JP4540802B2 - カム環およびカム環製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する分野】
本発明は、カム溝を有するカム環、および、上記カム環を製造するカム環成形用金型、更に、上記カム環の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ズ―ムレンズ鏡筒等におけるカム環のカム溝には、光軸を回転中心とする可動レンズ保持枠に植設されているピンが同カム溝を貫通して係合るようになっているので、このカム溝の両側壁はその位置を問わず常に上記光軸と直交するような向きに形成する必要がある。このようにカム溝を形成したカム環を一投影面から観察した場合に、カム溝の両側壁がねじれた形となる。従って、このねじれたカム溝を有するカム環を金型で成形しようとしてもカム溝部から金型を抜くことが不可能であるため、金型を用いてこのようなカム溝の両側壁面が平行な成形加工は行なわれていなかった。
【0003】
そこで、カム環内面に有底のテーパ付き凹状カム溝を設け、この凹状カム溝に対する可動レンズ保持枠の係合を、球面体あるいはテ―パ状体等を介して行なわせる手段が考えられた。このようにすればカム環のカム溝が有底のテーパ付き凹状であるから、合成樹脂等を金型で成形してカム環を作成することも可能である。しかし、カムフォロワに上述のような球面体やテ―パ状体を用いているため、カム溝とカムフォロワとの間に大きな力が作用すると互いの嵌合が外れてしまうという不具合があった。
【0004】
それらの不具合を解決するために特開昭54−27425号公報に開示されたものは、図7(A),(B),(C)の斜視図に示すように有底溝を有する枠部材(内筒形成片)1,2,3を分割成形した後に、図7(D)の斜視図に示すように上記枠部材1,2,3の外側を外枠4で包持してカム環10を構成する形式のものである。
【0005】
また、特開昭60−42722号公報に開示されているものは、図8(A)のカム環の斜視図、および、図8(B)の上記カム環を成形する金型の断面図に示すように、ズ―ムレンズ用カム環5を樹脂によって一体成形するようにし、その場合に径が少なくとも肉厚分づつ順に小さくなった複数の円筒部5a,5b,5cを設ける。そして、径が変化する段部の形状を所定のカム形状とし、かつ、この段部と接する所にガイドピン挿入用の孔を設けて第1,第2のカム溝6,7としたものである。上記カム溝6,7の両側面には、それぞれ段差のあるカム面 6a,6bと7a,7bとが形成される。このカム環では成形時に型を軸方向の移動のみで行なうことができる利点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の特開昭54−27425号公報に開示されたカム環10は、枠部材を分割して組合わせているので組合わせ後の精度が落ちると共に、枠部材の外側を包持する関係上、二重構造となり、必然的に外形寸法が大きくなり、製造コストも上昇するという欠点があった。
【0007】
また、特開昭60−42722号公報に開示されたカム環5は、段部が複数個設けられることになるため、カム環5が太くなってしまい、レンズ枠外径も大きくなり、操作性,携帯性を損なうことになる。また、ガイドピンの接するカム面が上述のように段差があるので、上記ガイドピンを倒す方向の力が作用し、進退駆動上、好ましくない等の不具合があった。
【0008】
本発明は、上述の不具合を解決するためになされたものであり、金型により成形可能であって、平行な壁面を有するカム溝を有し、高精度であり、しかも、構造も簡単で製作コストも安価であるカム環を提供すること、また、上記カム環を製造する方法を提案すること、さらに、上記カム環を成形可能な金型を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のカム環は、内金型と外金型とで形成されるカム溝を有した樹脂製筒状のカム環において、上記カム溝は、該カム溝長手方向に連続して形成された第1のカム溝と第2のカム溝とを有し、上記カム環の円弧形状部に沿って螺旋状に形成され、上記カム溝の幅の中心と上記円弧の中心とを結ぶ直線に平行なカム溝壁が形成され、上記カム溝の長手方向に沿って、上記第1のカム溝における一対の壁面のうち一方の面を形成するため自己のスライド方向に対し正の傾斜面を持つ突起部である第1の外スライド面と、上記第2のカム溝における一対の壁面のうち一方の面を形成するため自己のスライド方向に対し正の傾斜面を持つ突起部である第2の外スライド面と、を有する上記外金型と、上記カム溝の長手方向に沿って、上記第1のカム溝における一対の壁面のうち他方の面を形成するため自己のスライド方向に対し正の傾斜面を持つ突起部である第1の内スライド面と、上記第2のカム溝における一対の壁面のうち他方の面を形成するため自己のスライド方向に対し正の傾斜面を持つ突起部である第2の内スライド面と、を有する上記内金型と、を備える金型により形成されたことを特徴とする。
【0010】
本発明のカム環製造方法は、内金型と外金型とで形成され、第1のカム溝と第2のカム溝が連続したカム溝を有した樹脂製筒状のカム環の製造方法であって、上記外金型は、上記カム溝の長手方向に沿って、上記第1のカム溝における一対の壁面のうち一方の面を形成するための第1の外スライド面と、上記第2のカム溝における一対の壁面のうち一方の面を形成するための第2の外スライド面と、を有し、上記内金型は、上記カム溝の長手方向に沿って、上記第1のカム溝における一対の壁面のうち他方の面を形成するための第1の内スライド面と、上記第2のカム溝における一対の壁面のうち他方の面を形成するための第2の内スライド面と、を有して、上記カム溝の幅中心と、上記カム溝が形成されるカム環の円弧形状部の円弧中心とを結ぶ直線に平行な一対のカム溝壁を形成することを特徴とする。
【0011】
本発明のカム環成形用金型は、第1のカム溝と第2のカム溝が連続したカム溝を有するカム環成形用であり、外金型と内金型とからなる金型であって、上記外金型は、上記カム溝の長手方向に沿って、上記第1のカム溝における一対の壁面のうち一方の面を形成するため自己のスライド方向に対し正の傾斜面を持つ突起部である第1の外スライド面と、上記第2のカム溝における一対の壁面のうち一方の面を形成するため自己のスライド方向に対し正の傾斜面を持つ突起部である第2の外スライド面と、を有し、上記内金型は、上記カム溝の長手方向に沿って、上記第1のカム溝における一対の壁面のうち他方の面を形成するため自己のスライド方向に対し正の傾斜面を持つ突起部である第1の内スライド面と上記第2のカム溝における一対の壁面のうち他方の面を形成するため自己のスライド方向に対し正の傾斜面を持つ突起部である第2の内スライド面と、を有して、上記カム溝の幅中心と、上記カム溝が形成されるカム環の円弧形状部の円弧中心とを結ぶ直線に平行な一対のカム溝壁を上記カム環に形成することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
図1,2は本発明の一実施形態を示すカム環のモールド成形(射出成形)用金型の断面図に上記カム環の外周側からみた平面図を合わせて描いた図であり、図1は、金型嵌合状態での断面図であり、図2は、図1の状態から金型がスライド移動した状態での断面図である。図3は上記金型を用いて製作したカム環の斜視図であり、図4は上記金型の要部斜視図である。
【0013】
なお、以下に説明する金型成形時の抜き勾配(金型の傾斜面)に関して次のように定義する。すなわち、図6(A),(B)は、モールド成形時の金型スライド方向に対する金型の傾斜面の正負を定義するための断面図であって、図6(A)に示すように金型をD方向にスライドさせたとき、アンダーカットにならない抜き勾配の傾斜面を正の傾斜面とし、図6(B)に示すように金型をD方向にスライドさせたとき、アンダーカットになる抜き勾配の傾斜面を負の傾斜面とする。
【0014】
図1,2,3に示すように、本実施形態のカム環11は、樹脂材料により射出成形される部材であって、所定の厚さと直径と長さとを有する筒状をなすカム部材である。このカム環11の外周(円弧形状部)には螺旋状のカム溝12が形成されていて、このカム溝12の形状は、該カム溝12の溝幅と略等しい直径を有する平行ピンの軸部(図示せず)が常に上記カム環11の中心O(上記円弧の中心軸)に向けて垂直な状態で移動したときの軌跡となっている。
【0015】
そして、図1,2に示す上記カム溝12は、カム溝長手方向の分割位置12fを境にしてカム環11の前方側E1 の第1のカム溝と後方側E2 の第2のカム溝が連続して形成された螺旋状のカム溝とする。但し、上記カム溝長手方向の分割位置12fとは、後述の金型スライド方向W,Xに平行で、かつ、カム環11の中心Oを通る直線上にあり、言い換えれば、カム溝12の上記抜き勾配の傾斜面の正負(アンダーカット状態)が切り換わる位置である。
【0016】
上記第1のカム溝における対向する一対のカム溝壁面(対向壁)の内壁面12a(後述する第1の外スライド面が対応)と内壁面12b(後述する第1の内スライド面が対応)、また、上記第2のカム溝の対向する一対のカム溝壁面(対向壁)の内壁面12c(後述する第2の内スライド面が対応)と内壁面12d(後述する第2の外スライド面が対応)は、共にカム溝12の幅の中心と上記カム環11の中心O(カム環を形成する円弧の中心軸)とを結ぶ直線に対して平行な壁面を形成している。
【0017】
上記カム溝12は、上述のようにカム環11に螺旋状に形成されているので、図1に示すカム環11の外周側からみた平面図上では、このカム溝12の両内壁面の一部である第1の外スライド面12aと第2の外スライド面12dとは、上記カム環11の外周側から観察することができる。また、第1の内スライド面12bと第2の内スライド面12cとは、図中点線で示すように外側から観察することはできない。
【0018】
なお、上記「外スライド面」あるいは「内スライド面」と称しているのは、後述する外金型13によって形成される上記カム溝12の内壁面を上記「外スライド面」と称し、同様に後述する内金型14によって形成される上記カム溝12の内壁面を上記「内スライド面」と称している。上記カム溝12の内壁面は、第1,第2の外スライド面12a,12dと第1,第2の内スライド面12b,12cとによって形成されることになる。
【0019】
上述した形状のカム溝12を有するカム環11を成形するための金型として、図1,2,4に示す構造を持つモ―ルド成形(射出成形)金型10を適用する。そのモ―ルド成形金型10は、外金型(以下、外型と記載する)13と内金型(以下、内型と記載する)14と2個の内補助金型15,16とで構成される。
【0020】
なお、外型13は、図1に矢印方向(スライド方向)Wで示すカム環11の中心Oから離れる半径方向にスライドするようになっており、内型14は、図1の矢印方向(スライド方向)Xで示すカム環11の中心Oから半径方向にスライドするようになっている。また、内補助金型15,16は、図1の矢印方向Y,Zに沿って内型14上を内側にスライドするようになっている。但し、このスライドをさせるためのスライド機構部材は、図示していない。
【0021】
さらに、上記内型14、および、外型13の形状の詳細について説明する。 まず、内型14については、カム溝12内に金型10が嵌入している状態の図1に示すようにカム環の平面図上のA−A断面における内型14の断面形状は、扇形形状である。また、カム環外周からみた内型14の平面形状は長方形をなしている(図4参照)。上記扇形形状部分の外周14Pの半径は、カム環11の内径、すなはち、前記カム環11の円弧形状内周の半径に等しく形成されている。そして、上記内型14の上面14Pにはカム環11の半径方向に対し、次に述べるような所定の角度を有する突起部14Wが形成されている。
【0022】
上記突起部14Wは、図4に示すように、カム環11のカム溝12と同一の幅および長さを有していて、後述する中立面14fを境にして互いに反対方向に傾斜している2つの面である第1,第2の内パ―ティング面14b,14eを形成している。
【0023】
即ち、上記第1の内パ―ティング面14bは、平面形状が細長いややよじれた長方形をしていて、図1に示すように断面形状は細長い三角形をしている。この三角形の短辺を含む面は、カム溝12の第1の内スライド面12bに形成するための第1の内スライド面14aとなり、この第1の内スライド面14aは、上記内型14のスライド方向(中心Oに向う方向)に対してアンダ―カットにならない傾斜角を有する正の傾斜面(前記図6(A)参照)を有するように形成されている。すなわち、図4に示すように、中立面14fを境にした突起部14Wの前方の全長(長手方向の約半分)に亘って上記第1の内スライド面14aは上記正の傾斜面を有するように形成されている。
【0024】
また、一方の上記第2の内パ―ティング面14eは、図4に示すように、上記突起部14Wの略中央部の後述する中立面14fから後方にかけて形成され、上記第1の内パ―ティング面14bとは逆方向の傾斜を有するパ―ティング面である。そして、上述と同様にカム溝12の第2の内スライド面12cに形成するための正の傾斜面を有する第2の内スライド面14cが設けらている。
【0025】
なお、上記中立面14fは、上記第1の内パ―ティング面14bと第2の内パ―ティング面14eとが切換る面であって、それぞれ上記第1,第2の内パ―ティング面14b,14eから見ると互いに相手の中立面14fは、三角形の側面を露呈している。そして、上記中立面14fは、上述したカム環11のカム溝12上のカム溝長手方向の分割位置12fに対応する。
【0026】
また、上記第1の内パ―ティング面14bの手前端部は右半分が手前方向に対し下るように形成され、左半分は逆に上るように形成されている。そして、上記第2の内パ―ティング面14eの後方端部は右半分が上る方向に形成され、左半分が下る方向に形成されている。これら手前端部および後方端部は次に述べる外金型13に形成されている端部と相俟ってぴったりと接合するようになっている。従って、溶融した合成樹脂が入り込まないようになっている。
【0027】
次に、上記外型13について説明すると、この外型13は、図4に示すように厚い板状の長方形をしていて、下面にはカム環11の前記円弧形状部の外周と同一の半径を有する円弧面13Pが形成されている。この円弧面13Pから下方に向けて上記突起部14Wと対称的な傾斜面を有する突起部13Wが形成されており、その突起部13Wは、第1,第2の外パ―ティング面13b,13eと、上記第1,第2の外パ―ティング面13b,13eの境界面となる中立面13f、および、前,後方端部の形成部を有している。なお、上記中立面13fは、カム溝12上のカム溝長手方向の分割位置12fに対応する。
【0028】
そして、上記第1の外パ―ティング面13bに対応する側面には第1の外スライド面13aが形成されており、同様に第2の外パ―ティング面13eに対応する側面には、第2の外スライド面13cが形成されている。そして、図1に示すように外型13のスライド方向(中心Oから離れる方向)Wに対して、上記第1,第2の外スライド面13a,13cは、いずれも前記図6(A)に示した正の傾斜面を形成している。なお、上記第1,第2の外スライド面13a,13cは、前記カム溝12の第1,第2の外スライド面12a,12dを形成するためのスライド面となる。
【0029】
上述した金型10を用いてカム環11を成形するには、まず、図1に示す嵌合状態に上記金型10を固定し、外型13と内型14とによってカム環11およびカム溝12の型(キャビティ)を形成する。この状態で適宜の手段で溶融した合成樹脂が注入されると、カム溝12となる上記突起部13Wと14Wとはぴったり当接しているので、この部分には上記樹脂が回らず、その他の部分には同樹脂が回る。
【0030】
そして、所定の時間が経過すると上記樹脂が硬化するので、図2に示すように外型13を外方へスライドさせ、補助金型15,16および内型14をそれぞれ矢印Y,Z,Xで示す内方へスライドさせる。
【0031】
上記スライド動作時、外側から投影したカム溝12の内壁面、即ち、第1,第2の外スライド面12a,12dはそれぞれ外型13のスライド方向に対して正の傾斜面を有する第1,第2の外スライド面13a,13cと対応しているので、上記外型13を容易に外側へスライドさせることができる。また、カム環11の内側から見えるカム溝12の内壁面である第1,第2の内スライド面12b,12cは、内型14のスライド方向に対し正の傾斜面を有する第1,第2の内スライド面14a,14cに対応するため、上記内型14を容易に内側へとスライドさせることができる。
【0032】
次に、上記一実施形態に適用したモールド成形用金型10に対する変形例について、図5のモールド成形用金型およびカム環の断面図に基づいて説明する。 図5に示すようにカム溝22を有するカム環21は、本変形例のモールド成形用金型20の外型23と内型24と補助金型25,26等により形成される型(キャビティ)に溶融した合成樹脂を流し込んで成形されるが、上記金型20は、前記金型10に対してパーティング面の形状が異なり、その他の構造は、同一である。以下、異なる部分についてのみ説明する。
【0033】
上記金型20においては、カム溝22の外スライド面22aを形成するための外型23の外スライド面23aの先端部である外スライド頂点23cが、内型24上でカム環21の内周面対応位置より内側に入り込むように形成されている。
【0034】
また、カム溝22の内スライド面22bを形成するための内型24の内スライド面24aの先端部である内スライド頂点24cが、外型23上でカム環21の外周面対応位置より外側に入り込むように構成されている。
【0035】
そして、外型23と内型24とのそれぞれの外スライドパ―ティング面23bと内スライドパ―ティング面24bとは互いに当接し合っている。
【0036】
上述のような構造を有する金型20に対して図5に示した金型嵌合状態で前述と同様に溶融した樹脂が注入されると、カム環21にはカム溝22となる部分を除いて上記樹脂が回っていく。そして、所定時間後、外型23を外方へ、内型24を内方へスライドさせるとカム溝22を有するカム環21が成形される。なお、上記カム溝22は、該カム溝22の幅の中心と上記カム環21の中心O(カム環を形成する円弧の中心軸)とを結ぶ直線に対して平行な壁面を形成する。
【0037】
本変形例の金型20を適用すると、カム溝の内壁面を形成するパーティング部分を相手の金型に食い込むようにしているので、上記金型20の合わせの隙間に入り込んだ樹脂によるバリがカム環21の中心O1 から放射方向に発生するが、カム溝の幅方向にはバリが発生しない。したがって、カム溝の幅精度が向上し、カムフォロワ(従動ピン)との嵌合精度が向上すると共に、バリ取加工等の2次加工が不要、あるいは、簡単になり、コスト低減にも効果がある。
【0038】
上述した本発明の実施形態に基づいて、
(1) カム溝を有した樹脂製筒状のカム環において、
上記カム溝は、上記カム環の円弧形状部に沿って螺旋状に形成され、このカム溝の幅の中心から上記円弧の中心を結ぶ直線に平行なカム溝壁を有することを特徴とするカム環を提案することができる。
【0039】
(2) 内金型と外金型とで形成されるカム溝を有した樹脂製筒状のカム部材において、
上記内金型と外金型とで形成される上記カム溝は、螺旋状に形成され、このカム溝の幅中心から上記カム溝が形成されるカム環の円弧形状部の円弧の中心を結ぶ直線に平行なカム溝壁を有することを特徴とするカム部材を提案することができる。
【0040】
(3) カム溝を有した樹脂製筒状のカム部材において、
上記カム溝は、上記カム環の円弧形状部に沿って螺旋状に形成され、このカム溝の幅の中心と上記円弧の中心とを結ぶ直線に平行なカム溝壁を有することを特徴とするカム部材を提案することができる。
【0041】
(4) カム溝を有した樹脂製筒状のカム環において、
上記カム溝内に形成される対向壁を互いに平行に、かつ、螺旋状に形成したことを特徴とするカム環を提案することができる。
【0042】
(5) カム溝を有した樹脂製筒状のカム環において、
上記カム溝内に形成される対向壁を互いに平行に形成したことを特徴とするカム環を提案することができる。
【0043】
(6) 内金型と外金型とで形成されるカム溝を有した樹脂製筒状のカム環において、
上記カム溝の対向壁の一方は、上記内金型で形成され、他方は、上記外金型で形成され、かつ、螺旋状に形成されたことを特徴とするカム環を提案することができる。
【0044】
(7) 内金型と外金型とで螺旋状に形成されるカム溝を有した樹脂製筒状のカム環の製造方法において、
上記カム溝の溝長手方向に直角な断面において、上記カム溝の幅中心から上記カム溝が形成されるカム環の円弧形状部の円弧の中心を結ぶ直線に平行な一対のカム溝壁の一方を上記内金型で形成し、他方を上記外金型で形成することを特徴とするカム環の製造方法を提案することができる。
【0045】
(8) 内金型と外金型とで螺旋状に形成されるカム溝を有した樹脂製筒状のカム部材の製造方法において、
上記カム溝の幅中心から上記カム溝が形成されるカム部材の円弧形状部の円弧の中心を結ぶ直線に平行な一対のカム溝壁の一方を上記内金型で形成し、他方を上記外金型で形成することを特徴とするカム環の製造方法を提案することができる。
【0046】
(9) 内金型と外金型とで螺旋状に形成されるカム溝を有した樹脂製筒状のカム環の製造方法において、
上記カム溝の対向壁の一方は、上記内金型で形成し、他方を上記外金型で形成することを特徴とするカム環の製造方法を提案することができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、螺旋状のカム溝であって、傾斜面ではなく、平行な内壁面を有するカム溝を設けた高精度なカム環を金型により安価に製作することができ、また、上記カム環を成形するための金型を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すカム環のモールド成形用金型の嵌合状態での要部断面図にカム環の平面図を合わせて描いた図。
【図2】上記一実施形態であるカム環のモールド成形用金型が図1の状態からスライド移動動作した状態を示す要部断面図にカム環の平面図を合わせて描いた図。
【図3】上記一実施形態のカム環であって、図1に示す金型で成形されたカム環の外観を示す斜視図。
【図4】上記一実施形態のカム環のモールド成形用金型の要部斜視図。
【図5】上記一実施形態のカム環のモールド成形用金型の変形例の金型の要部断面図。
【図6】モールド成形時の金型スライド方向に対する金型の傾斜面の正負を定義するための断面図であって、図6(A)が正の傾斜面を示し、図6(B)が負の傾斜面を示す。
【図7】従来のカム溝を有する複合カム環の斜視図であって、図7(A),(B),(C)は、複合カム環を構成する各枠部材(内筒形成片)の斜視図であり、図7(D)は、複合カム環の斜視図である。
【図8】別の従来のカム溝を有するカム環とそのカム環を成形する金型の形状を示す図であって、図8(A)は、上記カム環の斜視図であり、図8(B)は、上記金型の断面図である。
【符号の説明】
10,20
……カム環成形用金型
(モ―ルド成形用金型)
11,21
……カム環
12,22
……カム溝
12a,12b,12c,12d,22a,22b
……内壁面(カム溝壁)
13 ……外型(外金型)
13W,14W
……突起部
13a,13c
……外スライド面(正の傾斜面)
14 ……内型(内金型)
14a,14c
……内スライド面(正の傾斜面)
Claims (3)
- 内金型と外金型とで形成されるカム溝を有した樹脂製筒状のカム環において、
上記カム溝は、
該カム溝長手方向に連続して形成された第1のカム溝と第2のカム溝とを有し、
上記カム環の円弧形状部に沿って螺旋状に形成され、
上記カム溝の幅の中心と上記円弧の中心とを結ぶ直線に平行なカム溝壁が形成され、
上記カム溝の長手方向に沿って、上記第1のカム溝における一対の壁面のうち一方の面を形成するため自己のスライド方向に対し正の傾斜面を持つ突起部である第1の外スライド面と、上記第2のカム溝における一対の壁面のうち一方の面を形成するため自己のスライド方向に対し正の傾斜面を持つ突起部である第2の外スライド面と、を有する上記外金型と、
上記カム溝の長手方向に沿って、上記第1のカム溝における一対の壁面のうち他方の面を形成するため自己のスライド方向に対し正の傾斜面を持つ突起部である第1の内スライド面と、上記第2のカム溝における一対の壁面のうち他方の面を形成するため自己のスライド方向に対し正の傾斜面を持つ突起部である第2の内スライド面と、を有する上記内金型と、
を備える金型により形成されたことを特徴とするカム環。 - 内金型と外金型とで形成され、第1のカム溝と第2のカム溝が連続したカム溝を有した樹脂製筒状のカム環の製造方法であって、
上記外金型は、上記カム溝の長手方向に沿って、上記第1のカム溝における一対の壁面のうち一方の面を形成するための第1の外スライド面と、上記第2のカム溝における一対の壁面のうち一方の面を形成するための第2の外スライド面と、を有し、
上記内金型は、上記カム溝の長手方向に沿って、上記第1のカム溝における一対の壁面のうち他方の面を形成するための第1の内スライド面と、上記第2のカム溝における一対の壁面のうち他方の面を形成するための第2の内スライド面と、を有して、
上記カム溝の幅中心と、上記カム溝が形成されるカム環の円弧形状部の円弧中心とを結ぶ直線に平行な一対のカム溝壁を形成する
ことを特徴とするカム環製造方法。 - 第1のカム溝と第2のカム溝が連続したカム溝を有するカム環成形用であり、外金型と内金型とからなる金型であって、
上記外金型は、上記カム溝の長手方向に沿って、上記第1のカム溝における一対の壁面のうち一方の面を形成するため自己のスライド方向に対し正の傾斜面を持つ突起部である第1の外スライド面と、上記第2のカム溝における一対の壁面のうち一方の面を形成するため自己のスライド方向に対し正の傾斜面を持つ突起部である第2の外スライド面と、を有し、
上記内金型は、上記カム溝の長手方向に沿って、上記第1のカム溝における一対の壁面のうち他方の面を形成するため自己のスライド方向に対し正の傾斜面を持つ突起部である第1の内スライド面と上記第2のカム溝における一対の壁面のうち他方の面を形成するため自己のスライド方向に対し正の傾斜面を持つ突起部である第2の内スライド面と、を有して、
上記カム溝の幅中心と、上記カム溝が形成されるカム環の円弧形状部の円弧中心とを結ぶ直線に平行な一対のカム溝壁を上記カム環に形成する
ことを特徴とするカム環成形用金型。
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