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JP4562212B2 - 容器成形用二軸延伸ポリエステルフィルム - Google Patents

容器成形用二軸延伸ポリエステルフィルム Download PDF

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JP4562212B2
JP4562212B2 JP05281997A JP5281997A JP4562212B2 JP 4562212 B2 JP4562212 B2 JP 4562212B2 JP 05281997 A JP05281997 A JP 05281997A JP 5281997 A JP5281997 A JP 5281997A JP 4562212 B2 JP4562212 B2 JP 4562212B2
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film
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は容器成形用二軸延伸ポリエステルフィルムに関するものである。更に詳しくは味特性に優れ、さらに成形加工などにより製造される容器、特に金属缶に好適な容器成形用二軸延伸ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属缶の缶内面及び外面は腐食防止を目的として、エポキシ系、フェノ−ル系等の各種熱硬化性樹脂を溶剤に溶解または分散させたものを塗布し、金属表面を被覆することが広く行われてきた。しかしながら、このような熱硬化性樹脂の被覆方法は塗料の乾燥に長時間を要し、生産性が低下したり、多量の有機溶剤による環境汚染など好ましくない問題がある。
【0003】
これらの問題を解決する方法として、金属缶の材料である鋼板、アルミニウム板あるいは該金属板にめっき等各種の表面処理を施した金属板にフィルムをラミネ−トする方法がある。そして、フィルムのラミネ−ト金属板を絞り成形やしごき成形加工して金属缶を製造する場合、フィルムには次のような特性が要求される。
【0004】
(1)金属板へのラミネート性に優れていること。
【0005】
(2)金属板との密着性に優れていること。
【0006】
(3)成形性に優れ、成形後にピンホールなどの欠陥を生じないこと。
【0007】
(4)金属缶に対する衝撃によって、ポリエステルフィルムが剥離したり、クラック、ピンホールが発生したりしないこと。
【0008】
(5)缶の内容物の香り成分がフィルムに吸着したり、フィルムからの溶出物によって内容物の風味がそこなわれないこと(以下味特性と記載する)。
【0009】
これらの要求を解決するために多くの提案がなされており、例えば、特公平60−52179号公報にはポリエチレンテレフタレート系樹脂とポリブチレンテレフタレート系樹脂およびアイオノマーからなる樹脂組成物が開示され、また例えば特開平2−57339号公報には特定の結晶性を有する共重合ポリエステルフィルム等が開示されている。
【0010】
しかしながら、これらの提案は上述のような多岐にわたる要求特性を総合的に満足できるものではなく、特公平60−52179号公報では耐熱性が低く、内容物の香り成分の吸着性やフィルムからの溶出物が発生し、特に長期の保存性が劣る。また厳しい加工を経た後の耐衝撃性も不十分であった。一方特開平2−57339号に開示されているフィルムではではレトルト後の味特性が低下しそのため長期経時や高温での保存性も劣り、厳しい加工度が要求される用途での成形性を両立することは困難であった。
【0011】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記した従来技術の問題点を解消することにあり、味特性に優れ、厳しい成形加工に対応できる金属缶に好適な容器成形用二軸延伸ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記した本発明の目的は、金属板に接する側の、ラマン分光による内面配向パラメーターRinave が6以下、金属板に接しない側の、ラマン分光による外面配向パラメーターRoutaveが8以上である融点246〜280℃のポリエステルを主成分とする、金属容器上に成形された二軸延伸ポリエステルフィルムによって達成することができる。
【0013】
また本発明の目的は、構成単位の93モル%以上がエチレンテレフタレート単位および/またはエチレンナフタレート単位である、融点が246〜280℃のポリエステル組成物からなるポリエステル層(A)とアイオノマーを5〜30重量%含有するポリエステル層(B)とが積層されてなる二軸延伸ポリエステルフィルムであって、金属板に接するポリエステル層(B)の、ラマン分光による内面配向パラメーターRinaveが6以下であり、金属板に接しないポリエステル層(A)の、ラマン分光による外面配向パラメーターRoutaveが8以上であり、ポリエステル層(A)の面配向係数が0.10以上0.15以下であることを特徴とする、金属容器上に成形された二軸延伸ポリエステルフィルムによって達成することができ、さらに耐衝撃性にも優れたフィルムを提供できる。
【0014】
本発明は、鋭意検討の結果、融点246〜280℃のポリエステルフィルムを二軸延伸し、ラマン分光による内面配向パラメーターRinave が6以下、外面配向パラメーターRoutaveが8以上であるフィルムを検討したところ、厳しい成形加工にも対応でき、味特性特にレトルト後の味特性に優れたフィルムが得られることを見出したものである。また本発明の目的は構成単位の93モル%以上がエチレンテレフタレートおよび/またはエチレンナフタレート単位であるポリエステル組成物からなるポリエステル層(A)とアイオノマーを含有するポリエステル組成物からなるポリエステル層(B)とが積層されてなる二軸延伸ポリエステルフィルムであって、該フィルムの面配向係数が0.10以上0.15以下である容器成形用二軸延伸ポリエステルフィルムによって達成することができ、さらに耐衝撃性にも優れることを見出したものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステルにおいては、耐熱性や長期保存性味特性の点から融点が246〜280℃であることが好ましく、さらに好ましくは250℃〜270℃である。またレトルト処理などの熱処理の後で味特性を良好にする点から、エチレンテレフタレート単位および/またはエチレンナフタレート単位が93モル%以上であることが好ましく、さらに好ましくは95モル%以上であると金属缶に飲料を長期充填しても味特性が良好であるので望ましい。一方、味特性を損ねない範囲で他のジカルボン酸成分、グリコ−ル成分を共重合してもよく、ジカルボン酸成分としては、例えばイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマ−酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキシンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等を挙げることができる。一方、グリコ−ル成分としては例えば1、4−ブタンジオール、プロパンジオ−ル、ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の脂肪族グリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。なお、これらのジカルボン酸成分、グリコ−ル成分は2種以上を併用してもよい。
【0016】
本発明のポリエステルにおいて共重合ポリエステルを使用する場合、より好ましくエチレンテレフタレートに共重合される成分としては、特に成形性、味特性の点から2、6−ナフタレンジカルボン酸、耐衝撃性の点からダイマー酸、1、4−シクロヘキサンジメタノール、1、4−ブタンジオールが好ましく、フィルムの鋼板へのラミネート性やその後の製缶工程での密着性の点からイソフタル酸が好ましい。
【0017】
また本発明のポリエステルにおいては2種以上のブレンドとしてポリエスエルを使用しても良い。例えばポリエチレンテレフタレートとポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレートとダイマー酸共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートとシクロヘキサンジメタノールとテレフタル酸及びイソフタル酸を共重合したポリエステルなどである。ブレンドする場合ポリエステル同士であるために溶融押出しや再利用によりエステル交換が進行し共重合化が進むが、その進行度は特に限定されない。
【0018】
さらに本発明のポリエステルフィルムにおいては、ポリエステル層(C)を積層したフィルムを得ることもできる。本発明において、積層するポリエステル層(C)はエチレンテレフタレートおよび/またはエチレンナフタレートを主たる構成成分とするポリエステルからなることが好ましい。またラマン分光による配向パラメーターを制御する点、フィルムと鋼板との密着性を向上させる点などから金属板側層が非金属面層のポリエステルの融点よりも2〜30℃、好ましくは3〜10℃低いポリエスエル層(C)であることが好ましい。ポリエステル層(C)を積層することにより、より優れた成形性と味特性との両立を図ることができる。この際ポリエステル層(C)がより金属との密着性に優れるとともに優れた成形性を発現することができる点およびポリエステルが優れた味特性を発現する点から、ポリエステル層(C)面を金属とラミネートすることが好ましい。また、積層比(非金属板側のポリエスエル層:ポリエステル層(C))は1:20〜20:1が好ましく、より好ましくは1:10〜10:1であり、ポリエステル(C)の融点が246℃未満の場合は特に味特性の点から前記積層比は2:1〜20:1であることが好ましい。
【0019】
本発明では、構成単位の93モル%以上がエチレンテレフタレート単位及び/又はエチレンナフタレート単位であるポリエステル組成物からなるポリエステル層(A)とアイオノマーを含有するポリエステル組成物からなるポリエステル層(B)とが積層されてなる二軸延伸ポリエステルフィルムであって、該フィルムの面配向係数が0.10以上0.15以下であることにより優れた味特性と成形性のみならず優れた耐衝撃性を発現する。
【0020】
本発明のポリエステル層(A)を構成するポリエステルとしてはレトルト処理などの熱処理の後で味特性を良好にする点から、エチレンテレフタレート単位および/またはエチレンナフタレート単位が93モル%以上であることが好ましく、より好ましくは96モル%以上であると金属缶に飲料を長期充填しても味特性が良好であるので望ましい。一方、味特性を損ねない範囲で他のジカルボン酸成分、グリコ−ル成分を共重合してもよく、ジカルボン酸成分としては、例えばイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマ−酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキシンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等を挙げることができる。一方、グリコ−ル成分としては例えばプロパンジオ−ル、ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の脂肪族グリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。なお、これらのジカルボン酸成分、グリコ−ル成分は2種以上を併用してもよい。
【0021】
また、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、共重合ポリエステルにトリメリット酸、トリメシン酸、トリメチロ−ルプロパン等の多官能化合物を共重合してもよい。
【0022】
本発明では、上記ポリマ−を2種以上ブレンドして使用してもかまわない。
【0023】
本発明におけるポリエステル層(A)を構成するポリエステルの融点は、味特性、耐熱性向上の点から246℃以上、280℃以下であることが好ましく、より好ましくは250℃以上275℃以下である。280℃を越えると成形性が低下する場合がある。
【0024】
本発明のポリエステル層(B)を構成するポリエステルとしてはジカルボン酸成分とグリコ−ル成分からなるポリマ−であり、ジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等が挙げられるが特に限定するものではない。一方、グリコ−ル成分としてはエチレングリコ−ル、ブタンジオール、プロパンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の脂肪族グリコ−ル、ポリエチレングリコールなどのポリオール、シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール等が挙げられるが特に限定するものではない。なお、これらのジカルボン酸成分、グリコ−ル成分は2種以上を併用してもよい。
【0025】
本発明においてポリエステル層(B)を構成するポリエステルにアイオノマーを含有させることが優れた成形性や耐衝撃性を発現させる点から好ましい。
【0026】
本発明でポリエステル層(B)を構成するポリエステルにアイオノマーを含有させる方法は特に限定されないが、例えばポリエステルにアイオノマーを配合・添加する方法等により得られる。具体的にはポリエステルとアイオノマーとを直接、あるいは予めブレンダー、ミキサーなどで混合した後、通常あるいはベント式の一軸、二軸押出機を用いて溶融混練する方法、架橋剤とアイオノマーをポリエステルに溶融混練する方法あるいはポリエステルフィルムを製造する際に、ポリエステルとアイオノマーを配合し、溶融押出する方法、さらにはポリエステルの製造反応工程でアイオノマーを添加する方法等を挙げることができる。
【0027】
本発明におけるポリエステル層(B)中のアイオノマー含有量は特に限定されることはないが、耐衝撃性向上やさらに接着性、耐熱性の点から好ましくは0.1〜50重量%であり、より好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは5〜30重量%である。アイオノマーの含有量がかかる範囲、特に50重量%を越えると耐熱性等に劣る場合がある。
【0028】
本発明で云うアイオノマーとはα−オレフィンと1〜2価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸のイオン性塩との共重合体である。具体的な例を挙げればエチレンとアクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸との共重合体あるいはエチレンとマレイン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸との共重合体のカルボキシル基の一部または全部がナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウムなどの1〜2価の金属で中和された重合体である。
【0029】
本発明においては、公知の架橋剤をポリエステル層(A)、(B)を構成するポリエステルに添加しても良く、特に成形性向上の点からポリエステル層(B)に添加すると良い。添加方法は特に限定されないが、重合時にポリエステルに架橋剤を配合・添加する方法や架橋剤を含有したポリエステルをブレンドする方法等により得られる。
【0030】
本発明では、従来以上の優れた成形性と優れた味特性との両立を図り、さらに優れた耐衝撃性を発現するために、優れた金属密着性と成形性を有するアイオノマーを含有するポリエステル層(B)と優れた味特性を有するポリエステル層(A)を積層構成としても良い。この場合、ポリエステル層(B)面を金属とラミネートすることが好ましい。また、ポリエステル層(A)と(B)の積層比は1:20〜20:1が好ましく、より好ましくは1:10〜10:1である。
【0031】
本発明において、ポリエステル層(A)を構成するポリエステルとポリエステル層(B)を構成するポリエステルの融点差は30℃以下であることが好ましく、より好ましくは20℃以下である。融点差が30℃を越えると成形性が低下する。
【0032】
本発明のポリエステルを製造する際には、従来公知の反応触媒、着色防止剤を使用することができ、反応触媒としては例えばアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物等、着色防止剤としては例えばリン化合物等挙げることができるが特に限定されるものではない。好ましくは、通常ポリエステルの製造が完結する以前の任意の段階において、重合触媒としてアンチモン化合物またはゲルマニウム化合物、チタン化合物を添加することが好ましい。このような方法としては例えば、ゲルマニウム化合物を例にすると、ゲルマニウム化合物粉体をそのまま添加する方法や、あるいは特公昭54−22234号公報に記載されているように、ポリエステルの出発原料であるグリコ−ル成分中にゲルマニウム化合物を溶解させて添加する方法等を挙げることができる。ゲルマニウム化合物としては、例えば二酸化ゲルマニウム、結晶水含有水酸化ゲルマニウム、あるいはゲルマニウムテトラメトキシド、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラブトキシド、ゲルマニウムエチレングリコキシド等のゲルマニウムアルコキシド化合物、ゲルマニウムフェノレ−ト、ゲルマニウムβ−ナフトレ−ト等のゲルマニウムフェノキシド化合物、リン酸ゲルマニウム、亜リン酸ゲルマニウム等のリン含有ゲルマニウム化合物、酢酸ゲルマニウム等を挙げることができる。中でも二酸化ゲルマニウムが好ましい。アンチモン化合物としては、特に限定されないが例えば、三酸化アンチモンなどのアンチモン酸化物、酢酸アンチモンなどが挙げられる。チタン化合物としては、特に限定されないがテトラエチルチタネート、テトラブチルチタネートなどのアルキルチタネート化合物などが好ましく使用される。
【0033】
例えばポリエチレンテレフタレ−トを製造する際に、ゲルマニウム化合物として二酸化ゲルマニウムを添加する場合で説明する。テレフタル酸成分とエチレングリコ−ルをエステル交換またはエステル化反応せしめ、次いで二酸化ゲルマニウム、リン化合物を添加し、引き続き高温、減圧下で一定のジエチレングリコール含有量になるまで重縮合反応せしめ、ゲルマニウム元素含有重合体を得る。さらに、好ましくは得られた重合体をその融点以下の温度において減圧下または不活性ガス雰囲気下で固相重合反応せしめ、アセトアデルヒドの含有量を減少させ、所定の固有粘度、カルボキシル末端基を得る方法等を挙げることができる。
【0034】
本発明におけるポリエステルは、好ましくはジエチレングリコール成分量が0.01〜3.5重量%、特にポリエステル層(A)を構成するポリエステルはさらに好ましくは0.01〜2.5重量%、特に好ましくは0.01〜2.0重量%であることが製缶工程での熱処理、製缶後のレトルト処理などの多くの熱履歴を受けても優れた味特性を維持する上で望ましい。このことは、200℃以上での耐酸化分解性が向上するものと考えられ、さらに公知の酸化防止剤をポリエステル層(A)、(B)を構成するポリエステルに0.0001〜1重量%添加してもよい。また、特性を損ねない範囲でジエチレングリコールをポリマ製造時に添加しても良い。
【0035】
また、味特性を良好にする上で、フィルム中のアセトアルデヒドの含有量を好ましくは25ppm以下、さらに好ましくは20ppm以下が望ましい。アセトアルデヒドの含有量が25ppmを越えると味特性に劣る。フィルム中のアセトアルデヒドの含有量を25pm以下とする方法は特に限定されるものではないが、例えばポリエステルを重縮反応等で製造する際の熱分解によって生じるアセトアルデヒドを除去するため、ポリエステルを減圧下あるいは不活性ガス雰囲気下において、ポリエステルの融点以下の温度で熱処理する方法、好ましくはポリエステルを減圧下あるいは不活性ガス雰囲気下において155℃以上、融点以下の温度で固相重合する方法、ベント式押出機を使用して溶融押出する方法、ポリマを溶融押出する際に押出温度を高融点ポリマ側の融点+30℃以内、好ましくは融点+25℃以内で、短時間、好ましくは平均滞留時間1時間以内で押出す方法等を挙げることができる。
【0036】
本発明においては、耐熱性、味特性の点で、二軸延伸化することが必要である。
【0037】
本発明においてポリエステルフィルムはラマン分光による内面配向パラメーターRinave が6以下であることが必要であり、好ましくは4以下、更に好ましくは3以下である。また外面配向パラメーターRoutaveが8以上であることが必要であり、好ましくは10以上、更に好ましくは11以上である。Rinave が6を越えるとフィルムと金属板との接着性が低下し、ひび割れなどの問題が生じる。また経時とくにレトルト後の経時性が悪化する。一方Routaveが8を下回ると内容物の例えばフレーバー成分の吸着量が増加し味特性を損なうことになる。さらに吸着のみならず内容物成分が大量にフィルム内部に浸入し、この収着によるフィルムの劣化を引き起こすことにもなる。ここで内面配向パラメーターRinave とはラミネート缶のネック部において金属板に近い側の内部1〜3μmのラマン分光による平均配向強度比であり、金属板に遠い側の外部1〜3μmのラマン分光による平均配向強度比が外面配向パラメーターRoutaveである。上記の達成手段としては、例えば面配向係数を0.10〜0.15、さらに好ましくは0.10〜0.14としておいて、かつアイオノマーを含有するポリエステル層を含む積層フィルムとすることが好ましく、更にはX線回折測定により得られる(100)面の結晶サイズを6nm以下、好ましくは5.5nm以下とするとより好ましい。また、例えばフィルムにおいて金属板側面と非金属板側面の面配向係数差を好ましくは0.001〜0.05、より好ましくは0.005〜0.02とすること、融点の異なるポリエステルにより積層フィルムし面配向係数を0.10〜0.14、より好ましくは0.105〜0.13とすること等から選択される方法により達成される。融点の異なるポリエステルを積層する場合、好ましくは積層ポリエステルの融点差が2〜30℃であることが好ましい。以上の達成方法を例示したが、これらに限定されるものではない。
【0038】
本発明において、面配向係数が、0.10以上0.15以下であることが金属板へのラミネート性やその後の成形性、耐衝撃性を良好とする点で好ましいが、特により一層成形性を向上させる点で、0.10以上0.145以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.10以上0.14以下である。面配向係数が高すぎるとラミネート性のみならず成形性をも悪化させる。そのため缶成形後の味特性も低下する。一方、面配向係数が0.10未満であるとフィルムの製膜性が低下する。ここで面配向係数は非金属板側に接するフィルム面を測定したものである。また上記の面配向係数の制御はフィルムを構成するポリエステルの特性にあわせたフィルムの延伸条件により達成することができる。例えば延伸倍率(面倍率)はポリエステルの種類により異なるが6〜12倍(面倍率)が好ましく、延伸温度はガラス転移温度+10℃以上ガラス転移温度+60℃以下が好ましく、特に好ましくは25℃〜50℃である。また熱処理温度はポリエステルの融点−100℃以上、ポリエステルの融点−15℃以下が好ましく、熱処理時間も1〜15秒であるのが特に好ましい。熱処理時間が必要以上に長時間となると結晶化が進み面配向係数が高くなる。また熱処理時間が必要以下の短時間であると面配向係数は所望の範囲に制御できるが寸法安定性が不足するなどの弊害が発生する可能性が高い。この他キャストや延伸後の冷却も十分付与することが好ましい。以上列挙して挙げたがこれらに限定されるものではない。
【0039】
また本発明において積層フィルムとした場合、ラミネート性やその後の加工性の点から金属板側面と非金属板側面の面配向係数差が0.001〜0.05であることが好ましく、より好ましくは0.005〜0.02である。これらは例えばフィルム製造時にキャストや縦延伸、横延伸、熱処理で一方の面と他方の面で温度差をつけることにより達成される。
【0040】
本発明では、より味特性を向上させる点からポリエステルの固有粘度が0.5dl/g以上が好ましく、さらに好ましくは0.55dl/g以上、特に好ましくは0.6以上である。固有粘度が0.5dl/g未満ではオリゴマの溶出などにより味特性が悪化するため好ましくない。
【0041】
本発明のポリエステルフィルムにおいて、フィルム長手方向と横方向の破断伸度の平均が130%以上であることが好ましく、さらに好ましくは140%以上、より好ましくは150%以上であることが成形性を向上させる点から好ましい。これはフィルムを構成するポリエステルの種類と製膜条件により適切な条件で製造することにより達成され、特に延伸温度、倍率が重要となるがこれらに限定されるものではない。縦延伸温度はTg+25℃以上でフィルムのロールへの粘着など弊害が大きくならない範囲で実施することが好ましい。また延伸倍率は縦方向2.0〜3.5倍、横方向2.0〜3.5倍に設定することが好ましい。
【0042】
本発明のポリエステルフィルムの厚みムラは30%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下である。厚みムラが30%を越えると均一な成形が困難となり、成形後にピンホールや割れが生じる場合がある。
【0043】
本発明のポリエスエルフィルムの150℃でのフィルム長手方向と横方向の平均熱収縮率は、好ましくは0.5%以上10%以下、さらに好ましくは1%以上5%以下である。熱収縮率が10%を越えるとラミネート性が低下し、そのためその後の成形性が低下する場合がある。上記の平均熱収縮率を達成する方法としては延伸条件や熱処理条件を適切に設定するなどの方法が挙げられるがこれらに限定されるものではなく、例えば具体的には熱収縮率の低下には熱処理条件での温度の高温化、時間の長時間化、さらには弛緩処理の実施が有効であることが挙げられる。弛緩処理はフィルムの長さ方向、幅方向に任意の倍率で弛緩させることができるが好ましくは各方向3〜10%であり、その方法は1段階でも多段階でも良い。
【0044】
本発明において二軸延伸フィルムは、ラミネート性、成形性の点から、X線回折測定により得られる(100)面の結晶サイズχが6nm以下であることが好ましく、より好ましくは5.5nm以下、更に好ましくは、5nm以下、特に好ましくは4.5nm以下である。(100)面の結晶サイズχが6nmを超えるとラミネート性、成形性が不充分となることがある。ここで(100)面の結晶サイズχは、反射X線回折によりScherrerの式を用いて求められる。6nm以下の(100)面の結晶サイズは、フィルムを構成するポリマーや、添加物、さらに延伸条件、熱処理条件により決定され、これらを任意に設定することにより達成できる。例えば、熱処理温度を低くしたり、熱処理時間10秒以下にすると良いが、フィルムに要求される特性を満たす範囲でなければならない。
【0045】
本発明の二軸延伸フィルムの厚さは、金属にラミネートした後の成形性、金属に対する被覆性、耐衝撃性、味特性の点で、3〜50μmであることが好ましく、さらに好ましくは5〜35μmであり、特に好ましくは8〜30μmである。
【0046】
本発明における二軸延伸フィルムの製造方法としては、特に限定されないが例えば各ポリエステルを必要に応じて乾燥した後、公知の溶融押出機に別々に供給、溶融し、固化前に積層させた後、スリット状のダイからシート状に押出し、静電印加などの方式によりキャスティングドラムに密着させ冷却固化し未延伸シートを得る。延伸方式としては、同時二軸、逐次二軸延伸いずれでもよいが、該未延伸シートをフィルムの長手方向及び幅方向に延伸、熱処理し、目的とする面配向度のフィルムを得る。好ましくはフィルムの品質の点でテンター方式によるものが好ましく、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する逐次二軸延伸方式、長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方式が望ましい。延伸倍率としてはそれぞれの方向に1.6〜4.2倍、好ましくは1.7〜4.0倍である。長手方向、幅方向の延伸倍率はどちらを大きくしてもよく、同一としてもよい。また、延伸速度は1000%/分〜200000%/分であることが望ましく、延伸温度はポリエステルのガラス転移温度以上ガラス転移温度+100℃以下であれば任意の温度とすることができるが、通常は80〜170℃が好ましい。更に二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行うが、この熱処理はオ−ブン中、加熱されたロ−ル上等、従来公知の任意の方法で行なうことができる。熱処理温度は120℃以上250℃以下の任意の温度とすることができるが、好ましくは120〜245℃である。また熱処理時間は任意とすることができるが、通常1〜60秒間行うのが好ましい。熱処理はフィルムをその長手方向および/または幅方向に弛緩させつつおこなってもよい。さらに、再延伸を各方向に対して1回以上行ってもよく、その後熱処理を行っても良い。
【0047】
また、本発明のフィルムの取扱い性、加工性を向上させるために、平均粒子径0.01〜10μmの公知の内部粒子、無機粒子および/または有機粒子などの外部粒子の中から任意に選定される粒子が0.01〜50重量%含有されていることが好ましい。特に平均粒子径0.1〜5μmの内部粒子、無機粒子および/または有機粒子が0.01〜3重量%含有されていることが缶内面に使用されるフィルムとして好ましい。内部粒子の析出方法としては公知の技術を採用できるが、例えば特開昭48−61556号公報、特開昭51−12860号公報、特開昭53−41355号公報、特開昭54−90397号公報などに記載の技術が挙げられる。さらに特開昭55−20496号公報、特開昭59−204617号公報などの他の粒子との併用も行うことができる。10μmを越える平均粒子径を有する粒子を使用するとフィルムの欠陥が生じ易くなるので好ましくない。無機粒子および/または有機粒子としては、例えば湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、珪酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、マイカ、カオリン、クレ−等の無機粒子およびスチレン、シリコ−ン、アクリル酸類等を構成成分とする有機粒子等を挙げることができる。なかでも湿式および乾式コロイド状シリカ、アルミナ等の無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼン等を構成成分とする有機粒子等を挙げることができる。これらの内部粒子、無機粒子および/または有機粒子は二種以上を併用してもよい。
【0048】
さらに、缶内面に使用される場合、中心線平均粗さRaは好ましくは0.005〜0.10μm、さらに好ましくは0.01〜0.05μmである。さらに、最大粗さRtとの比Rt/Raが4〜50、好ましくは6〜40であると高速製缶性が向上する。また、(A)層の中心線平均粗さRaは好ましくは0.002〜0.04μm、さらに好ましくは0.003〜0.03μmであると味特性が向上するので好ましい。
【0049】
また、フィルムにコロナ放電処理などの表面処理を施すことにより接着性を向上させることはさらに特性を向上させる上で好ましい。その際、E値としては5〜50、好ましくは10〜45である。
【0050】
また本発明のフィルム上には各種コーティングを施しても良く、その塗布化合物、方法、厚みは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、特に限定されない。
【0051】
本発明の金属板とは特に限定されないが、成形性の点で鉄やアルミニウムなどを素材とする金属板が好ましい。さらに、鉄を素材とする金属板の場合、その表面に接着性や耐腐食性を改良する無機酸化物被膜層、例えばクロム酸処理、リン酸処理、クロム酸/リン酸処理、電解クロム酸処理、クロメート処理、クロムクロメート処理などで代表される化成処理被覆層を設けてもよい。特に金属クロム換算値でクロムとして6.5〜150mg/m2 のクロム水和酸化物が好ましく、さらに、展延性金属メッキ層、例えばニッケル、スズ、亜鉛、アルミニウム、砲金、真ちゅうなどを設けてもよい。スズメッキの場合0.5〜15mg/m2 、ニッケルまたはアルミニウムの場合1.8〜20g/m2 のメッキ量を有するものが好ましい。
【0052】
本発明の容器成形用二軸延伸ポリエステルフィルムは、金属板等にラミネートした後、絞り成形やしごき成形によって製造されるツーピース金属缶の内面被覆用に好適に使用することができる。また、ツーピース缶の蓋部分、あるいはスリーピース缶の胴、蓋、底の被覆用としても良好な金属接着性、成形性を有するため好ましく使用することができる。
【0053】
【実施例】
以下実施例によって本発明を詳細に説明する。なお特性は以下の方法により測定、評価した。
【0054】
(1)面配向係数
ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッベ屈折計を用いてポリエステル(A)層面を測定した。長手方向、幅方向、厚み方向の屈折率(Nx,Ny,Nz)から得られる面配向係数fn=(Nx+Ny)/2−Nzを計算して求めた。測定は非金属板側に接する面(内容物側面)を測定した。
【0055】
(2)融点
ポリエステルを乾燥、溶融後急冷し、示差走査熱量計(パ−キン・エルマ−社製DSC−2型)により、10℃/minの昇温速度で測定した。
【0056】
(3)フィルムの破断伸度(%)
テンシロン(引っ張り試験機)を用いて、引っ張り速度300mm/min、幅10mm、試料長100mmとして破断伸度(%)を測定した。
【0057】
(4)熱収縮率
フィルムサンプル標線間を200mmにとり、フィルムを10mmに切断し、フィルムサンプルを長さ方向に吊るし、1gの荷重を長さ方向に加えて、190℃の熱風を用い20分間加熱した後、標線間の長さを測定し、フィルムの収縮量を原寸法に対する割合として百分率で表した。
【0058】
(5)結晶サイズχ
(100)面の結晶サイズχを反射X線回折によりScherrerの式を用いて求めた。ここで、測定X線波長は0.15418nmであり、(100)面の回折はブラッグ角度約12.7゜に観測された。
【0059】
(6)厚みムラ
フィルムサンプルの長手方向2mに渡り、100mm毎に厚みを測定し、平均値X0 を求め、厚みから平均値X0 を引いた値の最大値をXm とする。Xm /X0 を百分率で表した値を厚みムラとし、該測定を10回繰り返した平均をここでの厚みムラとする。
【0060】
(7)ポリエステルの固有粘度
ポリエステルをオルソクロロフェノ−ルに溶解し、25℃において測定した。
【0061】
(8)ラマン分光測定(内面、外面配向パラメーター)
Ramaonor T−64000(Jobin Yvon)装置により、光源Ar+ レーザー、検出器CCD(Jobin Yvon 1024×256)を用いて、測定した。サンプルは50m/分でフィルムと170〜280℃に加熱されたTFS鋼板(厚さ0.24mm)を複合フィルムの場合ポリエステル層(B)、あるいはポリエステル層(C)が接着面となるようにラミネート、急冷した後(単膜の場合はフィルム製膜時のキャスト面を接着面とする)、絞り成形機で成形(成形比(最大厚み/最小厚み)=1.3、成形可能温度領域で成形)し、熱処理後にネック加工を施した部分を切り出してエボキシ樹脂に包埋後、長手方向にミクロトームで断面を切り取って使用した。断面はフィルム長手方向/厚さ方向となる。
【0062】
測定後ラミネート缶のネック部において金属板に近い側の内部1〜3μmのラマン分光による平均配向強度比をRinave 、金属板に遠い側の外部1〜3μmのラマン分光による平均配向強度比をRoutaveとして表した。ここでネック加工は常法に従い、ネックイン前の缶口径/ネックイン後の缶口径:1/0.85となるように成形した。
【0063】
(9)成形性
a.熱処理前
50m/分でフィルムと170〜280℃に加熱されたTFS鋼板(厚さ0.24mm)を複合フィルムの場合ポリエステル層(B)、あるいはポリエステル層(C)が接着面となるようにラミネート、急冷した後(単膜の場合はフィルム製膜時のキャスト面を接着面とする)、絞り成形機で成形(成形比(最大厚み/最小厚み)=1.3、成形可能温度領域で成形)した缶を得た。得られた缶内に1%の食塩水を入れて、1日放置後食塩水中の電極と金属缶に6vの電圧をかけて10秒後の電流値を読み取り、10缶測定後の平均値を求めた。
【0064】
A級:0.001mA未満
B級:0.001mA以上0.01mA未満
C級:0.01mA以上0.05mA未満
D級:0.05mA以上
【0065】
b.熱処理後
上記缶を230℃、10秒熱処理し、ネックイン前の缶口径/ネックイン後の缶口径:1/0.85となるようにネック加工した。この缶を120℃で30分レトルト処理後、37℃の水中で1日放置後、成形缶内に1%の食塩水を入れて、1日放置後食塩水中の電極と金属缶に6vの電圧をかけて10秒後の電流値を読み取り、10缶測定後の平均値を求めた。
【0066】
A級:0.1mA未満
B級:0.1mA以上0.2mA未満
C級:0.2mA以上0.4mA以下
D級:0.4mA以上
【0067】
(10)味特性
上記と同様に成形した缶(直径6cm、高さ12cm)に130℃×60分の加圧蒸気処理を行った後、水を充填し、40℃密封後1ヶ月放置し、その後開封して官能検査によって、臭気の変化を以下の基準で評価した。
【0068】
A級 臭気に全く変化が見られない。
B級 臭気にほとんど変化が見られない。
C級 臭気にやや変化が見られる。
D級 臭気に変化が大きく見られる。
【0069】
(11)耐衝撃性
成形した缶に水を350g充填し蓋をした。その後30℃、72時間放置し、缶を底面が落下した際にコンクリートの地面に対して45゜となるようにして50cmの高さから落下させて衝撃を与えた後、内容物を除き缶側内面をろうでマスキングしてカップ内に1%食塩水を入れて、1日放置後食塩水中の電極と金属缶に6Vの電圧をかけて5秒後の電流値を読み取り、10缶測定後の平均値を求めた。
【0070】
A級:0.3mA未満
B級:0.3mA以上0.5mA未満
C級:0.5mA以上1.0mA以下
D級:1.0mA以上
【0071】
ポリエステルとして下記のポリエステルを使用した。
【0072】
ポリエステルA:ポリエチレンテレフタレート(PET)、固有粘度0.64dl/g、融点256℃
ポリエステルB:PET、固有粘度0.70dl/g、融点254℃
ポリエステルC:PET、固有粘度0.82dl/g、融点251℃
ポリエステルD:イソフタル共重合ポリエチレンテレフタレート(PET/I:イソフタル酸3モル)、固有粘度0.68dl/g、融点248℃
ポリエステルE:PET/I(イソフタル酸6モル)、固有粘度0.67dl/g、融点240℃
ポリエステルF:PET/I(イソフタル酸13モル)、固有粘度0.67dl/g、融点225℃
ポリエステルG:ポリエステルA95重量部とエチレン−メタクリル酸共重合体のZnアイオノマー(メタクリル酸含有量18重量%、Zn中和度65%)5重量部をベント二軸混練機で溶融混練して、エチレン共重合体アイオノマー含有ポリエステルGを得た。
【0073】
ポリエステルH:ポリエステルB80重量部とエチレン−メタクリル酸共重合体のZnアイオノマー(メタクリル酸含有量20重量%、Zn中和度70%)20重量部をベント二軸混練機で溶融混練して、エチレン共重合体アイオノマー含有ポリエステルHを得た。
【0074】
ポリエステルI:トリメリット酸共重合ポリエチレンテレフタレート(トリメリット酸0.7モル%)
ポリエステルJ:ポリエチレンナレフタレート(PEN、固有粘度0.73dl/g、融点266℃)+ポリエチレンテレフタレート(PET、固有粘度0.68、融点254℃)を90:10(重量比)でブレンドしたもの。
【0075】
ポリエステルK:2、6−ナフタレンジカルボン酸共重合ポリエチレンテレフタレート(2、6−ナフタレンジカルボン酸5モル%)、固有粘度0.68、融点246.4℃
ポリエステルL:PET/I(イソフタル酸4.5モル)、固有粘度0.69dl/g、融点247℃
ポリエステルM:PET/DA(ダイマー酸3モル)、固有粘度0.71dl/g、融点249℃
ポリエステルN:PE/CT(1、4−シクロヘキサンジメタノール6モル)、固有粘度0.78dl/g、融点246℃
ポリエステル0:PE/CT(1、4−シクロヘキサンジメタノール33モル)、固有粘度0.76dl/g、融点194℃
ポリエステルP:PET/I(イソフタル酸25モル)、固有粘度0.679dl/g、融点197℃
ポリエステルQ:2、6−ナフタレンジカルボン酸共重合ポリエチレンテレフタレート(2、6−ナフタレンジカルボン酸7.5モル%)、固有粘度0.66、融点233.9℃
【0076】
実施例1
ポリエステル層(A)としてポリエステルB、ポリエステル層(B)としてポリエステルGをそれぞれ充分に乾燥し、別々に常法により溶融した後、お互いに隣接したダイから共押出して、積層させ急冷固化し、未延伸積層フィルムを得た。この未延伸フィルムを温度112℃にて長手方向に3.1倍延伸し、温度115℃で幅方向に3.0倍延伸した後、200℃にてリラックス5%、5秒間熱処理した。得られたフィルム特性、缶特性は表3、表6に示した通りであり、極めて優れた成形性、味特性を得ることができた。
【0077】
実施例2〜6、参考例1、2
ポリエステルの種類、製膜方法などを変更し実施例1と同様にして製膜し、表1〜2に示すフィルムを得た。表3に示す通り、優れたフィルム、缶特性が確認できた。なお参考例2のポリエステル(C)の溶融押出後の融点は247℃であった。
【0078】
実施例9〜14
ポリエステルの種類、製膜方法などを変更し実施例1と同様にして製膜し、表4〜5に示すフィルムを得た。表6に示す通り、優れたフィルム、缶特性が確認できた。
【0079】
比較例1〜3
ポリエステルの種類、製膜方法などを変更し実施例1と同様にして製膜し、表1〜2に示すフィルムを得た。得られたフィルムの特性は表3に示す通り、劣るものであった。
【0080】
比較例4〜6
ポリエステルの種類、製膜方法などを変更し実施例1と同様にして製膜し、表4〜5に示すフィルムを得た。表6に示す通り、劣るものであった。
【0081】
【表1】
Figure 0004562212
【0082】
【表2】
Figure 0004562212
【0083】
【表3】
Figure 0004562212
【0084】
【表4】
Figure 0004562212
【0085】
【表5】
Figure 0004562212
【0086】
【表6】
Figure 0004562212
【0087】
【発明の効果】
本発明の容器成形用二軸延伸ポリエステルフィルムは味特性に優れ、厳しい成形加工に対応でき、成形加工によって製造される金属缶に好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. 金属板に接する側の、ラマン分光による内面配向パラメーターRinave が6以下、金属板に接しない側の、ラマン分光による外面配向パラメーターRoutaveが8以上である融点246〜280℃のポリエステルを主成分とする、金属容器上に成形された二軸延伸ポリエステルフィルム。
  2. 構成単位の93モル%以上がエチレンテレフタレート単位および/またはエチレンナフタレート単位である、融点が246〜280℃のポリエステル組成物からなるポリエステル層(A)とアイオノマーを5〜30重量%含有するポリエステル層(B)とが積層されてなる二軸延伸ポリエステルフィルムであって、金属板に接するポリエステル層(B)の、ラマン分光による内面配向パラメーターRinaveが6以下であり、金属板に接しないポリエステル層(A)の、ラマン分光による外面配向パラメーターRoutaveが8以上であり、ポリエステル層(A)の面配向係数が0.10以上0.15以下であることを特徴とする、金属容器上に成形された二軸延伸ポリエステルフィルム。
  3. フィルム長手方向と横方向の破断伸度の平均が130%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の、金属容器上に成形された二軸延伸ポリエステルフィルム。
  4. 150℃でのフィルム長手方向と横方向の平均熱収縮率が0.5%以上10%以下あることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の、金属容器上に成形された二軸延伸ポリエステルフィルム。
  5. 前記ポリエステル層(B)が架橋剤を含有することを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の、金属容器上に成形された二軸延伸ポリエステルフィルム。
  6. ポリエステルが、エチレンテレフタレートに2、6−ナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸、1、4−シクロヘキサンジメタノール、1、4−ブタンジオール、イソフタル酸の何れかの成分を共重合したポリエスエルであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の、金属容器上に成形された二軸延伸ポリエステルフィルム。
  7. 少なくとも2層以上から構成され金属板に積層された二軸延伸ポリエステルフィルムであって、金属板側層が非金属面側層のポリエステルの融点よりも2〜30℃低いポリエステル層(C)であることを特徴とする請求項乃至6のいずれかに記載の、金属容器上に成形された二軸延伸ポリエステルフィルム。
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