JP4560261B2 - ポリアセタールブロックコポリマー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、早い結晶化時間を実現でき、成形体とした際に、高い真円度、長期にわたる優れた寸法特性及び耐久性を有し、更に、他の高分子化合物との相溶性及び無機フィラーとの密着性に優れるポリアセタールABA型ブロックコポリマーに関する。また、本発明は、かかるポリアセタールABA型ブロックコポリマーを含む組成物、及びポリアセタールABA型ブロックコポリマー又はその組成物から得られる成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアセタール樹脂は、摺動性に優れた材料であり、ギア材として好ましく使用されている。しかしながら、ホルムアルデヒドの単独重合、又はホルムアルデヒド、トリオキサン及び環状エーテルの共重合によって得られる従来のポリアセタール樹脂を用いて、ピッチ円直径60mm以上といった大口径ギアを射出成形した際、性能的に十分といえる大口径ギアが必ずしも得られていないのが実状である。すなわち、(1)まず、大口径ギアになると、ギア自体が肉厚になるため、射出成形工程における冷却時間が長くなる。したがって、従来の樹脂より早い結晶化速度を有する樹脂材料でないと、射出成形サイクルが伸びてしまい生産性が低下するという問題があった。(2)また、従来のポリアセタール樹脂では、ギアが大口径になるとギア射出成形後の真円度が不足するため、このようなギアを使用した複写機やプリンターでは、動力伝達精度が落ちドット間隔にずれを生じ、印字/描画が鮮明に行われないという問題もあった。(3)更に、従来のポリアセタール樹脂を用いて大口径ギアを射出成形した場合、射出成形した大口径ギアの長期放置後の寸法が安定しないため、複写機やプリンターにおいてこのようなギアを使用すると、長期使用時にギア同士がピッチ点で噛みあわなくなり(ひどい場合は、ギア同士の噛みあわせ自体ができなくなる)、回転伝達時に振動ムラを発生させ印字/描画にずれを発生させる原因となっていた。(4)更にまた、ギアが大口径になる程、樹脂材料の性能であるギア耐久性が不足するため、複写機やプリンターにこのようなギアを用いると、長期使用時にギアの摩滅、破壊又は疲労で歯折れが生じてしまい、複写機やプリンターの機能を長期に渡り保証することができなかった。
【0003】
そこで、従来のポリアセタール樹脂の問題点を改善する試みが、ポリアセタールブロックポリマーを用いて行われてきており、例えば、JP−A−3−21657、JP−A−5−9363において提案されている。これらの公報には、ポリアセタール重合体の片末端がアルコール又はカルボン酸へのアルキレンオキシド付加物で封鎖されたポリアセタール重合体、すなわちAB型のブロックコポリマーが記載されている。
また、JP−A−4−306215には、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、エステル基、アルコキシ基の何れかの官能基を含有する化合物の存在下で、ホルムアルデヒド又はトリオキサン等を、ポリメチレンセグメントの片末端又は両末端に重合させることによって得られる、ポリオキシメチレンセグメント(A)とポリメチレンセグメント(B)とから構成されるAB型及びABA型のポリアセタールブロックコポリマーが開示されている。また、ポリメチレンセグメントとして水素添加ポリブタジエンを使用できることも記載されている。
【0004】
さらに、JP−A−11−51154には、特定のモノマー組成からなるポリアセタールコポリマー、又はそれにα−オレフィンオリゴマーや無機フィラー等を添加した樹脂材料からなる樹脂製歯車が記載されている。
しかしながら、上記公報に記載されるポリアセタールコポリマーでは、大口径ギアとして必要な上記特性を得ることはできない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決しようとするものであって、早い結晶化速度を有し、且つ、高い真円度、優れた寸法安定性及び耐久性を有する大口径ギアを成形することができるポリアセタールABA型ブロックコポリマー及びそのブロックコポリマーを含む樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するために種々検討を行った結果、ポリアセタールコポリマーと特定のポリマーとから構成されるポリアセタールABA型ブロックコポリマー、あるいはそのABA型ブロックコポリマーと特定の高分子化合物とを含むポリアセタール樹脂組成物が、大口径ギアとして必要となる特性、すなわち、結晶化速度、真円度、寸法安定性及び耐久性の全てにおいて優れているということを見出し、本発明を完成するに到った。
【0007】
即ち、本発明は、
[1] ポリアセタールセグメント(A)と、両末端がヒドロキシアルキル化された水素添加ポリブタジエンセグメント(B)とから構成される、下記の式(1)で表されるABA型ブロックコポリマーであって
[式中、Aは、95〜99.9モル%のオキシメチレン単位及び0.1〜5モル%の式(2)で表されるオキシアルキレン単位からなり
(式中、R2は、水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基から独立に選択され、jは2〜6から選ばれる整数である。)、
且つ末端が式(3)で表される構造であるポリアセタールコポリマー残基であり、
(式中、R2及びjは、式(2)において定義した通りである)
B’は、1,2結合含有量が70〜98モル%であり、1,4結合含有量が2〜30モル%であるポリブタジエンの水素添加物であって、ヨウ素価が20g−I2/100g以下の水素添加ポリブタジエンであり、
R1は、水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基からなる群から独立に選択され、
kは2〜6から選ばれる整数であり、2つのkは各々同一であっても異なっていてもよい。]、
両末端がヒドロキシアルキル化された水素添加ポリブタジエンセグメント(B)の数平均分子量が、500〜10,000であり、ABA型ブロックコポリマーの数平均分子量が、10,000〜500,000である、上記ABA型ブロックコポリマー。
【0008】
[2] B’が、1,2結合含有量が80〜95モル%であり、1,4結合含有量が5〜20モル%であるポリブタジエンの水素添加物である、前記[1]記載のABA型ブロックコポリマー。
[3] 前記[1]又は[2]記載のABA型ブロックコポリマー20〜100重量%と、式(4)で表される数平均分子量10,000〜500,000のポリアセタールコポリマー0〜80重量%とを含む高分子化合物(I)100重量部、
(式中、R3及びR4は、水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基からなる群から独立に選択され、p=95〜99.9モル%、q=0.1〜5モル%、p+q=100モル%であり、zは2〜6から選ばれる整数である)
及び
数平均分子量が500以上の、ポリオレフィン系高分子化合物、ポリウレタン系高分子化合物、ポリエステル系高分子化合物、ポリスチレン系高分子化合物、ポリアクリル系高分子化合物及びポリアミド系高分子化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の高分子化合物(II)0.1〜200重量部
を含む、ポリアセタール樹脂組成物。
【0009】
[4] 高分子化合物(II)が、α−オレフィン系高分子化合物からなるポリオレフィン系高分子化合物である、前記[3]記載のポリアセタール樹脂組成物。
[5] α−オレフィン系高分子化合物が、エチレン単位10〜70モル%及びα−オレフィン単位30〜90モル%から構成され、且つ数平均分子量500〜10,000のエチレン−α−オレフィンランダムコポリマーであり、該コポリマーを0.1〜6重量部含む、前記[4]記載のポリアセタール樹脂組成物。
[6] α−オレフィン系高分子化合物が、不飽和カルボン酸又はその酸無水物で変成されたα−オレフィン系コポリマーである、前記[4]記載のポリアセタール樹脂組成物。
[7] 高分子化合物(II)が、芳香族ビニルモノマー及びそれと共重合しうる共重合性不飽和モノマーとのコポリマーからなるポリスチレン系高分子化合物である、前記[3]記載のポリアセタール樹脂組成物。
【0010】
[8] 高分子化合物(II)が、スチレンモノマーからなるブロック(a)と、イソプレンもしくはイソプレン−ブタジエンからなりビニル結合含有量が20モル%以上であるブロック(b)とから構成されるポリスチレン系高分子化合物である、前記[3]記載のポリアセタール樹脂組成物。
[9] 前記[3]に記載の高分子化合物(I)100重量部、及び無機フィラー0.1〜100重量部を含むポリアセタール樹脂組成物。
[10] 前記[3]に記載の高分子化合物(I)100重量部、前記[3]に記載の高分子化合物(II)1〜20重量部、及び無機フィラー0.1〜100重量部を含むポリアセタール樹脂組成物。
[11] 前記[3]〜[10]のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物と、2種以上の、炭素数12〜22のジ脂肪酸カルシウム0.01〜0.2重量部、及び/又は2種以上の、炭素数12〜22の脂肪酸とエチレングリコールとのエステル0.01〜0.9重量部とを含むポリアセタール樹脂組成物。
【0011】
[12] 前記[1]若しくは[2]記載のABA型ブロックコポリマー、又は請求項3〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる成形体。
[13] 成形体がピッチ円径60mm以上の大口径ギアである、前記[12]記載の成形体。
[14] 成形体がピッチ円径100mm以上の大口径ギアである、前記[12]記載の成形体。
【0012】
【発明の実施の形態】
<ABA型ブロックコポリマー>
まず、本発明の、ポリアセタールセグメント(A)(以下、「Aセグメント」と略記する場合がある)と、両末端がヒドロキシアルキル化された水素添加ポリブタジエンセグメント(B)(以下、「Bセグメント」と略記する場合がある)とから構成される新規なABA型ブロックコポリマーについて説明する。
(Bセグメント)
本発明のABA型ブロックコポリマーにおけるBセグメントは、以下の式(5)で表される(ここで、R1及びkは、上で定義した通りである)、
両末端ヒドロキシアルキル化水素添加ポリブタジエンである。
【0013】
このBセグメントは、ブタジエン(生産性等の為に、必要に応じ5%以下程度の他のビニルモノマー或いは共役ジエンを併用することもできる)を、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属、又はアルカリ金属と芳香族化合物との錯体を触媒としてアニオン重合させポリブタジエンとし、次いで得られたポリブタジエンの両末端にアルキレンオキシドを付加させ、塩酸、硫酸、酢酸等のプロトン酸で処理しプレポリマーとした後に、このプレポリマーを水素添加する方法により得ることができる。
なお、ブタジエンの重合方法に関しては、特に制限はないが、Bセグメントの両末端に存在するヒドロキシアルキル基は、本発明のABA型ブロックコポリマーにおいて重要な役割を果たすため、ポリブタジエンの両末端にヒドロキシアルキル基を導入できる重合方法を採用する必要がある。
【0014】
好ましいプレポリマーの製造方法としては、ルイス塩基型化合物とアルカリ金属とを予めブタジエンと反応させ二量体ジアニオンを合成させ(JP−B−40−7051参照)、次いで、アルキレンオキシド或いは置換アルキレンオキシドを二量体ジアニオンの両末端に存在するリビングアニオンと反応させ、塩酸等のプロトン酸で処理する方法等が挙げられる。
なお、このプレポリマーの両末端に存在するヒドロキシアルキル残基(基)としては、具体的には、ヒドロキシエチル残基、ヒドロキシプロピル残基、ヒドロキシブチル残基、ヒドロキシペンチル残基、ヒドロキシヘキシル残基及びそれらのアルキル或いはアリール基置換体残基等が挙げられ、その中でもヒドロキシエチル残基が好ましい。
【0015】
次に、このプレポリマーを水素添加する方法について述べる。水素添加の方法は、従来公知の方法に従えば良く、また、水素添加触媒としては、ニッケル、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金などを用いることができる。好ましい水素添加方法としては、反応溶媒として、アルコールと脂肪族炭化水素を用いて水素添加する方法(JP−A−7−247302)等が挙げられる。
本発明の水素添加ポリブタジエンは、水素添加率が100%(不飽和結合をもたない構造)であることが好ましいが、ヨウ素価が20g−I2/100g以下(JIS K0070に準ずる)の範囲であれば、ポリマー内に不飽和結合を含んでいたとしても問題はない。
【0016】
本発明においては、上記式(1)において規定されるように、1,2結合含有量が70〜98モル%であり、1,4結合含有量が2〜30モル%であるポリブタジエンを水素添加する必要がある。なお、ポリブタジエンにおける1,2結合含有量及び1,4結合含有量は、1H−NMRによって同定することができる。1,2結合含有量が98モル%を越えても70モル%未満でも、本発明における大口径ギア材としての要求特性を満足することはできない。大口径ギア材としてより優れた要求特性を達成できるという点から、1,2結合含有量が80〜95モル%であり、1,4結合含有量が5〜20モル%であるポリブタジエンを用いることが好ましい。また、本発明においては、1,2結合と1,4結合とがランダムで存在するポリブタジエンを用いることが好ましい。
【0017】
また、Bセグメントは、大口径ギア材としての要求特性を満足するという点から、500〜10,000(ポリスチレン換算)の数平均分子量とすることが望ましい。Bセグメントにおけるより好ましい数平均分子量は、大口径ギア材として更に優れた要求特性を達成できるという点から、2,000〜5,000(ポリスチレン換算)である。また、Bセグメントの分子量分布(Mw/Mn)としては、大口径ギア材に対する要求特性との関係から、2未満であることが好ましい。
Bセグメントの数平均分子量の測定方法は、浸透圧法や末端定量法により、又はGPCを用いて測定することができる。例えば、GPC装置としてウオーターズ社製の150Cを用い、また、1,2,4−トリクロロベンゼンをキャリアとして用い、140℃の温度で、標準試料としてポリスチレンを用い、数平均分子量を測定することができる。
【0018】
(ABA型ブロックコポリマーの製法)
次に、このBセグメントを用いて、本発明のABA型ブロックコポリマーを重合する方法について述べる。
本発明のABA型ブロックコポリマーは、Bセグメントを連鎖移動剤として存在させた条件下で、トリオキサンと環状ホルマール(及び/又は環状エーテル)とを共重合させ、更に、得られたブロックコポリマーを末端安定化処理することにより得られる。なお、ブロックコポリマーの重合時には、必要に応じ、上記モノマー成分以外に、水、メタノール、メチラール等の分子量調節剤を存在させてもよい。
具体的重合条件としては、本発明のBセグメントを連鎖移動剤として存在させること以外は、JP−A−9−221579及びUS−A−5,837,781に記載される製造条件で製造することができる。
【0019】
トリオキサンと環状ホルマール(及び/又は環状エーテル)とを共重合させる重合触媒としては、ルイス酸、プロトン酸及びそのエステル又は無水物等のカチオン活性触媒が好ましい。ルイス酸としては、例えば、ホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモンのハロゲン化物が挙げられ、具体的には三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五フッ化リン、五塩化リン、五フッ化アンチモン及びその錯化合物又は塩が挙げられる。また、プロトン酸、そのエステル又は無水物の具体例としては、パークロル酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パークロル酸−3級ブチルエステル、アセチルパークロラート、トリメチルオキソニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。中でも、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素水和物、酸素原子又は硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物が好ましく、具体的には、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテルが好適例として挙げられる。これらの重合触媒の使用量は、トリオキサン1モルに対し1×10−6モル〜1×10−3モルが好ましく、1×10−5モル〜1×10−4モルが更に好ましい。
【0020】
重合方法としては、特に制約はないが、好ましくは、塊状重合法を挙げることができる。この塊状重合は、バッチ式、連続式のいずれであってもよい。この塊状重合は、溶融状態にあるモノマー成分を用い、重合の進行とともに固体塊状ポリマーを得る方法である。
重合後、アンモニア、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等のアミン類、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、有機酸塩等の触媒中和失活剤の少なくとも一種を含む水溶液又は有機溶剤溶液中に、得られたブロックコポリマーを投入し、スラリー状態で一般的には数分〜数時間攪拌することにより、ブロックコポリマー中に残存する触媒を失活させる。
なお、アンモニア、トリエチルアミン等の蒸気とブロックコポリマーとを接触させて重合触媒を失活させる方法や、ヒンダードアミン類、トリフェニルホスフィン及び水酸化カルシウム等の少なくとも一種の化合物とブロックコポリマーとを混合機で接触させて触媒を失活させる方法を用いることもできる。
【0021】
次いで、触媒を失活させた後のスラリーを、濾過及び洗浄し、未反応モノマーや触媒中和失活剤、触媒中和失活塩を除去した後、乾燥し、ブロックコポリマーを得る。
次に、重合触媒失活後のブロックコポリマーの末端安定化処理方法について述べる。重合されたブロックコポリマーは、以下のモデル構造で表されるように、ポリマーの両末端に熱的に不安定なヒドロキシポリオキシメチレン鎖をもつ。本発明においては、この熱的に不安定なヒドロキシポリオキシメチレン鎖(不安定末端鎖)を、以下に示すように、ブロックコポリマーの融点以上に加熱する方法や更に塩基性物質と接触させる方法により取り除く必要がある。
(式中、下線部はヒドロキシポリオキシメチレン鎖、Mはオキシメチレン単位、Eはオキシアルキレン単位、BはBセグメントを意味する。なお、この式は、あくまで、ヒドロキシポリオキシメチレン鎖の除去前後におけるポリマー構造を説明するために示されたものであり、式中のMとEの配列状態は、本発明のABA型ブロックコポリマーの構造を必ずしも示すものでない。)
具体的な末端安定化処理方法としては、2軸押出機等で溶融させたブロックコポリマーにアンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の塩基物質(必要に応じ水を共存させる)を接触させ、次いで混練し、接触させた塩基物質の蒸気及びホルムアルデヒドを除去させる方法が好ましい。
【0022】
(Aセグメント)
このように、本発明のABA型ブロックコポリマーは、触媒失活及び不安定末端鎖の除去を経ることにより得ることができる。そして、このABA型ブロックコポリマーの両末端に存在するAセグメントは、開環重合したトリオキサンに起因するオキシメチレン単位(すなわち、(CH2O)単位)、及び開環重合した環状ホルマール(又は環状エーテル)に起因する上記式(2)で表されるオキシアルキレン単位からなるポリアセタールコポリマー残基から構成されている。また、Aセグメント、すなわちポリアセタールコポリマー残基において、オキシメチレン単位とオキシアルキレン単位とはランダムに存在することが好ましい。
但し、本発明のABA型ブロックコポリマーは、熱的に不安定な末端ヒドロキシポリオキシメチレン鎖を除去する処理が行われているため、ポリアセタールコポリマー残基の末端、すなわちBセグメントの末端に存在するヒドロキシアルキル残基(基)と結合していない末端には、上記式(2)で表されるオキシアルキレン単位が存在し、具体的に、末端は以下の式(3)で表される構造である。
(ここで、R2及びjは、式(2)において定義した通りである)
【0023】
更に、Aセグメントであるポリアセタールコポリマー残基は、95〜99.9モル%のオキシメチレン単位及び0.1〜5モル%のオキシアルキレン単位、好ましくは、98〜99.7モル%のオキシメチレン単位及び0.3〜2モル%のオキシアルキレン単位からなる。
環状ホルマール(又は環状エーテル)に起因する、上記式(2)で表されるオキシアルキレン単位の具体例としては、エチレンオキシド残基、プロピレンオキシド残基、1,3−ジオキソラン残基、1,3,5−トリオキセパン残基、ジエチレングリコールホルマール残基、1,4−ブタンジオールホルマール残基、1,3−ジオキサン残基などが挙げられる。中でもブロックコポリマーの生成率の点から、オキシアルキレン単位は、1,3−ジオキソラン残基、1,3,5−トリオキセパン残基、1,4−ブタンジオールホルマール残基であることが好ましく、更に好ましくは1,3−ジオキソラン残基である。
【0024】
特に、2−メチル−1,3−ジオキソランが500ppm以下であり、且つパーオキサイドが過酸化水素換算で15ppm以下である1,3−ジオキソランを重合させた1,3−ジオキソラン残基を、オキシアルキレン単位とすることが好ましく、更に10〜500ppmの1種又は複数種のヒンダードフェノールを重合中に添加することが好ましい。なお、2−メチル−1,3ジオキソランの含有量は、ジーエルサイエンス(株)製ガスクロパック55を装着したガスクロマトグラフィーで水素炎イオン検出器により測定することができる。具体的には、1,3−ジオキソラン中のパーオキサイドの含有量は、フラスコ内にイソプロピルアルコール40ml、ヨウ化ナトリウム飽和溶液(NaIをイソプロピルアルコールで溶解)10ml、酢酸2ml及び1,3−ジオキソラン25gを加え、100℃で約5分間環流し、その後直ちに0.01Nチオ硫酸ナトリウムで、フラスコ内の混合物の色が黄色から無色になるまで滴定して、滴定量を求め(滴定量をAmlとする。)、空滴定として、1,3−ジオキソランを用いず上記と同じ操作を行った場合の滴定量(Bmlとする。)とから、次の計算式で求められる。
パーオキサイド量(過酸化水素に換算した値、ppm)=
(A−B)×17×0.01/(25×1000)×106
【0025】
(ABA型ブロックコポリマーの分子量)
次に、ABA型ブロックコポリマーの分子量について述べる。本発明の要求特性を満たすためには、式(1)のABA型ブロックコポリマーの数平均分子量は10,00〜500,000であることが好ましく、20,000〜200,000であることがより好ましい。
ABA型ブロックコポリマーの数平均分子量は、重合時において未反応のBセグメントを除いた後、ABA型ブロックコポリマーと無水酢酸とを融点以下の温度で反応させ、ABA型ブロックコポリマーの両末端をアセチル化し、赤外吸収スペクトルを用いてアセチル化された末端数を定量することにより計算することができる。また、GPCを用いて、ABA型ブロックコポリマーの数平均分子量を求めることもできる。
GPCの具体的な条件としては、例えば、GPC装置として東ソー(株)製HLC−8120を用い、またカラムとして昭和電工(株)製HFIP806(30cmカラム2本)、キャリアとしてヘキサフルオロイソプロパノール(以後HFIPと呼ぶ)、標準試料としてポリマーラボラトリー社製ポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いて、温度40℃、流量0.5ml/分の条件下で測定することができる。
【0026】
(ABA型ブロックコポリマーの同定方法)
続いて、得られたABA型ブロックコポリマーの同定方法について述べる。
まず第1に、連鎖移動していないヒドロキシアルキル化水素添加ポリブタジエンの定量法について述べる。
連鎖移動していないBセグメントを定量するには、重合されたブロックコポリマーを、まずHFIP或いはジメチルホルムアミドなどの良溶媒に一旦溶解させ(なお、溶解の為に、場合によりブロックコポリマーの融点以下に加熱してもよい)、次いで、水又はアルコールなどの貧溶媒を添加してポリアセタールブロックコポリマーのみを再沈殿させることにより、連鎖移動していないBセグメントを取り除き、その取り除いた量を定量する。詳細な条件設定を行う際には、予めBセグメントとAセグメントとを別々に製造し、それぞれを溶融混練した試料を作製しておき、その試料からBセグメントが全て取り除けるか否かを確認する必要がある。
【0027】
第2に、重合されたブロックコポリマーを構成するモノマー組成の分析について述べる。
上記の方法で、連鎖移動をしていないBセグメントを取り除いたブロックコポリマーを、塩酸などの酸性水溶液中で加水分解させると、Aセグメントのうち、オキシメチレン単位の繰り返しよりなる部分はホルムアルデヒドとなり、ポリオキシメチレン中にランダムに挿入されたオキシアルキレン単位の部分はアルキレングリコールとなる。また、Bセグメントは、Aセグメントを重合する前のBセグメント(ヒドロキシアルキル化された水素添加ポリブタジエン)自体となる。
ホルムアルデヒド及びアルキレングリコールは、水で抽出分離されガスクロマトグラフィーで定量される。Bセグメント自体は、ホルムアルデヒド及びアルキレングリコールを抽出分離した後の残渣を、GPC分析或いは重量分析することにより、定量分析することができる。
【0028】
第3に、得られたブロックコポリマーが、ABA型であるかAB型であるかの確認法について述べる。
重合後に触媒を失活させたABA型ブロックコポリマーは、上述の通り、ポリマーの両末端に熱的に不安定なヒドロキシポリオキシメチレン鎖を有しており、この不安定末端鎖は加熱等により、ホルムアルデヒドとなって除去される。
一方、もし、ブロックコポリマーが、Bセグメントの両末端に存在するヒドロキシル基の片末端のみしか重合時に連鎖移動していない、AB型のブロックコポリマーであるならば、加熱等により発生する不安定末端鎖由来のホルムアルデヒドの量は、両末端に不安定末端鎖を有するブロックコポリマーに比べ半分となる筈である。
したがって、ブロックコポリマーの加熱により発生するホルムアルデヒド量を定量することで、AB型のブロックコポリマーであるかABA型のブロックコポリマーであるかを確認することができる。
【0029】
具体的には、まず、Bセグメントの片末端のヒドロキシル基のみが重合時に連鎖移動した場合と同等の不安定末端鎖を有するポリアセタールコポリマーを、本発明のBセグメントの代わりに等モルのメタノールを連鎖移動剤として用いることで準備する。次に、このメタノールで連鎖移動させて重合したポリアセタールコポリマーの加熱により発生するホルムアルデヒド量を定量し、Bセグメントの存在下で重合したブロックコポリマーの加熱により発生するホルムアルデヒド量と比較する。メタノールで連鎖移動させて重合したポリアセタールコポリマーの加熱により発生するホルムアルデヒド量の2倍量のアルデヒドが、Bセグメントの存在下で重合したブロックコポリマーの加熱により発生していれば、ABA型のブロックコポリマーであることが確認できる(なお、モノマー中の不純物、重合収率等を考慮し、実験精度誤差範囲内で2倍量であればよい)。
【0030】
<ポリアセタール樹脂組成物>
本発明の新規なABA型のブロックコポリマーは、それ自身が、早い結晶化時間を有すると共に、成形後の高い真円度、寸法安定性及び耐久性の特性を有している。加えて、本発明のABA型のブロックコポリマーは、他の高分子化合物との相溶性又は無機フィラーとの密着性に優れるため、従来困難であったポリアセタールのアロイ化が可能となり、本発明のABA型のブロックコポリマーを含むポリアセタール樹脂組成物は、優れた繰り返し衝撃強度、制振性などを有する。以下、本発明のポリアセタール樹脂組成物について、詳細に説明する。
【0031】
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、上記ABA型ブロックコポリマー20〜100重量%と、式(4)
(式中、R3及びR4は、水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基からなる群から独立に選択され、p=95〜99.9モル%、q=0.1〜5モル%、p+q=100モル%であり、zは2〜6から選ばれる整数である)で表される数平均分子量10,000〜500,000のポリアセタールコポリマー0〜80重量%とを含む高分子化合物(I)100重量部、及び数平均分子量が500以上の、ポリオレフィン系高分子化合物、ポリウレタン系高分子化合物、ポリエステル系高分子化合物、ポリスチレン系高分子化合物、ポリアクリル系高分子化合物及びポリアミド系高分子化合物からなる選ばれる少なくとも1種の高分子化合物(II)0.1〜200重量部を含んでいる。
【0032】
ここで、式(4)は、(CH2O)で表されるオキシメチレン単位、及び[(CR4R4)zO]で表されるオキシアルキレン単位の結合状態を直接的に示しているわけではなく、式(4)で示されるポリアセタールコポリマー中、(CH2O)で表されるオキシメチレン単位と、[(CR4R4)zO]で表されるオキシアルキレン単位とは、ランダムに存在することが好ましい。
また、ABA型ブロックコポリマーは、重合段階でモノマー中の水等の不純物の存在により、又は意図的に、メチラール、メタノールなどの連鎖移動剤を共存させ、式(4)で表されるポリアセタールコポリマーを20重量%未満(ABA型ブロックコポリマーを80重量%以上含む)含んでいる場合もあるが、この場合も、本発明の要求特性を満足することから、ABA型ブロックコポリマーに含まれるこの20重量%未満のポリアセタールコポリマーも、ABA型ブロックコポリマー成分として取り扱うことができる。
なお、式(4)で表されるポリアセタールコポリマーの数平均分子量は、本発明の要求特性の点から、20,000〜200,000であることが好ましい。
また、高分子化合物(I)は、本発明の要求特性の点から、ABA型ブロックコポリマー30〜70重量%と、式(4)で表されるポリアセタールコポリマー30〜70重量%とを含んでいることがより好ましい。
【0033】
(ポリオレフィン系高分子化合物)
高分子化合物(II)におけるポリオレフィン系高分子化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1等のα−オレフィンのホモポリマー又はコポリマー(ランダム、ブロック、又はグラフトコポリマー)、前記α−オレフィンと共重合性モノマーとのコポリマー(ランダム、ブロック、又はグラフトコポリマー)などが例示できる。また、前記共重合性モノマーとしては、例えば、共役ジエン(ブタジエン、イソプレン、ピペリレンなど)、非共役ジエン(1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、2,5−ノルボナジエンなど)、(メタ)アクリル酸又はそのエステルなどの誘導体(メタクリル酸メチルなど)、(メタ)アクリロニトリル、芳香族ビニルモノマー(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレンなど)、ビニルエーテル(ビニルメチルエーテルなど)、ビニルエステル(酢酸ビニルなど)が例示できる。
また、上記ポリオレフィン系高分子化合物100重量部に対して、不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ナジツク酸など)又はその酸無水物成分を0.01〜10重量部グラフト共重合させた、変性ポリオレフィン高分子化合物も本発明の目的に合致する。
【0034】
(ポリウレタン系高分子化合物)
ポリウレタン系高分子化合物は、主鎖にウレタン結合を有する高分子化合物であり、例えば、ポリイソシアネート成分(例えば、脂肪族、脂環族、芳香族ポリイソシアネートなどのポリイソシアネート成分)とポリオール成分(例えば、脂肪族、脂環族、芳香族ポリオールなどの低分子量ポリオール成分、又はポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオールなど)との反応により生成する熱可塑性ポリウレタンなどが含まれる。ポリウレタンの調製に際しては、鎖伸張剤(例えば、ジオール又はジアミンなど)を用いても良い。また、本発明のポリウレタン系高分子化合物には、ポリウレタンエラストマーも含まれる。ポリウレタン系高分子化合物は、熱可塑性を維持できる範囲に限り、直鎖状のみならず分岐鎖構造を有していてもよく、また架橋されていてもよい。これらのポリウレタン系高分子化合物のうち、ジイソシアネート成分とジオール成分との反応により生成するポリウレタン及びポリウレタンエラストマーなどが好ましい。
【0035】
ジイソシアネート成分としては、例えば、脂肪族ジイソシアネート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなど)、脂環族ジイソシアネート(イソホロンジイソシアネートなど)、芳香族ジイソシアネート(2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなど)などが挙げられる。ジオール成分としては、例えば、C2〜C10アルキレンジオール、ポリオキシアルキレングリコール[例えば、ポリ(オキシエチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、又はこれらのコポリマーのグリコール(例えば、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドコポリマーなど)など]、ポリエステルジオールなどが例示できる。
【0036】
(ポリエステル系高分子化合物)
ポリエステル系高分子化合物は、主鎖にエステル結合を有する高分子化合物であり、例えば、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリC2〜C4アルキレンテレフタレート)、ポリアルキレンナフタレート(例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリC2〜C4アルキレンナフタレート)、アルキレンテレフタレート及び/又はアルキレンナフタレートを主たる繰り返し単位とし、テレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸の一部が他のジカルボン酸で置換した酸成分又はアルキレングリコールの一部が他のジオールで置換したジオール成分などの共重合成分を含むコポリエステル(以下、これらを総称して、単に「ポリエステル系コポリマー」という)、芳香族ポリエステル(例えば、ビスフェノールAなどの芳香族ジオールと、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸とのエステル化により生成するポリアリレートなど)などが含まれる。本発明のポリエステル系高分子化合物には、ポリエステルエラストマーや液晶性ポリエステルも含まれる。
【0037】
ポリエステル系コポリマーは、テレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸99〜50モル%及びテレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸以外のジカルボン酸(例えば、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸)1〜50モル%で構成された酸成分と、ジオール成分[例えば、C2〜C12のアルキレンジオール(エチレングリコール、トリメチルグリコール、プロピレングリコールなど)、ポリオキシアルキレングリコール(ジ(オキシエチレン)グリコール、ジ(オキシプロピレン)グリコール、トリ(オキシエチレン)グリコールなど)、脂環族ジオール(1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、水素化ビスフェノールAなど)、芳香族ジオール(2,2−ビス−(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−β−ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパンなど)など]との重縮合により得られる。
【0038】
ポリエステルエラストマーには、ポリエステルブロックコポリマー、例えば、低分子量ジオールを含むポリエステル単位で構成されたハードセグメントと、ポリエーテルジオール又は脂肪族ポリエステルジオールを含む(ポリ)エステル単位で構成されたソフトセグメントとを含有するブロックコポリマーが含まれる。好ましいポリエステルエラストマーは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブテンテレフタレート又はポリエチレンナフタレート単位をハードセグメントとし、分子量200〜6000程度のポリオキシエチレングリコール又はポリオキシテトラメチレングリコールとテレフタル酸及び/又はイソフタル酸とのエステルをソフトセグメントとするポリエステルエラストマーである。
【0039】
(ポリスチレン系高分子化合物)
ポリスチレン系高分子化合物は、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレン、エチルスチレンなどの芳香族ビニルモノマーを単独で又は二種以上使用して得られる高分子化合物である。特に、モノマーの一成分としてスチレンを使用することが好ましい。また、ポリスチレン系高分子化合物は、前記芳香族ビニル系モノマーと共重合しうる成分とのコポリマーであってもよい。共重合性成分としては、例えば、共重合性不飽和モノマーの他、エラストマーなども含まれる。共重合性不飽和性モノマーとしては、例えば(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド系モノマー、ジエン(例えば、ブタジエン、イソプレンなど)、オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、ブテンなど)などが例示できる。また、エラストマーには、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレンープロピレンゴム、アクリルゴム、塩素化ポリエチレンなどのハロゲン化ポリオレフィンなどが含まれ、その水素添加物であっても良い。これらの共重合性不飽和モノマー及びエラストマーは、それぞれ単独又は二種以上組み合わせて使用できる。その中でも、芳香族ビニルモノマーから成るブロック(a)と、イソプレンもしくはイソプレン−ブタジエンからなり、ビニル結合含有量(イソプレンの場合には「3,4結合及び1,2結合含有量」、ブタジエンの場合には「1,2結合含有量」を意味する)が20モル%以上、好ましくは40モル%以上であるブロック(b)とから構成されるポリスチレン系エラストマー(好ましくは、ブロック(a)の数平均分子量が2500以上)を用いることが好ましく、更に、芳香族ビニルモノマーから成るブロック(a)が、2以上の芳香族ビニルモノマー成分から構成されているもの(例えば、異なる芳香族ビニルモノマー成分からなるaba型のトリブロックコポリマー)がより好ましい。
【0040】
(ポリアクリル系高分子化合物)
ポリアクリル系高分子化合物は、繰り返し単位が(メタ)アクリル酸エステルである高分子化合物である。本発明のポリアクリル系高分子化合物には、その性質を損なわない範囲でビニル化合物、ジエン系化合物等のモノマー、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、ブタジエン、塩素化エチレン、スチレン等と共重合させた重合体も含まれる。
【0041】
(ポリアミド系高分子化合物)
ポリアミド系高分子化合物としては、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、及び3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン等のジアミン成分とフタル酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ジフエン酸及びナフタレンジカルボン酸等の二塩基酸とから合成された高分子化合物を挙げることができる。さらに、ポリ2,5−ジメチルヘキサメチレンイソフタラミド−ポリエチレングリコールブロックコポリマー、ポリ2,5−ジメチルヘキサメチレンイソフタラミド−ポリテトラメチレングリコールブロックコポリマー及び2,2,4−トリメチルヘキサメチレンナフタレンジカルバミド−ポリテトラメチレングリコールブロックコポリマーなどのブロック重合体も本発明のポリアミド系高分子化合物として用いることができる。
上記した中でも、高分子化合物(II)として、数平均分子量が500〜10,000の液状エチレン−α−オレフィンランダムコポリマー(エチレン単位が10〜70モル%、α−オレフィン単位が30〜90モル%)を0.1〜6重量部添加すると、本発明における要求特性に更に適するポリアセタール樹脂組成物が得られる。上記組成物を用いた成形体においては、成形体表面の剥離現象が全く見られず、成形体の耐摩耗性も一層改良される。
【0042】
また、高分子化合物(II)として、α−オレフィン系高分子化合物を不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ナジツク酸など)又はその酸無水物で変性したα−オレフィンコポリマー、より好ましくは、α−オレフィン系高分子化合物(エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンの1種以上とのコポリマー)に不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ナジツク酸など)又はその酸無水物成分を0.01〜10重量部グラフト共重合させたα−オレフィンコポリマーを5〜200重量部、好ましくは10〜150重量部添加すると、本発明における要求特性を満足しながら、なおかつ成形体における剥離がなく、また、繰り返し衝撃強度に優れた成形体を与え得るポリアセタール樹脂組成物が得られる。よって、ギアを成形した際においても、歯車同士の衝突による歯の欠けなどを回避することができ、ギアの長寿命化が可能となる。
【0043】
また別に、高分子化合物(II)として、スチレンモノマーからなるブロック(a)と、イソプレンもしくはイソプレン−ブタジエンからなりビニル結合含有量(イソプレンの場合には「3,4結合及び1,2結合含有量」、ブタジエンの場合には「1,2結合含有量」を意味する)が20モル%以上、好ましくは40モル%以上であるブロック(b)とから構成されるポリスチレン系高分子化合物を1〜100重量部、好ましくは5〜80重量部添加すると、本発明における要求特性を満足しながら、なおかつ成形体における剥離のない、制振性に優れた(特にハンマー打撃音の低減)成形体を与え得るポリアセタール樹脂組成物が得られる。よって、かかるポリアセタール樹脂組成物を用いると、消音ギアとしての用途展開が可能となる。
【0044】
本発明のABA型ブロックコポリマーは、ガラスファイバーなどの無機フィラーとの密着性に優れており、無機フィラーの抜け等の問題を解消することができる。したがって、前記高分子化合物(I)100重量部に対して、無機フィラーを1〜100重量部配合したポリアセタール樹脂組成物は、本発明における要求特性を満足すると共に、ギア材として、機械強度の向上と高負荷での使用を可能にする。また、かかるポリアセタール樹脂組成物から得られるギア材は、金属ギアとのかみ合いギア材として展開することもできる。
無機フィラーは、1種又は複数種配合することができ、具体的には、ガラスファイバー(平均繊維径2〜30μm、特に長さ3〜10mmのチョップストランド、長さ30〜1000μmのミドルファイバー、ローピングタイプのものが使用できる。)、カーボンファイバー(平均繊維径2〜20μm、特に長さ3〜10mmのチョップストランド、長さ30〜1000μmのミドルファイバー、ローピングタイプのものが使用できる。)、ガラスビーズ(平均粒子径5〜500μm)、タルク(平均粒子径5〜500μm)、ウオラストナイト(体積平均粒子径0.5〜50μmの粒子状、針状又は両者の併用。)、ハイドロタルサイトなどが挙げられる。また、無機フィラーの表面は、公知の集束剤(例えば、ウレタン集束剤、オレフィン集束剤、エポキシ集束剤など)や表面処理剤(例えば、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコニウム系など)で表面処理されていてもよい。
【0045】
また、前記高分子化合物(I)を100重量部、前記無機フィラーを1〜100重量部、及び前記高分子化合物(II)、好ましくはポリオレフィン系高分子化合物を1〜20重量部含むポリアセタール樹脂組成物も、本発明の要求性能に合致する。
続いて、本発明のポリアセタール樹脂組成物に更に添加することができる添加剤について述べる。
前記高分子化合物(I)100重量部に対して、2種以上のジ脂肪酸カルシウム(炭素数12〜22)を0.01〜0.2重量部(総量)の範囲で配合する、及び/又は、脂肪酸とエチレングリコールとからなる2種以上のジ脂肪酸エステル(炭素数12〜22)を0.01〜0.9(総量)重量部の範囲で配合すると、更に本発明における要求特性に適するポリアセタール樹脂組成物が得られる。
【0046】
なお、本発明のABA型ブロックコポリマー又はポリアセタール樹脂組成物には、前記以外の添加剤を所望に応じて添加することができる。例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダートアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ポリアミド、メラミン、メラミン誘導体、ポリ−β−アラニンコポリマー、ポリアクリルアミド等のホルムアルデヒド補足剤、酸化チタン、カーボンブラック、キナクリドン、酸化鉄、チタンイエロー、フタロシアニン、アルミ粉などの顔料、窒化ホウ素等の結晶核剤、グラファイト、二硫化モリブデン、グラフトポリエチレン、PTFE等の固体潤滑剤、エチレンビス脂肪酸アミド等の離型剤、ポリエチレングリコール、導電性カーボンブラック等の帯電防止剤などである。特に酸化防止剤については、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕をブロックコポリマー又は組成物100重量部に対して0.1〜1.0重量部の範囲で添加することが好ましい。
【0047】
<成形体>
次に本発明のABA型ブロックコポリマー、又はポリアセタール樹脂組成物からなる成形体について述べる。
本発明の成形体は、射出成形法、ホットランナー射出成形法、アウトサート成形法、インサート成形法、中空射出成形法、金型の高周波加熱射出成形法、圧縮成形法、インフレーション成形、ブロー成形、押出成形或いは押出成形品の切削加工等の成形法で成形される。本発明の要求性能に適することから、射出成形法で成形された成形体であることが好ましい。
また、本発明の成形体としては、本発明のABA型ブロックコポリマー又はポリアセタール樹脂組成物を成形することによって得られた、ピッチ円直径60mm以上の大口径ギアであることが好ましく、更に好ましい成形体としては、ピッチ円直径100mm以上の大口径ギアである。
特に好ましい成形体は、射出成形によって得られた、プリンター又は複写機用のピッチ円直径60mm以上又は100mm以上の大口径ギアである。
【0048】
本発明の成形体は、必要に応じレーザーマーキング、ホットスタンピング、塗装、印刷、メッキ等の装飾や溶着、接着、アニーリング等の後処理を施すことができる。
本発明のABA型ブロックコポリマー又はポリアセタール樹脂組成物は、大口径ギア材以外にも、ポリアセタール樹脂として一般的に用いられる摺動部材に使用することができる。例えば、プリンター、複写機に代表されるOA機器;VTR、ビデオムービーに代表されるビデオ機器;カセットプレイヤー、LD、MD、CD(含CD−ROM、CD−R、CD−RW)、DVD(含DVD−ROM、DVD−R、DVD−RAM、DVD−Audio)、ナビゲーションシステム及びモバイルパーソナルコンピューターに代表される音楽、映像又は情報機器;携帯電話、ファクシミリに代表される通信機器;自動車用内外装機構部品;使い捨てカメラ、玩具、ファスナー、コンベア、チェーン、バックル、事務機具及び住設機器に代表される工業雑貨などに使用される各種摺動部材などである。
具体的な部品名としては、大口径以外のギア、カム、ギアカム、スライダー、レバー、キーステム、キートップ、ラチェット、ローラー、アーム、ハンドル、ボタン、フライホイル、クラッチ、関節、軸、軸受け、ガイドローラー、側板、アウトシャーシの樹脂部品、シャーシ、トレー部材、インナーハンドル、アウターハンドル、スイッチ、スルーアンカー、タング、文字車などである。
【0049】
【実施例】
<実施例>
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の用語及び測定法は以下の通りである。
1.ABA型ブロックコポリマー及びポリアセタールコポリマーの分子量測定
東ソー(株)社製のGPC装置(HLC−8120)を用い、カラムとして昭和電工(株)製のHFIP806(30cmカラム2本)、キャリアとしてHFIP、標準試料としてポリマーラボラトリー社製PMMAを用いて、温度40℃流量0.5ml/minの条件で、ABA型ブロックコポリマー及びポリアセタールコポリマーの数平均分子量を測定した。
【0050】
2.ABA型ブロックコポリマー及びポリアセタールコポリマーの同定
(1)ABA型ブロックコポリマー又はポリアセタールコポリマー中の環状ホルマール(又は環状エーテル)に起因するアルキレングリコールの定量は、まず、ポリマーと1Nの塩酸とを耐圧ビンに仕込み130℃で2時間加熱し、ABA型ブロックコポリマー又はポリアセタールコポリマーを加水分解し、環状ホルマール(又は環状エーテル)に起因するアルキレングリコール成分を得た。なお、ABA型ブロックコポリマーの場合には、加水分解後に、ヒドロキシアルキル化された水素添加ポリブタジエンも存在することになるが、このヒドロキシアルキル化水素添加ポリブタジエンは水溶液から相分離して存在する。そして、加水分解後の水溶液中に存在するアルキレングリコール成分をガスクロマトグラフィーで定量した。
(2)ABA型ブロックコポリマーの加水分解後に水溶液から相分離して存在するヒドロキシアルキル化水素添加ポリブタジエンを、上記の加水分解後の水溶液から抽出分離し、抽出分離後のヒドロキシアルキル化水素添加ポリブタジエンの数平均分子量を、ウオーターズ社製のGPC装置(150c)を用い、キャリアとして1,2,4−トリクロロベンゼンを用い、140℃の温度条件で測定した。
【0051】
(3)ABA型ブロックコポリマー及びポリアセタールコポリマーの数平均分子量を、東ソー(株)社製のGPC装置(HLC−8120)を用い、カラムとして昭和電工(株)製のHFIP806(30cmカラム2本)、キャリアとしてHFIP、標準試料としてポリマーラボラトリー社製PMMAを用いて、温度40℃、流量0.5ml/minの条件で測定した。
(4)上記(1)、(2)及び(3)から、ポリマーのABA型ブロックコポリマー及びポリアセタールコポリマーを構成するモノマー組成を同定した。
【0052】
3.結晶化時間の測定
5mgのサンプル(ABA型ブロックコポリマー、ポリアセタールコポリマー、ポリアセタール樹脂組成物)を示差走査熱量計(パーキンエルマー製:DSC7)を用いて、320℃/分で200℃まで昇温し、200℃で2分間ホールドし、80℃/分で150℃に降温させたとき、サンプルホルダーの温度が150℃になってからポリオキシメチレン鎖の結晶化に伴う発熱ピークトップが検出されるまでの時間(秒)を測定し、この時間を結晶化時間とした。
【0053】
4.ギアの成形
1)ギアの種類
ギア(I)
ピッチ円直径;60mm、モジュール;1、歯数;60、圧力角;20度、歯巾;5mm、ウエッブ肉厚;2mm、ねじれ角;0度、ゲート;ウエッブ3点ゲート(各ゲートは120°ずつの間隔で存在、ゲート径1.2mm)、重量;約10gの平歯車
ギア(II)
ピッチ円直径;100mm、モジュール;1、歯数;100、圧力角;20度、歯巾;15mm、ウエッブ肉厚;2mm、ねじれ角;0度、ゲート;ウエッブ8点ゲート(各ゲートは45°ずつの間隔で存在、ゲート径1.2mm)、重量;約51gの平歯車
2)成形条件
射出成形機(住友重機製:SG50)を用い、シリンダー温度180〜195℃、金型温度80℃、射出速度50〜60%、射出圧力60〜70%、射出時間10秒、冷却時間15秒の条件で成形した。また、ギア(I)では重量が10gとなるよう、ギア(II)では重量が51gとなるようそれぞれ成形した。
【0054】
5.ギアの真円度の測定
真円度円筒形状測定機((株)ミツトヨ製:ラウンドテストRA−400)を使用して、成形されたギアの外周形状を測定し、LSC法(最小二乗中心法によって、偏差の二乗和が最小となる円に同心で外接する円と内接する円との半径差を誤差とする方法)で誤差をμmで表し、このギアの全ピッチ誤差(μm)を真円度とした。この数値が小さいほど、真円度が高いと判断できる。
【0055】
6.ギアの寸法安定性の測定
ギアの寸法変化を23℃で数ヶ月放置した後に測定する代わりに、成形したギアを24時間、23℃、50RHに放置した後、ギア(I)の場合はゲートとウエルドを結ぶラインの歯先間直径を測定し、また、ギア(II)の場合は向かい合うゲート間を結ぶラインの歯先間直径を測定した。その後、ギアを70℃で4時間アニールし、20時間、23℃、50RHの条件で放置した後に、上記測定方法と同一の方法に従い、再度ギア(I)及び(II)の歯先間直径を測定し、アニール前後での寸法差(収縮方向をプラスで表示)をμmで表した。この数値が小さいほど、寸法安定性に優れていると判断できる。
【0056】
7.ギアの耐久性の測定
東芝社製の歯車耐久試験測定機器を用い、駆動側に市販のポリアセタール樹脂コポリマーであるテナック−C4520製のギア(上記4.で成形されたギアと同形状のもの)をセットし、従動側に上記4.で成形され、且つ23℃、50RHで放置されたギアをセットし、ピッチ円上の回転速度を0.5m/s、トルクを4.5kgf−cmに設定し、168時間、23℃、50RH雰囲気下で連続運転を行った。そのときの駆動側及び従動側のギアの両方の重量減(mg)を摩耗量として求め、この摩耗量(mg)をギアの耐久性として表した。この値が低いほど、ギアの耐久性に優れていると判断できる。但し、この試験条件において、168時間の経過前にギアの歯折れが発生し、耐久試験が続けられない場合は、「歯折れあり」とした。
【0057】
《ABA型ブロックコポリマー及びポリアセタールコポリマー》
[ブロックコポリマー1、ポリアセタールコポリマー1及び2]
(重合方法)
熱媒を通すことのできるジャケット付きの2軸パドル型連続重合機を80℃に調整し、下記原料(1)〜(3)及び触媒(4)を連続的にフィードして重合を行った。
(1)トリオキサン:133モル/時間
(2)1,3−ジオキソラン:3.5モル/時間
[2−メチル−1,3−ジオキソランの含有量50ppm、過酸化水素換算のパーオキサイド含有量1.2重量ppm、立体障害フェノールが200ppm添加されており、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタンを含むもの]
【0058】
(3)両末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエン:0.1モル/時間
[ナトリウムを触媒としてブタジエンを重合して、1,2結合含有量が80モル%、1,4結合含有量が20モル%であり(1H−NMRで同定)、且つ1,4結合が1,2結合に対しランダムに存在するポリブタジエン(以下に示すポリブタジエンも、特に断らない限り同様の構造である)を作製し、エチレンオキシドで両末端をヒドロキシアルキル化した後に、さらに水素添加処理した液状のもの]
数平均分子量;2390、分子量分布(Mw/Mn);1.5
ヨウ素価;18g−I2/100
(4)触媒(シクロヘキサンに溶解させた三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテル):トリオキサン1モルに対し5×10−5モル
重合機から排出されたポリマーを、トリエチルアミン1%水溶液中に投入し、重合触媒の失活を完全に行った。そのポリマーをろ取し、アセトンで洗浄後、60℃に設定された真空乾燥機で乾燥させた(以下、この重合方法を「重合方法1」と略記する。)。
【0059】
(ポリマーの同定)
乾燥後のポリマーをHFIPに溶解させ、次いでシクロヘキサンを添加し、ポリマーを再沈殿させた。再沈殿ポリマー及び分離されたろ液を全て蒸留した後の残渣について、GPC装置(ウオーターズ社製:150c、キャリアとして1,2,4−トリクロロベンゼンを使用)を用い、140℃の温度で分析したが、ヒドロキシエチル化液状水素添加ポリブタジエンは検出されなかった。即ち、全てのヒドロキシエチル化液状水素添加ポリブタジエンが、重合中において連鎖移動剤として作用していることが確認された。
次に、この乾燥後のポリマーを、窒素雰囲気下で190℃で30分加熱し、ポリマーの不安定末端鎖の除去に伴い発生するホルムアルデヒドの量を定量した。また、比較のため、両末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエンの代わりに、等モルのメタノールを使用した以外は、上記重合方法1と同様の方法でポリマーを製造し、得られたポリマーの不安定末端鎖の除去を同様に行って、ホルムアルデヒド発生量を定量した。両末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエンを用いて重合を行ったポリマーは、等モルのメタノールを用いて重合したポリマーに比べ、1.98倍(測定誤差範囲内で2倍)のホルムアルデヒドを発生していた。これにより、上記重合方法1によって得られたポリマーは、AB型ではなくABA型のブロックコポリマーであることが確認された。
【0060】
更にまた、乾燥後のポリマーの数平均分子量をGPCで同定し、モノマー組成分析を塩酸分解法で行った結果、式(6)で示されるABA型のポリマー構造であると同定できた。なお、式(6)及びこれ以降の式(7)〜(25)においては、あくまで、ポリマー中におけるAセグメントを構成する(CH2O)単位と(CH2CH2O)単位の割合(それぞれモル数で示されている)、及び(又は)Bセグメントを構成する(C(CH2CH3)HCH2)単位と(CH2CH2CH2CH2)単位の割合(それぞれモル数で示されている)がモデル的に示されているのであって、Aセグメント及びBセグメントにおける各単位の結合状態を示すものではない。すなわち、式(6)においては、Aセグメントを構成する(CH2O)単位が1700モル、(CH2CH2O)単位が15モル存在していること、また、Bセグメントを構成する(C(CH2CH3)HCH2)単位が33モル、(CH2CH2CH2CH2)単位が8モル存在することが示されている。また、式(6)及びこれ以降の式(7)〜(25)は、Aセグメントを構成する(CH2O)単位と(CH2CH2O)単位とがポリマー鎖中ブロックで存在していることを表している訳ではなく、また、Bセグメントを構成する(C(CH2CH3)HCH2)単位と(CH2CH2CH2CH2)単位がブロックで存在していること表している訳ではない。
また、メタノールを連鎖移動剤として用いた以外は、上記重合方法1と同様の方法で製造されたポリマーの構造は、式(7)の通りであった。
【0061】
(ABA型ブロックコポリマーの末端安定化処理)
次に、上記式(6)で表されるブロックコポリマー100重量部に対し、末端安定化処理剤として水2重量部及び塩基性物質としてトリエチルアミン1重量部を接触させ溶融混練することで、不安定末端鎖であるヒドロキシオキシメチレン鎖を加水分解し安定化した。末端安定化に当たっては、まず200℃に設定したベント付きの二軸押出機に、式(6)で表されるブロックコポリマーを供給し、溶融混練した。次いで、押出機の末端安定化ゾーンの手前に水/トリエチルアミンを連続的に供給し、ブロックコポリマーと混練させた。続いて、脱気ゾーンでホルムアルデヒド、水、トリエチルアミンを除去し、ブロックコポリマーの末端安定化処理を行った。この際、脱気ゾーンのベント部の真空度は4kPaに設定し、脱気を行った。押出機のダイスより得られたブロックコポリマーは、ストランドとして押出され、ペレタイズされた(以下、この末端安定化処理の方法を「末端安定化処理1」と略記する。)。
【0062】
末端安定化されたブロックコポリマーの構造を前記の方法で分析した結果、式(8)の構造であることが明らかとなった。即ち、式(6)で表されるブロックコポリマーのAセグメントのオキシメチレン単位が、平均で、各々110モル加水分解され除去されている(末端安定化)ことが判った。
また、式(7)のメタノールで連鎖移動させて重合したコポリマーも、末端安定化処理1と同様の方法でコポリマーの末端安定化を行い、構造を分析した結果、式(9)に示す構造であった。即ち113モルのオキシメチレンが加水分解され除去されていた。
このように、末端安定化処理により、式(6)のブロックコポリマーから110×2モルのオキシメチレン単位がホルムアルデヒドに分解され、式(7)のコポリマーより113モルのオキシメチレンがホルムアルデヒドに分解されていたことになるので、これらの比は220/113=1.95である。そして、この値は、窒素雰囲気下においてポリマーを加熱することにより発生したホルムアルデヒド量を比較した前記の結果(1.98倍)とよく合致している。
【0063】
(ブロックコポリマー1、コポリマー1及び2の製造)
こうして得られた式(8)のABA型ブロックコポリマー100重量部に、酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.3重量部、及び平均粒子径4μmに粉砕されたナイロン6−6を0.05重量部を添加し、再度、上記した二軸押出機で溶融混練し、ブロックコポリマー組成物(「ブロックコポリマー1」という)を得た。
また、前記式(9)で表されるメタノール連鎖で重合したコポリマーに、ブロックコポリマー1と同様、酸化防止剤とナイロン6−6とを添加して溶融混練し、コポリマー組成物(「コポリマー1」という)を得た。
更に、両末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエンの代わりに、メチラール[(CH3O)2CH2]を連鎖移動剤として用いた以外は、上記重合方法1と全く同様な方法によりコポリマーを製造し、末端安定化処理1と同様の方法でポリマーの末端安定化を行い、更に、得られたコポリマーに、ブロックコポリマー1と同様、酸化防止剤とナイロン6−6とを添加して溶融混練し、コポリマー組成物(「コポリマー2」という)を得た。
【0064】
(ブロックコポリマー1、コポリマー1及び2の物性)
このブロックコポリマー1、コポリマー1及びコポリマー2の結晶化時間、並びにギア(I)及びギア(II)に成形したときの真円度、寸法安定性、耐久性を測定した。その結果を表1に示す。
【0065】
なお、両末端ヒドロキシエチル化液状水素添加ポリブタジエンの2軸パドル型連続重合機への時間当たりのフィード量を代えたこと以外は、重合方法1と同様の方法に従って、数平均分子量20,000及び200,000のブロックコポリマーを得た。得られたブロックコポリマーを、末端安定化処理1と同様の方法でブロックコポリマーの末端安定化を行い、ブロックコポリマー1と同様、酸化防止剤とナイロン6−6とを添加し溶融混練して、ブロックコポリマー組成物を製造し、これらの組成物の結晶化時間、これらの組成物からなるギアの真円度、寸法安定性、耐久性を評価したところ、ブロックコポリマー1と同等の性能を有していた。
【0066】
[ブロックコポリマー2〜4]
ブロックコポリマー1の両末端ヒドロキシエチル化液状水素添加ポリブタジエンの代わりに、3種類の両末端ヒドロキシエチル化された液状水素添加ポリブタジエン(1,2結合含有量が、それぞれ70、95及び98モル%であり、数平均分子量はいずれも2390、ヨウ素価はいずれも18g−I2/100g、Mw/Mn=1.5である)を用いたこと以外は、上記重合方法1と同様の方法でポリマーを製造し、末端安定化処理1と同様の方法でポリマーの末端安定化を行い、式(10)、(11)及び(12)で表されるブロックコポリマーを得た。
【0067】
ブロックコポリマー1と同様、これらのブロックコポリマーに、酸化防止剤及びナイロン6−6を添加して溶融混練し、ブロックコポリマー組成物を得た。得られたブロックコポリマー組成物を、それぞれ、「ブロックコポリマー2」(ポリブタジエンの1,2結合含有量が70モル%であり、式(10)のブロックコポリマーを含む)、「ブロックコポリマー3」(ポリブタジエンの1,2結合含有量が95モル%であり、式(11)のブロックコポリマーを含む)及び「ブロックコポリマー4」(ポリブタジエンの1,2結合含有量が98モル%であり、式(12)のブロックコポリマーを含む)という。ブロックコポリマー2〜4の諸物性を測定した結果を表2に示す。
【0068】
[ブロックコポリマー5〜8]
ブロックコポリマー1の両末端ヒドロキシエチル化液状水素添加ポリブタジエンの代わ
りに、数平均分子量が1390、3390、4390、9390である4種類の両末端ヒドロキシル化液状水素添加ポリブタジエンを用いたこと以外は、上記重合方法1と同様な方法でポリマーを製造し、末端安定化処理1と同様の方法でポリマーの末端安定化を行い、式(13)、(14)、(15)及び(16)で表されるブロックコポリマーを得た。
【0069】
ブロックコポリマー1と同様に、これらのブロックコポリマーに、酸化防止剤及びナイロン6−6を添加して溶融混練し、ブロックコポリマー組成物を得た。得られたブロックコポリマー組成物を、それぞれ、「ブロックコポリマー5」(両末端ヒドロキシル化液状水素添加ポリブタジエンの数平均分子量が1390であり、式(13)のブロックコポリマーを含む)、「ブロックコポリマー6」(両末端ヒドロキシル化液状水素添加ポリブタジエンの数平均分子量が3390であり、式(14)のブロックコポリマーを含む)、「ブロックコポリマー7」(両末端ヒドロキシル化液状水素添加ポリブタジエンの数平均分子量が4390であり、式(15)のブロックコポリマーを含む)及び「ブロックコポリマー8」(両末端ヒドロキシル化液状水素添加ポリブタジエンの数平均分子量が9390であり、式(16)のブロックコポリマーを含む)という。ブロックコポリマー5〜8の諸物性を測定した結果を表3に示す。
【0070】
[ブロックコポリマー9]
ブロックコポリマー1の両末端ヒドロキシエチル化液状水素添加ポリブタジエンの代わりに、ナフタレンジリチウムを触媒として、シクロヘキサンを溶媒として用い、1,2結合含有量が20モル%、1,4結合含有量が80モル%であるポリブタジエンのリビングポリマーを製造し、このリビングポリマーをエチレンオキシドと反応させた後、更に水素添加を行い、23℃、1気圧でワックス状の両末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエン(数平均分子量2390、ヨウ素価11g−I2/100g、Mw/Mn=1.5)を用いたこと以外は、上記重合方法1と同様の方法でポリマーを製造し、末端安定化処理1と同様の方法でポリマーの末端安定化を行い、式(17)のブロックコポリマーを得た。
ブロックコポリマー1と同様に、このブロックコポリマーに酸化防止剤及びナイロン6−6を添加し溶融混練し、ブロックコポリマー組成物(「ブロックコポリマー9」という)を得た。
【0071】
[ブロックコポリマー10]
ブロックコポリマー1の両末端ヒドロキシエチル化液状水素添加ポリブタジエンの代わりに、ブタジエンの過酸化水素重合を行って製造された、1,2結合含有量が80モル%であり、1,4結合含有量が20モル%である両末端水酸基変性ポリブタジエン(ポリブタジエンの両末端に水酸基が結合している構造であり、ヒドロキシエチル基が結合しているものではない)を水素添加することで得られた両末端ヒドロキシル化液状水素添加ポリブタジエン(数平均分子量2330、ヨウ素化18g−I2/100g、Mw/Mn=2)を連鎖移動剤として用いたこと以外は、上記重合方法1と同様の方法によりポリマーを製造し、末端安定化処理1と同様の方法でポリマーの末端安定化を行い、式(18)で表されるブロックコポリマーを得た。
ブロックコポリマー1と同様に、このブロックコポリマーに酸化防止剤及びナイロン6−6を添加し溶融混練し、ブロックコポリマー組成物(「ブロックコポリマー10」という)を得た。
【0072】
[ブロックコポリマー11]
上記したブロックコポリマー10とはブタジエンの過酸化水素重合の重合条件を変えて製造された、両末端水酸基変性ポリブタジエン(ポリブタジエンの1,2結合含有量が20モル%、1,4結合含有量が80モル%)を水素添加することで得られた、ポリブタジエンの両末端がヒドロキシル化されたワックス状水素添加ポリブタジエン(数平均分子量2330、ヨウ素化18g−I2/100g、Mw/Mn=2)を連鎖移動剤として用いたこと以外は、上記重合方法1と同様にポリマーを製造し、末端安定化処理1と同様の方法でポリマーの末端安定化を行い、式(19)のブロックコポリマーを得た。
【0073】
ブロックコポリマー1と同様に、このブロックコポリマーに酸化防止剤及びナイロン6−6を添加し溶融混練し、ブロックコポリマー組成物(「ブロックコポリマー11」という)を得た。ブロックコポリマー9、10及び11の諸物性を測定した結果を表4に示す。
【0074】
[コポリマー3]
ブロックコポリマー1の両末端ヒドロキシエチル化液状水素添加ポリブタジエンの代わりに、ポリブタジエンの一方のリビングアニオン末端を失活させて製造した、片末端がヒドロキシエチル化された23℃、1気圧で液状の水素添加ポリブタジエン(数平均分子量2340、ヨウ素化18g−I2/100g、Mw/Mn=1.8、ポリブタジエンの1,2結合含有量80モル%、1,4結合含有量20モル%)を連鎖移動剤として用いたこと以外は、上記重合方法1と同様の方法でポリマーを製造し、末端安定化処理1と同様の方法でポリマーの末端安定化を行い、式(20)で表されるコポリマーを得た。
ブロックコポリマー1と同様に、このコポリマーに酸化防止剤及びナイロン6−6を添加し溶融混練し、コポリマー組成物(「コポリマー3」という)を得た。
【0075】
[ブロックコポリマー12]
ブロックコポリマー1の両末端ヒドロキシエチル化液状水素添加ポリブタジエンの代わりに、1,2結合含有量が99.5モル%であり、1,4結合含有量が0.5モル%であるポリブタジエンのリビングポリマーを製造し、エチレンオキシドと反応させた後、更に水素添加を行うことにより得られる、23℃、1気圧で液状の両末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエン(数平均分子量2390、ヨウ素価18g−I2/100g、Mw/Mn=1.5)を用いたこと以外は、上記重合方法1と同様の方法によりポリマーを製造し、末端安定化処理1と同様の方法でポリマーの末端安定化を行い、式(21)のブロックコポリマーを得た。
【0076】
ブロックコポリマー1と同様に、このブロックコポリマーに酸化防止剤及びナイロン6−6を添加し溶融混練し、ブロックコポリマー組成物(「ブロックコポリマー12」という)を得た。コポリマー3及びブロックコポリマー12の諸物性を測定した結果を表5に示す。
【0077】
[ブロックコポリマー13及び14]
ブロックコポリマー1の両末端ヒドロキシエチル化液状水素添加ポリブタジエンのヨウ素価を0又は25g−I2/100gにしたこと以外は、上記重合方法1と同様の方法によりポリマーを製造し、末端安定化処理1と同様の方法でポリマーの末端安定化を行い、ブロックコポリマー1とヨウ素価のみが異なる2種のブロックコポリマーを得た。
ブロックコポリマー1と同様に、これらのブロックコポリマーに酸化防止剤及びナイロン6−6を添加し溶融混練し、ブロックコポリマー組成物を得た。得られたブロックコポリマーを、それぞれ「ブロックコポリマー13」(ヨウ素価0のもの)及び「ブロックコポリマー14」(ヨウ素価25のもの)という。ブロックコポリマー13及び14の諸物性を測定した結果を表6に示す。
【0078】
[ブロックコポリマー15及び16]
ブロックコポリマー1の両末端ヒドロキシエチル化液状水素添加ポリブタジエンを、両末端ヒドロキシブチル化水素添加ポリブタジエン、又は両末端ヒドロキシヘキシル化水素添加ポリブタジエンにした以外は、上記重合方法1と同様の方法によりポリマーを製造し、末端安定化処理1と同様の方法でポリマーの末端安定化を行い、ブロックコポリマー1のヒドロキシエチル残基部分がヒドロキシブチル残基又はヒドロキシヘキシル残基となった以外は、ブロックコポリマー1と同様の構造を持つ2種のブロックコポリマーを得た。
ブロックコポリマー1と同様に、これらのブロックコポリマーに酸化防止剤及びナイロン6−6を添加し溶融混練し、ブロックコポリマー組成物を得た。得られたブロックコポリマー組成物を、それぞれ、「ブロックコポリマー15」(ヒドロキシブチル残基を持つ)及び「ブロックコポリマー16」(ヒドロキシヘキシル残基を持つ)という。ブロックコポリマー15及び16の諸物性を測定した結果を表7に示す。
【0079】
[ブロックコポリマー17〜20]
ブロックコポリマー1を重合する際に、フィードするモノマー組成を変えたこと以外は、上記重合方法1と同様の方法によりポリマーを製造し、末端安定化処理1と同様の方法でポリマーの末端安定化を行い、式(22)、(23)、(24)及び(25)の4種のポリマーを得た。
【0080】
ブロックコポリマー1と同様に、これらのブロックコポリマーに酸化防止剤及びナイロン6−6を溶融混練し、ブロックコポリマー組成物を得た。得られたブロックコポリマー組成物を、それぞれ、「ブロックコポリマー17」(式(22)のブロックコポリマーを含む)、「ブロックコポリマー18」(式(23)のブロックコポリマーを含む)、「ブロックコポリマー19」(式(24)のブロックコポリマーを含む)及び「ブロックコポリマー20」(式(25)のブロックコポリマーを含む)という。ブロックコポリマー16〜20の諸物性を測定した結果を表8に示す。
【0081】
《ポリアセタールコポリマー樹脂組成物》
[組成物1〜8]
ブロックコポリマー1、コポリマー2及び各熱可塑性樹脂を表9、10の組成で配合し溶融混練し、ポリアセタール樹脂組成物(組成物1〜8)を製造し、各組成物の諸物性を測定した。その結果を表9、10に示す。
なお、SFD薄肉成形品の剥離試験については、以下の方法で行い評価した。各組成物のペレットを80℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度200℃に設定された5オンス成形機(住友重機械工業(株)製SH−75)を用い、金型温度80℃、射出圧7.4MPaで射出速度を変化させて、厚さ1mm、幅5mmの渦巻き状の薄肉成形品を各5本作製し、成形品表面の剥離状態を目視で確認した。薄肉成形品5本全てに剥離が見られなければ、その射出速度での剥離はないとした。
評価の基準は、以下の通りである。
◎;射出速度80%まで剥離なし
○;射出速度60%まで剥離なし、射出速度80%で剥離
△;射出速度40%まで剥離なし、射出速度60%で剥離
×;射出速度20%まで剥離なし、射出速度40%で剥離
××;射出速度20%で剥離
【0082】
【0083】
【0084】
[組成物9〜12]
ブロックコポリマー1、コポリマー2及びフェノキシイミン錯体を触媒として重合されたエチレン(10モル%)−プロピレン(90モル%)液状ランダムコポリマー(Mn=5220、Mw/Mn=1.3、表11中「液状ランダムコポリマー1」として示される)を、表11の組成で配合し溶融混練し、ポリアセタール樹脂組成物(組成物9〜12)を製造し、各組成物の諸物性を測定した。その結果を表11に示す。
【0085】
[組成物13〜16]
ブロックコポリマー1、コポリマー1及びチーグラー触媒を使用して重合されたエチレン(10モル%)−プロピレン(90モル%)液状ランダムコポリマー(Mn=5220、Mw/Mn=1.8、表12中「液状ランダムコポリマー2」として示される)を、表12の組成で配合し溶融混練し、ポリアセタール樹脂組成物(組成物13〜16)を製造し、各組成物の諸物性を測定した。その結果を表12に示す。
【0086】
[組成物17〜23]
ブロックコポリマー1、コポリマー2及び無水マレイン酸を1重量部グラフト共重合させたα−オレフィンコポリマーを表13の組成で配合し溶融混練し、ポリアセタール樹脂組成物(組成物17〜23)を製造し、各組成物の諸物性を測定した。その結果を表13に示す。
なお、繰り返し衝撃強度の測定は、以下のとおりに実施した。東洋精機製繰り返し衝撃試験器にて、ノッチ付き試験片(ASTM−D256に順ずる)を用い、23℃、310g荷重×20mmの落下高さ、60回/分の頻度の条件で試験を行い、破壊までの回数を測定した。数値が大きいほど、繰り返し衝撃疲労特性に優れる。
【0087】
【0088】
[組成物24〜30]
ブロックコポリマー1、コポリマー2及びスチレン系エラストマーを表14の組成で配合し溶融混練し、ポリアセタール樹脂組成物(組成物24〜30)を製造し、各組成物の諸物性を測定した。その結果を表14に示す。
なお制振性については、無跫音室にて、厚さ3.0mm×幅13mm×長さ175mmのダンベル射出成形品を用い、片方の端部を固定し、その固定端の根元をインパルスハンマーで打撃した際の放射音を測定したものであり、小野測器社製の音響解析システムにより、ハンマーの加振力信号とマイクロホンの音圧信号との周波数応答関数を求めたものである。求めた周波数応答関数の第2共振ピークと第2反共振ピークとの音圧レベルの差を計測した。その数値が小さいものほど制振特性に優れる。
【0089】
【0090】
[組成物31〜37]
ブロックコポリマー1、コポリマー2及び無機フィラーを表15の組成で配合し溶融混練し、ポリアセタール樹脂組成物(組成物31〜37)を製造し、各組成物の諸物性を測定した。その結果を表15に示す。
なお、対SUSギア耐久性は、駆動側のギアをSUS304製のギア(ギア(I)と同形状のもの)とした以外は、上記7.で示した耐久性試験と同様な試験を行い、従動側ギア(I)の重量減(mg)を摩耗量とすることで測定した。その数値が小さいものほど金属ギアとの耐久性に優れる。
【0091】
【0092】
[組成物38〜42]
ブロックコポリマー1、コポリマー2及びチーグラー触媒を使用して重合されたエチレン(70モル%)−ブテン−1(30モル%)液状ランダムコポリマー(Mn=7730、Mw/Mn=1.9、表16中「液状ランダムコポリマー3」として示される)及びジ脂肪酸カルシウム及びエチレングリコールジ脂肪酸エステルを表16の組成で配合し溶融混練し、ポリアセタール樹脂組成物(組成物38〜42)を製造し、各組成物の諸物性を測定した。その結果を表16に示す。
【0093】
【産業上の利用可能性】
本発明の両末端ヒドロキシアルキル化水素添加ポリブタジエンブロックをBセグメントに持つポリアセタールABA型ブロックコポリマー及びこのブロックコポリマーを含む特定のポリアセタール樹脂組成物は、結晶核剤を添加しなくても、早い結晶化時間を有しており、また、大口径ギア材として必要な(1)ハイサイクル性(高い生産性)、(2)高い真円度、(3)優れた寸法安定性、及び(4)優れた耐久性の4つの特性を同時に満足させることができる。更に、本発明のポリアセタールABA型ブロックコポリマー及びこのブロックコポリマーを含む特定のポリアセタール樹脂組成物は、他の高分子化合物との相溶性又は無機フィラーとの密着性に優れ、成形体とした際、成形体表面において剥離現象が生じることがなく、また、優れたギア性能を発揮する。したがって、本発明のポリアセタールABA型ブロックコポリマー又はこのブロックコポリマーを含む特定のポリアセタール樹脂組成物は、ピッチ円径60mm以上の大口径ギアの成形材料として非常に有用なものである。
Claims (14)
- ポリアセタールセグメント(A)と、両末端がヒドロキシアルキル化された水素添加ポリブタジエンセグメント(B)とから構成される、下記の式(1)で表されるABA型ブロックコポリマーであって
[式中、Aは、95〜99.9モル%のオキシメチレン単位及び0.1〜5モル%の式(2)で表されるオキシアルキレン単位からなり
(式中、R2は、水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基から独立に選択され、jは2〜6から選ばれる整数である。)、
且つ末端が式(3)で表される構造であるポリアセタールコポリマー残基であり、
(式中、R2及びjは、式(2)において定義した通りである)
B’は、1,2結合含有量が70〜98モル%であり、1,4結合含有量が2〜30モル%であるポリブタジエンの水素添加物であって、ヨウ素価が20g−I2/100g以下の水素添加ポリブタジエンであり、
R1は、水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基からなる群から独立に選択され、
kは2〜6から選ばれる整数であり、2つのkは各々同一であっても異なっていてもよい。]、
両末端がヒドロキシアルキル化された水素添加ポリブタジエンセグメント(B)の数平均分子量が、500〜10,000であり、ABA型ブロックコポリマーの数平均分子量が、10,000〜500,000である、上記ABA型ブロックコポリマー。 - B’が、1,2結合含有量が80〜95モル%であり、1,4結合含有量が5〜20モル%であるポリブタジエンの水素添加物である、請求項1記載のABA型ブロックコポリマー。
- 請求項1又は2記載のABA型ブロックコポリマー20〜100重量%と、式(4)で表される数平均分子量10,000〜500,000のポリアセタールコポリマー0〜80重量%とを含む高分子化合物(I)100重量部、
(式中、R3及びR4は、水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基からなる群から独立に選択され、p=95〜99.9モル%、q=0.1〜5モル%、p+q=100モル%であり、zは2〜6から選ばれる整数である)
及び
数平均分子量が500以上の、ポリオレフィン系高分子化合物、ポリウレタン系高分子化合物、ポリエステル系高分子化合物、ポリスチレン系高分子化合物、ポリアクリル系高分子化合物及びポリアミド系高分子化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の高分子化合物(II)0.1〜200重量部
を含む、ポリアセタール樹脂組成物。 - 高分子化合物(II)が、α−オレフィン系高分子化合物からなるポリオレフィン系高分子化合物である、請求項3記載のポリアセタール樹脂組成物。
- α−オレフィン系高分子化合物が、エチレン単位10〜70モル%及びα−オレフィン単位30〜90モル%から構成され、且つ数平均分子量500〜10,000のエチレン−α−オレフィンランダムコポリマーであり、該コポリマーを0.1〜6重量部含む、請求項4記載のポリアセタール樹脂組成物。
- α−オレフィン系高分子化合物が、不飽和カルボン酸又はその酸無水物で変成されたα−オレフィン系コポリマーである、請求項4記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 高分子化合物(II)が、芳香族ビニルモノマー及びそれと共重合しうる共重合性不飽和モノマーとのコポリマーからなるポリスチレン系高分子化合物である、請求項3記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 高分子化合物(II)が、スチレンモノマーからなるブロック(a)と、イソプレンもしくはイソプレン−ブタジエンからなりビニル結合含有量が20モル%以上であるブロック(b)とから構成されるポリスチレン系高分子化合物である、請求項3記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 前記請求項3に記載の高分子化合物(I)100重量部、及び無機フィラ0.1〜100重量部を含むポリアセタール樹脂組成物。
- 前記請求項3に記載の高分子化合物(I)100重量部、前記請求項3に記載の高分子化合物(II)1〜20重量部、及び無機フィラー0.1〜100重量部を含むポリアセタール樹脂組成物。
- 請求項3〜10のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物と、2種以上の、炭素数12〜22のジ脂肪酸カルシウム0.01〜0.2重量部、及び/又は2種以上の、炭素数12〜22の脂肪酸とエチレングリコールとのエステル0.01〜0.9重量部
とを含むポリアセタール樹脂組成物。 - 請求項1若しくは2記載のABA型ブロックコポリマー、又は請求項3〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる成形体。
- 成形体がピッチ円径60mm以上の大口径ギアである、請求項12記載の成形体。
- 成形体がピッチ円径100mm以上の大口径ギアである、請求項12記載の成形体。
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