JP4589471B2 - ポリイミド前駆体溶液及びその製造方法、それから得られる塗膜及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリイミド前駆体溶液及びその製造方法、さらにはポリイミド前駆体溶液から得られるポリイミド塗膜及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリイミドは、エレクトロニクス分野への応用に有用なものであり、半導体デバイス上への絶縁フィルムや保護コーティングとして用いられている。特に全芳香族ポリイミドは、その優れた耐熱性、機械的特性、電気的特性から、フレキシブル回路基板や集積回路等において高密度化、多機能化等に大きく貢献している。このように、微細な回路の層間絶縁膜や保護膜を形成させる場合、従来よりポリイミド前駆体の溶液が用いられてきた。このようなポリイミド前駆体溶液として、下記一般式に示すポリアミド酸の溶液が知られている。
【0003】
【化10】
【0004】
これらポリアミド酸溶液は、溶媒中で芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させることにより製造されるもので、例えば特公昭36−10999号公報、特開昭62−275165号公報、特開昭64−5057号公報、特公平2−38149号公報、特公平2−38150号公報、特開平1−299871号公報、特開昭58−122920号公報、特公平1−34454号公報、特開昭58−185624号公報、Journal of Polymer Science,MacromolecularReviews Vol.11 P.199 (1976) 、米国特許第4238528号明細書、特公平3−4588号公報、特公平7−30247号公報、特開平7−41556号公報、特開平7−62095号公報、特開平7−133349号公報、特開平7−149896号公報、特開平6−207014号公報、特公平7−17870号公報、特公平7−17871号公報、IBM Technical Disclosure BulletinVol.20 No.6 P.2041 (1977)等に開示されているように、溶媒として非プロトン性極性溶媒を用いるものや、特開平6−1915号公報に開示されているように水溶性エーテル系化合物、水溶性アルコール系化合物、水溶性ケトン系化合物及び水から選ばれる混合溶媒を用いるものなど、種々の溶液が知られている。
【0005】
また、ポリイミド前駆体溶液における溶質としてのポリイミド前駆体としてはポリアミド酸以外にも種々のポリマーが知られている。例えば、MacuromoleculesVol.22 P.4477 (1989)やPolyimides and Other High Temperature Polymers.P.45 (1991)には、下記一般式からなるポリアミド酸エステルが開示されており、
【0006】
【化11】
【0007】
Macuromolecules Vol.24 P.3475 (1991)には、下記一般式からなるポリアミド酸トリメチルシリルエステルが開示されており、
【0008】
【化12】
【0009】
Journal of Polymer Science Part B Vol.8 P.29 (1970) 、Journal of PolymerScience Part B Vol.8 P.559 (1970) 、日本化学会誌 Vol.1972 P.1992、Journal of Polymer Science Polymer Chemistry Edition Vol.13 P.365 (1975)には、下記式からなるポリアミド酸ビス(ジエチルアミド)が開示されている。
【0010】
【化13】
【0011】
上述したこれらポリイミド前駆体はいずれも高重合度のポリマーの溶液である。これらポリマー溶液からポリイミド塗膜を得る際は、一般的にはこのポリマー溶液を銅、ガラス等の基材上にコーティングし、加熱することにより溶媒の除去及びイミド化を行いポリイミド塗膜を得る。
【0012】
しかしながら、この高重合度のポリマー溶液をコーティングする場合には、その重合度が高いので、溶液の粘度を塗工可能とするためには、溶質濃度を低くしなければならないという問題があった。また、生産性を高めるために、溶質濃度を高めると溶液の粘度が高くなり、塗工できなくなってしまうという問題もあり、またたとえ塗工できたとしても、機械的、熱的特性に優れた塗膜やフィルムが得られないという問題点あった。さらに、ポリマー溶液は長期の保存に耐え難く、その重合度を維持しつつ長期間保存することは極めて困難であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記状況に鑑み、本発明の課題は、高濃度かつ低粘度のポリイミド前駆体溶液及びその製造方法、それから得られる良好な物性を有するポリイミド塗膜及びその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定のモノマーを組み合わせれば、重合体でなくともそれらモノマーを含む溶液から、良好な物性を有するポリイミド塗膜が得られることを見い出した。すなわち、後述する一般式(1)に示すカルボン酸と一般式(2)に示すジアミンとからなるモノマーの塩を含有するポリイミド前駆体溶液は、モノマーの塩を高濃度で溶解しているにもかかわらず、低粘度を示し、しかも、この溶液からは高強度のポリイミド塗膜が得られるとの知見を得、これらの知見に基づいて、本発明に到達したものである。かかる知見は、従来、ポリイミド前駆体溶液を構成するポリイミド前駆体が高重合度のものしか知られていなかったことに鑑みれば全く驚くべき知見である。
【0015】
すなわち、本発明の要旨は、第1に、下記一般式(1)に示すカルボン酸1モルに対して、下記一般式(2)に示すジアミン0.95〜1.05モルの割合で添加して得られる塩が溶質として溶媒中に溶解しており、溶質濃度が30重量%以上であり、かつ粘度が100ポイズ以下であることを特徴とするポリイミド前駆体溶液である。
【0016】
【化14】
【0017】
〔式中、Rは少なくとも1つの炭素6員環を含む4価の芳香族残基を示し、4つのカルボニル基はこの残基中異なった炭素原子に直接連結しており、4つのうちの2つずつは対をなし、炭素6員環内の隣接する炭素原子に結合しており、R''は水素又は炭素数7以下の1価の有機基を示し、nは1〜20の整数を示し、R' 及びR''' が次に挙げる群より選ばれる少なくとも一つの芳香族残基である。〕
【化15】
【0018】
第2に、溶媒中で、一般式(3)に示すテトラカルボン酸二無水物と一般式(4)に示すジアミンを、一般式(3)に示すテトラカルボン酸二無水物1モルに対して、一般式(4)に示すジアミン0.1〜0.95モルの割合で反応させて、一般式(5)に示すカルボン酸二無水物を生成させ、水又は任意のアルコールを加えて末端の酸無水物基を開環させて一般式(1)に示すカルボン酸を得た後、この一般式(1)に示すカルボン酸1モルに対し、一般式(2)に示すジアミン0.95〜1.05モルを加えることを特徴とするポリイミド前駆体溶液の製造方法である。
【0019】
【化16】
【0020】
〔式中、Rは少なくとも1つの炭素6員環を含む4価の芳香族残基を示し、4つのカルボニル基はこの残基中異なった炭素原子に直接連結しており、4つのうちの2つずつは対をなし、炭素6員環内の隣接する炭素原子に結合しており、R''は水素又は炭素数7以下の1価の有機基を示し、nは1〜20の整数を示し、R' 及びR''' が次に挙げる群より選ばれる少なくとも一つの芳香族残基である。〕
【化17】
第3に、前記ポリイミド前駆体溶液から得られるポリイミド塗膜である。
第4に、前記ポリイミド前駆体溶液を基材上に塗工し、加熱してイミド化することを特徴とするポリイミド塗膜の製造方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。
まず、本発明で用いる用語について説明する。
(1)ポリイミド
ポリマー鎖の繰り返し単位の80モル%以上がイミド構造を有する有機ポリマーをいう。そして、この有機ポリマーは耐熱性を示す。
(2)ポリイミド前駆体
加熱又は、化学的作用により閉環してポリイミドとなる有機化合物をいう。ここで、閉環とはイミド環構造が形成されることをいう。
(3)ポリイミド前駆体溶液
ポリイミド前駆体が溶媒に溶解しているものである。ここで溶媒とは、25℃で液状の化合物をいう。
【0022】
(4)粘度
(株)トキメック社製、DVL−BII型デジタル粘度計(B型粘度計)を用い、20℃における回転粘度を測定したものである。
(5)溶質濃度
溶液中に占めるポリイミド前駆体の重量割合を百分率で表した数値である。
(6)ポリイミド塗膜
例えば銅、アルミニウム、ガラス等の基材上に形成されたポリイミドの膜をいう。これらポリイミド塗膜のなかで基材と密着したまま使用されるものをポリイミド被覆物といい、基材から剥離して使用されるものをポリイミドフィルムという。
【0023】
さらに本発明について説明する。
本発明のポリイミド前駆体溶液は、一般式(1)に示すカルボン酸と一般式(2)に示すジアミンとからなる塩が溶質として溶媒中に溶解している。
一般式(1)において、Rは少なくとも1つの炭素6員環を含む4価の芳香族残基を示し、4つのカルボニル基はこの残基中異なった炭素原子に直接連結しており、4つのうちの2つずつは対をなし、炭素6員環内の隣接する炭素原子に結合しており、R''は水素又は炭素数7以下の有機基を示し、この1価の有機基は後述するアルコールに起因する基が挙げられる。また、nは1〜20の整数を示す。
Rの具体例としては次のようなものが挙げられ、Rとしては次に挙げるものが単独のみならず、2種類以上から構成されていてもよい。
【0024】
【化18】
【0025】
特にRとしては次に挙げるものが好ましい。
【0026】
【化19】
【0027】
(削除)
【0028】
(削除)
【0029】
R’は次のようなものが挙げられ、単独のみならず、2種類以上から構成されていてもよい。
【0030】
【化20】
【0031】
一般式(2)に示すジアミンにおいて、R''' は前記R' として挙げたものが用いられ、一般式(1)に示すカルボン酸と一般式(2)に示すジアミンとからなる塩において、R' 及びR''' として同一のもの、あるいは異なったものが用いられてもよい。
【0032】
本発明において、溶媒としては一般式(1)に示すカルボン酸と一般式(2)に示すジアミンからなる塩を溶かす溶媒であればいかなる溶媒も用いることができ、例えば、非プロトン性極性化合物、エーテル系化合物、水溶性アルコール系化合物、非水溶性アルコール系化合物、ケトン系化合物等が挙げられる。
【0033】
具体的には、非プロトン性極性化合物としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスフォラアミド等が挙げられ、エーテル系化合物としては、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エトキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、水溶性アルコール系化合物としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ジアセトンアルコール等が挙げられ、非水溶性アルコール系化合物としてはベンジルアルコール等が挙げられ、ケトン系化合物としては、1,5,5−トリメチル−3−シクロヘキサノン等が挙げられる。さらに、その他の溶媒としてγ―ブチロラクトン等が挙げられ、上記各化合物を単独、もしくは二種以上を混合して用いることができる。
【0034】
このうち特に好ましい例としては、単独溶媒としてN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジエチレングリコールモノメチルエーテルが挙げられ、混合溶媒として、N−メチルピロリドンとジエチレングリコールモノメチルエーテル、N−メチルピロリドンとメタノール、N−メチルピロリドンと2―メトキシエタノール等の組み合わせが挙げられる。
【0035】
本発明におけるポリイミド前駆体溶液のポリイミド前駆体の濃度は、30重量%以上である。35重量%以上が好ましく、40重量%以上がさらに好ましい。濃度が30重量%未満では生産性への寄与が小さく好ましくない。
また、ポリイミド前駆体溶液の粘度は、100ポイズ以下であり、85ポイズ以下が好ましく、60ポイズ以下がさらに好ましい。粘度が100ポイズを超えると含浸等の用途に用いた際、生産性が低下するので好ましくない。
【0036】
本発明のポリイミド前駆体溶液は公知の方法で製造することができるが、例えば、一般式(1)に示すカルボン酸の溶液に一般式(2)に示すジアミンを添加することにより得られ、一般式(1)に示すカルボン酸の溶液を合成する際には、モノマー及び溶媒の混合順序はどんな順序にしてもよい。また、一般式(2)に示すジアミンを添加する方法は、前記カルボン酸の溶液に撹拌下、固体のままか、もしくは溶液にして添加する。
【0037】
次に、本発明のポリイミド前駆体溶液を得るための好ましい製造方法を、溶媒として非プロトン性極性化合物を用いた場合について述べる。
非プロトン性極性化合物中で、一般式(3)に示すテトラカルボン酸二無水物と一般式(4)に示すジアミンを反応させ、下記一般式(5)に示すカルボン酸二無水物を生成させる。このときの反応温度は、−30℃〜70℃が好ましく、−20℃〜40℃がより好ましい。ついで、この反応溶液に水又はアルコールを加え反応させ、一般式(1)に示すカルボン酸を生成させ、この溶液を得る。このときの反応温度は、0〜80℃が好ましく、20〜70℃がより好ましい。また、この際、必要に応じてジメチルアミノエタノールなどを触媒として用いてもよい。さらに、この一般式(1)に示すカルボン酸の溶液に一般式(2)に示すジアミンを添加することにより、本発明のポリイミド前駆体溶液を得ることができる。
【0038】
一般式(5)に示すカルボン酸二無水物を生成させるための一般式(3)に示すテトラカルボン酸二無水物と一般式(4)に示すジアミンとの割合は、テトラカルボン酸二無水物1モルに対してジアミン0.1〜0.95モルが好ましく、より好ましくは0.45〜0.9モルである。テトラカルボン酸二無水物1モルに対してジアミンが0.1モル未満でも、0.95モルを超えても、一般式(5)で示されるカルボン酸二無水物が得にくくなる。また、カルボン酸二無水物の無水物基と反応させる水又はアルコールの添加量は、末端の酸無水物基と同モル量又は多少過剰量が好ましい。
【0039】
ここで用いるアルコールとしては、次に示すものが挙げられる。中でも好ましくは、メチルアルコール及びエチルアルコールが用いられ、一般式(1)のR''は各々メチル基及びエチル基となる。
【0040】
【化21】
【0041】
さらに、一般式(2)に示すジアミンの添加量は前記のようにして得られた一般式(1)に示すカルボン酸1モルに対して、一般式(2)に示すジアミン0.95〜1.05モル、より好ましくは0.97〜1.03モルである。一般式(2)に示すジアミンの添加割合が、0.95〜1.05モルの範囲外では目的とする塩が得られにくくなる傾向にある。このときの温度は、−30℃〜120℃が好ましく、−20℃〜80℃がより好ましい。
【0042】
さらに、本発明のポリイミド前駆体溶液には、必要に応じて例えば、有機シラン、顔料、導電性のカーボンブラック及び金属粒子のような充填剤、摩滅剤、誘電体、潤滑剤等の他公知の添加物を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。また、他の重合体や例えば水不溶性のエーテル類、アルコール類、ケトン類、エステル、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類等の溶媒を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
【0043】
また、ポリイミド前駆体溶液からポリイミド塗膜を得るには、ポリイミド前駆体溶液を基材上に塗工し、加熱してイミド化する。イミド化温度は、200℃以上、好ましくは250℃以上、より好ましくは300℃以上で、5分間以上、好ましくは30分間以上加熱することが好ましい。
ポリイミド前駆体溶液からポリイミドフィルムを成形するには、スリット状ノズルから押し出したり、バーコーター等により基材上に塗工し、乾燥して溶媒を除去した後、これをイミド化した後、基材上から剥離することにより製造することができる。
ポリイミド被覆物を得るには、ポリイミド前駆体溶液を従来公知のスピンコート法、スプレイコート法、浸漬法等の方法により基材上に塗工し、乾燥して溶媒を除去した後、イミド化する。
【0044】
このように、本発明のポリイミド前駆体溶液、それから得られるフィルム及び被覆物は、例えば、耐熱絶縁テープ、耐熱粘着テープ、高密度磁気記録ベース、コンデンサー、FPC(フレキシブルプリント基板)用のフィルム等の製造に用いられる。また、例えば、フッ素樹脂やグラファイト等を充填した摺動部材、ガラス繊維や炭素繊維で強化した構造部材、小型コイルのボビン、スリーブ、端末絶縁用チューブ等の成形材や成形品の製造に用いられる。また、パワートランジスターの絶縁スペーサ、磁気ヘッドスペーサ、パワーリレーのスペーサ、トランスのスペーサ等の積層材の製造に用いられる。また、電線・ケーブル絶縁被膜用、太陽電池、低温貯蔵タンク、宇宙断熱材、集積回路、スロットライナー等のエナメルコーティング材の製造に用いられる。また、限外ろ過膜、逆浸透膜、ガス分離膜の製造に用いられる。また、耐熱性を有する糸、織物、不織布等の製造にも用いられる。
【0045】
【実施例】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0046】
実施例1
ジアミノジフェニルエーテル5.33g(26.6mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド55.0gに溶解し、室温下で攪拌した。これにピロメリット酸二無水物11.6(53.2mmol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール2.56g(79.9mmol)及びジメチルアミノエタノール0.13gを加え、70℃湯浴上で2時間攪拌し、下記式に示すカルボン酸を得た。
【0047】
【化22】
【0048】
室温まで冷却した後、ジアミノジフェニルエーテル5.33g(26.6mmol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な黄橙色透明溶液が得られた(溶質濃度30重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、2.33ポイズであった。この溶液をフィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に50μmの厚みで流延し、窒素雰囲気下80℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化を行った。得られた塗膜をガラス板上から剥離したところ、ポリイミドフィルムが得られた。このポリイミドフィルムの厚みは、13.6μmであり、引っ張り強度は9.3kg/mm2 であった。
【0049】
実施例2
ジアミノジフェニルエーテル8.22g(41.1mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド55.0gに溶解し、室温下で攪拌した。これにピロメリット酸二無水物11.9(54.8mmol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール1.32g(41.1mmol)及びジメチルアミノエタノール0.066gを加え、70℃湯浴上で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、ジアミノジフェニルエーテル2.74g(13.7mmol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な黄橙色透明溶液が得られた(溶質濃度30重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、21.4ポイズであった。この溶液をフィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に50μmの厚みで流延し、窒素雰囲気下80℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化を行った。得られた塗膜をガラス板上から剥離したところ、ポリイミドフィルムが得られた。このポリイミドフィルムの厚みは、13.8μmであり、引っ張り強度は10.2kg/mm2 であった。
【0050】
実施例3
ジアミノジフェニルエーテル27.4g(137mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド150gに溶解し、室温下で攪拌した。これにピロメリット酸二無水物33.1(152mmol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール1.46g(45.6mmol)及びジメチルアミノエタノール0.073gを加え、70℃湯浴上で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、ジアミノジフェニルエーテル3.04g(15.2mmol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な黄橙色透明溶液が得られた(溶質濃度30重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、78.0ポイズであった。この溶液をフィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に50μmの厚みで流延し、窒素雰囲気下80℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化を行った。得られた塗膜をガラス板上から剥離したところ、ポリイミドフィルムが得られた。このポリイミドフィルムの厚みは、14.0μmであり、引っ張り強度は13.8kg/mm2 であった。
【0051】
実施例4
溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドの代わりにN,N−メチルピロリドンを使用する以外は、実施例1と同様の仕込み条件で行い、均一な黄橙色透明なポリイミド前駆体溶液を得た(溶質濃度30重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、10.3ポイズであった。この溶液をフィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に50μmの厚みで流延し、窒素雰囲気下80℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化を行った。得られた塗膜をガラス板上から剥離したところ、ポリイミドフィルムが得られた。このポリイミドフィルムの厚みは、14.0μmであり、引っ張り強度は10.1kg/mm2であった。
【0052】
比較例1
ジアミノジフェニルエーテル16.00g(80.0mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド78.05gに溶解し、室温に保った。これにピロメリット酸二無水物17.45g(80.0mmol)を2時間にわたり徐々に加え、さらに6時間攪拌したところ、溶液はゲル化した。(溶質濃度30重量%)。
【0053】
実施例5
ジアミノジフェニルエーテル20.0g(99.9mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド241.8gに溶解し、室温下で攪拌した。これに3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下BPDAと略す)58.7g(199.8mmol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール9.6g(299.7mmol)及びジメチルアミノエタノール0.48gを加え、70℃湯浴上で2時間攪拌し、下記式に示すカルボン酸を得た。
【0054】
【化23】
【0055】
室温まで冷却した後、ジアミノジフェニルエーテル20.0g(99.9mmol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な黄橙色透明溶液が得られた(溶質濃度30重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、1.2ポイズであった。この溶液をフィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に50μmの厚みで流延し、窒素雰囲気下80℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化を行った。得られた塗膜をガラス板上から剥離したところ、ポリイミドフィルムが得られた。このポリイミドフィルムの厚みは、12.0μmであり、引っ張り強度は13.1kg/mm2 であった。
【0056】
実施例6
ジアミノジフェニルエーテル30.0g(149.9mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド238.0gの混合物に溶解し、室温下で攪拌した。これにBPDA58.8g(199.8mmol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール4.8g(149.9mmol)及びジメチルアミノエタノール0.24gを加え、70℃湯浴上で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、ジアミノジフェニルエーテル10.8g(54.0mmol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な黄橙色透明溶液が得られた(溶質濃度30重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、14.4ポイズであった。この溶液をフィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に50μmの厚みで流延し、窒素雰囲気下80℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化を行った。得られた塗膜をガラス板上から剥離したところ、ポリイミドフィルムが得られた。このポリイミドフィルムの厚みは、13.0μmであり、引っ張り強度は13.9kg/mm2 であった。
【0057】
実施例7
ジアミノジフェニルエーテル36.0g(179.8mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド232.7gに溶解し、室温下で攪拌した。これにBPDA58.8g(199.8mmol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール1.9g(159.9mmol)及びジメチルアミノエタノール0.096gを加え、70℃湯浴上で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、ジアミノジフェニルエーテル4.0g(20.0mmol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な黄橙色透明溶液が得られた(溶質濃度30重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、31.0ポイズであった。この溶液をフィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に50μmの厚みで流延し、窒素雰囲気下80℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化を行った。得られた塗膜をガラス板上から剥離したところ、ポリイミドフィルムが得られた。このポリイミドフィルムの厚みは、13.2μmであり、引っ張り強度は13.5kg/mm2 であった。
【0058】
実施例8
ジアミノジフェニルエーテル30.0g(149.9mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド149.4gに溶解し、室温下で攪拌した。これにBPDA58.8g(199.8mmol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール4.8g(149.9mmol)及びジメチルアミノエタノール0.24gを加え、70℃湯浴上で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、ジアミノジフェニルエーテル10.8g(54.0mmol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な黄橙色透明溶液が得られた(溶質濃度40重量%)。
この溶液の粘度を測定したところ、41.2ポイズであった。この溶液をフィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に50μmの厚みで流延し、窒素雰囲気下80℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化を行った。得られた塗膜をガラス板上から剥離したところ、ポリイミドフィルムが得られた。このポリイミドフィルムの厚みは、20.5μmであり、引っ張り強度は13.5kg/mm2 であった。
【0059】
実施例9
溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドの代わりにN,N−メチルピロリドンを使用する以外は、実施例5と同様の仕込み条件で行い、均一な黄橙色透明なポリイミド前駆体溶液を得た(溶質濃度30重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、5ポイズであった。この溶液をフィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に50μmの厚みで流延し、窒素雰囲気下80℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化を行った。得られた塗膜をガラス板上から剥離したところ、ポリイミドフィルムが得られた。このポリイミドフィルムの厚みは、13.0μmであり、引っ張り強度は13.5kg/mm2 であった。
【0060】
比較例2
ジアミノジフェニルエーテル16.0g(80.0mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド92.2gに溶解し、室温に保った。これにBPDA23.5g(80.0mmol)を2時間にわたり徐々に加え、さらに6時間撹拌を続けたところ、溶液はゲル化した。(溶質濃度30重量%)
【0061】
実施例10
パラフェニレンジアミン10.8g(99.9mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド198.6gに溶解し、室温下で攪拌した。これにBPDA58.7g(199.8mmol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール9.6g(299.7mmol)及びジメチルアミノエタノール0.48gを加え、70℃湯浴上で2時間攪拌し、下記式に示すカルボン酸を得た。
【0062】
【化24】
【0063】
室温まで冷却した後、パラフェニレンジアミン10.8g(99.9mmol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な黒緑色透明溶液が得られた(溶質濃度30重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、1.9ポイズであった。この溶液をフィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に50μmの厚みで流延し、窒素雰囲気下80℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化を行った。得られた塗膜をガラス板上から剥離したところ、ポリイミドフィルムが得られた。このポリイミドフィルムの厚みは、12.3μmであり、引っ張り強度は28.7kg/mm2 であった。
【0064】
実施例11
パラフェニレンジアミン16.2g(149.9mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド194.2gに溶解し、室温下で攪拌した。これにBPDA58.8g(199.8mmol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール4.8g(149.9mmol)及びジメチルアミノエタノール0.24gを加え、70℃湯浴上で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、パラフェニレンジアミン5.8g(54.0mmol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な黒緑色透明溶液が得られた(溶質濃度30重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、6.3ポイズであった。この溶液をフィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に50μmの厚みで流延し、窒素雰囲気下80℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化を行った。得られた塗膜をガラス板上から剥離したところ、ポリイミドフィルムが得られた。このポリイミドフィルムの厚みは、12.8μmであり、引っ張り強度は27.9kg/mm2 であった。
【0065】
実施例12
パラフェニレンジアミン19.4g(179.8mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド189.9gに溶解し、室温下で攪拌した。これにBPDA58.8g(199.8mmol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール1.9g(59.9mmol)及びジメチルアミノエタノール0.095gを加え、70℃湯浴上で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、パラフェニレンジアミン2.2g(20.0mmol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な黒緑色透明溶液が得られた(溶質濃度30重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、12.7ポイズであった。この溶液をフィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に50μmの厚みで流延し、窒素雰囲気下80℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化を行った。得られた塗膜をガラス板上から剥離したところ、ポリイミドフィルムが得られた。このポリイミドフィルムの厚みは、12.9μmであり、引っ張り強度は27.5kg/mm2 であった。
【0066】
実施例13
溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドの代わりにN,N−メチルピロリドンを使用する以外は、実施例11と同様の仕込み条件で行い、均一な黒緑色透明なポリイミド前駆体溶液を得た(溶質濃度30重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、26.5ポイズであった。この溶液をフィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に50μmの厚みで流延し、窒素雰囲気下80℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化を行った。得られた塗膜をガラス板上から剥離したところ、ポリイミドフィルムが得られた。このポリイミドフィルムの厚みは、13.0μmであり、引っ張り強度は28.0kg/mm2 であった。
【0067】
比較例3
パラフェニレンジアミン8.7g(80.0mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド75.1gに溶解し、室温に保った。これにBPDA23.5g(80.0mmol)を2時間にわたり徐々に加え、さらに6時間撹拌を続けたところ、溶液はゲル化した。(溶質濃度30重量%)
【0068】
実施例14
3,4’−オキシジアニリン20.1g(100.0mmol)を、N,N−ジメチルアセトアミド250gの混合物に溶解し、室温下で攪拌した。これに4,4’−オキシジフタル酸二無水物62.3g(200.8mmol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール9.6g(300mmol)及びジメチルアミノエタノール0.48gを加え、70℃湯浴上で2時間攪拌し、下記式に示すカルボン酸を得た。
【0069】
【化25】
【0070】
室温まで冷却した後、3,4’−オキシジアニリン20.1g(100.0mmol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な黒茶色透明溶液が得られた(溶質濃度30重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、1.2ポイズであった。この溶液をフィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に50μmの厚みで流延し、窒素雰囲気下80℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化を行った。得られた塗膜をガラス板上から剥離したところ、ポリイミドフィルムが得られた。このポリイミドフィルムの厚みは、13.0μmであり、引っ張り強度は14.1kg/mm2 であった。
【0071】
実施例15
3,4’−オキシジアニリン30.8g(154.0mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド250gのに溶解し、室温下で攪拌した。これに4,4’−オキシジフタル酸二無水物63.7g(205.3mmol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール4.9g(154.0mmol)及びジメチルアミノエタノール0.25gを加え、70℃湯浴上で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、3,4’−オキシジアニリン10.3g(51.3mmol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な黒茶色透明溶液が得られた(溶質濃度30重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、14.4ポイズであった。この溶液をフィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に50μmの厚みで流延し、窒素雰囲気下80℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化を行った。得られた塗膜をガラス板上から剥離したところ、ポリイミドフィルムが得られた。このポリイミドフィルムの厚みは、15.0μmであり、引っ張り強度は14.8kg/mm2 であった。
【0072】
実施例16
3,4’−オキシジアニリン37.5g(187.2mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド250gの混合物に溶解し、室温下で攪拌した。これに4,4’−オキシジフタル酸二無水物64.5(208.0mmol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール2.0g(62.4mmol)及びジメチルアミノエタノール0.100gを加え、70℃湯浴上で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、3,4’−オキシジアニリン4.2g(20.8mmol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な黒茶色透明溶液が得られた(溶質濃度30重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、31.0ポイズであった。この溶液をフィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に50μmの厚みで流延し、窒素雰囲気下80℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化を行った。得られた塗膜をガラス板上から剥離したところ、ポリイミドフィルムが得られた。このポリイミドフィルムの厚みは、16μmであり、引っ張り強度は15.0kg/mm2 であった。
【0073】
実施例17
溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドの代わりにN,N−メチルピロリドンを使用する以外は、実施例14と同様の仕込み条件で行い、均一な黒茶色透明なポリイミド前駆体溶液を得た(溶質濃度30重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、5.5ポイズであった。この溶液をフィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に50μmの厚みで流延し、窒素雰囲気下80℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化を行った。得られた塗膜をガラス板上から剥離したところ、ポリイミドフィルムが得られた。このポリイミドフィルムの厚みは、14.0μmであり、引っ張り強度は14.2kg/mm2であった。
【0074】
比較例4
3,4’−オキシジアニリン16.0g(80.0mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド95.2gに溶解し、室温に保った。これに4,4’−オキシジフタル酸二無水物24.8g(80.0mmol)を2時間にわたり徐々に加え、さらに6時間撹拌を続けたところ、溶液はゲル化した。(溶質濃度30重量%)
【0075】
実施例18
パラフェニレンジアミン20.2g(186.6mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド250gの混合物に溶解し、室温下で攪拌した。これにBPDA73.2g(248.8mmol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール6.0g(186.6mmol)及びジメチルアミノエタノール0.299gを加え、70℃湯浴上で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、ジアミノジフェニルエーテル12.5g(62.2mmol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な赤褐色透明溶液が得られた(溶質濃度30重量%、パラフェニレンジアミンとジアミノジフェニルエーテルの仕込みモル比は、75:25)。この溶液の粘度を測定したところ、7.5ポイズであった。この溶液をフィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に50μmの厚みで流延し、窒素雰囲気下80℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化を行った。得られた塗膜をガラス板上から剥離したところ、ポリイミドフィルムが得られた。このポリイミドフィルムの厚みは、14.5μmであり、引っ張り強度は18.2kg/mm2 であった。
【0076】
実施例19
パラフェニレンジアミン18.6g(171.6mmol)ならびにジアミノジフェニルエーテル11.5g(57.2mmol)を、N,N−ジメチルアセトアミド250gに溶解し、室温下で攪拌した。これにBPDA74.8g(254.2mmol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール2.44g(76.3mmol)及びジメチルアミノエタノール0.122gを加え、70℃湯浴上で2時間攪拌し、下記に示すカルボン酸を得た。(x:y=75:25モル%)
【0077】
【化26】
【0078】
室温まで冷却した後、パラフェニレンジアミン2.1g(19.1mmol)ならびにジアミノジフェニルエーテル1.3g(6.4mmol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な赤褐色透明溶液が得られた(溶質濃度30重量%、パラフェニレンジアミンとジアミノジフェニルエーテルの仕込みモル比は、75:25)。この溶液の粘度を測定したところ、21ポイズであった。この溶液をフィルムアプリケーターを用いて、ガラス板上に50μmの厚みで流延し、窒素雰囲気下80℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化を行った。得られた塗膜をガラス板上から剥離したところ、ポリイミドフィルムが得られた。このポリイミドフィルムの厚みは、14.0μmであり、引っ張り強度は18.0kg/mm2 であった。
【0079】
【発明の効果】
以上のように、本発明のポリイミド前駆体溶液は、溶質が重合体ではなくモノマーの塩であり、高濃度で溶解しているにもかかわらず、その溶液は低粘度である。また、本発明のポリイミド前駆体溶液から得られるポリイミド塗膜は良好な物性を有する。したがって、本発明のポリイミド前駆体溶液は、大規模集積回路等の層間絶縁膜や、保護膜の形成に用いられるスピンコート法等において、優れた効果を奏するものである。また、本発明のポリイミド前駆体溶液の製造方法によれば前記のポリイミド前駆体溶液を容易に製造することができ、ポリイミド塗膜の製造方法によればポリイミド塗膜を容易に製造することができる。
Claims (9)
- 下記一般式(1)に示すカルボン酸1モルに対して、下記一般式(2)に示すジアミン0.95〜1.05モルの割合で添加して得られる塩が溶質として溶媒中に溶解しており、溶質濃度が30重量%以上であり、かつ粘度が100ポイズ以下であることを特徴とするポリイミド前駆体溶液。
- 一般式(1)において、Rが次に挙げる群より選ばれる少なくとも一つの芳香族残基であることを特徴とする請求項1記載のポリイミド前駆体溶液。
- 一般式(1)及び一般式(2)において、R、R' 、R'''がそれぞれ次に示す芳香族残基であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド前駆体溶液。
- 一般式(1)及び一般式(2)において、R、R’、R'''がそれぞれ次に示す芳香族残基であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド前駆体溶液。
- 一般式(1)及び一般式(2)において、R、R’、R'''がそれぞれ次に示す芳香族残基であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド前駆体溶液。
- 一般式(1)及び一般式(2)において、R、R’、R'''がそれぞれ次に示す芳香族残基であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド前駆体溶液。
- 溶媒中で、一般式(3)に示すテトラカルボン酸二無水物と一般式(4)に示すジアミンを、一般式(3)に示すテトラカルボン酸二無水物1モルに対して、一般式(4)に示すジアミン0.1〜0.95モルの割合で反応させて、一般式(5)に示すカルボン酸二無水物を生成させ、水又は任意のアルコールを加えて末端の酸無水物基を開環させて一般式(1)に示すカルボン酸を得た後、この一般式(1)に示すカルボン酸1モルに対し、一般式(2)に示すジアミン0.95〜1.05モルを加えることを特徴とする請求項1記載のポリイミド前駆体溶液の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のポリイミド前駆体溶液から得られるポリイミド塗膜。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のポリイミド前駆体溶液を基材上に塗工し、加熱してイミド化することを特徴とするポリイミド塗膜の製造方法。
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