JP4457819B2 - 高耐食性表面処理鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
(1) タンニン酸などの多価フェノールカルボン酸とシランカップリング剤を配合した処理液に浸漬しまたは処理液を塗布することにより皮膜を形成する方法(例えば、特許文献1、特許文献2など)
(2) 有機樹脂にタンニン酸などの多価フェノールカルボン酸またはリン酸化合物を配合した処理液を用いて皮膜を形成する方法(例えば、特許文献3〜特許文献6など)
(3) 有機樹脂とシランカップリング剤を配合した皮膜を塗布する方法(例えば、特許文献7〜特許文献13など)
上記(2)の方法としては、例えば、特許文献3に多価フェノールカルボン酸、有機樹脂および金属イオンを配合した処理液で処理を行う方法が開示されている。また、特許文献4には有機樹脂とリン酸化合物を添加した処理液に浸漬しまたは処理液を塗布した後、乾燥する方法が開示されている。しかし、これらの処理液によって形成される保護皮膜は耐食性の改善にはある程度は寄与するものの、クロメート処理を施した場合のような高度の耐食性は得ることができない。
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、皮膜中にクロムを含まず、しかも優れた耐食性が得られる表面処理鋼板を提供することにある。
表面処理皮膜を形成した亜鉛系めっき鋼板の腐食は以下の過程で進むと考えられる。
(1) 表面処理皮膜中に腐食因子(酸素、水、塩素イオンなど)が浸入し、これらがめっき皮膜/表面処理皮膜界面に拡散する。
(2) めっき皮膜/表面処理皮膜界面において、以下のような酸化還元反応により亜鉛が溶解する。
カソード反応:2H2O+O2+4e− → 4OH−
アノード反応:2Zn → 2Zn2++4e−
(a) 腐食因子の拡散障壁となる高度なバリア層(主として上記カソード反応を抑制する作用をする)
(b) めっき皮膜表層を不活性化するめっき金属との反応層(主として上記アノード反応を抑制する作用をする)
を有する皮膜構成とすること、さらに好ましくは、上記反応層に欠損が生じた場合に自己補修作用が働くような皮膜構成とすることが最も効果的である。
シランカップリング剤はこれまでにも無機化合物と有機化合物との密着性を向上させる作用を有することが知られており、めっき金属と水分散性樹脂との密着性を高めることが可能である。このようなシランカップリング剤の既知の作用効果に対して、上記の特定の表面処理組成物を用いた場合には、表面処理組成物に含まれる酸成分がめっき皮膜表面をエッチングによって活性化し、シランカップリング剤がこの活性化されためっき金属と皮膜形成樹脂の両方と化学結合することで、めっき金属と皮膜形成樹脂との極めて優れた密着性が得られるものと考えられる。つまり、表面処理組成物中にシランカップリング剤と特定の酸成分とを複合添加することにより、シランカップリング剤を単独添加した場合に比べ、めっき金属と皮膜形成樹脂との密着性が格段に高められ、この結果、めっき金属の腐食の進行が効果的に抑制され、特に優れた耐食性が得られるものと考えられる。
また、この表面処理組成物中に非クロム系防錆添加剤を配合することにより、さらに優れた耐食性が得られる。非クロム系防錆添加剤は、腐食の起点で保護皮膜を形成するためにさらに優れた防食性能が得られる。
[1]亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、下記成分(a)〜(e)を含有する表面処理組成物を塗布し、乾燥することにより形成された皮膜厚が0.01〜1.0μmの表面処理皮膜を有し、
(a)エポキシ基含有樹脂(A)と、第1級アミン化合物および/または第2級アミン化合物(B)と、一部または全部の化合物が活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性水素含有化合物とを反応させることにより得られる変性エポキシ樹脂(D)を水に分散させた水性エポキシ樹脂分散液
(b)ウレタン樹脂の水分散体
(c)シランカップリング剤:前記水性エポキシ樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で1〜300質量部
(d)リン酸および/またはリン酸化合物:前記水性エポキシ樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で0.1〜80質量部
(e)三フッ化バナジウム、四フッ化バナジウムの中から選ばれる1種以上:前記水性エポキシ樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で0.1〜100質量部
その上層に、数平均分子量が6000〜20000の高分子量エポキシ基含有樹脂(E)を含有する上層皮膜用塗料組成物を塗布し、乾燥することにより形成された皮膜厚が0.3〜2.0μmの上層皮膜を有することを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
[3] 上記[1]又は[2]の表面処理鋼板において、表面処理皮膜形成用の表面処理組成物がさらに、非クロム系防錆添加剤を、成分(a)の水性エポキシ樹脂分散液と成分(b)のウレタン樹脂の水分散体とを合せた樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で0.1〜50質量部含有することを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
[4] 上記[1]〜[3]のいずれかの表面処理鋼板において、上層皮膜用塗料組成物がさらに、非クロム系防錆添加剤を、塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で0.1〜50質量部含有することを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
(f1) 酸化ケイ素
(f2) カルシウムおよび/またはカルシウム化合物
(f3) 難溶性リン酸化合物
(f4) モリブデン酸化合物
(f5) トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物
(f6) バナジウム化合物
(f7) ヒドラジド化合物、ピラゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、ピリダジン化合物の中から選ばれる1種以上の、N原子を含有する有機化合物
[6] 上記[1]〜[5]のいずれかの表面処理鋼板において、上層皮膜用塗料組成物がさらに、水酸基と架橋する基を有する硬化剤を、高分子量エポキシ基含有樹脂(E)の固形分100質量部に対して固形分の割合で1〜50質量部含有することを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
[7] 上記[6]の表面処理鋼板において、水酸基と架橋する基を有する硬化剤が、1分子中にイミノ基を平均1個以上有するアミノ樹脂(F)であることを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
[9] 上記[8]の表面処理鋼板において、ポリイソシアネート化合物(G)が、ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基の少なくとも一部をブロック剤によってブロックしたものであることを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
[10] 上記[1]〜[9]のいずれかの表面処理鋼板において、上層皮膜用塗料組成物中の高分子量エポキシ基含有樹脂(E)が、一部または全部の化合物が活性水素を有するヒドラジン誘導体(I)からなる活性水素含有化合物(H)により変性された変性エポキシ基含有樹脂であることを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
[11] 上記[1]〜[10]のいずれかの表面処理鋼板において、上層皮膜用塗料組成物がさらに、固形潤滑剤を、塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で1〜30質量部含有することを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
(a)エポキシ基含有樹脂(A)と、第1級アミン化合物および/または第2級アミン化合物(B)と、一部または全部の化合物が活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性水素含有化合物とを反応させることにより得られる変性エポキシ樹脂(D)を水に分散させた水性エポキシ樹脂分散液
(b)ウレタン樹脂の水分散体
(c)シランカップリング剤:前記水性エポキシ樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で1〜300質量部
(d)リン酸および/またはリン酸化合物:前記水性エポキシ樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で0.1〜80質量部
(e)三フッ化バナジウム、四フッ化バナジウムの中から選ばれる1種以上:前記水性エポキシ樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で0.1〜100質量部
その上層に、数平均分子量が6000〜20000の高分子量エポキシ基含有樹脂(E)を含有する上層皮膜用塗料組成物を塗布し、到達板温が30〜150℃の温度で乾燥することにより皮膜厚が0.3〜2.0μmの上層皮膜を形成することを特徴とする高耐食性表面処理鋼板の製造方法。
本発明の表面処理鋼板のベースとなる亜鉛系めっき鋼板としては、亜鉛めっき鋼板、Zn−Ni合金めっき鋼板、Zn−Fe合金めっき鋼板(電気めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板)、Zn−Cr合金めっき鋼板、Zn−Mn合金めっき鋼板、Zn−Co合金めっき鋼板、Zn−Co−Cr合金めっき鋼板、Zn−Cr−Ni合金めっき鋼板、Zn−Cr−Fe合金めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板(例えば、Zn−5%Al合金めっき鋼板、Zn−55%Al合金めっき鋼板)、Zn−Mg合金めっき鋼板、Zn−Al−Mg合金めっき鋼板(例えば、Zn−6%Al−3%Mg合金めっき鋼板、Zn−11%Al−3%Mg合金めっき鋼板)、さらにはこれらのめっき鋼板のめっき皮膜中に金属酸化物、ポリマーなどを分散した亜鉛系複合めっき鋼板(例えば、Zn−SiO2分散めっき鋼板)などを用いることができる。
また、本発明の表面処理鋼板のベースとなるアルミニウム系めっき鋼板としては、アルミニウムめっき鋼板、Al−Si合金めっき鋼板などを用いることができる。
また、めっき鋼板としては、鋼板面に予めNiなどの薄目付めっきを施し、その上に上記のような各種めっきを施したものであってもよい。
めっき方法としては、電解法(水溶液中での電解または非水溶媒中での電解)、溶融法、気相法のうち、実施可能ないずれの方法を採用することもできる。
さらに、めっきの黒変を防止する目的で、めっき皮膜中に1〜2000ppm程度のNi,Co,Feの微量元素を析出させたり、或いはめっき皮膜表面にNi,Co,Feを含むアルカリ性水溶液または酸性水溶液による表面調整処理を施し、これらの元素を析出させるようにしてもよい。
本発明の表面処理鋼板において、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に形成される表面処理皮膜は、下記成分(a)〜(e)を含有する表面処理組成物を塗布し、乾燥することにより形成された表面処理皮膜である。この表面処理皮膜はクロムを全く含まない。
(a)エポキシ基含有樹脂(A)と、第1級アミン化合物および/または第2級アミン化合物(B)と、一部または全部の化合物が活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性水素含有化合物とを反応させることにより得られる変性エポキシ樹脂(D)を水中に分散してなる水性エポキシ樹脂分散液
(b)ウレタン樹脂の水分散体
(c)シランカップリング剤:前記水性エポキシ樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で1〜300質量部
(d)リン酸および/またはリン酸化合物:前記水性エポキシ樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で0.1〜80質量部
(e)1分子中にフッ素を1〜5個含有する化合物:前記水性エポキシ樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で0.1〜100質量部
上記(A)成分であるエポキシ基含有樹脂は、分子中にエポキシ基を1個以上含有する樹脂であり、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、エポキシ基含有モノマーとその他のモノマーとを共重合してなるアクリル系共重合体樹脂、エポキシ基を有するポリブタジエン樹脂、エポキシ基を有するポリウレタン樹脂及びこれらの樹脂の付加物若しくは縮合物などがあげられ、これらの1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
上記変性エポキシ樹脂としては、上記エポキシ樹脂中のエポキシ基または水酸基に各種変性剤を反応させた樹脂を挙げることもできる。例えば、乾性油脂肪酸を反応させたエポキシエステル樹脂;アクリル酸またはメタクリル酸などを含有する重合性不飽和モノマー成分で変性したエポキシアクリレート樹脂;イソシアネート化合物を反応させたウレタン変性エポキシ樹脂などである。
また、アクリル系共重合体樹脂は、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などによって変性させた樹脂であってもよい。
エポキシ基含有樹脂(A)として特に好ましいのは、ビスフェノールAとエピパロヒドリンとの反応生成物であるビスフェノールA型エポキシ樹脂であり、この樹脂は周知の製造方法で得ることができる。
具体例としては、モノエチルアミン、モノn−またはiso−プロピルアミン、モノn−またはiso−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ネオペンタノールアミン、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノール、2−ヒドロキシ−2′(アミノプロポキシ)エチルエーテルなどの第1級アミン化合物、ジエチルアミン、ジブチルアミン、メチルエチルアミン、ジエタノールアミン、ジ−n−または−ios−プロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミンなどの第2級アミン化合物等が挙げられる。これらの第1級アミン化合物、第2級アミン化合物は、1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、これらのなかでも、特に反応のし易さ、制御性、水分散性の観点からはジエタノールアミンが好ましい。
また、第1級アミン化合物および/または第2級アミン化合物で変性する量はエポキシ樹脂中のエポキシ基に対して20モル%以上、好ましくは40モル%以上、より好ましくは50〜60モル%の範囲であることが水分散性、防食性の点で好ましい。
(1) カルボヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、チオカルボヒドラジド、4,4′−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ベンゾフェノンヒドラゾン、アミノポリアクリルアミドなどのヒドラジド化合物;
(3) 1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1水和物)、6−メチル−8−ヒドロキシトリアゾロピリダジン、6−フェニル−8−ヒドロキシトリアゾロピリダジン、5−ヒドロキシ−7−メチル−1,3,8−トリアザインドリジンなどのトリアゾール化合物;
(4) 5−フェニル−1,2,3,4−テトラゾール、5−メルカプト−1−フェニル−1,2,3,4−テトラゾールなどのテトラゾール化合物;
(6) マレイン酸ヒドラジド、6−メチル−3−ピリダゾン、4,5−ジクロロ−3−ピリダゾン、4,5−ジブロモ−3−ピリダゾン、6−メチル−4,5−ジヒドロ−3−ピリダゾンなどのピリダジン化合物;
などを挙げることができる。
また、これらのなかでも、5員環または6員環の環状構造を有し、環状構造中に窒素原子を有するピラゾール化合物、トリアゾール化合物が耐食性などの観点から特に好適である。
以上のヒドラジン誘導体は1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
ヒドラジン誘導体(C)以外の活性水素含有化合物としては、例えば、下記のものが挙げられる。
・ アンモニア、カルボン酸などの有機酸
・ 塩化水素などのハロゲン化水素類
・ アルコール類、チオール類
・ 活性水素を有しないヒドラジン誘導体または第3級アミンと酸との混合物である4級塩化剤
活性水素含有化合物中における活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)の割合は10〜100モル%、より好ましくは30〜100モル%、さら好ましくは40〜100モル%とすることが適当である。活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)の割合が10モル%未満では表面処理皮膜に十分な防錆機能を付与することができず、得られる防錆効果は皮膜形成有機樹脂とヒドラジン誘導体を単に混合して使用した場合と大差なくなる。
この反応は有機溶剤を加えて行ってもよく、使用する有機溶剤の種類は特に限定されない。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;エタノール、ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの水酸基を含有するアルコール類やエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのエステル類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などを例示でき、これらの1種または2種以上を使用することができる。また、これらのなかでエポキシ樹脂との溶解性、塗膜形成性などの面からは、ケトン系またはエーテル系の溶剤が特に好ましい。
上記ポリイソシアネート化合物は、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物であり、脂肪族イソシアネート化合物、脂環族イソシアネート化合物(複素環を含む)、芳香族イソシアネート化合物;これらのイソシアネート化合物を多価アルコールで部分反応させた化合物などを挙げることができ、また、これらのポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基の一部または全部がブロック剤によりブロックされていてもよい。
(i) m−またはp−フェニレンジイソシアネート、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、o−またはp−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート
(ii) 上記(i)の化合物単独またはそれらの混合物と多価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコールなどの2価アルコール類;グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール;ペンタエリスリトールなどの4価アルコール;ソルビトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコールなど)との反応生成物であって、1分子中に少なくとも2個のイソシアネートが残存する化合物
これらのポリイソシアネート化合物は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
アミノ樹脂としては、特に、メチロール基の少なくとも一部をアルキルエーテル化したメチロール化メラミン樹脂が好適である。
変性エポキシ樹脂(D)に対する硬化剤(E)の配合量は、固形分質量比で(D)/(E)=95/5〜55/45、好ましくは(D)/(E)=90/10〜65/35の割合で配合するのが、皮膜の素材への密着性、上塗り適正などの観点から適している。
ウレタン樹脂の水分散体は、ポリイソシアネート化合物と、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオールなどのポリヒドロキシ化合物を反応させてなる生成物を使用したウレタンエマルションである。
ウレタンエマルションは、例えば、分子内にイソシアネート基と反応し得る活性水素を持たない親水性有機溶剤の存在下または非存在下で、ポリイソシアネート化合物とポリヒドロキシ化合物とを、ポリヒドロキシ化合物の水酸基に対してポリイソシアネート化合物のイソシアネート基過剰で反応させることにより容易に得ることができ、必要に応じてその反応生成物(ポリマー)とアミンと水とを混合してアミン伸長反応を行なわしめた後、ノニオン性あるいはイオン性の乳化剤と混合して水を加えることで乳化分散させ、必要により前記有機溶剤を留去することにより得ることができる。
また、ウレタン樹脂骨格中にノニオン性、アニオン性又はカチオン性の親水性基を有するポリオールを用いることにより、乳化剤を用いずにウレタンエマルションが得られる。
ウレタン樹脂の水分散体としては、特に、水性エポキシ樹脂分散液との混合安定性の面から、ノニオン性またはカチオン性ポリウレタンエマルションが好適である。
表面処理組成物には、上述した特定の水分散性樹脂以外に、他の水分散性樹脂および/または水溶性樹脂として、例えばアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、エチレン系樹脂、アルキッド系樹脂、フェノール樹脂、オレフィン系樹脂の1種または2種以上を全樹脂固形分中での割合で25質量%程度を上限として配合してもよい。
このシランカップリング剤としては、例えば、ビニルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメエキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−(ビニルベンジルアミン)−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができ、これらの1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、上記シランカップリング剤のなかでも、上記成分(a)の水分散性樹脂と反応性が高い官能基を有するという観点から、特に反応性官能基としてアミノ基を有すシランカップリング剤が好ましい。このようなシランカップリング剤としては、例えば、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメエキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられ、具体的には、信越化学(株)製のKBM−903、KBE−903、KBM−603、KBE−602、KBE−603(いずれも商品名)などを用いることができる。
リン酸化合物の種類は特に限定されないが、特に水溶性リン酸塩が好ましく、例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、メタリン酸などの金属塩の1種または2種以上を用いることができる。また、有機リン酸の塩(例えば、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩およびこれらの金属塩)の1種以上を用いてもよい。また、それらのなかでも第一リン酸塩が表面処理組成物の安定性などの面から好適である。
皮膜中でのリン酸塩の存在形態も特別な限定はなく、また、結晶若しくは非結晶であるか否かも問わない。また、皮膜中でのリン酸塩のイオン性、溶解度についても特別な制約はない。
リン酸および/またはリン酸化合物の配合量は、上記成分(a)である水性エポキシ樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して、固形分の割合の合計で0.1〜80質量部、好ましくは1〜60質量部、さらに好ましくは5〜50質量部とするのが適当である。リン酸および/またはリン酸化合物の配合量が0.1質量部未満では耐食性が劣り、一方、80質量部を超えると皮膜の可溶成分が増えることから、耐食性が低下するため好ましくない。
上記フッ素化合物の配合量は、上記成分(a)である水性エポキシ樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して、固形分の割合で0.1〜100質量部、好ましくは1〜60質量部、さらに好ましくは5〜30質量部とするのが適当である。フッ素化合物の配合量が0.1質量部未満では耐食性が劣り、一方、100質量部を超えると溶液状態が不安定となり、耐食性が低下するばかりでなく、経済的にも不利である。
この非クロム系防錆添加剤は、特に下記(f1)〜(f7)の中から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
(f1) 酸化ケイ素
(f2) カルシウムおよび/またはカルシウム化合物
(f3) 難溶性リン酸化合物
(f4) モリブデン酸化合物
(f5) トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物
(f6) バナジウム化合物
(f7) ヒドラジド化合物、ピラゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、ピリダジン化合物の中から選ばれる1種以上の、N原子を含有する有機化合物
これら(f1)〜(f7)の非クロム系防錆添加剤の詳細及び防食機構は以下の通りである。
コロイダルシリカとしては、例えば、日産化学(株)製のスノーテックスO、20、30、40、C、S(いずれも商品名)を用いることができ、また、ヒュームドシリカとしては、日本アエロジル(株)製のAEROSIL R971、R812、R811、R974、R202、R805、130、200、300、300CF(いずれも商品名)を用いることができる。また、カルシウムイオン交換シリカとしては、W.R.Grace&Co.製のSHIELDEX C303、SHIELDEX AC3、SHIELDEX AC5(いずれも商品名)、富士シリシア化学(株)製のSHIELDEX、SHIELDEX SY710(いずれも商品名)などを用いることができる。これらシリカは、腐食環境下において緻密で安定な亜鉛の腐食生成物の生成に寄与し、この腐食生成物がめっき表面に緻密に形成されることによって、腐食の促進を抑制する。
上記(f2)の成分であるカルシウム化合物は、カルシウム酸化物、カルシウム水酸化物、カルシウム塩のいずれでもよく、これらの1種または2種以上を使用できる。また、カルシウム塩の種類にも特に制限はなく、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなどのようなカチオンとしてカルシウムのみを含む単塩のほか、リン酸カルシウム・亜鉛、リン酸カルシウム・マグネシウムなどのようなカルシウムとカルシウム以外のカチオンを含む複塩を使用してもよい。この(f2)の成分は、腐食環境下においてめっき金属である亜鉛やアルミニウムよりも卑なカルシウムが優先溶解し、これがカソード反応により生成したOH−と緻密で難溶性の生成物として欠陥部を封鎖し、腐食反応を抑制する。また、上記のようなシリカとともに配合された場合には、表面にカルシウムイオンが吸着し、表面電荷を電気的に中和して凝集する。その結果、緻密で且つ難溶性の保護皮膜が生成して腐食が封鎖し、腐食反応を抑制する。
また、上記(f4)のモリブデン酸化合物としては、例えば、モリブデン酸塩を用いることができる。このモリブデン酸塩は、その骨格、縮合度に限定はなく、例えばオルトモリブデン酸塩、パラモリブデン酸塩、メタモリブデン酸塩などが挙げられる。また、単塩、複塩などの全ての塩を含み、複塩としてはリン酸モリブデン酸塩などが挙げられる。モリブデン酸化合物は不動態化効果によって自己補修性を発現する。すなわち、腐食環境下で溶存酸素と共にめっき皮膜表面に緻密な酸化物を形成することで腐食起点を封鎖し、腐食反応を抑制する。
また、上記(f6)のバナジウム化合物としては、例えば、5価のバナジウム化合物、4価のバナジウム化合物が適用できる。特に耐食性の観点から4価のバナジウム化合物が好ましい。
また、表面処理皮膜(および表面処理組成物)中には、腐食抑制剤として、他の酸化物微粒子(例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化アンチモンなど)、リンモリブデン酸塩(例えば、リンモリブデン酸アルミニウムなど)、有機インヒビター(例えば、ヒドラジンおよびその誘導体、チオール化合物、チオカルバミン酸塩など)などの1種または2種以上を添加できる。
以上のような成分を含む表面処理組成物により形成される表面処理皮膜は、乾燥膜厚が0.01〜1.0μm、好ましくは0.1〜0.8μmとする。乾燥膜厚が0.01μm未満では耐食性が不十分であり、一方、1.0μmを超えると導電性や加工性が低下する。
この上層皮膜は、数平均分子量が6000〜20000の高分子量エポキシ基含有樹脂(E)を含有する、好ましくはこれを主成分樹脂とする上層皮膜用塗料組成物を塗布し、乾燥することにより形成された皮膜厚が0.3〜2.0μmの皮膜である。この上層皮膜もクロムを全く含まない。このような特定の高分子量樹脂皮膜を上記特定の表面処理皮膜(下層皮膜)の上層に形成することにより、両皮膜の複合作用によって特に高度な加工部耐食性が得られる。
また、これらのエポキシ基含有樹脂(E)の中でも、めっき表面との密着性、耐食性の点からエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂が特に好適である。またその中でも、酸素などの腐食因子に対して優れた遮断性を有する熱硬化性のエポキシ樹脂や変性エポキシ樹脂が最適であり、とりわけ高度なスポット溶接性を得るために皮膜の付着量を低レベルにする場合には特に有利である。
上記ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、エピクロルヒドリンとビスフェノールとを、必要に応じてアルカリ触媒などの触媒の存在下で高分子量まで縮合させてなる樹脂、エピクロルヒドリンとビスフェノールとを、必要に応じてアルカリ触媒などの触媒の存在下で縮合させて低分子量のエポキシ樹脂とし、この低分子量エポキシ樹脂とビスフェノールとを重付加反応させることにより得られる樹脂のいずれであってもよいが、高分子量エポキシ樹脂を安定に得るためには後者の方法が好ましい。
また、変性エポキシ樹脂としては、上記エポキシ樹脂中のエポキシ基または水酸基に各種変性剤を反応させたものでもよく、例えば、乾性油脂肪酸を反応させたエポキシエステル樹脂、アクリル酸またはメタクリル酸などを含有する重合性不飽和モノマー成分で変性したエポキシアクリレート樹脂、イソシアネート化合物を反応させたウレタン変性エポキシ樹脂などを例示できる。
上記重合性不飽和モノマー成分としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−,iso−若しくはtert−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸のC1〜24アルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、ビニルトルエン、アクリルアミド、アクリロニトリル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドのC1〜4アルキルエーテル化物;N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートなどを挙げることができる。
また、エポキシ基を有する不飽和モノマーとしては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなど、エポキシ基と重合性不飽和基を持つものであれば特別な制約はない。
・活性水素を有するヒドラジン誘導体
・活性水素を有する第1級または第2級のアミン化合物
・アンモニア、カルボン酸などの有機酸
・塩化水素などのハロゲン化水素
・アルコール類、チオール類
・活性水素を有しないヒドラジン誘導体または第3級アミンと酸との混合物である4級塩化剤
(1) カルボヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、チオカルボヒドラジド、4,4′−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ベンゾフェノンヒドラゾン、アミノポリアクリルアミドなどのヒドラジド化合物;
(2) ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−ピラゾロン、3−アミノ−5−メチルピラゾールなどのピラゾール化合物;
(5) 5−アミノ−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールなどのチアジアゾール化合物;
(6) マレイン酸ヒドラジド、6−メチル−3−ピリダゾン、4,5−ジクロロ−3−ピリダゾン、4,5−ジブロモ−3−ピリダゾン、6−メチル−4,5−ジヒドロ−3−ピリダゾンなどのピリダジン化合物;
また、これらのなかでも、5員環または6員環の環状構造を有し、環状構造中に窒素原子を有するピラゾール化合物、トリアゾール化合物が特に好適である。
これらのヒドラジン誘導体は1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(1) ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミンなどの1個の2級アミノ基と1個以上の1級アミノ基を含有するアミン化合物の1級アミノ基を、ケトン、アルデヒド若しくはカルボン酸と例えば100〜230℃程度の温度で加熱反応させてアルジミン、ケチミン、オキサゾリン若しくはイミダゾリンに変性した化合物;
(3) モノエタノールアミンのようなモノアルカノールアミンとジアルキル(メタ)アクリルアミドとをミカエル付加反応により付加させて得られた第2級アミン含有化合物;
(4) モノエタノールアミン、ネオペンタノールアミン、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノール、2−ヒドロキシ−2′(アミノプロポキシ)エチルエーテルなどのアルカノールアミンの1級アミノ基をケチミンに変性した化合物;
4級塩化剤を得るために使用される酸は、酢酸、乳酸などの有機酸、塩酸などの無機酸のいずれでもよい。また、4級塩化剤を得るために使用される活性水素を有しないヒドラジン誘導体としては、例えば3,6−ジクロロピリダジンなどを、また、第3級アミンとしては、例えば、ジメチルエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリイソプロピルアミン、メチルジエタノールアミンなどを挙げることができる。
この反応は有機溶剤を加えて行ってもよく、使用する有機溶剤の種類は特に限定されない。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;エタノール、ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの水酸基を含有するアルコール類やエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのエステル類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などを例示でき、これらの1種又は2種以上を使用することができる。また、これらのなかでエポキシ樹脂との溶解性、塗膜形成性などの面からは、ケトン系またはエーテル系の溶剤が特に好ましい。
また、高分子量エポキシ基含有樹脂(E)と活性水素含有化合物(H)との配合比率は、活性水素含有化合物(H)の活性水素基の数と高分子量エポキシ基含有樹脂(E)のエポキシ基の数との比率[活性水素基数/エポキシ基数]が0.01〜10、より好ましくは0.1〜8、さらに好ましくは0.2〜4とすることが耐食性などの点から適当である。
上記アミノ樹脂(F)としては、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミドなどのアミノ成分とホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンツアルデヒドなどのアルデヒド成分との反応によって得られるメチロール化アミノ樹脂が挙げられる。このメチロール化アミノ樹脂のメチロール基を炭素原子数1〜6の低級アルコールによってエーテル化したものも上記アミノ樹脂に包含される。
以上のアミノ樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
1分子中に4個以上のイソシアネート基を含有するポリイソシアネート化合物の市販品の具体例としては、例えば、旭化成社製のMF−B80M、MF−B60X、MF−K60X、ME20−B80S(いずれも商品名)などを挙げることができる。
なお、高分子量エポキシ基含有樹脂(E)は以上のような架橋剤(硬化剤)の添加により十分に架橋するが、さらに低温架橋性を増大させるため、公知の硬化促進触媒を使用することが望ましい。この硬化促進触媒としては、例えば、N−エチルモルホリン、ジブチル錫ジラウレート、ナフテン酸コバルト、塩化第1スズ、ナフテン酸亜鉛、硝酸ビスマスなどが使用できる。
また、付着性など若干の物性向上を狙いとして、高分子量エポキシ基含有樹脂(E)とともに公知のアクリル、アルキッド、ポリエステルなどの樹脂を混合して用いることもできる。
この非クロム系防錆添加剤は、特に下記(f1)〜(f7)の中から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
(f1)酸化ケイ素
(f2)カルシウムまたは/およびカルシウム化合物
(f3)難溶性リン酸化合物
(f4)モリブデン酸化合物
(f5)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物
(f6)バナジウム化合物
(f7)ヒドラジド化合物、ピラゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、ピリダジン化合物の中から選ばれる1種以上の、N原子を含有する有機化合物
これら(f1)〜(f7)の非クロム系防錆添加剤の詳細および防食機構は、先に表面処理皮膜に関して述べた通りである。
なお、上記(f1)〜(f7)の防錆添加剤を2種以上複合添加してもよく、この場合にはそれぞれ固有の防食作用が複合化されるため、より高度の耐食性が得られる。特に、上記(f1)の成分としてカルシウムイオン交換シリカを用い、且つこれに(f3)〜(f5)の成分の1種以上、特に好ましくは(f3)〜(f5)の成分の全部を複合添加した場合に特に優れた耐食性が得られる。
本発明に適用できる固形潤滑剤としては、例えば、以下のようなものが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
(1) ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス:例えば、ポリエチレンワックス、合成パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、塩素化炭化水素など
(2) フッ素樹脂微粒子:例えば、ポリフルオロエチレン樹脂(ポリ4フッ化エチレン樹脂など)、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂など
また、この他にも、脂肪酸アミド系化合物(例えば、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、オレイン酸アミド、エシル酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミドなど)、金属石けん類(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウムなど)、金属硫化物(例えば、二硫化モリブデン、二硫化タングステンなど)、グラファイト、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、ポリアルキレングリコール、アルカリ金属硫酸塩などの1種または2種以上を用いてもよい。
ポリエチレンワックスとしては、例えば、ヘキスト社製のセリダスト 9615A、セリダスト 3715、セリダスト 3620、セリダスト 3910(いずれも商品名)、三洋化成社製のサンワックス 131−P、サンワックス 161−P(いずれも商品名)、三井石油化学社製のケミパール W−100、ケミパール W−200、ケミパール W−500、ケミパール W−800、ケミパール W−950(いずれも商品名)などを用いることができる。
また、これらのなかで、ポリオレフィンワックスとテトラフルオロエチレン微粒子の併用により特に優れた潤滑効果が期待できる。
上層皮膜中での固形潤滑剤の配合量は、皮膜形成用の塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して、固形分の割合で1〜30質量部、好ましくは1〜10質量部とする。固形潤滑剤の配合量が1質量部未満では潤滑効果が乏しく、一方、配合量が30質量部を超えると塗装性が低下するので好ましくない。
上記有機溶剤としては、上記高分子量エポキシ基含有樹脂(E)を溶解または分散でき、塗料組成物として調整できるものであれば特別な制約なく、例えば、先に例示した種々の有機溶剤を使用することができる。
上記中和剤は、高分子量エポキシ基含有樹脂(E)を中和して水性化するために必要に応じて配合されるものであり、高分子量エポキシ基含有樹脂(E)がカチオン性樹脂である場合には酢酸、乳酸、蟻酸などの酸を中和剤として使用することができる。
また、溶接性や電着塗装性の観点からは、第一層の表面処理皮膜と第二層の上層皮膜の合計膜厚は2.0μm以下であることが好ましい。
亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に上記表面処理皮膜を形成するには、上述した組成を有する表面処理組成物(処理液)を乾燥皮膜厚が上記範囲となるようにめっき鋼板面に塗布し、水洗することなく加熱乾燥させる。
表面処理組成物をめっき鋼板面に形成する方法としては、塗布法、浸漬法、スプレー法のいずれでもよい。塗布処理方法としては、ロールコーター(3ロール方式、2ロール方式など)、スクイズコーター、ダイコーターなどいずれの方法でもよい。また、スクイズコーターなどによる塗布処理または浸漬処理、スプレー処理の後に、エアナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。
上記のようにして形成された表面処理皮膜の上層には、第二層皮膜として上層皮膜(有機樹脂皮膜)を形成する。第二層皮膜用の塗料組成物を上述した膜厚となるよう上記表面処理皮膜面に塗布し、加熱乾燥させる。塗料組成物の塗布は、上述した表面処理皮膜の形成に用いた方法に準じて行えばよい。
[1] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、下記成分(a)〜(e)を含有する表面処理組成物を塗布し、到達板温が30〜150℃の温度で乾燥することにより皮膜厚が0.01〜1.0μmの表面処理皮膜を形成し、
(a)エポキシ基含有樹脂(A)と、第1級アミン化合物および/または第2級アミン化合物(B)と、一部または全部の化合物が活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性水素含有化合物とを反応させることにより得られる変性エポキシ樹脂(D)を水中に分散してなる水性エポキシ樹脂分散液
(b)ウレタン樹脂の水分散体
(c)シランカップリング剤:前記水性エポキシ樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で1〜300質量部
(d)リン酸および/またはリン酸化合物:前記水性エポキシ樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で0.1〜80質量部
(e)1分子中にフッ素を1〜5個含有する化合物:前記水性エポキシ樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で0.1〜100質量部
その上層に、数平均分子量が6000〜20000の高分子量エポキシ基含有樹脂(E)を含有する上層皮膜用塗料組成物を塗布し、到達板温が30〜150℃の温度で乾燥することにより皮膜厚が0.3〜2.0μmの上層皮膜を形成することを特徴とする高耐食性表面処理鋼板の製造方法。
[3] 上記[1]または[2]の製造方法において、表面処理皮膜形成用の表面処理組成物がさらに、非クロム系防錆添加剤を、成分(a)の水性エポキシ樹脂分散液と成分(b)のウレタン樹脂の水分散体とを合せた樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で0.1〜50質量部含有することを特徴とする高耐食性表面処理鋼板の製造方法。
[4] 上記[1]〜[3]のいずれかの製造方法において、上層皮膜用塗料組成物がさらに、非クロム系防錆添加剤を、塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で0.1〜50質量部含有することを特徴とする高耐食性表面処理鋼板の製造方法。
(f1)酸化ケイ素
(f2)カルシウムまたは/およびカルシウム化合物
(f3)難溶性リン酸化合物
(f4)モリブデン酸化合物
(f5)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物
(f6)バナジウム化合物
(f7)ヒドラジド化合物、ピラゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、ピリダジン化合物の中から選ばれる1種以上の、N原子を含有する有機化合物
[7] 上記[6]の製造方法において、水酸基と架橋する基を有する硬化剤が、1分子中にイミノ基を平均1個以上有するアミノ樹脂(F)であることを特徴とする高耐食性表面処理鋼板の製造方法。
[8] 上記[6]の製造方法において、水酸基と架橋する基を有する硬化剤が、1分子中にイソシアネート基を平均4個以上有するポリイソシアネート化合物(G)であることを特徴とする高耐食性表面処理鋼板の製造方法。
[10] 上記[1]〜[9]のいずれかの製造方法において、上層皮膜用塗料組成物中の高分子量エポキシ基含有樹脂(E)が、一部または全部の化合物が活性水素を有するヒドラジン誘導体(I)からなる活性水素含有化合物(H)により変性された変性エポキシ基含有樹脂であることを特徴とする高耐食性表面処理鋼板の製造方法。
[11] 上記[1]〜[10]のいずれかの製造方法において、上層皮膜用塗料組成物がさらに、固形潤滑剤を、塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で1〜30質量部含有することを特徴とする高耐食性表面処理鋼板の製造方法。
<製造例1>
温度計、撹拌機、冷却管を備えたガラス製4ツ口フラスコに、エピコート1007(エポキシ樹脂、シェルジャパン(株)製、エポキシ当量2000)787.4gとプロピレングリコールモノブチルエーテル425g加え、110℃で撹拌混合し均一透明になった後、100℃に冷却した。このものに、ジエタノールアミン20.7gを加え、1時間反応させた後、エポキシアミン価を測定し、理論値になっていることを確認して、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール(分子量84)16.5gを加えて、5時間反応させた。その後、プロピレングリコールモノブチルエーテル250gを加えて変性エポキシ樹脂(D1)を得た。この変性エポキシ樹脂(D1)にリン酸23.3gを加え、水を混合・滴下し、固形分濃度20%の水性エポキシ樹脂分散液(F1)を得た。
温度計、撹拌機、冷却管を備えたガラス製4ツ口フラスコに、エピコート1004(エポキシ樹脂、シェルジャパン(株)製、エポキシ当量925)546gとプロピレングリコールモノブチルエーテル311g加え、110℃で撹拌混合し均一透明になった後、100℃に冷却した。このものに、ジエタノールアミン31.5gを加え、1時間反応させた後、エポキシアミン価を測定し、理論値になっていることを確認して、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール(分子量84)25.2gを加えて、5時間反応させた。その後、プロピレングリコールモノブチルエーテル182.6gを加えて変性エポキシ樹脂(D2)を得た。この変性エポキシ樹脂(D2)にリン酸35.3gを加え、水を混合・滴下し、固形分濃度20%の水性エポキシ樹脂分散液(F2)を得た。
製造例1におけるジエタノールアミンの量を12.4gに、3−アミノ−1,2,4−トリアゾールの量を23.1gに置き換えた以外は、製造例1と同様にして反応を行い、変性エポキシ樹脂を得た。この変性エポキシ樹脂に水を混合し、固形分濃度20%の水性エポキシ樹脂分散液(F3)を得た。
<製造例4>(比較例)
温度計、撹拌機、冷却管を備えたガラス製4ツ口フラスコに、エピコート1001(エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量約475、数平均分子量約900)186.6gとプロピレングリコールモノブチルエーテル115.2gを加え、110℃まで昇温して撹拌混合し、液が均一透明になった後100℃に冷却し、ジエタノールアミン25.5gを加えて100℃の温度に1時間保持した。その後プロピレングリコールモノブチルエーテル68.0gを加えて変性エポキシ樹脂溶液(D4)を得た。この変性エポキシ樹脂溶液(D4)にリン酸23.3gを加え、水を滴下しながら混合し、固形分濃度20%の水性エポキシ樹脂分散液(F4)を得た。
<製造例5>(比較例)
製造例1において3−アミノ−1,2,4−トリアゾール16.5gをN−メチル−エタノールアミン14.7gに置き換えた以外は、製造例1と同様にして反応を行い、変性エポキシ樹脂溶液(D5)を得た。この変性エポキシ樹脂溶液(D5)に水を混合し固形分濃度20%の水性エポキシ樹脂分散液(F5)を得た。
表8および表9に示す樹脂組成物の基体樹脂(反応生成物)は以下のようにして合成した。
<合成例1>
エピコート828(ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量187)634部、ビスフェノールA366部、50%テトラエチルアンモニウムブロマイド水溶液8部及びシクロヘキサノン180部を四つ口フラスコに仕込み、150℃まで昇温して5時間反応させた後、冷却しながらメチルイソブチルケトン300部とシクロヘキサノン1843部を加えて、固形分30%のエポキシ樹脂溶液F1(樹脂組成物(1))を得た。この樹脂の数平均分子量は7600であった。
<合成例2>
エピコート1256(ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量7880)347部及びシクロヘキサノン543部を四つ口フラスコに仕込み、130℃まで昇温して2時間で完全にエポキシ樹脂を溶解した。このものを120℃に冷却し、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール(分子量84)を3.7部加えて、エポキシ基が消失するまで6時間反応させた後、冷却しながらメチルイソブチルケトン78部とシクロヘキサノン197部を加え、固形分30%のトリアゾール変成エポキシ樹脂溶液F2(樹脂組成物(2))を得た。この樹脂の数平均分子量は10100であった。
エピコート828(ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量187)637部、ビスフェノールA363部、50%テトラエチルアンモニウムブロマイド水溶液10部及びシクロヘキサノン175部を四つ口フラスコに仕込み、160℃まで昇温して4時間反応させ、固形分85%のエポキシ樹脂溶液を得た。このものに、シクロヘキサノン1315部を加えてから100℃に冷却し、3,5−ジメチルピラゾール9.7部とジブチルアミン13部を加えて、エポキシ基が消失するまで6時間反応させた後、冷却しながらメチルイソブチルケトン908部を加え、固形分30%のピラゾール変性エポキシ樹脂溶液F3(樹脂組成物(3))を得た。この樹脂の数平均分子量は6300であった。
<合成例4>
エピコート828(ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量187)1833部、ビスフェノールA894部、テトラエチルアンモニウムブロマイド1.96部及びメチルイソブチルケトン294部を四つ口フラスコに仕込み、140℃まで昇温して4時間反応させ、冷却しながらエチレングリコールモノブチルエーテル3795部を加えて、エポキシ当量1388、固形分40%のエポキシ樹脂溶液F4(樹脂組成物(4))を得た。この樹脂の数平均分子量は3100であった。
次いで、上記第二層形成用の塗料組成物をロールコーターにより塗布し、各種温度で加熱乾燥した。皮膜の膜厚は、塗料組成物の固形分(加熱残分)または塗布条件(ロールの圧下力、回転速度など)により調整した。
(1)耐食性
各サンプルについて、日本パーカライジング(株)製「FC−4460」を用いて、60℃、2分間の条件で脱脂した後、下記の複合サイクル試験(CCT)を施し、36サイクル経過後の白錆発生面積率および赤錆発生面積率で評価した。
塩水噴霧(JIS Z 2371に基づく):4時間
↓
乾燥(60℃):2時間
↓
湿潤(50℃、95%RH):2時間
その評価基準は以下の通りである。
◎ :白錆発生面積率5%未満
○+:白錆発生面積率5%以上、10%未満
○ :白錆発生面積率10%以上、30%未満
○−:白錆発生面積率30%以上で、赤錆発生なし
△ :赤錆発生ありで、赤錆発生面積率10%未満
× :赤錆発生面積率10%以上
各サンプルに対して、下記の条件によるドロービードで変形と摺動を付加し、このサンプルを日本パーカライジング(株)製「FC−4460」を用いて、60℃、2分間の条件で脱脂した後、前記「(1)耐食性」で行ったCCTを施し、24サイクル経過後の白錆発生面積率および赤錆発生面積率で評価した。
押付荷重:800kgf
引抜速度:1000mm/min
ビード肩R:オス側2mmR,メス側3mmR
押し込み深さ:7mm
使用油:スギムラ化学工業(株)製「プレトンR−352L」
その評価基準は以下の通りである。
◎ :白錆発生面積率5%未満
○+:白錆発生面積率5%以上、10%未満
○ :白錆発生面積率10%以上、30%未満
○−:白錆発生面積率30%以上で、赤錆発生なし
△ :赤錆発生ありで、赤錆発生面積率10%未満
× :赤錆発生面積率10%以上
各サンプルについて、使用電極:CF型Cr−Cu電極、加圧力:200kgf、通電時間:10サイクル/50Hz、溶接電流:10kAの条件で連続打点性の溶接試験を行い、連続打点数で評価した。その評価基準は以下の通りである。
◎:2000点以上
○:1000点以上、2000点未満
△:500点以上、1000点未満
×:500点未満
(4)電着塗装性
各サンプルにカチオン系電着塗料(関西ペイント(株)製「GT−10」)を膜厚30μmとなるように塗装した後、130℃×30分の焼付を行った。塗装したサンプルを沸水中に2時間浸漬し、直ちに碁盤目(10×10個、1mm間隔)のカットを入れて接着テープによる貼着・剥離を行い、塗膜の剥離面積率を測定した。その評価基準は以下の通りである。
◎:剥離なし
○:剥離面積率5%未満
△:剥離面積率5%以上、20%未満
×:剥離面積率20%以上
*1:表1に記載のNo.(めっき鋼板)
*2:表2に記載のNo.(水性エポキシ樹脂分散液)
*3:表3に記載のNo.(ウレタン樹脂水分散体)
*4:表4に記載のNo.(シランカップリング剤)
*5:表5に記載のNo.(リン酸またはリン酸化合物)
*6:表6に記載のNo.(1分子中にフッ素を1〜5個含有する化合物)
*7:表7に記載のNo.(防錆添加剤)
*8:質量部(水性エポキシ樹脂分散液以外の成分については、水性エポキシ樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対する固形分割合の質量部)
*9:表8及び表9に記載のNo.(樹脂組成物)
*10:表10に記載のNo.(固形潤滑剤)
*11:質量部(有機樹脂以外の成分については、有機樹脂の固形分100質量部に対する固形分割合の質量部)
Claims (12)
- 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、下記成分(a)〜(e)を含有する表面処理組成物を塗布し、乾燥することにより形成された皮膜厚が0.01〜1.0μmの表面処理皮膜を有し、
(a)エポキシ基含有樹脂(A)と、第1級アミン化合物および/または第2級アミン化合物(B)と、一部または全部の化合物が活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性水素含有化合物とを反応させることにより得られる変性エポキシ樹脂(D)を水に分散させた水性エポキシ樹脂分散液
(b)ウレタン樹脂の水分散体
(c)シランカップリング剤:前記水性エポキシ樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で1〜300質量部
(d)リン酸および/またはリン酸化合物:前記水性エポキシ樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で0.1〜80質量部
(e)三フッ化バナジウム、四フッ化バナジウムの中から選ばれる1種以上:前記水性エポキシ樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で0.1〜100質量部
その上層に、数平均分子量が6000〜20000の高分子量エポキシ基含有樹脂(E)を含有する上層皮膜用塗料組成物を塗布し、乾燥することにより形成された皮膜厚が0.3〜2.0μmの上層皮膜を有することを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。 - 活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)が、5員環または6員環の環状構造を有し、環状構造中に窒素原子を有するピラゾール化合物、トリアゾール化合物の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の高耐食性表面処理鋼板。
- 表面処理皮膜形成用の表面処理組成物がさらに、非クロム系防錆添加剤を、成分(a)の水性エポキシ樹脂分散液と成分(b)のウレタン樹脂の水分散体とを合せた樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で0.1〜50質量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載の高耐食性表面処理鋼板。
- 上層皮膜用塗料組成物がさらに、非クロム系防錆添加剤を、塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で0.1〜50質量部含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高耐食性表面処理鋼板。
- 表面処理皮膜形成用の表面処理組成物および/または上層皮膜用塗料組成物が非クロム系防錆添加剤として、下記(f1)〜(f7)の中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高耐食性表面処理鋼板。
(f1)酸化ケイ素
(f2)カルシウムおよび/またはカルシウム化合物
(f3)難溶性リン酸化合物
(f4)モリブデン酸化合物
(f5)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物
(f6)バナジウム化合物
(f7)ヒドラジド化合物、ピラゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、ピリダジン化合物の中から選ばれる1種以上の、N原子を含有する有機化合物 - 上層皮膜用塗料組成物がさらに、水酸基と架橋する基を有する硬化剤を、高分子量エポキシ基含有樹脂(E)の固形分100質量部に対して固形分の割合で1〜50質量部含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高耐食性表面処理鋼板。
- 水酸基と架橋する基を有する硬化剤が、1分子中にイミノ基を平均1個以上有するアミノ樹脂(F)であることを特徴とする請求項6に記載の高耐食性表面処理鋼板。
- 水酸基と架橋する基を有する硬化剤が、1分子中にイソシアネート基を平均4個以上有するポリイソシアネート化合物(G)であることを特徴とする請求項6に記載の高耐食性表面処理鋼板。
- ポリイソシアネート化合物(G)が、ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基の少なくとも一部をブロック剤によってブロックしたものであることを特徴とする請求項8に記載の高耐食性表面処理鋼板。
- 上層皮膜用塗料組成物中の高分子量エポキシ基含有樹脂(E)が、一部または全部の化合物が活性水素を有するヒドラジン誘導体(I)からなる活性水素含有化合物(H)により変性された変性エポキシ基含有樹脂であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の高耐食性表面処理鋼板。
- 上層皮膜用塗料組成物がさらに、固形潤滑剤を、塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で1〜30質量部含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の高耐食性表面処理鋼板。
- 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、下記成分(a)〜(e)を含有する表面処理組成物を塗布し、到達板温が30〜150℃の温度で乾燥することにより皮膜厚が0.01〜1.0μmの表面処理皮膜を形成し、
(a)エポキシ基含有樹脂(A)と、第1級アミン化合物および/または第2級アミン化合物(B)と、一部または全部の化合物が活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性水素含有化合物とを反応させることにより得られる変性エポキシ樹脂(D)を水に分散させた水性エポキシ樹脂分散液
(b)ウレタン樹脂の水分散体
(c)シランカップリング剤:前記水性エポキシ樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で1〜300質量部
(d)リン酸および/またはリン酸化合物:前記水性エポキシ樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で0.1〜80質量部
(e)三フッ化バナジウム、四フッ化バナジウムの中から選ばれる1種以上:前記水性エポキシ樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して固形分の割合で0.1〜100質量部
その上層に、数平均分子量が6000〜20000の高分子量エポキシ基含有樹脂(E)を含有する上層皮膜用塗料組成物を塗布し、到達板温が30〜150℃の温度で乾燥することにより皮膜厚が0.3〜2.0μmの上層皮膜を形成することを特徴とする高耐食性表面処理鋼板の製造方法。
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