。
【0144】
(iii)結果的に生じる発光PPVポリマーは、導電性を示すようになるまで従来からの方法を使用してドープされる。
【0145】
II. PPV導電性ワイヤの製造に関する代替的な製造方法は以下のとおりである。
【0146】
(i)基板上に固定されたDNA経路(図12(a)および12(b))を、ビス−(テトラヒドロチオフェニウム)−p−キシレン二塩化物(図12(c))の溶液にさらす。DNA高分子電解質が、ビス−(テトラヒドロチオフェニウム)−p−キシレン二塩化物により置き換えられた後、その基板を慎重に洗浄し、乾燥する。
【0147】
(ii)基板上に固定された、ビス−(テトラヒドロチオフェニウム)−p−キシレン二塩化物負荷DNA配列は、DNAバックボーンに付着された前PPVポリマーを形成するために、塩基性溶液中で重合化される(図12(d))。
【0148】
(iii)基板上に固定された前PPVポリマー負荷DNA配列は、真空オーブン(1e-6bar、300℃、6時間)で反応させる。
【0149】
(iv)結果的に生じた発光PPVポリマーは、従来からの方法を使用して、目的の導電性を示すようになるまでドープされる。
【0150】
III. PANI(ポリアニリン)導電性ワイヤの製造は以下のように実施される。
【0151】
(i)基板上に固定されているDNA架橋を、酸溶性PANIポリマーの溶液に曝す。DNA高分子電解質がPANIポリマーにより置き換えられた後、その基板を慎重に洗浄し、乾燥する。
【0152】
(ii)結果として生じるPANIポリマーは、目的の導電性を示すようになるまで従来からの方法を使用してドープされる。
【0153】
IV. PANI導電性ワイヤの製造に関する代替的製造方法は以下のとおりである。
【0154】
(i)基板上に固定されたDNA架橋を、アニリニウムイオンの溶液に曝す。DNA高分子電解質がアニリニウムイオンにより置き換えられた後、その基板を慎重に洗浄し、乾燥する。
【0155】
(ii)DNA配列上に負荷されているアニリニウムイオンを、ペルオキシ二硫酸イオンなどの酸化剤の溶液を使用して酸化し、ポリアニリンポリマーを産生する。結果的に生じるPANIポリマーは、目的の導電性を示すようになるまで従来からの方法を使用してドープされる。
【0156】
V. PANI導電性ワイヤの製造への代替的なルートは以下のとおりである。
【0157】
(i)基板上に固定されたDNA架橋を、PANIの短いオリゴマーの溶液に曝す(>1反復ユニット)。DNA高分子電解質がPANIオリゴマーにより置き換えられた後、その基板を慎重に洗浄し、乾燥する。
【0158】
(ii)DNA配列上に負荷されているPANIオリゴマーイオンを、ペルオキシ二硫酸イオンなどの酸化剤の溶液を使用して酸化し、ポリアニリンポリマーを産生する。結果的にPANIポリマーは、目的の導電性を示すようになるまで従来からの方法を使用してドープされる。
【0159】
実施例10:光源としてのPPV機能化線維
実施例9に説明されているプロセスが、追跡され、ステップI(ii)を含むことがある。結果的に生じるPPV構成要素は高度に発光性である。適当な作業機能を有する電極間のPPV構成要素を製造することは、その後に電気発光装置を形成する。
【0160】
実施例11:電極への認識部分の選択的な付着に対するポリマー支持認識部分
特定の例:
N−(2−エチルマレイミド)ピロールを一本鎖オリゴヌクレオチドの3’チオ修飾特定配列に付着する。3’−メルカプト(N−(2−エチルスクシンイミド)ピロール)オリゴヌクレオチドを含有する溶液の電気酸化は、特異配列オリゴヌクレオチドを有するポリピロール被膜電極の形成を誘導する。ポリマーは、陽極として異なる電極を使用するときはそれぞれ、目的の配列を含有する一連の溶液のなかに電極検定セットを単に浸すことにより、複数の電極の選択的被膜を可能にする陽極側で専ら析出される。ポリピロールはドーピング処理された状態にある導体であるため、ポリマー層の電気的伝導性はその層を電気的ドーピング処理すると可能になる。
【0161】
実施例12:直接的電気的測定法を使用したDNAの短鎖の検出
図21(A)では、2つの導電性電極502が、絶縁性基板501上に定義されている。図21(B)では、短い、一本鎖オリゴヌクレオチド503の単層が検定装置の一対の電極502の間にあるギャップに構築される。オリゴヌクレオチドの配列が、欠失すると思われる標的の配列に対して相補的である。オリゴヌクレオチドは、その3’末端にジデオキシ塩基を有しており、したがって、トランスフェラーゼの使用による核酸塩基の伸長ができない。
【0162】
図21(C)は、前記検定装置をサンプルと接触させる際に、標的オリゴヌクレオチド504が、認識部分503に結合し、したがって、認識グループ(二本鎖DNA)505を形成する。異なる温度や異なる塩類濃度での洗浄などの異なったハイブリダイゼーション後処理は、デュプレックス形成における高度の選択性を確実なものにする。
【0163】
ステップ(D)では、DNAデュプレックスをもつ検定装置を、トランスフェラーゼを含有している溶液および3’デオキシ部位506におけるDNA骨格の延長を誘導するビオチン化塩基と接触させる。
【0164】
引き続いてのステップ(ステップE)では、検定装置をストレプトアビジンユニット507に結合している金コロイドを含有している溶液に曝す。結果として生じる検定装置は、付属(pendant)金コロイド508とともにDNA分子を有する。
【0165】
次のステップ(ステップF)では、前記検定装置をヒドロキノンおよびAu(SCN)2を含有する溶液に曝す。金は触媒中心として作用する金属表面上にのみ析出される。コロイドは成長し、また2つの金電極を架橋する導電性経路509を形成するために結合する。印加されたバイアスでの電流を検出することにより、溶液中の標的DNA配列の存在が伝えられる。
【0166】
標的DNA配列がない場合には、認識グループは、電極対の間で形成されず、また電極間に金粒子の結合はない。金属核生成中心がない場合は、電極対間の導電性経路の形成は妨げられる。バイアスが誘導される際に電流がない場合は、サンプル中にその標的がないことが伝えられる。
【0167】
実施例13:抗原による抗体の検出またはその反対
この場合、認識部分はそれぞれその抗体または抗原に対して選択的である抗原または抗体である。認識部分は、さまざまな異なる方法の1つによって、たとえば、金に結合できる別の基によりそれを複合化することにより、チオール基を付着させることにより、電極に付着させる。あるいはそれは電極に直接共有連結することができる。多くの場合で、ファンデルワース力は電極への認識部分の結合を確実にするのに充分である。標的は、電極間のギャップを架橋するのに最終的に役立っている修飾因子に付着させてもよい。たとえば、抗原はDNA線維の末端に付着させることが可能であり、そしてこの付着された修飾因子により電極上にあるその抗体に結合することが可能である。DNA線維の反対側は、検定セットの中のもう1つの電極に選択的に結合することができ、あるいは非選択的にそれに付着させることができる。基板の不動態化、電極の定義、金属化および検出は、たとえば、実施例8で前記概要されている一般的な原理に従っているものである。
【0168】
実施例14:修飾ヌクレオチドの導入を可能にするPCR法およびほかの方法
DNAまたはRNA線維への修飾塩基の導入は検出システムの構築にあたって助けとなり得る。修飾ヌクレオチドの例は、ビオチン誘導ヌクレオチド、またはそれらに結合された第一級アミン基を伴うヌクレオチドである。現存するDNAもしくはRNA線維に沿った特定の位置において修飾ヌクレオチドの導入を可能にする、または修飾ヌクレオチドの完全な配列により核酸鋳型のコピーを構築する、異なる標準的な分子生物学的手法がある。たとえば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術は修飾ヌクレオチドにより核酸鋳型を増幅するのに使用することができる。この場合、修飾された塩基は、PCR溶液(非修飾塩基またはそうではないないものと混合される)のなかでヌクレオチドとして提供され、また提供されたプライマー(後者は、必要な場合は同じ修飾ヌクレオチドにより合成することができる)とともに、その増幅プロセスを容易にする。あるいは、無作為プライミング法はヌクレオチドを修飾ヌクレオチドに置き換えることを可能にする。いくつかの場合では、鋳型に沿った重合化産物のライゲーションが連続的な繊維を確保するために必要とされる。もう1つの可能性は、二本鎖DNA線維に沿ってギャップを充填するために、または修飾塩基で付着末端を充填するために、鎖ポリメラーゼ(たとえば、クレノウフラグメント)の1つを使用することである。あるいは、DNA末端トランスフェラーゼは、核酸線維(一本鎖または二本鎖)の3’側に修飾塩基を付着させるのに使用することができる。修飾塩基が核酸線維上の特定の点に局在している場合には、それをほかの基に、たとえば、チオール基、ストレプトアビジンまたは別の核酸線維などに特異的にその線維を付着させるのに使用することができる。
【0169】
核酸線維の完全な配列を修飾ヌクレオチドにより構築することで、架橋の高度に選択的な金属化を達成するのが可能になる。この方法により、修飾塩基は、検出の前に金属化を触媒するために核生成中心として役に立つことができる基または複合体に特異的に付着する。たとえば、アミン基で誘導されたヌクレオチドは、導電性架橋を産生するために金または銀(および多くのほかの金属類)の析出用のよく定義された核生成中心として役に立つ小さな金クラスターまたはコロイドを特異的に結合することができる。もう1つの実施例は、ビオチンにより誘導される塩基を使用し、またDNA線維に沿ってストレプトアビジンで被覆されたコロイドまたは金クラスターに付着させるものである。これらのコロイドまたは金クラスターは再び、金属化プロセスのために核生成中心として役立つことができる。
【0170】
実施例15:電極上または電極間でのインサイチュPCR法
インサイチュポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は組織切片または完全な細胞における微量のDNAまたはRNAを検出するのに通常使用される比較的最近の技術である。それはハイブリダイゼーション技術の高い選択性を使用し、たとえば、組織切片と特定の配列を関連付けることを可能にし、PCR法の増幅力は、検出感度を非常に大きな倍数にまで増加させる(この技術の最近の総説に関しては、J. Gu編『インサイチュ ポリメラーゼ連鎖反応と関連技術(In situ Polymerase Chain Reaction and Related Technology)』、Eaton Publishing,1995を参照のこと)。この技術は、検定セットの基板上で、または電極上で、たとえば、微小な濃度で存在しているDNA配列といった特定の標的増幅に対して用いることができる。
【0171】
第1ステップでは、サンプルの前にある標的は、たとえば、ビオチン−ストレプトアビジン、アミン−チオールなどによりその基板に固定される相補的なDNA配列による、ハイブリダイゼーションにより電極の検定セットの間に位置している基板部材上に固定されている特定の認識部分に結合する。適当なプライマー、最適濃度の塩基および適当な緩衝液、ならびに標準的なPCRポリメラーゼの1つ(たとえば、Taqポリメラーゼ)を含有する溶液が添加され、ついで1つの熱サイクルを開始することができる。迅速で自動的な方法でその温度を制御し、修飾することを可能にしている温度制御装置のなかに検定装置は置かれている。温度は現在では、次のサイクルのための新しい鋳型を形成するために、各サイクルでとくに重複されるが、そのため、指数関数的な増幅が可能になる。新しい鋳型は、インサイチュで生成され、また、元のDNA標的とのネットワークを形成するためにその基板に付着することもある。これは、長いDNA線維の非特異的結合により、または特異的結合により達成される場合もある。たとえば、光活性化により、各サイクルの終結時に、新たに形成された鋳型に付着させる部分基が、基板上のほかの複合体に結合することにつながり、あるいはほかの鋳型がすでに基板に付着することにつながる場合もある。この結合はさらなる増幅のために次のサイクルでプライマーに結合するという可能性を干渉すべきではない。十分なサイクル(たとえば、30)後に、基板に付着させるDNA線維のネットワーク、元の標的の正確なコピーが、電極の検定セットの間のギャップを充填する。金属化プロセスはその後に続き、前記に特定されている技術の1つにより、このネットワーク架橋の形成の電気的検出を最終的に可能にする。
【0172】
前記の1つの修飾化が、新たに形成された鋳型をインサイチュに留まるように強いる2つの基板(たとえば、間近な間隔のスライドガラス、またはナイロン部材)間の増幅手順を実行するというのは可能性のあることである。たとえば、プライマー、塩基、ポリメラーゼおよび緩衝液は通過させるが、しかし長い鋳型は通過されることがない適当にカットオフされたフィルター膜はその目的のために役立たせることができる。この場合は、すべての必要な成分は鋳型を確実に逃がさないようにするため、膜を通して連続的に供給することができる。こうした半透過性膜はまた、金属化および検出の前に効率的な洗浄を可能にする。
【0173】
実施例16:電極上または電極間でのリガーゼ連鎖反応(LCR)
リガーゼチェイン反応は、各サイクルで鋳型の2つのサブセクションを結合することにより、特定の配列を増幅するための1つの技術である。PCR技術に使用されているものと同じサーモサイクラーを使用することにより、単一または複数のDNA鎖の切れ目により連続的な核酸線維を形成するために、鋳型の変性が行なわれ、その鋳型を正確に適合させるサブセクションのアニーリングがその後に続く。これらの切れ目は、高温で働く特別なリガーゼ(たとえば、pfuリガーゼ)により結合される。この技術は、前記実施例15と同様に、インサイチュで適用することができる。1つの可能な増幅に関する実施例は、電極間のギャップを架橋するのに十分長くない鎖に2つの短いサブセクションを結合するものである。この技術の増幅力(再び各サイクルの中で新たに形成された結合線維が次のサイクルのために鋳型として役に立つ)のため、元々は単に微小な濃度で導入された、検出すべき標的のコピーから特異的に作成された電極をまたぐ1つの架橋を形成することが可能になる。
【0174】
実施例17:可能性のある親和性グループとしての酵素−基質またはタンパク質−分子
酵素(またはその基質)、またはタンパク質などの小さな分子の電気的検出を可能にするため、それらは場合によっては修飾因子に付着される。たとえば、ビオチンは、アビジンまたはストレプトアビジンの検出を可能にするため、核酸線維に付着することができる。場合によっては、その修飾因子は合成ポリマーでありうる。別の実施例では、後のステップで電気的検出を容易にする修飾因子として導電性ポリマーを使用している。
【0175】
実施例18:細菌検出
この場合に検出される標的は細菌である。認識グループは、たとえば、細菌上の特定抗原に対する抗体でありうる。あるいは、ビオチン−アビジンまたは、分子もしくは細菌膜上の超分子構造と電極もしくは電極間の基板上の適当な認識部分との間のほかの特異的結合が可能である。細菌は電極にわたって架橋を形成する。金属化はその後、電気的検出を容易にする。電場は基板または電極上の適当な位置に細菌を導く際に助けとなることがある。場合によっては、細菌により(たとえば、細菌の天然イオンチャネルを使用する)イオン性電流(単独または電子電流と組み合わせて)を電気的検出に使用する。電場もしくは磁場または光が細菌用のピンセットとして使用することができ、金属化と電気的検出に先立ち電極の間に捕捉する。
【0176】
実施例19:核酸付着に対する配置(チップ)の作製手順
ステップ1:チップの不動態化
本方法は図22に略図的に呈示する。
【0177】
チップ700を、化学的に不動態化するために、室温にて1時間オゾンチャンバーで処理し、チップ702とした。チップ702はその後、120℃でオーブンのなかに置かれ、そして乾燥器のなかで室温まで冷却された。
【0178】
ステップ2:ポリ−アミノプロピルシロキサンの層を有するチップの誘導
19mLの無水エタノール、1mLの水、0.4mLのトリエトキシアミノプロピルシランを混合し、室温で5分間反応するよう放置し、その結果生じた溶液は704と指定した。オーブンで乾燥させたチップ702は反応溶液704のなかに2.5分間浸され、ついでエタノールと水それぞれ数10mL(several portions)で連続的に洗浄され、回転乾燥され、表面付着ポリシロキサンの架橋のため120℃で1時間オーブンのなかに置かれた。ポリアミノプロピルシロキサンの層で被膜されたチップ706は、静電気的付着、表面上の有機層への光誘発核酸架橋、核酸のカルボキシ誘導体の付着、電気化学的付着などのいくつかの方法のうちの1つによる選択位置への核酸プローブの固定に役に立つ。あるいは、チップ上の有機層が、オリゴヌクレオチドのチップ上合成用の前駆体を付着させるため、アンカーとして使用されることがある。異なる特性を有する層が、当業者には公知の異なる手法を使用して形成されてもよい。
【0179】
実施例20:チップへの核酸プローブの共有付着のための手法
ステップ3:図22のチップ706への核酸プローブの付着
付着の方法を図23に略図的に示す。
【0180】
カルボキシアルキル基により誘導された核酸708と結合剤として使用されるEDACを、活性化エステル710を形成するために、リン酸緩衝液、pH=8.0〜8.5に溶解した。溶液を、核酸が、選択された部位でそのチップに結合するように、制御されたやり方で、チップ704(実施例19に説明されているように作成された)と接触させた。溶液を、プローブ核酸714を有する誘導チップ712から、水による連続的な洗浄により取り除いた。
【0181】
図24は、図23と基本的には同じものを呈示している。しかし、本図では、電極は導電性層717および719の開放端であり、非導電性層718により互いに分離されている。電極は、非導電性層(ギャップ)718の開放端が認識部分核酸714により誘導される誘導化チップに存在する1つの検出部位716の一部である。この場合、電極は導電性層を重層することにより形成され、非導電性層(ギャップ718として役立つ)により分けられ、ついで穴を切り開くこと、開口部を穿つことなどにより、導電性層を露出させる。
【0182】
実施例21:サンプル中の核酸分子にビオチンを付着させるプロセス
ステップ4:サンプル中の核酸へのビオチンの付着
このプロセスを図25に略図的に示す。使用されている付着手法は、Biotin−Chem−Link、Cat. No. 1812149、Boehringer Mannheim社製によるものである。核酸は、核生成−中心形成実体を後に付着させる(アビジンを使用)ための第1ステップとして、ビオチンに付着させた。標的核酸配列は、核酸配列におけるグアノシンおよびアデノシン塩基のN7に結合するビオチン化シス−白金複合体などの薬剤により反応させる。以下のプロセスを使用して、核酸は、マイナー副反応と切断とだけを伴い、シス−白金複合体の1つまたはそれ以上に付着するようになる。標識基の核酸への結合は、その相補的配列による効率的で選択的なハイブリダイゼーションをさらに可能にする。
【0183】
ビオチンの付着のための手法:
1つまたはそれ以上の標的核酸配列802の1つまたはそれ以上の分子を含有すると考えられるサンプル800は、シス−白金ビオチン複合対804と混合される。溶液は、30分間85℃まで熱され、その後に室温に冷却され、また、停止液と混合される。典型的な停止液には、その薬剤に非可逆的に結合する1つまたはそれ以上の化合物を含み、したがってそれを不活性化させる。こうした溶液は、トリス−[ヒドロキシメチル]アミノエタン(>40mM)、EDTA(>5mM)、酢酸マグネシウム(>100mM)などを含む溶液である。核酸806は、1つまたはそれ以上のビオチン断片を帯びている。結果として生じる、1つまたはそれ以上のビオチン含有標的配列806の1つまたはそれ以上の分子を含むビオチンを含むサンプル808は、サイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の精製手法を使用して精製することができる。
【0184】
実施例22:ビオチン含有サンプルにおける核酸分子とチップ上に存在する核酸プローブとの間のハイブリダイゼーションプロセス
ハイブリダイゼーション手法は図26に略図的に示す。種々のハイブリダイゼーション手法が、特定の所望される要求により使用され得る。
【0185】
ステップ5:ハイブリダイゼーションおよびストリンジェントな洗浄
ハイブリダイゼーション溶液:28mLのホルムアミド、7mLのSSC(20×)、8mLのDenharts溶液(50×)、0.4mLのサケ精液溶液および10% SDSが混合され、使用前に42℃まで30分間熱せられた。
【0186】
ハイブリダイゼーション:前記のように作製された各誘導チップ820は、ハイブリダイゼーション溶液に浸され、また42℃で30分間振とうされた。その後に、ステップ4により処理されたビオチン含有サンプル822(実施例21に説明されているように作製された)が、その溶液に加えられた。このチップは、誘導化チップ820の表面上に存在する相補的配列826(認識部分)により、標的824として役に立つものをハイブリダイゼーションするために、42℃にて12時間溶液のなかで振とうされた。
【0187】
ストリンジェントな洗浄:誘導化チップ820は、ハイブリダイゼーション溶液から除去され、また振とうしながら、42℃にて0.2xSSC溶液のなかに浸された。ストリンジェントなプロセスは、三度繰り返され、サンプル822のなかに存在する場合には、ビオチン含有標的が認識部分に結合されるハイブリダイゼーションされたチップ828を産出する。図27は、標的と、開放端が電極として役に立つ2つの導電性層834および835の間を分け隔てている非導電性層により形成される絶縁性ギャップ832上に存在する認識部分との間にある複合体の形成を示している。
【0188】
実施例23:表面結合認識部分にハイブリダイズされるビオチン含有核酸へのストレプトアビジン−金共役(核生成中心として役に立つ)の付着
その付着を図28に略図的に示す。
【0189】
ステップ6:表面結合認識部分にハイブリダイズされたビオチン含有核酸へのアビジン含有核生成中心の付着
ストリンジェントな洗浄後のチップ840は、室温にて蒸留水のなかに乳遮断溶液(milk blocking solution)を1:4の割合で入れた溶液のなかで40分間振とうさせた。その後、ストレプトアビジン−金共役(ストレプトアビジン−ナノ金、ナノプローブ)842の溶液が添加された。チップはさらに、室温で0.1×膜洗浄溶液で3回洗浄された(各洗浄溶液で5分間振とうされ)後、さらに2時間の間、室温にて溶液のなかでさらに振とうされた。乾燥後、チップ840は、以前のステップ5で検出されるビオチン含有標的配列がサンプル822のなかに存在した場合は、ストレプトアビジン−金共役により誘導された標的および認識部分の複合体846を有する。図29は図27と基本的に同じものを示しているが、そこでは、図24に図示説明されているように、開放端が電極として役に立っている2つの導電性層853と854との間を分け隔てている非導電性層により形成されるギャップ852上に存在する核生成中心850を、標的と認識部分との複合体が有するように、核生成中心が標的と認識部分間の複合体上のビオチンに付着される。
【0190】
実施例24:核生成中心上での金析出
A.溶液
以下の原液が使用された。
【0191】
溶液a:KAuCl4 240mgが10mL蒸留水に溶解され、そして0.22μフィルターによりろ過された。
【0192】
溶液b:KSCN 600mgが10mL蒸留水に溶解され、そして0.22μフィルターによりろ過された。
【0193】
溶液c:ヒドロキノン550mgが10mL蒸留水に溶解され、そして0.22μフィルターによりろ過された。
【0194】
溶液d:チオジプロピオン酸320mgが蒸留水に溶解され、pHを5.50に調整された。その溶液は10mLに調整され、0.22μフィルターによりろ過された。
【0195】
溶液e:1Mリン酸緩衝液pH=5.50が蒸留水から調製され、0.22μフィルターによりろ過された。
【0196】
金析出に関しては、以下の溶液が使用された。
溶液I:室温にて溶液aの600μLが溶液bの600μLと混合された。結果生じたオレンジ沈殿物が回収され、また溶液eの5000mLのなかに再溶解され、溶液gを形成した。完全に透明になったら、可及的速やかに溶液cの1200μLが溶液gに加えられ、溶液hを形成した。溶液hは0.22μフィルターによりろ過され、すぐに使用された。
【0197】
溶液II:室温にて溶液aの3000μLが溶液dの3000μLに混合され、溶液iを形成した。溶液iは0.22μフィルターによりろ過され、すぐに使用された。
【0198】
B.手順
図30には、2つの電極900および901の一組のセット(非導電性層のギャップ904により分け隔てられている露出した導電性層の開放端近傍に)からなる1つの検出部位上での金析出プロセスが呈示されている。ギャップ904は、それぞれが核生成中心908を含有しているストレプトアビジン−金共役906によって誘導される、標識標的と、認識部分との複合体を保持している。新鮮に調製された溶液IまたはIIを、各核生成中心908が準安定的金溶液からの金析出を触媒するように、その処理された物質と接触させ、電極900と901の間の導電性架橋として役に立つ大きな単結晶および/または多結晶析出物910を形成した。見ると分かるように、標的と認識部分との間の複合体は、それ自体は電極間の物理的架橋を形成しないが、大きな結晶になると架橋を形成する。
【0199】
実施例25:チップのAFM像
図31(A)、31(B)、31(C)は、前記のプロセス全体を行なったひとつのチップ上の3つの典型的な領域の代表的なAFM像である。図31(A)は、DNA認識部分がなにもない表面を示す。図31(B)は、サンプル中の標的の配列を部分的にしか補完しない1つの配列を有する認識部分を帯びる表面を示す。また、図31(C)は、サンプル中の標的の配列を完全に補完する配列を有する認識部分を帯びる表面を示す。見ると分かるように、実質的には標的金粒子は適当な認識部分がない場合にはまったく形成されず、金粒子は、認識部分が標的に対して部分的にしか特異的ではなかったところにはほとんど形成されなかったが、一方、標的に対して完全に相補的である認識部分に関しては、豊富な粒子が形成されることが明らかになっている。
【0200】
実施例26:電気的検出
図32は、前述のように処理されたチップ上の2つの電極からなる2組の検定セットのAFM像を示す。左上の像はDNA認識部分がなにもない2つの電極からなる1組の検定セットの表面を示す。左下像(B)は、電気的なコンダクタンスはまったく示さない前記検出部位の電流−電圧曲線を示す。右上像は、サンプル中の標的の配列を完全に補完する配列を認識部分として有する1組の検定セットの表面を示す。右下像(A)は、ストレプトアビジン−金共役により誘導されたハイブリダイゼーションされた標的認識部分上の金析出が、電気的に絶縁しているギャップを架橋し、結果として電気的に導電性のある検出部位になっていることを示す上の検出部位の電流−電圧曲線を示す。したがって、検定セットの電気的コンダクタンスは、標的と認識部分のハイブリダイゼーションされた複合体の存在を測定するものである。
【0201】
実施例27:多重化
複数部位配置(multisite array)において本発明の電子装置を適用する場合は、各電極対への直接的な接続よりもより洗練された読取りスキームが必要になる。こうした配列に関しては、多重化スキームが適用できる。こうしたスキームでは、入力−出力ラインの数は、部位の数の平方根の2倍にしかならない。図33は、多重化配置検出装置の略図を示す。各検出部位は事実上、ダイオードないしは非線形構成要素で連続している、垂直ラインおよび水平ラインの間のギャップとして、ギャップが役に立っている、1つのギャップにより分け隔てられている2つの電極である。バイアススキームは現在では、異なった部位のコンダクタンスを読むために適用される。非線形要素は、異なる部位間の「クロストーク」を防ぐために使用される。特定部位のコンダクタンスの検出は、読み取られる値が正の電圧に設定されている、特定検出部位につながるものを除いて、ゼロバイアス設定にすべての垂直ラインを設定することにより達成される。水平ラインはすべて、ゼロ設定された部位と同じ部位に接続されているものを除いて、正の電圧に設定されている。2つの電極からなる1組の特定検定セットが、前述されているように、検定セットに対する標識標的のハイブリダイゼーションと、析出プロセスにより導電性にされている場合は、電気回路は閉じられる。したがって、電流は、垂直ラインを通じて、ダイオードないしは非線形構成要素を通じて、試験された検定セットの析出された架橋を通じて、ないしは電極の方への電圧源(図示せず)の「プラスV」側と、電源の「マイナスV」側につながる水平ラインの間を流れることが可能である。電流は、連続的に電流計(amperemeter)によりモニターすることができる。このスキームでは、たとえ導電性であっても、ほかの部位は、すべての該当するダイオードが負にバイアスされるため、そのシステムにおけるいずれの2つのラインの間のコンダクタンスにも貢献することはできない。すべての垂直ラインにわたる垂直な正の電圧をスキャニングし、また異なる水平ラインに対してゼロバイアスを設定することで、すべての検出部位の導電性をモニターすることができる。さらに、迅速なスキャニング技術が適用でき、数秒またはそれ以下で、たった1000垂直および1000水平ラインのみを用いて1,000,000検出部位についてのモニターが可能になる。
【0202】
実施例28:サンプル中の核酸配列分量の定量的測定
DNA配置の電気的検出が、マイクロ電子機器により最小サイズのセットを有する検出部位で行なわれる(平方ミクロンという小さな断片の面積)。DNA(またはRNA)試薬の1つのタイプを含むハイブリダイゼーション部位はより大きい面積にわたり、またしたがって、多くの検出部位を含むことが考えられる。個々の検出部位(図34に略図的に図示されている。間隔が空けてある電極の単一電極構成要素とダイオードまたは非線形構成要素)と、ハイブリダイゼーション部位(個々の検出部位の電極対を架橋するギャップにすべて同じプローブ配列を有する複数の個々の検出部位を含む、異なった領域として、図34に略図的に図示されている)とを識別できるようになっていなければならない。ハイブリダイゼーション部位が、数多くの、識別可能な、個々の検出部位を含んでいるという事実は、非常な長所であり、また、サンプルの標的量の定量的測定、ノイズに対するシグナルの割合の増加、誤まった陽性結果の量を相当量減少させるのに使用することができる。
【0203】
図34は、各ハイブリダイゼーション部位の内部で、数多くの個々の検出部位に分割された多重化形態を略図的に示す。たとえば、10,000ハイブリダイゼーション部位配置(すなわち、部位に付着もしくは部位で合成される10,000の異なるオリゴヌクレオチド、または異なる部位における10,000cDNA)が、1,000,000部位多重配置を付与するため、ハイブリダイゼーション部位当たり100の個々の検出部位で構成することができる。
【0204】
ここで、1つのハイブリダイゼーション部位当たりn検出部位を示すその数字を考えてみる。検出部位は、十分に小さく作られており、そのため、任意の標的サンプルにとっては、それに対してハイブリダイゼーションされる1つのDNA(またはRNA)分子を有する確率は、1未満である。金析出プロセスの後、各ハイブリダイゼーション部位において、われわれは、ハイブリダイゼーションおよび金属架橋の形成のため、m<n導電性検出部位となっていることを発見することであろう。標的分子の量の定量的測定は、各ハイブリダイゼーション部位内でm/nである陽性導電性部位の画分を数えることにより実施することができる。変性部位(meta-site)を作り出すために、pの異なった検出部位を一緒にまとめることもできる。p>p臨界に対してのみ変性シグナルが陽性検出であると考えられるように検出閾値を設定すると、適当なpを選択することにより誤まった陽性を指数関数的に抑制することができる。したがって、ノイズに対するシグナルの割合もまた、有意に向上させることが可能である。この方法は、異なるハイブリダイゼーション部位における検出部位を、異なる感度と閾値を許容する、異なった変性部位サイズにまとめることができるため、測定の動態的範囲を増大することが可能になる。電子多重化測定では、こうした操作を、たとえば、コンピュータ制御および適当なソフトウエアにより簡単に制御することが可能になる。
【0205】
実施例29:異なる層を有する多重化配置
図35は、図33または34の異なる層からなる多重化DNA配置の特定のマイクロ電子実施態様1000を示す。基板1010は、ドーピング処理されたp型シリコンで構成されている。フォトリトグラフィーにより定義されるフォトレジストマスクを使用して、n型平行チャネル1012が、イオン注入技術を使用して規定される。フォトレジストはその後に除去され、そして注入された領域は熱により活性化される。薄い二酸化シリコン層がその後に、表面上に成長する。第2のフォトレジストマスクが、ダイオードの陽極が作り出される場所であるp型注入のための穴によって規定される。ウエハはp型領域1014を形成するために注入されたp型であり、フォトレジストは除去され、また注入は熱により活性化される。p型領域は、n型ストリップに比して、多重化読取りスキームに必要とされる非線形要素1016を形成する。ついで、二酸化シリコンはエッチングされて削られ、また新しい層1018が成長する。穴はシリコンダイオード層に開いており、また底の導電性電極1020は、蒸着およびリフトオフ(lift-off)により析出される。低温酸化物層がその後に成長し、引き続いて、第2の導電性層が成長する。一番上の導体と低温酸化物とは、他の電極1022および絶縁ギャップ1024を形成するためにその後にエッチングされて二酸化シリコン層まで下げられる。図36は、平面Aに沿って1000の断面(cross section)を呈示しており、すなわち、チップ1000上のギャップ2030によって分け隔てられている2つの電極の配置が、ギャップ1024により分け隔てられている電極対1020および1022により規定されている。ギャップ1024は、次に、前記で説明されているように、ハイブリダイゼーション部位として使用される。
【0206】
実施例30:減少サンプル容量(reduced sample volume)に対するマイクロ流体工学
いくつかの適用では、小さなサンプル容量により作業するという能力は非常な長所になる。こうした目的のため、マイクロ流体工学技術を利用している実施態様が使用されていることがある。図37は、図35または36に示されているチップ1000にほぼ同じ(同一ではないが)1つのチップによる断面である。図25に示されているのと同一の要素は同じ参照番号を付してある。基板1001はドーピング処理されたp型シリコンから構成されている。フォトリトグラフィーにより規定されるフォトレジストマスクを使用して、n型平行チャネル1002が、イオン注入技術を使用して規定されている。フォトレジストはその後に除去され、そして注入された領域は熱により活性化される。薄い二酸化シリコン層はその後に表面上で成長する。第2のフォトレジストマスクは、ダイオード陽極が作れ出される場所であるp型注入のための穴により規定される。ウエハは、その後、p型領域1003を形成するために注入されたp型であり、フォトレジストが除去され、その注入が熱により活性化される。p型領域はn型ストリップに比して、多重化読み取りスキームに必要とされる非線形要素1004を形成する。二酸化シリコンはその後にエッチングされて削られ、また新しい層1005が成長する。穴は二酸化シリコン層に開いており、また底の導電性電極1006、低温酸化物1008および上部アルミニウム電極1007は、蒸着により析出される。リフトオフはこのステップで終結する。第3のフォトレジストマスクが、その装置の穴が作り出される場所にある穴により規定される。チップ1000上の検出部位1009は、ギャップ1008により分け隔てられている電極対1006および1007により規定される。ギャップ1008は、次に、ハイブリダイゼーション部位として使用される。チップ1000は、サンプル溶液のための貯蔵槽1010として役に立つ2つの溶液ダクトの間に置かれる。溶液は、チップの穴を通して貯蔵槽の2つの部分の間で駆動されて行なったり来たりし、したがって、一方では低サンプル容量を維持しながら、ハイブリダイゼーション部位1009とのサンプルとの効率的な接触を確かなものにする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施態様により本検定を行なう様式における検定装置の略図である。
【図2】 本発明の一実施態様により本測定を行なうやり方における検定装置の略図である。
【図3】 図3A〜3Eは、本発明のいくつかの異なる実施態様により、標的実体の検出のための検定装置の少なくとも1つの電極上に固定されている認識部分の異なる組み合わせを示す。
【図4】 図4A、4B、4Cは、認識部分が電極以外の支持部材上に固定されている本発明の3つの実施態様の略図である。
【図5】 架橋の機能化を含む、本発明の一実施態様による検定装置および方法に関する略図である。
【図6】 標的の濃度が測定できる本発明の一実施態様の略図である。
【図7】 サンプル中の標的の濃度を測定するための本発明のもう一実施態様の略図である。
【図8】 さまざまな異なる標的実体の検出のための本発明の1つの多重化(multiplexing)実施態様の略図である。
【図9】 各2つの隣接する検定セットが1つの電極を分かち合っている本発明の一実施態様の略図である。
【図10】 サンプル中のDNA配列の検出のための測定装置および方法を図示する。
【図11】 図10に図示されているように、架橋形成標的上の金属析出後に形成される機能化架橋に関する2つの例示的な電流−電圧関係を示す。
【図12】 ポリ−p−フェニレーンビニレン(PPV)の析出により架橋が機能化される、サンプルの中のDNA配列の検出のための測定装置および方法を図示する。
【図13】 核酸架橋を機能化するもう一実施態様を図示する。
【図14】 抗原の検定のための本発明の一実施態様を示す。
【図15】 電極上へのオリゴヌクレオチド認識部分の固定の一実施態様を図示する。
【図16】 実施例1(a)で説明されているように、オリゴヌクレオチドを合成するための図式を示す。
【図17】 12μm離れている2つの金の電極(暗色縞状部)の間に伸びている蛍光標識されたλ−DNA架橋を示す。
【図18】 12μm離れている2つの金の電極を接続する銀1.5μmにより被覆されているDNA架橋の原子間力顕微鏡(AFM)画像と視野の寸法を示す。
【図19】 実施例8により作成された銀により被覆されたDNA架橋の2つの末端I−V曲線である。矢印は、電圧スキャン方向を示す。実線曲線は繰り返されるスキャンであり、サンプルの安定度を示す。2つのスキャン方向に対応するI−V曲線において異なった非対称性であることに注意。
【図20】 銀増殖が図19におけるよりもさらに広がっていた、異なる銀ワイヤのI−V曲線を示す。銀増殖がさらに進展すると、それだけ、0.5V程度、電流プラトーが小さくなり、抵抗は低くなる(図17における30MΩに対して13MΩ)という結果となった。ワイヤを通じて大きな電流を走らせることにより、プラトーは、測定範囲全体にわたってオームの挙動を付与するように除去された(点線)。
【図21】 サンプル中の核酸配列の有無に関して検出測定を行なうステップの略図を示す。
【図22】 核酸付着のためのチップの作成のための方法のステップの略図を示す。
【図23】 図22で説明されている方法により生産されたチップに対する核酸プローブの共有付着のための方法に関するステップの略図を示す。
【図24】 非導電性(絶縁性)層の開放端により互いに隔てられている導電性層の開放端である2つの電極からなる検定セットの略図を示す。
【図25】 サンプル中の標的核酸にビオチン基を付着させるためのプロセスの略図を示す。
【図26】 サンプル中のビオチン含有核酸標的とチップ上の認識部分との間のハイブリダイゼーションを略図的に示す。
【図27】 図24の電極上に認識部分が存在している、図26と本質的に同じものを示す。
【図28】 標的−認識部分複合体に存在しているビオチン含有標的に対するアビジン含有核生成−中心形成実体の付着を略図的に示す。
【図29】 複合体が図24の電極上に存在している、図28と本質的に同じものを示す。
【図30】 2つの電極からなる1組の検定セットのなかの金の析出のプロセスを略図的に示す。
【図31A】 サンプルとの接触、核生成中心の付着およびそこにおける金結晶化の形成を可能にする試薬曝露のプロセスを行なったチップであり、DNA結合部分を欠くチップのAFM図を示す。
【図31B】 サンプルとの接触、核生成中心の付着およびそこにおける金結晶化の形成を可能にする試薬曝露のプロセスを行なったチップであり、サンプル中の標的は異例に部分的に相補的である結合部分を有する1つのチップのAFM図を示す。
【図31C】 サンプルとの接触、核生成中心の付着およびそこにおける金結晶化の形成を可能にする試薬曝露のプロセスを行なったチップであり、標的配列に完全に相補的である認識部分を有する1つのチップのAFM図を示す。
【図32】 金粒子により架橋された(右上)または金粒子により架橋されなかった(左上)電極からなる単一検定セットのAFM図と、対応する電流電圧曲線(それぞれ、右下と左下)とを示す。
【図33】 多重化配置(multiplexing array)配列を有する電子検出装置を示す。
【図34】 各ハイブリダイゼーション部位が複数の検出部位からなる電子検出装置の多重化配置を略図的に示す。
【図35】 図33の多重化DNA配置のマイクロ電子的実施態様を示す。
【図36】 図35の平面Aにおける断面の詳細図を示す。
【図37】 マイクロ流体システムで使用される小さな代替物を有する図36に示されたものと同様の断面の詳細図を示す。
Claims (26)
- サンプル中の1つまたはそれ以上の標的を検定するシステムであって、
(a)少なくとも2つの電極、基板、および認識部分からなる1つまたはそれ以上の検定セットを有し、該電極は該基板上に設置され、ギャップによって隔てられ、該認識部分は該ギャップに位置しかつ基板に付着され、該認識部分は標的の1つに特異的に結合する能力を有する検定装置、
(b)各検定セットの少なくとも2つの電極間の電気的コンダクタンスを測定するために配置、設定される電気または電子モジュール、
(c)前記認識部分と前記標的との間に形成される複合体上に導電性物質を沈着させるための薬剤であって;(i)サンプル中に標的が存在する場合に該標的の成分に結合するための核生成−中心形成実体からなる溶液;および(ii)該実体上に導電物質を形成させる、金属イオンと還元剤との組み合わせからなり、該導電物質が複合体上に沈着すると該少なくとも2つの電極間に導電性架橋が形成される薬剤、および
(d)1つまたはそれ以上の標的がサンプル中に存在するかどうかを、各検定セットの少なくとも2つの電極間の電気的コンダクタンスの程度として測定するための電子装置
からなるシステム。 - 前記核生成−中心形成実体がコロイド粒子である請求項1記載のシステム。
- 前記核生成−中心形成実体が金属複合体および/またはクラスターである請求項1記載のシステム。
- 前記コロイド粒子がコロイド金粒子である請求項2記載のシステム。
- 前記金属複合体および/またはクラスターが金複合体および/またはクラスターである請求項3記載のシステム。
- 前記コロイド粒子がコロイド白金粒子である請求項2記載のシステム。
- 前記金属複合体および/またはクラスターが白金複合体および/またはクラスターである請求項3記載のシステム。
- サンプル中の1つまたはそれ以上の標的を検定するシステムであって、
(a)少なくとも2つの電極、基板、および認識部分からなる1つまたはそれ以上の検定セットを有し、該電極は該基板上に設置され、ギャップによって隔てられ、該認識部分は該ギャップに位置しかつ基板に付着され、該認識部分は標的の1つに特異的に結合する能力を有する検定装置、
(b)各検定セットの少なくとも2つの電極間の電気的コンダクタンスを測定するための電気または電子モジュール、および
(c)前記認識部分と前記標的との間に形成される複合体上に結合することができる導電性ポリマーのモノマーからなる薬剤であり、それによってモノマーの重合化の際に1組のセットの少なくとも2つの電極間に導電性架橋が形成される薬剤
からなるシステム。 - 前記モノマーがポリアニリンのモノマーである請求項8記載のシステム。
- 前記1つまたはそれ以上の標的が1つまたはそれ以上の核酸分子である請求項1〜9のいずれかに記載のシステム。
- 前記認識部分が、前記1つまたはそれ以上の標的の少なくとも一部分に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドである請求項10記載のシステム。
- 前記検定セットが複数である請求項1〜11のいずれかに記載のシステム。
- 前記検定セットがすべて同じ標的を検定するためのものである請求項12記載のシステム。
- 別々の検定セット、または検定セットの別々の群が、別々の標的を検定するためのものである請求項12記載のシステム。
- サンプル中の異なる標的の同時測定のための請求項14記載のシステム。
- 前記標的がタンパク質またはポリペプチドで、前記認識部分が標的タンパク質に特異的に結合するタンパク質結合分子である請求項1〜9および12〜15のいずれかに記載のシステム。
- 前記認識部分が、抗体または少なくとも抗体の抗原結合ドメインからなる抗体画分である請求項16記載のシステム。
- サンプル中の1つまたはそれ以上の標的を検定する方法であって、
(a)少なくとも2つの電極、基板、および認識部分からなる1つまたはそれ以上の検定セットを有し、該電極は該基板上に設置され、ギャップによって隔てられ、該認識部分は該ギャップに位置しかつ基板に付着され、該認識部分は標的のうちの1つに特異的に結合する能力を有する検定装置を提供するステップと、
(b)特異的な認識部分への標的の結合を可能にする条件下で前記サンプルと前記測定装置とを接触させるステップ、
(c)標的と認識部分との間に形成される複合体上に核生成−中心形成実体を形成するために第1の試薬溶液と前記装置とを接触させるステップ、
(d)前記少なくとも2つの電極の間に導電性架橋を産み出すのに十分な時間の間、前記核生成中心から導電性金属物質を増やすために第2の試薬溶液と前記装置を接触させるステップ、
(e)前記少なくとも2つの電極間のコンダクタンスを測定する電気または電子モジュールに対して前記少なくとも2つの電極を接触させるステップ、および
(f)閾値コンダクタンスを超えるコンダクタンスは、サンプル中のそれぞれの標的の存在を示す、前記少なくとも2つの電極間のコンダクタンスを測定するステップ
からなる方法。 - サンプル中の1つまたはそれ以上の標的を検定する方法であって、
(a)サンプル標的を、該標的に核生成−中心形成実体を結合させるために、第1の試薬溶液と反応させるステップ、
(b)少なくとも2つの電極、基板、および認識部分からなる1つまたはそれ以上の検定セットを有し、該電極は該基板上に設置され、ギャップによって隔てられ、該認識部分は該ギャップに位置しかつ基板に付着され、該認識部分が標的のうちの1つに特異的に結合する能力を有する検定装置を提供するステップ、
(c)特異的な認識部分への標的の結合を可能にする条件下で前記サンプルと前記測定装置とを接触させるステップ、
(d)前記少なくとも2つの電極の間に導電性架橋を産み出すのに十分な時間の間、前記核生成−中心形成実体から導電性金属物質を増やすために第2の試薬溶液と前記装置を接触させるステップ、
(e)前記少なくとも2つの電極間のコンダクタンスを測定する電気または電子モジュールに対して前記少なくとも2つの電極を接触させるステップ、および
(f)閾値コンダクタンスを超えるコンダクタンスは、サンプル中のそれぞれの標的の存在を示す、前記少なくとも2つの電極間のコンダクタンスを測定するステップ
からなる方法。 - サンプル中の1つまたはそれ以上の標的を検定する方法であって、
(a)少なくとも2つの電極、基板、および認識部分からなる1つまたはそれ以上の検定セットを有し、該電極は該基板上に設置され、ギャップによって隔てられ、該認識部分は該ギャップに位置しかつ基板に付着され、該認識部分が標的のうちの1つに特異的に結合する能力を有する検定装置を提供するステップ、
(b)特異的な認識部分への標的の結合を可能にする条件下で前記サンプルと前記測定装置とを接触させるステップ、
(c)前記装置に、前記モノマーが標的と認識部分との間に形成される複合体に結合するように導電性ポリマーのモノマーからなる第1の試薬溶液を接触させるステップ、
(d)前記モノマーが導電性ポリマーを形成するために重合するように前記装置を処理し、それにより少なくとも1つの検定セットの少なくとも2つの電極の間に導電性架橋を形成するステップ、および
(e)閾値コンダクタンスを超えるコンダクタンスは、サンプル中のそれぞれの標的の存在を示す、前記少なくとも2つの電極間のコンダクタンスを測定するステップ
からなる方法。 - 請求項20記載のシステムであって、ステップ(a)の前に以下のステップ(a0):
(a0)サンプルを、前記モノマーから導電性ポリマーがその実体から成長するための核生成中心を形成できる実体を含有する第2溶液と反応させ、それによって該実体が、サンプル中に前記標的が存在する場合に該標的に結合するステップ
からなる方法。 - 請求項20記載の方法であって、(a)の後に以下のステップ(a1):
(a1)前記検定装置に、前記モノマーから導電性ポリマーがその実体から成長するための核生成中心を形成できる実体を含有する第2試薬溶液を接触させ、それにより該実体が、前記認識部分に結合された場合は、前記標的に結合するステップ
からなる方法。 - 前記標的が核酸分子であり、認識部分がそれぞれ前記標的の核酸分子に相補的である配列を有するオリゴヌクレオチドである請求項18〜22のいずれかに記載の方法。
- 測定コンダクタンスレベルが、サンプル中の標的の濃度測定として役立つ請求項18〜23のいずれかに記載の方法。
- サンプル中の1つまたはそれ以上の標的の検定に用いるキットであって、
(a)少なくとも2つの電極、基板、および認識部分からなる1つまたはそれ以上の検定セットを有し、該電極は該基板上に設置され、ギャップによって隔てられ、該認識部分は該ギャップに位置しかつ基板に付着され、該認識部分は標的の1つに特異的に結合する能力を有する検定装置、および
(b)前記認識部分と前記標的との間に形成される複合体上に導電性物質を沈着させるための薬剤であって;(i)サンプル中に標的が存在する場合に該標的の成分に結合するための核生成−中心形成実体からなる溶液;および(ii)該実体上に導電物質を形成させる、金属イオンと還元剤との組み合わせからなり、該導電物質が複合体上に沈着すると1組のセットの該少なくとも2つの電極間に導電性架橋が形成される薬剤
からなるキット。 - サンプル中の1つまたはそれ以上の標的の検定に用いるキットであって、
(a)少なくとも2つの電極、基板、および認識部分からなる1つまたはそれ以上の検定セットを有し、該電極は該基板上に設置され、ギャップによって隔てられ、該認識部分は該ギャップに位置しかつ基板に付着され、該認識部分は標的の1つに特異的に結合する能力を有する検定装置、および
(b)前記認識部分と前記標的との間に形成される複合体に結合することができる導電性ポリマーのモノマーからなる薬剤であって、それによりモノマーの重合化の際に1組のセットの少なくとも2つの電極間に導電性架橋が形成される薬剤
からなるキット。
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