JP4453061B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒に吸蔵した窒素酸化物(以下「NOx」と表記する)を還元浄化するために、空燃比を一時的にリッチ側に制御するリッチスパイク制御を行う内燃機関の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、燃費向上等を目的として、空燃比を理論空燃比よりもリーン側に制御するリーンバーンエンジンや筒内噴射エンジンが開発されている。これらのエンジンでは、NOx排出量を低減するために、NOx吸蔵還元型触媒(以下「NOx触媒」と表記する)を採用したものがある。このNOx触媒は、排出ガスの空燃比がリーンのときに排出ガス中のNOxを吸蔵し、空燃比がリッチになったときに吸蔵NOxを還元浄化して放出する特性をもっている。
【0003】
そこで、リーン運転中にNOx触媒のNOx吸蔵量が飽和するのを防止するため、特開2000−34943号公報に示すように、リーン運転時間とリッチ運転時間を所定比率(例えば50:1)に設定して、リーン運転中に所定周期で空燃比を一時的にリッチにするリッチスパイク制御を実施することで、リーン運転中にNOx触媒に吸蔵したNOxを還元浄化する処理を繰り返すようにしたものがある。
【0004】
また、近年の電子制御化されたエンジン制御システムでは、エンジン運転中に各種の異常診断を実施してシステムの故障、劣化等の異常の有無を自己診断して、エンジン制御システムの信頼性を向上させるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、リッチスパイク制御を周期的に実施するエンジン制御システムでは、エンジン運転中に異常診断を繰り返すうちに、異常診断の実施時期がリッチスパイク制御の実施時期と重なることがある。リッチスパイク制御を実施すると、空燃比が急変し、且つ、その影響でエンジン回転変動も発生するため、このような時期に異常診断を実施すると、異常診断の種類によっては、リッチスパイク制御によって生じた空燃比変化やエンジン回転変動の影響を受けた異常診断パラメータに基づいて異常の有無を診断してしまい、その結果、異常診断精度が低下してエンジン制御システムの信頼性が低下するおそれがある。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、リッチスパイク制御の影響を受けた異常診断パラメータに基づいて異常診断することを未然に防止することができて、異常診断精度を向上することができる内燃機関の制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の内燃機関の制御装置は、リッチスパイク制御実施中及び/又はリッチスパイク制御終了後の所定期間は、異常診断禁止手段によって所定の異常診断を禁止又は遅延することを第1の特徴とし、更に、内燃機関の回転変動に基づいて失火の有無を診断することを第2の特徴とするものである。このように、リッチスパイク制御実施中及び/又はリッチスパイク制御終了後の所定期間は、所定の異常診断を禁止又は遅延するようにすれば、リッチスパイク制御の影響を受ける異常診断パラメータ(つまり空燃比変化や回転変動の影響を受けるパラメータ)を用いて異常診断する場合に、リッチスパイク制御実施中やリッチスパイク制御終了直後は、他の異常診断実施条件が成立していても、異常診断を実施しないようにすることができる。これにより、リッチスパイク制御によって一時的に変化した異常診断パラメータに基づいて異常診断してしまうことを未然に防止することができて、異常診断パラメータがリッチスパイク制御の影響を受けないときに精度良く異常診断することができ、異常診断精度を向上することができる。
【0008】
本発明におけるリッチスパイク制御実施中及び/又はリッチスパイク制御終了後の所定期間は、所定の異常診断を禁止又は遅延するという技術事項は、リッチスパイク制御によって生じた空燃比変化やエンジン回転変動の影響を受ける異常診断パラメータに基づいて異常診断するシステムに広く適用でき、例えば、請求項1のように、内燃機関の回転変動に基づいて失火の有無を診断するシステムに適用しても良い。つまり、リッチスパイク制御実施中やその直後の所定期間に、回転変動に基づいた失火診断を禁止又は遅延すれば、リッチスパイク制御によって生じた回転変動による失火診断精度の低下を未然に防止することができる。
【0009】
また、請求項2のように、触媒の下流側に排出ガスの空燃比又はリッチ/リーンを検出する下流側センサを設け、その下流側センサの出力に基づいて触媒の劣化の有無を診断するシステムに本発明を適用しても良い。或は、請求項3のように、排出ガスの空燃比又はリッチ/リーンを検出するセンサの異常の有無を診断するシステムに本発明を適用しても良い。排出ガスの空燃比やリッチ/リーンを検出するセンサの出力は、リッチスパイク制御によって生じた空燃比変化の影響を受けて変動する。従って、リッチスパイク制御実施中やその直後の所定期間に、下流側センサ出力に基づいた触媒劣化診断、或は、センサ自体の異常診断を禁止又は遅延すれば、リッチスパイク制御による触媒劣化診断精度の低下やセンサ異常診断精度の低下を未然に防止することができる。
【0010】
また、請求項4のように、燃料系の異常の有無を診断するシステムに本発明を適用しても良い。燃料系は燃料噴射制御(空燃比制御)の制御対象となるシステムであり、燃料系の異常診断に用いるパラメータは、リッチスパイク制御によって生じた空燃比変化の影響を受けて変動する。従って、リッチスパイク制御実施中やその直後の所定期間に、燃料系異常診断を禁止又は遅延すれば、リッチスパイク制御による燃料系異常診断精度の低下を未然に防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をリーンバーンエンジンに適用した一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側には、吸気温度を検出する吸気温センサ14が設けられている。この吸気温センサ14の下流側には、スロットルバルブ15とスロットル開度を検出するスロットル開度センサ16とが設けられている。
【0013】
更に、スロットルバルブ15の下流側には、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ17が設けられ、この吸気管圧力センサ17の下流側に、サージタンク18が設けられている。このサージタンク18には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド19が設けられ、各気筒の吸気マニホールド19の吸気ポート近傍に、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁20が取り付けられている。エンジン11のシリンダヘッドには、気筒毎に点火プラグ21が取り付けられ、各気筒の点火プラグ21には、点火時期毎に点火装置22で発生した高電圧が印加される。
【0014】
一方、エンジン11の排気管23の途中には、排出ガスを浄化するNOx吸蔵還元型触媒(以下「NOx触媒」と表記する)24が設置されている。このNOx触媒24は、排出ガス中の酸素濃度が高いリーン運転中に排出ガス中のNOxを吸蔵し、空燃比がリッチ(又はストイキ)に切り換えられて排出ガス中の酸素濃度が低下したリッチ運転中に、それまでに吸蔵したNOxを還元浄化して放出する。
【0015】
このNOx触媒24の上流側には、排出ガスの空燃比に応じたリニアな空燃比信号AFを出力する空燃比センサ(リニアA/Fセンサ)25が設けられ、NOx触媒24の下流側には排出ガスの空燃比が理論空燃比に対してリッチかリーンかによって出力電圧VOX2が反転する酸素センサ26(下流側センサ)が設けられている。尚、NOx触媒24の下流側に、酸素センサ26に代えて、空燃比センサ(リニアA/Fセンサ)を設けても良い。エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する水温センサ27や、エンジン回転速度を検出するクランク角センサ28が取り付けられている。
【0016】
エンジン制御回路(以下「ECU」と表記する)29は、CPU30、ROM31、RAM32、バッテリ(図示せず)でバックアップされたバックアップRAM33、入力ポート34、出力ポート35等からなるマイクロコンピュータを主体として構成されている。入力ポート34には、前述した各種センサの出力信号が入力される。また、出力ポート35には、燃料噴射弁20、点火装置22等が接続されている。ECU29は、ROM31に記憶された各種のエンジン制御プログラムをCPU30で実行することでエンジン11の運転を制御する。
【0017】
ECU29は、エンジン運転状態に基づいてリーン運転時間とリッチ運転時間を所定比率(例えば50:1)で設定して、リーン運転中に一時的にリッチ運転を実施するリッチスパイク制御を実施する。これにより、NOx触媒24では、リーン運転中に排出ガス中のNOxを吸蔵し、その吸蔵NOxをリッチスパイク制御により還元浄化して放出する処理が繰り返される。
【0018】
また、ECU29は、エンジン運転中に各種の異常診断を実施してシステムの故障、劣化等の異常の有無を自己診断するようにようにしているが、リッチスパイク制御を実施すると、空燃比が急変し、且つ、その影響で回転変動も発生するため、このような時期に異常診断を実施すると、異常診断の種類によっては、リッチスパイク制御によって生じた空燃比変化や回転変動の影響を受けた異常診断パラメータに基づいて異常の有無を診断してしまい、その結果、異常診断精度が低下してエンジン制御システムの信頼性が低下するおそれがある。
【0019】
そこで、ECU29は、リッチスパイク制御実施中及びリッチスパイク制御終了後の所定期間は、リッチスパイク制御の影響を受ける異常診断パラメータ(つまり空燃比変化や回転変動の影響を受ける異常診断パラメータ)を用いる異常診断、例えば、後述する失火診断、触媒劣化診断、センサ異常診断、燃料系異常診断等を禁止して、リッチスパイク制御の影響を受けた異常診断パラメータに基づいて異常診断することを未然に防止する。
以下、ECU29が実行する各ルーチンの具体的な処理内容を説明する。
【0021】
[燃料噴射量設定]
図2の燃料噴射量設定ルーチンは、空燃比のF/B(フィードバック)制御を通じて燃料噴射量TAUを設定するルーチンであり、各気筒の燃料噴射タイミング毎に実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、エンジン運転状態(エンジン回転速度Ne、吸気圧PM、冷却水温Tw等)を読み込み、次のステップ102で、ROM31に予め記憶されている基本噴射量マップを検索して、現在のエンジン回転速度Neと吸気圧PMに応じた基本噴射量Tpを算出する。この後、ステップ103に進み、空燃比F/B条件が成立しているか否かを判定する。ここで、空燃比F/B条件は、冷却水温Twが所定温度以上であること、運転状態が高回転・高負荷領域でないこと、空燃比センサ25が活性状態であること等であり、これらの条件を全て満たしたときに空燃比F/B条件が成立する。
【0022】
上記ステップ103で、空燃比F/B条件が不成立と判定された場合には、ステップ107に進み、空燃比補正係数FAFを「1.0」に設定して、ステップ106に進む。この場合は、空燃比の補正は行われない。
【0023】
一方、上記ステップ103で、空燃比F/B条件成立と判定された場合には、ステップ104に進み、後述する図3の目標空燃比設定ルーチンを実行して目標空燃比AFTGを設定し、次のステップ105で、空燃比センサ25で検出した実空燃比AFと目標空燃比AFTGとの偏差に基づいて空燃比補正係数FAFを算出する。
【0024】
この後、ステップ106に進み、基本噴射量Tp、空燃比補正係数FAF、他の補正係数FALL(冷却水温、エアコン負荷等の各種補正係数)及び補正係数学習ルーチン(図示せず)で学習した学習補正係数KGを用いて、次式により燃料噴射量TAUを算出して、本ルーチンを終了する。
TAU=Tp×FAF×FALL×KG
【0025】
[目標空燃比設定]
次に、図2のステップ104で実行される図3の目標空燃比設定ルーチンの処理内容を説明する。本ルーチンは、リーン運転中に所定周期でリッチスパイク制御が実施されるように(図6参照)、リーン運転時間とリッチ運転時間の時間比を設定すると共に、リーン運転時とリッチ運転時の目標空燃比AFTGをそれぞれ設定するルーチンであり、特許請求の範囲でいうリッチスパイク制御手段に相当する役割を果たす。
【0026】
本ルーチンが起動されると、まず、ステップ201で、前回のリッチスパイク制御終了後のリーン運転時間をカウントする周期カウンタの値が「0」であるか否か(つまりリッチスパイク制御終了時であるか否か)を判定し、周期カウンタ=0であれば、ステップ202に進み、エンジン回転速度Neと吸気圧PMに基づいてリーン運転時間TLとリッチ運転時間TRを設定する。ここで、リーン運転時間TLとリッチ運転時間TRは、それぞれリーン空燃比での燃料噴射回数、リッチ空燃比での燃料噴射回数に相当するものであって、基本的には、エンジン回転速度Neが高いほど又は吸気圧PMが高いほど、リーン運転時間TLとリッチ運転時間TRが大きな値に設定される。本実施形態では、図4に示すリッチ運転時間TRのマップを検索して、現在のエンジン回転速度Neと吸気圧PMに応じたリッチ運転時間TRを算出し、このリッチ運転時間TRに所定係数αを乗算することでリーン運転時間TLを算出する。
TL=TR×α
【0027】
ここで、係数αは、演算処理の簡略化のために固定値(例えば50)としても良いが、エンジン運転状態(エンジン回転速度Ne、吸気圧PM等)に応じて可変しても良い。このようにしてリーン運転時間TLとリッチ運転時間TRを設定した後、ステップ203に進む。
【0028】
前回までの処理で周期カウンタがインクリメントされている場合(リーン運転中)は、上記ステップ201で、周期カウンタ≠0と判定されて、ステップ202の処理を飛び越して、ステップ203に進む。
【0029】
リーン運転中は、ステップ203で、周期カウンタを「1」だけインクリメントしてリーン運転時間をカウントし、次のステップ204で、周期カウンタの値が上記ステップ202で設定したリーン運転時間TLに相当する値に達したか否かを判定する。もし、周期カウンタの値が設定リーン運転時間TLに達していなければ、ステップ205に進み、図5に示す目標空燃比AFTGのマップを検索して、現在のエンジン回転速度Neと吸気圧PMに応じた目標空燃比AFTGを算出し、本ルーチンを終了する。この場合、目標空燃比AFTGは、リーン制御値(例えば空燃比=20〜23に相当する値)に設定され、リーン運転が継続される。但し、過渡運転時等で、リーン運転の実施条件が不成立となる場合には、目標空燃比AFTGは、ストイキ近傍の値に設定される。
【0030】
その後、周期カウンタの値が設定リーン運転時間TLに達したときに、ステップ204からステップ206に進み、目標空燃比AFTGをリッチ制御値に設定する。この場合、目標空燃比AFTGは、演算処理の簡略化のために固定値としても良いが、エンジン回転速度Neや吸気圧PMをパラメータとするマップを検索して目標空燃比AFTGを設定しても良い。マップ検索を行う場合は、エンジン回転速度Neが高いほど又は吸気圧PMが高いほど、そのリッチ度合いが強くなるように目標空燃比AFTGを設定することが好ましい。
【0031】
目標空燃比AFTGの設定後、ステップ207に進み、リッチスパイク制御フラグXRSを、リッチスパイク制御実行を意味する「1」にセットした後、ステップ208に進み、周期カウンタの値がリーン運転時間TLとリッチ運転時間TRの合計時間「TL+TR」に相当する値に達したか否かを判定し、周期カウンタ<TL+TRの期間中(リッチスパイク制御中)は、そのまま本ルーチンを終了し、その後、周期カウンタ≧TL+TRと判定されたときに(つまりリッチスパイク制御を終了するときに)、ステップ208からステップ209に進み、周期カウンタを「0」にクリアすると共に、リッチスパイク制御フラグXRSを、リッチスパイク制御解除を意味する「0」にリセットして、本ルーチンを終了する。
【0032】
これにより、図6に示すように、周期カウンタ=0〜TLの期間(時刻t1〜t2の期間)は、空燃比をリーン制御するリーン運転を実施して、排出ガス中のNOxをNOx触媒24に吸蔵する。そして、周期カウンタ=TL〜TL+TRの期間(時刻t2〜t3の期間)は、空燃比をリッチに制御するリッチスパイク制御を実施して、排出ガス中のリッチ成分(HC、CO)によりNOx触媒24の吸蔵NOxを還元して放出する。
【0033】
[失火診断]
図7の失火診断ルーチンは、クランク角速度変動量Δωを失火判定値と比較してエンジン11の失火の有無を診断するルーチンであり、特許請求の範囲の請求項2に記載した異常診断手段に相当する役割を果たす。以下、6気筒エンジンの場合について説明する。
【0034】
本ルーチンは、クランク角60℃A毎に割り込み処理により起動される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ301で、クランク軸が120℃A回転するのに要した時間T120(i) を次のようにして算出する。本ルーチンの前回の割り込み時刻から今回の割り込み時刻までの時間を、クランク軸が60℃A回転するのに要した時間T60(i) として算出し、本ルーチンの割り込みタイミングがATDC60℃Aになる毎(つまり120℃A回転する毎)に、T60の過去2回分のデータを積算してT120(i) を算出する。
【0035】
T120(i) の算出後、ステップ302に進み、今回のクランク角速度ω(n) を次式により算出する。
ω(n) =(KDSOMG−ΔθnL)/T120(i)
上式において、KDSOMGは、回転時間を角速度に変換するための変換係数であり、ΔθnLは、気筒間クランク角速度偏差学習ルーチン(図示せず)で学習した学習値である。
【0037】
この後、ステップ303に進み、クランク角速度変動量Δω(n-A-1) を次式により算出する。
Δω(n-A-1) ={ω(n-A-2) −ω(n-A-1) }−{ω(n-1) −ω(n) }
ここで、Aは、失火による回転変動がクランク角速度変動量Δω(n-A-1) に大きく現れるように0〜5の範囲(6気筒エンジンの場合)で設定される。
【0039】
この後、ステップ304に進み、リッチスパイク制御実施中又はリッチスパイク制御終了から所定期間内であるか否かを判定する。ここで、リッチスパイク制御実施中か否かは、リッチスパイク制御フラグXRSが「1」にセットされているか否かによって判定し、リッチスパイク制御終了から所定期間内であるか否かは、リッチスパイク制御フラグXRSが「1」から「0」に切り換わってから所定期間内か否かによって判定すれば良い。
【0040】
本ルーチンは、次のステップ305でクランク角速度変動量Δω(n-A-1) を用いて失火診断するため、リッチスパイク制御中やリッチスパイク制御終了直後に失火診断すると、リッチスパイク制御による一時的な回転変動の影響を受けたクランク角速度変動量Δω(n-A-1) に基づいて失火の有無を診断してしまう。従って、ステップ304で、リッチスパイク制御実施中又はリッチスパイク制御終了から所定期間内と判定された場合は、以降の失火診断処理を行わずにステップ307に進む。これにより、失火診断を禁止し、リッチスパイク制御の影響による失火診断精度の低下を防止する。このステップ304の処理が、特許請求の範囲でいう異常診断禁止手段に相当する役割を果たす。
【0041】
上記ステップ304で、リッチスパイク制御実施中でなく且つリッチスパイク制御終了から所定期間内でもないと判定された場合は、ステップ305の失火診断処理に進み、クランク角速度変動量Δω(n-A-1) が所定の失火判定値REF1よりも大きいか否かを判定する。もし、クランク角速度変動量Δω(n-A-1) が失火判定値REF1よりも大きいと判定されれば、失火が発生していると判断して、ステップ306に進み、失火カウンタCMIS(n-A-1) をインクリメントした後、ステップ307に進む。尚、失火カウンタCMIS(n-A-1) のカウント値が所定値に達した場合、失火による触媒24の損傷等が懸念されるため、ECU29のメモリに失火の情報を記憶すると共に、警告ランプ(図示せず)を点灯又は点滅させて運転者に警告する。
【0042】
一方、クランク角速度変動量Δω(n-A-1) が失火判定値REF1以下と判定された場合は、失火が発生していないと判断して、ステップ306の処理を飛び越してステップ307に進む。
【0043】
このステップ307では、RAM32に記憶されているクランク角速度データω(n-5) 、ω(n-4) 、ω(n-3) 、ω(n-2) 、ω(n-1) を、それぞれω(n-4) 、ω(n-3) 、ω(n-2) 、ω(n-1) 、ω(n) で更新して本ルーチンを終了する。
以上説明した失火診断に関連する技術は、特開平9−166042号公報に詳細に記載されている。
【0045】
[触媒劣化診断]
図8の触媒劣化診断ルーチンは、触媒24下流側の酸素センサ26の出力電圧VOX2の変化幅を積算することで、触媒24内での浄化ガス成分量を反映する診断データΣV(酸素センサ26の出力電圧変動の軌跡長)を求め、この診断データΣVを所定の劣化判定値と比較して触媒24の劣化の有無を診断するルーチンであり、特許請求の範囲の請求項3に記載した異常診断手段に相当する役割を果たす。
【0046】
本ルーチンは、所定時間毎(例えば64ms毎)に実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ401で、触媒温度TCATが劣化診断開始温度(例えば150℃)を越えたか否かを判定し、越えていなければ、以降の触媒劣化診断処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。これは、触媒温度TCATが劣化診断開始温度に達していない状態では、酸素センサ26の温度が低く、そのセンサ出力VOX2が安定しないので、この期間中に触媒劣化診断を禁止することで、触媒劣化診断精度低下を防ぐものである。
【0047】
そして、触媒温度TCATが劣化診断開始温度(例えば150℃)を越えた時点で、ステップ402に進み、リッチスパイク制御実施中又はリッチスパイク制御終了から所定期間内であるか否かを判定する。本ルーチンは、後述するステップ408で、酸素センサ26の出力電圧VOX2を用いて算出した診断データΣVを用いて触媒劣化診断するため、リッチスパイク制御中やリッチスパイク制御終了直後に触媒劣化診断すると、リッチスパイク制御による一時的な空燃比変化(酸素センサ26の出力変動)の影響を受けた診断データΣVに基づいて触媒24の劣化の有無を診断してしまう。従って、ステップ402で、リッチスパイク制御実施中又はリッチスパイク制御終了から所定期間内と判定された場合は、そのまま本ルーチンを終了して、触媒劣化診断を禁止し、リッチスパイク制御の影響による触媒劣化診断精度の低下を防止する。このステップ402の処理が、特許請求の範囲でいう異常診断禁止手段に相当する役割を果たす。
【0048】
一方、ステップ402で、リッチスパイク制御実施中でなく且つリッチスパイク制御終了から所定期間内でもないと判定された場合は、ステップ403に進み、浄化ガス成分量を反映する診断データΣV1 (酸素センサ26の出力電圧変動の軌跡長)を次式により算出する。
ΣV1(n)=ΣV1(n-1)+|VOX2(i) −VOX2(i-1) |
【0049】
ここで、VOX2(i) は今回処理時における酸素センサ26の出力電圧であり、VOX2(i-1) は前回処理時における酸素センサ26の出力電圧である。上式は、所定のサンプリング周期(例えば64ms)で触媒24下流側の酸素センサ26の出力電圧VOX2の変化幅を積算することで、酸素センサ26の出力電圧変動の軌跡長を求め、触媒24内での浄化ガス成分量を評価するものである。
【0050】
更に、このステップ403では、触媒流入ガス成分変動を数値化したデータΣΔA/F・Q1 を次式により算出する。
ΣΔAF・Q1(n)=ΣΔAF・Q1(n-1)+Q×|AFTG−AF|
【0051】
ここで、Qは吸入空気流量であり、排出ガス流量を代用するデータとして用いられている。上式は、所定のサンプリング周期(例えば64ms)で触媒24上流側の空燃比センサ25で検出した空燃比AFの目標空燃比AFTGからの偏差|AFTG−AF|と排出ガス流量(=吸入空気流量Q)とを乗算して、その乗算値を積算することで、触媒流入ガス成分変動のデータΣΔAF・Q1 を求めるものである。
【0052】
この後、ステップ404で、診断データΣV1 とΣΔAF・Q1 の算出開始から所定時間(例えば10秒)経過したか否かを判定し、所定時間内のΣV1 とΣΔAF・Q1 を算出した時点で、ステップ405に進み、前回のΣV1 の積算値ΣVに今回のΣV1 を積算してΣVを更新すると共に、前回のΣΔAF・Q1 の積算値ΣΔAF・Qに今回のΣΔAF・Q1 を積算してΣΔAF・Qを更新した後、ステップ406に進み、ΣV1 及びΣΔAF・Q1 を共にクリアする。
【0053】
この後、ステップ407に進み、触媒温度TCATが所定温度(例えば550℃)を越えたか否かを判定し、越えていなければ、触媒24の劣化を診断することなく、本ルーチンを終了する。そして、触媒温度TCATが所定温度を越えた時点で、ステップ408に進み、それまでに積算した浄化ガス成分量を反映する診断データΣV(触媒24下流側の酸素センサ26の出力電圧変動の軌跡長)が劣化判定値よりも大きいか否かを判定する。この劣化判定値は、ROM31に記憶されているデータテーブルを用いてΣΔAF・Qに応じて設定される。診断データΣVが劣化判定値より大きい場合には、触媒24の劣化と判定し(ステップ409)、ECU29のメモリに触媒劣化の情報を記憶すると共に、警告ランプ(図示せず)を点灯又は点滅させて運転者に警告する。一方、診断データΣVが劣化判定値以下の場合には、正常と判定する(ステップ410)。
【0054】
以上説明した触媒劣化診断に関連する技術は、特開平9−310612号公報に詳細に記載されている。
【0055】
上述した図8の触媒劣化診断ルーチンは、触媒24の劣化に伴ってその下流側の酸素センサ26の出力変動の軌跡長が長くなる(酸素センサ26の出力変動の振幅と周波数が増加する)という特性を利用して触媒劣化診断を実行するものであるが、その他の触媒劣化診断方法として、例えば次の▲1▼〜▲4▼のようなものが挙げられる。
【0056】
▲1▼センサ出力の面積(センサ出力と目標値との差の積算値)を用いる方法
触媒24の劣化により、酸素センサ26の出力の振幅と周波数が増加すると、酸素センサ26の出力の面積(センサ出力と目標値との差の積算値)が増加する特性を利用して、触媒24の劣化の有無を判定する。
【0057】
▲2▼センサ出力のリッチ/リーンの反転回数(周波数、周期)を用いる方法
触媒24が劣化すると、酸素センサ26の出力の周波数(リッチ/リーンの反転回数)が増加し、周期が短くなる特性を利用して、触媒24の劣化の有無を判定する。
【0058】
▲3▼センサ出力の振幅を用いる方法
触媒24が劣化すると、酸素センサ26の出力の振幅が増加する特性を利用して、触媒24の劣化の有無を判定する。
【0059】
▲4▼センサの応答遅れ時間を用いる方法
触媒24が劣化すると、触媒24のストレージ量(排出ガス成分の飽和吸着量)が減少するため、触媒24で浄化されずに通り抜ける排出ガス成分が増加する。この関係で、目標空燃比λTGのリッチ/リーンを反転させてから酸素センサ26の出力のリッチ/リーンが反転するまでの応答遅れ時間は、触媒24が劣化すると短くなる。従って、酸素センサ26の応答遅れ時間が所定の判定値以下であるか否かで、触媒24の劣化の有無を判定することができる。
【0060】
尚、触媒24の下流側に、酸素センサ26に代えて空燃比センサ(リニアA/Fセンサ)を設けたシステムの場合は、触媒24下流側の空燃比センサの出力に基づいて触媒劣化診断を行っても良い。また、NOx触媒24の下流側(又は上流側)に他の触媒を設置したシステムでは、その触媒の下流側のセンサ(空燃比センサ、酸素センサ等)の出力に基づいて該触媒の劣化診断を行うようにしても良い。
【0061】
[センサ異常診断]
図9のセンサ異常診断ルーチンは、減速時等に実施される燃料カットからの復帰後(燃料噴射再開後)の空燃比センサ25の出力の変化率ΔIを求め、その変化率ΔIを異常判定値Ifcと比較して空燃比センサ25の異常の有無を診断するルーチンであり、特許請求の範囲の請求項4に記載した異常診断手段に相当する役割を果たす。
【0062】
本ルーチンは、所定時間毎又は所定クランク角毎に実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ501で、燃料カット復帰(燃料噴射再開)か否かを判定し、燃料カット復帰でなければ、以降のセンサ異常診断処理を行わずに本ルーチンを終了する。
【0063】
その後、燃料カット復帰が行われた時点で、ステップ502に進み、燃料カット復帰時の空燃比センサ25の出力(以下「センサ出力」という)I1 を読み込んで記憶すると共に、タイマを作動させて燃料カット復帰後の経過時間をカウントする。
【0064】
この後、ステップ503に進み、リッチスパイク制御実施中又はリッチスパイク制御終了から所定期間内であるか否かを判定する。本ルーチンは、後述するステップ507で、センサ出力の変化率ΔIを用いてセンサ異常診断するため、リッチスパイク制御中やリッチスパイク制御終了直後にセンサ異常診断すると、リッチスパイク制御による一時的な空燃比変化(空燃比センサ25の出力変動)の影響を受けたセンサ出力の変化率ΔIに基づいて空燃比センサ25の異常の有無を診断してしまう。従って、ステップ503で、リッチスパイク制御実施中又はリッチスパイク制御終了から所定期間内と判定された場合は、そのまま本ルーチンを終了して、センサ異常診断を禁止し、リッチスパイク制御の影響によるセンサ異常診断精度の低下を防止する。このステップ503の処理が、特許請求の範囲でいう異常診断禁止手段に相当する役割を果たす。
【0065】
一方、ステップ503で、リッチスパイク制御実施中でなく且つリッチスパイク制御終了から所定期間内でもないと判定された場合は、ステップ504に進み、センサ出力がI2 まで低下したか否かを判定し、センサ出力がI2 まで低下したときに、ステップ505に進み、燃料カット復帰からセンサ出力がI2 に低下するまでの時間Tを前述したタイマのカウント値から読み取って記憶した後、ステップ506に進んで、センサ出力の変化率ΔIを次式により算出する。
ΔI=(I2 −I1 )/T
【0066】
この後、ステップ507に進み、上式により算出したセンサ出力の変化率ΔIを異常判定値Ifrと比較し、センサ出力の変化率ΔIが異常判定値Ifr以下の場合(絶対値の比較では|ΔI|≧|Ifr|の場合)には、空燃比センサ25の応答性は劣化しておらず、センサ出力は正常であるので、本ルーチンを終了する。しかし、空燃比センサ25の応答性が劣化するに従って、センサ出力の変化率ΔIの絶対値が小さくなることから、センサ出力の変化率ΔIが異常判定値Ifrより大きくなった場合(絶対値の比較では|ΔI|<|Ifr|となった場合)には、空燃比センサ25の異常(劣化)有りと判定される。この場合には、ステップ508に進んで、ECU29のメモリにセンサ異常の情報を記憶すると共に、警告ランプ(図示せず)を点灯又は点滅させて運転者に警告する。
【0067】
以上説明したセンサ異常診断に関連する技術は、特開平8−177575号公報に詳細に記載されている。
尚、異常診断の対象となるセンサは、触媒24上流側の空燃比センサ25に限定されず、触媒24下流側の酸素センサ26等、排出ガスの空燃比又はリッチ/リーンを検出する他のセンサの異常診断をするようにしても良い。
【0069】
[燃料系異常診断]
図10の燃料系異常診断パラメータ算出ルーチンは、実空燃比AFと目標空燃比AFTGとの差、空燃比補正係数FAF、学習補正係数KGに基づいて異常診断パラメータDGDELAFを求め、これをなまし処理して異常診断パラメータなまし値DGDELAFSMを算出するルーチンであり、図11の燃料系異常診断実行ルーチンは、異常診断パラメータなまし値DGDELAFSMを異常診断基準値と比較して燃料系の異常の有無を診断するルーチンである。これら図10の燃料系異常診断パラメータ算出ルーチン及び図11の燃料系異常診断実行ルーチンルーチンが、特許請求の範囲の請求項5に記載した異常診断手段に相当する役割を果たす。
【0070】
図10の燃料系異常診断パラメータ算出ルーチンは、所定クランク角毎に実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ601で、空燃比フィードバック制御中(図2のステップ103で空燃比フィードバック条件が成立している時)であるか否かを判定し、空燃比フィードバック制御中でない場合は、ステップ604,605に進み、異常診断パラメータDGDELAFと異常診断パラメータなまし値DGDELAFSMを、共に、異常無しを意味する「1.0」に設定して本ルーチンを終了する。
【0071】
一方、空燃比フィードバック制御中の場合には、ステップ602に進み、▲1▼空燃比センサ25で検出した実空燃比AFと目標空燃比AFTGとの差と、▲2▼空燃比補正係数FAFと、▲3▼学習補正係数KGとを合計して異常診断パラメータDGDELAFを求める。
DGDELAF=(AF−AFTG)+FAF+KG
【0072】
この後、ステップ603に進んで、異常診断パラメータDGDELAFを次式によりなまし処理して異常診断パラメータなまし値DGDELAFSMを算出する。
上式は、なまし係数が1/4であるが、1/3、1/6、1/8等であっても良い。
【0074】
図11の燃料系異常診断実行ルーチンは、所定時間毎に実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ701で、燃料系異常診断実行条件が成立した状態が所定時間(例えば20秒)継続したか否かを判定する。ここで、燃料系異常診断実行条件としては、エンジン始動後の経過時間が所定時間(例えば60秒)を越えていること、空燃比フィードバック制御中であること等であり、これらの条件を全て満たしていれば、燃料系異常診断実行条件が成立する。
【0075】
上記ステップ701で、燃料系異常診断実行条件が成立した状態が所定時間(例えば20秒)継続していないと判定された場合には、以降の燃料系異常診断処理を行わずに本ルーチンを終了する。
【0076】
その後、燃料系異常診断実行条件が成立した状態が所定時間(例えば20秒)継続した時点で、ステップ701から702に進み、リッチスパイク制御実施中又はリッチスパイク制御終了から所定期間内であるか否かを判定する。本ルーチンは、後述するステップ703,706で、実空燃比AFを用いて算出した異常診断パラメータなまし値DGDELAFSを用いて燃料系の異常診断を行うため、リッチスパイク制御中やリッチスパイク制御終了直後に燃料系の異常診断を行うと、リッチスパイク制御による一時的な空燃比変化の影響を受けた異常診断パラメータなまし値DGDELAFSに基づいて燃料系の異常の有無を診断してしまう。従って、ステップ702で、リッチスパイク制御実施中又はリッチスパイク制御終了から所定期間内と判定された場合は、そのまま本ルーチンを終了して、燃料系異常診断を禁止し、リッチスパイク制御の影響による燃料系異常診断精度の低下を防止する。このステップ702の処理が、特許請求の範囲でいう異常診断禁止手段に相当する役割を果たす。
【0077】
一方、ステップ702で、リッチスパイク制御実施中でなく且つリッチスパイク制御終了から所定期間内でもないと判定された場合は、ステップ703に進み、異常診断パラメータなまし値DGDELAFSMをリッチ側異常診断基準値tDFAFRと比較し、DGDELAFSM≦tDFAFR(リッチ側の異常)であれば、ステップ704に進み、リッチ側の異常が所定時間(例えば20秒)継続したか否かを判定し、所定時間継続すれば、ステップ705に進み、最終的に燃料供給系のリッチ側の異常と診断して、リッチ側異常診断フラグDGFUELRNGをリッチ側の異常を意味する「1」にセットし、次のステップ709で、警告ランプ(図示せず)を点灯又は点滅させて運転者に警告すると共に、ECU29のメモリにリッチ側の異常の情報を記憶して本プログラムを終了する。
【0078】
上記ステップ704で、リッチ側の異常が所定時間(例えば20秒)継続していない場合には、最終的な診断結果を出さずに本プログラムを終了する。
【0079】
また、上記ステップ703で、DGDELAFSM>tDFAFR(リッチ側正常)と判定された場合には、ステップ706に進み、異常診断パラメータなまし値DGDELAFSMをリーン側異常診断基準値tDFAFLと比較し、DGDELAFSM≧tDFAFL(リーン側の異常)であれば、ステップ707に進み、リーン側の異常が所定時間(例えば20秒)継続したか否かを判定し、所定時間継続すれば、ステップ708に進み、最終的に燃料供給系のリーン側の異常と診断してリーン側異常診断フラグDGFUELLNGをリーン側の異常を意味する「1」にセットし、次のステップ709で、警告ランプを点灯又は点滅させて運転者に警告すると共に、ECU29のメモリにリッチ側の異常の情報を記憶して本プログラムを終了する。
【0080】
上記ステップ706で、リーン側の異常が所定時間(例えば20秒)継続していない場合には、最終的な診断結果を出さずに本プログラムを終了する。
以上説明したセンサ異常診断に関連する技術は、特開平11−82117号公報に詳細に記載されている。
【0082】
以上説明した本実施形態によれば、リッチスパイク制御実施中及びリッチスパイク制御終了から所定期間内は、リッチスパイク制御の影響を受ける失火診断、触媒劣化診断、センサ異常診断及び燃料系異常診断を禁止するようにしたので、リッチスパイク制御による一時的な空燃比変化や回転変動の影響を受けた異常診断パラメータに基づいて異常診断を行ってしまうことを防止することができて、各異常診断の精度を向上することができ、エンジン制御システムの信頼性を向上することができる。
【0083】
尚、上記実施形態では、リッチスパイク制御実施中及びリッチスパイク制御終了から所定期間内は、他の異常診断実行条件が成立しても異常診断が実施されない。この場合、リッチスパイク制御終了から所定期間が経過して異常診断の禁止が解除された後に、他の異常診断実行条件が成立していることを条件に、異常診断を実施するようにしても良いが、リッチスパイク制御実施中及びリッチスパイク制御終了から所定期間内に、他の異常診断実行条件が成立したときは、異常診断の実施を遅延させ、リッチスパイク制御終了から所定期間が経過した後に異常診断を実施するようにしても良い。
【0084】
また、上記実施形態では、失火診断、触媒劣化診断、センサ異常診断及び燃料系異常診断を全て実施するシステムに本発明を適用したが、これらの異常診断のうちの1つ又は複数の異常診断を実施するシステムに本発明を適用しても良く、また、異常診断方法を適宜変更しても良い。更に、リッチスパイク制御による一時的な空燃比変化や回転変動の影響を受ける他の異常診断を実施するシステムに本発明を適用しても良い。また、本発明は、異常診断を禁止(又は遅延)する期間をリッチスパイク制御中のみに限定しても良い。
【0085】
その他、本発明は、リーンバーンエンジン以外に、直噴エンジン等、リッチスパイク制御によって吸蔵NOxを還元浄化する必要がある触媒を備えたエンジンに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すエンジン制御システム全体の概略構成図
【図2】燃料噴射量設定ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図3】目標空燃比設定ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図4】リッチ運転時間TRの算出マップを概念的に示す図
【図5】目標空燃比AFTGの算出マップを概念的に示す図
【図6】空燃比と周期カウンタの挙動を示すタイムチャート
【図7】失火診断ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図8】触媒劣化診断ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図9】センサ異常診断ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図10】燃料系異常診断パラメータ算出ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図11】燃料系異常診断実行ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【符号の説明】
11…エンジン(内燃機関)、20…燃料噴射弁、23…排気管、24…NOx触媒、25…空燃比センサ、26…酸素センサ(下流側センサ)、29…ECU(リッチスパイク制御手段,異常診断手段,異常診断禁止手段)。
Claims (4)
- 内燃機関の排気通路に設けた触媒に吸蔵した窒素酸化物を還元浄化するために、内燃機関のリーン運転中に空燃比を一時的にリッチ側に制御するリッチスパイク制御を行うリッチスパイク制御手段と、
機関制御システムの異常の有無を診断する異常診断手段と、
前記リッチスパイク制御実施中及び/又は前記リッチスパイク制御終了後の所定期間に前記異常診断手段による所定の異常診断を禁止又は遅延する異常診断禁止手段と
を備え、
前記異常診断手段は、内燃機関の回転変動に基づいて失火の有無を診断することを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 内燃機関の排気通路に設けた触媒に吸蔵した窒素酸化物を還元浄化するために、内燃機関のリーン運転中に空燃比を一時的にリッチ側に制御するリッチスパイク制御を行うリッチスパイク制御手段と、
機関制御システムの異常の有無を診断する異常診断手段と、
前記リッチスパイク制御実施中及び/又は前記リッチスパイク制御終了後の所定期間に前記異常診断手段による所定の異常診断を禁止又は遅延する異常診断禁止手段と、
前記触媒の下流側で排出ガスの空燃比又はリッチ/リーンを検出する下流側センサと
を備え、
前記異常診断手段は、前記下流側センサの出力に基づいて前記触媒の劣化の有無を診断することを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記異常診断手段は、内燃機関の排出ガスの空燃比又はリッチ/リーンを検出するセンサの異常の有無を診断することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記異常診断手段は、燃料系の異常の有無を診断することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
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