JP4465729B2 - 医療用貼付材および救急絆創膏 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は医療衛生分野などで皮膚貼付用途に使用される医療用貼付材に関するものであり、詳しくは救急絆創膏や大型絆創膏、ドレッシング材、ドレープ材などに好適に使用される医療用貼付材に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療用貼付材は、通常、基材フィルムの片面に粘着剤層を設けてなるものであり、該粘着剤層を介して適用すべき皮膚面に貼着使用される。
【0003】
このような医療用途の貼付材に用いる基材フィルムは、貼付中の皮膚追従性(柔軟性)や伸縮性、風合いなどの点から、軟質のポリ塩化ビニルを主成分とするものが主に用いられている。
【0004】
しかしながら、一般に軟質ポリ塩化ビニルは柔軟性を付与するために、可塑剤が多く配合されており、この可塑剤が粘着剤層中に移行して粘着剤層の凝集力を低下させ糊残り現象が生じたり、粘着力が低下するなどの問題を有することが指摘されている。さらに近年、環境問題重視の観点から、ハロゲンである塩素を含有しているポリ塩化ビニル樹脂の使用量を減少させようとする動きが各分野で進んでいる。
【0005】
そこで、ポリ塩化ビニル代替樹脂として、ポリオレフィン系樹脂が注目されており、本発明のような医療用途の貼付材の基材フィルムとしても検討、利用されるようになっている。これらポリオレフィン系樹脂からなる基材フィルムは、柔軟性や伸縮性には優れており、ポリ塩化ビニル代替フィルムとして有用である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの医療用貼付材を製品化するにおいて、例えば救急絆創膏や大型絆創膏などでは片面に印刷層を施して製品化することがあるが、印刷層を形成する際に、オレフィン系フィルムの場合では、フィルム表面の表面粗さに最適範囲があることが判明した。
【0007】
つまり、フィルム表面の表面粗さを最適範囲に調整することによってオレフィン系フィルムをロール状に巻き取る際に巻き込まれた空気の逃げ道が確保でき、その結果、フィルムに巻き皺を発生しがたくなり、巻き皺に起因する後工程での印刷不良(印刷欠け)を防止できることが判ったのである。
【0008】
特に、フィルム表面に多色印刷を施す場合、高精度に合わせて一色ずつ印刷するので、フィルムの巻き取りなどで僅かなシワが入っても印刷に欠けが生じ易くなり、印刷面の表面粗さの調整が極めて重要となるのである。
【0009】
さらに、ロール状のオレフィン系フィルムを巻き戻して片面に医療用粘着剤層を形成する場合、フィルム表面の表面粗さを最適範囲に調整しておくと、巻き戻し時のフィルムの滑り性が良好となり、特にフィルム厚が薄い場合でのフィルム切れも起こさず、また、巻き取りロールへの密着による巻き皺の発生もなくなることが判った。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、印刷層形成側のフィルム表面の粗さを特定範囲に調整することで、印刷層形成性に優れ、貼付使用中の印刷層の磨耗も少なくなることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、オレフィン系フィルムの片面に医療用粘着剤層を形成し、他面に多色印刷層を形成してなる貼付材であって、印刷層形成側のオレフィン系フィルム表面の表面粗さ(十点平均粗さ)が2〜12μmであると共に、医療用粘着剤層の形成側のオレフィン系フィルムの表面粗さ(十点平均粗さ)が、2〜40μmであることを特徴とする医療用貼付材、および上記医療用貼付材における粘着剤層表面の中央域に、吸液性パッドを設けてなる救急絆創膏を提供するものである。
【0012】
特に、本発明におけるオレフィン系フィルムとして、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムや、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体層/A−B−A型ブロック共重合体層/エチレン−メタクリル酸メチル共重合体層からなる3層フィルムを用いることが好ましく、A−B−A型ブロック共重合体としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、またはスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を用いることが好ましい。
【0013】
また、オレフィン系フィルムとして上記3層フィルムを用いた場合には、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体層はエチレン−メタクリル酸メチル共重合体と低密度ポリエチレンを含有した層とすることが好ましく、特に、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体を連続相とし、低密度ポリエチレンを分散相とするミクロドメイン構造(海島構造)を有するものが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の医療用貼付材に用いることができるオレフィン系フィルムとは、ポリエチレンやポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などに代表される炭化水素系不飽和単量体の重合物だけでなく、これらの炭化水素系不飽和単量体と他の改質用単量体との共重合体も含まれる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/1−オクテン共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン−ポリブテン混合物、ポリエチレン−ポリブテン混合物から選ばれる少なくとも一種であるポリオレフィン系の樹脂が好ましいものとして挙げられる。
【0015】
また、本発明において用いるオレフィン系フィルムは単層フィルムだけでなく、複層フィルムであってもよく、複層フィルムの場合には何れかの層がオレフィン系フィルムであればよいので、オレフィン系フィルム/改質用樹脂フィルムやオレフィン系フィルム/改質用樹脂フィルム/オレフィン系フィルム、改質用樹脂フィルム/オレフィン系フィルム/改質用樹脂フィルムなどの構造であってもよい。このような改質用樹脂としては、例えばスチレン/ブタジエン/スチレントリブロック共重合体や、スチレン/イソプレン/スチレントリブロック共重合体のようなA−B−A型ブロック共重合体などが挙げられる。
【0016】
上記オレフィン系フィルムのうち、柔軟性や伸縮性、適度な引張強度などの点から好ましく用いることができるフィルムとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、またはエチレン−メタクリル酸メチル共重合体層/A−B−A型ブロック共重合体層/エチレン−メタクリル酸メチル共重合体層からなる3層フィルムであり、A−B−A型ブロック共重合体としてスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、またはスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を用いたものがさらに好適である。
【0017】
オレフィン系フィルムとしてエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムを用いた場合、適度な弾性や柔軟性、伸縮性を有するという点から、酢酸ビニル含量が15〜28重量%、好ましくは20〜25重量%の範囲のものを用いることが好ましく、また、重量平均分子量が1×104 〜1×105 であり、分子量分布が4以下、好ましくは3.5以下の比較的分子量分布の狭いものを用いることが好ましい。さらに、JISK−6730に準じて測定するメルトフローレートが3g/10分以下の流動性の低いものを用いることが、フィルム化した際の適度な引張強度の付与の点で好ましいものである。
【0018】
また、上記3層フィルムを構成するエチレン−メタクリル酸メチル共重合体層は、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体と低密度ポリエチレンを含有した層とすることが好ましい。低密度ポリエチレンを含有させると、フィルム内に低密度ポリエチレンが相溶せずに微粒子状に分散した状態で存在するので、フィルム表面にこの微粒子によって適度な凹凸が生じ、その結果、得られるフィルムに高級感を付与できると共に、目的とする表面粗さが得られやすくなるのである。この場合、低密度ポリエチレンの配合量は、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体層中に、5〜45重量%、好ましくは15〜35重量%程度にすることがよい。
【0019】
さらに、上記のように、低密度ポリエチレンを含有させた場合、各樹脂成分が相溶して均一化するよりも、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体が連続相(海)としてマトリックスを形成し、低密度ポリエチレンがこのマトリックス中に分散相(島)として分散してなる、所謂ミクロドメイン構造(海島構造)を有するようにすることが好ましい。
【0020】
つまり、各樹脂成分が相溶して均一化すると、各樹脂成分が有する特性の中間的な特性しか得ることができないが、上記のようなミクロドメイン構造をとることによって、各樹脂成分が有する特性もある程度発揮できるので、配合量の調整によって所望する特性を得ることが容易になるのである。
【0021】
上記のようにして得られるオレフィン系フィルムは、本発明の医療用貼付材に用いるためには、その厚みが10〜200μm、好ましくは30〜130μm程度になるように成形される。また、得られたフィルムの表面には、粘着剤層を形成した際の投錨性を良好にするために、コロナ放電処理や公知の下塗り剤塗布などの処理を施すことが好ましい。
【0022】
本発明の医療用貼付材においては、上記オレフィン系フィルムの片面に粘着剤層を形成して本発明の医療用貼付材を作製するが、形成する粘着剤としては、医療用粘着剤として用いられているものであれば特に限定されない。好ましく用いることができる粘着剤としては、アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、これらのブレンド系粘着剤などがある。
【0023】
アクリル系粘着剤としては、好ましくは炭素数が1〜18、好ましくは4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体や該エステルを主成分単量体として他の単量体(例えば、官能性単量体など)を3〜50重量%、好ましくは5〜40重量%の範囲で共重合してなる共重合体などが用いられる。
【0024】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、ブチルエステル、ヘキシルエステル、オクチルエステル、デシルエステル、ラウリルエステル、ステアリルエステルなどのエステルが挙げられ、これらのエステル鎖は直鎖状や分岐鎖状であってもよい。
【0025】
また、上記エステルと共重合することができる単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステルや(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルエステルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸やマレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有不飽和単量体、(メタ)アクリルアミドやジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルエステルなどの(メタ)アクリル酸N,N−アルキルアミノアルキルエステル、N−ビニルピロリドンなどの酸アミド基含有不飽和単量体などの官能性単量体が挙げられる。なお、これらの官能性単量体以外に、酢酸ビニルやスチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリルなどの無官能性の単量体も共重合することができる。
【0026】
粘着剤層に用いることができるゴム系の粘着剤としては、天然ゴム、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリブテン、スチレン−イソプレン(またはブタジエン)系ブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの主材料樹脂に副資材としてロジン系樹脂やテルペン系樹脂、クマロン−インデン樹脂、テルペン−フェノール系樹脂、石油系樹脂などの粘着付与剤を配合して用いることができる。さらに、必要に応じて液状ポリブテンや鉱油、ラノリン、液状ポリイソプレンなどの軟化剤や、酸化チタン、クレーなどの充填剤、ブチルヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤などを適宜配合してもよい。なお、このような副資材は前記アクリル系粘着剤に配合してもよい。
【0027】
さらに、粘着剤として使用できるシリコーン系粘着剤としては、ポリジメチルシロキサンを主成分とする粘着剤などが挙げられる。
【0028】
上記の組成からなる粘着剤層は、基材フィルム上に10〜200μm、好ましくは20〜100μm程度の厚みで形成されることによって、本発明の医療用貼付材とすることができる。
【0029】
本発明の医療用貼付材では、支持基材として用いるオレフィン系フィルムの片面(粘着剤層形成面と反対の面)に多色の印刷層を形成する。印刷層は、シアンやマゼンタ、イエロー、ブラック、金、銀などの複数の色のインクを用いて多段印刷によって形成すればよいが、好ましくは紫外線硬化型のインクを用いることがよい。紫外線硬化型のインクを用いて印刷層を形成すると、印刷速度の向上や、印刷精度の向上が望め、特にキャラクター印刷などに効果的なのである。
【0030】
なお、本発明ではオレフィン系フィルムの表面にキャラクターなどを多色印刷によって形成するが、印刷の鮮明度や隠蔽度を向上させるために、フィルム中にチタン白やゼオライト、亜鉛華などのフィルムを白色にするための充填剤を含有させておくことが好ましい。
【0031】
本発明の医療用貼付材および救急絆創膏において、支持基材として用いるオレフィン系フィルムの表面粗さを、特定の範囲、つまり印刷層形成側の表面粗さを2〜12μmの範囲、好ましくは3〜8μmの範囲に調整することが最大の特徴である。なお、本発明における表面粗さとは、JIS B0601に規定する方法に準じて測定した十点平均粗さを云う。
【0032】
即ち、印刷層を形成する側の表面粗さを2〜12μmの範囲に調整することによって、オレフィン系フィルムをロール状に巻き取る際に巻き込まれた空気の逃げ道が確保でき、その結果、フィルムに巻き皺を発生させることがない。その結果、巻き皺による後工程での印刷不良(印刷欠け)を防止することができるのである。
【0033】
しかも、ロール状のオレフィン系フィルムを巻き戻して片面に医療用粘着剤層を形成する場合、巻き戻し時にフィルムの滑り性が良好となるので、特にフィルム厚が薄い場合でのフィルム切れなどが起こらず、また、巻き取りロールへの密着による巻き皺の発生もなくなるのである。表面粗さが2μmに満たない場合には上記のような効果を発揮しがたく、12μmを超える表面粗さでは上記効果は発揮するものの、印刷層を形成しがたくなるのである。
【0034】
また、本発明に用いるオレフィン系フィルムの表面粗さは、印刷層形成側は上記のように2〜12μmの範囲に調整するが、他面側(粘着剤層形成側)の表面粗さも2〜40μm、好ましくは10〜30μmの範囲に調整することが好ましい。
【0035】
即ち、オレフィン系フィルムの表面に医療用粘着剤層を密着性よく、しかも強固に接着させる、つまりオレフィン系フィルムと医療用粘着剤層との投錨性を良好にするためには、前記したようにフィルム表面にコロナ放電処理や下塗り処理を施すことが好ましいが、密着面積(接着面積)を増大させることも投錨力向上の一手段である。従って、フィルム表面を荒らすことが効果的であり、効果的な表面粗さとしては2μm以上である。また、40μmを超える表面粗さの場合、投錨性は良好となるが、反対表面の表面粗さに対しても影響し、印刷用インクがきれいに印刷面に塗工できなくなるおそれがあり、これらのバランスから2〜40μmの範囲が良好である。
【0036】
また、本発明では製造工程での印刷適正と作業性とを最適な状態で両立させるという点から、オレフィン系フィルムの表裏面の表面粗さが異なっていることが好ましく、医療用粘着剤層を形成する側の表面粗さが印刷層を形成する側の表面粗さよりも大きくすることが、医療用粘着剤層との投錨性確保の点でさらに好ましいものである。
【0037】
本発明の医療用貼付材および救急絆創膏を製造する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
【0038】
まず、オレフィン系フィルムを、カレンダー押出法やインフレーション押出法などの方法によって所定厚さに成形し、得られたオレフィン系フィルムの両面を、エンボスロールなどの公知の手段によってその両面の表面粗さを特定の範囲内に調整する。
【0039】
次いで、得られたオレフィン系フィルムの医療用粘着剤層形成側に、医療用粘着剤層形成用の粘着剤溶液を直接塗布、乾燥する直写法によるか、もしくは片面を剥離処理したセパレータの剥離処理面に、医療用粘着剤溶液を塗工、乾燥して、所定厚さの医療用粘着剤層を形成し、この粘着剤層をオレフィン系フィルムの表面に転着する転写法によって医療用貼付材を得る。
このとき、粘着剤層とオレフィン系フィルムとの投錨性を向上させるために、オレフィン系フィルムの粘着剤層形成面にコロナ放電処理を施すことが好ましい。
【0040】
次に、表面粗さを2〜12μmの範囲に調整したオレフィン系フィルム表面に、必要に応じて印刷前にインクの密着性向上を目的としたコロナ放電処理を施したのち、紫外線硬化型インクを用いて印刷インクを塗工、乾燥、硬化し、片面に多色印刷層を設けた本発明の医療用貼付材を作製する。
【0041】
医療用貼付材を用いて救急絆創膏を作製するには、上記にて作製した医療用貼付材(原反)の粘着剤層表面の中央域に、ガーゼや不織布、織布、発泡体などの吸液性パッドを設け、さらにその表面を1枚もしくは複数枚のセパレータを積層し、所定形状に裁断して本発明の救急絆創膏を得ることができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明の医療用貼付材および救急絆創膏は、以上のように特定の表面粗さを有するオレフィン系フィルムを用い、その表面に印刷層を形成したものであって、従来から使用されているポリ塩化ビニル系フィルムを用いた医療用貼付材の代替品として、柔軟性や伸縮性などの特性を充分に発揮できるものである。特に、印刷層形成に際してはフィルムに巻き皺の発生がなく作業性に優れると共に、巻き皺発生による印刷不良もなく、さらに使用中の印刷層の磨耗も少ないという効果を発揮するのである。
【0043】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示し、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
【0044】
実施例1
酢酸ビニル含量25重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、脂肪酸系滑剤1重量部を添加し、100〜140℃の温度下でカレンダー法によって約80g/m2 のシート状に成形した。
【0045】
次いで、得られたシートを70〜120℃の温度下で、印刷層形成面側は約5μmの表面粗さを有するロールで、粘着剤層形成側は約5μmの表面粗さを有するロールで圧着し、オレフィン系フィルム基材を作製した。
【0046】
一方、アクリル酸イソノニルエステル85重量部、酢酸ビニル12重量部、アクリル酸3重量部からなる単量体混合物を、酢酸エチル60重量部に溶解し、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル0.3重量部を添加し、55〜65℃で約10時間重合反応を行い、そののち、酢酸エチルで希釈して、固形分濃度が30重量%の医療用粘着剤溶液を調製した。
【0047】
片面にシリコーン樹脂で剥離処理を施したセパレータの処理面に、上記にて調製した医療用粘着剤溶液を、乾燥後の厚みが35μmとなるように塗布、乾燥して医療用粘着剤を形成した。
【0048】
次に、前記にて作製したオレフィン系フィルム基材の片面をコロナ放電処理し、この処理面が医療用粘着剤層に接するように、上記医療用粘着剤層の表面にオレフィンフィルム基材を圧着し、医療用貼付材を作製した。
【0049】
得られた医療用貼付材の印刷層形成面に、キャラクター印刷を多色印刷によって施し、その後救急絆創膏に加工して、本発明の救急絆創膏を作製した。
【0050】
実施例2
印刷層形成側にメタクリル酸メチル含量25重量%のエチレン−メタクリル酸メチル共重合体100重量部に低密度ポリエチレン25重量部を添加したシート、中間層にメルトフロー速度2g/10分のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体100重量部にブチルヒドロキシトルエン1重量部を添加したシート、医療用粘着剤層形成側にメタクリル酸メチル含量25重量%のエチレン−メタクリル酸メチル共重合体からなるシートが位置するように、150〜200℃の温度下で3層同時インフレーション法にて約80g/m2 の3層積層のシート状(厚み比率20%/60%/20%)に成形した。
【0051】
上記にて作製したオレフィン系フィルム基材を用いた以外は、実施例1と同様の医療用粘着剤を用いて、救急絆創膏を作製した。
【0052】
実施例3
中間層にメルトフロー速度3g/10分のスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体100重量部にブチルヒドロキシトルエン1重量部、酸化チタン5重量部を添加したシートを用いた以外は、実施例2と同様にして3層フィルムを作製した。
【0053】
上記にて作製したオレフィン系フィルム基材を用いた以外は、実施例1と同様の医療用粘着剤を用いて、救急絆創膏を作製した。
【0054】
実施例4
酢酸ビニル含量25重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、脂肪酸系滑剤1重量部、酸化チタン5重量部を添加し、100〜140℃の温度下でカレンダー法によって約80g/m2 のシート状に成形した。
【0055】
次いで、得られたシートを70〜120℃の温度下で、印刷層形成面側は約5μmの表面粗さを有するロールで、粘着剤層形成側は約20μmの表面粗さを有するロールで圧着し、オレフィン系フィルム基材を作製した。
【0056】
上記にて作製したオレフィン系フィルム基材を用いた以外は、実施例1と同様の医療用粘着剤を用いて、救急絆創膏を作製した。
【0057】
実施例5
実施例4にて得られたシートを70〜120℃の温度下で、印刷層形成面側は約10μmの表面粗さを有するロールで、粘着剤層形成側は約5μmの表面粗さを有するロールで圧着し、オレフィン系フィルム基材を作製した。
【0058】
上記にて作製したオレフィン系フィルム基材を用いた以外は、実施例4と同様の医療用粘着剤を用いて、救急絆創膏を作製した。
【0059】
比較例1
実施例4において、オレフィン系フィルム基材の両面を、鏡面ロールで圧着して非常に平滑な表面(表面粗さ約1μm)にした以外は、実施例4と同様にして、救急絆創膏を作製した。
【0060】
比較例2
実施例4にて得られたシートを70〜120℃の温度下で、印刷層形成面側は約20μmの表面粗さを有するロールで、粘着剤層形成側は約5μmの表面粗さを有するロールで圧着して作製したオレフィン系フィルムを用いた以外は、実施例4と同様の医療用粘着剤を用いて、救急絆創膏を作製した。
【0061】
上記各実施例および比較例にて得られた救急絆創膏について、以下に示す評価を行い、結果を表1に示した。
【0062】
<製造時の作業性>
各実施例および比較例の救急絆創膏を作製するに当たって、オレフィン系フィルムや医療用貼付材原反をロール状に巻き取りする際、およびコロナ放電処理後の巻き取り時に、気泡を抱き込むことによる巻き皺の発生の度合いを調べた。判断基準は以下の通りである。
◎:巻き皺の発生なし。
〇:ごく軽微な巻き皺の発生がある。
×:印刷不良を起こすような巻き皺の発生がある。
【0063】
<表面粗さ>
23℃の雰囲気下で、JIS B0601に準じてオレフィン系フィルム表面に表面粗さを測定した。測定装置は株式会社ミツトヨ製のサーフテスト501を使用し、十点平均粗さを求めた。
【0064】
<印刷性>
各実施例および比較例において市販の印刷装置を用い、各医療用貼付材の表面に紫外線硬化型インクを塗工、キュアーして4色のキャラクター印刷を施した際、キャラクター印刷が鮮明に印刷できるかを判定した。判定基準は以下の通りである。
◎:印刷良好。
〇:わずかに印刷がぼやける。
×:印刷が不鮮明。
【0065】
【表1】
Claims (13)
- オレフィン系フィルムの片面に医療用粘着剤層を形成し、他面に多色印刷層を形成してなる貼付材であって、印刷層形成側のオレフィン系フィルム表面の表面粗さ(十点平均粗さ)が2〜12μmであると共に、医療用粘着剤層の形成側のオレフィン系フィルムの表面粗さ(十点平均粗さ)が、2〜40μmであることを特徴とする医療用貼付材。
- オレフィン系フィルムがエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、またはエチレン−メタクリル酸メチル共重合体層/A−B−A型ブロック共重合体層/エチレン−メタクリル酸メチル共重合体層からなる3層フィルムである請求項1記載の医療用貼付材。
- エチレン−酢酸ビニル共重合体が、酢酸ビニル含量が15〜28重量%である請求項2記載の医療用貼付材。
- エチレン−酢酸ビニル共重合体が、重量平均分子量が1×104〜1×105で、分子量分布が4以下で、かつメルトフローレートが3g/10分以下である請求項2または3記載の医療用貼付材。
- A−B−A型ブロック共重合体がスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、またはスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体である請求項2記載の医療用貼付材。
- エチレン−メタクリル酸メチル共重合体層が、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体と低密度ポリエチレンを含有した層である請求項2記載の医療用貼付材。
- エチレン−メタクリル酸メチル共重合体層が、連続相としてのエチレン−メタクリル酸メチル共重合体と、分散相としての低密度ポリエチレンからなるミクロドメイン構造(海島構造)を有する請求項6記載の医療用貼付材。
- 印刷層が紫外線硬化型インクから形成される請求項1記載の医療用貼付材。
- オレフィン系フィルムの表面と裏面の表面粗さが、異なっている請求項1記載の医療用貼付材。
- 医療用粘着剤層形成側のオレフィン系フィルムの表面粗さが、印刷層形成側のオレフィン系フィルムの表面粗さよりも大きい請求項9記載の医療用貼付材。
- オレフィン系フィルムが白色充填剤の含有によって白色を呈している請求項1〜10記載の医療用貼付材。
- 医療用粘着剤層の表面にセパレータを被着してなる請求項1〜11記載の医療用貼付材。
- 請求項1〜12記載の医療用貼付材における粘着剤層表面の中央域に、吸液性パッドを設けてなる救急絆創膏。
Priority Applications (7)
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