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JP4579436B2 - 薄膜光電変換モジュール - Google Patents

薄膜光電変換モジュール Download PDF

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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

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  • Photovoltaic Devices (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜光電変換モジュールに係り、特には、ハイブリッド型構造を採用し且つ中間反射層を有する薄膜光電変換モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、薄膜光電変換モジュールは、複数の薄膜光電変換セルをガラス基板上で相互に直列接続した構造を有している。それぞれの薄膜光電変換セルは、一般的には、ガラス基板上への前面透明電極層、薄膜光電変換ユニット、及び金属裏面電極層の成膜とパターニングとを順次行うことにより形成されている。
【0003】
このような薄膜光電変換モジュールには、光電変換効率を向上させることが求められている。タンデム型構造は、前面透明電極層と金属裏面電極層との間に吸収波長域が互いに異なる複数の薄膜光電変換ユニットを積層するものであり、入射光をより有効に利用可能とする構造として知られている。
【0004】
タンデム型構造の1種であるハイブリッド型構造では、それら薄膜光電変換ユニット間で、薄膜光電変換ユニットの主要部である光電変換層の結晶性が異なっている。例えば、ハイブリッド型構造の薄膜光電変換モジュールにおいては、光入射側(または前面側)の薄膜光電変換ユニットの光電変換層としてより大きなバンドギャップを有する非晶質シリコン層が使用され、裏面側の薄膜光電変換ユニットの光電変換層としてより小さなバンドギャップを有するポリシリコン層が使用される。
【0005】
ところで、タンデム型の薄膜光電変換モジュールでは、積層された複数の薄膜光電変換ユニットの間に光透過性及び光反射性の双方を有し且つ導電性の中間反射層を介在させることがある。この中間反射層を設けた場合、前面側の光電変換層に入射した光を中間反射層で反射させることができるため、前面側の光電変換層の実効的な膜厚を増大させること、換言すれば、前面側の薄膜光電変換ユニットの出力電流密度を増大させることができる。
【0006】
したがって、上述したハイブリッド型の薄膜光電変換モジュールで中間反射層を用いた場合、膜厚の増加に応じて光劣化が顕著となる非晶質シリコン層を十分に薄く形成しつつ、非晶質シリコン層を有する薄膜光電変換ユニットとポリシリコン層を有する薄膜光電変換ユニットとの間で出力電流密度をバランスさせることができる。すなわち、モジュールの出力特性を向上させることが可能であると考えられる。
【0007】
しかしながら、中間反射層を有するハイブリッド型の薄膜光電変換モジュールでは、以下に説明するように必ずしも期待されるほどの出力特性が実現されている訳ではない。
【0008】
タンデム型の薄膜光電変換モジュールにおいて、ある薄膜光電変換セルの金属裏面電極層とそれに隣接する薄膜光電変換セルの透明前面電極層との電気的接続は、複数の薄膜光電変換ユニット及びそれらの間に介在する中間反射層を貫通する接続溝を設け、この接続溝に金属裏面電極層を構成する材料で埋め込むことによって実現されている。すなわち、接続溝を埋め込む金属と中間反射層とは接触することとなる。
【0009】
この中間反射層は上述のように導電性を有しており、したがって、電極層の役割も果たしている。また、タンデム型構造において、単一の薄膜光電変換セルを構成する複数の薄膜光電変換ユニットは互いに直列接続されているとみなすことができる。そのため、上記の構造では、金属裏面電極層と中間反射層との間に介在する薄膜光電変換ユニットで生じた電力を有効に取り出すことができない。
【0010】
このような問題は、本出願人による特開平9−129903号公報及び特開平9−129906号公報に開示されるように、中間反射層を分離溝で分割して、その発電に寄与する部分を接続溝を埋め込む金属から電気的に絶縁することにより回避可能であると考えられる。実際、タンデム型構造を形成する一対の薄膜光電変換ユニットの光電変換層としてそれぞれ非晶質半導体層を用いた場合には、そのような分離溝を設けることにより、中間反射層の発電に寄与する部分から接続溝内を埋め込む金属を介して電流がリークする(所謂、サイドリーク)のを防止可能であることが確認されている。したがって、中間反射層を有するハイブリッド型のモジュールにおいても、上述した手法を採用することにより、サイドリークが防止され、十分な出力特性を実現可能となることが期待される。
【0011】
しかしながら、ハイブリッド型のモジュールでは、中間反射層に上述した分離溝を形成しても、必ずしも期待されるほどの出力特性が実現される訳ではないことが判明した。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、中間反射層を有するハイブリッド型構造を採用し且つ高い出力特性を容易に実現し得る薄膜光電変換モジュールを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するに当たり、本発明者らは、まず、中間反射層に上記の分離溝を設けた場合に得られる効果が、それぞれの薄膜光電変換ユニットに非晶質光電変換層を用いたタンデム型構造とハイブリッド型構造との間で大きく異なる理由について詳細に調べた。その結果、以下の事実が主な要因の1つであることが判明した。
【0014】
一般に、タンデム型の薄膜光電変換モジュールの製造では、接続溝の形成にレーザを使用している。例えば、接続溝の形成に際しては、透明基板の透明前面電極層が形成された面に順次積層された第1の薄膜光電変換ユニット、中間反射層、及び第2の薄膜光電変換ユニットに対して、透明基板側からレーザビームのスキャンを行う。そのようなレーザビームは透明前面電極層や中間反射層では殆ど吸収されず、主として第1及び第2の薄膜光電変換ユニットで吸収される。その結果、第1及び第2の薄膜光電変換ユニットは、そのレーザビーム照射部で溶断または昇華される。また、中間反射層のレーザビーム照射部に対応する部分は、その下地層である第1の薄膜光電変換ユニットの溶断または昇華に伴って生じた熱及び/または運動エネルギーによって除去される。以上のようにして、第1の薄膜光電変換ユニット、中間反射層、及び第2の薄膜光電変換ユニットの積層構造を分割する接続溝が形成される。
【0015】
このような方法では、第1及び第2の薄膜光電変換ユニットの双方を良好に溶断または昇華することが重要である。一般的なタンデム型構造では、非晶質シリコン層のように上記のレーザビームに対する光吸収率が高い非晶質光電変換層がそれぞれの薄膜光電変換ユニットに使用されるため、比較的低いレーザパワーで接続溝を形成することができた。
【0016】
しかしながら、結晶質シリコン層のような結晶質光電変換層は、非晶質シリコン層のような非晶質光電変換層に比べ、上記のレーザビームに対する光吸収率が著しく低い。そのため、ハイブリッド型の薄膜光電変換モジュールの製造においては、上記のレーザパワーでは、第2の薄膜光電変換ユニットを十分に溶断または昇華することが困難となる。それゆえ、レーザパワーを高めることが必要となるが、この場合、透明前面電極層などがダメージを受けてしまう。
【0017】
本発明者らは、上記要因を考慮してハイブリッド型薄膜光電変換モジュールの構造について詳細な検討を行ったところ、透明前面電極層を分割する分離溝と第1の光電変換ユニット及び中間反射層を分割するサイドリーク防止用の分離溝とが連結して第1の分離溝を構成している場合、第2の薄膜光電変換ユニットの光電変換層は結晶質であるにもかかわらず、この第1の分離溝内で非晶質が占める割合は非常に高く、非晶質は第1の分離溝内だけでなく、第2の薄膜光電変換ユニットの第1の分離溝上部及びその近傍にまで及ぶことが判明した。
【0018】
本発明者らは、従来技術では上記第1の分離溝と接続溝とが離間して設けられていることに着目し、第1の分離溝に接続溝を隣接させれば、接続溝を形成するためのレーザビーム照射を第2の薄膜光電変換ユニットの非晶質の割合が高い部分に対して行うことができ、したがって、透明前面電極層などにダメージを与えない程度の比較的低いレーザパワーで第2の薄膜光電変換ユニットを十分に溶断または昇華することが可能となり、しかも、発電に有効な面積を増大させることが可能となることを見出し、本発明を為すに至ったものである。
【0019】
すなわち、本発明によると、透明基板と前記透明基板の一方の主面上に並置され且つ互いに直列接続された複数のハイブリッド型薄膜光電変換セルとを具備し、前記複数の薄膜光電変換セルは、前記透明基板の一方の主面上に順次積層された透明前面電極層、非晶質光電変換層を備えた第1の薄膜光電変換ユニット、導電性を有するとともに光透過性及び光反射性の双方を有する中間反射層、結晶質光電変換層を備えた第2の薄膜光電変換ユニット、及び裏面電極層で構成され、前記複数の薄膜光電変換セルの隣り合った各2つの間では、前記中間反射層と前記第2の薄膜光電変換ユニットとの界面の位置に開口を有し且つ底面が前記透明基板の主面で構成された第1の分離溝が設けられ、この第1の分離溝は前記第2の薄膜光電変換ユニットを構成する材料で埋め込まれ、前記第1の分離溝から離れた位置に、前記裏面電極層の上面の位置に開口を有し且つ底面が前記透明前面電極層前記第1の薄膜光電変換ユニットの界面で構成された第2の分離溝が設けられ、前記第1の分離溝と前記第2の分離溝との間に、前記第2の薄膜光電変換セルと前記裏面電極層との界面の位置に開口を有し且つ底面が前記透明前面電極層前記第1の薄膜光電変換ユニットの界面でまたは前記透明前面電極層の前記第1の薄膜光電変換ユニット側の界面と前記透明基板の前記主面とで構成された接続溝が前記第1の分離溝と隣接して設けられ、この接続溝は前記裏面電極層を構成する材料で埋め込まれることによって前記隣り合った各2つの薄膜光電変換セルの一方の裏面電極層と他方の透明前面電極層とを電気的に接続したことを特徴とする薄膜光電変換モジュールが提供される。
【0020】
また、本発明によると、透明基板と前記透明基板の一方の主面上に並置され且つ互いに直列接続された複数のハイブリッド型薄膜光電変換セルとを具備し、前記複数の薄膜光電変換セルは、前記透明基板の一方の主面上に順次積層された透明前面電極層、非晶質光電変換層を備えた第1の薄膜光電変換ユニット、導電性を有するのとともに光透過性及び光反射性の双方を有する中間反射層、結晶質光電変換層を備えた第2の薄膜光電変換ユニット、及び裏面電極層で構成された薄膜光電変換モジュールの製造方法であって、前記透明基板の一方の主面上に、前記透明電極層と前記第1の薄膜光電変換ユニットと前記中間反射層とを含み且つ第1の分離溝で分割された第1の積層構造を形成する工程と、前記第1の積層構造上に前記第1の分離溝を埋め込むように前記第2の薄膜光電変換ユニットを形成する工程と、前記第1の薄膜光電変換ユニットと前記中間反射層と前記第2の薄膜光電変換ユニットとを含む第2の積層構造を分割して前記第1の分離溝と隣接する接続溝を形成する工程と、前記第2の積層構造上に前記接続溝を埋め込むように前記裏面電極層を形成する工程と、前記第2の積層構造と前記裏面電極層とを含む第3の積層構造を分割して第2の分離溝を前記第1の分離溝と前記第2の分離溝との間に前記接続溝が介在するように形成する工程とを含むことを特徴とする薄膜光電変換モジュールの製造方法が提供される。
【0021】
なお、ここで使用する用語「結晶質」は、多結晶及び微結晶を包含する。また、用語「多結晶」及び「微結晶」は、部分的に非晶質を含むものをも意味するものとする。
【0022】
本発明において、透明基板としては、ガラス基板のように非晶質の透明基板を用いることが好ましい。また、中間反射層としては、例えば、1.0×10-3Ωcm〜1.0×10-2Ωcmの比抵抗を有する薄膜、特には実質的にZnOなどのような酸化物からなる薄膜を用いることができる。さらに、非晶質光電変換層としては非晶質シリコン層などを用いることができ、結晶質光電変換層としては多結晶シリコン層などを用いることができる。
【0023】
本発明において、接続溝は、例えば、透明基板側から第2の積層構造に対して第1の分離溝と実質的に平行にレーザビームのスキャンを行うことによって形成することができる。この場合、レーザビームのスキャンを、レーザビームのビームスポットが第1の分離溝の側壁の一方を跨るように行えば、第1の分離溝と接続溝との間に残留物を残すことなく確実に接続溝を形成することができる。なお、このような方法で接続溝を形成する場合、接続溝の底面の一部は透明基板の主面で構成されることがある。
【0024】
また、本発明において、上記複数の薄膜光電変換セルのそれぞれの隣り合う2つの間で、第2の分離溝と接続溝とは隣接していることが好ましい。この場合、発電に有効な面積を増大させることが可能となる。また、この場合、透明基板側から第3の積層構造に対して第1の分離溝と実質的に平行にレーザビームのスキャンを行って第2の分離溝を形成するに当たり、そのレーザスキャンを、レーザビームのビームスポットが接続溝の側壁の一方を跨るように行えば、レーザパワーを第2の薄膜光電変換ユニットを溶断及び/または昇華するのに十分な程度に高めたとしても、透明前面電極層などのダメージを防止することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を参照しながらより詳細に説明する。なお、各図において同様の部材には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0026】
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る薄膜光電変換モジュール1を概略的に示す平面図である。また、図1(b)は、図1(a)に示す薄膜光電変換モジュール1のA−A線に沿った断面図である。なお、図1(b)には、モジュール1の一部のみが描かれている。
【0027】
図1(a)に示すように、本実施形態に係る薄膜光電変換モジュール1は、透明基板2上に複数の薄膜光電変換セル10を集積した構造を有している。これら薄膜光電変換セル10は帯状の形状を有しており、互いに直列接続されて直列アレイ11を構成している。なお、この直列アレイ11の両端には、リボン状の銅箔等からなる一対の電極バスバー12が取り付けられている。
【0028】
本実施形態に係るモジュール1について、図1(b)を参照しながら、さらに詳しく説明する。
図1(b)に示すように、モジュール1の薄膜光電変換セル10は、透明基板2上に、透明前面電極層3、非晶質光電変換層を備えた第1の薄膜光電変換ユニット4a、中間反射層5、結晶質光電変換層を備えた第2の薄膜光電変換ユニット4b、及び裏面電極層6を順次積層した構造を有している。すなわち、このモジュール1は、透明基板2側から入射する光を、ハイブリッド型構造を形成する光電変換ユニット4a,4bによって光電変換するものである。
【0029】
本実施形態において、薄膜光電変換モジュール1には、上記薄膜を分割する第1及び第2の分離溝21,22と接続溝23とが設けられている。これら第1及び第2の分離溝21,22並びに接続溝23は、互いに平行であって、紙面に対して垂直な方向に延在している。なお、隣り合うセル10間の境界は、第1及び第2の分離溝21,22によって規定されている。
【0030】
第1の分離溝21は、透明前面電極層3と薄膜光電変換ユニット4aと中間反射層5とを含む第1の積層構造をそれぞれのセル10に対応して分割しており、中間反射層5と薄膜光電変換ユニット4bとの界面の位置に開口を有し且つ基板2の表面を底面としている。この第1の分離溝21は、薄膜光電変換ユニット4bを構成する非晶質によって埋め込まれており、隣り合う透明前面電極層3同士を電気的に絶縁するのとともに、中間反射層5を接続溝23を埋め込む金属などの導電性材料から電気的に絶縁している。
【0031】
第2の分離溝22は、第1の分離溝21から離れた位置に設けられている。第2の分離溝22は、薄膜光電変換ユニット4aと中間反射層5と薄膜光電変換ユニット4bと裏面電極層6とを含む第3の積層構造をそれぞれのセル10に対応して分割しており、裏面電極層6の露出面に開口を有し且つ透明前面電極層3の表面を底面としている。この第2の分離溝22は、隣り合うセル10間で裏面電極層6同士を電気的に絶縁している。
【0032】
接続溝23は、第1の分離溝21と第2の分離溝22との間に及び第1の分離溝21と隣接して設けられている。接続溝23は、薄膜光電変換ユニット4aと中間反射層5と薄膜光電変換ユニット4bとを含む第2の積層構造を分割しており、薄膜光電変換ユニット4bと裏面電極層6との界面の位置に開口を有し且つ透明前面電極層3の表面を底面としている。この接続溝23は、裏面電極層6を構成する金属などの導電性材料で埋め込まれており、隣り合うセル10の一方の裏面電極層6と他方の透明前面電極層3とを電気的に接続している。すなわち、接続溝23及びそれを埋め込む金属などの導電性材料は、基板2上に並置されたセル10同士を直列接続する役割を担っている。なお、図1(b)では、第2の分離溝22と接続溝23とは隣接して設けられているが、これらは離間されていてもよい。
【0033】
次に、上述したモジュール1の各構成要素について説明する。
透明基板2としては、例えば、ガラス板や透明樹脂フィルムなどを用いることができる。これらはいずれも結晶質ではないので、透明基板2としてガラス板などを用いた場合、図1(b)に示す構造を採用することによって得られる効果がより顕著となる。
【0034】
透明前面電極層3は、ITO膜、SnO2膜、或いはZnO膜のような透明導電性酸化物層等で構成することができ、通常、これらの膜は多結晶体として成膜される。透明前面電極層3は単層構造でも多層構造であってもよい。透明前面電極層3は、蒸着法、CVD法、或いはスパッタリング法等それ自体既知の気相堆積法を用いて形成することができる。
【0035】
透明前面電極層3の表面には、微細な凹凸を含む表面テクスチャ構造を形成することが好ましい。透明前面電極層3の表面にこのようなテクスチャ構造を形成することにより、光電変換ユニット4への光の入射効率を向上させることができる。表面テクスチャ構造を形成する方法に特に制限はなく、公知の様々な方法を用いることができる。
【0036】
薄膜光電変換ユニット4aは非晶質光電変換層を備えており、例えば、透明前面電極層3側からp型シリコン系半導体層、シリコン系光電変換層、及びn型シリコン系半導体層を順次積層した構造を有する。これらp型半導体層、非晶質光電変換層、及びn型半導体層はいずれもプラズマCVD法により形成することができる。
【0037】
一方、薄膜光電変換ユニット4bは結晶質光電変換層を備えており、例えば、中間反射層5側からp型シリコン系半導体層、シリコン系光電変換層、及びn型シリコン系半導体層を順次積層した構造を有する。これらp型半導体層、結晶質光電変換層、及びn型半導体層はいずれもプラズマCVD法により形成することができる。
【0038】
これら薄膜光電変換ユニット4a,4bを構成するp型半導体層は、例えば、シリコンまたはシリコンカーバイドやシリコンゲルマニウム等のシリコン合金に、ボロンやアルミニウム等のp導電型決定不純物原子をドープすることにより形成することができる。また、非晶質光電変換層及び結晶質光電変換層は、非晶質シリコン系半導体材料及び結晶質シリコン系半導体材料でそれぞれ形成することができ、そのような材料としては、真性半導体のシリコン(水素化シリコン等)やシリコンカーバイド及びシリコンゲルマニウム等のシリコン合金等を挙げることができる。また、光電変換機能を十分に備えていれば、微量の導電型決定不純物を含む弱p型もしくは弱n型のシリコン系半導体材料も用いられ得る。さらに、n型半導体層は、シリコンまたはシリコンカーバイドやシリコンゲルマニウム等のシリコン合金に、燐や窒素等のn導電型決定不純物原子をドープすることにより形成することができる。
【0039】
以上のように構成される薄膜光電変換ユニット4aと薄膜光電変換ユニット4bとでは互いに吸収波長域が異なっている。例えば、薄膜光電変換ユニット4aの薄膜光電変換層を非晶質シリコンで構成し、薄膜光電変換ユニット4bの薄膜光電変換層を結晶質シリコンで構成した場合には、前者に550nm程度の光成分を最も効率的に吸収させ、後者に900nm程度の光成分を最も効率的に吸収させることができる。
【0040】
薄膜光電変換ユニット4aの厚さは、0.01μm〜0.5μmの範囲内にあることが好ましく、0.1μm〜0.3μmの範囲内にあることがより好ましい。本実施形態に係るモジュール1では、外部から薄膜光電変換ユニット4aに入射した光を中間反射層5で反射させることができるため、薄膜光電変換ユニット4aの実効的な膜厚を増大させることができる。したがって、光劣化を抑制するために薄膜光電変換ユニット4aの膜厚を薄くしたとしても、十分に高い出力電流密度を維持することができる。
【0041】
一方、薄膜光電変換ユニット4bの厚さは、0.1μm〜10μmの範囲内にあることが好ましく、0.1μm〜5μmの範囲内にあることがより好ましい。すなわち、薄膜光電変換ユニット4bの厚さは、薄膜光電変換ユニット4aの厚さの数倍から10倍程度であることが好ましい。これは、非晶質光電変換層に比べ、結晶質光電変換層は光吸収係数が小さいためである。
【0042】
中間反射層5は、ZnO膜、SiO2膜、SnO2膜、InO2膜、Al23膜、Y23膜、及びTiO2膜のような透明酸化物層等で構成することができ、好ましくはZnO膜のような透明導電性酸化物層で構成され、これらの膜は多結晶体として成膜されることが多い。中間反射層5は、蒸着法、CVD法、或いはスパッタリング法等それ自体既知の気相堆積法を用いて形成することができる。なお、中間反射層5の比抵抗は、不純物をドープすることや酸化度を変化させることなどによって調節可能であり、好ましくは、1.0×10-3Ωcm〜1.0×10-2Ωcmの範囲内にある。
【0043】
中間反射層5の厚さは、10nm〜100nmの範囲内にあることが好ましく、20nm〜70nmの範囲内にあることがより好ましい。これは、中間反射層5が過剰に薄い場合には十分な光反射性が得られず、過剰に厚い場合には十分な光透過性が得られないことがあるためである。
【0044】
裏面電極層6は電極としての機能を有するだけでなく、透明基板2から光電変換ユニット4a,4bに入射し裏面電極層6に到達した光を反射して光電変換ユニット4a,4b内に再入射させる反射層としての機能も有している。裏面電極層6は、銀やアルミニウム等の金属材料を用いて、蒸着法やスパッタリング法等により、例えば200nm〜400nm程度の厚さに形成することができる。また、裏面電極層6は、光電変換ユニット4b側の面に、例えば金属からなる導電性薄膜と光電変換ユニット4bとの間の接着性を向上させるために、ZnOのような非金属材料からなる透明導電性薄膜(図示せず)をさらに有することができる。
【0045】
本実施形態によると、上述したモジュール1は、例えば以下に示す方法により製造することができる。図2を参照しながら説明する。
図2(a)〜(g)は、それぞれ、本発明の一実施形態に係る薄膜光電変換モジュール1の製造方法を概略的に示す断面図である。
【0046】
図2(g)に示すモジュール1の製造に際しては、まず、図2(a)に示すように、一方の主面上に透明前面電極層3が連続膜として設けられた透明基板2を準備する。次に、図2(b)に示すように、透明前面電極層3上に薄膜光電変換ユニット4a及び中間反射層をそれぞれ連続膜として順次成膜する。
【0047】
次いで、図2(c)に示すように、YAGレーザ等を用いたレーザスクライブにより、透明前面電極層3と光電変換ユニット4aと中間反射層5とを含む第1の積層構造を分割する。これにより、第1の分離溝21で分割された第1の積層構造を得る。なお、中間反射層5などのレーザスクライブに伴って生じる導電性の微細粉は、超音波洗浄などによって必要に応じて除去する。
【0048】
次に、図2(d)に示すように、中間反射層5上に薄膜光電変換ユニット4bを連続膜として成膜する。この薄膜光電変換ユニット4bの成膜に伴い、第1の分離溝21は、薄膜光電変換ユニット4bを構成する材料で埋め込まれる。
【0049】
一般に、中間反射層5は結晶質であるため、成膜条件を適宜設定することにより、その上に形成される薄膜光電変換ユニット4bの光電変換層を結晶質とすることができる。しかしながら、透明基板21は非晶質であるなどの理由から、通常、第1の分離溝21内では結晶成長が生じ難い。そのため、第1の分離溝21を埋め込む材料に非晶質が占める割合が高くなるのは勿論のこと、薄膜光電変換ユニット4bの分離溝21上方に位置する部分及びその近傍でも非晶質の割合が高くなる。したがって、薄膜光電変換ユニット4bには、非晶質を比較的高い割合で含む非晶質部4b1と、ほぼ結晶質のみで構成される結晶質部4b2とが形成される。
【0050】
なお、薄膜光電変換ユニット4bの成膜工程または後工程の際に、薄膜光電変換ユニット4bの一部が薄膜4a,5を伴って分離溝21及び周囲の領域とともに剥離することがある。このような剥離は、成膜条件などを適宜調節することにより防止することができる。
【0051】
その後、図2(e)に示すように、薄膜光電変換ユニット4aと中間反射層5と薄膜光電変換ユニット4bとを含む第2の積層構造に、YAGレーザ等を用いたレーザスクライブによって接続溝23を形成する。本実施形態では、接続溝23を第1の分離溝21に隣接させるため、接続溝23を形成するためのレーザビーム照射を結晶質部4b2よりも遥かに光吸収率の高い非晶質部4b1に対して行うことができる。したがって、透明前面電極層3などにダメージを与えない程度の比較的低いレーザパワーで接続溝23を形成することができる。
【0052】
次に、図2(f)に示すように、光電変換ユニット4b上に裏面電極層6を形成する。この裏面電極層6の形成に伴い、接続溝23は金属などの導電性材料で埋め込まれ、接続溝23を埋め込む導電性材料を介して裏面電極層6と透明前面電極層3とが電気的に接続される。
【0053】
次いで、図2(g)に示すように、薄膜光電変換ユニット4aと中間反射層5と薄膜光電変換ユニット4bと裏面電極層6とを含む第3の積層構造に、YAGレーザ等を用いたレーザスクライブによって第2の分離溝22を形成する。さらに、YAGレーザ等を用いたレーザスクライブによって発電領域を確定し、セル10が形成する列の両端部に一対の電極バスバー12を設ける。以上のようにして、図1(a),(b)及び図2(g)に示す構造を得る。
【0054】
なお、以上の方法によって作製したモジュール1には、通常、その裏面側に封止樹脂層(図示せず)を介して有機保護フィルム(図示せず)を設ける。この封止樹脂層は、透明基板2上に形成された各薄膜光電変換セル10を封止するものであり、有機保護フィルムをこれらセル10に接着することが可能な樹脂が用いられる。そのような樹脂としては、例えば、EVA(エチレン・ビニルアセテート共重合体)等を用いることができる。また、有機保護フィルムとしては、ポリフッ化ビニルフィルム(例えば、テドラーフィルム(登録商標名))等が用いられる。これら封止樹脂/有機保護フィルムは、真空ラミネート法により薄膜光電変換モジュール1の裏面側に同時に貼着することができる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係るモジュール1では、分離溝21が中間反射層5と接続溝23を埋め込む導電性材料とを電気的に絶縁している。したがって、それらの間にリーク電流が発生するのを防止することができる。また、本実施形態によると、接続溝23を第1の分離溝21に隣接させるため、接続溝23を形成するためのレーザビーム照射を結晶質部4b2よりも遥かに光吸収率の高い非晶質部4b1に対して行うことができる。したがって、透明前面電極層3などにダメージを与えない程度の比較的低いレーザパワーで接続溝23を形成することができる。さらに、本実施形態によると、接続溝23を第1の分離溝21に隣接させるため、発電に有効な面積を増加させることができる。
【0056】
上記実施形態では、透明前面電極層3の分割と薄膜光電変換ユニット4a及び中間反射層5の分割とを単一の工程で行ったが、それらの分割は別々の工程で行ってもよい。また、上記実施形態では、第2の分離溝22と接続溝23とを隣接させたが、それらは離間させて設けてもよい。但し、隣接して設けた場合、発電に有効な面積を増加させる上で有利である。
【0057】
第2の分離溝22及び接続溝23は、図3に示す方法で形成することが好ましい。
図3(a)は、図1(a),(b)及び図2(g)に示す薄膜光電変換モジュール1の接続溝23の形成方法の一例を概略的に示す断面図である。また、図3(b)は、図1(a),(b)及び図2(g)に示す薄膜光電変換モジュール1の第2の分離溝22の形成方法の一例を概略的に示す断面図である。なお、図3(a)において参照番号33は接続溝23が形成されるべき領域を示し、図3(b)において参照番号32は第2の分離溝22が形成されるべき領域を示している。
【0058】
接続溝23を形成するに当たり、図3(a)に示すように、レーザビーム30のスキャンをレーザビーム30のビームスポットが第1の分離溝21の側壁の一方を跨るように行えば、レーザビーム30の光軸と第1の分離溝21との相対位置が図中横方向に多少変動したとしても、第1の分離溝21と接続溝23との間に残留物を残すことなく確実に接続溝23を形成することができる。なお、このような方法で接続溝23を形成した場合、通常、図3(b)に示すように、接続溝23の底面の一部は透明基板2の主面で構成される。
【0059】
また、第2の分離溝22を形成するに当たり、図3(b)に示すように、レーザビーム30のスキャンを、レーザビーム30のビームスポットが接続溝23の側壁の一方(第1の分離溝21とは反対側の側壁)を跨るように行えば、レーザビーム30の光軸と接続溝23との相対位置が図中横方向に多少変動したとしても、第2の分離溝22と接続溝23との間に残留物を残すことなく確実に第2の分離溝22を形成することができる。
【0060】
ところで、分離溝や接続溝を形成するためのレーザとしては一般にパルスレーザが使用されており、したがって、レーザビーム30のパワーの調節はパルスの周期を変化させることにより行われている。そのため、第2の分離溝22を形成するには、ビームスポットの一部を1周期前のビームスポットの位置に部分的に重ねなければならない。
【0061】
しかしながら、第2の分離溝22を形成する際に透明前面電極層3がダメージを受けるのを防止する目的でレーザビーム30のパワーを低下させた場合、パルスの周期が長くなるため、極端な場合には、第2の分離溝22は形成されずに複数の孔の列が形成されることとなる。また、仮に第2の分離溝22が形成されたとしても、期待される絶縁分離性を実現することが困難となることがある。
【0062】
それに対し、第2の分離溝22を形成するに当たり、図3(b)に示すようにレーザビーム30のスキャンを行った場合、レーザビーム30の一部は接続溝23を埋め込む金属材料などに照射される。接続溝23を埋め込む金属材料は、レーザビーム30の一部を反射するのに加え、薄膜光電変換ユニット4aと薄膜光電変換ユニット4bとの間の熱伝導及びそれらと裏面電極層6との間の熱伝導を媒介する。そのため、レーザビーム30のパワーが高い場合であっても、透明前面電極層3などがダメージを受けるのを防止しつつ均一な加熱を実現すること,すなわち、絶縁分離性に優れた第2の分離溝22を確実に形成すること,が可能となる。
【0063】
【実施例】
以下に本発明の実施例について説明する。
【0064】
(実施例)
以下に示す方法により、図1(a),(b)に示す薄膜光電変換モジュール1を作製した。以下、図2(a)〜(g)を参照しながら説明する。
【0065】
まず、図2(a)に示すように、一方の主面にSnO2膜3を有する127mm×127mmのガラス基板を準備した。次に、図2(b)に示すように、プラズマCVD法によりSnO2膜3上に厚さ0.25μmの薄膜光電変換ユニット4aを成膜し、さらに、スパッタリング法により薄膜光電変換ユニット4a上に厚さ30nmのZnO層5を成膜した。なお、この光電変換ユニット4aは、光電変換層としてノンドープの非晶質シリコン層を有しており、p−i−n接合を形成している。
【0066】
次に、図2(c)に示すように、YAG IRパルスレーザを用いレーザパワーを0.4Wとして基板2の一辺に平行にレーザスキャンすることにより、SnO2膜3と薄膜光電変換ユニット4aとZnO層5との積層構造へのスクライブを行った。これにより、これら薄膜の積層構造を複数の帯状パターンへと分割する幅70μmの分離溝21を形成した。
【0067】
その後、超音波洗浄及び乾燥を行い、さらに、図2(d)に示すように、プラズマCVD法によりZnO層5上に厚さ3.0μmの薄膜光電変換ユニット4bを成膜した。なお、この光電変換ユニット4bは、光電変換層としてノンドープの多結晶シリコン層を有している。
【0068】
続いて、図2(e)に示すように、YAG SHGパルスレーザを用いレーザパワーを0.5Wとして基板2の一辺に平行にレーザスキャンすることにより、これら薄膜光電変換ユニット4a,4b及びZnO膜5の積層構造へのスクライブを行い、この積層構造を複数の帯状パターンへと分割する幅60μmの接続溝23を形成した。なお、接続溝23を形成する際、ビームスポットが分離溝21の側壁の一方を跨るように、レーザビームの光軸と分離溝21の中心との距離を50μmに設定した。
【0069】
その後、図2(f)に示すように、薄膜光電変換ユニット4b上に、スパッタリング法によりZnO膜及びAg膜を順次成膜して裏面電極層6を形成した。次いで、図2(g)に示すように、YAG SHGパルスレーザを用いレーザパワーを0.7Wとして基板2の一辺に平行にレーザスキャンすることにより、薄膜光電変換ユニット4a,4b、ZnO膜5、及び裏面電極層6の積層構造を複数の帯状パターンへと分割する幅60μmの分離溝22を形成した。なお、分離溝22を形成する際、ビームスポットが接続溝23の側壁の一方を跨るように、レーザビームの光軸と接続溝23の中心との距離を45μmに設定した。
【0070】
続いて、YAG パルスレーザを用いて基板2の周囲に沿ってレーザスキャンすることにより、SnO2膜3、薄膜光電変換ユニット4a,4b、ZnO膜5、及び裏面電極層6に溝を形成して発電領域を確定した。以上のようにして、それぞれ100mm×100mmのサイズを有し且つ互いに直列接続された10段の薄膜光電変換セル10を形成した。さらに、セル10が形成する直列アレイ11の両端部に一対の電極バスバー12を設けることにより、図1(a),(b)に示すモジュール1を得た。
【0071】
次に、上述した方法で作製したモジュール1について、測定温度を25℃として、AM1.5のスペクトルを有する放射照度100mW/cm2のソーラーシュミレータにより出力特性を調べた。なお、光源としては、キセノンランプ、ハロゲンランプ、及びフィルタを組み合わせたものを用いた。その結果、このモジュール1の各セル10の開放電圧Vocは1.350Vであり、短絡電流Iscは122.4mAであり、フィルファクタF.F.は68.5%であり、発電効率Eff.は11.3%であった。また、引き続き、各構成素子の光電流を、分光感度特性から計算により求めた。その結果、トップ光起電力素子のJscは12.92mA/cm2であり、ボトム光起電力素子のJscは12.42mA/cm2であることが分かった。
【0072】
(比較例)
図4は、比較例に係る薄膜光電変換モジュールを概略的に示す断面図である。図4に示す薄膜光電変換モジュール101は、分離溝21と接続溝23とが離間され且つ分離溝22と接続溝23とが離間されていること以外は、図1(b)に示す薄膜光電変換モジュール1と同様の構造を有している。
【0073】
本比較例では、図4に示すモジュール101を、以下に示す方法により作製した。
まず、上記実施例で説明したのと同様の方法により、図2(d)に示す構造を得た。次に、YAG SHGパルスレーザを用いレーザパワーを0.6Wとして基板2の一辺に平行にレーザスキャンすることにより、これら薄膜光電変換ユニット4a,4b及びZnO膜5の積層構造へのスクライブを行い、この積層構造を複数の帯状パターンへと分割する幅60μmの接続溝23を形成した。なお、接続溝23を形成する際、上記実施例とは異なり、ビームスポットが分離溝21から一定の距離を隔てて位置するように、レーザビームの光軸と分離溝21の中心との距離を100μmに設定した。
【0074】
次いで、上記実施例で図2(f)に関して説明したのと同様の方法により、薄膜光電変換ユニット4b上に裏面電極層6を連続膜として成膜した。その後、YAG SHGパルスレーザを用いレーザパワーを0.8Wとして基板2の一辺に平行にレーザスキャンすることにより、薄膜光電変換ユニット4a,4b、ZnO膜5、及び裏面電極層6の積層構造を複数の帯状パターンへと分割する幅60μmの分離溝22を形成した。なお、分離溝22を形成する際、上記実施例とは異なり、ビームスポットが接続溝23から一定の距離を隔てて位置するように、レーザビームの光軸と接続溝23の中心との距離を100μmに設定した。
【0075】
その後、上記実施例で説明したのと同様の方法により、発電領域を確定した。以上のようにして、互いに直列接続された10段の薄膜光電変換セル10を形成した。さらに、セル10が形成する直列アレイの両端部に一対の電極バスバーを設けることにより、図4に示すモジュール101を得た。
【0076】
このような方法により得られた比較例に係るモジュール101についても、上記実施例と同条件で出力特性を調べた。その結果、このモジュール1の各セル10の開放電圧Vocは1.348Vであり、短絡電流Iscは121.2mAであり、フィルファクタF.F.は68%であり、発電効率Eff.は11.1%であった。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、ハイブリッド型構造において、各セルに対応して透明前面電極層を分割する溝と中間反射層から各セルを直列接続する接続部へのサイドリークを防止する溝とが単一の分離溝を構成し且つこの分離溝に接続溝が隣接した構造を採用している。そのため、透明前面電極層などに殆どダメージを与えることなく接続溝を形成すること及び発電に有効な面積を増大させることが可能となる。
すなわち、本発明によると、中間反射層を有するハイブリッド型構造を採用し且つ高い出力特性を容易に実現し得る薄膜光電変換モジュールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施形態に係る薄膜光電変換モジュールを概略的に示す平面図、(b)は(a)に示す薄膜光電変換モジュールのA−A線に沿った断面図。
【図2】(a)〜(g)は、それぞれ、本発明の一実施形態に係る薄膜光電変換モジュールの製造方法を概略的に示す断面図。
【図3】(a)は図1(a),(b)及び図2(g)に示す薄膜光電変換モジュールの接続溝の形成方法の一例を概略的に示す断面図、(b)は図1(a),(b)及び図2(g)に示す薄膜光電変換モジュールの第2の分離溝の形成方法の一例を概略的に示す断面図。
【図4】比較例に係る薄膜光電変換モジュールを概略的に示す断面図。
【符号の説明】
1,101…薄膜光電変換モジュール
2…透明基板
3…透明前面電極層
4a,4b…薄膜光電変換ユニット
4b1…非晶質部
4b2…結晶質部
5…中間反射層
6…裏面電極層
10…薄膜光電変換セル
11…直列アレイ
12…電極バスバー
21,22…分離溝
23…接続溝
30…レーザビーム
32,33…領域

Claims (3)

  1. 透明基板と前記透明基板の一方の主面上に並置され且つ互いに直列接続された複数のハイブリッド型薄膜光電変換セルとを具備し、
    前記複数の薄膜光電変換セルは、前記透明基板の一方の主面上に順次積層された透明前面電極層、非晶質光電変換層を備えた第1の薄膜光電変換ユニット、導電性を有するとともに光透過性及び光反射性の双方を有する中間反射層、結晶質光電変換層を備えた第2の薄膜光電変換ユニット、及び裏面電極層で構成され、
    前記複数の薄膜光電変換セルの隣り合った各2つの間では
    前記中間反射層と前記第2の薄膜光電変換ユニットとの界面の位置に開口を有し且つ底面が前記透明基板の主面で構成された第1の分離溝が設けられ、この第1の分離溝は前記第2の薄膜光電変換ユニットを構成する材料で埋め込まれ、
    前記第1の分離溝から離れた位置に、前記裏面電極層の上面の位置に開口を有し且つ底面が前記透明前面電極層前記第1の薄膜光電変換ユニットの界面で構成された第2の分離溝が設けられ、
    前記第1の分離溝と前記第2の分離溝との間に、前記第2の薄膜光電変換セルと前記裏面電極層との界面の位置に開口を有し且つ底面が前記透明前面電極層前記第1の薄膜光電変換ユニットの界面でまたは前記透明前面電極層の前記第1の薄膜光電変換ユニット側の界面と前記透明基板の前記主面とで構成された接続溝が前記第1の分離溝と隣接して設けられ、この接続溝は前記裏面電極層を構成する材料で埋め込まれることによって前記隣り合った各2つの薄膜光電変換セルの一方の裏面電極層と他方の透明前面電極層とを電気的に接続したことを特徴とする薄膜光電変換モジュール。
  2. 前記複数の薄膜光電変換セルの隣り合った各2つの間で、前記第2の分離溝と前記接続溝とは隣接していることを特徴とする請求項1に記載の薄膜光電変換モジュール。
  3. 前記接続溝の底面の一部は前記透明基板の主面で構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2の記載の薄膜光電変換モジュール。
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