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JP4597864B2 - 人工耳管 - Google Patents

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JP4597864B2
JP4597864B2 JP2005515271A JP2005515271A JP4597864B2 JP 4597864 B2 JP4597864 B2 JP 4597864B2 JP 2005515271 A JP2005515271 A JP 2005515271A JP 2005515271 A JP2005515271 A JP 2005515271A JP 4597864 B2 JP4597864 B2 JP 4597864B2
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Description

本発明は、鼓膜を通して耳管内に挿入するための人工耳管に関する。
耳は、外耳、中耳及び内耳で構成される。外耳と中耳とは、外耳道の内端に位置する鼓膜によって仕切られている。中耳は、鼓膜と前庭窓(内耳の前庭に通じる)とを連絡する耳小骨(ツチ骨、キヌタ骨及びアブミ骨)を収容した空間である鼓室(中耳腔)と、鼓室から延びて咽頭に開口する耳管とからなる。耳管は、鼓室前庭に始まり(鼓室耳管口)、上後外側から下前内側に向かって斜めに延びて咽頭側壁において開口(耳管咽頭口)する。耳管は全長約33mmで、上側約1/3は側頭骨の中を通っており、下側約2/3は軟骨で包まれている。骨部耳管は、狭まった鼓室耳管口を通って一旦やや広がった後次第に細くなり、軟骨部の入口部位で最も細くなり(耳管峡部)、この位置で通常は閉じている。耳管峡部より下方では耳管は次第に太くなってラッパ状に耳管咽頭口に開いている。耳管の機能の1つとして換気機能が挙げられる。これは、あくびや嚥下の際に口蓋帆張筋の収縮により軟骨部の下壁が下方に引かれて耳管峡部の内腔が一時的に開き、咽頭から鼓室へと空気が流入するという能動的なものと、外界の圧変化に伴って受動的に換気が行われる受動的なものとに分けられる。健常な耳では、耳管の換気機能、特に能動的な換気機能のため、鼓室内圧は外気圧と等しく保たれている。また耳管は、中耳の分泌物を咽頭へと排泄する機能をも有する。これらの機能が障害されている状態、すなわち耳管機能不全症としては、耳管狭窄症(耳管閉塞症)、耳管開放症、耳管閉鎖不全症が挙げられる。
耳管狭窄症は、嚥下や欠伸等で起こる筈の耳管の開大が、何らかの原因で障害され、耳管を介する中耳の換気が障害された状態である。その原因としては、上咽頭の炎症等による耳管の器質的な狭窄と、口蓋裂のように耳管開大筋(口蓋帆張筋)の機能不全による機能的狭窄とがある。耳管狭窄により中耳の換気が妨げられると、鼓室中の酸素は周囲粘膜から吸収され、鼓室内が陰圧となり鼓膜は内陥する。その結果、耳閉感、難聴、自声強聴等の症状をきたす。また耳管狭窄が持続すると、滲出性中耳炎に移行することがある。これは鼓室内の陰圧状態が持続する結果、中耳腔に滲出液が漏出する疾患であり、鼓室に滲出液が充満し伝音性難聴や耳閉塞感を生じるほか、反復性の急性中耳炎にも罹患し易くなる。このほか、鼓室が慢性的且つ不可逆的な陰圧状態に置かれると、鼓膜が中耳壁に癒着する極めて難治性の疾患である癒着性中耳炎、あるいは、本来上皮ではない中耳腔で鼓膜の角化扁平上皮が増殖しその過程で周囲の骨を破壊していく疾患である真珠腫性中耳炎の原因ともなる。
耳管狭窄症の治療には、耳管咽頭口にカテーテルを挿入して通気させる、いわゆる耳管通気療法が頻用されている。また、その他の処置治療として、咽頭側あるいは鼓室側からステロイドホルモンを耳管内に注入する方法や、耳管咽頭口周囲にステロイドホルモンを粘膜下に注射する方法があるが、効果が客観的に確立されたものとはなっていない。投薬による保存的治療では、消炎酵素製剤や抗アレルギー作用を有する薬剤の全身投与や、ステロイド剤の点鼻が行われているが、長期間の投薬を要するほか、中等度以上の症例では効果が十分得られない場合が多いという問題がある。薬物療法で効果が得られない症例に対しては、鼓室の換気を確保するため鼓膜チューブ留置術も行われている。鼓膜チューブとは、鼓膜に設けた穿孔に嵌められるチューブであり、種々のサイズや形状のものが市販されている。約3mm程度の長さを有する、中央の括れたチューブが一般に用いられているものの一つである。しかし鼓膜チューブによっては、鼓室の換気は得られるが、耳管狭窄そのものはこれでは改善されず、耳管を通した換気や排泄機能が回復するわけではない。また鼓膜チューブは、鼓膜の穿孔の修復に伴い通常数ヶ月〜1年で自然に脱落してしまうため、耳管狭窄が改善されていない場合には、換気を確保するために再度の鼓膜チューブ留置も必要となる。薬剤による治療に抵抗する症例に対し、最近では、レーザ(炭酸ガスレーザ、KTPレーザ)によって、耳管咽頭口側から耳管内粘膜を焼灼するという治療方法が開発されている。しかしながら、耳管峡部に近い奥の部分を焼灼した場合の周囲組織への影響については不明な点も多く、耳管焼灼術を施すには、十分な解剖学的知識と高度な外科的技術をマスターすることが必須であり、広く手軽に行われるには至っていない。
また耳管開放症は、耳管が常に開放した状態にあるものをいい、患者の自覚症状としては、自分の声が耳管を介して中耳に到達することによる自声強聴、自分の呼吸音が聞こえること、耳閉感等があり、めまいを訴える例もみられる。患者の鼓膜は正常であるが、呼吸に伴って前後するのが観察される。耳管開放症の原因として、加齢や神経疾患による鼻粘膜の萎縮、体重減少による耳管周囲粘膜の萎縮、アデノイド手術後の瘢痕化などが挙げられるが、多くは原因不明である。
耳管開放症の薬物療法としては、硼酸とサリチル酸の混合粉末を耳管カテーテルで耳管内に噴霧するものであるベゾルト(Bezold)法、ゼラチンスポンジ溶液の耳管内腔への注入等が挙げられ、外科的療法としては、液状シリコーンの注射、耳粘膜焼灼、口蓋帆張筋移動、耳管周囲への軟骨片あるいは脂肪組織の埋め込みやコラーゲン注入等が挙げられるが、薬物療法は、長期間の継続的治療を必要とし、外科療法は効果が不十分であるという問題があった。なお、耳管開放症、耳管閉鎖不全症の治療のための器具として、中耳管内腔へと、鼓膜から5〜15mm程度奥まで留置される、テーパを有する扁平形状の耳管ピンが提案されている(特許文献1を参照)が、これは耳管の断面を塞ぐように働くものであり、耳管狭窄症には適用できない。
また、いわゆるフロッピーチューブが耳管機能の面から最近注目されている。フロッピーチューブとは、閉塞し易いと共に開放状態にもなり易い耳管であり、あくびや嚥下をきっかけに耳管開放状態となり、自声強聴や耳閉感を生ずる。これらの不快症状を解消するために患者は無意識に鼻すすり(これにより鼓室が陰圧になり耳管が閉鎖される)をすることが多くなるが、これが習慣化して鼓室が慢性的且つ不可逆的な陰圧状態に置かれると耳管狭窄症との関連で前述したように、滲出性中耳炎、癒着性中耳炎及び真珠腫性中耳炎の原因ともなる。
以上のように耳管機能の異常が中耳の種々の疾患の原因となるが、耳管狭窄症、耳管開放症あるいは閉塞と開放の両方を起こすフロッピーチューブを効果的に且つ簡便に治療でき、また、癒着性中耳炎の治療、滲出性中耳炎手術後の鼓膜の癒着防止や真珠種の再発防止等のために用いることのできる確かな治療方法が求められている。
特開2002−224157
上記背景において、本発明は、耳管狭窄症(耳管閉塞症)、耳管開放症、耳管閉鎖不全症及びフロッピーチューブを含む耳管機能不全症の治療に有効な、治療器具を提供することを目的とする。
本発明者は、通気用の開口を管壁に有する所定形態のチューブを、鼓膜を通して鼓室側から少なくとも耳管峡部まで到達させて軟骨部耳管内に臨ましめる一方、管壁の開口を鼓室内に位置させ、その状態でチューブを留置しておくことで、耳管狭窄症(耳管閉塞症)においては鼻腔と鼓室とを連絡して耳管を介した換気機能及び排泄機能の、生理的に近い状態での確保がもたらされ、また耳管開放症や耳管閉鎖不全症においても、過度に広がった耳管峡部断面の少なくとも一部を塞いでチューブ内腔を通して鼻腔と鼓室との適度な連絡が確保できることから、そのようなチューブが耳管機能不全症の治療に極めて効果的であり、人工耳管として用いることができることを見出し、更に検討を加えて本発明を完成させた。
すなわち本発明は、次のものを提供する。
(1)外耳道内において鼓膜外に出しておくための後端と、鼓室側から耳管内に挿入し耳管峡部を通して軟骨部耳管内に臨ましめるための先端とを有する管状物であって、
先端と後端とが軸方向に延びる内腔によって連通しており、
先端部において内腔が第1の開口を介して外部に開いており、
外径が0.35〜3.0mmの範囲にあり、
先端から9〜30mmの範囲内において管壁に該管腔と連通した第2の開口を有することを特徴とするものである、人工耳管。
(2)該管腔は、その径が0.20mm以上であり、且つ、少なくとも一部において0.9mmを超えない領域を有するものである、上記(1)の人工耳管。
(3)先端から1〜16mmの範囲であって、該第2の開口より8〜26mm先端寄りの範囲において管壁に該管腔と連通した第3の開口を有するものである、上記(1)又は(2)の人工耳管。
(4)上記(1)ないし(3)の何れかの人工耳管であって、該管状物が、外耳道内において鼓膜外に突出させておくための後端領域を含んだ相対的に太い管状部分である軸部と、該軸部よりその軸方向前方に延び、鼓室側から耳管内に鼓室耳管口及び耳管峡部を通して先端を軟骨部耳管内に臨ましめるための相対的に細い管状部分である前部とを含んでなり、そして
該前部が該人工耳管先端から4〜20mmの位置までを構成しているものである、人工耳管。
(5)該前部が、その根元側から先端へと、該軸部に比して段階的に又は連続的に外径を減ずるものである、上記(4)の人工耳管。
(6)該軸部における管腔の径が該前部における管腔の径より広がっているものである、上記(4)又は(5)の人工耳管。
(7)該第1の開口の位置における該人工耳管の外径が0.35〜1.7mmである、上記(4)ないし(6)の何れかの人工耳管。
(8)該前部が、該軸部の先から該人工耳管の先端方向へ順次連なった外径の異なる2個以上の管状部より構成されており、先端に近い管状部程小さい外径を有するものである、上記(4)ないし(7)の何れかの人工耳管。
(9)該前部が、先端側管状部と、該先端側管状部と該軸部との間に位置する中間管状部とにより構成されているものである、上記(4)ないし(8)の何れかの人工耳管。
(10)該中間管状部の外径が該先端側管状部と該軸部のそれぞれに対して少なくとも0.15mmの差を有するものである、上記(9)の人工耳管。
(11)該先端側管状部の該中間管状部に対する長さの比が、1:2〜2:1である、上記(9)又は(10)の人工耳管。
(12)全長が20〜70mmである、上記(1)ないし(11)の何れかの人工耳管。
(13)可撓性材料より形成されているものである、上記(1)ないし(12)の何れかの人工耳管。
(14)該可撓性材料が合成樹脂である、上記(1)ないし(13)の何れかの人工耳管。
上記の各構成になる本発明は、耳管狭窄症(耳管閉塞症)、耳管開放症、耳管閉鎖不全症)の何れの患者に対しても、またフロッピーチューブを持つ患者に対しても、耳管の換気機能と排泄機能とを適切に回復させ、これら耳管機能不全症に因る種々の中耳疾患を根本治療するのに有効である。
図1は、実施例1の人工耳管の側面図 図2は、後端領域の外径を細めた実施例1の変形の人工耳管の側面図 図3は、実施例2の人工耳管の側面図 図4は、実施例3の人工耳管の側面図 図5は、加圧減圧法による耳管機能検査の原理を示す概念図 図6は、音響耳管機能検査法の原理を示す概念図 図7は、症例1の治療前の加圧減圧法検査結果を示すチャート 図8は、症例1の治療後の加圧減圧法検査結果を示すチャート 図9は、症例1の治療後の音響耳管機能検査法検査結果を示すチャート 図10は、症例2の治療後の加圧減圧法検査結果を示すチャート 図11は、症例2の治療後の加圧減圧法検査結果を示すチャート 図12は、症例3の治療前の加圧減圧法検査結果を示すチャート 図13は、症例3の治療後の加圧減圧法検査結果を示すチャート 図14は、症例3の治療後の加圧減圧法検査結果を示すチャート 図15は、症例4の治療前の加圧減圧法検査結果を示すチャート 図16は、症例4の治療後の加圧減圧法検査結果を示すチャート
符号の説明
1 人工耳管
2 軸部
3 中間管状部
4 先端側管状部
5 先端
6 後端
7 開口
8 開口
9 開口
11 人工耳管
21 人工耳管
22 管状部材
25 先端
26 後端
27 開口
30 狭窄部
41 圧トランスデューサ
42 アンプ
43 レコーダ
51 音響検査機能分析装置
本発明の人工耳管の第2の開口は、患者の鼓室と軟骨部耳管とを人工耳管の管腔を介して連絡して、鼓室と鼻腔との間の通気を確保することを第1の目的とする。従って、患者への人工耳管の挿入は、人工耳管の先端部分が耳管峡部を通って軟骨部耳管内に臨み先端部の第1の開口が軟骨部耳管内に開くよう且つこれより離れた第2の開口が鼓室内に位置付けられるように行われる。したがって、本発明の人工耳管のうち、患者の耳管の長さや太さに応じて適切な寸法及び開口位置を有するものが、医師の選択に従って用いられる。
例えば、耳管狭窄症(耳管閉塞症)においては、先端部外径がせいぜい0.35mm程度の細い人口耳管しか無理なく挿入できないほど耳管峡部が狭い場合がある一方、これより太めのもの、例えば0.5mm、0.8mm、1.0mm等の先端部外径を有する人口耳管の挿入ができる場合もある。また、耳管閉鎖不全症や耳管開放症では、患者によっては耳管峡部が広がって3mm程度の先端部外径を有するチューブでも無理なく挿入できる場合がある。耳管峡部の内腔の広さ(押し広げた場合の)は、問題領域のCT画像からほぼ正しく推定できることから、第1の開口のある先端部の外径が0.35〜3.0mmの種々の寸法の人工耳管から患者に適した太さのもの、例えば、0.35mm、0.5mm、0.8mm、1.0mm、2.0mm、2.5mm、3.0mm等のものを適宜選択すればよい。先端部及びその付近の外径を他の部分より相対的に小さくしておく場合には、例えば、先端部の外径は0.35〜1.7の範囲とすることができる。
本発明の人工耳管の先端部にある第1の開口は、チューブ状の先端部の末端を内腔がそのまま軸方向に貫通して開いているものであってもよいが、これとは異なり、末端で内腔は軸方向に閉じる一方、開口がその部位で側方に設けられたものであってもよい。後者の形態のものは、内腔に通したガイドワイヤーを用いて人工耳管を耳管内に挿入する際に、たとえガイドワイヤーが先端部分の内径より細い場合でも、人工耳管の先端の内側に当たって止まり、前方へ抜け出るおそれがないため、扱いやすい。
本発明の人工耳管は、通常、その後端側から内腔に適宜のガイドワイヤーを通され、これによって支持しながら耳管内に挿入され、挿入後は、ガイドワイヤーのみを抜去し、人工耳管のみを耳内に残すようにして装着される。従って、挿入時は、人工耳管の後端は管腔がそのまま貫通して開放した形で開いていることが好ましい。但し、比較的硬質であって挿入時の操作に耐える強度を有する人工耳管の場合は必ずしもガイドワイヤーを必要としないから、後端は閉じていてもよい。従って、本発明の人工耳管には後端の閉じたものも含まれる。
本発明の人工耳管は、患者の耳管に挿入するとき、人工耳管の先端が耳管峡部まで又はこれを越えてそれより奥まで達していることが好ましい。耳管峡部までとする場合は、人工耳管の先端部の第1の開口は、軟骨部耳管内に開いている必要がある。人工耳管の先端は、耳管峡部を、1mm以上、又は2mm以上越えて挿入されることが好ましく、これはその方が人工耳管の先端部を耳管峡部に安定的に留置させやすく、人工耳管の位置がずれ(僅かに後退し)て先端部の第1の開口が耳管峡部により塞がれるおそれを無くせるからである。また人工耳管の先端位置は、耳管峡部から約12mmを超えないことが好ましい。これは、人工耳管の先端を耳管咽頭口に余り接近させない方が鼻腔側からの汚染を防ぎ易いためである。
本発明の人工耳管は、その先端を鼓室側から挿入して先端を耳管峡部に又はこれを越えた位置まで挿入されるが、先端を耳管峡部より更に奥まで挿入する場合でも、先端が耳管峡部から約12mm以内にとどまるようにするのに適している。そのように挿入したとき、人工耳管の先端部の第1の開口が軟骨部耳管内に開くことによって人工耳管の管腔と軟骨部耳管(及び鼻腔)とが連通する一方、人工耳管の管壁に設けられた第2の開口が鼓室中に位置することとなり、鼓室と鼻腔との間の連通が図られる。この連通は、鼓室と外界との間の気圧差を無くす機能(換気機能)を行うほか、鼓室中に分泌液がある場合にはこれを鼻腔側へと流す機能(排泄機能)をも行うことができる。患者により、特に大人と子供とで耳管の長さは異なり、耳管峡部から鼓室までの長さも異なるから、個々の患者に対してはCT像等により耳管の長さを把握した上で、且つ耳管峡部からどの深さまで人工耳管を挿入するかに応じて、挿入したとき鼓室内に第2の開口が位置することになるよう、本発明の人工耳管のうち適切な寸法のものを選択して用いればよい。先端から9〜30mmの範囲内の種々の位置に第2の開口を有するものを用意しておけば、様々の耳管サイズの患者に対応することができ、好ましい。なお第2の開口の大きさに特に制限はなく、人工耳管を介した鼓室と鼻腔との間の気圧差の解消を妨げない大きさであればよいが、先端部の第1の開口より広いものとし、鼓室内滲出液が存在する場合に第2の開口から人工耳管内に流入しこれを伝って流下することを容易にしておくことが、より好ましい。人工耳管中に滲出液が入ったときでも、鼓室と鼻腔との間の気圧変動に応じて浸出液は上下するため、鼓室と鼻腔とに気圧の差は実質的に生じない(すなわち喚起機能は保たれる)。
本発明の人工耳管の管腔は、その径が少なくとも0.20mm以上であることが好ましい。これは、管腔の径が余り狭いと、その中の空気(及び場合により浸出液)の流れに抵抗を生じ得るが、0.20mm以上であれば実質的にその懸念が少ないためである。逆に、人工耳管の管腔が余りに太いと、自声が鼓室内に空気伝導するおそれが生じるが、これを防止するためには、人工耳管の第1の開口から第2の開口までの流路の少なくとも何れかの位置において、部分的に流路の径を狭めておけばよい。この場合その狭窄部の径の下限は0.20mmでよいが、上限は好ましくは0.9mm、より好ましくは0.8mmである。そうすることにより、流路の残り部分の径が大きい場合でも、流路に設けたこの狭窄部が耳管峡部として機能し、自声の鼓室への空気伝導が防止される。
本発明の人工耳管の断面は特に限定されないが、通常は円形ないし楕円形であるのが好ましい。断面形状は人工耳管の全長にわたって円形である等、全長にわたって同じであってもよいが、そうでなくてもよく、例えば全長の大部分において円形で一部(例えば先端部)において楕円形であって、また全長の大部分において楕円形で一部(例えば先端部)において円形であってもよい。楕円形の場合長軸と短軸との比は、最大4までが許容される。耳管峡部の断面は、左右より前後方向に伸びた扁平な形状であるため、人工耳管先端部が楕円形の断面を有する場合、耳管峡部内面の全周の大部分にフィットさせ易く、耳管開放症に対して耳管峡部の余分な内腔を効果的に塞ぐ上で有利である。また、例えば耳管狭窄症の場合、概略円形の先端部断面を有する人工耳管を耳管峡部に挿入すると、それによって扁平な耳管峡部の内周の、人工耳管の先端部外周に直接接していない領域をも幾らか押し広げることとなるため、人工耳管の先端部外壁と耳管峡部内壁との間に僅かな隙間を形成して、鼓室内の分泌液の排泄流路を確保する上で有用である。本発明の人工耳管のうち、どのような断面形状ものを選択するのが望ましいかは、従って、患者の耳管の形態及び状態に合わせて担当医師により個々に決定される。
本発明において、人工耳管について「径」とは、人工耳管の断面(断面の外周、又は内周の形状すなわち内腔の周)の形状が円形の場合は直径を、楕円形の場合は短軸の長さをいう。また、人工耳管が有する各開口についても、これについて「径」というときは、円形の場合は直径を、楕円形、長円形など長細い形状の場合は短い方の径(差し渡し)をいう。
本発明の人工耳管には、滲出液が第2の開口から管腔内に入ったときこれを管腔から排出して鼻腔側へと迅速に排泄するための排液口として働く第3の開口を設けておくことができる。既に述べたとおり、耳管峡部は、元々扁平な断面形状を有するため、この部位に人工耳管を挿入したとき、耳管峡部の断面の全周に完全に密着する人工耳管を押し込むのでない限り、人工耳管を挿入された耳管峡部には人工耳管によって押し広げられた隙間が人工耳管の周囲にでき、この隙間が滲出液の流下のための通路となる。この部位又はそのすぐ上方に位置するように人工耳管に第3の開口を設けておくことにより、人工耳管の管腔内に入った滲出液は第3の開口から自重と表面張力の助けによって管外へ流出し、人工耳管によって押し広げられた耳管峡部にできた隙間を通って軟骨部耳管側へそして鼻腔へと、た易く流下することができる。また、第3の開口は、その一部が耳管峡部又はその上方に位置し、そこから、耳管峡部を跨いでその下方まで延びることができるように、細長い形状のもの(例えばスリット状のもの)としてもよい。この場合、滲出液の流下及び通気が、嚥下運動と連動する形で更に促進されることとなり、一層好ましい効果が得られる。
第3の開口の設置目的は上記のとおりであるから、その位置は、人工耳管を患者の耳管内に適切に挿入したときに耳管峡部若しくはそのすぐ上方であるか、又はそこから耳管峡部の下方まで延びるものであることが好ましい。長さの異なる耳管を持った様々な患者に、その患者の病態に適した深さで人工耳管を挿入ししかもそのとき第3の開口が上記の位置に来るようにするためには、先端から1〜16mmの範囲内、例えば、1〜15mmの範囲内において様々な位置に第3の開口を設けた各人工耳管を用意しておくことが好ましい。そうすることにより、例えば、先端を耳管峡部に留める場合(この場合は、通常、先端方向に第1の開口が開いているものを使用)は、先端から例えば1〜3mmの位置に第3の開口を有するものを選択して使用すればよく、また耳管峡部を超えて12mmの深さまで人工耳管の先端を挿入する場合には、先端から例えば8〜16mm、又は例えば13〜15mmの範囲のどこかに第3の開口を有する人工耳管を使用できる。但し、第3の開口は、前記の目的のためのものであるから、第2の開口より先端側に設けられる。第3の開口の位置は、治療しようとする患者の耳管サイズと、人工耳管をどの深さまで挿入するかに応じて選択されるが、上記の範囲であって且つ第2の開口より先端側に8〜26mmの範囲、例えば8〜20mmの範囲内である種々の位置に設けた各人工耳管を用意しておくことにより、担当医師は、個々の患者に対し好適なものを選択して使用することができる。
本発明の人工耳管は一様な太さのものであってもよいが、必ずしもその必要はなく、例えば、先端寄りの部分の方が後端寄りの部分より細いものであってよい。そのような形態の場合、特に耳管峡部が狭い患者については、先端側の相対的に細い部分(前部)をこれより後端寄りの相対的に太い部分(軸部)で支持しながら挿入することができるため、挿入の操作に便利な場合がある。また、耳管開放症患者で、径の広がった耳管峡部に挿入してその有効断面積を減少させようとする場合には、その耳管峡部に見合った太さのものを挿入する必要があるから、例えば鼓室に位置する部位から耳管峡部に挟まれて留まる部位までを十分な太さのものとし、それより先端側を径が狭まる部分としておいてもよい。そのようにした場合、耳管峡部への挿入が容易である。前部と軸部とを設ける場合には、前部は、通常、人工耳管の先端から4〜20mmまで延びるものとすることが好ましい。このような位置までを前部とし残りを軸部としておくことにより、耳管が狭い患者の場合でも、相対的に太い軸部に第2の開口を設けることができる。
軸部は、一様な太さであってもよいが、軸部のうち、鼓膜を貫通して外部へと突出することとなる領域(本明細書において、「後端領域」という。)の外径をそれより先端寄りの、完全に鼓室内に配置される軸部領域(軸部本体)の外径よりも細くしておくこともできる。そのようにしておけば、人工耳管の挿入の便を損なわずに、鼓膜を貫通して突出する人工耳管部分の断面積を小さくできるため、好ましい。この後端領域は、軸部本体と一体成形してもよくまた、成形した軸部本体の後端に後からはめ込むようにしてもよい。
軸部から先端方向へと延びる前部の径の減少のさせ方は限定されず、その起始部から連続的に(例えば緩やかに、直線的に等)外径が狭まるものであってもよく、単に軸部より細い1つの管状部であってもよく、あるいは、複数の管状部分であって順次その外径を減ずるものを連結した形態のものであってもよい。
前部と軸部とを設ける場合には、軸部の管腔の径を前部の管腔の径よりも広くしておくことができる。そのようにしておくと、滲出液が管腔内に入ったときにこれを下方へと移行させて排出させるのに有利である。
第1の開口は前部の先端部にある。この位置における人工耳管の外径は、0.35〜3.0mmであってよく、大半の患者については0.35〜1.7mm程度であることが好ましい。この範囲で例えば、0.35mm、0.5mm、0.8mm、1.0mm等、数種類の外径のものを用意しておけば、耳管狭窄患者の様々な程度に狭まった耳管峡部に挿入して広げるに適した人工耳管を選択して用いることができる。耳管開放症患者には、より太い外径の人工耳管を用意しておけばよい。
人工耳管は、例えば、前部を2個以上の部分にわけ、最も細い先端側の管状部に、順次太さを増す管状部が連結し、最後の管状部と軸部が連結するようにしてもよい。すなわち例えば、全部を2個の部分に分け、最も細い先端側管状部及びこれに連なる中間的な太さの中間管状部とし、中間管状部が最も太い軸部に連結するようにしてもよい。そのようにするとき、隣接する管状部分の外径の差は通常0.15mm以上である。また、このように前部が複数の太さの異なる管状部の連結で構成される場合、連結部分の太いほうの管状部の外周縁は、面取り又は丸みをつけておくことが、挿入時の余分な抵抗を無くすために好ましい。また、前部を2個の部分に分けるときは、先端側管状部の中間管状部に対する長さの比は、1:2〜2:1の範囲にあることが、実際の耳管内への挿入に際して取り扱いを容易にする。なお人工耳管の全長は適宜決定できる事項であるが、子供の場合を想定すると例えば20mm以上であることが普通は好ましく、また大人も含め、70mm以下であることが取り扱い易さの点で好ましく、60mm以下、又は50mm以下としてもよい。但し、例えば後端は使用時(耳管に挿入前、又は挿入した後)に適宜切断できることから、全長が70mmより長いものであっても特に問題はない。
本発明の人工耳管を構成する素材としては、生体適合性の、すなわち生体に有害な異物反応などを惹起するおそれがなく、かつ生体内で分解、劣化等を起こすおそれのない、可撓性の材料が好ましい。そのような材料として、従来医療用途で生体内埋込や留置等に用いられることのある材料を、人工耳管の作製に適宜用いることができる。例えば、可撓性の合成樹脂として、塩化ビニル、シリコーン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリペンテン、ポリウレタン系樹脂その他が挙げられるが、それらに限定されない。また、体温まで加温されたとき柔らかさを増すように設計された樹脂は、挿入時に適度の硬さを保ち得るので扱い易い一方、挿入後は体温で一層柔らかくなるため患者に異物感を与えるおそれがないことから、一層好ましい。
本発明の人工耳管は、患者への挿入時、その後端は鼓膜の外に配置される。人工耳管が耳管内を前後にずれることのないよう安定を確保するためには、耳鼻咽喉科で通常用いられている鼓膜チューブを人工耳管に嵌め、この鼓膜チューブを、通常のように鼓膜に設けた穿孔に嵌めておけばよい。用いる鼓膜チューブの穴の内径と人工耳管の軸部の外径とを適当に選ぶことにより、位置が自然にずれることのない人工耳管の取り付けができる。また、このようにして取り付けたとき、鼓膜チューブは、通常それのみ取り付けたときに見られる自然脱落を起こしにくくなる。このため長期間にわたって人工耳管を安定に装着し続けることが可能となる。鼓膜外にある人工耳管の後端は、管腔が開放していてもよいが、例えば手術後適当な時期にヒートシール又は軟膏等の充填その他適当な手段で閉塞すれば、より適切な人工耳管として、臨床的意義が高まる。そのようにした場合、人工耳管と鼓膜チューブとの間が密着しており、鼓膜穿孔部分が鼓膜チューブ外周を完全に取り囲むまで再生していれば、外耳と中耳との空気の連通は遮断されることとなり、中耳が直接外気に触れることがなくなるため、鼓室内の酸素分圧がより生理的環境に近い状態となり、これは中耳粘膜の健康のために好ましいからである。従って、長期間又は生涯にわたって人工耳管を留置しておく場合には、その後端を閉塞させておくことが望ましい。但し、手術後の耳管機能の経過観察のため数ヶ月を要することがあり、その期間中は人工耳管の後端の閉塞は可逆性なもの(例えば、軟膏充填)にしておく方が検査に便利である。また重症でない耳管狭窄症の場合、比較的短期間(3〜4週間)の人工耳管装着による治癒後は人工耳管は抜去されるため、後端を塞ぐまでもないことがある。
本発明の人工耳管は、傷害された耳管の換気機能と排泄機能を回復させるため、耳管機能不全症患者の耳管に、治療に必要な期間にわたって留置される。これにより、耳管機能不全症に起因する様々な中耳疾患、例えば、滲出性中耳炎、癒着性中耳炎等をも非常に効果的に治療することができる。人工耳管の留置期間は、耳管機能不全症の程度に応じ、また本来の耳管機能の回復速度に応じて異なる。人工耳管の留置により、中耳の状態を健常なものへと改善することで、耳管機能不全症が治癒したときは、人工耳管は抜去してよい。既に耳管が著しく障害されており、十分な治癒が見込めず人工耳管の助けによって初めて換気機能と排泄機能を維持できるような場合には、人工耳管による治療を、例えば生涯にわたって続けることもできる。
以下、典型的な実施例を参照して本発明を更に具体的に説明するが、本発明が当該実施例に限定されることは意図しない。
図1は、実施例1の人工耳管の側面図を示す。図において人工耳管1は、相対的に太い外径を有する管状の部分である軸部2と、これより細い外径のやはり管状の部分である中間管状部3、更に細い外径の先端側管状部4とからなる。横断面の形状は何れの部位も円形である。人工耳管1の前端から後端まで、1本の管腔が通っており、該管腔は、先端5及び後端6において、それぞれ外部に開口している。本実施例では人工耳管1の全長は47mmであり、そのうち先端側管状部の長さは約7mm、中間管状部の長さは約4mmである。先端側管状部4は外径約0.6mm、内径約0.4mm、中間管状部3は外径約0.9mm、内径約0.7mm、そして軸部2は外径約1.1mm、内径約0.9mmである。これら各部はポリウレタン樹脂よりなる管であり、本実施例では、軸部2の管腔に中間管状部3の一部を嵌め込み、中間管状部の管腔に先端側管状部の一部を嵌め込んで、それぞれの嵌め込み部位で熱融着して一体化させてある。先端から約26mmの位置から29mmまでの位置にかけて、軸部2の管壁に開口7が設けられている。この開口7は、人工耳管1を患者の耳管内に挿入したとき鼓室内に位置づけることを目的としたものであり、そのように人工耳管1を留置したとき、主として、耳管峡部を通って軟骨部耳管内に開いている先端5の開口及びこれと連通した管腔と合わさって、換気機能を果たす。これにより、人工耳管1の後端を塞いだ後でも、耳管狭窄(耳管閉塞)患者の鼓室の気圧を鼻腔内の気圧と一致させることができる。
中間管状部3には、先端から約9〜10mmの位置に開口8が設けられている。また中間管状部3の先端寄りの位置において、内腔に内径0.25mmの狭窄部10が設けられている。開口8は、人工耳管1を患者の耳管内に、その先端が耳管峡部を約数mm超えるように挿入したとき耳管峡部のすぐ上に位置するように設けられており、管腔に中耳の滲出液が入ったときに廃液口として機能するためのものである。すなわち開口8と開口7との間に入った滲出液は、その自重により開口8の外部にある滲出液の表面張力の作用により、開口8から耳管峡部のすぐ上に流出し、先端側管状部4又は中間管状部3によってやや押し広げられた耳管峡部の扁平な間隙より軟骨部耳管側へそして鼻腔へと流下する。こうして、耳管狭窄患者における耳管の排泄作用を助け、鼓室内の滲出液の貯留の問題を解決することができる。
本実施例の人工耳管1はその前部を構成する先端側管状部4と中間管状部3とが曲げられているが、これは鼓膜を介した耳管内への人工耳管1の挿入が無理なく行えるように、耳管の曲がった形状に近づけるためである。このような湾曲は、担当医師が手術中に適宜与えることもできるため、必ずしも予め形成しておかなくてもよい。なお、軸部2は、鼓膜を貫通して外部に突出することとなる後端領域において、図2に示すように外径が細められていてもよい(他の実施例についても同様)。
本実施例の人工耳管1を患者の耳管内に鼓膜側から挿入するに当たっては、後端6より適当な径のガイドワイヤーを人工耳管内1に挿入して強度を補強することが好ましい。ガイドワイヤーの先端が人工耳管1の先端1から突き出ることのないよう、その径は先端側管状部4の内径より太いものとすることが好ましい。ガイドワイヤーにより管腔内から補強された人工耳管1が、鼓膜に形成した穿孔から鼓室、鼓室耳管口を通って、患者の耳管の所望位置まで挿入された後、ガイドワイヤーは抜去され、人工耳管1のみが患者の耳管内に残される。
患者耳管内に挿入された人工耳管1の後部側である軸部2に、次いで軸部2の外径にフィットする内径の鼓膜チューブが嵌められる。鼓膜チューブは種々のサイズ、形態のものが市販されているから適切なものを予め準備しておいて、適宜選択して使用すればよい。鼓膜に形成する穿孔も、使用予定の鼓膜チューブのサイズと形態に適する大きさ及び形状としておく必要がある。嵌められた鼓膜チューブは、鼓膜を横断する位置までスライドされ、その位置で、鼓膜の穿孔にこれを嵌め込むようにして留置される。人工耳管1の後端は、その後、適当な時期に溶封又は軟膏等の充填その他適当な手段により閉塞させるのが通常の場合好ましい。その状態で鼓膜の修復が進み鼓膜チューブと鼓膜との隙間が実質的に閉じられたときは、鼓室を外耳側から隔離することができる。
図3は、実施例2の人工耳管11の側面図を示す。本実施例は、実施例1の人工耳管と先端部付近においてのみ相違する。すなわち、本実施例では、先端5は閉じており、その側方において管壁に開口9が設けられている。開口9は、管腔と連通しており、実施例1の人工耳管1の先端5に開いた開口同じ機能を果たす。しかしながら、実施例2では、人工耳管11の先端5が閉じていることから、患者の耳管への挿入に際してガイドワイヤーを後端6から管腔に通したとき、先端側管状部4の内径よりガイドワイヤーの外径が細い場合でもガイドワイヤーの先端は人工耳管11の閉じた先端5に突き当たって止まるため、ガイドワイヤーが先端5より突出するおそれがない。このため、ガイドワイヤーの外径の選択に際した医師の自由度が増し、手術の簡便化に寄与する。
図4は、実施例3の人工耳管21の側面図を示す。本実施例は、約2.5mmの一様の外径の管状部材22であって、先端25と後端26とで開いた管腔を有しており、耳管開放症の治療に用いるためのものである。図では直線状であるが、実施例1のように先端部を湾曲させてもよい。管壁には管腔と連通した開口27が、人工耳管21の先端25から約18〜21mmの位置に設けられている。管腔内の一部において内壁が内方へ円環状に突出した狭窄部30を有し、狭窄部30の内径は約0.35mmである。本実施例の人工耳管は、耳管開放症患者の広がった耳管峡部の有効断面積を塞ぐことによって減らすために、耳管峡部に先端を挿入して軟骨部耳管内に臨ましめることを意図したものであり、開口27は、実施例1の開口7と同様の機能を果たすことを目的としたものである。狭窄部30は、耳管峡部に相当する部分であり、その狭い内径により、自声の鼓室への空気伝導を阻止するとともに、必要な場合には、人工耳管内21の内腔に入った滲出液の下方への流路を提供する。また、狭窄部30は、人工耳管21の挿入にガイドワイヤーを用いるとき、ガイドワイヤーの先端が当たって止まるための停止部位をも提供することができる。なお、本実施例には、実施例1の開口8に相当する廃液用の開口は設けられていないが、鼓室内に滲出液があっても、それは扁平な耳管峡部に挿入された人工耳管21の側面との間で形作られる流路を自由に流下するから、鼓室中に滲出液が貯留することはない。但し、狭窄部30よりも後ろの位置に廃液用の開口を設けることもできる。また、内径が一様に狭い場合、例えば、一様に0.9mm以下、特に0.8mm以下である場合には、自声の中耳への空気伝達は殆どおこらないから、特に狭窄部を設けなくてもよい。また、先端25は、実施例2のように閉じておき、その側方に実施例2の開口9に相当する開口を設けてもよい。更に、本実施例は、耳管開放症用の太い人工耳管であるが、耳管狭窄((耳管閉塞)において使用するための細い人工耳管も本実施例と同様に構成することができる。但し、この場合、外径は患者の耳管峡部の内腔の大きさ(押し広げたとき)に適合するよう例えば0.4mm、0.6mm、1.0mm等とし、排液用の開口(実施例1の開口8に相当するもの)を設けておくことが好ましい。
〔臨床試験〕
本発明の実施例1の型の人工耳管を患者に用いて治療した臨床試験の成績の一部を以下に記載する。
(試験方法)
耳管機能検査: 耳管機能の検査は、加圧減圧法及び音響耳管法により行った。
加圧減圧法による検査は、鼓膜穿孔を介して外耳道側より鼓室内に一定速度で空気圧を加え、耳管が自然に開く圧(受動的開大圧又は逆通気圧という。)を調べる静的検査と、外耳道側から中耳に一定の陽圧、あるいは陰圧を負荷しておき、嚥下運動によって耳管が開く(能動的開大)程度を調べる動的検査とがある。加圧減圧法によれば、健常な耳管の場合、外耳側から鼓室の気圧を高めても、嚥下運動により耳管が開くため、急激な減圧による回復が見られる。また負荷する空気圧を徐々に高めて行っても、ある程度以上になると耳管が受動的に押し広げられて開き(受動的開大)空気が流出するため、その時点で気圧の下行が見られる。耳管狭窄症では、これとは対照的に、嚥下運動時も耳管が閉じたままであるため、鼓室側の空気圧は嚥下を繰り返しても低下せず、また、鼓室の気圧がかなり高くならないと耳管の受動的開大が起こらない。受動的開大圧は、正常耳の平均が約355daPaであり、標準偏差×2以内を正常とみなし、545daPaを超えるとき、異常であると判断することができる。
加圧減圧法による検査には永島医科器械株式会社製の耳管機能検査装置ET−1000を用いた(図5に概念的に示す)。装置のチャネルを加圧減圧法のプロットダイアグラム作成に合わせて、鼓膜穿孔患者の外耳側から空気圧(陽圧又は陰圧)を負荷し、耳管が開放するとき(嚥下による、又は、負荷した空気圧の増大による)の圧変化を圧トランシュデューサ41で測定しアンプ42で増幅してレコーダ43に記録し、評価した。
音響耳管法は、負荷音源からの音を鼻腔内に投射しつつ、外耳道に取り付けたマイクを用いて嚥下時の音圧変化をモニターすることによって、耳管の開閉状況を調べる方法である。嚥下時に耳管の開大があれば鼻腔内の音が耳管中を空気伝導して外耳側に達するため、外耳道側のマイクで捉えた音圧変化により、耳管狭窄の有無と程度を評価することができる。
音響耳管法による検査には永島医科器械株式会社製の耳管機能検査装置ET−1000用いた(図6に概念的に示す)。装置のチャネルを音響耳管機能検査に合わせ、嚥下運動と外耳道の音圧とを同時にモニターして、嚥下の際の耳管の開放の有無を評価した。
(症例1) 左耳の耳管狭窄症の72歳男性患者につき、人工耳管挿入前の耳管機能を加圧減圧法により調べた。結果を図7に示す。図7の下側のグラフは鼓室に加えられている気圧を、上側のグラフは嚥下運動の有無を示す。図より明らかなように、外耳道に負荷する空気圧を徐々に高めたところ、約560daPaまで上昇させたが、耳管の開大はなく、典型的な耳管狭窄症の状態を呈していた。患者の左耳に鼓膜側から実施例1と同様の人工耳管を、先端が耳管峡部を数mm超えた位置に達するように挿入し、後端から10mmの部位に鼓膜チューブを嵌め、同チューブを鼓膜の穿孔に嵌めることにより、人工耳管を定位置で留置した。加圧減圧法による再検査が可能なように、人工耳管の後端は閉じないままにしておいた。
人工耳管留置から2ヵ月後、人工耳管を装着したまま、加圧減圧法による再検査を行った。その結果を図8に示す。図8より、鼓室への加圧を開始し気圧が約470daPaとなった時点で受動的に耳管が開大し、それと同時に鼓室内は急速に減圧して常圧に復帰するのが認められ、鼓室と鼻腔との間での、人工耳管を利用した換気機能が正常に働いていることが確認された。また、音響耳管機能検査では、図9に示すように、嚥下時に一致して外耳の負荷音圧が上昇し鼻腔から外耳への音の伝達量が増大するのが認められ、この検査からも、人工耳管を介して換気機能が正常に働いていることが確認された。
(症例2) 右耳の耳管狭窄症の41歳女性患者につき、人工耳管の留置による治療効果を検討した。人工耳管留置前の加圧減圧法による耳管機能検査では、この患者は、症例1と同様の典型的な耳管狭窄のパターンを示した。患者の右耳に鼓膜側から実施例1と同様の人工耳管を、先端が耳管峡部を数mm超えた位置に達するようにまで挿入し、症例1と同様に鼓膜チューブを用いて定位置に留置した。手術から3ヵ月後に人工耳管を抜去し、その更に3ヵ月後に、耳管機能検査を行った。動的検査の結果を図10に示す。図より、鼓室側の空気圧を約130daPaに保った状態で、嚥下により耳管が開放して鼓室側が常圧となることが確認された。逆通気による静的検査では、図11に示すように、247daPaまで空気圧を高めた時点で受動的に耳管が開大し、鼓室内はほぼ常圧へと減圧した。これらの結果から、人工耳管抜去後3ヶ月を経ても、耳管は正常に機能しており、耳管狭窄症が治癒していることが確認された。
(症例3) 耳管狭窄症(耳管閉塞症)の42歳女性患者につき、人工耳管挿入前の耳管機能を加圧減圧法により調べた。逆通気による検査結果を示す図12に見られるように、約570daPaの圧まで上げても減圧が全く見られず、耳管開大が得られないことから耳管狭窄症であることが確認された。実施例1と同様の人工耳管をその先端が耳管峡部を数mm超えた位置に達するように挿入して留置した。約2ヵ月後、人工耳管を抜去して、耳管機能検査を行った。逆通気による検査により、図13に示されるように478daPaにて受動的に耳管が開大し、更に216daPaにおいて嚥下と共に耳管が開大して鼓室内が常圧となることが確認された。陰圧をも負荷する加圧減圧試験では、外耳道側からの加圧、陰圧の何れにおいても、嚥下時に耳管が開大して、鼓室内が常圧になるのが確認された(図14)。これらの結果から、患者の耳管機能が正常に復していると判定された。
(症例4) 耳管開放症の39歳女性患者につき、人工耳管挿入前の耳管機能を加圧減圧法により検査した。その結果、図15が示すように、63daPaの圧において受動的に耳管が開大するのが観察された。実施例1と同様の型の人工耳管であって、軸部2に相当する部分の外径が1.7mm、中間管状部3に相当する部分の外径が1.3mm、先端側管状部4に相当する部分の外径が0.85mmのものを、を先端が耳管峡部を数mm超えた位置に達するように挿入して留置した。20日後、人工耳管を留置した状態で、加圧減圧法による耳管機能検査を行った。その結果、図16に示すように、約280daPaまで耳管の開大が起こらず、耳管開放状態が適度に矯正できていることが確認された。
本発明の人工耳管は、耳管機能不全症及びこれに起因する種々の中耳疾患に対し、極めて効果的な治療を提供する器具として有用である。

Claims (14)

  1. 外耳道内において鼓膜外に出しておくための後端と、鼓室側から耳管内に挿入し耳管峡部を通して軟骨部耳管内に臨ましめるための先端とを有する管状物であって、
    先端と後端とが軸方向に延びる内腔によって連通しており、
    先端部において内腔が第1の開口を介して外部に開いており、
    外径が0.35〜3.0mmの範囲にあり、
    先端から9〜30mmの範囲内において管壁に該管腔と連通した第2の開口を有することを特徴とするものである、人工耳管。
  2. 該管腔は、その径が0.20mm以上であり、且つ、少なくとも一部において0.9mmを超えない領域を有するものである、請求項1の人工耳管。
  3. 先端から1〜16mmの範囲であって、該第2の開口より8〜26mm先端寄りの範囲において管壁に該管腔と連通した第3の開口を有するものである、請求項1又は2の人工耳管。
  4. 請求項1ないし3の何れかの人工耳管であって、該管状物が、外耳道内において鼓膜外に突出させておくための後端領域を含んだ相対的に太い管状部分である軸部と、該軸部よりその軸方向前方に延び、鼓室側から耳管内に鼓室耳管口及び耳管峡部を通して先端を軟骨部耳管内に望ましめるための相対的に細い管状部分である前部とを含んでなり、そして
    該前部が該人工耳管先端から4〜20mmの位置までを構成しているものである、人工耳管。
  5. 該前部が、その根元側から先端へと、該軸部に比して段階的に又は連続的に外径を減ずるものである、請求項4の人工耳管。
  6. 該軸部における管腔の径が該前部における管腔の径より広がっているものである、請求項4又は5の人工耳管。
  7. 該第1の開口の位置における該人工耳管の外径が0.35〜1.7mmである、請求項4ないし6の何れかの人工耳管。
  8. 該前部が、該軸部の先から該人工耳管の先端方向へ順次連なった外径の異なる2個以上の管状部より構成されており、先端に近い管状部程小さい外径を有するものである、請求項4ないし7の何れかの人工耳管。
  9. 該前部が、先端側管状部と、該先端側管状部と該軸部との間に位置する中間管状部とにより構成されているものである、請求項4ないし8の何れかの人工耳管。
  10. 該中間管状部の外径が該先端側管状部と該軸部のそれぞれに対して少なくとも0.15mmの差を有するものである、請求項9の人工耳管。
  11. 該先端側管状部の該中間管状部に対する長さの比が、1:2〜2:1である、請求項9又は10の人工耳管。
  12. 全長が20〜70mmである、請求項1ないし11の何れかの人工耳管。
  13. 可撓性材料より形成されているものである、請求項1ないし12の何れかの人工耳管。
  14. 該可撓性材料が合成樹脂である、請求項1ないし13の何れかの人工耳管。
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