(実施例1)
以降、図1から図4を用いて従来のPODシステムの構成の一例を説明する。
図1は、PODシステムの一例であり、且つ本発明における印刷システム全体の基本構成の一例も示すブロック図である。
本ブロック図は、一つまたは複数のエンドユーザ環境である1、2と、インターネットを介して接続されているPOD(Print On Demand)サイト環境3から成っている。
エンドユーザ環境1と2は、プリントの発注依頼を行う発注者が存在し、それぞれのエンドユーザ環境(ここでは、エンドユーザ環境A及び、エンドユーザ環境B)からそれぞれのクライアントPCを利用して、プリントジョブの依頼やジョブのステータス確認などができる。
一方、PODサイト環境3においては、通常は工程管理部4、ディジタルプリント部5から成り立っている。また、ディジタル複写機やディジタル複合機等のディジタル画像処理装置に接続されているフィニッシング装置の機能や能力で不足する場合には、ポストプレス部6を加えた3つから構成されることもある。
工程管理部4は、PODサイト環境における工程管理部4、ディジタルプリント部5、ポストプレス部6の各工程に対して作業を指示し、コンピュータや各種デバイスにより構成される本システムのワークフローを管理する部分である。さらに、前述のエンドユーザからジョブを受信したり、エンドユーザからのジョブを保管したり、エンドユーザからのジョブの指定に基づいて各工程における作業をワークフローとして組み立てたり、各デバイスや各作業者における作業を効率よくスケジュールしたりといった役割を果たすものである。
ディジタルプリント部5は、工程管理部4より受信したジョブの作業指示に従って、白黒MFPやカラーMFP等によりエンドユーザから受け取った紙原稿をコピーしたり、クライアントPCからプリンタドライバやホットフォルダを経由して、エンドユーザから受信した文書/画像ファイルやスキャンデバイスによりスキャンしたスキャン画像ファイルやそれらを編集した文書/画像ファイルを白黒MFPやカラーMFP等のプリントデバイスにプリントアウトしたりといった役割を果たす。なお、MFPとはMulti Function Peripheralsの略であり、本願では以降MFPとして記載する。
ポストプレス部6は、工程管理部4あるいはディジタルプリント部5より受信したポストプレスジョブの作業指示に従って、紙折り機、中綴じ製本機、くるみ製本機、断裁機、封入機、帳合機等の後処理デバイスを制御する。さらに、ディジタルプリント部5より出力された印刷原稿に対して、紙折り、中綴じ製本、くるみ製本、断裁、封入、帳合等の仕上げ処理を実行するという役割を果たす。
図2は、上記印刷システムにおける工程管理部4の構成の一例を示すブロック図である。
工程管理部4は、ネットワークに接続されたMIS(Management Information SyStem)サーバ20、受注サーバ21、ファイルサーバ22、クライアントPC23などから成り立っている。
ここで、MISサーバ20は、受注から納品までのシステム全体のワークフローを管理すると共に、様々な経営情報や販売情報を統括的に管理するシステムにおけるサーバである。
受注サーバ21は、インターネットを介してエンドユーザ環境からジョブを受信するサーバである。受信したジョブはジョブのID番号で管理され、ID番号と管理上必要となる情報はMISサーバ20に伝えられ、MISサーバ20の指示に従って、描画データなどのそれ以外の情報と一緒に下流の工程に伝える役割を持っている。
ファイルサーバ22は、エンドユーザからの同一原稿による再発注に備えて、エンドユーザから受信したジョブを保管するため文書管理サーバである。一般に、画像データと前回出力におけるジョブの設定情報(ジョブチケット)を一緒に保存してある。
工程管理部4におけるこれらのMISサーバ20、受注サーバ21、ファイルサーバ22、クライアントPC23間でやり取りされる情報は、JDF(Job Definition Format)と呼ばれるジョブの作業指示を記載したジョブチケットなどを利用して情報交換している。工程管理部4は、ジョブを転送したり、制御コマンドを発行したりして、工程管理部4を中心にディジタルプリント部5、ポストプレス部6などと連携をとってトータルなワークフローの自動化を提供している。
図3は、上記印刷システムにおけるディジタルプリント部5の構成の一例を示すブロック図である。ここには、ネットワークに接続されたプリントサーバ30、クライアントPC31と32、カラーMFP35、36、37及び白黒MFP33、34がそれぞれ1つまたは複数個存在している。
プリントサーバ30は、2つの役割を持っている。1つ目はディジタルプリント部5の外部との情報送受信であり、入稿されるジョブの画像情報や設定情報などは、まずプリントサーバに入力され、そのジョブが終了するとステータスなどの情報を外部に知らせる役割を持っている。もう1つはディジタルプリント部5内の管理制御であり、外部から入力されたジョブ及び、ディジタルプリント部5の内部で発生したジョブは、プリントサーバ30にて管理されており、ディジタルプリント部5の内部にある全てのデバイスと全てのジョブの状況が監視できる。さらに、プリントサーバ30は、ジョブの一時停止、設定変更、印刷再開あるいは、ジョブの複製、移動、削除などの制御が行えるようになっている。
クライアントPC31、32は、入力されたアプリケーションファイルの編集、印刷指示、あるいは、プリントレディファイルの投入の役割と、プリントサーバ30内で管理されているデバイスやジョブの監視や制御の補佐する役割を持っている。
カラーMFP35、36、37及び白黒MFP33,34は、スキャン、プリント、コピーなど様々な機能を有する画像処理装置であり、カラーMFPと白黒MFPとでスピードやコストなどが異なるため、それぞれの用途に応じて使い分ける。また、カラーMFP37にはフィニッシャ装置が接続されている。
図4は、上記印刷システムにおけるポストプレス部6の構成の一例を示すブロック図である。
ポストプレス部6は、ポストプレスサーバ40、クライアントPC41、42及び紙折り機43、断裁機44、中綴じ製本機45、くるみ製本機46に代表される後処理機器で構成されている。
まず、ポストプレスサーバ40は、後処理工程を統括管理するコンピュータであり、受注サーバにて受け付けたジョブの指示やMISサーバから出されるジョブの指示などに基づいて、ポストプレス部6で仕上げ可能な後処理条件を作り出し、エンドユーザの要求通りの後処理(仕上げ処理)工程の指示を行う。一般に、ポストプレスサーバ40がポストプレス部6の外と情報交換を行い、ポストプレス部6の内部コマンドやステータスでそれぞれの後処理機器と情報交換している。
後処理機器は、大きく3つの種類に分類することができ、以下のように定義する。
インラインフィニッシャ:紙パスがMFPと物理的に接続されており、かつ、操作指示や状況確認もMFPと電気的に接続されている後処理装置。以降では、フィニッシャ装置とのみ述べた場合には、インラインフィニッシャ装置を指すものとする。
ニアラインフィニッシャ:紙パスはMFPとが物理的に接続されておらず、作業者(オペレータ)が出力物の運搬を行うが、操作指示や状況確認はネットワークなどの通信手段を介して電気的に情報送受可能な後処理装置。
オフラインフィニッシャ:紙パスも操作指示や状況確認などの通信手段もMFPと全く接続されておらず、作業者が出力物の運搬、出力物の設定、手作業での操作入力、機器自体が発する状況報告を作業者が目視で確認する後処理装置。
更に、後処理機器には、断裁処理工程、中綴じ製本処理工程、くるみ製本処理工程、紙折処理工程、穴あけ処理工程、封入処理工程、帳合処理工程等の出力原稿に対する様々なシート加工処理を、MFP等の画像処理装置にて印刷された出力原稿紙に対して施す後処理工程を持っており、エンドユーザに提供する製本形態に加工するように制御する。
ポストプレスサーバ40が管理するニアラインフィニッシャ(時には、オフラインフィニッシャも含めて)には、図4に示した紙折機43、断裁機44、中綴じ製本機45、くるみ製本機46の他に、ステープラ、穴あけ機、封入機あるいは、帳合機(コレータ)を初めとして様々なものがある。ポストプレスサーバ40はこれらのニアラインフィニッシャと予め決められたプロトコルで逐次ポーリングなどでデバイスの状況やジョブの状況を把握し、ジョブの実行状況を管理する。尚、本形態は、上述の複数の印刷後処理(フィニッシング処理)をそれぞれ別々の印刷後処理装置(フィニッシャ装置)により実行可能にする構成でも、複数種類のフィニッシング処理を1台のフィニッシング処理装置が実行可能にする構成でも良い。又、複数のフィニッシング処理装置のうち、いずれかのフィニッシング処理装置を本システムに具備する構成でも良い。なお、本願では、印刷後処理およびポストプレス処理およびフィニッシング処理は、同様の処理を指す。
また、PODシステムにおいて全ての印刷ジョブの印刷後処理工程がポストプレス部6で処理されるわけではない。フィニッシャ装置を持つ画像処理装置(例えばカラーMFP37など)で後処理工程までも処理されても構わない。なお、画像処理装置が有するフィニッシャ装置が上述したインラインフィニッシャに相当する。
図2の工程管理部4と図4のポストプレス部6に関しても本実施例における一例とすることは可能であるが、本実施例では後述する図9のように構成する。また、図3のデジタルプリント部5に関しては、プリントサーバ30は不要であり、プリントサーバ30が所持していたディジタルプリント部5の外部との情報送受や印刷ジョブの管理制御の機能はMFP自体が所持するものとする。具体的にはEFM(Embedded FiniShing Manager)部がその機能を持つが、詳細は以降で説明する。なお、本願記載のジョブチケットとは、作業指示内容を示す情報が記述された作業指示書である。
また、従来の商業印刷の分野ではジョブチケットを使用した商業印刷ワークフローが提案されている。以降、図5、6、7を用いて従来の商業印刷の分野でのPODシステムにおける“ジョブチケットによるワークフロー”とジョブチケットについて一例を用いて説明する。
図5は、ジョブチケットにより実現されるワークフロー構成の一例を示す図である。MISサーバ20は、受注から納品までのシステム全体のワークフローを管理すると共に、様々な経営情報や販売情報を統括的に管理するシステムである。MISサーバ20は、ワークフローにおける作業指示が記述されたジョブチケットに相当するJDFデータ64を作成するためのJDF作成アプリケーション51により構成されている。なお、本願では後述するように分散または代行の必要があると判断した場合、後述のEFM92が分散用または代行用のJDFを生成することを想定している。しかし、EFM92からの依頼を受けることにより、MISサーバ20が分散用のJDFまたは代行用のJDFを作成する構成も考えられる。
プリントサーバ30は、ディジタルプリント部5に投入されるジョブを受信すると共に、ディジタルプリント部5全体を管理制御するためのサーバであり、JDFデータ64を解釈するためのJDFパーサ53、PDF/PS等の各種PDL(プリンタ記述言語)データを処理するためのPDLコントローラ54、MFP56等のプリンタエンジンにフィニッシャ装置58と接続するためのプリンタ・フィニッシャインターフェース55により構成される。
ジョブチケットによるワークフローは、以下のように実現される。MISサーバ20に受注ジョブ50(オーダともいう)が投入されると、MISサーバ20にインストールされているJDF(Job Definition Format)作成アプリケーション51は、ワークフローにおける作業指示が記述されたジョブチケットに相当するJDFデータ64を生成する。
生成されたJDFデータ64がプリントサーバ30に渡されると、プリントサーバ30におけるJDFパーサ53が、JDFデータ64を解釈して、ディジタルプリント部に対するジョブを実行する。例えばJDFデータには、出力用紙サイズや両面片面印刷やN−up等の属性が指定されており、JDFデータの内容に従って、PDLコントローラ54がJDFデータ64により参照されるPDF/PS等のPDLデータを処理するとともに、プリンタ・フィニッシャインターフェース55を介してMFP56に対して印刷を実行する。
印刷実行によって出力された出力原稿57がフィニッシャA58に搬送される。JDFデータ64にくるみ製本や中綴じ製本や断裁等の印刷後処理が指定されているならば、JDFデータの内容に従って、プリンタ・フィニッシャインターフェース55がフィニッシャA58に対して後処理を指示する。
図6は、PODシステムにおけるジョブチケットの構造の一例を示す図である。
JDF(Job Definition Format)64はJDFデータ全体を示している。PrePress処理指示61はPDF等の印刷コンテンツデータ(描画データ)をどのように画像処理し、どのように配置するか等を示す複数のPrePress処理の指示群が記述されている。Press処理指示62はPrePress処理61において作成された画像データをどのように印刷原稿として出力するか等を示す複数のPress処理の指示群が記述されている。PostPress処理指示63はPress処理62の指示に従って出力された印刷原稿をくるみ製本等、どのように後処理するかを示す複数のPostPress処理の指示群が記述されている。Combined Process60は上記PrePress処理61とPress処理62とPostPress処理63を一つの処理に纏めるCombined Process処理を示す。
通常、デジタルプリントを司る画像処理装置(本願ではカラーMFP37等)では一回の印刷ジョブの入力に対して、PrePress処理からPostPress処理まで実行終了した出力結果が唯一つの出力となる。このように一度のデータ入力に対してPrePress処理+Press処理+PostPress処理までを実行し、出力結果を出力する指示を行いたい場合にCombined Processは使用される。Combined Processは、PrePress・Press・PostPress処理の少なくとも2つ以上を所持するMFP等の画像処理装置に対して指示する際に使用される。
なお、PrePress処理は印刷前処理、Press処理は印刷処理、PostPress処理は印刷後処理およびフィニッシング処理を指す。
図7は、PODシステムにおけるジョブチケットの構造の一例を示すもう一つの図である。図7では、ジョブチケットを表現するJDF(Job Definition Format)はXMLフォーマットで記述されており、ノードの階層構造によって表現できる。図7はJDFによって製本の一例を示す階層図である。一方、図6はJDF構造を実行プロセスの種類で示している。
「本」71を作成するには、表紙72を作ったり、中身73を作ったり、あるいは、それらを製本したりと様々な工程を経てエンドユーザに届けられる「本」71が作成される。
JDFでは、出力物を構成する際に、物理的な出力物を形作る工程をプロダクトノード、プロダクトノードを形作るための処理工程をプロセスノード、プロダクトノードを作成するための中間的段階の要素でいくつかのプロセスノードの集合体をプロセスグループノードと呼んで区別している。
また、図6のPrePress処理61は、カラーページのRIP処理である7a、白黒ページのRIP処理である7cにあたる。Press処理62は、表紙出力のプロセス1である78、表紙のラミネート処理である79、カラーページプリント処理である7b、白黒ページプリント処理である7dに当たる。PostPress処理は、くるみ製本処理である7e、断裁処理である7fに当たる。
また、従来のフィニッシャ装置における、くるみ製本時の印刷原稿の搬送パスに関して説明する。図8は後処理系断面図であり、インラインフィニッシャ部の構成を示す。先ず、フィニッシャ装置の各機能部位に関して説明する。
プリンタ部(図8においてはDEVICE本体56を指す。以下、図8に関する説明においては同様である。)の定着部から排出された印刷原稿は、インラインフィニッシャ58が接続されている場合には、インラインフィニッシャ部に入る。インラインフィニッシャ部には、サンプルトレイ83及びスタックトレイ85があり、印刷ジョブの種類や排出される印刷原稿の枚数に応じて切り替えて排出される。出力すべき印刷ジョブに対してステープルモードが設定されている場合には、ステープラ8aにてステープルされた後に、スタックトレイ85に排出するよう制御する。その他、上記2つのトレイに至るまでに、紙をZ字状に折るためのZ折り機80、ファイル用の2つ(または3つ)の穴開けを行うパンチャ84があり、ジョブの種類に応じてそれぞれの処理を行う。さらに、サドルステッチャ8eは、印刷原稿の中央部分を2ヶ所バインドした後に、印刷原稿の中央部分をローラに噛ませることにより印刷原稿を半折りし、パンフレットのようなブックレットを作成する処理(製本処理)を行う。サドルステッチャ8eで製本された印刷原稿は、ブックレットトレイ8dに排出される。
また、インサータ81はインサートトレイ82にセットされた印刷原稿をプリンタ部へ通さずにスタックトレイ85及びサンプルトレイ83等の排出トレイのいずれかに送るためのものである。これによってインラインフィニッシャ部に送り込まれる印刷原稿(プリンタ部で印刷された印刷原稿)と印刷原稿の間にインサータにセットされた印刷原稿をインサート(中差しなど)することができる。
次に、トリマ(裁断機)88について説明する。サドルステッチャ8eにおいてブックレット(中綴じの小冊子)にされた出力は、このトリマ88に入ってくる。その際に、まず、ブックレットの出力は、ローラで予め決められた長さ分だけ紙送りされ、カッタ部8cにて予め決められた長さだけ切断され、ブックレット内の複数ページ間でばらばらになっていた端部がきれいに揃えられることとなる。そして、ブックレットホールド部8bに格納される。
最後に、くるみ製本時の処理と印刷原稿の搬送パスに関して説明する。まず、ブックレットの本文を構成する印刷原稿がプリンタ部から排出され、一次トレイ86に1つのブックレット分(製本印刷を構成する1冊分のページ数)だけ保持される(搬送パス1)。その後、1ブックレット分の原稿が溜まった後、原稿を揃えて糊付け処理部87に送られ(搬送パス2)、原稿の背表紙に当たる面に糊が付けられる。上記糊付け処理と同時に、プリンタ部からは表紙原稿が排出され、くるみ処理部89にセットされる(搬送パス3)。原稿の糊付けが終了し、表紙原稿がセットされた後、糊付け原稿をくるみ処理部89に搬送し(搬送パス3)、表紙原稿で包む。くるみ処理の終わった原稿は、カッタ部8cに搬送され(搬送パス4)、端部をカットすることにより、揃える。そして、ブックレットホールド部8bに格納される(搬送パス5)。また、従来の画像処理装置により出力された原稿用紙を、フィニッシング装置で製本処理(ステイプル、穴あけ、中綴じ製本、くるみ製本等)を行うことは周知である。
図9は、本発明において印刷システム全体の基本構成の一例を示すもう一つのブロック図である。図1の印刷システム全体の基本構成ブロック図から本発明を説明するために必要な構成だけを残した図であり、以降はこの図9を使って実施例を説明する。
本実施例では、印刷システム内の工程管理部4として、MISサーバ20と受注サーバ21とファイルサーバ22で構成されるとする。またデジタルプリント部5としてはカラーMFP37で構成され、内部構成はJDFに記載の指示内容に従って、描画データを描画した印刷原稿の出力までを処理するMFP本体部91と、MFP本体部91から印刷原稿の搬送路として接続されているインラインフィニッシャ93とから成る。更にカラーMFP本体部91はEmbedded Finishing Manager部92(以下、EFMとして記載する)を持つ。
EFM92は、MISサーバ20とJDFの送受信やMISサーバ20への処理ステータスの通知、MISサーバ20またはネットワークに接続されている他のMFPやニアラインフィニッシャのステータス取得などを行う。そしてポストプレス部としてはポストプレスサーバ40とニアラインフィニッシャ46(例えばくるみ製本機)で構成されるとする。ポストプレスサーバ40は、MISサーバ20やEFM92にポストプレス部内の各デバイスのステータスを送信したり、EFM92からJDFを受信したりする。そしてMISサーバ20やカラーMFP37やポストプレスサーバ40などの各機器はLAN等のネットワーク90で接続されている。本実施例では、MISサーバ20は、受注から納品までのシステム全体のワークフローを管理する。ワークフローの管理の具体的な処理内容としては、受注サーバ21からMISサーバ20へ受注したオーダが送信され、保持される。そして、MISサーバ20は印刷システム全体の印刷ジョブの処理スケジュールを管理する機能を所持し、上記受注サーバ21から送信されたオーダからJDFを生成し、印刷システム内で処理すべきJDFとして処理スケジュール情報に管理する。更に、MISサーバ20は、上記処理スケジュールに従って、JDFをデジタルプリント部5に送信することにより、印刷ジョブの開始を指示し、デジタルプリント部から現在の処理ステータス情報を受け取る。また、MISサーバ20は、デジタルプリント部5から印刷ジョブの終了通知を受け取り、ポストプレス部6にデジタルプリント部5で出力された印刷原稿のフィニッシング処理を指示するJDFを送る。そして、MISサーバ20は、ポストプレス部6からフィニッシング処理のステータス情報またはフィニッシング処理の終了通知を受け取る。また、上記各種受け取った情報をMISサーバ20に接続されたCRTやクライアントPC23に接続されたCRTを通じて、オペレータに通知する。
図10はカラーMFP37を詳細に説明するブロック図である。MFPとは、自装置内部に複数の印刷ジョブに関連するデータを記憶可能なハードディスク等の記憶部10bを具備し、スキャナから入力されたデータに対し該記憶部10bを介してプリンタ部でプリント可能にするコピー機能や、コンピュータ等の外部装置から出力されたデータに対し該記憶部10bを介してプリント部でプリント可能にするプリント機能等の複数の機能を具備した画像処理装置である。なお、本願に記載の印刷ジョブとはMFP外部のネットワークを流れる場合はJDFに相当し、MFP内部で処理する印刷ジョブはMFP制御部により処理可能な形式であればよく、例えばJDFおよび印刷コンテンツデータで構成されることにより、印刷コンテンツデータはJDFに従って処理される。
MFPには、フルカラー機器とモノクロ機器があり、本願の図9に記載のMFP37はカラーMFPとして取り扱う。又、本印刷システムの構成に関しては、上記の如く、複数の機能を具備したMFPを有するとしたが、プリント機能+フィニッシング機能のみを具備した画像処理装置を具備する構成でも、プリント機能のみを具備する構成でも良い。何れのタイプの画像処理装置であっても、複数台具備する構成でも良い。いずれにしても、本形態の制御が実現可能な構成であればよい。
図10に示すように、MFPは紙原稿などの画像を読み取り、読み取られた画像データを画像処理する入力画像処理部101と、ファクシミリなどに代表される電話回線を利用した画像の送受信を行うFAX部102と、ネットワークを利用して画像データや装置情報をやりとりするNIC(Network Interface Card)部103と、外部装置と画像データなどの情報交換を行う専用インターフェース部104を備えている。あるいは、UniverSal Serial Busメモリ(本願においては以下、USBとして記載する。なお、USBはリムーバブルメディアの一種である。)に代表されるUSB機器と画像データなどを送受するUSBインターフェース(USB I/F)部105とを備えている。そして、MFP制御部100では、MFPの用途に応じて画像データを一時保存したり、経路を決定したりといった例えば交通整理のような役割を担っている。
次に、記憶部10bは、複数の画像データを格納可能なハードディスク等のメモリであり、例えば、画像処理装置が具備する制御部(例えばMFP制御部100)が主体となって以下のような処理をする。なお、MFP制御部100は、たとえば不図示のプロセッサおよびRAM、ハードディスク等を有し、所定のプログラムをプロセッサで実行することで実現することができる。MFP制御部100は、入力画像処理部101からの画像データや、FAX部102を介して入力されたファクシミリジョブの画像データや、NIC部103を介して入力されたコンピュータ等の外部装置からの画像データや、専用I/F部104やUSB I/F部105を介して入力された複数種類の画像データを、記憶部10bに格納可能に制御する。さらにMFP制御部100は、該記憶部10bに格納された画像データを適宜読み出して、プリンタ部109等の出力部に転送して、該プリンタ部によるプリント処理等の出力処理を実行可能に制御する。又、MFP制御部100は、オペレータからの指示により、記憶部10bから読み出した画像データを、コンピュータや他の画像処理装置等の外部装置に転送可能に制御する。MFP制御部100は、画像データを記憶部10bに記憶する際には、必要に応じて、画像データを圧縮して格納したり、逆に圧縮して格納された画像データを読み出す際に元の画像データに伸張して戻したりする処理を司る圧縮伸張部10aを制御する。また、データがネットワークを経由する際には、JPEG、JBIG、ZIPなど圧縮データを使用することも一般知られており、データがMFPに入った後、この圧縮伸張部10aにて解凍(伸張)される。また、MFP制御部100によって制御されるリソース管理部10cは、フォント、カラープロファイル、ガンマテーブルなど共通に扱われる各種パラメータテーブルなどが格納されている。リソース管理部10cは、必要に応じて各種パラメータテーブルを呼び出すことができると共に、新しいパラメータテーブルを格納したり、修正して更新したりすることができる。
次に、MFP制御部100では、PDLデータが入力された場合には、RIP部107でRaster Image Processor(以下RIPと省略する)処理を施したり、プリントする画像に対して、必要に応じて出力画像処理部108でプリントのための画像処理を行ったりする。更に、その際に作られる画像データの中間データやプリントレディデータ(プリントのためのビットマップデータやそれを圧縮したデータ)を必要に応じて、記憶部10bで再度格納することもできる。そして、画像形成を行うプリンタ部109に送られる。
プリンタ部109でプリントアウトされた印刷原稿は後処理部であるインラインフィニッシャへ送り込まれ、仕分け処理や仕上げ処理が行われる。
ここで、MFP制御部100は円滑にジョブを流す役割を担っており、MFPの使い方に応じて、パス切り替えが行われている。以下に示す一例では、必要に応じて利用される圧縮伸張部と後処理部、あるいは、全体のコアとなるMFP制御部などの処理は省略して、おおよそのフローがわかるように記載する。
FAX受信機能 :FAX部→出力画像処理部→プリンタ部
ネットワークプリント :NIC部→RIP部→出力画像処理部→プリンタ部
外部装置からのプリント:専用I/F部→出力画像処理部→プリンタ部
外部メモリからのプリント:USB I/F部→RIP部→出力画像処理部→プリンタ部
ボックスプリント機能 :記憶部→プリンタ部
また、ボックスプリントとは、記憶部10bを利用したMFPの処理機能であり、ジョブ毎やユーザ毎に記憶部10b内のメモリを分割して一次的にデータを保存して、ユーザIDやパスワードを組み合わせてデータの入出力を行う機能である。
更に、操作部106は、上記の様々なフローや機能を選択したり操作指示したりするためのものであるが、操作部の表示装置の高解像度化に伴い、記憶部10bにある画像データをプレビューし、確認後OKならばプリントするといったこともできる。
更に、本発明においてはMFPにEFM部92を備えている。MFP制御部100は、MFP内部で処理すべき印刷ジョブの制御を行い、EFM部92はMISサーバ20やポストプレスサーバ40など外部機器とJDFの送受信制御を行い、JDFの解釈、MFP制御部100への指示処理などを実行する。
図11はEFM部92を詳細に説明するブロック図である。
EFMとは、外部装置とJDFの送受信を行ったり、印刷システム内の各装置にEFMが管理するMFPのステータスを送信したり、逆に外部装置のステータスを受信したり、また受信したJDFをMFP制御部100に送り印刷ジョブの開始を指示する。また、EFM92は、MISサーバからの指示やEFM92自身の判断でMFP制御部100に印刷ジョブの処理の中断や中止を指示したり、MISからスケジュール情報を受信したり、印刷ジョブを編集可能にする機能を具備している。本実施例では、EFM92は外部装置とJDFの送受信を処理するモジュールであり、受信したJDFの指示に従って印刷すべき印刷コンテンツデータ(例えばPDLデータや画像データ)をファイルサーバ22から受信し、MFP装置全体を管理しながら印刷処理を実行する装置である。
図11の92はEFM部全体であり、116はNIC部でありネットワークを介してJDFまたは印刷コンテンツデータの送受信やステータスの送受信を行う。ジョブ送受信処理部110は、NIC部116に指示してJDFまたは印刷コンテンツデータの送受信を制御する。ステータス送受信部111は、NIC部116に指示して外部装置のステータスを取得したり、MISサーバ20等の外部装置にMFP装置37のステータスを送信したりする。通信部114はMFP制御部100とJDFや印刷コンテンツデータの送受信やステータスの取得や印刷ジョブに対する指示等を行う。内部ジョブ管理部113はMFP37で処理中の印刷ジョブを管理する内部ジョブ管理部であり、通信部114を介してMFP制御部100に印刷ジョブの処理指示を送ったりしている。印刷ジョブ制御部115は、JDFに記述されている指示を解釈したり、JDFの記述を変更または生成する処理を行う。なお、印刷ジョブ制御部115がMISサーバから受信したJDFを解釈することにより、MFP制御部100に対して印刷処理の指示を行ったり、今回処理すべき印刷コンテンツデータを認識することが可能となる。印刷ジョブ制御部115が認識した印刷コンテンツデータを後述のEFM制御部112に伝え、EFM制御部112がジョブ送受信処理部110を制御することにより、処理対象となる印刷コンテンツデータがファイルサーバから取得される。本願では、EFM92が印刷コンテンツデータを受信することを想定して記載しているが、それに限ることはなくEFM92において解釈したJDFの記述を後述するMFP制御部100に通知することにより、MFP制御部100がファイルサーバから印刷コンテンツデータを取得するようにしても構わない。EFM制御部112はEFM全体の動作を制御するEFM制御部であり、EFMの各制御部に処理指示を送っている。
図12はMFP制御部100を詳細に説明するブロック図である。同図は、大きく分けて5つの部分から成っている。すなわち、入力デバイスを管理する入力デバイス管理部、入力されたジョブを解釈する入力ジョブ制御部、ジョブの設定情報を整理する出力ジョブ制御部、そして、出力デバイスを割り当てる出力デバイス管理部、そしてEFM92からの指示をMFP制御部100に伝達し印刷ジョブの制御を行うジョブ管理部である。
入力デバイス管理部は、図10における各入力部(101〜105)にからの入力信号を整理したり、切り替えの順序を決定したりする役割を果たす。入力デバイス管理部に含まれる入力デバイス制御部122は、上記役割を果たすために入力デバイス管理部を制御する。なお、入力信号としては、ファイルサーバ22からのPDLデータや画像データ、ジョブ管理部120からのJDF等がある。なお、MFP制御部100がEFM92から受信するJDFは、EFM92によって、MFP制御部100が解釈可能なJDFコマンドに変換されている。
次に、入力ジョブ制御部は、プロトコル解釈部123とジョブ生成部124から構成されている。入力デバイス管理部から送られてくる一連の操作要求は、コマンド(プロトコル)と呼ばれる命令信号で受信され、プロトコル解釈部123でその操作要求の概要が解釈されて、MFP内部で理解できる操作手順に変換される。一方、ジョブ生成部124はMFP内でどのように処理するかが記述された内部ジョブを生成する。生成された内部ジョブは、MFP内部でどのような処理を施して、どこに送られるかといったそれぞれのシナリオが定義付けされて、そのシナリオに従ってMFP内部を流れることとなる。
出力ジョブ制御部では、ジョブ解析部125、バインダ解析部126、ドキュメント解析部127及び、ページ解析部128において、ジョブの設定情報と画像情報が作成される。ジョブ解析部125は、印刷する文書名や印刷部数、出力先の排紙トレイ指定、複数バインダで構成されるジョブのバインダ順などジョブ全体に関わるジョブ設定情報129の詳細が解析される。バインダ解析部126は、製本方式の設定やステープルの位置、複数ドキュメントで構成されるバインダのドキュメント順などバインダ全体に関わるバインダ設定情報12aの詳細が解析される。ドキュメント解析部127は、複数ページで構成されるドキュメントのページ順、両面印刷の指定、表紙や合紙の付加などドキュメント全体に関わるドキュメント設定情報12bの詳細が解析される。ページ解析部128は、画像の解像度、画像の向き(ランドスケープ/ポートレイト)等の各種設定ページ全体に関するページ設定情報12cの詳細が解析されると共に、PDLデータが入力された場合にはRIP部107を呼び出してラスタライズ処理を施す。なお、画像情報を生成するに当たっては、RIP部107を呼び出して、ラスタライズ処理にてページ画像情報12fが生成される。ページ画像情報12fは、圧縮伸張部10aにおいて圧縮された後、記憶部10bに設定情報と関連付けされて格納される。
出力デバイス管理部は、出力デバイス制御部12dで構成されている。記憶部10bに保存された画像情報は圧縮伸張部10aにて伸張され、関連付けられていた設定情報と一緒に読み出され、設定情報と画像情報は一対になって出力デバイス部に送られてくる。出力デバイス制御部12dは、プリンタ部、インラインフィニッシャなどMFP内のどのデバイスを利用するかのMFP内部の処理をスケジューリングする。
通信部121はEFM92とJDFまたは印刷コンテンツデータの送受信や印刷ステータスの送受信や印刷ジョブの処理指示を受け取る。
ジョブ管理部120は、通信部121を介してEFM92からJDFを受信したり、印刷処理の開始や中断や中止や処理内容の変更の指示を受ける。また、EFM92からの指示内容に従って印刷ジョブの処理を変更する指示をMFP内部の各制御部へ送ったり、MFPで実行中の印刷ジョブのステータスをEFM92へ送る。
図13は本実施例における印刷ジョブを工程管理部からデジタルプリント部が最初に受け取る処理を説明する図である。
MISサーバは印刷システムにおけるジョブ処理のスケジュールを所持している。スケジュールは予め印刷システム管理者が、印刷ジョブの納期や納品締め切り日や印刷システムの稼動スケジュールを鑑みて、どのデバイスにどのジョブを何時から何時までの間で処理させるかが記録されている。なお、MISサーバが自動的にスケジュールを生成しても良い。MFP37において処理すべき作業はJDFに記載されている情報に基づくものであり、JDFはMISサーバによって作成される。また本願では、実際に処理すべき印刷コンテンツデータ(PDFデータなど)はファイルサーバに記録されている。JDFデータや印刷コンテンツデータは顧客から送られた印刷注文に関するデータ(オーダ)を基に作成されたものであるが、一般に商業印刷業界でなされている処理であり、また本発明に関係しない処理であるので、本実施例ではその処理に関しては説明しない。
MISサーバはジョブキュー130を所有し、スケジュールに従って処理開始時間が来たJDFをジョブキューにセットする。また、スケジュールに従ってジョブキューからJDF64をデジタルプリント部内のMFP内のEFMへ送る。なお、本願では、印刷コンテンツデータ131はファイルサーバに記録されており、JDF64を受信したEFM92が、該JDF64を解釈することにより、該JDF64と対応する印刷コンテンツデータを認識して、ファイルサーバ22からMFP本体に送信される構成を想定している。なお、本願に記載の印刷コンテンツデータは記録媒体に描画されるデータであるため、描画データと言う場合もある。
図14は、本実施例におけるMFP37が受信したJDFの指示内容に従って、印刷コンテンツデータを処理する際、フィニッシング処理をMFPが有するインラインフィニッシャからニアラインフィニッシャへ代行依頼する処理を説明する図である。
MISサーバ20は、スケジュールに従って処理開始予定時間が来たことを認識すると、MFP37にて処理されるべくジョブキューにセットされた次のJDF140をMFP37に送信する。しかし、図14では、MFP37にて前回のJDFに対応する印刷ジョブを処理中であるため、MISサーバ内のジョブキューにてJDF140がEFM92に送信されず、待機中であることを示している。
JDF141は、MFP37のインラインフィニッシャからニアラインフィニッシャ46でフィニッシング処理を代行する為に、EFM92によって代行処理用に生成(または変更)され、ポストプレスサーバ40へ送られる。JDF141に関しては図15で詳細に説明する。
142はMFP37から出力された印刷原稿であり、ニアラインフィニッシャ46にてフィニッシング処理を行う印刷原稿全体を示す。JDF識別原稿143は印刷原稿142の最上部などオペレータが認識しやすい位置に出力される。JDF識別原稿143には、識別情報(バーコード)にてJDF141を指し示す情報が記載されており、それ以外は印刷コンテンツデータとJDFに基づいて出力された印刷原稿の実態である。JDF識別原稿143に記載の識別情報(図14ではバーコードが該当)は、ネットワークによってポストプレスサーバ40に送信されたJDF141と、JDF141から指し示されているコンテンツであるところの印刷原稿142のリンクを取る為のものである。オペレータは、ニアラインフィニッシャ46で処理が開始される際に、まずJDF識別原稿143に記載のバーコードをスキャン処理等によって認識させることにより、ニアラインフィニッシャ46にて印刷後処理すべき印刷原稿142とポストプレスサーバ40がEFM92から受信したJDF141とのリンクを取る。これにより、オペレータが印刷原稿をニアラインフィニッシャ46にセットするのみで、ニアラインフィニッシャ46はJDF141に記述される作業指示に基づいて印刷後処理を実行する。なお、このバーコードにおけるリンク処理に関しては、本発明の範囲外であり既に実施されている形態であるので、本実施れではこれ以上は説明を省略する。
図15は、MFP37からニアラインフィニッシャへの代行依頼の為にポストプレスサーバに送られるJDF141を説明する図である。
最初にMISサーバからMFPへ指示されるJDF64に関しては、従来の例である図6で説明した。ここでは、図6で示されているJDF64との差異を中心に説明する。
図6に記載のJDF64では、PrePress処理指示61とPress処理指示62とPostPress処理指示63が、Combined Proces60内で指示されている。これは、PrePress処理指示61からPostPress処理63までを一度に処理することをMFPに指示したものである。MFP37はそのJDF63の内容に従うと、PostPress処理までをMFP37が処理することになる。まず、MFP37は受信したJDF64に記載された指示に従ってジョブの処理を開始する。
しかしながら、次ジョブの処理開始時間がきてしまった、またフィニッシャのステープラの針切れ等のエラーが発生したことにより、JDF64に記載された指示に従ってMFP37自身でそのまま印刷前処理から印刷後処理までを続行するとスケジュールの大幅な遅延につながってしまう可能性がある。そこで、本願の発明を用いることにより、MFP37は、印刷処理までを実行し、フィニッシング処理をニアラインフィニッシャに代行させることで処理の遅延を防ぐことが可能となる。この際、MFP37が印刷後処理の代行を依頼する場合、JDF内に記述される作業指示の構成が変更(または生成)される。その様子を示したのが図15のJDF141である。
図15に記載のJDF141は、JDF64とは記載内容が異なるため、その差を示す為に別の番号として141と表現する。JDF141に含まれるPrePress処理指示151はPrePress処理を実行する際に用いられる指示であり、Press処理指示152はPress処理を実行する際に用いられる指示である。なお、図15においてはPrePress処理指示151およびPress処理指示152は、どちらもMFP37において処理事態が完了している為に、処理終了を意味するマーク“Completed”が記載されている。そして、これら2つの指示のみがCombinedProcess150内に残っており、PostPress処理指示はCombinedProcess150の外に移動している。これにより、PostPressサーバは、JDF141に記述されている作業指示を参照することにより、PostPress処理指示153に基づく処理が未完了であることを認識して、該PostPress処理指示153に基づく処理が外部装置で実行される処理対象であると判断できる。なお、代行の対象となる作業工程は代行先の外部装置にて引き継がれるため、処理対象となるデバイスが変更されても出力結果に変更は生じない。
図16は、本実施例における印刷後処理をニアラインフィニッシャに代行依頼するEFMの処理を説明するフローチャートである。なお、本願に記載のフローチャートにおける各ステップは、MFP内に含まれるMFP制御部100により処理される。
ステップS1で、EFM92は、MISサーバからJDFを受信する。この時のJDFの動きを示したのが、図13である。なお、S1にて受信したJDFは記憶部10bに格納される。
そしてステップS2にて、EFM92はJDFに記載された指示に従ってMFP制御部100にJDFおよび印刷コンテンツデータを送り、処理開始を指示する。詳細には、上述した通りEFM92が受信したJDFは、印刷ジョブ制御部115により解釈される。その結果、EFM92は、処理対象となる印刷コンテンツデータを認識することができ、該印刷コンテンツデータをファイルサーバから受信する。そして、EFM92が有する印刷ジョブ制御部115が解釈したJDFデータおよび印刷コンテンツデータをMFP制御部100に送信することにより、MFPでの処理が開始される。なお、MFP制御部100に送信されたJDFおよび印刷コンテンツデータはMFP制御部内で処理および管理されるが、その詳細については本実施例の図17で説明する。そしてEFM92は印刷ジョブの処理に関してはMFP制御部100に任せ、EFM92内のEFM制御部112が、印刷ジョブの処理を自機であるMFP37で最後まで実行するか、他の装置に代行するかを監視する処理に移行する。
ステップS3でEFM92は、JDFで指示された内容に従って全部数分の処理が終了したかを判断する。詳細には、EFM92内の内部ジョブ管理部113が通信部114を介してMFPにおける処理状況を認識することにより、S3の処理が可能となる。
ステップS3によりEFM92が、全部数分の処理が終了したと判断した場合、ステップS15へ進み、まだ終了していない場合にはステップS4へ進む。
ステップS4では、EFM92がMISサーバのジョブキュー内に自機であるMFP37で処理すべきJDFが待機中の状態でキューイングされているかどうかを問い合わせ、ステップS5で自機であるMFP37で処理開始すべき時間を過ぎたJDFがキューイングされているかどうかを判断し、キューイングされていない場合にはステップS3へ戻り、キューイングされている場合にはステップS6へ進む。つまり、EFM92がMISサーバから取得したMFP37にて処理すべきJDFのスケジュール情報を解釈することにより、スケジュールに遅延が発生しているか否かの判定を行う。詳細には、EFM92内のステータス送受信部111がNIC部116を介してMISサーバと通信可能であり、MISサーバから受信したスケジュール情報をEFM制御部112が解釈することによりS4およびS5の処理が可能となる。すなわち、S4およびS5の判定により、EFM92は、画像処理装置にて処理すべき作業工程を変更するか否かの判定することとなる。
S5においてEFM92が処理開始時間の過ぎたJDFがあると判定した場合(作業工程を変更すると判定した場合)、ステップS6では、EFM92が現在MFP37で処理中の印刷ジョブにフィニッシング処理が指示されているかどうか、つまりJDFにPostPress処理指示が記述されているかどうかを判断する。詳細には、現在処理中のJDFは記憶部10bに保持されているため、EFM制御部112が記憶部10bを参照することによりS6の処理が可能となる。
S6により、EFM92がフィニッシング処理が指示されていないと判定した場合、ニアラインフィニッシャに代行を依頼すべき処理がないので、このままMFP37で処理を継続すべくステップS3へ戻る。またフィニッシング処理が記載されている場合には、ステップS7へ進む。EFM92は、現在処理中の印刷ジョブをMFP37にてフィニッシング処理中であるかどうかを判断する。なお、MFP37における処理状況の認識は、上述のS3と同様であるため詳細な説明は省略する。
S7の判定においてEFM92が現在処理中の印刷ジョブがフィニッシング処理中であることを判定した場合、ステップS8へ進み、現在処理中である第xx部目のフィニッシング処理を最後まで実行し、ステップS3へ戻り全部数の処理が終了したかどうかを再度判断する。ここで、まだ処理すべき部数がある場合にはステップS9まで進むことになる。つまり、現在処理中の第xx部については印刷後処理まで処理をするが、残りの処理すべき分については後述するS9の判定処理が実行される。
ステップS7でEFM92がフィニッシング処理中でないと判定した場合、またはステップS8へ進んだがまだ全部数分の処理が終了していないと判定した場合、ステップS9が実施される。ステップS9では、EFM92は、JDFに記述されているフィニッシング処理が他の外部装置(例えばニアラインフィニッシャ)で処理可能かどうかを判断する。なお、S9の処理はEFM92がMISサーバが管理する外部装置の処理能力を受信することにより判断するものである。つまり、MFP37において処理すべき作業工程の少なくとも1つを実行可能である外部装置があるか否かを判定する処理であるが、詳細については後述する図18に記載する。
ステップS10において、外部装置でフィニッシング処理を代行不可能と判定した場合、ステップS8へ進みフィニッシング処理を実行する。そして以降は、全部数分の処理終了までステップS3−>ステップS10−>ステップS8という経路での処理が継続される。
ステップS10でEFM92が代行可能となる外部装置があると判断した場合、ステップS11においてEFM92は、残りの処理すべき部数の出力結果を代行対象とする。ここで代行対象となるフィニッシング処理はMFP37内のインラインフィニッシャを用いることなく処理するため、EFM92は、MFP制御部100に対して印刷原稿の搬送路をインラインフィニッシャ93へ送る搬送路から、排紙トレイに変更するよう指示する。この指示により、MFP制御部100は、処理中のジョブに関してもフィニッシング処理をしないで排紙する。例えばフィニッシング処理としてMFP92内のインラインフィニッシャである、くるみ処理部89を用いてくるみ製本処理を実行していた場合には、まず図8の一次トレイ86に1つのブックレット分だけ印刷原稿が保持される。ここからの原稿の送り先をインラインフィニッシャ用の搬送パス2でなく、排紙トレイ(例えばスタックトレイ85)に変更する処理を行う。これにより、本来であれば一次トレイ86からくるみ処理部89へ印刷原稿が搬送される予定であったが、印刷原稿はスタックトレイ85へ排紙される。そしてEFM92は、次に印刷未処理の全部数に対して、代替可能なフィニッシング処理の直前までジョブ処理を進めて、最後にジョブID番号を示すバーコードを記述したJDF識別原稿を印刷して、ジョブ処理を中止する。つまり、MFP92は、フィニッシング処理だけを実行しないで未処理分の部数の印刷処理を実行し、その後にジョブID番号をバーコード印刷する。
そして、ステップS12へ進み、EFM92は、外部装置(例えばニアラインフィニッシャ46)へ代行依頼すべくポストプレスサーバ40へ代行依頼するためにJDFを生成(または変更)する。つまり、外部装置にて実行可能である作業工程を外部装置に行わせるべくジョブチケットを生成(または変更)する処理となる。なお、JDFの生成にはJDFを変更する処理も含まれており、詳細には、図11に記載の印刷ジョブ制御部115がMISサーバから受信したJDFの記述を変更する。変更後のJDFを説明する図が図15である。また、代行用のJDFを生成する場合、EFM92が代行すべき作業工程であるフィニッシング処理を認識して、代行すべきフィニッシング工程に基づく代行用のJDFを新たに生成する処理も含まれる。なお、生成された代行用のJDFはS13において送信される。
そしてステップS13へ進み、EFM92は、ステップS12で変更(または生成)したJDFをポストプレスサーバ40へ送信する。そしてステップS14でEFM92は、MISサーバ20に対してMFP37へ依頼されたJDFによる処理が、ニアラインフィニッシャ46へ転送されたことを通知する。最後に、ステップS15でEFM92は、MISサーバ20のジョブキューにキューイングされているJDFを受け入れ可能であることを通知するために、MISサーバ20に対してMFP37は処理中の印刷ジョブがなくなりReady状態であることを通知する。
図16に記載の処理により、MISサーバ20から受信したスケジュールより遅延が発生したことをEFM92が認識した場合、フィニッシング処理を代行できる外部装置があるか否かの検索が行われる。ここで、代行できる外部装置が検知された場合、EFM92はJDFを変更(または生成)して、フィニッシング処理を代行させることによりスケジュールの遅延を解消することが可能となる。また、本実施例のEFM92を用いることにより、処理中に代行処理が必要と判定されても、該処理を止めることなく代行処理を実行することが可能となる。
なお、本実施例ではフィニッシング処理を代行できる外部装置としてニアラインフィニッシャを挙げたがこれに限ることはなく、該フィニッシング処理を代行できる機能を有していれば問題ない。例えばフィニッシング処理を代行できる機能を有したMFP装置が代行処理を行うようにしても構わない。なお、図15のS4およびS5において、MISサーバに処理時間を過ぎたJDFがあるか否かに基づいて代行処理を依頼すると記載したが、処理中のMFP37において実行すべきフィニッシング処理が、該MFP37で行えなくなった場合(例えば、MFP37が保持するステイプルの針が無くなってしまった場合)、EFM92がMFP制御部100からフィニッシング処理が行えなくなったことを認識することにより、代行処理を実行すべくS6以降の処理を実行するようにしても構わない。
また、図16のフローチャートのS13では変更(または生成)された代行用のJDFをポストプレスサーバへ送信するとの記載をしたが、これに限られることはない。例えば、EFM92が処理を依頼すべきニアラインフィニッシャに対して、変更(または生成)された代行用のJDFを送信することも考えられる。なお、この場合、代行処理を実行するニアラインフィニッシャは、JDFを解釈する機能(EFM)を搭載していることとなる。
図17は、本実施例における印刷ジョブを処理中のMFP制御部の処理を説明するフローチャートである。
図16のステップS2でJDFおよび印刷コンテンツデータがMFP制御部100に送られ、処理開始が指示されたならば、図17のステップ20の処理が開始される。
ステップS20では、MFP制御部100は、MFP内部処理用の内部ジョブを生成し、該内部ジョブに基づいて処理を開始する。詳細には、EFM92がMFP制御部100用に解釈したJDFは、MFP制御部100内の入力ジョブ制御部によって内部ジョブへと変更される。なお、変更された内部ジョブは記憶部10bに保持される。
そしてステップ21にて、MFP制御部100は、EFM92から送られたJDFに記載されている内容に従って、印刷処理を実行する。その処理内容は図12で説明したとおりである。詳細には、EFM92から送信されたJDFに基づく内部ジョブが記憶部10bに保持されているため、MFP制御部100が記憶部10bを参照することにより、処理内容を認識することは可能である。そして、MFP制御部100は、認識した処理内容でジョブ処理を実行すべく、MFP内の各モジュールを制御する。
そしてステップS22へ進み、MFP制御部100は、EFM92からジョブの中断指示がきているかどうかを判断する。詳細には、MFP制御部100内のジョブ管理部がEFM92からの指示内容を受信するため、入力ジョブ制御部がジョブ管理部を参照することにより、S22の判断処理が可能となる。
S22においてMFP制御部100が中断指示がなされたと判定した場合、ステップS23へ進み、EFMからの指示内容に従って中断処理を実行する。例えば、図16で示したように、処理中のフィニッシング処理は最後まで実施し、未処理部数分の部数分は印刷処理のみを行い、最後に印刷ジョブIDを示すJDF識別原稿を印刷するような指示がEFMからなされ、この処理を実行する。つまり、代行処理を実行するためにEFM92から中断指示が発行された場合、S23に記載の処理を実行してステップS25へ進む。なお、ステップS22にて中断指示がなかった場合には、ステップS24へ進み、現在MFP37で処理中の印刷ジョブは処理が終了したかどうかを判断する。処理が終了していない場合には、ステップS21へ戻り、印刷ジョブの処理を進める。処理が終了している場合には、ステップS25へ進む。
ステップS25において、MFP制御部100は、EFM92へジョブの終了を通知し、MFP制御部内のステータスをクリアする等の終了処理を行う。
図17に記載のフローチャートにより、MFPはEFMからの指示に従い処理を続けるのか、処理を中断するのかを判定することが可能となる。
図18は、図16のステップS9のフィニッシング処理を外部装置(例えばニアラインフィニッシャ)で代行可能かどうかを判断する処理の一例を説明するフローチャートである。図18は、EFM92がMISサーバから外部装置(ニアラインフィニッシャ)の処理能力を示す外部装置能力情報を受け取り、代行可能性を判断する方法を示す。本実施例では、MISサーバは印刷システム内の各装置の処理能力を示す外部装置能力情報を保持しているとする。なお、本フローチャートでは代行先としてニアラインフィニッシャを検索する場合を想定して記載するがそれに限られることはなく、EFM92が管理するMFP以外の外部装置であれば良い。
まず、ステップS30においてEFM92は、MISサーバ20に格納されている印刷システムに接続されているニアラインフィニッシャにおいて、処理中でない装置且つこれから処理を行うようにスケジュ−ルされていないニアラインフィニッシャの全リストと該ニアラインフィニッシャの外部装置能力情報を取得する。詳細には、MISサーバがニアラインフィニッシャに関する情報(例えば装置の性能や処理状況や接続状況やスケジュール情報など)をMISサーバの記憶部にて管理している。EFM92は、MISサーバ20に対して外部装置能力情報取得を依頼することにより、MISサーバで管理するニアラインフィニッシャに関する情報がEFM92に対して通知される。EFM92は、MISサーバから通知された情報に従いS30を実行する。
そして、ステップS31にてEFM92は、取得したニアラインフィニッシャに関する情報から、現在MFP37で処理中の印刷ジョブに対応するJDFに記載されているPostPress処理指示に必要な機能を代行できるニアラインフィニッシャがあるかどうかを判断する。詳細には、EFM92が取得したニアラインフィニッシャに関する情報およびJDFに記載されているPostPress処理内容は記憶部10bに保持されているため、記憶部10bを参照して、両者を比較することによりS31の判断が可能となる。
ステップS32にて、EFM92がJDFに記載のPostPress処理内容を所有する(つまり代行できる)ニアラインフィニッシャがある場合には、代行が可能なニアラインフィニッシャが存在すると判断して、図16のS11以降の処理を実行する。また、必要機能を全部所有するニアラインフィニッシャがない場合には、EFM92は代行が可能なニアラインフィニッシャがないと判断して、図16のS8の処理に入る。なお、図18ではPostPress処理を代行できるニアラインフィニッシャを探すと記載したが、複数のニアラインフィニッシャを組み合わせることによりPostPress処理を代行するようにしても構わない。例えば、製本機の代表的な役割として「綴じ処理」および「折り処理」が挙げられるが、綴じ機および折り機を組み合わせることにより製本処理を実行するようにしても構わない。
図19は、図16のステップS9のフィニッシング処理をニアラインフィニッシャで代行可能かどうかを判断する処理の第二の例を説明するフローチャートである。図19は、EFM92がニアラインフィニッシャを管理するPostPressサーバに代行可能かどうかを問い合わせて判断する方法を示す。本実施例では、PostPressサーバは、印刷システム内に接続されている全装置(ニアラインフィニッシャ)のリストを格納している。なお、本フローチャートでも代行先としてニアラインフィニッシャを想定して記載するがそれに限られることはなく、EFM92が管理するMFP以外の外部装置であれば良い。
先ずステップS40にて、EFM92は、図16のS1においてMISサーバから受信したJDFを代行処理用のJDFに生成(または変更)する。詳細には、EFM92内の印刷ジョブ制御部115が代行用にJDFの変更処理を行う。EFM92は、代行用のJDFを印刷システム内のPostPressサーバに送信する。本実施例ではPostPressサーバ40は印刷システムに一つだけ存在する。
そしてステップS41にてEFM92は、PostPressサーバから処理可能性に関する返事を待つ。PostPressサーバは、PostPressサーバ管理下のニアラインフィニッシャの中で、現在処理中でなくこれからジョブ処理を行うスケジュールになっていない、且つ転送された代行用のJDFに記述されているPostPress処理を実行する機能を有するニアラインフィニッシャが存在するかどうかを判断し、その情報をEFM92へ返却する。
そしてステップS42にて、EFM92は、返事がまだない場合には、ステップS41へ戻り、返事があった場合には、ステップS43へ進み、代行可能かどうかを判断する。
なお、図18および図19で記載した以外にも予めMFPの記憶部にニアラインフィニッシャの機能情報(外部装置能力情報)を保持しておくことにより、代行可能か否かを判断するようにしても構わない。
また、本実施例では、EFM92がMISサーバからスケジュール情報を取得して処理の遅延を判定していたが、それに限られることはなく、MISサーバに問い合わせて、MISサーバが処理の遅延を判定し、判定結果をEFM92が通知するようにしても構わない。
実施例1ではスケジュールの遅延等が発生した場合、代行処理を依頼すべくJDFを変更または生成する処理について説明した。しかし、本実施例はこれに限られることはなく、現在印刷ジョブを処理中のMFP37の処理状況に応じて、EFM92がMFP37にて処理すべき作業工程を変更するように指示することも考えられる。本願で言えば、MFP37では印刷前処理(PrePerss処理)、印刷処理(Press処理)、印刷後処理(PostPress処理またはフィニッシング処理)を実行すべきであると命令されている。しかし、処理状況に応じて(例えばMISサーバが管理するMFP37のスケジュールに遅延が発生した場合やMFP37にて実行すべきフィニッシング処理が実行できなくなった場合など)、EFM92がMFP制御部100に対して処理すべき作業工程を変更するように指示する。例えば、EFM92が、MFP37にて実行すべきPostPress処理を代行すべく、該PostPress処理を実行可能な外部装置(例えばニアラインフィニッシャ)に対して代行を依頼する。その結果、MFP37にて処理すべき作業工程はPrePress処理およびPress処理およびPostPress処理の3つの作業工程からPrePress処理およびPress処理の2つの作業工程に変更され、スケジュールの遅延を防ぐことが可能となる。
(実施例2)
上記第一の実施例では、外部装置(例えばニアラインフィニッシャ)にPostPress処理を代行させることにより、MFP37における印刷ジョブ処理を早く終了させ、次の印刷ジョブ処理を早く開始する処理に関して述べた。
以下では、第二の実施例として、印刷システム内のMFPも用いて分散処理を実行することにより、印刷ジョブを早く終了させ、次の印刷ジョブを早く開始する処理に関して説明する。
図20は第二の実施例を説明する印刷ジョブを工程管理部からデジタルプリント部が最初に受け取る処理を説明する図である。第二の実施例では、印刷システム内には2つのMFP(MFP37およびMFP203)が存在する構成とする。また、第二の実施例では第一の実施例と同じ項目・処理に関しては特に繰り返し説明はしないで省略する。よって、特に説明がない限りは、第一の実施例の説明と同様である。なお、第二実施例に記載のMFP37およびMFP203の機能は実施例1に記載のMFPと同様に、インラインフィニッシャおよびEFMを含んでいる。
第二の実施例においても、先ずは処理スケジュールに従ってMISサーバ20からEFM92にJDF64が送信され、その後、EFM92がJDF64内の指示を解析後に、ファイルサーバから印刷コンテンツデータ(例えばPDL)131を受信する。
図21は、第二の実施例における印刷ジョブ処理におけるPress処理とPostPress処理をMFP37からMFP203へ分散依頼する処理を説明する図である。
図21に示すJDF210は、EFM92からEFM201へ送信される分散処理用ののJDFであり、第二の実施例では、PrePress処理だけがMFP37で処理済で、Press処理とPostPress処理をMFP203に分散処理依頼するものとする。JDF210の詳細に関しては図22にて説明する。また、第二の実施例ではPrePress処理までは実行済なので、JDF210と共に、MFP37からPrePress処理済のラスタデータ211をMFP203へ送る構成とする。このラスタデータ211を使用してMFP203はPress処理から実行する。
図22は、図21においてEFM92からEFM201に送信されるJDF210を説明する図である。上記でも述べたように第二の実施例では、PrePress処理まではMFP37にて処理済みであり、Press処理とPostPress処理を分散する場合の例である。
JDF210は、EFM92がEFM201に対して分散処理の実施を依頼するために、記述されたものである。PrePress処理指示220はPrePress処理の指示内容を示す情報であり、処理が終了したことを示すマーク”Completed”が記述されている。Press処理指示222に基づくPress処理とPostPress処理指示223に基づくPostPress処理はCombinedProcess指示221内に記述されており、MFP203は、“Completed”が記述されたPrePress処理以外のCombinedProcess指示221の情報に基づく処理を実行する。
図23は、分散処理の実施形態を説明する図である。分散処理の依頼を行うかどうかを判断するには、印刷システム内に属する外部装置が分散処理を実行するための機能を所持しているかどうか、依頼するJDFの記述を理解できるかどうかの2つの基準で判断する。その詳細に関しては、図29のフローチャートで説明する。ここでは、処理プロセスの表記方法と分散可能性の判断、分散依頼の方法に関して説明する。
初期状態のJDF230はMISサーバから送信された直後のJDFを示す。背景がグレー表示されている処理は、未処理であることを示す。初期状態のJDF230が示すようにPrePress処理とPress処理とPostPress処理が指示された場合に関して説明する。
231は、PrePress処理のみ終了したJDFの例を示す。PrePress処理の背景が白く表示されている。この時点で、印刷ジョブを分散処理したい場合、分散依頼先のEFM201がJDF231に含まれるPress処理とPostPress処理に記載されたJDFのバージョンまでサポートしているならば(つまり、EFM201がJDF231を解釈可能であるならば)Press処理とPostPress処理を分散処理依頼可能だが、Press処理に記載されているJDFのバージョンが、EFM201のサポート範囲外ならば、PostPress処理のみが分散可能となる。その例が232である。つまり、JDF232ではPrePress処理までをMFP37で処理したため、Press処理およびPostPress処理を分散依頼すべくEFM201に送信したが、Press処理の記載内容が分散依頼先のEFM201にて解釈のできるバージョンではないため(つまり、バージョン外である)、分散依頼する工程はPostPress処理工程に限定される。よって、依頼されるJDF232では、PrePress処理およびPress処理までが処理済みを示す白色で表示されており、PostPress処理は未処理を示す灰色で表示されている。このPostPress処理がMFP203により分散処理される対象となる。
また、PostPress処理に記載されているJDFの記載方法のバージョンがEFM201のサポート範囲外ならば、MFP203ではジョブを最後まで処理できないので、EFM92は分散できないと判断する。その例が233である。つまりMFP203は、Press処理のみがMFP203で処理できたとしても、その後に実行されるPostPress処理をMFP203が処理することができない。そのため、MFP203にPress処理のみ分散処理を依頼してもPostPress処理はMFP37で処理をしなければならなくなり無駄な処理が発生するため、EFM92は分散処理ができないと判定する。
図24は、各EFMがMISサーバに印刷ジョブを分散印刷処理することを通知するJDFの例である。
JDF240は分散処理を依頼されたEFM201からMISサーバへ通知するJDFの例を示す。JDF240はMFP203でどのような処理を行うかを示す情報であり、Audit情報241は印刷ジョブの各種情報を記録、ジョブID242は印刷ジョブを識別する為の情報であり、分散数243はMFP203で処理すべき分散処理の部数を示す。JDF240は、MFP203ではPrePress処理244は行わないで、Press処理とPostPress処理を行うことを示すJDF構造になっている。
JDF246はMFP37で処理する内容を示すJDFであり、248は242のジョブIDと同じ情報が記録されている。これによってMISサーバは、JDF240とJDF246が同一の印刷ジョブに対するJDFであることを識別できる。分散数249はMFP37で処理すべき全部数を示し、分散数243と分散数249で示された総数が、その分散処理前のJDFに記載されていた処理すべき全部数と一致しない場合には、他に分散先があることをMISサーバは判断できる。また、JDF246ではPrePress処理とPress処理とPostPress処理がCombinedProcess内に記述されており、この3つの処理がMFP37内で処理されていることを示す。なお、MFP203に対して分散処理を依頼しているため、MFP37にて処理すべき処理部数は少なくなっている。
図25は、第二の実施例における印刷ジョブを外部装置(例えばMFP203)と分散処理するEFM92の処理を説明するフローチャートである。
ステップS50で、EFM92は、MISサーバからJDFを受信する。そしてステップS51にて、EFM92は、受信したJDFの指示に従ってMFP制御部100に印刷ジョブ処理の開始を指示する。ステップS52で、EFM92は、全部数分の処理が終了したかどうかを判断し、終了したならばステップS59へ進み、終了していないならばステップS53へ進む。なお、S50からS52に記載の処理は図16のS1からS3と同様であるため、詳細な説明は省略する。
ステップS53では、EFM92はMFP37がジョブの分散印刷処理をすべき状態かどうかを判断する。なお、分散処理が必要か否かの判断は、EFM92がMISサーバ20と通信することにより、例えばMISサーバ20が管理するMFP37で実行すべきスケジュールに遅延が生じているか否かを判定することにより分散処理の必要性を判定する。つまり、図16に記載のS4の処理と類似している。
S53の判定処理により、EFM92が分散処理が必要でないと判定した場合(例えばMISサーバ20が管理するスケジュールに遅延が生じていないと判定した場合)、S52へ戻る。また、EFM92が分散処理が必要であると判定した場合(例えば、MISサーバ20が管理するスケジュールに遅延が生じていると判定した場合)、S55へと処理を進める。なお、詳細な説明は後述の図28を用いて説明する。
ステップS55においてEFM92は、分散処理可能な外部装置があるかどうか判断する。なお、S55の処理は、図16のS9および図18で説明した処理とほぼ同様であるため、詳細な説明は省略する。また、本実施例では分散処理先としてMFPと記載しているが、例えばニアラインフィニッシャを分散処理先として、フィニッシング処理のみを分散するようにしても構わない。なお、S55の詳細な説明は図29を用いて説明する。
そしてステップS56では、EFM92がS55において分散処理可能な装置があると判定した場合、ステップS57へ進み、分散可能な装置がないと判定した場合、ステップS52へ戻り、分散処理を行わない。
ステップS57では、EFM92が外部装置と分散処理を行うことをMISサーバ20に対して通知する。この時にMISサーバに通知するJDFの例を示した図が、図24である。詳細には、EFM92の印刷ジョブ制御部115が、図24に示すJDF246を生成(または変更)して、MISサーバへ通知する。
そしてステップS58へ進み、EFM92は、PostPress処理のみを分散するかどうかを判断し、PostPress処理のみを分散処理する場合には、分岐2へ進む。この場合の処理は図26のフローチャートで説明する。またPostPress処理以外のPress等の工程も含めて分散する場合には、分岐3へ進む。この場合の処理は図27のフローチャートで説明する。
また、ステップS59において、EFM92は、MISサーバに印刷ジョブの終了を通知する。
図25に記載の処理を用いることにより、EFM92は、印刷システムに接続されているデバイスの処理機能を把握し、分散処理可能なデバイスを検知した場合、分散処理用のJDFを生成(または変更)して分散処理を実行するため、JDFに記載の設定を保持したまま処理を早めることが可能となる。また、本実施例のEFM92を用いることにより、処理中に分散処理が必要と判定されても、該処理を止めることなく分散処理を実行することが可能となる。
図26は、図25においてPostPress処理のみを分散処理する場合のフローチャートを示す。つまり、図23で示した232に示すように、例えばMFP37にてPrePressまで終了しており、Press処理とPostPress処理を分散処理したいのだが、Press処理は分散できない場合の処理フロー例に関して説明する。
ステップS60において、EFM92は、MISサーバから受信したJDFをMFP203へ分散処理依頼するためのJDF210を生成する。なお、S60の生成処理にはJDFの変更処理も含まれている。詳細にはEFM92は、PostPress処理のみを分散すると判定しているため、EFM92の印刷ジョブ制御部115が、PostPress処理を分散依頼するためにJDF210を変更する。また、JDFを生成する場合、EFM92が分散すべき作業工程を認識して、分散すべき作業工程に基づく分散用のJDFを新たに生成することとなる。
そしてステップS61で、EFM92は、S60で生成(または変更)したJDFを分散処理依頼先の外部装置が有するEFM201へ送り印刷ジョブの分散処理を依頼する。この時の一例を示す図が、図21である。図26ではPostPress処理のみの分散なので、図21におけるラスタデータ211の送信は行われない。
そしてステップS62では、EFM92が、MFP37のMFP制御部100に対して分散処理用に作業工程が変更されたことを指示する。つまり、図26ではMFP制御部100にPostPress処理直前まで処理するよう指示する。S62を説明するために以下に一例を挙げる。MFP37のMFP制御部100が図25のS50においてMISサーバから受信したJDFにはMFP37においてPrePress処理からPostPress処理まで10部処理することが記載されている。しかし、PostPress処理に関しては分散処理を実行するため、処理すべき部数に変更が生じる。よって、EFM92は、MFP37にて処理すべきPostPress処理の部数を10部から分散依頼した部数分差し引いた部数をMFP37において処理するように指示する。EFM92からの作業工程の変更指示によりMFP制御部100は、MFP37で処理するジョブを一部毎にPostPress処理までの実行と、Press処理までの処理を交互に実行し、Press処理まで処理した印刷ジョブのPostPress処理に関してはMFP203に依頼する。そして、EFM92によって上記のように変更された作業工程をMFP37のMFP制御部100が解釈することにより、指示内容に基づく処理(本実施例では1部ごとにPostPress処理直前までの処理)を実行する。
そしてステップS63にて、MFP制御部100は、これから処理を行う印刷ジョブはMFP37でPostPress処理まで行うのか、Press処理までを行うべきなのかを判断する。なお、上述したように第二の実施例では、1部ごとに切り替える処理を採用しているため、分散処理開始から数えて奇数番目はPress処理まで行い、偶数番目はPostPress処理まで行うように指示する。これにより、印刷後処理により発生する処理負荷配分を分散して処理することが可能となる。なお、S63の判定はS62において変更された作業工程をMFP制御部100内のジョブ管理部が管理し、その内容を記憶部10bに保持する。そして、MFP制御部100が保持する分散用の作業工程を参照することにより、PostPress処理まで実行すべきかPress処理まで実行すべきかを切り替えることが可能となる。なお、現在何ページ目を処理しているかはMFP制御部100が印刷原稿を出力するごとにページをカウントアップすることにより認識可能である。
そしてステップS63にてMFP制御部100が、PostPress処理までMFP37で処理すると判断した場合にはステップS64へ進み、PostPressまで印刷ジョブが処理される。MFP制御部100がMFP37でPostPress処理までは実行しないと判断した場合、ステップS65へ進む。
ステップS65ではMFP制御部100は、印刷原稿を排紙トレイにセットするよう指示する。
そしてステップS66へ進み、MFP制御部100は、MFP37の操作パネルに排紙トレイの原稿を分散処理先として設定されているMFP203へセットするように指示を表示する。詳細には、分散処理先として設定された情報(本実施例では分散処理先としてMFP203が設定されている)が記憶部10bに格納されているため、MFP制御部100は記憶部10bを参照することにより、MFP37の操作パネルに表示すべき分散処理先を決定することが可能となる。ここで、オペレータが操作部に表示された指示通りにMFP37の排紙トレイに排出された印刷原稿をMFP203へセットすることで、MFP37において実行すべきPostPress処理がMFP203のインラインフィニッシャを用いて実行される。なお、MFP203はMFP37にて処理すべきであった指示内容を含むJDFを引き継いでいるため、顧客からのオーダー内容を反映した印刷後処理を実行することが可能となる。
そしてステップS67へ進み、EFM92は全部数分の処理が終了したかどうかを判断し、終了したならばステップS69へ進み、MISサーバにジョブの終了を通知する。全部数分終了していない場合にはステップS68へ進み、次の部を処理する。
図27は、図25においてPostPress処理以外の処理も含めて分散処理する場合のフローチャートを示す。つまり、図23で示した231のように、MFP37にて、印刷ジョブの処理はPrePressまで終了しており、Press処理とPostPress処理を分散処理する場合の処理フロー例に関して説明する。なお、本フローチャートでは具体的に説明するために分散依頼元をMFP37、分散依頼先をMFP203として説明を進めるが、これに限る必要はない。
まずステップS70において、EFM92は、上述した図25のS55およびS56の処理により、分散依頼先としてMFP203と決定している。よって、EFM92は、分散を依頼する先であるMFP203で処理可能なように、分散印刷を依頼する直前まで処理を進めるようMFP37のMFP制御部100に指示する。第二の実施例では、PrePress処理までをMFP37で行い、Press処理とPostPress処理を分散処理するので、MFP37は、印刷コンテンツデータであるPDL131から、PrePress処理のなされたラスタデータ211を作成する。PrePress処理としては例えばカラーコンバージョン処理や面付け処理が挙げられる。なお、ラスタデータはMFP37およびMFP203の両者にて使用することになるため、ラスタライズ後、MFP37の記憶部10bに保持すると共に、該ラスタデータのコピーデータをMFP203へ送信することとなる。
そしてステップS71にてEFM92は、MFP203へジョブを分散依頼する為に、分散処理用にJDFを作成し、S72では、S71において作成されたJDFをMFP203のEFM201へ転送する。なお、S72では分散処理用にJDFを生成すると記載したが、分散処理用に変更する処理も含まれる。なお、この処理は上述したS60に記載した処理とほぼ同様であるため詳細な説明は省略する。また、S71にて転送される分散用のJDFを説明する一例が図22のJDF210である。つまり、JDF210に記述されているように、PrePress処理指示がCompleteとなっており、Press処理指示およびPostPress処理指示がCombinedProcess指示に含まれるJDFを作成して、EFM201へ送信する。そして、EFM201は、JDF210を解釈することにより、MFP203のMFP制御部へMFP37から受信したラスタデータ211を用いてPress処理およびPostPress処理を行うよう指示する。なお、S72においてEFM92は、分散処理を依頼するためにMISサーバから受信したJDFを変更すると記載したがこれに限られることはない。EFM92が分散すべき作業工程を認識して、分散すべき作業工程に基づく分散用のJDFを新たに生成しても構わない。
そしてステップS73にて、EFM92は、自機のMFP37の設定をMFP203とのジョブ分散処理用に変更する。例えば、MFP37とMFP203の処理パーフォーマンスが同じならば、残部数の1/2の処理をMFP203に依頼し、MFP37で処理すべき部数を分散依頼分だけ減らすように変更する。なお、分散先の処理能力はMISサーバが保持しているため、EFM92がMISサーバと通信することにより、処理能力を取得することが可能であり、その取得した分散先の外部装置との処理能力の関係に基づいて自動的に分散比率を決定しても良い。当然、ユーザが分散比率を決定するようにしても構わない。
そしてステップS74にて、MFP制御部100は、現在Press処理またはPostPress処理中の部があると判定した場合、この部のジョブ処理に関しては最後までジョブ処理を完了させる。詳細には、MFP制御部100にある通信部がMFP37における処理ステータスを把握することにより、現在処理中の印刷ジョブがあるか否かを判断することができる。
そしてステップS75で、MFP制御部100は、分散依頼後にMFP37で処理すべき部数分の処理が終了したかどうかを判断し、処理が終了していない場合にはステップS76へ進み、次の第xx部目の処理を行い、全部数分の処理が終了している場合にはステップS77へ進む。なお、MFP制御部100が全部数分の処理が終了したと判定した場合、MFP制御部100は終了通知をEFM92に対して通知する。
S77において、EFM92は、MFP制御部100から受信した終了通知を確認後、印刷依頼元であるMISサーバ20に対して、MFP37での印刷ジョブ処理が終了したことを通知する。
なお、終了通知を受けたMISサーバ20は、次に処理すべきJDFがあるか否かを判定する。ここで処理すべきJDFがあると判定した場合は、次の処理をするべくEFM92に対してJDFを送信する。
図26および図27の処理を用いることにより、MFPにおける処理を止めることなく、分散先の処理能力に合わせて動的に分散処理の依頼内容を変更(分散先のMFPでPostPress処理のみを行うのか、PressおよびPostPress処理を行うのか)することが可能となる。
図28は、図25のフローチャートにおいてステップS53においてEFM92がMFP37において現在処理中の印刷ジョブを分散すべきかどうかを判断する処理フローに関して示す。
まずステップS80にて、EFM92はMISサーバからジョブキュー情報を取得し、S81にてMFP37で次処理予定のJDFが既にジョブキューにキューイングされており、スケジュールされた印刷ジョブ開始時間を過ぎてもまだ処理が開始されないJDFが存在するかどうか判定する。詳細には、MISサーバの記憶部には処理すべきJDFのスケジュール情報が格納されており、EFM92のNIC部116およびステータス送受信部111を介して受信したスケジュール情報を、EFM制御部112が解釈することにより、S81の判定処理が可能となる。
そしてステップS81において、EFM92が、MISサーバに処理開始時間の過ぎたJDFが有ると判断した場合、ステップS82へ進み、処理開始時間の過ぎたJDFがないと判断した場合には分散処理をする必要はないものとして図25のS54において分散処理の必要なしと判定される。
次にステップS82では、EFM92がMFP37のジョブ処理情報を取得し、フィニッシング処理待ちが発生するか否かを認識する。S82の判定処理の一例として、MFP制御部100がMFP37本体の処理速度(一部用の印刷原稿を印字出力し、フィニッシャへ送るまでの処理時間)がフィニッシャの処理速度(一部用の印刷原稿を製本処理する処理時間)を上回り、フィニッシング処理待ちが発生していないかどうかをチェックする。なお、EFM92は、MFP37における処理状況を示す情報はMFP制御部100内の通信部121を介して取得可能である。そして、MFP制御部100が取得した情報(MFP本体の処理速度がフィニッシャの処理速度を上回り、フィニッシング処理待ちが発生していることを示す情報)を、EFM92に対して通知することにより、S82の処理が実現される。
ステップS82の処理に従い、S83にてEFM92が、フィニッシング処理待ちが発生していると判断した場合、MFP37で処理中の印刷ジョブは分散処理すべきであると判断する。また、ステップS83にてフィニッシング処理待ちが発生していないと判断された場合には、分散処理を行わない。図28ではフィニッシング処理待ちが発生するか否かにより分散処理の実行を決定していたが、図25において上述したようにMISサーバと通信することによりスケジュールの遅延が発生していることを認識することに応じて、分散処理を実行するようにしても構わない。なお、これらは分散処理の実行を決定する一例を示したに過ぎず、これに限られるものではない。
図29は、図25のフローチャートのステップS55においてEFM92が現在処理中の印刷ジョブを分散印刷可能な外部装置があるかどうか判断する処理フローに関して示す。なお、本フローチャートでも分散処理先としてMFPを想定しているが、それに限る必要はない。
まずステップS90にて、EFM92はMISサーバからMFP37が属する印刷システム内にある他のMFPが(本実施例ではMFP203が該当)どのような処理を実行できるかを示す外部装置能力情報を取得する。詳細には、MISサーバ20は印刷システム内に属するデバイス情報(外部装置能力情報)を保持しているため、EFM92がMISサーバと通信することによりS90の処理が可能となる。
そしてS91にて、EFM92はMFP37で処理中の印刷ジョブ内にMFP203で分散処理可能な作業工程があるかどうかを判定する。詳細には、EFM92はJDFを解釈した内容を記憶部10bに保持しており、処理中の印刷ジョブが実行すべき作業工程を把握している。よって、S90において取得した外部装置能力情報と把握済みの作業工程を比較することにより、S91の処理が可能となる。具体的な一例を挙げて説明すると、EFM92がJDFに記述されているPostPress処理として「1部単位にステイプル処理する」との情報を把握している場合、外部装置能力情報に「ステイプル処理可能」との情報が記述されていれば、分散処理可能な作業工程があると判定する。
そして、ステップS92では、ステップS91における判定結果に従い、EFM92がMFP203と分散処理可能な作業工程がないと判断した場合には、MFP203は分散対象となるデバイスがないと判断する。また、EFM92がMFP203と分散処理可能な作業工程があると判断した場合には、ステップS93へ進む。
そしてステップS93では、EFM92がMFP203に分散処理を依頼するためのJDFを生成(または変更)する。その方法は、ステップS91でチェックした分散処理先のMFPにおいて分散可能な作業工程を、最後の工程から連続して選択することによって行う。詳細には、EFM92は、現在処理中の印刷ジョブの作業工程を把握している。該作業工程の中で、最後に実行される作業工程から順次、分散処理先のMFPにて実行可能であるか判定する。例えば、本実施例ではMFP37にて最後に処理される作業工程はPostPressである。よって、EFM92はPostPress処理をMFP203で処理可能であるか否かを判定する。ここで、EFM92が、S90で取得したMFP203の外部装置能力情報と現在処理中の印刷ジョブにおけるPostPress処理で必要となる機能を比較する。その結果、MFP203が所有する機能を用いてPostPress処理を実行できると判定した場合、PostPress処理を分散依頼可能と判定して一時的に記憶部10bに保持される。この判定処理を、PressおよびPrePressと連続して行うことで、分散可能な作業工程を連続して選択することが可能となる。例えば、PrePress処理とPostPress処理が分散処理可能な作業工程であり、Press処理が分散処理不可能であると判定された場合、PostPress処理からPrePress処理まで連続して選択することができないので、PostPress処理のみが分散可能な作業工程となる。よってEFM92はPostPress処理のみを分散依頼すべき作業工程となるようにJDFを生成(または変更)する。
そしてステップS94へ進み、EFM92は、分散処理用のJDFに記述されている作業工程が、EFM201がサポートするJDFバージョンの範囲内かどうかをチェックする。つまり、EFM92がEFM201と通信することにより、EFM201が処理可能なバージョン情報を取得することにより、S94の処理が可能となる。
そしてステップS95へ進み、S94のチェックの結果、EFM92がEFM201のサポートバージョン内で有ると判断したならば(つまり、依頼先であるEFM201が依頼すべき分散処理用のJDFに記述されている作業工程の指示内容を理解できると判断した場合)、MFP203は分散可能デバイスであると判断する。また、EFM92が依頼すべきJDFの指示内容が、EFM201のサポートバージョン外であると判断したならば、MFP203は分散できないデバイスとして判定される。
本願では所定の条件において、代行・分散処理を依頼すべくJDFを変更または生成する処理について説明した。しかし、本実施例はこれに限られることはなく、現在印刷ジョブを処理中のMFP37の処理状況に応じて、EFM92がMFP37にて処理すべき作業工程を変更するように指示することも考えられる。本願で言えば、MFP37では印刷前処理(PrePerss処理)、印刷処理(Press処理)、印刷後処理(PostPress処理またはフィニッシング処理)を実行すべきであると命令されている。しかし、処理状況に応じて、EFM92がMFP制御部100に対して処理すべき作業工程を変更するように指示する。具体例を挙げて説明すると、EFM92は、MFP37にて実行すべきPress処理およびPostPress処理を分散すべく、該Press処理およびPostPress処理を実行可能な外部装置(例えばMFP203)に対して分散を依頼する。その結果、MFP37にて処理すべき作業工程が分散処理用に変更される。
本願では、MFPとEFMがぞれぞれNIC部を持つように構成したが、NIC部を共有する構成にしても構わない。また本願では、JDF内にはPrePress処理とPress処理とPostPress処理の3種類の処理が記録されるとしたが、その他の種類の作業工程が記録されても構わない。また、PrePress処理は、その内部処理としてはカラーコンバージョン処理や面付け処理など複数の作業工程が記録されているとしても構わないし、その他の処理も同じであることは言うまでもない。
また、本願ではEFMとPostPressサーバで代行可能性を判断する処理を示したが、MISサーバで判断する構成にしても構わない。
また、図18のステップS30におけるニアラインフィニッシャなどの外部装置能力情報の取得は、印刷システムの立ち上げ時にMISサーバからEFMへ送信されることにより、EFMが管理するようにしても構わない。
本発明によって、画像処理装置は、印刷処理状況やネットワークに接続されている外部装置(例えばニアラインフィニッシャや他のMFPなど)情報を得ることができ、印刷処理が開始された後でも、それらの情報をもとに、該画像処理装置は、フィニッシング作業など該画像処理装置において処理すべき作業工程を他のデバイスに代行させて作業効率アップを行う必要が有るかどうか、作業効率アップが可能かどうかを決定することができるので、作業効率の向上が可能になる。
また、本発明によって、画像処理装置において既に原稿への印刷が開始された処理中の印刷ジョブに対しても原稿の搬送先を排紙トレイに変更することができることによって、処理中の印刷ジョブから代行処理を開始することができ、更なる作業効率の向上が可能になる。
また、本発明によって、任意のタイミングで画像処理装置からネットワークに接続されている外部装置(例えばニアラインフィニッシャや他のMFP)への分散・代行処理が開始された場合、代行・分散処理を行うこと、また代行・分散対象先となるデバイス名称、また代行・分散処理を行う準備が出来ていること、また分散・代行処理を行う手順をオペレータに対して示すことでオペレータによる作業の操作ミスを減らすことが可能になる。
また、本発明によって、当初印刷依頼を受けた画像処理装置に搭載されている印刷後処理装置(インラインフィニッシャ)に何らかの不具合が発生した場合でも、ネットワークに接続されている一つあるいは複数の印刷後処理装置(ニアラインフィニッシャ)にフィニッシング作業負荷を代行させることにより、印刷ジョブをエラーにして止めることなく継続でき、作業効率を向上が可能になる。
なお、本発明は、上記形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶した記憶媒体(又は記録媒体)を、システム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成されることは云うまでもない。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上記実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上記実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは云うまでもない。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わる記憶媒体に書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは云うまでもない。
また、本発明は、上記実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードがネットワークを介して配信されることにより、システム又は装置のハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD−RW、CD−R等の記憶媒体に格納され、そのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても、達成されることは云うまでもない。