JP4577460B2 - 半導体素子およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒化物系III−V族化合物半導体によりチャネル層が構成されると共に、チャネル層と制御電極との間に絶縁膜が設けられた半導体素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化物系III−V族化合物半導体であるガリウムナイトライド(GaN)はその禁制帯幅が3.4eVと大きく、間接遷移伝導帯は更にその上2.0eV以上のところにあると考えられている。また、GaNの飽和速度は約2.5×107 cm/sであり、他の半導体であるシリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)や炭化ケイ素(SiC)に比べて大きい。更に、GaNの破壊電場は約5×106 V/cmと、SiやGaAsよりも一桁以上大きく、SiCよりも大きい。それゆえ、GaNは高周波、高温、大電力用半導体素子を構成する材料として大きな可能性を持つことが予想されてきた。
【0003】
近年では、このようなGaNを用いた半導体素子の試作例も見られるようになった。例えば、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor ;FET)に関しては、ショットキーゲート電界効果トランジスタ(Metal-Semiconductor Field Effect Transistor ;MESFET)あるいは高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor ;HEMT)などの例が報告されている(例えば、Appl. Phys. Lett., 62 (1993) p.1786 ; Appl. Phys. Lett., 65 (1994) p.1121 ; Appl. Phys. Lett., 69 (1996) p.794 ; Appl. Phys. Lett., 68 (1996) p.2849)。更に、最近に至っては、金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタ(Metal-Insulator-Semiconductor Field Effect Transistor ;MISFET)の例も報告されている(例えば、Electron Lett., 34 (1998) p.592 ; J.Appl. Phys., 82 (1997) p.5843 )。
【0004】
図8は、従来のGaNを用いたMISFETの一例を表すものである(Electron Lett., 34 (1998) p.592 参照)。このMISFETは、例えば、サファイアよりなる基板101の上にGaNよりなるバッファ層102,不純物を添加していないアルミニウムガリウムナイトライド(undope−AlGaN;undope−は不純物を添加していないことを表す)よりなる下地層103およびn型GaNよりなるチャネル層としての電子走行層104が順次積層され、電子走行層104の上にはアルミニウムナイトライド(AlN)よりなる絶縁膜105を介して制御電極としてのゲート電極106が形成された構造を有している。電子走行層104の上には、また、n型GaNよりそれぞれなるソース領域107およびドレイン領域108がゲート電極106を間に挟むように形成されており、それぞれに対応してソース電極109およびドレイン電極110がそれぞれ設けられている。これらソース電極109およびドレイン電極110はソース領域107およびドレイン領域108とそれぞれオーミック接触しており、ゲート電極106は絶縁膜105と非オーミック接触状態となっている。
【0005】
このような構成を有するMISFETは、化学的および熱的に安定でかつ高抵抗のAlNよりなる絶縁膜105をゲート電極106と電子走行層104との間に有しているので、Si系の金属−酸化膜−半導体電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor ;MOSFET)と同様に反転層をチャネルとして動作させることが可能であり、入力振幅を大きくとることができるものと期待されていた(J.Appl.Phys.; 82 (1997) p.5843参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、AlNよりなる絶縁膜105を用いた従来のMISFETでは、ゲート電極106に電圧を印加すると電荷が絶縁膜105を通過してしまい、ゲート電極106と電子走行層104との間のリーク電流を少なく押さえることが難しいという問題があった。そのため、MISFETが有する本来の性能を十分に得ることができなかった。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、絶縁膜を通過するリーク電流を少なくすることができる半導体素子およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による半導体素子は、チャネル層に対応して制御電極が設けられると共に、チャネル層はIII族元素であるガリウム,アルミニウム,ホウ素およびインジウムからなる群のうちの少なくとも1種と、V族元素である窒素,リンおよびヒ素からなる群のうちの少なくとも窒素とを含む窒化物系III−V族化合物半導体よりなるものであって、チャネル層と制御電極との間に設けられ、III族元素として少なくともアルミニウムを含む窒化物系III−V族化合物半導体よりなる1または2以上の絶縁膜を有すると共に、絶縁膜のうちの少なくとも1つは、チャネル層の側から制御電極の側に向かって成長された複数の柱状結晶よりなり、その表面において柱状結晶塊の間に存在する間隙の最大深さがその膜厚の65%以下であり、かつ、その表面において柱状結晶塊の間に存在する間隙の平均深さがその膜厚の30%以下であり、かつ、その表面における柱状結晶塊の平均直径が28nm以下のものである。
【0011】
本発明による他の半導体素子は、チャネル層に対応して制御電極が設けられると共に、チャネル層はIII族元素であるガリウム,アルミニウム,ホウ素およびインジウムからなる群のうちの少なくとも1種と、V族元素である窒素,リンおよびヒ素からなる群のうちの少なくとも窒素とを含む窒化物系III−V族化合物半導体よりなるものであって、チャネル層と制御電極との間に設けられ、III族元素として少なくともアルミニウムを含む窒化物系III−V族化合物半導体よりなる1または2以上の絶縁膜を有すると共に、絶縁膜のうちの少なくとも1つは非晶質よりなるものである。
【0012】
本発明による半導体素子の製造方法は、チャネル層に対応して制御電極を設けると共に、チャネル層をIII族元素であるガリウム,アルミニウム,ホウ素およびインジウムからなる群のうちの少なくとも1種と、V族元素である窒素,リンおよびヒ素からなる群のうちの少なくとも窒素とを含む窒化物系III−V族化合物半導体により形成するものであって、サファイア基板のc面上において、チャネル層と制御電極との間に、AlNよりなる1または2以上の絶縁膜をMOCVD法により形成すると共に、絶縁膜のうちの少なくとも1つを750℃以下の温度で形成するものである。
【0013】
本発明による半導体素子では、絶縁膜のうちの少なくとも1つが、チャネル層の側から制御電極の側に向かって成長された複数の柱状結晶よりなり、その表面において柱状結晶塊の間に存在する間隙の最大深さがその膜厚の65%以下とされ、かつ、その表面において柱状結晶塊の間に存在する間隙の平均深さがその膜厚の30%以下とされ、かつ、その表面における柱状結晶塊の平均直径が28nm以下とされているので、制御電極に電圧が印加されても、絶縁膜を通過するリーク電流が抑制される。
【0016】
本発明による他の半導体素子では、絶縁膜のうちの少なくとも1つが非晶質により構成されているので、制御電極に電圧が印加されても、絶縁膜を通過するリーク電流が抑制される。
【0017】
本発明による半導体素子の製造方法では、サファイア基板のc面上においてチャネル層と制御電極との間に、AlNよりなる1または2以上の絶縁膜がMOCVD法により形成される。その際、絶縁膜のうちの少なくとも1つは750℃以下の温度で形成される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体素子であるFETの断面構成を表すものである。このFETは、例えば、基板11の一面に、バッファ層12を介して下地層13,電子供給層14およびチャネル層としての電子走行層15が順次積層された構成を有している。
【0020】
基板11は例えばサファイアにより構成されており、バッファ層12などは基板11のc面すなわち劈開(0001)面に形成されている。バッファ層12は、例えば、厚さが50nmであり、不純物を添加しないundope−Al0.15Ga0.85Nにより構成されている。このバッファ層12は非晶質に近い結晶よりなり、下地層13を成長させる際の核となる核形成層(nucleation layer)ともいわれるものである。
【0021】
下地層13は、例えば、厚さが2μmであり、不純物を添加しないundope−Al0.15Ga0.85Nの結晶により構成されている。電子供給層14は、例えば、厚さが5nmであり、Siなどのn型不純物が添加されたn型Al0.15Ga0.85Nの結晶により構成されている。この電子供給層14の不純物濃度は、例えば、2×1019/cm3 程度となっている。電子走行層15は、例えば、厚さが15nmであり、Siなどのn型不純物が添加されたn型GaNの結晶により構成されている。この電子走行層15の不純物濃度は、例えば、2×1019/cm3 程度となっている。
【0023】
電子走行層15の基板11と反対側には、例えば、絶縁膜16を介して制御電極としてのゲート電極17が形成されている。この絶縁膜16は、例えば、厚さが6nmであり、III族元素としてアルミニウム(Al)を少なくとも含む窒化物系III−V族化合物半導体により構成されている。具体的には、例えば、不純物を添加しないundope−AlNまたはundope−AlGaNなどにより構成されている。なお、絶縁膜16を構成する窒化物系III−V族化合物半導体におけるアルミニウムの組成比は高い方が好ましい。アルミニウムの組成比が高いほど絶縁障壁が大きくなると共に、格子不整合が緩和していない場合にはピエゾ効果による界面の二次元電子生成量が多くなるからである。従って、絶縁膜16はAlNにより構成される方がより好ましい。
【0024】
絶縁膜16は、また、電子走行層15の側からゲート電極17の側に向かって成長された複数の柱状結晶により構成されている。これら各柱状結晶は、電子走行層15の側において全体または一部が一体となり単結晶となっている場合もある。一方、ゲート電極17の側においては、各柱状結晶塊の間に間隙が存在している。ゲート電極17の側の表面において各柱状結晶塊の間に存在する間隙の最大深さは絶縁膜16の膜厚の80%以下であり、その平均深さは膜厚の35%以下となっている。また、ゲート絶縁膜17の側の表面における各柱状結晶塊の平均直径は40nm以下となっている。この絶縁膜16は、このような各柱状結晶塊の間に存在する間隙の深さおよび各柱状結晶塊の平均直径を有することにより、通過するリーク電流を抑制することができるようになっている。
【0025】
なお、より効果的にリーク電流を抑制するには、各柱状結晶塊の間に存在する間隙の最大深さは膜厚の65%以下であることが好ましく、平均深さは30%以下であることが好ましい。また、各柱状結晶塊の平均直径は28nm以下であることが好ましい。ちなみに、ここにおいて、各柱状結晶塊の間に存在する間隙の深さというのは、ゲート電極17側の表面の平均位置からの深さのことである。
また、各柱状結晶塊の直径というのは、ゲート電極17側の表面の平均位置における各柱状結晶塊の直径のことであり、例えば、走査型プローブ顕微鏡をタッピングモードで用い、表面の凹凸形状を測定し、その測定画像の結晶塊の大きさを統計的に処理することにより求められる。更に、絶縁膜16の膜厚は、電子走行層15側の表面の平均位置からゲート電極17側の表面の平均位置までの厚さのことである。
【0026】
ゲート電極17は、例えば、絶縁膜16の側からニッケル(Ni)層および金(Au)層を順次積層した構成を有しており、絶縁膜16とは非オーミック接触状態となっている。
【0027】
電子走行層15の基板11と反対側には、また、例えば、ゲート電極17を間に挟むように絶縁膜16を介してソース電極18とドレイン電極19とが離間してそれぞれ設けられている。但し、これらソース電極18およびドレイン電極19は電子走行層15に直接設けられていてもよい。ソース電極18およびドレイン電極19は、例えば、絶縁膜16の側からチタン(Ti)層,アルミニウム層,白金(Pt)層および金層を順次積層して加熱処理により合金化した構造をそれぞれ有している。これらソース電極18およびドレイン電極19は、電子走行層15とそれぞれオーミック接触している。
【0028】
このような構成を有するFETは、次のようにして製造することができる。
【0029】
まず、例えば、サファイアよりなるc面の基板11を用意し、水素(H2 )ガス雰囲気中において1050℃でクリーニングする。次いで、基板11の一面に、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition )法により温度を550℃に下げて原料ガスを供給しつつ、undope−Al0.15Ga0.85Nよりなるバッファ層12を成長させる。続いて、このバッファ層12の上に、例えば、同じくMOCVD法により温度を990℃に上げて原料ガスを供給しつつ、undope−Al0.15Ga0.85Nよりなる下地層13,n型Al0.15Ga0.85Nよりなる電子供給層14,n型GaNよりなる電子走行層15を順次成長させる。
【0030】
そののち、電子走行層15の上に、例えば、同じくMOCVD法により温度を550℃以上900℃以下の範囲内に下げて原料ガスを供給しつつ、undope−AlNあるいはundope−AlGaNよりなる絶縁膜16を成長させる。その際、成膜温度は絶縁膜16の結晶状態に大きな影響を与える。例えば、成膜温度を低くするほど絶縁膜16の各柱状結晶塊の平均直径は小さくなり、各柱状結晶塊の間に存在する間隙の深さは浅くなる。ここでは、550℃以上900℃以下の範囲内の温度で絶縁膜16を成長させることにより、上述した構造を有する絶縁膜16が形成される。
【0031】
すなわち、ゲート電極17側の表面において各柱状結晶塊の間に存在する間隙の最大深さが膜厚の80%以下であり、平均深さが膜厚の35%以下であり、表面における各柱状結晶塊の平均直径が40nm以下の絶縁膜16が形成される。
また、絶縁膜の成膜温度をより低くすれば、各柱状結晶塊の間に存在する間隙の深さがより浅くなり、各柱状結晶塊の平均粒径がより小さくなるので好ましい。
例えば、絶縁膜16の成膜温度を750℃以下とすれば、各柱状結晶塊の間に存在する間隙の最大深さが膜厚の65%以下であり、平均深さが膜厚の30%以下であり、各柱状結晶塊の平均直径が28nm以下の絶縁膜16が形成される。
【0032】
なお、MOCVDにおける原料ガスには、例えば、ガリウムの原料としてトリメチルガリウム(Ga(CH3 )3 ;TMG),アルミニウムの原料としてトリメチルアルミニウム(Al(CH3 )3 ;TMA),窒素の原料としてアンモニア(NH3 )およびn型不純物の原料としてシラン(SiH4 )をそれぞれ用いる。各ガスの流量は、例えば、TMGが40μmol/min,TMAが10μmol/min,アンモニアが0.4mol/minおよびシランが約0.01〜0.1μmol/minである。また、原料ガスと共に、キャリアガスとして例えば8リットル/minの水素ガスと8リットル/minの窒素(N2 )ガスを流す。成長圧力は例えば250Torrである。
【0033】
このようにして絶縁膜16を成長させたのち、この絶縁膜16の上に、ソース電極18およびドレイン電極19の各形成領域にそれぞれ対応してチタン層,アルミニウム層,白金層および金層を順次蒸着し、熱処理により合金化を行ってソース電極18およびドレイン電極19をそれぞれ形成する。そののち、ソース電極18とドレイン電極19との間の絶縁膜16の上に、例えば、ニッケル層および金層を順次蒸着してゲート電極17を形成する。これにより、図1に示したFETが形成される。
【0034】
このFETは、次のように動作する。
【0035】
このFETでは、デプレッションモードなので、ゲート電極17に負の電圧を印加すると電子走行層15内に空乏層が形成され、ソース電極18とドレイン電極19との間に流れるドレイン電流が減る。ここでは、絶縁膜16のゲート電極17側の表面において各柱状結晶塊の間に存在する間隙の最大深さが膜厚の80%以下とされ、平均深さが膜厚の35%以下とされ、表面における各柱状結晶塊の平均直径が40nm以下とされているので、絶縁膜16を通過するリーク電流が抑制される。
【0036】
なお、ここで具体的な実験結果を示し、このFETの作用について更に説明する。
【0037】
まず、実施例1として、厚さ6nmのundope−AlNよりなる絶縁膜16を成膜温度800℃で成長させ、上述のFETを作成した。なお、絶縁膜16を成膜したのち、ゲート電極17の側の表面状態を走査型プローブ顕微鏡により測定した。その測定結果の一部を図2に示す。図2において曲線Aは絶縁膜16のゲート電極17側の表面における一方向の高低変化すなわち表面状態を表しており、直線Bはその表面の平均位置を表している。ちなみに、図2において横軸は絶縁膜16のゲート電極17側の表面に対して平行な方向の距離であり、縦軸は絶縁膜16のゲート電極17側の表面に対して垂直な方向の高さである。図2から、この絶縁膜16はゲート電極17側の表面において各柱状結晶塊の間に間隙を有していることが分かる。この測定結果に基づき、各柱状結晶塊の間に存在する間隙の最大深さ,平均深さおよび各柱状結晶塊の平均直径をそれぞれ求めた。それらの結果を表1にそれぞれ示す。表1に示したように、間隙の最大深さは膜厚の72%、間隙の平均深さは膜厚の33%、平均直径は30nmであった。
【0038】
【表1】
【0039】
次いで、作成したFETについて、ソース電極18およびドレイン電極19を共に0Vにした状態で、ゲート電極17の電圧を−1V〜1Vまで変化させ、ゲート電流を測定した。その結果を図3に示す。
【0040】
また、実施例2として、絶縁膜16の成膜温度を700℃としたことを除き、実施例1と同一の条件でFETを作成し、実施例1と同様にして絶縁膜16の特性およびゲート電流を調べた。絶縁膜16の表面状態の一部を図4に示すと共に、それに基づき求めた各柱状結晶塊の間に存在する間隙の最大深さ,平均深さおよび各柱状結晶塊の平均直径を実施例1と共に表1にそれぞれ示す。また、ゲート電流の測定結果を実施例1と共に図3に示す。表1に示したように、本実施例において間隙の最大深さは膜厚の58%、間隙の平均深さは膜厚の27%、平均直径は25nmであった。
【0041】
更に、実施例3として、絶縁膜16の成膜温度を650℃としたことを除き、実施例1と同一の条件でFETを作成し、実施例1と同様にして絶縁膜16の特性およびゲート電流を調べた。絶縁膜16の表面状態の一部を図5に示すと共に、それに基づき求めた各柱状結晶塊の間に存在する間隙の最大深さ,平均深さおよび各柱状結晶塊の平均直径を実施例1と共に表1にそれぞれ示す。また、ゲート電流の測定結果を実施例1と共に図3に示す。表1に示したように、本実施例において間隙の最大深さは膜厚の50%、間隙の平均深さは膜厚の23%、平均直径は15nmであった。
【0042】
加えて、比較例として、絶縁膜の成膜温度を990℃としたことを除き、実施例1と同一の条件でFETを作成し、実施例1と同様にして絶縁膜の特性およびゲート電流を調べた。絶縁膜の表面状態の一部を図6に示すと共に、それに基づき求めた各柱状結晶塊の間に存在する間隙の最大深さ,平均深さおよび各柱状結晶塊の平均直径を実施例1と共に表1にそれぞれ示す。また、ゲート電流の測定結果を実施例1と共に図3に示す。表1に示したように、本実施例において間隙の最大深さは膜厚の83%、間隙の平均深さは膜厚の37%、平均直径は50nmであった。
【0043】
ここで、図3において各実施例および比較例を比較してみると、実施例3よりも実施例2、実施例2よりも実施例1、実施例1よりも比較例の方がそれぞれゲート電流の絶対値が大きく、絶縁膜16を通過するリーク電流が多いことが分かる。また、ゲート電流の絶対値は比較例において特に大きくなっていることも分かる。
【0044】
すなわち、絶縁膜16の各柱状結晶塊の間に存在する間隙の最大深さを膜厚の80%以下とすることによりリーク電流を抑制できることが分かり、より効果的には65%以下が好ましいことが分かる。また、絶縁膜16の各柱状結晶塊の間に存在する間隙の平均深さを膜厚の35%以下とすることによりリーク電流を抑制できることが分かり、より効果的には30%以下が好ましいことが分かる。更に、絶縁膜16の各柱状結晶塊の平均直径を40nm以下とすることによりリーク電流を抑制できることが分かり、より効果的には28nm以下が好ましいことが分かる。
【0045】
このように本実施の形態に係る半導体素子によれば、絶縁膜16のゲート電極17側の表面において各柱状結晶塊の間に存在する間隙の最大深さを膜厚の80%以下とするようにし、または平均深さを膜厚の35%以下とするようにし、またはゲート電極17側の表面における各柱状結晶塊の平均直径を40nm以下とするようにしたので、絶縁膜16の信頼性を高めることができ、絶縁膜16を通過するリーク電流の発生を抑制することができる。よって、ゲート電極17に大きなゲート電圧を印加することができ、反転層の形成などの本来MISFETが有する性能(J.Appl.Phys.; 82 (1997) p.5843参照)を十分に得ることができる。
【0046】
また、各柱状結晶塊の間に存在する間隙の最大深さを膜厚の65%以下とするようにし、または平均深さを膜厚の30%以下とするようにし、または各柱状結晶塊の平均直径を28nm以下とするようにすれば、より効果的にリーク電流の発生を抑制することができる。
【0047】
更に、本実施の形態に係る半導体素子の製造方法によれば、絶縁膜16を550℃以上900℃以下の範囲内の温度で成長させるようにしたので、本実施の形態に係る半導体素子を容易に製造することができ、本実施の形態に係る半導体素子を容易に実現することができる。なお、絶縁膜16を750℃以下の温度で成長させるようにすれば、よりリーク電流の発生を抑制できる半導体素子を得ることができる。
【0048】
(第2の実施の形態)
図7は本発明の第2の実施の形態に係るFETの断面構成を表すものである。
このFETは、電子走行層15と絶縁層16との間に他の絶縁層26を更に備えたことを除き、第1の実施の形態に係るFETと同一の構成を有している。よって、ここでは、同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0049】
絶縁層26は、絶縁膜16と同様に、例えば、厚さが6nmであり、III族元素としてアルミニウムを少なくとも含む窒化物系III−V族化合物半導体により構成されている。具体的には、例えば、不純物を添加しないundope−AlNまたはundope−AlGaNなどにより構成されている。絶縁膜26についても、絶縁膜16と同様に、窒化物系III−V族化合物半導体におけるアルミニウムの組成比は高い方が好ましく、AlNにより構成される方がより好ましい。
【0050】
この絶縁膜26は、また、絶縁膜16と同様に、電子走行層15の側から絶縁膜16の側に向かって成長された複数の柱状結晶により構成されている。各柱状結晶は、絶縁膜16と同様に、電子走行層15の側において全部または一部が一体となっている場合があり、絶縁層16の側において各柱状結晶塊の間に間隙を有している。但し、絶縁層16に比べて、絶縁層16の側の表面において各柱状結晶塊の間に存在する間隙の最大深さおよび平均深さは共に深く、各柱状結晶塊の平均直径は大きくなっている。なお、各柱状結晶塊の間に存在する間隙の最大深さは絶縁膜26の膜厚の80%以下でもそれよりも大きくてもよく、平均深さは膜厚の35%以下でもそれよりも大きくてもよく、各柱状結晶塊の平均直径は40nm以下でもそれよりも大きくてもよい。
【0051】
すなわち、このFETは、電子走行層15とゲート電極17との間に、III族元素としてアルミニウムを少なくとも含む窒化物系III−V族化合物半導体よりなる2つの絶縁膜16,26を有しており、絶縁膜16,26のうちの少なくとも一方は、表面において各柱状結晶塊の間に存在する間隙の最大深さが膜厚の80%以下であり、平均深さが膜厚の35%以下であり、表面における各柱状結晶塊の平均直径が40nm以下のものである。
【0052】
このような構成を有するFETは、絶縁膜26を絶縁膜16の成膜温度よりも高い温度で成長させることを除き、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。また、このFETは、第1の実施の形態と同様に作用する。
【0053】
このように本実施の形態に係る半導体素子によれば、III族元素として少なくともアルミニウムを含む窒化物系III−V族化合物半導体よりなる複数の絶縁膜16,26を有すると共に、絶縁膜16,26のうちの少なくとも一方については表面において各柱状結晶塊の間に存在する間隙の最大深さを膜厚の80%以下とするようにし、または平均深さを膜厚の35%以下とするようにし、または表面における各柱状結晶塊の平均直径を40nm以下とするようにしたので、第1の実施の形態と同様に、絶縁膜16,26を通過するリーク電流の発生を抑制することができる。
【0054】
また、本実施の形態に係る半導体に係る半導体素子の製造方法によれば、絶縁膜16,26のうちの少なくとも一方を550℃以上900℃以下の範囲内の温度で成長させるようにしたので、第1の実施の形態と同様に、容易に本実施の形態に係る半導体素子を製造することができ、本実施の形態に係る半導体素子を実現することができる。
【0055】
なお、ここでは、電子走行層15とゲート電極17との間に、III族元素として少なくともアルミニウムを含む窒化物系III−V族化合物半導体よりなる2つの絶縁膜16,26を設ける場合について説明したが、III族元素として少なくともアルミニウムを含む窒化物系III−V族化合物半導体よりなる3以上の絶縁膜を設けるようにしてもよい。その場合も、3以上の絶縁膜のうちの少なくとも1つについては表面において各柱状結晶塊の間に存在する間隙の最大深さを膜厚の80%以下とするようにし、または平均深さを膜厚の35%以下とするようにし、または表面における各柱状結晶塊の平均直径を40nm以下とすれば、同様の効果を得ることができる。
【0056】
(第3の実施の形態)
本実施の形態に係るFETは、絶縁膜16が非晶質(アモルファス)よりなることを除き、第1の実施の形態に係るFETと同一の構成を有している。よって、ここでは、対応する構成要素には同一の符号を付し、図1を参照して、同一部分についての詳細な説明を省略する。
【0057】
すなわち、このFETでは、絶縁膜16が非晶質により構成されているので、第1の実施の形態において説明したような各柱状結晶塊の間の隙間が存在せず、絶縁膜16を通過するリーク電流を抑制することができるようになっている。このような構成を有するFETは、絶縁膜16を例えば550℃以下の範囲内の温度で成膜させることを除き、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。また、第1の実施の形態と同様に作用する。
【0058】
このように本実施の形態に係る半導体素子によれば、絶縁膜16を非晶質により構成するようにしたので、第1の実施の形態と同様に、絶縁膜16の信頼性を高くすることができ、絶縁膜16を通過するリーク電流の発生を抑制することができる。
【0059】
また、本実施の形態に係る半導体素子の製造方法によれば、絶縁膜16を550℃以下の範囲内の温度で成膜させるようにしたので、本実施の形態に係る半導体素子を容易に製造することができ、本実施の形態に係る半導体素子を容易に実現することができる。
【0060】
なお、ここでは詳細に説明しないが、第2の実施の形態と同様に、電子走行層15と絶縁膜16との間に、III族元素として少なくともアルミニウムを含む窒化物系III−V族化合物半導体よりなる1以上の他の絶縁膜を設けるようにしてもよい。他の絶縁膜は、非晶質でも結晶でもよい。
【0061】
以上、各実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記第1および第2の実施の形態では、絶縁膜16の表面において各柱状結晶塊の間に存在する間隙の最大深さが膜厚の80%以下であり、かつ平均深さが膜厚の35%以下であり、かつ表面における各柱状結晶塊の平均直径が40nm以下である場合について説明したが、本発明はこれらのうちの少なくとも1つを充足していればよい。
【0062】
また、上記各実施の形態では、基板11に積層したバッファ層12,下地層13,電子供給層14および電子走行層15をそれぞれ構成する窒化物系III−V族化合物半導体について具体的に例を挙げて説明したが、他の窒化物系III−V族化合物半導体によりそれぞれ構成するようにしてもよい。すなわち、III族元素であるガリウム,アルミニウム,ホウ素(B)およびインジウム(In)からなる群のうちの少なくとも1種と、窒素(N),リン(P)およびヒ素(As)からなる群のうちの少なくとも窒素とを含む他の窒化物系III−V族化合物半導体によりそれぞれ構成するようにしてもよい。
【0063】
更に、上記各実施の形態では、絶縁膜16,26を構成する窒化物系III−V族化合物半導体について具体的に例を挙げて説明したが、III族元素として少なくともアルミニウムを含む他の窒化物系III−V族化合物半導体により構成するようにしてもよい。すなわち、III族元素であるガリウム,アルミニウム,ホウ素およびインジウムからなる群のうちの少なくともアルミニウムと、窒素,リンおよびヒ素からなる群のうちの少なくとも窒素とを含む他の窒化物系III−V族化合物半導体によりそれぞれ構成するようにしてもよい。
【0064】
加えて、上記各実施の形態では、電子走行層15とゲート電極17との間に、III族元素として少なくともアルミニウムを含む窒化物系III−V族化合物半導体よりなる1以上の絶縁膜16,26を有する場合について説明したが、二酸化ケイ素(SiO2 ),窒化ケイ素(Si3 N4 )または酸化アルミニウム(Al2 O3 )などの他の絶縁材料よりなる絶縁膜を更に有していてもよい。
【0065】
更にまた、上記各実施の形態では、FETの構成について具体的に例を挙げて説明したが、本発明は、他の構成を有するFETについても同様に適用される。
例えば、上記各実施の形態では、デプレッションモードの場合について具体的に説明したが、本発明は、エンハンスメントモードの場合についても同様に適用される。その場合、ゲート電極17に正の電圧を加えると電子走行層15内に電荷が誘起されてドレイン電流が流れることを除き、または電子走行層15と絶縁膜16,26との界面の電子走行層15側内に電荷が誘起され反転層が形成されてドレイン電流が流れることを除き、デプレッションモードと同様である。
【0066】
また、上記各実施の形態では、チャネル層を電子の通路である電子走行層15とする場合について説明したが、チャネル層が正孔の通路となるように構成してもよい。この場合も、デプレッションモードおよびエンハンスメントモードのいずれでもよい。
【0067】
加えてまた、上記各実施の形態では、半導体素子としてFETを具体的に説明したが、本発明は、チャネル層が窒化物系III−V族化合物半導体よりなり、チャネル層と制御電極との間に絶縁膜を有する半導体素子について広く適用される。
【0068】
更にまた、上記各実施の形態では、バッファ層12,下地層13,電子供給層14,電子走行層15および絶縁膜16,26をMOCVD法によりそれぞれエピタキシャル成長させるようにしたが、分子線エピタキシー(Molecular Beam Epitaxy;MBE)法,有機金属分子線エピタキシー(Metal Organic Molecular Beam Epitaxy;MOMBE)法あるいはMOCVD法以外のCVD法などの他の方法によりエピタキシャル成長させるようにしてもよい。
【0069】
加えてまた、上記第3の実施の形態では、非晶質よりなる絶縁膜16をMOCVD法によりエピタキシャル成長させるようにしたが、他の方法、例えばスパッタリングなどの物理的蒸着(Physical Vapor Deposition ;PVD)法により形成するようにしてもよい。なお、上記第3の実施の形態では、非晶質よりなる絶縁膜16を480℃以上の温度で成長させるようにしたが、例えばPVD法により形成する場合には特に限定はなく、480℃以下の温度でも形成することができる。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1または請求項2に記載の半導体素子によれば、III族元素として少なくともアルミニウムを含む窒化物系III−V族化合物半導体よりなる1または2以上の絶縁膜を有すると共に、絶縁膜のうちの少なくとも1つを、チャネル層の側から制御電極の側に向かって成長された複数の柱状結晶よりなるようにし、その表面において柱状結晶塊の間に存在する間隙の最大深さを膜厚の65%以下とし、かつ、その表面において柱状結晶塊の間に存在する間隙の平均深さを膜厚の30%以下とし、かつ、その表面における柱状結晶塊の平均直径を28nm以下とするようにしたので、絶縁膜の信頼性を高めることができ、絶縁膜を通過するリーク電流の発生を抑制することができる。よって、制御電極に大きな電圧を印加することができ、例えば、反転層の形成などの本来MISFETが有する性能を十分に得ることができるという効果を奏する。
【0071】
また、請求項3または請求項4に記載の半導体素子によれば、III族元素として少なくともアルミニウムを含む窒化物系III−V族化合物半導体よりなる1または2以上の絶縁膜を有すると共に、少なくとも1つの絶縁膜を非晶質により構成するようにしたので、請求項1または請求項2に記載の半導体素子と同様の効果を奏する。
【0072】
更に、請求項5に記載の半導体素子の製造方法によれば、少なくとも1つの絶縁膜を750℃以下の温度で形成するようにしたので、本発明の半導体素子を容易に製造することができ、本発明の半導体素子を容易に実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るFETの構成を表す断面図である。
【図2】実施例1における絶縁膜のゲート電極側の表面状態を表す特性図である。
【図3】各実施例および比較例におけるゲート電流とゲート電圧との関係を表す特性図である。
【図4】実施例2における絶縁膜のゲート電極側の表面状態を表す特性図である。
【図5】実施例3における絶縁膜のゲート電極側の表面状態を表す特性図である。
【図6】比較例における絶縁膜のゲート電極側の表面状態を表す特性図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るFETの構成を表す断面図である。
【図8】従来のFETの一構成例を表す断面図である。
【符号の説明】
11,101…基板、12,102…バッファ層、13,103…下地層、14…電子供給層、15,104…電子走行層(チャネル層)、16,26,105…絶縁膜、17,106…ゲート電極(制御電極)、18,109…ソース電極、19,110…ドレイン電極、107…ソース領域、108…ドレイン領域
Claims (5)
- チャネル層に対応して制御電極が設けられると共に、前記チャネル層はIII族元素であるガリウム(Ga),アルミニウム(Al),ホウ素(B)およびインジウム(In)からなる群のうちの少なくとも1種と、V族元素である窒素(N),リン(P)およびヒ素(As)からなる群のうちの少なくとも窒素とを含む窒化物系III−V族化合物半導体よりなる半導体素子であって、
前記チャネル層と前記制御電極との間に設けられ、III族元素として少なくともアルミニウムを含む窒化物系III−V族化合物半導体よりなる1または2以上の絶縁膜を有すると共に、
前記絶縁膜のうちの少なくとも1つは、前記チャネル層の側から前記制御電極の側に向かって成長された複数の柱状結晶よりなり、その表面において柱状結晶塊の間に存在する間隙の最大深さがその膜厚の65%以下であり、かつ、その表面において柱状結晶塊の間に存在する間隙の平均深さがその膜厚の30%以下であり、かつ、その表面における柱状結晶塊の平均直径が28nm以下である
半導体素子。 - 前記絶縁膜は、AlNおよびAlGaNのうちの少なくとも一方よりなる
請求項1記載の半導体素子。 - チャネル層に対応して制御電極が設けられると共に、前記チャネル層はIII族元素であるガリウム(Ga),アルミニウム(Al),ホウ素(B)およびインジウム(In)からなる群のうちの少なくとも1種と、V族元素である窒素(N),リン(P)およびヒ素(As)からなる群のうちの少なくとも窒素とを含む窒化物系III−V族化合物半導体よりなる半導体素子であって、
前記チャネル層と前記制御電極との間に設けられ、III族元素として少なくともアルミニウムを含む窒化物系III−V族化合物半導体よりなる1または2以上の絶縁膜を有すると共に、前記絶縁膜のうちの少なくとも1つは非晶質よりなる
半導体素子。 - 前記絶縁膜は、AlNおよびAlGaNのうちの少なくとも一方よりなる
請求項3記載の半導体素子。 - チャネル層に対応して制御電極を設けると共に、チャネル層をIII族元素であるガリウム(Ga),アルミニウム(Al),ホウ素(B)およびインジウム(In)からなる群のうちの少なくとも1種と、V族元素である窒素(N),リン(P)およびヒ素(As)からなる群のうちの少なくとも窒素とを含む窒化物系III−V族化合物半導体により形成する半導体素子の製造方法であって、
サファイア基板のc面上において、チャネル層と制御電極との間に、AlNよりなる1または2以上の絶縁膜をMOCVD法により形成すると共に、前記絶縁膜のうちの少なくとも1つを750℃以下の温度で形成する
半導体素子の製造方法。
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