[go: up one dir, main page]

JP4536275B2 - 体積型ホログラム記録用感光性組成物及び体積型ホログラム記録用感光性媒体 - Google Patents

体積型ホログラム記録用感光性組成物及び体積型ホログラム記録用感光性媒体 Download PDF

Info

Publication number
JP4536275B2
JP4536275B2 JP2001033716A JP2001033716A JP4536275B2 JP 4536275 B2 JP4536275 B2 JP 4536275B2 JP 2001033716 A JP2001033716 A JP 2001033716A JP 2001033716 A JP2001033716 A JP 2001033716A JP 4536275 B2 JP4536275 B2 JP 4536275B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hologram recording
volume hologram
organic
photosensitive composition
different
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001033716A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002236439A (ja
Inventor
浩幸 大滝
俊夫 吉原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP2001033716A priority Critical patent/JP4536275B2/ja
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to EP11158613.7A priority patent/EP2336825B1/en
Priority to EP11158609.5A priority patent/EP2328026B1/en
Priority to EP02250839.4A priority patent/EP1231511B1/en
Priority to US10/072,201 priority patent/US7323275B2/en
Publication of JP2002236439A publication Critical patent/JP2002236439A/ja
Priority to US11/985,803 priority patent/US7550234B2/en
Priority to US12/056,062 priority patent/US7629086B2/en
Application granted granted Critical
Publication of JP4536275B2 publication Critical patent/JP4536275B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyethers (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Holo Graphy (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は体積型ホログラムを記録できる新規感光性組成物、それを用いた体積型ホログラム記録媒体、及び、当該記録媒体を用いて作製した体積型ホログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
体積型ホログラムを製造するための感光性組成物としては、デュポン社のオムニデックスシリーズが唯一量産レベルで市販されている。この材料はラジカル重合モノマーとバインダーポリマー、光ラジカル重合開始剤、増感色素を主成分とするが、ラジカル重合モノマーとバインダーポリマーの屈折率差を利用したものである。すなわち、フィルム状に形成された該感光性組成物を干渉露光すると、光が強い部分にてラジカル重合が開始され、それに伴いラジカル重合モノマーの濃度勾配ができ、光が弱い部分から強い部分にラジカル重合モノマーの拡散移動が起こる。結果として干渉光の光の強弱に応じて、ラジカル重合モノマーの疎密ができ、屈折率の差として現れる。この材料系は現状報告されている体積型ホログラム用フォトポリマーとしては最も性能は良いが、耐熱性、透明性に問題が指摘されている。
【0003】
また、ラジカル重合とカチオン重合を併用した材料系が報告されている。例えば特許第2873126号では、高屈折率ラジカル重合性モノマーとしてジアリルフルオレン骨格を有するモノマー及び該ラジカル重合性モノマーより屈折率が小さいカチオン重合性モノマーを使用した系が開示されている。この系では、ホログラム露光時にラジカル重合により高屈折率成分が重合し、次いで定着露光でカチオン重合により像を固定する。
【0004】
また、カチオン重合を利用した材料系が、例えばUSP5759721等に開示されている。この材料系ではラジカル重合系における酸素阻害がないという利点があるが、カチオン重合の感度(Photospeed)は悪く、また、長波長領域に感度を持たせることが困難という問題がある。
【0005】
また、特許第2953200号には、無機物質ネットワークと光重合性モノマーを併用した材料系が開示されている。ネットワークを形成し得る無機材料をバインダーとして用いる場合には、耐熱性、対環境性、機械強度に優れると共に、光重合性の有機モノマーとの屈折率差を大きく取れるという利点があるが、この材料系で形成したホログラム記録膜はどちらかと言えば脆くて、柔軟性や加工適性、コーティング適性に劣るという問題、及び、無機バインダーと有機モノマーの相溶性が良くないので、均一な塗工材料を調製するのが困難だという問題がある。
【0006】
同特許第2953200号には、無機物質ネットワーク中に有機基を導入することによって無機バインダーに柔軟性を付与し、ホログラム記録膜の脆さを改善することも開示されている。しかし、同特許第2953200号は、側鎖に有機部を有する有機金属化合物又は有機モノマーと重合可能な官能基を有する有機金属化合物を加水分解、重縮合することによって無機ネットワーク中に有機基を導入することが開示されているだけである。すなわち、同特許第2953200号の開示によれば、無機ネットワークのネットワーク構造自体は無機化合物が相互に連結した鎖により構成され、有機基は無機ネットワークのネットワーク構造にペンダント状の側鎖として導入されるだけなので、無機ネットワークの剛直な構造を本質的に変化させるものではない。
【0007】
また、特表2000−508783号では、固体マトリックスに金属超微粒子を分散した材料がホログラム記録材料として開示されているが、マトリックスに流動性を持たせる必要があり、固形性が悪く問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
体積型ホログラム記録膜を形成するために様々な材料系が開示されているが、光学素子等の広範な分野への応用を視野に入れると十分ではなく、屈折率差、感度、透明性などのホログラム記録性能だけでなく、耐熱性、膜強度、対環境性、機械強度、柔軟性、加工適性、コーティング適性などの物理的性質を含む諸性能を十分に満たす材料系が要望されている。
【0009】
本発明は、上記実状に鑑みて成し遂げられたものであり、諸性能に優れたホログラム記録材料、それを用いた体積型ホログラム記録媒体、及び、体積型ホログラムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明により提供される体積型ホログラム記録用感光性組成物は、主鎖構成成分として少なくとも下記一般式(1)で表記される有機金属化合物とエチレン性不飽和二重結合を有する有機モノマーとを共重合させてなる有機−無機ハイブリッドポリマー及び/又はその加水分解重縮合物、光重合性化合物、及び、光重合開始剤を含有することを特徴としている。
【0011】
RmM(OR’)n 一般式(1)
(上記式において、Mは金属原子、Rは同一でも異なってもよく炭素数1〜10のエチレン性二重結合含有基、R’は同一でも異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基を表し、m+nは金属Mの価数、m≧1、n≧1である。)
【0012】
バインダーポリマーとして上記の有機−無機ハイブリッドポリマー又はその部分的加水分解重縮合物を含有する体積型ホログラム記録用感光性組成物を基材上に塗布してから加水分解、重縮合するか、有機−無機ハイブリッドポリマーの加水分解縮合物を含有する体積型ホログラム記録用感光性組成物を基材上に塗布し、乾燥させることによって、諸性能に優れたホログラム記録材料層が形成され、体積型ホログラム記録用感光性媒体が得られる。
【0013】
このようにして得られる本発明の体積型ホログラム記録用感光性媒体は、主鎖構成成分として少なくとも下記一般式(1)で表記される有機金属化合物とエチレン性不飽和二重結合を有する有機モノマーとを共重合させてなる有機−無機ハイブリッドポリマーの加水分解重縮合物と、光重合性化合物と、光重合開始剤とを少なくとも含有する体積型ホログラム記録材料層を基材上に設けたことを特徴としている。
【0014】
RmM(OR’)n 一般式(1)
(上記式において、Mは金属原子、Rは同一でも異なってもよく炭素数1〜10のエチレン性二重結合含有基、R’は同一でも異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基を表し、m+nは金属Mの価数、m≧1、n≧1である。)
【0015】
そして、本発明に係る体積型ホログラム記録用感光性媒体のホログラム記録材料層は干渉露光により干渉縞を生じてホログラム層となり、体積型ホログラムが得られる。
【0016】
本発明においては、バインダーポリマーとして有機−無機ハイブリッドポリマー及び/又はその加水分解重縮合物を用いるが、この有機−無機ハイブリッドポリマーとしては高い屈折率のものを選定することができるので、光重合性化合物との屈折率差を大きくとることが可能であり、屈折率変調量(Δn)の大きい体積型ホログラムが得られる。
【0017】
また、本発明に係る体積型ホログラム記録用感光性組成物を基材フィルム上に塗工して形成したホログラム記録材料層、及び、そこに干渉露光を行って干渉縞を生じさせて得られるホログラム層は、有機−無機ハイブリッドポリマーの加水分解重縮合物により形成されたネットワーク構造の間隙に光重合性成分や光重合開始剤などの他の成分が入り込んだ構造をとっている。従って、ネットワーク構造を形成する連鎖内に柔軟な部分が挿入されているので、膜物性として有機ポリマーの持つ柔軟性、無機ポリマーの持つ強靭性、耐熱性を併せ持ち、実用上、加工適性に優れている。
【0018】
本発明の一態様において、体積型ホログラム記録用感光性組成物は、下記一般式(2)で表記される有機金属化合物を含有することを特徴とする。
【0019】
M’R”n’ 一般式(2)
(上記式において、M’は金属原子、R”は同一でも異なってもよく、ハロゲン、炭素数10以下のアルキル基、アルコキシル基若しくはアシルオキシ基、又は、ヒドロキシル基であり、これらの基は全部又は一部がキレート配位子により置き換えられていてもよい。n’は金属M’の価数である。)
【0020】
また、別の態様において、体積型ホログラム記録用感光性組成物は、前記加水分解重縮合物として、前記有機−無機ハイブリッドポリマー及び/又はその加水分解重縮合物と上記一般式(2)で表記される有機金属化合物との加水分解重縮合物が配合されている。
【0021】
これらの態様に属する体積型ホログラム記録用感光性組成物を用いて体積型ホログラム記録用感光性媒体を作製する場合には、前記体積型ホログラム記録材料層は、バインダーとして、前記有機−無機ハイブリッドポリマー及び/又はその加水分解重縮合物と上記一般式(2)で表記される有機金属化合物との加水分解重縮合物を含有する。
【0022】
上記有機金属化合物を配合することにより、バインダーと光重合性化合物の屈折率差を向上させることができる。また、有機金属化合物は、有機−無機ハイブリッドポリマーと共にネットワークを形成するため、バインダーの屈折率を上げるだけでなく、膜の強靭性、耐熱性を向上させる効果もある。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明により提供される体積型ホログラム記録用感光性組成物は、主鎖構成成分として少なくとも下記一般式(1)で表記される有機金属化合物とエチレン性不飽和二重結合を有する有機モノマーとを共重合させてなる有機−無機ハイブリッドポリマー及び/又はその加水分解重縮合物、光重合性化合物、及び、光重合開始剤を必須成分として含有し、必要に応じて、有機金属化合物や増感色素などの他の成分を含有するものである。
【0024】
RmM(OR’)n 一般式(1)
(上記式において、Mは金属原子、Rは同一でも異なってもよく炭素数1〜10のエチレン性二重結合含有基、R’は同一でも異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基を表し、m+nは金属Mの価数、m≧1、n≧1である。)
【0025】
バインダーポリマーとして上記の有機−無機ハイブリッドポリマー又はその部分的加水分解重縮合物を含有する体積型ホログラム記録用感光性組成物を基材上に塗布してから加水分解、重縮合するか、有機−無機ハイブリッドポリマーの加水分解縮合物を含有する体積型ホログラム記録用感光性組成物を基材上に塗布し、乾燥させることによって、諸性能に優れたホログラム記録材料層が得られる。
【0026】
有機−無機ハイブリッドポリマーは、主鎖構成成分として少なくとも下記一般式(1)
RmM(OR’)n 一般式(1)
(上記式において、Mは金属原子、Rは同一でも異なってもよく炭素数1〜10のエチレン性二重結合含有基、R’は同一でも異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基を表し、m+nは金属Mの価数、m≧1、n≧1である。)
で表記される有機金属化合物とエチレン性不飽和二重結合を有する有機モノマーとを共重合させてなる共重合体、好ましくはランダム共重合体である。
【0027】
一般式(1)において、金属原子Mとしては、例えば、Si,Ti,Zr,Zn,In,Sn,Al,Se等が用いられる。金属としてSiを使用する場合の化合物としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリアリルオキシシラン、ビニルテトラエトキシシラン、ビニルテトラメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
【0028】
また、エチレン性不飽和二重結合を有する有機モノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル類が例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
有機−無機ハイブリッドポリマーは、一般式(1)で表される有機金属化合物のエチレン性二重結合含有基と、有機モノマーのエチレン性不飽和二重結合とを一般的な方法で付加重合反応させることにより製造できる。例えば、有機金属化合物と有機モノマーとをベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類などの溶剤に投入し、さらに過酸化ベンゾイル、アゾイソブチロニトリルなどの重合開始剤を添加し、加熱しながらラジカル重合させた後、溶剤を除去することによって有機−無機ハイブリッドポリマーを製造することができる。
【0030】
この有機−無機ハイブリッドポリマーをゾル−ゲル反応により加水分解、重縮合すると、有機−無機ハイブリッドポリマーの異なる分子又は同一分子内の有機金属化合物部分が架橋し、ネットワーク(網目構造)を形成する。このネットワーク構造は、有機金属化合物由来の主鎖成分と有機モノマー由来の主鎖成分との連鎖により構成されている。従って、無機化合物のみ連鎖したネットワーク上に有機基を側鎖としてペンダント状に導入する特許第2953200号開示の無機バインダーポリマーとは構造的に異なっており、有機−無機ハイブリッドポリマーはネットワークを構成する連鎖内に柔軟な部分が挿入されているので、膜物性として有機ポリマーの持つ柔軟性と共に無機ポリマーの持つ強靭性や耐熱性を併せ持ち、実用上、特許第2953200号開示のものと比べて、より加工適性に優れている。
【0031】
また、有機−無機ハイブリッドポリマーは、従来の有機ポリマーバインダーと比べて屈折率の高い材料を選定することが可能である。ホログラム性能の指標の一つにKogelnik理論により計算される屈折率変調量(Δn)がある。Δnは感材中に入射した干渉光に応じて形成される屈折率分布における屈折率差を示すものであるが、このΔnが大きい程、優れたホログラムとなる。従来の有機ポリマーバインダーよりも屈折率の高いバインダーとして有機−無機ハイブリッドポリマーを選定することにより、後述する屈折率変調成分としての光重合性化合物との屈折率差を大きく取ることができるので、Kogelnik理論により計算される屈折率変調量(Δn)が大きくなり、性能面で有利である。
【0032】
さらに、有機−無機ハイブリッドポリマーは、有機モノマーから誘導される主鎖構成成分を含有しているので光重合性化合物に対する相溶性が良好であり、バインダーとして無機化合物を用いる場合と比べて、体積型ホログラム記録用感光性組成物を均一な塗工液に調製し易い。
【0033】
本発明の体積型ホログラム記録用感光性組成物は、バインダーポリマーとして、前記有機−無機ハイブリッドポリマーの部分的な又は完全な加水分解縮合物を用いても良いし、有機−無機ハイブリッドポリマーとその部分的又は完全加水分解縮合物との混合物を用いても良い。
【0034】
本発明の体積型ホログラム記録用感光性組成物は、バインダーポリマーとして、用途に応じて、前記有機−無機ハイブリッドポリマーと各種有機ポリマーとを混合して用いてもよい。有機ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル又はそれらの部分加水分解物、ポリ酢酸ビニル又はその部分加水分解物、ポリビニルアルコール又はその部分アセタール化物、トリアセチルセルロース、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、シリコーンゴム、ポリスチレン、ポリビニルブチラール、ポリクロロプレン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール又はその誘導体、ポリ−N−ビニルピロリドン又はその誘導体、スチレンと無水マレイン酸の共重合体またはその半エステル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリルニトリル、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル等の共重合可能なモノマー群の少なくとも一つを重合成分とする共重合体を例示することができる。
【0035】
また、更にバインダーと光重合性化合物の屈折率差を向上させるため、下記一般式(2)で表記される有機金属化合物を、体積型ホログラム記録用感光性組成物に添加することもできる。
【0036】
M’R”n’ 一般式(2)
(上記式において、M’は金属原子、R”は同一でも異なってもよく、ハロゲン、炭素数10以下、好ましくは4以下のアルキル基、アルコキシル基若しくはアシルオキシ基、又は、ヒドロキシル基であり、これらの基は全部又は一部がキレート配位子により置き換えられていてもよい。n’は金属M’の価数である。)
【0037】
一般式(2)において、金属原子M’としては、例えば、Si,Ti,Zr,Zn,In,Sn,Al,Se等が用いられる。高屈折率型のバインダーと低屈折率型の光重合性化合物とを組み合わせて用いる場合には、両者の屈折率差を上げるため、金属(M’)は出来るだけ高い屈折率を持つものを使用するのが好ましい。そのような金属化合物としては、例えば、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリn−プロポキシアルミニウム、トリn−ブトキシアルミニウム、トリsec−ブトキシアルミニウム、トリtert−ブトキシアルミニウム、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラn−ブトキシジルコニウム、テトラsec−ブトキシジルコニウム、テトラtert−ブトキシジルコニウム、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn−プロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトラsec−ブトキシチタン、テトラtert−ブトキシチタンや、これらとアセチルアセトン、アセト酢酸エチル、アルカノールアミン類、グリコール類、又は、それらの誘導体との錯体等を例示できる。
【0038】
一般式(2)で表記される有機金属化合物を体積型ホログラム記録用感光性組成物に添加すると、水、酸触媒の存在下でゾルゲル反応により、上記有機−無機ハイブリッドポリマーと共にネットワークを形成するため、バインダーの屈折率を上げるだけでなく、膜の強靭性、耐熱性を向上させる効果もある。
【0039】
有機−無機ハイブリッドポリマーと一般式(2)で表される有機金属化合物は、通常、両者を混合後に加水分解、重縮合させることにより、両者が混在するネットワークを形成するが、原理的には、いずれか一方又は両方を部分加水分解重縮合させてから混合し、混合後さらに加水分解、重縮合させることによっても両者が混在するネットワークを形成することが可能である。
【0040】
光重合性化合物は、干渉露光時に強露光部の屈折率を変調させて干渉縞を形成するための成分(屈折率変調成分)である。光重合性化合物としては、当該光重合性化合物を重合させて得られる重合体の屈折率が上記有機−無機ハイブリッドポリマーの加水分解重縮合物と屈折率が異なるもの、好ましくは両者の屈折率差が1.0以上となるものを用いる。
【0041】
光重合性化合物としては、光ラジカル重合性化合物や光カチオン重合性化合物を用いることができる。光ラジカル重合性化合物としては、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ化合物が挙げられ、例えば不飽和カルボン酸、及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド結合物が挙げられる。
【0042】
具体例として、次のような不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルのモノマーが挙げられる。すなわち、アクリル酸エステルのモノマーとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、フェノールエトキシレートモノアクリレート、2−(p−クロロフェノキシ)エチルアクリレート、p−クロロフェニルアクリレート、フェニルアクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、ビスフェノールAの(2−アクリルオキシエチル)エーテル、エトキシ化されたビスフェノールAジアクリレート、2−(1−ナフチルオキシ)エチルアクリレート、o−ビフェニルメタクリレート、o−ビフェニルアクリレートなどがある。
【0043】
さらにメタクリル酸エステルのモノマーとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス−〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(アクリルオキシエトキシフェニル〕ジメチルメタン、2,2−ビス−(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、メタクリル酸−2−ナフチル等がある。
【0044】
光カチオン重合性化合物としては、エポキシ環やオキセタン環に代表される環状エーテル類、チオエーテル類、ビニルエーテル類が挙げられる。具体例として、エポキシ環含有化合物を挙げると、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキシド等がある。
【0045】
光重合性化合物としては、干渉露光後に有機−無機ハイブリッドポリマーとの屈折率差ができるだけ大きくなるものを用いるのが好ましい。有機−無機ハイブリッドポリマー及びその加水分解重縮合物の屈折率は、金属成分によって相違し、一般式(1)の有機金属化合物として有機ケイ素化合物を用いる場合には屈折率が非常に小さくなるので、それよりもできるだけ屈折率が大きい光重合性化合物を用いるのが好ましく、一般式(1)の有機金属化合物として有機チタン化合物や有機ジルコニウム化合物を用いる場合には屈折率が非常に大きくなるので、それよりもできるだけ屈折率が小さい光重合性化合物を用いるのが好ましい。
【0046】
本発明においては、高屈折率の有機−無機ハイブリッドポリマーをバインダーポリマーとして選定し易いので、そのような高屈折率の有機−無機ハイブリッドポリマーと組み合わせて屈折率の低い光重合性化合物を用いることによって、屈折率差を大きく取ることができ、特に好ましい。屈折率が小さい光重合性化合物としては、次のような屈折率1.49以下の光重合性化合物を例示できる:ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の脂肪族系モノマー;及び、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート(ビスコート17FM;大阪有機化学製)、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート(ビスコート8FM;大阪有機化学製)、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルメタクリレート(M−3420;ダイキン製)、2−(パーフルオロデシル)エチルメタクリレート(M−2020;ダイキン製)、3−(1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニロキシ)−1,2−エポキシプロパン(E−5844;ダイキン製)、1,4−bis(2’,3’−エポキシプロピル)−パーフルオロ−n−ブタン(E−7432;ダイキン製)等の含フッ素系モノマー。
【0047】
光重合性化合物としては、上記に例示された化合物のオリゴマータイプやポリマータイプのものも使用することが可能である。
【0048】
光重合開始剤は、光重合性化合物の干渉露光による重合を開始又は促進するために用いられ、重合反応の形式に合わせて、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤などの中から適宜選択して用いる。
【0049】
光ラジカル重合開始剤としては1,3−ジ(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、N−フェニルグリシン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、また、イミダゾール二量体類等を例示することができる。
【0050】
光カチオン重合開始剤としては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、混合配位子金属塩、例えば、(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(II)、シラノール−アルミニウム錯体等を例示することができる。
【0051】
光重合開始剤は、記録されたホログラムの安定化の観点から、ホログラム記録後に分解処理されるのが好ましい。例えば有機過酸化物系にあっては紫外線照射することにより開始剤が容易に分解されるので好ましい。
【0052】
ホログラムの記録には可視レーザー光、例えば、アルゴンイオンレーザー(458nm、488nm、514.5nm)、クリプトンイオンレーザー(647.1nm)、YAGレーザー(532nm)等からのレーザー光が使用されるが、各レーザー光波長における感度を向上させる目的として、増感色素を添加することができる。
【0053】
増感色素としては、チオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、キノリン系色素、スチリルキノリン系色素、ケトクマリン系色素、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム塩系色素等が例示される。可視光領域に吸収波長を有する増感色素は、光学素子のような高透明性が要求される場合には、ホログラム記録後の後工程、加熱や紫外線照射により分解等により無色になるものが好ましい。
【0054】
光重合性化合物は、バインダーポリマーである有機−無機ハイブリッドポリマー100重量部に対して10〜1000重量部、好ましくは10〜100重量部の割合で使用される。
【0055】
光重合開始剤は、バインダーポリマー100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは5〜10重量部の割合で使用される。
【0056】
必要に応じて配合される一般式(2)の有機金属化合物は、バインダーポリマー100重量部に対して10〜100重量部、好ましくは20〜70重量部の割合で使用される。
【0057】
増感色素は、バインダーポリマー100重量部に対して0.01〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部の割合で使用される。
【0058】
上記したような各材料を、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、1,2−ジクロロエタン、ジクロルメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロパノール等、またはそれらの混合溶剤に溶解することにより、本発明に係る体積型ホログラム記録用感光性組成物としての塗布液を調製することができる。ただし、光重合性化合物が常温で液状の場合には、塗工溶剤の使用量を減らすことができ、塗工溶剤が全く必要ない場合もある。
【0059】
上記塗布液は、スピンコーター、グラビアコーター、コンマコーター、バーコーター等の方法により適切な基材フィルムに塗布する。体積型ホログラム材料層の厚みは1〜100μm、好ましくは10〜40μmとするのが良い。
【0060】
体積型ホログラム記録用感光性媒体の基材フイルムとしては、透明性を有するものであり、ポリエチレンフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリフッ化エチレン系フイルム、ポリフッ化ビニリデンフイルム、ポリ塩化ビニルフイルム、ポリ塩化ビニリデンフイルム、エチレン−ビニルアルコールフイルム、ポリビニルアルコールフイルム、ポリメチルメタクリレートフイルム、ポリエーテルスルホンフイルム、ポリエーテルエーテルケトンフイルム、ポリアミドフイルム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合フイルム、ポリエチレンテレフタレートフイルム等のポリエステルフイルム、ポリイミドフイルム等の樹脂が例示され、膜厚としては2〜200μm、好ましくは10〜50μmである。
【0061】
体積型ホログラム記録用感光性組成物の加水分解重縮合反応(ゾルゲル反応)は、基材フィルムに塗布する前又は塗布した後の任意のタイミングで、適量の水の存在下、−10℃〜35℃、好ましくは0℃〜25℃で15分〜12時間放置することにより容易に進行、完了させることが出来る。
【0062】
上記の加水分解重縮合においては触媒を用いることが好ましい。触媒としては塩酸、硝酸、硫酸又は酢酸等の酸が好ましく、これらの酸を0.001〜20.0N、好ましくは0.005〜5.0N程度の水溶液として用いることができる。
【0063】
体積型ホログラム記録用感光性媒体は、体積型ホログラム記録用感光性組成物の塗工液を基材フィルムに塗工し、塗工膜を十分に加水分解、重縮合させた後、乾燥させ、体積型ホログラム記録用感光性組成物の皮膜(体積型ホログラム記録材料層)を形成することで得られる。
【0064】
また、体積型ホログラム記録用感光性組成物の塗工液を、部分的に又は完全に加水分解、重縮合させた後、適切な基材フィルムに塗工し、乾燥させることによっても体積型ホログラム記録用感光性媒体が得られる。
【0065】
バインダーポリマーである有機−無機ハイブリッドポリマーは、予め加水分解、重縮合させてから他の材料と混合しても良い。
【0066】
補助バインダーとして一般式(2)の有機金属化合物を用いる場合には、有機−無機ハイブリッドポリマーと有機金属化合物を加水分解、重縮合させてから他の材料と混合しても良い。さらに変形例としては、有機−無機ハイブリッドポリマーと有機金属化合物の一方又は両方を、予め単独で部分的加水分解、重縮合させてから、それらを他の成分と混合して塗工液を調製し、塗工後に完全に重縮合させても良い。
【0067】
加水分解、重縮合反応に必要な水、及び酸やアルカリなどの触媒は、溶剤中に各材料と同時に配合しても良いし、後から添加しても良い。例えば、塗工後に加水分解、重縮合を行う場合には、塗工直前に塗工液中に添加してもよく、また、塗工前に加水分解、重縮合を行う場合には、加水分解、重縮合反応を行う直前に添加しても良い。
【0068】
また、乾燥後の体積型ホログラム記録材料層に粘着性がある場合、保護フィルムとして、上記基材フィルムで例示されているフィルムをラミネートすることができる。この場合、ラミネートフィルムの体積型ホログラム記録材料層との接触面は、後から剥がしやすいように離型処理されていても良い。
【0069】
こうして得られた体積型ホログラム記録用感光性媒体は基材フィルム上にホログラム記録材料層を設けたものであり、当該ホログラム記録材料層は、有機−無機ハイブリッドポリマーの加水分解重縮合物又は有機−無機ハイブリッドポリマーと有機金属化合物とが混在する加水分解重縮合物、光重合性成分、及び、光重合開始剤を必須成分として含有し、有機−無機ハイブリッドポリマーの加水分解重縮合物又は有機−無機ハイブリッドポリマーと有機金属化合物とが混在する加水分解重縮合物のネットワークの間隙に光重合性成分や光重合開始剤などの他の成分が入り込んだ構造をとっている。
【0070】
本発明に係る体積型ホログラム記録用感光性媒体には、従来から知られている方法により干渉露光を行って体積型ホログラムを形成することが出来る。
【0071】
例えば、体積型ホログラム記録用感光性媒体のホログラム記録材料層にホログラム原版を向き合わせて密着させ、透明基材フィルム側から可視光、或いは紫外線や電子線のような電離放射線を用いて干渉露光を行うことにより体積型ホログラムが形成される。
【0072】
また、干渉露光による屈折率変調を促進し或いは重合反応を完結させるのために、干渉露光後に紫外線による全面露光や加熱等の処理を適宜行うことができる。
【0073】
本発明における体積型ホログラム記録用感光性組成物の体積型ホログラム記録メカニズムは、従来から言われているメカニズムと同様であると考えられる。すなわち、フィルム状に形成された該感光性組成物を干渉露光すると、光が強い部分にて光重合が開始され、それに伴い光重合性化合物の濃度勾配ができ、光が弱い部分から強い部分に光重合性化合物の拡散移動が起こる。結果として干渉光の光の強弱に応じて、光重合性化合物の疎密ができ、屈折率の差として現れる。この屈折率差が干渉縞となり、体積型ホログラムが形成される。
【0074】
このようにして本発明に係る体積型ホログラム記録用感光性媒体のホログラム記録材料層は干渉露光により干渉縞を生じてホログラム層となり、体積型ホログラムが得られる。
【0075】
本発明においてホログラム層の干渉縞に生じた屈折率差はバインダーポリマーである有機−無機ハイブリッドポリマーを高い割合で含有する部分と光重合性化合物を高い割合で含有する部分との屈折率差と考えられるが、有機−無機ハイブリッドポリマーは高い屈折率のものを選定することができるので、光重合性化合物との屈折率差を大きくとることが可能であり、屈折率変調量(Δn)の大きい体積型ホログラムが得られる。
【0076】
本発明に係る体積型ホログラム記録用感光性媒体のホログラム記録材料層は干渉露光により干渉縞を生じてホログラム層となるが、このホログラム層は上記したホログラム記録材料層と同様に、有機−無機ハイブリッドポリマーの加水分解重縮合物又は有機−無機ハイブリッドポリマーと有機金属化合物とが混在する加水分解重縮合物のネットワーク構造を有している。従って、ネットワーク構造を形成する連鎖内に柔軟な部分が挿入されているので、膜物性として有機ポリマーの持つ柔軟性、無機ポリマーの持つ強靭性、耐熱性を併せ持ち、実用上、加工適性に優れている。
【0077】
【実施例】
1.有機−無機ハイブリッドポリマー出発溶液の作製
メタクリル酸エチルとγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM503;信越化学工業(株)製)をモル比で6:4とし、溶媒としてベンゼン、開始剤として過酸化ベンゾイルを用い、還流下で8時間重合させた。反応終了後、未反応物及びベンゼンを除いて精製し、減圧乾燥して有機−無機ハイブリッドポリマーを得た。
【0078】
上記で得た有機−無機ハイブリッドポリマーをアセトンに溶解し、更に水、塩酸及び有機金属化合物としてのジルコニウムブトキシド(オルガチックスZA60;(株)マツモト交商製)を添加し、ゾルゲル反応により有機−無機ハイブリッドポリマー出発溶液を得た。
【0079】
2.体積型ホログラムの作製
次に、下記組成の体積型ホログラム記録用感光性組成物溶液を作製した。
【0080】
<体積型ホログラム記録用感光性組成物溶液>
・上記で作製した有機−無機ハイブリッドポリマー出発溶液:100重量部(固形分)
・ポリエチレングリコールジメタクリレート(9G;新中村化学工業(株)製):60重量部
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製):2重量部
・3−エチル−5−[(3−エチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)エチリデン]−2−チオキソ−4−オキサゾリジノン(NK−1473;(株)林原生物化学研究所製):0.02重量部
・メタノール:30重量部
・メチルエチルケトン:30重量部
上記溶液を、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ製ルミラーT−60)上にバーコーターを使用して、乾燥膜厚20μmとなるように塗布し、さらに加熱することでゲル状のホログラム記録材料層を形成し、体積型ホログラム記録用感光性媒体を作製した。
【0081】
次に、体積型ホログラム記録用感光性媒体のホログラム記録材料層側をミラーにラミネートし、PET側から514.5nmアルゴンイオンレーザー光を入射して干渉露光を行い、体積型ホログラムを記録した。
【0082】
次に、加熱、紫外線重合により干渉縞を固定し、体積型ホログラムを得た。分光評価結果から計算した結果、屈折率変調量Δnは0.056であった。
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば、屈折率差、感度、透明性などのホログラム記録性能だけでなく、膜物性として有機ポリマーの持つ柔軟性、無機ポリマーの持つ強靭性、耐熱性を併せ持つ体積型ホログラム記録材料、体積型ホログラム記録媒体、及び、体積型ホログラムを提供することができ、光学素子等の広範な分野への応用が期待される。

Claims (12)

  1. 主鎖構成成分として少なくとも下記一般式(1)で表記される有機金属化合物とエチレン性不飽和二重結合を有する有機モノマーとを共重合させてなる有機−無機ハイブリッドポリマー及び/又はその加水分解重縮合物、光重合性化合物、及び、光重合開始剤を含有することを特徴とする体積型ホログラム記録用感光性組成物。
    RmM(OR’)n 一般式(1)
    (上記式において、Mは金属原子、Rは同一でも異なってもよく炭素数1〜10のエチレン性二重結合含有基、R’は同一でも異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基を表し、m+nは金属Mの価数、m≧1、n≧1である。)
  2. 更に、下記一般式(2)で表記される有機金属化合物を含有することを特徴とする、請求項1記載の体積型ホログラム記録用感光性組成物。
    M’R”n’ 一般式(2)
    (上記式において、M’は金属原子、R”は同一でも異なってもよく、ハロゲン、炭素数10以下のアルキル基、アルコキシル基若しくはアシルオキシ基、又は、ヒドロキシル基であり、これらの基は全部又は一部がキレート配位子により置き換えられていてもよい。n’は金属M’の価数である。)
  3. 前記加水分解重縮合物が、前記有機−無機ハイブリッドポリマー及び/又はその加水分解重縮合物と下記一般式(2)で表記される有機金属化合物との加水分解重縮合物であることを特徴とする、請求項1記載の体積型ホログラム記録用感光性組成物。
    M’R”n’ 一般式(2)
    (上記式において、M’は金属原子、R”は同一でも異なってもよく、ハロゲン、炭素数10以下のアルキル基、アルコキシル基若しくはアシルオキシ基、又は、ヒドロキシル基であり、これらの基は全部又は一部がキレート配位子により置き換えられていてもよい。n’は金属M’の価数である。)
  4. 更に、増感色素を含有することを特徴とする、請求項1〜3いずれかに記載の体積型ホログラム記録用感光性組成物。
  5. 前記光重合性化合物が付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物であり、かつ、前記光重合開始剤が光ラジカル重合開始剤であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の体積型ホログラム記録用感光性組成物。
  6. 前記光重合性化合物がカチオン重合可能なモノマーであり、前記光重合開始剤が光カチオン重合開始剤であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の体積型ホログラム記録用感光性組成物。
  7. 前記請求項1〜6いずれかに記載の体積型ホログラム記録用感光性組成物の皮膜を基材上に設けたことを特徴とする、体積型ホログラム記録用感光性媒体。
  8. 主鎖構成成分として少なくとも下記一般式(1)で表記される有機金属化合物とエチレン性不飽和二重結合を有する有機モノマーとを共重合させてなる有機−無機ハイブリッドポリマーの加水分解重縮合物と、光重合性化合物と、光重合開始剤とを少なくとも含有する体積型ホログラム記録材料層を基材上に設けたことを特徴とする、体積型ホログラム記録用感光性媒体。
    RmM(OR’)n 一般式(1)
    (上記式において、Mは金属原子、Rは同一でも異なってもよく炭素数1〜10のエチレン性二重結合含有基、R’は同一でも異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基を表し、m+nは金属Mの価数、m≧1、n≧1である。)
  9. 前記体積型ホログラム記録材料層に含有される加水分解重縮合物は、前記有機−無機ハイブリッドポリマー及び/又はその加水分解重縮合物と下記一般式(2)で表記される有機金属化合物との加水分解重縮合物であることを特徴とする、請求項8記載の体積型ホログラム記録用感光性媒体。
    M’R”n’ 一般式(2)
    (上記式において、M’は金属原子、R”は同一でも異なってもよく、ハロゲン、炭素数10以下のアルキル基、アルコキシル基若しくはアシルオキシ基、又は、ヒドロキシル基であり、これらの基は全部又は一部がキレート配位子により置き換えられていてもよい。n’は金属M’の価数である。)
  10. 前記体積型ホログラム記録材料層が、更に、増感色素を含有することを特徴とする、請求項8又は9記載の体積型ホログラム記録用感光性媒体。
  11. 前記光重合性化合物が付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物であり、かつ、前記光重合開始剤が光ラジカル重合開始剤であることを特徴とする請求項8〜10いずれかに記載の体積型ホログラム記録用感光性媒体。
  12. 前記光重合性化合物がカチオン重合可能なモノマーであり、前記光重合開始剤が光カチオン重合開始剤であることを特徴とする請求項8〜10いずれかに記載の体積型ホログラム記録用感光性媒体。
JP2001033716A 2001-02-09 2001-02-09 体積型ホログラム記録用感光性組成物及び体積型ホログラム記録用感光性媒体 Expired - Fee Related JP4536275B2 (ja)

Priority Applications (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001033716A JP4536275B2 (ja) 2001-02-09 2001-02-09 体積型ホログラム記録用感光性組成物及び体積型ホログラム記録用感光性媒体
EP11158609.5A EP2328026B1 (en) 2001-02-09 2002-02-07 Photosensitive composition for volume hologram recording and photosensitive medium for volume hologram recording
EP02250839.4A EP1231511B1 (en) 2001-02-09 2002-02-07 Photosensitive composition for volume hologram recording and photosensitive medium for volume hologram recording
US10/072,201 US7323275B2 (en) 2001-02-09 2002-02-07 Photosensitive composition for volume hologram recording and photosensitive medium for volume hologram recording
EP11158613.7A EP2336825B1 (en) 2001-02-09 2002-02-07 Photosensitive composition for volume hologram recording and photosensitive medium for volume hologram recording
US11/985,803 US7550234B2 (en) 2001-02-09 2007-11-16 Photosensitive composition for volume hologram recording and photosensitive medium for volume hologram recording
US12/056,062 US7629086B2 (en) 2001-02-09 2008-03-26 Photosensitive composition for volume hologram recording and photosensitive medium for volume hologram recording

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001033716A JP4536275B2 (ja) 2001-02-09 2001-02-09 体積型ホログラム記録用感光性組成物及び体積型ホログラム記録用感光性媒体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002236439A JP2002236439A (ja) 2002-08-23
JP4536275B2 true JP4536275B2 (ja) 2010-09-01

Family

ID=18897424

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001033716A Expired - Fee Related JP4536275B2 (ja) 2001-02-09 2001-02-09 体積型ホログラム記録用感光性組成物及び体積型ホログラム記録用感光性媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4536275B2 (ja)

Families Citing this family (29)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4618624B2 (ja) * 2001-07-31 2011-01-26 大日本印刷株式会社 体積型ホログラム記録用感光性組成物及びそれを用いた体積型ホログラム記録用感光性媒体
JP4461725B2 (ja) 2003-07-10 2010-05-12 Tdk株式会社 ホログラム記録材料、その製造方法及びホログラム記録媒体
JP2005165054A (ja) * 2003-12-03 2005-06-23 Tdk Corp 光学部品、光記録媒体及びその製造方法
JP4589008B2 (ja) * 2004-01-08 2010-12-01 大日本印刷株式会社 体積型ホログラム感光性組成物
JP4461902B2 (ja) 2004-05-11 2010-05-12 Tdk株式会社 ホログラム記録材料及びホログラム記録媒体
US20060046204A1 (en) * 2004-08-31 2006-03-02 Sharp Laboratories Of America, Inc. Directly patternable microlens
JP4633562B2 (ja) 2005-07-06 2011-02-16 大日本印刷株式会社 体積型ホログラム感光性組成物
JP5286660B2 (ja) * 2005-11-11 2013-09-11 Tdk株式会社 ホログラム記録材料及びホログラム記録媒体
US8349524B2 (en) 2005-11-11 2013-01-08 Tdk Corporation Hologram recording material and hologram recording medium
US8367274B2 (en) 2005-11-11 2013-02-05 Tdk Corporation Hologram recording material, and hologram recording medium
JP5286661B2 (ja) * 2005-11-11 2013-09-11 Tdk株式会社 ホログラム記録材料及びホログラム記録媒体
KR20090045913A (ko) * 2006-08-25 2009-05-08 닛산 가가쿠 고교 가부시키 가이샤 유기-지르코니아 복합 미립자를 포함하는 감광성 조성물
JP4844299B2 (ja) 2006-09-01 2011-12-28 Tdk株式会社 ホログラム記録材料、その製造方法及びホログラム記録媒体
JP2008058834A (ja) * 2006-09-01 2008-03-13 Tdk Corp ホログラム記録媒体
JP2008058840A (ja) 2006-09-01 2008-03-13 Tdk Corp ホログラム記録媒体
JP2008083405A (ja) * 2006-09-27 2008-04-10 Tdk Corp ホログラム記録材料及びホログラム記録媒体
JP2008164941A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Tdk Corp ホログラム記録媒体
JP4840179B2 (ja) 2007-02-09 2011-12-21 Tdk株式会社 ホログラム記録材料、その製造方法及びホログラム記録媒体
JP4893433B2 (ja) * 2007-04-10 2012-03-07 Tdk株式会社 体積型ホログラム記録材料及び体積型ホログラム記録媒体
JP4946952B2 (ja) 2007-04-27 2012-06-06 Tdk株式会社 ホログラム記録材料、その製造方法及びホログラム記録媒体
JP2008292712A (ja) * 2007-05-23 2008-12-04 Tdk Corp ホログラム記録材料及びホログラム記録媒体
JP5115125B2 (ja) * 2007-10-05 2013-01-09 Tdk株式会社 ホログラム記録材料及びホログラム記録媒体
JP5115126B2 (ja) * 2007-10-05 2013-01-09 Tdk株式会社 ホログラム記録媒体
JP5115137B2 (ja) * 2007-10-16 2013-01-09 Tdk株式会社 ホログラム記録媒体
JP2009210931A (ja) * 2008-03-05 2009-09-17 Tdk Corp ホログラム記録媒体及びその製造方法
JP2009295233A (ja) * 2008-06-05 2009-12-17 Tdk Corp 光記録媒体及び光記録媒体の製造方法
JP5381494B2 (ja) 2008-10-08 2014-01-08 Tdk株式会社 体積型ホログラム記録材料及び体積型ホログラム記録媒体
JP5975814B2 (ja) * 2012-09-14 2016-08-23 株式会社トクヤマ 光硬化性ナノインプリント用組成物およびパターンの形成方法
KR102309427B1 (ko) * 2018-09-27 2021-10-05 주식회사 엘지화학 홀로그램 매체

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000198964A (ja) * 1999-01-05 2000-07-18 Dainippon Printing Co Ltd 光学機能性膜及びその製造方法
JP2001282082A (ja) * 2000-01-25 2001-10-12 Natl Inst Of Advanced Industrial Science & Technology Meti ホログラム記録材料組成物、ホログラム記録媒体およびその製法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000198964A (ja) * 1999-01-05 2000-07-18 Dainippon Printing Co Ltd 光学機能性膜及びその製造方法
JP2001282082A (ja) * 2000-01-25 2001-10-12 Natl Inst Of Advanced Industrial Science & Technology Meti ホログラム記録材料組成物、ホログラム記録媒体およびその製法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002236439A (ja) 2002-08-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4536275B2 (ja) 体積型ホログラム記録用感光性組成物及び体積型ホログラム記録用感光性媒体
US7323275B2 (en) Photosensitive composition for volume hologram recording and photosensitive medium for volume hologram recording
JP4155771B2 (ja) 体積型ホログラム記録用感光性組成物及びそれを用いた体積型ホログラム記録用感光性媒体
US8431289B2 (en) Photosensitive composition for volume hologram recording, photosensitive medium for volume hologram recording and volume hologram
JP4536276B2 (ja) 体積型ホログラム記録用感光性組成物及び体積型ホログラム記録用感光性媒体
JP4618624B2 (ja) 体積型ホログラム記録用感光性組成物及びそれを用いた体積型ホログラム記録用感光性媒体
JP4633562B2 (ja) 体積型ホログラム感光性組成物
JP4821068B2 (ja) 体積型ホログラム記録用感光性組成物及び体積型ホログラム記録用感光性媒体
JP4125669B2 (ja) 体積型ホログラム製造方法
JP4589008B2 (ja) 体積型ホログラム感光性組成物
JP4500532B2 (ja) 体積型ホログラム記録用感光性組成物および体積型ホログラム記録用感光性媒体
JP3532621B2 (ja) 体積ホログラム記録用感光性組成物、及びそれを用いた記録媒体ならびに体積ホログラム形成方法
JP2003066816A (ja) 体積型ホログラム記録用感光性組成物及びそれを用いた体積型ホログラム記録用感光性媒体
JP4142396B2 (ja) 体積型ホログラム記録用感光性組成物およびそれを用いた体積型ホログラム記録用感光性媒体
JP4423017B2 (ja) 体積型ホログラム記録用感光性組成物および体積型ホログラム記録用感光性媒体
JP4615754B2 (ja) 体積型ホログラム記録用感光性組成物及び体積型ホログラム記録用感光性媒体
JP3482256B2 (ja) 体積ホログラム記録用感光性組成物、及びそれを用いた記録媒体ならびに体積ホログラム形成方法
JP4614983B2 (ja) 体積型ホログラム製造方法
JP2004318068A (ja) 体積型ホログラム記録用感光性組成物および体積型ホログラム記録用感光性媒体
JP2007193360A5 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080131

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100615

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100616

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130625

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4536275

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140625

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees